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教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」

1977年慶應義塾大学医学部卒業。79年同大学内科リウマチ研究室。87年東京都立大塚病院リウマチ膠原病科医長。91年聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター講師。94年同助教授。99年同教授。2004年、東邦大学医学部付属大森病院膠原病科教授、09年同副医学部長。日本リウマチ学会理事、日本臨床薬理学会評議員前理事長、日本炎症・再生医学会理事、他。日進月歩の関節リウマチ研究関節リウマチは、滑膜が異常に増殖してパンヌスと呼ばれる塊ができます。パンヌスには、リンパ球T細胞やB細胞、マクロファージなどたくさんの細胞が集まって、炎症の元になる物質を作り出すという病態はわかっています。この炎症の元の代表的なものが、TNF-αを中心とした炎症性サイトカインです。この炎症性サイトカインを抑えることが、関節リウマチの治療に有効であり、ここ10年間で効果の高い治療薬が使えるようになり、早期に発見できれば格段に症状を抑えることができるようになりました。リウマチは中世から関節疾患として認識されています。長い歴史を持つ病気ですから、長期にわたり多くの学者によって研究されているにもかかわらず、いまだにその原因は解明されていません。診断基準にしても、これまでは1987年にアメリカで発表された分類基準でした。それが昨年、23年ぶりに米国リウマチ学会と欧州リウマチ連盟が共同で新しい診断基準を提唱しました。これによって、早期診断が可能となり、速やかに治療できるようになりました。この診断基準の一番のポイントは、早期から関節リウマチと診断してもよいところにあるのですが、他の膠原病ではないと否定しなければならないことが大前提です。そこで専門医の知識が必要となります。全身性エリテマトーデスにしても、強皮症にしても関節炎は主要な症状として現れますが、それ以外の疾患の特徴によって鑑別することが可能になります。特に初期症状は、関節リウマチとよく似ていることもあり、簡単に診断してしまい実はSLEであったとわかった場合、本来の疾患の治療が手遅れになり、結果的に、腎臓が悪くなったり肺が悪くなったりして臓器病変を引き起こしてしまう可能性があります。生物学的製剤によって改善された患者さんのQOLメトトレキサートと生物学的製剤の併用によって飛躍的に治療は進歩しましたが、関節リウマチ全体でみると、3割の人には効きません。また、効果があった7割の中でも、その効果はまちまちで、劇的に効いて完治に近い状態の人もいれば、現状維持にとどまっている人など結果に幅があります。もちろん、今まで大きな効果を得る治療法がなかったのですから、それに比べれば改善されましたが、今までが悪すぎたからともいえる結果なのです。それでも、患者さんのQOLは飛躍的に改善されています。数十年前は、関節リウマチに罹患することによって、職業を持つ若い女性が痛みによって仕事ができなくなり、既婚者であれば主婦としての仕事がままならなくなり場合によっては離婚につながることもありました。しかし、今は仕事上何の制約もなく働くことができ、結婚し出産して一般的な生活をおくれる人が増えました。QOLの視点から考えると、やはり画期的な治療ができているといえるのではないかと思います。ただ、薬価が高いという問題は残っています。メトトレキサートの場合は、妊娠を考えたら計画的に投薬をストップしなくてはいけませんが、生物学的製剤、一部の抗リウマチ薬や免疫抑制剤については妊婦への処方もリスクが高くないとの報告もあります。ただし、まだデータが不十分なので、現状では妊娠したら薬は中断しています。もしも妊娠中に痛みがひどくなった場合はステロイドホルモンを使い、出産後、抗リウマチ薬に戻します。このように、妊娠を恐れることなく治療できるようになったのは女性の患者さんにとって朗報だと思います。関節リウマチの場合、人によっては妊娠すると一時的に痛みが治まることがあるのですが、分娩後には症状が悪化することがあるので、元の治療に戻すことが必要です。関節リウマチの治療薬は、ここ数十年で飛躍的に進歩していて、種類も多くそれぞれの特徴も複雑になってきているので、専門医でなければ適切な治療は難しいと思います。だからこそ疑わしいと思ったら専門医に相談してほしいのです。滑膜組織の炎症機序を探る関節リウマチは滑膜細胞が増殖することが問題で、その増殖した滑膜細胞から様々な炎症関連物質が分泌され、炎症の悪循環を作ります。糖代謝の領域ではよいとされるアディポネクチンという脂肪細胞が分泌するサイトカインを使ってみたら、炎症を悪化させてしまいました。これは東邦大学の我々のグループが見つけた結果なのですが、当大学の発表から少し遅れてドイツからも報告されました。