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日本初のDOAC中和剤発売、迅速・完全・持続的な効果

 経口抗凝固薬ダビガトランに対する特異的中和剤であるイダルシズマブ(商品名:プリズバインド、日本ベーリンガーインゲルハイム)が、7ヵ月という短い審査期間で今年9月に承認され、11月18日に発売された。11月15日の発売記者説明会では、国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管・神経内科の矢坂正弘氏が、抗凝固薬による出血リスク、イダルシズマブの効果や意義について紹介し、「迅速・完全・持続的に効果を示すイダルシズマブは臨床現場で有用な薬剤になるだろう」と述べた。DOACでも大出血は起こりうる 心原性脳塞栓症予防のための抗凝固療法において、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)はワルファリンと比較し、「管理が容易」「脳梗塞予防効果は同等かそれ以上」「大出血は同等かそれ以下」「頭蓋内出血が大幅に低下」というメリットがあり、ガイドラインでも推奨されるようになった。しかしDOACでも大出血は起こりうる、と矢坂氏は強調する。大出血時の一般的な対応は、まず休薬し、外科的処置を含めた止血操作、点滴でのバイタルの安定、出血性脳卒中なら十分な降圧を行うことである。この処置に加えて、活性炭や第IX因子複合体(保険適応外)の投与などの工夫がなされてきたが、より急速な中和剤が望まれていた。このような現状の中、ダビガトランに特異的な中和剤イダルシズマブが承認された。 商品名のプリズバインド(PRIZBIND)は、PRazaxaとIdaruciZumabがBIND(結合)して効果を発揮することに由来しているという。効能・効果は次のとおり。 以下の状況におけるダビガトランの抗凝固作用の中和  ・生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時  ・重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時中和剤に求められる特性を達成 矢坂氏は、中和剤に求められる特性として、「迅速に」「完全に」「持続的に」効くという3つを挙げ、「イダルシズマブはこれを達成した中和剤と言える」と紹介した。 国内第I相試験によると、イダルシズマブ静注後1分以内に、希釈トロンビン時間(dTT)が正常値上限を下回り(すなわち、抗凝固作用を完全に中和)、それが24時間持続することが示され、第III相試験(RE-VERSE AD試験)においても同様に、迅速・完全・持続的な中和効果が認められている。 RE-VERSE AD試験における患者において、出血の種類は消化管出血・頭蓋内出血が大部分を占め、緊急手術・処置の理由は骨折が最も多かった。 また、同試験の中間集計では、243例中13例(5.3%)に脳梗塞や深部静脈血栓症などの血栓性イベントが発現したが、1例を除き血栓性イベント発現時点で抗凝固療法を再開していなかった。矢坂氏は、これは抗凝固療法を適切な時点で再開するようにというメッセージを示していると述べた。ダビガトランの場合は24時間後に再開が可能であり、他の抗凝固薬であれば24時間以内でも投与できる。中和剤は自動車のエアバッグのようなもの 矢坂氏は、中和剤の必要性について、「DOACはワルファリンに比べて頭蓋内出血は大幅に低下するがゼロになるわけではなく、また避けられない転倒や事故による出血も起こりうるので、リバースする中和剤は必要である」と指摘した。 中和剤はよく自動車のエアバッグに例えられるという。エアバッグがなくても運転できるし、ほとんどの人は事故に遭わないが、なかには衝突し、エアバッグがあったので助かったということも起こりうる。このエアバッグに相当する中和剤があるということは「抗凝固薬選択のオプションの1つになるだろう」と矢坂氏は述べ、講演を終えた。

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生分解性ポリマーDES vs.耐久性ポリマーDES、1年後の結果/Lancet

