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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第57回

第57回:チェックポイント阻害薬に対する過剰期待とその対処キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.腎がんに対する免疫チェックポイント阻害薬について、Practice Changingになり得る(という)報告をしました。僕もかなり興奮してお伝えしたように、Complete Responseが9%にみられるということなんですけども、あくまでまだ9%なんですね。こういうふうに、医療者側は、High Expectation(非常に高い期待値)を持って使う、患者さん側のほうもテレビで、ニボルマブあるいはペムブロリズマブのコマーシャルが、どんどん流れてます(このように、非常に高い期待値を持っています)。もう2年前になると思うのですけれども、カーター元大統領が、ペムブロリズマブを使うことで、メラノーマの脳転移、肝転移の(ある)状況で、現在もがんがコントロールされていると。先週もテレビの記者会見に出ておられたみたいで、みんな「昨日カーター大統領でてたね」と、翌日には話題になっていました。そういうふうにして、医療者側も患者さん家族側も、非常に期待が高い中で、効かなかった時にどうすれば良いか、そういうことについてわれわれは準備ができてないのではないかと、あのJennifer Temel先生から、今回もJCOに警鐘を投げかける論文が出ています。うちのジャーナルクラブでも読みましたし、これ非常に面白かったので、緩和医療の同僚だとか、フェローあるいは看護師さんにも共有して、こういうことに僕らも配慮しなきゃ、という話をしたところです。お時間があればぜひ読んでみてください。自分もかなりHigh Expectationで、CRが9%と報告したしてしまったんですけども、そこら辺は自分をうまくコントロールしないといけないのかなと思います。でも実は先週、2例も非常に効いた症例があって、脳転移、肝転移、両側副腎転移、骨転移もある患者さんが、カルボプラチンとペメトレキセド、ペムブロリズマブの治療で…現在はペメトレキセドとペムブロリズマブのメンテナンスしてるんですけど…10ヵ月たった時点のペットCTで、画像上の病変はどこにも認められませんでした。脳転移のほうも全脳照射後なんですけど、病気の進行が見られないと。今までこういうことはみたことなかったので、放射線診断医のほうから、「ケイスケ、この人にどういう治療をしたんだ」というような、かなり興奮した電話がかかってきました。そういった、ExpectationとReality、このバランスをうまく使えるようになりたいと思います。Temel JS, et al. J Clin Oncol. Keeping Expectations in Check With Immune Checkpoint Inhibitors.2018 Jan 25.[Epub ahead of print]

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早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。安全性と実行可能性を検証するパイロット試験 研究グループは、早期NSCLCにおけるニボルマブによる術前補助療法の安全性と実行可能性を評価するパイロット試験を実施した(Cancer Research Institute-Stand Up 2 Cancerなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0/1で、未治療の外科的切除が可能な早期NSCLC(StageI、II、IIIA)の患者であった。ニボルマブ(3mg/kg)は2週ごとに2回投与し、初回投与から約4週後に手術が計画された。 主要エンドポイントは安全性と実行可能性とした。また、原発巣の病理学的奏効、PD-L1の発現、遺伝子変異負荷、遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞応答の評価も行った。なお、ネオアンチゲンは、がん細胞の遺伝子変異に由来する、細胞傷害性Tリンパ球の標的となる抗原である。 2015年8月~2016年10月の期間に、米国の2施設に22例が登録された。PD-L1発現の有無にかかわらず奏効 全体の平均年齢は66.9±8.3歳、女性が11例(52%)であった。腺がんが62%、StageII/IIIAが81%、喫煙者/元喫煙者が86%を占めた。小細胞肺がん(SCLC)が見つかった1例は治療を中止した。 術前ニボルマブ療法による未知の毒性作用は認められなかった。治療関連有害事象は23%(5/22例、95%信頼区間[CI]:7.8~45.4)にみられたが、Grade3以上は1件のみだった。22例中20例が、計画された2回の投与を完遂した。 治療関連の手術の遅延は認めなかった。2回目の投与から手術までの期間中央値は18日(範囲:11~29)であり、21例中20例(95%)で腫瘍の完全切除が達成された。 切除された20個の腫瘍のうち9個(45%)で病理学的奏効(残存する活動性腫瘍の割合が10%以内)が得られた。3例では、病理学的完全奏効(活動性腫瘍なし)が達成された(1例は肺門リンパ節に腫瘍が残存)。原発巣の病理学的退縮率中央値は-65%であった。また、病理学的奏効例のうち、PD-L1陽性は3例、陰性は2例で、不明が4例だった。 治療前の遺伝子変異負荷の平均値は、病理学的奏効例が非奏効例に比べ有意に高く(p=0.01)、変異負荷はPD-1遮断による病理学的奏効の深さの重要な決定因子と考えられた。 評価が可能であった9例中8例で、腫瘍および末梢血の双方のT細胞クローン数が、ニボルマブ投与後に増加していた。また、病理学的完全奏効が得られた原発巣における遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞クローンは、治療後2~4週に末梢血で急速に増殖しており、これらのクローンには、ニボルマブ投与前の末梢血では検出されなかったものも含まれた。 著者は、「術前免疫チェックポイント遮断療法は、現在、乳がんやNSCLCの第III相試験など、さまざまながん種で検討が進められており、早期がんの再発抑制や治癒における術前PD-1遮断療法の役割を明らかにするには、これらの試験の長期的なフォローアップが必要である」としている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS改善(CheckMate-227)/AACR2018

 米国がん研究会議年次集会(AACR2018)で発表されたニボルマブとイピリムマブの第Ⅲ相臨床試験CheckMate-227の結果によると、高腫瘍変異負荷(TMB、>10変異/Mb)の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、標準化学療法と比較して、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法が有意に無再発生存率(PFS)を改善した。 CheckMate-227は、未治療のStageIVまたは再発NSCLCの1次治療における大規模オープンラベル無作為化比較試験。試験群はニボルマブ単独、ニボルマブ+イピリムマブまたはニボルマブ+プラチナ・ダブレット化学療法の3種、対照群はプラチナ・ダブレット化学療法単独である。同総会で発表された初の評価項目は、高TMB患者におけるPFSであった。高TMB患者299例のうち139例がニボルマブ+イピリムマブ群に、160例が化学療法PT-DC単独群に割り付けられた。 最低11.5ヵ月以上のフォローアップの結果、ニボルマブ+イピリムマブ群は、プラチナ・ダブレット化学療法単独群と比較して、PFSリスクが42%改善。1年PFS率は43%対13%となった。奏効率はニボルマブ+イピリムマブ群45.3%、PT-DC群では26.9%であった。 ニボルマブ+イピリムマブは良好な忍容性を示し、安全性プロファイルは同レジメンの以前の報告と同様であった。Grade3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ群の31%に対して、プラチナ・ダブレット化学療法単独群では36%であった。全生存率(OS)データは未達成。 この研究は、New England Journal of Medicineに同時に掲載された。■参考AACR2018ニュースリリースCheckMate227試験(N Engl J Med)CheckMate227試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS優越性示す(CheckMate227)

