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活性型ビタミンD3がサルコペニアを予防/産業医大

 前糖尿病と糖尿病はサルコペニアの独立した危険因子であることが報告されている1)。今回、前糖尿病患者への活性型ビタミンD3投与がサルコペニアを予防するかどうか調べた結果、筋力を増加させることでサルコペニアの発症を抑制し、転倒のリスクを低減させる可能性があることが、産業医科大学病院の河原 哲也氏らによって明らかにされた。Lancet Healthy Longevity誌オンライン版2024年2月29日号掲載の報告。 これまでの観察研究では、血清25-ヒドロキシビタミンD値とサルコペニア発症率との間に逆相関があることが報告されている2)。しかし、ビタミンDによる治療がサルコペニアを予防するかどうかは不明である。そこで研究グループは、活性型ビタミンD3製剤エルデカルシトールによる治療が前糖尿病患者のサルコペニアの発症を抑制するかどうかを評価するため、「Diabetes Prevention with active Vitamin D study(DPVD試験)※」の付随研究を実施した。※DPVD試験:前糖尿病の成人における2型糖尿病の1次予防として、活性型ビタミンD治療の効果を調査した多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。国内32施設で実施された。 対象は、耐糖能異常(75g経口ブドウ糖負荷試験で空腹時血糖値<126mg/dLおよび負荷後2時間値140~199mg/dL、かつHbA1c<6.5%)を有し、サルコペニアではない30歳以上の男女1,094例であった。エルデカルシトール(0.75μgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、ITT集団における3年間のサルコペニア発症率で、その定義は握力が弱い(男性28kg未満、女性18kg未満)、骨格筋指数が低い(生体電気インピーダンス分析で男性7.0kg/m2未満、女性5.7kg/m2未満)こととした。副次評価項目は、3年間の転倒の発生率、握力と体組成の変化であった。 主な結果は以下のとおり。・解析にはエルデカルシトール群548例、プラセボ群546例が組み込まれた。平均年齢60.8歳、女性44.2%、平均BMI値24.5、2型糖尿病の家族歴があったのは59.5%であった。・約3年間の追跡期間中にサルコペニアを発症したのは、エルデカルシトール群4.6%、プラセボ群8.8%であり、エルデカルシトールによる治療は有意なサルコペニア予防効果を示した(ハザード比[HR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.31~0.83、p=0.0065)。・転倒の発生は、エルデカルシトール群24.6%、プラセボ群32.8%で有意差が認められた(HR:0.78、95%CI:0.62~0.97、p=0.0283)。・BMIと腹囲径の変化は両群で有意差は認められなかったものの、エルデカルシトール群ではプラセボ群よりも脂肪量指数が有意に減少し(-0.15% vs.0.31%、p=0.028)、骨格筋指数が有意に増加し(0.45% vs.-1.72%、p<0.0001)、握力も増加した(1.85% vs.0.45%、p=0.0003)。・有害事象の発生率は両群間で有意差は認められなかった。 これらの結果より、研究グループは「活性型ビタミンD3製剤エルデカルシトールの治療によって、骨格筋量および筋力を増加させることにより、前糖尿病患者のサルコペニアの発症を予防し、転倒のリスクを大幅に減少させる可能性を見出した。今後はサルコペニアや前糖尿病の有無にかかわらず高齢者を対象とした臨床試験を実施する予定である」とまとめた。

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第207回 コーヒーの成分トリゴネリンが老化に伴う筋肉消耗を防ぐ

コーヒーに豊富な成分トリゴネリンが老化に伴う筋肉の減少や筋力の低下(サルコペニア)の治療効果を担いうることが示されました1-3)。サルコペニアは筋肉、筋力、歩く速度の病的な減少/低下を特徴とし、分子や細胞の老化病変の組み合わせと筋線維消耗が筋収縮を障害することで生じます。それら数ある病変の中でもミトコンドリア機能不全は顕著であり、ミトコンドリアの新生が減ることやミトコンドリア内での呼吸反応やATP生成が減ることなどが筋肉老化の特徴に寄与することが明らかになっています。サルコペニア患者の筋肉はそのようなミトコンドリア機能不全に加えて、補酵素の1つニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の減少を示すことがシンガポール、英国、ジャマイカの高齢者119人を調べた先立つ試験で示されています4)。NAD+は代謝に不可欠で、ビタミンB3の類いから作られます。新たな研究では筋肉のミトコンドリア機能不全やNAD+代謝異常と全身の変化の関連を目指してサルコペニア患者と健康な人の血清代謝物が比較されました。その結果、コーヒーなどの植物に存在し、ヒトの体内でもNAD+と同様にビタミンB3からいくらか作られるアルカロイドであるトリゴネリンがサルコペニア高齢者の血中には少ないことが判明しました。また、トリゴネリンの血清濃度がより高い人ほど筋肉がより多く、握力がより強く、より早く歩けました。サルコペニア患者とそうでない健康な人から採取した筋肉組織(筋管)にトリゴネリンを加えたところ、サルコペニアかどうかを問わずNAD+が増加しました。続いて個体レベルでの効果が検討され、線虫やマウスにトリゴネリンが与えられました。するとミトコンドリア活性が向上し、筋力が維持され、老化に伴う筋肉消耗を防ぐことができました。また、トリゴネリンで線虫はより長生きになり、老化マウスの筋肉は強度の収縮時の疲労が少なくて済むようになりました。今回の研究によるとトリゴネリンはサルコペニアやその他の老化病態に有効かもしれず、サルコペニアの予防や治療の効果を臨床試験で検討する価値があるようです3)。コーヒーでトリゴネリンは増やせる?コーヒーを飲んでトリゴネリンが増えるならコーヒー好きには朗報ですが、話はそう簡単ではないようです。今回の試験の一環で調べられた高齢者186人の血清トリゴネリン濃度はカフェインやビタミンB3摂取レベルと無関係でした。また、トリゴネリン血清濃度と握力の関連はカフェインやビタミンB3摂取の補正の影響を受けませんでした。試験の被験者がコーヒーをあまり飲まない中東地域(イラン)であったことがトリゴネリン血清濃度とカフェイン摂取の関連が認められなかったことの原因かもしれないと著者は言っています。トリゴネリンとコーヒーの関連はまだ検討の余地があるようですが、お隣の韓国での試験でコーヒーをよく飲む人にサルコペニアが少ないことが示されています5)。トリゴネリンの寄与のほどは定かではありませんが、コーヒーを1日3杯以上飲む人は1日1杯未満の人に比べてサルコペニアの有病率が60%ほど低いという結果が得られています。参考1)Membrez M, et al. Nat Metab. 2024 Mar 19. [Epub ahead of print] 2)Natural molecule found in coffee and human body increases NAD+ levels, improves muscle function during ageing / Eurekalert3)Substance in coffee may improve muscle health in older age / Universities of Southampton4)Migliavacca E, et al. Nat Metab. 2019;10:5808.5)Chung H, et al. Korean J Fam Med. 2017;38:141-147.

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普段から活発な高齢者、新型コロナ発症や入院リスク低い

 健康のための身体活動(PA)は、心血管疾患(CVD)、がん、2型糖尿病やその他の慢性疾患の予防や軽減に有効とされているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や入院のリスク低下と関連することが、米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のDennis Munoz-Vergara氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2024年2月13日に掲載の報告。 本研究では、COVID-19パンデミック以前から実施されている米国成人を対象とした次の3件のRCTのコホートが利用された。(1)CVDとがんの予防におけるココアサプリメントとマルチビタミンに関するRCT、65歳以上の女性と60歳以上の男性2万1,442人、(2)CVDとがんの予防におけるビタミンDとオメガ3脂肪酸に関するRCT、55歳以上の女性と50歳以上の男性2万5,871人、(3)女性への低用量アスピリンとビタミンEに関するRCT、45歳以上の女性3万9,876人。 本研究の主要アウトカムは、COVID-19の発症および入院とした。2020年5月~2022年5月の期間において、参加者はCOVID-19検査結果が1回以上陽性か、COVID-19と診断されたか、COVID-19で入院したかを回答した。PAは、パンデミック以前の週当たり代謝当量時間(MET)で、非活動的な群(0~3.5)、不十分に活動的な群(3.5超~7.5未満)、十分に活動的な群(7.5以上)の3群に分類した。人口統計学的要因、BMI、生活様式、合併症、使用した薬剤で調整後、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19による入院について、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて非活動的な群とほかの2群とのオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・6万1,557人(平均年齢75.7歳[SD 6.4]、女性70.7%)が回答した。そのうち20.2%は非活動的、11.4%は不十分に活動的、68.5%は十分に活動的だった。・2022年5月までに、COVID-19の確定症例は5,890例、うち入院が626例だった。・非活動的な群と比較して、不十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.96、95%CI:0.86~1.06)または入院リスク(OR:0.98、95%CI:0.76~1.28)に有意な減少はみられなかった。・一方、非活動的な群と比較して、十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.90、95%CI:0.84~0.97)および入院リスク(OR:0.73、95%CI:0.60~0.90)に有意な減少がみられた。・サブグループ解析では、PAとSARS-CoV-2感染との関連は性別によって異なり、十分に活動的な女性のみが感染リスクが低下している傾向があった(OR:0.87、95%CI:0.79~0.95、相互作用p=0.04)。男性では関連がなかった。・新型コロナワクチン接種状況で調整後に解析した場合も、非活動的な群と比較して不十分に活動的な群は、感染と入院のORはほとんど変化しなかった。・新型コロナワクチンは、PAレベルに関係なく感染と入院のリスクを大幅に減少させた。感染リスクはOR:0.55、95%CI:0.50〜0.61、p<0.001、入院リスクはOR:0.37、95%CI:0.30~0.47、p<0.001。

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週3個以上の卵が脂肪性肝疾患と高血圧を予防?

