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大人のアトピー治療、臨床からのエビデンス

 国際医療福祉大学病院 皮膚科 教授の大塚 勤氏は、臨床における成人アトピー性皮膚炎(AD)患者への、経口シクロスポリン治療と抗ヒスタミン薬治療の評価を行った。結果、両者を組み合わせた治療がより有効であることを報告した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年10月14日号の掲載報告。 臨床においては多くの成人AD患者が、経口シクロスポリンまたは抗ヒスタミン薬の治療を受けている。大塚氏は、両治療の臨床および検査所見による効果の評価を行った。 25例の経口シクロスポリン治療を受けたAD患者(うち男性11例、16~42歳、平均26.2歳)と、23例の抗ヒスタミン薬治療を受けたAD患者(うち男性10例、15~32歳、平均年齢24.2歳)が対象であった。 検査所見は、高感度CRP、TARCなどで統計的に検討した。 主な結果は以下のとおり。・血清TARCは、経口シクロスポリン治療後(1,013±883pg/mL)が、治療前(3万8,194±4,678pg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.02)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(49.7±26.4×10-3個/μL)が、治療前(41.1±16.7×10-3個/μL)と比べてより有意な増加を示した(p<0.05)。・血清高感度CRP値は、抗ヒスタミン薬治療後(0.09±0.08mg/mL)が、治療前(0.13±0.12mg/mL)と比べて有意な減少を示した(p<0.05)。・末梢血好塩基球値は、同治療後(33.4 ±16.2×10-3個/μL)が、治療前(41.5±23.3×10-3個/μL)より有意に減少した(p<0.01)。

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日本初かつ唯一の医療用まつ毛育毛剤が発売

 2014年10月15日、睫毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ外用液剤0.03%5mL(一般名:ビマトプロスト)」の発売記者発表会が都内にて行われた。 アラガン・ジャパン株式会社と塩野義製薬株式会社の担当者、および東京ミッドタウン皮膚科形成外科Noage(ノアージュ)院長 今泉 明子氏により製品概要が紹介された。 本剤は、アラガン・ジャパン株式会社が医療用医薬品として製造販売承認を受けた、国内初かつ唯一の睫毛貧毛症治療薬で、9月29日に発売された。共同販売契約を締結している塩野義製薬株式会社は10月20日より発売を開始する。睫毛貧毛症とは 睫毛貧毛症とは、睫毛が不足または不十分な状態であることを特徴とする疾患である。原因は多岐にわたるが、加齢などの特発性要因、アトピー性皮膚炎などの眼周囲の皮膚炎や感染症、自己免疫疾患、抗がん剤などの薬剤により誘発されて生じる。 これまで、日本国内では適応を有する医療用医薬品はなく、個人輸入などによって未承認の薬剤を購入して使用することがあった。承認を取得した睫毛育毛剤 グラッシュビスタは保険適用外医薬品となるが、医師の処方箋が必要な医療用医薬品である。価格は各医療機関で設定できる。 有効成分であるビマトプロスト(Prostaglandin F2α誘導体)が睫毛の毛包に作用し、毛周期における成長期を延長することにより、睫毛の成長を促進する。その結果、睫毛の長さ、太さ、濃さを改善すると考えられている。 ただし、発毛可能な毛包が存在しない場合は、本来の効果が得られない。 なお、このビマトプロストは緑内障・高眼圧症治療薬の開発中に、有害事象として睫毛の成長が報告されたことから、睫毛貧毛症治療薬として着目、開発された。臨床試験●国内第III相試験デザイン 方法:多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験 対象:特発性睫毛貧毛症患者(173例) 評価:GEA-J評価(日本人用画像数値化付き総合的睫毛評価スケール)による睫毛の全般的な「際立ち度」、デジタル画像による長さ・太さ・色の濃さの解析、9項目の睫毛満足度質問票(ESQ-9)●有効性(4ヵ月時点) GEA-J評価:1段階以上の改善の割合は、ビマトプロスト群77.3%、プラセボ群17.6%(p<0.01) デジタル画像解析:長さ/太さ/濃さの変化量は、ビマトプロスト群1.62mm/0.35mm2/-12.02(明度単位※)、プラセボ群-0.04mm/-0.03mm2/1.38(明度単位)(各々p

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生後すぐからのスキンケア、アトピーを予防

 ノルウェー・Oestfold Hospital TrustのB.K. Kvenshagen氏らは、乳児を対象とした検討において、早期のスキンケアが皮膚を正常化して乾燥化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の予防につながるかを検討した。結果、定期的なオイル浴を行うことが皮膚の硬化を防ぎ、アトピー性皮膚炎の防止につながる可能性が示唆されたことを報告した。Allergologia et Immunopathologia誌オンライン版2014年9月5日号の掲載報告。 北方諸国では、小児の約20%でアトピー性皮膚炎が認められ、多くは乳児の初期に発症し、皮膚バリアに障害が生じており、乾燥肌、皮膚の脂質層の破壊などが特徴的にみられるという。 アトピー性皮膚炎治療において、軟膏薬塗布および/またはオイル浴による皮膚バリアの改善は重要な位置を占めるが、それらが皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎の予防に有用なのかは明らかではなかった。研究グループは、それらの早期介入により生後6ヵ月時点までに、皮膚の乾燥やアトピー性皮膚炎発症の低減が可能かどうかを検討するパイロット研究を行った。 被験者は、生後6週の乳児で、アトピー性皮膚炎は認められなかったが皮膚の乾燥がみられた56例を対象とした。 皮膚の質尺度0(正常肌)~4(アトピー性皮膚炎の可能性)を用いて、試験開始時、3、6ヵ月時点で評価を行った。主要アウトカムは、6ヵ月時点の評価とした。 ベビークリニック1施設においてスキンケアを頻繁に行う介入(オイル浴[0.5dL]とフェイシャル・ファット・クリーム塗布)を行い、5施設では経過観察のみを行った。 主な結果は以下のとおり。・介入群(24例)は観察群より、6ヵ月時点で皮膚が正常化した乳児が有意に多く(75%vs.37.5%、p<0.001)、アトピー性皮膚炎の可能性が示唆された割合が低かった(4.0%vs. 19.0%、ns)。・オイル浴は、介入群では定期的に2~4回/週、最大5~7回/週まで行われた。観察群ではオイルは少量で回数も少なかった。・有害事象は報告されなかった。