アディポネクチンは一方では糖代謝をよくする動脈硬化についてはよいファクターであるのに、局所では炎症を悪化させるという二面性があり、これらの詳細な機序を明らかにするのが現在の研究テーマの一つです。早期発見で3ヵ月以内に抗リウマチ薬を投与リウマチと診断されたら3ヵ月を待たず、すぐに抗リウマチ薬を使うのは大原則となっています。これは大切なポイントで難しいところもあります。元は抗がん薬として使われていたメトトレキサートが週1日少量をリウマチの患者さんに使うと、症状が改善されるということがわかり、アメリカでは1988年、日本では1999年にリウマチの治療薬として認められました。さらに2000年代になって生物学的製剤ができ、リウマチ治療においてパラダイムシフトをもたらしたのです。関節リウマチによる変形は、炎症が続いて初めて変形していくわけで、炎症の初期段階で発見してそれを抑えることができれば、高い率で制することができます。しかし、中にはどうしても抑えることができない患者さんのケースもありますので、さらなる薬の研究、開発が待たれるところです。現在でも治療に難渋している率は2割から3割なのですが、7割から8割の患者さんは薬の進歩や治療でコントロールできています。関節リウマチは長期にわたる病気なので、すでに関節破壊が始まってしまった患者さんに関しては進行させない。早期に発見された患者さんの現状維持はもちろん、それ以上進行させない。すでに進行してしまっていても、関節破壊を起こさせないことが重要です。関節が痛くなったその時が発症と考えていいのですが、ただの痛みか関節リウマチなのかわからない期間はあります。痛みを重視するよりは、関節が腫れ始めて慢性的(数週間)に続いたら疑うべきです。以前は多関節に症状があることが基準となっていましたが、今は一関節でも慢性的な関節腫脹がみられ、リウマトイド因子が陽性であったり、抗CCPが陽性であるなどの検査値の異常を考慮した上で、関節リウマチと診断されるようになりました。昔よりもより早期に診断して、治療介入する方向になっています。ですが、患者さん自身がいつから腫れ始めたのかよくわかっていない場合もあります。とにかく関節が慢性的に腫脹していたら、専門医に診てもらうことをお勧めします。専門医ではなく整骨院で治療を始めて、痛みが治まらないので総合病院へ行ったが関節リウマチとは診断されず、治療が遅れてしまったというケースは、少なくありません。リウマトイド因子が陽性でないからリウマチじゃない、といわれることも多いのです。実は、このリウマトイド因子は関節リウマチ患者の7から8割しか陽性反応がでません。陰性反応だったあとの2から3割の人はリウマトイド因子は陰性なのに関節リウマチなのです。つまり、検査の数字だけに頼っていては、正確な判断は難しいといわざるを得ません。坑CCP抗体は関節リウマチには出ますが、全身性エリテマトーデスには出ないという特異性は確かにありますが、この検査ですら2から3割の人は陰性です。つまり、検査数値の結果が100%ではないことを念頭におかなければならないのです。医学生のみなさんへ関節リウマチは未知の病気ですので、やらなければいけない研究課題は山積しています。東邦医大大森病院では医師2名にスタッフ1名でのスタートでしたが、現在は12名に増えました。免疫疾患、慢性疾患なので、一般には循環器、消化器のような急変する病気ではありませんが、慢性的な病気の患者さんを長期にわたって管理して、病気をコントロールしていくというのは、医者の醍醐味でもあり使命でもあると思います。そのためには知識がなければ管理できませんし、世界の文献を調べて研究し自分なりに解釈して治療を行うというステップが必要なのです。それとともに、病気の原因を究明するための基礎研究もでき、臨床研究もできる。患者さんにも協力していただいて研究していくのは、今後のリウマチ治療研究において意味のあることです。学生にとっては治療も研究も両方を体験できる科であると思います。東邦大学はそこに力を注いでいます。私が当大学に来たのもそこが一番の理由で、臨床に携わりながら研究をし、多くの学生に教えていきたいと考えたからです。そして、立派なリウマチ専門医を育てたいと希望しています。私の教育方針としては、実際に患者さんを診てもらうようにしています。たとえば強皮症の場合、写真では見たことがあるかもしれませんが、実際に診て触ったことがなければ正確な鑑別診断はできません。臨床の所見をとることが、目で見て触ってというクラシカルな行為が、関節リウマチの診断に最も重要なことなのです。これは臨床の現場で教えないとなかなか伝わりません。研修の段階で一番重視している教育の一つです。また、鑑別診断では、総合的な視点が重要です。膠原病は様々な症状を引き起こします。関節だけでなく、心臓も肺も悪くなって皮膚病変もあった場合、科学技術や検査結果にのみ頼るのではなく"診る""触る"などの最も初歩的でクラシカルな診断力が必要とされます。診察所見を大事にする。これが臨床医の本流だと考えています。質問と回答を公開中!

