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S3-01. The TNT trial: A randomized phase III trial of carboplatin (C) compared with docetaxel (D) for patients with metastatic or recurrent locally advanced triple negative or BRCA1/2 breast cancer (CRUK/07/012)(Tutt A, UK)

TNT試験:局所進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)またはBRCA1/2乳がんにおけるカルボプラチンとドセタキセルの効果を比較する第III相試験トリプルネガティブ乳がんで、転移性または再発局所進行乳がんにおいて、カルボプラチン6AUCを3週毎6サイクルまたはドセタキセル100mg/m2を3週毎6サイクル行う群に分けて治療を行い、PDになったらクロスオーバーする試験である(図1)。主要評価項目は3または6サイクルでのORR(CRとPR)、副次評価項目はPFS、OS、クロスオーバー後のORR、毒性である。各群188例(計376例)であり、大半が転移性、術後補助療法としてタキサン使用が約30%、肝転移または肺転移が約50%、再発までの期間は中央値2.1年であった。除外基準は12ヵ月以内に術後補助療法としてタキサンを使用、プラチナ製剤の治療歴、転移性乳がんの治療に対するアンスラサイクリン以外の使用である。サブグループ解析としてあらかじめ、BRCA1/2変異、basal-likeサブグループ(PAM50とIHC)、HRDのバイオマーカーの状況による比較を予定した。BRCA1/2変異はICR Genetics社とMyriad社で測定したが差はなく、BRCA1変異31例、BRCA2変異12例(計43例)であった。PAM50は、50遺伝子の発現をRT-PCR法とマイクロアレイの技術を使って評価し、乳がんのサブタイプを分類するものであり、luminal typeにおける再発リスクを予測するツールでもあるが、210例でサブタイプの評価がなされた。IHCはCK5/6とEGFRを使って中央評価された。HRD(Homologous recombination deficiency)スコアは、Myriad社で開発されたアッセイによりLOHの数を測定し、相同組換えの欠損を客観的に示すものであり、これが高値であることは、BRCA変異と関連している。治療のコンプライアンスとして85%以上の投与量で完遂できた割合は、両群とも72~73%であった。毒性は嘔気、嘔吐がカルボプラチンで多かった以外は、すべてドセタキセル群で高頻度であった(血小板減少については記載なし)。グレード3〜4に関しても同様であった。ドセタキセル群は途中から予防的G-CSFを用いるようにプロトコールの改訂が行われている。ORRはカルボプラチン群で31.4%、ドセタキセル群で35.6%と有意差は認められなかった。クロスオーバー(N=182)後もそれぞれ、22.8%、25.6%と有意差はなかった。PFS、OSも差はみられなかった。BRCA1/2の状況別にみてみると、変異のあった43例では、ORRがそれぞれ、68.0%、33.3%であり、絶対差が34.7%(95%CI:6.3~63.1、p=0.03)と有意差がみられたのに対し、変異のない273例では有意差はなく、むしろドセタキセルのほうでレスポンスが高い結果であった(28.1%対36.6%)(図2)。PFSは、カルボプラチン群で、BRCA1/2変異あり6.8ヵ月(95%CI:4.4~8.1)、BRCA変異1/2なし3.1ヵ月(95%CI:2.4~4.2)と倍以上の差があったが、タキソテール使用ではBRCA1/2変異の有無で差がみられなかった(4.8対4.6ヵ月)(図3)。HRDスコアはBRCA変異がある場合に高値を示す傾向があったが、HDRスコアの高値/低値で分けても、カルボプラチンとドセタキセルでORRに差はみられなかった。PAM50でサブタイプを評価したとき、basal-likeではカルボプラチンとドセタキセルでORRに差がなかったが、non basal-likeではカルボプラチンで16.7%であったのに対し、ドセタキセルで73.7%と大きな差がみられた。しかしIHCでbasalの評価をした場合には有意差は認められなかった。BRCA1/2変異を有するトリプルネガティブ乳がんにおけるカルボプラチンの効果は、過去の報告と合わせて見た場合ほぼ確定的と思われる。PrECOG 0105試験(第II相)ではカルボプラチンにゲムシタビンとイニパリブを加えた時のpCR率が、変異なしで33%、変異ありで47%、変異があるトリプルネガティブ乳がんで56%であった。ドイツのGeparSixto試験(第II相)の中で、トリプルネガティブ乳がんでアントラサイクリン/タキサンにカルボプラチンを上乗せしたpCR率は、乳がん・卵巣がん家族歴があったり、BRCA1/2変異があると、20%以上上昇することが示されていた(ASCO2014レポート:トリプルネガティブおよびBRCA変異とカルボプラチンの効果)。TBCRC009試験(第II相)では、転移性乳がんにおいてBRCA1/2変異がある場合のトリプルネガティブ乳がんでのプラチナ製剤の奏効率(PR+CR)が、BRCA1/2変異保有者で54.5%、非保有者で19.7%であった。今回の試験でもタキサンやゲムシタビン、PARP阻害剤を併用しなくても、BRCA1/2変異保有トリプルネガティブ乳がんにおけるカルボプラチン単独の効果が非常に高かったことから、使用価値がある薬剤と考えられる。術前後での使用については、まだ予後への影響が明確ではないものの、BRCA変異保有者では十分考慮されるべき薬剤であろう。【図1】図1を拡大する【図2】図2を拡大する【図3】図3を拡大する

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クリゾチニブ、ALK陽性NSCLCの1次治療薬へ/NEJM

