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いま一度、ハロペリドールを評価する

 ハロペリドールは世界中で最も高頻度に使用されている抗精神病薬の1つである。過去の解説的(narrative)非システマティックレビューにより、さまざまな第一世代(従来型、定型)抗精神病薬との間に有効性の差がないと報告され、それに基づき「各種第一世代抗精神病薬の有効性は同等である」という根拠のない精神薬理学的な仮説が確立され、テキストや治療ガイドラインに組み込まれている。しかし一方で、仮説は臨床で受ける印象と相反する面があり、質の高いシステマティックレビューの実施が強く求められていた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMarkus Dold氏らは、ハロペリドールの有効性、受容性、忍容性を他の第一世代抗精神病薬と比較するため、メタ解析を実施した。その結果、ハロペリドールにおいてアカシジアの発現が少なかったことを除き、統計学的な有意差は確認されなかった。ただし、「解析対象となった臨床試験はサンプルサイズが小さく、方法論的に質が低いものであった。明確な結論を得るには質の高い臨床試験が必要である」と指摘している。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2015年1月16日号の掲載報告。 本検討では、2011年10月、2012年7月に、CINAHL、BIOSIS、AMED、EMBASE、PubMed、MEDLINE、PsycINFOなどの標準的なデータベースに基づいてCochrane Schizophrenia Group's Trials Registerおよび臨床試験登録を検索。より関連の深い出版物を特定するため、該当する全試験の参考文献を選別し、ハロペリドールを販売している製薬会社に問い合わせ、より関連の深い試験や特定された研究における欠測データに関する情報を取得した。さらに、欠測データを調べるため全対象試験の筆頭著者に連絡を取った。検索対象は、統合失調症および統合失調症様精神病に対し、経口ハロペリドールと他の経口第一世代抗精神病薬(低力価の抗精神病薬、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、レボメプロマジン、メソリダジン、ペラジン、プロクロルプロマジン、チオリダジンを除く)を比較したすべての無作為化対照試験(RCT)とした。主要アウトカムは、治療に対する臨床的に重要な反応とした。副次的アウトカムは全身状態、精神状態、行動、全体的受容性(理由を問わず、早期に試験を脱落した被験者の人数により判定)、全体的有効性(治療無効による症例減少で判定)、全体的忍容性(有害事象による症例減少で判定)、特異的な有害事象とした。 主な結果は以下の通り。・63件のRCT、被験者3,675例がシステマティックレビューに組み込まれた。・ハロペリドールの比較薬として多かったのは、ブロムペリドール(9例)、ロキサピン(7例)、トリフロペラジン(6例)であった。・対象となった試験は1962~1993年に公表されたもので、サンプルサイズが小さく(平均被験者数58例、範囲:18~206例)、事前に規定されたアウトカムの報告が不完全なものが多数あった。・主要アウトカムの結果はすべて、質が非常に低い、あるいは質の低いデータに基づくものであった。・多くの試験において、ランダム化、割り付け、盲検化の手順が報告されていなかった。・短期試験(12週以内)において、ハロペリドールと他の第一世代抗精神病薬群との間に、主要アウトカム(治療に対する臨床的に重要な反応)に関する差は認められなかった(40件、2,132例、RR:0.93、CI:0.87~1.00)。・中期試験において、ハロペリドールの有効性は他の第一世代抗精神病薬群に比べ小さいものであったが、このエビデンスは1件の試験に基づくものであった(1件、80例、RR:0.51、CI:0.37~0.69)。・エビデンスは限られていたが、ハロペリドールは他の抗精神病薬に比べ陽性症状を軽減した。・全身状態、他の精神状態アウトカム、行動、理由を問わない試験からの早期脱落、無効による早期脱落、有害事象による早期脱落において群間差は認められなかった。・唯一認められた統計学的有意差は特異的な副作用で、ハロペリドールは中期試験においてアカシジアの発現が少なかった。・メタ解析による結果は、第一世代抗精神病薬と同等の有効性を示唆してきた過去の解説的な非システマティックレビューの見解を支持するものであった。・有効性関連のアウトカムにおいて、ハロペリドールと他の効果の高い第一世代抗精神病薬との間の差異を示す明らかなエビデンスはなかった。・ハロペリドールのリスクプロファイルは他の第一世代抗精神病薬と同様であった。関連医療ニュース 鎮静目的のハロペリドール単独使用のエビデンスは蓄積されたのか 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は ブロナンセリンの薬理学的メカニズムを再考する  担当者へのご意見箱はこちら

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膝OAに陸上運動療法は有効

 オーストラリア・シドニー大学のMarlene Fransen氏らによるシステマティックレビューの結果、陸上での運動療法は変形性膝関節症(膝OA)の疼痛軽減および身体機能改善に有用であり、その効果は治療終了時だけではなく、終了後2~6ヵ月まで持続することが示唆された。膝OAの治療において、運動療法は主要な非薬理学的介入の1つであり国際的なガイドラインで推奨されている。レビューの結果を踏まえて著者は、「陸上での運動療法の治療効果は中等度で比較的短期であるが、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に関して報告されている結果と同程度と思われる」と結論付けた。なお「本レビューの知見が今後の研究で変わることはないと確信しているため、盲検試験は多くないがエビデンスの質は低いとはしなかった」と補足している。Cochrane Database of Systematic Reviews誌オンライン版2015年1月9日号の掲載報告。 研究グループは、5つのデータベースを用いて2013年5月までの論文などを検索し、膝OA患者において、水中ではなく陸上で行われる運動療法と非運動療法または非治療を比較したすべての無作為化試験(RCT)を選択した。 評価項目は膝痛、身体機能およびQOLで、2人のレビュアーからなる3つのチームが独立してデータの抽出、バイアスリスクの評価、エビデンスの質(GRADE)の評価を行った。 主な結果は以下の通り。・レビューには54試験が組み込まれた。・全体としてバイアスリスクは低いと思われたが、患者も盲検化されたRCTは4件のみで、多くのRCTは評価者盲検であったにもかかわらず、疼痛、身体機能およびQOLは患者の自己申告であった。・陸上運動療法は、治療終了時に疼痛を軽減することが認められた(標準化平均差[SMD]:-0.49、95%信頼区間[CI]:-0.39~-0.59)(RCT:44件、3,537例、エビデンスの質:高)。疼痛スコア(0[疼痛なし]~100ポイント)の推定値は対照群が44ポイントで、陸上運動療法群は12ポイント(95%CI:10~15)低かった。・陸上運動療法は、治療終了時に身体機能を改善することが認められた(SMD:-0.52、95%CI:-0.39~-0.64)(RCT:44件、3,913例、エビデンスの質:中)。身体機能スコア(0[機能消失なし]~100ポイント)の推定値は対照群が38ポイントで、陸上運動療法群は10ポイント(95%CI:8~13)低く改善が認められた。・陸上運動療法は、治療終了時にQOLを改善することも認められた(SMD:0.28、95%CI 0.15~0.40)(RCT:13件、1,073例、エビデンスの質:高)。QOLスコア(0~100[最良])の推定値は対照群が43ポイントで、陸上運動療法群は4ポイント(95%CI:2~5)の改善が認められた。・治療の脱落は、両群とも同程度であった(RCT:45件、4,607例、エビデンスの質:高)。脱落率は対照群15%、陸上運動療法群14%で有意差はなかった(オッズ比:0.93、95%CI:0.75~1.15)。・治療終了2~6ヵ月後のデータが、膝痛に関して12件(1,468例)、身体機能に関して10件(1,279例)あり、持続的な治療効果が示された。・疼痛は6ポイント低減(SMD:-0.24、95%CI:-0.35~-0.14)、身体機能は3ポイント改善(同:-0.15、-0.26~-0.04)であった。・個別の運動プログラム提供のほうが、グループ運動や在宅運動より、疼痛軽減および身体機能改善が大きい傾向がみられた。

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腰痛に対する植物薬の実力は?

