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認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3

第7回 腎臓 第8回 消化器(肝胆膵) 第9回 消化器(消化管)(※正誤表) 日本内科学会の認定内科医試験を受験する先生方、必見です。出題基準ランクAの疾患を中心に各領域の予想問題を作成、出題意図と関連知識を解説していく“完全対策”DVDができました(全4巻)。講師は、若手育成に定評があり数々の資格試験を突破してきた、聖マリア病院の長門直先生。総合内科専門医試験を受ける先生方にとっては、基礎固め、総復習に最適。これを見れば、勉強するポイント、頻出のトピックがわかります!第7回 腎臓腎臓の領域では、ネフローゼ症候群の病型別の違いや、IgA腎症に関する出題が多い傾向があるようです。過去10年の試験を分析し、そうした試験に“出るところ”を細部にわたって解説していきます。試験前の復習にお役立てください。第8回 消化器(肝胆膵)出題数の多い消化器領域。今回は肝胆膵について取り上げます。肝胆膵は、疫学・検査と画像所見に関する出題が多い傾向があります。またC型肝炎に関しては新薬の上市やガイドラインの改訂が頻繁に行われるので、最新のものを常に確認しておきましょう。第9回 消化器(消化管)ガイドラインの改訂が続いている消化管領域。新ガイドラインで新しく取り上げられた項目や変更点を中心に予想問題を作成し解説します。消化管ポリポーシスについては毎年1~2題必ず出題される!といった過去の出題傾向もしっかり押さえています。

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増悪リスクの高いCOPD、LABA/LAMAの位置付けは?/NEJM

 インダカテロール(長時間作用性β2刺激薬[LABA])/グリコピロニウム(長時間作用性抗コリン薬[LAMA])は、過去1年間に増悪歴のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、サルメテロール(LABA)/フルチカゾン(吸入ステロイド[ICS])と比較し、COPD増悪抑制効果が優れることが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJadwiga A. Wedzicha氏らが、両薬剤を直接比較する多施設共同無作為化二重盲検第III相試験(FLAME試験)の結果、報告した。大半のガイドラインにおいて、増悪リスクの高いCOPD患者の治療には、第1選択としてLABA/ICSまたはLABA/LAMAが推奨されているが、LABA/LAMAの位置付けは明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2016年5月15日号掲載の報告。増悪リスクの高いCOPD患者約3,400例を対象に非劣性試験 FLAME試験は、2013年7月~2015年9月に、43ヵ国356施設で行われた52週間の無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験である。対象は、過去1年間に1回以上増悪の経験がある40歳以上のCOPD患者で、インダカテロール110μg/グリコピロニウム50μg 1日1回吸入群(1,680例)、またはサルメテロール50μg/フルチカゾン500μg 1日2回吸入(LABA/ICS)群(1,682例)に無作為に割り付けた。 主要評価項目はすべて(軽度・中等度・重度)のCOPD増悪回数(回/人年)、副次評価項目はすべてのCOPD増悪初回発現までの期間、中等度または重度COPD増悪の初回発現までの期間ならびに年間発現回数などであった。増悪抑制効果はLABA/LAMAが優れる インダカテロール/グリコピロニウム群は、主要評価項目においてLABA/ICS群に対し、非劣性だけでなく優越性も示された。すべてのCOPD増悪回数はそれぞれ3.59 vs 4.03、増悪回数比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.83~0.96、p=0.003)で、インダカテロール/グリコピロニウム群はLABA/ICS群と比較してすべてのCOPD増悪回数を11%減少させた。 また、インダカテロール/グリコピロニウム群はLABA/ICS群と比較し、すべてのCOPD増悪の初回発現までの期間が長く(中央値71日[95%CI:60~82] vs.51日[95%CI:46~57]、ハザード比[HR]:0.84[95%CI:0.78~0.91]、p<0.001)、中等度または重度COPD増悪の回数も少なく(0.98 vs.1.19、増悪回数比:0.83[95%CI:0.75~0.91]、p<0.001)、中等度または重度COPD増悪の初回発現までの期間も延長した(HR:0.81、95%CI:0.66~1.00、p=0.046)。 LABA/ICS群と比較したインダカテロール/グリコピロニウム群のCOPD増悪回数に関する有効性は、ベースラインで測定した好酸球値とは独立していた。 有害事象ならびに死亡の発現頻度は両群で類似していた。肺炎の発現率はインダカテロール/グリコピロニウム群3.2%、LABA/ICS群4.8%であった(p=0.02)。

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高齢糖尿病患者の血糖値目標は3カテゴリー

 日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会である「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」は、5月20日に「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」を発表した。 これはわが国の超高齢化社会に鑑み、高齢糖尿病患者の抱えるさまざまな問題(たとえば心身機能の個人差、重症低血糖を来しやすいなど)に対応するために昨年「高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会」が設置され、「高齢者糖尿病診療ガイドライン」の策定を目指す過程で、今回発表されたものである。 「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」は、次の3つの基本的な考え方で構成されている。(1)血糖コントロール目標は患者の特徴や健康状態:年齢、認知機能、身体機能(基本的ADLや手段的ADL)、併発疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定すること。(2) 重症低血糖が危惧される場合は、目標下限値を設定し、より安全な治療を行うこと。(3)高齢者ではこれらの目標値や目標下限値を参考にしながらも、患者中心の個別性を重視した治療を行う観点から、表(別表省略)に示す目標値を下回る設定や上回る設定を柔軟に行うことを可能としたこと。 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)では、まず患者の特徴・健康状態に応じて大きく3つのカテゴリーに分類、その中でも重症低血糖が危惧される薬剤(例:インスリン、SU薬、グリニド薬など)の使用の有無で2つに分類(カテゴリーIでは年齢でも2つに分類)して血糖コントロールの目標値を定めている。高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)・カテゴリーI(認知機能正常かつADL自立) 薬剤使用なし→ 7.0%未満   薬剤使用あり: 65歳以上75歳未満→ 7.5%未満(下限6.5%) 75歳以上→ 8.0%未満(下限7.0%)・カテゴリーII(軽度認知障害~軽度認知症または手段的ADL低下、基本的ADL自立) 薬剤使用なし→ 7.0%未満   薬剤使用あり→ 8.0%未満(下限7.0%)・カテゴリーIII(中等度以上の認知症または基本的ADL低下または多くの併存疾患や機能障害) 薬剤使用なし→ 8.0%未満   薬剤使用あり→ 8.5%未満(下限7.5%)  治療目標は、年齢、罹病期間、低血糖の危険性、サポート体制などに加え、高齢者では認知機能や基本的ADL、手段的ADL、併存疾患なども考慮して個別に設定する。ただし、加齢に伴って重症低血糖の危険性が高くなることに十分注意する。 なお、注記して認知機能や基本的ADLなどの評価では、 日本老年医学会ホームページを参照するほか、合併症予防のための目標値を7.0%未満としつつも、適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法の副作用なく達成可能な場合の目標を6.0%未満、治療の強化が難しい場合の目標を8.0%未満とするなどの内容が定められている。そのほか、患者の状態に応じ、重症低血糖を予防する対策を講じつつ、患者個別に目標や下限を設定してもよいことやグリニド薬の注釈なども記載されている。 「重要な注意事項」として、糖尿病治療薬の使用では、日本老年医学会編「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を参照とすること、薬剤使用時には多剤併用を避け、副作用の出現に十分に注意することが謳われている。詳しくは、日本糖尿病学会「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標について」まで。

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もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)〔moyamoya disease〕