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慢性蕁麻疹に対する抑肝散の期待

 抑肝散が慢性蕁麻疹を抑制させるメカニズムについての調査を、九州大学の山村 和彦氏らが行った。 7種の生薬からなる漢方薬の抑肝散は神経症や不眠、小児の夜泣きに用いられる漢方薬で、近年、認知症などの精神・神経領域でも応用されている。目的:治療抵抗性の慢性蕁麻疹への抑肝散薬効メカニズムを検討 抑肝散は、アトピー性皮膚炎様の皮膚病変を有するNC/Ngaマウスにおいて、増悪の抑制に有用との報告がある。著者らは、治療抵抗性の慢性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬と抑肝散の併用投与を行い、その有用性を認めていたが、メカニズムは不明であった。 そこで、肥満細胞での抑肝散の薬効メカニズムを検討するため、山村氏らはin vitroにおいてラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)を用いて調査した。方法:in vitroにおいて肥満細胞への薬効メカニズムを調査 脱顆粒の指標として、β-ヘキソサミニダーゼと細胞内カルシウム濃度を測定した。サイトカイン(TNF-α、IL-4)測定はELISA法で細胞培養培地を用いて行われた。 上記に加え、遺伝子転写および免疫組織学的解析により、ヒト皮膚微小血管内皮細胞における細胞接着分子(ICAM-1、VCAM-1、E-selectin)やサイトカイン(IL-8)発現に対する抑肝散の効果を検討した。結果:炎症性サイトカインの放出を抑制 抑肝散はβ-ヘキソサミニダーゼ分泌、細胞内カルシウムの濃度上昇、TNF-αおよびICAM-1産生を抑制した。 これらにより、抑肝散のいくつかの成分が重要なエフェクターとなっていることが示唆された。考察:肥満細胞に関連するアレルギー疾患に期待 蕁麻疹などの皮膚病変は、肥満細胞の脱顆粒によるヒスタミンを中心としたケミカルメディエーターと強く関連していることが知られている。 抑肝散は、脱顆粒やカルシウム濃度上昇といった肥満細胞の機能を抑制し、最終的には炎症性サイトカインの放出を抑制した。さらに、抑肝散はヒト皮膚微小血管内皮細胞のICAM-1の発現を抑制した。 これらの結果より、抑肝散は肥満細胞に関連するアレルギー疾患に有用である可能性が示唆される。

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アトピーの重症度・慢性度に関わるタンパク質

 横浜市立大学皮膚科学のK. Kou氏、教授・相原道子氏らは、アトピー性皮膚炎(AD)患者におけるペリオスチン値と疾患重症度および慢性度との関連を調べた。結果、ペリオスチンがADの重症度と慢性度に重大な役割を果たす可能性があることを明らかにした。British Journal of Dermatology誌2014年8月号(オンライン版2014年8月5日号)の掲載報告。 ペリオスチンは、Th2型サイトカインにより誘発される細胞外タンパク質である。最近の知見において、ADの重症度と慢性度に重大な役割を果たす可能性が示されていた。研究グループは、成人AD患者における臨床表現型と血清ペリオスチン値が関連しているかを調べた。 ELISA法でAD成人257例と、疾患対照群として尋常性乾癬(PV)患者66例、および健康対照25例の血清ペリオスチン値を調べた。 血清ペリオスチン値について、臨床特性およびTARC、LDH、好酸球数、総IgE値など検査値特性の両者で分析した。また、免疫組織化学的分析で、ペリオスチンの発現とADのさまざまな臨床表現型との関連を評価。血清ペリオスチン値における治療効果についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・血清ペリオスチン値は、PV患者および健常対照よりもAD患者で、有意に高かった。・ペリオスチン値は、IgE値を除き、重症度、TARC値、LDH値、好酸球数と明らかな関連が認められた。・内因性AD患者と比較し、外因性AD患者において、より高値の血清ペリオスチン値が観察された。・重症度との正の相関性は、内因性AD患者でみられなかった。・ペリオスチンの発現は、紅皮症、苔蘚化、より小範囲では、うろこ状の紅斑を有したAD患者ほど強く検出された。・血清ペリオスチンの連続測定により、AD治療後のペリオスチン値は低下することが示された。

