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日本のウイルス肝炎診療に残された課題~今、全ての臨床医に求められること~

COVID-19の話題で持ち切りの昨今だが、その裏で静かに流行し続けている感染症がある。ウイルス肝炎だ。特に問題になるのは慢性化しやすいB型およびC型肝炎で、世界では3億人以上がB型、C型肝炎ウイルスに感染し、年間約140万人が死亡している。世界保健機関(WHO)は7月28日を「世界肝炎デー」と定め、ウイルス肝炎の撲滅を目的とした啓発活動を実施している。検査方法や治療薬が確立する中、ウイルス肝炎診療に残された課題は何か?今、臨床医に求められることは何か?日本肝臓学会理事長の竹原徹郎氏に聞いた。自覚症状に乏しく、潜在患者が多数―日本の肝がんおよびウイルス肝炎の発生状況を教えてください。日本では、年間約26,000人程度が肝がんで死亡しているという統計があります。その大半はウイルス肝炎によるもので、B型肝炎は約15%、C型肝炎は約50%を占めています。B型およびC型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎を発症しても、自覚症状はほとんど現れません。気付かぬうちに病状が進行し、肝がん発症に至るわけです。日本においてB型、C型肝炎ウイルスの感染に気付かずに生活している患者さんは数十万人程度存在すると考えられています。こうした患者さんを検査で拾い上げ、適切な医療に結び付けることが、肝がんから患者さんを救うことにつながります。検査後の受診・受療のステップに課題―臨床では、どのような場面で肝炎ウイルス検査が実施されるのでしょうか。臨床で肝炎ウイルス検査が実施される場面は様々ですが、(1)肝障害の原因を特定するために行う検査、(2)健康診断で行う検査、(3)手術時の感染予防のために行う術前検査などが挙げられます。(1)はそもそも肝障害の原因を特定するために行われているので問題ないのですが、(2)では、検査で異常が指摘されても放置される場合がありますし、(3)では、陽性が判明してもその後の医療に適切に活用されないことがあり、課題となっています。その要因は様々ですが、例えば他疾患の治療が優先され、検査結果が陽性であることが二の次になるケースや、長く診療している患者さんでは、変にその結果を伝えて不安にさせなくても良いのではないか、とされるケースもあるでしょう。また患者さんの中には、検査結果を見ない、結果が陽性であっても気にしない、陽性であることが気になっていても精密検査の受診を躊躇する、といった方も多いです。そのため医療者側にどのような事情があっても、陽性が判明した場合はその結果を患者さんに伝え、精密検査の受診を促すことが大事です。非専門の先生で、ご自身では精密検査の実施が難しいと思われる場合は、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。そのうえで、最終的に治療が必要かどうかまで結論付け、治療が必要な場合には専門医のもとでの受療を促すことが重要です。目覚ましい進歩を遂げる抗ウイルス治療―ウイルス肝炎の治療はどのように変化していますか。近年、ウイルス肝炎の治療は劇的に変化しています。特にC型肝炎治療の進歩は目覚ましいものがあります。従来のC型肝炎治療はインターフェロン注射によるものが中心で、インターフェロン・リバビリン併用でウイルスを排除できる患者さんの割合は50%程度でした1)。また、インフルエンザ様症状やその他の副作用が多くの患者さんで出現し、治療対象の患者さんも限られていました1),2)。しかしここ数年、経口薬である直接作用型抗ウイルス剤(DAA)が複数登場し、その様相は変化しています。まず治療奏効率は格段に向上し、ほとんどの患者さんでウイルスが排除できるようになりました。そして従来ほど副作用が問題にならなくなり3)、患者さんにとって治療がしやすい環境になっています。治療対象が高齢の患者さんや肝疾患が進行した患者さんに広がったことも、大きな変化です。B型肝炎治療では、まだウイルスを完全に排除することはできないものの、抗ウイルス治療によってウイルスの増殖を抑え、肝疾患の進行のリスクを下げることができます。このように、現在は治療に進んだ後のステップにおける課題はクリアされてきています。そのため、日本のウイルス肝炎診療の課題は、やはり検査で陽性の患者さんを受診・受療に結び付けるまでのステップにあるといえるでしょう。術前検査などで陽性が判明した患者さんがいらっしゃいましたら、ぜひ検査結果を患者さんに適切に伝え、受診・受療を促すと共に、近隣の肝臓専門医に紹介していただきたいと思います。日本肝臓学会のウイルス肝炎撲滅に向けた取り組み―日本肝臓学会では、ウイルス肝炎撲滅に向けてどのような取り組みを実施されていますか。日本肝臓学会では「肝がん撲滅運動」という活動を20年以上にわたって行ってきています。具体的には、肝炎や肝がん診療の最新情報を患者さんや一般市民の皆さまに知っていただくための公開講座を、毎年全国各地で開催しています。3年ほど前からは、肝炎医療コーディネーターを育成するための研修会も設けています。肝炎医療コーディネーターとは、看護師、保健師、行政職員など多くの職種で構成され、肝炎の理解浸透や受診・受療促進などの支援を担う人材です。また最近では、製薬企業のアッヴィ合同会社と共同で、「AbbVie Elimination Award」を設立しました。肝臓領域の臨床研究において優れた成果を上げた研究者を表彰する、研究助成事業です。「Elimination」は「排除」という意味で、一人でも多くの患者さんから肝炎ウイルスを排除したい、という意図が込められています。このように、日本肝臓学会ではウイルス肝炎撲滅に向けて、啓発活動や研究助成事業など、様々な活動に取り組んでいます。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標の達成を目指す―ウイルス肝炎の治療にあたる肝臓専門医の先生方に向けて、メッセージをお願いします。WHOはウイルス肝炎の撲滅に向けて「2030年までにウイルス肝炎の新規患者を90%減らし、ウイルス肝炎による死亡者を65%減らすこと」を目標に掲げています。COVID-19の流行によって、受診控えや入院の先送りなどの問題が発生し、この目標への到達は困難に感じられることもあるかもしれません。しかし、日本のウイルス肝炎診療には、国民の衛生観念がしっかりしている、肝臓専門医の数が潤沢である、行政的な施策が整備されている、など様々なアドバンテージがあります。世界の先陣を切ってWHOが掲げる目標を達成できるよう、今後も取り組んでいきましょう。肝炎ウイルス検査で陽性の患者さんは、肝臓専門医に紹介を―最後に、非専門の先生方に向けてメッセージをお願いします。従来のウイルス肝炎の治療は、副作用が問題になる、高齢の患者さんでは治療が難しい、といったイメージがあり、現在もそのように思われている先生がいらっしゃるかもしれません。患者さんも誤解している可能性があります。しかし、ウイルス肝炎の治療はここ数年で劇的に変化しています。肝炎ウイルス検査を実施して陽性が判明した場合は、患者さんにとって良い治療法があるかもしれない、と思っていただいて、ぜひ近隣の肝臓専門医に紹介してください。日本肝臓学会のHPに、肝臓専門医とその所属施設の一覧を都道府県別に掲載していますので、紹介先に迷われた際は、参考にしていただければと思います。1)竹原徹郎. 日本内科学会雑誌. 2017;106:1954-1960.2)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P16.3)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会 編「 C型肝炎治療ガイドライン(第8版)」 2020年7月, P57,63.

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アベマシクリブ関連ILD、実臨床での発症率と好発時期は?/日本乳癌学会

 日本人転移・再発乳がん患者におけるアベマシクリブ関連薬剤性肺障害(ILD)の実臨床での発症率と好発時期について、国内77施設での調査結果が報告された。日本人におけるアベマシクリブ関連ILDの発症率やリスク因子、臨床病理学的特徴を明らかにする目的で進行中のネステッドケースコントロール研究(NOSIDE)の中間報告結果を、昭和大学乳腺外科・先端がん治療研究所の吉沢 あゆは氏が第29回日本乳癌学会学術総会で発表した。研究概要 2018年11月~2019年12月にアベマシクリブによる治療が実施された転移・再発乳がん患者を対象に、年齢・性別、アベマシクリブ開始日・終了日、ILD発症(疑いを含む)の有無と発症日等についてアンケート調査を実施(1次調査)。 7名の中央評価委員による中央評価委員会を7回開催し、アベマシクリブ投与の関連を認めるILD症例を確定した。現在進行中の2次調査ではネステッドケースコントロール研究のデザインを用いてILD症例と、3倍の非ILD症例を抽出し、患者基本情報、既往歴・合併症、乳がん治療歴、アベマシクリブ投与開始前および投与中の身体所見・検査所見、ILD発症後の身体所見、検査所見、治療内容、転帰について詳細な調査を実施。リスク因子の評価などが行われる計画となっている。・評価項目:[主要評価項目]ILDの発症率(1次調査)およびリスク因子(2次調査)[副次評価項目]ILDの好発時期およびILDの重症度、臨床病型、臨床経過(1次調査)  今回発表された主な結果は以下のとおり。・国内77施設から1,189例が1次調査に登録された。女性が1,184例(99.6%)、年齢中央値は61(52~70)歳であった。・各施設から「ILD発症有(疑いも含む)」と報告されたのは76例。そのうち、中央評価委員会によりアベマシクリブ関連ILDと判定されたのは59例(5.0%)であった。・アベマシクリブ関連ILD発症59例の年齢中央値は66.0(55.0~73.0)歳、内服開始から発症までの期間は91~120日が最も多く、中央値は133.0(86.5~224.0)日であった。・ILDの臨床病型はOP39例(66.2%)、AIP/DAD23例(22.0%)、NSIP3例(5.1%)、HP3例(5.1%)、その他(肺水腫様)1例(1.7%)であった。・アベマシクリブ療法の治療ラインについては、1~2ライン目での使用が最も多く半数以上を占めたが、6ライン目での使用も多くみられた。・CTCAEのGradeは、Grade1が15例(25.4%)、Grade2が29例(49.2%)、Grade3が7例(11.9%)、Grade5が8例(13.6%)であった。・「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き」に基づく重症度は、軽症(PaO2≧80torr)28例(47.5%)、中等症(60torr≦PaO2<80torr)7例(11.9%)、重症(PaO2>60torr[PaO2/ FiO2<300])14例(23.7%)、判定不能10例(16.9%)であった。・転帰(発症後のCT所見および主治医判断の転帰を参考に、中央評価委員会が総合的に判断)については、治癒8例(13.6%)、軽快29例(49.2%)、悪化1例(1.7%)、死亡8例(13.6%)、不変1例(1.7%)、判定不能1例(1.7%)、未確認11例(18.6%)であった。 これらの結果を受け演者の吉沢氏は、5.0%というILD発症率は市販後半年の調査結果と比較して3倍程度高いが、MONARCH-2・3試験の日本人集団におけるILD発症率(4.0%)と近い結果であり、本研究結果がより正確なILD発症率に近いと考察した。また、アベマシクリブ内服中はILD発症の可能性を念頭におき、問診、定期的な聴診、胸部X線撮像のほか、KL6やSP-Dのチェックが必要と考察している。発症時期は内服開始後3~4ヵ月に多いが、1年後以降の発症例が認められた点も指摘している。CTCAE Grade3以上を15例(25.5%)に認めており、MONARCH 2・3試験より重症例が多い結果であるが、これらの要因等の評価は現在施行中の2次調査で評価予定である。 なお2次調査は、2021年10月までの全例データ固定を予定している。