 治療歴のないALK遺伝子陽性非小細胞肺がん(以下、ALK陽性NSCLC)に対し、ALKチロシンキナーゼ阻害薬クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)は、標準的な化学療法よりも優れた有用性を持つことが、オーストラリア・メルボルンのPeter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏らの研究で示された。 ALK陽性(ALK遺伝子の再配列)は、NSCLCの3~5%にみられ、若年者、非(軽度)喫煙者、腺がんに多くみられることが特徴である。一方、クリゾチニブはALK、ROS1、METを標的とするチロシンキナーゼ阻害薬である。すでにALK陽性NSCLCの2次治療に対する第III相試験(PROFILE 1007)では、単剤の化学療法に比べたクリゾチニブの有意な効果が示されている。しかしながら、同疾患の1次治療における標準化学療法(プラチナダブレット)との比較はなかった。NEJM誌2014年12月4日号掲載の報告より。オープンラベル無作為化試験で標準化学療法と比較 著者らは、進行性ALK陽性NSCLCの1次治療におけるクリゾチニブの有用性を標準化学療法と比較する、多施設国際オープンラベル無作為化比較第III相試験「PROFILE 1014」を開始した。対象は、全身療法治療歴のない進行性ALK陽性NSCLCであった。これらの患者は無作為にクリゾチニブ群(250mgx2/日投与)と標準的化学療法群(ペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5~6)に割り付けられ、3週毎6サイクルの治療を受けた。病勢進行(PD)した化学療法群患者については、クリゾチニブへのクロスオーバーが許容された。主要評価項目は、放射線学的評価によるPFS(無増悪生存期間)であった。PFS中央値は10ヵ月以上に延長、肺がん症状、QOLも改善 2011年1月~2013年7月に343例が登録され、クリゾチニブ群172例、化学療法群171例に割り付けられた。両群間の患者背景に差はなく、被験者にはアジア人も含まれた(クリゾチニブ群45%、化学療法群47%)。PFS中央値は、クリゾチニブ群で10.9ヵ月と化学療法群の7.0ヵ月に比べ有意に延長した(HR:0.45、95%CI:0.35~0.60、p<0.001)。この傾向は、プラチナ製剤の種類、患者のPS、人種、脳転移の有無といったすべてのサブグループで同様であった。奏効率は、クリゾチニブ群で74%(95%CI:67~81)と化学療法群の45%(95%CI:37~53)に比べ有意に良好であった(p<0.001)。生存期間中央値は被験者の約7割がPFS評価時に追跡中であったことから、両群とも到達していない。1年生存率はクリゾチニブ群で84%(95%CI:77~89)、化学療法群では79%(95%CI:71~84)である。また、化学療法群の被験者の70%がクリゾチニブにクロスオーバーしている。 有害事象は、クリゾチニブへのクロスオーバーの影響で、両群の投与期間中央値に差がある状態で集計している(クリゾチニブ群10.9ヵ月、化学療法群4.1ヵ月)。両群の有害事象の大部分は、グレード1~2であった。クリゾチニブ群で多く報告された有害事象は、視覚障害(71%)、下痢(61%)、浮腫(49%)など。化学療法群で多く報告された有害事象は、疲労感(38%)、貧血(32%)、好中球減少(30%)などであった。2群間で同程度の発現率を示した事象は、嘔気(クリゾチニブ56%、化学療法59%)、食欲減退(クリゾチニブ30%、化学療法34%)などであった。グレード3~4のアミノトランスフェラーゼ上昇がクリゾチニブ群の14%(化学療法群では2%)に認められたものの、投薬中断または減量によって管理可能であった。グレード3~4の好中球減少症は、クリゾチニブ群11%、化学療法群15%で認められた。研究者の評価による治療関連死は認められていない。 患者のQOLは、クリゾチニブ群で有意に改善し(p<0.001)、患者の自己申告による肺がん症状(咳嗽、呼吸困難、胸痛など)もクリゾチニブ群で有意に減少している(p<0.001)。 著者は、「クリゾチニブの1次治療は、NSCLCの標準化学療法(ペメトレキセド+プラチナレジメン)に比べ、ALK陽性NSCLCのPFSを有意に改善した。この1次治療の成績は、既報の2次治療の成績よりも優れている。1次治療としてクリゾチニブを投与することでALK陽性NSCLC患者の治療ベネフィットを最大にできる可能性がある」と指摘している。

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ALK陽性肺がんに対する標準治療を確立した重要な試験(解説:倉原 優 氏)-285

 このPROFILE 1014試験は、未治療のALK陽性進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者343例を、クリゾチニブ(商品名:ザーコリ)250mg1日2回(3週間1サイクル)投与する群(172例)と標準化学療法を行う群(171例)にランダムに割り付けたものである。標準化学療法群は、3週間おきにペメトレキセド500mg/m2、シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチンAUC5~6を最長6サイクルまで投与している。重要な点は、両群とも増悪後にクロスオーバーが認められている点である。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)、セカンダリエンドポイントは奏効率、全生存期間(OS)などである。 試験の結果、PFSはクリゾチニブ群が有意に優れており、PFS中央値はクリゾチニブ群が10.9ヵ月、標準化学療法群が7.0ヵ月、ハザード比は0.45(95%信頼区間:0.35~0.60、p<0.0001)だった。クロスオーバーが認められているため、OSには差はみられなかった。奏効率もクリゾチニブ群が74%(95%信頼区間:67~81)、化学療法群が45%(95%信頼区間:37~53)で、群間差29%(95%信頼区間:20~39、p<0.0001)とクリゾチニブ群が有意に良好であった。 この試験は、ALK陽性非小細胞肺がんのファーストラインにクリゾチニブを用いることが標準治療と位置付けた歴史的な研究である。クロスオーバーが可能であるためOSには差は出なかったものの、PFSに大きな差が出たことは臨床医にとってインパクトが大きかった。過去のレトロスペクティブ解析によれば、ALK陽性例ではクリゾチニブ単剤投与の有無によってOSが大きく異なるのではないかと考えられており1)、本研究と併せて考えると、ALK陽性例に対してクリゾチニブを投与しないという選択肢は現時点ではないだろう。 ただし、現行の日本のガイドラインではパフォーマンスステータス(PS)不良例に対するクリゾチニブの使用は推奨されていない。今後、PS不良例に対するエビデンスが蓄積されれば、クリゾチニブを現場で使用する頻度が増えてくるかもしれない。 クリゾチニブはMET阻害薬として開発された経緯があるため、ALKのみを阻害するわけではない。これまでの肺がんに対する抗がん剤の歴史においてマルチターゲット阻害薬は結果が芳しくないが、ALK阻害薬に関しては期待ができそうな報告が多い。とりわけROS1阻害作用がホットトピックであり2)、最近取り沙汰されるアレクチニブ(商品名:アレセンサ)とクリゾチニブの位置付けが今後どうなるのか注目である。