 卵の摂取が脂肪性肝疾患(steatotic liver disease)と高血圧症に対する保護的な効果を示し、週3個以上の摂取でそれらの発症リスクがより低くなることを、イタリア・Saverio de BellisのRossella Tatoli氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年1月31日号掲載の報告。 卵にはミネラルやビタミンなどの豊富な栄養素が含まれているが、コレステロール含有量も卵黄1個当たり180~225mgと多いため、しばしば生活習慣病の“悪者”扱いされることがある。しかし、これまで卵の摂取と疾患、とくに脂肪性肝疾患のリスクとの関連を調査した研究は乏しく、さらにその結果には一貫性がない。そこで、研究グループは、脂肪性肝疾患や高血圧症の発症リスクに対する卵摂取の影響を調査した。 研究グループは、南イタリアの胆石症に関する多施設コホート研究であるMICOLプロジェクト(2017年開始)から60歳以上の908人を抽出して解析した。脂肪性肝疾患と高血圧症の有無によって、(1)脂肪性肝疾患なし/高血圧症なし、(2)脂肪性肝疾患なし/高血圧症あり、(3)脂肪性肝疾患あり/高血圧症なし、(4)脂肪性肝疾患あり/高血圧症ありの4つのグループに分類し、卵の摂取量との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。●脂肪性肝疾患なし/高血圧なしは236例(平均年齢61.3歳、男性49.2%)、脂肪性肝疾患なし/高血圧症ありは176例(70.5歳、50.0%)、脂肪性肝疾患あり/高血圧症なしは209例(61.7歳、60.3%)、脂肪性肝疾患あり/高血圧症ありは287例(69.2歳、57.1%)であった。●1日当たりおよび1週間当たりの卵摂取量は、脂肪性肝疾患なし/高血圧なしのグループで最も多かった。●1週間当たり3個以上の卵の摂取は、脂肪性肝疾患なし/高血圧症あり、脂肪性肝疾患あり/高血圧症ありとなるリスクを有意に低減させた。リスク比(95%信頼区間)とp値は以下のとおり。・脂肪性肝疾患なし/高血圧症あり:0.21(0.07~0.62)、0.005・脂肪性肝疾患あり/高血圧症なし:0.73(0.36~1.47)、0.38・脂肪性肝疾患あり/高血圧症あり:0.34(0.15~0.73)、0.006●この関連は、年齢、性別、1日の摂取カロリーで調整した後も同様であった。

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緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症【非専門医のための緩和ケアTips】第70回

第70回 緩和ケアでもよく経験する高カルシウム血症緩和ケアでは、急性期ほど頻繁に検査は行いませんが、そうした中でも検査がカギとなる疾患もあります。そのうちの1つが高カルシウム血症です。どのようなときに、この疾患を疑うべきなのでしょうか?今日の質問訪問診療で担当する終末期の肺がん患者さん。1週間ほどでどんどん意識状態が悪化し、経過が速いことを心配して採血をしたところ、カルシウム値がかなり上昇していました。基幹病院に搬送したところ、回復して食事摂取も可能となりました。こうしたことは、よくあるのでしょうか?今回のご質問は、がん患者の高カルシウム血症についてです。私もこうした状況はよく経験します。文献にもよりますが、がん患者の10〜20%に高カルシウム血症が生じるという報告もあります。高カルシウム血症を疑う症状としては、倦怠感や口渇、多飲、便秘などがあります。可逆性も期待できる病態ですが、重症になるとせん妄や意識障害を引き起こすことがあります。がん患者に生じやすい電解質異常だと知ったうえで、これらの症状に注意して診療することが重要です。臨床的に問題になるのは、進行したがん患者には、そもそもの病状進行やオピオイドの使用などによって傾眠をはじめ、さまざまな症状が生じることです。こうした要素がある分、高カルシウム血症を疑うタイミングが遅れてしまうことがよくあります。今回の質問者はファインプレーをした、という見方もできるでしょう。がん患者の高カルシウム血症の治療は、ビスホスホネートの投与と脱水の補正が中心となります。私が研修医の頃は、まだビスホスホネートがなかったので、大量に輸液をしていました。最近は脱水の補正ができれば十分、という推奨が増えています。ここまで、がん患者における高カルシウム血症を中心にお話ししましたが、非がん患者でもこの病態が問題になることがあります。さて、ここからは私の失敗談です。患者は80歳代の女性。頸部骨折の手術後にリハビリ入院をした際に、私の担当となりました。入院からしばらくして、それまで元気だったのに、突然意識障害が進行しました。採血するとカルシウム値が非常に高くなっています。原因は、手術前から継続していたビタミンDでした。入院後に軟便で脱水になったタイミングがありましたが、その際も内服を継続しました。脱水傾向が出ているにもかかわらず内服を継続したことでカルシウム値が上昇し、さらに脱水が悪化する、という悪循環が生じていたのです。身体状況の変化で調整が必要になった薬剤に気付かず、高カルシウム血症を生じさせてしまった……。この苦い経験を通じて、緩和ケアに限らず、高齢者の診療では高カルシウム血症の可能性を忘れないようにしよう、と誓いました。今回は私の失敗談も含めてお話ししました。皆さまの参考になれば幸いです。今日のTips今日のTipsがん患者、とくに高齢患者では、高カルシウム血症を常に疑う。

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フレイル、「やせが多い」「タンパク質摂取が重要」は誤解?

 人生100年時代といわれ、90歳を迎える人の割合は女性では約50%ともされている。そのなかで、老衰が死因の第3位となっており1)、老衰の予防が重要となっている。また、要介護状態への移行の原因の約80%はフレイルであり、フレイルの予防が注目されている。 そこで、2024年1月26日(腸内フローラの日)に、青森県りんご対策協議会が「いま注目の“健康・長寿”における食と腸内細菌の役割 腸内細菌叢におけるりんごの生体調節機能に関する研究報告」と題したイベントを開催した。そのなかで、内藤 裕二氏(京都府立医科大学大学院 医学研究科 教授)が「京丹後長寿研究から見えてきたフレイルの現状~食と腸内細菌の役割~」をテーマに、日本有数の長寿地域とされる京丹後市で実施している京丹後長寿コホート研究から得られた最新知見を紹介した。フレイルの4つのリスク因子、やせではなく肥満がリスク 内藤氏はフレイルのリスク因子は、大きく分けて4つあることを紹介した。1つ目は「代謝」で、糖尿病や高血圧症、がんの既往歴、肥満などが含まれる。実際に、京丹後市のフレイルの人にはやせている人はほとんどいないとのことである。2つ目は「睡眠」で、睡眠時間ではなく睡眠の質が重要とのことだ。3つ目は「運動」で、日常的な身体活動度の低さがリスク因子になっているという。4つ目は「環境」で、これには食事、薬剤、居住地などが含まれる。このなかで、内藤氏は運動と食事の重要性を強調した。高タンパク質食はフレイルの予防にならない!? 厚生労働省が公開している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上の高齢者のフレイルやサルコペニアの発症予防には、少なくとも1g/kg/日以上のタンパク質摂取が望ましいとしている2)。しかし、内藤氏はこれだけでは不十分であると指摘した。高齢者の高タンパク質食は、サルコペニアの発症予防にならないどころか発症のリスクとなっているという報告もあり3)、単純にタンパク質を多く摂取すればよいわけではないことを強調した。フレイル予防に有用な栄養素とは? 内藤氏は、京丹後長寿コホート研究でフレイルと非フレイルを比較した結果を報告した(未発表データ)。3大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)について検討した結果、フレイルの有無によって脂質や炭水化物の摂取量には差がなく、タンパク質についても植物性タンパク質がフレイル群でわずかに少ないのみであった。しかし、6大栄養素(3大栄養素+ミネラル、ビタミン、食物繊維)に範囲を広げて比較すると、フレイル群はカリウムやマグネシウム、ビタミンB群、食物繊維の摂取が少なかった。また、食物繊維を多く含む食品のなかで、その他野菜(非緑黄色野菜)や豆類の摂取がフレイル群で少なかったことも明らかになった。 京丹後長寿コホート研究では、食物繊維の摂取が腸内細菌叢にも影響することもわかってきた。食物繊維の摂取と酪酸産生菌として知られるEubacterium eligensの量に相関が認められたのである。Eubacterium eligensの誘導に重要な食物繊維はペクチンであり4)、内藤氏は「りんごにはペクチンが多く含まれており、フレイル群で不足していたカリウムやマグネシウムも多く含まれているので、フレイル予防に役立つのではないか」と述べた。 食物繊維について、現在の日本人の食事摂取基準2)では成人男性(18~64歳)は21g/日以上、15~64歳の女性は18g/日以上が摂取目標値とされている。しかし、最新の世界保健機関(WHO)の基準では、10歳以上の男女は天然由来の食物繊維を25g/日摂取することが推奨されているため5)、内藤氏は「日本が世界基準に遅れをとっていることを認識してほしい」と述べた。