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コロナワクチンで注目される解熱鎮痛薬への2つの懸念【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第72回

新型コロナウイルスワクチンの接種が若年層へ拡大する中、副反応に対する不安をよく耳にします。接種後に発熱や痛みが生じやすいというのはよく報告されていますが、それ以外にも根拠が不明な眉唾物の副反応情報が拡散していて、接種を躊躇する方もいらっしゃいます。逆に、接種後の発熱や痛みが少なかった高齢者の方が、「私には効いているのか?」と不安になって薬局に尋ねてくることもあったと聞きます。回答に困る質問は多々あると思いますが、厚生労働省が3月末に開設した「新型コロナワクチンQ&A特設サイト」では随時新たな情報が更新されているため、そのような際に参考になります。このサイトのQ&Aでは、ワクチン接種後の発熱や接種部位の痛みは高齢者では少し発症頻度が低いものの、しっかりと有効性が確認できている旨が掲載されています。先述の高齢者の方にはこの回答をお伝えしたいですね。また、副反応への対処法の1つとして、「市販の解熱鎮痛薬で対応することも考えられる」とし、「市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただける」といったように、成分名も記載した回答を掲載しています。さて、このワクチン接種後の発熱や痛みの対応について、2つの懸念が生じています。1つ目は、このような情報を見て、「ワクチン接種には解熱鎮痛薬の準備が必要!」と解釈された可能性があることです。薬局では一時的にOTC薬の解熱鎮痛薬が品薄になり、解熱鎮痛薬を配布した接種会場もあったと聞きます。OTC薬を1箱購入して家族で使いまわすこともあると思いますが、アレルギー歴のある方や病気治療中の方の服用に薬剤師は関わることができているでしょうか。そして、緊急時といえども、医薬品の販売および譲渡のルールに変更はありませんので、医薬品の販売に当たっては医薬品販売業の許可が必要で、原則として無償での譲渡はできません。患者さんのことを思ってのことでしょうが、医薬品の提供については通常時と変わらないことに注意が必要です。2つ目としては、副反応の症状が出る前に解熱鎮痛薬を予防的に繰り返し内服している人がいることです。これについては現在のところ推奨されていません。予防的な服用を希望する患者さんには、解熱鎮痛薬の副作用の説明をするとともに、Q&Aを参考に「副反応の大部分は接種後数日以内に回復することがわかっている」と過度に心配する必要はないことを説明して安心してもらいましょう。このサイトを見ると、その回答自体はやわらかい言葉で書いてあるのですが、その根拠としてワクチンの審査報告書が閲覧できたり、CDC(米国疾病予防管理センター)の論文へのリンクが貼り付けてあったりと、一般の方向けとしてはかなり専門的な内容だなぁと思います。ぜひ一度ざっと見て、一般の方がどのような疑問を持つ可能性があるのか予習してみてはいかがでしょうか。

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第64回 米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC

<先週の動き>1.米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC2.診療所へのワクチン接種加算、8月以降も継続3.総接種回数7,000万回突破、高齢者の8割超が1回目接種済み4.モデルナと来年の追加供給を契約、ワクチン不足への対応急ぐ5.海外渡航に必要なワクチンパスポート受付、26日から開始6.5年以内に供給不足の後発品企業、新規薬価収載見送りへ/厚労省1.米国の平均寿命1.5年短縮、第二次世界大戦以来/CDC米国疾病予防管理センター(CDC)は、2020年のアメリカ人の平均寿命が77.3歳と、2019年から2020年にかけて1.5歳短くなったことを公表した。最大の要因は、新型コロナウイルスによる死者数の増加である。平均寿命が短縮したのは、第二次世界大戦中の1943年(2.9歳短縮)以来のこと。これまで延長していた平均寿命は、20年近くも後退した。また、今回の平均寿命短縮を人種別で見ると、ヒスパニック系は81.8歳から78.8歳と-3.0歳、黒人は74.7歳から71.8歳と-2.9歳でそれぞれ短くなった一方、白人は78.8歳から77.6歳と1.2歳の短縮に留まり、人種差が再び広がる傾向が見られた。(参考)新型コロナの影響で米国の平均寿命が1.5歳短く 第2次大戦以来の落ち込み(東京新聞)米CDC “平均寿命1歳半短く 新型コロナによる死者増が主要因”(NHK)Provisional Life Expectancy Estimates for 2020(CDC)2.診療所へのワクチン接種加算、8月以降も継続政府は、7月末までに新型コロナウイルスのワクチン接種を加速させるため、これまで診療所に支援してきた特例加算を継続することとした。8月以降も、週100回以上の接種を4週間以上行う診療所には1回につき2,000円、週150回以上の場合は3,000円を上乗せして補助する。11月までに、希望者全員にワクチン接種の完了を目指す。(参考)ワクチン接種 診療所への費用上乗せ支援策 来月以降も継続へ(NHK)3.総接種回数7,000万回突破、高齢者の8割超が1回目接種済み政府は、7月19日時点で、国内の新型コロナウイルスワクチンの総接種回数が7,000万回を超えたと公表した。1回の接種を受けた人の割合は総人口の33.5%となり、65歳以上の高齢者では81.7%、2回目まで完了した高齢者は57.9%となった。なお、7月23日時点で、2回目の接種率は総人口の19.6%であり、欧米と比べた遅れがまだ挽回できていない。また、都道府県別の接種率を見ると、上位は25%を超える中、下位には千葉県17.4%、埼玉県16.7%、東京都16.6%、栃木県16.4%、沖縄県14.5%など、感染拡大が続いている大都市圏が並び、さらなる接種の推進が求められる。(参考)新型コロナワクチンについて(内閣府)ワクチン接種1回目終了 高齢者全体の8割超(NHK)国内ワクチン接種、7000万回超す 7月19日公表分までで(日経新聞)4.モデルナと来年の追加供給を契約、ワクチン不足への対応急ぐ厚労省は20日、新型コロナウイルスワクチンについて、2022年の初頭から5,000万回分の追加供給を受けることをモデルナと正式契約したことを明らかにした。また、菅 義偉首相は23日に、来日しているファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)と会談し、10月以降に予定していたワクチン供給の前倒しを要請した。さらに、米・ノババックスとも、来年前半から1億5,000万回分のワクチン供給について協議を進めている。政府は、ワクチン供給不足による接種計画の遅れに対する国民の声に対して、早期のワクチン接種完了を急ぐ。(参考)米モデルナとワクチンの追加契約 22年以降の5000万回分(毎日新聞)ワクチン供給、前倒し要請 首相、ファイザーCEOと会談(日経新聞)5.海外渡航に必要なワクチンパスポート受付、26日から開始政府は、海外へ渡航する人が新型コロナウイルスワクチンの接種済みを証明する「ワクチンパスポート(予防接種証明書)」の申請受け付けを、26日から各市町村で開始することを明らかにした。イタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5ヵ国に入国する際に利用可能となる。なお、発行に当たっては、海外渡航にワクチンパスポートが必要な場合に限って申請が認められ、国内での使用は想定していない。(参考)ワクチン接種証明書 発行手続 第1回自治体向け説明会(内閣官房副長官補室)同 第2回自治体向け説明会(同)「ワクチンパスポート」26日から受け付け開始 「経済活動再開の第一歩」「差別につながる」と賛否渦巻く(J-CAST)「ワクチンパスポート」発行テスト 26日から申請受け付け(NHK)6.5年以内に供給不足の後発品企業、新規薬価収載見送りへ/厚労省厚労省は、後発医薬品の出荷調整や回収による欠品発生を防止する目的で、薬価収載日から5年経過していない後発品で供給不足を起こした企業が新たな薬価基準収載希望書を提出する際には、「安定供給義務が守れない品目があった場合には以後2回分の収載を見送る」との念書を提出するよう求めた。今回の通知は8月16日までに製造販売承認を受け、20日までに薬価収載希望書の受け付けが済んだ医薬品が対象となる。今年12月収載予定からの運用となる見込み。これにより、医療機関や調剤薬局が直面している欠品による調達困難の改善や後発品への不安を取り除くのが狙い。(参考)欠品で1年間の収載見送り~後発品に対する規制強化【厚生労働省】(薬読)

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経営資料は秘密!? それは「身体を見ずに診察して」と同じですよ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第22回