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抗PD-1抗体は卵巣がんの新たな治療となるか

 卵巣がんは婦人科がん死亡の第1位であり、罹患率は8,000人/年、死亡者4,500人/年と年々増加している。2014年8月28日~30日、横浜市で開催された日本癌治療学会学術集会にて、京都大学医学部附属病院 産科婦人科の濱西 潤三氏は「抗PD-1抗体(ニボルマブ)を用いた卵巣がんに対する第II相医師主導治験」 と題し、自施設での臨床試験の結果を紹介した。 標準治療の第一選択薬はパクリタキセル+カルボプラチンであるが、この治療に抵抗性を持つと60%以上が再発し、5年生存率30%、10年生存率10%ときわめて予後が悪い。第二選択薬もあるものの、いずれも単独での奏効率は低い。そのため、新たな治療法が求められている。 2000年代に入り、“がん免疫逃避機構”学説が解明され、この機構を標的とする新しい免疫治療が、臨床に応用されるようになった。なかでも特徴的なのは、イムノチェックポイント経路ともいわれるPD-1(Programmed cell Death-1)/PD-L1(PD-1 Ligand1)経路である。免疫抑制補助シグナルPD-1/PD-L1経路をブロックすることで、T細胞の免疫抑制が解除され、T細胞が活性化し腫瘍の抑制が起こる。 このPD-1/PD-L1経路が卵巣がんでも関連しているのか、京都大学内で共同研究を行ったところ、卵巣がんの約70%に、PD-L1が高発現していることがわかった。また、この発現の強度が卵巣がんの独立予後不良因子であることも明らかになった。 そこで、抗PD-1抗体ニボルマブの第II相試験を医師主導で開始した。対象は、プラチナ抵抗性でタキサンを含む2レジメン以上の治療歴を有する上皮性卵巣がん。試験当時、ニボルマブの安全用量が決定していなかったため、1mg/kgの低用量コホートと3mg/kgの高用量コホートの2用量コホート(各10例ずつ計20例)を登録した。 これらの患者に、ニボルマブを2週ごとに最大1年間投与して評価した。主要エンドポイントは奏効率、副次エンドポイントは有害事象、無増悪生存期間、全生存期間、疾患制御率とした。被験者の平均年齢は62歳、ステージIII~IVが多く、先行レジメンは4レジメン以上が半数以上であった。 奏効率は17%(3/20例)。1mg/kg群では10例中1例PRが認められ、3mg/kg群では8例中2例にCRが認められた。3mg/kgのCR2例のうち1例は、卵巣がんの中でもとくに抗がん剤治療が奏効しにくい明細胞がんであったが、多発性の腹膜播種も完全に腫瘍が消失。もう1例も多発性骨盤内転移が消失した。また、CR例については長期間効果が持続する傾向にある。 全有害事象のうちグレード3が半数以上に認められたが、用量依存的ではなかった。免疫製剤に共通するものが多かったが、甲状腺の異常や不整脈、好中球減少を伴わないリンパ球減少など、特徴的なものも認められた。重篤な有害事象は2例に認められたが、いずれも改善している。 ニボルマブは卵巣がんに対する新たな治療法として期待できる。今後は、効果予測、有害事象のバイオマーカー、無効例や耐性例に対する対策、抗がん剤や分子標的薬などとの併用療法など、次相試験による検証が必要になってくるであろう。

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カルボプラチン+パクリタキセルは3週ごと?毎週?:進行卵巣がん(MITO-7試験)

 3週ごとカルボプラチン+パクリタキセル(3wCP)は、進行卵巣がん患者の一次治療標準療法である。一方、毎週パクリタキセル+ 3週ごとカルボプラチン療法は、日本の第III相試験で無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を延長している。本研究は、イタリアのSandro Pignata 氏らにより、毎週カルボプラチン+パクリタキセル(wCP)の3wCPと比較した有効性を評価することを目的に行われた。The Lancet Oncology誌2014年4月15日号(オンライン版2014年2月28日号)の掲載報告。 試験は、多施設無作為化オープンラベル第III相試験として、イタリアとフランスの67施設で行われた。FIGOステージIC-IV期の卵巣がん患者は、3wCP(カルボプラチンAUC 6mg/mL/分+パクリタキセル175mg/m2)6サイクル群とwCP(カルボプラチンAUC 2mg/mL/分+パクリタキセル60mg/m2)18週群に無作為に割り当てられた。プライマリエンドポイントはPFSとQOL(FACT-O/TOIスコアにて評価)であった。分析はintention to treatで行われた。 2008年11月20日から2012年3月1日の間に822例の患者が登録された。分析適応は810例で、404例が3wCP群に、406例がwCP群に割り当てられた。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値22.3ヵ月で、無増悪生存は449例であった。・PFS中央値は、3wCP群、wCP群でそれぞれ17.3ヵ月(95%CI:15.2~20.2)、18.3ヵ月(95%CI:16.8~20.9)であり、ハザード比は 0.96(95%CI:0.80~1.16、p=0.66)であった。・QOL(FACT-O/TOIスコア)は、3wCP群では各サイクルごとに悪化したが、wCP群では1週目に一時的に悪化したものの、その後は安定しており、2群間に有意な差があった(treatment by time interaction p<0.0001)・好中球減少(グレード3~4)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ200/400例(50%)、167/399例(42%)。発熱性好中球減少症はそれぞれ11例(3%)、2例(0.5%)であった。・血小板減少(グレード3~4)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ27例(7%)、4例(1%)であった。・神経障害(グレード2以上)は、3wCP群、wCP群でそれぞれ68例(17%)、24例(6%)であった。