 非特異的腰痛に対する植物薬(herbal medicine)の有効性を検討する目的で、米国・ミシガン大学のHanna Oltean氏らはシステマティックレビューを行った。その結果、トウガラシはプラセボに比べ疼痛軽減に有効であることを報告した。また、デビルズクロー、セイヨウシロヤナギ、ヒレハリソウおよびラベンダー精油もプラセボより有効である可能性が示唆されたが、エビデンスの質が低~中であったという。今後、適切にデザインされた大規模試験による検討が必要だと指摘している。Cochrane Database of Systematic Reviews誌2014年12月23日号の掲載報告。 研究グループは、MEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CINAHL、Clinical Trials.gov、WHO国際臨床試験登録(WHO ICTRP)およびPubMedなどのデータベースから、2014年9月までに発表された論文、ガイドラインなどを検索し、18歳以上の急性・亜急性・慢性の非特異的腰痛患者を対象に植物薬を用いた無作為化比較試験を選択した。 主要評価項目は疼痛と機能で、2人の研究者がバイアスリスク、エビデンスの質(GRADE)、CONSORT声明の遵守について評価した。 主な結果は以下のとおり。・無作為化試験14件、計2,050例が解析対象となった。・Solidago chilensis Meyen(Brazilian arnica)含有ゲル1日2回塗布は、プラセボと比較して疼痛を軽減し可動性も改善した(RCT:1件、20例、エビデンスの質:非常に低い)。・Capsicum frutescens(キダチトウガラシ)のクリームや膏薬については、慢性腰痛患者においてプラセボより良好な結果が得られた(RCT:3件、755例、エビデンスの質:中)。一方、急性腰痛患者におけるトウガラシクリームの有効性は明らかではなかった(RCT:1件、40例、エビデンスの質:低)。また、キダチトウガラシクリームの効果はホメオパシー軟膏と同等という報告もあったが、エビデンスの質が非常に低かった(RCT:1件、161例)。・Harpagophytum procumbens(デビルズクロー)については、ハルパゴシドとして50mgまたは100mg/日服用によりプラセボと比べ疼痛の短期的な改善効果が良好であり、鎮痛薬のレスキュー使用量を減少できる可能性が示唆された(RCT:2件、315例、エビデンスの質:低)。デビルズクローの効果はロフェコキシブ12.5mg/日と同程度という報告もあったが、エビデンスの質が非常に低かった(RCT:1件、88例)。・Salix alba(セイヨウシロヤナギの樹皮)については、サリシンとして120mgまたは240mg/日服用によりプラセボに比べ疼痛が短期的に改善し、鎮痛薬のレスキュー使用量が減少することが示唆された(RCT:2件、261例、エビデンスの質:中)。ロフェコキシブ12.5mg/日と相対的に同等という報告もあったが、エビデンスの質が非常に低かった(RCT:1件、228例)。また、アセチルサリチル酸の心保護的用量に対して、血小板血栓症への影響がわずかであった(RCT:1件、51例)。・Symphytum officinale L(ヒレハリソウ、コンフリー)については、エキス含有軟膏がプラセボより疼痛の短期的な改善が良好である(RCT:1件、120例、エビデンスの質:低)。・ラベンダーアロマオイル(精油)を用いた指圧は、非治療者と比べて疼痛の軽減、腰椎屈曲ならびに歩行時間の改善が示された(RCT:1件、61例、エビデンスの質:低)。・顕著な有害事象は、解析に含んだ試験においてみられなかった。

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低リスクHER2陽性乳がんの術後補助化学療法(解説:笹田 伸介 氏)-306

 化学療法+トラスツズマブはHER2陽性乳がんの再発を抑制し、全生存期間を延長するが、これらの臨床試験は腫瘍径が1cmあるいは2cmを超えるものが対象となっており、1cm以下を対象としたランダム化比較試験は行われていない。そのため、「乳癌診療ガイドライン2013年版」、「NCCNガイドライン2014年版」では0.5cm以下(T1a)のN0症例には術後補助化学療法は推奨されず、0.6~1.0cm(T1b)には考慮するとされている。 後ろ向き解析でMD Anderson Cancer Centerより、1cm以下、N0のHER2陽性乳がん98例(術後化学療法なし)の5年無再発生存率は77.1%と報告されている1)。NCCNデータベースでは、T1bN0症例の5年IDFS(invasive disease free survival)はホルモン受容体および補助療法の有無により68~94%と報告されている2)。 この試験は、腫瘍径3cm以下かつリンパ節転移陰性のHER2陽性乳がん406例(うち1cm以下49.5%)を対象に、パクリタキセルとトラスツズマブによる治療を単アームで検証している。結果は3年IDFSが98.7%であり、有効と判断された。腫瘍径(1cm以下と1cm超)、ホルモン受容体(陽性と陰性)により効果に差は認めなかった。有害事象はGrade2以上の末梢神経障害が13.1%、うっ血性心不全は0.5%に認められたが、トラスツズマブ中止により回復した。 腫瘍径1cmを超える症例が50%登録されていることを考慮すると良好な結果であるが、問題点は比較試験でないこと、対象が3cmまで含まれており従来の試験と重複があること、観察期間が4年と短いことである。従来のアンスラサイクリン+タキサンを中心とする標準治療を塗り替える程の試験ではないが、より毒性の軽い治療としてのオプションになりうる。全症例とも10年までの観察が予定されており、長期予後を確認する必要がある。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第16回

第16回:犬猫咬傷~傷は縫っていいの? 抗菌薬は必要なの?監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 犬や猫などの咬傷はよくみかけるものです。医者になって以来、私はずっと指導医に「咬傷は縫うな!」と教えられ忠実に守ってきましたが、縫合してもしなくても感染率は変わらないとする報告があります1)。しかしながら動物咬傷は、感染が起きやすいのが事実。感染の有無についての丁寧な観察が必要ということはいうまでもありません。また、この元論文2)では、狂犬病ワクチンについても言及していますが、日本では1958年以降は人・動物での狂犬病の国内発生はありません3)。破傷風ワクチンの接種をしっかりとすることに力点を置くべきでしょう。 以下、American Family Physician 2014年8月15日号2) よりアメリカにおいて動物咬傷は全救急症例の1%を占め、それにより5,000万ドル(約60億円)の医療コストがかかっている。多くの症例が犬咬傷 (85~90%)であり、その犠牲者の多くは子供である(咬傷部位は子供の場合は顔や首が多い。ちなみに思春期以上になると四肢が多い)。70%のケースでは知っている犬に咬まれ、50%が挑発をしていないのに咬まれる。一方、猫咬傷は大人の女性に多く、興奮させた場合に咬まれるケースがしばしばである。猫咬傷の場合は傷が深くなることに注意すべきである。処置をする場合は大量の水道水・生理食塩水で洗浄し、腱や骨に達していないかを詳細に確認する必要がある。年老いた犬や猫は、歯周病に罹患していることも多く、感染のリスクが上昇する。猫咬傷、縫合した創、手の傷、免疫抑制された患者に関しては、抗菌薬を考慮すべきであり、その際は、アモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチンなど)が第1選択薬である。多くの研究では、投与期間は3~7日である。ただし、抗菌薬の効果に関しては議論を呼んでいるようで、あるメタアナリシス4)では抗菌薬の投与により2次感染が減少 (HR 0.56、NNT 14)とするものもあれば、コクランレビュー5)では手以外の外傷で、有意差を認めなかった。飼い犬でさえも狂犬病ワクチンを接種していない場合もあるので、あらゆる動物咬傷に対して、狂犬病の予防接種を考慮すべきである。(基礎免疫がある場合)破傷風のワクチンを5年以上打っていない人は、破傷風の予防接種を考慮すべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Maimaris C and Quinton DN. Arch Emerg Med. 1988; 5: 156-161. 2) Ellis R and Ellis C. Am fam physician. 2014; 90: 239-243. 3) 平成 24 年度 厚生労働科学研究「動物由来感染症に対するリスク管理手法に関する研究」分担研究班. 狂犬病対応ガイドライン2013.厚生労働省.(参照 2015.1.21) 4) Cummings P. Ann Emerg Med. 1994; 23: 535–540. 5) Medeiros I and Saconato H. Cochrane Database Syst Rev. 2001; CD001738. ※本文中に誤解を招く表現が含まれていたため、1月29日15時30分ごろに内容を一部修正いたしました。