第22回 経営資料は秘密!? それは「身体を見ずに診察して」と同じですよ!漫画・イラスト:かたぎりもとこ医業承継において、売り手側が準備しなければならない資料は多岐にわたります。これらを準備することに多大な労力がかかるためになかなか話を進められない、というお嘆きを聞くこともあります。ですが、こうした一次情報(資料)は、診察でいうところの身体計測や問診データです。こうした情報なしに医業承継の査定や判定ができないのは当然のことでしょう。医業承継で必要となる資料には、たとえば下記のようなものがあります。<医療法人の場合>医療法人の定款登記簿謄本社会保険医療機関指定通知書納税証明書金銭消費賃貸借契約書と借入状況一覧確定申告書の提出書類一式(3期分)テナント賃貸借契約書リース契約書  等<個人経営の場合>診療所開設時の提出書類一式社会保険医療機関指定通知書青色申告決算書一式(3期分)テナント賃貸借契約書リース契約書  等こうした資料を基に、仲介業者は下記のような点を見極めます。帳簿上以外での債務(主にリース残債)がどの程度ありそうか?3年推移でみた際に売り上げや利益が著しく下がっていないか?3年推移でみた際に不透明なお金の動きがないか?テナントの契約内容で、買い手側・売り手側にとって注意すべき点はないか?(第三者承継禁止などの文言がないか)売り手は退職金をどの程度もらうことができるか?売り値をいくらで設定できそうか?  等こうした資料を用意するのには労力を伴いますが、顧問税理士が保管する資料も多く、顧問税理士と医業承継の仲介会社が直接やりとりをすることで、あまり労なく共有することが可能になるケースもあります。ふだんから資料を整理し、周囲に共有しておくことが大切です。

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介護負担を考慮しβ遮断薬貼付薬の内服への切り替えを提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第40回

 今回は、貼付薬から内服薬へ切り替えた事例を紹介します。貼付薬は、内服薬の拒否・困難なケースでも治療が継続できて便利ですが、ほかの薬剤を問題なく内服できている場合は、貼付薬が1つ入っていることが返って手間になることもあります。患者情報90歳、女性(施設入居)基礎疾患発作性心房細動、心不全、高血圧症、脂質異常症、骨粗鬆症介護度要介護1服薬管理施設職員が管理処方内容1.エプレレノン錠25mg 1錠 分1 朝食後2.アゾセミド錠30mg 1錠 分1 朝食後3.ジゴキシン錠0.125mg 0.5錠 分1 朝食後4.ワルファリンカリウム錠1mg 3錠 分1 朝食後5.エナラプリル錠5mg 1錠 分1 朝食後6.エルデカルシトールカプセル0.5μg 1カプセル 分1 朝食後7.ピタバスタチン錠1mg 1錠 分1 朝食後8.ニコランジル錠5mg 2錠 分2 朝夕食後9.酸化マグネシウム錠330mg 2錠 分2 朝夕食後10.ビソプロロールテープ剤4mg 1枚 夕に貼付本症例のポイントこの患者さんは、服用薬剤は多いものの、「長生きは薬のおかげ」と服薬負担は感じていませんでした。しかし、貼付薬の交換時に、皮膚の掻痒感を我慢している様子があることを介護職員より聴取しました。そこで患者さんに話を聞いたところ、「かゆみはあるけれど、先生から勝手にやめないように言われているから我慢している」と考えていたことを聞き出すことができました。また、介護職員からは、職員配置の少ない夕方の貼付薬の介助は負担が大きいということも聞きました。そこで、本人と介護職員の負担を軽減するため、貼付薬を内服にまとめる提案をすることにしました。ビソプロロール貼付薬と内服薬の換算目安下記表の頻脈性心房細動を対象とした第III相検証試験(二重盲検並行群間比較試験)において、ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mgとビソプロロール貼付薬4mg、ビソプロロールフマル酸塩錠5mgとビソプロロール貼付薬8mgの比較が行われています。この試験結果によると、ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg≒ビソプロロール貼付薬4mgですので、内服薬への切り替えは可能と考えました。画像を拡大する処方提案と経過本人および介護者の負担状況をトレーシングレポートにまとめて医師に提出し、現行のビソプロロール貼付薬4mgからビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg内服への切り替えを提案しました。その際、換算の根拠として、上記の試験結果の表を共有しました。訪問診療の開始前に、医師よりトレーシングレポートの内容に処方を変更すると回答を得ました。そこで、翌日より内服薬に変更し、看護師と血圧・心拍数の変動についてモニタリングすることにしました。切り替えてから14日経過しても大きな変動はなく状態は安定しており、現在も内服薬として継続中です。ビソノテープインタビューフォームビソノテープ トーアエイヨー医療関係者向け情報

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肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症〔PVOD:pulmonary veno-occlusived isease/PCH:pulmonary capillary hemangiomatosis〕

1 疾患概要■ 定義肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(pulmonary veno-occlusive disease:PVOD/pulmonary capillary hemangiomatosis:PCH)は、肺高血圧症(pulmonary hypertension:PH)を呈する極めてまれな疾患であり、臨床所見のみでは肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)との鑑別が困難とされている。しかし、病理組織学的には肺動脈に病変が生じるPAHと明らかに異なり、PVOD/PCHの主たる病変は肺静脈/毛細血管にある。2013年2月に開催された第5回世界肺高血圧症シンポジウム(フランス、ニース)では、PVOD/PCHは肺高血圧症分類I群の中の1つと位置付けられ、他のPAHとは明らかに病態が異なるI’群のサブクラスとして分類された。さらに2015年8月に発表されたESC/ERS(欧州心臓病/呼吸器学会)ガイドラインでは、その亜分類として1)特発性PVOD/PCH、2)遺伝性PVOD/PCH(EIF2AK4およびその他の遺伝子変異あり)、3)毒物/薬物/放射線惹起性PVOD/PCH、4-1)膠原病に伴うPVOD/PCH、4-2)HIV感染症に伴うPVOD/PCHが示された。2015年1月より厚生労働省の難病対策が改定され、指定難病として「PAH」「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」に加え、「PVOD/PCH」が追加された。また難病指定に伴い、2014年度難治性疾患政策研究事業「呼吸不全に関する調査研究班」によって、特発性または遺伝性のPVOD/PCHを対象に、難病申請に必要な具体的な臨床診断基準が立案された。これが2021年7月時点での公的な指定難病「PVOD/PCH」の概念である。2018年に開催された第6回世界肺高血圧症シンポジウム(フランス、ニース)でPH臨床分類は改訂され「PVOD/PCH」概念は軌道修正された。PVOD/PCHはPAHスペクトラムの中の1つの病態という位置付けに変わった。なお、本稿では異なる2つの概念を合わせて記述している。■ 疫学PVOD/PCHの疾患概念は、2013年から2018年世界肺高血圧症シンポジウムで変化を認めた。2021年7月の時点でわが国における正確な有病率は把握されていない。PVOD/PCHの位置付けをPAHスペクトラムの一部とすると疫学はまったく不明となる。PVOD病態は、さまざまな疾患に合併しており、特に強皮症を始めとする膠原病での合併が多いとされている。また、内科治療に不応性のPAH患者14例の病理組織学的検討で86%にPVODの所見が認められたとする報告もあり、IPAH、心不全、間質性肺疾患などに混在している可能性がある。■ 病因強皮症に合併したPVOD病変を合併した患者のsmall-andpost-capillary vesselでは細胞増殖に関与するPDGFR-βの発現亢進があり、肺静脈のリモデリング/狭窄に関与する可能性が示唆されているが指摘されている。また、EIF2AK4遺伝子変異の関与から、TGFβ1経路の抑制、mTOR経路との関連も指摘されている。造血幹細胞移植後のPVODでは、移植による内皮障害/凝固活性亢進が要因の1つとして挙げられている。しかし、どの説も全体像の説明には至っていない。■ 症状自覚症状はPAHスペクトラムの一部であるという観点からもPAHと同様である。労作時息切れが主な自覚症状である。PAHと比較して肺からの酸素の取り込みが制限されているため、より低酸素血症が強度であることもあり、診断時の労作時息切れの程度は強い可能性がある。■ 分類世界肺高血圧症シンポジウムは5年毎に開催される。2013年から2018年にかけてのPVOD/PCH概念の変遷はその分類(位置付け)の違いに反映されている(表1、2)。表1 第5回世界肺高血圧症シンポジウム2013におけるPH臨床分類の中でのPVOD/PCHの位置づけ(一部のみ抜粋)※PVOD/PCHは第1群の亜分類となっている第1群 肺動脈性肺高血圧症(PAH)1.1特発性肺動脈性肺高血圧症(idiopathic PAH:IPAH)1.2遺伝性肺動脈性肺高血圧症(heritable PAH:HPAH)1.2.1BMPR21.2.2ALK1、Endoglin、SMAD9、CAV1、KCNK3などBMPR2以外の変異第1'群 肺静脈閉塞症(PVOD)および/または肺毛細血管腫症(PCH) 1’.1特発性1’.2遺伝性1’.2.1EIF2AK4変異1’.2.2EIF2AK4以外の変異1’.3薬物・毒物誘発性1’.4各種疾患に伴うPVOD/PCH1’.4.1結合組織病1’.4.2HIV感染症表2 第6回世界肺高血圧症シンポジウム2018におけるPH臨床分類の中でのPVOD/PCHの位置づけ(一部のみ抜粋)※PVOD/PCHは第1群に含まれている1肺動脈性肺高血圧症(PAH)1.1特発性PAH1.2遺伝性PAH1.3薬物・毒物誘発性PAH1.4各種疾患に伴うPAH1.5カルシウム拮抗薬に長期間にわたり反応するPAH1.6静脈/毛細血管(PVOD/PCH)病変の明らかな特徴を示すPAH1.7新生児遷延性肺高血圧症■ 予後PVOD/PCHは病態が急速に進行する予後不良の疾患とされているが、診断が困難であることもあり、いまだその正確な予後を示す報告は少ない。PAHに有効な選択的肺血管拡張薬の効果は限定され、ほとんどの症例が診断から2年の経過で死亡するとされる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断1)病理診断所見PVOD末梢肺静脈(特に小葉間静脈)のびまん性かつ高度(静脈の30~90%)な閉塞所見ありPCH    肺胞壁の毛細管様微小血管の多層化および増生。さらにPVODに準じた末梢肺静脈病変を認める場合もあり2)臨床診断基準【主要項目】(1)右心カテーテル所見が肺動脈性肺高血圧症(PAH)の診断基準を満たす(a)肺動脈圧の上昇(安静時肺動脈平均圧で25mmHg以上、肺血管抵抗で3Wood Unit、240dyne・sec・cm-5以上のすべてを満たす)(b)肺動脈楔入圧(左心房圧)は正常(15mmHg以下)(2)PVOD/PCHを疑わせる胸部高解像度CT(HRCT)所見(小葉間隔壁の肥厚、粒状影、索状影、スリガラス様影(ground glass opacity)、縦隔リンパ節腫大)があり、かつ間質性肺疾患など慢性肺疾患や膠原病疾患を除外できる(3)選択的肺血管拡張薬(ERA、PDE5 inhibitor、静注用PGI2)による肺うっ血/肺水腫の誘発【副次的項目】(1)安静時の動脈血酸素分圧の低下(70Torr以下)(2)肺機能検査:肺拡散能の著明な低下(%DLco4 今後の展望疾患概念の変遷はあったが、PVOD/PCH病態を有するPAH患者さんの診断・治療に難渋することは変わっていない。前毛細血管でなく、毛細血管・肺静脈病変がより強い症例では肺血管拡張療法の有用性が低下して、肺血管拡張療法に伴う有害事象が増えると想定される。今後、病因解明、新規治療法の探求を継続する必要がある。図 PAH spectrumの中のPVOD/PCH画像を拡大する5 主たる診療科循環器内科、呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)「肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症診療ガイドライン」(Minds認証)日本肺高血圧・肺循環学会ホームページMindsガイドラインライブラリ(医療従事者向けのまとまった情報)難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究班ホームページ(医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2021年7月20日

