サイト内検索|page:2

検索結果 合計:90件 表示位置:21 - 40

21.

早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善(解説:下村昭彦氏)

 2月10日のNew England Journal of Medicine誌に、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)術前化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることの効果を検証したKEYNOTE-522(KN522)試験の無イベント生存(EFS)の結果が報告された。ペムブロリズマブの上乗せによって病理学的完全奏効(pCR)率が改善することはすでに報告されていたが(Schmid P, et al. N Engl J Med. 2020;382:810-821.)、長期的な予後の改善が期待できるかどうかは、実臨床で広く使われるようになるかに大きく影響する。 結果は報告のとおりであり、ペムブロリズマブ上乗せによるEFSの改善が示され、統計学的有意差は示されなかったものの全生存(OS)についてもペムブロリズマブ群で良好な結果であった。術前化学療法の効果ごとの成績は、pCRを達成した群でnon-pCRよりも予後が圧倒的に良く、pCR群ではペムブロリズマブの有無による大きなEFSの差は認められなかったものの、non-pCR群では統計学的な有意差をもってペムブロリズマブ群でEFSが良好であった。KN522試験では術後9コースのペムブロリズマブ投与が規定されており、この試験結果をもって、術前化学療法へのペムブロリズマブ上乗せと、術後ペムブロリズマブ療法が標準治療となった。 一方、この試験結果はいくつかの新たな臨床的課題を私たちに突き付ける。ひとつは、pCR群における術後ペムブロリズマブ療法の意義である。EFSにおいて統計学的有意差はついておらず、またペムブロリズマブを含む免疫チェックポイント阻害剤は不可逆な甲状腺機能低下症など、患者の生活の質(QOL)に直結する有害事象がそれなりの頻度で発生する(Balibegloo M, et al. Int Immunopharmacol. 2021;96:107796.)。pCRを達成できた場合に術後ペムブロリズマブ療法を省略することが可能かどうか、臨床試験による確認が必要であろう。 もうひとつはnon-pCRの際の術後治療である。CREATE-X試験では、術前化学療法を実施したHER2陰性乳がんでnon-pCRの場合に術後治療としてカペシタビンを追加することの意義が示された(Masuda N, et al. N Engl J Med. 2017;376:2147-2159.)。日本では術後治療としての保険適用はないが、臨床では広く使用されている。また、OlympiA試験ではBRCA1/2生殖細胞系列の変異がある際に術後治療としてオラパリブを実施することの意義が示され、TNBCでnon-pCRだった症例も含まれている(Tutt ANJ, et al. N Engl J Med. 2021;384:2394-2405.)。したがって、術前化学療法を行ってnon-pCRだったTNBCの術後治療としての選択肢は、カペシタビン、オラパリブ(BRCA1/2変異あり)に、ペムブロリズマブが加わったことになる。これらのいずれを選択すべきかという疑問は今後解決していくべき課題のひとつである。さらには、カペシタビン+ペムブロリズマブ、オラパリブ+ペムブロリズマブについてはすでに安全性のデータが存在する。併用することでよりEFSを改善することができるのか、あるいはBRCA1/2変異のないTNBCに対してもオラパリブ+ペムブロリズマブは有効であるのか等、議論すべき話題は尽きない。

22.

早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブによるEFS、アジア人での解析(KEYNOTE-522)/日本臨床腫瘍学会

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象に、術前補助療法としてペムブロリズマブ+化学療法併用を化学療法単独と比較、さらに術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第III相KEYNOTE-522試験において、4回目の中間解析までにペムブロリズマブ群が術前補助療法による病理学的完全奏効率(pCR)および無イベント生存期間(EFS)を有意に改善した。今回、本試験のアジア人集団の 4 回目の中間解析結果について、北海道大学/国立病院機構北海道がんセンターの高橋 將人氏が、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。KEYNOTE-522試験、アジアから216 例が組み入れられた[KEYNOTE-522試験]・対象:治療歴がなく、原発巣の腫瘍径2cm以下でリンパ節転移あり(T1c、N1~2)またはリンパ節転移に関係なく腫瘍径2cm超(T2~4d、N0~2)で、遠隔転移がない(M0)ECOG PS 0/1のTNBC患者・試験群:術前に化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)+ペムブロリズマブ(3週ごと)、術後にペムブロリズマブ(3週ごと)を9サイクルあるいは再発または許容できない毒性発現まで投与(ペムブロリズマブ群)・対照群: 術前に化学療法+プラセボ、術後にプラセボを投与(プラセボ群)・評価項目:[主要評価項目]pCR(ypT0/Tis ypN0)、EFS[副次評価項目]pCR(ypT0 ypN0およびypT0/Tis)、全生存期間(OS)、PD-L1陽性例におけるpCR・EFS・OS、安全性 KEYNOTE-522試験のアジア人集団における主な結果は以下のとおり。・アジア(韓国、日本、台湾、シンガポール)からKEYNOTE-522試験には216 例が組み入れられた(ペムブロリズマブ群136例、プラセボ群80例)。・データカットオフ(2021年3月23日)時点で、観察期間中央値は39.7ヵ月(範囲:10.0~46.9)、ペムブロリズマブ群およびプラセボ群でEFSイベントは13例(9.6%)および20 例(25.0%)で観察された。・EFSのハザード比(HR)は、全集団の0.63(95%信頼区間[CI]:0.48~0.82)に対し、アジア人集団では0.35(95% CI:0.17~0.71)だった。・術前補助療法でpCRを達成した患者と得られなかった(non-pCR)患者に分けて評価した場合、3年EFSは、pCR達成患者ではプラセボ群94.4%に対してペムブロリズマブ群100%、non-PCR患者ではプラセボ群62.8%に対してペムブロリズマブ群77.7%であった。・安全性プロファイルは、アジア人集団において各レジメンや以前の解析と同様であった。 高橋氏は、KEYNOTE-522試験でEFSの結果がアジア集団でより有効に見えることについて、「アジア人集団は症例数が少ないので差があるとは言えず、ただ全集団と少なくとも同等の効果が期待できると言える」と述べた。また、non-pCRの場合の術後補助療法におけるカペシタビンの使用については、「ペムブロリズマブにカペシタビンを追加するのか、ペムブロリズマブを中止してカペシタビンを投与するのかは、トランスレーショナルに検討していく必要がある」とした。

23.

早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善/NEJM

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法でペムブロリズマブ+化学療法→術後補助療法でペムブロリズマブによる治療は、術前補助療法での化学療法のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長することが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが21ヵ国181施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-522試験」で示された。すでに本試験の最初の解析において、術前補助化学療法にペムブロリズマブを追加することで、根治的手術実施時に病理学的完全奏効(pCR)(乳房内に浸潤がんがなく、リンパ節転移陰性と定義)を得られた患者の割合が有意に増加することが報告されていた。NEJM誌2022年2月10日号掲載の報告。術前化学療法へのPEM追加+術後PEMの有効性を、プラセボと比較 研究グループは、未治療の早期TNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。 ペムブロリズマブ+化学療法群では、術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに9サイクル投与した。プラセボ+化学療法群では、術前補助療法でプラセボ+化学療法(同上)、術後補助療法でプラセボを投与した。 主要評価項目は、pCRおよびEFS(無作為化から、根治的手術不能となる病勢進行、局所または遠隔再発、2次原発がんの発生、または全死因死亡までの期間と定義)とし、安全性についても評価した。3年EFS率は84.5% vs.76.8% 2017年3月~2018年9月に計1,174例が割り付けられた(ペムブロリズマブ+化学療法群784例、プラセボ+化学療法群390例)。 計画されていた今回の第4回中間解析(データカットオフ日:2021年3月23日)における追跡期間中央値は39.1ヵ月(範囲:30.0~48.0)で、EFSのイベントはペムブロリズマブ+化学療法群で123例(15.7%)、プラセボ+化学療法群で93例(23.8%)に認められた。 3年無イベント生存率は、ペムブロリズマブ+化学療法群84.5%(95%信頼区間[CI]:81.7~86.9)、プラセボ+化学療法群76.8%(72.2~80.7)であった(イベントまたは死亡のハザード比:0.63、95%CI:0.48~0.82、p<0.001)。 有害事象は主に術前補助療法期に発現し、ペムブロリズマブおよび化学療法ですでに確立されている安全性プロファイルと一致していた。

24.

