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魚を食べると認知症は予防できるのか

 ここ20年の研究では、魚類およびDHAなどのn-3脂肪酸が高齢者のアルツハイマー病を含む認知機能低下を抑制することが示唆されている。スウェーデン・ウプサラ大学のTommy Cederholm氏は、2015~16年の研究結果をレビューした。Current opinion in clinical nutrition and metabolic care誌オンライン版2016年12月12日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・1件のプロスペクティブコホート研究より、高齢者ケア施設入居者の脳解剖では、海産物の摂取と神経性プラークおよび神経原線維変化との関連が認められた。・5年間の大規模介入研究より、n-3脂肪酸補充患者または対照患者において、認知機能への影響は認められなかった。・コミュニティ患者を対象とした2件のメタアナリシスより、高魚類摂取は、認知機能を保持することが認められた。・記憶愁訴の高齢者は、n-3脂肪酸の補充により、記憶課題に関する皮質血流を改善する可能性がある。・アルツハイマー病患者のレポートからの再計算では、血清n-3脂肪酸の増加と認知機能改善には用量反応性が示唆された。・しかし、コクランレビュー(3件の無作為化対照試験)では、n-3脂肪酸は、軽度/中等度アルツハイマー病患者において任意の6ヵ月間でメリットがないと結論付けた。 著者らは「魚類やDHAの摂取は、記憶愁訴やMCI高齢者において予防的メリットを有する可能性があり、軽度/中等度アルツハイマー病患者のサブグループにおいても、このようなメリットがあると考えられる」とし、「より一層の研究が必要である」としている。関連医療ニュース 日本食は認知症予防によい:東北大 魚を食べるほどうつ病予防に効果的、は本当か EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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ADHD発症や重症度にビタミン摂取が関連

 ビタミンを含む微量栄養素は、ADHDの症状レベルを低下させることが報告されているが、ADHDのビタミンレベルに関するデータは希薄である。ノルウェー・ベルゲン大学のElisabeth Toverud Landaas氏らは、若年成人ADHD患者および対照群におけるビタミン濃度、ADHD診断および精神医学的症状との関連を調査した。BJPsych open誌2016年11月号(オンライン版2016年12月13日号)の報告。ADHD診断はビタミンB2、B6、B9の低濃度と関連 18~40歳のADHD患者133例、対照群131例を対象に、8種類のビタミンおよびニコチン代謝産物コチニンを分析し、ADHD症状および併存疾患についてもレポートした。 ADHD患者におけるビタミン濃度と精神医学的症状との関連を調査した主な結果は以下のとおり。・ビタミンB2、B6、B9の低濃度とADHD診断が関連し、ビタミンB2、B6の低濃度が症状重症度と関連していた。・喫煙者は、ビタミンB2、B9レベルが低かった。 著者らは「ADHDは、いくつかのビタミン低レベル群でより発症していたが、患者サブグループにおいてこれら微量栄養素の食事摂取が適切でないと考えられる」とし、「ADHDの食事介入試験により、これらの患者を特定することが重要である」と結論づけている。関連医療ニュース 成人ADHD、世界の調査結果発表 うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか

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飽和脂肪酸の不飽和脂肪酸による置換は冠動脈疾患リスクを低下させる!(解説:島田 俊夫 氏)-631

 私たちは、炭水化物、脂肪、タンパク質と少量のミネラル、ビタミンを摂取することによりエネルギーを獲得している。しかしながら、炭水化物の過剰摂取と運動不足が糖尿病・肥満の主要因になっている。糖質制限は治療上重要だが、適切な供給カロリーを維持するためには炭水化物以外の栄養素からエネルギーを獲得することが必要となる1)。1g当たりの産生カロリーは、炭水化物4kcal、脂肪9kcal、タンパク質4kcalのエネルギーを産生する。単純計算から、糖質制限食は代替エネルギーを脂肪またはタンパク質から取らざるを得ない。飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸置換することは冠動脈疾患死を減らす 今回取り上げた、BMJ誌2016年11月23日号に掲載された米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のGeng Zong氏らが、米国男女大規模コホート2試験で1984~2012年の看護師健康調査に参加した女性7万3,147例と、1986~2010年の医療従事者追跡調査に参加した4万2,635例の2つのコホートによる前向き縦断コホート試験により、飽和脂肪酸の冠動脈疾患への関与に対して解析を行った。本研究の被験者はベースラインでは主たる慢性疾患を認めない人のみを対象とした。 被験者のうち、冠動脈疾患の発生(n=7,035)は自己申告により、関連死は全米死亡記録や親戚縁者、郵便局からの報告により裏付けられた。冠動脈疾患症例については診療記録により確認が行われた。 その結果、追跡期間中の総エネルギー摂取量に占める飽和脂肪酸の割合は9.0~11.3%で、ラウリン酸(12:0)、ミリスチン酸(14:0)、パルミチン酸(16:0)とステアリン酸(18:0、8.8~10.7%エネルギー)が主な構成脂肪酸であった。これら4種の脂肪酸は、冠動脈疾患発症と強い相関を示し、スペアマンの順位相関係数は0.38~0.93(すべてのp<0.001)であった。 生活習慣要因と総エネルギー摂取量については多変量調整後、各々の飽和脂肪酸の摂取量の最高5分位数群 vs.最小5分位数群のハザード比は、タウリン酸が1.07(95%信頼区間[CI]:0.99~1.15、傾向p=0.05)、ミリスチン酸が1.13(1.05~1.22、傾向p<0.001)、パルミチン酸が1.18(1.09~1.27、傾向p<0.001)、ステアリン酸が1.18(1.09~1.28、傾向p<0.001)、4種複合飽和脂肪酸で1.18(同:1.09~1.28、傾向p<0.001)であった。 4種の飽和脂肪酸から摂取するエネルギーの1%相当分を、多価不飽和脂肪酸で置換することにより同ハザード比は0.92(p<0.001)に、また1価不飽和脂肪酸で置換すると0.95(p=0.08)、全粒炭水化物で0.94(p<0.001)、植物性タンパク質で0.93(p=0.01)とリスクの減少がみられた。また、単体ではパルミチン酸での置換がリスクを最も低下させ、ハザード比は多価不飽和脂肪酸の置換で0.88(p=0.002)、1価不飽和脂肪酸で0.92(p=0.01)、植物性タンパク質で0.89(p=0.01)であった。糖質制限食使用上の注意点 糖質制限食の重要性がクローズアップされている今日、代替エネルギーを脂肪から取ることは一見理にかなっているが、本論文の結果から脂肪酸の質が重要となり2)3)、飽和脂肪酸の摂取を抑え、多価不飽和脂肪酸または1価不飽和脂肪酸、植物性タンパク質を糖質代替エネルギー源とすることは、糖質制限食の弱点強化につながる可能性を示唆する。

