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認知度が4割しかない1型糖尿病を支援する-日本イーライリリープレスセミナー 

 11月5日(火)、日本イーライリリー株式会社は、11月14日の「世界糖尿病デー」に先駆け、「多様化する糖尿病と患者さんの支援の重要性」と題して、プレスセミナーを開催した。 前半では、「多様化する糖尿病 ~多様化する患者さん一人ひとりの、糖尿病への向き合い方とその治療~」として内潟 安子氏(東京女子医科大学 糖尿病センター長/ 内科学第三講座主任教授)を講師に迎え、糖尿病の概要についてレクチャーが行われた。 厚生労働省の統計資料によれば、わが国の糖尿病患者数は、依然として増加を続け、成人の約3割が糖尿病かその予備群であり、約4割は未治療のままである。内潟氏からは糖尿病の類型について、とくに1型糖尿病に焦点を絞り説明がなされた。一般に糖尿病は、生活習慣などの乱れから発症する2型糖尿病がほとんどと考えられている中で、1型糖尿病は、小児期から思春期での発症が多く(成人での発症数も多い)、遺伝的素因や免疫学的異常などによる発症がある、とコンパクトに解説が行われた。 そのうえで、医療者は、患者さんの「良好な血糖コントロールを行うこと」と「合併症を予防すること」を念頭に診療にあたっていること、その一方で、患者さんは治療のために、日常生活の中で食事時間や内容、そのカロリー、そして、定期的なインスリン注射、治療薬の服用と毎日の規則正しい生活を行っていることを述べた。そして、周りの方にも糖尿病患者さんへの理解を深めてもらいたい、とレクチャーを終えた。 後半では、同社の綱場 一成氏(糖尿病・成長ホルモン事業本部 事業本部長)が、「糖尿病治療におけるベストパートナーとして」と題し、同社の取り組みと今後の展望を説明した。1923年よりわが国でインスリンを発売してきた同社は、小児糖尿病患者のサマーキャンプなど、これまで社会貢献活動などを活発に行ってきている。 綱場氏は、先ごろ行われた「1型糖尿病の認知度調査」の結果について、次のように概略を発表した(調査は、20代以上の各年代から男女100名ずつを選出。1,000名にインターネットで調査したもの)。その結果、「1型糖尿病」という名称さえ聞いたことがない人が約6割。1型糖尿病を知っている人でもその半数以上が、発症原因として「食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣」と回答したほか、患者タイプを「肥満型の人がなりやすい」と回答した人が約3割、発症により「日常生活の中で活動の制限を受ける」と回答した人が約9割に及び、認知度の低さ以外にも、さまざまな誤解があることが浮き彫りになった。 同社では、こうした状況を受けて、1型糖尿病患者のライフステージに応じて幅広いサポートをするため啓発小冊子を作成した。今後、医療機関で配布していくことで、1型糖尿病と診断された患者さんの心のケアに活用してもらい、糖尿病診療に寄与していきたいと抱負を語った。詳しくは、 日本イーライリリー(糖尿病・内分泌系の病気) ケアネットの特集「糖尿病 外来インスリン療法」 

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01)ブルーライトアップの意味は?【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者昨日は東寺がブルーになっていました。あれは何ですか?医師実は昨日は「世界糖尿病デー」なんです。患者世界糖尿病デー?医師そうです。11月14日は世界糖尿病デーなんです。患者どうして、11月14日なんですか?医師11月14日はインスリンを発見したカナダ人のバンティング先生の生まれた日なんです。みんなで糖尿病を克服していこう、という日なんです。患者そうなんですか。どうしてブルーなんですか?医師ブルーは、国連や空を象徴するブルーみたいですね。みんなで糖尿病を克服していこうということで、ブルーの輪がシンボルマークとなっています。患者わかりました。私も頑張ってみます。●ポイント「今日は何の日」などの話題から、療養指導の話が広がります

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エキスパートに聞く!「糖尿病診療」Q&A 2013 Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」のなかでも「インスリン療法」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。早期から基礎インスリン療法を開始すべきかどうか教えてください。2型糖尿病診断初期から基礎インスリンのみならず、強化インスリン療法を用いて血糖値を正常化することが、経口糖尿病薬で治療するよりも、その後インスリン治療を止めて1年後の膵β細胞機能にとって望ましく、無治療でいられる人の割合も高いことが報告されています1)。また、平均推定罹病期間4.5年の2型糖尿病においても、中間型インスリンの2回打ちと超速効型インスリン3回の強化インスリン療法で、4週間血糖値を正常近くまでコントロールすることがインスリンのGIPとGLP-1に対する反応を改善することも報告されています2)。わが国においても、私の前職の順天堂大学にて、1型/2型糖尿病において持効型インスリンが外来で安全に使用でき、非常に有効な手段であることを報告してきました3)。HbA1c7%以上が続いている場合には、基礎インスリンによるBasal-supported Oral Therapy(BOT)でもよいので4)、積極的にインスリンを導入することが大切でしょう。●引用文献1)Weng J, et al. Lancet. 2008; 371: 1753-1760.2)Hojberg PV, et al. Diabetologia. 2009; 52: 199-207.3)Kanazawa Y, et al. Endocr J. 2007; 54: 975-983.4)弘世貴久. 続これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入. メディカルレビュー社; 2009.インスリンを使用したほうがよい患者さん、そうでない患者さんの鑑別をご教示ください。(1) 絶対的適応1型糖尿病が疑われる例、血糖コントロール不良の妊娠希望の女性、急性代謝失調発症者、または発症する危険性が高い患者さん(2) 相対的適応SU薬2次無効、無治療高血糖放置例、肝疾患、腎疾患合併例(3) 一時的なインスリン療法の適応急性感染症などのシックデイ、ステロイド治療時、中程度以上の外科手術時さらに詳しい解説は、以下の文献をご参照ください。●熊代尚記: 治療の目的と適応となる症例. インスリン療法最前線 第2版. 河盛隆造監, 弘世貴久, 綿田裕孝編, 日本医事新報社; 2008.p.21-24.●熊代尚記: インスリン療法開始の適応. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.82-84.インスリン導入を恐れる患者さんを説得するのに、よい言葉やいい回しをご教示ください。初めに血糖コントロール状況と合併症について説明します。自覚症状がなくても、慢性の高血糖が3大合併症や大血管障害の発症に関連していることを説明します。次に、患者を取り巻く家族や社会の状況を一緒に考え、本当に合併症が起きてもよいのか、合併症で身体が不自由な生活になっても困らないか話し合います。独り身で将来に希望がないような状況では、血糖コントロールをよくすることにまったく関心を持っていただけないかもしれません。しかし、糖尿病で通院を続けている患者さんたちは、何とかして欲しいという気持ちを少なからず持っているはずです。大事な家族や仕事、趣味などがあれば、それを守るために何とかしましょうと説得します。入院が望ましくても忙しくて入院ができない患者さんには、外来でも改善できますと安心させます。ここまで話して、インスリンについて話をします。安全性・有効性について、私はよく妊婦の話を出します。妊娠して、赤ちゃんがお腹にいて、糖尿病になる患者さんにわが国で唯一認められている治療薬がインスリンです。最も安全で生理的な薬だと説明します。そして、量を増やすことで確実に血糖値を下げることができると説明します。早ければ早いほど少量のインスリンで済むことが多いとも伝えます。さらに、どうしても不安、不信に思う患者さんには一時的な使用でもまったく構わないと伝えます。このような話に10~20分程度を要しますが、これで受け入れてもらえることが多いです。外来診療という限られた時間内で、どのようにインスリンを導入し、その後のフォローをしていけばよいか教えてください。インスリン注射に同意された後、実際にインスリンを導入する際に重要となるのは、いきなり低血糖を起こさないことです。ごく少量の基礎インスリン4単位くらいから始めると低血糖は問題になりません。受け入れの難しそうな患者さんには、まずはインスリン自己注射のみを指導して、後日、血糖自己測定(SMBG)を導入するほうが、抵抗が少ないです。実は痛みも、インスリン注射ではほとんどありませんが、SMBGでは針が太めでそこそこ痛いのです。また、効果が少ないインスリン量で始めているので、せっかく始めたインスリン療法に幻滅する恐れもあります。したがって、始めはインスリン自己注射のみ指導することが一つの有効な手段です。SMBG導入後、数日でインスリンの効果判定ができますが、診察間隔は予約状況次第です。数日おきに診察できるなら速やかにきめ細かくインスリン調節ができますが、予約の関係で1~数週間おきのフォローになるなら緩徐なインスリン調節が必要でしょう。このようなインスリン導入の際には、それまでの内服薬を一気に中止しないことも、導入後の急激な悪化を防ぐために重要です。そのほか、外来での導入では、看護師やその他のスタッフ教育もしっかり行い、協力していただくことが不可欠です。インスリンとほかの薬剤との安全な組み合わせの方法や、治療中に専門医へ紹介するタイミングなどをご教示ください。持効型インスリンとの併用としては、速効型インスリン分泌促進薬1)やα-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬2)がよいでしょう。持効型インスリンは食前の血糖コントロールに適しているので、食後の血糖コントロールに適した内服を組み合わせることが望ましいです。一方、超速効型インスリンとの併用としては、グリメピリド(商品名:アマリール)0.5mgなどのごく少量のSU薬を夕食時に内服するかビグアナイド薬、チアゾリジン薬との併用がよいでしょう。超速効型インスリンは、食後の血糖コントロールに適しており、上述の内服で食前の血糖コントロールにも対応することができます。いずれの場合も注射薬の種類だけでなく病態によっても併用薬の選択肢は変わってきます。最近は高齢化で、患者さんも糖尿病以外にさまざまな合併症を患っていたりするので、併用する前にそれぞれの薬の適応の良否も判断しなければなりません。したがって、病状が複雑になってきた場合には、ご遠慮なく専門医へ紹介いただくのがよろしいかと思われます。●引用文献1)Kumashiro N, et al. Endocr J. 2007; 54: 163-166.2)Barnett AH, et al. Lancet. 2013 Aug 12.[Epub ahead of print].