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SSRIの薬物治療モニタリング、実施率は

 SSRIの薬物治療モニタリング(TDM)の実施について、高齢患者を対象とするものが若年患者を対象としたものと比べて非常に少ないことが、ノルウェー・オスロ大学のM. Hermann氏らによる調査の結果、明らかにされた。結果について著者は、「TDMは高齢患者になるほど重要だとするガイドラインと対照的な状況である」と指摘している。Therapeutic Drug Monitoring誌オンライン版2015年1月6日号の掲載報告。 高齢患者では、SSRI治療薬の血清濃度が上昇するリスクが知られている。研究グループは、高齢患者(60歳以上)のSSRIのTDM実施状況を若年患者(60歳未満)との比較において調べた。対象は、2011年に著者らのラボで測定されたSSRI(エスシタロプラム、シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)の全血清濃度であった。ノルウェー処方データベースを用いて、同一地域および同一期間の処方でSSRI投与を受けた患者数を参照値とした。また、60歳以上患者と60歳未満患者で推奨参照上限値以上であった患者を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1つのSSRIのTDMが行われていた患者は6,333例であった。・すべてのSSRIのTDMの実施率は、60歳未満の患者と比較して60歳以上の患者で有意に低かった(p<0.001)。シタロプラムは8.2% vs. 10.6%、エスシタロプラム10.0% vs. 13.8%、フルオキセチン8.6% vs. 17.0%、パロキセチン5.6% vs. 10.3%、セルトラリン8.1% vs. 15.0%であった。・TDMの実施は、高齢になるほど徐々に低下し、最も若い(10~19歳)患者群と最も高齢(90歳以上)の患者群では、3倍の差があった(p<0.0001)。・推奨参照上限値以上であった患者の割合は、60歳以上(6.7%)が60歳未満(3.4%)と比べて2倍高かった。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 SSRI依存による悪影響を検証 認知症への新規抗精神病薬、有害事象のモニタリングが不十分  担当者へのご意見箱はこちら

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PD4-5 Blood draws injections, blood pressure readings in the at-risk arm, and flying might not be associated with increases in arm volume: a prospective study.(Ferguson CM, USA)

患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定および飛行は腕のボリュームの増加にはつながらないようである:前向き試験乳がん術後のリンパ浮腫に関する研究である。リンパ浮腫の一般的なリスク因子として、腋窩郭清や所属リンパ節領域への照射、術前の高いBMIが挙げられる。患者はしばしば採血や静脈注射、血圧測定、傷、飛行機による旅行、過度な運動を避けるようにアドバイスされている。しかしこれらの推奨は症例レベルの情報に基づいており、これらを避けた方がよいという確かなデータはない。そこで、患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定、外傷および飛行が与える上肢ボリュームへの影響を大規模前向きコホート試験にて評価した。新規乳がん患者で術前、化学療法と放射線治療終了後および3~7ヵ月ごとに、ペロメトリーで両側上肢の測定を行い、上肢のボリューム変化を、片側術後では相対的ボリューム変化(RVC)、両側術後では体重で補正したボリューム変化(WAC)で定量化した。また、患者に対する質問紙も用いた。組み入れ基準は、3ヵ所以上上肢の測定がなされていること、術後6ヵ月以上経過していること、片側または両側乳房術後であることである。710人(片側560人、両側150人)、計860乳房で手術が行われた。治療の内訳は、センチネルリンパ節生検のみ64.5%、郭清18.8%、所属リンパ節領域までの照射は19%、化学療法38%、内分泌療法77%であった、リンパ浮腫をRVCまたはWAC 10%以上と定義したとき、24ヵ月で7.05%に認められた。単変量解析によるリスク因子評価は図のごとくである。多変量解析でRVCまたはWACの増加に関して、腋窩郭清はp<0.0001と有意に高く、外傷はp=0.0524とボーダーラインながら有意に高かった。【図】図を拡大する結論として、患側上肢の採血、静脈注射、血圧測定および飛行のようなリスク因子と上肢のボリュームとの間に、有意な関係は認められなかった。多変量解析で外傷は上肢のボリューム増加と関連していた。これらのデータは現在のガイドラインをサポートするものではなく、患者教育を改善するために有用であろうと著者は結んでいる。考えてみれば、患側上肢への針刺しなどがリンパ浮腫に与える影響に関して、しっかりとした研究はなかった。そのため臨床上有益なものとして紹介させていただいた。

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ステージIV大腸がんの原発巣切除率が減少、生存率は増加

 近年の効果的な新薬の登場により、ステージIV大腸がんにおいて原発巣切除はすべての患者で必須とはいえなくなっている。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのChung-Yuan Hu氏らは、米国におけるステージIV大腸がんでの原発巣切除実施と生存率の年次推移を検討した。それによると、1988年にはステージIV大腸がん患者の4人に3人が原発巣切除を受けていたが、2001年を境に切除率の減少が大きくなり、2010年には6割を切っていた。生存率は原発巣切除率の減少にもかかわらず改善した。著者らは「原発巣切除が不要な患者に対しても、いまだ切除が実施されている可能性があり、実際の治療はエビデンスに基づく治療ガイドラインより遅れている」と指摘している。JAMA surgeryオンライン版2015年1月14日号に掲載。 本研究は、国立がん研究所による地域がん登録を用いた後ろ向きコホート研究である。1988年1月1日から2010年12月31日までにステージIV大腸がんと診断された6万4,157例について、人口統計学的および臨床的因子を原発巣切除実施の有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。・ステージIV大腸がん6万4,157例のうち4万3,273例(67.4%)が原発巣切除を受けていた。・原発巣切除率は、1988年の74.5%から2010年には57.4%へと減少し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の-0.41%が2001~2010年では-2.39%となっており、2001年を境に減少率が有意に大きくなっていた(p<0.001)。・原発巣切除に関連していた因子は、50歳未満、女性、既婚、腫瘍悪性度が高い、結腸がん、などであった。・相対生存率中央値は、1988年の8.6%から2009年には17.8%へと増加し(p<0.001)、その経年的変化をみると、1988~2001年の2.18%が、2001~2009年では5.43%となっており、増加率は有意に大きくなっていた(p<0.001)。

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PARAMEDIC試験:心肺蘇生の現場において機械が人を超える時代は来るのか?(解説:矢崎 義直 氏)-301

 PARAMEDIC試験は、自動心臓マッサージシステムLUCAS-2の院外心停止に対する有効性を検討した無作為割り付け臨床試験である。 LUCAS-2は100回/分のペースで深さ4~5cmの胸骨圧迫が可能でリコイルも完全に行える。当然疲れ知らずで、バッテリーの続く限り延々と胸骨圧迫を続けてくれるため、蘇生ガイドラインで推奨される質の高い絶え間ない心臓マッサージが可能である。本邦でも実際に使用している施設が増えている。 まさに猫の手も借りたいほど人手が必要な救急現場において、このLUCAS-2は救世主のはずだが、不思議なことにいまだ有効性を示唆するエビデンスがない。過去に院外心停止患者に対する自動心マの有効性を、用手胸骨圧迫と比較した2つの大規模な無作為割り付け試験(CIRC試験、LINC試験)が行われたが、いずれも生存率において用手に勝る結果は得られていない。 本試験はLUCAS-2群と用手胸骨圧迫群を1対2に無作為割り付けし、主要アウトカムは心停止から30日時点の生存率とした。救急隊は試験用にインテンシブなトレーニングを受けたわけでもなく、試験中LUCAS-2使用経験は個々で1~2回/年など、実臨床に近い状態で試験が実施されている。ただし、LUCAS-2群に割り付けされたものの、患者の状態や装置の問題などで装置が使用されなかったケースが4割にも上っている点には留意すべきである。 結果的には両者で生存率に差はなく、これまでの試験結果を裏付けるものとなったが、神経学的予後に関しては、対照群と比べLUCAS-2群で少し劣り、LINC試験とは異なる結果であった。サブ解析である心室細動、心室頻拍症例ではLUCAS-2群で生存率がやや低下した。これらの理由として装置装着によるCPRの中断や初回ショックの遅れなどを挙げている。 また、数こそ少ないがLUCAS-2による有害事象7例(胸部打撲、裂傷、口腔内出血)は留意すべきであり、実臨床ではもう少し多い印象がある。体格による装置の調整は利くものの、やはり欧米人と日本人では体格をはじめ、さまざまな点で異なるため、わが国での臨床試験も必要と考える。 今回、LUCAS-2は用手胸骨圧迫に勝る結果は得られなかったが、逆にいえばガイドラインにおけるクラスIの治療と同等の効果を得られたことになる。用手胸骨圧迫が困難な移動中の救急車内での使用や人員不足の解消など、状況によっては効果が得られることは間違いない。 また、薬剤の介入試験と異なり、デバイスが関与する介入試験はラーニングカーブがあることに注目したい。今後、装置装着の訓練を続け、経験を積んでいけばよりよい結果が期待できるはずである。 最後に科学的でない余計なコメントかもしれないが、機械と人による心マの効果が同等であるという現状で、自分や家族が患者であったならば、心理的に人の手で助けてもらいたいと思うのは私だけだろうか。