再発卵巣がん、トラメチニブでPFS有意に延長/Lancet

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid M. Gershenson氏らは、再発低悪性度漿液性卵巣がん患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化第II/III相試験「GOG 281/LOGS試験」において、MEK阻害薬トラメチニブが標準治療と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、新たな治療選択肢となる可能性があることを示した。卵巣または腹膜の低悪性度漿液性がんはMAPKシグナル伝達経路の異常が特徴であり、高悪性度漿液性がんに比べ化学療法に対する感受性が低い。これまでの研究で、MEK阻害薬は有効性が期待される治療戦略であることが示唆されていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。トラメチニブの有効性および安全性を医師選択の標準治療と比較 研究グループは、米国および英国の84施設において、RECIST ver.1.1に基づく測定可能病変を有する18歳以上の再発低悪性度漿液性がん患者を、トラメチニブ群または標準治療群のいずれかに、地域(米国、英国)、前治療レジメン数(1、2、3以上)、PS(0、1)、計画された標準治療を層別因子として、1対1の割合で無作為に割り付けた。5つの標準治療薬すべてではなく、少なくとも1つのプラチナ製剤を含むレジメンによる治療を受けたことがある患者を適格とし、化学療法歴のレジメン数は問わなかった。また、漿液性境界型腫瘍、または低悪性度漿液性がんと高悪性度漿液性がんを含む腫瘍を有する患者は除外した。 トラメチニブ群は2mgを1日1回経口投与し、標準治療群は次の5つのうち医師が選択した治療を行った。パクリタキセル(80mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、ペグ化リボソームドキソルビシン(40~50mg/m2を4週に1回静脈内投与)、トポテカン(4mg/m2を1、8、15日目に静脈内投与、28日ごと)、レトロゾール(2.5mg 1日1回経口投与)、タモキシフェン(20mgを1日2回経口投与)。 主要評価項目は、intention-to-treat集団における無作為化された治療を受けている間のPFS(治験責任医師評価)とし、ベースライン、続く15ヵ月間は8週ごと、それ以降は3ヵ月ごとに画像診断を行った。トラメチニブ群でPFS中央値が約6ヵ月有意に延長 2014年2月27日~2018年4月10日の期間に260例が登録され、トラメチニブ群(130例)と標準治療群(130例)に無作為化された。観察期間中央値は、トラメチニブ群31.5ヵ月(IQR:18.1~43.3)、標準治療群31.3ヵ月(15.7~41.9)であった。 主要解析において、PFSイベントは217例確認され、トラメチニブ群101例(78%)、標準治療群116例(89%)であった。PFS期間中央値は、トラメチニブ群13.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:9.9~15.0)、標準治療群7.2ヵ月(5.6~9.9)で、ハザード比は0.48(95%CI:0.36~0.64、p<0.0001)であった。 主なGrade3/4の有害事象は、トラメチニブ群(128例)が皮疹(17例、13%)、貧血(16例、13%)、高血圧(15例、12%)、下痢(13例、10%)、悪心(12例、9%)、疲労(10例、8%)であり、標準治療群(127例)が下腹部痛(22例、17%)、悪心(14例、11%)、貧血(12例、10%)、嘔吐(10例、8%)であった。治療に関連した死亡は確認されなかった。

25.

子宮内膜がん、レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFS/OSを延長/NEJM

 進行子宮内膜がん患者において、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法は化学療法と比較し、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのVicky Makker氏らが、21ヵ国167施設で実施した非盲検第III相試験「Study 309/KEYNOTE-775試験」の結果を報告した。プラチナ製剤による化学療法後の進行性子宮内膜がんに対する治療選択肢は、限られていた。NEJM誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。レンバチニブ+ペムブロリズマブvs.ドキソルビシンまたはパクリタキセル 研究グループは、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による化学療法の治療歴のある進行子宮内膜がん患者を、レンバチニブ(20mg、1日1回経口投与)+ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと静脈投与)併用群、または化学療法(治験医師選択によるドキソルビシン60mg/m2の3週ごと静脈投与、またはパクリタキセル80mg/m2の週1回静脈投与3週・1週休薬)群のいずれかに、1対1の割合で無作為に割り付けた。 有効性の主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFS、およびOSで、全体集団およびミスマッチ修復機構を有する(mismatch repair proficient:pMMR)集団を対象としてintention-to-treat解析を行った。安全性についても同様に評価した。 2018年6月11日~2020年2月3日に計827例(pMMR患者697例、ミスマッチ修復機構欠損患者130例)が、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群(411例)および化学療法群(416例)に割り付けられた。データカットオフ日は2020年10月26日。レンバチニブ+ペムブロリズマブでPFSおよびOSが有意に延長 PFS期間中央値は、全体集団(7.2ヵ月vs.3.8ヵ月、ハザード比[HR]:0.56、95%信頼区間[CI]:0.47~0.66、p<0.001)、pMMR集団(6.6ヵ月vs.3.8ヵ月、0.60、0.50~0.72、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 OS期間中央値も同様に、全体集団(18.3ヵ月vs.11.4ヵ月、HR:0.62、95%CI:0.51~0.75、p<0.001)、pMMR集団(17.4ヵ月vs.12.0ヵ月、0.68、0.56~0.84、p<0.001)のいずれにおいても、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群が化学療法群より有意に延長した。 Grade3以上の有害事象の発現率は、レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用群88.9%、化学療法群72.7%であった。

26.

レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法が 進行・再発の子宮体がんに承認/エーザイ・MSD

 エーザイとMSDは、2021年12月24日、経口チロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ(製品名:レンビマブ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法について、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」の適応で、厚生労働省より承認を取得した。 同承認は、日本におけるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の初めての承認である。同併用療法は、進行性子宮体がん(米国と欧州では進行性子宮内膜がん)に係る適応で、日本、米国および欧州において承認されたことになる。 今回の承認は、臨床第III相309試験/KEYNOTE-775試験の結果に基づいたもの。この試験において、対照薬の化学療法(治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセル)と比較して、同併用療法は、全生存期間を統計学的に有意に延長し、死亡リスクを38%減少させた(ハザード比:0.62、95% 信頼区間:0.51~0.75、p<0.0001)。無増悪生存期間も統計学的に有意に延長し、増悪または死亡のリスクを44%減少させた(HR=0.56、95% CI:0.47~0.66、p<0.0001)。

27.

DLBCLへのpola-R-CHP療法vs. R-CHOP療法/NEJM

 未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者において、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+prednisone)よりも、抗CD79b抗体薬物複合体・ポラツズマブ-ベドチン+R-CHP療法(pola-R-CHP療法)を受けた患者のほうが、2年時点の病勢進行・再発・死亡の複合リスクが約27%低かったことが示された。フランス・Centre Henri-BecquerelのH. Tilly氏らが、879例を対象に行った国際的な第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年12月14日号で発表した。DLBCLに対しては通常R-CHOP療法が行われるが、治癒が期待できるのは60%のみであった。DLBCL患者を対象にpola-R-CHP療法とR-CHOP療法を比較 研究グループは、未治療で中等度~高度リスクの18~80歳のDLBCL患者を対象に、従来R-CHOP療法と、pola-R-CHP療法を比較する検討を行った。 被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、pola-R-CHP療法またはR-CHOP療法をそれぞれ6サイクル、その後リツキシマブを2サイクル投与した。 主要評価項目は、研究者の評価による無増悪生存(PFS)。副次アウトカムは、全生存(OS)および安全性とした。推定PFS率はR-CHOP療法70.2%でpola-R-CHP療法76.7% 被験者数は全体で879例(pola-R-CHP療法群440例、R-CHOP療法群439例)。追跡期間中央値28.2ヵ月後のマイルストーン解析で、2年時点の推定PFS率はR-CHOP療法群70.2%(95%信頼区間[CI]:65.8~74.6)に対し、pola-R-CHP療法群は76.7%(72.7~80.8)だった。 2年時点の無イベント生存率は、pola-R-CHP療法群がR-CHOP療法群よりも低く、Cox回帰分析による病勢進行、再発、死亡に関する層別ハザード比(HR)は、0.73(95%CI:0.57~0.95、p=0.02)だった。また、2年時点のOS率については、両群間で有意差はみられず、pola-R-CHP療法群88.7%(95%CI:85.7~91.6)、R-CHOP療法群88.6%(85.6~91.6)だった(HR:0.94、95%CI:0.65~1.37、p=0.75)。 安全性プロフィールは、pola-R-CHP療法群とR-CHOP療法群で類似していた。

28.