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抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは

 第二世代抗精神病薬(SGA)により誘発される、インスリン分泌異常の主要機序について、オーストラリア・ウーロンゴン大学のKatrina Weston-Green氏らがレビューの結果を報告した。部分的な中枢および末梢神経でのムスカリンM3受容体(M3R)の阻害によると考えられ、M3Rが初期にインスリン分泌とグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中に次第にインスリン抵抗性や糖尿病に結びつく可能性があるという。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月10日号の掲載報告。第二世代抗精神病薬のM3Rに対する結合親和性が糖尿病リスクの予測因子 第二世代抗精神病薬は、さまざまな疾患に広く処方されているが、中心となるのが統合失調症と双極性障害である。第二世代抗精神病薬は、グルコース代謝異常を来し、インスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすという副作用があるが、その機序についてはほとんどわかっていない。研究グループは、その主要機序および治療ターゲットとして、アセチルコリン(Ach)受容体のうちM3Rの可能性についてレビューした。 第二世代抗精神病薬がインスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすとい主要機序についてレビューした結果は以下のとおり。・M3Rに対する第二世代抗精神病薬の結合親和性が、糖尿病リスクの予測因子であることが特定された。・オランザピン、クロザピンは、副作用として糖尿病の臨床発生率が最も高いが、強力なM3Rアンタゴニストであった。・膵臓のM3Rは、グルコース刺激インスリン分泌のコリン作動性経路を調整する。すなわち、β細胞の活性化がインスリン分泌を促進する一方で、M3R阻害がインスリン分泌を減少する。・マウス試験において、遺伝子組み換えM3Rは、インスリン濃度と耐糖能に強い変化をもたらした。・オランザピンは、視床下部や尾方脳幹の各核レベル、膵臓の迷走神経系支配を介してグルコースホメオスタシスおよびインスリン分泌を調整する部位の、M3R濃度を変化させる。・さらに、M3Rは、グルコースホメオスタシスに影響する主要なポジションに位置しており、膵β細胞への直接的な作用や、視床下部や脳幹におけるシグナル伝達を変えることが可能である。・SGAによって誘発されたインスリン分泌障害は、一部で中枢および末梢神経のM3R阻害による可能性がある。M3R阻害がインスリン分泌やグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中にインスリン抵抗性や糖尿病へと次第に結びついていく可能性がある。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学/a> 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

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低血糖を減少できる自動停止機能付きのインスリンポンプ/JAMA

 無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者の低血糖イベントの管理において、自動停止機能付きインスリンポンプは標準的なインスリンポンプに比べ高い有効性を発揮することが、オーストラリア・プリンスマーガレット小児病院のTrang T Ly氏らの検討で示された。1型糖尿病の治療では低血糖が重大な問題となる。自動停止機能付きインスリンポンプは、すでにその安全性や血糖値が低血糖域にある時間を短縮することが確認されているが、実際に外来患者において重大な低血糖イベントの発生を低減するかは知られていなかった。JAMA誌2013年9月25日号掲載の報告より。中等度~重度の低血糖イベントの発生を無作為化試験で評価 研究グループは、自動停止機能付きインスリンポンプまたは自動停止機能のない標準的なインスリンポンプを装着した1型糖尿病患者において、中等度~重度の低血糖イベントの発生状況を評価する無作為化試験を行った。 対象は、年齢4~50歳、診断後1年以上が経過し、インスリンポンプによる治療を6ヵ月以上受けており、糖化ヘモグロビン≦8.5%で、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病患者であった。 自動停止機能付きインスリンポンプは、センサーを用いて血糖値があらかじめ設定された閾値(60mg/dL)を下回ると警告を発し、患者が警告に反応しない場合は最長2時間にわたりインスリン注入を停止し、その後標準的な基礎インスリンの注入を再開する装置。患者は、この2時間中にいつでもインスリンの注入を再開でき、停止したままにすることも可能である。 試験期間は6ヵ月で、患者はベースライン、3ヵ月、6ヵ月に受診した。中等度低血糖は治療を要するイベントの発生、重度低血糖は低血糖発作および低血糖昏睡の発生と定義し、主要評価項目はこれらの複合エンドポイントとした。夜間低血糖も良好に抑制、低血糖発作や昏睡は認めず 2009年12月~2012年1月までに95例が登録され、自動停止ポンプ群に46例、標準ポンプ群には49例が割り付けられた。全体の平均年齢は18.6(SD 11.8)歳、糖尿病罹病期間は11.0(8.9)年、インスリンポンプ治療期間は4.1(3.4)年であった。 ベースラインにおける100人月当たりの中等度~重度低血糖のイベント発症率は、自動停止ポンプ群が129.6件と、標準ポンプ群の20.7件に比べて高かった。6ヵ月後には、それぞれ28.4件、11.9件へと低下した。 複合エンドポイントのイベント発生数は、自動停止ポンプ群がベースラインの175件から6ヵ月後には35件へと低下したのに対し、標準ポンプ群は28件から16件へ低下した。6ヵ月後の100人月当たりの調整イベント発生率(0-inflated Poissonモデル)は、自動停止ポンプ群が9.5件、標準ポンプ群は34.2件となり、率比は3.6と自動停止ポンプ群で有意に良好であった(p<0.001)。 糖化ヘモグロビンは両群ともに変化しなかった(自動停止ポンプ群:ベースライン7.4%、6ヵ月後7.4%、標準ポンプ群:7.6%、7.5%)。低血糖に対するインスリン拮抗ホルモン反応(クランプ法による)にも変化はなかった。また、糖尿病性ケトアシドーシスや、ケトーシスを伴う低血糖のエピソードは認めなかった。 著者は、「自動停止機能付きインスリンポンプは、無自覚性低血糖がみられる1型糖尿病の外来患者において重大な低血糖イベントの発生の抑制に有効である」とまとめ、「夜間低血糖も標準ポンプより少なく、探索的検討ではあるが低血糖発作や昏睡はまったく認めなかった」としている。

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2型糖尿病のCVD予測に、6つのマーカーが有用

2型糖尿病における心血管疾患(CVD)予測因子として、NT-ProBNPを含む6つのバイオマーカーが有用であることが示唆された。関連のあったバイオマーカーは、NT-ProBNP、アポCIII(ApoCIII)、可溶性-RAGE(sRAGE)、高感度トロポニンT、IL-6およびIL-15の6つであった。演者のHelen C. Looker氏は、今回の結果についてIL-15が予測因子となることは新たな発見であり、ApoCIIIとsRAGEにおけるCVD発症との逆相関の関連についても、さらなる研究が必要であると語った。これまでに、2型糖尿病におけるCVD予測因子に有用とされるバイオマーカーは複数報告されている。そこで、CVD予測因子として有用なバイオマーカーを検索するため、5つのコホート研究の調査が実施された。本調査は、SUMMIT(SUrrogate markers for Micro- and Macrovascular hard endpoints for Innovative diabetes Tools)研究の一環である。対象となったコホート研究は、Go-DARTS(n=1,204)、スカニア糖尿病レジストリ(n=666)、MONICA/KORA(n=308)、IMPROVE(n=94)およびストックホルム研究(n=46)である。候補バイオマーカーとしては、糖尿病患者、非糖尿病患者を問わず、これまでの研究でCVDとの関連が報告された42のマーカーが選択された。年齢、性別、糖尿病罹患期間、BMI、血圧、HbA1c、トリグリセリド、LDL-C、HDL-C、eGFR、喫煙、薬物治療(降圧剤、アスピリン、脂質異常症治療薬およびインスリン使用を含む)を共変量として解析が行われた。主な結果は以下のとおり。2型糖尿病におけるCVD予測因子として、6つのバイオマーカー(NT-ProBNP、ApoCIII、sRAGE、高感度トロポニンT、IL-6、IL-15)が強い関連を認めた。●NT-ProBNP(OR = 1.74、95%CI:1.51~2.02)●ApoCIII(OR = 0.81、95%CI:0.73~0.91)●sRAGE(OR = 0.86、95%CI:0.78~0.96)●高感度トロポニンT(OR = 1.28、95%CI:1.12~1.47)●IL-6(OR = 1.19、95%CI:1.07~1.33)●IL-15(OR = 1.16、95%CI:1.05~1.28)NT-proBNPおよび高感度トロポニンTが2型糖尿病におけるCVD発症に関連していることが明らかになった。IL-6は一般的なCVD予測因子としても知られているが、2型糖尿病患者においても同じくCVD予測因子となることが本調査で確認された。IL-15と2型糖尿病におけるCVD発症の関連性が、今回新たに報告された。ApoCIIIとsRAGEにおいてCVD発症と逆相関の関連が示唆された。Looker氏は「2型糖尿病患者におけるCVD予測因子となるマーカーが、今後の研究によって、さらに明確化されることを願っている」と講演を終えた。