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サン・アントニオ2016 レポート-1

レポーター紹介はじめに2016年SABCSは12月6日~10日まで5日間開催された。今年から会場が新しくなり、非常に快適であった。しかし、外は風も強くとても寒い日が続いた。メイン会場は従来と雰囲気は変わらないが、柱やスクリーンが障壁となって、座席によりスライドの見えにくいところが多かったのが難点である。来年より改善して欲しいところである。今回私たちの臨床をすぐに変えるようなものはほとんどなかった。しかし、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)をはじめとするがん免疫、ERやHER2も含めた体細胞変異、BRCA1/2以外の胚細胞変異、多遺伝子アッセイ、リキッドバイオプシー(循環癌細胞、セルフリーDNA)、マイクロRNA(miRNA)、がん幹細胞、腫瘍の不均一性といった話題は引き続き多くみられた。また、臨床試験デザインの演題も多く採用されていたように思う。まずはOral sessionから紹介する。NSABP B-42は閉経後乳がんにおいて、アロマターゼ阻害剤(AIs)を5年服用後(タモキシフェン3年以下服用も含む)に、さらにレトロゾールを5年延長した場合の効果をみる試験である。現在までにタモキシフェン5年服用後にレトロゾールを5年延長するMA.17試験でその有効性が示されている。MA.17R試験では、レトロゾール5年にさらにレトロゾール5年を追加したが、遠隔再発抑制効果はほとんどみられなかった。しかし、それ以前にタモキシフェンを5年使用していた患者も多く含まれているため、私たちが知りたい条件とは異なっていた。B-42試験では3,964例が2群に割り付けられた。約40%の患者が治療を完遂できず、そのうち治療拒否または中止は14%、有害事象によるものは10%であった。主要評価項目である無病生存期間は、7年でレトロゾール群84.7%、プラセボ群81.3%と有意差が認められた(p=0.048、 HR=0.85:0.73~0.99)。さらに遠隔再発もそれぞれ3.9%、5.8%で有意差を認めた(p=0.03、HR=0.72:0.53~0.97)。しかし全生存期間には差を認めなかった(92.3% vs.91.8%)。すなわち、アロマターゼ阻害剤5年にさらにレトロゾール5年を延長することによる利益は全体としてはわずかである。スライドでは示されなかったが、予後不良(リンパ節転移陽性など)群などでは効果が大きくなると思われる。そのため、TAM→TAM、TAM→AIs、AIs→AIs共に、より予後不良と考えられる患者には使うメリットがあろうと考えられ、個々の患者の状況により対策を立てるのが賢明である。DATA研究は2~3年のタモキシフェンの後に3年または6年のアナストロゾールを服用した際の効果を比較する第III相試験である。3年無病生存率は79.4% vs.83.1%で有意差はみられなかったが(p=0.07、HR=0.79:0.620~1.02)、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、pN+、化学療法施行例に限ると75.9% vs.86.0%で有意差が認められた(p=0.01、HR=0.58:0.39~0.89)。なお、全生存率にはまったく差は認められていない。まだ観察期間も短く、何ら結論は出せないが、他の延長試験と合わせて考えると、やはり再発リスクが高いグループでアロマターゼ阻害剤の延長を考慮したほうが良さそうである。BRCA1/2乳がんにおける体細胞遺伝子の変化について、メモリアル・スローンケタリングがんセンターから報告があった。BRCA1/2乳がんは先天的に一方のアレルのBRCA1/2遺伝子が変異により機能喪失しており、2ヒットとしてもう一方のアレルも何らかの理由で機能喪失すると乳がんに進展していく。BRCA1では29例中28例で両アレルが失活していたが、1例では失活しておらず散発性の乳がん発症と考えられた。両アレルの失活に伴い、その他の遺伝子変異がTP53-76%(ER陰性-95%、ER陽性-25%)、NF1-10%、PTEN-10%、RB1-7%に認められた。BRCA2では10例中全例でLOHが認められた。BRCA1/2胚細胞変異保有者における散発性乳がんの割合とBRCA1/2遺伝子変異に伴う他の体細胞遺伝子変異は、私も兼ねてより知りたかったことの1つだったのでここに紹介した次第である。すなわち、BRCA1/2遺伝子変異保有者ではその大半が遺伝性乳がんとして発症し、散発性乳がんはごくわずかであるということである。当然のことながら散発性乳がんは遺伝の有無にかかわらず発症する訳であるが、遺伝を持っている方は散発性乳がん発症に加え、より大きな遺伝性乳がん発症のリスクを持っていると考えられ、やはり個別化医療としての選択的なサーベイランスを行うことが大切であろう。化学療法に伴う脱毛を予防するための頭皮冷却に関する無作為化比較試験SCALPの結果が報告された。本研究はPaxmanの頭皮冷却装置が用いられているが、これは国内でもすでに薬事承認されている。182例の患者が無作為化割り付け(冷却群119例、非冷却群63例)され、1レジメンでの効果が検討された。その結果、非冷却群での脱毛は100%であったのに対し、冷却群では脱毛を50.5%予防できていた。薬剤別での予防率はタキサンで65.1%であったが、アントラサイクリンではわずか21.9%であった。冷却により強い不快感を訴えた方はわずかであった。比較的良好な結果を示しているといえるが、本報告の問題点として、薬剤の詳細(種類や投与量)がわからないこと、最も多く使われているアントラサイクリン+タキサンレジメンでの脱毛の割合が不明であることが挙げられる。また、パクリタキセルの毎週投与では頭皮冷却の回数が非常に増えてしまうことが懸念される。実地臨床では、時間が長くなり化学療法室を1例で長く占拠してしまうこと、化学療法室のスペース不足、誰に行うのか、といった問題があるのが現実であり、データ不足と相まって普及にはまだ困難を伴いそうである。アロマターゼ阻害剤関連の筋骨格系症状(AIMSS)に対するデュロキセチンの効果をみる無作為化比較試験の結果が報告された(SWOG S1202))。慢性疼痛の治療薬としてFDAで認可されているセロトニン・ノルアドレナリン再吸収阻害薬(SNRI)の1つであるデュロキセチンの効果をみたものである。299例の患者をデュロキセチンとプラセボを12週間内服する群にそれぞれ割り付け、QOL評価を行った。その結果、関節痛や関節のこわばりはデュロキセチン内服群で有意に改善傾向がみられ、QOLも有意に向上していた。しかしながら、その差はわずかにみえる。デュロキセチン群の方で明らかに有害事象が多いこと、プラセボ群でもそれなりの効果と有害事象が出ていることから、直ちにデュロキセチンを使うというよりは1つの提案をしてみたい。まずは何らかの副作用の少ない薬剤(たとえば漢方薬、ビタミンD3など)を使って効果を確認し、改善が不十分であればデュロキセチンに変えてみるなどすると、有害事象を最小限にしながら治療効果を上げることができるのではないか。