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高齢の進行非小細胞肺がんに単剤療法と併用療法はどちらが有用か?:無作為化第II相試験

高齢者に対する化学療法において併用療法の有用性が議論されている。今回、高齢の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、隔週ゲムシタビン(商品名:ジェムザールなど)+低用量カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)併用療法が、有効性、安全性、忍容性において容認されるという結果が、無作為化第II相試験で得られた。2012年6月15日付Lung Cancer誌オンライン版に掲載された。著者の浜松医科大学の草ヶ谷氏らは、今回の結果を確認するために多数の患者でのさらなる検討が必要としている。本試験では、76歳以上の未治療NSCLC患者が、隔週ゲムシタビン+カルボプラチン併用療法(ゲムシタビン1,000mg/m2+カルボプラチンAUC3、1,15日目、4週ごと)に31例、ゲムシタビン単剤療法(1,000mg/m2、1,8,15日目、4週ごと)に30例が、無作為に割り付けられ検討された。患者の平均年齢は79.0歳、主要エンドポイントは全奏効率。主な結果は以下のとおり。 ・全奏効率は、併用療法が22.6%(95%CI:11.4~39.8)、単剤療法10.0%(95%CI:3.5~25.6)であった。・無増悪生存期間中央値は、併用療法が3.9ヵ月(95%CI :0.5~8.5)で、単剤療法の2.4ヵ月(95%CI:0.5~6.7)に比べて有意に長かった。・グレード3/4の血液学的および非血液学的有害事象の発現率は、両群で有意差はなかった。(ケアネット 金沢 浩子)

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高齢者の非小細胞肺がんに化学放射線療法は有益 日本臨床腫瘍研究グループ無作為化第III相試験の結果(JCOG0301)

化学放射線療法が、高齢者の局所進行非小細胞肺がんの全生存期間を改善するかは知られていない。Atagi氏らは、胸部放射線照射+低用量連日カルボプラチン併用療法が、放射線単独療法に比べ、高齢者の非小細胞肺がん患者の生存期間を延長するか評価している。結果の概要は昨年11月開催の第52回日本肺癌学会総会で発表されたが、その詳細がThe Lancet Oncology 2012年5月21日オンライン版に掲載された。試験は、日本臨床腫瘍研究グループ(以下JCOG)が無作為化比較第III相試験として実施したもの(JCOG0301)。対象は2003年9月1日から2010年5月27日に登録された70歳以上の切除不能StageIII非小細胞肺がん患者200例で、化学放射線療法群(60Gy照射+低用量カルボプラチン30mg/m2/日x週5日)と放射線療法単独群(60Gy照射x週5日)に、無作為に100例ずつ割り付けられた。主要エンドポイントは全生存期間。試験の結果、全生存期間の中央値は、化学放射線療法群で22.4ヵ月(95%CI:16.5~33.6)、放射線療法単独群で16.9ヵ月(95%CI:13.4~20.3)であった(HR:0.68、95.4%CI:0.47~0.98、p=0.0179)。有害事象については、Grade3/4の白血球減少・好中球減少・血小板減少を含む血液毒性、Grade3の感染が化学放射線療法群に多くみられた。Grade3/4の肺炎および晩期肺障害の発生は両群とも同等であった。化学放射線療法群の全生存期間が良好であったことから、JCOG効果・安全性評価委員会は、この試験の早期発表を推奨している。切除不能局所進行非小細胞肺がんの高齢患者にとって、化学放射線療法は放射線単独療法より臨床上有意な治療ベネフィットがあり、標準治療として考えられるべきであると述べている。(ケアネット 細田 雅之)

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術前化学放射線療法、治癒の可能性ある食道・胃接合部がん患者の生存率を改善

切除可能な腫瘍を有する食道がんまたは食道胃接合部がん患者に対し、術前に化学放射線療法を行った結果、生存率の改善が認められたこと、有害事象発生率は許容範囲であったことが、オランダ・エラスムス大学医療センターのP. van Hagen氏らによる第3相多施設共同無作為化試験の結果、報告された。数十年間討議されてきた術前化学放射線療法は、これまでは試験結果が不良であったこともあり否定的であったが、同グループによる第2相試験では、毒性作用が低く、切除を受けた患者全員がR0(1ミリ以内の腫瘍なし)を達成していた。第3相試験では、術前に化学放射線療法を施行する群と手術単独群とを比較検討した。NEJM誌2012年5月31日号掲載報告より。366例を術前化学放射線療法施行群と手術単独群に無作為化研究グループは、切除可能な腫瘍を有する患者を、術前にカルボプラチン(曲線下面積2mg /mL/分となるよう用量を調整)とパクリタキセル(50mg/m2体表面積)の週1回5週間投与と放射線療法(23分画で41.4Gyを週5日)を受ける群または手術のみ受ける群に無作為に割り付け追跡した。2004年3月~2008年12月に368例の患者を登録し2010年12月までの追跡データが収集できた366例が解析対象となった。被験者の平均年齢は60歳、275例(75%)が腺がんを、84例(23%)が扁平上皮がんを、7例(2%)は未分化大細胞がんを有していた。化学放射線療法群の全生存期間中央値は手術単独群の2倍366例は、術前化学放射線療法群178例、手術単独群は188例に無作為化された。術前化学放射線療法群で最も頻度の高かった重大な血液毒性は、白血球減少症(6%)と好中球減少症(2%)だった。最も頻度の高かった重大な非血液毒性は、摂食障害(5%)と疲労(3%)だった。術後R0を達成したのは、術前化学放射線療法群92%に対し、手術単独群では69%だった(P

