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Dr.山田のゆるい糖質制限 -医学的根拠と実践方法-

第1回 いま、糖質制限食が必要です 第2回 すでに効果と安全性は認められています第3回 日本糖尿病学会は昔から認めています 第4回 三大栄養素比率にこだわる必要はありません第5回 糖質制限は批判されるべきものではありません第6回 糖質制限はこうして実践できます 糖尿病食事療法の新たな選択肢として脚光を浴びる糖質制限。まだ一部には、腎機能への悪影響などを危惧する懐疑的な意見があるのも事実です。この番組では北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生が最新のエビデンスを科学的に分析し、糖質制限に対するさまざまな危惧を払拭。さらに、実際の治療に取り入れる際のポイント、成功に導くテクニックも公開します。自信を持って糖質制限を勧められる知識とノウハウを詰め込みました!第1回 いま、糖質制限食が必要です糖尿病治療の新たな選択肢として注目を集める糖質制限。アメリカではすでに食事療法の一つとして認められているのです!第1回は、 山田悟先生が提唱する「ゆるい」糖質制限の定義、そしてなぜ糖質制限が糖尿病大国アメリカで認められているのかを学会提言の変遷とともに解説します。糖質を減らした分、脂質が増えていいの?といった疑問にも脂質を摂取することが動脈硬化や心血管疾患のリスクを低下させる…そんな研究結果を数多く引用し不安を払拭していきます。第2回 すでに効果と安全性は認められています今回は3つの大きな臨床研究を例に、糖質制限の効果と安全性に迫ります。4種類の食事療法での減量効果を調べたATOZ試験。糖質制限食・脂質制限食・高脂質食それぞれの減量効果や血糖値、脂質、血圧などに与える影響を調べたDIRECT試験とそのサブ解析。そして日本人の糖尿病患者での効果を検討した北里研究所病院試験。高脂質食や糖質制限食による脂質プロファイルの改善、また腎症3期でのeGFRの変化などを見ると、腎機能への影響や動脈硬化のリスクも杞憂だったと感じるはず。第3回 日本糖尿病学会は昔から認めています日本糖尿病学会は糖質制限を否定している?それは誤解だと山田先生は言い切ります。昔も今も、否定されているのは「極端な」糖質制限のみであり、「ゆるい」糖質制限は許容されているのです。そのことを理解するには、食品交換表、また日本糖尿病学会の糖尿病診療ガイドラインについて注意深く読み解くことが必要。そこで今回は、食品交換表の変遷を解説し、糖尿病診療ガイドラインの参考文献を丁寧に検証していきます。情報を自分で精査するための知識として、観察研究と無作為比較試験の違いにも言及。実践可能な食事療法として、「ゆるい」糖質制限が存在することをぜひ番組で体感してください。第4回 三大栄養素比率にこだわる必要はありません「炭水化物は総カロリーの50~60%摂取すべき」という定説、その根拠をひも解いてみると、実は明確なエビデンスがあるとは言い切れないということが今回のレクチャーでわかります。糖質摂取量を減らすことで懸念される血管内皮機能の低下や筋肉量の減少など、様々ある言説が誤解であるということもエビデンスに基づいて解説します!第5回 糖質制限は批判されるべきものではありません糖質制限で動脈硬化になる?心血管疾患のリスクが高まる?いずれも過去の言説になりつつあります。一概に蛋白といっても、その質によって動脈へ与える影響が異なることや、欧米人と東アジア人では糖質摂取量による心血管リスクが異なることを最新のエビデンスを用いて解説します。第6回 糖質制限はこうして実践できます糖質制限レクチャー最終回は、導入方法をお教えします。糖質制限を実際に導入するときに気を付けることは?糖質制限をしてはいけない症例は?薬との併用はどう考えればいい?食事以外に変更すべきことはある?など糖質制限の導入にあたっての疑問に山田先生がお答えします。糖質制限の特徴と注意点を押さえて、日常診療に役立ててください!

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てんかんドライバーの事故率は本当に高いのか

 米国・ホフストラ・ノースショアLIJ医科大学のPuja Appasaheb Naik氏らは、米国神経学会のガイドラインに準じてシステマティックレビューを行った。その結果、てんかんを有するドライバーと一般集団における交通事故率の違いに関するエビデンスは矛盾しており、結論は得られないことを報告した。Epilepsy&Behavior誌オンライン版2015年5月7日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedを用いて1996年以降に発表された英語論文を検索し、てんかん患者と非罹患者における自動車運転による交通事故のリスクを比較検討した。 結果は以下のとおり。・本レビューの対象となったエビデンスは、クラスⅡの研究が6件、クラスIIIの研究が1件であった。・2件(クラスIIIおよびクラスII、各1件)は、一般集団と比較し、てんかん患者群で全交通事故率が減少する傾向がみられた。各研究の相対リスク(RR)は0.86(95%信頼区間[CI]:0.65~1.14)と1.00(同:0.95~1.06)であった。なお、どちらの研究も交通事故率は自己報告に基づいた。・3件(すべてクラスⅡ)は、一般集団と比較して、てんかん患者群で全交通事故率の増大または増大傾向がみられた。RRは、保険会社・救急診療部・医師が報告しているデータベースに用いた研究で1.62(95%CI:0.95~2.76)、警察の報告を用いた研究で1.73(同:1.58~1.90)、救急来院に基づいた研究で7.01(同:2.18~26.13)であった。・1件(クラスⅡ)は、死亡事故の発生率について、てんかん患者との比較において、他疾患に起因する事故は26倍、アルコール中毒に起因する事故は156倍と報告していた。・1件(クラスⅡ)は、てんかん患者の発作による交通事故は、交通事故2,800件につき1件と報告していた。 一般集団と比較したてんかん患者の交通事故率について、矛盾した結果が得られたことについて、著者らは方法論的な差異を挙げたうえで、「今後の研究では、交通事故率の算出はてんかん患者の自己申告によらない客観的な指標を用い、分母には走行距離を用いるべきである」とまとめている。【訂正のお知らせ】本文に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年8月24日)。関連医療ニュース 精神疾患ドライバー、疾患による特徴の違い 認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか てんかん患者への精神療法、その効果は  担当者へのご意見箱はこちら