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治癒切除後の大腸がん予防、低用量アスピリンが最適か/BMJ

 初発大腸腫瘍(colorectal neoplasia)または大腸がん(colorectal cancer)の治癒切除術を受けた患者における進行性異時性腫瘍の予防では、非アスピリン非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の効果が最も高いが、リスク・ベネフィットのプロファイルは低用量アスピリンが最も良好であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のParambir S Dulai氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2016年12月5日号に掲載された。大腸腫瘍(管状腺腫、がん)の既往のある患者における大腸がんの化学予防薬として、多くの栄養補助食品や薬剤が検討され、無作為化対照比較試験ではさまざまな有効性が示されている。一方、既報のメタ解析では、進行性異時性腫瘍のリスク低減に、アスピリンや非アスピリンNSAIDが有効な可能性が示唆されているが、直接比較試験はなく、相対的な有効性や安全性は不明だという。10種の戦略に関する14試験のネットワークメタ解析 研究グループは、大腸腫瘍の既往のある患者を対象に、進行性異時性腫瘍(初発腫瘍の切除後に発生)の予防における候補薬(低用量および高用量アスピリン、非アスピリンNSAID[セレコキシブ、スリンダク]、カルシウム、ビタミンD、葉酸の単独または併用)の有効性と安全性を評価するために、文献の系統的レビューとメタ解析を行った。 2015年10月15日の時点で、医学データベース(Medline、Embase、Web of Science)に登録された文献を検索し、臨床試験登録にも当たった。有効性の主要アウトカムは進行性異時性腫瘍のリスク、安全性の主要アウトカムは重篤な有害事象(死亡、有害事象による入院、重度消化管出血、血管合併症、有害事象による治療中止)とした。 ベイジアンネットワークメタ解析を行い、surface under the cumulative ranking (SUCRA)を用いて薬剤の相対的な順位を評価した。SUCRAは、1(その薬剤が他の薬剤より完全に優れる)~0(その薬剤が他の薬剤より完全に劣る)の範囲で算出した。エビデンスの質は、GRADE基準で評価した。 10種類の介入戦略を比較した14件の無作為化試験(1万2,234例)が解析の対象となった。これら14試験は1999~2015年に実施され、すべて多施設共同二重盲検プラセボ対照試験であり、11試験はアドヒアランスを最適化するために導入期間が設けられていた。非アスピリンNSAIDは低リスク例に限定 プラセボとの比較で、3~5年間の進行性異時性腫瘍の予防効果が最も高いと判定されたのは非アスピリンNSAID(オッズ比[OR]:0.37、95%信用区間(credible interval:CrI):0.24~0.53、SUCRA=0.98、エビデンスの質:高)であり、次いで低用量アスピリン(0.71、0.41~1.23、SUCRA=0.67、エビデンスの質:低)であった。 一方、安全性は、低用量アスピリンが最も高かった(OR:0.78、95%CrI:0.43~1.38、SUCRA=0.84)のに対し、非アスピリンNSAIDはカルシウムに次いで2番目に低かった(1.23、0.95~1.64、SUCRA=0.26)。 高用量アスピリンの効果(OR:1.12、95%CrI:0.59~2.10、SUCRA=0.58)は、低用量アスピリンとほぼ同等であったが、安全性プロファイル(SUCRA=0.51)は劣っていた。 著者は、「非アスピリンNSAIDの、重篤な有害事象のリスクを超える進行性異時性腫瘍予防のベネフィットは、初発腫瘍が低リスクの患者に限られると考えられる。低用量アスピリンは、予防効果は2番目で信頼性も低いが、安全性が最も優れるため、ベースラインの腫瘍リスクにかかわらず、大腸がんの化学予防薬とみなしてよいと考えられる」としている。

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統合失調症、男と女で妄想内容は異なる

 統合失調症患者において男性と女性で妄想の頻度や妄想内容に違いがあるのかを、オーストリア・インスブルック大学のV Rossler氏らが検討を行った。Fortschritte der Neurologie-Psychiatrie誌2016年11月号の報告。 2008~11年にドイツの精神科病院に入院したすべての統合失調症患者の医療記録を分析した。対象は、統合失調症と診断された妄想型入院患者182例(女性:90例、男性92例)。 主な結果は以下のとおり。・男性と女性で妄想の頻度に差は認められなかった。・しかし、妄想の内容の分析では、相違が明らかであった。・関係妄想を有する女性では、男性と比較し、より頻繁に「監視されている」と感じていた。・関係妄想を有する男性は、不特定の人を妄想に巻き込む傾向を示し、より頻繁に「自分のことが話されている」と感じていた。・女性における誇大妄想は、より頻繁に、他人との重要な関係に基づいて構成されていた。関連医療ニュース 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か 性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大(鷹野 敦夫)【訂正のお知らせ】本文内に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年12月13日)。

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食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性

