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南アフリカ、オミクロン株流行前にIgG抗体陽性者が7割以上/NEJM

 南アフリカ共和国ハウテン州では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.1.529(オミクロン株)が優勢の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大前に、潜在的なSARS-CoV-2血清陽性が州全体に広がっていたことが確認され、オミクロン株感染増加とCOVID-19による入院や死亡は関連していないことが示されたという。南アフリカ共和国・ウィットウォーターズランド大学のShabir A. Madhi氏らが、ハウテン州で実施した血清疫学調査の結果を報告した。オミクロン株は、2021年11月25日に世界で初めてハウテン州で確認され、オミクロン株が優勢となったCOVID-19第4波以前のハウテン州におけるSARS-CoV-2 IgGの血清陽性率に関するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2022年2月23日号掲載の報告。オミクロン株流行前の血清疫学調査を実施 研究グループは、2021年10月22日~12月9日の期間に、ハウテン州において血清疫学調査を実施した。対象世帯は、2020年11月~2021年1月に実施した前回の血清疫学調査時と同じ世帯とし、さらに、前回調査以降の転出や死亡等の可能性を考慮して前回と同じクラスターでのサンプリング対象世帯を10%増やした。 参加者から乾燥血液スポットを採取し、SARS-CoV-2スパイクタンパクとヌクレオカプシドタンパクに対するIgGについて検査した。 また、研究グループは、DATCOV(COVID-19による入院に関する積極的サーベイランスシステム)を含む南アフリカ共和国国立感染症研究所のデータベース等を用い、パンデミック開始から2022年1月12日までの患者数、入院、死亡、超過死亡を調査し、ハウテン州におけるCOVID-19の疫学的傾向について評価した。ワクチン非接種者でも68.4%がSARS-CoV-2血清陽性 検体を採取し分析された参加者は7,010例で、このうちCOVID-19のワクチン接種を受けていたのは1,319例(18.8%)であった。 SARS-CoV-2 IgGの血清陽性率は、全体で73.1%(95%信頼区間[CI]:72.0~74.1)であり、12歳未満の56.2%(52.6~59.7)から50歳以上の79.7%(77.6~81.5)の範囲にわたっていた。また、女性のほうが男性より(76.9% vs.67.9%)、ワクチン接種者のほうが非接種者より(93.1% vs.68.4%)、血清陽性率が高かった。 オミクロン株優勢のCOVID-19第4波では、第1~3波と比較して1日の患者数(人口10万人当たり)の増加が急激で、1ヵ月でピークに達した後、急速に減少していた。第4波の患者数(22万6,932例)は、第2波(18万2,564例)より多く、第3波(51万1,638例)より少ないが、第4波におけるCOVID-19による入院、死亡および超過死亡数は第3波以前より一貫して少なく、それぞれのピーク数も低かった。 すべての入院、死亡および超過死亡のうちCOVID-19が占める割合は、デルタ株が優勢の第3波では43.6%、49.3%および52.7%であったが、オミクロン株優勢の第4波ではそれぞれ11.2%、3.9%および3.3%だった。

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第98回 ワクチン接種率35%の国への侵攻、世界のコロナ感染状況も暗転か

年明け以降、緊迫度を高めていたウクライナ情勢だったが、2月24日、ついにロシアはウクライナへの全面的な軍事侵略を開始した。一応、私自身は国際紛争も取材範囲としている。たぶんコロナ禍でなければ、少なくとも隣国ポーランドあたりまでは向かっていたと思う。現在、ロシアはウクライナの東西南北のうち、国境を接していない西部以外の3方向から侵攻している。首都キーウ(ウクライナ語表記。キエフはロシア語読み)に近い真北の国境はロシアではなくベラルーシと接している。しかし、ベラルーシはヨーロッパ最後の独裁者と評され、28年にわたって国家元首に君臨するアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が近年対ロ接近路線を強めている。今回のロシア侵攻直前もベラルーシ・ウクライナ国境周辺でロシアと合同軍事演習を行っており、そのロシア軍がそのまま南下した格好だ。ロシア側が最初に持ち掛け、2月28日にベラルーシのホメリで開催された第1回停戦交渉にウクライナ側が当初応じなかったのも、ロシア寄りのベラルーシ領内での交渉は中立的に行われないと考えたからに他ならない。それでも最終的にウクライナ側が応じたのは「停戦交渉を拒否している」という理屈でロシアが攻撃継続の正当性を主張する可能性を案じたためだろう。そんなウクライナ、ロシアに関して危惧すべきことがある。まさにいま世界中で流行している新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大だ。まず、ウクライナは2月中旬にピークとなる3万8,000人超の感染者が発生。その後はピークアウトしているものの、今回のロシア軍の侵攻直前の2月21日でも1万3,000人超の感染者が報告されていた。ウクライナの総人口は4,370万人超なので、人口換算では日本で1日の新規感染者報告数が約4万人になっているのと同じことになる。現時点の日本の感染状況から見ればマシだが、ウクライナの国力や周辺環境から考えれば、実は深刻な数字だ。まず、現在のウクライナの新型コロナワクチン接種完了率は、Our World in Dataによるとわずか35.02%。全世界平均の55.69%からすれば惨憺たる数字だ。しかも、戦時下で新型コロナワクチンの接種を進めていられる環境ではなくなったと断言してよい。ただ、懸念すべきはそもそもウクライナでは過去に麻疹ワクチン接種者での接種後死亡などが報じられた影響で国民のワクチン不信が根強いと言われていることだ。実際、世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)の合同報告では2010年代半ばに麻疹をはじめとする各種ワクチンの接種率が50%を下回る事態となっている。そして実際、2018~2019年にかけては麻疹、2019年には風疹の大流行が起きている。しかも、医療インフラは極めてアンバランスな状況だ。やや古い数字になるが、2014年の世界銀行の公表データでは人口1,000人当たりの医師数は2.9人、病床数は7.46床。医師数でみると、日本よりは多いが経済開発協力機構(OECD)の加盟国などでの数字で見ると、どちらかというと数は少ないほうになる。にもかかわらず病床数は多い。ざっくりした見方をすれば、医師がてんてこ舞いで病床を回しているか、事実上の病床の相当数が実際に機能していないかのいずれかになる。国際通貨基金(IMF)が公表している1人当たりの国内総生産で、ウクライナが世界195カ国・地域中第126位の3,424.77ドルでヨーロッパ最貧国という窮状にあることを考えれば、後者の可能性のほうがやや高いと考えられる。そして現在の戦闘によりウクライナの非常事態省は、すでに「4,000人を超える民間人の死者発生」と発表している。戦傷者の実数は不明だが、おそらく相当数発生していると思われる。当然ながら現下の情勢では医療機関へのアクセスそのものが困難な地域も発生していることは想像に難くなく、アクセスが確保されている医療機関でも受け入れは戦傷者が優先されるはず。もはや新型コロナに気を払っている余裕はないだろうし、PCR検査なども十分に実施しているとは言い難いだろう。そして当然、病床も戦傷者から埋まっていくはずであり、地域や医療機関によっては新型コロナで重症化、あるいは重症化しそうな人が入院できない可能性もある。一方、国内では各所で国内避難民が発生し、地下などのシェルターで密になっているほか、安全に退避できる可能性がある南西部のポーランド、ルーマニア、スロバキア、ハンガリー、モルドバには大量の難民が流入している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、3月1日現在、これらの国に87万人超の難民が流入しているという。これに応じて各国は難民に関して新型コロナに関連した検疫措置を免除している。人道的な観点からやむを得ない措置だろう。これら難民が流入している各国の新型コロナの感染者発生状況は、いずれもピークアウトはしているものの、1日当たりの新規感染者報告数を日本の人口に換算すると、ポーランドが約3万人、ルーマニアが約2万7,000人、ハンガリーが約7万人、スロバキアが約19万人、モルドバが約12万人という規模になる。国によりかなりの差はあるが、スロバキア、モルドバは日本から考えれば尋常とは言えない感染状況である。各国ともそれでも覚悟の上で難民を受け入れているのだろう。そしてこれらの国でのワクチン接種完了率はポーランドが58.71%、ルーマニアが27.91%、ハンガリーが64.04%、スロバキアが50.39%、モルドバが13.14%とやはり心もとない。一方、ウクライナに軍事侵略しているロシアは日本より2,000万人ほど人口が多い中で、最新の新規感染者報告数は13万人超、ワクチン接種完了率は49.07%。どちらも褒められる数字ではない。また、報道を見ればわかるが、隣国に入国してきた難民の多くはマスクを着用していない。それどころか報じられているウクライナ国内の病院での戦傷者の治療場面では医療従事者ですらマスクを着用していない。もっともこの点はある種やむを得ないとも言える。紛争が起きる地域の多くはもともとが貧しいことがほとんどで、さらに戦闘の発生で物流も不安定になるため、十分な医療資器材がないなかで治療を行わなければならないことは日常的だ。実際、私は紛争地の医療機関での戦傷者治療場面に取材のため何度か立ち会ったことがあるが、医療従事者は手洗いする時間すらなく創傷対応に当たっていた。やむを得ないこととはいえ、今回のロシアのウクライナ軍事侵略は両国間での死傷者発生とともに、両国とその周辺国での感染拡大という極めて最悪の事態をもたらすかもしれない。近年まれにみる大義ない軍事侵略に対して、日本政府が各国と協調してロシアに強い制裁措置を行うのは、必要かつ当然のことである。また、岸田首相自ら記者会見で周辺各国への人道支援に1億ドルを提供することを明らかにした。その中にこの新型コロナ対策も念頭に置いて欲しいと思うのは欲張りだろうか? 念のために言っておくが、廃棄直前のアベノマスクをこれ幸いに支援物資に加えるようなお恥ずかしい真似はしないでもらいたい。