1 疾患概要■ 概念・定義もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は、1960年代にわが国において、脳血管造影上の特徴からその疾患概念が確立された1)。病態の特徴は、両側内頸動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ、側副路として脳底部に異常血管網(脳底部もやもや血管)が形成される(脳血管造影でこれらの血管が立ち上る煙のようにもやもやとみえるため、この病気が「もやもや病」と名付けられた)。進行すると、両側内頸動脈の閉塞とともに脳底部もやもや血管も消失し、外頸動脈系および椎骨脳底動脈系により脳全体が灌流される。本疾患は厚生労働省の定める難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患130疾患の1つである。■ 疫学もやもや病は、アジア地域に多発する疾患で、欧米ではまれである。ウィリス動脈輪閉塞症調査研究班のデータベース(2006年の時点で確診例785例、疑診例60例、類もやもや病62例の計962例が登録)によれば、わが国における発生頻度は年間10万人当たり0.35人、男女比は1:1.8と女性に多く、約10~15%に家族性発症がみられる。発症年齢分布は二峰性で5歳前後と30歳前後にピークがみられる(図1)2)。画像を拡大する■ 病因もやもや病の病因は不明である。内頸動脈終末部の狭窄の原因として、血管平滑筋細胞の質的異常が背景にあると考えられており、TGF-βなどの転写因子や、bFGFやHGFなどの成長因子の関与が想定されている。血縁者内に発症者の集積性が認められる家族性もやもや病が約10~15%にみられることから、遺伝的要因の関与は大きいものの、浸透率は完全ではなく、年齢にも依存することなどから、遺伝的要因による効果が蓄積し、血管平滑筋細胞の細胞死と増殖を引き起こすものと考えられる。発症には、遺伝要因と加齢や環境要因との相互作用が必要と考えられている2)。■ 症状本疾患の発症年齢は小児期より成人期に及ぶが、一般に小児例では脳虚血症状で、脳血流の低下による一過性脳虚血発作や脳梗塞がみられる。成人例では脳虚血症状と頭蓋内出血症状で発症するものが半々であり、出血型ではもやもや血管の破綻による脳内出血や脳室内出血がみられる。2000年までに登録された、もやもや病調査研究班全国調査の確診例1,127例における虚血型および出血型の発症年齢の分布を図2に示す2)。長期例では、しばしば両側前頭葉の脳循環不全に起因する高次脳機能障害が問題となる。画像を拡大する■ 分類もやもや病調査研究班では、1979年度に初回発作を“出血型”、“てんかん型”、“梗塞型”、“一過性脳虚血発作(TIA)型”、“TIA頻発型”(1ヵ月に2回以上)、“その他”の6型に分類した。しかし、最近のMRIの普及に伴い、無症状のまま偶然発見されるものや頭痛のみを訴える症例も多いことが明らかにされ、現在では“無症状型”、“頭痛型”が追加されている。2003年より2006年度までに登録された962例の各初回発作の病型の占める割合を表に示す2)。画像を拡大する■ 予後小児もやもや病では、一過性脳虚血(TIA)が最も多く発生するのは発症後の数年間であり、知能障害と機能障害を有する患者は発症から時間が経過するほど増加し、その程度も増悪する2)。年齢が低い乳幼児ほど脳梗塞の発生が多く、脳梗塞の存在が機能予後に最も大きく関与する。脳血行再建術の効果を検証したランダム化比較試験(RCT)は存在しないが、脳血行再建術を実施した場合、その術式にかかわらずTIAは消失あるいは減少し、脳梗塞の再発はきわめてまれで、自然歴と比較すると機能予後は良好であると考えられている。また、脳血行再建術は知能予後を改善させると考えられている2)。一方、成人もやもや病では、発症病型にかかわらず、未治療例は外科治療例よりも脳血管イベントの再発率は高く予後も不良との報告が多く、小児と同様、脳血行再建術を考慮すべきである。症候例・無症候例、確診例・疑診例にかかわらず、非手術半球の約20%で病期が進行し、その半数はTIA/脳梗塞あるいは頭蓋内出血が起きる。女性で病期の進行が生じやすく、もやもや病罹患女性の妊娠・分娩に関しては、時に頭蓋内出血など重篤な脳卒中が生じうることが知られている。したがって、産科医師と脳神経外科医師が緊密に連携できる環境の下で妊娠継続期・分娩・産褥期の綿密な管理を行うことが推奨される。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、MRAによる内頸動脈終末部の狭窄や閉塞、MRIによる基底核部のflow voidなどで確定されるが、詳細な評価には脳血管造影が必要である。もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)に関する特定疾患申請のための診断基準は、2016年に以下のよう改正されている。1)診断上、脳血管造影などの画像診断は必須であり、少なくとも次の所見がある。(1)頭蓋内内頸動脈終末部を中心とした領域に狭窄または閉塞がみられる(両側または片側)。(2)モヤモヤ血管(異常血管網)が動脈相においてみられる。2)もやもや病は原因不明の疾患であり、原因の明らかな類似の脳血管病変(下記)は除外する。(1)動脈硬化、(2)自己免疫疾患、(3)髄膜炎、(4)脳腫瘍、(5)ダウン症候群、(6)フォンレックリングハウゼン病、(7)頭部外傷、(8)頭部放射線照射の既往、(9)その他もやもや病に伴う脳循環障害については、O-15ガスPETによる脳血流量、脳酸素代謝量、脳酸素摂取率、脳血液量などの測定や脳血流SPECT(安静時とダイアモックス負荷時)による脳血流量、脳循環予備能などの測定で、血行力学的重症度が診断される。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)脳虚血発作を呈するもやもや病に対しては、血行再建術を行うことにより、TIA/脳梗塞のリスク、術後のADL、長期的高次脳機能予後などの改善が得られることが報告されている3)。脳血流SPECTやO-15ガスPETなどにより術前の脳循環代謝障害が認められる症例では、血行再建術を施行することにより脳循環代謝の改善が得られる。もやもや病に対する血行再建術の手技としては、浅側頭動脈・中大脳動脈吻合術(STA-MCA 吻合術)を代表とする直接血行再建術と、encephalo-myo-synangiosis(EMS)、encephalo-arterio-synangiosis(EAS)、encephalo-duro-synangiosis(EDS)、multiple burr hole surgery などの間接血行再建術が用いられ、両者の組み合わせも可能である。手術前後には抗血小板薬が投与されるが、若年者に対する漫然とした投薬の継続は行わない。出血型もやもや病に対する直接血行再建術の再出血予防効果については、多施設共同研究JAM(Japanese Adult Moyamoya)Trial4)によって、2013年にその有効性が確認された。4 今後の展望もやもや病は原因不明の難病であり無症候例や軽症例でも長期の経過観察を必要とする。難病申請(18歳以下で運動障害などが続く場合は、小児慢性特定疾患の申請)により、医療費が助成される。無症候性もやもや病の診断例では、自然歴が不明であり、現在、登録観察研究AMORE(Asymptomatic Moyamoya Registry)研究が行われている。高次脳機能障害については、その実態が不明であり、その診断法(神経心理検査、画像検査)を確立するために、COSMO(Cognitive dysfunction Survey of Moyamoya)-Japan研究が行われている。また、最近の遺伝子研究により、17番染色体の候補領域にあるRNF213に多型(p.R4810K)が患者群において高頻度にみつかり、感受性多型の一部が判明したが、さらなる進展が期待される。5 主たる診療科脳神経外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報国立循環器病研究センター もやもや病専門外来(一般利用者と医療従事者向けの情報)難病情報センター もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)(一般利用者と医療従事者向けの情報)1)Suzuki J, et al. Arch Neurol.1969;20:288–299.2)もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)診断・治療ガイドライン. 脳卒中の外科.2009;37:321-337.3)脳卒中治療ガイドライン2015. 協和企画;2015:245-249.4)Miyamoto S, et al. Stroke.2014;45:1415-1421.公開履歴初回2014年10月29日更新2016年05月24日

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心房細動に対する肺静脈隔離:クライオバルーン法は高周波アブレーション法に効果として非劣性、同等の安全性(解説:今井 靖 氏)-534

 薬物治療抵抗性発作性心房細動に対して、カテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術は、ガイドラインにおいて推奨される治療法として確立している。高周波カテーテルアブレーションが広く普及しているが、クライオバルーン法がそれに続く治療法として注目を集めており、本邦においても昨年秋から広く実施されるようになった。 この論文は、上記対象疾患に対して、クライオバルーン法が高周波カテーテルアブレーションに非劣性であることを示すために行われた、多施設ランダム化比較試験である。有効性におけるプライマリーエンドポイントは、治療後90日以内における最初の臨床的なイベント(心房細動、心房粗動または心房頻拍の発症、抗不整脈薬の使用、再度のアブレーション)とされた。 安全性におけるプライマリーエンドポイントは死亡、脳血管イベント、重大な治療関連合併症の複合とされている。762例がランダム化され、378例がクライオバルーン、384例が高周波アブレーションに割り付けられた。平均追跡期間は1.5年であった。有効性エンドポイントにおいては、クライオバルーン法では138例、高周波アブレーション群では143例に認められた(Kaplan–Meier法による1年間あたりのイベント発生推計;クライオバルーン法34.6%、高周波アブレーション法35.9%、ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.76~1.22、非劣性評価においてp<0.001)。安全性におけるプライマリーエンドポイントは、クライオバルーン法において40例、高周波アブレーション法では51例に認められた(Kaplan–Meier法における年間あたりのイベント推計;クライオバルーン法10.2%、高周波アブレーション法12.8%、ハザード比:0.78、95%信頼区間:0.52~1.18、p=0.24)。 結論として、治療抵抗性発作性心房細動に対するクライオバルーン法は高周波アブレーションに対して非劣性であったが、全体としての安全性において差異は認められなかった。 クライオバルーン法は、この研究においては第1世代のバルーンが当初使用され、臨床試験の途中から第2世代のバルーンが用いられている。第1世代はバルーン全体が冷却される一方、第2世代のバルーンになり、肺静脈に接触する尖端側の半球側のみが冷却される構造に改良されている。なお、本邦に昨年秋から導入されたのはこの第2世代のクライオバルーンである。本研究においてもサブ解析で第1世代と第2世代のクライオバルーンが比較されているが、後者のほうが心房性不整脈などのエンドポイント発生が低い、すなわち有効性が高いという結果が認められている。一方、高周波アブレーション法も、最近は3次元マッピング法を基本として、カテーテル尖端圧(コンタクトフォース)の把握、一定部位に有効な通電が得られたと考えられる場合にタグを表示するVisiTag(Webster)など進歩が目覚ましい。3次元マッピング法は、放射線による透視を最小限に抑えて手技が実施できるところまで進化してきているが、クライオバルーン法は短時間にかつ簡便に肺静脈隔離が達成できる一方、透視と肺静脈に楔入されていることを確認するための造影剤使用を行わざるを得ないという点、肺静脈の解剖学的形態により、バルーン法による治療が困難な場合もある。 また、クライオバルーン法においては横隔神経麻痺の発症が比較的高いという懸念もあったが、日常臨床においては、横隔神経刺激における筋電図モニタリング(CMAP)の実施によりその障害も特に本邦では低率に抑えられている。肺静脈、左房の形態がバルーン法に適するかどうか事前にCT、MRIにおいて左房、肺静脈の形態把握をすることが肝要と思われる。 今回の研究により、新しいクライオバルーン法が高周波アブレーション法に非劣性であることが示されたことにより、患者ごとに適する治療手段で治療効果をさらに高めることが出来れば良いと考えられる。肺静脈・左房の形態が、クライオバルーンに適する場合はクライオバルーンを選択、形態的に適さない場合や肺静脈隔離以外に付加的に心房内線状焼灼、CFAE、GP ablation、rotor ablationなどを行う場合は高周波アブレーションを行う、といった具合に、症例ごとに至適化する必要性があると考えられる。