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第20回

第20回:大腸がんのスクリーニングとその後のフォロー監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 近年、わが国の大腸がん死亡率および罹患率は著しく増加しています。2013 年の人口動態統計によれば、女性の大腸がん死亡は全悪性新生物による死亡の中で最多であり、男性では肺がん、胃がんに次いで多く、過去 50 年間でおよそ 10倍となっています1)。 大腸がんは、早期であればほぼ100%近く治すことができますが、一般的には早期の段階では自覚症状はありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。今回の記事で大腸がんのスクリーニングとその後のフォローについて確認してみましょう。また日本では、これを参考にした大腸がんの検診ガイドライン2)も出されていますので、一度目を通してみるとよいかもしれません。 なお、日本の『大腸ESD・EMRガイドライン』では、径6mm以上の腺腫(一定の担がん率・SMがんも存在することから表面陥凹型腫瘍は径5mm以下でも)切除が勧められています。遠位大腸に存在する径5mm以下の典型的な過形成性ポリープは放置可能(エビデンスⅣb・推奨度B)3)など対応に違いがあります。 タイトル:大腸がんのスクリーニングおよびサーベイランスColorectal Cancer Screening and Surveillance以下、American Family Physician 2015年1月15日号4)より◆疫学~スクリーニング(USPSTF;米国予防サービスタスクフォースの推奨)大腸がんは男女ともに3番目に頻度の多いがんである。早期発見/治療により過去20年間で発生率と死亡率は減少している。平均的な大腸がんリスクのある人には、50歳でスクリーニングを開始すべきである。75歳以上へのルーチンスクリーニングは個別の判断を推奨している。(リスクとがん死亡を比較してスクリーニングの有用性が上回る場合、患者と医師で相談して決定する)【無症状、平均リスクの成人に対するスクリーニングの推奨】下記はどれも同等の推奨度。年に1回の高感度便潜血検査5年ごとの軟性S状結腸鏡検査と3年ごとの高感度便潜血検査10年ごとの大腸内視鏡検査【リスクを持つ成人の大腸内視鏡スクリーニング】60歳以上で大腸がんもしくは高度異型腺腫※と診断を受けた1親等の親族が1人いる場合→50歳で全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、10年ごとに施行60歳未満で大腸がんもしくは高度異型腺腫と診断を受けた1親等の親族が1人いる場合→40歳もしくは親族が診断を受けた年齢より10年若いときに全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、5年ごとに施行どの年齢でも大腸がんもしくは高度異型腺腫と診断を受けた1親等の親族が2人いる場合→40歳もしくは親族のうちより若年で診断を受けたその年齢より10年若いときに全大腸内視鏡検査スクリーニング開始、5年ごとに施行※高度異型腺腫=10mm以上の腺腫で絨毛要素を持ち、高度異型性であるものをいう。【大腸内視鏡検査フォローアップ期間】2012年に出されたU.S.Multi-Society Task Force on Colorectal Cancerからのサーベイランスガイドライン異常なし(ポリープなし、もしくは生検で異常なし ) →10年ごと過形成性ポリープ直腸もしくはS状結腸に10mm未満の過形成性ポリープ →10年ごと低リスクポリープ10mm未満の管状腺腫が1、2個 →5~10年ごと異型性のない10mm未満の小無茎性鋸歯状ポリープ →5年ごと高リスクポリープ →3年ごと3~10個の管状腺腫10mm以上の管状腺腫もしくは鋸歯状ポリープ絨毛もしくは高度異形成を持つ腺腫細胞学的異形成との固着性鋸歯状ポリープ古典的鋸歯状腺腫他の事情10個以上の腺腫 → 3年ごと鋸歯状ポリープ症候群 →1年ごと※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) 国立がん研究センターがん対策情報センター. 人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2013年). http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html (参照 2015.5.25) 2) 平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班. 有効性評価に基づくがん検診ガイドライン. 国立がん研究センターがん予防・検診研究センター. http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/daicyougan.html (参照 2015.5.25) 3) 田中信治ほか. 日本消化器内視鏡学会誌. 2014;56:1598-1617. 4) Short MW, et al. Am Fam Physician. 2015;91:93-100.

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上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬に耐性の非小細胞肺がんに対するAZD9291の効果について(解説:小林 英夫 氏)-361

 すでにご承知の読者も多いであろうが、非小細胞肺がんの臨床において2002年から登場した上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)は現在不可欠な薬剤となっている。2014年版日本肺癌学会編『EBMの手法による肺癌診療ガイドライン』1)においても、手術不能非扁平上皮がんでEGFR遺伝子変異陽性例に治療推奨グレードAと位置付けられた。 第1世代EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)導入後には、高度な薬剤性肺障害の合併、無効症例の存在、人種差、薬剤耐性獲得などの問題点が指摘された。これらの課題は、合併肺疾患の有無や、組織型選択、性別、組織検体でのEGFR遺伝子変異といった評価プロセスを経ることにより、ある程度の改善が得られている。そして最大の未解決点は1~2年程度で生じてしまう薬剤耐性問題である。治療当初は良好な腫瘍縮小効果が得られた症例も恒久的効果は困難であり、この解決を目指して新規EGFR-TKI薬の開発が進められている。 今回、新規2薬剤の臨床試験が同時にNEJM誌に掲載されたが、本稿ではアジア人主体で日本人を含む検討がなされた第3世代EGFR-TKI(AZD9291)についての、Janne氏らの論文を概説する。 薬剤耐性獲得の約60%はEGFR T790M変異と考えられているが、AZD9291は非小細胞肺がんのEGFR-TKI活性化変異とEGFR T790M耐性変異を選択的かつ不可逆的に阻害する第3世代経口EGFR-TKIであり、前臨床モデルではこれら変異に有効である一方、野生型EGFRに対する効果は少ない。 AZD9291の安全性と有効性評価のための第I相試験は2013年3月から2014年8月まで行われた。対象は、既治療で、EGFR-TKI活性化変異が確認された、または他のEGFR-TKI治療によっても病勢が進行している、進行非小細胞肺がんである。 253例が登録され、用量漸増コホートに31例、拡大コホートには222例が割り付けられた。内訳は女性が62%、アジア人が62%、腺がんが96%で、80%に細胞傷害性化学療法歴があった。拡大コホート登録症例の62%で EGFR T790Mが検出された。用量漸増コホート31例で、28日間の1日1回20~240mg経口まででは用量制限毒性が発現しなかったため、最大耐用量は確定されなかった。 有害事象として、下痢(47%)、皮疹(40%)、悪心(22%)などが認められ、グレード3以上の有害事象は32%に、重篤な有害事象は22%にみられた。アジア人と非アジア人で重症度や頻度に差はなかった。肺臓炎様イベントは6例(2例はアジア人、4例は非アジア人)にみられ治療中止となったが、データ解析時には回復したか、回復しつつあった。7例が有害事象で死亡したが、薬剤関連の可能性は1例(肺炎)であった。 登録症例中239例で治療効果が判定でき、123例が部分奏効、1例が完全奏効、奏効率51%(95%信頼区間[CI]:45~58%)、病勢安定33%(78例)であった。また、EGFR T790M陽性例のうち評価可能であった127例は奏効率61%(95%CI:52~70%)、陰性例61例では奏効率21%(95%CI:12~34%)だった。奏効例のうち奏効期間が6ヵ月以上の患者の割合は85%で、 EGFR T790M陽性例では88%、陰性例では69%であった。全体の無増悪生存期間中央値は8.2ヵ月、T790M変異陽性例で9.6ヵ月(95%CI:8.3~未到達)、陰性例では2.8ヵ月(95%CI:2.1~4.3)であった。 本邦では第2世代薬のアファチニブが2014年に導入されたが、薬剤耐性について十分な問題解決には到達していない。Janne氏らは、第3世代のAZD9291はEGFR-TKIによる前治療下で病勢が進行してしまった EGFR T790M変異陽性の進行非小細胞肺がん患者に腫瘍縮小効果を示し、EGFR T790Mが本薬有効性の予測マーカーでもあることが示唆された、と結論している。 彼らの成績はencouragingではあるものの、観察期間が短いことや比較試験ではないことなど、さらなる検討を待たなければならない。ただ、非小細胞肺がん治療では治療前だけでなく増悪期においても、組織検体からEGFR遺伝子変異を評価することがますます重要となることは間違いない。なお、肺がんとEGFR-TKIについての手引きが日本肺癌学会より発行されている2)。