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教授 川合眞一先生の答え

関節リウマチの診断基準現場では忠実に7項目のうち4項目以上の診断基準を満たせば診断されているのでしょうか?だとしたら3項目、2項目が陽性の患者にはどのように対応しておられるのでしょう?たとえばリウマトイド因子のみが高値の患者が診断されないとしたら、本来の早期発見の意味から解離してはいきませんか?Webでも紹介させていただいたように、関節リウマチ(RA)のお馴染の7項目の1987年の分類基準は、23年ぶりに改訂されました[Arthritis Rheum. 2010;62:2569-81、「今日の治療薬2011」(南江堂)の抗リウマチ薬の解説部分(p.298)に私が紹介しています]。その新分類基準の目的は、より早期の患者をRAと診断しようとするものですが、それでもご指摘のように点数が足りずにRAに分類できないということはあり得ます。しかし、ご理解いただきたいのは、これらは分類基準であって診断基準ではないことです。即ち、臨床研究を前提として一定の所見を持つ患者群を選び出すのが分類基準の本来の目的ですので、ある専門家が分類基準に当てはまらない例をRAと診断することを否定するものでは決してありません。ということで、実際にはかなり稀なことではありますが、私も分類基準を満足しない例をRAと診断することもございます。分類基準を満たさない患者にRA治療を行うか行わないかは患者によって異なりますが、一方でRAと診断しても治療を要さない例もある訳で、診断と治療とは別の問題です。なお、ご指摘のようなリウマトイド因子(RF)のみが高力価陽性という所見だけでしたら、私はRAと診断することはありません。RFは元々特異性が低い検査ですので、関節症状が全くなければ、むしろ他の自己免疫疾患や肝疾患などを考えた方が良いかもしれません。もちろん、健常者でもRF陽性の患者は将来的にRAなどの自己免疫疾患を発症する確率は若干高いという報告はありますので、他疾患も否定できるようなら、将来RAなどを発症する可能性はRF陰性の方よりは若干高いというご説明だけはしています。避難所での関節痛対処(関節リウマチの見分け方)について避難所を回っています。避難所では高齢者は座りっぱなしなので、関節痛を起こしています。単なる関節痛の方が多いとは思いますが、念のため、関節リウマチも念頭にいれて疑ってかかりたいです。自分で調べればよい話ですが、少し余裕がありません。なんかしらのチェックリストがあるとありがたいです。ご教示宜しくお願いします。高齢者に最も多い関節疾患は変形性関節症ですが、もちろん関節症状を訴える患者に関節リウマチ(RA)が含まれているかもしれません。しかしそういった場合には、通常、既にRAと診断された方が多いと思いますので、患者の訴え(既往歴)を聞くのが最も良い方法と思います。避難所で初発例に遭遇する可能性もないとは言えませんが、その場合は極めて早期の発症例ですので、診断はしばしば困難なことがあります。その場合は、チェックリストというよりは、前のご質問にお応えしたようにRA分類基準などを参考に診断することになります。前述しましたように「今日の治療薬2011」(南江堂)のp.298に紹介しております。薬がない関節リウマチ患者の応急対応について現在、薬剤を取り寄せてはいますが、薬が不足しています。薬がないからあきらめろとは言えません。薬がくるまでの間にできることはあるのでしょうか?私はリウマチ専門外です。アドバイスいただけると幸いです。関節症状が非常に強いときには原則として関節局所の安静を取る必要があります。ただし、あまり長く(数日間でも)極端な安静が続きますと筋力が低下し、動きが悪くなります。当然、長期的には関節可動域が減少してしまいます。そのため、痛い中でも若干は動かして関節可動域を保つことが必要ですが、その場合は「翌日痛みが増すようなら動かし過ぎ」という判断が宜しいように思います。なお、最近のRA治療は抗リウマチ薬が中心ではありますが、適切な効果・副作用モニタリングができる環境がなければ、投与はし難い薬です。薬がなければ仕方がないですが、ステロイドやNSAIDが手に入るようになりましたら、低用量のステロイド(プレドニゾロンでなるべく5 mg/日以下が望ましい)やNSAID(消化管潰瘍の既往がある方や高齢者ではプロトンポンプ阻害薬などを併用)で当面の痛みのコントロールをする方が安全かもしれません。もちろん、その後十分な環境が整えば、抗リウマチ薬を併用してステロイドとNSAIDは減量・中止を目指すことになります。皮膚科との連携私は大学病院で皮膚科医をしています。皮膚科でも膠原病の患者さんを診察することが多いです。膠原病は全身症状を合併することが多いため、治療はほぼ膠原病内科医にお任せしているのが現状です。皮膚科医として治療に参画できないのが非常にジレンマで、膠原病内科を勉強するために国内留学も考えたぐらいでした。膠原病内科医が皮膚科医に求める要素を教えてください。同じ疾患を違う専門家が診るのは非常に大事で、内科医の視点と皮膚科医の視点とは違うことがあります。例えば、臓器障害があるような例ではご指摘のように治療は内科が担当するかもしれませんが、皮膚科医の視点は内科医にとって非常に参考になりますので、病理所見も含めた皮膚所見のプロの視点を内科医にご教示いただければと存じます。もちろん、皮膚科の先生の内科での研修は膠原病内科の立場からは大歓迎です。併用についてメトトレキサート 使用時のステロイド NSAIDの併用について教えてください。メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)の基本的な治療薬ですので、ステロイドやNSAIDと併用される可能性は高いと思います。まず、ステロイドとは直接の薬物相互作用は知られていませんが、共に免疫抑制作用がありますので、両者の併用は単独よりは感染症が増加する可能性が考えられます。ただ、実際には大きな問題は生じません。一方、NSAIDとMTXの併用は、特にMTXの高用量を使用する癌治療では相互作用が指摘されています。