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【寄稿】GERDとの鑑別が必要な好酸球性食道炎

概説好酸球性食道炎は、食道上皮に好酸球を中心とした炎症が持続することによって、嚥下困難や食事のつかえ感などの症状を生じ、食道の運動・知覚異常、狭窄などを合併する慢性アレルギー疾患である。原因として食物や気道抗原に対する過剰な免疫応答が想定されているが、まだ原因や病態については十分に解明されていない。欧米では1990年代以降、急激な増加傾向を示しており、最近の報告では、年間の発症率が人口10万人あたり10人に達し、有病率も人口10万人あたり50人程度となっている。一方、本邦では欧米に比して非常にまれな疾患と考えられていたが、ここ数年、成人例での報告例が増加している。本疾患は胸焼けを主訴とすることもあり、胃食道逆流症(GERD)との鑑別が重要となる。内視鏡的には縦走溝・リング・白色滲出物といった特徴的な所見を呈し、逆流性食道炎に見られる粘膜傷害(mucosal break)とは異なる。確定診断には食道上皮からの生検を行い、高倍率視野で15~20個以上の好酸球浸潤を証明することが必要である。プロトンポンプ阻害薬(PPI)治療によってもGERD症状が改善しない症例の1割弱には、好酸球性食道炎が含まれていると報告されており、治療抵抗性GERDの鑑別疾患として念頭に置く必要がある。疫学本疾患は1970年代に初めて報告され、1990年代前半までは、まれな疾患と考えられていたが、その後、欧米において急激な有病率・罹患率の増加が認められるようになった。また、当初は小児に多い疾患と考えられていたが、最近では成人例の報告が目立つようになっている。最近の米国の報告では有病率は人口10万人あたり50人を超している1)。一方、本邦では、2006年に初めて成人例において本疾患が報告された2)。当時は非常にまれな疾患と考えられていたが、ここ数年、とくに成人例での報告例が増えてきている。2011年に内視鏡約5,000例あたり1例の頻度で好酸球性食道炎が認められることが報告された3)が、最近では、さらにその頻度は増加していると考えられる。われわれの最近の検討では、食事のつかえ感や胸焼けなどの症状を主訴として内視鏡検査を施行した319例について、食道からの生検を行い、8例(2.5%)に15個以上/高倍率視野の食道好酸球浸潤が認められた4)。疫学的な特徴として、30~50代に多く、70~80%が男性であることが示されている5)。また、患者の半数以上に喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の合併が見られる。PPI治療に抵抗を示すGERD症例に含まれる好酸球性食道炎の頻度に関する調査では、0.9~8.8%が好酸球性食道炎であったと報告されている6)。大規模な検討はなく、頻度にばらつきはあるが、PPI抵抗性GERDの1割弱に好酸球性食道炎が含まれていることが示されている。病態食物や空気中の抗原をアレルゲンとして食道上皮局所において過剰な免疫応答(アレルギー)が生じ、好酸球を中心とした慢性的な炎症が惹起されると想定されている。本疾患では、IgEを介する即時型アレルギー反応よりも、Tリンパ球を中心とした細胞性免疫の作用による非即時型のアレルギー反応が重要であることが示されている。最近の研究から、アレルギー機序に関与するいくつかの遺伝子の多型が発症に関連することが明らかにされつつある7)。症状本疾患は小児および成人で特徴的な症状が異なる。乳幼児期では、哺乳障害や発育の遅れが見られる。学童期から青年期においては、腹痛、嘔気、嘔吐などの非特異的な症状を伴うことが多い。成人例では嚥下障害や食事のつかえ感を生じることが多く、food impactionと呼ばれる食物塊の食道への嵌頓を生じる例も見られる。しかし、胸焼けや呑酸などGERDに典型的な症状を主訴とすることもあり、症状のみから、GERDと鑑別することは困難である。最近、人間ドックなどの無症状者の検診例において、典型的な好酸球性食道炎の内視鏡像を呈し、生検で食道好酸球浸潤を認めるケースも見られるようになっている。診断本疾患の診断は、食道に起因するさまざまな症状を有する例に上部消化管内視鏡検査を行い、食道に特徴的な内視鏡所見を確認し、生検で食道上皮への好酸球浸潤(高倍率視野で15~20個以上)を認めることによってなされる。本邦で作成された診断基準(案)を表1に示す6)。胸部CTで食道壁の肥厚を指摘されることが診断の契機となることもある。末梢血の好酸球増多を示すことは少ない。末梢血IgEは約70%の症例で増加を認めるが、併存するアレルギー疾患の関与によるものが大きいと考えられ、本疾患に特異的なものではない8)。内視鏡で特徴的に認められる所見は縦走溝、リング、白色滲出物である。このうち、縦走溝は本疾患において最も典型的な画像所見であり、逆流性食道炎の際に認められる粘膜傷害(mucosal break)と鑑別可能である(図1)。以前の報告では約30%の症例では内視鏡的な異常を示さないと報告されていたが、最近の報告では90%以上の症例で上記のいずれかの内視鏡所見を示すことが報告されている9)。生検時の注意点として、食道粘膜における好酸球の分布は不均一であり、生検1個での診断感度は50%程度とされ、ガイドラインでは2~4個の生検が必要と示されている。表1を拡大する図1を拡大する米国のガイドラインによる好酸球性食道炎の診断プロセスを図2に示す10)。生検で食道好酸球浸潤を認めた場合、まず、薬剤性や感染性など二次性の原因を除外する。好酸球性食道炎は、消化管のうちで食道のみに好酸球浸潤を来すことが特徴であり、好酸球浸潤が食道のみでなく、胃や小腸へも認められた場合は、好酸球性胃腸炎と診断される。したがって、診断には胃・十二指腸からの生検も必要となる。次のステップとして、PPIの有効性の評価が行われる。高用量PPIの2ヵ月間投与後に再度、内視鏡検査・病理検査を行い、改善の認められた症例はPPI反応性食道好酸球浸潤と診断され、好酸球性食道炎とは区別されて扱われる。したがって、好酸球性食道炎の診断には、PPIが無効であることが含まれている。一方、本邦では、好酸球性食道炎がまれな疾患であり、多くの場合、PPIが有効であることから、PPIの有効性によって診断の区別をしていない。今後、疾患のより詳細な解析を踏まえて、新たな診断基準の作成が必要である。図2を拡大する治療食事療法と薬物療法が中心となる。食事療法としては、原因となる食物アレルゲンを除去することが有効であるとされており、欧米では成分栄養食やアレルゲンとなる頻度の高い6種類(牛乳、小麦、卵、大豆、ナッツ類、魚介類)の食品を除いた6種抗原除去食(six food elimination diet: SFED)が治療に用いられている。最近の食事療法に関するシステマティックレビューによると、成分栄養食で90.8%、SFEDで72.1%の症例で有効であったことが報告されている11)。一方、血清中の抗原特異的IgEや皮膚のプリックテストやパッチテストによって同定されたアレルゲンに対する食事療法は有効でないことが示されており、SFEDが有効であった場合は、1種類ずつ再開し、時間をかけて原因となる食物を同定する必要がある。また、入院中は食事療法が奏効しても、退院後の継続性に問題があることが指摘されている。日本人を対象とした有効性に関する報告はまだなされていない。上述のように、欧米のガイドラインでは好酸球性食道炎はPPIが無効であることが診断基準に含まれている。しかしながら、最近の検討ではPPIが酸分泌抑制効果以外に、免疫調節作用を有しており、食道への好酸球浸潤の誘導を抑制する効果を持つことが報告されている。また、酸性条件下では、病態に関与するサイトカイン(IL-13)の作用が増強することが示されており、PPIが好酸球性食道炎の病態改善に寄与することが推測されている。したがって、食道好酸球浸潤症例の治療にはPPIを第一選択として使用すべきと考えられる(保険適用外)。PPIが無効の場合は、ステロイド投与を行う。投与方法として、気管支喘息の治療に用いられる局所作用ステロイドであるフルチカゾンやブデソニドを吸入ではなく、口腔内に投薬し、唾液と共に嚥下させる方法による治療が行われている(保険適用外)。この方法は、内服による全身投与に比して、副作用の面からも有効であると考えられるが、その効果は必ずしも十分でないとする報告もある。局所作用ステロイドで十分な効果が得られない場合は、プレドニゾロンなどの全身作用ステロイドの投与が行われる(保険適用外)が、投与開始量や減量方法などについて、十分なコンセンサスは得られていない。投与の際は、副作用についての十分な注意が必要である。その他、抗アレルギー薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などの治療成績が報告されているが、効果は限定的と考えられている。予後一般に、軽快と増悪を繰り返し、完全に治癒することは少ないとされる。これまでに悪性化の報告はなく、比較的予後は良好であると考えられているが、長期経過に関する報告はまだ少ないため、自然史については不明な点も多い。GERDとの鑑別のポイントGERDと好酸球性食道炎の臨床像の特徴を表2に示す。好酸球性食道炎は中年男性に好発し、アレルギー疾患の合併を半数以上に認め、食事のつかえ感が主訴となることが最も多いが、胸焼けや呑酸を訴えることもある。好酸球性食道炎では90%以上に内視鏡的に特徴的な所見を認めることが最近の報告で示されており、本疾患を念頭に置いて食道を詳細に観察することが重要である。また、GERD症状に対してPPIが有効でない症例においては、食道からの生検を行い、好酸球浸潤の有無を評価すべきである。GERDと好酸球性食道炎はオーバーラップすることもある(図3)。PPIはどちらの病態に対しても有効に作用することが示されており、PPI治療は第一選択となる。現在の欧米のガイドラインではPPI無効例のみを好酸球性食道炎と定義しているが、好酸球性食道炎とPPI反応性食道好酸球浸潤を症状、内視鏡像、病理像から鑑別することは困難であることが報告されており、疾患概念の見直しの必要性が指摘されている。表2を拡大する図3を拡大する引用文献1)Dellon ES, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2014;12:589-596.2)Furuta K, et al. J Gastroenterol. 2006;41:706-710.3)Fujishiro H, et al. J Gastroenterol. 2011;46:1142-1144.4)Shimura S, et al. Digestion. 2014(in press).5)Kinoshita Y, et al. J Gastroenterol. 2013;48:333-339.6)木下芳一ほか. 日本消化器病学会雑誌. 2013;110:953-964.7)石村典久ほか. 分子消化器病. 2013;10:157-165.8)Ishimura N, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2013;28:1306-1313.9)Ishimura N, et al. J Gastroenterol Hepatol. 2014(in press).10)Dellon ES, et al. Am J Gastroenterol. 2013;108:679-692.11)Arias A, et al. Gastroenterology. 2014;146:1639-1648.

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手湿疹リスクが高いのはどんな人?

