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心房細動患者へのアスピリン+クロピドグレル併用療法

心房細動患者に対し、ビタミンK拮抗剤投与によって脳卒中リスクを減らせるが(64%、抗血小板剤は22%)、アスピリンと比べると頭蓋内・外出血リスクが高い(50~70%増)。一方、急性冠動脈症候群患者を対象とした試験で、アスピリン+クロピドグレル併用療法がアスピリン単独と比べて、血管イベント発症に関してベネフィットをもたらすことが証明されていることを受け、ACTIVE研究グループは、心房細動患者に対する同併用療法の有効性を検討した。NEJM誌2009年5月14日号(オンライン版2009年3月31日号)掲載より。アスピリン単独と比べて併用群の相対リスクは0.89、要因は脳卒中の低下試験は、脳卒中リスクの高い心房細動患者7,554例を、アスピリン+クロピドグレル1日1回75mg投与群(併用群)と、アスピリン+プラセボ投与群(プラセボ群)に無作為に割り付け行われた。主要評価項目は、脳卒中、心筋梗塞、非中枢神経系塞栓症、血管疾患による死亡の複合とした。追跡期間中央値3.6年の結果、主要な血管イベントが発生したのは、併用群832例(年率6.8%)、プラセボ群924例(年率7.6%)で、相対リスク0.89(95%信頼区間:0.81~0.98、p=0.01)だった。両群差の要因は、併用群で脳卒中の発症の低下が大きかったことによるもので、プラセボ群で408例(年3.3%)だったのに対し、併用群では296例(年2.4%)、相対リスクは0.72(0.62~0.83、p

562.

ビタミンE・Cの服用、男性の前立腺がんやがん全体の発症予防に効果みられず

ビタミンEやCの服用は、男性の前立腺がんやがん全体の発症リスクを減少することはないようだ。がんなどの慢性病予防の効果を期待してビタミンEやCを服用する人は少なくないが、そうした期待とは裏腹の大規模試験の結果が出た。これは、米ハーバード大学のJ. Michael Gaziano氏らが、約1万5千人の男性医師を対象に行った「Physicians’ Health Study II」の研究結果で、JAMA誌2009年1月7日号(オンライン版2008年12月9日号)で発表した。プラセボ対照二重盲検試験で8年間追跡同氏らは、1997~2007年にかけて、試験開始時点で50歳以上の1万4,641人の男性医師を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った。被験者には、がんの病歴のある1,307人も含んだ。平均追跡期間は8.0年だった。被験者を4群に分け、ビタミンE(400 IU/日)とビタミンC(500mg/日)、ビタミンEまたはCとプラセボ、プラセボ2種をそれぞれ服用させた。前立腺がん・がん全体ともに、ビタミンE・Cによる予防効果なし追跡期間中に診断された前立腺がんは1,008件、がん全体では1,943件だった。ビタミンEについて見てみると、前立腺がんではビタミンE群の発症率が9.1/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同9.5/1000人・年だった。同発症に関するビタミンE群のハザード比は、0.97(95%信頼区間:0.85~1.09、p=0.58)だった。またがん全体についても、ビタミンE群の発症率が17.8/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同17.3/1000人・年だった。同発症に関するビタミンE群のハザード比は、1.04(95%信頼区間:0.95~1.13、p=0.41)だった。またビタミンC群について見てみると、前立腺がんではビタミンC群の発症率が9.4/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同9.2/1000人・年だった。同発症に関するビタミンC群のハザード比は、1.02(95%信頼区間:0.90~1.15、p=0.80)だった。またがん全体についても、ビタミンC群の発症率が17.6/1000人・年だったのに対し、プラセボ群は同17.5/1000人・年だった。同発症に関するビタミンC群のハザード比は、1.01(同:0.92~1.10、p=0.86)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

563.