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EGFR変異陽性非小細胞肺がん患者のQOLを改善するゲフィチニブ NEJ(North East Japan)002 試験 QOL分析

Oizumi氏らは、EGFR変異陽性の非小細胞肺がん患者のQOLに対するゲフィチニブの効果を評価した。本報告は、The Oncologist誌オンライン版2012年5月11日号に掲載された。NEJ002試験では、EGFR変異陽性の非小細胞肺がんにおいて、ゲフィチニブ一次治療は無増悪生存期間(PFS)の有意差を証明したものの全生存期間(OS)の有意差を示すにはいたっていない。このレポートでは、同試験におけるQOL分析を紹介している。EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者は、ゲフィチニブ群と化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)群に無作為に振り分けられ、それぞれのQOLについてケアノートを用いて評価した。主要エンドポイントは、身体性、心理的、生活の各QOL尺度の無増悪期間である。148例(ゲフィチニブ群 72例、カルボプラチン+パクリタキセル群76例)のQOLデータ分析の結果、身体性QOL尺度と生活QOL尺度は、化学療法群に比べゲフィチニブ群で有意に無増悪期間が長かった(HR:0.34、95%CI:0.23~0.50、p

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選択的ニューロキニン1受容体拮抗型制吐剤 ホスアプレピタントメグルミン(商品名:プロイメンド)

がん化学療法に伴う悪心・嘔吐に対する制吐剤として、選択的ニューロキニン1(NK1)受容体拮抗薬であるホスアプレピタントメグルミン(商品名:プロイメンド点滴静注用150mg、以下プロイメンド)が、2011年12月9日に発売された。本剤は、2009年12月に発売された経口制吐剤アプレピタント(商品名:イメンドカプセル)のプロドラッグ体の注射剤である。がん化学療法における制吐療法の現状と課題抗がん剤の有害事象の1つである悪心・嘔吐は、患者さんのQOLを著しく低下させ、治療継続を妨げる大きな要因となる。その発現時期により、抗がん剤投与後24時間までに発症する「急性」の悪心・嘔吐と、24時間以降に発症する「遅発性」の悪心・嘔吐に分けられ、急性には主にセロトニンが、遅発性には主に中枢でのサブスタンスPが関与するとされている。急性の悪心・嘔吐については、1990年代に発売された5HT3受容体拮抗薬により大きく改善されたが、遅発性の悪心・嘔吐には抑制効果が不十分であった。その後、サブスタンスPとNK1受容体の結合を阻害するアプレピタントが、急性および遅発性の悪心・嘔吐に対して高い有効性が認められ、2009年12月に発売された。さらに、2010年4月、半減期が長く遅発性の悪心・嘔吐にも効果を示す5HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンが発売され、同年5月には日本癌治療学会から制吐薬適正使用ガイドラインが発行されたことにより、制吐療法への関心が高まった。しかし、患者さんが症状を訴えられずにいたり、近年普及してきている外来化学療法では、患者さんが自宅に戻るため悪心・嘔吐症状が把握しにくいなど、症状を見逃す可能性も少なくない。今後、患者さんの症状を拾い上げるためのさらなる工夫が必要と思われる。一方、アプレピタントは経口剤であることから、咽頭・喉頭・食道がんなどの患者さんでは服用が難しく、また、患者さんの認識不足や飲み忘れにより、処方しても服用されないことが懸念されることや、抗がん剤には点滴静注で投与される薬剤も多いことなどから、医療現場では注射剤の発売が期待されていた。注射剤により確実に投与可能今回、発売されたプロイメンドは、アプレピタントのプロドラッグ体であり、静脈内投与後、速やかにアプレピタントに代謝される注射剤である。そのため、経口剤の服用が困難な患者さんにも投与可能であり、飲み忘れを懸念することなく確実に投与できる。本剤1回点滴静注投与によって、急性・遅発性ともに、アプレピタント3日間投与と同等の効果が得られることが海外第Ⅲ相二重盲検比較試験において示されている。国内では、グラニセトロン(iv)+デキサメタゾンリン酸エステル(iv)の2剤併用群(標準治療群)と、この2剤にプロイメンドを追加した3剤併用群(プロイメンド群)を比較した第Ⅲ相二重盲検比較試験において、全期間における有効率がプロイメンド群64.2%と、標準治療群47.3%に比べて有意に(p<0.05)高い有効率が得られた。なお、本試験では26.4%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主な副作用は、便秘(9.2%)、ALT(GPT)上昇(6.9%)、しゃっくり(5.7%)、注入部位疼痛・滴下投与部位痛(5.2%)などであった(承認時)。また、重大な副作用として、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、穿孔性十二指腸潰瘍、アナフィラキシー反応が報告されている(アプレピタントでの報告を含む)。ガイドラインにおける推奨2010年5月発行の制吐薬適正使用ガイドラインでは、高度催吐リスクの抗がん剤・レジメン、中等度催吐リスクの抗がん剤・レジメンのうちカルボプラチン、イホスファミド、イリノテカン、メトトレキサートなどを使用する際には、アプレピタント+5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用が推奨されている。すでに米国など世界30ヵ国以上でプロイメンドが発売されており、ASCOガイドライン(2011年改訂版)やNCCNガイドライン(2011年3月改訂版)には、プロイメンド+5HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用が追記されている。わが国の制吐薬適正使用ガイドラインにおいても、次回改訂時に追記されることが予想される。がん化学療法におけるQOL改善と治療継続に期待プロイメンドの登場により、アプレピタントが服用困難ながん患者さんへの投与が可能となった。また、患者さんの服薬コンプライアンスによらず、確実に投与できることも大きなメリットと言えよう。医療者側においても、点滴ラインから一連の投与を行うレジメンに組み込みやすいと思われる。がん化学療法においては、薬剤・レジメンの催吐リスク、性別、年齢、前治療などを考慮した適切な制吐剤により悪心・嘔吐を予防することが、がん治療の継続につながる。プロイメンドが、より多くのがん患者さんにおけるQOLの改善、がん化学療法の継続に貢献することが期待される。