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1万人の薬剤耐性例にベネフィットを

 2016年5月16日都内にて、「肺がん個別化医療を新たなステージに導く薬剤耐性獲得後の治療選択肢」と題するセミナーが開かれた(主催:アストラゼネカ株式会社)。 EGFR変異陽性の非小細胞肺がんの治療においてEGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)は有効だが、1年ほどで生じる薬剤耐性が問題となっていた。この問題を解決するために開発されたのが、第3世代EGFR-TKI「タグリッソ錠」(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)である。 演者である大江 裕一郎氏 (国立がん研究センター中央病院 副院長 呼吸器内科 呼吸器内科部長)は本セミナーにて「肺がん診療におけるタグリッソの役割」について講演した。 以下、セミナーの内容を記載する。わずか7ヵ月で承認された、第3世代EGFR-TKI 既存のEGFR-TKIは治療開始1~1年半ほどで薬剤耐性が生じることが多く、機序として「T790M遺伝子変異」が最も多く報告されている。このT790M変異に特化して開発された薬が「タグリッソ」である。 これまでの第1、第2世代のEGFR-TKIは、腫瘍細胞のEGFR変異を阻害する力は強いものの、T790M耐性変異への阻害作用は弱かった。また、正常上皮細胞に多く存在する、野生型EGFRも阻害していた。 第3世代EGFR-TKIのタグリッソは、既存薬とは異なるユニークな構造を持ち、EGFR変異に加え、耐性要因となるEGFR T790Mに阻害活性を持つ。また、野生型EGFRへの阻害活性は従来薬よりも比較的弱いことが特徴だ。 日本でも優先審査品目に指定され、申請から7ヵ月という短い期間で製造販売承認を取得した。すでに、米国のNCCNガイドラインでは非小細胞肺がんの2次治療として推奨されており、日本でも次回のガイドライン改訂でこれに近い形になると予想される。2次治療での奏効率は66.1%、PFSは9.7ヵ月 タグリッソの有効性を検討した試験に、AURA試験およびAURA2試験の統合解析がある。T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者411例を対象に、タグリッソ80mgを1日1回経口投与した結果、奏効率は66.1%(95%CI:61.2~70.7%)、PFS中央値は9.7ヵ月であった。 本試験には日本人患者が約20%(81例/411例)含まれており、日本人患者のPFSは9.7ヵ月と有効性に差は認められていない。継続した情報の集積が求められる 一方、同試験でグレード3以上の副作用発現率は日本人患者で多かった(日本人:24例/80例、全症例:48例/411例)。これが人種差によるものなのか、抗がん剤による前治療の影響なのか、についてはまだわかっていない。また、EGFR-TKIに限らず日本人は間質性肺炎を起こしやすく、この点には注意が必要である。また、タグリッソにおいてもすでに耐性の報告(C797S変異)があり、今後も全例調査による継続した情報の集積が求められる。1万人のEGFR T790M陽性例にベネフィットを 日本における肺がん患者数は約7万5,000人。そのうちEGFR変異陽性は2万人で、さらに1万人がEGFR T790M陽性と想定される。タグリッソは、この1万人の患者にベネフィットをもたらす新薬と考えてよいだろう。 セミナーの後半、アストラゼネカ 代表取締役社長のガブリエル・ベルチ氏も登壇し、「ベネフィットを享受できる患者さんを増やすために、製薬企業として適切な情報提供を行っていきたい」とコメントした。 現在も1次治療を検討する「FLAURA試験」、術後補助療法を検討する「ADAURA試験」が進行中で、今後、タグリッソの活用の幅は広がっていくと予想される。

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パニック症に対し第2世代抗精神病薬は有用か

 パニック症治療に対する第2世代抗精神病薬(SGAs)の役割が提唱されているが、その有用性は明らかとなっていない。イタリア・Villa San Benedetto Menni病院のPerna Giampaolo氏らは、PRISMAガイドラインに基づき、パニック症(他の併存疾患の有無)治療に対するSGAs(単独または増強療法)の有効性および忍容性に関する無作為化比較試験のシステマティックレビューアップデートを行った。International journal of molecular sciences誌2016年4月13日号の報告。 PubMed、PsycINFO、Embase、Cochrane Library、Clinical trials.govより、2015年12月までの研究を抽出した。210件中5件(パニック症患者の試験2件、パニック症または全般不安症併存の双極性障害患者の試験3件)が対象となった。 主な結果は以下のとおり。・クエチアピン徐放製剤、リスペリドン、ziprasidone治療による8週間の試験であった。・全体として、パニック症状に対するSGAsの有効性は示されなかった。・研究の限界により、リスペリドンのパニック症状に対する有効性の予備的適応は、パニック症に対する使用を支持するには不十分であった。・しかし、方法論的な限界がこれらすべての研究に悪影響を与えている可能性があるため、結果の妥当性は低下しており、信頼できる結果を引き出すことは難しいと考えられる。・ziprasidoneを除き、SGAsの忍容性は短期試験において良好であった。関連医療ニュース 強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は 社交不安症に対するエスシタロプラムの効果は パニック障害+境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は

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ここが知りたい! 内分泌疾患診療ハンドブック

プライマリ・ケアでの、いち早い気付きが内分泌疾患を治す!肥満や浮腫などのありふれた症候の裏に潜む内分泌疾患。その予後は一般外来を担当する医師がいかにしてこれを疑い、治療への道筋を付け得るかにかかっています。本書では非専門医を念頭に、希少な疾患は大胆に割愛し、重要疾患には最新のガイドラインを踏まえた実践的な解説を加えました。重要なポイントでは「ここが重要!」として冒頭にまとめ、特にしてはいけないこと・注意すべきことを「これはご法度」として該当箇所にまとめてあります。さらに、各項目に「症例呈示」を行い、典型例や教訓的な事例をわかりやすく記載、主要症候からのアプローチや鑑別診断を重視し、ポイントを具体的に学べるようにしました。検査とその数値に関する基本的な知識も、コンパクトに理解しやすく整理して提供するよう工夫しています。大好評『ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック』の姉妹書として、臨床現場に必携の1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   ここが知りたい! 内分泌疾患診療ハンドブック定価 4,400円 + 税判型 A5判頁数 320頁発行 2016年4月監修 横手幸太郎編著 龍野一郎 / 橋本尚武 / 岩岡秀明Amazonでご購入の場合はこちら

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STICHES試験:CABG治療は虚血性心筋症(ICM)において10年生存率の生命予後を改善(解説:許 俊鋭 氏)-529

 心不全を伴ったLVEF 35%以下の虚血性心筋症(ICM)における内科治療に、CABGを付加することの生命予後に対する利点は明確ではない。 CABGの適応と考えられるICM 1,212症例を、ガイドラインに沿った内科治療にCABGを付加する群(CABG群 610例)と内科単独治療群(内科群 602例)に無作為に割り付けた。primary end pointは全死亡とし、major secondary outcomeは心原性死亡および(全死亡+心原性再入院)とした。経過観察期間の中央値は9.8年であった。 全死亡はCABG群で359例(58.9%)、内科群で398例(66.1%)であり、CABG群で全死亡率は有意に低かった(p=0.02)。心原性死亡はCABG群247例(40.5%)、内科群297例(49.3%)であり、CABG群で有意に少なかった(p=0.006)。さらに、(全死亡+心原性再入院)はCABG群467例(76.6%)、内科群524例(87.0%)であり、CABG群で有意に少なかった(p<0.001)。10年の経過観察で、CABG群は内科群に比較して生命予後は有意に良好であった。【コメント】 心不全を伴ったLVEF 35%以下の虚血性心筋症(ICM)において、内科治療にCABG治療を併施したCABG群は、内科単独治療群に比較して10年生存率でみた生命予後は有意に良好であった。CABGを積極的に併施することの利点を証明した論文であり、とくに(全死亡+心原性再入院)を、CABG併施により10%以上改善できた利点は大きい。