 小児期に手湿疹やアトピー性皮膚炎との関連が高く、水仕事に就いており、乳幼児の子育てをしている28~30歳の人で、手湿疹の発生率および有病率が高いことが明らかにされた。南デンマーク大学のC.G. Mortz氏らによるコホート研究の結果で、検討では、喫煙、教育レベル、小児期のニッケルアレルギーは無関係であったことも報告されている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年8月7日号の掲載報告。 任意抽出した成人の手湿疹の発生率や有病率の評価は、いくつかの試験で行われている。しかし、任意抽出の小学生を成人まで追跡し、手湿疹発生やそのリスク因子について評価する検討は行われていなかった。 本試験では、青少年期から成人期までの手湿疹の発生率と、若年成人の手湿疹の有病率、および両者のリスク因子を推定した。 1995年に8年生(平均年齢14歳)を任意に抽出しコホートを作成、2010年に同コホートの登録者に、アンケートの記入と臨床検査(パッチテストなど)を受けるよう求め、結果について分析した。 主な結果は以下のとおり。・1,501例が1995年に任意抽出され、2010年に同コホートから1,206例が追跡を受けた。・結果、手湿疹の発生率は1,000人年当たり8.8であった。・若年成人の1年間の有病率(1-year-period prevalence)は14.3%(127/891例)、時点有病率は7.1%(63/891例)で、女性で有意に高率であった。・臨床試験では、6.4%(30/469例)で手湿疹が確認された。・成人の手湿疹について小児期の重大因子は、アトピー性皮膚炎と手湿疹であった。・成人になり水仕事に就いていること、また家庭で乳幼児の子育て中であることがリスク因子であった。・任意抽出の若者における手湿疹は、病気休暇/手当受給/リハビリテーションと関連しており、重大な社会的影響がある可能性が示された。・喫煙、教育レベル、小児期のニッケルアレルギーは無関係であった。

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アトピー患児における化学物質曝露と健康被害の関連

 アトピー性皮膚炎(AD)患児へのフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)の影響は、曝露レベルや年齢によって異なる可能性があることが明らかにされた。韓国・嘉泉大学校キル病院のW.J. Choi氏らが3~6歳児を対象としたケースコントロール試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「関連性について、さらなる長期的調査を適切な調査デザインの下で行うことを促進する必要がある」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2014年8月4日号の掲載報告。 DEHPについては、ヒトへの健康被害が懸念されており、研究グループは、韓国のAD患児におけるDEHP曝露との関連を調べた。2012年5~10月に、ソウル市の幼稚園および保育所から集めた3~6歳児を対象に、適合ケースコントロール試験を行った。 皮膚科医がADの臨床診断を行い、症例群224例と年齢・性別に適合した224例の対照群を組み込み、尿サンプルを集めて、DEHPの2つのフタル酸塩代謝物(MEHHP、MEOHP)値を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・DEHPの影響は、年齢によって異なることが認められた。ADリスク増大との関連は3歳時で認められた(オッズ比:2.51、95%信頼区間[CI]:1.02~6.20)。・その他の年齢では、関連性は反転してみられたが統計的有意差はなかった。・ADへのDEHPの影響は、身体負荷レベルによって異なることがみられた。・ADに対する予測リスクは、多変量ロジスティック回帰分析の結果、DEHP値とADリスクのU曲線の関連であることが示された。

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パッチテスト反応の違い、アトピー vs 接触皮膚炎

 接触感作性のパターンについて、アトピー性皮膚炎を有する患者と有さない患者の違いをパッチテスト反応で検討した結果、陽性反応の頻度は同程度であることが明らかにされた。ただし、複数の陽性反応を示した割合は、重度のアトピー性皮膚炎患者が軽度/中等度の同患者と比べて有意に高かったという。デンマーク・コペンハーゲン大学のKim Katrine Bjerring Clemmensen氏らが記述研究を行い報告した。アトピー性皮膚炎と接触皮膚炎は病態が共通しているが、両者間の関連性の理解は明確になっていない。Contact Dermatitis誌2014年8月号(オンライン版2014年4月4日号)の掲載報告。 検討は2009年1月~2013年1月に、Bispebjerg and Roskilde病院でパッチテストを受けた全患者の臨床データベースを用いて行われた。その中から、パッチテストの結果、アトピー性皮膚炎の情報および人口統計学的データを入手し評価した。 重度のアトピー性皮膚炎の定義は、全身性の治療を受けている、または入院と定義した。その他のアトピー性皮膚炎を有する患者についても、軽度/中等度であるかの疾患定義を行った。 主な結果は以下のとおり。・検討には、2,221例の患者が組み込まれ。そのうちアトピー性皮膚炎患者は293例で、アトピー性皮膚炎を有さない患者は1,928例であった。・1つ以上のパッチテスト陽性反応を示したのは、アトピー性皮膚炎患者は41%、非アトピー性皮膚炎患者は46.2%であった(p=0.092)。・重度のアトピー性皮膚炎患者のほうが、それ以外のアトピー性皮膚炎患者と比べて、複数のパッチテスト陽性反応を示した(19.4%vs. 10.0%、p=0.046)。

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大人のアトピーにデュピルマブが有用

 中等症~重症の成人アトピー性皮膚炎(AD)に対する、新規開発中のデュピルマブ(dupilumab、国内未承認)の有効性と安全性が、米国・ロチェスター大学医療センターのLisa A. Beck氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、確認された。EASI(Eczema Area and Severity Index)スコアなどすべての疾患重症度の評価項目で速やかな改善が示され、用量を制限する副作用プロファイルは示されなかったという。デュピルマブは完全ヒトモノクローナル抗体で、IL-4、IL-13の阻害作用を有し、これまでに喘息や好酸球増加を伴う患者への有効性が示されていた。NEJM誌2014年7月10日号の掲載報告。 試験は、局所グルココルチコイド、カルシニューリン阻害薬による治療にもかかわらず、中等症~重症のADを有する成人患者を対象とした。 デュピルマブ投与の評価は、単独療法の評価を4週投与試験(2件)と12週投与試験(1件)で、その他局所グルココルチコイドとの併用療法の評価を4週投与試験で行った。 エンドポイントは、EASIスコア、研究者総合評価スコア、かゆみ、安全性評価、血中バイオマーカー値、疾患トランスクリプトムなどであった。 主な結果は以下のとおり。・4週の単独療法試験において、デュピルマブは、臨床評価指数、バイオマーカー値、トランスクリプトムの、速やかかつ用量依存的な改善を示した。・12週の単独療法試験の結果では、4週試験の所見が再現され、さらなる拡大もみられた。・12週の単独療法試験の結果で、EASIスコアの50%低下(EASI-50)がみられた被験者は、プラセボ群35%に対し、デュピルマブ群は85%であった(p<0.001)。・同じく、研究者総合評価スコア0~1(寛解または寛解に近い状態)となった被験者は、プラセボ群15.1%に対し、デュピルマブ群は55.7%であった(p<0.001)。・併用療法試験では、EASI-50を達成した被験者は、プラセボ注射+局所グルココルチコイド群50%に対し、デュピルマブ群は100%であった(p=0.002)。・一方で、デュピルマブ+局所グルココルチコイド群が用いた局所グルココルチコイドは、プラセボ+局所グルココルチコイド群よりも半量未満であった(p=0.16)。・皮膚感染症などの有害事象は、プラセボ群で頻度が高かった。デュピルマブ群で最も頻度が高かったのは、鼻咽頭炎、頭痛であった。