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NSCLC 1次治療、ペムブロリズマブ併用でOS延長:第III相試験/NEJM

 EGFR/ALK変異のない転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者に対し、ペメトレキセド+プラチナ製剤ベースの標準化学療法にペムブロリズマブを追加することで、化学療法単独よりも、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に延長したことが示された。米国・ニューヨーク大学のLeena Gandhi氏らが、616例の患者を対象に行った第III相二重盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年4月16日号で発表した。変異を伴わない進行NSCLC治療の第1選択は、プラチナ製剤ベースの化学療法である。免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブは第2選択薬として承認されているが、PD-L1の発現が50%以上の患者では、化学療法に代わって第1選択とすることが認められている。化学療法へのペムブロリズマブの追加について第II相試験では、化学療法単独よりも有意に高い奏効率と、PFSの有意な延長が認められていた。化学療法+ペムブロリズマブ200mgをプラセボと比較 研究グループは、EGFR/ALK変異のない転移を有する非扁平上皮NSCLCの未治療患者616例を対象に検討を行った。 無作為に2対1に分け、ペメトレキセド+プラチナ製剤ベースの化学療法に加え、一方の群にはペムブロリズマブ200mgを、もう一方にはプラセボを、それぞれ3週ごと4サイクル投与し、その後ペムブロリズマブまたはプラセボとペメトレキセドによる維持療法を合計35サイクルとなるまで行った。 プラセボ群に割り付けられた被験者で病勢進行が認められた場合は、ペムブロリズマブ単剤療法へのクロスオーバーを行った。 主要エンドポイントはOSとPFSで、盲検化された独立画像中央判定によって評価された。12ヵ月時点の推定全生存率、ペムブロリズマブ併用群69.2%、プラセボ群49.4% 追跡期間の中央値は、10.5ヵ月だった。12ヵ月時点の推定全生存率は、化学療法+ペムブロリズマブ群69.2%(95%信頼区間[CI]:64.1~73.8)に対し、化学療法+プラセボ群は49.4%(同:42.1~56.2)だった(ペムブロリズマブ群の死亡に関するハザード比[HR]:0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.001)。 また、PD-L1陽性細胞の割合で分類したいずれのカテゴリーにおいても、全生存率の改善が認められた。 PFSの中央値は、プラセボ群4.9ヵ月(95%CI:4.7~5.5)だったのに対し、ペムブロリズマブ群は8.8ヵ月(95%CI:7.6~9.2)で、ペムブロリズマブ群の病勢進行または死亡に関するHRは0.52だった(同:0.43~0.64、p<0.001)。 Grade3以上の有害事象の発現頻度は、ペムブロリズマブ群67.2%、プラセボ群65.8%だった。

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高齢者への抗がん剤治療は有効か

 4月4日(水)、都内で日本肺癌学会主催の第19回 肺がん医療向上委員会が開催された。「高齢者肺がんへの抗がん剤治療は有効か? 無効か?」をテーマに津端 由佳里氏(島根大学医学部 内科学講座)が登壇し、全国に先んじて高齢化が進む島根県での診療の現状を踏まえ、高齢肺がん患者における抗がん剤治療について講演した。「肺がん診療ガイドライン」での推奨は? 初めに津端氏は、本講演では高齢者の定義を後期高齢者に当たる75歳以上として進めることを説明したうえで、「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン2017年版」(日本肺癌学会編)で“75歳以上”との記載がある2つのクリニカルクエスチョン(CQ)を紹介した。 まず遺伝子変異陽性例については、75歳以上においてもEGFR、ALK、ROS1、BRAFといったそれぞれの遺伝子を標的とした分子標的治療薬が「GRADE 1」として強く推奨されている(CQ20)。同氏はゲフィチニブ1)やエルロチニブ2)の臨床試験結果も踏まえ、「分子標的薬の有効性・安全性は高齢者であっても期待できる」と述べた。 次に遺伝子変異陰性例(PD-L1<50%、もしくは不明)で全身状態が良好(PS 0-1)な場合については、ガイドラインでは細胞障害性抗がん剤単剤が、年齢によらず「GRADE 1」として推奨されている(CQ38)。ただし、カルボプラチン併用療法については「GRADE 2」と弱い推奨(提案)レベルに留まっており、「細胞障害性抗がん剤も高齢者に対してある程度効果は期待できるが、カルボプラチン併用療法については治療関連死が4.4%と高かったという報告3)があり、治療内容と副作用に十分注意しながら進める必要がある」と話した。 また、免疫チェックポイント阻害薬については、ガイドラインでは現状言及されていない。サブグループ解析を除き、結果が発表されている大規模臨床試験はCheckMate 1714)のみで、この試験では高齢者(70歳以上)に対するニボルマブ投与の安全性・有効性が70歳未満と比較して同等であることが確認されている。しかし、「エビデンスが蓄積されていないこと、欧米と日本における高齢者の定義(年齢)が異なることから、今後も国内でのデータを蓄積し、有効性について検討していく必要がある」とまとめた。治療し過ぎ、手控え過ぎをいかに避けるか 続いて同氏は、身体・生理機能の差が必ずしも年齢に依存しない高齢者では、治療法の選択は個々に行う必要があり、一律には判断できないことに言及。NCCNガイドラインでは高齢がん患者における治療方針決定フローが示されており、病状理解・治療目標の設定・化学療法のリスク評価という各段階において、高齢者機能評価(GA)実施の重要性が述べられていることを紹介した。しかし実際には、GAの実施には時間を要するほか、複数の手法が提案されているため、どのGAをどのタイミングで使用するかが決まっていない、という問題点を指摘。「とはいえ、何らかの形で機能評価を実施していかなくてはいけない」と話し、島根大学医学部附属病院での実践例として、電子カルテにGAを組み込んだ独自のシステムを紹介した。本システムは、決められた項目に沿って入力していくと評価できるもので、メディカルスタッフでも慣れれば3分、慣れなくても10分ほどで評価ができ、同院では75歳以上の肺がん患者にいずれかのタイミングで必ず実施するようにしているという。 最後に津端氏は医療費の問題にも言及。2018年3月の米国大統領諮問委員会によるがん治療薬の「経済的毒性」についての報告書5)によると、米国でのがん患者1人当たりの薬剤費が、1995年の5万4,100ドルから2013年には20万7,000ドルと約4倍に増加しているという。一方で同報告書では、がんによる死亡率がこの間に25%減少し、3人中2人は5年生存が可能になったというデータも報告されていることを紹介した。 同氏は、「価値に基づく価格設定の推進など、医療費の問題には医療者だけでなく社会全体で取り組んでいく必要がある。医師としては、目の前の患者一人ひとりにとって最善の医療を提供するために、患者ごとに異なる状況を適切に評価することはもちろん、希望に沿った治療選択のための十分な説明と情報提供を行う力を、日々高めていかなければならないと考えている」とまとめた。■参考1)Maemondo M, et al. J Thorac Oncol.2012;7(9);1417-1422.2)Goto K, et al.Lung Cancer.2013;82(1):109-114.3)Quoix E, et al.Lancet.2011;378(9796);1079-1088.4)Checkmate 171試験(Clinical Trials.gov)5)Promoting Value, Affordability, and Innovation in Cancer Drug Treatment (A Report to the President of the United States from the President’s Cancer Panel),2018