ESMO2021レポート 泌尿器腫瘍

レポーター紹介2021年のESMOは、9月16日から21日まで、フランスのパリで開催されましたが、いまだCovid-19感染が世界的に終息していない状況を反映し、完全バーチャルの形式でした。発表形式は、Presidential Symposium、Proffered Paper session、Mini Oral session、e-Posterとして発表され、泌尿器領域からも各セッションで注目演題が並びました。LBA5 mHSPCにおけるUp frontアビラテロン療法の第III相試験:PEACE-1試験A phase III trial with a 2x2 factorial design in men with de novo metastatic castration-sensitive prostate cancer: Overall survival with abiraterone acetate plus prednisone in PEACE-1. Fizazi K, et al. Presidential Symposium 2.PEACE-1試験は、フランスを中心として実施された国際共同第III相試験で、転移性去勢感受性前立腺がん(mHSPC)に対する初回治療として標準治療にアビラテロン(Abi)1,000mg+プレドニゾロン10mgを加えることと、局所放射線照射74Gy/37frを加えることの効果を検証する2×2のFactorial designで計画されました。2013年から2018年まで登録を行った試験であり、途中の2015年にUpfrontでのドセタキセル(DTX)のエビデンスが報告されるという大きなパラダイムシフトがありました。そのため試験デザインは、標準治療が2015年まではアンドロゲン除去療法(ADT)のみであったのに対し、2015年からはADT+DTX 75mg/m2×6回が追加できることに、変更されました。Abiを加えた群とAbiなしの群を比較したデータの報告は、6月に行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO)で無増悪生存期間(PFS)が報告されましたが、今回のESMOでは全生存期間(OS)の結果が初めて報告されました。標準治療がADT+DTXであった症例の患者背景は、各群バランスよく臓器転移が10%強、High burdenは60%強でした。PFSはすでに報告があったとおり、radiologic PFSは中央値4.5年と2.0年、ハザード比[HR]: 0.50、95%信頼区間[CI]: 0.40~0.62、p<0.0001であり、あらかじめ設定された両側α=0.001を下回り、有意にAbiの追加が優れていました。OSの解析には両側α=0.049が設定され、全体集団でのAbiあり群とAbiなし群の中央値は5.7年と4.7年、HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.030でした。また、標準治療がADT+DTXであった集団でのAbiあり群とAbiなし群の中央値は到達せずと4.4年、HR:0.75、95%CI:0.59~0.95、p=0.017であり、OSでも優越性が示されました。興味深いことに、サブグループ解析ではHigh volume症例においては、HR:0.72、95%CI:0.55~0.95、p=0.019と差が維持されるのに対し、Low volume症例においては、HR:0.83、95%CI:0.50~1.38、p=0.66と差がなくなる方向にシフトしていました。Low volumeではとくにイベント数が少ないため解釈には注意が必要ではありますが、少なくともHigh volumeでのADT+DTX+Abiは、既報の中で最も長いOS中央値を報告しており、もはやこれが標準治療ではないかと演者は締めくくりました。日本では、UpfrontでのDTXに関し本年8月に添付文書の改訂が行われ、ようやく保険上使用可能になりました。Abiを併用することが可能かどうかは未知数ですが、High volume症例へのUpfront療法の有用性は強く意識せざるを得ない結果だと思います。652O 筋層浸潤性膀胱がんに対する周術期化学療法dd-MVAC vs. GCの第III相試験:VESPER試験Dose-dense methotrexate, vinblastine, doxorubicin and cisplatin(dd-MVAC)or gemcitabine and cisplatin(GC)as perioperative chemotherapy for patients with muscle-invasive bladder cancer(MIBC): Results of the GETUG/AFU VESPER V05 phase III trial.Pfister C, et al. Proffered Paper session - Genitourinary tumours, non-prostate 1.dd-MVAC療法は、メトトレキサート30mg/m2 day1、ビンブラスチン3mg/m2 day2、ドキソルビシン30mg/m2 day2、シスプラチン70mg/m2 day2を2週間ごとに繰り返す、顆粒球コロニー形成刺激因子 (G-CSF)を用いたIntensiveなレジメンであり、転移性膀胱がんではGC療法と同等の効果が報告されています。GC療法は転移再発の膀胱がんにおいては4週サイクルで用いられますが、Intensiveなレジメンとしてゲムシタビン1,250mg/m2 day1、8、シスプラチン70mg/m2 day1を3週ごとに繰り返すレジメンも海外では用いられています(日本のゲムシタビンの保険承認用量は1,000mg/m2であることに注意)。周術期治療は、強度を上げることで生存の改善が望まれていますが、VESPER試験はそれに一定の答えを与えてくれる、重要なランダム化比較第III相試験です。2013年から2018年にかけてフランスの28施設で登録された試験であり、Primary endpointは3年PFSでした。術前治療の場合はT2以上N0M0、術後治療の場合はpT2以上かpN+でM0の症例を対象とし、dd-MVAC療法 6サイクルとGC療法4サイクルに1:1に割り付けました。GC群(N=245)とdd-MVAC群(N=248)の患者背景は、おおよそ同じではありましたが、術後化学療法ではN+がGC群に若干多く73%と60%でしたが、T3/4は27%と40%でありdd-MVAC群に多いようでした。また術前化学療法ではT2は95%と90%でGC群に若干多く、T4は1.8%と4.1%でdd-MVAC群に若干多いという偏りが見られました。有意差があったかどうかは言及がありませんでした。3年PFSは両群とも中央値に達さず、HR:0.77、95%CI:0.57~1.02、p=0.066でdd-MVAC群が上回るKaplan-Meier曲線でした。術前化学療法例に限ると、HR:0.70、95%CI:0.51~0.96、p=0.025と、dd-MVAC群の効果が際立つ結果でした。また今回の報告で初めてOSのデータが提示されました。全体集団ではOSのHRは0.74、95%CI:0.55~1.00、術前化学療法例ではHR:0.66、95%CI:0.47~0.92でdd-MVAC群が上回っていました。試験全体のPrimary endpointがPFSであることを鑑みると、Negativeな結果であり、周術期治療においてdd-MVAC療法のGC療法に対する優越性は示せなかったという結論になると思います。しかしながら、演者の論調もDiscussantの話しぶりも、術前化学療法にはdd-MVAC療法がより優れているのが明らかになったと解釈しており、論点はdd-MVAC療法を6サイクル行うか4サイクルで手術に行くか? という別の次元の問題がトピックになっていました。術前治療の効果を最大限高めることを目標にする場合は、明日からの診療はdd-MVAC療法となると思います。個人的な感想ですが、今回の報告からは安全性の情報は省かれていたことや、統計設定とその解釈についての情報はなかったことから、論文化を待って再度吟味したいと考えています。LBA29 転移性腎細胞がん1次治療のイピリムマブ+ニボルマブ療法の投与スケジュール変更の安全性と効果を検討するランダム化第II相試験:PRISM試験Nivolumab in combination with alternatively scheduled ipilimumab in first-line treatment of patients with advanced renal cell carcinoma: A randomized phase II trial (PRISM).Vasudev N, et al. Proffered Paper session - Genitourinary tumours, non-prostate 2.CheckMate-214試験において、転移性淡明腎細胞がんのIntermediate/Poorリスク例におけるイピリムマブ+ニボルマブ療法は、スニチニブ単剤と比較しOSの延長が報告され、現在標準的な治療となっています。イピリムマブとニボルマブの併用により、重篤な免疫関連有害事象は47%で発生し、22%は治療中止に至ると報告されています。PRISM試験は、英国で行われた多施設共同ランダム化第II相試験であり、イピリムマブ+ニボルマブの投与スケジュールを3週間ごとと3ヵ月ごとに1:2に割り付け比較しました。標準治療群(N=64)は、イピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを3週ごとで4回投与後、ニボルマブ480mgを4週ごとで継続します。試験治療群(N=128)は、イピリムマブ1mg/kgとニボルマブ3mg/kgを3ヵ月ごとで4回投与、ニボルマブ240mgを最初の3ヵ月は2週ごと、次の3ヵ月以降は480mgを4週ごとで投与します。Primary endpointは、12ヵ月以内のGrade 3/4有害事象の比較であり、Secondary endpointはその他の有害事象、PFS、客観的奏効率(ORR)、OS、Quality of life;QOLでした。両群の患者背景は、バランスが取れており、追跡期間中央値は19.7ヵ月でした。Primary endpointのGrade 3/4の治療関連有害事象は、試験治療群で32.8%、試験治療群で53.1%、オッズ比0.43、90%CI:0.25~0.72、p=0.0075であり、試験治療群で安全性が上回っていました。とくに両群に違いが見られた有害事象は、関節痛(1.6% vs.7.8%)、大腸炎(3.9% vs.6.3%)、リパーゼ上昇(1.6% vs.9.4%)、下垂体機能低下症(0.8% vs.3.1%)であり、治療中止に至った症例はそれぞれ22.7%と39.1%でした。PFS中央値はmodified Intention to Treat;ITT(1回以上の治療を行った患者)では、試験治療群で10.8ヵ月、標準治療群で9.8ヵ月であり、Kaplan-Meyer曲線はほぼ重なっていました。Intermediate/Poorリスク群でのPFS曲線や、全体集団でのOS曲線も同様であり、2群の治療の効果は互角と読み取れました。本研究により、イピリムマブを3ヵ月ごとに投与するスケジュールは、効果を損なわず安全性が向上することが示されました。イピリムマブ+ニボルマブ療法の最適な治療のスケジュールはまだ探索の余地があることが示唆されます。654MO 集合管がんに対するカボザンチニブの第II相試験:BONSAI試験A phase II prospective trial of frontline cabozantinib in metastatic collecting ducts renal cell carcinoma: The BONSAI trial (Meeturo 2)Procopio G, et al. Mini Oral session - Genitourinary tumours, non-prostate.イタリアのがんセンターで行われた単施設の単群第II相試験で、標準治療のない転移性集合管がんに対する1次薬物療法として、カボザンチニブ60mg連日内服を実施しその効果と安全性を報告しました。統計設定はSimonの2ステージデザインで行われ、1stステージでは2/9例、2ndステージでは6/14例の奏効で有効性を判断することになっていました。2018年1月から2020年11月にかけて25例を登録し23例で治療が行われました。年齢中央値は66歳、19例が男性でした。追跡期間中央値8ヵ月時点において、奏効は8/23例で認められORR 35%、PFS中央値は6ヵ月でした。有害事象は全例でGrade 1/2の毒性が見られ、頻度の高いものは倦怠感43%、甲状腺機能低下症28%、口腔粘膜炎28%、食思不振26%、手足症候群13%などでした。DNAシークエンスを行った結果、奏効例には脱ユビキチン関連遺伝子、細胞間伝達関連遺伝子、TGF-βシグナル伝達関連遺伝子が認められていました。本研究の結果、集合管がんにおいてカボザンチニブは有効な治療選択肢であることが示されました。演者のProcopio氏はさらに、これら遺伝子プロファイルの結果、カボザンチニブのような血管新生阻害薬や、免疫チェックポイント阻害薬、あるいは化学療法が適しているのかを個別に治療選択する臨床試験(CICERONE試験)も始めていると報告しました。日本において腎細胞がんに対するカボザンチニブは、保険適用となっています。集合管がんの治療は、尿路上皮がんとして治療されたり腎細胞がんとして治療されたりしていますが、本研究の報告は治療選択の参考になるものと思われます。