eldecalcitolが骨粗鬆症の新たな椎体骨折の発生を抑制することを確認

中外製薬株式会社と大正製薬株式会社は16日、両社が骨粗鬆症を予定適応症として共同開発中の活性型ビタミンD3誘導体(一般名:eldecalcitol、中外製薬開発コード「ED-71」、大正製薬開発コード「CT-081」)の無作為化二重盲検群間比較試験において、骨粗鬆症患者の新たな椎体骨折の発生頻度を有意に抑制する結果が得られたと発表した。この結果の詳細は、論文および学会等で発表する予定だという。eldecalcitolは中外製薬が創製した活性型ビタミンD3誘導体で、国内で広く骨粗鬆症治療薬として使用されている活性型ビタミンD3製剤の骨に対する作用を高めた薬剤。2004年より開始した第III相臨床試験は、骨粗鬆症患者を対象としてeldecalcitolの有効性および安全性を、アルファカルシドールを対照薬とした無作為化二重盲検群間比較試験にて検討したもので、1,087名の患者を無作為にeldecalcitolもしくはアルファカルシドールを1日1回経口投与する群に割り付け、3年間での新たな椎体骨折の発生頻度を観察したもの。その結果、eldecalcitolを投与した患者さんでは、対照薬のアルファカルシドールを投与した患者さんと比較して、有意に骨折発生頻度の低下が認められ、骨折予防効果に関する優越性が証明されたという。承認申請は、この試験結果をまとめ、2009年に行う予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeTable.jsp;jsessionid=5THCOLTZYVXQWCSSUIHCFEQ?documentId=doc_12673&lang=ja

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ビタミンE・Cどちらも心血管疾患予防(50歳以上男性)に効果なし

50歳以上の男性に対して、ビタミンEやビタミンCを投与しても、心血管疾患イベントの予防には効果がないようだ。米Harvard大学医学部のHoward D. Sesso氏らが、約1万5,000人の男性医師を対象にした大規模試験「Physicians’ Health Study II」で明らかにしたもので、JAMA誌2008年11月12日号(オンライン版2008年11月9日号)で発表した。これまでに、ビタミンEやCが心血管疾患予防に効果があることを示した研究はあるが、元々リスクの低い男性を対象にした長期の研究結果は珍しい。ビタミンEは1日おき400 IU、Cは連日500mg投与で8年間追跡同研究グループは、試験開始時点の年齢が50歳以上の1万4,641人の男性医師に対し、無作為化プラセボ対照二重盲試験を行った。ビタミンEの投与量は1日おきに400 IU、ビタミンCは毎日500mgだった。試験の実施期間は1997~2007年で、平均追跡期間は8年。試験開始時点で心血管疾患を有する被験者は754人(5.1%)だった。主な心血管疾患としては、死に至らない心筋梗塞、同じく脳卒中と、心血管疾患による死亡と定義した。E・Cともに心血管疾患リスク予防効果はなく、Eは出血性脳卒中リスクを増大試験期間中に発生した主な心血管疾患イベントは、1,245件だった。ビタミンE群、ビタミンC群ともに、プラセボ群に比べ、主な心血管疾患イベント、心筋梗塞、脳卒中、心血管疾患による死亡、のいずれの発症リスクにも有意差はなかった。さらに、ビタミンE群、ビタミンC群ともに、総死亡率についてもプラセボ群と有意差が見られなかった。一方で、ビタミンE群はプラセボ群に比べ、出血性脳卒中の発症リスクは有意に高かった(ハザード比:1.74、95%信頼区間:1.04~2.91、p=0.04)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

565.