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在宅吸入可能な肺非結核性抗酸菌症治療薬「アリケイス吸入液590mg」【下平博士のDIノート】第78回

在宅吸入可能な肺非結核性抗酸菌症治療薬「アリケイス吸入液590mg」今回は、「アミカシン硫酸塩(商品名:アリケイス吸入液590mg、製造販売元:インスメッド合同会社)」を紹介します。本剤は、内服薬による多剤併用療法の抗菌効果が不十分な肺非結核性抗酸菌(NTM)症に上乗せすることができるアミノグリコシド系抗菌吸入薬です。<効能・効果>本剤は、アミカシンに感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺NTM症の適応で、2021年3月23日に承認されました。なお、本剤の適用は、肺MAC症に対する多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者に限定されています。<用法・用量>通常、成人にはアミカシンとして590mg(力価)を1日1回、専用ネブライザ(ラミラネブライザシステム)を用いて吸入投与します。なお、使用に当たっては、ガイドラインなどを参照し、多剤併用療法と併用します。喀痰培養陰性化が認められた以降も、一定期間は本剤の投与を継続します。臨床試験においては、喀痰培養陰性化が認められた以降に最大12ヵ月間、本剤の投与を継続しました。投与開始後12ヵ月以内に喀痰培養陰性化が得られない場合は、本剤の継続投与の必要性を再考する必要があります。<安全性>肺NTM症患者を対象とした第II、第III相試験の併合結果404例中330例(81.7%)で副作用が確認されました。主な副作用として、発声障害172例(42.6%)、咳嗽125例(30.9%)、呼吸困難57例(14.1%)、喀血42例(10.4%)、口腔咽頭痛37例(9.2%)、疲労29例(7.2%)、耳鳴り21例(5.2%)などが報告されています。重大な副作用として、過敏性肺臓炎(2.7%)、気管支痙攣(21.5%)、第8脳神経障害(15.1%)、急性腎障害(3.2%)、ショックおよびアナフィラキシー(頻度不明)が現れる可能性があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、在宅で吸入する抗菌薬です。肺の奥まで浸透することで感染細胞に取り込まれ、抗菌作用を発揮します。2.冷蔵庫(2~8℃)で保管し、凍らせないでください。25℃の室温で最大4週間保管が可能ですが、一旦室温に戻した場合は、未使用であっても4週間で廃棄してください。3.使用するときは、冷蔵庫から取り出して室温(20~25℃)に戻し、内容物が均一になるように10~15秒間激しく振り混ぜます。電池を入れるかACアダプターを接続した専用の吸入器を用いて、1日1回、約14~20分間吸入します。4.吸入後は、毎回洗浄・消毒をして、乾燥させてください。エアロゾルヘッドは週1回の超音波洗浄を行い、ハンドセット(吸入部)は1ヵ月ごとに新しいものに取り替えます。5.本剤を使用中に、咳、息切れ、発熱、呼吸困難、疲労感、発疹、めまい、耳鳴り、難聴、むくみ、尿量減少、食欲不振、悪心・嘔吐などの症状が現れたら、ただちに医師に連絡してください。<Shimo's eyes>近年、わが国の肺NTM症の罹患率および死亡率が増加しており、MACが原因菌種の80~90%超を占めています。治療は通常、リファンピシン、エタンブトール、クラリスロマイシンの3種類による多剤併用療法が選択され、必要に応じてストレプトマイシンまたはカナマイシンの併用を行います。しかし、選択肢が限られ、副作用や耐性化により治療が難しくなっているという課題があります。なお、本剤と同成分であるアミカシンの注射製剤もありますが、肺への浸透性が低く、重大な全身的副作用のリスクもあることから在宅での投与は困難です。本剤は、専用ネブライザを用いることで、吸入により、全身曝露を抑えて副作用を軽減しつつ、肺末梢の肺胞まで薬剤が効率的に分布して、感染細胞であるマクロファージへの取り込みを促進します。単剤では用いずに、上記の多剤併用内服療法に加えて使用します。国際共同第III相試験(CONVERT試験)では、投与6ヵ月目までの培養陰性化率は、GBT(ガイドラインに基づく多剤併用療法)単独群よりも本剤+GBT群のほうが高いことが認められました。海外のATS/ERS/ESCMID/IDSAガイドライン2020では、すでに難治性肺MAC症の推奨治療に組み込まれています。副作用としては、気管支痙攣のほか、第8脳神経障害が現れることがあるので、血中濃度が高くなりやすい腎機能障害がある患者、高齢者ではとくに注意が必要です。また、急性腎障害の報告もあります。治療早期には症状が見られないこともあるので、定期的なフォローを欠かさないようにしましょう。本剤による治療は、MAC菌が検出されなくなった最初の月から、12ヵ月後まで治療を継続することが推奨されています。長期間・連日の吸入となりますので、アドヒアランスや器具の取り扱い、副作用の確認のほか、治療モチベーションの維持についてもサポートしましょう。参考1)PMDA 添付文書 アリケイス吸入液590mg

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急性腰痛に筋弛緩薬は有効か/BMJ

 非特異的腰痛の治療における筋弛緩薬の臨床的有効性と安全性には、かなりの不確実性が存在し、確実性がきわめて低いエビデンスではあるが、急性腰痛では非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬が2週間以内に、痛みの強さを臨床的な意義はないもののわずかに軽減することが、オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのAidan G. Cashin氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年7月8日号に掲載された。疼痛強度、機能障害、受容性、安全性をメタ解析で評価 研究グループは、腰痛治療における筋弛緩薬の有効性と受容性、安全性を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 医学データベース(Medline、Embase、CINAHL、CENTRAL、ClinicalTrials.gov、clinicialtrialsregister.eu、WHO ICTRP)を用いて、創設時から2021年2月23日までに登録された文献を検索した。 対象は、非特異的腰痛の成人(年齢18歳以上)患者の治療において、筋弛緩薬をプラセボ、通常治療、介入待機(waiting list)、無治療と比較した無作為化対照比較試験であった。 2人の研究者が別個に、試験を同定し、データを抽出し、バイアスのリスク(Cochrane risk-of-bias toolを使用)およびエビデンスの確実性(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluationsを使用)を評価した。制限付き最尤推定法による変量効果メタ解析モデルを用いて、プールされた効果とその95%信頼区間(CI)を推定した。 アウトカムは、疼痛強度尺度(0~100点)、機能障害尺度(0~100点)、受容性(投与期間中のあらゆる理由による投与中止数で評価した満足度)、安全性(有害事象、重篤な有害事象、有害事象により試験を中止した参加者の数)であった。大規模で信頼性の高い試験が早急に必要 レビューには49の試験が含まれ、このうち31試験(6,505例)がメタ解析の対象となった。これらの試験は、18種の筋弛緩薬について評価しており、29試験が非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬、11試験がその他の薬剤、5試験が抗攣縮薬、4試験はベンゾジアゼピン系薬の検討を行っていた。 急性腰痛では、確実性が「非常に低(very low)」のエビデンスとして、対照群と比較して、2週時または2週以内に非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬は疼痛強度の軽減と関連した(平均差:-7.7、95%CI:-12.1~-3.3)が、機能障害の軽減は認められなかった(-3.3、-7.3~0.7)。 また、急性腰痛では、確実性が「低(low)」のエビデンスとして、対照群と比較して、非ベンゾジアゼピン系抗痙攣薬は有害事象のリスクを増加させ(相対リスク:1.6、95%CI:1.2~2.0)、確実性が「非常に低」のエビデンスとして、受容性に及ぼす効果はほとんどないか、まったくない可能性が示された(0.8、0.6~1.1)。 他の筋弛緩薬や腰痛の持続時間の違いを検討した試験は少なく、ほとんどの試験はバイアスのリスクが高かったことから、エビデンスの確実性は低かった。 著者は、「腰痛治療における筋弛緩薬の有効性と安全性に関する不確実性を解消するには、大規模で信頼性の高いプラセボ対照比較試験が早急に必要である」としている。

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遠隔医療統合型妊産婦ケア、妊娠アウトカムを損なわず/Lancet