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新型コロナ既感染者、ワクチン接種1回で再感染を予防/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した患者は、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)を少なくとも1回接種することにより再感染のリスクが有意に低下することを、イスラエル・Clalit Health ServicesのAriel Hammerman氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析し、報告した。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染リスクは、COVID-19から回復した患者では著明に減少するが、獲得免疫の持続期間は不明である。現在のガイドラインでは回復した患者へのワクチン接種が推奨されているが、このようなケースでのワクチンの有効性に関するデータは限られていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。ワクチン未接種・感染者約15万人、その後のワクチン接種有無での再感染を比較 研究グループは、イスラエル国民の約52%が加入している同国最大の医療保険組織「Clalit Health Services」のデータを用い、ワクチン接種前にSARS-CoV-2に初感染し回復した(初感染から試験開始日の2021年3月1日時点で100日以上が経過していること)、16~110歳の会員を対象として、2021年3月1日~11月26日の間にBNT162b2 ワクチン接種を受けた人(接種群)と受けなかった人(非接種群)でのSARS-CoV-2再感染について検討した。 主要評価項目は、接種群と非接種群の再感染率の比較、副次評価項目はワクチン1回接種と2回接種の比較とした。再感染は、初感染から少なくとも100日後にPCR検査陽性と定義。時間依存共変量を用いるCox比例ハザード回帰モデルにより社会人口統計学的要因と併存疾患を補正し、ワクチン接種と再感染の関連を推定した。 解析対象は、適格基準を満たした14万9,032例であった。ワクチン有効性、16~64歳で82%、65歳以上で60%、1回接種と2回接種で差はなし 270日間の試験期間において、計14万9,032例中、接種群は8万3,356例(56%)、非接種群は6万5,676例であった。 再感染は、接種群で354例(10万人当たり2.46例/日)、非接種群で2,168例(10万人当たり10.21例/日)に発生。ワクチンの有効性は、16~64歳では82%(95%信頼区間[CI]:80~84)、65歳以上では60%(36~76)と推定された。 接種群8万3,356例のうち、1回接種は6万7,560例(81.0%)、2回接種は1万5,251例(18.3%)、3回接種が545例(0.7%)であった。2回接種に対する1回接種の再感染の補正後ハザード比は0.98(95%CI:0.64~1.50)であり、1回接種と2回接種でワクチンの有効性に有意差は認められなかった。

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第98回 増える病院へのサイバー攻撃、安全対策が急がれるも大幅赤字の現状

ウクライナ情勢を巡るロシアへの経済制裁に対して、ロシアが報復として日本企業などにサイバー攻撃を仕掛けてくる恐れがあるため、政府は2月23日、企業や金融機関などにサイバーセキュリティ対策の強化を呼び掛けた。ウクライナでは1月以降、政府機関や銀行などがサイバー攻撃の標的になり、ロシア側の関与が指摘されていた。ただ、医療機関の多くは経営状況の厳しさから、サイバーセキュリティ対策の費用を確保することが難しく、十分な対策が行えない。医療は国の重要なインフラストラクチャーなので、サイバーセキュリティ対策の費用については国の支援が必要だ、との声が病院界から上がっている。日本では昨年11月以降、マルウェア(悪意のあるプログラム)の「Emotet(エモテット)」の感染が拡大している。攻撃者はWordやExcelファイルをメールに添付して大量に送付する「ばらまき攻撃」を仕掛けてくる。ファイルを開くと感染し、メールアカウントやパスワード、アドレス帳などの情報を抜き取られる。攻撃者は抜き取った情報を基にほかのユーザーへ感染メールを送信するため、取引先や顧客が巻き込まれる。最悪の場合、感染元は損害賠償請求や取引停止を受けたり、ブランドイメージが失墜したりする。医療機関では身代金要求型ウイルスの被害が増加中コロナ禍で、とりわけサイバー攻撃の被害を受けているのが医療サプライチェーンだ、とサイバーセキュリティの専門家は指摘する。攻撃者の狙いの1つは、コロナワクチンや治療薬などの研究成果を盗むスパイ目的の攻撃。2つ目は、「ランサムウェア」のような身代金要求型ウイルスを使った金銭目的の業務妨害だ。ランサムウェアは、感染したパソコンをロックしたり、ファイルを暗号化したりすることで使用不能にした後、元に戻すことと引き換えに「身代金」を要求する不正プログラム。医療機関は身代金の支払いに応じやすい標的と見られており、日本でも2018年ごろから、被害報告が増加しており、コンピュータウイルスによる個人情報の流出とは比較にならない甚大な被害が生じている。4月から義務化されるサイバーセキュリティ対策直近では昨年10月末、徳島県西部のつるぎ町立半田病院がランサムウェア攻撃を受け、電子カルテなどの医療データがすべて暗号化されて利用できなくなった。新規患者や救急患者の受け入れを停止する事態に陥り、地域医療にも大きな影響を及ぼした。昨年末にシステムが全面復旧し、今年1月4日にすべての診療科で外来診療を再開。サイバー攻撃事件からの復旧に約2ヵ月も要した。このため、国はランサムウェア対策などを盛り込んだ「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の改訂作業を進めている。医療を含む14重点分野は、4月からサイバーセキュリティ対策が義務化されることになる。医療現場はこのような事態をどう捉えているのか。四病院団体協議会(四病協)は2月16日の記者会見で、病院のサイバーセキュリティ対策に必要となる金額の試算を公表。500床以上の病院の場合、不足額は最大で1億3,000万円程度に上ると見込まれ、対策費が大幅に不足している状況が明らかになった。四病協の試算で病床規模別の不足額が明確に日本病院会の相澤 孝夫会長は「収支差益は診療報酬改定に伴い変動・低減していく病院にとって、サイバーセキュリティへの投資を『自助』で行い続けることは困難」として、「公助」、つまり国による公的補助金支給が不可欠との考えを示した。ほかの産業では、収益に占めるIT予算比率は平均約2%で、そのIT予算のうちセキュリティ関連費用は15%以上が計上されているという日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告」などを四病協は活用。これを第23回医療経済実態調査で得られた2020年度病床規模別損益に当てはめて、病院のセキュリティ関連費用を試算した。各病院が実際に充当しているセキュリティ費用の平均額の差を算出したところ、他産業と同様にIT予算の15%をセキュリティ対策に充てる場合、病床規模が100~199床で約400万円、200~299床で約1,100万円、300~499床で約2,100万円、500床以上で約5,600万円が不足しているという結果が出た。また、他産業と比べて病院の対策が遅れていることを考慮して、IT予算の30%をセキュリティ対策に充てる場合、不足額は100~199床で約1,200万円、200~299床で約2,600万円、300~499床で約5,000万円、500床以上で約1億3,000万円に膨らむ。はじめの数年は十分水準(IT予算の30%)の公的補助金の支給を受け、セキュリティ水準を底上げできたら、必要最低水準(IT予算の15%)の支給に変更していく段階的なアプローチを想定している。セキュリティ対策が不十分な中で医療のDX化を進めるリスク四病協はサイバーセキュリティ対策の委員会を設置、国の2022年度補正予算などでの支援費用の計上を目指して具体的な要望内容をまとめる方針だ。多くの病院では、コロナ禍以前からサイバーセキュリティ対策が遅れていたのに、コロナの収束が見えない中、さらに対策が取りにくくなっているのが実情だろう。それにもかかわらず、国は電子処方箋の導入など医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に前のめりになっている。しかし、医療DX以前にまず必要なのは、サイバーセキュリティ対策の公的補助なのではないだろうか。

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がん患者でのブースター接種後のオミクロン株への中和抗体、固形・血液腫瘍別/Lancet