NSAIDは腎血流量を減少させますので、両者の併用によりMTXの腎排泄が遅れ、血中濃度が高くなって骨髄抑制などの副作用を合併しやすくなるからです。ただ、RAにおけるMTX療法は週1-2日だけ、しかも少量投与です。その用法・用量範囲内では、仮にNSAID常用量を連日投与したとしても、明らかなMTXの副作用増加はみられないとされています。そうではありますが、NSAIDは既にRA治療に必須の治療薬ではなく、症状の緩和にのみ使われる対症療法薬という概念になっています。仮にMTXで十分な効果が得られた場合、最初に減量・中止すべきはNSAIDであると考えて治療に当たるべきと思います。若年性関節リウマチと成長痛との見分け方について町医者をやっている者です。専門は内科医ですが、小さな町なので幅広い症状をみています。特に中学生ですが、「成長痛」を訴えてくることが多々あります。昨年、少し様子がおかしい子がいたので、県立病院のリウマチ専門医を紹介して診てもらったところ、若年性関節リウマチと診断されました。それ以来、関節痛を訴えてくる中学生には、念のため、朝のこわばりはないか?聞くようにはしていますが、他に診察時に気をつけてみておいた方が良いことはありますでしょうか?ご教示お願いします。若年性関節リウマチ(JRA)は、最近ではより広い概念である若年性特発性関節炎(JIA)と呼ばれるようになりました。JIAは臨床所見でいくつかの群に分類され、治療法や予後などが異なっています。成長痛などと異なる診察時の特徴は、やはり明らかな関節腫脹が数週間持続することでしょう。中には発熱などの全身症状の強く出る患児もいます。血液検査をすれば、赤沈値や血清CRP濃度の増加などの全身性炎症所見がみられます。それらの所見からJIAが疑われたら、早い時期に先生がされたようにご専門の小児科医に紹介されるのが宜しいかと存じます。なお、リウマトイド因子は陰性であることが多いのですが、陽性の患児もいますので、JIAか否かの診断には役立ちません。関節リウマチの治療とリハビリについて関節リウマチの治療とリハビリについて教えてください。症状によって個人差はあるかと思いますが、一般的に「週に何回くらい診察があるのか?」「週に何回くらいリハビリを行うのか?」を知りたいと思っております。基本的な質問で恐縮ですが、最近田舎でクリニックを始めたばかりなので……。患者に聞かれて困っています。(ずっと大学にいました。一歩外に出ると専門外は何も分からないことに今更気づきました。。お恥ずかしい限りです。)メトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ薬を開始する場合は、私はまず2~4週毎の受診を患者に勧めます。もちろん、次の診察日前に何か副作用が疑われる症状を自覚したら、必ず予約外でも受診するようにも説明しています。その後症状が安定し、治療薬も変える必要がなくなったら、症状や薬によって若干違いますが1~3か月毎に診察しています。来院時には必ず採血や検尿で副作用や効果をモニタリングすることが重要で、我々の病院では診察前の採血および検尿結果をチェックしながら診察し、診察所見と検査結果に問題ないようなら治療を継続するようにしています。クリニックなどで当日の検査結果が得られない場合は診察のみで方針を決定するしかありませんが、その場合でも検査会社から例えば翌日検査結果が送られてきたら、なるべく早く内容をチェックし、好中球減少や肝機能障害などを調べる必要があります。心配な結果があれば患者に電話などで連絡し、臨時の受診をお勧めするなどの対策を取った方が安全です。リハビリについては決まった方法はありません。一般には自宅でのリウマチ体操をお勧めしていますが、Webなどで参照できますのでご確認ください。ここでは、公益財団法人日本リウマチ財団のホームページ (http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/taisou/taisou.html) を紹介いたします。もちろん専用のリハビリ施設をお持ちでリハビリ指導を積極的にされている施設もあり、そこでは症状に応じて週1~5回の外来指導が行われていることが多いと思います。さらに、入院でリハビリ治療を積極的に行っている病院もございます。 早期リウマチのMMP-3抗CCP抗体、CARF高値でMMP-3正常の早期リウマチではまだ関節滑膜の変化が少ない時期と考えてよろしいでしょうか。血液検査値だけでは関節滑膜の状態を判断することはできません。まずは、早期でも変化があることがあるのでレントゲン検査で骨・軟骨変化を診るのが基本と思います。さらに最近では超音波、ときにMRIなどで形態的な変化を診ることにより、総合して滑膜や骨・軟骨の変化を診断すべきと思います。早期リウマチの治療若い女性(22歳)、朝のこわばり(これは1時間以上)、両手指の第2,3PIPに痛みあります。検査は抗CCP抗体陽性、MMP-3やCRPは軽度上昇。最初に行う治療を教えてください。まず関節症状が痛みだけではなく腫れがあるかどうかを診察で確認します。ご質問には罹病期間の記載がありませんが、症状が1週間以内でしたら、私ならNSAIDを投与して経過をみます。明らかな腫れが2週間以上続いているようでしたら、重症度にもよりますが、サラゾスルファピリジン(SASP)を試みることもあります。関節腫脹や疼痛がかなり強いようでしたら最初からメトトレキサート(MTX)を始めることもありますが、妊娠を希望されている方には使えませんので、特に22歳という若い患者ではその点は十分に聞く必要があります。なお、MTXの胎児毒性は妊娠前に3か月の休薬をすることで回避できると言われています。仮に、MTX治療を開始後に患者が妊娠を希望されたら、MTXを中止してもその後3か月は避妊するように指導します。総括RA治療薬は最近の進歩が著しいので、治療に困ったらなるべく早く専門医に相談された方が良いように思います。また、RAと鑑別すべき類縁疾患は少なくありません。その意味では、診断に迷う患者についても、早い時期に専門医に相談されることをお勧めします。教授 川合眞一先生「関節リウマチ治療にパラダイムシフトをもたらした生物学的製剤」