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アトピー患児の睡眠障害をSCORADで予測

 アトピー性皮膚炎(AD)を有する子供の睡眠障害について、睡眠効率の低下がみられる頻度が高いことや、SCORAD(Scoring Atopic Dermatitis)指数で予測可能であること、メラトニンおよびIgEの関与の可能性などが、台湾・台北市立聯合医院のYung-Sen Chang氏らによる検討の結果、報告された。著者は、「さらなる検討を行い、メカニズムや臨床的意義について探求することが必要である」と述べている。また、「睡眠障害の評価ツールとしてアクトグラフィ(actigraphy)は有用と思われた」と報告している。Pediatrics誌オンライン版2014年7月14日号の掲載報告。 AD患児において睡眠障害は一般的だが、著者は「これまでは主に質問票ベースの研究が多く、病態生理は不明なままであった」と指摘。本検討において、客観的特徴、寄与因子および臨床的予測因子を明らかにすることを目的とした。 1~18歳時のAD患児72例と、対照32例について、アクトグラフィとポリソムノグラフィを用いて睡眠パラメーターを測定し、また、尿中6スルファトキシメラトニン値、血中サイトカイン、総合およびアレルゲン特異的IgE値も測定した。 主な結果は以下のとおり。・AD患児では、睡眠効率の低下、睡眠導入時間の延長、睡眠の断片化、非レム睡眠の減少が有意であった。・アクトグラフィの結果とポリソムノグラフィの結果の相関性は良好であった。・ADの重症度と睡眠障害の関連性が認められた(r=0.55~0.7)。・睡眠効率の低下は、SCORADスコアが48.7以上で有意に予測された。感度は83.3%、特異度は75%であった(AUC=0.81、p=0.001)。・夜間メラトニン分泌の低下と、AD患児の睡眠障害の有意な関連が認められた。・その他睡眠障害に関連する因子として、かゆみ、ひっかき行動、総IgE値の上昇、家ダニ感作やブドウ球菌腸毒素などがあった。

292.

新規アトピー性皮膚炎治療薬dupilumab、第IIb相試験で肯定的な結果

 サノフィ株式会社とRegeneron社は2014年7月22日、中等度から重度のアトピー性皮膚炎患者を対象とした dupilumabの第IIb相試験のプレスリリースを発表した。その結果、dupilumab群はいずれの用量においても、用量依存的に主要評価項目を改善したことが示された。今回の結果を踏まえて、Regeneron社のジョージ・D・ヤンコポロス氏は、「本研究は IL-4/IL-13経路がアレルギー疾患の根本的役割を担っている可能性を示した。IL-4/IL-13のシグナル伝達を阻害することにより、アトピー性疾患に対する重要な新しい治療法が生まれる可能性がある」と述べている。 dupilumabは、アトピー性皮膚炎の発症に重要な役割を果たすIL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害する、開発中の完全ヒトモノクロナール抗体。サノフィ社とRegeneron社は、アトピー性皮膚炎、喘息、および鼻ポリープを対象に共同開発している。 dupilumabの第IIb相用量範囲探索試験は、重篤で慢性的な湿疹である中等度から重度のアトピー性皮膚炎の成人患者380例を対象とした二重盲検プラセボ対照試験。被験者を無作為に5段階のdupilumab群(300 mg 週1回投与群、300 mg 隔週投与群、300 mg 月1回投与群、200 mg 隔週投与群、100 mg 月1回投与群)またはプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けた。主要評価項目はベースラインから16週までのEASIスコアの平均変化率であった。 主な結果は以下のとおり。・dupilumab群はいずれの用量においても、主要評価項目の用量依存的な改善が認められた。・EASIスコアの改善率は、プラセボ群は18%であったのに対し、dupilumab最高用量群(300mgを週1回)で74%、最低用量群(100mgを月1回投与)でも45%と、有意差が確認された(p<0.0001)。・本試験において 比較的多くみられた有害事象は鼻咽頭炎であった(プラセボ群21%、 dupilumab群18.5%~23%)。・プラセボ群に比べdupilumab群で発現率が高かった有害事象は、(皮下)注射部位反応(プラセボ群3%、dupilumab群5~9.5%)、頭痛(プラセボ群8%、dupilumab群12~15%)であった。・治験責任医師による包括的評価(IGA)スコアが0または1に該当する皮膚病変の“消失”もしくは“ほぼ消失”を達成した割合は、プラセボ群に比べてdupilumab群において有意に高かった(プラセボ群2%、dupilumab群12~33%、p=0.02~<0.0001)。・そう痒症数値評価スケール(NRS)スコアにより評価されたそう痒(かゆみ)において、プラセボ群では5%の増加が認められたのに対し、dupilumab群では平均16.5%~47%の減少がみられた(p=0.0005~<0.0001)。

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日本人成人アトピー性皮膚炎に有望な新たな塗布薬開発

 日本人アトピー性皮膚炎成人患者に対する新しいホスホジエステラーゼ4阻害薬E6005について、多施設共同無作為化溶媒対照試験の結果、塗布群でアトピー性皮膚炎重症度スコアの有意な低下が示された。九州大学皮膚科 教授の古江 増隆氏ら研究開発グループによる報告で、「今回の結果、アトピー性皮膚炎治療のE6005局所薬開発のためのさらなる裏付けが得られた」とまとめている。Journal of Dermatology誌オンライン版2014年6月18日号の掲載報告。 E6005塗布薬の安全性と有効性を検討する試験は、78例の患者を対象に行われた。被験者は2対1の割合で、0.2%E6005軟膏剤または溶媒(E6005非含有)塗布群に割り付けられた。 4週間のランダムフェーズに引き続き、8週間の延長フェーズが行われた。延長フェーズでは、ランダムフェーズを完了した全67例が0.2%E6005軟膏剤の投与を受けた。 主な結果は以下のとおり。・4週間の1日2回E6005塗布は、安全であり忍容性は良好であった。・12週間の安全性プロファイルは、当初の4週間のものと同等であった。・死亡や重篤な有害事象は12週間の試験期間中、報告されなかった。・血中E6005値は、全被験者で全サンプリング時点において検出されなかった。一方で、ごく少量の血中E6005代謝物が、治療群の47%で検出された。・4週の試験終了時点で、Eczema Area and Severity Index(EASI)、Severity Scoring Atopic Dermatitis(SCORAD)- objective、SCORAD-C(そう痒と不眠の視覚アナログスケール)、引っ掻き行動尺度、ターゲット湿疹部位重症度は、E6005塗布群で溶媒群と比べて改善の傾向が認められた(統計的有意差はなし)。・12週時点では、E6005塗布群のスコアはベースライン時から有意に低下したことが示された。EASI(p=0.030)、SCORAD-objective(p<0.001)、SCORAD-C(p=0.038)。