 英国のがん患者の前向きコホートにおいて、新型コロナワクチン3回目接種前後のオミクロン株への中和抗体価を調べたところ、多くの患者が接種前には検出不可能だったが、接種後に検出可能な患者が大幅に増加したことが示された。そのうち固形腫瘍患者では3回目接種で90%の患者が抗体価の検出が可能だったが、血液腫瘍患者では検出可能が56%でB細胞除去療法を受けた症例や進行例の多くは検出不可能だったという。英国・The Francis Crick InstituteのAnnika Fendler氏らが、Lancet誌オンライン版2022年1月25日号のCORRESPONDENCEに報告した。 本研究の対象は、がん患者の前向き縦断コホートであるCAPTURE研究の参加者199例(固形腫瘍115例、血液腫瘍84例)。ファイザーのBNT162b2(33%)、アストラゼネカのChAdOx1(67%)のいずれかを2回接種後、全員が3回目としてBNT162b2を接種した。199例のうち179例(固形腫瘍115例中100例、血液腫瘍84例中79例)は3回目接種前のサンプルと合わせて評価した。2回目と3回目接種の間隔の中央値は176日(四分位範囲[IQR]:166~188)だった。199例中23例は2回目接種前に新型コロナ感染歴があったがオミクロン株の感染はなかった。デルタ株およびオミクロン株に対する中和抗体価は、3回目接種の11日前(IQR:0〜78)および23日後(19〜29)の中央値で評価した。中和抗体の評価は、抗体価の検出限界値の40を境界に検出不可能もしくは検出可能とした。 主な結果は以下のとおり。・オミクロン株への中和抗体価が検出可能な患者の割合は、固形腫瘍患者では3回目接種前37%から接種後90%、血液腫瘍患者では3回目接種前19%から接種後56%と増加した。・多変量ロジスティック回帰分析によると、3回目接種後のオミクロン株への中和抗体価の検出可能な患者は、固形腫瘍と血液腫瘍で差がみられた(血液腫瘍に対する固形腫瘍のオッズ比[OR]:7.51、95%CI:4.05~14.63、p<0.001)が、年齢、性別、1回目・2回目のワクチンの種類)には差がみられなかった。・血液腫瘍患者での多変量ロジスティック回帰分析では、12ヵ月以内の抗CD20モノクローナル抗体治療、および3回目接種から28日以内のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬治療が、オミクロン株への中和抗体価の検出不可能と有意に関連していた(OR:0.04、95%CI:0.003~0.21、p=0.0074)。・2回目接種後にデルタ株に感染した4例について評価したところ、感染前はオミクロン株やデルタ株への中和抗体価が検出不可能だったが、デルタ株感染後にオミクロン株およびデルタ株への中和抗体価が検出可能となったことから、2回接種とデルタ株感染でオミクロン株への免疫応答が誘導されたことが示唆された。

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5~11歳の新型コロナ重症度、インフルやRSウイルスと比較すると?

 新型コロナワクチン接種の対象が5~11歳に拡大されたが、この年代の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度は、同年代のインフルエンザやRSウイルス感染症と比較すると高いのか、低いのか。米国医療研究品質局(AHRQ)のWilliam Encinosa氏らは、米国の11州での入院患者データを用いて分析した横断研究の結果を、JAMA Pediatrics誌オンライン版2022年2月21日号リサーチレターに報告した。 米国で5~11歳に対するファイザー社の新型コロナワクチンの緊急使用許可が出された2021年10月までに、この年齢層の小児でSARS-CoV-2感染と診断されたのは180万人、死亡者は143人で、入院は8,000人以上だった。本研究では米国内の11州1,333病院における、2021年第1四半期(1~3月)のCOVID-19、COVID-19による小児多系統炎症性症候群(MIS-C)、インフルエンザ、RSウイルス感染症による入院患者データを調査。COVID-19流行期には感染者が少なかったため、インフルエンザとRSウイルスについては10年間の平均的な感染者数であった2017年第1四半期のデータも用いられた。 心臓血管系、呼吸器系、神経系、血液系、腎臓系、胃腸系、筋骨格系の46の合併症のほか、入院日数や治療に要した費用についても調査された。両側検定におけるp値は、Stata/MP version 17(StataCorp)を使用して線形回帰分析から求められ、p値<0.05で有意と設定された。 主な結果は以下の通り。・計2,269例(平均[SD]年齢:7.6[2.0]歳、男児:56.0%)のデータが分析された。・343例のCOVID-19(MIS-Cなし)、379例のMIS-C、1,134例のインフルエンザ、413例のRSウイルス感染症による入院があり、10万人当たりの入院はそれぞれ5.1例、5.7例、17.0例、6.2例であった。・すべての感染症で入院中の死亡は稀であった。・COVID-19(MIS-Cなし)では神経系合併症が多く(9.6%[95%CI:6.5~12.8%]、p=0.03)、MIS-Cでは血液系(55.4%[50.4~60.4%]、p=0.001)、胃腸系(47.2%[42.2~52.3%]、p=0.001)、心血管系(29.8%[25.2~34.4%]、p=0.001)、および腎臓系(21.9%[17.7~26.1%]、p=0.001)の合併症が多くみられた。・RSウイルス感染症では呼吸器系合併症が多くみられた(75.8%[71.6~79.9%]、p=0.001)。・インフルエンザでは筋骨格系合併症が多くみられた(9.5%[7.8~11.2%]、p=0.001)。・MIS-Cでは、入院期間中央値(IQR)が最も長く(5[3~7]日)、費用の中央値は23,585ドルで、インフルエンザの場合(入院期間中央値:2[1~4]日、費用中央値:5,200ドル)と比べて長期かつ高額だった。・COVID-19感染とMIS-Cを合わせた総入院日数は,入院率が低い(10万人当たり10.8人 vs.17.0人)にもかかわらず,インフルエンザとほぼ同じ(4,384日vs.4,202日、p=0.65)であった。 著者らは、5~11歳の小児において、COVID-19入院1件に対してMIS-C入院1件であり、この知見は、MIS-Cがこれまで考えられていたほどCOVID-19の後遺症として稀ではない可能性を示唆すると考察。COVID-19の他の長期合併症も懸念され、MIS-Cの重症度はインフルエンザより低いものの、COVID-19感染とMIS-Cの複合による経済的・健康的負担は、過去のインフルエンザ流行時と同程度に高いとまとめている。

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オミクロン株臨床像の更新ほか、診療の手引き7.0版/厚労省

 2月28日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第7.0版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。 今版の主な改訂点は以下の通り。診療の手引き7.0版の主な改訂点【1 病原体・疫学】・変異株について更新・国内と海外の発生状況を更新【2 臨床像】・(特にオミクロン株の知見に関して)臨床像を更新・重症化リスク因子を更新・ワクチンによる重症化予防効果を追加・国内小児例の臨床的特徴・重症度、小児における家庭内感染率を更新・小児多系統炎症性症候群(MISC)について更新 経過、小児重症COVID19 registryの報告を追加・更新・妊婦例の特徴について更新 日本産婦人科学会の調査を更新、新たな知見およびCOVIREGI JPの結果を追加【3 症例定義・診断・届出】・症例定義を更新、疑似症に関してを追記【4 重症度分類とマネジメント】・重症度別マネジメントのまとめにニルマトレビル/リトナビルを追加・重症につき 国内における体外式膜型人工肺(ECMO)データを更新 透析患者のデータを更新・新たなレベル分類と医療逼迫時の対応を追加【5 薬物療法】・抗ウイルス薬と中和抗体薬の併用について十分な知見がなく現時点で推奨されないことを記載・モルヌピラビルの脱カプセル・(簡易)懸濁投与に関して記載・ニルマトレビル/リトナビルについて追加 研究結果を追加:重症化リスクのある非入院患者において、28日目までの入院または死亡が低下(0.7% vs.6.5%) 投与方法・投与時の注意点・入手方法について記載・軽症・中等症患者を対象とした治療薬の主な臨床試験を更新・妊婦に対する薬物療法を更新(ニルマトレビル/リトナビルを追加)・国内で開発中の薬剤を整理 PF07321332は削除(ニルマトレビル/リトナビルが認可されたため)【6 院内感染対策】・医療従事者が濃厚接触者となった場合の考え方を更新・妊婦および新生児への対応を更新【7 退院基準・解除基準】・オミクロン株の無症状患者の療養解除基準を追加・早期退院の目安を追加

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第98回 まだまだ終わらない乳腺外科医わいせつ裁判、最高裁が高裁判決を破棄し差し戻し