 遠隔医療を統合した妊産婦ケアは、妊娠アウトカムを損なわずに対面診療を50%以上削減することが、オーストラリア・Monash HealthのKirsten R. Palmer氏らの調査で示された。この診療モデルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期にも、対面での対話の最小化に資する可能性があり、流行終息後の保健医療モデルにおいても考慮すべきだという。Lancet誌2021年7月3日号掲載の報告。遠隔医療統合の影響を分割時系列分析で評価 研究グループは、妊産婦ケアにおける遠隔医療導入の有効性と安全性を評価する目的で、Monash Health(オーストラリア、ビクトリア州の大規模医療施設で、年間の出産件数は約1万件、妊産婦診療件数は約10万件)で出産する全女性の健康データを定期的に収集し、分割時系列分析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 この試験では、2020年3月23日以降に、低リスクおよび高リスク診療モデルを用いて、妊産婦ケアに遠隔医療を統合した場合の影響を評価した。2020年3月23日から1ヵ月間の導入期間を設定し、その後2020年4月20日~7月26日までに実施された遠隔医療統合型ケアと、2018年1月1日~2020年3月22日までに実施された従来型ケアを比較した。 主要評価項目は、胎児発育不全、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病の検出とそのアウトカムとした。高リスクモデルの統合型ケアで早産が減少、他のアウトカムに差はない 従来型ケア期間(2018年1月1日~2020年3月22日)に、2万31人(平均年齢31.29歳)が出産し、遠隔医療統合型ケア期間(2020年4月20日~7月26日)には、2,292人(31.61歳)が出産した(年齢差のp=0.03)。統合型ケア期間に実施された2万154件の妊産婦診療のうち、1万731件(53%)が遠隔医療による受診であり、対面診療は9,423件(47%)と半数以下に減少した。 全体として、統合型ケア期間と従来型ケア期間との間には、胎児発育不全(低リスク診療モデルでの出生時体重<3パーセンタイル:統合型ケア期間2% vs.従来型ケア期間2%[p=0.72]、高リスク診療モデルでの出生時体重<3パーセンタイル:5% vs.5%、[p=0.50])、死産(1% vs.1%[p=0.79]、2% vs.2%[p=0.70])、妊娠高血圧腎症を合併した妊娠(3% vs.3%[p=0.70]、9% vs.7%[p=0.15])、妊娠糖尿病(22% vs.22%[p=0.89]、30% vs.26%[p=0.06])の発生について有意な差は認められなかった。 分割時系列分析では、高リスク診療モデルの女性で早産(週当たりの発生率の変化量:-0.68%、95%信頼区間[CI]:-1.37~-0.002、p=0.049)が、統合型ケアによって有意に減少した。一方、その他のアウトカムについては、統合型ケアと従来型ケアには、低リスク診療モデルおよび高リスク診療モデルの双方において有意差はみられなかった。 著者は、「これらの知見は、遠隔医療による妊産婦ケアは従来型のケアに比べ、アウトカムが同等または改善される可能性が高いことを示しており、今後、これを検証するとともに、より長期間の研究やCOVID-19の流行終息後の研究も進める必要がある」としている。

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二段階認証について

二段階認証二段階認証についてご本人確認用電話番号の登録・変更方法についてSMS(ショートメッセージ)で認証する音声で認証するSMS(ショートメッセージ)に認証コードが届きません音声での認証コードが届きません認証コードを入力しても認証されない認証コードを発行できないご本人確認用電話番号を登録できない二段階認証についてケアネットではご本人様以外による不正利用を防ぐため、二段階認証を導入しています。パスワードに加えて、ご本人様の電話番号で受け取る「認証コード」が必要になります。ご登録までのステップ「認証コード」を受信するための電話番号(ご本人確認用電話番号)の登録方法は次の通りです。(1)ご本人の確認(メールアドレス+生年月日)CareNet.comにご登録済みの「メールアドレス」「生年月日」を入力してください。ご登録済みのメールアドレスに「ご本人確認用電話番号 登録 URL」を記載した確認メールが届きます。(2)ご本人確認用電話番号の登録・変更確認メールに記載のURLからご本人確認用電話番号(携帯電話 推奨)を登録・変更してください。この電話番号でSMS(ショートメッセージ)を受信します。SMS非対応の場合は、音声での受け取りも可能です。(3)二段階認証の実施ご登録のご本人確認用電話番号で取得した認証コードを、CareNet.com上の画面に入力し認証してください。二段階認証とは?二段階認証とは、二段階の本人確認を行う仕組みです。パスワードの確認(一段階)に追加して、さらに「セキュリティ認証コード」による確認(二段階)を行います。仮に、パスワードが漏洩した場合でも、認証されるのはご自身のみとなるため安心です。画像を拡大するSMS認証とは?二段階認証のやり方の1つです。ご自身のスマートフォン(携帯電話)の「SMS(ショートメッセージ)」を介して通知された「認証コード」で、ご本人確認を行います。画像を拡大するご本人確認用電話番号の登録・変更方法について二段階認証では、パスワードに加えて、ご本人様の電話番号で受け取る「認証コード」が必要になります。ご登録はこちら。(1)ご本人確認画像を拡大するCareNet.comにご登録済みの「メールアドレス」「生年月日」を入力し、「送信する」ボタンを押してください。「ご本人確認用電話番号 登録URL」を記載した確認メールを、ケアネットからお送りします。届いたメールに記載されたURLからご本人確認用電話番号の登録ページにアクセスできます。(2)確認メール通知ご入力のメールアドレスと生年月日がCareNet.comにご登録済みのものと一致した場合、「ご本人確認用電話番号 登録URL」を記載した確認メールが、CareNet.comにご登録済みのメールアドレスに届きます。確認メールに記載されているURLから「二段階認証/ご本人確認管理ページ」にアクセスしてください。(配信元アドレス:customer@official.carenet.co.jp件名:【 CareNet.com 】ご本人確認用電話番号 登録URLのご連絡にてメールをお送りしています)。(3)-A ご本人確認用電話番号の登録(携帯電話・SMSの場合)画像を拡大する認証コードの取得方法は、スマートフォン(携帯電話)のSMS(ショートメッセージ)、または電話による音声通話のどちらかをお選びになれます。スマートフォン(携帯電話)の場合は、「SMS(ショートメッセージ)で認証コードを取得」をクリックし、二段階認証の認証コードを受け取るご本人の携帯電話番号をご入力のうえ、SMSで認証コードを取得してください。090、080、070から始まる番号(携帯電話)以外は、SMSでの認証を行うことができません。(3)-B ご本人確認用電話番号の登録(固定電話・音声通話の場合)画像を拡大する認証コードの取得方法は、スマートフォン(携帯電話)のSMS(ショートメッセージ)、または電話による音声通話のどちらかをお選びになれます。音声通話での受け取りを希望される場合は、「音声通話で認証コードを取得」をクリックし、二段階認証の認証コードを受け取るご本人の電話番号をご入力のうえ、音声通話で認証コードを取得してください。電話番号「050-3135-6600」から音声で認証コードをお知らせします。(4)認証コード入力画像を拡大するSMSもしくは音声で取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。(5)認証完了画像を拡大するご本人確認用電話番号の登録および二段階認証が完了しました。元のサイトへ戻ってください。SMS(ショートメッセージ)で認証する(1)認証コード発行(SMS)画像を拡大するご登録済みの「ご本人確認用電話番号」に、SMS(ショートメッセージ)で認証コードが送信されます。SMSをご利用になれない場合は、「音声で認証コードを取得」をクリックしてください。(2)認証コード入力画像を拡大するSMSで取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。音声で認証する(1)認証コード発行(音声)画像を拡大するご登録済みの「ご本人確認用電話番号」に、050-3135-6600より電話の着信があります。音声で流れる数字の認証コードを入力し、認証を行います。(2)認証コード入力画像を拡大する音声で取得した認証コードを入力し、「認証する」ボタンを押して認証してください。SMS(ショートメッセージ)に認証コードが届きませんご登録いただいている「ご本人確認用電話番号」をご確認ください。「ご本人確認用電話番号」を確認したうえでSMSに認証コードが届かない場合は、以下の項目をご確認ください。以下の項目をご確認いただいても改善しない場合は、スマートフォン(携帯電話) の再起動で、SMSを受信できる場合があります。迷惑メール設定等でSMSの受信を制限している通信会社(キャリア)の迷惑メール対策機能で、SMSを受信しない、または連絡先(電話帳)に登録がない番号からのメッセージを拒否している等の設定を行っていないかご確認ください。※設定方法はお使いのスマートフォン(携帯電話)によって異なります。ご利用の携帯端末機器メーカーのヘルプ、または取扱説明書等をご確認ください。スマートフォン(携帯電話)のシステムが最新の状態ではないスマートフォン(携帯電話)をご利用の場合は、システムのバージョンが最新の状態であるか念のためご確認いただき、認証コードを再発行してください。ご利用のスマートフォン(携帯電話)や契約回線にSMS機能が付いていないご利用のスマートフォン(携帯電話)や、回線のご契約状況によっては、SMS機能をご利用いただけない場合があります。ご契約内容については、ご利用の通信会社(キャリア)にご確認ください。携帯電話番号ポータビリティ(MNP)後でSMSが受信できないMNP後、通信会社(キャリア)によりSMSの受信ができなくなる、または受信するまでに時間がかかる場合があります。詳しくは、通信会社(キャリア)のサービス窓口等にお問い合わせください。SMSの保存容量がいっぱいになっている不要なデータを削除したうえで、再度、認証コードを発行してください。モバイル通信ができない状態になっているWi-Fiのみがつながっている、機内モードになっている等、モバイル通信が利用できていない場合はSMSを受信できません。モバイル通信がオンになっているか、お確かめください。通信会社(キャリア)側で通信障害が起きているご利用の通信会社(キャリア)で通信障害が発生している場合や、メンテナンスによって通信ができていない場合があります。しばらくたってから、再度お試しください。音声での認証コードが届きませんご登録いただいている「ご本人確認用電話番号」をご確認ください。「ご本人確認用電話番号」を確認したうえで10分以上たっても着信がない場合は、以下の項目をご確認ください。着信は「050-3135-6600」の番号からとなります。回線が混み合っている混雑状況により、音声案内の開始までに最大10分ほどお時間がかかる可能性があります。着信があるまでしばらくお待ちください。連絡先(電話帳)に登録がない番号からの着信を拒否している連絡先(電話帳)に登録されていない番号からの着信拒否設定をしている場合は、その設定を解除するか、電話番号「050-3135-6600」を連絡先に登録してください。通話中の着信であったため届かなかった通話中に着信があった場合、音声での認証コードは届きません。再度、認証コードを発行してください。留守番電話の設定がある場合は、そちらもご確認ください。電話会社側で通話障害が起きているご利用の電話会社で通話障害が発生している場合や、メンテナンスによって通話ができない場合があります。しばらくたってから、再度、認証コードを発行してください。認証コードを入力しても認証されない有効期限が切れた認証コードには有効期限があります。認証コードの有効期限が切れた場合は、再度認証コードを発行してください。認証中に別の認証コードを発行している認証が完了する前に、新たに認証コードを発行すると、過去に発行した認証コードは無効になります。 直近の認証コードを入力してください。認証コードを間違って入力した取得した認証コードを確認し、再度入力してください。認証コードを発行できないSMSに対応していない携帯電話番号で発行を試みているSMSに対応していないスマートフォン(携帯電話)の電話番号はご利用になれません。SMSを利用できるスマートフォン(携帯電話)の電話番号、または電話による音声通話での発行をお試しください。ご本人確認用電話番号を登録できない海外の電話番号を利用している海外の電話番号はご利用になれません。同一の電話番号が別のアカウントに登録されている同じ電話番号を複数のCareNet.com(ケアネット・ドットコム)アカウントに登録することはできません。勤務先施設の電話番号をご登録いただく場合は、施設内の他のご利用者様が、すでに登録している可能性があります。その場合は、ご自身のスマートフォン(携帯電話)の電話番号をご登録ください。「この電話番号はご登録になれません。申し訳ございませんが、別の電話番号をご入力ください。」と表示される同じ電話番号を複数のCareNet.com(ケアネット・ドットコム)アカウントに登録することはできません。登録しようとした電話番号がすでに登録されていた場合は、別の電話番号をご登録ください。お心当たりがない場合は、こちらまでお問い合わせください。