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在宅で診る肺炎診療の実際

■在宅高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎在宅高齢者の発熱の原因として最も多いのは肺炎である1)。在宅医療を受けている患者の多くは嚥下障害を起こしやすい、脳血管性障害、中枢性変性疾患、認知症を患っており、寝たきり状態の患者や経管栄養を行っている患者も含まれていて、肺炎のほとんどは誤嚥性肺炎である。日本呼吸器学会は2005年に「成人市中肺炎診療ガイドライン(改訂版)」を、2008年には「成人院内肺炎診療ガイドライン」を作成したが、在宅高齢者の肺炎診療に適するものではなかった。その後、2011年に「医療介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン」が作成された。NHCAPの定義と発症機序は表1 2)および表2 2)に示されるように、在宅療養患者が該当しており、その特徴は市中肺炎と院内肺炎の中間に位置し、その本質は高齢者における誤嚥性肺炎を中心とした予後不良肺炎と、高度医療の結果生じた耐性菌性肺炎の混在したもの、としている。本稿では、NHCAPガイドライン(以下「ガイドライン」と略す)に沿って、実際に在宅医療の現場で行っている肺炎診療を紹介していく。表1 NHCAP の定義1.長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神病床も含む)2.90日以内に病院を退院した3.介護を必要とする高齢者、身障者4.通院にて継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬などによる治療)を受けている・介護の基準PS3: 限られた自分の身の回りのことしかできない、日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす、以上を目安とする表2 NHCAP の主な発症機序1.誤嚥性肺炎2.インフルエンザ後の2次性細菌性肺炎3.透析などの血管内治療による耐性菌性肺炎(MRSA肺炎など)4.免疫抑制薬や抗がん剤による治療中に発症した日和見感染症としての肺炎を受けている■在宅での肺炎診断在宅患者の診察では、平素より経皮的酸素飽和度(SpO2)を測定しておき、発熱時には変化がないかを必ず確認する。高齢者は、咳や痰などの一般的症状に乏しいが、多くの場合で発熱を伴う。しかし、発熱を伴わない場合もあるので注意する。聴診所見では、必ずしも特異的な所見がなく、脱水を伴っている場合はcoarse crackleは聴取しにくくなる。血液検査では、発症直後でも上昇しやすい白血球数を参考にするが、数が正常でも左方移動がみられれば有意と考える。CRPは、発症直後には上昇しにくいので、発症当日のCRP 値で重症度を評価することはできない。必要に応じてX線ポータブル検査を依頼する。■NHCAPにおける原因菌ガイドラインによると原因菌として表3 2)が考えられている。表3 NHCAP における原因菌●耐性菌のリスクがない場合肺炎球菌MSSAグラム陰性腸内細菌(クレブシエラ属、大腸菌など)インフルエンザ菌口腔内レンサ球菌非定型病原体(とくにクラミドフィラ属)●耐性菌のリスクがある場合(上記の菌種に加え、下記の菌を考慮する)緑膿菌MRSAアシネトバクター属ESBL産生腸内細菌ガイドラインでは、在宅療養している高齢者や寝たきりの患者では、喀出痰の採取は困難であり、また口腔内常在菌や気道内定着菌が混入するため、起因菌同定の意義は低く、診断や治療の相対的な判断材料として用い、抗菌薬の選択にはエンピリック治療を優先すべきである、とされている。実際の現場では、喀出痰が採取できる患者は肺炎が疑われた場合、抗菌薬を開始する前にグラム染色と好気性培養検査を依頼し、初期のエンピリック治療に反応が不十分な場合、その結果を参考に抗菌薬の変更を考慮している。■ガイドラインで示された治療区分とはガイドラインでは、市中肺炎診療ガイドラインで示しているような重症度基準(A-DROP分類)では、予後との関連がはっきりしなかったため、治療区分という考え方が導入された。この治療区分(図1)2)に沿って抗菌薬が推奨されている(図2)2)。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するここでのポイントは、耐性菌のリスクの有無(90日以内の抗菌薬の投与、経管栄養があり、MRSAが分離された既往歴)が、問われていることである。■在宅患者における肺炎の重症度判断PSI(pneumonia severity index)は、患者を年齢、既往歴、身体所見・検査所見の異常など20因子による総得点により、最も正確に肺炎の重症度判定ができる尺度として有名である。そこで筆者の診療所では在宅診療対象患者のみを対象に、血液検査・画像所見の結果がなくても肺炎の重症度を推定できる方法はないかを検討した。身体所見や患者背景から得られた総得点をPSI for home-care based patients(PSI-HC)と名付け、この得点を基に患者を分類したところ、血液検査や画像所見がなくても予後を反映するものであった3)。当院ではそれを基に「発熱フェイスシート」を作成し、重症度の把握と家族への説明に利用している(図3)。なお、図中の死亡率は1年間における97人の肺炎患者をレトロスペクティブにみた値であり、今後さらなる検討が必要な参考値である。画像を拡大する■在宅における肺炎治療の実際実際の現場では、治療区分で入院が必要とされるB群でも、連日の抗菌薬投与ができるようであれば在宅での治療も可能である。先述したように、喀出痰が採取できない症例が多いため、在宅高齢者の肺炎の起因菌についての大規模なデータはないが、グラム陰性菌、嫌気性菌が主な起因菌であるといわれている。グラム陰性菌に抗菌力が強く、ブドウ球菌や肺炎球菌などのグラム陽性菌や一部の嫌気性菌を広くカバーする、ニューセフェムやレスピラトリーキノロンを第1選択としている。●経口投与の場合:レボフロキサシン(商品名:クラビット[LVFX])、モキシフロキサシン(同:アベロックス[MFLX])LVFXは1日1回500mgを標準投与量・法とする。腎排泄型の抗菌薬であり、糸球体濾過量(GFR)に応じて減量する。MFLXは主に肝代謝排泄型の抗菌薬であり、腎機能にかかわらず、1日1回400mgを標準投与量とする。●静脈投与の場合:セフトリアキソン(同:ロセフィン[CTRX])血中半減期が7~8時間と最も長いので1日1回投与でも十分な効果を発揮し、胆汁排泄型であることからGFRの低下を認める高齢者にも安心して使用できる。CTRXは緑膿菌に対して抗菌力がほとんどなく、ブドウ球菌、嫌気性菌などにも強い抗菌力はないといわれており、ガイドライン上でも誤嚥性肺炎には不適と記載されているが、筆者らは誤嚥性肺炎を含む、肺炎初期治療としてほとんどの患者に使用し、十分な効果を認めている。また、過去90日以内に抗菌薬の使用がある場合にも、同様に効果を認めている。3日間投与して解熱傾向を認めないときには、耐性菌や緑膿菌を考慮した抗菌薬に変更する。嫌気性菌をカバーする目的で、クリンダマイシン内服の併用やブドウ球菌や嫌気性菌に、より効果の強いニューキノロン内服を併用することもある。■入院適用はどのような場合か在宅では、病院と比較すると正確な診断は困難である。しかし、全身状態が保たれ、介護する家族など条件に恵まれれば、在宅で治療可能な場合が多い。筆者らは、先述した在宅患者の肺炎の重症度(PSI-HC)を利用して重症度の把握、家族への説明を行ったうえで、患者や家族の意思を尊重し、入院治療にするか在宅治療にするかを決定している。在宅高齢者が入院という環境変化により、肺炎は治癒したけれども、認知機能の悪化やADL低下などを経験している場合も少なくない。過去にそのような体験がある場合には、在宅でできる最大限の治療を行ってほしいと所望されることが多い。ただ、医療的には、高度の低酸素血症、意識低下や血圧低下を伴う重症肺炎や、エンピリック治療で正しく選択された抗菌薬を使い、3日~1週間近く治療を行っても改善傾向が明らかでない場合に入院を検討している。また、介護面では重症度にかかわらず、介護量が増えて家族や介護者が対応できない場合にも入院を考慮している。■肺炎予防と再発対策誤嚥性肺炎の治療および予防として表42)が挙げられる。表4 NHCAP における誤嚥性肺炎の治療方針1)抗菌薬治療(口腔内常在菌、嫌気菌に有効な薬剤を優先する)2)PPV 接種は可能であれば実施(重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンの接種が望ましい)3)口腔ケアを行う4)摂食・嚥下リハビリテーションを行う5)嚥下機能を改善させる薬物療法を考慮(ACE阻害薬、シロスタゾール、など)6)意識レベルを高める努力(鎮静薬、睡眠薬の減量、中止、など)7)嚥下困難を生ずる薬剤の減量、中止8)栄養状態の改善を図る(ただし、PEG〔胃ろう〕自体に肺炎予防のエビデンスはない)9)就寝時の体位は頭位(上半身)の軽度挙上が望ましいガイドラインではNHCAPの主な発症機序として誤嚥性肺炎のほか、インフルエンザと関連する2次性細菌性肺炎の重要性が提案されており、わが国でも高齢者施設におけるインフルエンザワクチン、そして肺炎球菌ワクチンの効果がはっきり示されたこともあり、両ワクチンの接種が勧められる4)。日々の生活の中では、口腔ケアや摂食嚥下リハビリテーションは重要であり、歯科医師・歯科衛生士や言語聴覚士との連携で、より質の高いケアを提供することができる。●文献1)Yokobayashi K,et al. BMJ Open. 2014 Jul 9;4(7):e004998.2)日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン作成委員会. 医療・介護関連肺炎診療ガイドライン. 2011.3)Ishibashi F, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014 Mar 12 . [Epub ahead of print].4)Maruyama T,et al. BMJ. 2010 Mar 8;340:c1004.●関連リンク日本呼吸器学会 医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドライン

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アリスミアのツボ Q19

Q19超高齢者の心房細動に対して、どこまで抗凝固療法を勧めるべきなのでしょう?基本的に平均寿命の上下で分けて考えますが、見た目年齢が一番「入口戦略」だけでよいのだろうか日本、欧米を含めたすべてのガイドラインで、心房細動患者の脳卒中予防を積極的に勧めています。心房細動による脳卒中の頻度と悲惨さを知れば、もちろん私はそれに大賛成です。しかし、進む高齢化社会を考えると、少し心もとない気もするのです。CHADS2スコア、あるいはCHA2DS2-VAScスコアで、脳卒中予防に対する抗凝固療法の守備範囲ばかりを広げていく……それで大丈夫なのでしょうか。「入口戦略」ばかりが討論され、「出口戦略」はほとんど表だって討論されません。「65歳未満で基礎疾患のない心房細動」以外はすべて抗凝固療法(新規抗凝固薬が望ましい)……というESCガイドラインにのっとり、まだCHA2DS2-VAScを用いない日本のガイドラインに近いカナダのガイドラインにはすぐに欧米からケチがつく……。高齢化社会の中で「入口戦略」の入口をただひたすらその範囲を広げていくことには不安を感じます。1次予防と2次予防の立場は異なるこの問題は、1次予防を担っている医師と2次予防を担っている医師では、たぶん大きく感覚は異なるでしょう。2次予防の現場ではいくら高齢であるからといっても抗凝固療法をしないという選択肢は考えにくいでしょう。患者や患者家族も一度痛い目にあっている立場では、考え方が異なるものです。しかし、1次予防の現場では、一度も痛い目にあっていない患者、患者家族を前に、心房細動による脳梗塞を教育することに奔走し、どれだけ理解してくれたのかもわからず、大出血率の高い高齢者にどんどん抗凝固療法を行えば、いずれ脳卒中の前に大出血に出会うでしょう。しかも、抗凝固療法による大出血が引き金となって死亡に至ることも知っていると、そう簡単に入口の間口だけをただ広げるというわけにもいかないと思うのです。「フレイル」という概念しかし、年齢だけでものを語ることができないのも事実です。見た目年齢が重要……これはけっこうその患者のクレアチニンクリアランスに反映されている気もします。高齢医学では、「フレイル」という概念があります。青信号を渡れない患者、認知症を有する患者、独居老人などが挙げられています。このフレイルに相当する患者に抗凝固療法をまっとうに行うことはかなり困難でしょう。これはあくまでも個人的な考えの医療となってしまいますが、基本的に平均寿命以下ならガイドライン通りに、それ以上のフレイルに相当する患者では抗凝固療法を行わないという選択肢も医療としてありうると思っています。もちろんこれは医療者が決定することではなく、むしろ家族や介護提供者の意思がより重要視されるべきでしょう。

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乳がん温存術後の寡分割全乳房照射施行が増加/JAMA

 乳房温存手術後の放射線照射について、分割照射回数を少なくし1回照射線量を大きくする寡分割全乳房照射(WBI)の施行が増えていることが、米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らによる調査の結果、明らかにされた。2008~2013年の14の民間ヘルスケアプランに加入する女性患者の動向を調べた結果、診療ガイドラインに適合しタスクフォースが同照射を支持する患者群では10.6%から34.5%に施行が増え、適合基準に達していなかったが同照射を認可された患者群でも8.1%から21.2%に増えていた。またコストも従来照射法に比べて有意に低く抑えられていたという。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。米国女性を対象に2008年から2013年の施行動向を分析 2011年に米国放射線腫瘍学会では、無作為化試験のエビデンスに基づき、早期乳がんの乳房温存手術後の放射線療法について、寡分割WBIを行うことを支持し診療ガイドラインに明記した。施行を推奨する基準は、50歳以上、温存術後の病理学的ステージT1またはT2N0、全身化学療法未施行、中心軸平面での線量均一性が±7%以内の4つであった。しかし、基準に達していなくても推奨を支持するとして、とくに50歳未満でも行えることが示されていた。 研究グループは、後ろ向き観察コホート研究にて、2013年の米国成人女性の7.4%をカバーする14の民間ヘルスケアプラン加入者のデータを入手し、診療支払データから、早期ステージ乳がん患者で乳腺腫瘤摘出を受け、WBIを施行した患者について分析した。 患者は2コホートに層別化して検討した。(1)寡分割支持コホート(8,924例):50歳以上、化学療法未施行または腋窩リンパ節転移なし、(2)寡分割認可コホート(6,719例):50歳未満または化学療法施行または腋窩リンパ節転移あり。 寡分割WBIの治療期間は3~5週間、従来WBIは5~7週間であった。 主要評価項目は、寡分割WBIと従来WBIの総医療コスト、放射線関連コスト、患者の持ち出しコスト。患者および臨床的特性(治療年、年齢、併存疾患、化学療法歴、腋窩リンパ節転移、強化放射線治療、臨床設定、その他変数)も調べた。寡分割支持コホートで10.6%から34.5%に、コストは有意に低下 寡分割WBIの施行は、寡分割支持コホートにおいて、2008年の10.6%(95%信頼区間[CI]:8.8~12.5%)から2013年は34.5%(同:32.2~36.8%)に増えた。寡分割認可コホートでは、8.1%(同6.0~10.2%)から21.2%(同:18.9~23.6%)へ増えた。 補正後平均総医療コストは、診断後1年間で、寡分割支持コホートでは、寡分割WBI群は2万8,747ドル、従来WBI群は3万1,641ドルで、有意な差が認められた(両群差:2,894ドル、95%CI:1,610~4,234ドル、p<0.001)。寡分割認可コホートでは、WBI群は6万4,273ドル、従来WBI群は7万2,860ドルで、有意な差が認められた(両群差:8,587ドル、95%CI:5,316~1万2,017ドル、p<0.001)。 1年間の患者持ち出しコストの補正後平均額については、いずれのコホートにおいても両群間で有意な差はなかった。 今回の結果について著者は、「寡分割WBIは、早期乳がんの女性患者において施行が増えていたが、2013年時点では施行が支持される群でも34.5%、認可される群では21.2%であった」とまとめている。

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医療事故調シンポジウム開催のご案内

 2014年6月、紆余曲折を経て、いわゆる医療事故調査制度が創設されることとなり、現在、厚生労働省において、「医療事故調査制度の施行に係る検討会」が開催され、省令事項およびガイドラインについて検討がなされています。 厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A」に記載されているとおり、本制度の目的は、「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」です。そして、同Q&Aに記載されているように、「医療に関する有害事象の報告システムについてのWHOのドラフトガイドラインでは、報告システムは、「学習を目的としたシステム」と、「説明責任を目的としたシステム」に大別されるとされており、ほとんどのシステムではどちらか一方に焦点を当てていると述べています。そのうえで、学習を目的とした報告システムでは、懲罰を伴わないこと(非懲罰性)、患者、報告者、施設が特定されないこと(秘匿性)、報告システムが報告者や医療機関を処罰する権力を有するいずれの官庁からも独立していること(独立性)などが必要とされています。 今般のわが国の医療事故調査制度は、同ドラフトガイドライン上の「学習を目的としたシステム」に当たります。したがって、責任追及を目的とするものではなく、医療者が特定されないようにする方向であり、第三者機関の調査結果を警察や行政に届けるものではないことから、WHOドラフトガイドラインでいうところの非懲罰性、秘匿性、独立性といった考え方に整合的なものとなっています。 本シンポジウムでは、医療安全のための医療事故調査とはどのようにしなければならないか、現在の医療安全、報告システムの世界標準をお示しし、国民・患者がより安全な医療を受けることができるための制度について検討したいと思います。 開催内容は次のとおりです。【テーマ】 国民・患者のための医療事故調査制度へ向けてより安全な医療を築くために必要なこと【シンポジスト(予定)】(五十音順) 有賀 徹(昭和大学病院病院長・全国医学部長病院長会議「大学病院の医療事故対策委員会」委員長) 井上 清成(井上法律事務所) 大磯 義一郎(浜松医科大学医学部教授) 小田原 良治(一般社団法人日本医療法人協会常務理事) 佐藤 一樹(いつき会ハートクリニック院長) 田邉 昇(中村・平井・田邉法律事務所) 【概要】 日時 2015年1月18日(日) 開催時間9:00~13:00 会場 昭和大学病院 入院棟地下1階 臨床講堂    (〒142-8666 東京都品川区旗の台1丁目5−8) 費用 無料 申し込み 氏名、所属、連絡先を記載のうえ、下記事務局までお申し込みください。 lawjimu@hama-med.ac.jp

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【2014年コンテンツ閲覧ランキング】人気を集めた記事・スライド・動画のトップ30を発表!