欧米諸国で感染防止対策を緩める動き続々こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。気温も上がり、急に春めいて来ました。ヨーロッパでは大変なことが起こっていますが、新型コロナウイルス自体は欧米諸国を中心に収束に向かい始めたようです。2月22日付の日本経済新聞によれば、英国のジョンソン首相は21日、人口の大半を占めるイングランドで感染者の隔離を不要とし、法的な規制を全廃するという新型コロナウイルスとの共生策を発表したとのことです。具体的には、2月24日に感染者の隔離の法的な義務がなくなりました。定期的な接触者の追跡を終了するほか、感染者と接触した場合でも7日連続の検査や隔離をする必要もなくなりました。ヨーロッパ各国では規制撤廃の動きが相次いでおり、例えばスウェーデンでは2月9日から国内での規制がほぼ全廃されているとのことです。同じく2月24日付の日本経済新聞は米国の状況も伝えています。2月22日の新規感染者数は1月中旬のピーク時の10分の1になっており、ワクチンの追加接種やマスク着用の義務づけを取り下げるなど、地方政府で感染防止対策を緩める動きが加速していると報じています。さらに2月27日付の朝日新聞は「米疾病対策センター(CDC)は25日、新型コロナ対策のマスク着用の指針を大幅に緩和した」と報じています。CDCは各地域での感染状況を3段階で評価しており、そのうち低レベル、中間レベルにおいて屋内でのマスク着用が求められなくなったとのことです。対象は米国人口の約7割に上るそうです。翻って日本では、病床使用率の高止まりを背景に、一部都府県でまん延防止等重点措置のさらなる延長が検討されています。思い切った緩和、解除に向かえない理由は多々あると思いますが、3回目ワクチン接種の遅れが一つの大きな原因であることは確かでしょう。塩野義製薬に国産の経口抗ウイルス薬の製造販売承認申請を急がせ、条件付き早期承認制度で承認しようというのも、ワクチン接種の遅れのミスを少しでも挽回したい岸田政権のポーズにしか見えません。ポスト・コロナを見据えてのスピード感や決断力の鈍さは、菅政権から岸田政権に代わってもそうは変わっていないな、と感じる今日このごろです。さて、今回は「第82回 わいせつ裁判で逆転有罪の医師、来年上告審弁論へ。性犯罪厳罰化の中、対応模索の医師・医療機関」でも取り上げた、準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、一審無罪、二審有罪となった男性医師に対する上告審判決公判を取り上げます。2月18日、同公判が最高裁第二小法廷で開かれ、懲役2年を命じた二審・東京高裁判決を破棄し、同高裁に差し戻す判決が出ました。有罪判決の二審では「術後せん妄」と「DNA鑑定」が主な争点この事件の経緯は第82回で詳しく書きましたが、簡単におさらいしておきます。事件は2016年5月に起きました。乳腺外科が専門の男性医師(46)は、働いていた東京都足立区の医療法人財団健和会・柳原病院で、女性の右胸から乳腺腫瘍を摘出する手術を実施。術後に、病室で女性にわいせつな行為をしたとして起訴されました。男性は同年8月に逮捕、105日間勾留されました。起訴事実は、手術後で抗拒不能状態にあり、ベッドに横たわる女性患者に対して、診察の一環と誤信させ、着衣をめくり左乳房を露出させた上で、その左乳首を舐めるなどのわいせつ行為をした、というものです。公判では全身麻酔手術を終えた女性の被害証言の信用性、女性の術後せん妄の有無および程度、女性の体の付着物から被告のDNA型が検出されたとする鑑定結果の信用性が争われました。2019年2月20日の一審・東京地裁判決は、被害を受けたと証言する女性が「(麻酔の影響で)性的幻想を体験していた可能性がある」と指摘。付着物の鑑定結果については「会話時の唾液の飛沫や触診で付着した可能性が排斥できない」として無罪(求刑懲役3年)と結論づけました。これに対し、2020年7月13日の二審・東京高裁判決は真逆の判決となりました。二審では「術後せん妄」が主な争点となり、弁護側、検察側双方が推薦する精神科医2人が証言。結果、高裁判決は女性の証言について、「具体的かつ詳細であり、特に、わいせつ被害を受けて不快感、屈辱感を感じる一方で、医師が患者に対してそのようなことをするはずがないとも思って、気持ちが揺れ動く様子を極めて生々しく述べている。上司に送ったLINEのメッセージの内容とも符合する。A(被害者)の証言は、本件犯行の直接証拠として強い証明力を有する」と判断。付着物を巡る一審の判断についても、手術室での位置関係などの実験結果などから不合理だったとして、一審判決を破棄し、「被害者の精神的、肉体的苦痛は大きい」として逆転有罪、懲役2年を言い渡しました。この2審判決の逆転判決は、医療関係者に大きな衝撃を与え、日本医師会、日本医学会は「控訴審判決は学術的にも問題が多い」と強く非難しました。男性医師は上告、最高裁は2022年1月21日に上告審弁論を開き、2月18日の判決に至りました。最高裁、二審の「せん妄および幻覚があった」ことを否定した判断に疑義今回の判決では、問題となった「被害女性のせん妄および幻覚の有無」について、「検察側専門家の見解は医学的に一般的なものでないことが相当程度うかがわれるにもかかわらず、その見解に基づいて、せん妄に伴う幻覚を体験した可能性を否定した原判決の判断は、そのような可能性があり得るものとした第一審判決の判断の不合理性を適切に指摘しているものとは言えない」とし、二審の「せん妄に伴う幻覚を体験した可能性を否定」した判断に疑義を呈しました。さらに「DNA鑑定の妥当性」については、「高裁において検察官、弁護人から取り調べ請求があったにもかかわらず、高裁は全て却下し、取り調べを行わなかったため、疑問点が解消し尽くされておらず、検査結果の信頼性にはなお不明確な部分が残っていると言わざるを得ない」としました。その上で、「A(患者)の証言の信用性判断において重要となる本件定量検査の結果の信頼性については、これを肯定する方向に働く事情も存在するものの、なお未だ明確でない部分があり、それにもかかわらず、この点について審理を尽くすことなく、Aの証言に本件アミラーゼ鑑定及び本件定量検査の結果等の証拠を総合すれば被告人が公訴事実のとおりのわいせつ行為をしたと認められるとした原判決には、審理不尽の違法があり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するというべきである」とし、東京高裁判決の破棄と差し戻しを裁判官4人全員一致で決定したのです(判決全文は裁判所ウェブサイトで公開されています1))。「一審無罪判決を是認し、検察官の控訴を棄却すべきであった」と弁護団最高裁判決を受け、男性医師の弁護団は2月18日に会見を開きました。弁護士ドットコムニュース等の報道によれば、主任弁護人の高野 隆氏は「最低限、冤罪が確定することを防げた。このことは素直に弁護団一同喜びたい」としつつ、破棄・差し戻しについて「ありえないと考えていた。あまりに微視的で抽象的な議論しかできないようなところを審理させようとしている。なぜこうなったのか理解できない」と疑問を呈したとのことです。この日、弁護団は声明も発表しました。その中で弁護団は「今日の判決は、東京高裁判決の逆転有罪の最大の根拠となった医師(注:検察側証人)の証言が信頼できないことを明確に指摘した。さらに高裁判決が有罪の根拠にしたDNA定量検査の検査結果の信頼性が不十分であることも指摘している。そうであるならば、検察官が有罪の立証に失敗したことはすでに明白であるから、最高裁は一審無罪判決を是認し、検察官の控訴を棄却すべきであった」と主張しています。なお、診療のため出廷できなかった男性医師について高野氏は、「電話で話したところでは、意気消沈している様子ではなく、無罪に向けてさらに裁判を戦うという意欲は十分にある。ご自身は前向きにとらえ、冤罪を晴らすための前進であるという理解をしている」と話したとのことです。DNA抽出液等を警視庁科学捜査研究所はすでに廃棄裁判の舞台は再び東京高裁に戻ることになります。二審における「せん妄に伴う幻覚を体験した可能性を否定」した判断は最高裁でほぼ覆ったわけで、男性医師の無罪がさらに近づいた、とは言えるでしょう。とはいえ、最高裁が「審理が尽くされていない」と指摘したDNA鑑定については、先行き不透明です。DNA抽出液自体や鑑定に用いた基礎データなどを警視庁科学捜査研究所はすでに廃棄してしまっているからです。最高裁が「無罪」判決ではなく「破棄・差し戻し」にせざるを得なかったのは、「DNA鑑定の妥当性」を判断する材料がなかったためと考えられますが、そもそも鑑定に使った試料等がないのでは、再審に向けて証拠を揃えようにもできません。事件が起きてまもなく6年、長期化の様相も呈してきました。差し戻し審が今後どのような展開をたどるのか、注視していきたいと思います。参考1)裁判例結果詳細

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オミクロン株、既感染者における再感染予防効果は?/NEJM