29.

カルボプラチン+パクリタキセルの術前療法がTN乳がんの予後を改善(BrighTNess)/ESMO2021

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前療法としてのカルボプラチン+パクリタキセル療法が、長期予後追跡の結果、無イベント生存期間(EFS)を改善することが示唆された。これは大規模臨床試験のBrighTNess試験の結果であり、ドイツ・German Breast Group(GBG)のSibylle Loibl氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表された。 本試験は、国際共同の第III相比較試験であり、すでに主要評価項目である病理学的奏効率(pCR率)については2018年に報告済みである。今回は長期予後のEFSと全生存期間(OS)に関する報告。・対象:gBRCAの判定結果を有するStage2/3のTNBC症例(634例)・試験群:(1)カルボプラチン+パクリタキセル+veliparib(PARP阻害薬)の併用(CPV群)(2)カルボプラチン+パクリタキセル+veliparibのプラセボ(CP群)・対照群:パクリタキセル+カルボプラチンのプラセボ+veliparibのプラセボ(P群)カルボプラチンはAUC 6mg/mL/分を3週ごとに、パクリタキセルは80mg/m2を1週ごとに投与し、共に16週間以内に投与完了。併用するveliparibは50mg/日(内服)。この3群の投与後はすべての群で、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)を4サイクル追加投与し、その2~8週間後に手術を施行。・評価項目[主要評価項目]pCR率[副次評価項目]EFSとOS、安全性(2次発がんの検討含む) 主な結果は以下のとおり。・患者の年齢中央値は約50歳、gBRCA変異ありは約15%、N0症例は約58%であった。・観察期間中央値4.5年時点で、3群ともに50%EFS期間に到達しておらず、CPV群のP群に対するEFSハザード比(HR)は0.63(95%信頼区間[CI]:0.43~0.92)、p=0.02であった。CP群のHRは0.57(95%CI:0.36~0.91)、p=0.02であった。CPV群とCP群間ではHRは1.12(95%CI:0.72~1.72)、p=0.62であった。・pCRが得られた症例のEFSは、gBRCA変異状況に関係なく、pCRが得られなかった患者に比べて良好であった。HRは0.26(95%CI:0.18~0.38)、p<0.0001であった。・OSに関しては、死亡はCPV群が38/316例で12%、CP群16/160例の10%、P群では22/158例で14%であった。CPV群のP群に対するHRは0.82(95%CI:0.48~1.38)、p=0.45で、CP群はHR 0.63(95%CI:0.33~1.21)、p=0.17、CPV群とCP群間ではHR 1.25(95%CI:0.70~2.24)、p=0.46であった。・骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病を含む2次発がんの発生頻度は3群間で大きな差はなかった(0~4%)。 演者は、「TNBCの術前療法としてのveliparibの追加は有用ではなかったが、従来のパクリタキセル+AC療法にカルボプラチンを追加する意義は大きかった。さらにこれはgBRCAステータスには無関係であった」と締めくくった。

30.

小細胞肺がんに対するlurbinectedin+ドセタキセルの2次治療、主要評価項目は達成できず(ATLANTIS)/WCLC2021

 lurbinectedinは小細胞肺がん(SCLC)において、3.2mg/m2用量の単剤で、米国で承認されている。 in vitroでは、lurbinectedinとドセタキセルの併用による相乗効果が確認されている。この結果を基に、第I相用量拡大試験が行われ、lurbinectedin 2mg/m2とドセタキセル40mg/m2とトポテカンまたはCAV(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン)の併用が有望な効果を示した1)。 WCLC2021では、小細胞肺がんに対する、lurbinectedin 2mg/m2とドセタキセル(またはCAV)の併用を評価する第III相試験ATLANTISの結果が発表された。 併用群は対照群に匹敵する有効性を示したが、主要評価項目は達成できなかった。・対象:2次治療のSCLC・試験群:lurbinectedin 2mg/m2 +ドセタキセル40mg/m2 3週ごと・対照群:トポテカン1.5mg/m2day1~5 3週ごとまたはCAV 3週ごと・評価項目:全生存期間(OS) 主な結果は以下のとおり。・OS中央値はlurbinectedin併用群8.6ヵ月に対し、トポテカン(またはCAV)群は7.6ヵ月であった(HR:0.967、p=0.7032 )。・独立評価委員会評価のPFS中央値は4.4ヵ月対4.0ヵ月であった(HR:0.831、p=0.0437)。・12ヵ月PFS率は10.8%対4.4%であった(p=0.0129)。・全Gradeの有害事象(AE)発現率はlurbinectedin併用群88.4%に対し、トポテカン(またはCAV)群は92.0%であった。・Grade3以上のAEは47.2%対75.4%と、lurbinectedin群ではGrade1~2が多かった。・lurbinectedin併用群で多くみられた有害事象は貧血14.5%、好中球減少37.0%、血小板減少13.1%であった。 lurbinectedinとドセタキセルの併用は主要評価項目は未達であったが、対照群に匹敵する有効性を示した。安瀬寧については、対照群よりも良好な結果を示した。

31.

アントラサイクリンベース化療中の乳がん、心保護薬の併用でLVEF低下を予防

 イタリア・フィレンツェ大学Lorenzo Livi氏らがアントラサイクリンベースの化学療法で治療を受けている乳がん患者の無症候性の心臓損傷を軽減できるかどうかを調査した結果、β遮断薬のビソプロロールやACE阻害薬のラミプリル(日本未承認)を投与することで、がん治療に関連するLVEF低下や心臓リモデリングから保護する可能性を示唆した。JAMA Oncology誌2021年8月26日号オンライン版ブリーフレポートでの報告。 本研究であるSAFE試験は、イタリアの8施設の腫瘍科で実施された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、12ヵ月で心臓評価を完了した最初の174例に関する中間分析。対象者の募集は2015年7月~2020年6月の期間で、中間分析は2020年に実施された。対象者はアントラサイクリンベースのレジメンを使用し、一次または術後の全身療法を受ける兆候があった患者で、事前に心血管疾患の診断を有していた患者は除外された。心臓保護薬としてビソプロロール、ラミプリル、ラミプリルとビソプロロール併用に割り付け、プラセボ群と比較。化学療法の開始から1年間、またはERBB2陽性者はトラスツズマブ療法の終了まで投与を行った。全グループの用量について、ビソプロロール(1日1回5mg)、ラミプリル(1日1回5mg)、プラセボを可能な範囲で体系的に漸増した。 主要評価項目は、無症状(10%以上悪化)の心筋機能(左心室駆出率[LVEF])と歪み(長軸方向の歪み[GLS:global longitudinal strain])で、2Dおよび3Dの心エコー法で検出した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は174例の女性(年齢中央値48歳、範囲24〜75歳)だった。・12ヵ月間の3D心エコーでLVEFの低下状況を確認したところ、プラセボ群で4.4%、ラミプリル群、ビソプロロール群、併用群でそれぞれ3.0%、1.9%、1.3%の低下だった(p=0.01)。・全体的な長軸方向の歪みは、プラセボ群で6.0%、ラミプリル群とビソプロロール群でそれぞれ1.5%と0.6%悪化したが、併用群では変化しなかった(0.1%の改善、p<0.001)。・3D心エコーでLVEFが10%以上低下した患者数は、プラセボ群で8例(19%)、ラミプリル群で5例(11.5%)、ビソプロロール群で5例(11.4%)、併用群で3例(6.8%)だった。 ・プラセボ群15例(35.7%)は、ラミプリル群(7例:15.9%)、ビソプロロール(6例:13.6%)、および併用群(6例:13.6%)と比較して、GLSが10%以上も悪化を示した(p=0.03)。

32.