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多発性骨髄腫~より正確に診断するために

 磁気共鳴画像(MRI)は、多発性骨髄腫(MM)における限局性骨髄病変(FSD)検出において最も感度の高い検査である。しかし、脊柱全体のMRI(WS-MRI)をMM診断におけるスクリーニングテストとして使用すべきかどうかは、明らかになっていない。オーストラリア・ジェームズクック大学のJoel Wight氏らは、MM診断におけるMS-MRIの有用性を明らかにするために調査を行った。その結果、くすぶり型骨髄腫を持つ患者には有用である可能性が示唆された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 2008年1月~2013年1月にThe Townsville Hospitalで収集したデータをレトロスペクティブに解析した。同施設において、WS-MRIは新規MMの診断目的で日常的に使用されている。FSDの臨床的予測因子を定め、ガイドラインによるWS-MRIの適応に該当する患者とそうでない患者の調査結果を比較した。 主な調査結果は以下のとおり。・71症例が本分析の対象となった。・WS-MRIの適応に該当する患者は44例(62%)であった。・FSDの最も強力な予測因子は、背部痛(p<0.001)と脊椎圧迫骨折(p=0.003)であった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応患者群]・該当患者44例のうち、33例(75%)がFSDを有していた。・このうち17例は早急な処置が必要であり、13例に形質細胞腫があった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応でない患者群]・該当患者27例のうち4例(15%)にFSDが見つかったが、いずれも早急な治療介入は必要なく、形質細胞腫も見られなかった。・8例のくすぶり型骨髄腫の患者のうち、3例がWS-MRI検査により症候性骨髄腫に再分類された。 ガイドラインでWS-MRI検査の適応とされていない患者では、WS-MRIにより治療が早急に必要な脊髄疾患を発見できなかった。しかし、WS-MRIは、くすぶり型骨髄腫の患者において、単純撮影で病巣がみられない場合には有益であり、治療につながる可能性が示唆された。

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持続性心房細動にアブレーションは有効か/NEJM

 持続性心房細動患者にアブレーションを行う場合に、肺静脈隔離術に加えて、コンプレックス細分化電位図を示すアブレーションやリニアアブレーションを行っても、アウトカムの改善にはつながらないことが報告された。カナダ・モントリオール心臓研究所のAtul Verma氏らが、同患者589例について行った無作為化試験で明らかにした。持続性心房細動へのカテーテルアブレーションは、発作性心房細動に比べ成功率が低く、ガイドラインでは補助的な基質の焼灼を示唆している。NEJM誌2015年5月7日号掲載の報告より。18ヵ月追跡し、30秒超の持続性心房細動再発率を比較 研究グループは、持続性心房細動の患者589例を無作為に1対4対4の割合で3群に分け、(1)肺静脈隔離術のみでアブレーション(67例)、(2)肺静脈隔離術と併せてコンプレックス細分化電位図を示すアブレーション(263例)、(3)肺静脈隔離術と併せて左房天蓋部から僧帽弁峡部へのリニアアブレーション(259例)をそれぞれ行った。 追跡期間は18ヵ月で、主要評価項目は1回のアブレーション後、30秒超の持続性心房細動の再発だった。心房細動の無再発割合、5~6割と3群で有意差なし 18ヵ月後、心房細動の再発が認められなかった人の割合は、肺静脈隔離術のみ群で59%、コンプレックス細分化電位図群が49%、リニアアブレーション群が46%と、有意差は認められなかった(p=0.15)。 処置所要時間については、肺静脈隔離術のみ群が他の2群に比べ有意に短かった(p<0.001)。 また副次的評価項目の、2回アブレーション後の心房細動の無再発の割合、心房性不整脈が認められない人の割合、についても3群で同等だった。

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上部消化管出血への輸血戦略、大規模RCTは可能か/Lancet