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第199回 コロナ感染でくしゃみが生じる仕組みを発見/コロナ感染でドーパミン神経が老化する

コロナ感染でくしゃみが生じる仕組みを発見新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染でよく生じる症状の1つ、くしゃみを誘発する仕組みが見つかりました。SARS-CoV-2は手持ちのプロテアーゼPLpro(パパイン様プロテアーゼ)を頼りに複製します。そのPLproが感覚神経の一員である侵害受容神経を活性化してくしゃみを誘発することがマウスを使った検討で明らかになりました1)。ウイルス感染の別の主な症状である咳をPLproが促すかどうかは検討されませんでした。というのもマウスの咳を確かめようがなかったからです2)。しかしPLproが咳も引き起こしている可能性はありそうです。PLproは侵害受容神経で発現するイオンチャネルTRPA1を介した作用により、くしゃみや痛みを誘発することが今回の研究で示されました。TRPA1活性化の咳誘発作用が先立つ研究で知られており3)、PLproが咳も誘発するかどうかを調べることは価値がありそうです。PLproはSARS-CoV-2の複製に不可欠なことから、その阻害薬の開発が進んでいます。たとえばビタミンA誘導体イソトレチノンにPLpro阻害作用があると示唆されており、Clinicaltrials.govには同剤による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療の臨床試験がいくつか登録されています。また、米国・Sound Pharmaceuticals社の開発品ebselenもどうやらPLpro阻害作用があるらしく、COVID-19患者を対象にした2つの第II相試験が進行中です。今回の結果によるとそれらPLpro阻害薬はこれまでの見込み以上の症状緩和作用や感染の拡大を防ぐ作用を担いうるかもしれません。くしゃみを誘発するウイルスはほかにもありますが、そもそもウイルス感染のくしゃみの原因はこれまでわかっていませんでした。今回見つかった仕組みはSARS-CoV-2のみならず、そのほかのウイルス感染の症状や感染の伝播を減らす手段の開発にも役立ちそうです2)。コロナ感染でドーパミン神経が老化する続いて、SARS-CoV-2が神経に支障を来す仕組みを同定し、COVID-19患者のパーキンソン病症状の発生に注意する必要があることを示唆した研究成果を紹介します。COVID-19の嗅覚/味覚障害や頭痛などの神経異常はますます広く知られるようになっています。神経のSARS-CoV-2感染のしやすさは一様ではないらしく、たとえばiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作ったドーパミン放出(DA)神経はSARS-CoV-2感染を許し、皮質神経はそうでないことが先立つ研究で示されています。新たな研究の結果、SARS-CoV-2感染したiPS細胞由来DA神経はパーキンソン病と関連する老化状態に陥ることが示されました4,5)。SARS-CoV-2感染で老化経路の活性化がみられたのはDA神経細胞のみで、肺を模す組織(肺オルガノイド)、膵臓細胞、肝臓オルガノイド、心臓細胞のSARS-CoV-2感染では老化経路遺伝子の有意な働きは認められませんでした。そういう神経老化を防ぎうる手段も早くも同定されました。検討されたのは米国FDA承認薬一揃いで、まずそれらをiPS細胞由来DA神経に与え、次にSARS-CoV-2を加えた後に細胞老化の生理指標βガラクトシダーゼ(β-gal)活性が測定されました。その結果やほかの検討により、3つの薬・リルゾール、イマチニブ、メトホルミンがDA神経へのSARS-CoV-2感染を阻止してその老化を防ぐことが判明しました。筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療に使われるリルゾールとSARS-CoV-2感染の関わりは知られていませんが、イマチニブのSARS-CoV-2阻止作用は肺オルガノイドを使った先立つ研究で確認されています。メトホルミンといえばSARS-CoV-2感染した肥満や2型糖尿病患者の死亡率低下と同剤使用の関連が示されており、COVID-19治療効果を担いうることが知られています。それら薬剤がSARS-CoV-2感染に伴う神経病変を解消しうるかどうかは今後調べる価値がありそうです。また、SARS-CoV-2感染した人にパーキンソン病関連症状が発生していないかどうかを注意して観察する必要がありそうです。パーキンソン病で損傷を受けやすいのが脳の黒質のDA神経A9型であるのと同様に、そのA9型はSARS-CoV-2にどうやらとくに影響を受けやすいことが今回の研究で示唆されています。参考1)Mali SS, et al. bioRxiv. 2024 Jan 11. [Epub ahead of print]2)Why does COVID-19 make you sneeze? / Science3)Grace MS, et al. Pulm Pharmacol Ther. 2011;24:286-288.4)Yang L, et al. Cell Stem Cell. 2024 Jan 10. [Epub ahead of print]5)SARS-CoV-2 Can Infect Dopamine Neurons Causing Senescence / Weill Cornell Medicine

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ビタミンDは高齢者の風邪を減らせるか、RCTで検証

 毎日のビタミンD補給がビタミンD欠乏症において急性呼吸器感染症のリスクを低下させたという報告がある一方で、異なる集団・条件下で行われた試験では無効という結果が報告されている。米国・ハーバード大学医科大学院のCarlos A. Camargo氏らは、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の補給に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(VITAL)のデータを用いて高齢者の上気道感染症リスクに対するビタミンD補給の影響を評価した。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月19日号への報告。 VITAL試験は、心血管疾患やがんなどの既往のない健康な男性(50歳以上)および女性(55歳以上)が対象。事前に指定された本分析では、ベースライン時における血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値が利用可能な参加者1万5,804人(61%)を対象に、ビタミンD3補給群(2,000IU/日)とプラセボ群が比較された。主要アウトカムは1年の追跡調査時における自己報告による最近の上気道感染であった。 主な結果は以下のとおり。・参加者の平均年齢は68歳、51%が女性、76%が非ヒスパニック系白人、16%が黒人、8%がそのほかの人種/民族であった。・ベースライン時点で、平均血清25(OH)D値は31ng/mLであり、377人(2.4%)で<12ng/mLであった。・最近の上気道感染はビタミンD3補給群で816件(10.8%)、プラセボ群で858件(11.5%)報告され、ビタミンD補給の効果は有意ではなかった(オッズ比[OR]:0.96、95%信頼区間[CI]:0.86~1.06)。・最近の上気道感染のORは、血清25(OH)D値がベースラインで高かった集団(OR:0.92~1.00)と比較して<12ng/mLの集団(OR:0.64)では低かったが、その差は有意ではなかった(交互作用のp=0.30)。・事前に規定されたサブグループ(血清25[OH]D値<12ng/mLでビタミンD補給なし、255人)における最近の上気道感染のORは低かったが、有意な差はみられなかった(OR:0.60、95%CI:0.28~1.30)。・ほかのサブグループにおける効果修飾因子を評価するための統計学的検出力は限定的であった。 著者らは、「ビタミンD欠乏症の有無によって選別しない健康な高齢者全体において、ビタミンD補給は上気道感染症リスクを低下させなかった」とし、「効果がサブグループ間で異なるかどうかについては、さらなる研究が必要」としている。

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潰瘍性大腸炎リスクがコーヒーや炭酸飲料の摂取で減少/日本人での研究

 食事は潰瘍性大腸炎リスクに影響する可能性があるが、日本人でのエビデンスは乏しい。今回、日本潰瘍性大腸炎研究グループが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を症例対照研究で検討した。その結果、欧米よりコーヒーの摂取量が少ない日本においても、コーヒーやカフェインの摂取が潰瘍性大腸炎リスクの低下と関連することが示された。愛媛大学の田中 景子氏らがJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年12月10日号で報告。潰瘍性大腸炎リスクはカフェインの総摂取量と逆相関 本研究では、潰瘍性大腸炎の症例群として384人、対照群として665人が参加した。コーヒー、カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、チョコレート菓子の摂取量について半定量的食物摂取頻度調査票を用いて調査し、性別、年齢、喫煙、飲酒量、虫垂炎既往、潰瘍性大腸炎の家族歴、学歴、BMI、ビタミンC、レチノール、総エネルギー摂取量で調整した。なお、本研究は厚生労働科学研究費補助金の「潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究」班として実施された。 コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を検討した主な結果は以下のとおり。・コーヒーと炭酸飲料の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが減少し、有意な用量反応関係が認められた。一方、チョコレート菓子の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが有意に高かった。・カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶の摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連は認められなかった。・カフェインの総摂取量は潰瘍性大腸炎リスクと逆相関し、両極の四分位間の調整オッズ比は0.44(95%信頼区間:0.29~0.67)であった。