プラセボ処方は日常的:米国の内科医、リウマチ医対象調査

アメリカの臨床現場ではプラセボ処方は日常的に行われており、処方する医師は倫理的に特に問題はないと考えている実態が、NIHのJon C Tilburt氏らによって報告された。内科医およびリウマチ医各600人ずつ計1,200人を対象に、プラセボ処方の状況と、処方する医師の意識、態度について、メールアンケートで行われた調査の結果による。BMJ誌2008年11月8日号(オンライン版2008年10月23日号)より。回答者のうち、約半数が定期的に処方しており、62%が倫理的に許されると回答調査は、プラセボ処方を行っている、もしくは推奨している医師がどれくらいいるのか、プラセボ処方を行うことについての倫理的な判断、患者に対してどのように説明しているか、に主眼が置かれ行われた。メールアンケートが行われたのは2007年6月。回答を寄せたのは679人(57%、平均年齢51歳、81%が白人)だった。そのうち、「線維筋痛症に対して偽薬糖衣錠を処方する可能性はどれぐらいあるか」との回答に「かなりある」「ある」の項に回答したのが58%(残りは「ない」「未回答」)、またプラセボ処方の頻度について「週1回以下」「月2~3回」と回答したのが46%(残りは「しない」「月1回以下」)と回答し、約半数が定期的にプラセボ処方を行っていることが明らかとなった。また、大半の医師(399人、62%)がプラセボ処方は倫理的に許されることと回答した。処方が多いのはOTC鎮痛薬41%、ビタミン38%プラセボの内訳については、食塩水(3%)、偽薬糖衣錠(2%)などはごく少数で、一般的に、OTC鎮痛薬(41%)、ビタミン(38%)が処方されていた。また少数だが顕著なのが、抗生物質(13%)、鎮痛薬(sedatives)(13%)との回答があったことだと著者らは指摘している。さらにまた、プラセボを処方している医師の68%が患者に対してプラセボを処方する際、「普通は使わないけれどあなたにとって有益があるかもしれないので」と説明すると回答した。「プラセボです」と説明すると回答したのは5%に過ぎなかった。Tilburt氏は「医師は患者に対してプラセボを使うことについて十分な説明をしていないようだ。またプラセボを薦めることに複雑な心境があるようだ」としている。

566.

ビタミンEには心血管イベントの予防効果はない

 アスピリン、抗酸化サプリメントを、単独もしくは組み合わせて服用しても、心血管イベントの減少には結びつかないことが報告された。スコットランドの16病院・188開業医グループが参加して行われたPOPADAD試験(prevention of progression of arterial disease and diabetes trial)からの報告。BMJ誌2008年11月1日号(オンライン版2008年10月16日号)にて掲載された。糖尿病患者1,276例を2×2無作為化 POPADAD試験は多施設共同無作為化二重盲検2×2プラセボ対照試験で、「1型もしくは2型糖尿病」「40歳以上」「上腕血流比0.99未満」「無症候性末梢動脈疾患」に該当する患者1,276例が参加し行われた。 被験者は、「アスピリン100mg/日+抗酸化サプリ」(320例)、「アスピリン100mg/日+プラセボ」(318例)、「プラセボ+抗酸化サプリ」(320例)、「プラセボ+プラセボ」(318例)のいずれかに割り付けられ、プライマリエンドポイントは(1)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、無症候性心筋梗塞あるいは脳卒中、虚血による上下肢切断、(2)虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡、の2階層を指標に評価が行われた。 投与された抗酸化サプリメントは、ビタミンE 200mg、ビタミンC 100mg、ビタミンB6 25mg、亜鉛10mg、ニコチンアミド10mg、脂質9.4mg、ナトリウム0.8mgを成分とする。アスピリン、抗酸化サプリの単独・組み合わせいずれも効果を見いだせず 主要イベントの発生は、アスピリン投与群で18.2%(116/638例)、非アスピリン投与群では18.3%(117/638)、両群間のハザード比は0.98倍(95%信頼区間:0.76~1.26)だった。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、アスピリン投与群6.7%(43/638例)、非アスピリン投与群5.5%(35/638)、ハザード比は1.23倍(0.79~1.93)。 一方、抗酸化サプリ投与群間では、投与群18.3%(117/640例)、非投与群18.2%(116/636例)で、ハザード比は1.03倍(95%信頼区間:0.79~1.33)。虚血性心疾患あるいは脳卒中による死亡は、投与群6.6%(42/640例)、非投与群5.7%(36/636例)で、ハザード比は1.21倍(0.78~1.89)であった。 本試験では、アスピリンと抗酸化サプリの相互作用を示すエビデンスを見出すこともできなかった。研究グループは、「糖尿病患者の心血管イベント発症および死亡の一次予防としてのアスピリン、抗酸化サプリ服用を推奨するエビデンスを本試験では得られなかった」と結論している。

567.