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第56回

第56回:腎がんのゲームチェンジャーキーワード腎細胞がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.こんにちは。ダートマス大学腫瘍内科の白井敬祐です。3月末、こちらではまだ雪がふったり、朝晩は氷点下になることがあったんですが、やっと雪が少しずつ融けてきて、春らしい雰囲気になってきました。ただ、油断はできないようで、来週もまだ朝晩は氷点下になるときがあるようなので、タイヤの交換は、もうちょっと待とうかなと思っています。(このビデオは3月間末に収録したものです)今日お話ししたいのは、腎がんですね。腎がんで、立て続けに、確実にPractice Changingになると思われる発表が出たので、報告したいと思います。またまた、Immune Checkpoint阻害薬の話になってしまいます。サンフランシスコで開かれたASCO-GUで発表されたのがMotzer先生(Sloan-Kettering Cancer Centerの先生ですけれども)のアテゾリズマブとベバシズマブ(アバスチン)を組み合わせた1st lineのPhaseIIIトライアルです。現在の標準治療とされるスニチニブと比べた試験なのですけれども、そこでOverall Response Rateが43%対35%で、Progression Free Survivalが11ヵ月と7ヵ月、Hazard Ratioが0.74(だったと思うんですけども)、と大きな差が認められました。副作用もアテゾリズマブとアバスチンのほうが少なかった、ということで、非常に大きく取り上げられています。腎がんは、ソラフェニブやスニチニブが出てから、かなり長い間1st lineは、それだったのですけど、大きく変わる可能性が出てきました。その発表の一週間後ぐらい、3月21日付けのNew England Journalに、これも1st authorはMotzer先生なんですけれども、イピリムマブとニボルマブのコンビネーション(アメリカではメラノーマに認可されているのですが)対スニチニブのPhaseIII試験、これも1st lineでの試験の結果がNEJMに掲載されました。注意しないといけないのは、今現在アメリカでメラノーマに認可されているイピリムマブ(の用量)は3g/kg、ニボルマブが1mg/㎏、3週おきなんですけれども、この臨床試験では、イピリムマブは1mg/kgでニボルマブは3mg/kgです。これは、腎がんのPhaseIで効果に差がなく、しかも副作用が少なかった、ということで採用されたようです。メラノーマに関してもPhaseIIIで、イピ3・ニボ1 versus イピ1・ニボ3の試験が、登録はすべて終わっています。結果発表待ちですが、副作用が低くて同じだけの効果がみられれば、メラノーマのほうも投与量が変わってくるかもしれません。(この試験での)Response Rateは42%対27%、スニチニブが27%ですね。特筆すべきなのは、Complete Responseがイピ・ニボのコンビネーション群で9%にみられたということです。従来、腎がんとかメラノーマでは、High Doseインターロイキン2療法でComplete Responseがみられることがあるというのは、よく知られた事実なのですが、それよりもさらに高いCR rate(メラノーマでもここまで高いCR rateはなかったと思うんですけど)が報告されています。非常に画期的な点だと思います。うちの腎がんの同僚からも、「ケイスケ、これから副作用についていろいろ聞くと思うから、よろしく頼む」ということを言われました。イピリムマブ、ニボルマブの組み合わせは、腎がんでは認可されてないのですけども、いずれも実際の臨床で使える薬なので、これだけPhaseIIIではっきりした結果が出ると、保険会社にこのNEJMのペーパーを付けて申請をすれば、認可される可能性もあります。もちろんNCCNガイドライン、あるいはNCCNのConpendium(便覧)に、この療法が掲載されると、多くの保険会社はFDAの認可の前に、許可をすることがあります。この辺が、ちょっと面白いところではあります。Atezolizumab Plus Bevacizumab Improves Progression-Free Survival in First-Line Treatment of Advanced Renal Cell Carcinoma進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJMMotzer RJ, et al. N Engl J Med. 2018 Mar 21. [Epub ahead of print]

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進行性腎細胞がんの1次治療、ニボルマブとイピリムマブ併用が有効/NEJM