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12月13日 ビタミンの日【今日は何の日?】

【12月13日 ビタミンの日】〔由来〕1910年の今日、鈴木梅太郎博士(農芸化学者)が、米糠から抽出した成分を「オリザニン」と命名し、東京化学会で発表した。このオリザニンは後に、ビタミンB1(チアミン)と同じ物質であることが判明し、「ビタミン」と呼ばれるようになったことを記念し「ビタミンの日」制定委員会が2000年に制定。関連コンテンツ点滴用複合ビタミン剤でアナフィラキシー【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】動脈硬化性疾患予防への有効性が期待されているビタミンは?【一目でわかる診療ビフォーアフター】ビタミンCってなあに?【患者説明用スライド】ビタミンD、p53免疫反応性の消化管がんの再発/死亡を抑制ビタミンD不足で認知症リスク上昇~コホート研究

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毎日のナッツ摂取は男性の生殖能力を上げる効果があるのか

 ナッツ類には、オメガ3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれているため、定期的な摂取は健康に良いとされている。では、ナッツは生殖機能の改善にも貢献するのであろうか。オーストラリア・モナシュ大学栄養・栄養摂取・食物学科のBarbara R. Cardoso氏らの研究グループは、ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、栄養学的にナッツの摂取が生殖能力を高めることが示唆された。Advances in Nutrition誌オンライン版2023年11月17日号に掲載。毎日60gのナッツ摂取で男性の精子の運動率が増加 本研究は、Ovid MEDLINE、Embase、CINAHL、Scopusを2023年6月30日まで検索。対象とした論文は、生殖可能年齢(18~49歳)の男女を対象とした介入研究または観察研究で、食事からのナッツ摂取(最低3ヵ月)が妊孕性に関連する転帰に及ぼす影響・関連を評価したもの。 ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った主な結果は以下のとおり。・健康な男性における精子の総運動率、活力、形態、濃度に対するナッツ摂取のプール効果推定値を算出するために、ランダム効果メタ解析を実施した。・875例(男性646例、女性229例)が参加した4件の研究がこのレビューに含まれた。・健康な男性223例が参加した2件のランダム化比較試験のメタ解析では、60g/日以上のナッツの摂取は対照群と比較して精子の運動率、活力、形態を増加させるが、精子濃度には影響を及ぼさないことが示された。・非ランダム化研究では、食事からのナッツ摂取と男性における従来の精子パラメーター、あるいは生殖補助医療を受けている男女における胚着床、臨床妊娠、生児出生との関連は報告されていない。 本研究では、健康な男性において、欧米式の食事の一部として毎日少なくとも60gのナッツを摂取することが、男性の受胎可能性の予測因子である精子パラメーターを改善することを示していた。ナッツ摂取は、その栄養学的内容から生殖を成功に導く可能性があることが示唆された。

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完全磁気浮上LVAD装着の重症心不全、アスピリンは不要?/JAMA

 完全磁気浮上の左心補助人工心臓(LVAD)を装着した重症心不全患者において、ビタミンK拮抗薬(VKA)による抗血栓療法は、VKA+アスピリンと比較して血栓塞栓症のリスクが増加することはなく、出血イベントを減少させる。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが、北米、欧州、オーストラリアなど9ヵ国の51施設で実施された多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Antiplatelet Removal and Hemocompatibility Events With the HeartMate 3 Pump trial:ARIES-HM3試験」の結果を報告した。LVADは重症心不全患者の生活の質と生命予後を向上させるが、非外科的出血イベントは最も一般的な合併症である。連続流LVADでは、抗血小板薬としてのアスピリンをVKAとともに使用することが義務付けられているが、有効性と安全性に関して決定的なエビデンスはないままであった。JAMA誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。VKA+プラセボvs. VKA+アスピリンで無イベント生存と出血を比較 研究グループは、完全磁気浮上のLVADであるHeartMate 3(HM3)を装着し、その後はHM3以外の機械的循環補助を必要としない重症心不全患者を、装着後2~7日目にプラセボ群とアスピリン(100mg/日)群に1対1の割合で無作為に割り付け、VKA療法(目標国際標準比[INR]:2.0~3.0)とともに投与した 主要エンドポイントは、HM3装着後14日以内に投与中止を要する外科的合併症またはイベントが発生した患者を除いた主要解析対象集団における、12ヵ月時の非外科的血液適合性関連主要有害イベント(脳卒中、ポンプ血栓症、非外科的大出血、または末梢動脈血栓塞栓症など)のない生存(無イベント生存)の複合で、プラセボ群のアスピリン群に対する非劣性マージンは片側97.5%信頼限界の下限-10%とした。また、重要な副次エンドポイントを、主要解析対象集団における非外科的出血イベントの発生頻度とした。VKA+プラセボで1年無イベント生存率は6%高く、出血イベントは減少 2020年7月~2022年9月の期間に、628例が無作為化された(プラセボ群314例、アスピリン群314例)。このうち、主要解析対象集団は589例(プラセボ群296例、アスピリン群293例)で、患者背景は77%が男性、61%が白人で、追跡期間中央値は14ヵ月であった。 12ヵ月時点の無イベント生存率は、プラセボ群74.2%、アスピリン群68.1%であり、プラセボ群が高く、プラセボ群のアスピリン群に対する非劣性が示された(群間差:6.0%、片側97.5%信頼限界の下限:-1.6%、p<0.001)。 非外科的出血イベントの発生頻度はプラセボ群25.9/100患者年、アスピリン群39.5/100患者年で、アスピリンの回避は非外科的出血イベントの減少と関連していた(相対リスク:0.66、95%信頼区間:0.51~0.85、p=0.002)。 プラセボ群で脳卒中またはその他の血栓塞栓性イベントの増加は認められず、この結果は患者のサブグループ間で一致していた。

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がん患者の死亡リスクを低減させるビタミンD濃度は?

 ビタミンDサプリメント(2,000IU/日)の連日服用により、がん種に関係なくがん死亡率が減少したことが報告されている1)。今回、中国・北京大学のYu Bai氏らががん患者におけるビタミンD濃度と全死因死亡およびがん特異的死亡との関連を調査した結果、一定値以上のビタミンD濃度まで高くなるとそれらのリスクが大幅に減少することが明らかになった。Nutrition and Cancer誌オンライン版2023年11月18日号掲載の報告。 研究グループは、2007~18年の米国疾病予防管理センター(CDC)の国民健康栄養調査から入手した成人のがん患者2,463例のデータを解析し、2019年12月31日までの国民死亡記録と関連付けた。人口統計学的特徴、生活様式、食事因子、血清25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)値の検査期間、がん種について多変量調整を行った。参考:わが国におけるビタミンD不足・欠乏の判定指針:血清25(OH)D値≧75nmol/L(≧30ng/mL)が充足、50~<75nmol/L(20~<30ng/mL)が不足、<50nmo/L(<20ng/mL)が欠乏。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値70ヵ月で567例が死亡し、そのうち194例はがんによる死亡であった。・血清25(OH)D値が75nmol/Lまで高くなると、全死因死亡およびがん特異的死亡のリスクが有意に低減した。・血清25(OH)D値の四分位を比較したところ、第4四分位群と比べて第3四分位群(79.3~99.2nmol/L)の全死因死亡率の調整後ハザード比は0.59(95%信頼区間:0.42~0.84、傾向のp<0.001)、がん特異的死亡率は0.48(0.29~0.79、傾向のp=0.037)であった。 これらの結果より、研究グループは「血清25(OH)D値75nmol/Lは、がん患者の死亡率を減少させるための介入目標であると考えられる。血清25(OH)D値を範囲内に維持することは、全死因死亡およびがん特異的死亡の減少に有益である」とまとめた。

