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ヒト用パンデミックインフルエンザワクチンEmerflu、オーストラリアで承認を取得

サノフィ・アベンティス株式会社は31日、仏サノフィパスツール社が、ヒト用パンデミックインフルエンザワクチンであるEmerfluがオーストラリア治療製品局(TGA:Therapeutic Goods Administration)から販売承認を取得したことを発表しました。Emerfluワクチンは、パンデミックが公式に宣言された場合のオーストラリアにおけるパンデミックインフルエンザワクチンとして承認された。Emerfluは、同定されたパンデミック株から製造され、オーストラリア政府による行動計画のもと、オーストラリアで接種される。オーストラリアにおけるEmerfluの承認は2004 年後半に開始された、アルムアジュバントを含有する、不活化H5N1 パンデミックインフルエンザワクチン候補の臨床試験結果に基づき、2009年2月13日、オーストラリア医薬品評価委員会(ADEC:Australian Drug Evaluation Committee)による肯定的な勧告を受けて決定された。これらの試験では、現在世界各国の保健当局と専門家が次のパンデミックの原因になりうると同定しているH5N1ウイルス株に対するEmerfluの安全性と防御免疫応答について評価が行われたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/8E70BBBE-FD94-4CA7-8E20-293E401C087C.pdf

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CMV糖蛋白Bワクチンの有効性

サイトメガロウイルス(CMV)の先天性感染は、新生児の聴覚・認知機能・運動障害の重要な原因である。米国では、2001年に医学研究所委員会が、CMVワクチン開発を最優先事項の1つと定めたが、一方で、ワクチン開発が始まって30年以上になるものの、効果が確実なワクチンは未だ開発には至っていない。本論は、1990年代に臨床試験が開始されたCMV糖蛋白Bワクチン(MF59アジュバントを加えた組み換えCMVエンベロープ糖蛋白Bワクチン)の第2相試験の結果で、アラバマ大学(米国・バーミンガム)小児科のRobert F. Pass氏らによる報告である。NEJM誌2009年3月19日号より。出産後0・1・6ヵ月時点で母体に接種試験は無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、妊娠可能年齢の女性のうち出産後1年以内のCMV陰性の女性を対象に行われた。参加者は、出産後0ヵ月時点、1ヵ月時点、6ヵ月時点でワクチン接種群(230例)あるいはプラセボ接種群(234例)に無作為に割り付けられ、3ヵ月ごとに42ヵ月間、CMV感染の有無が検査された。主要エンドポイントは、CMV感染が確認されるまでの期間。中間解析時点でワクチンの有効性確認試験は中間解析の時点で、ワクチンの有効性が確認され、勧告により中止となった。CMV感染者は、追跡期間1年時点で49例(ワクチン群18例、プラセボ群31例)。カプラン・マイヤー解析の結果、ワクチン群が42ヵ月間感染しない可能性は、プラセボ群より高いことが示された(P=0.02)。ワクチンの有効性は、100人当たり感染率を基礎とし50%(95%信頼区間:7~73)と算出されている。被験者新生児の先天性感染は、ワクチン群1例、プラセボ群3例。プラセボ群よりもワクチン群で、局所反応(疼痛、紅斑、硬結、熱感)、全身反応(悪寒、関節痛、筋肉痛)がより多く確認された。これらの結果を踏まえ研究グループは、「CMV糖蛋白Bワクチンは、母体感染および先天性感染を減ずる可能性がある」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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対テロにも有効? 天然痘ワクチン「LC16m8」

第3世代弱毒化組織培養の天然痘ワクチン「LC16m8」は、未接種成人で特に有効性が高いことが、慶應大学医学部熱帯医学寄生虫学の齋藤智也氏らによって報告された。既摂取成人でもおよそ6割で、有効な追加免疫反応が認められた同報告は、JAMA誌2009年3月11日号で発表されている。天然痘による生物テロへの危機感から、天然痘ワクチンの必要性が再考されているものの、第1世代の同ワクチンなどでは、有害事象の発症率が高く、有効なワクチンが模索されている。皮膚反応で善感は、未接種者94.4%、既接種者86.6%齋藤氏らは、2002~2005年にかけて、自衛隊員で天然痘ワクチン未摂取の1,529人と、既摂取の1,692人に対し、LC16m8を摂取した。摂取10~14日後、皮膚反応で善感の確認を行い、また摂取30日後に、被験者のうち200人に対してプラーク減少中和試験を行った。その結果、未接種者の1,443人(94.4%、95%信頼区間:93.2~95.9)と、既接種者の1,465人(86.6%、同:85.0~88.2)で、皮膚反応で善感が認められた。また、中和試験の結果セロコンバージョンまたは有効な追加免疫効果が見られたのは、未接種者では41人のうち37人(90.2%、同:81.2~99.3)だったが、既接種者では155人中93人(60.0%、同:52.3~67.7%)と有意に低率だった。重度な有害事象はゼロ、安全性も確認LC16m8摂取が原因と考えられる有害事象については、アレルギー性皮膚炎と多形紅斑がそれぞれ1人のみで、重度の有害事象は全く見られなかった。同氏らは、これまでの10万人超の子供を対象にした研究結果と合わせて、今回の研究結果は、LC16m8が大規模なワクチン接種プログラムに用いても安全であることを示唆している、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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成人へのインフルエンザワクチンはTIVが効果的