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米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。DMARDs服用率は年々増加の傾向、85歳以上は65~69歳より30ポイント低い研究グループは、65歳以上のメディケア・マネジドケアプラン加入者で、2005~2008年に関節リウマチの診断を2回以上受けた、9万3,143人について調査を行った。被験者の平均年齢は74歳で、うち75%が女性、82%が白人だった。DMARDs服用率は、2005年の59%から、2008年には67%に増加していた(傾向p<0.001)。全体(2005~2008年)では、DMARDs服用率は63%だった。服用率は年齢により差がみられ、高齢になるほど服用率は減少した。85歳以上では、65~69歳の人に比べ、補正後-30ポイント(95%信頼区間:-29~-32)だった(p<0.001)。男性は3ポイント、低所得者は6ポイント低いまた、男性は女性よりも服用率が-3ポイント(同:-5~-2、p<0.001)、黒人は白人よりも-4ポイント(同:-6~-2、p<0.001)、低所得者は非低所得者よりも-6ポイント(同:-8~-5、p<0.001)、郵便番号を基準にした社会経済状況(5段階に分類)が低層の人は高層の人よりも-4ポイント(同:-6~2、p<0.001)、また加入保険プランが営利の入は非営利の人よりも-4ポイント(同:-7~0、p<0.001)それぞれ低かった。地理的傾向では、太平洋沿岸地域と比べて大西洋中部沿岸地域が-7ポイント(同:-13~-2、p<0.001)、大西洋南部沿岸地域が-11ポイント(同:-20~-3、p<0.001)と低かった。被験者が加入する保険プラン(245プラン)別に分析した結果では、服用率が16~87%と大きなばらつきが認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「ACTEMRA」が米国で承認を取得