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日本人へのトホグリフロジン投与、単剤・併用での長期試験成績が発表

高選択的SGLT2阻害薬※トホグリフロジン(承認申請中)について、日本人における長期安全性と有効性を検討した成績が、山口大学の谷澤 幸生氏らにより報告され、トホグリフロジンの単独および併用における忍容性と有効性が確認された。演題では、食事療法・運動療法のみで血糖管理不十分な2型糖尿病患者に本剤を単独投与したMONO試験(安全性解析対象191例)、および既存の経口糖尿病治療薬(OAD)6種類のうちいずれかと併用したCOMBO試験(同593例)の結果が発表された。いずれもトホグリフロジン20mg群または40mg群にランダム化され、投与52週時の安全性と有効性が検討されている。主要評価項目は安全性、副次評価項目は52週時における、ベースラインからのHbA1c変化量、体重変化量を含むさまざまな代謝関連指標の変化量である。トホグリフロジンは、最も高選択的にSGLT2を阻害するとされる新しい経口血糖降下薬であり、現在国内で2型糖尿病を適応症として承認申請段階にある。結果は以下のとおり。総有害事象の頻度は単独・併用の両試験の合計で664例(84.7%)観察されたものの、重篤な有害事象は54例(6.9%)、投薬中止に至った有害事象は35例(4.5%)であった。5.0%以上の有害事象として、口渇、頻尿、低血糖、血中ケトン体増加などがあったが、臨床症状を伴うケトン体増加やケトアシドーシスはみられなかった。SU薬との併用時に他の経口薬との併用時と比べて低血糖頻度がわずかに高くなっていること、およびSU薬併用時のみで中等度の事象が3例起きていることに留意する必要があるものの、単剤・併用で重度の低血糖の報告はなかった。膀胱炎・尿路感染症の頻度は0.5%~4.7%、性器感染症の頻度は0.0%~3.4%であり、ほとんどが軽度かつ一過性なものであった。52週時のHbA1c変化量は、MONO試験で-0.67%、-0.66%(20mg、40mg)、COMBO試験で-0.77%、-0.87%(同)であり、COMBO試験ではいずれの経口薬と併用した場合においても同等の低下作用が確認された。体重変化量は、MONO試験で-3.06g、-3.44kg(同)、COMBO試験で-2.51kg、-2.98kg(同)で、体重低下は併用薬ごとに違いがあり、とくに40mg群ではαGIやメトホルミンとの併用時にわずかに強かった。その他、ウエスト周囲径の減少やアディポネクチンの増加、収縮期血圧の低下、HDL-C上昇などのメタボリックシンドローム関連因子やインスリン抵抗性指標であるHOMA‐IRが有意に改善していた。以上の結果より、トホグリフロジンの忍容性が確認され、トホグリフロジンは単独および既存の経口血糖降下薬との併用において2型糖尿病の新たな治療オプションとなることが示唆された。※高選択的SGLT2阻害薬は、腎尿細管において糖の再吸収に関与するトランスポーターのナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を阻害し、血糖値依存的に尿糖排泄を促すことで血糖低下作用を発揮する。低血糖のリスクは低く、体重減少作用を有すると注目されている。

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『基礎インスリン+GLP-1アナログ』 で 広がる選択肢

2013年9月17日、2型糖尿病治療薬のリキシセナチド(商品名:リキスミア皮下注300μg)が発売された。リキシセナチドは、基礎インスリンとの併用が保険適応となった初のGLP-1受容体作動薬であり、エキセナチド(商品名:バイエッタ、ビデュリオン)、リラグルチド(同:ビクトーザ)に次ぐ3成分目の薬剤である。今回、この新薬についてサノフィ株式会社本社担当者に話を聞いた。リキシセナチドの特徴は、大きく3つリキシセナチドが従来製剤と大きく異なるのは、GLP-1受容体作動薬で初めて「基礎インスリンとの併用」について適応取得した点である。さらに、食後血糖降下作用のほか、胃内容排出遅延作用も認められている。この「基礎インスリンと併用可能」「食後血糖コントロール」「胃内容排出遅延作用」の3点がリキシセナチドの特徴といえる。基礎インスリン+GLP-1受容体作動薬 のメリットとくに「基礎インスリンと併用可能」という特徴は新規性が高い。これまでGLP-1受容体作動薬の投与患者に対しインスリン投与を考える場合は、一度GLP-1受容体作動薬を中止したうえでインスリンへ切り替える必要があった。その点、リキシセナチドは中断の必要がなく汎用性が高い。また、基礎インスリンでは補いきれない食後高血糖についてのコントロールが期待できる。投与対象はBOTで血糖管理不十分な患者さんしかし、GLP-1受容体作動薬すべてに該当することだが、リキシセナチドも経口薬との併用に縛りがある。開発当初、SU薬が糖尿病治療薬の中心であった背景から、リキシセナチドと併用できる経口薬は「SU薬単独、またはSU薬とビグアナイド薬の併用」に限定されている。サノフィ株式会社の本社担当者は、「汎用性のある経口薬との適応拡大も視野に入れているが現実的には先の話になる」と断ったうえで、「発売時点では、『BOTで血糖改善が認められない患者さん』にお使いいただき、徐々にご評価いただきたい」と述べた。アジア人を対象としたリキシセナチドの効果リキシセナチドの血糖降下作用を示すデータとして、日本人を含むアジア人を対象としたGetGoal-L-Asia試験がある。これは基礎インスリン療法(±SU薬)で血糖コントロール不十分(HbA1c:7.0~10%)な2型糖尿病患者311例を対象にした追跡試験である。24週後のHbA1c値および朝食後2時間血糖値の変化は、リキシセナチド群で-0.88%、-141mg/dL、とプラセボに比べて有意な低下が認められている1)。従来と同程度の安全性。ただし、継続評価が大切安全性については、第III相試験において、HbA1c低下効果についてエキセナチドに対する非劣性が示されたうえで、嘔気・嘔吐を含む消化器系副作用や低血糖症の発現率が少ないとの報告がある。ただし、嘔気・嘔吐はGLP-1受容体作動薬に共通の副作用であることから、発売後の症例集積に伴う慎重な評価が求められるだろう。リキシセナチドにより、併用の選択肢が広がったリキシセナチドの投与法は、1日1回、朝食前1時間以内の皮下注射である。前出の担当者は「リキスミアと基礎インスリンの投与タイミングを朝に集中させることで、患者さんの負担軽減にもつながるのではないか」と期待を語った。リキシセナチドの登場により、併用療法に「基礎インスリン+GLP-1受容体作動薬」という新たな選択肢が加わったといえるのではないだろうか。(ケアネット 佐藤寿美)1) Seino Y,et al.Diabetes Obes Metab. 2012;14:910-917.