252.

HER陽性乳がんへのトラスツズマブ併用について新たなレジメン検討

HER陽性乳がんの補助療法として生存率改善が認められているトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)について、非アントラサイクリンベースレジメンへの併用の有効性と安全性が検討された。これまで、トラスツズマブのアントラサイクリンベースレジメンへの併用では心毒性が認められていた。試験・報告は、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDennis Slamon氏ら乳がん国際研究グループ(BCIRG)による。NEJM誌2011年10月6日号掲載報告より。AC-T群、AC-T+トラスツズマブ群、TCH群に無作為化し検討研究グループは2001年4月~2004年3月の間に、41ヵ国からHER2陽性で早期乳がん(ステージT1、T2、T3)の女性3,222例を対象に試験を行った。被験者は無作為に、(1)3週ごとに、ドキソルビシンとシクロホスファミド投与後にドセタキセルを投与する(AC-T)群、(2)(1)+トラスツズマブを52週併用投与する(AC-T+トラスツズマブ)群、または(3)ドセタキセルとカルボプラチンに、トラスツズマブを52週併用投与する(TCH)群に割り付けられ、無病生存率を主要エンドポイントに、副次エンドポイントは全生存率と安全性として検討された。無病生存率はAC-T群75%、AC-T+トラスツズマブ群84%、TCH群81%追跡期間中央値は65ヵ月だった。その間、事前特定されていたイベントの発生は656例だった。5年推定無病生存率は、AC-T群75%、AC-T+トラスツズマブ群84%、TCH群81%であった。推定全生存率はそれぞれ、87%、92%、91%であった。有効性(無病生存率と全生存率)について、2つのトラスツズマブ併用療法群の間に有意差は認められなかったが、いずれもAC-T群より優れていた。リスクベネフィットの観点からはTCH療法が優れるうっ血性心不全と心機能不全の発生率は、TCH群よりもAC-T+トラスツズマブ群で有意に高かった(P<0.001)。また急性白血病は8例報告された。そのうち7例はアントラサイクリンベースレジメンでの発生例だった。TCH群での1例の発生は、本試験後にアントラサイクリン投与を受けたことに起因していた。以上を踏まえて研究グループは、「トラスツズマブ併用レジメンの1年間施行は、HER2陽性乳がん患者の無病生存率と全生存率を有意に改善した」と述べた上で、「有効性は同等だが、急性毒性作用が少なく、心毒性や白血病のリスクも低いというリスクベネフィットの観点から、AC-T+トラスツズマブよりも非アントラサイクリンベースレジメンのTCH療法が支持される」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

253.

70歳以上の非小細胞肺がん患者への併用化学療法は生存ベネフィットあり

非高齢の進行型非小細胞肺がん患者に対して推奨されるプラチナ製剤ベースの併用化学療法カルボプラチン(同:パラプラチンなど)+パクリタキセル(同:タキソールなど)は、従来推奨されていなかった70歳以上の高齢患者においても、ビノレルビン(商品名:ナベルビンなど)やゲムシタビン(同:ジェムザールなど)の単剤療法との比較で、毒性作用の増大はあるものの生存ベネフィットが認められることが示された。フランス・ストラスブール大学Elisabeth Quoix氏らが、第3相無作為化試験「IFCT-0501」の結果、報告したもので、「現在の高齢患者への治療パラダイムを再考すべきと考える」と結論している。がんの疾患リスクは先進諸国では、長寿社会の進展とともに増大しており、肺がんの診断時の年齢中央値は現在63~70歳と、高齢患者の顕著な増加が認められているという。Lancet誌2011年9月17日号(オンライン版2011年8月9日号)掲載報告より。WHOパフォーマンスステータススコア0-2の、70~89歳の高齢患者を被験者に試験は、2006年4月~2009年12月の間に多施設共同オープンラベルにて61施設から、進行型または転移性非小細胞肺がんで、WHOパフォーマンスステータススコアが0-2の、70~89歳の高齢患者が登録され行われた。被験者は、カルボプラチン(1日目)+パクリタキセル(1、8、15日目)の併用化学療法(3週投薬1週休薬)の4サイクル投与群か、ビノレルビンまたはゲムシタビン単剤化学療法(1、8日目)(2週投薬1週休薬)の5サイクル投与群に無作為に割り付けられ追跡された。主要エンドポイントは、全生存率とし、intention to treat解析された。全生存率中央値、併用療法群10.3ヵ月、単剤療法群6.2ヵ月登録患者451例(併用療法群225例、単剤療法群226例)は、年齢中央値77歳、追跡期間中央値は30.3ヵ月(範囲:8.6~45.2)であった。全生存率の中央値は、併用療法群10.3ヵ月、単剤療法群6.2ヵ月であった(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.52~0.78、p<0.0001)。また、1年生存率は、併用療法群44.5%(95%信頼区間:37.9~50.9)、単剤療法群25.4%(同:19.9~31.3)であった。毒性作用は、併用療法群のほうが単剤療法群より頻度が高かった。最も頻度が高かったのは好中球減少症で108例(48.4%)対28例(12.4%)、また無力症は23例(10.3%)対13例(5.8%)であった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

254.