 禁煙だけでなく、食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性が、スペインのSorli-Aguilar M氏らによる研究で明らかになった。BMC Pulmonary Medicine誌2016年11月25日号掲載の報告。 食事が肺機能に対して与える影響はあまり知られていない。肺機能低下の主な原因は喫煙だが、食習慣との関連も示唆されている。野菜や果物に含まれる抗酸化ビタミン(C、D、E、β-カロテン)や各種ミネラル、食物繊維、フィトケミカル、そして魚介類に含まれるオメガ-3脂肪酸の摂取が呼吸器の健康と関連するとされる一方で、加工肉や過度のアルコール摂取は肺機能低下と関連するという報告も存在する。 本研究では、呼吸器疾患を持たない喫煙者(n=207、35~70歳)を対象に、食事パターンと肺機能の関連が検討された。対象者の食事パターンは、食物摂取頻度調査の結果を主成分分析(PCA)にかけることで決定された。肺機能の低下はFVC<80%、FEV1<80%、FEV1/FVC<0.7のいずれかまたは複数該当する場合とされ、 ロジスティック回帰分析によって解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・肺機能低下は47名(22.7%)の対象者でみられ、男性の対象者でより多くみられた(男性30.8%、女性16.4%)。・対象者の食事パターンは、主にアルコール摂取型、西洋型、地中海型の3つのパターンに区分された。 ◆アルコール摂取型:  ワイン、ビール、蒸留酒などアルコール飲料の摂取が多い群 ◆西洋型:  肉類、乳製品、甘い飲料、菓子類の摂取が多く、果物、野菜、魚の摂取が少ない群 ◆地中海型:  鶏肉、卵、魚、野菜、芋類、果物、ナッツ、ドライフルーツの摂取が多い群・アルコール摂取型の食事パターンで肺機能低下との関連がみられ(オッズ比[OR]:4.56、95%信頼区間[CI]:1.58~13.18)、とくに女性においてその影響が大きかった(OR:11.47、95%CI:2.25~58.47)。・西洋型の食事パターンは、女性においてのみ肺機能低下との関連がみられた(OR:5.62、95%CI:1.17~27.02)。・地中海型の食事パターンと肺機能低下には関連がみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.28~1.79)。・禁煙に加えて、食事パターンの見直しが肺機能保護に役立つ可能性がある。

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脳内脂肪酸と精神症状との関連を検証:富山大

 n-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルと精神障害との関連を調べた研究では、死後脳に関して、白質ではなく主に灰白質の分析に焦点が当てられてきた。富山大学の浜崎 景氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者の死後の脳組織において、PUFAレベルが白質の最大領域である脳梁に異常を示しているのかを調査した。European psychiatry誌オンライン版2016年11月4日号の報告。 対象患者は、統合失調症15例、双極性障害15例、うつ病15例、そして、コントロール15例とし、比較評価を行った。死後の脳梁におけるリン脂質中の脂肪酸は、薄層クロマトグラフィとガスクロマトグラフィにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・これまでのいくつかの研究とは対照的に、患者とコントロールの脳梁内のPUFAまたは他の脂肪酸レベルとの間に有意な差は認められなかった。・性別によるサブ解析でも、同様の結果が得られた。・精神障害の診断の有無にかかわらず、自殺者と非自殺者の間のPUFAには有意な差は認められなかった。 著者らは「精神疾患患者では、健常コントロールと比較して、死後の脳梁におけるn-3PUFA欠損を示さず、脳梁はPUFA代謝異常に関連しない可能性がある。この分野における研究はまだ初期段階であり、さらなる調査が必要である」としている。関連医療ニュース 双極性障害エピソードと脂肪酸の関連を検証 EPA、DHA、ビタミンDは脳にどのような影響を及ぼすか 統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か

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PCI後の心房細動患者、リバーロキサバン+抗血小板薬は有効か/NEJM

 ステント留置により冠動脈インターベンション(PCI)を受けた心房細動患者に対し、低用量のリバーロキサバン(商品名:イグザレルト)+P2Y12の12ヵ月間投与、および超低用量リバーロキサバン+2剤併用抗血小板療法(DAPT)の1、6、12ヵ月投与はいずれも、標準療法のビタミンK拮抗薬+DAPT(P2Y12+アスピリン)の1、6、12ヵ月投与と比べて、臨床的に有意に出血リスクを抑制することが示された。有効性については3群で同等だった。米国・ハーバード・メディカル・スクールのMichael C. Gibson氏らが行った2,124例を対象とした無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2016年11月14日号で発表された。標準療法のビタミンK拮抗薬+DAPTは、血栓塞栓症および脳卒中のリスクを抑制するが、出血リスクを増大する。抗凝固薬リバーロキサバン+抗血小板薬(単剤または2剤併用)の有効性、安全性は確認されていなかった。リバーロキサバン+P2Y12、リバーロキサバン+DAPT、標準療法を比較 試験は、非弁膜性心房細動でステント留置によるPCIを受けた2,124例を、1対1対1の割合で無作為に3群に割り付けて行われた。1群は、低用量リバーロキサバン(15mgを1日1回)+P2Y12を12ヵ月間、2群は超低用量リバーロキサバン(2.5mgを1日2回)+DAPTを1、6または12ヵ月間、3群は標準療法の用量調整にて投与するビタミンK拮抗薬(1日1回)+DAPTを1、6または12ヵ月間、それぞれ投与した。 主要安全性アウトカムは、臨床的に重大な出血(TIMI基準に基づく重大出血または小出血もしくは医学的介入を要した出血の複合)であった。標準療法との比較によるハザード比は0.59、0.63 結果、リバーロキサバンを併用した1群(低用量リバーロキサバン+P2Y12)と2群(超低用量リバーロキサバン+DAPT)はいずれも、3群(標準療法)と比べて臨床的に重大な出血の発生が低下した。発生率は1群が16.8%、2群が18.0%、3群は26.7%で、ハザード比は1群 vs.3群は0.59(95%信頼区間[CI]:0.47~0.76、p<0.001)、2群vs.3群は0.63(95%CI:0.50~0.80、p<0.001)であった。 心血管系が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中の発生率については、3群間で同等だった(Kaplan-Meier法による推定発生率:1群6.5%、2群5.6%、3群6.0%、すべての比較のp値に有意差なし)。ただし95%CI値の幅が大きく、有効性に関する結論は限定的なものだとしている。

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うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか

 ビタミンDの欠乏や不足がうつ病と関連しているのか、また、ビタミンD補充がうつ病の有効な治療法であるのかを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のGordon B Parker氏らが検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年10月11日号の報告。うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割 3つの検索エンジンとオンラインデータベース(PubMed、Google Scholar、コクランデータベース)を用いて、近年出版された経験的研究を抽出した。検索キーワードは、ビタミンD、うつ病、治療とし、ビタミンD欠乏/不足とうつ病との関連、うつ病治療薬としてビタミンDサプリメントやビタミンDを使用した文献を選択した。本レビューは、以前の研究も考慮したものの、2011年以降の最近の研究に比重を置いた。 主な結果は以下のとおり。・経験的研究では、ビタミンD欠乏とうつ病の関連、ビタミンD不足のうつ病患者に対するビタミンDサプリメントやビタミンD増強に関するエビデンスが増加していた。・多くの研究に関連する方法論的限界が述べられていた。・研究は、英語論文に限られており、出版バイアスは、肯定的な所見を持つ研究が多い可能性がある。・うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割を明らかにし、現在示唆されている関連が臨床的に適合されるのかを証明するために、横断的デザインを超え、無作為化された縦断研究を実施する必要がある。

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リバーロキサバン、PCI施行心房細動患者の出血減らす:バイエル

 Bayer AGは2016年11月14日、第III相試験PIONEER AF-PCIの結果から、経口Xa阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の2つの治療戦略が、冠動脈ステントを留置した心房細動患者の出血リスクを、ビタミンK拮抗薬(以下、VKA:Vitamin K Antagonist)に比べ有意に減少させたと発表した。とくに、リバーロキサバン15mg/日と抗血小板薬剤の併用は、VKAと抗血小板2剤療法(以下、DAPT:Dual AntiPlatelet Therapy)の併用に比べ、臨床上著明な出血を41%減少させた。また、リバーロキサバン2.5mg×2/日とDAPTの併用は、VKAとDAPTの併用に比べ、臨床的に著明な出血を37%減少させた。これらの結果は、いずれも統計学的に有意であった。同様の結果が効果評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症)でもみられたが、この試験は統計学的に有意を示すにはパワー不足であった。 この米国で初めてのNOACとVKAとの無作為化比較試験であるPIONEER AF-PCIの結果は、2016年米国心臓学会議(AHA)学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションで発表され、同時にThe New England Journal of Medicine誌に掲載された。PIONEER AF-PCI試験について PCIによる冠動脈ステント留置を行った非弁膜症性心房細動患者2,124例を対象に、リバーロキサバンとVKAの効果と安全性を評価した世界26ヵ国による非盲検無作為化比較試験。主要評価項目は臨床的に著明な出血(TIMI major bleeding)。被験者は以下の3群に割り付けられた。・リバーロキサバン15mg/日+クロピドグレル(またはプラスグレル、チカグレロル)12ヵ月投与・リバーロキサバン2.5mg×2/日+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、リバーロキサバン15mg/日+低用量アスピリン投与、計12ヵ月・VKA+DAPT(主治医の判断により1ヵ月、6ヵ月または12ヵ月)の後、VKA+低用量アスピリン投与、計12ヵ月(ケアネット 細田 雅之)参考バイエル社(ドイツ):ニュースリリースPIONEER AF-PCI試験(ClinicalTrials.gov)原著論文Gibson CM, et al. N Engl J Med. 2016 Nov 14.[Epub ahead of print]

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JAK阻害薬のトファシチニブ軟膏、乾癬への効果は?

 乾癬患者の多くは軽度から中等度の症状を有しており、一般的に局所療法が行われることが多い。しかしながらステロイドやビタミンDなどの局所治療薬の有効性は限局的であり、長期使用に伴い副作用も発現する。そこで局所療法のために、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ、慢性尋常性乾癬に対しては未承認)軟膏の効果が検討された。 今回、BMC Dermatology誌 2016年10月号に掲載されたトファシチニブ軟膏(2%および1%)の12週間、無作為化二重盲検平行群間対照第IIb相試験の結果を紹介する。<試験方法> 無作為に割り付けられた軽度から中等度の成人尋常性乾癬患者435例のうち、除外基準に該当しなかった430例にトファシチニブ軟膏(2%および1%)を1日1回または1日2回塗布し、有効性を検討した。主要評価項目、副次評価項目は以下のとおり。主要評価項目: 8週時または12週時における医師総合評価(PGAスコア)が0(寛解)または1(ほぼ寛解)の達成率とベースラインから2段階以上の改善率。副次評価項目: PGAスコア0または1の達成率、乾癬重症度スコア75(PASI75)を達成した患者の割合、PASIおよび体表面積のベースラインからの変化率、かゆみの重症度項目(ISI)のベースラインからの変化。 有害事象を観察し、臨床検査パラメーターを測定した。<主な試験結果>・8週時において、PGAスコア0または1を達成し、ベースラインから2段階以上の改善が認められた患者の割合は、2%1日1回群18.6%(80%信頼区間:3.8~18.2%)、2%1日2回群22.5%(80%信頼区間:3.1~18.5%)であった。対照群においては、1日1回群8.1%、1日2回群11.3%であった。 1日1回群、2回群ともに対照群と比較して達成率、改善率は有意に高かった。・12週時では、2%および1%軟膏において、どちらのレジメンでも対照群と比較して有意差は認められなかった。・PGAスコア0または1の達成率は、8週時点で2%1日1回群35.9%、2%1日2回群41.8%、1%1日1回群23.4%で、対照群(1日1回群13.9%、1日2回群25.2%)と比較して有意に高かった。 また、12週時点では2%1日2回群39.7%と1日2回対照群27.3%と比較して有意に高かった。・かゆみは、2%および1%1日2回群では塗布2日目から、2%1日2回群においては塗布3日目から、対照群と比較して有意な低下が認められた。・対象者の44.2%に有害事象が発現した。そのうちの8.1%が塗布部位への発現で、重篤な有害事象の発現は2.3%であった。 また、副作用が高頻度にみられたのは、1日1回対照群であった。 以上の結果より、8週時の2%1日1回群または2%1日2回群は、対照群と比較して、高い有効性を示したことがわかった。 また両レジメンにおいて、治療12週までの安全性および局所許容性プロファイルが確認された。

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日常生活で行いたいこと

【骨粗鬆症】【日常の注意事項 やりましょう】普段の生活でやった方がいいことは、何ですか●1日15分程度、腕に直射日光を当てるだけで体内でビタミンDが作られます。●女性も日焼けなどあまり気にせず、普段の生活の中で、毎日、陽に当りましょう!監修:習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎 氏Copyright © 2016 CareNet,Inc. All rights reserved.