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DPP-4阻害薬、糖尿病の心血管リスク増大せず/NEJM

 新規DPP-4阻害薬アログリプチン(商品名:ネシーナ)は、直近の急性冠症候群(ACS)既往歴のある2型糖尿病患者の治療において、心血管リスクを増加させずに糖化ヘモグロビン(HbA1c)を改善することが、米国・コネチカット大学のWilliam B. White氏らが行ったEXAMINE試験で示された。糖尿病患者では、血糖値の改善により細小血管合併症リスクが低下する可能性があるが、大血管イベントへの良好な効果は示されておらず、米国FDAをはじめ多くの国の監督機関は、新規の抗糖尿病薬の承認前後で、心血管系の安全性プロフィールの包括的な評価を求めている。本研究は、2013年9月2日、オランダ・アムステルダム市で開催された欧州心臓病学会(ESC)で報告され、同日付けのNEJM誌に掲載された。心血管アウトカムをプラセボとの非劣性試験で評価 EXAMINE試験は、ACSの既往歴を有する2型糖尿病患者における、アログリプチンのプラセボに対する心血管アウトカムの非劣性を評価する二重盲検無作為化試験。対象は、HbA1c 6.5~11.0%(インスリン投与例は7.0~11.0%)で、DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬以外の抗糖尿病薬の投与を受け、割り付け前15~90日にACS(急性心筋梗塞、入院を要する不安定狭心症)を発症した2型糖尿病患者であった。 被験者は、2型糖尿病および心血管疾患の標準治療に加えて、アログリプチンまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合エンドポイントであり、ハザード比(HR)の非劣性マージンは1.3に設定された。 アログリプチンの投与量は、ベースラインの推定糸球体濾過量に基づき71.4%には25mg/日が投与され、25.7%は12.5mg/日、2.9%は6.25mg/日の投与を受けた。最長40ヵ月、中央値18ヵ月のフォローアップが行われ、投与期間中央値は533日だった。約50ヵ国900施設、5,000例以上で、安全性を確認 2009年10月~2013年3月までに日本を含む49ヵ国898施設から5,380例が登録され、アログリプチン群に2,701例(年齢中央値61.0歳、男性67.7%、2型糖尿病罹病期間中央値7.1年、HbA1c 8.0%、BMI中央値28.7)、プラセボ群には2,679例(61.0歳、68.0%、7.3年、8.0%、28.7)が割り付けられた。 主要評価項目の発生率はアログリプチン群が11.3%(305例)、プラセボ群は11.8%(316例)であり、HRは0.96、信頼区間(CI)上限値は1.16であり、アログリプチンはプラセボに対し非劣性であった(非劣性:p<0.001、優越性:p=0.32)。 主要評価項目に入院後24時間以内の不安定狭心症による緊急血行再建術を加えた副次的評価項目の発生率は、アログリプチン群が12.7%(344例)、プラセボ群(359例)は13.4%であり、両群間に有意な差はみられなかった(HR:0.95、CI上限値:1.14、優越性:p=0.26)。 ベースラインから試験終了までのHbA1cの変化率は、アログリプチン群が-0.33%、プラセボ群は0.03%であり、最小二乗平均差は-0.36(95%CI:-0.43~-0.28)と有意な差が認められた(p<0.001)。 重篤な有害事象の発生率は、アログリプチン群が33.6%、プラセボ群は35.5%(p=0.14)であり、低血糖、がん、膵炎、透析導入の頻度にも両群間に差はなかった。 著者は、「アログリプチン投与により、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中がプラセボよりも増加することはなかった」とまとめ、「これらのデータは、心血管リスクが著しく高い2型糖尿病患者の治療において、抗糖尿病薬を選ぶ際の指標として有用と考えられる」と指摘している。

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オランザピン服用患者の一部で認められる糖尿病などの代謝異常、原因が明らかに:京都大学

 オランザピン服用患者の一部で認められる、体重増加を伴わない脂質異常症や糖尿病の原因について、オランザピンがインスリン分泌を制御する膵β細胞のアポトーシスを引き起こしている可能性があることを、京都大学大学院理学研究科教授・森 和俊氏らが明らかにした。Cell Structure and Function誌2013年第2号の掲載報告より。オランザピンは一部の患者において糖尿病などの代謝異常を引き起こす 統合失調症患者の症状軽減のためにさまざまな薬物投与が行われるが、いくつかの有効な第2世代(非定型)抗精神病薬、とくにオランザピンは一部の患者において、肥満や脂質異常、糖尿病を引き起こす。一般的にオランザピンは、肥満を誘発し、その後インスリン抵抗性が引き起こされることによって糖尿病発症に関与すると考えられているが、森氏らはインスリン分泌を制御する膵β細胞への直接的な薬物作用を、オランザピンほかリスペリドン、その他の非定型抗精神病薬についてハムスターを用いて調べた。また、その際に細胞への悪影響(ストレス)を生じさせる小胞体(ER)ストレスの喚起が認められるかについて、ERストレスセンサー分子PERKの低活性をエビデンスとして調べた。オランザピンによる膵β細胞の損傷が好ましくない代謝の影響に関与 得られた主な知見は以下のとおり。・オランザピン治療細胞でのみ、アポトーシスの誘発が認められた。・オランザピン治療細胞においては、PERK仲介翻訳減衰が選択的に損傷を受けており、そのためにERストレスの持続がみられた。・インスリン分泌は顕著に阻害されていた。そして、プロインスリンインスリンがいずれもオランザピン治療細胞に蓄積していた。・蛋白質合成抑制とインスリンmRNAのノックダウンにより、それ以後はオランザピン誘発のアポトーシスは減弱した。・以上から、オランザピンを服用する患者の一部で、体重増加することなく高脂血症と高血糖が臨床的に認められることについて、オランザピン治療による膵β細胞への損傷が好ましくない代謝の影響に関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 抗精神病薬多剤併用による代謝関連への影響は? 第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は

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リナグリプチン、高齢2型糖尿病患者にも有効/Lancet

 高齢の2型糖尿病患者へのDPP-4阻害薬リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)投与について、英国・Heart of England NHS Foundation Trust糖尿病センターのAnthony H Barnett氏らによる無作為化二重盲検パラレル並行国際共同第3相試験の結果、安全性と有効性が確認された。安全性プロファイルはプラセボと同程度であり、血糖値はHbA1cレベルで-0.64%の有意な降下が示された。結果を踏まえて著者は「高齢糖尿病患者において、個別の血糖目標を最小リスクで達成することが可能な治療であると言ってよいだろう」と結論している。2型糖尿病患者の多くは65歳以上の高齢者にもかかわらず、これまで同群の大半は血糖降下薬の臨床研究から除外されていた。Lancet誌オンライン版2013年8月13日号掲載の報告より。70歳以上の2型糖尿病患者をリナグリプチン対プラセボに2対1で無作為化 試験は、70歳以上の2型糖尿病患者を対象とした。いずれもHbA1c 7.0%以上であり、メトホルミン、SU薬または基礎インスリン療法を単独または組み合わせての治療を受けていた。 被験者は、リナグリプチン5mgまたはプラセボを1日1回経口投与する群に2対1で無作為化され、24週間の投与を受けた。また、HbA1c値(8.5%未満対8.5%以上)とインスリン投与の有無で4つのブロックに分けられた。割り付けに関する情報は本研究全体を通じて研究者と参加者のいずれにも知らされなかった。 主要エンドポイントは、ベースライン時から24週のHbA1c値の変化とした。有害事象発生も群間差は認められず 外来患者241例が、リナグリプチン群162例、プラセボ群79例に無作為に割り付けられた。平均年齢は74.9歳(SD 4.3)、HbA1c平均値は7.8%(SD 0.8)だった。 24週時点において、リナグリプチン群のHbA1cのプラセボ調整平均変化値は-0.64%(95%信頼区間[CI]:-0.81~-0.48、p<0.0001)だった。 両群合わせての有害事象の発生は75.9%(リナグリプチン123例、プラセボ60例)だったが、死亡例はなかった。 安全性と忍容性は、リナグリプチン群とプラセボ群でほぼ同程度だった。重大な有害事象は、リナグリプチン群14例(8.6%)、プラセボ群5例(6.3%)で発生したが、いずれも試験薬と関連あるものとは思われなかった。 低血糖は、両群で最も頻度の高い有害事象だった。リナグリプチン群39例(24.1%)、プラセボ群13例(16.5%)で有意差は認められなかった(オッズ比:1.58、95%CI:0.78~3.78、p=0.2083)。

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睡眠に関する記事 まとめ

 高知県四万十市で国内の観測史上最高の41℃が観測されるなど、2013年は例年にない猛暑に見舞われている。連日の熱帯夜に寝苦しい思いをされている方も多いのではないか。医学論文にも睡眠にまつわる文献が多数投稿されている。今回は睡眠に関する記事をまとめて紹介する。寝室での夜間光曝露がうつ病に関連 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35649境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35263閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率の関係は? 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率に関係はあるのか。OSAを有する成人患者とOSAのない成人患者において、COPD、喘息、COPDと喘息の合併、それぞれの有病率を検討した。http://www.carenet.com/news/population/carenet/35168メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34333長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34105閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33989ナルコレプシーのリスクが約16倍に、インフルワクチン接種の子ども/BMJ ASO3アジュバント添加パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン(Pandemrix)の接種を受けた英国の子どもで、接種後6ヵ月以内に睡眠障害であるナルコレプシーを発症するリスクが約16倍に増大したことが、同国健康保護局(HPA)のElizabeth Miller氏らの調査で明らかとなった。2010年8月、フィンランドとスウェーデンで同ワクチンの接種とナルコレプシーの関連を示唆するデータが提示され、2012年にはフィンランドの疫学調査により、ワクチン接種を受けた小児/青少年でリスクが13倍に増大したことが判明した。現在、北欧諸国以外の国での検証が進められている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33889統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33732てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。http://www.carenet.com/news/population/carenet/33636むずむず脚症候群と統合失調症、遺伝子の関連が示唆 脚がむずむずして眠れない、といった症状を呈するむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)。その原因は明らかになってはいないが、脳内のドパミン調節機能障害や鉄分の不足が大きく影響していると言われている。また、ゲノムワイド関連解析やいくつかのレプリケーション研究により、RLSとBTBD9遺伝子の一塩基多型との関連も示されている。韓国のSeung-Gul Kang氏らは抗精神病薬誘発性のRLSと統合失調症患者のBTBD9遺伝子多型との関連を調査した。Human psychopharmacology誌オンライン版2013年1月30日号の報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33516低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33494検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33323