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アトピー性皮膚炎治療に高周波超音波モニタリング導入を

 免疫抑制剤の一種でアトピー性皮膚炎(AD)に対するリアクティブおよびプロアクティブ治療の有効性が確立しているタクロリムスの塗布治療について、非侵襲的なモニタリング方法として高周波超音波検査法(HF-USG)を用いる検討が、ポーランド・ポズナン医科大学のAdriana Polanska氏らにより行われた。タクロリムス治療の安全性および有効性については、すでに無作為化試験で検討されているが、皮膚への作用の評価指標は異なるスコアや尺度によって行われてきたことから、本検討が計画された。Skin Research Technology誌オンライン版2014年6月4日号の掲載報告。 研究グループは、6ヵ月間のタクロリムス治療の観察を、HF-USG(真皮上層低エコー領域[SLEB]に定量)とエバポリメーターによる高周波の超音波検査で行う検討を行った。 AD患者39例(平均年齢26.3±12.8歳)を対象に、4週間ごとの外来受診時に同測定を行い(計7回)、右前肘窩で疾患重症度の評価を、医師の総合評価(IGA)に基づき行った。 主な結果は以下のとおり。・39例で試験を開始したが、6ヵ月間の試験を完了したのは22例(54.6%)であった。・39例のうち、31例(79.5%)が4週間以上のプロアクティブ治療を受けた。・治療期間中、IGA、SLEB、TEWLには統計的に有意な変化が観察された。・また、病変部と非病変部のSLEB、TEWLにも、統計的に有意な差がみられた。・以上のように、アトピー性皮膚炎のタクロリムス治療ではHF-USGが有用であることが示された。・同ツールは簡便で再現性があり、in vivoでの皮膚すべての病理学的な変化を想起させることが可能である。 これらを踏まえて著者は、「非侵襲性で客観的な判定方法として、HF-USGは、共通のスコアまたは尺度を有しており、とくにエビデンスベースの医療の時代であることから、アトピー性皮膚炎の疾患重症度のあらゆる評価に組み込むべきである」とまとめている。

295.

出生前後のプロバイオティクス投与がアトピーの一次予防の可能性

 一般集団およびアレルギーリスクがある集団のいずれにおいても、生誕前後にプロバイオティクスを与えることが、アトピー性皮膚炎(AD)の発症予防に役立つ可能性が、ルーマニアのキャロル・デイビラ・ユニバーシティ・オブ・メディスン・アンド・ファーマシーのM. Panduru氏らにより報告された。AD発症率は上昇しているが、ADという疾患の真の原因は明らかになっていない。プロバイオティクスは、AD予防に関与している可能性が示唆されているが、その役割については議論の的となっていた。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。 研究グループは、AD発症におけるプロバイオティクスの役割評価を目的としたレビューを行った。国際的なデータベース(PubMed、Scopus、Web of Knowledge、EBSCO、ARTO、Google Scholar、ClinicalTrials.gov)を用いて、同トピックについて広範囲に検索し、分析が行われていた試験だけを選択。それらの試験について、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・データベースの検索により1,513本の論文をみつけた。そのうち26本が適格条件を満たしていたが、同一集団の試験を除外し、最終的に16本の試験を分析に含んだ。・メタ解析の結果、プロバイオティクスを与えることは、AD発症を予防することが明らかになった(OR:0.56、p=0.0001)。・サブグループメタ解析の結果、一般集団およびアレルギー高リスク集団において、乳酸菌のみを与えること(OR:0.76、p=0.04)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.001)が、ADの発症を予防することが示された。・さらなるサブグループ解析で、プロバイオティクスの出生前投与と出生後投与が有効であることが示された(OR:0.54、p=0.001)。出生後投与だけの場合は有効性は有意ではなかった(OR:0.89、p=0.59)。・最後に、投与タイプ別に行ったサブグループ解析で、乳酸菌のみを与えること(OR:0.75、p=0.03)、および乳酸菌+ビフィズス菌を与えること(OR:0.54、p=0.0001)のいずれもが、ADを予防することが示された。

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肺炎・気管支喘息で入院した乳児が低酸素血症となって死亡したケース