インフルエンザ予防接種を毎年受けている成人にとっては、三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)が鼻腔内投与型のインフルエンザ弱毒生ワクチン(LAIV)より、予防効果が高いようだ。米国Armed Forces Health Surveillance CenterのZhong Wang氏らが、米国軍人100万人超を対象に行った調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年3月4日号(オンライン版2009年3月2日号)で発表した。入院率は、対照群、LAIV群、TIV群の順に高率同研究グループは、17~49歳の軍人について、2004~2005年、2005~2006年、2006~2007年の3期間中の、インフルエンザワクチン接種の有無と種類、また肺炎またはインフルエンザによる入院件数について調べた。3期間を通じて、TIV群は、LAIV群やワクチンを受けなかった対照群に比べ、肺炎またはインフルエンザによる入院率が有意に少なかった(2004~2005年;TIV群8.6/1000人・年に対しLAIV群18.3/同、対照群19.4/同、2005~2006年;TIV群7.8/同、LAIV群10.6/同、対照群10.9/同、2006~2007年;TIV群8.0/同、LAIV群11.1/同、対照群11.7/同)。LAIV群とTIV群の摂取効果について見てみると、対照群と比較した場合の効果のスコアで、LAIV群は10.7~20.8だったのに対し、TIV群では28.4~54.8と高かった。1~2シーズン摂取を受けていない群では、LAIVとTIVの効果は同等ただ、過去1~2シーズンにインフルエンザの予防接種を受けていないグループについての接種効果を調べてみたところ、LAIV群とTIV群の摂取効果の差は見られなかった(2005~2006年;p=0.53、2006~2007;p=0.56)。それでも同グループで予防接種を受けた人の肺炎またはインフルエンザによる入院率は、全体の同率よりも低率だった(例;2005~2006年;全体が10.6/1000人・年に対しLAIV群は7.7/1000人・年)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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初の皮内インフルエンザワクチンIntanza/IDfluがEUで承認

仏サノフィ・アベンティス社のワクチン部門であるサノフィパスツール社は、欧州委員会から初の皮内(ID)マイクロインジェクションによるインフルエンザワクチンを承認されたと発表した。今回の承認は、7,000人以上の成人(18歳以上)および高齢者(60歳以上)を対象にした臨床試験をもとに、2008年12月に欧州医薬品庁(EMEA:European Medicines Agency)から肯定的な見解が示されたことによるもの。これらの臨床試験では、安全性と免疫応答性が評価され、EMEAが定めた基準をすべて満たしたという。この新ワクチンは、IntanzaまたはIDfluという名前で販売される予定で、今後、EU諸国で季節性インフルエンザ予防ワクチンとして成人および高齢者に接種される。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/EFEF9769-DCD9-4AE6-A718-A1EC1CD220FA.pdf

2166.