 薬剤溶出ステント留置術を要す冠動脈疾患に対する、極薄型ストラット生分解性ポリマー・エベロリムス溶出ステントまたはシロリムス溶出ステントは、耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントと比較し、術後1年後のアウトカムについて、非劣性であることが示された。オランダ・Thoraxcentrum TwenteのClemens von Birgelen氏らが行った、大規模無作為化比較試験「BIO-RESORT」の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2016年10月30日号掲載の報告。1年後の心臓死・標的血管関連心筋梗塞の発生率などを比較 BIO-RESORT試験は、2012年12月21日~2015年8月24日にかけて、オランダ国内4つのクリニックにて、冠動脈疾患で薬剤溶出ステント留置術を要する18歳以上の患者3,514例を対象に行われた。除外基準は、主要エンドポイント達成前に、他の割付治療(薬物またはデバイス)を受けた場合、施術後6ヵ月以内に抗血小板薬2剤併用療法の中断が予定されている場合、割付治療薬剤や関連薬剤(抗凝固療法や抗血小板療法など)に対する既知の不耐性が認められる場合、フォローアップ治療へのアドヒアランスまたは1年未満の推定予後が不確定な場合、妊娠が明らかな場合だった。 被験者はコンピュータ無作為化にて3つの群に割り付けられ、1群には極薄型ストラット・エベロリムス溶出ステントを、2群には極薄型ストラット・シロリムス溶出ステントを3群には薄型ストラット・耐久性ポリマー・ゾタロリムス溶出ステントを、それぞれ留置した。 主要評価項目は、12ヵ月後の安全性(心臓死または標的血管関連の心筋梗塞の発症)および有効性(標的血管再建術の実施)の複合エンドポイントで、生分解性ポリマーを用いた2つの群と、耐久性ポリマー・ゾタロリムス群を比較した。非劣性マージンは3.5%だった。主要評価項目発生率、いずれの群も5% 被験者のうち、70%(2,449例)が急性冠症候群で、31%(1,073例)がST上昇型心筋梗塞の患者だった。 検討の結果、主要評価項目の発生率は、エベロリムス群が5%(55/1,172例)、シロリムス群が5%(55/1,169例)に対し、ゾタロリムス群は5%(63/1,173例)だった。ゾタロリムス溶出ステント群に対して、極薄型ストラット・生分解性ポリマーを用いたエベロリムスおよびシロリムスの両ステントの非劣性が示された(絶対リスク差:両群とも-0.7%、95%信頼区間:-2.4~1.1、非劣性のp<0.0001)。 学術研究コンソーシアム(Academic Research Consortium)の定義による確定的ステント血栓症は、エベロリムス群は4例(0.3%)、シロリムス群は4例(0.3%)、ゾタロリムス群は3例(0.3%)の発生だった(log-rank検定によるゾタロリムス群と他2つの群との比較のp=0.70)。

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金子英弘のSHD intervention State of the Art 第5回

TAVIの新たな課題~デバイス血栓症~世界的に急速に普及が進む経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)ですが、それに伴い術後の人工弁血栓症が新たな懸念として浮上しています。これまでの報告では「TAVI後の人工弁血栓の発生はきわめてまれである」とされてきました1)~3)。一方で、人工弁血栓がTAVI後の大動脈弁圧較差の原因となりうること3)、そして生体弁による外科的弁置換術後の血栓症も予想以上に多く、術後数年を経過してから発生すること4)もありうることが報告されています。われわれの施設でもTAVI後、約2年が経過した症例で人工弁に血栓が生じ、左冠動脈主幹部に塞栓症を起こし、重篤な転帰となった症例を経験しており5)、見逃すことのできない合併症と考えています。最近、TAVI後の血栓症について新たな興味深い報告が発表されましたので紹介したいと思います。本研究では、デンマークの単施設で行われたSAPIEN XTあるいはSAPIEN 3を用いたTAVIの連続登録症例460例のうち、術後1~3ヵ月以内にMDCTおよび経胸壁・経食道心エコーによる人工弁血栓症の評価が行われた405例で解析が行われました。その結果、28例(7%)の症例で血栓の発生が確認され、大きな人工弁(29mm)留置と、術後ワルファリン未使用が人工弁血栓の独立した予測因子であることが示されました。また、ワルファリン使用によって人工弁血栓が消退することも同時に報告されています6)。これまでの報告と同様に、今回の研究でも多くの症例で人工弁血栓症は無症候性で、脳梗塞の発症などのイベントとの関連を示すには至っていません。ただ、当院で経験した症例のように重篤な転帰に至る症例もあることから、TAVI後の人工弁血栓の臨床的意義、予測因子、そして予防法・治療法を明らかにすることは非常に重要です。TAVI後の抗血栓療法のレジメンとしては、心房細動を合併しない症例では、アスピリン・クロピドグレルの抗血小板薬2剤併用を6ヵ月間、その後抗血小板薬1剤を継続することが推奨されています。しかしながら、今回の研究結果をみると、血栓症のリスクの高い症例では抗凝固療法を加えたプロトコルのほうが優れているのではないかとも考えられます。この点については、現在進行中のRandomized trialであるGALILEO trial、 POPular-TAVI trial、ATLANTIS trialなどの結果によって明らかになると思われます。これまでの連載で紹介したSAPIEN 3(エドワーズライフサイエンス社)など新世代デバイスの登場によって急性期の合併症が著しく減少したTAVIですが、その分、今後はこのような長期的な予後や管理について明らかにすることが重要になってくると考えています。ドイツでは年間1万3,000例以上のTAVIが行われ、私が勤務する施設においても年間300例以上と、大変多くの症例を経験することができています。これまではTAVIにおける症例選択やより安全なTAVIの施行に重点を置いてきましたが、今後は術後の至適治療という視点からもTAVIについて考えていきたいと思っています。1.Latib A, et al. Circ Cardiovasc Interv. 2015;8.2.De Backer O, et al. Eur Heart J. 2016;37:2271.3.De Marchena E, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2015;8:728-739.4.Egbe AC, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;66:2285-2294.5.Neuss M , Kaneko H, et al. JACC Cardiovasc Interv. 2016.6.Hansson NC, et al. J Am Coll Cardiol. 2016.