ビタミンBはアルツハイマー病の認知低下抑制の効果なし

アルツハイマー病(AD)ではホモシステインの血中濃度が高まり、高ホモシステイン血症が血管や神経に毒性に作用し発病に至る可能性がある。しかしホモシステイン濃度は、葉酸とビタミンB6、B12の高用量サプリメント投与で低下させることができる。このため、アメリカ・アルツハイマー病協同研究グループ(Alzheimer Disease Cooperative Study Group)のPaul S. Aisen氏(カリフォルニア大学サン・ディエゴ校)らは、AD治療におけるビタミンB群サプリメントの有効性と安全性を検証していたが、「認知機能の低下を遅らせる効果はない」と報告した。JAMA誌2008年10月15日号より。中軽度AD 患者409例を18ヵ月間試験し効果を比較本研究は2003年2月20日~2006年12月15日にかけて、全米で行われた多施設共同無作為化二重盲検臨床試験で、AD患者601例をスクリーニングし、認知機能検査(MMSE)スコアが14~26の中程度から軽度の409例を、全体の60%は高用量サプリメント処方群(葉酸塩を5mg/d、ビタミンB6を25mg/d、ビタミンB12を1mg/d)、残る40%はプラセボ処方群に無作為に割り付けた。投与期間は18ヵ月。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-cog)の認知サブスケールの変化とした。ホモシステイン濃度は低下するが認知機能は改善せず試験を完了できたのは合計340例(高用量処方群202例とプラセボ群138例)だった。ビタミンB群のサプリメント投与はホモシステイン濃度の低下に効果的[平均値(SD)比較:高用量処方群-2.42(3.35) vs. プラセボ群-0.86(2.59)、P<0.001]だったにもかかわらず、主要な認知尺度である18ヵ月後のADAS-cogスコアの変化率には、何の有益効果も認められなかった。高用量処方群:0.401ポイント/月 vs. プラセボ群:0.372ポイント/月(P=0.52、比率差の95%信頼区間:-0.060~0.12、intention-to-treat解析の一般化方程式モデルに基づく)。副次的尺度にも、いかなる効果も認められなかった。うつ病を含む有害事象は、ビタミン・サプリメント処方群で、より多く観察された。これら結果からAisen氏は「高用量ビタミンB群サプリメントの処方計画は、中程度から軽度のアルツハイマー病の認知機能低下を遅らせる効果はない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBは無効

総ホモシステイン濃度と心血管疾患とのリスクの関連性は観察研究によって報告されている。血漿総ホモシステイン濃度は、葉酸+ビタミンB12の内服によって低下させることができるが、Haukeland大学病院心臓疾患部門(ノルウェー)のMarta Ebbing氏らは、冠状動脈疾患もしくは大動脈弁狭窄症患者の2次予防として、葉酸+ビタミンB12の服用効果と、葉酸+ビタミンB6の服薬効果を、無作為化試験で比較評価した。JAMA誌2008年8月20日号より。冠動脈造影を受けた3,096例を群無作為化二重盲検対照試験1999~2006年に、ノルウェー西部の2つの大学病院で行われた無作為化二重盲検対照試験で、参加者は冠動脈造影を受けた計3,096例の成人(女性20.5%、平均年齢61.7歳)。基線で、59.3%が2種または3種の血管疾患があった。83.7%は安定性狭心症があり、14.9%が急性冠動脈症候群を有していた。22通りの要因を有する参加者は、「葉酸(0.8mg)+ビタミンB12(0.4mg)+ビタミンB6(40mg)」(n=772)、「葉酸+ビタミンB12」(n=772)、「ビタミンB6単独投与」(n=772)、「プラセボ投与」(n=780)の4つの経口投与群のうちの1つにランダムに割り当てられた。主要エンドポイントは、全死因、非致死性の急性心筋梗塞、不安定狭心症による緊急入院、非致死性の脳梗塞の複合とした。葉酸効果は認められるがビタミンB効果は確認できなかった「葉酸+ビタミンB12」を受けていた群では、服用1年後の血漿総ホモシステイン濃度の平均値は30%減少していた。本試験は、同時期に行われたNorwegian trialで介入による有害事象の報告がされたため早期に終了され、追跡調査は38ヵ月間だった。その間に主要エンドポイントが確認された参加者は計442例(13.7%)。このうち219例(14.2%)が「葉酸+ビタミンB12」の投与を受けており、203例(13.1%)がそれらの投与を受けていなかった。ハザード比は1.09(95%信頼区間:0.90~1.32、P=0.36)。また「ビタミンB6」の投与を受けていたのは200例(13.0%)、受けていなかったのは222例(14.3%)。ハザード比は0.90(0.74~1.09、P=0.28)だった。これら結果からEbbing氏は、「本試験では、葉酸+ビタミンB12あるいは+ビタミンB6の総死亡率、心血管イベントへの治療効果の違いを見いだすことはできなかった。我々の調査結果では、冠動脈疾患患者の2次予防にビタミンBを用いることを支持しない」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

569.