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ビタミンDが健康に及ぼす影響(まとめ)

 近年、ビタミンDが健康、疾病に及ぼす影響を検証した臨床研究結果がケアネット・ドットコムでも散見されるようになってきた。そこで今回、編集部ではビタミンDに関する記事をまとめてみることにした。後半のいくつかはケアネット・ドットコムで初めて紹介するものも含まれている。“ビタミンD不足の高齢者は日常の活動に支障” 【高齢者】 ビタミンDの不足する高齢者は、着替えや階段を上るなどの日常的な身体活動に困難を来す可能性のあることが、新たな研究で示された。高齢集団では、ビタミンD値最低群の70%に少なくとも1つの身体的制限がみられたのに対し、ビタミンD値が中等度または高い群の多くでは身体的制限がみられなかったと報告されている。さらに、ビタミンD欠乏のみられる人には、時間の経過とともに新たな身体的制限が発生する可能性が高いことが判明した。(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2013年7月17日オンライン版の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/hdn/35685“アルツハイマー病にビタミンD不足が関連” 【認知症】 ビタミンDの摂取が認知機能や認知症発症に与える影響をメタアナリシスにより検討した結果より、アルツハイマー病群ではコントロール群と比較し、ビタミンD濃度が低かったことが報告されている(Neurology誌2012年9月25日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/risk/carenet/31480“うつ病治療にビタミンD投与は有用” 【うつ】 ビタミンD欠乏症を認めるうつ病患者におけるビタミンD投与の有用性を検討した結果より、ビタミンD投与がうつ状態を改善すると報告されている(Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年6月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34687“ビタミンDの摂取がパーキンソン病の症状を安定化させる” 【パーキンソン病】 東京慈恵会医科大学の鈴木正彦氏らは、ビタミンD受容体遺伝子多型のうちFokI T/T型またはFokI C/T型を持つ患者が、ビタミンD3を摂取することで、高カルシウム血症を引き起こすことなく、短期的にパーキンソン病の症状を安定化させる可能性を示唆している(The American Journal of Clinical Nutrition誌2013年5月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34819“高用量ビタミンD摂取、65歳以上の骨折リスクを低減” 【骨折予防】 11の二重盲検無作為化比較試験の被験者を対象に行ったメタ解析の結果、65歳以上高齢者の高用量ビタミンD摂取(毎日≧800 IU)は、大腿骨頸部骨折およびあらゆる非椎体骨折の予防に多少ではあるが有望であることが示されている(NEJM誌2012年7月5日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/29116“ビタミンD+カルシウム、高齢者の骨折予防に効果” 【骨折予防】 高齢者の骨折予防におけるビタミンD単剤の用量は10~20μg/日では不十分であるが、カルシウムと併用すると大腿骨頸部骨折および全骨折が有意に抑制されることが、報告されている(BMJ誌2010年1月16日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/11991“女性高齢者への年1回、高用量ビタミンD投与、転倒リスクを増大“ 【転倒】 70歳以上の女性高齢者2,200人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、高用量ビタミンDを年1回投与することで、転倒リスクが増大してしまうことが示唆された。また投与後3ヵ月間の転倒リスクは、約30%も増加したという(JAMA誌2010年5月12日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/14363“ビタミンDサプリ摂取で膝OA改善せず“ 【膝OA】 症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果より、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことが報告されている(JAMA誌2013年1月9日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33205“母親の血中ビタミンD値、子どもの骨塩量とは無関係” 【妊婦】 妊娠中の母体における血中ビタミンD値と、その子どもの9~10歳時の骨塩量との関連について、約4,000組の母子について行った前向き調査「エイボン縦断試験」の結果より、有意な関連は認められなかったことが報告されている(Lancet誌2013年6月22日号[オンライン版2013年3月19日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34604“ビタミンDサプリ摂取はビタミンD欠乏小児の骨密度を改善する” 【小児骨密度改善】 ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、メタ解析で明らかとなったと報告されている(BMJ誌2011年1月29日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19686“肺結核症に高用量ビタミンD補助薬は有効” 【肺結核】 肺結核症の集中治療期に標準的な抗生物質治療を受けている患者に、高用量のビタミンD補助薬を投与すると、ビタミンD受容体TaqI tt遺伝子型の患者で喀痰培養陰転時間の短縮効果を認めることが明らかとなった(Lancet誌2011年1月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19346“ビタミンD服用、上気道感染症の発症・重症度を抑制しない“ 【上気道感染症】 健常者が半年間、月1回10万IUのビタミンDを服用し続けても、上気道感染症の発症および重症度を抑制しなかったことが、無作為化比較試験の結果より示されている(JAMA誌2012年10月3日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/31659“ビタミンD投与、左室心筋重量係数に変化なし-左室肥大を伴うCKD患者を対象としたRCTより-” 【心肥大抑制】 左室肥大を伴う慢性腎臓病(CKD)約230人に対する無作為化試験において、48週間にわたる活性型ビタミンD化合物paricalcitolを投与した結果、左室心筋重量係数に変化は認められなかったことが示されている(JAMA誌2012年2月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/27016“血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない” 【アトピー性皮膚炎】 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが報告されている。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた(Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年7月号[オンライン版2013年2月14日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33851“ビタミンDサプリ摂取で血圧が低下” 【降圧効果】 アフリカ系米国人を対象とした大規模ランダム化比較試験を行った結果、ビタミンDサプリメントを摂取した群ではプラセボ群と比べ血圧が有意に低下したことが発表されている。この前向き試験では、対象者に3ヵ月間毎日ビタミンDサプリメントを摂取させたところ、収縮期血圧がサプリメントの摂取用量に応じて0.7~4.0mmHg低下した(Hypertension誌2013年4 月号の掲載報告)。“ビタミンDサプリ摂取で、コレステロール値は改善しない” 【コレステロール低下】 ビタミンD値の低い人がサプリメントを用いてビタミンDを増加させても血中コレステロール値は改善しないことが示唆された。研究者らはビタミンD欠乏例に、5万国際単位のビタミンD3を8週間投与した。その結果、ビタミンD投与群ではプラセボ群と比べてコレステロールの改善はみられず、副甲状腺ホルモン値が低下し、カルシウム値が上昇した。(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology 誌2012年10月号の掲載報告 )。“ビタミンD低値は2型糖尿病の発症リスクを高める“ 【糖尿病】 ビタミンD欠乏と不足状態は2型糖尿病の発症リスクを高める独立した危険因子である可能性が報告されている。研究者らは、2型糖尿病の危険因子を1つ以上有するが糖尿病を発症していない成人1,080人を平均32.3ヵ月間追跡。その結果、血清25ヒドロキシビタミンD低値はBMI、インスリン抵抗性、インスリン分泌指数とは独立して2型糖尿病発症リスクと関係していた(The American journal of clinical nutrition誌2013年3月号の掲載報告)。“血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患の発症リスクが増大” 【心疾患】 デンマーク人1万例以上の血中ビタミンD濃度と心疾患および死亡との関係を検討した結果、血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患と心筋梗塞のリスクが著しく高いことが明らかにされている。 研究者らはCopenhagen City Heart Studyに参加した1万170例のうち、血中ビタミンD濃度が5パーセンタイル未満の者と50パーセンタイル以上の者を比較した。その結果、血中ビタミンD濃度が高い者と比べ、低い者では虚血性心疾患の発症リスクが40%、心筋梗塞の発症リスクが64%高かったことを発表している(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology誌2012年11月号の掲載報告)。“ビタミンD摂取不足が脳梗塞の発症リスクを高める” 【脳梗塞】 食事によるビタミンDの摂取不足は脳卒中、とくに脳梗塞の発症と関係することがホノルル心臓プログラムより発表されている。登録時の食事によるビタミンD摂取と追跡中の脳卒中発症との関係を検討した結果、ビタミンD摂取最高四分位群と比較した最低四分位群のハザード比は脳卒中全体が1.22(p=0.038)、脳梗塞が1.27(p=0.044)と有意に高かった(Stroke誌2012年8月号の掲載報告)。Kojima G, et al. Stroke. 2012; 43: 2163-2167.