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循環器内科 米国臨床留学記 第14回

第14回 保険会社によって決まりかねない患者の命保険に加入しているか? 保険会社はどこか?アメリカで臨床をするにあたり、患者が入院したらまず確認しなければならないのは、保険に入っているのか、保険会社はどこか、ということです。オバマケアが始まり、保険への加入率が上昇したとはいえ、未加入の患者もまだまだ大勢います。また、保険に加入していても、保険の種類によっては患者の命に影響を及ぼすこともあります。先日受け持った患者は、緊急の開心術が必要になりましたが、当院に心臓血管外科医が不在で手術ができず、転送が必要となりました。少し難しい手術でしたので、ロサンゼルスにあるその分野で有名な病院に相談したところ、快く引き受けてくれることになりました。ところが、土壇場で保険会社がその病院をカバーしていないことがわかり、転送が不可能になりました。保険会社がカバーしている病院は3つあり、そのうち2つの病院には、自分たちには難し過ぎるという理由で断られました。結局、サンディエゴにあるUC サンディエゴ(UCSD) が唯一の選択肢となりました。しかしUCSDもすぐには受け入れられず、家族もオレンジカウンティーにあるUC アーバイン(UCI)から150kmほど離れたサンディエゴへの転送に難色を示し、家族会議後に決定すると伝えてきました。そうこうしているうちに2日が経ち、ついにその患者は脳梗塞を起こして脳死状態に陥りました。結局、手術適応ではなくなり亡くなってしまいました。最初からロサンゼルスの病院に転送できていれば、助かった可能性が高いと思われたケースです。HMOグループの躍進近年、HMO(Health Maintenance Organization)という会員制医療保険組織ともいえるヘルスケアシステムがカリフォルニア州で躍進しています。なかでも代表的なものはKaiser Permanenteと呼ばれるグループです。HMOに加入すると、それぞれのグループが契約する医療機関でしか医療を受けられません(Kaiser Permanenteの加入者ならば、同グループの契約医療機関)。また、患者は専門医に直接かかることはできず、プライマリケア医から紹介してもらう必要があります。こうした制限がある一方で、治療を受けた際の自己負担額には一定の上限などが設けられ、大きな手術などを受ける場合は患者の自己負担が安く抑えられます。あるHMOに加入している患者が自分の病院に緊急受診した場合、われわれ医療者側も注意が必要です。なぜなら、緊急性のない治療を行うと病院の“持ち出し”になることがあるからです。たとえば、HMOの保険を持つ患者が私の勤務するUCI付近で胸痛を訴えた場合、緊急性があるためUCIに運ばれます。急性心筋梗塞と診断された場合、責任病変に対する冠動脈インターベンションの費用は、加入しているHMOの保険でカバーされます。しかし、ほかにも治療すべき病態がある場合や、バイパス術が必要な場合、また、心不全など入院治療の継続が必要な場合は治療を行うかどうかの判断が必要となります。たとえば、責任病変以外にも狭窄がある場合(比較的安定している)、通常ならばそのまま入院し、2回目の冠動脈形成術を後日行うでしょう。ところが、転送可能であるにもかかわらず、転送せずに緊急性のない手技を行ったとしたら、HMOの保険会社が支払いを拒否します。結局、残りの冠動脈病変は転送してから加入しているHMOの病院で行われます。実際、HMOグループがわれわれの病院に電話をかけてきて「いつになったら転送できるのか」とプレッシャーをかけてきます。薬に関しても、比較的新しい抗血小板薬であるticagrelor(チカグレロル)や直接作用型経口抗凝固薬も保険会社によっては認められていないため、使用を断念することがあります。保険会社にコントロールされることなく、また保険の種類や有無に関係なく、平等な医療が受けられる日本のシステムは素晴らしいと思います。ただし、いつまでも破綻しないならば…という条件付きですが。

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日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。 イダルシズマブは、頻度は非常に低いものの、ダビガトラン服用中に生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時や、重大な出血が予想される緊急を要する手術または処置の施行時において、ダビガトランの抗凝固作用を迅速に中和する必要がある場合に使用される。イダルシズマブはヒト化抗体フラグメントで、ダビガトランに特異的に結合し、凝固カスケードを妨げることなく抗凝固作用を中和する。効能・効果以下の状況におけるダビガトランの抗凝固作用の中和・生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時・重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時用法・用量通常、成人にはイダルシズマブ(遺伝子組換え)として1回5g(1バイアル2.5g/50mLを2バイアル)を点滴静注又は急速静注する。ただし、点滴静注の場合は1バイアルにつき5〜10分かけて投与すること。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社のプレスリリースはこちら