乳幼児RSV感染症は入院・外来医療ともに大きな負荷をもたらす

乳児の入院に至る主要な要因にRSVウイルスがあることはよく知られているが、幼児におけるRSV感染症が医療資源全体に与える負荷については明らかではない。ロチェスター医科大学(アメリカ)のCaroline Breese Hall氏らは、アメリカの3つの郡(テネシー州ナッシュビル、ニューヨーク州ロチェスター、オハイオ州シンシナティ)で、5歳未満児における急性呼吸器感染症について、住民ベースの前向き調査を行った。NEJM誌2009年2月5日号より。生後6ヵ月未満児のRSVによる入院リスクは高い研究グループは、2000年~2004年にかけて入院した乳幼児、2002年~2004年にかけて外来救急や小児科クリニックを受診した乳幼児を登録し、培養と逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応法でRSVを検出した。臨床情報は保護者からの聞き取りとカルテから入手し、RSV感染症と関連する入院率を算出するとともに、外来受診率を住民ベースで推計した。登録した5,067例(入院2,892例、救急・外来2,175例)のうち、RSV感染症は入院が546例、救急・外来が355例、合わせて919例(18%)あった。全体として、11月から4月にかけての急性呼吸器感染症による入院の20%、救急受診の18%、小児科クリニック受診の15%がRSVと関連していた。年間平均入院率は、生後6ヵ月未満の乳児で17例/千人、5歳未満の幼児で3例/千人だった。大部分の乳幼児に併存疾患は見られず、早産児であること、低年齢であることが入院の独立したリスク因子と認められた。5歳未満児の外来受診率の高さもターゲットにすべき一方、5歳未満の幼児におけるRSV関連のクリニック受診率は救急受診の3倍と推計された。これを全米に当てはめると、RSV感染症に罹患する5歳未満児は210万人で、救急受診が約52万人、クリニック受診が約152万人(そのうち61%、126万人は2~5歳児が占める)と推計された。ところが、外来患者には中等度のRSV関連疾患が見られるものの、RSVに起因する疾患と診断が確定した患者はわずか3%に過ぎなかった。研究グループは、アメリカにおける乳幼児の入院・外来いずれの環境においても、RSV感染症が罹患率に大きく関わっており、しかもRSV感染症に罹患した乳幼児の大部分はそれまで健康であったことから、ハイリスク乳幼児だけを対象とした感染管理戦略では、RSV感染症がもたらす医療資源全体に対する負荷にもたらす効果は限定的であり、わずか18%にとどまる5歳未満児のワクチンの接種率を上げるべきだと述べている。(朝田哲明:医療ライター)

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麻疹(はしか)は2010年までに撲滅できるか ?

2010年までに麻疹(はしか)ウイルスを撲滅するというヨーロッパの計画は、ワクチン接種率が不十分なため達成できない可能性が高いことが、デンマークStatens Serum研究所疫学部のMark Muscat氏らEUVAC.NETの研究グループの調査で明らかとなった。ヨーロッパでは、2006~07年にいくつかの国ではしかの大規模感染が起きたため、ウイルスの撲滅が計画されたという。Lancet誌2009年1月31日号(オンライン版2009年1月7日号)掲載の報告。32ヵ国からデータを収集ヨーロッパでは子どものルーチンなワクチンプログラムに、はしかワクチンが導入されて20年以上が経過したが、感染はいまだに存続している。そこで、研究グループは2010年までのウイルス撲滅を目的に、はしかの疫学的なレビューを行った。ヨーロッパ32ヵ国の国立の調査機関から2006~2007年のデータが集められ、年齢層、確定診断、ワクチン接種状況、入院治療、疾患合併症としての急性脳炎の発現、死亡に関するデータが得られた。30ヵ国からは、疾患の他国からの流入に関するデータも寄せられた。臨床症状が見られ、検査で確定のうえ疫学的な関連が確認された症例のうち、調査の要件を満たすものが解析の対象となった。これらの症例が1歳未満、1~4歳、5~9歳、10~14歳、15~19歳、20歳以上に分けられた。10万人当たりのはしかの年間発症数が0例の国を無発症国、0.1例未満の国を低発症国、0.1~1例の国を中発症国、1例以上の国を高発症国とした。患者のほとんどがワクチン未接種か不完全2年の試験期間中に記録されたはしか患者1万2,132例のうち85%(1万329例)を5ヵ国(ルーマニア、ドイツ、イギリス、スイス、イタリア)の症例が占めた。そのほとんどがワクチン未接種あるいは不完全な子どもであったが、20歳以上の症例は少なかった。この2年間に記録されたはしか関連死は7例であった。高発症国ではワクチン接種率が十分ではなかった。他国から流入したはしかに感染した210例のうち、117例(56%)がヨーロッパ以外の国からのもので、43例(20%)はアジアからであった。著者は、「ワクチン接種率が不十分であるため、2010年までのはしかウイルス撲滅という目標の達成には深刻な疑念が浮上した」と結論し、「ヨーロッパにおけるはしか撲滅計画には、十分なワクチン接種率の達成とその維持、そして調査法の改善が不可欠」としている。(菅野守:医学ライター)