 未治療の中等度~高リスク進行性淡明細胞型腎細胞がん患者の治療では、ニボルマブ+イピリムマブ併用により、従来の標準治療であるスニチニブに比べ全生存期間が延長し、客観的奏効率が改善されることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのRobert J. Motzer氏らが行った「CheckMate 214試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年3月21日号に掲載された。進行性腎細胞がんの約75%が中等度~高リスク病変であり、低リスク病変に比べアウトカムが不良である。本併用レジメンの第I相試験では、未治療および既治療の進行性腎細胞がん患者において、良好な抗腫瘍活性を発揮することが報告されている。中等度~高リスク例で3つの主要エンドポイントを評価 CheckMate 214は、未治療の進行性淡明細胞型腎細胞がん患者におけるニボルマブ+イピリムマブ併用の有用性を、スニチニブと比較する非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社とOno Pharmaceutical社の助成による)。 年齢18歳以上、カルノフスキーの一般全身状態スコア(0~100点、点数が低いほど機能障害が重度)≧70点の患者が、導入療法としてニボルマブ(3mg/kg)+イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごとに4回静脈内投与した後、維持療法としてニボルマブ(3mg/kg)を2週ごとに投与する群、またはスニチニブ(50mg)を1サイクル6週として、1日1回(4週間)経口投与し休薬(2週間)する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは3つで、IMDC分類で中等度~高リスクの患者における全生存期間(α水準:0.04)、客観的奏効率(0.001)、無増悪生存期間(0.009)であった。 2014年10月~2016年2月の期間に、日本を含む28ヵ国175施設で1,096例が無作為化を受けた。併用群550例、スニチニブ群546例であり、そのうち中等度~高リスクの患者はそれぞれ425例、422例であった。死亡リスクが37%減少、9%で完全奏効 ベースラインの年齢中央値は併用群が62歳、スニチニブ群も62歳、中等度~高リスク例はそれぞれ62歳、61歳であり、男性は75%と72%、74%と71%であった。 フォローアップ期間中央値25.2ヵ月時における中等度~高リスク例の18ヵ月全生存率は、併用群が75%(95%信頼区間[CI]:70~78)、スニチニブ群は60%(55~65)で、全生存期間中央値はそれぞれ未到達、26.0ヵ月であり、死亡のハザード比(HR)は0.63と、併用群が有意に良好であった(p<0.001)。 また、中等度~高リスク例の客観的奏効率は併用群が42%と、スニチニブ群の27%に比べ有意に高く(p<0.001)、このうち完全奏効率(探索的解析)は9%、1%(p<0.001)であり、有意差が認められた。 一方、中等度~高リスク例の無増悪生存期間中央値は、併用群が11.6ヵ月、スニチニブ群は8.4ヵ月(HR:0.82、p=0.03)と、事前に規定された有意水準の閾値(0.009)を上回り、有意差を認めなかった。 治療を受けた全患者(1,082例)における治療関連有害事象の発現率は、併用群が93%(509/547例)、スニチニブ群は97%(521/535例)で、そのうちGrade3/4はそれぞれ46%(250例)、63%(335例)であった。治療中止の原因となった治療関連有害事象の発現率は、併用群が22%(118例)、標準治療群は12%(63例)、治療関連死はそれぞれ8例、4例であった。 併用群のうち436例に治療関連の免疫系を介する有害事象(皮膚、内分泌、消化器、肺、肝、腎)が認められ、152例(35%)が高用量グルココルチコイドの投与を受けた。 著者は、「ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、主要エンドポイント3つのうち2つを達成し、死亡リスクを37%減少させ、スニチニブ療法を上回る生存ベネフィットを示した」とまとめている。

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抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAE発現のメタ解析/BMJ

 がん治療では、PD-1またはそのリガンドであるPD-L1を標的とする薬剤の使用頻度が増加しつつある。適切な臨床管理には免疫関連有害事象(irAE:臓器特異的免疫関連有害事象、免疫活性化関連の全身性有害事象、筋骨格系の問題と一致する有害事象)の理解が求められるが、これらの発症率は不明であり、予想外の有害事象に関して一貫性のない報告が行われている可能性があるという。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのShrujal Baxi氏らは、抗PD-1/PD-L1抗体薬によるirAEの発現状況を調査し、BMJ誌2018年3月14日号で報告した。13試験、7,000例以上のメタ解析 研究グループは、抗PD-1抗体薬および抗PD-L1抗体薬のirAEの発現状況を明らかにするために、系統的レビューとメタ解析を行い、標準治療(対照薬)と比較した(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 再発または転移性がん患者に関する臨床研究を対象とした。2017年3月16日までに5つの医学関連データベースに登録された論文を検索し、ClinicalTrials.govのデータも参照した。 メタ解析には論文13編(介入群:3,803例、対照群:3,353例)が含まれた。論文はすべて、2014年11月~2017年2月の期間にオンライン版として公表され、出版バイアスのエビデンスは示されなかった。すべて製薬企業の助成による国際的な多施設共同試験だった。 irAEのうち、臓器特異的免疫関連有害事象(organ specific immune-related adverse events)には大腸炎、肝臓炎、肺臓炎、下垂体炎/下垂体機能低下症、甲状腺機能低下症が含まれ、免疫活性化関連の全身性有害事象(general adverse events related to immune activation)には疲労、下痢、皮疹が、筋骨格系の問題と一致する有害事象(adverse events consistent with musculoskeletal problems)には関節炎、関節痛、背部痛、筋骨格痛、筋肉痛が含まれた。筋骨格系の有害事象も一般的に発現する可能性 13編のうち、転移性非小細胞肺がんが7編、悪性黒色腫が3編で、腎細胞がん、膀胱細胞がん、頭頸部扁平上皮がんが1編ずつであった。また、ニボルマブが6編、ペムブロリズマブが5編、アテゾリズマブが2編で、対照薬は化学療法薬が11編、分子標的薬が1編、双方が1編だった。 抗PD-1抗体薬では、重篤な臓器特異的免疫関連有害事象はまれであったが、対照薬と比較して甲状腺機能低下症(オッズ比[OR]:6.92、95%信頼区間[CI]:3.25~14.75、p<0.001)、肺臓炎(5.37、2.73~10.56、p<0.001)、大腸炎(2.88、1.30~6.37、p=0.009)、下垂体炎(3.38、1.03~11.08、p=0.04)の発症率が増加していた。 免疫活性化関連の全身性有害事象は、対照薬に比べ皮疹のみ発症率が高かった(OR:2.34、95%CI:1.40~3.91、p=0.001)。疲労(32%)と下痢(19%)の発症率も高かったが、対照薬とほぼ同じ頻度であった。 筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告には一貫性がなく、発症率にばらつきがみられたが、いくつかの試験では関節痛と背部痛が20%を超えていた。 著者は、「抗PD-1抗体薬による臓器特異的免疫関連有害事象の頻度は高くないが、対照薬に比べリスクが高く、免疫活性化関連の全身性有害事象の多くは対照薬とほぼ同頻度であり、筋骨格系の問題と一致する有害事象の報告は一貫性がないものの、一般的に発現する可能性がある」とまとめている。