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低血糖の閾値を感知する機能が付帯したインスリンポンプの有用性(コメンテーター:吉岡 成人 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(119)より-

1型糖尿病患者を対象とした大規模臨床研究であるDCCT(Diabetes Control and Complications Trial)の発表以来、厳格な血糖管理によって糖尿病患者のQOLに大きな影響を与える細小血管障害の発症・進展が抑止しうることが確認されている。糖尿病のケアにおいて、内因性インスリン分泌能が枯渇した1型糖尿病患者であっても、出来うるかぎりの厳格な血糖管理をめざすことが必要である。しかし、厳格な血糖管理と低血糖、とくに、第三者の助けを借りなくてはいけないような重症低血糖は表裏一体の関係にあり、低血糖を起こさずに厳格な管理をめざすという「綱渡り」のような「名人芸」が求められている。 インスリンポンプのメーカーである米国メドトロニック社では、持続血糖測定器と同様の血糖値のセンサーを付帯し、あらかじめ設定した閾値以下の血糖値となるとインスリンの注入が自動的に停止されるポンプ(MiniMed 530Gシステム)を開発した。欧州ではすでに臨床応用され、米国でも食品医薬品局(FDA)の承認をめざしている。その有用性を検討したのが本試験であり、2013年6月の第73回米国糖尿病学会で報告され、6月23日にはNew England Journal of Medicine 誌にEpub ahead of print として掲載された。 夜間低血糖の既往がある247例の1型糖尿病(17歳から70歳、罹病期間は2年以上、HbA1c値5.8~10.0%)を対象とした、多施設共同無作為化対照オープンラベル試験であり、3ヵ月間の試験期間における有用性を検討した成績である。主要安全性アウトカムはHbA1c値の変化であり、主要有効性アウトカムは夜間低血糖の発生についての曲線下面積(AUC:Area Under the Curve, mg/dL×分, 低血糖の程度と持続した時間の積)で評価している。 その結果、両群でHbA1cに差はなかったものの、低血糖の閾値を感知してインスリンの注入を中断する機能が付帯したポンプでは、平均AUCが980±1,200mg/dL×分(対照群では1,658±1,995mg/dL×分) と有意に少なく、70mg/dL未満の低血糖の頻度についても、夜間であっても終日であっても、低血糖の閾値を感知するポンプで有意に少なかった。また、夜間においてインスリンポンプが停止した1,438例の、停止2時間後の平均血糖値は92.6±40.7mg/dLであり、糖尿病ケトアシドーシスを発症した例は1例もなかったと報告されている。 日本におけるfeasibilityについては今後の検討課題であるが、低血糖を感知してインスリン注入を自動停止する機能をもつインスリンポンプは、CSII(Continuous Subcutaneous Insulin Infusion)を行っている患者に新たなる福音をもたらす可能性があるものとして期待される。

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医療従事者の針刺し損傷年間5万件を防ぐ!

 7月16日(火)、大手町サンケイプラザにおいて「医療現場における血液・体液曝露の危機的現状と課題 -医療従事者や患者の感染予防に向けて-」と題して、職業感染制御研究会主催によるメディアセミナーが開催された。 セミナーでは、研究会より木村 哲氏 (東京医療保健大学 学長)と3名の演者が、わが国の医療現場における医療従事者の患者からの血液・体液曝露、ウイルス感染の現状について講演を行った。「針刺し予防の日(8月30日)」を制定 はじめに木村 哲氏が、同会の軌跡を説明し、「現在も医療従事者の血液・体液の曝露や針刺し損傷が年間5万件以上報告され、推計でも20万件近くあるとされる。最近では、在宅医療の普及で患者家族の損傷も報告されている。こうした状況の中で、今後も事故防止、感染リスクの低減に努めるべく、活動の一環として8月30日を『針刺し予防の日』に制定し、今後も事故予防の活動を広く推進していきたい」と今回のセミナーの意義を説明した。適切な器具、教育、システムで防ぐ事故と感染 吉川 徹氏(公益財団法人労働科学研究所 副所長)は、「針刺しによる医療従事者の職業感染と患者への院内感染防止の課題と対策」と題して、針刺し予防と対策の概要について講演を行った。 わが国では年間推計5万件以上の針刺し損傷が発生しており、血液媒介病原体への新規感染の約3分の1が医療関連感染であるという。事例として、ある医療機関の看護師が、採血時の針刺し損傷により患者血液からC型肝炎に感染した例が紹介され、「これは医療現場で生じる労働災害であり、医療機関の安全配慮義務も問題となる」と解説が行われた。 肝炎感染対策では、アメリカの取り組みを例に、予防として手袋・ゴーグル着用での曝露予防の徹底、機器使い捨てのシステム化、安全装置付きの機器の開発・使用、ワクチンの開発など数々の取り組みが行われた結果、医療従事者の感染率が低下したことが報告された。また、アメリカ、EUなどの先進国では、感染予防を法制化し、効果を上げていることが紹介された。 今後の課題としては、厚生労働省の院内感染防止の通達(リキャップ禁止、廃棄容器の適切配置、安全機材の活用)の実効性を上げるためにも、「臨床現場への安全機材の普及を推進し、機材の認知、導入、トレーニングを通じて、針刺し損傷やウイルス感染の撲滅を目指していきたい」と抱負を述べた。インスリン注射はリスクの高い処置 満田年宏氏(公立大学法人横浜市立大学附属病院 感染制御部 部長・准教授)は、「国内外の医療環境における針刺し切創の現状と課題」と題し、臨床現場での具体的な課題について講演を行った。 はじめにB/C型肝炎、HIVの患者動向と国内外での感染状況を説明、医療従事者から患者に感染させる場合もあり、医療従事者の接し方についても今後は配慮が必要と問題を提起した。 次に臨床現場では、安全機材の価格が高価なことや安全機材への認識不足などの理由により安全機能付きの鋭利機材(例.予防接種の針、通常の注射器と針、インスリン注入器の針)がまだ普及しない現状が説明された。また、糖尿病患者は、インスリンや透析など頻回に注射器にさらされることで、肝炎への感染リスクが高いことを指摘。これらを踏まえたうえで、全国集計のデータから看護師が患者にインスリン注射をした時の針刺し損傷報告が1年間に6,675件あったとレポートした。インスリンの注射処置は、リスクの高い処置であり、「医療従事者は、より高いレベルで安全配慮に気を配らなければ、肝炎などに感染するリスクが高くなる」と警鐘を鳴らした。(参考動画: 針刺し防止ビデオ) 最後に、わが国おいても早急にワン・アンド・オンリー(1本の針、注射器、1回の使用)の実現、安全機能付き機材使用時の保険点数化による普及促進を目指し、感染制御ができる体制になることを望みたい、と訴えた。入職(実習)前に接種しておきたいHBワクチン 李 宗子氏(神戸大学医学部附属病院 看護部・感染制御部 感染管理認定看護師)は、「針刺し防止のために求められるもの」と題し、医療現場での事故防止、感染防止の具体的な方策について説明した。 わが国の「エイズ拠点病院」の安全機材導入状況について説明し、安全意識が高いとされるこうした施設においても、安全機材の導入は100%ではなく、全国的にみればまだ安全機材への意識付け、導入が低いことを示唆した。 そして、独自の統計で2004年度と2010年度の100床あたりの針刺し損傷件数の平均値比較では、229件 → 69件と全体的に下がっており、医療機関での啓発活動などが功を奏していることが報告された。また、職種別針刺し発生頻度では(2010年度、n=62)、看護師が実数では一番多いものの職種の構成割合で分析した結果、研修医、医師、看護師、臨床検査技師の順で発生頻度が多いことが説明された。なかでも針刺しが多い原因機材は、使い捨て注射器(針)、縫合針、ペン型インスリン注射針などであることがレポートされた。 次に、針刺し損傷後に問題となる肝炎感染について、「入職時に肝炎ワクチンの接種を行うが、効果の発現までインターバルがあり、そのインターバルの間に不慣れゆえに事故が起こっていて、ワクチンの効果が期待できないでいる。入職前にワクチンを接種するなど、医療機関だけでなく社会全体の取り組みが必要」と問題を提起した。 最後に事故防止への取り組みとして、「入職(実習)前のワクチン接種と安全機材を含む医療機材の普及とトレーニングが必要であるが、実効性を持たせるためにも、1日も早く法令などで整備を行ってもらいたい」と述べ、講演を終えた。職業感染制御研究会について 1994 年に設立。医学・医療関係者の職業感染制御に関心を持つ個人と組織で構成され、針刺し損傷に代表される医療従事者の血液感染をより減少させることを目的に幅広く活動中。詳しくはこちら

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Vol. 1 No. 2 CGM(continuous glucose monitoring)からみた薬物療法