小児科最終判決判例時報 1761号107-114頁概要2日前からの高熱、呼吸困難を主訴として近医から紹介された2歳7ヵ月の男児。肺炎および気管支喘息の診断で午前中に小児科入院となった。入院時の医師はネブライザー、輸液、抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイドなどの指示を出し、入院後は診察することなく定時に帰宅した。ところが、夜間も呼吸状態は改善せず、翌日早朝に呼吸停止状態で発見された。当直医らによってただちに救急蘇生が行われ、気管支内視鏡で気管分岐部に貯留した鼻くそ様の粘調痰をとりのぞいたが低酸素脳症に陥り、9ヵ月後に死亡した。詳細な経過患者情報気管支喘息やアトピーなどアレルギー性疾患の既往のない2歳7ヵ月男児。4歳年上の姉には気管支喘息の既往歴があった経過1995年1月24日38℃の発熱。1月25日発熱は40℃となり、喘鳴も出現したため近医小児科受診して投薬を受ける。1月26日早朝から息苦しさを訴えたため救急車で近医へ搬送。四肢末梢と顔面にチアノーゼを認め、β刺激薬プロカテロール(商品名:メプチン)の吸入を受けたのち総合病院小児科に転送。10:10総合病院(小児科常勤医師4名)に入院時にはチアノーゼ消失、咽頭発赤、陥没気味の呼吸、わずかな喘鳴を認めた。胸部X線写真:右肺門部から右下肺野にかけて浸潤影血液検査:脱水症状、CRP 14.7、喉にブドウ球菌の付着以上の所見から、咽頭炎、肺炎、気管支喘息と診断し、輸液(150mL/hr)、解熱薬アセトアミノフェン(同:アンヒバ坐薬)、メフェナム(同:ポンタールシロップ)、抗菌薬フルモキセフ(同:フルマリン)、アミノフィリン静注、ネブライザーメプチン®、気道分泌促進薬ブロムヘキシン(同:ビソルボン)、内服テレブタリン(同:ブリカニール)、アンブロキソール(同:ムコソルバン)、クロルフェニラミンマレイン(同:ポララミン)を指示した(容態急変まで血液ガス、経皮酸素飽和度は1回も測定せず)。10:30体温39.5℃、陥没気味の呼吸(40回/分)、喘鳴あり。11:15喘鳴強く呼吸苦あり、ステロイドのヒドロコルチゾン(同:サクシゾン)100mg静注。14:00体温36.7℃、肩呼吸(50回/分)、喘鳴あり。16:30担当医師は看護師から「喉頭部から喘鳴が聞こえる」という上申を受けたが、患児を診察することなく17:00に帰宅。19:30喉頭部の喘鳴と肩呼吸(50回/分)、夕食を飲み込めず吐き出し、内服薬も服用できず、吸入も嫌がってできない。22:00体温38.3℃、アンヒバ®坐薬使用。1月17日02:20体温38.1℃、陥没気味の呼吸(52回/分)、喘鳴あり。サクシゾン®100mg静注。06:30体温37.1℃、陥没気味の呼吸、咳あり。07:20ネブライザー吸入を行おうとしたが嫌がり、機器を手ではねつけた直後に全身チアノーゼが出現。07:30患児を処置室に移動し、ただちに酸素吸入を行う。07:40呼吸停止。07:55小児科医師が到着し気管内挿管を試みたが、喉頭部がみえにくくなかなか挿管できず。マスクによる換気を行いつつ麻酔科医師を応援を要請。08:10ようやく気管内挿管完了(呼吸停止後30分)、この時喉頭部には異常を認めなかった。ただちにICUに移動して集中治療が行われたが、低酸素脳症による四肢麻痺、重度意識障害となる。10:00気管支鏡で観察したところ、気管および気管支には粘稠な痰があり、とくに気管分岐部には鼻くそ様の固まりがみられた。10月26日約9ヵ月後に低酸素脳症により死亡。当事者の主張患者側(原告)の主張肺炎、気管支喘息と診断して入院し各種治療が始まった後も、頻呼吸、肩呼吸、陥没呼吸、体動、喘鳴がみられ呼吸障害は増強していたのだから、気管支喘息治療のガイドラインに沿ってイソプレテレノールの持続吸入を追加したり気管内挿管の準備をするべきであったのに、入院時の担当医師は入院後一度も病室を訪れることなく、午後5:00過ぎに帰宅して適切な指示を出さなかった。夜間帯の当直医師、看護師も、適切な病状観察、病態把握、適切な治療を怠ったため、呼吸不全に陥った。病院側(被告)の主張小児科病棟は主治医制ではなく3名の小児科医による輪番制がとられ、入院時の担当医師は肺炎、気管支喘息の患者に対し適切な治療を行って、起坐呼吸やチアノーゼ、呼吸音の減弱や意識障害もないことを確認し、同日の病棟担当医であった医師へきちんと申し送りをして帰宅した。その後も呼吸不全を予測させるような徴候はなかったので、入院翌日の午前7:00過ぎに突発的に呼吸不全に陥ったのはやむを得ない病態であった。裁判所の判断入院時の担当医師は、肺炎、気管支喘息の診断を下してそれに沿った注射・投薬の指示を出しているので、ほかの小児科医師に比べて格段の差をもって病態の把握をしていたことになる。そのため、小児科病棟では主治医制をとらず輪番制であったことを考慮しても、患者の治療について第一に責任を負うものであり、少なくとも夜間の当直医とのあいだで綿密な打ち合わせを行い、午後5:00に帰宅後も治療に遺漏がないようにしておくべきであった。ところが、入院後一度も病室を訪れず、経皮酸素飽和度を測定することもなく、ガイドラインに沿った治療のグレードアップや呼吸停止に至る前の気管内挿管の機会を逸し、容態急変から死亡に至った。患者側1億545万円の請求に対し6,950万円の判決考察1. 呼吸停止の原因について裁判では呼吸停止の原因として、「肺炎や気管支喘息に起因する気道閉塞によって、肺におけるガス交換が不十分となり呼吸不全に陥った」と判断しています。そのため、小児気管支喘息のガイドラインを引用して、「イソプロテレノールの持続吸入をしなかったのはけしからん、気道確保を準備しなかったのは過失だ」という判断へとつながりました。ところが経過をよくみると、容態急変後の気管支鏡検査で「気管および気管支には粘稠な痰があり、とくに気管分岐部には鼻くそ様の固まりがみられた」ため、気管支喘息の重積発作というよりも、粘調痰による気道閉塞がもっとも疑われます。しかも、当直医が気管内挿管に手間取り、麻酔科医をコールして何とか気管内挿管できたのは呼吸停止から30分も経過してからでした。要するに、痰がつまった状態を放置して気道確保が遅れたことが致命的になったのではないかと思われます。裁判ではなぜかこの点を重視しておらず、定時の勤務が終了し午後5:00過ぎに帰宅していた入院時の担当医師が(帰宅後も)適切な指示を出さなかった点をことさら問題としました。2. 主治医制をとるべきか当時この病院では部長医師を含む小児科医4名が常駐し、夜間・休日の当直は部長以外の医師3名で輪番制をとっていたということです。昨今の情勢を考えると、小児医療を取り巻く状況は大変厳しいために、おそらく4名の小児科医でもてんてこ舞いの状況ではなかったかと推測されます。入院時の担当医師は、肺炎、気管支喘息と診断した乳児に対し、血管確保のうえで輸液、抗菌薬、アミノフィリン持続点滴を行い、ネブライザー、各種内服を指示するなど、中~大発作を想定した気管支喘息に対する処置は行っています。それでも呼吸状態が安定しなかったので、ステロイドのワンショット静注を2回くり返しました。通常であれば、その後は回復に向かうはずなのですが、今回の患児は内服薬を嫌がってこぼしたり、ネブライザーの吸入をさせようとしてもうまくできなかったりなど、医師が想定した治療計画の一部は実施されませんでした。そして、当直帯は輪番制をとっていることもあって、入院時にきちんとした指示さえ出しておけば、後は当番の病棟担当医がみてくれるはずだ、という認識であったと思われます。そのため、11:00過ぎの入院から17:00過ぎに帰宅するまで6時間もありながら(当然その間は外来業務を行っていたと思いますが)一度も病室に赴くことなく、看護師から簡単な報告を受けただけで帰宅し、自分の目で治療効果を確かめなかったことになります。もし、帰宅前に患者を診察し、呼吸音を聴診したり経皮酸素飽和度を測るなどの配慮をしていれば、「予想以上に粘調痰がたまっているので危ないぞ」という考えに至ったのかも知れません。ところが、本件では血液ガス検査は行われず、急性呼吸不全の徴候を早期に捉えることができませんでした。そして、裁判でも、「入院時の担当医師はほかの小児科医師に比べて格段の差をもって病態の把握をしていたため、小児科病棟では主治医制をとらず輪番制であったことを考慮しても、患者の治療について第一に責任を負うものであり、少なくとも夜間の当直医とのあいだで綿密な打ち合わせを行い、午後5:00に帰宅後も治療に遺漏がないようにしておくべきであった」という、耳が痛くなるような判決が下りました。ここで問題となるのが、主治医制をとるべきかどうかという点です。今回の総合病院のように、医師個人への負担が大きくならないようにグループで患者をみる施設もありますが、その弊害としてもっとも厄介なのが無責任体制に陥りやすいということです。本件でも、裁判では問題視されなかった輪番の小児科当直医師が容態急変前に患者をみるべきであったのに、申し送りが不十分なこともあってほとんど関心を示さず、いよいよ呼吸停止となってからあわてて駆けつけました。つまり、入院時の担当医師は「5:00以降はやっと業務から解放されるので早く帰宅しよう」と考えていたでしょうし、当直医師は「容態急変するかも知れないなんて一切聞いてない。入院時の医師は何を考えているんだ」と、まるで責任のなすりつけのような状況ではなかったかと思われます。そのことで損をするのは患者に他なりませんから、輪番制をとるにしても主治医を明確にしておくことが望まれます。ましてや、「輪番制であったことを考慮しても、(入院指示を出した医師が)患者の治療について第一に責任を負う」という厳しい判決がおりていますので、間接的ではありますが裁判所から「主治医制をとるべきである」という見解が示されたと同じではないかと思います。小児科