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コロナワクチンのアナフィラキシー、患者さんに予防策を聞かれたら?

 7月に入り、新型コロナワクチン接種が65歳未満でも本格化している。厚生労働省の副反応報告1)によると、現時点では「ワクチンの接種体制に直ちに影響を与える程度の重大な懸念は認められない」との見解が示されており、アナフィラキシーやその他副反応のリスクよりも新型コロナの重症化予防/無症状感染対策というベネフィットが上回るため、12歳以上へのワクチン接種は推奨される。 しかし、接種対象者の年齢範囲が広がることで問題となるのが、SNS上での根拠のないワクチン批判である。その要因の1つが「アナフィラキシー」だが、患者自身で出来る予防策はあるのだろうかー。今回、日本アレルギー学会のCOVID-19ワクチンに関するアナウンスメントワーキンググループのひとりである中村 陽一氏(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター センター長)に話を聞いた。ワクチンだけを恐れる矛盾を指摘 まず、中村氏はワクチン不安に陥る前に、あらかじめ知っておくべきこととして2点を提示した。一つは「腕の痛みなどの注射部位反応や筋肉痛、頭痛、寒気、倦怠感、発熱などの反応は、ワクチンに対する身体の正常な免疫反応を反映している」ということで、それらは数日以内に消失する。もう一つは「わが国における新型コロナワクチン接種後に起こったアナフィラキシーの報告で信頼に足るものは100万回あたり7件と報告されており、医療機関で使用される造影剤(100万回あたり約400件)や肺炎などの感染症で使用される抗生物質(100万回あたり100~500件)に比べると極めて少ない」という事実である。今回の新型コロナワクチンに限らず一般にワクチンはほかの医薬品に比べてアナフィラキシーが少ないと言われているにもかかわらず、接種を怖がる人が多いのは、「一部マスコミの注意喚起が強調され過ぎたのかもしれない。ただし、ごく稀とはいえ誰にでも新型コロナワクチンによるアナフィラキシーがあり得るのは事実であり、個人的にできる予防策があればそれに越したことはない」とも話した。 アナフィラキシーを増強させる促進要因(飲酒、運動、月経前状態など)2)はいくつか明らかになっているものの、実際にアナフィラキシーが発症する際にはさまざまな要因が絡み合うため、「これという確かな予防策は存在しない」と同氏はコメント。しかし、予防策が断定できなくとも患者が心得ておくべきは、「ワクチン接種日の数日前から体調を整えておくこと」であり、医療者の役割は「自分の患者からワクチン接種の可否について相談された場合にリスク因子の有無を正確に見極めること」と話した。その際に参考になるのは、アナフィラキシーの主な原因が新型コロナワクチンの主成分ではなく添加物(ポリエチレングリコール[PEG]やポリソルベートなど)との報告である。実際にファイザー製やモデルナ製にはPEGが、アストラゼネカ製にはPEGに交差反応性のあるポリソルベート80が添加されている。 一方、これらの賦形剤は多くの医薬品(注射薬、錠剤、外用薬、など)や化粧品に(PEGはマクロゴールの名称で)広く含有されており、同氏は「私の所属する医療機関で扱っている医薬品4,000種類以上に含まれている。そして、多くの患者は普段から定期的にこれらを体内に取り込んでいることになる。もちろん、その接種経路により症状誘発の程度が異なることはあり得るが、自分が担当する患者さんにワクチン接種の可否を訊ねられた際には、定期処方薬にそれらが含有されていることを確認した上で、『あなたは一般に新型コロナワクチンの原因と言われている成分を毎日服用しているのに普段何ともないのですから、そんなに心配することはないですよ』とアドバイスをして安心していただくようにしている」と、添加物の実状と患者の不安を払拭させるような声掛け方法を例示した。 現在、PEGは日本薬局方には医薬品添加物として、分子量200、300、400、600、1000、1500、1540、4000、6000、20000が登録されており、添付文書ではマクロゴール◯◯や下記のようにPEG◯◯などと記載されていることが多い(◯◯は分子量)。<各ワクチンに含有される主な添加物>・コミナティ筋注(ファイザー):2-[(ポリエチレングリコール)-2000]- N,N-ジテトラデシルアセトアミド・COVID-19ワクチンモデルナ筋注(モデルナ):λ1, 2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポ リオキシエチレン(PEG2000-DMG)、トロメタモール(アナフィラキシー報告あり)・バキスゼブリア筋注(アストラゼネカ):ポリソルベート80アナフィラキシーの“既往なし”でも注意したい患者 加えて、PEGやポリソルベートに対するアレルギーが考えにくい場合でも、ワクチン前に受診を薦めたい患者として「喘息患者のなかでもコントロール不良な人、そして、“かくれ喘息”の人」を挙げた。喘息はアナフィラキシーの重症化リスクの1つであるため、「喘息治療をしていないが、ゼーゼー、ヒューヒューと喘息様の症状を有する人、治療を続けていても発作が多かったりコントロールが不良だったりする人は、ワクチン前にしっかり診断と治療を受け、コントロールしておくことも重要」とし、接種後には「通常の2倍の時間、30分間は経過観察が必要」とも話した。 これらを踏まえ、アナフィラキシー発症リスクの高い例と注意すべき患者像を以下のように示す。<アナフィラキシーに注意すべき患者像>( )内は主な可能性・高齢者(薬剤に過敏歴がある場合、化粧品使用とその経験が長い)・女性(化粧品の使用率が高く、PEGへの経皮感作の可能性がある)・喘息の既往(コントロール不良、発作が多い)、かくれ喘息<アナフィラキシーの発生リスクを探る>(優先順)1)アナフィラキシーに最もリスクがある患者は“PEGやポリソルベートによるアナフィラキシー歴あるいは1回目のワクチン接種でアナフィラキシーがあった”人。その場合には接種を見送る/2回目接種を見送る必要がある。2)次に注意すべきは、“原因不明あるいは不特定多数の医薬品などによるアナフィラキシー歴(PEGやポリソルベートに対するアレルギーの可能性を有する)”がある人。この人は可能な限り主治医に事前相談し、集団接種会場ではなく医療機関での個別接種が望ましい。3)“アナフィラキシー歴はあるが、PEG・ポリソルベートなどの賦形剤以外の物質(食物、金属など)が原因として確定している”人は通常通りワクチン接種を行っても差し支えないと言える。 アレルギー反応にはアナフィラキシーや花粉症、食物アレルギーなどを引き起こすI型、II型(血小板減少症など)、III型(SLEや関節リウマチなど)、IV型(接触皮膚炎など)が存在するが、食物アレルギーはアナフィラキシーと同型に分類されるため、食物アレルギーを抱える患者は接種に不安を抱え、ためらうこともあるかもしれない。これについては、日本アレルギー学会が今年3月に公開したアナウンスメント3)にも「少なくとも現時点では花粉、食物などの特定の抗原に対する I 型アレルギーや、アナフィラキシー症状を伴わない喘息、アトピー性皮膚炎などのアトピー疾患であることが、新型コロナウイルスワクチンに対する過敏性を予測するものではないことを意味する」と示されている、と強調した。医療者としての声掛けー新型コロナワクチンに不安な被接種者へ 新型コロナに罹患した際の症状は死に至る場合もある。感染から回復しても長引く後遺症(疲労感・倦怠感や息切れ…)に悩まされることになり、それらの症状からいつ完全回復を遂げられるかはまだ明らかにされていない。ワクチン接種時の一時的な副反応症状(発熱、倦怠感など)と発症率が低く適切な治療により致命的になることがほとんどないアナフィラキシー、どちらのリスクが自分にとって危険であるのかを天秤にかけた場合、「ワクチンを接種せずに新型コロナに罹患することだけは避けるべきであるのは自明」と同氏は繰り返した。 最後に、ワクチン接種に関し医療者が患者にできることとして、「今後の変異株の拡大などにより若い人でも重症化することが懸念されている現状では、患者にワクチンを諦めさせるのではなく、推奨することが大切なのではないか」とワクチン接種が患者の命を救う最善の手立ての1つであることを強く訴えた。中村 陽一(なかむら よういち)氏横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター長1955年香川県生まれ。81年徳島大卒。91年医学博士取得および米国ネブラスカ大学留学。2000年国立病院機構高知病院臨床研究部長を経て05年より現職および昭和大学医学部客員教授。日本アレルギー学会功労会員。同学会アナフィラキシー対策委員会委員長。