 論争の的となっている急性上部消化管出血への輸血戦略について、大規模な非盲検集団無作為化試験の実行可能性を探るTRIGGER試験が英国・オックスフォード大学のVipul Jairath氏らにより行われた。その結果、試験は実行可能であることが示され、著者は、「臨床診療ガイドラインで、すべての上部消化管出血患者に対する制限輸血戦略を推奨するよう記述を変える前に、その効果を評価する大規模な集団無作為化試験は実行可能であり、実施が必須である」と指摘した。これまで、同戦略に関する検討は小規模試験3件と単施設試験1件のみである。単施設試験の所見では、制限輸血(限定的な赤血球[RBC]輸血)群で死亡の低下が報告されており、研究グループは、同所見が多施設の集団無作為化試験によって立証されるか否かを検討することを目的とした。Lancet誌オンライン版2015年5月5日号掲載の報告より。英国6つの病院で試験の実行可能性を探る 検討は英国の6つの大学病院で、18歳以上の新規に急性上部消化管出血を発症した全患者を登録して行った。被験者について、併存疾患の有無は問わなかったが、大量出血例は除外した。  研究グループは病院単位で被験者を2群に割り付け、一方の群には制限輸血(ヘモグロビン濃度が80g/L未満で輸血)を、もう一方の群には非制限輸血(同100g/L未満で輸血)を行った。  実行可能性アウトカムは、被験者補充率、輸血戦略に対するアドヒアランス、ヘモグロビン濃度、RBC曝露、選択バイアス、および第III相試験のデザインおよび経済性評価に導くための情報とした。さらに28日時点の出血と死亡を主要な探索的臨床アウトカムとした。集団無作為化デザインでも制限輸血群でRBC輸血低下 2012年9月3日~2013年3月1日に、936例(制限輸血群の3病院で403例、非制限輸血群の3病院で533例)が登録された。  被験者補充率は制限輸血群よりも非制限輸血群で有意に高かった(62% vs. 55%、p=0.04)。  ベースラインでアンバランスな特性項目があったが、Rockallリスクスコア(両群とも2)およびBlatchfordリスクスコア(両群とも6)は両群で同一であった。  輸血戦略へのアドヒアランスは、制限輸血群96%(SD 10)、非制限輸血群83%(25)であった(差:14%、95%信頼区間[CI]:7~21、p=0.005)。  最後に記録された平均ヘモグロビン濃度は、制限輸血群116(SD 24)g/L、非制限輸血群118(20)g/Lであった(差:-2.0、95%CI:-12.0~7.0、p=0.50)。また、RBC輸血を受けたのは非制限輸血群(247例[46%])よりも制限輸血群(133例[33%])が少なかった(差:-12%、95%CI:-35~11、p=0.23)。RBCの平均輸血単位は、制限輸血群1.2(SD 2.1)、非制限輸血群1.9(2.8)であり(差:-0.7、-1.6~0.3、p=0.12)、いずれも有意差はみられなかった。  臨床的アウトカムについても有意な差はみられなかった。  これらを踏まえて著者は、「集団無作為化デザインは、両群で迅速な被験者補充、高いプロトコルアドヒアランス、貧血の解消に結び付き、制限輸血群で有意ではないがRBC輸血の減少に結び付いた」とまとめている。

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事例53 アモキシシリン(商品名: サワシリン)カプセルの査定【斬らレセプト】

解説事例では、発熱・咽頭痛を主訴に夜間時間帯に受診され、紅斑を認めたため典型症状の溶連菌感染症と診断、検査を行わずにアモキシシリン(サワシリン®)カプセル250mgを10日分処方したところ、B事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)にて「過剰」と判断され、7日分に査定となった。「ガイドラインに沿った投与にもかかわらず査定となった理由を教えてほしい」と問い合わせがあった。確かにA群溶連菌感染症診断が確定した場合には、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011」に沿って、基本的に第1選択のペニシリン系薬が10日間投与される。しかし、確認のためのD012[22]A群β溶連菌迅速試験定性の実施がなかった。溶連菌の型式などの確定が行われない段階での10日分投与は、同剤の添付文書にある「耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間(7日間以内:筆者経験則)の投与にとどめる」から考えて、予防的もしくは炎症疾患への投与とみなされ、3日分が査定となったものであろう。典型的症状であっても、検査が必要とされる疾病に対しては、検査の実施もしくは確定診断に至った医学的理由の注記がレセプトに必要なのである。

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「P-CAB」で酸関連疾患治療は変わるのか

 2015年4月14日、東京都中央区で武田薬品工業株式会社と大塚製薬株式会社の共催により、「酸関連疾患の最新情報 ~治療の現状と課題解決に向けて~」をテーマに、酸関連疾患メディアセミナーが開催され2つの講演が行われた。酸関連疾患の現状と既存PPIの課題 はじめに、三輪 洋人氏(兵庫医科大学 内科学消化管科 主任教授)により本セミナーのテーマとなる「酸関連疾患の最新情報 ~治療の現状と課題解決に向けて~」の講演が行われた。 日本の胃食道逆流症(GERD)患者は、1990年代後半から年々増加しており、三輪氏によると「検診を受けた患者の約15%でGERDが見つかる」という。 GERD治療では、第1選択薬としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)が使用されるが、PPIを服用しているにもかかわらず「GERD患者の約3人に2人が週1回以上GERD症状を感じる」という報告もある。GERD診療ガイドラインでもPPIの使用は推奨されているが、既存PPIには現在4つの課題が挙げられている。1)酸に不安定であるため、腸溶性製剤にする必要がある、2)最大効果を得るまでに内服後約3~5日間を要する、3)夜間に認められる酸分泌を十分に抑制できない、4)(代謝の関係で)酸分泌抑制効果に個人差がみられる、の4つである。 2015年2月に発売された酸分泌抑制薬タケキャブ(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー[P-CAB]、一般名:ボノプラザン)は、内服開始後、数時間で最大効果を発揮する点や、代謝酵素(CYP2C19)の影響を受けにくい点が特徴である。P-CABは即効性を持つだけでなく、より強力に胃酸分泌を抑制する必要があるピロリ菌除菌や、重度のGERDでも効果を発揮するという特徴もある。 しかし、GERDなどの酸関連疾患は慢性疾患であり、再発しやすいため継続的に薬剤が処方される傾向がある。三輪氏は、「薬剤服用の負担を減らすためにも、飲食習慣や生活習慣の改善も大切である」と指摘した。P-CABの特性 中村 浩己氏(武田薬品工業 メディカルアフェアーズ部長)より「P-CABの阻害特性や臨床試験成績」の報告が行われた。 今回発売されたボノプラザンは、プロトンポンプを抑制するだけではなく、管腔側(acid space)に高濃度かつ持続的に貯留するため長時間胃酸分泌抑制効果を発揮する。実際、ピロリ菌除菌(PH>5を長期間保つ必要がある)の効果を検討した二重盲検比較試験では、ボノプラザン20mgとアモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤併用投与終了4週後に1次除菌率92.6%、2次除菌率98.0%という結果が得られている。 GERD患者を対象とした第III相試験でも、ボノプラザン20mg投与4週で96.6%、投与8週で99.0%の治癒率であり、「ボノプラザン20mg投与4週の治癒率と、ランソプラゾール30mg投与8週の治癒率が同程度であった」と中村氏は述べた。 ロサンゼルス分類グレード別ではC/DのGERD重症患者の治癒率は、ボノプラザン20mg投与4週で96.0%、投与8週で98.7%であり、再発率は投与24週後で4.7%であることが明らかにされた。また、CYP2C19活性が高くボノプラザンが速やかに代謝されてしまうEM(extensive metabolizer)型に対して、治癒率は、投与4週で96.1%、投与8週で98.9%であり、再発率は投与24週後で1.8%であることも示された。 中村氏は、「以上の結果から、ボノプラザンは治癒率および再発抑制に関して、従来のPPIの課題を克服する薬剤である。しかしながら、長期の安全性については、今後も注視していく必要がある」と述べた。 P-CABの登場で酸関連疾患の治療がどのように変わっていくのか、P-CABの位置付けがどうなるのか、今後の動向に注目していきたい。