中外製薬株式会社とF.ホフマン・ラ・ロシュ社[本社:スイスバーゼル市/CEO:セヴリン・シュヴァン](以下、ロシュ社)は9日、、ヒト化抗ヒトIL-6 レセプターモノクローナル抗体「ACTEMRA」(一般名:トシリズマブ〔遺伝子組換え〕)に関して、1剤以上のTNF阻害剤の効果が不十分な中等度から重症の成人の関節リウマチ(RA)を適応症として米国食品医薬品局より承認を取得したと発表した。ACTEMRAは中外製薬と大阪大学の共同研究の成果であり、米国では抗インターロイキン-6(IL-6)レセプターモノクローナル抗体として初めてRAを効能・効果として承認され、単剤もしくは、メトトレキサート(MTX)または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)との併用で使用できることになる。ACTEMRAは、IL-6の生物活性を特異的に阻害するように創製された初の薬剤。海外では、中外製薬とロシュ社との共同開発により、RA試験としては過去最大規模の世界40ヵ国、4,000名を超える5本の第III相臨床試験が実施されました。これらの試験ではACTEMRA単独投与またはMTXや他のDMARDsとの併用投与により、過去の治療歴や疾患の重症度に関わらずDMARDs単独投与と比較してRAの症状を有意に軽減することが証明されている。今回、ACTEMRAが欧州に続いて米国でも承認されたことにより、革新的な自社創製品が米国市場においても、ロシュ社を通じて販売されることになる。米国でのACTEMRAの販売は、ロシュ社の完全子会社であるジェネンテック社が行うという。中外製薬は、ロシュ社へACTEMRAの最終製剤を供給するとともに、ロシュ社が米国で販売した売上に対する一定のロイヤリティを受け取るとのこと。ACTEMRAは米国で2010年1月18日の週に発売予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/hc/ss/news/detail/20100109103000.html

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早期関節リウマチ、メトトレキサートとの併用薬としてTNF阻害薬が有効

 メトトレキサート(MTX)(商品名:リウマトレックスなど)単剤療法で良好な結果が得られなかった早期関節リウマチ(RA)患者においては、MTXへの追加併用薬として腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が、従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)よりも高い有用性を示すことが、スウェーデンKarolinska大学病院リウマチクリニックのR F van Vollenhoven氏らが実施した無作為化試験(Swefot試験)の1年間の解析で明らかとなった。早期RAに対する新たな治療戦略は急速な進展をみせている。MTXとTNF阻害薬の併用療法はMTX単剤療法よりも高い効果を示すが、MTX単剤でも20~40%の症例で良好な臨床効果が得られるという。Lancet誌2009年8月8日号掲載の報告。MTXへの追加併用薬としてのDMARDとTNF阻害薬を比較 Swefot試験の研究グループは、MTX治療で良好な結果が得られなかった早期RA対象に、MTXへの追加併用薬として、従来のDMARDであるスルファサラジン(商品名:アザルフィジンENなど)+hydroxychloroquineとTNF阻害薬であるインフリキシマブ(商品名:レミケード)の有用性を比較する臨床試験を行い、その1年間の結果を報告した。 スウェーデンの15のリウマチ専門施設から、症状発現期間が1年以内の早期RA患者が登録され、20mg/週を上限にMTX単剤治療が行われた。3~4ヵ月後に、MTX治療は耐用可能であったものの疾患活動性スコア(DAS)が「低(DAS≦3.2)」には達しなかった症例を対象に、MTXにスルファサラジン+hydroxychloroquineを併用投与する群あるいはインフリキシマブを併用投与する群に無作為に割り付けた。 主要評価項目は、12ヵ月の時点における欧州リウマチ学会(EULAR)の判定基準による“good response”の達成率とした。フォローアップは24ヵ月まで行われたが、ここに提示するのは12ヵ月の時点での解析結果である。TNF阻害薬を含む併用レジメンが優れるが、DMARDを完全に除外すべきではない 487例が登録され、MTX治療でDASの「低」を達成できなかった258例のうち、130例がスルファサラジン+hydroxychloroquine追加群に、128例がインフリキシマブ追加群に割り付けられた。 12ヵ月の時点でgood responseを達成したのは、スルファサラジン+hydroxychloroquine追加群が25%(32/130例)であったのに対し、インフリキシマブ追加群は39%(50/128例)と有意に優れていた(リスク比:1.59、p=0.0160)。 有害事象の発現状況は両群間でほぼ同等で、有害事象プロフィールは各薬剤の既知のものと一致していた。死亡例は両群とも認めていない。著者は、「MTX治療で良好な結果が得られなかった早期RA患者に対しては、MTXへの追加併用薬として従来のDMARDよりもTNF阻害薬の臨床的有用性が優れる」と結論したうえで、「早期RAの典型的な治療選択肢はTNF阻害薬を含む併用レジメンとみなしうるが、従来の抗リウマチ薬を完全には除外すべきでない」と指摘している。