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日本人肺がんにおける免疫関連有害事象とニボルマブの効果/JAMA Oncol

 メラノーマにおける免疫関連有害事象(irAE)とPD-1阻害薬の有効性の相関については報告されてるが、非小細胞肺がん(NSCLC)においては明らかになっていない。この研究は、近畿大学を含む複数の機関の診療録データを基に、再発・進行NSCLCにおける、ニボルマブの有効性とirAEの有無の関係を評価した多施設後ろ向き観察研究である。リードタイムバイアスを最小限にするためにランドマーク解析を用いて、関連性を検討している。近畿大学 原谷浩司氏らにより、JAMA Oncology誌2018年Vol.4で報告された。・2015年12月~2016年8月に試験施設において2次治療以降でニボルマブの単剤治療を受けた進行・再発NSCLC患者に対し、ランドマーク日(6週間)までのirAE発症の有無で治療効果を比較した。・主要評価項目は6週間後の無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は全生存期間(OS)。 主な結果は以下のとおり。・105例の患者が解析対象となり、irAEあり群は44例、irAEなしは61例であった。・6週間のランドマーク解析によるPFS中央値は、irAEなし群の4.8ヵ月に比べ、あり群では9.2ヵ月で有意に良好であった。・多変量解析の結果においても、PFS、OS共に、irAEあり群が有意に良好であった。 CareNet.comでは、筆頭著者である原谷浩司氏による本研究の解説を掲載している。■関連記事筆頭著者原谷浩司氏による本研究の解説「irAEと免疫チェックポイント阻害薬の効果:日本人患者のランドマーク解析」

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irAEと免疫チェックポイント阻害薬の効果:日本人患者のランドマーク解析 第14回【肺がんインタビュー】

肺がんinvestigatorインタビュー出演:近畿大学医学部 内科学教室 腫瘍内科部門 原谷 浩司氏Haratani K, et al. Association of Immune-Related Adverse Events With Nivolumab Efficacy in Non–Small-Cell Lung Cancer.JAMA Oncol. 2017 Sep 21.[Epub ahead of print]

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ニボルマブの480mg4週ごと投与、FDAが承認

 米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2018年3月6日、米国食品医薬品局(FDA)が、480mg固定用量4週間ごと投与の追加適応を含む、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の生物学的製剤承認一部変更申請を承認したと発表。この承認により、医療者は、新バイアルによる240mgの2週間ごと投与と、480mgの4週ごと投与を、患者に合わせて選べるようになる。また、すべてのニボルマブ適応疾患で、従来より短い30分投与も承認された。 480mg固定用量4週ごと投与は、下記の適応症に対して承認されている。・転移性メラノーマ(単独投与またはイピリムマブとの併用療法後の単独投与)・既治療の転移性非小細胞肺がん・抗血管新生療法後の進行腎細胞がん・プラチナベース化学療法中または後に進行した局所進行または転移性尿路上皮がん・自家造血幹細胞移植(HSCT)とブレンツキシマブ ベドチン、または自家HSCT含む3ライン以上の全身療法の後に再発/進行した古典的ホジキンリンパ腫・プラチナベース治療後の再発/転移性の頭頸部扁平上皮がん・ソラフェニブ治療後の肝細胞がん・完全切除されたメラノーマの術後アジュバント療法■参考ブリストル・マイヤーズ スクイブ社プレスリリース

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第54回

第54回:ペムブロ・化学療法併用の第III相試験KEYNOTE-189キーワード肺がんメラノーマペムブロリズマブ動画書き起こしはこちら<このビデオレターは侍オンコロジスト#52の続編です>FDAの認可というと面白いところはですね。カルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブ(という)、従来の抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用がアメリカで認可になったという話をしたと思うんですけど、これ実はFull Approvalではなくて、Conditional Approvalという形になっています。それはなぜかというと、臨床試験の結果はポジティブに出たけど、これはRandomized PhaseIIの結果であったからですね。(そのよう中)今回、メルクからのプレスリリースで、PhaseIIIでも同じようにポジティブなったという報告がありました。実際の数字はまだ見ていないので、PhaseIIと同じくらいポジティブな…StageIVの肺がん患者さんに対してカルボプラチン、ペメトレキセド、ペムブロリズマブを使った群のProgression Freee Survivalは13ヵ月を超えるという結果が出たんですけれども…これに準ずるぐらい凄い結果が出るのか、ちょっと覗いてみたいですね。Merck社プレスリリースMerck’s KEYTRUDA(pembrolizumab) Significantly Improved Overall Survival and Progression-Free Survival as First-Line Treatment in Combination with Pemetrexed and Platinum Chemotherapy for Patients with Metastatic Nonsquamous Non-Small Cell Lung Cancer (KEYNOTE-189)ペムブロリズマブ、化学療法併用でNSCLC1次治療のOS延長(第III相KEYNOTE-189)Langer CJ, et al. Carboplatin and pemetrexed with or without pembrolizumab for advanced, non-squamous non-small-cell lung cancer: a randomised, phase 2 cohort of the open-label KEYNOTE-021 study. Lancet Oncol. 2016;17:1497-1508.