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統合失調症や双極性障害、ビタミンD欠乏の有病率は

 いくつかの研究において、ビタミンD低レベルと統合失調症との関連が示唆されている。現時点で、双極性障害患者におけるビタミンD欠乏症の有病率に関する研究のみが存在する。オランダ・Mental Health Care Organisation Noord-Holland-NoordのRemco Boerman氏らは、ビタミンD欠乏症は、統合失調症や統合失調感情障害患者より、双極性障害患者で一般的であるとの仮説と一般オランダ人よりも、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害患者で一般的であるとの仮説について検証を行った。なお、これまでの研究では入院患者を対象としていたが、本研究では唯一、外来患者を含み検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。 双極性障害センターおよび3つのフレキシブル包括型地域生活支援チームのすべての外来患者に対し、本横断的研究への参加を依頼した。 主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者118例、統合失調症または統合失調感情障害患者202例が研究に参加した。・ビタミンD濃度は、30.3%の患者で欠乏していた(95%CI:25.5~35.6)。・精神疾患の種類は、ビタミンD欠乏症の予測因子ではなかった。・試験集団とオランダ白人集団の欠乏リスクの絶対差は23.8%であった(95%CI:18.3~29.3%)。・精神疾患外来患者のビタミンD欠乏症は、一般集団と比較し4.7倍多かった。 結果を踏まえ、著者らは「双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害患者では、ビタミンDレベルが低い危険性が高く、骨、筋力の健康維持や骨粗しょう症予防の観点から、年1回の定期的測定が重要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学 統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

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米国人のサプリ摂取、オメガ3が7倍に/JAMA

 米国成人の栄養補助食品「サプリメント」の摂取率の動向を調べた結果、1999~2012年にかけて摂取している人の割合は50%前後と安定的に推移していたが、種別にみると、複合ビタミン剤・複合ミネラル剤(MVMM)の摂取率は有意な減少を示した一方、さまざまなサプリメントを服用している傾向が増えており、なかでもオメガ3の摂取率が約7倍に増大していることが明らかになった。また年齢、性別、人種/民族、教育歴などの違いによる使用率の差が広がっていることも示されたという。米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのElizabeth D. Kantor氏らが、全国健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)を基に行った横断研究の結果で、JAMA誌2016年10月11日号で発表した。直近の30日間に摂取したサプリメントを聞き取り調査 研究グループは、1999~2012年のNHANESを基に、米国成人のサプリメント摂取の傾向について、連続横断研究を行った。被験者は、施設入居者ではない米国居住成人。2年サイクルで7回にわたって行われた調査には、各サイクル4,863~6,213例の被験者が参加した。 研究グループは、家庭での聞き取り調査を行い、直前30日間に摂取したサプリメントについて質問し、各サイクルにおける摂取率を求め、そのうえでサイクル間での比較を行い、動向を調べた。 質問項目は、種類を問わないサプリメント摂取、10種以上のビタミンやミネラルを含むMVMM、単剤のビタミンやミネラル、非ビタミン、非ミネラルのサプリメントなどの摂取だった。 MVMMの摂取率は減少、オメガ3の摂取率は約7倍に 被験者総数は3万7,958例で、年齢の加重平均値は46.4歳、女性は52.0%で、回答率は74%だった。サプリメントの摂取率は、1999~2012年にかけて安定的に推移し、1999~2000年(第1回)、2011~12年(第7回)の調査時ともに52%だった(傾向のp=0.19)。 一方で、MVMMの摂取率は、1999~2000年が37%に対し、2011~12年は31%と、有意な減少傾向がみられた(差:-5.7%[95%信頼区間[CI]:-8.6~-2.7]、傾向のp<0.001、率比:0.85[95%CI:0.78~0.92])。 一方で増加傾向がみられたのは、MVMM以外からのビタミンD摂取率で、同期間に5.1%から19%へと増大した(差:14%[12~17]、傾向のp<0.001、率比:3.8[3.0~4.6])。 非ビタミン・非ミネラルのサプリメントでは、フィッシュオイルの摂取率の増大が最も大きく、1.3%から12%(差:11%[9.1~12]、傾向のp<0.001、率比:9.1[6.2~13.5])に増えていた。このフィッシュオイルとα-リノレン酸などを含むオメガ3脂肪酸としてみた摂取率も1.9~13%(差:11%[9.4~13]、傾向のp<0.001、率比:6.8[4.9~9.3])に増えていた。

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エドキサバンは電気的除細動時の抗凝固療法として有用/Lancet

 エドキサバンは、心房細動(AF)患者への電気的除細動施行時の抗凝固療法として、エノキサパリン+ワルファリンと同等の高度な安全性と有効性を発揮することが、ドイツ・St Vincenz病院のAndreas Goette氏らが実施したENSURE-AF試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年8月30日号に掲載された。経口第Xa因子阻害薬エドキサバンは、AF患者の抗凝固療法において、エノキサパリン+ワルファリンと比較して、脳卒中や全身性塞栓症の予防効果が非劣性で、出血は少ないことが知られている。一方、AFへの電気的除細動の試験の事後解析では、非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の良好な安全性プロファイルが示されているが、エドキサバンの安全性データは十分ではないという。電気的除細動施行AFでの有用性を無作為化試験で評価 ENSURE-AF試験は、電気的除細動および抗凝固療法が予定されている非弁膜症性AF患者において、エドキサバンとエノキサパリン+ワルファリンの有用性を比較する無作為化第IIIb相試験(Daiichi Sankyo社の助成による)。 被験者は、エドキサバン(60mg/日)またはエノキサパリン+ワルファリンを投与する群に無作為に割り付けられた。エドキサバンは、クレアチニンクリアランスが15~50mL/分、体重≦60kg、P糖蛋白阻害薬併用例では30mg/日に減量することとした。 初回の薬剤投与は、電気的除細動施行の前に行われ、施行後28日間の治療が実施された。その後、30日間のフォローアップを行った。 有効性の主要評価項目は、脳卒中、全身性塞栓イベント、心筋梗塞、心血管死の複合エンドポイントとした。安全性の主要評価項目は、重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血(CRNM)であった。 2014年3月25日~2015年10月28日までに、欧米19ヵ国239施設に2,199例が登録され、エドキサバン群に1,095例が、エノキサパリン+ワルファリン群には1,104例が割り付けられた。安全性の解析は、それぞれ1,067例、1,082例で行われた。両群とも良好な有効性と安全性を達成 全体の平均年齢は64歳で、約3分の2が男性であり、平均CHA2DS2-VAScスコアは2.6(SD 1.4)であった。経口抗凝固薬の投与歴がない患者は27%であった。エドキサバン群の47%がビタミンK拮抗薬の投与を受けており、エドキサバンに変更された。 有効性のエンドポイントは、エドキサバン群が5例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)に認められた(オッズ比[OR]:0.46、95%信頼区間[CI]:0.12~1.43)。 脳卒中はエドキサバン群が2例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)にみられ、頭蓋内出血は両群ともに認めず、全身性塞栓イベントは1例(<1%)、1例(<1%)、心筋梗塞は2例(<1%)、3例(<1%)(OR:0.67、95%CI:0.06~5.88)、心血管死は1例(<1%)、5例(<1%)(OR:0.20、95%CI:0~1.80)に発現した。 安全性のエンドポイントは、エドキサバン群が16例(1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は11例(1%)にみられた(OR:1.48、95%CI:0.64~3.55)。 重大な出血はエドキサバン群が3例(<1%)、エノキサパリン+ワルファリン群は5例(<1%)(OR:0.61、95%CI:0.09~3.13)に認め、CRNMはそれぞれ14例(1%)、7例(1%)(OR:2.04、95%CI:0.77~6.00)にみられた。生命を脅かす出血は1例ずつに認められた。すべての出血の発現数は32例(3%)、35例(3%)(OR:0.93、95%CI:0.55~1.55)であった。 これらの結果は、電気的除細動における経食道心エコー(TEE)ガイドの有無や、抗凝固薬の投与状況の違いによって差が生じることはなかった。また、エドキサバン群は99%以上というきわめて良好な服薬遵守(アドヒアランス)が達成された。 著者は、「エドキサバンは安全に投与でき、患者にとって使用しやすく、電気的除細動施行時に経口抗凝固療法を迅速に開始するのに有用であり、従来のヘパリン+ワルファリンの代替療法として使用可能と考えられる」としている。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第31回