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コロナ入院患者へのビタミンC投与、有効性認められず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者へのビタミンC投与は、心肺支持療法離脱日数や生存退院を改善する可能性は低い。カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのNeill K. J. Adhikari氏らの研究グループ「The LOVIT-COVID Investigators」が、2件の前向き調和型無作為化比較試験の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。ビタミンCを6時間ごとに静脈投与 ビタミンCがCOVD-19患者のアウトカムを改善するかどうかを評価した2件の試験は、2020年7月23日~2022年7月15日に、世界4大陸で、集中治療室(ICU)で心肺支持療法を受けている重症患者(90ヵ所で登録)と非重症患者(40ヵ所で登録)を対象に行われた。被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはビタミンCを、もう一方にはプラセボを6時間ごとに96時間(最大16回)静脈投与した。 主要アウトカムは、心肺支持療法離脱日数(ICUで最長21日間心肺支持療法離脱で生存と定義)と生存退院の複合とした。同アウトカムの範囲は、院内死亡(-1)~心肺支持療法離脱で生存(22)で評価した。 主要解析は、ベイジアン累積ロジスティックモデルを用いて行った。オッズ比(OR)1超の場合は有効性(生存の改善、心肺支持療法離脱日数の増加、またはその両方)を、1未満の場合は有害性を、1.2未満では無益性を示すものとした。有害性・無益性の統計学的基準を満たし、試験中止に 本試験は、有害性と無益性が統計学的基準を満たした時点で、登録が打ち切られた。 主要アウトカムが得られたのは、重症患者1,568例(ビタミンC群1,037例、対照群531例、年齢中央値60歳[四分位範囲[IQR]:50~70]、女性35.9%)、非重症患者1,022例(456例、566例、62歳[51~72]、39.6%)だった。 重症患者において、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群7日(IQR:-1~17)、対照群10日(-1~17)で(補正後比例OR:0.88、95%信用区間[CrI]:0.73~1.06)、事後確率は8.6%(有効性)、91.4%(有害性)、99.9%(無益性)だった。 非重症患者においても、心肺支持療法離脱日数中央値はビタミンC群22日(IQR:18~22)、対照群は22日(21~22)で(補正後比例OR:0.80、95%CrI:0.60~1.01)、事後確率は2.9%(有効性)、97.1%(有害性)、99.9%超(無益性)だった。 重症患者の生存退院率についても、ビタミンC群61.9%、対照群64.6%で(補正後OR:0.92[95%CrI:0.73~1.17])、有効性の事後確率は24.0%だった。非重症患者の生存退院率も、それぞれ85.1%、86.6%で(0.86[0.61~1.17])、有効性の事後確率は17.8%だった。

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ざ瘡に期待できる栄養補助食品は?

 ざ瘡(にきび)治療の補助としてビタミン剤やそのほかの栄養補助食品に関心を示す患者は多い。しかし、それらの有効性や安全性は明らかではなく、推奨する十分な根拠は乏しい。そこで、米国・Brigham and Women's HospitalのAli Shields氏らの研究グループは、ざ瘡治療における栄養補助食品のエビデンスを評価することを目的にシステマティックレビューを行った。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年10月25日号の報告。 研究グループは、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceの各データベースを開設から2023年1月30日まで検索した。ざ瘡患者を対象に栄養補助食品(ビタミンやミネラル、植物抽出物、プレバイオティクス、プロバイオティクスなど)の摂取を評価した無作為化比較試験を解析し、臨床医が報告したアウトカム(全体評価や病変数など)、患者が報告したアウトカム(QOLなど)、有害事象を抽出した。バイアスリスクはCochrane risk of bias toolを用いて、研究の質をGood、Fair、Poorに分類した。 主な結果は以下のとおり。・42件の研究(3,346例)が組み入れ基準を満たした。・GoodまたはFairの分類の研究で栄養補助食品の有用性が示唆されたのは、ビタミンB5およびD、緑茶、プロバイオティクス、オメガ3脂肪酸であった。・これらの有用性評価に最も関連していたのは、病変数の減少または臨床医による全体評価スコアであった。・栄養補助食品の摂取による有害事象の発現はまれであったが、亜鉛摂取による消化管障害が報告された。 これらの結果より、研究グループは「このシステマティックレビューは、ざ瘡治療における栄養補助食品の可能性を示している。医師は、患者に栄養補助食品のエビデンスを提示する準備をしておくべきである」としたうえで、「多くの研究は小規模であり、今後の研究ではより大規模な無作為化比較試験に焦点を当てるべきである」とまとめた。

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点滴用複合ビタミン剤でアナフィラキシー【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第243回

点滴用複合ビタミン剤でアナフィラキシーphoto-ACより使用長らく医師をしていると、いろいろな製剤によるアナフィラキシーを見聞きしたことがあるかと思います。私は大阪府に住んでいるので、お好み焼き粉の中のダニによるアナフィラキシーの話をよく耳にします。さて、わりと安全と思われるものであっても、アナフィラキシーは必ず報告されています。今回は、点滴用複合ビタミン剤です。熊谷 淳, 他.点滴用複合ビタミン剤中のビタミンB1誘導体によるアナフィラキシーの1例.アレルギー. 2023;72(5): 479-484.下部消化管感染症に対して、抗菌薬の点滴に加えて点滴用複合ビタミン剤を投与したところ、アナフィラキシーを発症したというものです。抗菌薬のアレルギーであればわかるのですが、点滴用複合ビタミン剤1%皮内テストが陽性となり、成分別検査ではビタミンB1誘導体のリン酸チアミンジスルフィドのプリックテストが陽性となりました。これによって、点滴用複合ビタミン剤中のリン酸チアミンジスルフィドによるアナフィラキシーということが診断されました。この症例ではフルスルチアミン塩酸塩で陽性を示し、交差反応の可能性が想定されました。いやー、これ結構怖いですよね。まさかビタミンが原因なんて、現場で予想できないかもしれません。ビタミンB1誘導体は、ビタミンB1の構造の一部分を変化させた化合物です。より吸収されやすく、組織移行性が高いとされています。極めてまれではありますが、どのような製剤でもアナフィラキシーの可能性を考えておく必要がありますね。あともうひとつ重要なポイントとして、ビタミンB1欠乏症の状況で急速に大量のビタミンB1を静注すると、クエン酸回路を経由してATPが産生されるカスケードが進みます。このATPによって喉頭に喘鳴を来し、あたかもアナフィラキシーに見えることがあります1)。これを「ビタミンB1ショック」といいます。1)川崎 武, 他. ビタミンB1ショックの1例. 日本内科学会雑誌. 1962;51(3):54-60.

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身長低下が20代から4cm以上、椎体骨折を疑う/日本整形外科学会

 日本整形外科学会(日整会)は、10月8日の「骨と関節の日」にちなみメディア向けセミナーを都内で開催した。「骨と関節の日」は、ホネのホは十と八に分かれること、「体育の日」に近く、骨の健康にふさわしい季節であることから1994年に日整会が制定し、全国で記念日に関連してさまざまなイベントなどが開催されている。 セミナーでは、日整会の今後の取り組みや骨粗鬆症による椎体骨折についての講演などが行われた。2026年の設立100周年、2027年の総会第100回に向けて はじめに同学会理事長の中島 康晴氏(九州大学整形外科 教授)が、学会活動の概要と今後の展望を説明した。 整形外科は、運動器障害の予防と診療に携わり、加齢による変性疾患、骨折などの外傷、骨・軟部腫瘍、骨粗鬆症、関節リウマチなどを診療領域としている。とくに運動器の障害は、要介護・要支援の原因の約25%を占め、超高齢社会のわが国では喫緊の課題となっている。そこで日整会では、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)の概念」を提唱し、運動器障害のリスクを訴えてきた。その結果「健康日本21(第3次)」では「生活機能の維持・向上」に「ロコモの減少」「骨粗鬆症健診受診率の向上」が盛り込まれるようになった。 また、日整会では、2020年4月より「日整会症例レジストリー(JOANR)」という運動器疾患の手術に関する大規模データベースを構築。わが国の運動器疾患手術数、種類などを解析する事業も行っており、2021年の取りまとめとして、97万2,525例の手術のうち、1番多かった手術は「大腿骨近位部骨接合」(10万6,326例)、次に「人工膝関節」(7万7,675例)、次に「人工股関節」(6万6,219例)だったと報告した。 日整会は、2026年に学会創立100年を、27年には第100回総会を迎えることからプロモーション動画と特別のロゴを紹介。中島氏はこれからもさまざまな活動を続けていくと述べた。約5人に1人が椎体骨折の患者 講演では「骨粗鬆症による脆弱性脊椎骨折とロコモ~整形外科医の役割~」をテーマに宮腰 尚久氏(秋田大学大学院整形外科学講座 教授)が、骨粗鬆症による椎体骨折についてレクチャーを行った。 わが国の骨粗鬆症患者は1,590万例とされ、生じやすい部位として上腕骨、脊椎、手首、大腿骨頸部などが知られている。 骨粗鬆症は代謝性骨疾患であり、運動器疾患を招く。同様に運動器疾患を招くものとして「ロコモ」がある。 ロコモは、運動器障害のために移動機能が低下した状態をいう。近年の健康な人と骨減少症・骨粗鬆症における筋量サルコペニアの有病率を調べた研究報告によれば骨粗鬆症とサルコペニアは合併しやすいことが判明し、骨粗鬆症とサルコぺニアを合わせた「オステオサルコペニア」という概念も生まれている1)。 骨粗鬆症と生命予後の関連について調べた研究では、大腿骨の骨折のほかに椎体骨折も生命予後に影響することがわかっている2)。 多くの椎体に骨折が生じると脊柱後弯変形が生じ身長が低下する。これにより、胃食道逆流症、腰背部痛、身体機能の低下、バランス障害による易転倒などが起こり、永続的なQOLの低下を引き起こす。 椎体骨折は男女ともに骨粗鬆症でもっとも頻発する骨折であり、その発生率は80歳の女性で10万人当たり3,000例(年3%程度)といわれている3)。 椎体骨折の有病率について、わが国の男女(40歳以上)で21.8%、欧州の男女(50歳以上)で20%、カナダ・アメリカで20~23%と報告され、わが国では約5人に1人が椎体骨折を有するとされる。身長低下が20代から4cm以上の場合は椎体骨折を疑う 椎体骨折の診断で簡易に推定できる方法として、壁を背に立って壁と後頭部にすき間があれば骨折の可能性があること、肋骨最下端と骨盤の間に2横指以下であれば骨折の可能性があることを紹介。また、若いとき(25歳くらい)からの身長が4cm以上、閉経後3年間の身長低下が2cm以上あった場合も骨折の可能性があることを説明した。 治療では装具療法、外科的手術(例:椎体形成術や後方固定術やその両方など)が行われている。 椎体骨折の予防では2つの療法を示し、はじめに薬物療法として、活性型ビタミンD3薬、ビスホスホネート薬、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、副甲状腺ホルモン薬、副甲状腺ホルモン関連蛋白薬、抗RANKL抗体薬、抗スクレロスチン抗体薬があり、次の骨折へつなげないためにもまず薬物治療を開始することが大切だと指摘した。もう1つの骨折予防としては、運動療法があり、うつぶせ寝による等尺性背筋運動(関節を動かさずに筋肉に力を入れる運動)などが勧められ、その効果はメタアナリスでも改善効果が示されている4)。ただ、脊柱後弯変形やうつ伏せになれない人などには禁忌となるので注意が必要である。 また、高齢者の転倒防止のためにはロコモの予防も重要であり、日整会が勧めている片脚立ちやスクワットなども日々の暮らしの中で取り入れてもらいたいと語った。そのほか、日常生活でも注意が必要であり、椎体は屈曲時に潰される可能性があるので高齢女性では、家事労働や雪国ならば雪かきなどで体の態勢に気を付けることが重要であり、普段から意識して背筋を伸ばし、よい姿勢を保つことが大切だと指摘する。骨粗鬆症健診率の向上が課題 終わりに骨粗鬆症における整形外科の役割にも触れ、女性は40代で1次予防を、50代で2次予防のために検診し、きちんとしたその時々の対応をすることが必要と述べた。しかし、わが国の骨粗鬆症健診率は2020年で4.5%と低く、いかに社会的に周知・啓発をしていくかが今後の課題となっている。日整会では、ポスター掲示などで社会に対して働きかけを行っていくと展望を語り、レクチャーを終えた。