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、TMB高レベルNSCLCの1次治療でPFS優越性示す(CheckMate-227)

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2018年2月5日、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療でニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法と化学療法を比較したIII相CheckMate-227試験で、腫瘍遺伝子変異量(TMB)高レベル(10変異/メガベース以上、以下mut/mb)の患者において、PD-L1発現の有無にかかわらず、同併用療法が無増悪生存期間(PFS)の評価項目を達成したと発表。 CheckMate-227試験は、1次治療の進行NSCLC患者2,500例以上を対象に、非扁平上皮および扁平上皮がんにわたり無作為に割り付け、ニボルマブを含むレジメンとプラチ・ダブレットレジメンを比較評価したオープンラベル第III相試験。このプログラムは、Part 1a、Part 1b、Part 2の3つのPartで構成されており(Part 1aはPD-L1陽性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ単独療法を化学療法と比較、Part 1bはPD-L1陰性患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法およびニボルマブ・化学療法の併用療法を化学療法と比較)、今回の発表は、Part 1全体の解析結果に基づいたもの。 Part 1の主要評価項目は、PD-L1陽性患者におけるOSと、PD-L1発現の有無にかかわらない高TMB患者におけるPFS。当試験では、TMB評価可能な患者のうち、約45%が高レベル(10mut/mb以上)のTMBを有していた。ニボルマブとイピリムマブの併用療法の安全性プロファイルは、NSCLCの1次治療でこれまでに報告されているものと一貫していた。■参考CheckMate-227試験(Clinical Trials.gov)

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第52回

第52回:アファチニブのEGFR変異適応追加の意義キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら遅くなりましたが、2018年、明けましておめでとうございます*。ダートマス大学 腫瘍内科の白井 敬祐です。(*このビデオは1月下旬に収録されたものです)去年の秋にESMOヨーロッパで、durvalumabの(非小細胞がんの)アジュバント陽性ということ(結果)が報告されたり、オシメルチニブの1stラインでの大きなPFSの改善あるいはニボルマブがメラノーマのアジュバントで陽性となった臨床試験の話をしましたが、1月の初っぱな、アファチニブのパッケージインサートに新しい効能が加わりました。これは、EGFRの変異(の効能追加)です。僕たちが薬を保険会社に認可してもらうときには…いろんな保険会社があるのはアメリカの良くないところなんですけど…保険会社に簡易認可フォームみたいなものがあって、そこにEGFR mutationがあるかないかだけではなくて、FDAの認可基準であるEGFR Exon19delがあるか、Exon21 mutationがあるかというチェックボックスがあるんです。けれども、実際に臨床をしていると、L861QだとかG719Xだとか、S768Iというまれなmutationがあるんです。そういうmutationでも、“実はエルロチニブが効く”だとか、“アファチニブはエルロチニブよりもよく効く”とか…pre clinicalだったり、ケースレポートだったり、臨床試験のサブセットアナリシスだったりするのですが…そこに申請するときに論文を添付したり、ASCOの発表の抄録を添付して認めてもらうことはあるんですけれども、そういうことをしなくても(済むようになりました)。アファチニブに関しては1stラインで、L861Q、とかG719Xとか、S768Iというmutationに対しての認可が、1月に入ってすぐにおりました。アファチニブは確かに効果はあるんですけれども、必ずしも副作用が少ないわけではないので、使いにくいところもあるんですが、「1stラインで最もブロードな適応を受けたEGFR-TKIですよ」ということを製薬会社はアピールしだしました。この辺は面白くて、製薬会社が何をクレームしていいのかというのは、かなり厳密に決まっているようで。オシメルチニブは1stラインでプラセボよりも良かったというPhase IIIの結果がNew England Journalに出たんですけど、Drug Rep(MR)さんは、そういうことは一切触れることがまだできません。それはなぜかというと、FDAで認可されてないからですね。もちろん実際のところは、NCCNガイドラインの肺がんのところを見てもらうとわかるんですけど。(NCCNガイドラインは)2017年11月に更新があったと思ったら、12月17日にまた新たなバージョンが発表されています。もし、最近NCCNのガイドラインをのぞいておられなかったら、見てください。FDA、EGFR陽性NSCLCに対するアファチニブの適応拡大を承認(CareNet.com)FDAアナウンスメント