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ADA欠損症患児への遺伝子治療の長期転帰

ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症患児への遺伝子治療が、安全かつ有効であることが、San Raffaele Telethon遺伝子治療研究所のAlessandro Aiuti氏らによって報告された。ADA欠損は、致死的なプリン代謝異常と免疫不全を示す重症複合免疫不全症(SCID)の原因となり、治療法としてはHLA一致同胞ドナーからの幹細胞移植があるが、ドナーがいないなど治療が適応される患者は限られている。本報告は、長期転帰の検討で、NEJM誌2009年1月29日号にて掲載された。4.0年現在、全例生存、有効性と安全性確認試験対象は、移植ドナーがいないADA欠損症によるSCIDを呈する患児10例。ブスルファンによる骨髄非破壊前処置を施した後、自己由来のCD34+骨髄細胞(ADA遺伝子を含んだレトロウイルスベクターで形質導入)を移植した。細胞移植後に酸素補充療法は行わなかった。追跡期間中央値4.0(1.8~8.0)年現在、全例生存が確認された。移植した造血幹細胞は安定しており、ADA(1年時点で骨髄細胞中に平均3.5~8.9%)と、リンパ系細胞(末梢血中に平均52.4~88.0%)を含む骨髄細胞に分化していた。患児8例は、酸素補充療法を必要とせず、血液細胞のADA発現が持続しており、プリン代謝物の解毒障害の徴候は見られなかった。また、9例は免疫再構築が認められ、T細胞が増加[3年時点で平均数1.07×10(9)/L]、T細胞機能が正常化。免疫グロブリン補充療法を中止した5例では、ワクチンまたはウイルス抗原への曝露後、抗原特異的抗体反応の誘発が確認された。効果的な感染予防と身体発育の改善によって、日常生活も可能になっていた。重篤な有害事象は、遷延性好中球減少症(2例)、高血圧(1例)、中心静脈カテーテル関連の感染症(2例)、EBウイルスの再活性化(1例)、自己免疫性肝炎(1例)。(武藤まき:医療ライター)

2169.

5歳未満児へ導入したPCV7ワクチンの髄膜炎予防効果は?

米国では2000年に、5歳未満児全員に7価小児用肺炎球菌結合型ワクチン(PCV7)の定期接種が導入されて以降、侵襲性肺炎球菌感染症の発症が小児および成人においても減少した。成人における減少はPCV7の集団免疫の効果による。一方で、同ワクチンの肺炎球菌性髄膜炎に関する効果は明らかになっていなかったことから、ピッツバーグ大学のHeather E. Hsu氏らが調査を行ったところ、発症率は低下しており全体的な効果は見られるものの、非PCV血清型髄膜炎の増加が見られ、懸念される結果も明らかとなった。NEJM誌2009年1月15日号より。8つの地域住民ベースで導入前と導入後の肺炎球菌性髄膜炎の発症率の変化を評価Hsu氏らは、米国内8つの地域から集めた住民ベースのサーベイランスデータを用いて、1998~2005年の肺炎球菌性髄膜炎の動向を調査した。発症例の分離株を、「PCV7血清型」「PCV7関連血清型」「非PCV7血清型」にグループ分けし、ワクチン導入前の1998~1999年をベースラインとして、肺炎球菌性髄膜炎の発症率の変化を評価した。全体的発症率は低下したが、分離株別で見ると非PCV血清型で増加が対象期間中の肺炎球菌性髄膜炎の発症例は1,379例で、10万人当たり発症率を導入前の1998~1999年と直近の2004~2005年で比べると、1.13例から0.79例へと30.1%低下していた(P<0.001)。年代別で比較すると、2歳未満における低下率は64.0%、65歳以上の低下率は54.0%だった(両群ともP<0.001)。分離株別で見ると、「PCV7血清型」の発症率(全年齢)は0.66例から0.18例に低下し、低下率73.3%(P<0.001)、「PCV7関連血清型」も32.1%低下していたが(P=0.08)、「非PCV7血清型」については0.32例から0.51例へと60.5%増大していた(P<0.001)。非PCV7血清型の19A、22F、35Bタイプの発症率はいずれも研究対象期間中に有意に増大していた。またペニシリン非感受性の分離株は平均27.8%を占めた。一方でクロラムフェニコール非感受性(5.7%)、メロペネム非感受性(16.6%)、セホタキシム非感受性(11.8%)の分離株は少ない。またペニシリン非感受性の分離株は、1998年から2003年にかけては32.0%から19.4%へと低下していたが(P=0.01)、2003年から2005年にかけて19.4%から30.1%に増大していた(P=0.03)。(武藤まき:医療ライター)