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反復性うつ病の再発予防にマインドフルネス?(解説:岡村 毅 氏)-357

 近年、精神科にとどまらず、社会的に大きく注目されているマインドフルネスが、3回以上の重症うつ病エピソードを持つ反復性うつ病性障害(現在は完全寛解あるいは部分寛解)の再発予防において、抗うつ薬による維持療法と同等の効果を持つことを報告する論文である。 ところで、私は仏教の社会的貢献活動をなさっている僧侶の方々と親しくしているが、先日会った際にちょうどマインドフルネスが話題になった。彼らによれば、マインドフルネスとは禅そのものであるとのことだ。  私は認知症や公衆衛生を専門としており、マインドフルネスには明るくないことを最初に開示しておく。認知症領域ではreligiosity/spiritualityが、(1)認知症の予防効果がある、(2)認知症ケアラーのストレス緩衝作用がある、ということからいくらか注目されている。(2)はソーシャルサポートなどを考えれば容易に納得ができようが、(1)に関しては、たとえば「倫理的なことなどの抽象的なことを考えると良い知的刺激になる」、「良い感情を持つことがストレスホルモンとの関連から脳保護的」などの知見があるらしい。門外漢が勝手なことをいわせてもらえるならば、いま、ここ、に集中するマインドフルネスが、心の平安に有効であるのは、自明であるように個人的には思う。  さて、本論文では、マインドフルネスと抗うつ薬維持療法の同等の効果が報告されている。寛解が続く場合は、英国NICEガイドラインではおよそ2年維持療法をしてから治療の終了を検討するとなっているが、英国でも実際は自己判断でやめてしまう患者さんが多いとのことである。したがって、効果が長く期待できる心理的介入が求められているというのがこの研究の動機である。 再発を繰り返す反復性うつ病性障害は難治性であるのだから、つまり、適切な薬物治療をしているにもかかわらず再発を繰り返して苦しんでおられる方がいるのであるから、薬物治療以外の選択肢が有効であることが示されたのは喜ばしい。患者さんにとっても、また医師にとっても朗報と思う。 一方で、本研究でも再発率は44%あるいは47%といずれの群でも高く、本論文を読んで「やはりマインドフルネスが最高だ」という早とちりをしないことが重要である。あくまで同等(どちらも半分程度の方には効果がある)といっているに過ぎない。 個人的には以下のように考えている;正統派の臨床精神科医は2つの認知の歪みと戦わなければならない。すなわち、薬物治療が悩みをすべて解決してくれるはずという考え方と、薬物治療は無益であり一切不要だという考え方である。初回のうつ病エピソードなら薬物療法だけで良くなる可能性は高いので、きちんと普通に治療したほうがよい。しかし、再発を繰り返す場合は残念ながら今後も繰り返す可能性はあるので、非薬物的介入や、生活を変えること、価値観を変えることも時には必要かもしれない。今回のエビデンスは後者の枠組みでのお話である。 ただし、わが国において一定の質を担保したうえでの保険診療の枠内あるいは周辺でのマインドフルネスの提供体制の構築となると、これは私には何も書くことができない問題だ。

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僧帽弁疾患に合併した持続性/長期持続性心房細動に対する外科手術(解説:大野 貴之 氏)-356

 日本循環器学会「不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)」では、心房細動手術の適応は僧帽弁疾患に合併した心房細動で、弁形成術または人工弁置換術を行う場合はclass Iと記載されている。また、2014 AHA/ACC/HRSガイドラインでは“An AF surgical ablation procedure is reasonable for selected patients with AF undergoing cardiac surgery for other indications.(Class IIa, Level of Evidence:C)”と記載されている。 この論文は、僧帽弁手術を必要とする持続性(7日を超えて持続)あるいは長期持続性(1年以上持続)心房細動に対する、心房細動手術の有効性を調査したランダム化試験の報告である。 心房細動手術施行群(133例)と非施行群(127例)に分けて、洞調律復帰、心脳血管事故(死亡・脳梗塞・心不全)、死亡、僧帽弁あるいは心房細動に対する再手術、QOLについて、1年間追跡している。 両群で全員に対して左心耳血栓リスクを減らすために左心耳閉鎖は施行している。また、心房細動手術施行群はランダムに肺静脈隔離術単独群(67例)と、右房切開を加えたフルメイズ手術群(66例)に分けている。両群の患者背景に差はなく、術前持続性心房細動群45.8%、長期持続性心房細動群54.2%であった。手術時間は心房細動手術施行群が約15分長かった。 全患者の20%は6ヵ月・12ヵ月目の追跡ができていないが、12ヵ月後の洞調律復帰率は心房細動手術施行群63.2%、非施行群29.4%(p<0.001)であった。肺静脈隔離術単独群61%、フルメイズ手術群66%(p=0.06)で洞調律復帰率は有意差を認めなかった。心脳血管事故、死亡、再手術、QOLも差を認めなかったが、心臓ペースメーカー植え込みは心房細動手術施行群26例、非施行群9例であり、心房細動手術施行群で有意に高率であった。 肺静脈隔離術単独群とフルメイズ手術群で、心臓ペースメーカー植え込みに差があったか否かに関して記載はない。心房細動手術施行群は非施行群と比較して洞調律復帰率は高いにもかかわらず、脳梗塞率(3.0% vs. 1.6%)は差を認めなかった。その原因として著者らは、追跡期間が1年間と短いことと、両群で左心耳閉鎖施行していることの2点を挙げている。 全患者の20%が追跡調査できていないのが残念であるが、心臓外科手術の治療効果を、ランダム化試験で検証しようと試みている貴重な報告である。長期追跡の結果が楽しみである。