ワルファリンへの反応の違い、遺伝子異型と強く関連

血栓症の抗凝固療法でワルファリン(国内商品名:ワーファリンなど)を服用している患者の反応は、ワルファリン代謝酵素であるチトクロームP-450 2C9(CYP2C9)の遺伝異型と、ワルファリンの薬理学的標的のカギであるビタミンKエポキシド・レダクターゼ(VKORC1)の遺伝異型によって異なることが知られているが、これら異型の初回抗凝固療法で果たす役割についてはわかっていなかった。米国・ヴァンダービルト大学医学部のUte I. Schwarz氏らが報告。NEJM誌2008年3月6日号より。VKORC1ハプロタイプとCYP2C9遺伝子型で反応を比較Schwarz氏らは、ワルファリン療法を開始したばかりの297例の患者について、CYP2C9遺伝子型(CYP2C9*1、*2、*3)、VKORC1ハプロタイプ(Aと非A)、臨床的特徴、治療に対する反応を国際標準比(INR)により判定して出血イベントを評価する臨床試験を実施した。転帰項目は、初めてINRが治療域内に初めて達するまでに要した時間、INR が4以上に達するまでに要した時間、INRが治療域内を上回るまでに要した時間、INR反応の経時的変化、そしてワルファリン投与必要量とした。VKORC1は遺伝的変異性とより強く関連するVKORC1のハプロタイプが非A/非A患者よりもA/A患者で、INRが治療域に初めて達するまでに要した時間は短く(P=0.02)、INRが4以上となるのに要した時間も短かった(P=0.003)。一方CYP2C9遺伝子型は、INRが治療域に達するための有意な予測因子であることはみいだされなかったが(P=0.57)、INRが4以上に達する有意な予測因子であることは示された(P=0.03)。VKORC1のハプロタイプとCYP2C9遺伝子型はいずれも、最初の治療2週間以降に、ワルファリン投与必要量に対して有意な影響を及ぼした。これらの結果から研究グループは、初回療法時のワルファリン反応は、CYP2C9よりもVKORC1の遺伝的多様性が強く関連していると結論づけた。(武藤まき:医療ライター)

570.

複数の微量栄養素補助剤を摂取した妊婦の子どもは発育がよい

開発途上国では、出生時の低体重が後年の小児の健康に及ぼす悪影響に関する研究が盛んだが、出生時体重の増加と小児の健康改善には明確な相関がないため、この課題を解決するための取り組みには困難がつきまとうという。Anjana Vaidya氏(母子研究所、カトマンズ、ネパール)らは、以前に実施した妊婦の栄養補助剤摂取に関する試験中に出生した子どもを追跡、妊娠中の複数の微量栄養素摂取の胎児への影響はその後も持続していることを確認した。Lancet誌2008年2月9日号掲載の報告。2~3年後に家庭を訪問して体重や体格を測定2005年、Vaidya氏らの研究グループは、妊娠第2~3期に鉄および葉酸(対照群)あるいは15種類の推奨1日摂取量のビタミン、ミネラルを含む栄養補助剤(介入群)を摂取した1,200人の妊婦の無作為化試験についてLancet誌上で報告した。今回の研究は、この試験中に出生した子どもの2~3年のフォローアップ解析であり、子どもの家庭を訪問して体重、身長(主要評価項目)、罹患した疾患、母親の血中ヘモグロビンなどのデータを収集した。介入群で体重が204g重く、体格もわずかに大きい2005年12月~2006年12月に、平均年齢2.5歳の917人の子ども(対照群:455人、介入群:462人)の評価を実施した。出生時の平均体重は介入群が対照群よりも77g多かったが、2.5歳時の平均体重は介入群が10.9kg、対照群が10.7kgと、複数の微量栄養素補助剤を摂取した妊婦の子どもが平均204g重かった。さらに、介入群は対照群に比べ頭囲が2.4mm、胸囲が3.2mm、上腕中部周囲長(MUAC)が2.4mm、上腕背部皮下脂肪厚が2.0mm大きく、収縮期血圧が2.5mmHg低かった。Vaidya氏は、「妊婦が摂取した複数の微量栄養素補助剤の胎児への影響は出生後も持続しており、対照群に比べ子どもの体重、体格が増加していた」と結論している。また、「両群の差は平均2%と小さなものであり、体重や血圧の変化の公衆衛生学的な意義は、さらなるフォローアップによって明らかにすべきである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