 SARS-CoV-2の既感染は、これまでアルファ株、ベータ株、デルタ株に対し、高い再感染予防効果を示すことがわかっているが、オミクロン株は従来株よりも免疫を回避することも明らかになっている。既感染による予防の有効性を変異株別に推定した研究が、NEJM誌オンライン版2022年2月9日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 カタールで行われたこのケースコントロール研究は、全国のSARS-CoV-2データベースからCOVID-19の検査結果、ワクチン接種、臨床感染データ、関連する人口動態に関するデータを抽出した。このデータベースにはこれまでカタールで行われた全PCR検査結果、ワクチン接種、入院および死亡例が含まれた。 再感染予防効果は、既感染者の未感染者と比較した時の感染感受性の減少率と定義した。ワクチン接種有無の調整を含む1次分析と、ワクチン接種者を除外した1次分析を行った。 研究サンプル全体の年齢中央値は31~35歳、既感染から新たなPCR検査までの中央値はアルファ株279(四分位範囲[IQR]:194〜313)日、ベータ株285(213〜314)日、デルタ株254(159〜376)日、オミクロン株314(268〜487)日であった。 再感染予防における既感染の有効性は、ワクチン接種の有無の調整後でアルファ株90.2(95%信頼区間[CI]:60.0~97.6)%、ベータ株85.7(75.8~91.7)%、デルタ株92.0(87.9~94.7)%、オミクロン株56.0(50.6~60.9)%と推定された。 再感染した既感染患者のうち、重症へ進行したのはアルファ株1例、ベータ株2例、デルタ株0例、オミクロン株2例だった。再感染が重篤に進行または死亡した例はなかった。既感染の重症化防止の有効性は、アルファ株69.4(-143.6~96.2)%、ベータ株88.0(50.7~97.1)%、デルタ株100(43.3~100)%、オミクロン株87.8(47.5~97.1)%と推測された。 全体として、既感染のアルファ、ベータ、デルタ株への再感染防止効果は強固であり(約90%)、これは以前の推定を裏付ける所見であった。オミクロン株ではこの効果は落ちたものの、既感染による重症化予防効果は変異株に関係なく強固であった。

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コロナワクチンの効果低下、変異だけが理由ではない/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種した成人では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタ変異株(B.1.617.2)が優勢となった時期には、ワクチンの感染防御効果が低下しており、変異株別の感染防御効果の違いとは別個に、mRNAワクチンの有効率は経時的に減少する可能性があることが、米国疾病予防管理センターのAmadea Britton氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2022年2月14日号に掲載された。米国のtest-negativeデザインの症例対照研究 本研究は、デルタ変異株が優勢となる以前の時期(前デルタ期:2021年3月13日~5月29日)と、その後の優勢となった時期(デルタ優勢期:2021年7月18日~10月17日)で、症候性SARS-CoV-2感染症とワクチン接種以降の日数の関連の評価を目的とする、test-negativeデザインを用いた症例対照研究である(米国疾病予防管理センターの助成を受けた)。 解析には、米国のIncreasing Community Access to Testing(ICATT)の6,884のCOVID-19検査施設のデータが用いられた。これらの検査施設で、2021年3月13日~10月17日の期間に、COVID-19様疾患を呈する患者181万4,383例が核酸増幅検査(NAAT)を受けた(20歳以上:163万4,271例、12~19歳:18万112例)。 ワクチンは、2つのmRNAワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製]、2回接種で完全接種)と、1つのアデノウイルスベクターワクチン(Ad26.COV2.S[Janssen/Johnson&Johnson製]、1回接種で完全接種)の3種が使用された。ワクチン接種者は、検査の14日以上前に完全接種を終了した集団が解析に含まれた。 主要アウトカムは、症候性感染症とワクチン接種の関連とされ、スプライン法に基づく多変量ロジスティック回帰分析によって算出されたオッズ比(OR)で評価された。12~19歳も成人と同様の結果 解析に含まれた181万4,383例(20~44歳59.9%、12~19歳9.9%、女性58.9%、白人71.8%)のうち、39万762例(21.5%)が検査陽性(症例群)で、142万3,621例(78.5%)は検査陰性(対照群)であった。 20歳以上の成人の完全接種者は、BNT162b2ワクチンが30.6%、mRNA-1273ワクチンが19.9%、Ad26.COV2.Sワクチンが4.5%で、45.0%は未接種者であった。 20歳以上では、BNT162b2ワクチンの2回目接種後14~60日の症候性感染症とワクチン完全接種のOR(初期OR)は、前デルタ期が0.10(95%信頼区間[CI]:0.09~0.11)と、デルタ優勢期の0.16(0.16~0.17)と比較して小さく、接種後の時間の経過(14~111日)とともに上昇していた(ORの月ごとの変化 前デルタ期:0.04[95%CI:0.02~0.05]、デルタ優勢期:0.03[0.02~0.03])。これは、ワクチン接種以降に、症候性感染症とワクチン完全接種の関連性が経時的に減弱したことを示す。 同様に、mRNA-1273ワクチンの初期ORは、前デルタ期の0.05(95%CI:0.04~0.05)からデルタ優勢期には0.10(0.10~0.11)へと上昇し、接種以降に経時的(14~266日)な増加が認められた(ORの月ごとの変化 前デルタ期:0.02[95%CI:0.005~0.03]、デルタ優勢期:0.03[0.03~0.04])。 また、成人でのAd26.COV2.Sワクチンの初期ORは、前デルタ期が0.42(95%CI:0.37~0.47)、デルタ優勢期は0.62(0.58~0.65)であったが、接種以降に、経時的に有意な増加はみられなかった。 一方、12~19歳の完全接種者は、BNT162b2ワクチンが33.7%、mRNA-1273ワクチンが3.7%、Ad26.COV2.Sワクチンが1.0%で、61.5%は未接種者だった。 12~15歳では、BNT162b2ワクチンの症候性感染症とワクチン完全接種の初期ORは、デルタ優勢期が0.06(95%CI:0.05~0.06)で、接種後14~127日に、月ごとに0.02(95%CI:0.01~0.03)ずつ上昇し、16~19歳では、初期ORはデルタ優勢期が0.10(0.09~0.11)で、接種後14~231日に、月ごとに0.04(0.03~0.06)上昇した。16~19歳におけるmRNA-1273ワクチンのデルタ優勢期の初期ORは0.06(0.04~0.08)、14~203日の月ごとのOR上昇は0.03(0.02~0.05)であり、Ad26.COV2.Sワクチンの初期ORはデルタ優勢期が0.46(0.30~0.62)で、経時的な変化はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、ワクチンの変異株別の感染防御効果の違いとは別個に、mRNAワクチンの有効率は時間の経過とともに着実に減少する可能性があるとの見解と一致する」としている。

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第91回 5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省