子宮内膜がんに対するペムブロリズマブ+レンバチニブをFDAが承認/メルク・エーザイ

 メルクとエーザイは、2021年7月22日、治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応なMSI-Highを有さない進行子宮内膜がんに対する抗PD-1抗体ペムブロリズマブとチロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブの併用療法の適応について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表。 今回の承認は、第III相臨床試験 (KEYNOTE-775 試験/309 試験)の結果に基づいたもの。同試験において、対照薬の化学療法(治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセル)と比較して、同併用療法は全生存期間(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.56~0.84、p=0.0001)、無増悪生存期間(HR:0.60、95%CI:0.50-0.72、p<0.0001)共に有意に延長した。さらに奏効率は30%で、対照群の15%に比べ有意な改善を示した。 根治的治療に不適応な進行性子宮内膜がんの5年生存率は17%と低い。なかでも、全身化学療法後に増悪した患者の治療選択肢は限られているが、今回の承認で、生存期間を延長する新たな治療選択肢が加わった。

33.

アントラサイクリン心筋症 見つかる時代から見つける時代へ【見落とさない!がんの心毒性】第2回

連載の第1回では、循環器医ががん医療に参画し始めた背景について向井先生が解説しました。第2回ではアントラサイクリン心筋症・心不全にも新たなアプローチが求められていることについて、大倉が解説します。重篤な心不全で見つかる時代から、そうなる前に見つける時代になったことを感じていただければ幸いです。アントラサイクリンによる心不全は3回予防できるドキソルビシンが1975年にわが国で使われ始めて、もうすぐ半世紀が経とうとしています。よく効くので、今尚がん医療の現場で広く使われています。心毒性があるため心機能異常またはその既往歴のある患者には禁忌です。とはいえ心臓病でもアントラサイクリンを使わざるを得ない状況は患者の高齢化とともに増加傾向にあります。献身的ながん医療の成果が10年生存率の改善(58.3%)という形で表れています。一方、一部のアントラサイクリン使用患者では、心毒性により化学療法を中断したり、QOL(生活の質)が損なわれたりしています。心不全で亡くなることもあります。循環器医は“アントラサイクリンによる心不全は早期発見で3回予防できる”と考えています。(1)心機能の低下予防 (2)心不全の発症予防 (3)慢性心不全の増悪予防の3回です(図)。実際のところ、がん医療の現場でこの考え方はあまり共有されていません。そのため1回も予防されずに重症化した心不全がん患者を診ることもあります。(図)心不全の進展ステージとアントラサイクリン心筋症の予防機会画像を拡大する2021年3月、“脳卒中と循環器病対策基本法”の行動計画の核心である脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画が公表されました1)。心不全は重要3疾患の1つに掲げられ、悪性腫瘍に合併する心不全の管理も重点項目として指定されました。“心不全は予防と早期発見”という考えが国民に向けて発信されることで、がん医療にも徐々に馴染んでゆくものと思われます。発生率と危険因子アントラサイクリンによる心機能障害は用量依存性に発生します。ドキソルビシン換算で累積投与量が 400 mg/m2で3~5%、550 mg/m2で7~26%、700 mg/m2で18~48%に起こります2)。累積投与量以外にも、65歳以上の高齢者、小児、胸部・縦隔への放射線照射、トラスツズマブなど心毒性を有する他の薬剤の使用、基礎心疾患の既往や合併、心血管リスク(喫煙、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、肥満)の合併などで、起こりやすくなるため注意が必要です。この段階で併存心疾患や心血管リスクを治療し心機能低下を予防します3)(図:1回目の予防)。近年、ゲノムワイド関連解析(GWAS:genome-wide association study)により、拡張型心筋症の原因となる遺伝子変異の一つで、サルコメア蛋白のタイチンをコードする遺伝子の切断型変異(Titin-truncating variants)があると、アントラサイクリンの心毒性に対して脆弱になることが報告されました4)。5ヵ年計画にはファーマコゲノミクス(PGx)の推進が盛り込まれており、抗がん薬の心毒性に関与する遺伝子を5年間に2個同定しようとしています。Onco-cardiologyの分野でもゲノム医療が始まろうとしています1)。心毒性の機序アントラサイクリンは一部の患者に不可逆的な心筋障害を起こします。失われた心筋細胞が復活することはありません。ミトコンドリアの鉄の蓄積と活性酸素の過剰な産生を惹起し、ミトコンドリアや細胞内小器官が障害されます。DNAの修復に欠かせないトポイソメラーゼIIβを阻害し、DNA二重鎖切断とアポトーシスを誘導します。心筋細胞の恒常性に欠かせない周囲の血管内皮細胞も障害され、後々の心筋細胞の適応性や生存性の低下に繋がります。心筋の線維芽細胞や前駆細胞も複雑に関与しています4)5)。経過・治療古典的には心毒性は急性、慢性早期、慢性晩期に分類されていました(表1)。(表1)アントラサイクリンによる心毒性の古典的な臨床分類画像を拡大する現在では、詳細な経過観察により、心筋細胞レベルの障害が最初に起きて、それが潜在進行性の心機能低下を惹起し、代償機転が破綻して心不全に至るという連続性が確認されています。心不全を起こす患者では、アントラサイクリン投与後に、血清トロポニンが一過性に上昇し、左室駆出率(LVEF)が低下します。心保護薬で治療すると、ほとんどの患者でLVEFは不完全ながら回復傾向を示しますが、一部の患者はLVEFが悪化して、心不全を発症します。Cardinaleらによれば、アントラサイクリン投与後に9%の患者に心毒性(LVEF50%未満への低下)が認められました。心毒性の98%は化学療法終了後1年以内(中央値3.5ヵ月)に現れました。エナラプリルとカルベジロールで治療をすると82%に回復傾向を認めました6)。無症候性心機能低下(図:ステージB)のうちに発見し、心保護薬で予防をすることで悪化を食い止め、心不全(図:ステージC)を予防できます(図:2回目の予防)。そのため、ここでの介入が最も効果的と考えられています。しかし、この予防機会を失えば、心不全を発症します。こうなると、非可逆的な心筋障害であるため、治療に難渋し、ステージDへの進行を防げない可能性があります。潜在患者の早期発見に有用な検査定期的に全員に心エコーをすれば早期発見は可能ですが、医療資源は限られているため、ハイリスク群を優先することが欧米の腫瘍学会でコンセンサスを得ています(表2)。(表2)最新ガイドラインに見るアントラサイクリン使用に関連した強い推奨[A、B]画像を拡大するリスクの層別化には、アントラサイクリン治療後のトロポニン測定に期待が寄せられています。上昇しない患者はその後の心不全が起きにくいことが分かっており、心エコーの頻度を減らすことができます7)。一方、上昇し、その後も上昇が持続する患者では、心不全が起きやすいため、心保護薬を開始したり、心エコーの頻度を増やしたりします。わが国の保険制度ではそのようなトロポニンの使われ方は認められておりません。採血のタイミングやカットオフ値の標準化については今なお研究段階です。アントラサイクリン治療を終えて数ヵ月以上経過している患者の心不全の早期発見は、危険因子による層別化や、BNPやNT-proBNPによる補助診断に頼ることになります。フラミンガムの一般住民を対象にした疫学調査によると、BNP はLVEF40%以下の心機能低下に対する感度は良好でしたが、LVEF50%前後に対してはよくありませんでした8)。ステージBの中でもCに近い患者の検出には使えそうです。BNP検査によるアントラサイクリン心筋症の早期発見については、小児やAYA世代のがんサバイバーでの有用性については否定的な報告があります9)。それでも特性を理解すれば、たいへん便利な検査ですので、BNP検査については正書や学会ホームページをご覧ください10)11)。心エコーでは、無症候性心機能低下(ステージB)の中で、更に早い段階の異常を捉えようとしています。スペックルトラッキング法を用いたGlobal longitudinal strain (GLS)は、薬剤性心筋障害をLVEFよりも早期に感度良く検出できるようです。欧米の腫瘍学会ガイドラインでも測定を推奨していますが、人間の感覚を超えた領域なので慣れるのに時間がかかりそうです12)。心機能低下はがん治療終了後1年以内に始まるので、半年後と1年後の心エコーを推奨していますが、異常を見落としたり、その後に異常が明らかになることもあるため、その後のフォローも欠かせないでしょう。フォローの内容や間隔については、危険因子が多いほど綿密にします。なぜ重症化してから見つかるのか?「患者や医師が、息切れ、むくみ、疲れ易さを、がんのせいと勘違いする」「医師や薬剤師が累積使用量の上限を超えなければ心不全は起きないだろうと油断もしくは勘違いする」「がん治療が済んで患者がフォローアップされなくなる」「フォローされてもクリニックの先生方と心不全への懸念が共有されない」などが原因で、発見が遅れ重症化の引き金になると考えられます。慢性晩期のアントラサイクリン心筋症には、認識不足や連携の脆弱さといった医療システムの問題が少なからず関係しています。心不全全般に言えることですが、脳卒中や心筋梗塞や糖尿病と比べ、心不全についての認知度が低いことは、かなり前から指摘されており世界共通の課題でした13)。アントラサイクリンで治療した患者に、心不全のセルフチェックを促すには、心不全についての知識の普及が肝要です。心不全発症に早めに気づいて治療することで重症化が予防できます(図:3回目の予防)。今、試されるチーム力最新のESMOガイドライン2020では“がんサバイバーから目を離すな”とうたっています。アントラサイクリンで治療した乳がん患者で薬剤性心筋障害を起こすのは、3~6%程度ですが、軽んずることなく解決への道を開けば、将来の患者の利益になります。院内ではがん診療科と多職種の連携が解決への糸口となり14)、晩期障害の早期発見にはクリニックの先生方の協力が不可欠です。地域医療への知識の普及には、大学や医師会の役割りが大きいです。システムの問題が心不全に関与しているのならば、システムを修正すれば良いのです。心不全についての知識は一般の方には伝わりにくいことが世界共通の課題ですが、“脳卒中と循環器病対策基本法”の下、行政による後押しで国民への啓蒙が始まろうとしています。高齢化に伴い、がん患者の心臓病が増加しています15)。がんと心不全の古くからの関係は新しい時代を迎えました。1)日本脳卒中学会・日本循環器学会編. 脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画 ストップCVD(脳心血管病)健康長寿を達成するために. 20212)Zamorano JL, et al. Eur Heart J. 2016;37:2768-2801.3)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p10-11.(赤澤 宏 心機能障害/心不全 アントラサイクリン系薬剤)4)Garcia-Pavia P, et al. Circulation. 2019;140:31-41.5)Kadowaki H, et al. Circ J. 2020;84:1446-1453.6)Cardinale D, et al. Circulation. 2015;131:1981-1988.7)Cardinale D, et al. 2004;109:2749-2754.8)Vasan RS, et al. JAMA. 2002; 288:1252-1259.9)Michel L, et al. ESC Heart Fail. 2020;7:423-433.10)猪又孝元ほか The Manual心不全のセット検査. メジカルビュー社;2019.11)日本心不全学会:血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について12)日本心エコー図学会編.抗がん剤治療関連心筋障害の診療における心エコー図検査の手引13)Okura Y, et al. J Clin Epidemiol. 2004;57:1096-1103.14)日本腫瘍循環器学会編集委員会編. 腫瘍循環器診療ハンドブック. メジカルビュー社;2020.p.176-178.(大倉 裕二、吉野 真樹 腫瘍循環器診療における連携のコツと工夫 多職種連携)15)Okura Y, et al. Int J Clin Oncol. 2019;24:983-994.講師紹介