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喘息に対するdupilumab、第IIb相試験でも有効性確認/Lancet

 dupilumabは、コントロール不良の持続型喘息患者において、吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)への併用投与により、血中好酸球数にかかわらず肺機能を改善し、重度の喘息増悪の発現を減少することが認められた。安全性プロファイルは良好で、QOLの改善も示唆された。米国・ピッツバーグ大学のSally Wenzel氏らが、dupilumabの4用量を検討した第IIb相試験の結果、報告した。dupilumabは、インターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに対する完全ヒトモノクローナル抗体で、2型ヘルパーT細胞による免疫反応の鍵となるIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する。第I相ならびに第IIa相試験において、喘息患者におけるdupilumabの有効性と安全性が示されたが、対象が好酸球数高値の患者に限られ、検討された用法も週1回投与のみであった。Lancet誌オンライン版2016年4月26日号掲載の報告。中~重度の持続型喘息患者を対象に無作為化比較試験を実施 研究グループは、16ヵ国174施設において、中等症~重症の持続型喘息患者に対するdupilumabの有効性および安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照用量検討試験(第IIb相試験)を実施した。 対象は、Global Initiative for Asthma(GINA)2009ガイドラインに基づき喘息と診断され12ヵ月以上経過し、中~高用量のICS+LABA併用療法でコントロール不良の成人患者(18歳以上)であった。dupilumab 300mgを2週ごと投与群、200mgを2週ごと投与群、300mgを4週ごと投与群、200mgを4週ごと投与群またはプラセボ投与群に1対1対1対1対1の割合で無作為に割り付け、24週間皮下投与した。ICSおよびLABAは用量を変更することなく継続した。 主要エンドポイントは、ベースラインの血中好酸球数≧300/μLの患者(好酸球数高値集団)における、投与12週時のベースラインからの1秒量(FEV1)の変化量とした。2週ごと200mgおよび300mg投与群でFEV1の増加あり 2013年6月~14年6月までに776例が割り付けられ、うち769例が1回以上試験薬の投与を受けた(dupilumab群611例、プラセボ群158例)。 好酸球数高値集団において、主要評価項目である12週時のFEV1の変化量は、プラセボ群[変化量(最小二乗平均値)0.18L、SE 0.05]との比較において、2週ごと300mg投与群[同:0.39L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.21(95%信頼区間[CI]:0.06~0.36、p=0.0063)]、ならびに2週ごと200mg投与群[同:0.43L(SE 0.05)、プラセボ群との差:0.26(95%CI:0.11~0.40、p=0.0008)]で、有意に大きかった。 全体集団および好酸球数正常集団(血中好酸球数<300/μL)においても同様の結果が認められた(全体:2週ごと300mg投与群のp<0.0001、2週ごと200mg投与群のp<0.0001/好酸球数正常集団:2週ごと300mg投与群のp=0.0086、2週ごと200mg投与群のp=0.0034)。また、同変化は24週まで持続して認められた。 喘息増悪の年間発現率は、dupilumabの2週ごと投与群で最も減少した(減少率:全体集団:70~70.5%、好酸球数高値集団:71.2~80.7%、好酸球数正常集団59.9~67.6%)。プラセボ群と比較しdupilumab群で発現率が高かった有害事象は、上気道感染(35% vs.33~41%)、注射部位反応(13% vs.13~26%)であった。 現在、さらなる有効性と安全性を評価する第III相試験が進行中である。

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人工股関節全置換術の施行に患者間格差/BMJ

 大腿骨頚部骨折患者における人工股関節全置換術(THA)の施行に関して、患者間格差が存在することが、英国・リバプール大学のDaniel C Perry氏らが行った全英大腿骨骨折データベース(NHFD)を活用した観察コホート研究の結果、明らかにされた。貧困層や手術を週末に希望する患者でTHA施行が低い傾向が判明したという。大腿骨骨折患者には、半関節形成術よりもTHAのほうが機能的アウトカムは良好であり、同国NICE(National Institute for Health and Care Excellence)ガイドラインは、THAの施行を推奨している。しかし、今回の調査でガイドライン順守の低調さも明らかになった。著者は、「至適患者には適切に手術が行われるよう、改善に努めなくてはならない」と提言している。BMJ誌オンライン2016年4月27日号掲載の報告。英国患者60歳以上のデータを分析、THA施術の実態を調査 研究グループは、大腿骨頚部関節内骨折患者において、THAがガイドラインに基づき施行されているのか、また、体系的な不平等が存在するのかを住民コホート研究にて調べた。調査に用いたNHFDには、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの全病院から、大腿骨骨折で治療を受けた成人患者のデータが登録されていた。 そのうち2011年7月1日~15年4月末に、大腿骨頚部関節内骨折について手術療法を受けていた60歳以上患者のデータを分析。患者へのTHA施行が、NICEの至適患者基準に則して検討されていたかを調べた。 分析には、大腿骨頚部骨折患者11万4,119例を包含。そのうち1万1,683例(10.2%)がTHAを受けていた。NICEガイドラインに基づくTHA施行は32% NICE基準を満たしTHAが施行されていた患者の割合は、32%(6,780例)であった。一方で、42%(4,903例)が、NICE基準を満たしていなかった。再帰分割法によって、NICEの適格基準は、患者へのTHA施術の判断材料になっていないことが判明した。また優越性説明モデルにより、NICE非支持の区分として、76歳、歩行状態がカットオフ値として検出された。 NICE適格基準を満たした患者の分析から、次の要因があるとTHAの施行は低い傾向が明らかになった。高年齢(オッズ比:0.88、95%信頼区間[CI]:0.87~0.88)、簡易メンタルテスト(正常認知 vs.軽度認知障害)スコア不良(同:0.49、0.41~0.58)、米国麻酔学会スコア不良(0.74、0.66~0.84)、男性(0.85、0.77~0.93)、歩行状態(杖を要するvs.自立歩行)不良(0.32、0.28~0.35)、社会経済的地域の五分位貧困度が高位(0.76、0.66~0.88)である。さらに、週末よりも平日にTHA手術を受けた患者が多い傾向も認められた(0.90、0.83~0.98)。 これらの結果を踏まえて著者は「大腿骨骨折患者におけるTHA施行には格差が存在する。またNICEガイドラインの順守も低いことが判明した。貧困レベルが高い患者、週末に手術を希望する患者でTHAの施行は低い傾向が認められた」と総括。そのうえで、「NICE推奨が順守されていないことは、大腿骨骨折高齢者に対する至適治療は、受診した病院の所在や時間によって左右されることを意味するものだ」と問題点を指摘している。

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冠動脈バイパス術が長期生命予後改善効果を有することが22年ぶりに報告された(解説:大野 貴之 氏)-524

 虚血性心筋症(EF35%以下の低心機能を伴った安定冠動脈疾患)に対する治療として、薬物治療群(602例)とCABG群(610例)を比較したランダム化試験がSTICH試験である。2011年に追跡期間5年の結果が報告されたが、心臓血管死に関してはぎりぎり有意差を検出したが、全死亡に関して有意差は検出されなかった。今回、追跡10年間の結果が報告された。その結果、全死亡は薬物群66.1%に対してCABG群58.9%(p=0.02)、心臓血管死は49.3%対して40.5%(p=0.006)であった。 CABGの真の治療効果とその大きさを評価することは、薬物治療と比較したランダム化試験により可能であると考えている。現時点では、STICH試験以外で該当するのはYusuf氏らのメタ解析(1994年報告)、MASS II試験(2010年報告)、BARI II試験試験(2010年報告)の3つしかない。全死亡は、最もハードなエンドポイントであり、CABGの治療効果をかなり正確かつ客観的に評価することが可能である。Yusuf氏らは、安定冠動脈疾患患者2,649例を対象として、追跡5年から10年間において薬物治療よりもCABGが優れていることを報告した。このレベルAのエビデンスが、その後長い期間にわたり心臓外科医が自信を持ってCABGを執刀する支えとなってきた。しかし、最近は薬物治療が古い、とくにスタチンがない時代の試験結果であるとの批判が出てきた。また、心臓外科医の立場からみれば90%は内胸動脈を使用しておらず、10年以上にわたる長期の治療効果は期待できない。また、MASS II試験はおそらく対象患者は少ないこと、BARI II試験も対象患者は少なく追跡期間も5年と短期間であることから、全死亡に関しては有意差を認めていない。 今回のSTICH試験の結果は、Yusuf氏ら以来、22年ぶりに「冠動脈バイパス術が長期生命予後改善効果を有する」ことを報告したものである。EF35%以下の低心機能を伴った安定冠動脈疾患を対象としているが、対象患者数は1,212例と比較的多く、追跡期間も内胸動脈を使用したCABGの生命予後改善効果が十分に発揮される10年に達している。また、その治療効果の大きさを治療効果発現必要症例数number needed to treat(NNT)で表すと10年間でNNT=14となる。「この10年間で、NNT=14という数字をどのように解釈するのか?」に関するコメントは難しい。参考になるエビデンスを2つ挙げる。SYNTAX試験結果、3枝病変に対するPCIと比較したCABGの生命予後改善効果の大きさは、5年間でNNT=19、FREEDOM試験では糖尿病・多枝病変に対するPCIと比較したCABGの生命予後改善効果の大きさも5年間でNNT=19となる。この2つの試験結果により、米国・ヨーロッパの新しいガイドラインは、共に3枝病変あるいは多枝病変・糖尿病患者ではCABGが第1選択であるという考え方に基づいて作成されている。