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心房細動患者の血栓塞栓症や大出血予防に重要なこと

 非弁膜性心房細動患者の血栓塞栓症および大出血の予防には、高血圧症の既往歴やベースライン時の血圧よりも血圧コントロールが重要であることが、わが国のJ-RHYTHMレジストリの事後解析で示された。Journal of the American Heart Association誌2016年9月12日号に掲載。 医療機関158施設において連続して登録した外来の心房細動患者7,937例のうち、非弁膜症性心房細動7,406例(男性70.8%、69.8±10.0歳)を、2年間もしくはイベントが発生するまで追跡した。「収縮期血圧140mmHg以上」「拡張期血圧90mmHg以上」「高血圧症の既往歴あり」「降圧薬使用」のうち1つ以上あれば高血圧症と定義した。また、イベント発生に最も近い時点もしくは追跡期間終了時の収縮期血圧によって、患者を四分位に分け(Q1:114mmHg未満、Q2:114~125mmHg、Q3:126~135mmHg、Q4:136mmHg以上)、血栓塞栓症と大出血のオッズ比を検討した。 主な結果は以下のとおり。・高血圧症は、大出血の独立した危険因子であった(ハザード比 1.52、95%CI 1.05~2.21、p=0.027)が、血栓塞栓症の危険因子ではなかった(ハザード比 1.05、95%CI 0.73~1.52、p=0.787)。・CHA2DS2-VASCスコア・ワルファリン使用・抗血小板薬使用における調整後の血栓塞栓症と大出血のオッズ比は、Q1よりQ4で有意に高かった(血栓塞栓症:オッズ比 2.88、95%CI 1.75~4.74、p<0.001、大出血:オッズ比 1.61、95%CI 1.02~2.53、p=0.041)。収縮期血圧136mmHg以上は、血栓塞栓症および大出血の独立した危険因子であった。

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エドキサバンは電気的除細動時の抗凝固療法として有用/Lancet

 エドキサバンは、心房細動(AF)患者への電気的除細動施行時の抗凝固療法として、エノキサパリン+ワルファリンと同等の高度な安全性と有効性を発揮することが、ドイツ・St Vincenz病院のAndreas Goette氏らが実施したENSURE-AF試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。経口第Xa因子阻害薬エドキサバンは、AF患者の抗凝固療法において、エノキサパリン+ワルファリンと比較して、脳卒中や全身性塞栓症の予防効果が非劣性で、出血は少ないことが知られている。一方、AFへの電気的除細動の試験の事後解析では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の良好な安全性プロファイルが示されているが、エドキサバンの安全性データは十分ではないという。電気的除細動施行AFでの有用性を無作為化試験で評価 ENSURE-AF試験は、電気的除細動および抗凝固療法が予定されている非弁膜症性AF患者において、エドキサバンとエノキサパリン+ワルファリンの有用性を比較する無作為化第IIIb相試験(Daiichi Sankyo社の助成による)。 被験者は、エドキサバン(60mg/日)またはエノキサパリン+ワルファリンを投与する群に無作為に割り付けられた。エドキサバンは、クレアチニンクリアランスが15~50mL/分、体重≦60kg、P糖蛋白阻害薬併用例では30mg/日に減量することとした。 初回の薬剤投与は、電気的除細動施行の前に行われ、施行後28日間の治療が実施された。その後、30日間のフォローアップを行った。 有効性の主要評価項目は、脳卒中、全身性塞栓イベント、心筋梗塞、心血管死の複合エンドポイントとした。安全性の主要評価項目は、重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血(CRNM)であった。 2014年3月25日~2015年10月28日までに、欧米19ヵ国239施設に2,199例が登録され、エドキサバン群に1,095例が、エノキサパリン+ワルファリン群には1,104例が割り付けられた。安全性の解析は、それぞれ1,067例、1,082例で行われた。両群とも良好な有効性と安全性を達成 全体の平均年齢は64歳で、約3分の2が男性であり、平均CHA2DS2-VAScスコアは2.6(SD 1.4)であった。経口抗凝固薬の投与歴がない患者は27%であった。エドキサバン群の47%がビタミンK拮抗薬の投与を受けており、エドキサバンに変更された。 有効性のエンドポイントは、エドキサバン群が5例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)に認められた(オッズ比[OR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.12~1.43)。 脳卒中はエドキサバン群が2例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)にみられ、頭蓋内出血は両群ともに認めず、全身性塞栓イベントは1例(<1%)、1例(<1%)、心筋梗塞は2例(<1%)、3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)、心血管死は1例(<1%)、5例(<1%)(OR:0.20、95%CI:0~1.80)に発現した。 安全性のエンドポイントは、エドキサバン群が16例(1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)にみられた(OR:1.48、95%CI:0.64~3.55)。 重大な出血はエドキサバン群が3例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は5例(<1%)(OR:0.61、95%CI:0.09~3.13)に認め、CRNMはそれぞれ14例(1%)、7例(1%)(OR:2.04、95%CI:0.77~6.00)にみられた。生命を脅かす出血は1例ずつに認められた。すべての出血の発現数は32例(3%)、35例(3%)(OR:0.93、95%CI:0.55~1.55)であった。 これらの結果は、電気的除細動における経食道心エコー(TEE)ガイドの有無や、抗凝固薬の投与状況の違いによって差が生じることはなかった。また、エドキサバン群は99%以上というきわめて良好な服薬遵守(アドヒアランス)が達成された。 著者は、「エドキサバンは安全に投与でき、患者にとって使用しやすく、電気的除細動施行時に経口抗凝固療法を迅速に開始するのに有用であり、従来のヘパリンワルファリンの代替療法として使用可能と考えられる」としている。