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乾癬の治療法を徹底解説!:日野皮フ科医院 院長 日野 亮介氏

このコンテンツでは、乾癬の治療法について解説していきます。日常診療のアップデートに、ぜひご活用ください。講師紹介多くの乾癬患者さんたちからは、「ずっと同じ薬ばっかりで良くならない」というお声を多く頂きます。乾癬の治療は塗り薬しかない、と思っておられる方も多いかもしれません。しかし、そうではありません。乾癬は治療に苦労する皮膚疾患でありますが、ここ10年ほどで大変多くの治療薬が出てきました。皮膚の症状は大半の方でコントロール可能になりました。今、患者さんの乾癬はどんな状態でしょうか?患者さんのライフスタイルに応じて、適切な治療方針を選ぶための参考にしていただけると幸いです。治療がうまくいかないとき、マンネリ化したときに、次の一手を考えるヒントになってくれると思っております。このページでは、乾癬について保険適用のある治療について解説しています。乾癬には尋常性乾癬、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)、乾癬性紅皮症、汎発性膿疱性乾癬、滴状乾癬の5種類があります。薬によって適用が異なりますので、ご注意ください。1.外用薬2.経口薬3.光線療法4.顆粒球吸着除去療法5.生物学的製剤まとめ参考文献1.外用薬2.経口薬3.光線療法4.顆粒球吸着除去療法5.生物学的製剤まとめ参考文献1.外用薬1-1.ステロイド外用薬ステロイド外用薬は皮膚疾患に幅広く使われていますが、もちろん乾癬にも有効です。今のところ、乾癬に一番多く使われているお薬です。多くの乾癬患者さんは、一度は塗ったことがあると思います。ステロイドは昔からある薬ですが、ここにも進歩があります。ステロイド外用薬の弱点は長期に使うと副作用が出てくる点なのですが、それを和らげるための手だてとしてシャンプーになっている薬が出ました。コムクロシャンプー(一般名:クロベタゾールプロピオン酸エステル)というもので、15分だけつける、という方法を用いて副作用を減らす工夫がなされています。また、シャンプーは薬を塗りにくい頭という場所の特性を生かした大変興味深い方法です。なお、ステロイドの飲み薬は乾癬には通常使用しません。長期的なステロイド外用薬の副作用を避けるためにも、ステロイド外用薬単体での長期的な治療は避ける必要があります。治療が長引いてきた場合は方法を見直しましょう。1-2.ビタミンD3外用薬乾癬患者さんの塗り薬で、一番大切なのはビタミンD3です。効果が出てくるまで時間がかかりますが、一度改善すると再発しにくいこと、長期間塗っても副作用が出にくいことが大切なポイントです。ただし、大量に塗ると血液中のカルシウムが増え過ぎて二日酔いのような症状(高カルシウム血症)が出る可能性がありますので、注意が必要です。皮膚の増殖を抑えるのが主な効き目ですが、IL-17という乾癬の皮膚症状に重要な役割を果たすタンパクを作りにくくすることにも役立ちます。1日2回塗ることが推奨されています。カルシポトリオール(商品名:ドボネックス):軟膏マキサカルシトール(商品名:オキサロール):軟膏、ローションタカルシトール(商品名:ボンアルファハイ):軟膏、ローションタカルシトール(商品名:ボンアルファ):軟膏、ローション、クリーム1-3.配合外用薬配合外用薬も、ここ10年の進歩の1つです。ステロイドとビタミンD3の2つを配合させた薬がデビューし、乾癬の治療に幅広く使われるようになりました。昔は、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬を薬局で混ぜてもらって処方されることが多かったと思います。お薬の性質上、単純に混ぜるだけでは効果が落ちてしまいます。そのため、ステロイドとビタミンD3の両方を使いたい場合は、重ねて塗るか、両方とも特殊な製法で配合した塗り薬を使う必要があります。乾癬の塗り薬が効かない人は、まず混ぜた薬を使っていないか確認する必要があります。国内では、現在2種類の配合外用薬が使用可能です。カルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(商品名:ドボベット):軟膏、ゲル、フォームゲル剤があるので頭皮の中に塗るのにも向いています。頭皮の中に塗る際は、意外にベタつくことに注意が必要です。また、フォーム剤もデビューしました。フォーム剤は塗りやすさから海外で多く使われているようです。上手に使わないと飛び散るので注意が必要です。マキサカルシトール/ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(商品名:マーデュオックス):軟膏ページTOPへ2.経口薬2-1.アプレミラスト(商品名:オテズラ)PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素をブロックする薬です。頭痛、吐き気、下痢などの副作用が最初に出ることが多いので、お薬に体を慣らしていくためのスターターパックがあります。副作用は使っていくうちに慣れてくることが多いです。長期的に内服すると体重減少の副作用もあります。効果はゆっくり出てくるので、焦らず使用することが大切です。痒みや関節の痛みにも効果があります。注射薬のような劇的な効果ではないですが、症状が軽くなるので塗り薬を塗るのが面倒な方や小さなぶつぶつがたくさん出ている方には向いています。当院では小さなぶつぶつがたくさん出て塗りにくい方、頭のぶつぶつやかさぶたが治りにくい方、少し関節が痛い方、手足に分厚いかさぶたができて治りにくい方などに使っています。また、生物学的製剤の治療が終了した、もしくは何らかの理由で中断せざるを得なかった方にも使用できます。腎機能が低下している方は、半分の量で内服する必要があります。2-2.シクロスポリン(商品名:ネオーラル)乾癬が出てくるのに重要な働きをするT細胞の働きを抑える薬です。効果は比較的速やかで、量を多くすると生物学的製剤に近いくらいの効果を得ることもできます。ただし、血圧上昇などの副作用があることは注意が必要です。長期間内服すると、腎臓にダメージが起こります。海外のガイドラインでは1年程度の服用にとどめるように勧められています。これらの理由もあり、定期的な血液検査を必要としています。2-3.メトトレキサート(商品名:リウマトレックス)リウマチではよく使われている薬ではありますが、乾癬でも最近保険適用になりました。リウマトレックスだけがジェネリックも含め乾癬に保険適用となっています。日本皮膚科学会の生物学的製剤使用承認施設でのみ乾癬に使用できます。妊娠計画の少なくとも3ヵ月前から男性、女性とも内服を中断しなければなりません。腎機能障害のある方には使用できません。副作用対策として葉酸製剤を内服することがあります。2-4.エトレチナート(商品名:チガソン)エトレチナートはビタミンA誘導体であり、免疫を落とさないことにより光線療法との併用が可能です。表皮細胞の異常増殖を抑えてくれることで効果を発揮します。唇が荒れる、手足の皮がむける、皮膚が薄くなるなどの副作用があります。催奇形性といって、お腹の赤ちゃんに奇形を起こす副作用が報告されています。そのため女性は服用中止後2年間、男性は半年間避妊することが必要になります。2-5.ウパダシチニブ(商品名:リンヴォック)乾癬性関節炎(関節症性乾癬)に適応があります。JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬という新しいメカニズムの治療薬です。もともと関節リウマチの治療薬として使用されていました。皮膚にも効果があります。15mg錠を1日1回内服します。帯状疱疹のリスクが高まることが知られていますので、この治療薬を検討されている方には事前に帯状疱疹ワクチンの接種を強くお勧めしています。深部静脈血栓症、肺塞栓症といった血栓のリスクが高まります。そのための注意が必要になります。また、生物学的製剤と同様に事前に結核の検査をする必要があります。2-6.デュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ)2022年11月デビューの内服薬です。既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に適応があります。比較的副作用の少ない薬ですが、TYK2という分子をブロックするJAK阻害薬というジャンルに入っているため、日本皮膚科学会の分子標的薬使用承認施設のみで投与可能となっています。成人にはデュークラバシチニブとして1回6mgを1日1回経口投与します。ページTOPへ3.光線療法治療の位置付けとしては、寛解導入、すなわち週2~3回程度の細かい間隔で照射し、ぶつぶつをできるだけ消失させるのを最初の目的としています。