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3種混合ワクチン接種の公式報告は実態反映せず

小児に対する3種混合ワクチンの実施状況は、実態調査に基づくデータと各国の公式報告の間に乖離が見られ、目的志向型かつ業績志向型のグローバル イニシアチブが過大な公式報告を助長している可能性があることが、ワシントン大学(アメリカ)健康基準/評価研究所のStephen S Lim氏らが行った系統的な解析で明らかとなった。Lancet誌2008年12月13日号掲載の報告。長年の懸案事項を検証子どものおもな死因を、ワクチンで予防可能な疾患が占める国は多い。それゆえ、小児予防接種の実現は保健システムの最重要事項とされ、「ミレニアム開発目標」にもMDG4として含まれる。小児予防接種の実施率向上を目指し、これまでにUniversal Childhood Immunisation(UCI)キャンペーンやGlobal Alliance on Vaccines and Immunisations(GAVI)などのグローバル イニシアチブを通じて多額の資金が投じられてきた。しかし、UCIやGAVIの予防接種サービス支援(ISS)のような目的志向型かつ業績志向型のイニシアチブは過大な報告を助長する可能性があるとの懸案が、長きにわたり存在するという。研究グループはこの懸案の検証を行った。193ヵ国における1986~2006年の入手可能な全データを用いてジフテリア/破傷風/百日咳3種混合ワクチン(DTP3)の粗実施率の傾向を系統的に検討した。また、各国の公式なDTP3実施報告と、実態調査に基づく実施率のずれを解析することで、UCIやGAVI ISSなどのグローバル ヘルス イニシアチブがDTP3実施の過大な報告を助長しているか否かを評価した。DTP3の粗実施率は段階的に改善、公式報告は実態とは異なる実態調査に基づくDTP3の粗実施率は、1986年の59%から1990年には65%、2000年には70%、2006年には74%にまで増加した。UCI期間中のDTP3実施の公式報告と、調査に基づく実施率には実質的な乖離が認められた。また、CAVI ISSによって、DTP3実施の公式報告と調査による実施率の差が有意に拡大した。2006年までに、公式報告によるDTP3接種小児の推定人数1,390万人に加えて、GAVI ISSの資金提供を受けた51ヵ国で新たに740万人の小児がDTP3の接種を受けた。調査で判明したDTP3接種を受けた小児の増加人数に基づいて解析を行ったところ、これに必要なGAVI ISSの提供資金は1億5,000万ドルと推算されたが、実際の支出額は2億9,000ドルに達していた。著者は、「実態調査に基づくDTP3予防接種の施行率は段階的に改善したが、各国の公式報告やWHO/UNICEFの推定から示唆されるレベルには達していなかった」と総括し、「小児予防接種が目的志向型のグローバル イニシアチブの主導で推進され、実績に基づいて資金提供が行われる時代においては、健康指標の独立かつ競争可能な(contestable)モニタリング法を確立することが急務である」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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ヒブによる小児の感染症を予防 アクトヒブ発売

第一三共株式会社は19日、ヒブ(Hib:インフルエンザ菌b型)による感染症を予防する小児用ワクチン、アクトヒブ(製造販売元:サノフィパスツール第一三共ワクチン株式会社、製造元:仏・サノフィパスツール社、販売元:第一三共株式会社)を発売した。アクトヒブはヒブ感染症を予防するための小児用ワクチンで、世界100ヵ国以上で広く使用されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.daiichisankyo.co.jp/4less/cgi-bin/cs4view_obj.php/b_newsrelease_n1/789/081219v2-j.pdf

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より予防効果が高いマラリアワクチンの開発

AS01Eをアジュバンドとして用いた新しいマラリアワクチンRTS,S/AS01Eの有効性を検討する無作為化二重盲検試験を行ったケニア中央医学研究所のPhilip Bejon氏らは、「候補として有望である」との報告を行った。NEJM誌2008年12月11日号(オンライン版2008年12月8日号)より。5~17ヵ月児894例を、新ワクチン接種群と狂犬病ワクチン接種群に無作為化マラリアワクチンRTS,Sは、それ自体はスポロゾイド周囲蛋白を目標とするもので、これまでAS02Aをアジュバンドとして用いることで、1~4歳児で30%のマラリア予防率を示したことが示されている。新しいマラリアワクチン開発に取り組むBejon氏らは、対象を5~17ヵ月児として、より免疫原性の高いAS01Eをアジュバンドとして用いた場合の有効性を、狂犬病ワクチン接種を対照群とする比較で検討した。対象児は、ケニアのKilifiとタンザニアのKorogweに居住する894例(プロトコールに基づく試験終了は809例)で、平均追跡期間は7.9ヵ月(範囲:4.5~10.5ヵ月)だった。全例解析による有効率49%マラリアを発症した患児数(初発もしくは単発)は、RTS,S/AS01Eワクチン接種群32例(/402例、8%)、対照群66例(/407例、16%)。RTS,S/AS01Eワクチンの有効率(補正後)は53%(95%信頼区間:28~69、P