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GAUSS-3試験:PCSK9抗体による新たなコレステロール低下療法の可能性―心血管イベント抑制につながるのか?(解説:平山 篤志 氏)-523

 冠危険因子としてのLDL-コレステロール(LDL-C)をスタチンにより低下させることによって、冠動脈疾患の1次予防、2次予防が有効になされることは、多くの大規模臨床試験で示されてきた。しかし、スタチンの服用により、筋肉痛あるいは無痛性の筋肉障害があることが知られている。その頻度は、1~5%、時には20%くらいあるといわれている。このようにスタチンで筋肉症状を訴える患者のコレステロール治療としては、吸収阻害薬であるエゼチミブが用いられていた。一方、LDL-Cと結合したLDL-C受容体は、血中のPCSK9が結合すると細胞内で壊され再利用ができなくなる。PCSK9を阻害する抗体であるエボロクマブにより、スタチン服用患者でもLDL-Cが60%以上減少することが示されている。 このGAUSS-3試験では、まずアトルバスタチンで筋肉痛により服薬できない患者を選択して、エゼチミブを投与する群とエボロクマブを月に1回投与する群で無作為化盲検試験を行った。その結果、22~24週後のLCL-Cの平均変化率がエゼチミブ群で-16.7%であったのに比べて、エボロクマブ群で-54.5%と有意な低下を認め、エボロクマブ単独でのLDL-C低下作用の有効性が確認された。 ただ、イベントの減少を検討した大規模臨床試験がスタチンを用いたものであったことから、2013年のACC/AHAガイドラインでは、スタチン投与の重要性が強調され、それ以外の薬剤や目標のLDL-C値が記載されていない。スタチン以外でLDL-C低下を可能としたIMPROVE-IT試験でも、エゼチミブの効果はLDL-C低下ではなく、吸収抑制による可能性が指摘されている。 エボロクマブは、LDL-レセプターパスウェーでスタチン以外にLDL-C低下作用が示された初めての薬剤である。この薬剤の効果を検証するFOURIER試験で心血管イベントの抑制がなされれば、LDL-Cの“The Lower the betterが示されることになる。 エボロクマブが、スタチンを服用できなかった患者に大きな福音となるかどうか、大規模臨床試験の結果を見守りたい。

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いま一度ガイドラインの功罪を考える(解説:野間 重孝 氏)-521

 エピネフリンは、強烈かつ即効的なα・β刺激作用により、強力な陽性変時作用、陽性変力作用に加え血管収縮作用を有する薬剤であり、何十年にもわたって心肺蘇生になくてはならない薬剤として使用されてきた。米国心臓協会が、初めて心肺蘇生についてのガイドラインを発表したときも(1974年)、本剤は当然のようにそのラインナップに加わっていた。しかし、一方でその使用根拠、使用法については議論が分かれるところであり、最新のAHAガイドラインにおいては、ショックに陥っていない不整脈患者においては3~5分おきに、ショックリズム(つまりVT、vf)患者に対しては2回目の除細動後3~5分後から使用を開始すべきだとしている。その表現も“it is reasonable to consider”という、遠回しというか歯切れの悪い表現でなされている。 つまり、伝統的に使用されてきた薬剤ではあるが、少なくとも心肺蘇生においてはどのように積極的な役割を果たしていいのかが科学的にはっきりしない以上、その使用は慎重に、といいたいのだろう。ちなみに、3~5分というのはエピネフリンの半減期に当たる。 では、実際にはこの薬剤はどのように使用されているのだろうか? この点に焦点を当てたのが今回の研究である。 研究班は、300超の参加施設から2,978例の心肺蘇生例を前向きに収集し、分析した。すると、AHAガイドラインを無視して最初の除細動から、しかも2分以内にエピネフリンが投与された例が51%あり、それらの例では、ガイドラインが順守された場合に比べて明らかに生存率、心拍再開率、機能アウトカムのいずれにおいても劣った成績を示すことが示された。評者としては、著者らの筆致がガイドラインを守れという上から目線のものではなく、とにかくこういった強力でかつ作用機序の完全に確立しているわけではない薬剤の使用については慎重にしましょう、というところで止めているのが印象的といえば印象的だった。今回についていえば、AHAの慎重な姿勢が功を奏したというべきだろう。 なお、本研究からは除細動前にエピネフリンが投与された例は除外されている。この点を述べておかないとわかりにくくなると考えるので、付け加える。 さて、ガイドラインという言葉を辞書で引いてみると「医療者と患者が特定の臨床状況での適切な診療の意思決定を行うことを助ける目的で系統的に作成された文書」といった、かなり型にはまった定義がされている。リアルワールドにおいて、学生たちにしてみればガイドラインを暗記していることが国家試験に受かるか落ちるかの境目だろうし、一般実地医家にしても、医療訴訟の場合にガイドラインが重大な意味を持つことは、いうまでもないだろう。 しかし、ガイドラインは定期的に改訂されるのである。それは、新しいエビデンスが提出されるから、ということになるのだが、技術的に成長の著しい分野や新発見のあった分野ならうなずけるが、そうではない分野でも改訂が行われているのである。これはなぜなのか? 理由は簡単で、ガイドライン通り治療しない医師が多数いるからなのである。そして、それを悪いとばかりもいえないのが医療の世界なのではないかと思う。 循環器以外の領域に例をとって恐縮なのだが、昨年発表された『脳卒中治療ガイドライン2015』では、脳卒中急性期における血管内治療に対して「急性期の経皮的血管形成術/ステント留置術やその他の手技を用いた再開通療法についての報告は、患者対照研究、症例集積研究のエビデンスレベルにとどまっており、勧告を行うための十分な資料がない」として、IIb-IIIの評価を与えた。これは、いわゆるHonolulu shockによるものであることをご存じの方も多いと思う。 2013年にHonoluluで開催された、International Stroke Conferenceで3つのランダム化試験が発表され、いずれにおいてもその有効性が否定されてしまったのである。これがHonolulu shockである。ところが、翌2014年、Nashvilleで開催された同学会において、逆に積極的なデータを示す3演題が話題になり、今度はNashville hopeと喝采を浴びた。私たち循環器科医からすると、急性期に血栓除去療法をすることのどこが悪いのかが当初わからず、脳循環器系と心臓の血管の性格の違いなのか、などと首をかしげていたのだが、少し胸のつかえが取れたような気がしている。もちろん、これからどうなるかはわからないが…。 つまり、ガイドラインは、一方で初学者や発展途上にいる医師たち、実地医家を強く縛りながら、もう一方ではこういったチャンバラが繰り広げられている世界なのである。 そこで今回の研究に戻るが、さて、なぜこの研究は立案されたのだろうか? 先ほどNashville hopeの話をしたが、一部の方々のひんしゅくを買うことを恐れずにあえて申せば、エピネフリンをどう使用するかというのは、それほど重要な課題なのだろうか?300超の施設が3,000例近い前向き研究をする研究課題なのだろうか? 実際、評者自身は、心肺蘇生でここ長らくエピネフリンを使用していない。 最近、取り扱う事柄の規模、重要性がそれほど高いと思えないにもかかわらず、大変な数の協力施設が集まり、驚くほどの症例数を集める研究に出会うチャンスが多い気がするのは評者だけではないと思うが、いかがだろうか? しかも勘繰れば、この研究には、もし良い結果が出れば「ガイドラインに改訂を迫る」と喧伝し、悪い結果が出れば「やはりガイドラインの慎重な姿勢に見習うべきだ」という、二股膏薬的なものを感じるといえば言い過ぎだろうか? その真意には真理の追究というより、大きなリスクを取ることなく業績集を厚くしたいという、安易な欲望が透けて見えてしまうのである。 ガイドラインは縛りにもなるが、一方で研究立案者たちにメシのタネを提供しているのではないか。もし、そうであるとすると悲しい気がする。評者の邪推であることを祈る。

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PCI後DAPTにCHADS2-VASc/HAS-BLEDは成立するか?~抗血小板剤も個別化の時代に~(解説:中野 明彦 氏)-519