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ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」の申請をFDAが受理

 中外製薬株式会社およびF.ホフマン・ラ・ロシュ(以下、ロシュ社)は7月31日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラの米国食品医薬品局(FDA)への生物学的製剤承認申請書(Biologics License Application:BLA)に関して、FDAから2008年9月に通達されたComplete Response Letterへの回答をロシュ社が提出し、FDAが受理したことを発表した。 アクテムラのBLAは、米国を含む41ヵ国で4,000人以上が参加した大規模な多国籍臨床試験の結果に基づいている。これらの試験ではアクテムラ単独投与またはmethotrexateなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDS)との併用投与により、過去の治療歴や疾患の重症度に関わらずDMARDS単独投与と比較してRAの兆候と症状を有意に軽減することが証明されている。2008年7月、FDAの関節炎諮問委員会は10対1でアクテムラの承認勧告を行っていた。 アクテムラは、ロシュ社と中外製薬の共同開発プログラムの一つ。5本の第III相臨床試験という大規模な臨床開発のプログラムがアクテムラの臨床評価のためにデザインされ、それぞれの試験で主要評価項目を達成しているという。アクテムラは日本で最初に承認され、2005年6月に中外製薬よりキャッスルマン病治療薬として上市された。2008年4月には、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎が追加効能として日本で承認されている。

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関節リウマチ治療剤T-614、追加試験の実施へ

富山化学工業株式会社とエーザイ株式会社は、日本で共同開発を進めてきた関節リウマチ治療剤T-614(一般名:イグラチモド)について追加試験の実施を決定したと発表した。そのため、承認申請をいったん取り下げることなる。T-614は富山化学工業株式会社が創製した疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)。今後、追加試験を速やかに進め、2011年度中の再申請を目指すという。詳細はプレスリリースへhttp://www.eisai.co.jp/news/news200908.html

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乾癬性関節炎に対するustekinumabの有効性と安全性を確認

乾癬性関節炎に対する抗インターロイキン(IL)-12/23ヒトモノクローナル抗体ustekinumabの有効性と安全性が、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験の第Ⅱ相試験の結果、確認された。この米国Tufts Medical CenterのAlice Gottlieb氏らによる試験結果は、Lancet誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月12日号)で掲載されている。乾癬性関節炎は乾癬患者の約11%が有し、抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤(抗TNF薬)が有効とされるが、治療に反応しない患者も存在し治療選択肢の拡充が求められていた。プラセボとの比較でACR20達成の臨床効果を検討試験は、北米および欧州の計24施設から活動性関節炎患者の参加を募り行われた。2005年12月21日から開始され146例が登録。それら患者を2群(グループ1:ustekinumab投与群、グループ2:プラセボ群)に割り付け実行された。グループ1の患者(76例)は、4週にわたり毎週(0週~第3週)ustekinumabを投与(90 mgもしくは63 mg)したのち、12週時点、16週時点ではプラセボを投与。グループ2の患者(70例)は、4週にわたり毎週プラセボを投与したのち、12週時点、16週時点でustekinumabが投与(63 mg)されるという試験デザインで、12週時点ではプラセボ対照試験が確立、マスキングは16週まで維持された。患者は36週時点まで追跡され、intention to treat解析にて評価。主要評価項目は、12週時点でのACR20(米国リウマチ学会が臨床効果として掲げる「ベースラインからの20%改善」目標)の達成状況とされた。投与群とプラセボ群との20%改善達成の差は28%、75%以上改善の差は47%12週時点で主要評価項目を達成したのは、グループ1では32例(42%)、グループ2では10例(14%)で、その差は28%(95%信頼区間:14.0~41.6、p=0.0002)だった。乾癬が体表面積3%以上に及ぶ患者(両群計124例、全体の85%)のうち、12週時点でグループ1では52%(33/63例)が、病変が占める体表面積および重症度指数について75%以上の改善を示した。グループ2では同5%(3/55例)で、両群の差は47%(33.2~60.6、p