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Step試験が早期中止に、細胞性免疫ワクチンはHIV感染を予防できず

期待の大きさを反映してか、落胆の声が世界中に広がっているという。MRKAd5 HIV-1 gag/pol/nefワクチンによる細胞性免疫はHIV-1感染の予防効果およびウイルス量の減少効果を示さず、一部の症例ではむしろ感染リスクを上昇させる可能性があることが、国際的な第II相Step試験の中間解析で判明したのだ。試験はすでに早期中止となっている。米San Francisco公衆衛生局HIV研究部のSusan P Buchbinder氏が、Lancet誌2008年11月29日号(オンライン版2008年11月13日号)で報告した。免疫反応の誘導は確認されたが、感染率、ウイルス量は低減せずこれまでの観察試験やヒト以外の霊長類の試験で、細胞性免疫反応によりHIV複製はコントロール可能であることが示唆されている。そこで、Step試験の研究グループは、HIV-1のgag/pol/nef遺伝子を発現している5型アデノウイルス(Ad5)をベクターとする細胞性免疫ワクチンのHIV-1感染の予防効果あるいは血漿HIV-1量の低下効果を評価した。本研究は、北米、カリブ海諸国、南米、オーストラリアの34施設でコンセプトの検証を目的に実施された二重盲検第II相試験である。HIV-1血清陰性例3,000例がMRKAd5 HIV-1 gag/pol/nefワクチン(1,494例)あるいはプラセボ(1,506例)を投与する群に無作為に割り付けられた。無作為割り付け時には、性別、ベースラインのAd5抗体価、施設で事前に層別化した。主要評価項目はHIV-1感染率の低下(6ヵ月ごとに検査)あるいはセットポイント(ウイルス量の低下が停止した時点)のHIV-1ウイルス量(HIV-1感染の診断後3ヵ月に測定)とし、per-protocol解析およびintention-to-treat解析変法を行った。予想に反し、本試験は初回の中間解析で事前に規定された無効判定基準を満たしたため早期中止となった。中間解析では、ベースラインのAd5抗体価が200以下の症例のうち、ワクチン群741例のウイルス感染率は3%(24例)であったのに対し、プラセボ群762例も3%(21例)と差を認めなかった(ハザード比:1.2、95%信頼区間:0.6~2.2)。感染例は1例を除きすべて男性であった。血漿HIV-1 RNAの幾何平均値は、感染男性患者のワクチン群とプラセボ群で同等であった(4.61 vs. 4.41 log10 コピー/mL、効果に関する片側p値=0.66)。全ワクチン投与例(Ad5抗体価低値例、高値例の双方を含む)から25%を無作為に抽出したサンプル(354例)について、ワクチンによって誘発されたインターフェロンγを産生する細胞をELISPOT(enzyme-linked immunospot)法で検出したところ、75%(267例)で反応が見られ免疫反応の誘導が確認された。探索的な解析では、ベースラインのAd5抗体価にかかわらずワクチン群とプラセボ群のHIV-1感染のハザード比は、Ad5血清陽性の男性例(2.3、95%信頼区間:1.2~4.3)および陰茎包皮切除術を受けていない男性例(3.8、1.5~9.3)で高く、これらの症例ではむしろワクチン群の感染リスクの有意な上昇が示唆された。これに対し、Ad5血清陰性例(1.0、0.5~1.9)あるいは包皮切除術を受けた例(1.0、0.6~1.7)ではハザード比は高値を示さなかった。著者は、「MRKAd5 HIV-1 gag/pol/nefワクチンによる細胞性免疫はHIV-1感染の予防効果を示さず、早期のウイルス量の減少効果も認めなかった」と結論し、「なぜ効果が不十分だったか、また一部の症例におけるHIV-1感染率の上昇のメカニズムについては、現在、究明を進めている」としている。(菅野守:医学ライター)

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子宮頸がん予防ワクチンのCervarixがオランダの国民予防接種プログラムに組み入れ

グラクソ・スミスクライン株式会社は11月28日、オランダのNetherlands Vaccine Institute (NVI)が、オランダ国民に対する子宮頸がん予防接種プログラムのためのワクチンとして、英グラクソ・スミスクラインplc(GSK)の子宮頸がん予防ワクチンCervarixを選択したと発表した。この予防接種プログラムは、12歳の女児全員の接種を目的としており2009年9月より開始されているもの。このプログラムのためのCervarixはGSKが供給する。また、オランダのより幅広い女児においてヒトパピローマウイルス(HPV)感染と子宮頸がんのリスクを減少させることを目的としたキャッチアップ・プログラムも2009年の前半中に13歳から16歳までの女児全員を対象に実施される。12歳の女児を対象とする予防接種プログラムでは、初年度に合計35万人の女児がCervarixを接種することが推定されているという。詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2008_07/P1000511.html

2175.