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第Xa因子阻害薬の中和薬、急性大出血の79%を止血/NEJM

 第Xa因子阻害薬に関連する急性大出血において、andexanet alfaは抗第Xa因子活性を大幅に低減し、高い止血効果をもたらすことが、カナダ・マクマスター大学のStuart J. Connolly氏らが実施したANNEXA-4試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。第Xa因子阻害薬は、心房細動患者の静脈血栓塞栓症の治療や予防および脳卒中の予防に有効であるが、大出血や致死的出血のリスクがある。andexanet alfaは、遺伝子組換えヒト第Xa因子デコイ蛋白で、第Xa因子阻害薬の作用を特異的に、直接かつ間接に中和する。67例の記述的分析の初期結果 ANNEXA-4試験は、第Xa因子阻害薬投与後に、生命を脅かす可能性のある急性大出血を来した患者において、andexanet alfaの止血効果を評価する進行中の非盲検単群試験(Portola Pharmaceuticals社の助成による)。今回は、2016年6月17日の時点で、すべてのデータが得られた67例の記述的分析の結果が報告された。 2015年4月10日に、米国の20施設、英国の1施設、カナダの1施設で患者登録が開始された。年齢18歳以上、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、エノキサパリンのうち1剤を投与され、18時間以内に急性大出血を来した患者を対象とした。 被験者には、andexanet alfaがボーラス投与され、その後2時間の点滴静注が行われた。点滴静注終了後12時間の抗第Xa因子活性および臨床的な止血効果の評価が行われ、30日間のフォローアップが実施された。 安全性の解析は全67例で行い、ベースライン時の抗第Xa因子活性が≧75ng/mL(エノキサパリン投与例は≧0.5IU/mL)の47例を有効性解析集団とした。12時間後の止血効果が極めて良好/良好の割合は79%、重篤な副作用は認めない 全体の平均年齢は77.1±10.0歳で、男性が52%を占めた。抗凝固薬の適応疾患は、心房細動が70%、静脈血栓塞栓症が22%、その双方が7%であり、出血部位は消化管が49%、頭蓋内が42%であった。 有効性解析集団の救急診療部入室からandexanet alfaのボーラス投与までの平均所要時間は4.8±1.8時間であった。 リバーロキサバンを投与された患者は、andexanet alfaのボーラス投与後に、抗第Xa因子活性中央値がベースラインに比べ89%(95%信頼区間[CI]:58~94)減少し、アピキサバン投与例では93%(95%CI:87~94)低下した。これらの値は、点滴静注中の2時間にわたりほぼ一定に維持された。 点滴静注終了後4時間の時点で、リバーロキサバン投与例の抗第Xa因子活性は、ベースラインに比べ相対的に39%低く、アピキサバン投与例では30%低かった。 点滴静注終了後12時間における止血効果は、極めて良好(excellent)が31例、良好(good)が6例であった(79%、37/47例)。 30日のフォローアップ期間中に、18%(12/67例)に血栓イベントが発生した。このうち、心筋梗塞が1例、脳卒中が5例、深部静脈血栓症が7例、肺塞栓症が1例に認められた。15%(10/67例)が死亡し、死因は心血管イベントが6例、非心血管イベントは4例であった。 著者は、「進行中のコホート研究の初期結果において、andexanet alfaは抗第Xa因子活性を迅速に逆転させ、重篤な副作用とは関連がなかった」とまとめ、「血栓イベントのリスクが高い患者において、これらのイベントの頻度が予測を上回るかを評価するには、対照比較試験を要する」としている。