西村 理明 氏東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科米国ピッツバーグ大学公衆衛生大学院はじめに糖尿病の治療目標は、糖尿病をできるだけ早期に発見し、かつ血糖値をできる限り正常に近づけ、糖尿病の合併症の発症を阻止すること、さらに合併症がすでにある場合はその進展を止めることである。現在、糖尿病患者における血糖コントロール指標として主にHbA1cと血糖値が用いられている。しかし、HbA1cは基本的に、長期にわたる血糖変動の平均値を反映する指標である1)。従って、日々の細かな血糖変動をあまり反映しない2)。現在、糖尿病患者の血糖変動を把握するための一般的な手段は、血糖自己測定(self monitoring of blood glucose:SMBG)である。しかし、SMBGは測定時点の血糖値を把握することはできるが、あくまでも測定時点における血糖値であり、測定時点の血糖値がはたして上昇傾向にあるか、変化がないのか、下降傾向にあるのかを推測することは困難である。本項では、CGMの原理ならびにわが国で使用可能な機器に触れ、次にCGMから見た各経口血糖降下薬の薬効に触れる。CGM(continuous glucose monitoring)とは1990年代後半に、前述したSMBGが抱える問題を連続測定により解決することを可能にした持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:CGM)機器が開発された。CGM機器は、皮下組織に留置したセンサー(専用の穿刺具により挿入する)を用いて、間質液中のグルコース濃度を連続して測定する。測定方法は、センサー中に含まれる酵素であるglucose oxidaseと、皮下組織間質液中のグルコースを連続的に反応させて電気信号に変換することによる。この間質液中のグルコース濃度の測定値と血糖値との間には乖離が生じるため、現時点では、すべての機器でSMBGを1日に1~4回程度行いその値を入力、もしくは利用することによる補正が必須である。この補正を行うことでCGMの測定値は血糖値に近似した値を連続して示すことが可能となる3)。いずれのCGMも、血糖値が上下するときの追随性、特に低血糖からの回復時の追随性が遅れるという問題を抱えている4,5)。厳密にいえば、CGM機器が実際に測定しているのは間質液中のグルコース濃度であり、血糖値ではない。しかし、CGM機器の測定値はSMBGの値に従って補正され血糖値に近似した値を示すことから、便宜上、本項ではCGM機器による測定値も血糖値と呼称する。現在、日本で使用が承認されているCGM機器は、Medtronic社が1999年にアメリカで販売を開始したメドトロニック ミニメド CGMS-Gold (以下CGMS)(図1)である6,7)。CGMSは10秒ごとに測定を行い、5分ごとの平均値を記録する。従って、1日288回の測定値が記録されるため、血糖の日内変動を把握するために十分な情報を得ることができる。本機器は、欧米より実に約10年遅れで日本における使用が正式に認可された。しかしながら、本機器は本体が大きく、防水でないため入浴時等の取り扱いに手間がかかり、穿刺したセンサーと本体をワイヤーで接続するため、装着時の被検者の負担が大きいという問題を抱えていた。最近、この問題を解決する、非常に小型のメドトロニックiPro®2(日本メドトロニック)が日本でも認可され、発売が開始された(図2)8)。本機器は、穿刺したセンサーと500円玉大の記録機器のみで構成されるため、装着時の負担がCGMSと比較し格段に軽減されており、かつ防水である。この機器により、CGMの使い勝手が格段に向上すると思われ、CGM機器の普及促進につながると信じている。図1 メドトロニック ミニメド CGMS-Gold(日本メドトロニック)(文献6,7より)画像を拡大する図2 メドトロニック iPro®2(日本メドトロニック)(文献8より)画像を拡大する薬物療法とCGM1. スルホニル尿素薬スルホニル尿素(SU)薬は、膵臓のβ細胞に存在するSUレセプターに長時間結合することでインスリンを放出する。SU薬は、この作用機序により強力に血糖値を下げ、結果としてHbA1cも低下することにより、わが国における糖尿病診療では今なお多用されている。しかしながら、膵臓からのインスリン分泌能が欧米人と比較して低いことが指摘されている日本人を含むアジア人に対して、SU薬を漫然と投与することは、膵臓のβ細胞の疲弊をもたらす可能性がある。CGMからみたSU薬の問題点は、食後の高血糖を抑制せず、主に夜間と夕食前に血糖値が低下する血糖値の谷を形成してしまうことである。SU薬高用量使用例における、典型的な血糖変動を示す。HbA1c(JDS値)が8.4%のため入院された77歳女性で、入院時グリベンクラミド(商品名:オイグルコン)を1日6.25mg内服(朝2.5mg、昼1.25mg、夕2.5mgの3回内服)されている方である。CGMを施行してみると、朝食後の血糖上昇が制御できず、朝食後には300mg/dLを超える血糖上昇が認められ、朝食後の血糖値のピークから夕食前まで血糖値は低下し、その低下幅は約150 mg/dLにもなること、さらには、夜間には無自覚の低血糖が観察された(本誌p33の図3を参照)9)。本症例は、(1)朝食後の血糖上昇を制御できないこと(2)夕食前に血糖が低下し、食欲が増加して結果として空腹感が増してしまい体重増加につながる可能性があること(3)HbA1cが高くても夜間に低血糖を起こす可能性があることという、SU薬の問題点を示している。2. 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)速効型インスリン分泌促進薬は、内服後短期間のみ膵臓のβ細胞を刺激しインスリンを分泌させる薬剤である。SU薬との薬効の差が顕著にみられた症例を示す。症例は55歳男性で、HbA1c(JDS値)が8%台を推移し、改善を認めないため入院された方である。入院前から内服していたミチグリニド(商品名:グルファスト)10mg 各食直前内服時の血糖変動をCGMにて評価した。その結果、食後の血糖上昇を含めた血糖変動幅はコントロールされているが、夜間ならびに各食前血糖値は200mg/dL前後と高い値を推移していることが判明した。この2日間における具体的な平均血糖値±SDは入院後2日目が210±23mg/dL、入院後3日目が211±27mg/dLである(本誌p33の図4を参照)。本症例では、内服回数を減らすべく、グリメピリド(商品名:アマリール)0.5mg朝1錠の内服に切り替え後2~3日目の血糖変動をCGMで評価している(本誌p33の図4を参照)。両者の血糖変動を比べると、グリメピリド内服時のほうが、ミチグリニド内服時と比較して、180mg/dL未満の部分の幅も180mg/dL以上の部分の幅も増加していることがわかる。180mg/dL未満の部分の増加に貢献している要因(つまり血糖値が改善している部分)に着目すると、ミチグリニド内服時と比較して、グリメピリド内服時には夕食前と夜間の血糖値が低下している。前項で示したSU薬高用量を使用している症例のCGMパターンと同じ時間帯の血糖値が低下している。一方、180mg/dL以上の部分が増加している要因に着目すると、グリメピリド内服時における食後の血糖上昇が、ミチグリニド内服時より顕著になっていることが明らかである。この2日間における、平均血糖値±SDは切り替え2日目が208±49mg/dL、切り替え3日目が202±35mg/dLであり、ミチグリニド内服時よりも平均血糖値が低下しているが、血糖変動幅(SD)は大きくなってしまう(夜間と夕方は血糖が低下するが、食後の血糖値が上昇してしまう)ことが明白である10)。本症例では、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)で肝障害の既往があるため、グリニド薬とビグアナイド薬であるメトホルミン(商品名:メトグルコ)と組み合わせたところ、血糖変動幅は変化しないまま平均血糖値が劇的に低下したため退院となった。3. α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)α-GIは炭水化物を分解する酵素の1つであるα-グルコシダーゼを阻害して炭水化物の吸収を遅らせることにより、食後の血糖上昇を抑制する薬剤である。その効果を示す症例を示す。52歳男性、HbA1c(JDS値)5.7%の方で、入院後にCGMを施行したところ食後の高血糖が著しいため(特に夕食後の血糖上昇のピーク値は300mg/dLに達している)、α-GIであるミグリトール(商品名:セイブル)50mg各食前投与を開始した。処方前3日間の血糖変動を処方直後の3日間の180mg/dLを超える部分の曲線下面積と比較すると、ミグリトール投与後には、180mg/dLを超えている面積が大幅に減少していることがわかる(本誌p34の図5を参照)9)。4. ビグアナイド薬ビグアナイド薬の代表はメトホルミンである。メトホルミンは、欧米のガイドラインにおいては2型糖尿病の薬物療法における第1選択薬とされている。ビグアナイド薬は主に、肝臓での糖新生の抑制、消化管からの糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン抵抗性の改善などの多彩な作用により血糖コントロールを改善する。それでは、メトホルミンの単独投与がどのように血糖変動を改善するのか、その1例を示す(図3)。39歳男性で入院時のBMIは28.8、HbA1c(JDS値)は9.3%であった。メトホルミン内服前の食事療法のみの時における平均血糖値±SDは、230±54mg/dLであった。メトホルミン750mg開始後7日目のCGMをみると、夜間ならびに食後血糖値すべてが改善していることがわかる。この日の平均血糖値±SDは、132±28mg/dLであった。本症例ではメトホルミンの内服により、平均血糖値は約100mg/dL、SDは半分程度にまで改善していた。本症例より、メトホルミンの効果発現は1週間程度でみられること、夜間ならびに食後血糖値も改善することが示されている。メトホルミンの食後血糖上昇抑制作用に関しては、インクレチン分泌作用による可能性が近年示されている11)。図3 2型糖尿病患者におけるメトホルミン投与前後の血糖改善効果(39歳男性)画像を拡大する5. チアゾリジン薬チアゾリジン薬は、インスリン抵抗性の改善を介して血糖コントロールを改善する。わが国で処方可能なチアゾリジン薬はピオグリタゾン(商品名:アクトス)のみであるが、ピオグリタゾンには心血管イベントの2次予防のエビデンスがあるため、インスリン抵抗性の改善ならびに心血管疾患の2次予防目的に頻用されている。ピオグリタゾンが奏効した方の血糖変動を示す(本誌p35の図7を参照)。症例は48歳男性で、すでに45歳時に心筋梗塞を発症している。糖尿病に関しては、2年前から循環器科でピオグリタゾン15mgが処方されていた。しかしながら、HbA1c(JDS値)が7.4%と十分に改善せず、心筋梗塞の再発予防のために入院となった。ピオグリタゾン15mg内服下で測定されたSMBGの値は極めて良好な値を示したため、血糖変動を検証するためにCGMを施行した。すると、食後の血糖上昇は抑制され、血糖変動は70~180mg/dLの範囲をほぼ推移していることが示された。この方のCGM施行中の平均血糖値±SDは145±22mg/dLであった9)。ピオグリタゾン単剤の投与前投与後のデータは、残念ながら持ち合わせていないが、おそらく、メトホルミンと同じような効果が見られると思われる。また、ピオグリタゾンの食後の血糖上昇抑制作用については明確な機序は示されていないが、肝臓のインスリン抵抗性の改善が影響している可能性がある。6. DPP-4阻害薬DPP-4阻害薬は、インスリン分泌を促進するホルモンであるインクレチン(GLP-1、GIP)の分解酵素であるDPP-4の働きを阻害することにより、血中のインクレチン濃度を高め、血糖降下作用を発揮する薬剤である。わが国において最初に販売されたDPP-4阻害薬であるシタグリプチン(商品名:ジャヌビアもしくはグラクティブ)の効果をCGMで観察した症例を示す。2型糖尿病の39歳男性で、入院時のHbA1c(JDS値)は6.8%の方である。食事療法のみの時の血糖変動と、シタグリプチン50mg開始後8日目のCGMデータを比較検討した(本誌p36の図8を参照)。シタグリプチンの内服にて、各食後の血糖上昇が抑制され、夜間の血糖値の推移が食事療法時は上昇傾向であったのが、平坦化していることが一目瞭然である12,13)。おわりに糖尿病患者の血糖変動パターンは極めて多彩である。従って、HbA1c値の低下のみを目指した杓子定規な薬物の選択によって、糖尿病患者の血糖変動を制御し、耐糖能正常者の血糖変動パターンに近づけることは極めて困難であると思われる。CGMからみた、理想的な経口血糖降下薬の組み合わせは、低血糖を起こしにくいα-GI、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬を中心に組み立て、必要であれば、グリニド薬を追加し、SU薬がどうしても必要であれば少量のみ使用するのが望ましいと個人的には考えている。糖尿病症例における血糖変動パターンにはおそらく個人差があり、将来的には糖尿病患者全員にCGMを施行し、このパターンをソフトウェアが解析して、ここで示したような各薬剤のCGMデータを元に最適な薬物療法、さらには薬物の組み合わせが提案され、主治医と患者が相談しながら治療法を選択する、テーラーメイド医療の時代が来ると思われる。文献1)Nathan DM, Kuenen J, Borg R, et al. A1c-Derived Average Glucose Study Group. Translating the A1c assay into estimated average glucose values. Diabetes Care 2008; 31(8): 1473-14782)Del Prato S. In search of normoglycaemia in diabetes: controlling postprandial glucose. Int J Obes Relat Metab Disord 2002; 26 Suppl 3: S9-173)Boyne MS, Silver DM, Kaplan J, et al. Timing of changes in interstitial and venous blood glucose measured with a continuous subcutaneous glucose sensor. Diabetes 2003; 52(11): 2790-27944)Cheyne EH, Cavan DA, Kerr D. Performance of a continuous glucose monitoring system during controlled hypoglycaemia in healthy volunteers. Diabetes Technol Ther. 2002; 4(5): 607-6135)Wolper t H A . Use of continuous glucose monitoring in the detection and prevention of hypoglycemia. J Diabetes Sci Technol 2007; 1(1): 146-1506)http://www.medtronic.com/country/japan/hcp/secure/diabetes/productinfo/cgms-gold.html7)http://www.medtronic.com/newsroom/content/1100187878655.low_resolution.jpg8)http://www.medtronic-diabetes.co.uk/productinformation/ipro-2.html9)西村理明. CGM 持続血糖モニターが切り開く世界 改訂版. 医薬ジャーナル社(東京), 201110)西村理明. CGM を用いた入院中の血糖管理. レジデント 2010; 3(11) : 104-11211)Migoya EM, Bergeron R , Miller JL , et al. Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors administered in combination with metformin result in an additive increase in the plasma concentration of active GLP-1. Clin Pharmacol Ther 2010; 88(6): 801-80812)Sakamoto M. Analysis of 24-hour antihyperglycemic effect in type 2 diabetes mellitus treating with dipeptidyl peptidase-4 (DPP4) inhibitor (sitagliptin) compare to alphaglucosidase inhibitor (voglibose): A case report using continuous glucose monitoring (CGM). Infusystems Asia 2010; 5: 31-3213)西村理明. 持続血糖モニター(CGM)機器とその血糖変動指標. 糖尿病レクチャー 糖尿病診断基準2010; 1(3): 533-539