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第22回 痛み診療のコツ・治療編(2)光線療法(1)【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第22回 痛み診療のコツ・治療編(2)光線療法(1)前回は、知覚神経と交感神経を同時にブロックする代表的な応用範囲の広い硬膜外ブロックについてお話しました。今回は、理学療法の中でもとくに高齢患者さんに好まれている光線療法ついて述べたいと思います。高齢社会を反映して、帯状疱疹後神経痛や脊椎術後疼痛症候群など本来の疾病が治癒した後に、強い痛みだけが取り残されることも稀ではありません。いわゆる難治性慢性疼痛患者さんの数が、高齢者の人口の増加に比例して急激に増加しています。痛みを訴える患者さんにおいては、病態は類似していても、痛みの性質や程度は個々の患者さんによって実に多様です。そのために、疼痛緩和療法も神経ブロック療法、薬物療法、各種理学療法、インターベンショナル治療など患者さんに合った有効な治療法に苦慮する機会も少なくありません。とくに最近では、高齢者を含めて血液抗凝固薬を服用する患者さんが増加しており、神経ブロックを回避しなくてはならない状況も少なくありません。しかも、痛みで悩まされている患者さんにとっては、より痛みの少ない治療法を望む声も多く見られます。このような背景を考慮すると、疼痛を訴えられている患者さんにとって光線療法は非常に有用な治療法であり、痛みの緩和を得られる機会も想像以上に多くみられます。今回はこの光線療法について解説いたします。光線療法機器の分類(1)低出力半導体レーザーGa-Al-As半導体をレーザー光源とした低出力半導体レーザーには、ソフトレーザリーJQ310、マルチレーザー5 MLF-601、メディアレーザーソフトパルス10などが市販されています。(2)ハロゲンランプ治療器自然灯の一種、ハロゲンランプを光源として、フィルターによって近赤外線のみを出力する装置です。アルファビームALB-200H、スーパーライザーHA-2200LEシリーズ、スーパーライザーPXシリーズのほか、家庭用としても使用できるスーパーライザーminiシリーズなどが使用されています。また、最近では、スーパーライザーPXシリーズも市販され、さらに性能を上げています。(3)キセノンライト治療器ストロボライト光源のキセノン励起光を利用したキセノンライトは、可視光よりも近赤外光を多く発光するので、近赤外線光源として利用されています。ベータエクセルXe10は、パルスモードを有する上、低周波通電機能もあり、光線療法と低周波治療を同時に施行できる特徴があります。光線療法の鎮痛作用機序レーザーの生体への影響は熱作用、光作用が基本になっています。その作用により、以下の効果が期待されています。(1)血流改善作用レーザー光による血管への直接作用、交感神経反射の減弱化、軸索反射による血管拡張などが考えられています。(2)神経伝達抑制作用脊髄後根線維の自発放電発射増加の減少作用、C線維の脱分極の抑制作用などが報告されています。(3)抗炎症作用関節リウマチ患者さんの膝関節滑膜炎症所見が、レーザー照射によって軽減されることが報告されています。(4)創傷治癒作用創傷治癒の促進が実験的、臨床的に認められています。(5)下行性疼痛抑制系の賦活ナロキソンによりレーザー鎮痛効果が抑制されることから、内因性オピオイドや、下行性疼痛抑制系の関与が考えられています。(6)その他神経細胞膜の安定化作用、免疫機能の賦活、筋緊張の緩和などが認められており、鎮痛作用の補助になりそうです。レーザー治療の対象疾患レーザー治療の鎮痛作用機序から考えて、以下のような疾患に有効性が認められています。 帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛、筋・筋膜性疼痛、頭痛、外傷性頸部疼痛症候群、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、腰痛症、術後疼痛症候群、非定形顔面痛、関節リウマチ、肩関節周囲炎、膝関節症などで、実に多岐にわたっています。初期の疼痛緩和療法を怠ると、一生痛みが持続することも稀ではありません。できるだけ早期に鎮痛対策をとることが、その後の痛みの遷延を和らげるという認識が大切です。光線療法が疼痛治療の一環として取り入れられ、多少なりとも痛みに苦しむ患者さんの疼痛緩和療法に役立てられれば幸いです。次回は、痛みとリハビリテーション療法について説明したいと思います。1)花岡一雄他. 日本医師会雑誌.2012:140;2352-23532)花岡一雄他監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S177-178

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「医師の入っている医療保険」は最適か?【医師のためのお金の話】第46回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。最近、家族がとある病気で入院して手術を受けました。幸い経過は良好なのですが、加入している医療保険がまったく使えないことに気付いてがくぜんとしました。加入している保険は、今回の治療に要した医療費をほとんどカバーできなかったのです。どうしてこのようなことが起こったのでしょうか? 十分な保険金が支払われなかった原因を調べてみると、どうやら加入している医療保険が時代遅れなものになっていたようです。入院期間短縮の影響が医療保険を直撃今回の家族の治療においては、ひと昔前の治療と比べて大きな差異がありました。それは入院期間の短縮化です。2013年に加入していたこの医療保険の条件は下記のようなものでした。生命共済契約時期:2013年月額保険料:4,000円入院(疾病):9,000円通院(疾病):0円手術:0円今回は4日間の入院で手術も含めた医療費の自己負担額は約20万円でした。差額ベッド代等が含まれており、高額療養費制度の適用にもなりません。医療保険では3万6,000円しか補填されず、残念ながら医療保険はあまり役に立ちませんでした。周知のように、昨今はどの疾患においても、入院期間を極力短くして外来での治療をメインにすることが主流となっています。このような医療体制の変化は、医療保険にも大きな影響を及ぼしています。かつての医療保険では、入院期間が保険金の算出基準に大きなウエイトを占めていました。つまり、入院期間が長ければ、より多くの保険金が支払われたのです。ところが、最近では入院期間が短縮化される傾向のため、入院期間で保険金が決まっていた従来の医療保険では、必要とされる医療費を賄えないのです。これでは何のために医療保険を掛けているのかわからないですね。保険商品も進化しているこのような医療体制の変化に合わせて、生命保険会社も新たな保険商品を開発しています。売れ筋は、日帰り入院であってもまとまった保険金を一時支給するタイプのようです。たとえば、私が見直しを検討している三井住友海上あいおい生命の「&LIFE 新医療保険A(エース)プレミア」の場合、仮に2013年当時の年齢で加入していたとすると、下記のような条件になります。月額保険料:7,872円入院(疾病):一律12万5,000円(6日目以降は5,000円/日)通院(抗ガン剤治療):10万円/月手術(入院):5万円ガン診断給付特約:100万円今回の入院であれば入院給付と手術給付で計17万5,000円が支払われることになり、医療費の9割が賄えた計算になります。2013年に加入した医療保険と比べると圧倒的に有利ですね。生命共済は一般的な生命保険会社よりも保険料が安価でそこに引かれたのですが、見直しを怠っていました。従来の医療保険は、日帰り入院手術では十分な保険金が支払われず、消費者の納得が得られません。入院期間短縮の流れに合わせて、保険会社も消費者のニーズに応える医療保険を開発しています。そして、この傾向はがん保険においてとくに顕著です。がんでも入院短期化の流れは同様ですし、高額の治療薬や長く続く外来診療など、治療に多額のお金が必要となるケースが多くなります。このような消費者のニーズに応じて、数十~数百万円の一時金を支給するがん保険が増えています。入院期間の短縮化という医療者にとって当然の事実が、医療保険の商品性にまで影響を与えているとは、医師でありながら考えが及んでいませんでした。ああ、もう少し目端が利けばよかったのになあ…。私に限らず、医師は自分や家族が入っている保険の内容について構っている人は少ない印象です。昔の保険はすべてお宝ではない予定利率の高かった時代の終身保険には、高い利率で運用できる「お宝保険」が多いというのは周知の事実です。このため、保険商品は昔に契約したもののほうが優れていると思っている人も多いかもしれません。しかし、医療保険に関しては、そうとは言い切れません。入院期間短縮化や治療方法の進化は、医療保険にも大きな影響を与えています。昔に加入した医療保険は見直したほうが良い場合が多いでしょう。キーワードは「一時金の大きさ」です。病は突然やってきますが、その際に必要なのは治療に向き合い、その間の生活を維持するためのまとまったお金です。もちろん一時金が大きい保険は保険料も高くなりますが、医師の仕事は自分の時間と引き換えに成り立っています。治療に専念すれば収入が減ったり途絶えたりするかもしれません。とくに傷病手当金のない国民健康保険に入っている開業医はリスクが高いでしょう。そのようなときに、大きな一時金を受け取れる医療保険が大きな助けになってくれることでしょう。

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研修認定薬剤師制度の電子化で“シール”廃止に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第71回