デング熱やエボラ出血熱の流行、高血圧治療の新しいガイドライン、人間ドック学会が発表した新たな健診基準値など、今年の医療界での出来事が反映された記事やスライド、動画を多数お届けしてまいりました。そのなかでもアクセス数の高かった人気コンテンツ30本を紹介します。 1位 デング熱、患者さんに聞かれたら・・・ 2位 NHK特集で報道された「シロスタゾールと認知症の関係」についての患者さん説明用パンフレットを作りました。 (Dr. 小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~) 3位 頓服薬の査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 4位 岩田健太郎が緊急提言!エボラ出血熱にこう備えよ! (CareNeTV LiVE! アーカイブ) 5位 高血圧治療ガイドライン2014が発刊 6位 医療者は正しい理解を。人間ドック学会“基準値”の解釈 7位 Dr.山下のアリスミアのツボ 第1回 8位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(2)うつ病治療の基本 9位 カルベジロール査定のポイント (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 10位 ケアネットオリジナル『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.1~ 11位 デング熱での解熱剤に注意~厚労省がガイドライン配布 12位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.2~ 13位 妊娠糖尿病の診断基準の覚え方 (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 14位 エキスパートに聞く!「血栓症」Q&A Part2 15位 知識を整理!GERD診療(2)症状を診る 16位 レビー小体型認知症、アルツハイマー型との違いは? 17位 アシクロビル(商品名: ゾビラックス)の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 18位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(1)うつ病の現状と診断 19位 休診日(12月28日)の休日加算の査定 (斬らレセプト — 査定されるレセプトはこれ!) 20位 アジスロマイシンとレボフロキサシンは死亡・不整脈リスクを増加する (1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~) 21位 休日診療をやってみた (スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草) 22位 内科医のための睡眠障害(1) 知って得する睡眠の話 23位 自分の適正なお寿司の皿数、わかりますか? (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 24位 ナトリウムから食品相当量への換算方法を教えるコツ (Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-) 25位 金属がなくてもMRIで熱傷を起こすことがある (Dr. 倉原の”おどろき”医学論文) 26位 出血性ショックに対する輸血方法が不適切と判断されたケース (リスクマネジメント 救急医療) 27位 知識を整理!GERD診療(1)基本を整理 28位 ケアネットオリジナル 『患者説明用スライド』 ~高血圧Vol.5~ 29位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(4)抗うつ薬の副作用と対処法 30位 非専門医も知っておきたいうつ病診療(3)抗うつ薬の使い分け #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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治療抵抗性の慢性咳嗽に対する新選択肢(AF-219)の有効性について(解説:小林 英夫 氏)-291

 外来診療で、咳止めを処方してくださいという声をしばしば耳にされませんか。そんなときはどう対処されていますか。当然ですが、疾患を問わずすべての咳嗽を抑制できる夢の薬は存在していません。細菌性肺炎に鎮咳薬のみを投与しても効果は期待できないので、まず咳嗽の基盤病態の鑑別が医師の出発点ですが、受診者は余計な検査などせず咳止めを出してくれればそれでけっこうです、と主張することも少なくないと思います。 無理とは思いつつ、幅広い病態に有効な鎮咳処方箋はないかと願うこともあります。 新薬AF-219は、気道の迷走神経に発現し咳嗽感覚の過剰反応に関与するP2X3 受容体に対する低分子拮抗薬で、米国Afferent製薬により治験が進められている。同社ホームページによると、P2X3受容体は無髄の細径C神経線維に特異的で内臓、皮膚、関節にも存在し痛覚や臓器機能に関与している。その機序はATPをリガンドとして活性化されるチャンネルで、痛覚感作経路に発現する。英国で慢性咳嗽への治験(本論文)、米国で変形性関節炎による疼痛治療、さらに膀胱痛への治験中とのことである。本来の役割からも咳嗽よりも鎮痛効果を狙っている印象である。本薬を鎮咳に用いた根拠は、気道の迷走神経C線維にP2X3受容体が存在すること、モルモットではATPやヒスタミン吸入させるとP2X受容体を介した咳嗽反射が強まることなどであった。 本研究は、基礎疾患の明らかでない難治性(治療抵抗性)慢性咳嗽患者を対象とし、第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験、単一医療機関でのクロスオーバー法(2週間服薬、2週間wash out、2週間服薬)で実施された。結果は、咳嗽頻度は75%低下し期待できる鎮咳薬である、となっている。 臨床的に満足できる鎮咳薬が少ない実状を踏まえればAF-219に期待したい一方で、論文を読み込むとまだまだ未解決点がある。評価できる点として、primary endpointである鎮咳効果を音響学的自動咳嗽記録機(VitaloJAK)により計測し客観的量的評価がなされている。同時に主観的なvisual analogue scale (VAS)などもsecondary endpointとしているが、咳嗽回数を記録することの価値は大きい。 マイナス点としては対象集団の曖昧さがある。本論文に限らないが慢性咳嗽の研究では回避できない問題である。エントリー基準は、閉塞性障害、胃食道逆流、喫煙、感染、薬剤性咳嗽などを除外し、明らかな咳嗽の原因疾患を有さず、治療によっても8週間以上咳嗽が継続する症例、が選択されている。本邦で重視されるアトピー咳嗽の概念は導入されていない。また、呼吸機能は施行されているが胸部CTについては記載がなく、英国での試験なので未施行と推測される。さらに平均咳嗽罹病期間は9年間である。どのような病態が混在しているのかが不明瞭であろう。次の問題点は、24例中6例が有害事象により服薬中止となっている。重篤な副反応はみられないものの、全例で味覚障害が出現している点が用量変更で解決できるかどうかが大きな課題であろう。これは舌味蕾にP2X3が存在するためで、減量により味覚障害が回避できる可能性があると考察されている。 抗てんかん薬であるガバペンチン、徐放性モルヒネ、サリドマイド、リドカイン吸入などが最新の咳嗽研究対象薬であるが、いずれも十分な鎮咳効果は得られなかった。鎮咳薬という分野での選択肢が少ない、遅れているという現状からは、P2X3受容体拮抗薬の今後に期待したいが、実臨床への過程には今いっそうの検討を経なければならない。さらに有効疾患の絞り込みも望まれる。なお、本邦の咳嗽診療指針として日本呼吸器学会編集の「咳嗽に関するガイドライン第2版(PDF)」は無料ダウンロード可能なので参照をお薦めしたい。

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難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か

 英国の国立医療技術評価機構(NICE)の強迫性障害ガイドライン2006では、SSRI治療抵抗性の強迫性障害(OCD)に対し、抗精神病薬が推奨されている。英国のキングス・カレッジ・ロンドン、サウスロンドン&モーズリーNHSトラストのDavid Veale氏らは、体系的な検討を目的に、OCDに対するSSRI治療の増強療法としての非定型抗精神病薬の臨床的な有用性についてメタ解析を行った。BMC psychiatry誌オンライン版2014年11月29日号の報告。 研究グループは、成人OCDを対象とした最低4週間のプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験を抽出した。主要評価項目は、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)スコア。包含基準は、Y-BOCSスコア16点以上、少なくとも1剤の適切なSSRIまたはクロミプラミン投与(ランダム化前少なくとも8週間)とした。データソースには、2013年9月までのMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、システマティックレビューのコクランデータベース(CDSR)、トライアルレジストリ、医薬品データベース、メーカーデータベースを用いた。フォレストプロットでは、薬剤とプラセボ間のY-BOCSの差を示した。 主な結果は以下のとおり。・2つの研究から、アリピプラゾール治療は短期的に効果があることが示された。・リスペリドンや一般的な抗精神病薬における短期的な効果は、少しだけ認められた。・クエチアピンまたはオランザピンは、プラセボと比較して有用であるとのエビデンスは認められなかった。 以上の結果より著者らは、「SSRIや認知行動療法に反応しないOCD患者に対する増強療法としては、アリピプラゾールまたはリスペリドンを低用量で慎重に使用すべきである。また、有効性の評価のためには、4週間観察する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は  担当者へのご意見箱はこちら

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【医療ニュース トップ100】2014年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?