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患者自身による「きめ細やかな基礎インスリンの用量調節」がカギ!

 2013年7月9日(火)、サノフィ株式会社による「2型糖尿病の最適な血糖コントロール」をテーマとしたメディアセミナーが開催された。演者の東京医科大学内科学第三講座 主任教授の小田原 雅人氏は、6月21日~25日に米国シカゴで開催された米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会において発表されたATLAS(Asian Treat to target Lantus Study)の意義について語り、「血糖コントロールが不十分な患者自身が基礎インスリンの用量調節を行った場合でも、良好な血糖コントロールが得られることが明らかになった」と述べた。インスリン療法の現状 インスリンは固定用量で投与する薬剤ではなく、血糖コントロールや病態に合わせて適切な用量に調節する必要がある。しかし、血糖コントロールが不十分であるにもかかわらず、初期投与量のまま増量していなかったり、専門医が設定した用量のまま漫然と継続していたりすることが多い。 今年、ADA年次学術集会で発表されたATLASは、基礎インスリンの用量調節に関する試験である。本試験はアジア人を対象とした試験ということもあり、今回のエビデンスは、わが国の2型糖尿病患者におけるインスリンの用量調節のあり方について、少なからず影響を与えるものと考えられる。ATLASの概要 ATLASは日本人を含むアジア人552例を対象に、インスリン グラルギンの新規導入時に医師主導もしくは患者主導で用量調節を行った場合の有効性を比較した試験である。両群とも同じアルゴリズムを用いて、空腹時血糖値が110mg/dLとなるようにインスリンの用量調節を行った。試験の結果、血糖値の相対的な低下度は、患者主導群の方が大きかった。また、重症低血糖の発現率は、患者主導群と医師主導群で差を認めなかった。夜間低血糖、症候性低血糖の発現率はいずれも患者主導群で高かったが、患者教育を行うことで対処が可能であった。まとめ 基礎インスリンの適切な用量調節を阻む要因は大きく分けて、「治療目標の認識不足」、「用量調節の指標がないこと」、そして「低血糖への恐れ」の3つであるという。現在は日本糖尿病学会のガイドラインにおいて、国内外における状況やエビデンスをふまえた血糖コントロール目標値が設定されているため、それぞれの患者に合った目標値を目指して治療を行うことが可能である。 また、ATLASの結果から、患者自身が簡易なアルゴリズムを用いて基礎インスリンの用量調節を行っても医師主導の治療に劣らない血糖コントロール効果が得られること、重症低血糖の発現率も差がないことが明らかになった。今後は基礎インスリンの積極的な用量調節を行い、患者のHbA1cをできるだけ健常人に近づけることが、合併症の発症・進展抑制、健常人と変わらない寿命・QOLの確保につながるのではないだろうか。

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