34.

レンバチニブ+ペムブロリズマブ、子宮体がんに国内申請

 エーザイとMDSは、2021年4月23日、マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ(商品名:レンビマ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法について、日本において進行性子宮体がんに係る適応追加を申請したと発表。 この申請は、プラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がん(日本においては子宮体がん)を対象とした臨床第III相試験(309/KEYNOTE-775試験)の結果に基づいたもの。この試験結果は、2021年3月に開催された米国婦人科腫瘍学会(SGO)で発表された。 同試験において、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)、副次評価項目である奏効率(ORR)について、治験医師選択化学療法(ドキソルビシンまたはパクリタキセル)に対して統計学的有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目および副次評価項目を達成した。なお、同併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているものと同様であった。 レンバチニブとペムブロリズマブは、子宮体がんを予定される効能又は効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されており、この申請は優先審査の対象となる。 子宮体がんの罹患者数は、2020年には世界で41万7,000人以上と推定され、約9万7,000人が亡くなったとされている。日本では2020年に1万7,000人以上が新たに罹患し、3,000人以上が亡くなったと推定される。子宮内膜がんは、子宮体がんの9割以上を占める。予後は悪く、転移のある子宮内膜がんの5年生存率は17%である。

35.

早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。 本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。 患者報告アウトカムの測定は、EORTC Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)およびFunctional Assessment of Cancer Therapy-General(FACT-G)single item GP5の質問票を用いて、術前療法および術後療法の各サイクルのベースライン・1日目・治療終了時、観察期間には1年目は3ヵ月ごと、2~3年目は6ヵ月ごと、その後は年に1回実施した。 主な結果は以下のとおり。・両群のQLQ-C30完了率(ITT解析)は、ベースラインは100%、術前療法期間では90%以上、術後療法期間(16サイクルまで)では89%以上、GP5完了率は、ベースライン(2サイクル1日目)で98%以上、術前療法期間および術後療法期間で88%以上であった。・ベースラインの平均値(95%CI)は、身体機能がアテゾリズマブ群91%(89~93)、プラセボ群90%(88~92)、役割機能がアテゾリズマブ群89%(86~93)、プラセボ群89%(86~92)、健康関連(HR)QOLがアテゾリズマブ群79%(76~82)、プラセボ群76%(73~79)と高かった。・16サイクルまでの治療評価期間、観察期間を通じ、身体機能、役割機能、HRQOLの平均値とベースライン値からの平均変化は両群で類似していた。・平均身体機能は、両群で3~5サイクル目の術前療法期間中に臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、7サイクル目の開始を安定させた。・平均役割機能は、アテゾリズマブ群では2サイクル目から、プラセボ群では3サイクル目から5サイクル目までの術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間に回復し、プラセボ群のみ9サイクル目で安定した。・平均HRQOLは、両群で3~5サイクル目の術前療法期間で臨床的に重要な低下を示したが、術後療法期間で回復し、6サイクル目から安定した。・術前療法期間の疲労、下痢、悪心・嘔吐は、機能およびHRQOLにおけるベースライン値からの平均および平均変化と類似した傾向で、両群とも5サイクルを通じて悪化した。術後療法期間の平均症状スコアは、疲労を除いて両群ともベースラインと同様であった。 Mittendorf氏は、「両群の治療関連症状は類似しており、化学療法へのアテゾリズマブの追加は新たな副作用はみられず忍容性があった。この解析結果から、nab-パクリタキセル後にACを投与する術前化学療法にアテゾリズマブを追加することで、患者に新たな治療負担を与えることなくpCRを改善することが示された」と述べた。

36.