第31回:膝の痛みにおける非外科的治療監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 人口の高齢化に伴い、整形外科領域で保存的治療(非外科的治療)を行っている方を多く見かけます。また、プライマリケア医が遭遇する頻度の高い疾患・症候群としてかぜ症候群、胃腸炎などと並んで「痛み・関節炎症状」が挙げられており1)、今後ますます外来で関節痛、関節炎に対する保存的治療の重要性が増すことが予想されます。今回の記事では、膝の痛みの原因として「変形性膝関節症」「膝蓋大腿疼痛症候群」「半月板・腱・靱帯の損傷」が取り上げられ、それぞれの非外科的治療について解説されていますので、ご紹介します。 以下、American Family Physician 2015年11月15日号2) より1.変形性膝関節症理学療法・運動療法:非外科的治療の基礎であり、ストレッチ、筋力強化(大腿四頭筋訓練)、運動プログラムが効果的である。また、BMI25以上の患者には減量が推奨され、有酸素運動とストレッチを組み合わせるとさらに効果的とされている。自宅で行う運動療法は専門家によるものと同様の効果がある。薬物療法:アセトアミノフェンとNSAIDsが第1選択と考えられている。無作為化試験ではアセトアミノフェンは投与量に関係なくイブプロフェンと同程度に効果的であることが示され、さらに5つのRCTの系統的なレビューでは、アセトアミノフェンは、その効果と副作用がNSAIDsより少ないことから、第1選択薬として考慮すべきとされている。NSAIDsは長期に使用すべきでないが、短期間ならプラセボより効果があるとしている。ビタミンD、グルコサミン・コンドロイチンサプリメントについては、疼痛に対する効果が証明されていない。関節内注射:関節内ステロイド注射について、コクランレビューでは、疼痛緩和の効果は1~2週間のみとしている。アメリカ整形外科学会ではステロイド関節内注射を推奨しておらず、使用するとしても3か月に1回以上投与するべきではないとしている。ヒアルロン酸注射(viscosupplementation)については、2012年の質の高いシステマティックレビューでは、プラセボと比較して何ら臨床的な効果は示されなかったと結論されている。※いずれの場合も、人工関節のある患者には感染のリスクとなるため、関節穿刺は避けるべきである。装具療法:矯正装具 (足底板やサポーター)の使用が害を及ぼすというエビデンスはなく、変形性関節症を含めた膝の慢性的な摩耗による症状に対して、有用なオプションといえる。2.膝蓋大腿疼痛症候群(PFPS;Patellofemoral pain syndrome)理学療法・運動療法:筋力トレーニングとストレッチが第1選択の治療になる。テーピングはコクランレビューでは疼痛に顕著な効果がないとしているが、最近のメタ分析では早期のテーピングが疼痛を改善するという報告もある。経皮的電気刺激やバイオフィードバック、カイロプラクティックを支持するエビデンスはない。薬物療法:疼痛に対してNSAIDsの短期間投与が効果的だという限られたデータしかない。装具療法:理学療法併用の有無にかかわらず疼痛緩和に効果的である。しかし、膝蓋矯正装具の効果を臨床的に裏付けるエビデンスはなく、患者への有益性を裏付けるデータもないことに留意する。3.半月板、腱、靱帯の損傷理学療法・運動療法:第1選択の治療である。退行性の半月板損傷や変性は、変形性関節症の原因となる。ロッキングやキャッチングがあれば整形外科医に紹介する。薬物療法:NSAIDsは短期の疼痛緩和に有用だが、治療の効果はまだはっきりしていない。関節内注射:大腿四頭筋や膝蓋腱など、体重のかかる腱へのステロイド注射は避けるべきだが、保存的治療で効果がない場合は、腸脛靭帯摩擦症候群(ランナー膝)の患者へのステロイド投与は許容される治療法である。慢性膝蓋腱障害と変形性関節症の疼痛と機能をわずかに改善させたという報告がある。装具療法:短期間の使用は靭帯断裂や膝蓋骨骨折といった外傷の直後であれば膝の保護に役立つ。一度あるいは二度の内側側副靱帯損傷には、装具使用に加え、経口鎮痛薬と早期からの理学療法が効果的である。一般的に装具療法は、腸脛靭帯摩擦症候群(ランナー膝)または膝蓋下腱障害といった膝の使い過ぎに使用される。前十字靱帯部分損傷には、急性期に装具を使用すれば保存的治療に効果があるかもしれないが、完全断裂は専門医に紹介する。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 田中勝巳ほか. プライマリ・ケア. 2007;30:344-351. 2) Jones BQ, et al. Am Fam Physician. 2015;92:875-883.