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プライマリケアでの高リスク処方を減らすには/BMJ

 プライマリケアでの高リスク処方減少に、どのような介入が有効か。英国・ダンディー大学のBruce Guthrie氏らは、教育的介入とフィードバックを行う介入、さらにフィードバックに行動変容を促す介入を加えた3つの方法を比較するクラスター無作為化試験を行った。結果、教育的介入では有意な減少効果はみられなかったが、フィードバックを加味した2つの介入は教育的介入との比較で12~14%減少し、高リスク処方減少に有効であることが認められたという。医療やアウトカムの質の向上や安全対策では、審査とフィードバックを行う介入が有効であることが示されているが、処方安全の観点ではエビデンスはほとんどなかった。また、これまでのフィードバック試験では、方法論的に限界があった。BMJ誌オンライン版2016年8月18日号掲載の報告。教育的介入 vs.フィードバックも実施 vs.さらに行動変容介入も 試験は、スコットランドの3つの衛生局区域からプライマリケア医262/278例(94%)が参加して行われた。被験者を3群に無作為に割り付け、第1(通常介入)群には、教育的介入として、患者特定の検索をサポートする教育的教材を電子メールで送付した(88例)。第2(フィードバック介入)群には、通常介入に加えて、高リスク処方の実施率が年4回、試験期間中計5回にわたって電子メールで送られた(87例)。第3(フィードバック+理論的行動変容介入)群には、前者2つの介入に加えてさらに、フィードバックの際に、行動変容要素が組み込まれた介入が行われた(87例)。 主要アウトカムは、患者レベルでみた、抗精神病薬、NSAIDs、抗血小板薬の高リスクに関する6つの処方(1:75歳以上の患者における経口抗精神病薬の処方割合、2:65歳以上で利尿薬とACE阻害薬またはARB治療を受ける患者における経口NSAIDの処方割合など)の複合であった。副次アウトカムは、6つの処方それぞれの評価であった。 主要解析は、15ヵ月時点で評価した、2つのフィードバック介入群の第1群と比較した高処方の割合であった。副次解析では、それぞれの介入による即時の変化傾向を調べた。フィードバックの有用性を確認 主要解析の結果、高リスク処方(主要アウトカム)は、通常介入群では6.0%(3,332/5万5,896例)から5.1%(2,845/5万5,872例)への減少であったが、フィードバック介入群では5.9%(3,341/5万6,194例)から4.6%(2,587/5万6,478例)への減少が認められた(通常介入と比較したオッズ比[OR]:0.88、95%信頼区間[CI]:0.80~0.96、p=0.007)。また、フィードバック+行動変容介入群では、6.2%(3,634/5万8,569例)から4.6%(2,686/5万8,582例)への減少が認められた(0.86、0.78~0.95、p=0.002)。 副次解析において、本試験の介入前に、高リスク処方が減少傾向にあったことが認められた。そのうえで各介入の介入前と介入後の影響を調べた結果、通常介入の教育的介入では、介入前にみられた減少傾向に影響を与えていないことが判明した。一方、フィードバックを求めた2つの介入では、介入前よりも介入後に、有意に急速な減少が認められた。 これらの結果を踏まえて著者は、「処方の安全性データのフィードバックは、高リスク処方減少に効果的である。介入は、電子カルテが一般的に使用されるようになっているかどうかで実施可能である」と述べている。

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医師や病院への金銭提供は薬剤の処方へ強く影響していた(解説:折笠 秀樹 氏)-587

 米国の医療保険制度は民間医療保険が主ではあるが、公的医療保険としてMedicare(65歳以上の高齢者および65歳未満の身体障害者向け)とMedicaid(低所得者向け)とがある。MedicareにはPart A~Dがあり、今回の研究対象であるPart Dは薬剤費に関する医療保険のことである。 米国内でMedicareの対象者は約5,400万人おり、約70%の3,700万人がPart Dを享受しているとされる。製薬企業は医師や病院への金銭提供があった場合、Medicare & Medicaidサービスセンター(CMS)へ報告する法的義務がある。日本でも数年前に日本製薬工業協会は透明性ガイドラインを策定し、製薬企業別に医師や病院への金銭提供データを公開している。しかしながら、米国のような法律ではないし、一元化していないのでデータ収集は労を要する。 金銭提供データはPart D受益者数当たりの年間金額、薬剤の処方は処方日数から市場シェア(%)を算出した。扱った医薬品は抗凝固薬と糖尿病薬であった。306の医療地域ごとに分析しており、金銭提供が多い地域では市場シェアも高い傾向がマップ上で示された。 市場シェアに強く影響していたのは専門医(非専門医に比べ)への金銭提供、講演料・コンサルタント料・謝金・委任経理金など(会議での弁当の提供などに比べ)であった。 講演料は講演への対価なので薬剤の処方へは影響しないという主張もあったが、今回の調査でそうではないことが明らかになった。講演料などの金銭提供については利益相反(COI)として報告する義務が現在でもあるが、弁当やグッズなどの提供は報告を求めていない。学会ランチョンで弁当が提供されることがあるが、そろそろ止めたほうがよいかもしれない。