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大腸がんスクリーニングは何歳まですべき?/BMJ

 ガイドラインは高齢者(50~74歳)のがんスクリーニングについて、スクリーニングの恩恵がもたらされるよう平均余命を考慮して実施することを推奨している。米国・サンフランシスコ退役軍人医療センターのVictoria Tang氏らは、高齢者に対する大腸がんスクリーニングについて、どれくらいの平均余命を考慮すればよいのか、軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニング試験の生存メタ解析を行い検討した。結果、おおよそ10年超の平均余命を有する高齢者については実施されるべきであることが明らかになったという。BMJ誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告より。4試験、45万9,814例のデータをメタ解析 研究グループは、2013年に発表されたCochrane Collaboration systematic reviewと、Medline、Cochrane Library databasesを検索して生存メタ解析を行った。適格とした試験は、軟性S状結腸鏡スクリーニングの実施群と非実施群を比較検討した無作為化試験で、実施群の被験者数が100例以上のものとした。 検索により、4試験、被験者総計45万9,814例が適格として解析に組み込まれた。解析対象試験の、患者年齢(50~74歳)、フォローアップ期間(11.2~11.9年)、軟性S状結腸鏡スクリーニング実施群の大腸がん関連の相対死亡リスク(0.69~0.78)は、いずれも類似していた。1,000例につき1例の死亡回避はスクリーニング後9.4年時点 生存メタ解析の結果、1,000例へのスクリーニング実施により、その後5年時点で大腸がん関連死は0.3例回避されたことが示された。スクリーニングによる恩恵は、フォローアップが長期であるほど増大し、10年時点で回避された大腸がん関連死は1.2例に達していた。 フォローアップ4.3年(95%信頼区間[CI]:2.8~5.8年)時点で観察された絶対リスクの低下は0.0002(軟性S状結腸鏡検査5,000例への実施につき1例の大腸がん関連死が回避)であったが、9.4年(95%CI:7.6~11.3年)時点で観察された絶対リスクの低下は0.001(同1,000例への実施につき1例の死亡が回避)であった。 これらの所見を踏まえて研究グループは、「軟性S状結腸鏡スクリーニングの実施は、平均余命10年超の高齢者をターゲットとすべきであることが示唆された」とまとめている。

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脳卒中後の超急性期リハは本当に有効か/Lancet

 脳卒中後24時間以内に開始する超急性期リハビリテーション(very early mobilization)は、介入量が多いほど、また早期であるほど3ヵ月後の良好なアウトカムのオッズ比減少と関連していることが報告された。オーストラリア・メルボルン大学のJulie Bernhardt氏らAVERT試験研究グループが、2,104例の患者について行った無作為化試験の結果、明らかにした。著者は「世界中のガイドラインで脳卒中後の早期リハが推奨されているが、われわれの検討結果は現行のガイドラインを改善して臨床に反映すべきであることを示すものであった。ただし臨床的な勧告は、さらなる用量反応関連の分析を行い告知するべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告。5ヵ国56ユニットで無作為化試験、3ヵ月時点の良好アウトカム患者割合を評価 AVERT試験は、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、シンガポール、英国の5ヵ国56の急性期脳卒中ユニットで行われた並行群間単盲検無作為化試験で、被験者は18歳以上で、初発または再発の脳梗塞または脳出血患者であった。 生理学的基準を満たした患者を、webベースのコンピュータ生成ブロック無作為化法(ブロックサイズは6)で2群に割り付けた。一方の群は、通常の脳卒中ユニットケアのみを受け、もう一方の群には、通常ケアに加えて超急性期リハビリテーションの介入が行われた。 被験者には、遺伝子組み換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)治療が許可され、無作為化では試験地、脳卒中の重症度による層別化も行われた。なお、患者、アウトカム評価者、試験およびデータ管理に関与した研究者には治療割り付けは知らされなかった。 主要アウトカムは、脳卒中後3ヵ月時点の良好なアウトカム(修正Rankinスケール0~2で定義)で、原則intention-to-treat解析にて評価した。通常ケア群と比べて有意に低くオッズ比0.73、死亡は1.34倍 2006年7月18日~2014年10月16日の間に、2,104例の患者を超急性期リハ群(1,054例)または通常ケア群(1,050例)に無作為に割り付けた。3ヵ月時のフォローアップ評価には2,083例(99%)が含まれた。 超急性期リハ群のうち965例(92%)が24時間以内にリハを開始していたが、通常ケア群は623例(59%)であった。 良好アウトカムを有した患者は、超急性期リハ群のほうが通常ケア群よりも有意に少なかった(480例[46%]vs. 525例[50%]、補正後オッズ比[OR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.59~0.90、p=0.004)。 死亡例は、超急性期リハ群88例(8%)に対し、通常ケア群72例(7%)であった(OR:1.34、95%CI:0.93~1.93、p=0.113)。 非致死的な重篤有害イベントの発現は、超急性期リハ群201例(19%)、通常ケア群208例(20%)であった。

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事例50 ヘモグロビンA1C(HbA1c)の査定【斬らレセプト】

解説事例の検査が、「縦覧点検(複数月にわたるレセプトの通覧点検により補正・査定された内容のこと)」のコメント付きでB事由(医学的に過剰・重複と認められるものをさす)を理由に査定となった。最近増えている査定なので原因を調べてみた。診療報酬点数表には、「同検査はグリコアルブミン他の類似する検査と併せて月1回に限り算定する」とあった。それ以外の記載はない。縦覧点検のコメントをヒントに事例に対する過去の検査歴を見てみた。慢性C型肝炎の患者であってHbA1c値が上限に近いことを理由に、連月の同検査実施と併せて「糖尿病疑い」の病名開始日の変更と中止が行なわれていた。医師からは「日本糖尿病学会の『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』と関係があるのではないか」とあった。同診療ガイドラインには「血糖値のみ糖尿病型であって典型症状もしくは確実な糖尿病網膜症を認める場合及びHbA1cのみ糖尿病型の場合は、なるべく1か月以内に血糖値とHbA1cをセットで再検査、糖尿病疑いの場合は、3~6ヵ月以内に同セットで再検査」と図示があった。糖尿病疑いの場合には、当初の再検査を除き、3~6ヵ月以降の再検査実施が推奨されていた。この基準で査定となったものと推測できる。この期間以前や連月の実施には、医学的に必要とした症状詳記をお願いしている。

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結果が矛盾する論文をどう解釈すべきか【Dr.桑島が動画で解説】

プレゼント応募はこちら抽選の申し込みをする応募受付期間を終了いたしました。抽選で100名様に『脳・心・腎血管疾患クリニカル・トライアル Annual Overview 2015』を進呈!応募期間: 2015年4月24日~2015年5月25日 正午まで当選の通知方法 : プレゼントの発送をもって、当選のお知らせとさせていただきますプレゼント発送予定日 : 2015年6月上旬ごろ予定  3月4月に最も読まれたCLEAR!ジャーナル四天王 TOP51位)「エドキサバンは日本の薬なのに…」1~遺伝子型と抗血栓療法下の出血、血栓イベントの関係~:ENGAGE AF-TIMI 48試験(解説:後藤 信哉 氏)2位)DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人 氏)3位)降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巌 氏)4位)ガイドラインでは薬物相互作用を強調すべき(解説:桑島 巌 氏)5位)COSIRA試験:血管を開けるのか?それとも、閉じるのか? 狭心症治療に新たな選択肢(解説:香坂 俊 氏)J-CLEARのメンバーが評論した論文を紹介したコーナー「CLEAR!ジャーナル四天王」最新記事一覧はこちらをクリック前回の動画はこちら第1回 Dr.桑島の動画でわかる「エビデンスの正しい解釈法」MRの話はどこまで信じていいのか・・・と感じた経験ありませんか?「適切なエンドポイントか」「実験の実施主体はどこか」など見極めるポイントをわかりやすく解説