【はじめに】 PCI(ステント留置)後の、適正DAPT期間の議論が続いている。多くの、とくに新しいDESが(おそらくメーカーの思惑も手伝って)、short DAPTに舵を切るべくその安全性検証に躍起になっているが、そこに水を差したと騒がれているのが「DAPT試験」1)である。しかし、考えてみればナンセンスな話で、前者はステント留置直後からの検討、後者は1年間MACEや出血性合併症・TLRを免れた症例のみをエントリーしている。例えは悪いが、1次災害と2次災害に対して同じ対処法で優劣を競うようなものである。 PCI後のDAPT継続期間を考える際には、2つの視点が必要ではないかと思う。1つは対象病変局所の安全性確保(ステント血栓症の予防)、もう1つは冠動脈疾患を含めた動脈硬化性疾患(polyvascular disease)の2次予防という視点である。DESが進化し、ステント血栓症のリスクが低減されている現状においては、長期DAPT継続の議論には後者の視点が重視されるべきである。実際「DAPT試験」では、ステント血栓症以外の心筋梗塞や虚血性脳卒中が実薬群で30~40%減少していた。【本論文について】 「DAPT試験」の2次解析である本論文は、PCI後のDAPT継続による虚血・出血リスクを予測するモデル“DAPT score”を提唱した。さながらPCI版CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアである。PCI後12~30ヵ月間の虚血イベント(ステント血栓症と心筋梗塞)、出血性イベントの有意なリスク因子を抽出しポイント化したが、相反する事象を同一の方程式で解こうとしたため、一般的には高齢者ほど発症頻度が高いと予想される虚血イベントへのポイントが、“マイナス”に振り分けられるなど奇妙な点もある。 また、AFに関するスコアと異なり、特定のDES(今は亡きPaclitaxel-eluting stent)やステント径、SVGへのPCIなどの局所因子が含まれているのが特徴的である。有意差のあるリスク因子を並べ、中央値である2点をカットオフに設定した「後出しジャンケン」なだけに、算出されたポイントで線引きできるのは当然の結果ともいえるが、問題はその精度である。 虚血イベント・出血性イベントに関するC-統計量・NNTは各々0.70・34、0.68・64だった。これは、CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアの0.62/0.61、NOACにおけるCHADS2-VAScスコア≧2のNNT;78~87を上回る2)。しかし、繰り返しになるが、これはあくまで自作自演のスコアである。論文では、同時にPROTECT試験を用いてその信憑性を検証しているが、より低リスク症例を対象とした同試験に適応すると、虚血イベントのC-統計量は0.64だったがNNTは125、出血性イベントでは有意差がつかず、汎用性にはいささか疑問が残る。 さらに本スコアは、カットオフ値を示したに過ぎず、CHADS2-VASc/HAS-BLEDスコアのようにポイントによるリスクの増減を示していない、虚血性イベントと出血性イベントを同じ比重で扱っている、予後に結び付くスコアではないなどの点は、臨床現場で適用する際に留意すべきであろう。【本論文の位置付け】 折しも、ここにきて第1世代以降のDES留置後のDAPT期間に関するシステマティックレビュー3)が発表され、DAPT期間にフォーカスしたACC/AHAのガイドライン改訂4)が行われた。システマティックレビューは、12ヵ月DAPT群と3~6ヵ月DAPT群との間に死亡・心筋梗塞・ステント血栓症・大出血での差がないこと、prolonged DAPT(18~48ヵ月)はbasic DAPT(6~12ヵ月)に比して心筋梗塞・ステント血栓症は低減し大出血は増加させるがその差は軽微で、全死亡には影響しないことを示した。また、改訂ガイドラインでは安定型虚血症例に対するDES留置後の推奨DAPT期間を12ヵ月から6ヵ月に短縮するとともに、本“DAPT score”を取り上げ、虚血/出血リスク層別化の重要性も示唆している。 われわれは、一例一例のPCIに際し、患者背景や既往歴・リスク因子・心機能を検討し、病変局所もIVUSやOCTで細かく観察して、そのstrategyを決定している。一方、術後のDAPT期間は、EBMやガイドラインがACSか安定虚血か? /DESかBMSか? だけでバッサリと容易(安易?)に決めてくれる。これってどうなんだろうか? 他の領域にもそうした動きがあるが、PCI後DAPT期間もガイドライン一辺倒ではなく個別化の時代に入るべき、と思う。short DAPTは、出血リスク回避や医療経済的側面からは意義深いが、polyvascular diseaseの2次予防という観点からはprolonged DAPTが選択されるべき症例も少なくないはずである。 もちろん、DES(stent)の場合は、malappositionやneoatherosclerosisなどの局所的要因が遠隔期のステント血栓症(VLST)の要因となる5)ため、AFの塞栓予防ほど、事は単純ではないし、新世代DESや生体吸収スキャフォールド(BVS)が登場すれば、さらに局所リスク因子が変わってくるかもしれない。また、併用する抗血小板剤も様変わりしていくかもしれない。したがって、方程式(スコア)の中身はさらに吟味されることになろうが、まずは、層別化・個別化の議論が盛り上がれば、それこそが本論文の1番の意義になる。参考文献1)Mauri L, et. al. N Engl J Med. 2014;371;2155-21662)Banerjee A, et al. Thromb Haemost. 2012;107;584-5893)Bittl JA, et al. J Am Coll Cardiol. 2016 Mar 22. [Epub ahead of print] 4)Levine GN, et al. J Am Call Cardiol. 2016 Mar 23. [Epub ahead of print]5)Taniwaki M, et al. Circulation. 2016;133;650-660

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院内心停止、早期アドレナリン投与で転帰不良/BMJ

 ショック適応心停止の院内患者について、50%超が初回除細動後2分以内にアドレナリンを投与されている実態が、米国ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのLars W Andersen氏らによる調査の結果、判明した。また、早期にアドレナリン投与を受けた患者は、生存退院、心拍再開、機能的アウトカム良好での生存退院のオッズ比が低いことも明らかになった。これまで、心肺蘇生におけるアドレナリン投与の有効性について、とくに早期投与の効果については明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2016年4月6日号掲載の報告。初回除細動後2分以内にアドレナリン投与の生存退院を調査 研究グループは、前向き観察コホート研究にて、米国心臓協会(AHA)ガイドラインの推奨(除細動2回以後の投与を推奨)に反し、院内心停止で初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けている患者の存在、および早期アドレナリン投与とアウトカムの関連について調べた。 検討は、米国300超の病院からのデータが包含されたGet With The Guidelines-Resuscitationレジストリデータを分析して行われた。 被験者は、ショック適応心停止の院内成人患者で、心停止後2分以内に初回除細動を受けている、また除細動後もショック適応リズムが認められる患者などが含まれていた。 研究の主要解析の目的は、初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けた患者とそれ以外の患者(アドレナリンを受けなかった、2分超に受けた)の生存退院を比較することであった。また、副次アウトカムとして、心拍再開率、機能アウトカム良好での生存退院率などを評価した。 評価は傾向スコア適合法を用い、初回除細動後2分以内のアドレナリン投与について、多様な患者特性、イベント、病院をベースとし傾向スコアを算出。その傾向スコアを用いて、初回除細動後のアドレナリン投与が0分、1分、2分であった患者について、同一時間内でアドレナリン投与を受ける“リスク”がある(蘇生が継続されていてアドレナリン投与を受けていなかった)患者と適合した。51%が2分以内に投与、それら早期投与患者の転帰は不良であることも明らかに 傾向スコア適合コホートには、2,978例が包含された。群間内のバランスは良好であった。 AHAガイドラインに反して初回除細動後2分以内にアドレナリン投与を受けた人は1,510例(51%)であった。 傾向スコア適合分析において、初回除細動後2分以内のアドレナリン投与は、生存オッズ比の低下と関連していた(オッズ比:0.70、95%信頼区間[CI]:0.59~0.82、p<0.001)。また、心拍再開オッズ比低下(0.71、0.60~0.83、p<0.001)、良好な機能アウトカムのオッズ比低下(0.69、0.58~0.83、p<0.001)とも関連していた。