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関節リウマチ患者、アダリムマブ、インフリキシマブ服用は帯状疱疹リスクが増大

関節リウマチ患者で、ヒト型抗TNF-αモノクロナール抗体のアダリムマブ(商品名:ヒュミラ)やインフリキシマブ(同:レミケード)を服用する人は、そうでない人に比べ、帯状疱疹の発症リスクが増大するようだ。一方、抗TNF-αクラスの薬全体、また完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプターのエタネルセプト(同:エンブレル)のみでは、同リスクの増大は認められなかった。ドイツGerman Rheumatism Research CenterのAnja Strangfeld氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年2月18日号で発表されている。抗TNF-αクラスまたは抗リウマチ薬(DMARDs)服用の5,000人超を調査同氏らは、2001~2006年にかけて、抗TNF-αクラスの薬または抗リウマチ薬(DMARDs)を服用する5,040人の関節リウマチ患者について、調査した。追跡期間中、帯状疱疹を発症したのは、合わせて82人(86イベント)だった。そのうちアダリムマブかインフリキシマブを服用していたのは39イベント、エタネルセプトが23イベント、DMARDsが24イベントだった。補正前の帯状疱疹発症率は、アダリムマブ/インフリキシマブ群が11.1件/千患者・年、エタネルセプト群が8.9件/千患者・年、DMARDs群が5.6件/千患者・年だった。アダリムマブ/インフリキシマブ群の補正後ハザード比は1.82補正後の帯状疱疹発症に関するハザード比は、アダリムマブ/インフリキシマブ群が1.82(95%信頼区間:1.05~3.15)と有意に高かった。一方、抗TNF-αクラス全体としては、同ハザード比は1.63(同:0.97~2.74)、エタネルセプト群では同ハザード比は1.36(同:0.73~2.55)と、有意差は見られなかった。ただし、アダリムマブ/インフリキシマブ群のハザード比1.82は、同氏らが事前に定めた臨床最低基準には達していなかった。そのため同氏らは、ヒト型抗TNF-αモノクロナール抗体と帯状疱疹のリスク増大の関連については、さらなる研究が必要だとしている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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アダリムバブは若年性関節リウマチに対し有効

本論は、関節リウマチの新しい治療薬として国内では2008年2月に承認された、生物学的製剤の一種である抗TNFαモノクローナル抗体アダリムバブ(商品名:ヒュミラ)の有効性と安全性に関する、国際共同研究グループからの報告。若年性関節リウマチ患児を対象としたもので、Daniel J. Lovell(シンシナティ小児病院医療センター)らは「アダリムバブ療法は有効である」と報告した。NEJM誌2008年8月21日号より。MTX併用有無で有効性を比較非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与を受けたことのある活動性若年性関節リウマチの患児(4~17歳)を、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)使用の有無で層別化し、16週間にわたり隔週で、アダリムバブを体表面積1平方m当たり24mg(最大40mg)皮下投与した。その後16週の時点で、米国リウマチ学会の小児基準「ACR Pedi 30」を有する患児に対して、さらに最大32週間にわたり隔週で、二重盲検下にて無作為に、アダリムバブ投与群とプラセボ投与群に割り付け投与を行った。16週時点でACR Pedi 30を有する患児は、MTX未使用群74%(86例中64例)、MTX併用群では94%(85例中80例)だった。併用群では疾患再燃は有意に低く症状改善の割合も大きい主要転帰の疾患再燃は、MTX未使用患児では、+アダリムバブ投与群43%、+プラセボ投与群71%だった(P=0.03)。MTX併用患児では、+アダリムバブ群37%、+プラセボ群65%であった(P=0.02)。48週の時点で、ACR Pedi 30、同50、同70、同90を有する患児の割合は、MTX併用患児の場合、プラセボ群よりアダリムバブ群のほうが有意に大きかった。しかし、MTX未使用患児の場合は、アダリムバブ群とプラセボ群の間に有意差はなかった。有効率は治療から104週間後も維持された。アダリムバブ投与に関連すると考えられる重篤な有害事象は14例で、このうち7例は重症感染症だった。以上から、「アダリムバブによる治療は、若年性関節リウマチの小児に対する有効な選択肢と考えられる」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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