転移性トリプルネガティブ乳がんに対する化学療法とiniparibの併用の有効性と安全性

DNA修復機能に固有の障害を有する転移性トリプルネガティブ乳がん治療で、カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)+ゲムシタビン(同:ジェムザールなど)化学療法へのiniparibの追加併用は、臨床的ベネフィットおよび生存期間を改善することがオープンラベル第2相試験により示された。iniparibはポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害活性を持つ抗がん薬として開発された。in vitroおよび臨床試験で、カルボプラチン+ゲムシタビンの抗腫瘍・細胞毒性作用を増強することが証明されたのを受け、米国Baylor Charles A. SammonsがんセンターのJoyce O’Shaughnessy氏らにより有効性と安全性を検討する第2相試験が行われた。NEJM誌2011年1月20日号(オンライン版2011年1月5日号)掲載より。123例の被験者を対象にオープンラベル無作為化試験試験は、転移性トリプルネガティブ乳がんにおいて、カルボプラチン+ゲムシタビン療法にiniparibを追加した場合としなかった場合との、有効性と安全性を比較検討することを目的に行われた。123例の被験者は、1、8日目にゲムシタビン(1,000mg/m2体表面積)+カルボプラチン(血中濃度曲線下面積2線量当量で)を投与し、1、4、8、11日目にiniparib(5.6mg/kg体重量で)を投与する群としない群(いずれも21日サイクル)に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、臨床的ベネフィット[客観的奏効(完全あるいは部分寛解)+6ヵ月以上の病状安定を認める患者の割合]の割合と安全性とした。追加エンドポイントには、客観的奏功率、無増悪生存期間、全生存期間も含まれた。臨床的ベネフィットは34%から56%に改善、有害事象の有意差は認められず結果、iniparib追加群では、臨床的ベネフィットの割合が34%から56%へと改善が認められた(P=0.01)。また全奏功率も32%から52%に改善された(P=0.02)。平均無増悪生存期間も3.6ヵ月から5.9ヵ月に延長した(増悪に対するハザード比:0.59、P=0.01)、平均全生存期間は7.7ヵ月から12.3ヵ月に延長していた(死亡に対するハザード比:0.57、P=0.01)。両群で発生したグレード3、4の有害事象で発生が高頻度であったのは、好中球減少症、血小板減少症、貧血、疲労、無力症、白血球減少症、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇などであった。しかしグレード3、4の有害事象の発生率は両群で有意差は認められなかった。本結果に基づき、全生存期間と無増悪生存期間の評価に十分な検出力を有する第3相試験が実施中だという。(武藤まき:医療ライター)

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EGFR変異の進行性肺がん、ゲフィチニブのファーストラインで無増悪生存期間が倍に

EGFR遺伝子変異を有した非小細胞肺がんに対し、分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)による治療は、従来の抗がん剤治療と比べ、再増悪までの期間が約2倍に改善することが明らかにされた。東北大学はじめ日本国内50施設が参加した北東日本研究機構(North East Japan Study Group:NEJSG)による報告で、NEJM誌2010年6月24日号で発表された。抗がん剤未治療患者230例を、ゲフィチニブ群と標準抗がん剤治療に無作為化し追跡北東日本研究機構は、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんに対しゲフィチニブが有効であるとの先行研究を受けて、EGFR遺伝子突然変異型を検出する高感度法を開発した。本試験では、その手法で事前特定した患者に対し、ファーストラインとしての、標準抗がん剤治療とゲフィチニブ治療を比較することを目的に行われた。被験者は、転移性非小細胞肺がんを有した抗がん剤未治療の230例。ゲフィチニブ投与群とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)+パクリタキセル(同:タキソール)投与群(標準治療)に無作為化し追跡した。主要エンドポイントは、無増悪生存期間とした。副次エンドポイントは、総生存率、奏効率と毒性作用とした。増悪までの期間、奏効率がゲフィチニブ群で有意に、毒性も許容範囲内予定中間解析(最初の200例)の結果、増悪までの期間が、標準療法よりもゲフィチニブ投与群で、有意に延長していた。ゲフィチニブ群の死亡・疾患進行ハザード比は、0.36だった(P

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「アバスチン」、非小細胞肺がんに対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得

中外製薬株式会社は9日、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、6日に厚生労働省より「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する効能・効果および用法・用量の追加に関する承認を取得したと発表した。「アバスチン」は、米国では2006年10月、欧州では2007年8月に扁平上皮がんを除く進行性非小細胞肺がんに対する一次治療として承認され、海外の治療ガイドラインにも化学療法との併用での使用が推奨されている。日本での今回の承認により、結腸・直腸がんに引き続き扁平上皮がんを除く進行・再発の非小細胞肺がんにおいても日・米・欧三極での使用が可能となった。同社による厚生労働省への承認申請は2008年11月に行われ、申請資料として海外で実施された第II相および第III相臨床試験、国内で実施された第II相臨床試験の成績等が提出された。海外で実施された二つの比較試験では、プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法に「アバスチン」を併用することで、扁平上皮がんを除く未治療の進行・再発の非小細胞肺がんの患者の全生存期間および/または無増悪生存期間を、標準的な化学療法と比較して統計学的に有意に延長することが示された。国内第II相臨床試験においても、標準的な化学療法(カルボプラチンとパクリタキセルの併用療法)に「アバスチン」を併用することで、無増悪生存期間が統計学的に有意に延長するなど、海外臨床試験と同様な結果が報告され、日本人における「アバスチン」の有用性が示されたという。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=FRBNZFANZLRWICSSUIHSFEQ?documentId=doc_16373&lang=ja

257.