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日常の血圧を心臓1拍ごとに測定する時代がまもなく到来

 4月18日、オムロンヘルスケア株式会社(京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲)は、心臓の拍動1拍ごとの血圧を測る、連続血圧測定技術を世界で初めて開発したことを発表した。 同社は1973年に家庭血圧計「マノメータ式手動血圧計(HEM-1)」を開発した。その後、同社の製品を中心に家庭血圧計が普及し、わが国ではいまや約3,500万台に上り、各家庭に備わっていると言われるまでになった。さらに高血圧診療においても、家庭血圧測定の位置付けは『高血圧治療ガイドライン』の2009年版における「家庭血圧の測定は有用であり、日常診療の参考とする」から、2014年版の「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」へと格上げされている。 このように、家庭血圧が診察室血圧に比べ、日常の血圧をより捉える方法であると言っても、それでも一時点の血圧を検出しているにすぎない。心臓は1日10万回拍動し、血圧値は10万回変動している。家庭血圧でも24時間自由行動下血圧でも、カフ・オシロメトリック法による血圧測定は、カフで上腕などの血管全体を圧迫し血流を一時止める方法を採用しているため、負荷なく、連続して血圧を測ることはできなかった。 今回、同社はトノメトリ法を用いて、世界で初めて、手首に機器をつけるだけで簡単に1拍ごとの血圧を測定する技術を開発した。トノメトリ法は、手首の体表近くにある橈骨動脈に圧力センサを平らに押し当てて、1拍ごとの血圧を測定する方法である。トノメトリ法を用いた血圧測定装置はこれまでも実用化されていたが、手首で捉えた1拍ごとの血圧値と、上腕で測った血圧値とを照合させる必要があったため、大型の機器にならざるを得なかった。しかし、同社は46個のセンサを1列に並べた圧力センサを開発し、それを血圧測定に採用することで小型化に成功した。 発表されたプロトタイプは重量約200g、これまでに連続10時間以上の測定を実現しているようだ。オムロン社員が実際に装着し、1心拍ごとの血圧測定モニタリングをライブでお披露目した。若干緊張しているのか収縮期血圧は120mmHg台を推移していたかと思うと、当人が呼吸を止めた間は10mmHg前後低下するなど、血圧の推移がリアルタイムに見てとれた。 当日の苅尾 七臣氏(自治医科大学 循環器内科学)の発表では、脳出血の既往がある、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの睡眠中の映像と、それにシンクロした血圧値を見ることができた。映像では22秒間無呼吸状態が続き、その間、収縮期血圧値は100mmHg程度まで低下。呼吸が再開されると血圧変動パターンは一転し、血圧値は見る見るうちに上昇、最高190mmHgまで到達した。苅尾氏は、1心拍ごと変動、日内変動、日間変動、季節変動、年間変動といった時相の異なった血圧急上昇が複雑に絡み合って脳・心血管イベントが発症するのではないか、と「ダイナミックサージ」という仮説を、この患者さんにも適用した。 本年3月から、夜間血圧を連続的に測定する臨床研究が開始されている。また、医学的価値の検証とともに、プロトタイプはさらなる小型化とユーザビリティの改善を図る計画だという。これによって、従来の測定方法では検出できなかったハイリスク群を特定し、未病のうちから治療を施す先制治療によって、脳・心血管イベントゼロを目指す時代が幕開けした。逆に、これまで治療対象とされてきた集団のうち、実はハイリスクではなかった集団をこの新たな技術で特定し、医療経済的に効率的な治療を目指すことも、これからのわが国に課せられた課題ではないだろうか。この技術が高血圧研究だけでなく、高血圧診療のパラダイムシフトを起こすことを期待したい。

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スタチン不耐容患者へのエボロクマブ vs.エゼチミブ/JAMA

 筋肉関連の有害事象によるスタチン不耐容の患者において、新規開発の脂質低下薬エボロクマブはエゼチミブと比較して、24週後のLDL-コレステロール(LDL-C)値を有意に低下したことが、米国・クリーブランドクリニックのSteven E. Nissen氏による無作為化試験「GAUSS-3」試験の結果、示された。筋肉関連の有害事象によるスタチン不耐容の患者は5~20%と報告されており、スタチンの超低用量投与や間欠的投与あるいはエゼチミブ投与などが行われるが、ガイドラインで推奨される50%超低下を達成することはまれである。PCSK9阻害薬エボロクマブは、LDL-Cの低下が顕著で、スタチン不耐容患者の代替療法となる可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2016年4月3日号掲載の報告より。24週投与し、エボロクマブとエゼチミブの脂質低下の有効性と安全性を比較 GAUSS-3試験は、スタチンを再投与し筋肉症状の発現を確認する(フェーズA)、エゼチミブとエボロクマブの2つの非スタチン薬の脂質低下の有効性を比較する(フェーズB)、2段階から成る無作為化試験であった。 2013年12月10日~14年11月28日に、LDL-C値コントロール不良、2剤以上のスタチン不耐容歴のある511例を登録。フェーズAにおいて、クロスオーバー法を用いて24週間、アトルバスタチン(20mg)あるいはプラセボを投与し、アトルバスタチン投与でのみ筋肉症状を認めた患者を確認した。2週間のウォッシュアウト後、フェーズBにおいて、患者を2対1の割合でエボロクマブ(月1回420mg皮下注)もしくはエゼチミブ(1日1回10mg経口投与)群に無作為に割り付け、24週間の投与を行った。 主要エンドポイントは2つで、LDL-C値のベースラインからの平均変化率を、22週と24週の平均値、および24週値について評価した。24週時の平均変化率、エボロクマブ群-52.8%、エゼチミブ群-16.7% フェーズAの被験者は491例であった。平均年齢60.7(SD 10.2)歳、女性246例(50.1%)、170例(34.6%)が冠動脈疾患歴あり、試験開始時の平均LDL-C値は212.3(SD 67.9)mg/dLであった。結果、アトルバスタチン服用時のみ筋肉症状が認められたのは209例(42.6%)であった。 209例のうちフェーズBには199例が参加した。また、クレアチンキナーゼ高値であった19例がフェーズBより参加し計218例で行われた。エゼチミブ群に73例、エボロクマブ群に145例が割り付けられた。試験開始時の平均LDL-C値は219.9(SD 72)mg/dLであった。 LDL-C値の22週と24週の平均値は、エゼチミブ群は183.0mg/dLで、ベースラインからの平均変化率は-16.7%(95%信頼区間[CI]:-20.5~-12.9%)、絶対変化値は-31.0mg/dLであった。一方、エボロクマブ群は103.6mg/dL、-54.5%(95%CI:-57.2~-51.8%)、-106.8mg/dLで変化が有意に大きかった(LDL-C値の両群差:-37.8%、絶対変化値差:-75.8mg/dL、p<0.001)。 また24週時のLDL-C値についても、エゼチミブ群は181.5mg/dL、平均変化率は-16.7%(95%CI:-20.8~-12.5%)、絶対変化値は-31.2mg/dLであった一方、エボロクマブ群は104.1mg/dL、-52.8%(95%CI:-55.8~-49.8%)、-102.9 mg/dLで変化が有意に大きかった(LDL-C値の両群差:-36.1%、絶対変化値差:-71.7mg/dL、p<0.001)。 筋肉症状の報告は、エゼチミブ治療群で28.8%、エボロクマブ群で20.7%で有意差はみられなかった(log-rank検討によるp=0.17)。なお、筋肉症状のために試験薬投与を中止したのは、エゼチミブ治療群73例中5例(6.8%)であったのに対し、エボロクマブ群は145例中1例(0.7%)であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「さらなる試験で、長期の有効性と安全性を評価する必要がある」とまとめている。