乳がんでの免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発はかなり複雑/日本癌治療学会

 2020年の乳がん診療におけるトピックスの1つとして、トリプルネガティブ(TN)乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の第III相試験の結果が多く発表されたことが挙げられる。しかし、これらの結果にはまだまだ未知の要因が関係しており、その理解はかなり複雑である。福島県立医科大学の佐治 重衡氏は、乳がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の試験結果によるディスカッションポイントについて、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)の会長企画シンポジウムにおける「乳癌診療の新たな構築 2020」で解説した。 乳がんでは腫瘍遺伝子変異量(TMB)が少ないとされ、免疫チェックポイント阻害薬への期待は高くはなかった。しかし、2019年にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに対するアテゾリズマブ+nabパクリタキセルが承認され、今後、ペムブロリズマブもKEYNOTE-355試験の結果を基にPD-L1陽性進行/再発TN乳がんに承認される可能性が高い。今回、佐治氏は、乳がんにおける免疫チェックポイント阻害薬治療でのディスカッションポイントとして、早期乳がんと進行/再発乳がんで免疫チェックポイント阻害薬の効果が異なる点、免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる化学療法によって異なる点を挙げ、それぞれ解説した。早期乳がんと進行/再発乳がんで免疫チェックポイント阻害薬の効果が異なるのは? 早期(Stage II~III)TN乳がんの術前治療としての免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブを検討した第III相試験であるIMpassion031試験がESMO2020で発表された。本試験では、術前治療としてnabパクリタキセルを12週投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド8週投与する群とアテゾリズマブ追加群を比較した結果、術後の病理学的完全奏効(pCR)がアテゾリズマブ追加群で57.6%とプラセボ群(41.1%)より16.5%上乗せされたことが示された。また、この上乗せはPD-L1発現状況にかかわらずみられた。 ESMO2019で発表されたKEYNOTE-522試験においても、IMpassion031試験とは化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルを4サイクル後、ドキソルビシン/エピルビシン+シクロホスファミドを4サイクル)は異なるが、早期TN乳がんの術前治療に免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブを追加することによりpCRの上乗せが示された。また、IMpassion031試験と同様に、PD-L1発現状況にかかわらず15%前後の上乗せが示された。どちらもリンパ節転移陽性例のほうが陰性例より上乗せ効果が高かった。 佐治氏は、この2つの試験結果から、なぜ早期乳がんではPD-L1陰性でも効果があるのか、また、なぜリンパ節転移陽性だとpCRの上乗せが顕著なのか、疑問を呈した。 まず前者について、佐治氏はESMO2020で発表されたNeoTRIP試験(早期TN乳がんに術前治療としてカルボプラチン+nabパクリタキセルにアテゾリズマブを追加)の結果を提示した。本試験では、術前治療前と途中のペア組織生検からPD-L1の発現変化を調べた結果、アテゾリズマブ併用群では、治療前にPD-L1陰性だった患者のうち64.3%が治療の途中で陽性となったのに対して、プラセボ群では17.7%しか陽性にならなかった。この結果から、佐治氏は、抗PD-L1抗体の併用により原発腫瘍のPD-L1の発現が誘導される可能性を言及した。リンパ節転移がある乳がんへの免疫チェックポイント阻害薬の効果の影響は? 後者については、治療する時点でリンパ節転移がある場合に免疫チェックポイント阻害薬の効果が顕著であるとするなら、リンパ節転移陽性の患者さんが乳房切除+リンパ節郭清といった手術後に免疫チェックポイント阻害薬を受けるときの効果はどうなるのか、という疑問が生じる。 これまで乳がんの術前治療と術後治療は効果が同じという前提で治療を行ってきているが、治療時にリンパ節転移があるほうが免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いという仮説が正しいのであれば、術前治療と術後治療において免疫チェックポイント阻害薬の利益には差があることになってしまう。佐治氏は「もしそうであれば、免疫チェックポイント阻害薬を使用する時代になったときに手術を含めた治療戦略そのものを変えなければいけない」と述べ、「今後、術後治療での免疫チェックポイント阻害薬の結果が出てきたとき、リンパ節転移の有無が本当に大事なのかどうかは重要なポイントとなる」と指摘した。免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる化学療法の違いで異なる結果 免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせる化学療法については、これまで、何を選んでもある程度の上乗せを期待できると考えられてきた。しかし、ESMO2020で発表されたIMpassion131試験は、対象が同じ未治療のPD-L1陽性進行/再発TN乳がんであるにもかかわらず、IMpassion130試験と異なる結果であった。すなわち、アテゾリズマブにnabパクリタキセルを組み合わせたIMpassion130試験では、無増悪生存期間(PFS)の上乗せ効果があったのに対し、パクリタキセルを組み合わせたIMpassion131試験では上乗せ効果がなかった。 この理由として、パクリタキセルの場合はステロイドを投与するためという意見もあるが、KEYNOTE-355試験など、ステロイドを必要とする化学療法との組み合わせがある他の試験では効果がみられているため、よくわかっていないという。佐治氏は、「今後、サブセット解析や細かいデータを見直した結果が発表されたときに、化学療法のペアの問題がどれくらい重要なのかがわかるだろう」と述べた。 最後に佐治氏は、「進行/再発乳がんではPD-L1陽性例にしか効果がないのに、なぜ早期乳がんではPD-L1の発現によらず効果があるのか。また、早期乳がんにおいてリンパ節転移が治療効果に影響している結果をどう解釈すればよいのか。さらに、どの化学療法を組み合わせて開発していくのか。乳がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発は簡単ではなく、やるべきことが多いことがわかった」と課題を述べ、講演を締めくくった。

37.

トリプルネガティブ乳がん術前治療における免疫チェックポイント阻害剤併用(解説:下村昭彦氏)-1305

 2020年9月19日から欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がバーチャル開催され、多数の重要演題が発表された。IMpassion031試験もその1つであり、同日Lancet誌に論文掲載となっている。IMpassion031試験はトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前化学療法としてアルブミン結合パクリタキセル(nab-PTX)とAC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)療法に、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを上乗せすることにより病理学的完全奏効(pCR)率が向上するかどうかを検証したランダム化比較第III相試験である。アテゾリズマブ群で17%のpCR率改善を認め、アテゾリズマブのpCR率に対する効果が統計学的有意に示された。PD-L1陽性(1%以上)・陰性のいずれでもpCR率の改善傾向を認めたが、サブグループでは統計学的有意差は認めなかった。同様の試験として抗PD-1抗体であるペムブロリズマブを用いたKEYNOTE-522試験(CBDCA+PTX f/b AC療法へのペムブロリズマブの上乗せを検証)があり、こちらも全体集団でペムブロリズマブによるpCR率改善が示されており、その傾向はPD-L1ステータスにより変わらなかった。 一方、転移乳がんを対象とした試験では明暗を分けている。転移TNBC 1次治療を対象として、3つの試験の結果がすでに発表されている。IMpassion130試験はnab-PTXへのアテゾリズマブの上乗せを、無増悪生存期間(PFS)をエンドポイントとして検証した試験である。ITT集団で上乗せ効果があり、PD-L1陽性集団でより強く効果を認めたものの、PD-L1陰性集団ではまったく上乗せ効果が認められなかった。PD-L1陽性集団では全生存期間(OS)においても改善が期待される結果であった。一方、同じセッティングでPTXへの上乗せを検証したIMpassion131試験ではアテゾリズマブのPFSに対する上乗せ効果が認められず、むしろOSにおいてはアテゾリズマブ群で悪い傾向にあった(有意差なし)。この相反する結果に対しては、PTXでは前処置としてステロイドが毎回投与されること、nab-PTXとPTXではパクリタキセルとしての薬剤の量が異なること、実際に試験に参加した患者の背景が異なることなどが原因として議論されている。同様の対象でタキサン(PTX/nab-PTX)もしくはCBDCA+GEMへのペムブロリズマブの上乗せを検証したKEYNOTE-355試験ではPD-L1陽性集団において上乗せ効果が示され、タキサンでより良い傾向を示したことから、アテゾリズマブとペムブロリズマブの薬剤としての違いもディスカッションに挙げられている。 早期TNBCに戻って考えてみると、早期がんではPD-L1ステータス、薬剤の種類にかかわらず免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の上乗せ効果を認めている。早期乳がんと転移乳がんでバイオマーカーが異なる可能性も指摘されているが、大きな違いとしてはAC療法が行われているかどうか、ということである。AC療法によりがん細胞が破壊されることによりがん特異抗原やサイトカインが放出され、免疫のプライミングが惹起されることなどが原因として指摘されている。その傍証の1つが、NeoTRIP試験(nab-PTX+CBDCAへのアテゾリズマブの上乗せを、pCRをエンドポイントとしてみた試験、AC療法は術後に行われた)ではpCRの改善がほとんどみられなかったことである。併用化学療法の影響は大きいと考えるべきであろう。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤を術前化学療法に併用した場合に問題となるのが、non-pCRの際の術後化学療法である。TNBCでnon-pCRだった場合には術後にカペシタビンの半年間の投与(国内未承認)が無病生存期間(DFS)ならびにOSを改善することが示されているが、ICIの試験では術後にICIを継続されている。non-pCRの場合にカペシタビンへ変更するのか、それともICI+カペシタビンの治療を行うのか、今後明らかにしていく必要がある。

38.