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第19回

第19回:アルツハイマー病の治療監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 認知症は世界的に増加しており、2010年の時点で3,560万人の患者数と推定され4秒に1人発症しています1)。 全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布の母集団を対象にした久山町研究での病理学的評価では認知症の内訳は増加傾向2)で、医療機関を受診しアルツハイマー病と診断される方も増加傾向3)です。アルツハイマー病は進行性疾患で個人のADLを著しく損ないます。また介護負担/経済的負担などから、その影響は罹患個人に留まらず急速に高齢化が進むわが国にとっては重要な社会的問題でもあります。認知症治療薬として1999年ドネペジルが日本/米国のFDA(食品医薬品局)で認可され、2011年に日本でメマンチンが認可され日本で認知症の治療に大きな影響を与えました。 しかし上記薬物治療はアルツハイマー病の進行を抑制できず症状改善もわずかです。10年の慢性経過に患者/家族/医療者が付き合っていくことが必要な疾患だと考えられます。薬剤治療以外の自然経過に関する教育、終末期ケア計画の相談などが大変重要です。また薬剤使用開始検討時は家族/介護者を交えて、そのわずかな効果や副作用の情報提供を行い、患者希望を聞いたうえで決断をすることが望ましいです。臨床的に改善がなければ薬剤中止を検討することも必要だと考えられます。 以下、American Family Physician 2011年6月15日号4)よりアルツハイマー病は最も多いタイプの認知症で、アメリカでは85歳以上の人の半数程度が罹患している。進行性の記憶障害と認知機能低下がその特徴である。病態生理は複雑で複数の要因が関与している。病理学的特徴として、アミロイド斑の蓄積、軸索の不溶性異常タウ蛋白出現、コリン作動性ニューロンのシナプスでのアセチルコリンの減少が認められる。アルツハイマー病に証明された予防法はない。ささやかな将来性があると考えられる予防法として高血圧治療、ω-3脂肪酸補充、運動、思考/分析を必要とする作業への参加が挙げられる。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が治療薬の第1選択である。軽症から中等症の患者さんに対してわずかな認知機能改善が証明され、多くのガイドラインで軽症から中等度の患者さんで処方が推奨されている。Cochrane reviewでは、軽~重症の患者に対してプラセボと比較して、ドネペジル/ガランタミン/リバスチグミンを6ヵ月~1年間使用し、軽度の認知機能/臨床尺度の改善(ADAS-cog:認知機能評価方法で-2.7点)が認められたが、臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するにはADAS-cogで7点の差が必要であり、その効果は疑問の余地がある。より長期使用における効果はさらなる研究が待たれる。各製品では効果に大きな差は認められていない。副作用は、多いものとして嘔気/嘔吐/下痢で、めまい/混乱/不整脈は比較的よくみられる。NMDA受容体拮抗薬は耐用性良好で、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬とあわせてよく処方されている。多くのガイドラインでも中等症から重症の患者さんで単独使用/アセチルコリンエステラーゼ阻害薬との併用が推奨されている。Cochrane reviewで中等度~重症患者に対して、6ヵ月以上のメマンチン20mg/日使用でわずかな認知機能改善(SIB:認知機能評価で3点)/わずかなADL改善(ADCS-ADLで1.3点)が認められた。また、軽度~中等度患者で認知機能はADAS-cogで1点改善で統計的に有意であった。臨床的に著明な認知機能の改善が認められたと判断するには、SIBで10点の差、ADCS-ADLでは5点の差が必要であり、こちらも効果は疑問が残る。メタアナリシスでは軽度患者に対しては無効であり、中等度患者には効果に一貫性がないと結論付けられた。軽度~中等度患者ですでにドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンを使用中の人にメマンチン20mg/日で24週間追加投与した群とプラセボを投与した群では、統計学的に有意な改善を認めなかった。高齢の認知症患者さんで非定型抗精神病薬の使用は行動上の症状を改善するが、死亡率増加と関連性がある。セレギリン、テストステロン、イチョウの治療効果に関しては相反するエビデンスが混在する結果となっている。ビタミンE、エストロゲン、NSAIDSは治療の利益に関するエビデンスはない。ケア方針で大事なことは、認知症に関する複数のガイドラインで共通して強調されているように、臨床経過の患者教育と家族への教育、早期の地域支援団体への紹介(地域包括支援センターなど)である。また、自動車運転や終末期ケアなどの法的問題を取り扱うことも大事である。薬物治療開始の相談時は、患者と介護者を含めた話し合いとすべきで、薬物使用によるわずかな利益、副作用、費用を相談すべきである。Mini Mental State Examinationなどで認知機能をモニタリングし最大限の薬物治療を行っても顕著な改善が認められないときは、医師は患者さん/家族との薬物治療継続中止の相談を検討すべきである。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Marc wartmann. Alzheimer’s Research & Therapy. 2012;4:40. 2) 本田 祐之, 岩城 徹. 病理学から見た認知症の原因疾患と疫学-久山町研究から-. 最新医学. 2013;68:754-760. 3) 厚生労働省. 精神疾患のデータ. 知ることから始めようみんなのメンタルヘルス総合サイト.(参照 2015.4.15) 4) Winslow BT, et.al. Am Fam Physician. 2011;83:1403-1412.

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第2版 レジデントのための やさしイイ呼吸器教室 -ベストティーチャーに教わる全27章

先生に教えてもらって、呼吸器科がもっと好きになりました!日々の講義や実習指導を行う中で見えてきた「みんながつまずくポイント」を、著者ならではのティーチングセンスでわかりやすく解説する本書。学会などで売上1位の好評書が早くもバージョンアップして登場です。大きく変わったところとしては、「画像診断」の章をより初心者向けに構成し直し、「間質性肺炎」の項目は最新の分類に書き改め、踏み込んだ事柄まで記載。「肺炎」の項目はすべてのガイドラインを盛り込んで大幅に加筆し、新たに「肺炎ガイドラインによるエンピリック治療」を独立させました。これから呼吸器内科をローテートする方はもちろん、呼吸器診療のエッセンスを身につけたい他科の先生方にもお勧めの1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。   第2版 レジデントのための やさしイイ呼吸器教室-ベストティーチャーに教わる全27章 定価 4,500円 + 税判型 B5変型判/2色刷頁数 512頁発行 2015年4月著者 長尾大志(滋賀医科大学呼吸器内科)Amazonでご購入の場合はこちら