BSI-201 が転移性トリプルネガティブ乳がんにおける第III 相試験を開始

サノフィ・アベンティスと完全子会社のBiPar Sciences社は、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が発現しておらずHER2 の過剰発現も見られない腫瘍と定義される転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)の患者を対象にBSI-201 を化学療法と併用する第III 相ピボタル試験を開始すると発表した。BSI-201 は、DNA の損傷修復にかかわる酵素のポリADP リボースポリメラーゼ(PARP1)を阻害する新しい開発中の標的治療薬で、この第III 相試験は、mTNBC の患者において、ゲムシタビンおよびカルボプラチンの化学療法(GC)と併用したBSI-201 の安全性と有効性を評価するために設計された多施設共同無作為化試験とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.sanofi-aventis.co.jp/live/jp/medias/3F74A4CF-8B73-416C-BA16-4E7ACBD45456.pdf

258.

治験中の抗がん剤BSI-201が転移性トリプルネガティブ乳がん患者の生存期間を改善する

サノフィ・アベンティス株式会社は4日、仏サノフィ社と子会社のバイパー・サイエンシズ社が転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の患者における、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤である BSI-201と、ゲムシタビンおよびカルボプラチンの化学療法(GC)との併用に関する第II相無作為化臨床試験の結果を発表した。BSI-201は、DNAの損傷を修復する酵素のPARP1を阻害することで作用する新しい治験薬。この試験では、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体が発現しておらずHER2の過剰発現も見られない腫瘍と定義される転移性TNBCの患者116人を、GCと治験薬BSI-201の併用療法またはGC化学療法のいずれかに無作為に割り付けた。BSI-201を併用しない化学療法に割り付けられた患者に対して、増悪が見られた段階でBSI-201の投与を可能とした。臨床的有用性が認められた患者の割合は、BSI-201とGC化学療法を併用した患者群では約62%で、GC化学療法のみの患者群では21%であった(p=0.0002)。抗腫瘍効果(完全奏功または部分奏功)が認められた患者の割合は、BSI-201とGC化学療法を併用した患者群では48%であったが、GC化学療法のみの患者群では16%だった。BSI-201の投与を受けた患者群では、無増悪生存期間の中央値が6.9ヵ月、全生存期間が9.2ヵ月だったが、化学療法しか受けていない患者群ではそれぞれ3.3ヵ月、5.7ヵ月だったという。無増悪生存期間および全生存期間のハザード比は、それぞれ0.342(p

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AMG706の非小細胞肺がんを対象とした試験の、非扁平上皮がん患者の新規患者登録再開の見通し

武田薬品工業株式会社と、同社の100%子会社である米国ミレニアム社とアムジェン社は12日、AMG706(一般名:Motesanib)に関する非小細胞肺がんを対象とする臨床第3相試験について、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee:DMC)より、約1,100例のデータを再評価した結果、一時中断していた非扁平上皮がん患者の新規登録再開を推奨する旨の通知を受けたと発表した。なお、扁平上皮がん患者については、本試験の対象から除外されることになるという。この試験は、ファーストライン治療薬として、非小細胞肺がん患者を対象としたパクリタキセルおよびカルボプラチン併用のプラセボ対照二重盲検比較試験。2008年11月にDMCが実施した600例の安全性評価の結果を踏まえ、非小細胞肺がんのうち、扁平上皮がん患者へのMotesanibの投薬を中止するとともに、非扁平上皮がん患者の新規登録を一時的に3ヵ月間中断していた。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32005.html

260.

AMG706の、臨床第3相試験の患者登録を一時中断

武田薬品工業株式会社および、その100%子会社である米国ミレニアム社ならびにアムジェン社」は20日、現在進行中のAMG706(一般名:Motesanib)に関する非小細胞肺癌を対象とする臨床第3相試験について、独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee、以下、DMC)が実施した600例の登録患者による安全性評価の結果を踏まえ、患者登録を一時的に中断することを決定したと発表した。Motesanibは、アムジェン社と武田薬品が実施している複数の共同開発プログラムの一つ。ファーストライン治療薬として、非小細胞肺癌患者を対象としたパクリタキセルおよびカルボプラチン併用のプラセボ対照二重盲検比較の臨床第3相試験中であり、欧米での開発をアムジェン社が、日本での開発を武田薬品の100%子会社である武田バイオ開発センター株式会社が担当している。DMCは、Motesanib群において投与初期における死亡率がプラセボ群に比して高いという結果が得られたことに鑑み、今回の投与対象である非小細胞肺癌患者(扁平上皮癌患者および非扁平上皮癌患者)の新たな登録を行わないよう推奨しており、また、扁平上皮癌患者の喀血頻度が明らかに高かったことに鑑み、扁平上皮癌の患者へのMotesanibの投薬を中止することを推奨している。なお、扁平上皮癌以外の患者への投薬中止は推奨されておらず、DMCは、3ヵ月後に最新データを再調査するとしている。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_31190.html

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