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ASCO-GI2018レポート

レポーター紹介2018年1月18日から1月20日まで米国サンフランシスコにて米国臨床腫瘍学会消化器がん会議(ASCO-GI)が開かれた。初日こそ雨であったものの、2日目、3日目は快晴であり過ごしやすい日程であった。学会ではOral Presentation、Poster Presentation、Rapid-Fire Abstract Session、Trials in Progress Sessionなどに分けられ、大規模臨床試験の結果だけでなく、小規模なデータや現在試行中の臨床試験の紹介も行われた。本稿では、そのなかのいくつかを紹介する。RAINFALL試験 抗VEGFR-2抗体であるラムシルマブ(RAM)は、RAINBOW試験、REGARD試験により胃がんに対する有効性が証明され、現在では本邦、NCCN、ESMOの胃がん治療ガイドラインにおいて、標準的な2次化学療法として位置付けられている。RAINFALL試験はRAMを1次治療として使用したときの効果、安全性を検証する第III相無作為化比較試験である。対象は、前治療歴のないHER2陰性胃がん・胃食道接合部がん症例であり、RAM+カペシタビン+CDDP(RAM群)、Placebo+カペシタビン+CDDP(Placebo群)に1:1に無作為割り付けされた。主要評価項目はPFSであり、副次評価項目はOS、RR、Safety、QOL、PK profileであった。全体で645例が登録され、326例がRAM群、319例がPlacebo群に割り付けられた。主要評価項目であるPFSは、RAM群5.72ヵ月、Placebo群5.39ヵ月(HR:0.75、95%CI:0.61~0.94、p=0.011)であり、統計学的に有意な結果であった。副次評価項目であるOSは、RAM群11.17ヵ月、Placebo群10.74ヵ月(HR 0.98、95%CI:0.80~1.16、p=0.68)であり両群に有意差を認めなかった。有害事象の解析では、高血圧、血小板減少、食思不振、消化管穿孔、出血、蛋白尿の比率がRAM群で高く認められた。後治療の導入率はRAM群46%、Placebo群51%であり、いずれの群でも2次治療以後にRAMを使用した症例が認められた。PFSはpositiveであったものの、その差はMedianでわずか0.3ヵ月であり、また、OSの延長効果は認められず、全体としてnegativeという趣旨の発表であった。興味深かったのが2次治療導入からのOSの解析であり、2次治療以後でRAMを使用した場合のOSは、RAM群7.7ヵ月、Placebo群8.8ヵ月、また2次治療以後でRAMを使用しなかった場合のOSは、RAM群6.5ヵ月、Placebo群6.7ヵ月であり、2次治療以後でRAMを使用したほうがOSは良好な傾向であった。Discussantはコストについても言及し、今回得られたPFSの延長0.3ヵ月(=9日)のためにかかるコストは、体重70kgの場合、1サイクルで7,457ドル、9サイクルで6万7,112ドルであり、その意義について疑問を呈していた。胃がんに対する1次治療としてのRAMはnegativeであったわけだが、今後の胃がん1次治療の新たな展開としては現在、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が進められており、本学会においても、ニボルマブ+イピリムマブ、ニボルマブ+化学療法(XELOX or FOLFOX)、化学療法の3群の比較試験 (CheckMate-649, TPS 192)や 、FOLFOX、XELOXでInduction治療を行った後に維持療法として同じ治療を継続するか、抗PD-L1抗体であるアベルマブに変更するかを比較するJAVELIN試験(TPS 195)などが、Trials in Progress Sessionにおいて紹介されていた。RAINFALL: A randomized, double-blind, placebo-controlled phase III study of cisplatin (Cis) plus capecitabine (Cape) or 5FU with or without ramucirumab (RAM) as first-line therapy in patients with metastatic gastric or gastroesophageal junction (G-GEJ) adenocarcinoma. (Abstract No.:5)Charles SREVERCE試験 本邦で行われたREVERCE試験がRapid-Fire Sessionで報告された。現在、進行再発大腸がんにおけるガイドラインにおいては、セツキシマブ(C)などの抗EGFR抗体の後にレゴラフェニブ(R)を使用することが勧められている。一方、治療早期にRを使用することにより良好な効果が得られることも報告されており、CとRのより適正な投与順序を探索する本試験が行われた。対象は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンなどの標準治療に不耐、不応となった、KRASもしくはRAS野生型の進行再発大腸がんであり、R→Cの順番で治療を行うR-C群と、C→Rの順番で治療を行うC-R群に無作為化割り付けされた。主要評価項目はOS、副次評価項目はTTF、PFS、RR、DCR、AE、QOLであった。当初180例の登録と132のイベントが必要とされたが、101例で登録終了となり、今回その結果が報告された。主要評価項目のOSは、R-C群17.4ヵ月、C-R群11.6ヵ月であり、R-C群において有意に良好であった(HR:0.61、95%CI:0.39~0.96、p=0.029)。先に行う治療のPFS(PFS1)は、R-C群(R)2.4ヵ月、C-R群(C)4.2ヵ月であり、後に行う治療のPFS(PFS2)はR-C群(C)5.2ヵ月、C-R(R)群1.8ヵ月であった。奏効率はRでは4.0%(R-C群)、0.0%(C-R群)、Cは20.4%(R-C群)、27.9%(C-R群)と、それぞれほぼ既報の通りであった。RをCの前に投与することでOSの延長がみられた、ということが今回の結果である。その機序であるが、PFSの比較をみるとR後のCのPFSが良好な印象である。Rの投与により、AKT系などさまざまな分子生物学的な変化が腫瘍細胞に起こることが基礎研究で明らかになっており、これらの変化がCの効果を増強した可能性は考えられるかもしれない。試験としては予定された症例数に満たず、Under Powerであることは念頭に置く必要があるが、これまで広く行われてきた治療方針と違う結果が示されたということは、その機序も含め、非常に興味深いところである。Reverce: Randomized phase II study of regorafenib followed by cetuximab versus the reverse sequence for metastatic colorectal cancer patients previously treated with fluoropyrimidine, oxaliplatin, and irinotecan.)(Abstract No.:557)Kohei ShitaraSAPPHIRE試験 RAS野生型進行再発大腸がんにおいてパニツムマブ(pani)+mFOLFOX6は標準治療の1つであるが、オキサリプラチン継続に伴う末梢神経障害は、患者のQOLを低下させるだけでなく、治療意欲の減退、治療継続性にも影響しうる重要な有害事象である。本試験は6コースのpani+mFOLFOX6を行った後に、そのまま同じ治療を継続するA群と、7コース目からはオキサリプラチンを休薬し、pani+5-FU+LVとして治療を継続するB群との2つの群を設定した無作為化第II相試験である。主要評価項目は無作為化後9ヵ月時点での無増悪生存率(PFS rate)であり、副次評価項目はPFS、OS、TTF、Safetyが設定された。本試験は2つの治療群のそれぞれの成績を検証するParallel-group studyという形がとられ、閾値30%、期待値50%、片側 α 値 0.10として各群50例、全体で100例の無作為化が必要な統計学的計算であった。164例が登録され、6コースのpani+FOLFOX後に腫瘍進行や手術移行などによる脱落を除いた113例がA群(56例)とB群(57例)に無作為化割り付けされた。主要評価項目である無作為化後9ヵ月(治療開始から約12ヵ月)時点でのPFS rateは、A群46.4%(95%CI:38.1~54.9、p=0.0037)、B群47.4%(95%CI: 39.1~55.8、p=0.0021)であり、両群ともに主要評価項目を満たした。副次評価項目であるPFSはA群9.1ヵ月、B群9.3ヵ月、RRはA群80.4%、B群87.7%であり、両群で近似した治療成績であった。Grade2末梢神経障害は、A群10.7%に対してB群1.9%であり、オキサリプラチンを早期で終了したB群において少なかった。昨年publishされたPan-Asian adapted ESMO consensus guidelinesにおいて、RAS野生型進行再発大腸がんにおいて原発巣が左側であれば1次治療からの抗EGFR抗体+doubletの使用が推奨され、本邦の各施設において同治療を行う機会は増えてくると予想される。そのときに、効果、有害事象をみながらであるが、早期にオキサリプラチンを中止し、pani+5-FU+LVという形で治療を継続しても、効果は大きくは落ちないことを示唆した結果であり、臨床での応用性は高いと考えられる。SAPPHIRE: A randomized phase II study of mFOLFOX6 + panitumumab versus 5-FU/LV + panitumumab after 6 cycles of frontline mFOLFOX6 + panitumumab in patients with colorectal cancer.(Abstract No.:729)Masato Nakamuraまとめ本稿では殺細胞薬、分子標的治療薬の演題につき報告したが、免疫チェックポイント阻害剤の話題も多くあり消化管、肝胆膵領域の化学療法も新たな時代に移ろうとしているのを実感した学会であった。

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NSCLCのニボルマブ、2年後もドセタキセルに対しOS改善(CheckMate-017、057プール解析)/JCO