571.

抗酸化物質は、早期の加齢黄斑変性症の一次予防に有効か

 加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の集団における重篤な視力障害の主要原因である。抗酸化物質は、網膜に対する酸化的障害を減弱するとの仮説があるが、AMDの一次予防における食物抗酸化物質の効果は不明である。 メルボルン大学眼疾患研究所(オーストラリア)のElaine W-T Chong氏らは、AMDの一次予防における種々の食物抗酸化物質(αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピン)の役割について体系的なレビューおよびメタ解析を行った。BMJ誌10月8日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告から。選択基準を満たす12試験のデータを抽出して解析 標準化された判定基準に基づいて2名の研究者が別個に7つのデータベースを検索して関連文献を選び出した。抽出された4,192の抄録のうち12試験(プロスペクティブなコホート研究:9試験、無作為化臨床試験:3試験)が選択基準を満たした。 次いでデータ抽出および試験の質の評価が2名の研究者によって別個に行われ、得られた結果はメタ解析の手法を用いて定量的にプールされた。コホート研究、無作為化試験とも抗酸化物質によるAMD予防効果は示せず 9つのプロスペクティブなコホート研究には合計149,203名が登録され、そのうち早期AMDは1,878例であった。検討された食物抗酸化物質は個々の試験で異なっており、必ずしも全試験が個々の抗酸化物質のメタ解析の対象とはならなかった。 これらのコホート研究のプール解析では、ビタミンA、C、E、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチン、αカロテン、βカロテン、βクリプトキサンチン、リコピンは、早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった。 3つの無作為化臨床試験においても、抗酸化物質補助食品の早期AMDに対する予防効果は認められなかった。 Chong氏は、「食物抗酸化物質および抗酸化物質補助食品は、栄養状態が良好な西欧人の早期AMDの一次予防においてほとんど効果がないか、あるいは無効であった」と結論している。なお、今回の解析では、AMDの一次予防に影響を及ぼす可能性があるリスク因子は喫煙のみであったという。

572.