今年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心の高かった論文は何だったのでしょう? ここでは、アクセス数の多いものから100本を紹介します。 1位 日本男性の勃起硬度はアレと関連していた (2014/11/13) 2位 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学 (2014/1/7) 3位 子供はよく遊ばせておいたほうがよい (2014/3/28) 4位 思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet (2014/1/27) 5位 なぜコーヒーでがんリスクが低下? (2014/7/31) 6位 メロンでかゆくなる主要アレルゲンを確認 (2014/4/15) 7位 新たな輸液プロトコル、造影剤誘発急性腎障害の予防に有効/Lancet (2014/6/9) 8位 体幹を鍛える腹部ブレーシング、腰痛に効果 (2014/5/7) 9位 コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない (2014/8/7) 10位 スタチンと糖尿病リスク増大の関連判明/Lancet (2014/10/9) 11位 スルピリドをいま一度評価する (2014/5/16) 12位 米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA (2014/4/16) 13位 インフルエンザワクチン接種、無針注射器の時代に?/Lancet (2014/6/16) 14位 新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet (2013/12/25) 15位 アルコール依存症、薬物治療の減酒効果は?/JAMA (2014/5/29) 16位 SGLT2阻害薬「トホグリフロジン」の日本人への効果 (2014/2/28) 17位 大人のリンゴ病 4つの主要パターン (2014/7/29) 18位 脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet (2014/11/12) 19位 ACE阻害薬を超える心不全治療薬/NEJM (2014/9/8) 20位 アルツハイマーに有用な生薬はコレ (2014/11/14) 21位 塩分摂取と死亡リスクの関係はJカーブ/NEJM (2014/8/25) 22位 スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA (2014/4/14) 23位 食後血糖によい食事パターンは?(低脂肪vs低炭水化物vs地中海式) (2014/3/27) 24位 成人ADHDをどう見極める (2014/5/21) 25位 各種ダイエット法の減量効果/JAMA (2014/9/16) 26位 牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ (2014/11/13) 27位 腰痛持ち女性、望ましい性交体位は? (2014/11/21) 28位 ロマンチックな恋愛は幸せか (2014/3/26) 29位 無糖コーヒーがうつ病リスク低下に寄与 (2014/5/8) 30位 下肢静脈瘤、ベストな治療法は?/NEJM (2014/10/10) 31位 せん妄管理における各抗精神病薬の違いは (2014/9/18) 32位 降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA (2014/9/11) 33位 深部静脈血栓症の除外診断で注意すべきこと/BMJ (2014/3/20) 34位 StageII/III大腸がんでのD3郭清切除術「腹腔鏡下」vs「開腹」:ランダム化比較試験での短期成績(JCOG 0404) (2014/2/26) 35位 たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる (2014/2/21) 36位 スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ (2014/8/7) 37位 就寝時、部屋は暗くしたほうがよいのか:奈良医大 (2014/8/29) 38位 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 (2014/10/28) 39位 統合失調症患者の突然死、その主な原因は (2014/4/18) 40位 うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに (2014/7/9) 41位 帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ (2014/5/26) 42位 慢性のかゆみ、治療改善に有用な因子とは? (2014/7/1) 43位 女性の顔の肝斑、なぜ起きる? (2014/5/8) 44位 DES1年後のDAPT:継続か?中断か?/Lancet (2014/7/30) 45位 駆出率が保持された心不全での抗アルドステロン薬の効果は?/NEJM (2014/4/23) 46位 レビー小体型認知症、パーキンソン診断に有用な方法は (2014/10/30) 47位 アトピー性皮膚炎患者が避けるべきスキンケア用品 (2014/2/6) 48位 タバコの煙を吸い込む喫煙者の肺がんリスクは3.3倍:わが国の大規模症例対照研究 (2014/6/18) 49位 世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見 (2014/10/17) 50位 円形脱毛症とビタミンDに深い関連あり (2014/4/10) 51位 不眠の薬物療法を減らすには (2014/7/23) 52位 オメプラゾールのメラニン阻害効果を確認 (2014/11/6) 53位 タバコ規制から50年で平均寿命が20年延長/JAMA (2014/1/16) 54位 ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM (2014/10/15) 55位 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット (2014/3/17) 56位 COPDにマクロライド系抗菌薬の長期療法は有効か (2014/1/13) 57位 座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか (2014/5/12) 58位 PSA検診は有用か:13年後の比較/Lancet (2014/8/22) 59位 気道感染症への抗菌薬治療 待機的処方 vs 即時処方/BMJ (2014/3/17) 60位 血圧と12の心血管疾患の関連が明らかに~最新の研究より/Lancet (2014/6/19) 61位 マンモグラフィ検診は乳がん死を抑制しない/BMJ (2014/2/21) 62位 機能性便秘へのプロバイオティクスの効果 (2014/8/14) 63位 超高齢の大腸がん患者に手術は有用か:国内での検討 (2014/2/14) 64位 糖尿病予防には歩くよりヨガ (2014/8/4) 65位 乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet (2014/3/31) 66位 75歳以上でのマンモグラフィ検診は有効か (2014/8/11) 67位 大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA (2014/1/23) 68位 「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも (2014/5/13) 69位 食事由来の脂肪酸の摂取状況、国によって大きなばらつき/BMJ (2014/4/28) 70位 心房細動合併の心不全、β遮断薬で予後改善せず/Lancet (2014/9/19) 71位 薬剤溶出ステントの直接比較、1年と5年では異なる結果に/Lancet (2014/3/24) 72位 ピロリ除菌、糖尿病だと失敗リスク2倍超 (2014/8/21) 73位 認知症にスタチンは有用か (2014/7/25) 74位 RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ (2014/11/20) 75位 腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet (2014/8/6) 76位 食べる速さはメタボと関連~日本の横断的研究 (2014/9/12) 77位 うつになったら、休むべきか働き続けるべきか (2014/9/16) 78位 英プライマリケアの抗菌治療失敗が増加/BMJ (2014/10/1) 79位 総胆管結石疑い 術前精査は必要?/JAMA (2014/7/21) 80位 歩くスピードが遅くなると認知症のサイン (2014/10/8) 81位 前立腺がん、全摘vs.放射線療法/BMJ (2014/3/10) 82位 緑茶が認知機能低下リスクを減少~日本の前向き研究 (2014/6/3) 83位 高力価スタチンが糖尿病発症リスクを増大させる/BMJ (2014/6/16) 84位 乳がんの病理学的完全奏効は代替エンドポイントとして不適/Lancet (2014/2/27) 85位 Na摂取増による血圧上昇、高血圧・高齢者で大/NEJM (2014/8/28) 86位 抗グルタミン酸受容体抗体が神経疾患に重大関与か (2014/8/15) 87位 歩数を2,000歩/日増加させれば心血管リスク8%低下/Lancet (2014/1/8) 88位 肩こりは頚椎X線で“みえる”のか (2014/3/19) 89位 地中海式ダイエットと糖尿病予防 (2014/4/7) 90位 閉塞性睡眠時無呼吸、CPAP vs. 夜間酸素補給/NEJM (2014/6/26) 91位 揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ (2014/4/3) 92位 6.5時間未満の睡眠で糖尿病リスク上昇 (2014/9/4) 93位 セロトニン症候群の発現メカニズムが判明 (2014/3/14) 94位 日本発!牛乳・乳製品を多く摂るほど認知症リスクが低下:久山町研究 (2014/6/20) 95位 肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに (2014/8/8) 96位 低炭水化物食 vs 低脂肪食 (2014/8/7) 97位 認知症患者の調子のよい日/ 悪い日、決め手となるのは (2014/3/21) 98位 統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか (2014/7/2) 99位 血糖降下強化療法の評価―ACCORD試験続報/Lancet (2014/8/20) 100位 小児BCG接種、結核感染を2割予防/BMJ (2014/8/21) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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気管支喘息、スピリーバ レスピマットへの期待