4価HPVワクチンGARDASILに、男性に対する外性器病変の予防効果

万有製薬株式会社は25日、子宮頸がんを予防する4価HPVワクチンARDASILの男性に対するG臨床試験結果から、16~26歳の男性に対して、HPV6、11、16、18型に起因する外性器病変の90%を予防する効果が示されたと発表した。この試験は、世界で初めてHPVワクチンの男性に対する疾患予防効果を評価したもので、結果は、フランスのニースで開催されたEUROGIN(European Research Organization on Genital Infection and Neoplasia)学会で発表された。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2008/merck_1125.html

2176.

13価肺炎球菌結合型ワクチンの第3相海外臨床試験のデータから、2歳未満の乳幼児における肺炎球菌感染症の予防効果拡大を示唆

米国ワイスは、第3相臨床試験データの結果から、13価肺炎球菌結合型ワクチン (PCV13)が、小児用7価肺炎球菌結合型ワクチン「PREVNAR」(PCV7)と比べ、乳幼児の肺炎球菌感染症に対し、より広範な予防効果を示す可能性があると発表した。この結果は、ワシントンD.C.で開催されたICAACとIDSAの合同年次集会で2008年10月27日に発表された。今回発表されたデータは、13価肺炎球菌結合型ワクチンが、「PREVNAR」に含まれている7つの血清型を引き続き含むため、侵襲性肺炎球菌症(Invasive Pneumococcal Disease:IPD)の予防に対し同等の効果を発揮すること、また、13価肺炎球菌結合型ワクチンに追加された6つの血清型によって、予防効果の範囲がさらに拡大することを示すとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.wyeth.jp/news/2008/1118.asp

2177.

サノフィパスツールが小児用ワクチン市場に初参入

サノフィ・アベンティス株式会社は11月10日、同社のワクチン事業部門であるサノフィパスツールが、アクトヒブワクチン(インフルエンザ菌b型結合体ワクチン)を供給することにより、国際的ワクチン企業として初めて日本の小児用ワクチン市場に参入することを発表した。アクトヒブワクチンは(インフルエンザ菌b型結合体ワクチン)は、第一三共株式会社によって12月19日から日本で販売が開始される。同社のアクトヒブ結合体ワクチンは、これまでに120ヵ国以上の国で1億回接種分が使用された実績がある。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/44782A9C-E11F-43E5-ACC7-07998AAF1654.pdf

2178.

高用量インフルエンザワクチンで65歳以上の免疫反応が増加

 サノフィ・アベンティス株式会社は11月5日、仏サノフィパスツール社が、標準的なインフルエンザワクチンと比較して、臨床試験中の高用量インフルエンザワクチンにより、65歳以上の成人で免疫反応が増加したと発表したと伝えた。 この試験は、65歳以上の高齢者約4,000名を対象にした第III相試験で、高用量インフルエンザワクチンを2006~2007年の流行期用に製造された標準的な深津かインフルエンザワクチンと比較したもの。 主な結果としては、標準ワクチンと比較して、新しい高用量ワクチンにより、試験対象集団で3種類のインフルエンザウイルス株すべてに対する免疫反応が増加し、さらに、毎年インフルエンザワクチンの接種前に体内の防御抗体が測定可能なレベルに達していない潜在的に脆弱な参加者のサブグループでも、免疫反応の増加が観察されたという。 試験の結果は、第48回抗菌薬および化学療法に関する国際会議(ICAAC)/米国感染症学会(IDSA)の第46回年次会議で報告された。

2179.