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製薬企業から医師への報酬、処方に有意に影響/BMJ

 製薬企業から医師に支払われる、講演料やコンサルティング料などは、その地域で営業活動が展開されている経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の、処方日数の増加と結び付いていることが明らかにされた。同処方増は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合であったほうが、有意に大きかったという。米国・エール大学のWilliam Fleischman氏らが、米国306地域の病院医療圏(hospital referral region:HRR)を対象に断面調査を行った結果で、BMJ誌オンライン版2016年8月18日号で発表した。製薬企業から医師への報酬は処方に影響しないと考える医師が多いが、これまでその影響を調べた検討はほとんど行われていなかった。病院医療圏306ヵ所を対象に調査 研究グループは、2013~14年の米国高齢者向け公的医療保険メディケアパートDの処方記録(政府サイトで検索・入手可能)を基に、処方頻度の高い経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の2種について、製薬企業から医師への報酬と、各地域における処方との関連を分析した。対象地域は306の病院医療圏で、製薬企業から医師への報酬としては、講演料、コンサルティング料、謝礼金、贈答品、飲食費、旅費などを含んだ。調査対象は、対象期間中に地域における医師への報酬が100件以上報告されていた薬剤(marketed drugs)とした。 主要評価項目は、医師が処方した経口抗凝固薬や非インスリン糖尿病治療薬の割合または市場占有率だった。 306病院医療圏において、対象とした2種の処方薬は、医師62万3,886人により患者1,051万3,173人に4,594万9,454例処方されていた。報酬が1回増ごとに、糖尿病治療薬の処方日数107日増加 306病院医療圏において、経口抗凝固薬に関連して97万7,407件、総額6,102万6,140ドルの医師への報酬があった。非インスリン糖尿病治療薬では、178万7,884件、総額1億841万7,616ドルの報酬があった。 病院医療圏における調査対象薬の市場占有率は、経口抗凝固薬が21.6%、非インスリン糖尿病治療薬12.6%だった。 病院医療圏において、医師への報酬が1回(中央値13ドル、四分位範囲:10~18ドル)増えるごとに、経口抗凝固薬の処方日数は94日(95%信頼区間[CI]:76~112)、非インスリン糖尿病治療薬の処方日数は107日(同:89~125)、それぞれ増加が示された(いずれもp<0.001)。こうした増加は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合で有意に大きく、経口抗凝固薬の専門医 vs.非専門医の処方日数増は212 vs.100日、非インスリン糖尿病治療薬でも331 vs.114日だった(いずれもp<0.001)。 また、非インスリン糖尿病治療薬の処方日数の増加について、報酬が飲食費であった場合は110日増であったのに対し、講演料・コンサルティング料の場合は484日増と有意な差が認められた(p<0.001)。 なお、今回の検討について著者は、「医師への報酬と処方増との因果関係を示すものではなく、所見は一部の限られたものであると解釈するにとどめるべきであろう」としている。