血漿ホモシステイン濃度低下は慢性腎臓病と末期腎不全の死亡率低下に有効か

血漿ホモシステイン濃度の上昇が死亡率と血管疾患の危険因子であることは慢性腎臓病患者の観察研究で明らかになっている。ホモシステイン濃度を下げる葉酸とビタミンB群の投与が、慢性腎臓病と末期腎不全患者の予後を改善するか否かをテーマに無作為化対照試験が実施され、その結果がJAMA誌9月12日号に掲載された。葉酸40mg、ビタミンB6100mgなどを毎日投与高用量葉酸とビタミンB群の毎日投与が慢性腎臓病患者の死亡率を減少させるかどうかを判定するため、Rex L. Jamison氏らのグループは米国退役軍人省医療センターの36病院で二重盲検無作為化対照試験(2001~2006年)を行った。追跡期間の中央値は 3.2年、21歳以上の進行性慢性腎臓病(推算クレアチニンクリアランス30mL/分以下、n=1,305)あるいは末期腎不全(n=751)で、かつ高ホモシステインレベル(15μmol/L)の患者計2,056例。参加者は葉酸40mg、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)100mg、シアノコバラミン(ビタミンB12)2mgを含むカプセルまたはプラセボを毎日投与された。主要評価項目は全原因死亡率。第2評価項目は心筋梗塞、脳卒中、下肢の全部または一部の切断、そしてこれら3つと複合死亡率、透析開始までの期間と血液透析患者の動静脈アクセスの血栓症に至る期間とした。生存率、血管系疾患発病率減少のいずれも効果なし平均のホモシステイン濃度は、ビタミン投与群が24.0μmol/L、プラセボ投与群は24.2μmol/L。3ヵ月で、ビタミン投与群は 6.3μmol/L(25.8%、P<0.001)、プラセボ投与群は0.4μmol/L(1.7%、P=0.14)低下したが、死亡率に明らかな影響はなかった(ビタミン投与群448対プラセボ投与群436、ハザード比:1.04、95%信頼区間:0.91-1.18)。第2 評価項目または有害事象においても明らかな影響は示されなかった。心筋梗塞はビタミン投与群129例対プラセボ群150例(同0.86、0.67- 1.08)、脳卒中はビタミン群37対プラセボ群41(同0.90、0.58-1.40)、そして下肢切断はビタミン群60対プラセボ群53だった(同 1.14、0.79-1.64)。さらに、死亡率を加えた心筋梗塞、脳卒中、切断の複合、透析に至る期間(P=0.38)と、血液透析患者の血栓症に至る期間(P=0.97)は、ビタミン群とプラセボ群で違いがなかった。これらから、高用量葉酸とビタミンB群の投与は生存率の向上、あるいは進行性慢性腎臓病と末期腎不全患者の血管疾患の発病率低下のいずれにも効果がなかったと結論づけている。(朝田哲明:医療ライター)

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カルシウム補助剤は中高年者の骨折、骨塩量減少を予防する

骨粗鬆症が原因の骨折による社会的、経済的な負担は加齢とともに世界規模で増大しており、その予防は公衆衛生学上の最優先事項とされるが、骨折予防薬は治療と同等のコストがかかる。カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンDの補助剤は安価で効果的な骨折予防法との報告があるが、これらの知見は確立されていない。 オーストラリア・ウェスタンシドニー大学補完医学研究センターのBenjamin M. P. Tang氏らは、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤が中高年者の骨粗鬆症による骨折や骨塩量に及ぼす影響を検討した無作為化試験に関するメタ解析を行った。8月25日付Lancet誌掲載の報告から。29のプラセボ対照無作為化試験に参加した約64,000人のデータを解析2007年1月までにデータベースに登録された報告などから、50歳以上の中高年者を対象とし、カルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の骨折および骨塩量に及ぼす効果を検討した29のプラセボ対照無作為化試験を抽出した。データは変量モデルを用いてプールした。17 試験が骨折について検討し、24試験が骨塩量の解析を行っていた。合計63,897人が解析の対象となり、そのうち58,785人(92%)が女性、平均年齢は67.8歳であった。13試験がカルシウム+ビタミンD補助剤を、16試験がカルシウム補助剤を用いていた。平均治療期間は3.5年。カルシウム補助剤により、全骨折リスク、骨塩量減少率が有意に改善骨折(52,625人)については、治療群で全骨折リスクが12%低下し有意差が認められた(リスク比:0.88、p=0.0004)。骨塩量(41,419人)については、治療群の骨塩量減少率が大腿骨近位部で0.54%改善され(p<0.0001)、椎骨では1.19%改善された(p <0.0001)。骨折リスクの改善効果はコンプライアンスが高い試験で有意に優れた(p<0.0001)。治療効果は、カルシウムの用量が<1,200mgよりも≧1,200mgで、ビタミンDは<800IUよりも≧800IUで有意に優れていた(それぞれp=0.006、 p=0.03)。Tang氏は、「50歳以上では、骨粗鬆症の予防治療としてカルシウムあるいはカルシウム+ビタミンD補助剤の使用を支持するエビデンスが得られた」と結論し、「優れた治療効果を得るには、少なくともカルシウム1,200mg+ビタミンD 800IU(併用治療の場合)が推奨される」と指摘している。また、「ビタミンDの上乗せ効果は示されなかったが、ビタミン Dの用量による効果の差が観察されている。この乖離は≧800IUのデータの不足による統計学的なアーチファクトと考えられ、高用量でのベネフィットが確認されていることから、併用する場合は≧800IUを使用すべき」と強調している。(菅野 守:医学ライター)

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