早期TN乳がんの術前療法、アテゾリズマブ+化療でpCR改善(IMpassion031)/Lancet

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前補助療法として、アテゾリズマブ+化学療法(nab-パクリタキセル/ドキソルビシン/シクロホスファミド)の併用は、プラセボ+化学療法と比較して病理学的完全奏効(pCR)率を有意に改善し、忍容性は良好であることが明らかとなった。米国・ダナ・ファーバー/ブリガム&ウィメンズがんセンターのElizabeth A. Mittendorf氏らが、13ヵ国75施設で実施された国際共同無作為化二重盲検第III相試験「IMpassion031試験」の結果を報告した。早期TNBCに対する術前補助療法では、アントラサイクリン/シクロホスファミドやタキサンベースの化学療法が推奨されている。一方、PD-L1陽性の転移があるTNBC患者では、アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用が無増悪生存期間や全生存期間の改善に有効であることが、IMpassion130試験で示されていた。Lancet誌オンライン版2020年9月20日号掲載の報告。化学療法へのアテゾリズマブ追加の有効性をプラセボと比較 IMpassion031試験の対象は、未治療で組織学的に確認されたStageII~IIIのTNBC患者(18歳以上)で、化学療法+アテゾリズマブ(840mg、2週間隔、静注)群または化学療法+プラセボ群に、ステージ(IIまたはIII)とPD-L1発現(<1%または≧1%)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた。いずれも、nab-パクリタキセル(125mg/m2、毎週、静注)と併用投与を12週間行った後、ドキソルビシン(60mg/m2、2週間隔、静注)およびシクロホスファミド(600mg/m2、2週間隔、静注)との併用投与を8週間行い、手術を実施した。手術後は、アテゾリズマブ群ではアテゾリズマブ1,200mgを3週間隔(静注)で11回投与し、プラセボ群は経過観察を継続した。 主要評価項目は、無作為化された全患者(ITT集団)およびPD-L1陽性患者(PD-L1発現≧1%)におけるpCRとした。 2017年7月7日~2019年9月24日の期間に、333例が無作為に割り付けられた(アテゾリズマブ群165例、プラセボ群168例)。カットオフ日(2020年4月3日)時点で、追跡期間中央値はアテゾリズマブ群が20.6ヵ月(IQR:8.7~24.9)、プラセボ群が19.8ヵ月(IQR:8.1~24.5)であった。アテゾリズマブ+化学療法で、PD-L1発現状態にかかわらずpCR率が17%有意に増加 ITT集団におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が58%(95/165例)(95%信頼区間[CI]:50~65%)、プラセボ群が41%(69/168例)(95%CI:34~49%)で、アテゾリズマブ群が有意に高かった(群間差:17%、95%CI:6~27、片側p=0.0044[有意水準p<0.0184])。 PD-L1陽性患者におけるpCR率は、アテゾリズマブ群が69%(53/77例)(95%CI:57~79%)、プラセボ群が49%(37/75例)(95%CI:38~61%)であった(群間差:20%、95%CI:4~35%、片側p=0.021[有意水準p<0.0184])。 術前補助療法期において、Grade3/4の有害事象は両群で差はなく、治療関連の重篤有害事象はアテゾリズマブ群37例(23%)、プラセボ群26例(16%)で認められた。両群で各1例、Grade5の有害事象である死亡(アテゾリズマブ群:交通事故、プラセボ群:肺炎、ともに治療とは関連しない)が報告された。

39.

がん治療で心疾患リスクを伴う患者の実態と対策法/日本循環器学会

 第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で佐瀬 一洋氏(順天堂大学大学院臨床薬理学 教授/早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所)が「腫瘍循環器診療の拡がりとCardio-Oncology Rehabilitation(CORE)」について発表。がんを克服した患者の心血管疾患発症リスクやその予防策について講演した。循環器医がおさえておくべき、がん治療の新たなる概念-サバイバーシップ がん医療の進歩により、がんは不治の病ではなくなりつつある。言い換えるとがん治療の進歩により生命予後が伸びる患者、がんサバイバーが増えているのである。とくに米国ではがんサバイバーの急激な増加が大きな社会問題となっており、2015年時点で1,500万人だった患者は、今後10年でさらに1,000万人の増加が見込まれる。 たとえば小児がんサバイバーの長期予後調査1)では、がん化学療法により悪性リンパ腫を克服したものの、その副作用が原因とされる虚血性心疾患(CAD)や慢性心不全(CHF)を発症して死亡に繋がるなどの心血管疾患が問題として浮き彫りとなった。成人がんサバイバーでも同様の件が問題視されており、長期予後と循環器疾患に関する論文2)によると、乳がん患者の長期予後は大幅に改善したものの「心血管疾患による死亡はその他リスク因子の2倍以上である。乳がん診断時の年齢が66歳未満では乳がんによる累計死亡割合が高かった一方で、66歳以上では心血管疾患(CVD)による死亡割合が増加3)し、循環器疾患の既往があると累計死亡割合はがんとCVDが逆転した」と佐瀬氏はコメントした。心疾患に影響するがん治療を理解する この逆転現象はがん治療関連心血管疾患(CTRCD:Cancer Therapeutics-Related Cardiac Dysfunction)が原因とされ、このような患者は治療薬などが原因で心血管疾患リスクが高くなるため、がんサバイバーのなかでも発症予防のリハビリなどを必要とする。同氏は「がん治療により生命予後が良くなるだけではなく、その後のサバイバーシップに対する循環器ケアの重要性が明らかになってきた」と話し、がんサバイバーに影響を及ぼす心毒性を有する薬を以下のように挙げた。●アントラサイクリン系:蓄積毒性があるため、生涯投与量が体表面積あたり400mg/m2を超えるあたりから指数関数的にCHFリスクが上昇する●分子標的薬:HER2阻害薬はアントラサイクリン系と同時投与することで相乗的に心機能へ影響するため、逐次投与が必要。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は世代が新しくなるにつれ血栓症リスクが問題となる●免疫チェックポイント阻害薬:PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬併用による劇症心筋炎の死亡報告4)が報告されている これまでのガイドラインでは、薬剤の影響について各診療科での統一感のなさが問題だったが、2017年のASCOで発表された論文5)を機に変革を迎えつつある。心不全の場合、日本循環器学会が発刊する『腫瘍循環器系の指針および診療ガイドライン』において、がん治療の開始前に危険因子(Stage A)を同定する、ハイリスク患者とハイリスク治療ではバイオマーカーや画像診断で無症候性心機能障害(Stage B)を早期発見・治療する、症候性心不全(Stage C/D)はGLに従って対応するなど整備がされつつある。しかしながら、プロテアソーム阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬のような新規薬剤は未対応であり、今後の課題として残されている。循環器医からがんサバイバーへのアプローチが鍵 がん治療が心機能へ影響する限り、これからの循環器医は従来型の虚血性心疾患と並行して新しい危険因子CTRCDを確認するため「がん治療の既往について問診しなければならない」とし、「患者に何かが起こってから対処するのではなく腫瘍科医と連携する体制が必要。そこでCardio-Oncologyが重要性を増している」と述べた。 最後に、Cardio-Oncologyを発展させていくため「病院内でのチームとしてなのか、腫瘍-循環器外来としてなのか、資源が足りない地域では医療連携として行っていくのか、状況に応じた連携の進め方が重要。循環器疾患がボトルネックとなり、がん治療を経た患者については、腫瘍科医からプライマリケア医への引き継ぎ、もしくは心血管疾患リスクが高まると予想される症例は循環器医が引き継いでケアを行っていくことが求められる。これからの循環器医にはがんサバイバーやCTRCDに対するCORE6)を含めた対応が期待されている」と締めくくった。■参考1)Armstrong G, et al. N Engl J Med. 2016;374:833-842.2)Ptnaik JL, et al. Breast Cancer Res. 2011 Jun 20;13:R64.3)Abdel-Qadir H, et al. JAMA Cardiol. 2017;2:88-93.4)Johnson DB, et al. N Engl J Med. 2016;375:1749-1755.5)Almenian SH, et al. J Clin Oncol. 2017;35:893-911.6)Sase K, et al. J Cardiol.2020 Jul 28;S0914-5087(20)30255-0.日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)

40.

アテゾリズマブ、早期TN乳がんの術前化学療法で主要評価項目を達成/中外

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は6月18日、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブに関する第III相IMpassion031試験において、主要評価項目を達成したことを発表。早期 TNBCにおけるアテゾリズマブの有用性を示したのは初となる。 IMpassion031試験は、早期TNBCの術前薬物療法において、アテゾリズマブと化学療法(パクリタキセル[アルブミン懸濁型]、ドキソルビシン、シクロホスファミド)の併用と化学療法単独とを比較する多施設共同二重盲検無作為化試験。333例が1:1の割合で無作為に各群に割り付けられ、主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1の発現が認められる症例における病理学的完全奏効(pCR)である。 今回、同試験において、PD-L1の発現状況を問わない早期TNBC患者集団で、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるpCRの改善を示し、主要評価項目を達成した。また、アテゾリズマブと化学療法の併用における安全性は、これまでにそれぞれの薬剤で認められている安全性プロファイルと同様であり、本併用療法による新たな安全性上の懸念は示されなかった。IMpassion031試験の成績の詳細は、今後の医学系学会にて発表される予定となっている。

検索結果 合計:90件 表示位置:21 - 40