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LDL-コレステロール低下で心血管イベントをどこまで減少させられるか?(解説:平山 篤志 氏)-350

 2013年のAHA/ACCから発表された脂質異常症に関する治療ガイドラインで、LDL-コレステロールの値ではなく、Atherosclerotic Cardiovascular Disease(ASCVD)のリスクのある患者には強力なスタチンを投与せよという、Fire and Forgetの概念が提唱され大きな話題となった。 背景には、エビデンスがすべてスタチンの用量によってランダム化された試験に基づき確立されたもので、LDL-コレステロール値を目標と設定したものではなかったことがある。 昨年発表されたIMPROVE-ITはこれに対して、スタチン以外の薬剤でコレステロール値を低下させれば、イベントを減少させられるというものであったが、その有意差がわずかであったためにスタチンの減少効果からはインパクトが薄かった。その点で、PCSK9に対する抗体であるエボロクマブ(承認申請中)とアリロクマブ(Alirocumab、国内未承認)はスタチンの治療に加えて、さらに強力にLDL-コレステロールを低下させる効果のあることから、イベントを減少させる効果に大きな期待が寄せられている薬剤である。 Open Labelでの試験であったが、スタチンで治療されている患者にこの薬剤を投与することにより、LDL-コレステロール値の減少と共に1年間における心血管イベントの有意な減少が、エボロクマブおよびアリロクマブに認められたことが報告され、大きな話題となった。ただ、対照群のLDL-コレステロール値が平均120mg/dLと両試験で高値であったこと、一方、PCSK9抗体群では平均60~70mg/dL程度であったことから、スタチンの種類や用量が十分に管理された試験であったのか、あるいはオープン試験であることでバイアスがなかったかなどの疑問点が残る試験ではある。 ただ、イベント低下効果のインパクトは、スタチンのみに依存するしかなかった現状を大きく変える可能性を示す試験であり、現在進行形の二重盲検のイベント試験の結果が待たれる。スタチンで成し遂げられなかった、LDL-コレステロール値の平均70mg/dLの壁を、この薬剤が超えてさらなるイベント低下になるのか、大いに期待と興味をかき立てる結果であった。

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心房細動においても多職種が介入する疾病管理の概念が重要(解説:小田倉 弘典 氏)-346

 多職種が介入する慢性心不全の疾病管理プログラムは、国内外のガイドラインにおいても推奨度が高く、Class Iに位置付けられている。疾病管理とは、具体的には多職種(医師・看護師・薬剤師・栄養士など)によるチーム医療、退院時指導、フォローアップ計画(病診連携)、ガイドラインに沿った薬物治療、十分な患者教育・カウンセリング、患者モニタリングによる心不全増悪の早期発見などが挙げられる1)。しかしながら、心房細動においてはいくつかの報告があるものの、レベルの高いエビデンスに乏しかった。 本論文は、オーストラリアの三次医療機関において施行された、心房細動に特異的な疾病管理の有効性を検討したものである。 対象は、オーストラリア3ヵ所の三次医療機関において、新規に慢性心房細動と診断された心不全のない非弁膜症性心房細動335例。無作為割り付けにより、退院後ルーチンのプライマリケアと外来診察によるフォローアップから成る標準管理群(167例)と、心房細動に特異的な管理を行った「SAFETY管理群」(168群)に振り分けた。SAFETY管理の内容は、退院後7~14日間、心臓専門看護師による家庭訪問とホルターモニタリング、訪問時の家庭環境、症状、薬剤処方計画の確認、プライマリケア医、救急病院の連携、必要に応じた運動プログラム、ソーシャルワーカーや地域薬剤師のサポートなどから成る。 最低12~24ヵ月ごとに臨床的評価を施行。主要評価項目は全死亡、予期せぬすべての入院、副次評価項目としてイベントフリー時間、生存および非入院期間の実期間と最大期間の比率が設定された。 結果は、以下のとおりであった。 1)平均追跡905日、2)死亡49例、予期せぬ入院987例(全入院5,530日)、3)死亡+予期せぬ入院:SAFETY管理群76%・平均イベントフリー時間183日 vs. 標準管理群82%・199日;ハザード比0.97、p=0.851、4)生存および非入院時間の最大値に占める実測値の理合:SAFTY管理群99.5% vs. 標準管理群99.2%;p=0.039。心房細動に特化した管理は、標準管理に比べ生存日数や非入院日数の延長に関連し、疾患特異的な管理は慢性心房細動患者の乏しい健康アウトカムの改善戦略として有望と結論付けられている。 それぞれのケアの内容が重要なのでもう少しみてみると、標準管理とは、不具合時の対処や心房細動管理のキーポイントを記載した退院時の教育的ブックレット(「心房細動と共に生きる」)配布や、退院時の医師のサマリーおよび各種トライアルの情報の提供などであった。一方SAFETY管理は、退院後のナースの家庭訪問、GARDENメソッドによる個々の包括的な環境やセルフケアの能力の把握、臨床状況やガイドラインに基づいての管理の記録などである。ナースはこれら包括的なレポートを医療チームに送り、適切な抗凝固薬を選択し、心機能低下の進行を遅らせ、臨床的安定を図るとされている。 心房細動治療の慢性管理の目標は、心原性脳塞栓と心不全の予防である。とくに前者では抗凝固薬服用のアドヒアランスの維持、出血などのトラブルシューティング、後者では心不全症状の早期発見、食事運動といった管理などが主眼と考えられる。こうした管理は、医師だけで完結できるものではない。慢性心不全の管理同様、多職種で多角的に介入することにより管理の精度が向上することは容易に予想される。そのことが無作為割付試験で明確化された点で意義のある研究といえる。 ただし、死亡・入院といったイベント数だけをみると、標準管理と比べ有意差はなく、非入院期間の延長が複合評価項目の改善に寄与していた。本論文では看護師チームの定期的訪問が最大の特徴だが、この訪問により、抗凝固薬の服薬アドヒアランスや出血時の対処能力などの高まりが予測される。一方、大きなイベントを回避するまでのパワーには、いまだに不足している可能性がある。 また、訪問看護によるコストに関しては考慮されていない。現時点では、日本では心不全のない軽症の心房細動患者に対する訪問看護は保険償還されない。 しかしながら、看護師主導の心房細動ケアが心血管イベントを減らすとする別の無作為化試験も報告されており2)、医師だけでなく、多職種が介入することにより包括的に心房細動の慢性期を管理するという考え方は、非ビタミンK阻害経口抗凝固薬が出揃った現在、新たな心房細動治療の概念として重要視されることは間違いないと思われる。

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