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第31回 特別編「医療事故調査制度」の概要と展望

2015年10月より医療事故調査制度が正式に始まった。医療事故調査・支援センターとして指定された「日本医療安全調査機構」には、2016年3月現在、累計で188件の医療事故報告(相談は累計1,012件)が行われている。今後、さらに報告を収集・分析していくことで、同じような医療事故を防ぐ防波堤となり、患者さんの医療安全へつながることが期待されている。本コンテンツでは、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の構成員として、わが国の医療安全を担う新制度の構築に参画してきた医師・弁護士であり、「MediLegal」の執筆者である大磯 義一郎 氏(浜松医科大学医学部医学科医療法学 教授)に新制度の概要を聞いた。2015年10月に発足した医療事故調査制度の概要について教えてください。この医療事故調査制度の目的は、医療法の「第3章 医療の安全の確保」に位置付けられているとおり、「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」です。また、医療法上、この制度の対象となる医療事故は、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」とされています。そして、新医療事故調査制度では、この「医療事故」については、医療事故調査支援センターへの報告義務と調査義務が各医療機関の管理者(院長や施設長)に課せられています。どのような場合が「報告対象」に当たるかについては、1)「予期しなかった死亡」、かつ、2)「医療に起因する死亡」の2つの要件を満たす必要があります。1)の「予期しなかった死亡」とは、「当該死亡又は死産が予期されていなかったものとして、以下の事項のいずれにも該当しないと管理者が認めたもの」(医療法施行規則1条の十の二 第1項)と定義されており、国語辞典的な「そのようなことが起こるとは想定していなかった」という意味ではありません。省令では、(1)あらかじめ患者さんに説明していた場合、(2)診療録その他の文書等に記録していた場合、(3)管理者が医療従事者や医療安全管理委員会からの意見を聞き、当該死亡が予期できたと認めた場合のいずれにも該当しないと管理者が認めた場合には、本制度における「予期しなかった死亡」となるとしています。医療機関に対し、積極的に患者に情報提供をしたり、記録化を進めることで、報告義務を免除するというインセンティブを与えているのです。2)「医療に起因する死亡」とは、原則的には、侵襲的な医療行為(手術、処置、投薬、検査、輸血など)をいい、単なる療養、転倒や転落、誤嚥などの行為は本制度での「医療」には当たらず、報告の対象外とされています。発生した事故が、1)と2)の要件を満たすかどうかを最終的に管理者が判断することになります。その際、現場の医療従事者個人に過重な責任を負わせてきた過去の苦い反省を踏まえ、「当該医療事故に関わった医療従事者などから十分事情を聴取したうえで、組織として判断する」とされています。新制度では、院内調査が中心となり、その主体、調査手法については、管理者の幅広い裁量に委ねられています。したがって、外部委員を入れることは必須ではありません。最後に、医療機関が「医療事故」として医療事故調査・支援センターに報告した事案について、遺族または医療機関が医療事故調査・支援センターに調査を依頼した時は、医療事故調査・支援センターが調査を行うことができます。調査終了後、医療事故調査・支援センターは、調査結果を医療機関と遺族に報告することになります。画像を拡大する医療安全の議論から新制度発足まで、10年近くを要した経緯を教えてください。医療安全への取り組みは、一般に医療萎縮が始まったとされる大野病院事件が起こる、少し前からあった議論です。ただ、当時は医療安全が主たる目的ではなく、過熱した医療紛争の処理が中心的な課題でした。したがって、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」では、個別事案の医学的評価、すなわち、誰の責任かを明らかにすることが中心的な活動となりました。その後、大野病院事件が発生し、医療領域への司法の過剰介入により医療萎縮が起こり、日本の医療が崩壊しかけました。このままでは日本の医療は本当に崩壊してしまうというところまで来て、ようやくトカゲのしっぽ切り的な責任追及ではなく、真面目に医療安全を行おうという機運が生まれてきました。そこで、ちょうどモデル事業が終了するということで、厚生労働省の支援により「医療安全」を主目的に、さらに発展拡大する本制度、組織の発足へとつながりました。この新しい制度では、医療事故事例を収集・集積し、内容を分析することで、次の事故の発生を防止し、患者さんの安全に役立てようということが理念として掲げられました。事故を起こした個人の責任追及の場には、決してしないということです。ただ、患者訴訟団体やその他の団体のそれぞれの思いもあり、本制度の設計の際には議論が難航しました。しかし、最終的に当初の理念通り、2015年10月に正式にスタートすることとなりました。制度構築の途中でとくに議論された事項は何ですか?新制度構築の中でとくに議論された内容は、その理念と運用です。この制度の理念は「医療安全」です。これについては、審議会でも、ほぼ異論なく受け入れられました。しかし、運用については、議論の途中で「医療事故を起こした個人への責任追及」や「裁判で使える文書作成」などさまざまな意見も出されました。そこで、わが国の医療安全のエキスパートに意見を聞いたり、諸外国の同じような制度との比較・検討により、医療安全のためには『WHOドラフトガイドライン2005』でも示しているように、「非懲罰性」と「秘匿性」を報告システムに盛り込むことが重要となりました。「医療安全」とは、将来の同種事故の発生リスクを低下させることで、患者さんの生命を守ることを目的としています。それに加え、患者さんに直接医療行為を行う頻度が高いことから、「加害者」の立場に立たされやすい未来ある若い医師、看護師など医療従事者を守ることも重要です。そうでないと、再び医療萎縮が再燃し、かえって患者さんの利益を害することになりかねないからです。医療事故は、確率的に何万回かに1回は、必ず起きます。これは人的、物的さまざまな要因により、完全に防ぐことは不可能です。ですから、たまたまそのときに行為者となった医療者だけに責任を負わせるような従来の事故対応では、今後も事故の発生を減少させることはできません。そこで、今回の制度では、個人責任追及ではなく、医療をシステムとして捉え、科学的に検証を行い、医療安全という結果を出していこうということが話し合われました。何よりも大事なことは、これまでの「収集事業」のように、医療事故のデータを収集するだけではだめで、分析、検証し、次のアクションへつなげることが重要です。一例を紹介しますと、米国でも日本と同じように脊髄撮影造影剤での事故が起きています。当初、日本と同じように造影剤の添付文書に警告を入れましたが、また同じような事故が起こった。なぜ同じ事故が起こるのか、分析し、検証することで医療者のダブルチェック体制の構築や薬剤保管場所の分離、臨床現場での啓発など具体的な行動が推奨され、事故を防止する対策が取られています。そして、この間、日本で行われたような個人への責任追及は行われていません。新しい医療事故調査制度では、医療事故データを集め、きちんとPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回すこと。すなわちデータ収集・分析後、対応策を考え、その効果検証を行い、さらにブラッシュアップし、新しいサイクルを回すことが運用として求められます。日本では、約十数年の間、医療安全対策について何ら結果が出せていない状態でした。そのため、医療事故を科学的に検証し、ブラシュアップしていくことで、アウトカムを出そうということになりました。医療事故発生時の対応やグレーゾーン事案での対応はどうなりますか?医療事故発生時のフローは最初に述べたようになりますが、新制度で重要なことは、事故が起こった場合に、最初に本制度における「医療事故」に該当するか判断しなければなりません。新制度では、予期要件(患者さんへの説明と同意、カルテに記載など)があれば、医療機関へのインセンティブとして報告を免除する仕組みもあり、同じ態様の死亡事故でも、個々のケースで報告するか・しないかが変わってきます。医療起因性があるかどうかも含め、報告事案になるかどうかを、管理者は初めに見極める必要があります。原則として、病院などが患者さんへインフォームドコンセントやカルテへの記載で死亡のリスクを明示していれば、報告の必要はありません。しかし、そうでない場合、当該事故が予期できなかったのかおよびその事故がはたして医療に起因する死亡事故なのかどうか、判断する必要があります。ここで注意しておきたいのが、誤診のようなそもそも事故ではない場合や介助などの医療起因性のない場合は含まないということです。本制度は管理者に幅広い裁量権を認めておりますので、グレーゾーン事案では、管理者の判断に負うところが大きいと言えます。新制度はそのように規定していますので、管理者が判断し、事故の報告をする・しないを決定することになります。ただ、将来的にはグレーゾーン事案も、医療事故調査・支援センターへの報告が望ましいと全国の管理者が考えるようになればと考えています。そのためにも、医療事故調査・支援センターは、これまでのように、個別事案の評価を行い、個人責任の追及を支援していくのではなく、医療安全をサイエンスとして分析・検証し、医療安全という結果を示すことができる組織へと変身していく必要があると考えています。今後の新制度の展望について教えてください。また、個々の医療機関でできることには何があるでしょうか。まず、新制度に望むものとして、医療事故として報告された事例を収集するだけでおしまいではなく、医療安全のために、集めたデータを解析して、対策を立て、それを現場に落とし込んで、その効果を検証するというサイクルを回してほしいということです。検証していくことが、日本の医療をより良くしていきます。その中で医療事故調査・支援センターの役割は、大きくなる可能性があります。センターは、個別具体的な事案に捉われるのではなく、将来の同種事故を防ぐため、サイエンスとして医療安全を行い、結果を出していくことが重要になってくるでしょう。また、個々の医療機関でできることとして、院内でも事故防止のため独自に決めたPDCAサイクルを回しながら、日々の診療に当たることです。その際、患者さんへのインフォームドコンセントやカルテへの記載など、きちんと行うべきことは必ず実施してほしい事項です。関連リンク厚生労働省医療安全対策日本医療安全調査機構

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発作性心房細動へのアブレーション、冷凍 vs.高周波/NEJM

 薬剤抵抗性発作性心房細動に対するクライオバルーンアブレーション(冷凍アブレーション)は、高周波アブレーションに対し非劣性であることが認められ、安全性も同等であった。ドイツ・Asklepios Klinik St. GeorgのKarl-Heinz Kuck氏らが、多施設共同無作為化非盲検並行群間比較試験「FIRE AND ICE」の結果、報告した。現在のガイドラインでは、薬剤抵抗性発作性心房細動の治療としてカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術が推奨されている。高周波アブレーションが最も頻用されているが、冷凍アブレーションは比較的簡便で手術時間の短縮や合併症の軽減などが期待できる。これまで、両者の比較試験は小規模なものが多く、無作為化試験はほとんどなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月4日号掲載の報告。769例を対象に非劣性試験を実施 研究グループは、2012年1月19日~15年1月27日の間に、8ヵ国16施設において、クラスI群またはIII群抗不整脈薬あるいはβブロッカーに抵抗性の症候性発作性心房細動患者769例を登録した。このうちスクリーニング失敗例等を除いた762例をクライオバルーンアブレーション(クライオバルーン)群または高周波アブレーション(RF)群に、施設および年齢(≦65歳 vs.>65歳)で層別化して1対1の割合で無作為に割り付けた(それぞれ378例および384例)。 有効性に関する主要評価項目は、アブレーション後90日以降の治療不成功(30秒以上持続する心房細動の再発、心房粗動または心房頻拍の発生、クラスI群またはIII群抗不整脈薬の使用、再アブレーション)で、非劣性マージンはハザード比(HR)1.43とした。 安全性の主要評価項目は、全死因死亡、脳血管イベント(脳卒中または一過性脳虚血発作)、重篤な治療関連有害事象の複合エンドポイントであった。アブレーション後90日以降の治療不成功は冷凍35%、高周波36% 解析対象は、割り付け後にアブレーションが実施された750例(クライオバルーン群374例、RF群376例)で、追跡期間は平均1.5年であった。 アブレーション後90日以降の治療不成功は、クライオバルーン群138例、RF群143例であった。Kaplan-Meier法で推算した1年時のイベント発生率は、それぞれ34.6%、35.9%で、HRは0.96(95%信頼区間[CI]:0.76~1.22)であり、クライオバルーン群はRF群に対して非劣性であることが認められた(非劣性のp<0.001、log-rank検定)。 安全性の主要評価項目の発生は、クライオバルーン群40例、RF群51例に認められた。Kaplan-Meier法で推定した1年時のイベント発生率は、それぞれ10.2%、12.8%であった(HR:0.78、95%CI:0.52~1.18、p=0.24)。

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