 2014年12月3日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社によるスピリーバ レスピマット喘息適応追加記者発表会が都内にて行われた。当日は足立 満氏(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター山王病院アレルギー内科)が「喘息治療の現状とスピリーバ レスピマットへの期待」と題し講演した。■本邦における喘息コントロールの課題 本邦における喘息死は大きく減少し2012年には1,728人と2000人を下回っている。だが、一見コントロールされているようでも、実際は症状が残る患者は少なくない。 2012年の本邦の報告によれば、ICS(吸入ステロイド薬)またはICS/LABA(吸入ステロイド・長時間作用性β刺激薬合剤)を継続使用しても喘息症状が発現・悪化する患者は86.2%、そのうち31.5%は緊急受診や入院などの喘息増悪を起こしている1)。このように患者のコントロールレベルは万全とはいえない状況である。さらにコントロール不十分・不良患者は重症例だけでなく軽症例でも6~7割みられる2)。■喘息治療薬として見直される抗コリン薬 抗コリン薬は喘息治療薬としては本邦では主流の位置付けとはいえない。しかし、海外では中等症から重症例の救急治療において使用が推奨されるなど、その位置付けは本邦以上に確立しているという。抗コリン薬の作用機序はβ刺激薬をはじめとする気管支拡張薬とは異なる。また気管支拡張による肺機能改善以外にも、入院の減少などの効果も認められることから、近年は治療選択肢の1つとして期待されている。 そのようななか、COPD治療薬の定番である長時間作用性抗コリン薬(LAMA)チオトロピウムについても、気管支喘息の臨床エビデンスが続々と報告されている。ICS/LABAでコントロール不能な中等~重症の喘息患者におけるチオトロピウム(スピリーバ レスピマット)の有用性を明らかにした国際大規模試験PrimoTinA3)に続き、本邦の国内長期試験であるCadenTinA試験の結果が紹介された。本試験は、中用量のICSによっても症状が持続する軽~中等症の喘息患者を対象に行われた無作為化並行群間比較試験である。結果、最も薬剤効果の低下するトラフ値の評価において、ICS/チオトロピウム(レスピマット5μg/日)併用群は、ICS単独群に比べ110mL以上の有意なFEV1の上昇を認め、喘息関連QOLも改善している。■重症持続型喘息とはいえ適応は広い スピリーバ レスピマットの本邦での喘息の適応は重症持続型に限られる。ただし、この重症持続型とは、現在の治療ステップに、その治療による現状の症状を加味した評価である。つまり、ステップ2の軽症持続型の治療を行っていても、「症状が毎日ある」など現治療に対する症状が中等症持続型の基準を満たすほど不良な場合、重症持続型の治療適応となる(詳しくは喘息予防・治療ガイドラインを参照)。重症持続型の治療といっても、その適応範囲は広い。「調査データはないものの、現在の治療ステップに治療を加味した“真の重症持続型”はけっして少なくないであろう」と足立氏は述べた。 最後にレスピマット吸入デバイスのデモンストレーションが行われた。レスピマットは噴霧速度が遅く霧の状態が長く保たれることが、記者にも印象的であった。薬剤の効果以外にも薬剤噴霧と吸気を同調しやすいというメリットもありそうだ。【参考文献】1) 秋山一男. アレルギー・免疫. 2012; 19: 1120-1127.2) 大田健ほか. アレルギー. 2010; 59: 2010-2020.3)Kerstjens HA, et al. N Engl J Med. 2012; 367: 1198-1207.

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ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。 試験の結果、PFSはクリゾチニブ群が有意に優れており、PFS中央値はクリゾチニブ群が10.9ヵ月、標準化学療法群が7.0ヵ月、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.35~0.60、p<0.0001)だった。クロスオーバーが認められているため、OSには差はみられなかった。奏効率もクリゾチニブ群が74%(95%信頼区間:67~81)、化学療法群が45%(95%信頼区間:37~53)で、群間差29%(95%信頼区間:20~39、p<0.0001)とクリゾチニブ群が有意に良好であった。 この試験は、ALK陽性非小細胞肺がんのファーストラインにクリゾチニブを用いることが標準治療と位置付けた歴史的な研究である。クロスオーバーが可能であるためOSには差は出なかったものの、PFSに大きな差が出たことは臨床医にとってインパクトが大きかった。過去のレトロスペクティブ解析によれば、ALK陽性例ではクリゾチニブ単剤投与の有無によってOSが大きく異なるのではないかと考えられており1)、本研究と併せて考えると、ALK陽性例に対してクリゾチニブを投与しないという選択肢は現時点ではないだろう。 ただし、現行の日本のガイドラインではパフォーマンスステータス(PS)不良例に対するクリゾチニブの使用は推奨されていない。今後、PS不良例に対するエビデンスが蓄積されれば、クリゾチニブを現場で使用する頻度が増えてくるかもしれない。 クリゾチニブはMET阻害薬として開発された経緯があるため、ALKのみを阻害するわけではない。これまでの肺がんに対する抗がん剤の歴史においてマルチターゲット阻害薬は結果が芳しくないが、ALK阻害薬に関しては期待ができそうな報告が多い。とりわけROS1阻害作用がホットトピックであり2)、最近取り沙汰されるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)とクリゾチニブの位置付けが今後どうなるのか注目である。

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【CLEAR!ジャーナル四天王 トップ20発表】鋭い論文解説がラインナップ!

臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、日本の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しているNPO法人です。 本企画『CLEAR!ジャーナル四天王』では、CareNet.comで報道された海外医学ニュース『ジャーナル四天王』に対し、鋭い視点で解説します。 コメント総数は280本(2014年11月現在)。今年掲載されたなかからアクセス数の多かった解説記事のトップ20をお届けします。 1位 「降圧薬服用患者が大幅に減る見通し、というより減らした」というほうが正確かもしれない:EBMは三位一体から四位一体へ(解説:桑島 巌 氏) (2014/5/20) 2位 これがなぜLancetに!?(解説:桑島 巌 氏) (2014/9/19) 3位 慢性心不全治療のパラダイムシフト:ACE阻害薬はもはや標準薬ではない!(解説:平山 篤志 氏) (2014/9/8) 4位 脳動静脈奇形(未破裂)の予防的切除や塞栓術などの介入療法では予後を改善できない(解説:中川原 譲二 氏) (2014/1/13) 5位 過度な減塩は死亡率を増やすか? ガイドライン推奨1日6g未満に一石を投じる研究(解説:桑島 巌 氏) (2014/8/21) 6位 患者に「歩け、歩け運動」を勧める具体的なエビデンス(解説:桑島 巌 氏) (2014/1/17) 7位 心臓マッサージは深度5cmで毎分100回:その自動化への課題(解説:香坂 俊 氏) (2014/1/8) 8位 心房細動アブレーションにおける新しいMRI指標:そのメリットとデメリット(解説:山下 武志 氏) (2014/2/18) 9位 DESは生命予後改善効果を持つ!?従来の説に一石(解説:野間 重孝 氏) (2014/7/28) 10位 よいメタ解析、悪いメタ解析?(解説:後藤 信哉 氏) (2014/1/21) 11位 急性心不全治療には新たな展開が必要では?(解説:平山 篤志 氏) (2014/1/10) 12位 大腸腺腫切除後の長期的な大腸がん死亡率(解説:上村 直実 氏) (2014/9/30) 13位 急性静脈血栓塞栓症(VTE)の治療戦略―4万5,000症例メタ解析(解説:中澤 達 氏) (2014/10/29) 14位 期待が大きいと失望も大きい:プラセボをおくことの重要性を教えてくれた試験。(解説:桑島 巌 氏) (2014/4/15) 15位 これでC型肝炎を安全に完全に治せる?(解説:溝上 雅史 氏) (2014/5/29) 16位 スタチン治療はやはり糖尿病を増やすのか?そのメカニズムは?(解説:興梠 貴英 氏) (2014/11/6) 17位 破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術(解説:中澤 達 氏) (2014/2/12) 18位 診察室での血圧測定はもういらない?-高血圧診療は、自己測定と薬の自己調整の時代へ(解説:桑島 巌 氏) (2014/9/17) 19位 小児BCG接種、結核菌への感染を2割予防-(解説:吉田 敦 氏) (2014/9/26) 20位 このテーマまだ興味がわきますか?アブレーション vs. 抗不整脈薬(解説:山下 武志 氏) (2014/3/6) #feature2014 .dl_yy dt{width: 50px;} #feature2014 dl div{width: 600px;}

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