効果が出て皮膚症状が寛解したら間隔をのばしていく、ないしは中止します。ナローバンドUVBは発がん性が上昇するリスクは今のところ報告されていません。しかし、紫外線であるため、ダラダラと継続して無駄な照射をしないように気を付けることも大切です。ページTOPへ4.顆粒球吸着除去療法アダカラムという特殊な体外循環装置を使い、白血球の一部である、活性化した顆粒球を取り除く方法です。膿疱性乾癬に保険適用があります。薬剤の投与をしないため、妊娠中でも実施できます。ページTOPへ5.生物学的製剤乾癬の治療は、2010年に生物学的製剤が使えるようになってから劇的に変化しました。今までの治療で効果がなかった患者さんも、この薬の投与を開始してから皮膚や関節の症状と無縁の生活を送れるようになってきました。このように非常によく効く薬なのですが、大変高額です。そのため、高額療養費制度の理解や活用も大切になってきます。どんどん薬剤の開発が進み、10年で10種類以上のお薬が乾癬に対して使えるようになってきました。生物学的製剤が使えない方、注意が必要な方活動性の結核を含む重い感染症がある方は使用できませんので、事前にしっかりと検査を行い、必要な対処を行ってから投与する必要があります。また、悪性腫瘍のある方は投与禁忌ではありませんが、投与に当たっては(がん治療の)主治医としっかり相談・確認して慎重に進めなければなりません。現在、乾癬に使える生物学的製剤だけで、こんなにたくさんの種類があります(2023年9月現在)。画像を拡大する(各薬剤の電子添付文書を基にケアネット作成)5-1.TNF-α阻害薬TNF-αというタンパクをブロックする薬です。TNF-αは体のあちこちで作られ、乾癬を悪化させていきます。内臓脂肪からも作られます。メタボ気味の人は内臓脂肪からのTNF-αが増えてきます。すると、インスリン抵抗性といって血糖が上がりやすい状態になってしまうこともあります。これをブロックすることで、全身のさまざまな炎症を抑えてくれることも期待されています。また、関節炎にも効果が高いです。乾癬性関節炎(関節症性乾癬)の症状が進行すると骨びらんという骨へのダメージが来るのですが、TNF-α阻害薬は骨破壊を抑え、回復させてくれる効果が期待できます。インフリキシマブ(商品名:レミケード)唯一、これだけが点滴で投与する薬です。効果不十分時に増量ないし投与期間を短縮することが可能です。アダリムマブ(商品名:ヒュミラ)2週間に1回皮下注射する薬です。効果不十分時に増量することが可能です。シリンジだけでなく、ペン型の注射器具があるため自己注射が簡単に行えます。セルトリズマブ ペゴル(商品名:シムジア)この薬剤は製法が特殊であり、胎盤をお薬が通過しにくいことがわかっています。そのため唯一、妊娠中でも使える生物学的製剤です。TNF-α阻害薬が使えない人うっ血性心不全のある方多発性硬化症などの脱髄性疾患をお持ちの方TNF-α阻害薬はどんな人に向いている?乾癬性関節炎(関節症性乾癬)で、とくに関節の症状が強い人メタボ気味の人炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の既往がある人体重が重い人インフリキシマブは体重1kg当たり5mgの量を投与します。体重がかなり重い方は十分な薬剤量を行きわたらせるためにインフリキシマブを選択することがあります。5-2.IL-23阻害薬IL-12/23 p40阻害薬のウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)が最初に出ました。IL-23はp40とp19というタンパクが合体しているものです。p40はIL-12という別のタンパクにも含まれている構造のため、IL-12/23 p40阻害薬は乾癬に関係のない細胞の働きも弱めてしまいます。そこで、ウステキヌマブ以降に出た次世代型のIL-23阻害薬は、p19をブロックすることでよりピンポイントな効き目を実現させています。すべての薬剤にある特長は、効果が持続しやすい、投与間隔が長いという点、副作用が少ないことです。ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)2011年から使用されている薬剤です。効果不十分な場合に増量できるのが特徴です。グセルクマブ(商品名:トレムフィア)掌蹠膿疱症にも適応があります。維持投与期は8週間に1回の投与を行います。リサンキズマブ(商品名:スキリージ)維持投与期は12週間に1回という長さが魅力です。チルドラキズマブ(商品名:イルミア)尋常性乾癬のみに適応があります。この薬剤も維持投与期は12週間に1回です。IL-23阻害薬はどんな人に向いている?治りにくい尋常性乾癬の方仕事が忙しくて通院が大変な方自分で注射を打つのが怖い方5-3.IL-17阻害薬IL-17とは乾癬を発症させるのに大変重要な役割を果たすタンパクです。IL-17にはIL-17AからFまでの6つのサブファミリーがあります。とくにIL-17ファミリーの中で乾癬の成り立ちに重要な役割を果たすタンパクが、IL-17AとIL-17Fです。治療効果が早く出ること、そして4種類の薬剤それぞれ非常に高い効果が得られることが特長です。セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブは維持投与期に自己注射をすることが可能です。セクキヌマブ(商品名:コセンティクス)最初の1ヵ月に毎週注射をすることで効果を早く出せることが特長です。完全ヒト型抗体であり、中和抗体が出にくいのが特徴です。成人には300mgを投与しますが、状況により減量が可能です。生物学的製剤の中で唯一小児にも適応があります。通常、6歳以上の小児にはセクキヌマブ(遺伝子組換え)として、体重50kg未満の患者には1回75mgを、体重50kg以上の患者には1回150mgを皮下投与します。なお、体重50kg以上の患者では、状態に応じて1回300mgを投与することができます。イキセキズマブ(商品名:トルツ)IL-17Aを阻害します。薬剤の特長として高い治療効果が早期から出てくることが多いです。効果がいまひとつだったり、安定しなかったりするとき、つまり使用開始後12週時点で効果不十分な場合には、投与期間を短縮することが可能です。乾癬の皮膚や関節症状が強い方、安定しない方に向いています。ブロダルマブ(商品名:ルミセフ)この薬剤は、乾癬の治療薬ではIL-17の受容体であるIL-17RAをブロックする薬です。そのため、IL-17A、IL-17A/F、IL-17C、IL-17E、IL-17Fが受容体に結合するのをブロックすることができます。皮膚症状に対しては、かなり有効性が期待できる薬剤です。ビメキズマブ(商品名:ビンゼレックス)IL-17A、IL-17Fをブロックできる薬剤です。尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬に適応があります。乾癬性関節炎(関節症性乾癬)には適応がありません。今までの治療でうまくいかなかった人でも鋭い効果を出すことが期待されています。IL-17阻害薬が使えない方炎症性腸疾患のある方IL-17は腸管のバリア機能を保つために重要な役割を果たします。炎症性腸疾患のある方は、IL-17をブロックすることで悪化する可能性があります。真菌感染症のある方IL-17は真菌(カビ)の防御に大切な働きをします。そのため、これらの感染症がある方は、IL-17をブロックすることで悪化させてしまう可能性があります。IL-17阻害薬はどんな人に向いている?皮膚の症状がかなり重度な方自分で注射を打てる方素早い効果を期待している方5-4.IL-36受容体阻害薬スペソリマブ(商品名:スペビゴ)抗IL-36受容体抗体であるスペソリマブが主成分です。膿疱性乾癬における急性症状の改善、という適応で保険収載されました。投与開始1週後に有意な膿疱の減少、12週後には84.4%の患者で膿疱が消失という劇的な効果を呈することが知られています。ページTOPへまとめ乾癬の治療薬、治療法はたくさんあることがおわかりいただけたと思います。乾癬の治療に絶対の正解はありませんが、いろいろな治し方を知り、治療方針を決めていく参考になればと思っております。乾癬の治療薬は、まだたくさん開発されています。内服薬(RORγtインバースアゴニスト)、外用薬(アリル炭化水素受容体モジュレーター)などが治験中です。今後も多くの治療選択肢ができることで、乾癬患者さんたちの未来は明るくなっていくのではと期待しています。1)森田明理ほか. 乾癬の光線療法ガイドライン. 日皮会誌. 2016;126:1239-1262.2)佐伯秀久ほか. 乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版). 日皮会誌. 2022;132:2271-2296.3)各薬剤の電子添付文書