生物学的製剤の安全性問題の多くは感染症関連

生物学的製剤は相対的に新規クラスの薬剤で、免疫原性など特異的なリスクを伴うが、承認後の安全性の問題に関する情報入手が限られている。そこで、オランダ・ユトレヒト薬学研究所のThijs J. Giezen氏らは、米国およびEU(欧州連合)で承認された生物学的製剤の、その後にとられた安全性に関する規制措置を追跡調査し検証した。JAMA誌2008年10月22日号より。1995年~2007年の米国・EU承認薬を追跡調査追跡調査されたのは、1995年1月~2007年6月に米国およびEUで承認された生物学的製剤で、ワクチン、抗アレルギー薬、後発薬および輸血目的の製品は除外した。主要評価項目は、安全性規制措置の特徴と頻度、タイミングについてで、1995年1月~2008年6月になされた、(1)米国では医療専門家への文書、EUでは医療専門家への直接連絡、(2)米国で黒枠(強調)警告、(3)米国・EUで安全性に関わる薬剤の市場からの回収を調べ評価した。生物学的製剤承認後の安全性に関する規制措置は23.6%期間中に承認された生物学的製剤は計174製剤(米国136、EU105、両地域67)。安全性関連の規制措置は82回(医療専門家への文書46回、医療専門家への直接連絡17回、黒枠警告19回、市場回収なし)で、174製剤のうち41種(23.6%)に出された。カプラン‐マイヤー解析に基づく初回の安全性規制措置の確率は、承認から3年後が14%(95%信頼区間:9~19%)、承認から10年後29%(20~37%)だった。同クラスの生物学的製剤のうち、最初に承認を得た製品は、後から承認された製品と比較して、安全性規制措置が発動されるリスクはより大きかった(12.0/1,000ヵ月対2.9/1,000ヵ月、ハザード比:3.7、95%信頼区間:1.5~9.5)。警告の大部分は、一般疾患、投与部位の様態に関すること、感染症、寄生虫症、免疫系疾患、良性または悪性腫瘍、その他詳細不明だった。このためGiezen氏は「生物学的製剤の承認後に確認される安全性に関わる問題は、しばしば免疫調節作用(感染症)に関連がある。また同クラスで最初に承認された生物製剤が、規制措置を受ける可能性がより高く、緊密な監視が必要である」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

2180.

炭疽菌ワクチン接種は筋注のほうが有益

BioThraxは、現在、米国で唯一公認の炭疽菌ワクチン(AVA)であり皮下注4回接種が公認療法となっている。このワクチンについて米国議会は1999年、米国疾病管理センター(CDC)に対して安全性と有効性に関する調査を行うよう指示した。調査にあたったCDC炭疽菌ワクチン調査プログラム専門調査委員会は、「筋注のほうが安全性が高く、免疫獲得もすみやか」とする報告を寄せた。JAMA誌2008年10月1日号より。非劣性試験を行い注射部位の有害事象の割合で判定より利便な免疫獲得療法をめざした炭疽菌ワクチン接種の安全性と有効性に関する無作為化試験は、ワクチン投与のルート変更で、血清反応、注射部位の有害事象(AEs)に影響が及ぶかを評価することを目的に行われた。すなわち皮下注(SQ)から筋注(IM)への変更、および、投与回数も現在公認されている回数から減らした場合(2週後投与を省略)について検討された。多施設共同無作為化二重盲検非劣性試験に登録された対象は1,005例。試験は第4相ヒト臨床試験として2002年5月から継続中。炭疽菌ワクチン接種は、SQもしくはIMにて4回[初回(0週)、2週後、4週後、6ヵ月後]行われた。比較検討されたのは、SQで4回接種(4-SQ群)165例、IMで4回接種(4-IM群)170例、さらに2週後投与を省略した筋注3回接種(3-IM群)501例。同じタイムスケジュールで生理食塩水接種の対照群169例も比較検討された。主要評価項目は、8週時点と7ヵ月時点の非劣性、および反感染防御抗原IgGの相乗平均濃度(GMC)、相乗平均価(GMT)、4倍以上抗体価反応(%4R)。有効性結論の指標は、注射部位の有害事象の割合とされた。筋注のほうが有害事象少なく、接種回数も少なくて済む8週時点のGMC、GMT、%4Rは、4-IM群(90.8 μg/mL、1114.8、97.7)、4-SQ群(105.1 μg/mL、1315.4、98.8)で、3つの主要エンドポイントすべてで皮下注と筋注に差異はなかった。3-IM群は(52.2 μg/mL、650.6、94.4)、%4Rだけが非劣性。7ヵ月時点では、すべての投与群が、現行公認療法より劣っていなかった。有害事象の割合は、試験期間中、4-IM群(筋注)のほうが4-SQ群(皮下注)に比べ低かった。副次エンドポイントの注射直後の疼痛のオッズ比は、両群に差異はなかった(p<0.001)。投与経路が、全身性の有害事象の発現を左右することはなかった。本稿筆頭執筆者のNina Marano氏は、「炭疽菌ワクチン接種について、筋注の4-IM、3-IMは7ヵ月時点で免疫を獲得しており、公認療法の皮下注4-SQと比べて劣ることはなかった。また筋注のほうが有意に注射部位の有害事象が少なかった」と結論。「予防投与の機会増大という観点から、投与回数が少なくて済むのは大きな利点である」とまとめている。(朝田哲明:医療ライター)

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