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ESC 2016 注目の演題

2016年8月27~31日、イタリア・ローマでESC(欧州心臓病学会)2016が開催されます。ケアネットでは、聴講スケジュールを立てる際の参考にしていただけるよう注目演題に関するアンケートを実施しましたので、その結果を学会開催前にご紹介します。また、ローマのおすすめスポットについても、会員の方々から情報をお寄せいただきました。併せてご活用ください。ローマのおすすめスポットはこちらイタリア留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016注目の演題はこちら※演題名および発表順は、8月12日時点でESC 2016ウェブサイトに掲載されていたものです。当日までに発表順などが変更となる可能性がございますのでご注意ください。Clinical Trial Update coronary artery diseaseChairperson: Stephan ACHENBACH8/29(月)14:00 - 15:30、Forum - The Hub1.5-year outcomes after implantation of biodegradable polymer-coated biolimus-eluting stents versus durable polymer-coated sirolimus-eluting stents in unselected patients2.A life-time perspective on the effects of an early invasive compared with a non-invasive treatment strategy in patients with non-ST-elevation acute coronary syndrome - the FRISC II 15 years follow-up3.10-year follow-up of clinical outcomes in a randomized trial comparing routine invasive versus selective invasive management in patients with non ST-segment elevation acute coronary syndrome.4.Comparative Efficacy of Coronary Artery Bypass Surgery Versus Percutaneous Coronary Intervention in Diabetic Patients with Multivessel Coronary Artery Disease With or Without Renal Dysfunction5.The effect of CABG by age in patients with heart failure: 10 year follow data from the STICHES study6.ABSORB Japan: 2-year clinical results from a randomized trial evaluating the Absorb Bioresorbable Vascular Scaffold vs. metallic drug-eluting stent in de novo native coronary artery lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and imagingChairpersons: Fausto Jose PINTO, Michael HAUDE8/29(月)16:30-18:00、Rome - Main Auditorium1.CONSERVE - Direct catheterization versus selective catheterization guided by Coronary Computed Tomography in patients with stable suspected Coronary Artery Disease2.DOCTORS - Does Optical Coherence Tomography Optimise Results of Stenting?3.CE-MARC 2 - A randomized trial of 3 diagnostic strategies in patients with suspected coronary heart disease.4.PACIFIC trial - Head-to-head comparison of coronary CT angiography, myocardial perfusion SPECT, PET, and hybrid imaging for diagnosis of ischemic heart disease5.AMERICA - Systematic detection and management of multivascular involvement of atherothrombosis in coronary patients in comparison with treatment of coronary disease onlyQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するRegistries coronary artery disease, stroke and interventionChairperson: Elliott ANTMAN, Leonardo BOLOGNESE8/29(月)16:30-18:00、Sarajevo - Village 21.SWEDEHEART: Stent thrombosis and all-cause mortality in bivalirudin and heparin treated ST-elevation myocardial infarction patients undergoing primary percutaneous intervention2.Feasibility and safety of direct catheter-based thrombectomy in the treatment of acute ischemic stroke. Prospective registry PRAGUE-163.Quality Indicators for Acute Myocardial Infarction: rate of implementation and relation with 3 year survival. A study using data from the nationwide FAST-MI 2005 and FAST-MI 2010 registries4.Modulators of the response to CRT in international practice: the ADVANCE CRT registry5.ELECTRa (European Lead Extraction ConTRolled) Registry: a deeper snapshot on transvenous lead extraction in europe6.Two year prospective follow up of patients treated with dabigatran etexilate for stroke prevention in non-valvular atrial fibrillation: The GLORIA-AF RegistryQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大するHot Line coronary artery disease and stentingChairpersons: Steen Dalby KRISTENSEN, Andreas BAUMBACH8/30(火) 11:00-12:30、Rome - Main Auditorium1.NorStent - Comparison of long term effects of new generation DES vs contemporary BMS on mortality, morbidity, revascularization, and quality of life2.BASKET-SAVAGE - Drug-eluting vs. bare metal stents in saphenous vein grafts3.PRAGUE -18 - Randomized comparison of ticagrelor versus prasugrel in ST elevation myocardial infarction4.Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?5.BBK II trial - Culotte versus T-stenting for treatment of coronary bifurcation lesionsQ. 上記のうち、注目している演題は?(複数回答可、n=100)画像を拡大する欧州留学経験のある循環器内科医が選ぶESC 2016の注目演題ESC 2016開催に当たり、欧州留学経験のある循環器内科臨床医、大野 洋平氏が注目の演題を厳選して紹介する。ESCならではの循環器領域の多岐にわたる興味深い臨床研究が幾つもあり、会場でのdiscussionも含めて非常に楽しみである。まずは、ABSORB Japanの2年フォローアップの臨床結果に注目したい。ABSORB Japanは、薬剤溶出性生体吸収スキャフォールドAbsorbと第3世代薬剤溶出性ステントXienceの無作為化比較試験であり、昨年ロンドンで開催されたESC 2015のLate Breakingで1年フォローアップのデータが発表された。現在、スキャフォールド血栓症が話題であるが、本試験でのVery Late Scaffold Thrombosisが比較対象のXience 群と比べてどうだったのか、非常に気になるところである。血管内イメージング王国である日本では、IVUSあるいはOCTガイドによるPCIが日常臨床で行われている。しかし、OCTガイドPCIがはたして良好な治療転帰につながるかという明確な答えはまだ存在しない。今回のHot Lineでは、OCTはPCIの治療成績を最適化するか?という命題に答えを出すべく、フランスの多施設で実施されているDOCTORS(NCT01743274)試験の結果が発表される。非ST上昇型急性冠症候群の患者を「通常透視のみ使用群」と「OCTガイド群」に無作為に割り付け、DESあるいはBMSを留置するというもので、ステント留置後にFFRを評価する1次エンドポイントが特徴の試験である。半年後の有害心イベント(死亡、心筋梗塞の再発、ステント血栓症、標的血管血行再建)と併せて結果を確認したい。金属ステントだけでなく、BRSも入ってくるともっと面白いのだが。“Hot Line coronary artery disease and stenting”のセッションでは、“Can patients with acute coronary syndromes caused by plaque erosion be treated with anti-thrombotic therapy without stenting?”という演題に注目したい。近年、急性冠症候群を呈した患者の血管内イメージングにて、“plaque erosion”というplaque ruptureは来していないが病変に血栓を伴う症例が報告されるようになり、ステントを留置せず、抗血小板療法や抗凝固療法といった抗血栓療法のみで加療が可能ではないかという議論がある。こういった病変に対して金属ステントを留置することなく、抗血栓療法のみで安全に加療できるのであれば、非常に意義のあることだと考える。それを裏付ける結果が得られるかどうか、楽しみである。TAVI関連の臨床試験は今回あまり多くはないようだが、SENTINEL(NCT02214277)試験に注目したい。TAVIの合併症の1つに脳梗塞がある。幸い、後遺症を残すようないわゆるdisabling strokeに臨床で遭遇することはあまりないが、もちろん可能であれば予防したい。ちなみに、最新の自己拡張型生体弁であるMedtronic社のEvolut Rを使用した臨床試験(Evolut R CE Study)では、30日のdisabling strokeはなんと0%。より太いシステムであるEdwards Lifesciences社のSapien 3を使用した臨床試験(PARTNER II S3 Trial)でも0.9%と非常に良好な成績が報告されている。本試験で使用する脳梗塞予防デバイスはClaret Medical社のSentinelという脳保護システムである。右橈骨動脈よりアプローチして、右腕頭動脈および左総頸動脈にフィルターをかけるデバイスである。日本人オペレーターであれば、フィルターの留置に難渋することは少ないと思われるが、処置時間が短くなってきた現在のTAVIという治療の中では、やはり時間のかかる操作になる。筆者もイタリアで使用経験があるが、時間がかかるわりに効果はどうなのか、という印象がある。脳梗塞ハイリスクの一部の患者のみをターゲットにすれば有用である可能性はあるが、少なくとも全例に使用するデバイスではないと考える。どういった結果が出るのか、注目したい。

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