<先週の動き>1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に1.5~11歳への接種開始を踏まえたワクチン手引き第7版を公表/厚労省厚労省は、5~11歳の小児への新型コロナウイルスワクチン接種について、副反応に対応できる医療提供体制の確保を確認の上、専門的な医療機関の見直しを検討するよう事務連絡を発出した。副反応に関する相談窓口の設置などにかかる経費は補助の対象となる。早いところでは2月末からワクチン接種が開始されるが、12歳以上への接種と異なり、有効成分量を成人の3分の1にするほか、ワクチン接種は努力義務ではなく、保護者の同意の上実施することになっている。乳幼児・小児に対して接種を行う場合は、保護者の同伴を求めることも含め、21日に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」の第7版を公表した。(参考)5~11歳へのワクチン接種 自治体の必要経費 全額助成へ 厚労省(NHK)小児接種、副反応に対応可能な医療体制確保を 厚労省(CB newsマネジメント)新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の幼児児童生徒に対する実施についての学校等における考え方及び留意点等について(厚労省)2.初の国産コロナ治療薬となるか?塩野義製薬が経口薬を承認申請塩野義製薬は25日、新型コロナウイルスに対する経口薬の製造販売承認を厚労省に申請したことを発表した。本剤は新型コロナウイルスの増殖を抑制するプロテアーゼ阻害薬。12歳以上の軽症・中等症患者を対象とした臨床試験において、1日1回、5日間投与したところ、3回目の投与後に感染性ウイルスが検出された割合が10%未満となり、プラセボを服用した群よりも低かった。また、副作用も軽度だったとしている。承認されれば、軽症者向けの飲み薬としては3剤目、国内の製薬会社では初めてとなる。すでに製造を始めており、3月末までに1100万人分を生産し、4月以降は年間1,000万人分の供給体制の構築を目指す。現時点では臨床試験がすべて終了しておらず、この前に実用化できる「条件付き早期承認制度」の適用を求めている。(参考)塩野義、コロナ飲み薬を年間1000万人分供給へ…厚労省に製造販売の承認申請(読売新聞)塩野義製薬 新型コロナの飲み薬 厚労省に承認申請(NHK)塩野義がコロナ経口薬を承認申請、条件付き早期承認制度の適用を希望(日経バイオテク)新型コロナウイルス感染症治療薬S-217622の国内における製造販売承認申請について(塩野義製薬)3.2021年の死亡数6.7万人増で戦後最多、デルタ株の影響か/厚労省厚生労働省は25日、2021年12月の人口動態統計の速報を公表した。昨年亡くなった人は前年より6万7,745人(4.9%)増加し、戦後最多の145万2,289人だった。死者数の増加は2年ぶりで、新型コロナウイルスのデルタ株による影響が考えられる。死因が公表されている21年1~9月分のデータをみると、新型コロナによる死者は前年の同じ期間より1万4,563人多かった。東日本大震災の犠牲者も1万5,000人余りだったが、21年はコロナ禍の余波とみられる心臓など循環器系疾患の死亡が前年同期より1万人余り増加し、戦後最多の死亡数となった。なお、脳卒中など救急医療が必要な死因の死亡数は横ばいだったため、第5波の医療逼迫では死亡数の増加を防げたとみられる。ほかにも老衰1万5,035人、誤嚥性肺炎5,429人など増えており、いずれも高齢化が背景とみられる一方で、出生数は84万2,897人と過去最少であり、人口減少は加速している。(参考)21年の死者、戦後最多145万人 デルタ株流行が影響 厚労省速報(朝日新聞)死亡増加数は戦後最大 6万7000人増、震災時上回る 心不全などコロナ余波(日経新聞)人口動態統計速報(令和3年12月分)(厚労省)4.内科や外科を目指す若手医師が減少?新制度で問題は解消されるのか日本専門医機構は21日にオンラインで行った定例記者会見で、2022年度に専門医研修を開始する専攻医の領域ごとの採用者数を発表した。総数は9,519人と前年度より300人余り増加しているが、内科や外科が前年度に比べ減少している。地域医療の現場からは「内科医師が圧倒的に不足している」との声が強い。各学会からは「専攻医に占める内科のシェアが減少しており、将来の我が国の医療を考えたとき大きな問題である(内科)」「外科医不足は深刻で、まだまだ増やす必要がある(外科)」「ICTが発達する中で放射線科医の働き方は大きく変わっており、従前と同じ考え方で地域偏在などを議論することは難しくなってきている(放射線科)」などの意見が出ており、寺本 民生理事長は、「今後、『診療科、領域間の偏在』の是正を検討していく必要がある。ただしシーリング(採用数の上限設定)には負の面があることにも留意しなければならない」との考えを述べた。(参考)専門医を目指す医師 内科、外科が減少 診療科の偏在解消へ課題も(読売新聞)新専門医目指す「専攻医」の2022年度採用は9519名、「内科医不足の解消」などが今後の重要課題―日本専門医機構(Gem Med)5.旧優生保護法による強制不妊手術、国に初の賠償命令/大阪高裁旧優生保護法による「不良な子孫の出生防止」を目的に、知的障害などを理由に本人の同意なく不妊手術を強制された原告らの訴えに対して、憲法13条・14条に違反とし、国側に初の賠償命令がでた。これまでの地裁判決では、旧優生保護法による不妊手術を違憲としつつも、20年の除斥期間を理由に請求を退けてきた。今回の高裁判決は、被害者の救済を求めた原告らが、法改正直後であっても、社会的な差別や偏見などで原告の訴訟が難しかったことを考慮し、請求を退けた一審判決と異なり、国側に計2,750万円の賠償を命じた。(参考)除斥期間の例外を認定 被害者救済の道広がる 強制不妊訴訟の大阪高裁判決(産経新聞)旧優生保護法「違憲」、国に初の賠償命令 大阪高裁(日経新聞)6.乳房インプラントによるリンパ腫の国内報告が新たに2例、計4例に厚労省は、2019年から豊胸術や乳がん再建術に用いられるインプラント(ゲル充填人工乳房)のまれな合併症「乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」について継続した情報提供を行っているが、このほど新たに2例の発症報告があったと発表した。国内ではこれまでに4例が報告されているが、現時点で死亡症例は認められていない。本製品は2019年7月、米国FDAの決定によりアラガン社が全世界を対象として自主回収(リコール)しており現在は流通していないが、該当する製品が挿入された患者のうち、2,200〜3,300人に1例(0.030~0.045%)でBIA-ALCLが発症している。発症までの期間は術後平均7~9年とされ、引き続き継続的な検診を呼び掛けている。(参考)人工乳房による悪性リンパ腫が国内でも散発、生涯にわたり「定期検診と自己検診」継続を―厚労省・関係学会(Gem Med)ゲル人工乳房でリンパ腫発症、国内3・4例目 継続的な検診を呼び掛け、厚労省(CB newsマネジメント)乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)についてよくあるご質問(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(厚労省)

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妊娠中のコロナワクチン2回接種、乳児の入院61%予防効果/CDC

 母親が妊娠中にCOVID-19ワクチンを2回接種することで、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染による入院を61%予防する効果があることが、米国の研究チームの調査で明らかになった。研究結果は、米疾病対策センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)2022年2月15日号に掲載。 これは米国の研究チームOvercoming COVID-19が、2021年7月1日~22年1月17日、米国17州20の小児病院において実施したケースコントロール研究である。生後6ヵ月未満の入院乳児379例が対象で、このうちCOVID-19による入院が176例(症例群)で、COVID-19以外による入院が203例(対照群)だった。乳児の母親は、妊娠中にファイザー製またはモデルナ製のコロナワクチンを2回接種完了と、未接種の2グループに分類。症例群で母親がワクチンを接種していたのは16%(28/176例)だったのに対し、対照群で母親がワクチンを接種していたのは32%(65/203例)だった。 調査の結果、生後6ヵ月未満の乳児の新型コロナによる入院予防効果は、母親が妊娠中にワクチン2回接種完了で61%(95%信頼区間[CI]=31~78%)だった。このうち、妊娠初期(20週以前)に2回接種を完了した場合の効果は32%(95%CI=-43%~68%)だった(ただし、信頼区間が広いため慎重な解釈が必要)。妊娠後期(21週~出産14日前)では80%(95%CI=55~91%)だった。いずれにおいても、妊娠中のワクチン2回完了は、乳児の入院リスク低減と関連していることが示された。 症例群の43例(24%)がICUに入院した。このうち25例(15%)は重症で、入院中に人工呼吸器、血管作動性物質、ECMOなどを導入し、1例が死亡した。また、ICU入院の43例のうち、88%は母親がワクチン未接種であった。ECMO導入例(1例)と死亡例(1例)の母親は、いずれもワクチン未接種であった。 妊婦には3回目のブースター接種が推奨されているが、本研究はサンプル数が少ないため、その効果は不明だ。また今回の解析では、母親が妊娠前または妊娠中にSARS-CoV-2に感染していたかどうかを評価しておらず、それによって乳児が母体の抗体を得られたかもしれないことなどが、課題として挙げられており、妊娠前と妊娠中のワクチン接種のタイミングを比較検討する必要があるとしている。

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コロナ重症化リスクを低減、パキロビッドパック第II/III相試験結果/NEJM

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者に対し、ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)はプラセボと比較し、入院または死亡のリスクを約89%低下させ、安全性に明らかな懸念は認められなかった。米国・ファイザー社のJennifer Hammond氏らが、国際共同第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験「EPIC-HR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビルは、経口投与可能なSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ(Mpro)阻害剤で、in vitroにおいて幅広い種類のコロナウイルスに対し強力なMpro阻害活性およびウイルス複製阻害作用を示し、マウスモデルにおいて経口投与により肺のSARS-CoV-2力価がプラセボに比べ有意に低下することが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年2月16日号掲載の報告。ニルマトレルビル+リトナビル5日間併用投与、発症後5日以内に治療を開始 EPIC-HR試験の対象は、SARS-CoV-2陽性が確認され、無作為化の5日前までに症状が発現し、かつ無作為化時点でCOVID-19の徴候または症状が少なくとも1つあり、COVID-19の重症化リスクを有する18歳以上の成人患者であった。SARS-CoV-2感染歴、無作為化後48時間以内に入院を要することが想定される患者、ワクチン接種歴のある患者などは除外した。 対象患者を、ニルマトレルビル群(ニルマトレルビル300mgおよびリトナビル100mgを12時間ごとに5日間経口投与)またはプラセボ群に、1対1の割合で割り付けた(リトナビルは、ニルマトレルビルの主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害することから、ニルマトレルビルの血漿中濃度を維持する目的で併用される)。 主要評価項目は、mITT集団(症状発現後3日以内に治療が開始され、モノクローナル抗体未投与)における28日目までのCOVID-19関連入院または全死因死亡のイベントが認められた患者の割合で、ウイルス量および安全性についても評価した。入院/死亡の患者の割合、プラセボと約6.3%差、相対リスク減少率は約89% 2021年7月16日~12月9日の期間に、世界343施設で合計2,246例がニルマトレルビル群(1,120例)およびプラセボ群(1,126例)に無作為化され、治療を受けた。 事前に計画された中間解析(全解析対象集団1,361例、このうち774例がmITT集団)では、主要評価項目のイベントが認められた患者の割合は、ニルマトレルビル群が0.77%(3/389例、死亡0)、プラセボ群が7.01%(27/385例、死亡7例)で、ニルマトレルビル群がプラセボ群より6.32%低かった(95%信頼区間[CI]:-9.04~-3.59、p<0.001、相対リスク減少率89.1%)。 最終解析(全解析対象集団2,246例、このうち1,379例がmITT集団)でも有効性は維持されており、主要評価項目のイベントが認められた患者の割合はニルマトレルビル群が0.72%(5/697例、死亡0)、プラセボ群が6.45%(44/682例、死亡9例)で、群間差は-5.81%(95%CI:-7.78~-3.84、p<0.001、相対リスク減少率88.9%)であった。 症状発現後3日以内に治療を開始した場合、治療開始5日目のウイルス量はニルマトレルビル群がプラセボ群よりも低く、群間差(補正後平均値)は-0.868 log10コピー/mLであった。 安全性解析対象集団(ニルマトレルビル群1,109例、プラセボ群1,115例)において、有害事象の発現率は両群で同等であった(有害事象:22.6% vs.23.9%、重篤な有害事象:1.6% vs.6.6%、投与中止に至った有害事象:2.1% vs.4.2%)。ニルマトレルビル群でプラセボ群より高頻度に発現した有害事象は、味覚障害(5.6% vs.0.3%)および下痢(3.1% vs.1.6%)で、死亡はプラセボ群でのみ13例認められ、すべてCOVID-19に関連した死亡であった。副作用の発現頻度は、ニルマトレルビル群(7.8%)がプラセボ群(3.8%)より高かったが、この差は主に味覚障害(4.5% vs.0.2%)と下痢(1.3% vs.0.2%)によるものであった。