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血尿診断で内科医も知っておきたい4つのこと―血尿診断ガイドライン改訂

 『血尿診断ガイドライン』が10年ぶりに改訂された。改訂第3版となる本ガイドラインは、各専門医はもちろんのこと、一般内科医や研修医にもわかりやすいように原因疾患診断のための手順を詳細な「血尿診断アルゴリズム」として提示した。また、コロナ禍での作成ということもあり、最終章では「新型コロナワクチンと血尿」について触れている。今回、本ガイドライン改訂委員会の事務局を務めた小路 直氏(東海大学医学部外科学系腎泌尿器科学)に、内科医が血尿時の問診や専門医への紹介を行ううえで注意すべきポイントなどを聞いた。成人の血尿診断アルゴリズム、尿沈渣検査がカギ 小路氏はまず、非糸球体性血尿の鑑別が進行速度の早い尿路上皮がんの早期発見につながることから、「一般内科医でも血尿を相談された場合などには尿沈渣検査をぜひ実施してほしい」と強調した。また、「非糸球体性血尿が検出されればその後は泌尿器科が対応し、糸球体性血尿が検出された場合には腎臓内科医が対応することになる。かかりつけ医受診の段階で、非糸球体性か糸球体性かを判断することで、患者が次の受診施設の選択で迷わずに済む」とも説明した。尿沈渣検査には遠心分離機が必要だが、それを所有するクリニックは多くはないため、外注に頼らざるを得ないのが現状だろう。もちろん、診療報酬点数(尿沈渣[鏡検法]27点)が算定できるため、尿路上皮がんの早期発見ならびに、紹介先の目星をつけるためにも「尿試験紙で血尿と判断された場合には、尿沈渣検査までは実施し、可能であれば尿細胞診や腹部超音波の実施もお願いしたい。ただし、尿細胞診は悪性度が強いがんでないと検出できないことには留意いただきたい」と話した。<内科医がおさえておきたい検査>・血液検査(血清クレアチニン異常高値)・尿沈渣検査   均一赤血球(非糸球体性血尿)   血尿に加え尿蛋白や細胞円柱/変形赤血球(糸球体性血尿)・尿細胞診 (悪性度の高い尿路上皮がんでないと検出ができないことに留意)・腹部超音波検査   尿路上皮がんや腎がんの検出感度は十分でないことに留意したうえで、適応を検討 なお、肉眼的血尿を呈する(または既往のある)患者で以下の場合には、腎臓内科への早期紹介が勧められるため、特筆すべき点としてフローチャートには赤字で示されている。・cola-like urine(コーラ色の褐色尿)・高度尿蛋白および/または進行性の腎機能低下・尿路感染症を疑う所見を欠く発熱・呼吸器症状や皮膚症状など他の全身症状・腎後性因子が否定される腎機能障害抗血小板薬や抗凝固薬服用が血尿を引き起こす可能性は低い 次に同氏は、よくある患者紹介の事例として“抗血小板薬や抗凝固薬服用患者が紹介されるケース”について言及した。本ガイドラインの「BQ12:抗血小板薬、抗凝固薬を服用している顕微鏡的血尿患者に対して通常の精査は必要か?」では、これらの薬剤を服用している患者において顕微鏡的血尿が認められた場合には、服用が原因であると判断することは困難であるため、これらの薬物を服用していない患者と同様に評価を行う必要があり、リスク分類に基づく精査を考慮する、と要約されている。これについて同氏は「抗血小板薬や抗凝固薬の“出血”という副作用が血尿を連想させやすいものの、種々の研究から鑑みても抗血栓薬に起因する血尿だと判断することは難しい。なお、この件は米国・泌尿器学会のガイドラインやリスク分類も参照している。ただし、専門医にとっては、膀胱鏡検査を実施する際のリスク因子になることはポイントで、念頭に置いておく必要がある」とコメントした。ご存じですか?ビタミンCによる偽陰性 「BQ3:血尿を診断するための採尿方法はどのようにすべきか?」において、採尿前の注意事項として(1)健診など尿試験紙でのスクリーニングではアスコルビン酸(ビタミンC)が存在すると偽陰性となることがあるため、アスコルビン酸を多く含む物の摂取を控える、と記載されている。これは健診時の常識のようだが、医療者によって注意事項として触れているか否かのバラつきがあるようだ。これについて、「結果が出た後に服用状況を確認する必要はないが、医療者としては尿試験紙に影響を及ぼす点は理解しておき、検査前の患者に対し、事前にビタミンCの服用で偽陰性になる点をインフォメーションしておく必要はあるだろう」とコメントした。コロナワクチン接種後の肉眼的血尿はIgA腎症のサインか このほか、専門医がおさえておくべきCQは以下のとおり。―――CQ1:蛋白尿を合併しない成人の顕微鏡的血尿患者において腎生検で同定される病態は何か?CQ2:顕微鏡的血尿の初回精査で異常を指摘されなかった患者に対して定期的経過観察は必要か?CQ3:成人の尿路上皮がん高リスク患者の診断においてCT urographyは推奨されるか?――― 最後に新型コロナワクチンと血尿との関係について、ワクチン接種後に腎炎が再発・再燃する症例が世界的に明らかになり、とくにIgA腎症の既往者では接種後の尿でコーラ色や紅茶色を認めるとの報告がある。これらの症例には1)全例がmRNAワクチン接種後、2)女性に多い、3)遷延する腎機能障害を認める症例はごく一部で大部分は一過性の尿所見増悪に留まる、という特徴があることが国内の調査1)や前向き観察研究からも明らかになってきている。しかし、ワクチン接種が腎症の発症を助長しているわけではなく、むしろ未診断の症例が顕在化した可能性が高いことから、同氏は泌尿器科医や一般内科医に向けて「ワクチン接種後に血尿を訴えた患者が来院した場合には、既往の確認のみならず、IgA腎症の存在を疑い、腎臓内科医への相談も視野に入れて診察に当たってほしい」と述べた。

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コーヒー・緑茶で貯蔵鉄が減少、閉経後女性は多飲による鉄欠乏に注意?~J-MICC佐賀地区研究

 コーヒーや緑茶の摂取は、腸において鉄分の吸収を阻害することにより、体内の貯蔵鉄の量を減少させると考えられている。貯蔵鉄が過剰となると酸化ストレスが増加し、心血管疾患やがんの発症リスクとなるため、コーヒーや緑茶の摂取がこれらのリスクを低下させる可能性が指摘されている。しかし、過剰摂取は鉄欠乏を招く可能性もある。そこで、南里 妃名子氏(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)らの研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)佐賀地区の調査に参加した1万435人を対象として、コーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値との関係を検討した。その結果、男性および閉経後女性では、コーヒー、緑茶はいずれも摂取量が多いほど血清フェリチン値が低かった。閉経前女性では、緑茶の摂取量のみに同様の関連が認められた。また、閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏が多くみられた。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2023年8月10日号に掲載された。コーヒー・緑茶の摂取量と血清フェリチン値、男性と閉経後女性で負の関連 2005~07年において、J-MICC Study佐賀地区の調査に参加した40~69歳の健康成人1万435人を対象として、性別、閉経の有無別にコーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値の関係を検討した。また、鉄欠乏(血清フェリチン値12μg/L未満)との関係も検討した。 コーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値、鉄欠乏との関係を検討した主な結果は以下のとおり。・血清フェリチン値の中央値は男性115.0μg/L、閉経前女性13.7μg/L、閉経後女性63.7μg/Lであった。・鉄摂取量やビタミンC摂取量を含む多変量解析の結果、男性ではコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.016)。・同様に、閉経後女性においてもコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.023、<0.001)。・閉経前女性では、緑茶の摂取量と血清フェリチン値に負の関連が認められたが(p for trend=0.01)、コーヒーの摂取量との関連は認められなかった。・同様にコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏との関連を検討した結果、閉経後女性ではコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.049)。男性、閉経前女性には関連が認められなかった。・閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏の割合が有意に高率であった(4.8% vs.2.3%、オッズ比:2.20、95%信頼区間:1.06~4.56)。

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