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重症アトピー性皮膚炎にステロイド外用剤ウェットラップ療法は有効な選択肢

 重症アトピー性皮膚炎(AD)に対して、少なくとも4週間にわたる、ステロイド外用剤を塗布後にラップで覆う「ウェットラップ療法(WWT)」は有効な治療選択肢であることが明らかにされた。オランダ・エラスムス大学医療センターのSherief R. Janmohamed氏らが、前向き無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。WWTは、小児の重症ADに対する有効な治療となることが支持され、しばしばADの緊急処置として用いられるようになっていた。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2014年3月31日号の掲載報告。 研究グループは、ステロイド外用剤WWT(治療期間4週間で塗布量を徐々に減量)について評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は、6ヵ月齢~10歳までの小児で、重症AD(SCORADスコア40±5以上)であった。 被験者をステロイド外用剤WWT群(1:3モメタゾンフランカルボン酸0.1%軟膏、顔面については1:19モメタゾンフランカルボン酸0.1%軟膏)、または皮膚軟化薬WWT群(ワセリン20%入りクリーム)に無作為に割り付けて評価した。 主要アウトカムは、SCORADの改善。副次アウトカムは、Patient-Oriented Eczema Measure評価やQOL指数などであった。 主な結果は以下のとおり。・ステロイド外用剤WWT群は、皮膚軟化薬WWT群よりも急速かつより有効であった。・最善の結果は、6~9歳群と0~3歳群で得られた。・SCORADで評価した有効性についての差は、すべての測定ポイントで有意差が認められた。・また、QOL指数も同様であった。・本検討は比較数が少なく限定的である。

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小児時のアトピーは大人になっても治らない?

 米国・ペンシルベニア大学のJacob S. Margolis氏らは、全米から長期にわたり被験者を募って行われている前向き観察コホート研究のPediatric Eczema Elective Registry(PEER)登録患者について分析し、アトピー性皮膚炎(AD)の自然経過を評価し、症状の持続性について明らかにする検討を行った。その結果、すべての年齢(2~26歳)で、登録被験者の80%超がADの症状を有しているか治療を受けていたことが判明したという。ADは小児のありふれた疾患の1つであり、2歳までに発症し、増悪と寛解(waxing and waning)を繰り返し、多くは10歳までに治癒すると報告されていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年4月2日号の掲載報告。 ADは遺伝的素因と環境的要因が複雑に作用して発症すると考えられているが、これまで、ADの自然経過や、遺伝的または環境的要因と「増悪と寛解」という性質とがどのように関連しているかについてはほとんど研究されていなかった。 一方で10年前にアトピー性皮膚炎の治療薬として承認された局所免疫抑制薬について、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)は製薬メーカーに対して、長期の市販後安全性試験を行うことを義務づけた。PEERは、その1つピメクロリムス(国内未承認)の試験。 研究グループはPEERが軽度~中等度ADの自然経過の評価に適していることから同研究参加者を対象に検討を行った。主要評価項目は、6ヵ月ごとに評価した自己報告に基づくアウトカムで、6ヵ月間AD症状がなかったことであった。 主な結果は以下のとおり。・PEERは2004年に開始され(登録時の適格年齢は2~17歳)、現在まで約10年間参加者を追跡している前向き観察コホート研究である。・分析時点において7,157例登録されており、総観察人年は2万2,550人年であった。4,248例が2年以上、2,416例が5年以上追跡を受けていた。・被験者のAD発症時の平均年齢は1.7歳、試験登録時の平均年齢は7.4歳であった。6ヵ月間隔のサーベイを中央値5回受けていた。・複数の人口統計学的および曝露変数が、ADの持続と関連していた。・すべての年齢(すなわち2~26歳)で、PEER参加者の80%超がAD症状を有していたおよび/またはADの薬物治療を受けていた。・6ヵ月間の無症状または無治療期間を1回以上有した患者の割合が、50%に達することは、20歳前はなかった。 今回の大規模長期コホート研究により、ADに関連した症状は、20歳までの小児期およびそれ以上の長期にわたり持続する可能性が示唆された。著者は、「アトピー性皮膚炎は、おそらく生涯にわたる疾患であると思われる」とまとめている。

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アトピー性皮膚炎児に多い併存疾患は?

 フランス・ブレスト大学のLaurent Misery氏らは、一般開業医を受診するアトピー性皮膚炎小児患者と適合対照者を9年間追跡し、頻度の高い併存疾患や医療費などを調べた。その結果、呼吸器および眼系の臓器に疾患を伴う頻度が高いことを報告。また医療費はアトピー性皮膚炎患者で高かったが、年齢とともにその差は縮小することも明らかになった。これまでアトピー性皮膚炎患者における併存疾患と治療コストとの関連について、プライマリ・ケア設定での検討はほとんど知られていなかった。Dermatology誌オンライン版2014年3月20日号の掲載報告。 研究グループは、アトピー性皮膚炎患者における併存疾患と治療コストとの関連を調べるため、フランスの一般開業医を受診した患者の電子カルテデータベースを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。 生後1歳未満でアトピー性皮膚炎を診断された全乳児と、疾患の有無を問わず性別で適合した乳児を対象に分析した。 主な結果は以下のとおり。・被験児(患児群、適合対照群とも1,163例ずつ)を、9年間追跡した。・分析により、関連疾患、薬剤費、治療費が判明した。・患児群と適合対照群を比較した結果、患児群のほうが併存疾患をより多く有しており、とくに呼吸器系、眼系の臓器に関する疾患が多かった。・皮膚科疾患領域における処方を伴う治療件数および全体的な医療費(一般開業医の診察および治療薬処方)は、アトピー性皮膚炎患者において高かった。しかし、その差は年齢とともに縮小していた。

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小児のアトピーにも低用量メトトレキサート治療は有効

 ニュージーランド・ワイカトホスピタルのManeka Deo氏らは、同国内で行われた小児および若者のアトピー性皮膚炎に対するメトトレキサート治療について、後ろ向きレビューを行った。31例(平均年齢10歳)を対象とした分析の結果、著者は、「低用量投与では安全性/忍容性は良好であり、有効であると思われた」と発表し、今後の公式の比較試験の必要性を提言した。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。 低用量メトトレキサート治療は、成人のアトピー性皮膚炎ではセカンドラインの治療として確立されるようになっている。 一方でその投与について、小児への導入も支持する一部のデータがあることから、著者らは、ニュージーランドの病院の皮膚科部門をベースに、18歳未満の患者で、メトトレキサート治療を受けた患者について後ろ向きにレビューを行った。対象期間は2005年1月~2010年4月の間であった。 主な結果は以下のとおり。・レビュー対象となったのは、31例(女子17例、平均年齢10歳、範囲3~18歳)であった。・メトトレキサートが有効であった(effective)または非常に有効であった(very effective)は、75%で認められた。25%は、無効例(ineffective)であった。・最も頻度の高い有害事象は、軽度の悪心で報告は4例(14%)であった。肝酵素の増加は4例報告があったが有意ではなかった。・重篤な副作用は報告がなかった。

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