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第97回 “アジャイル思考”を得ない限り、日本は今のコロナ対策から抜けられない!?

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行の主流がオミクロン株になって以降、よく耳にするようになったのが「オミクロン株による感染はただの風邪」という理屈だ。これはある意味では正しいかもしれない。少なくとも基礎疾患のない若年者にとっては、風邪に近いと言っても差し支えはないだろう。もっともこの一部の人にとっての「風邪」もワクチンの2回接種完了者が国内総人口の約8割を占めるワクチン効果が加味されている可能性が高いことも念頭に置かねばならない。この昨今、声高に語られる「オミクロン株感染風邪論」の背後には、過去2年以上の度重なる行動規制に対する恨み節が籠っていることは否定できない。なんせ、今回のコロナ禍によって発出された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置(以下、まん防)に伴う経済損失総額は、野村総合研究所による試算で20兆円超。これは先日、衆議院予算委員会を通過した過去最大の2022年度予算の歳出総額107兆5,964億円の約20%に相当する。これ以外に数字に表れない損失もあることは周知のことで、いずれにせよ国民に大きな犠牲を強いていることは明確である。それ故に若年層を中心に「風邪ごときのとばっちりを食らうのはまっぴらごめん」との理屈が支持を受けるのも分からないわけではない。とはいえ、医学的に見れば、高齢者での新型コロナはただの風邪ではなく、その一撃で命を奪われる危険性は明らかにほかの感染症よりも高い。このように言うと、「残りの人生が少ない高齢者のために、なぜ前途ある若者が苦渋を強いられなければならない」という反論が常に飛び出してくる。実際、私の身近でもそうした声はよく聞く。こうした時に私は「重症化した高齢者にかかる莫大な医療費を負担するのは、結局若年層なので高齢者を感染から守ることは若年者を守ること」と伝えている。もっとも目に見えにくい負担を実感してもらうのはなかなか難しいのが現実だ。そうした中で「オミクロン株感染風邪論者」が最近引き合いに出すのが、欧州連合内で初めて新型コロナの感染拡大阻止関連規制のほぼすべてを撤廃したデンマークの事例だ。この措置は2月1日からスタートし、公共交通機関利用時のマスク着用義務、飲食店利用時などでのデジタル証明「コロナパス(ワクチン接種証明・PCR or抗原検査陰性証明)」の提示義務などが撤廃された。規制撤廃発表の記者会見では、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が「さよなら規制、ようこそコロナ前の生活」と宣言したほど。ところが今のデンマークでは毎日3万人程度の新規感染者と30~40人の死者が報告されている。総人口約580万人のデンマークのこの状況を日本に当てはめると、毎日約65万人の感染者と700人前後の死者が発生している計算だ。現在1日の新規感染者8万人前後で、31都道府県に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくまん防を発令中の日本から考えれば驚くような決断である。デンマークの決定は感染者が増加していながら、重症者が増加していない同国内の感染状況データを根拠としている。ちなみに現在、デンマークでの感染の主流は、日本の報道では「ステルス・オミクロン」と称されるオミクロン株の亜種BA.2である。確かにオミクロン株はデルタ株と比較して重症化しにくいとは言われているが、感染者が増えれば、当然ながら重症者も増える。にもかかわらず、今回の決定に至った背景には、デンマーク国内の総人口に占める新型コロナワクチンの2回接種完了率が81.0%と日本と大差ないにもかかわらず、ブースター接種完了率が61.7%(2月22日付)と日本とは比較にならないほど高い現状を加味していると言われている(2月22日付の日本国内での2回接種完了率は79.1%、ブースター接種完了率は15.3%)。さらにデンマークの場合、現時点で65歳以上の高齢者のブースター接種完了率は約95%。重症化のハイリスク者に対しては4回目接種を計画し、新たな変異株の登場次第では4回目接種の対象を全人口に拡大することを視野に入れている。要は現状と将来の備えは日本とは比較にならず、デンマークを事例に挙げながら日本国内の対応を単純批判する「オミクロン株風邪論者」は自分の主張に合わせてファクトを都合良く切り貼りしているに過ぎない。だが、それ以上にデンマークと日本には根本的に大きな差があると個人的には考えている。というのもデンマークはすでに昨年9月に今回のような規制の大幅な解除を行いながら、その後の感染者増加に伴って規制を復活。そして再び今回の規制撤廃に至っている。要は状況に応じてアジャイルな対策を行っているのだ。「アジャイル」は、英語で「機敏な」という意味。最近ではソフトウェア開発などに関連してよく耳にするようになった言葉で、要は基本機能を実装したソフトウェアはすぐに実用を開始し、必要に応じて徐々にアップデートしていくということ。スマートフォン用アプリなどが代表例だ。ところが最初に何らかの商品やサービスを市場に出す際に完璧さを求めがちな日本ではこうした手法はあまり馴染みがない。私はもう一つの取材領域である国際紛争関係でこうした違いを実感したことがある。海外の紛争地域では、旧西側を中心とする欧米各国の軍が停戦監視などの平和維持活動(PKO)のために派遣されることが少なくない。そこで見かける各国の軍用車両は、基本型を軸にさまざまな派生型がある。派遣地域の地勢や気候の違い、技術革新に応じて基本型への追加改修キットがあり、結果として派生型の軍用車両が数多く存在するのである。何とも合理的だと思っていたが、日本の自衛隊ではこうしたケースは見かけない。ある時にこの点を防衛省関係者に尋ねたところ次のような答えが返ってきた。「新装備の予算要求の際、国会をはじめとする関係各方面からは考えられうる最上スペックを求められます。それが数年後に状況に合わなくなり、また新装備を導入しようとすると、『あの時、君たちは最上のものだと言ったじゃないか。じゃあ、あの時の提案は不備や間違いだったのか』と言われてしまうのです。ベストのものはその時々で変わるものなのですが…」新興感染症では、時間の経過とともに不明点が明らかになり、それに伴い対応策も大きく変更を迫られることが多い。しかし、前述のように日本ではもともとこうした変更に対する国民的許容幅は広くはない。アジャイルに過ぎないことが時に「場当たり」「なし崩し」と表現される。もっと端的に言えば、オール・オア・ナッシングな傾向とも言えるかもしれない。そしてこうした傾向は、オミクロン株登場後の新型コロナワクチンに対する世間の評価でも垣間見られる。オミクロン株に対する既存の新型コロナワクチンの感染予防と発症予防の効果がかなり低下したことは事実である。だが、2回目接種完了直後あるいは3回目接種終了後ならば、それでも6割程度の感染予防・発症予防効果はあることが分かっている。しかし、これを機にもともとワクチンに否定的ではなかった人からも「ワクチンに意味はない」「いまやワクチンは無効だ」という言説が目につくようになった。そして、国などが新型コロナ対策でマイナーチェンジをする時なども、「完璧さ」を目指す社会的雰囲気を受けたばつの悪さなのか、歯切れの悪い説明が目立つ。結局のところ、現在の「オミクロン株風邪論」や「感染症法での新型コロナの扱いは2類か5類か論争」も日本人のアジャイル感のなさゆえの結果とも思えてきて仕方がない昨今だ。