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難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大

 抗精神病薬治療に起因するドパミン過感受性精神病(DSP)は、治療抵抗性統合失調症(TRS)と関連しているが、その治療法はまだ確立されていない。リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)によりドパミンD2受容体の安定的な占有の維持は、治療のための1つの戦略と考えられる。千葉大学の木村 大氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に対するRLAI補助療法の効果を検討した。Journal of psychopharmacology誌8月号(オンライン版2016年7月1日号)の報告。 RLAIは、経口抗精神病薬から部分的に切り替え、補助薬として用いた。RLAIを用いた治療抵抗性統合失調症患者108例を対象に、1年間のフォローアップを含む2年間の研究を行った。DSP歴を有するDSP群72例とDSP歴のない非DSP群36例について効果の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・両群ともに、フォローアップ期間中のBPRSスコアの有意な改善を示したが、非DSP群よりも、DSP群においてより大きな改善が認められた。・高用量(クロルプロマジン換算850mg超)では、両群ともに研究期間中の有意な変化は認められなかったが、DSP群のみで、遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系副作用の有意な改善が認められた。 著者らは「とくにDSP歴を有する難治性統合失調症患者に対し、RLAIへの部分的切り替えは効果的であることが示された」としている。関連医療ニュース 治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C 治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証 治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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心房細動へのNOAC3剤とワルファリンの有用性を比較/BMJ

 すべての非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(新規経口抗凝固薬;NOACs)は、日常診療において安全かつ有効なワルファリンの代替薬になりうる。デンマーク・オールボー大学病院のTorben Bjerregaard Larsen氏らが、デンマーク国内の大規模観察コホート研究の結果、報告した。NOACsとワルファリンとで虚血性脳卒中の発症に有意差はなく、死亡・出血・大出血はワルファリンに比しアピキサバン(商品名:エリキュース)およびダビガトラン(同:プラザキサ)で有意に低いことが示されたという。NOACsの使用は導入以来増加し続けているが、リアルワールドでNOACsの有効性と安全性をワルファリンと比較した研究は限られていた。BMJ誌オンライン版2016年6月16日号掲載の報告。心房細動患者約6万例を平均約2年追跡、ワルファリンとNOACs 3剤を比較 研究グループは、デンマークの3つのデータベースを用い、弁膜症性心房細動または静脈血栓塞栓症の既往がない非弁膜症性心房細動患者で、2011年8月1日以降に初めて経口抗凝固薬(NOACsは標準用量のみ)が投与された6万1,678例について解析した。 投与薬剤は、ワルファリン3万5,436例(57%)、ダビガトラン150mg 1日2回1万2,701例(21%)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)20mg 1日1回7,192例(12%)、アピキサバン5mg1日2回6,349例(10%)であった。 主要評価項目は、有効性が虚血性脳卒中、虚血性脳卒中/全身性塞栓症、死亡、または虚血性脳卒中/全身性塞栓症/死亡。安全性が全出血、頭蓋内出血および大出血で、2015年11月30日まで追跡し、Cox回帰解析を用いワルファリンを対照として治療群間のイベント発生率を比較した。 追跡調査期間は、平均1.9年(アピキサバンは他剤より発売が遅いため平均0.9年)であった。虚血性脳卒中は同程度、死亡および出血はアピキサバンとダビガトランで低下 虚血性脳卒中に限れば、NOACsとワルファリンとで有意差は認められなかった。 投与開始後最初の1年間において、虚血性脳卒中/全身性塞栓症の発症率は、ワルファリン(3.3%)との比較において、リバーロキサバン(3.0%)は低かったが(ハザード比[HR]:0.83、95%CI:0.69~0.99)、ダビガトラン(2.8%)とアピキサバン(4.9%)については有意な差はみられなかった。一方、死亡リスクは、ワルファリン(8.5%)と比較してアピキサバン(5.2%)(HR:0.65、95%CI:0.56~0.75)、ならびにダビガトラン(2.7%)(HR:0.63、95%CI:0.48~0.82)で有意に低かったが、リバーロキサバン(7.7%)では差は認められなかった。 投与開始後1年間におけるあらゆる出血の累積発生率は、ワルファリン(5.0%)よりアピキサバン(3.3%)とダビガトラン(2.4%)で有意に低かったが(HR:0.62、95%CI:0.51~0.74)、リバーロキサバン(5.3%)は同程度であった。 これらの結果について著者は、「今後、NOACs間の有効性や安全性の比較や、NOACsを減量した場合のワルファリンとの比較についてさらに検証する必要がある」と述べている。

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夏生まれは初潮が早い【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第69回

夏生まれは初潮が早い >FREEIMAGESより使用 女性の初潮が具体的にいつごろ起こるものなのか、医学部を卒業したわりにはあまり知らない人が多いと思います。小学生のころ、女子だけ体育館に集められて講義を受けていたような記憶が…。 Klis K, et al. Season of birth influences the timing of first menstruation. Am J Hum Biol. 2016 4;28:226-232. この論文は、生まれた季節が初潮開始時期に影響を与えるかどうか調べたポルトガルの研究です。コホートは2つの時期に設定しました。最初のコホートには1,008人の中高生の女子、次のコホートには671人の大学生の女子を登録しました。それぞれに誕生日、社会経済的ステータス、初潮年齢についてアンケートを実施しました。登録者は、春夏秋冬の4群に分けられました。すなわち、春生まれ群、夏生まれ群、秋生まれ群、冬生まれ群です。解析の結果、いずれのコホートでも夏生まれが他の季節よりも初潮が早くなることがわかりました。初潮の時期については、2014年のあるシステマティックレビューによれば実にさまざまな因子が影響しているようです1)。たとえば、家族内での問題。シングルマザーであったり、母親が抑うつ状態であったり、経済的に困窮していたり…。そういった家庭環境で育つと、初潮が早くなるとされています。また、出生体重が低い場合や、ビタミンD不足・早期の大豆摂取などの栄養面の影響についても報告されています。かといって、夏生まれが何かしら外的ストレスを受けているとは考えにくいと思いますが。参考文献1)Yermachenko A, et al. Biomed Res Int. 2014;2014:371583.インデックスページへ戻る

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