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)においてニボルマブとドセタキセルを比較した2つの第III相試験(扁平上皮がんでのCheckMate-017非扁平上皮がんでのCheckMate-057)のプール解析の更新結果が報告され、ニボルマブはドセタキセルと比較し全生存期間(OS)を延長していることが示された。 患者はプラチナベース化学療法で進行したStageIIIB / IVのNSCLC。ニボルマブ(3mg/kg 2週間ごと)とドセタキセル(75mg / m2 3週間ごと)に1対1に割り付けられ、扁平上皮がん272例、非扁平上皮がんは582例、追跡期間は24.2ヵ月以上であった。 主な結果は結果のとおり。・扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ23%(16~30%)に対し、ドセタキセル8%(4~13%)であった。・非扁平上皮がんの2年OS率は、ニボルマブ29%(24~34%)に対しドセタキセルは16%(12~20%)であった。・ニボルマブでは扁平上皮がんの27例中10例(37%)、非扁平上皮がんの56例中19例(34%)で2年後も奏効が持続したが、ドセタキセル群ではいずれの組織型でも奏効持続はみられなかった。・ニボルマブのドセタキセルに対する相対的死亡リスク減少は、28%(HR:0.72、95%CI:0.62~0.84)であった。・治療関連有害事象発現は、全Gradeでニボルマブ68%、ドセタキセル88%。Grade3/4でニボルマブ10%、ドセタキセル55%と、ニボルマブで少なかった。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2017

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(本社:米国ニューヨーク/CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は2018年1月20日、第II相CheckMate-142試験から、dMMRまたはMSI-Hの転移性大腸がん患者を対象にニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した新たなデータを発表した。これらのデータは、米国・サンフランシスコで開催された2018年消化器がんシンポジウム(ASCO-GI)において発表され、Journal of Clinical Oncology誌にも同時に掲載された。 CheckMate-142試験は、高度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)および非MSI-Hの再発または転移性大腸がん患者を対象に、ニボルマブ単剤療法およびニボルマブと他剤の併用療法を評価した、国際共同第II相複数コホート非盲検非対照臨床試験。主要評価項目は、RECIST1.1に基づく治験担当医師の評価による奏効率(ORR)。その他の主な評価項目には、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)、盲検化された独立中央評価委員会(BICR)の評価によるORR、患者報告アウトカムであった。 ニボルマブとイピリムマブの併用療法コホートには、患者119例が登録され、病勢進行、死亡または忍容できない毒性が認められるまで、ニボルマブ(3mg/kg)・イピリムマブ(1mg/kg)を3週ごと4回投与され、その後ニボルマブ(3mg/kg)を2週ごとに投与された。追跡期間は13.4ヵ月(中央値)。 主要評価項目である治験担当医師評価のORRは、55%(95%CI:45.2~63.8)であった。奏効は持続的であり、データカットオフ時(2017年7月)のDOR中央値は未達、12週間以上のDCRは80%にみられた。OS中央値は未達、1年OS率は85%(95%CI:77.0~90.2)であった。PFS中央値は未達、12ヵ月PFS率は71%(95%CI:61.4~78.7)であった。治験担当医師評価による奏効はBRAFまたはKRAS変異、PD-L1発現、リンチ症候群にかかわらず示された。統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が、症状、機能面、QOLを含む主な患者報告アウトカムで示された。 全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は、73%の患者で発現し、多くみられた項目は、下痢(22%)、疲労(18%)、そう痒症(17%)であった。免疫学的病因により発現した可能性のある特定のTRAEは、大半(71~96%)の患者で回復したが、内分泌性のTRAEでの回復患者は40%であった。新たな安全性シグナルまたは治療に関連する死亡は報告されなかった。治療関連有害事象による投与中止は、患者の13%でみられた。これらの患者におけるORRは63%であり、患者集団全体のORRと一貫していた。 ■参考ASCO-GI2017 abstract(#553)Overman MJ, et al. J Clin Oncol. 2018 Jan 20.[Epub ahead of print]CheckMate-142試験(Clinical Triakls.gov)■関連記事ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに迅速承認/FDA いよいよ臨床へ、がん種を問わないMSI-H固形がんをどう診断し、治療していくか

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ニボルマブ後のEGFR-TKI、厚労省がILDへの注意喚起

 厚生労働省は、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の使用成績調査の中間報告で、ニボルマブ(同:オプジーボ)投与歴のある患者にオシメルチニブを投与した際、間質性肺疾患(ILD)が33 例報告されたことを受け、1月24日付で安全対策に関する通知(薬生安発0124第1号 薬生安発0124第2号)を発出した。 ニボルマブ投与歴のある患者で死亡を含む重篤なILDの発現が報告されたが、その因果関係については確立されていない。通知では、EGFR-TKIの投与にあたり、投与前にILDの既往に加えて免疫チェックポイント阻害薬の投与歴を確認し、投与中は十分な注意と経過観察を行うよう求めている。 なお、EGFR-TKIにはオシメルチニブのほか、ゲフィチニブ(同:イレッサ)、エルロチニブ(同:タルセバ)、アファチニブ(同:ジオトリフ)が含まれる。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、腎細胞がんに国内申請

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は2018年1月15日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)および抗CTLA-4抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)について、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の申請は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の国際(日本を含む)共同試験(ONO-4538-16/CA209214/CheckMate-214試験)の結果に基づいている。 CheckMate-214試験は、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用群をスニチニブ単独群と比較評価した第Ⅲ相無作為化オープンラベル試験。本試験において、併用療法群はスニチニブ単独群と比較して、Co-Primary Endpointである中~高リスク患者における全生存期間および奏効率の改善を達成した。同じくCo-Primary Endpointである無増悪生存期間については、併用療法群で改善を示したものの、統計学的な有意差は認められなかった。 投与中止につながる副作用は、併用療法群(547例)の22%、スニチニブ単独群(535例)の12%で報告された。併用療法群で多く報告されたGrade3/4の副作用は、疲労(4%)、下痢(4%)、発疹(2%)、悪心(2%)であり、1%未満ではそう痒症、甲状腺機能低下症、嘔吐および高血圧が発現した。スニチニブ単独群で多く報告されたGrade3/4の副作用は、高血圧(16%)、疲労(9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(9%)、口内炎(3%)、粘膜炎(3%)、嘔吐(2%)、悪心(1%)、食欲減退(1%)、甲状腺機能低下症(1%未満)および味覚異常(1%未満)であった。治療関連死は、併用療法群で7例、スニチニブ単独群で4例報告された。■参考CheckMate-214試験(Clinical Trials.gov)

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