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痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。 新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・有効回答者5,865例中、MOHの有病率は2.32%(136例)であった。・MOHは、女性および中年期により多く認められた。・鎮痛薬の併用(多くはOTC薬)は、頻繁に認められた。・MOH患者は、非MOH患者と比較し、日常生活の身体活動の悪化、中等度~重度の疼痛、片頭痛が認められた。・MOH患者136例は、3つのクラスターに分類された。・クラスタリングの重要な因子は、急性薬物使用の年齢および頻度であった。 著者らは「本研究は、日本で初めて実施されたMOHの有病率調査である。MOHの特徴は、世界各国の報告と同様であった。適切な頭痛治療に関する知識の習得は、重要であると考えられる。急性薬物使用の年齢および頻度は、既知の臨床サブタイプとは別に、社会的観点からのサブタイプのグループ化を行ううえで重要である可能性が示唆された」としている。

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LINEチャットボットでコロナの隔離期間を自動計算

 新型コロナワクチンに関する情報提供を行う医師らが組織する「一般社団法人コロワくんサポーターズ」は提供するLINEボットサービス(関連記事:副反応は大丈夫?新型コロナワクチンの疑問に答えるLINEボット)の新機能として「コロナ待機期間 自動計算システム」を追加した。コロナの隔離期間や待機期間を計算 これまでワクチン接種の対象者や副反応の不安に対し、チャットボット機能を使った情報提供をしてきたが、今回の新機能「コロナ待機期間 自動計算システム」は「コロナ陽性者・濃厚接触者」「症状あり・なし」「陽性判定日」等の情報を入れることで隔離解除日を自動計算して教えてくれる。コロナ待機期間の自動計算システムの利用はLINE上で「コロワくんの相談室」を検索して友達追加するだけ、と簡便だ。 「コロワくんサポーターズ」の中心メンバーの1人である山田 悠史氏(マウントサイナイ医科大学 老年医学科フェロー)は、新サービス提供にあたり下記コメントを寄せている。 「『コロワくんの相談室』のLINE上で無料で使えるチャットボットで、新型コロナウイルスやワクチンの疑問に対する答えを最新の科学的知見に基づいて提供しています。20名ほどからなるチームがボランティアで作成やアップデートを行っており、最新のオミクロン株の情報なども検索できます」。 「今回の『隔離解除日の自動計算機能』は、オミクロン株の影響で感染者が増加し、多忙を極めているであろう医療従事者や保健所のスタッフの方、そして感染や濃厚接触後にお困りの方の助けになればという思いで作成しました。『隔離や自宅待機の解除の日はいつか?』という質問は、日々の診療の中でもよく聞かれる質問の一つでしょう。日本国内の基準は少し複雑なので、毎回それを確認する作業は忙しい日々の診療の負担になっているかと想像します。本サービスはコロナ感染者にも濃厚接触者にも対応しており、多くの医療機関や行政で活用頂ければ幸いです」。

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国内オミクロン株感染者139例の臨床的特徴/感染研

 国立感染症研究所は、国内におけるオミクロン株の疫学的・臨床的特徴を迅速に把握することを目的として、検疫および国内にて初期に探知されたオミクロン株症例について、積極的疫学調査を行った。18日、第5報として収集されたすべての結果が報告された。【対象症例】 2021年11月29日~2022年1月12日までに本調査の協力医療機関に入院し診療を行った新型コロナウイルス感染者の中から、ゲノム解析によりオミクロン株感染が確定した139例。【調査方法】 退院後に調査票を用いて、基本情報、渡航情報、ワクチン接種歴、基礎疾患、入院時のバイタルサイン・臨床症状、入院期間中に観察された臨床症状、合併症、入院中の治療、入院経過・退院時転帰などの情報を収集し、疫学的記述を行った。【主な結果】・調査対象139例の内訳は、男性91例(65.5%)、女性48例(34.5%)であり、年齢の中央値は33歳(0-81)。20~50代が7割を占め、10代以下が2割、60代以上は1割だった。・BMIの中央値(四分位範囲)は22.3kg/m2(19.1-25.3)で、33例(23.7%)に喫煙歴、73例(52.5%)に飲酒歴を認めた。・5例(3.6%)に過去のSARS-CoV-2感染歴が認められた。発症から入院までの期間の中央値(四分位範囲)は3日(2-4)であった。・ワクチン接種歴は3回が3例(2.2%)、2回が86例(61.9%)、1回が4例(2.9%)、接種なしが46例(33.1%)。未接種者(1回接種・接種なし)50例は10歳未満が32%と多くを占めた。・何らかの基礎疾患を有した症例は30例(21.6%)であり、高血圧(12.2%)、脂質異常症(7.9%)、肥満(4.3%)の頻度が高かった。・入院時の体温、脈拍数、呼吸数の中央値(四分位範囲)は、それぞれ36.8℃(36.5-37.2)、86回/分(77-98)、18回/分(16-20)だった。酸素飽和度の中央値(範囲)は98%(95-100)で、1例が酸素2L/分の投与を必要とした(基礎疾患を有する80代のワクチン未接種者)。・入院時、106例(76.3%)が何らかの症状を認めていた一方、無症状者は33例(23.7%)で、うち5例が入院後に何らかの症状を認めた。・COVID-19診断による入院時の主な症状は、咳嗽(46.0%)、咽頭痛(33.8%)、37.5℃以上の発熱(30.9%)、鼻汁(18.0%)で、味覚障害・嗅覚障害はそれぞれ1例(0.7%)に認められた。・入院時、139例中124例が胸部X線検査もしくはCT検査を受け、7例(5.6%)に肺炎像を認めた(X線:3/108例、CT:5/45例)。血液検査所見は概ね正常範囲内だった。・139例中26例(18.7%)にCOVID-19への直接的な効果を期待して治療介入が行われ、113例(81.3%)が対症療法のみであった。ICUでの加療や、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の使用といった重症治療を受けた者は認めなかった。・全入院期間の中央値(四分位範囲)は11日(9-14)で、細菌性肺炎や急性呼吸切迫症候群(ARDS)の合併例は認めなかった。・発症から退院までの期間に観察された主な症状は、咳嗽(56.8%)、37.5℃以上の発熱(56.1%)、咽頭痛(41.7%)、鼻汁(32.4%)、味覚障害(7.2%)、嗅覚障害(5.8%)だった。・28例(20.1%)が退院まで無症状で経過し、133例(95.7%)が自宅退院した。残りのうち4例(2.9%)は医療機関へ転院し、2例(1.4%)が医療機関以外の施設へ入所した。・ワクチン接種者、未接種者ともに死亡例は認めなかった。 なお、本調査結果はワクチン接種者と未接種者の比較を目的としたものではない。

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COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。COVID-19入院患者9,785例において、28日の全死因死亡率を比較 研究グループは、2020年9月18日~2021年5月22日に、英国の127施設において、RECOVERY試験に登録された患者のうち適格患者、すなわち臨床的にSARS-CoV-2感染が疑われるかまたは検査で感染が確認された12歳以上の入院患者9,785例を、標準治療群または標準治療+カシリビマブ・イムデビマブ群(カシリビマブ4gとイムデビマブ4gを単回点滴静注投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。治験責任医師とデータ評価者は、試験期間中、データの解析については盲検化された。 主要評価項目は28日の全死因死亡率で、まず、無作為時にSARS-CoV-2感染に対する抗体が検出されなかった患者(血清陰性患者)について評価し、その後、無作為化された全例を対象にintention-to-treat解析を行った。安全性は、カシリビマブ・イムデビマブの投与を受けた全例について評価した。血清陰性患者でのみ28日死亡率が低下 無作為化された計9,785例(標準治療群4,946例、カシリビマブ・イムデビマブ群4,839例)の患者背景は、平均(±SD)年齢61.9±14.6歳、症状発現からの期間は中央値9日(IQR:6~12)で、血清陰性が3,153例(32%)、血清陽性が5,272例(54%)、入院時の抗体の有無が不明な患者が1,360例(14%)であった。812例(8%)は少なくとも1回SARS-CoV-2ワクチンを接種していた。 血清陰性患者集団を対象とした主要有効性解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群24%(396/1,633例)、標準治療群30%(452/1,520例)であった(率比[RR]:0.79、95%CI:0.69~0.91、p=0.0009)。ベースライン時の抗体の有無にかかわらず無作為化された全例を対象とした解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群19%(943/4,839例)、標準治療群21%(1,029/4,946例)であった(RR:0.94、95%CI:0.86~1.02、p=0.14)。死亡率に対するカシリビマブ・イムデビマブの比例効果は、血清陽性患者と血清陰性患者で有意差が認められた(異質性のp=0.002)。 治療に起因する死亡は認められず、事前に規定した安全性評価項目(死因別死亡率、不整脈、血栓症、大出血イベント)について、意味のある群間差は確認されなかった。重篤な有害事象は7例(<1%)報告され(アレルギー反応3例、痙攣2例、急性飽和度低下1例、一過性意識消失1例)、いずれも治験責任医師によりカシリビマブ・イムデビマブ投与と関連ありと判定された。

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