日本薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師」を取得している方、もしくは取得を目指している方は多いのではないでしょうか。研修認定薬剤師の総数は、2021年6月30日時点で11万1,490名(新規認定者3万5,926名、更新認定者7万5,564名)です。薬剤師免許の取得者は約30万人ですので、この研修認定薬剤師制度は広く普及していることがわかります。今までは、認定を取得するには薬剤師研修手帳への記載およびシール貼付が必須でしたが、今年の9月から新しい仕組みがスタートします。「薬剤師研修・認定電子システム(略称:PECS)」というシステムで、これにより研修受講管理や認定申請などすべての手続きが電子化され、研修受講シールや薬剤師研修手帳は廃止となります。「あんなに大事だったシールと手帳が廃止!?」とびっくりされている方もいるのではないでしょうか。では何がどう変わるのか、具体的にどうしたらいいのかを紹介します。まず登録についてです。日本薬剤師研修センターのホームページの案内には、研修会の受講時ではなく、7月末までに登録を済ませてほしい記載されています。登録には薬剤師名簿登録番号と登録年月日が必要ですが、薬剤師免許証さえ手元にあれば、あとは住所やメールアドレスなどを入力するだけです。私も登録してきましたが、5分ほどで完了しました。このシステムが稼働すると、PECSに登録していない薬剤師は研修認定単位の交付を受けられなくなります。このコラムを読んでいる方でまだ登録を済ませていない方は、とにかく登録だけは済ませたほうがよいと思います。なお、現在薬剤師研修支援システムに登録している方も、改めてPECS登録が必要です。QRコードをかざして研修履歴をシステムに保存現行の運用では、研修会場でその実施機関から研修受講シールをもらうか、自身で研修受講シールを申請して郵送してもらい、そのシールを自分で手帳に貼って郵送するといった作業が必要でした。これ、結構手間がかかりましたよね。手帳やシールの紛失というリスクもありました。これからは個人のQRコードを読み取り機にかざすことで、研修履歴がシステム内に保存されます。ただし、インターネットを利用した研修の場合は、「研修実施機関の定める方法で受講する」とありますので、まったく別の運用になりそうです。登録しているプロバイダーがある方はそちらもきちんと確認しましょう。受講の申し込みやレポート提出、履歴管理、認定申請もシステム内で行うことができます。不正防止策徹底とともに研修の種類拡大これまで認定薬剤師制度は、「シール転売」など信頼を失墜させた事件もあったため、不正防止が重大な課題の1つでした。この電子化によりシールそのものが廃止となるため、転売を根絶することができます。また、受け付けだけ済ませてシールをもらったらすぐに退室して受講しないという不正を防ぐため、QRコードの提示も研修の前と後の2回行う必要があるという念の入れようです。そして、単なる電子化ではなく、研修の種類が増えるという変更もあります。現行の単位認定の対象になっている集合研修やグループ研修などに加え、新しいシステム稼働後は学会発表や学術雑誌に論文が掲載された場合なども単位認定の対象になります。管理の効率化だけでなく、信頼性向上、さらに生涯学習の幅を広げるとは、日本薬剤師研修センターもやるな!という感じです。ただし、これからは、後になってシールの発行をお願いするなどの融通は利かなくなると予想されますので、計画的に受講して、しっかりと自己管理しましょう。

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第68回 3回目接種に温度差

Pfizer/BioNTechの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンBNT162b2の2回接種が済んで2週間か4週後の人の血清は世界で優勢になりつつあるデルタ変異株(B.1.617.2株)を確かに阻止する1)ものの、最近発表されたイスラエルの状況2)でも示されているように接種が済んでから半年後の感染や発症の予防効果に陰りが認められます。そこで両社はBNT162b2の3回目接種の試験を実施しており、そのさしあたりのデータで非変異SARS-CoV-2やベータ変異株を阻止する抗体反応の上昇が確認されています。3回目接種後の抗体反応は2回接種後を5~10倍上回りました3)。BNT162b2の3回目接種はデルタ変異株への抗体反応も同様に引き上げるとPfizer/BioNTechは予想しており、米国FDAや欧州医薬品庁(EMA)などに3回目接種が間もなく認可申請されます4)。世界に先駆けてSARS-CoV-2ワクチン接種を始めたイスラエルは3回目接種の導入も早く、総人口930万人の6割超の約570万人が少なくとも1回目接種を済ませている同国はPfizer/BioNTechの申請を待つことなくすでに3回目接種の提供を開始しています5)。ただし、3回目接種の対象は2回目接種済みの全員ではなく免疫系が損なわれている成人に限られます。他の国と同様にデルタ変異株が優勢になりつつあるイスラエルでは一桁台だった1日の新たな感染数がここ1ヵ月で450人ほどに増えており、7月7日時点で46人が重症で入院しています6)。Reutersのニュース5)によるとそれら重症者の約半数はワクチン接種済みであり、ほとんどはリスク因子を有していました。限定的とはいえ3回目接種を早速開始したイスラエルとは対照的に米国は3回目接種をいまのところ不要と考えています。米国疾病予防管理センター(CDC)とFDAの先週8日の発表7)によると目当ての回数を接種済みの人は重症化や死亡を免れています。デルタやその他の変異株による重症化や死亡も例外ではなく防げており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院や死亡しているのは今やほぼすべてワクチン非接種の人です(第67回参照)。ワクチンがまだの人は自分や周りの人を守るために接種することをCDCやFDAは改めて要請しています。世界保健機関(WHO)も米国と同様に追加接種はいまだ検討中であっていまのところ支持していません8)。予防効果の維持に追加接種が必要かどうかは不明であり、その判断には更なる情報が必要と考えています。米国もWHOと同様に追加接種について引き続き検討し、いざ必要になったときのための準備をしておくとCDCやFDAは言っています。WHOや米国とは裏腹にPfizer/BioNTechの腹は決まっています。発症予防効果が時を経るにつれて落ちていくことや変異株がこれからも新たに発生し続けるであろうことなどを踏まえると 2回目接種が済んでから半年~1年以内に3回目接種をして高水準の予防効果を維持する必要があるだろうとしており3)、Pfizerは追加接種について米国時間の月曜日12日にFDAと話し合う約束を取り付けています9)。Pfizer/BioNTechは3回目接種の先も見据え、デルタ変異株のスパイクタンパク質を標的とするmRNAワクチンの開発も進めています。その臨床試験は来月8月に始まる予定であり、投与用のmRNAはすでに製造済みです3)。参考1)Liu J,et al.Nature. 2021 Jun 10. [Epub ahead of print]2)Decline in Vaccine Effectiveness Against Infection and Symptomatic Illness3)Pfizer and BioNTech Provide Update on Booster Program in Light of the Delta-Variant / Pfizer/BioNTech4)Pfizer, BioNTech to seek authorization for COVID booster shot as Delta variant spreads / Reuters5)Israel offers third shot of Pfizer COVID-19 vaccine to adults at risk / Reuters6)Clarification Regarding the Number of Critical Cases / gov.il7)Joint CDC and FDA Statement on Vaccine Boosters /CDC8)Question open on need for COVID booster shot, data awaited, WHO says / Reuters9)Pfizer, U.S. health officials to discuss COVID boosters on Monday -company / Reuters

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小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬~ネットワークメタ解析

 小児および青年期のうつ病は、教育や仕事の成果、対人関係、身体的健康、メンタルヘルス、ウェルビーイングなどに重大な影響を及ぼす。また、うつ病は自殺念慮、自殺企図、自殺との関連がある。中等度~重度のうつ病には抗うつ薬が使用されるが、現在さまざまな新規抗うつ薬が使用されている。ニュージーランド・オークランド大学のSarah E. Hetrick氏らは、抑うつ症状、機能、自殺に関連するアウトカム、有害事象の観点から、小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬の有効性および安全性を比較するため、ネットワークメタ解析を実施し、年齢、治療期間、ベースライン時の重症度、製薬業界からの資金提供が臨床医によるうつ病評価(CDRS-R)および自殺関連アウトカムに及ぼす影響を調査した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2021年5月24日号の報告。 2020年3月までに公表された文献をCochrane Common Mental Disorders Specialised Register、Cochrane Library、Ovid Embase、MEDLINE、PsycINFOより検索した。うつ病と診断された6~18歳の男女を対象に、新規抗うつ薬の有効性を他剤またはプラセボと比較したランダム化比較試験を含めた。新規抗うつ薬には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリンドパミン再取り込み阻害薬、ノルエピネフリンドパミン阻害薬、四環系抗うつ薬を含めた。独立した2人のレビュアーが、タイトル、アブストラクト、フルテキストよりスクリーニングし、データ抽出およびバイアスリスク評価を行った。評価アウトカムは、うつ症状の重症度(臨床医による評価)、うつ症状の治療反応または寛解、うつ症状の重症度(自己評価)、機能、自殺関連アウトカム、全体的な有害事象とした。2値データはオッズ比(OR)、連続データは平均差(MD)として分析した。ランダム効果ネットワークメタ解析は、多変量メタ解析を用いて、頻度論的フレームワークで実行した。エビデンスの確実性は、CINeMA(Confidence in Network Meta-analysis)を用いて評価した。結果の解釈や説明を標準化するため、informative statementsを用いた。 主な結果は以下のとおり。・分析には、26件の研究を含めた。・2つの主要アウトカム(臨床医面談によるうつ病の臨床診断、自殺)のデータは十分ではなかったため、副次的アウトカムのみで結果は構成された。・ほとんどの抗うつ薬において、プラセボと比較し、CDRS-Rスケールにおけるうつ症状の「小さく、重要でない」軽減(範囲:17~113)が認められた。 【エビデンスの確実性:高】 ●パロキセチン(MD:-1.43、95%CI:-3.90~1.04) ●vilazodone(MD:-0.84、95%CI:-3.03~1.35) ●desvenlafaxine(MD:-0.07、95%CI:-3.51~3.36) 【エビデンスの確実性:中】 ●セルトラリン(MD:-3.51、95%CI:-6.99~-0.04) ●fluoxetine(MD:-2.84、95%CI:-4.12~-1.56) ●エスシタロプラム(MD:-2.62、95%CI:-5.29~0.04) 【エビデンスの確実性:低】 ●デュロキセチン(MD:-2.70、95%CI:-5.03~-0.37) ●ボルチオキセチン(MD:0.60、95%CI:-2.52~3.72) 【エビデンスの確実性:非常に低】 ●その他の抗うつ薬・うつ症状の軽減効果において、ほとんどの抗うつ薬の間に「小さく、重要でない」違いが認められた(エビデンスの確実性:中~高)。他のアウトカムにおいても同様であった。・ほとんどの研究において、自傷行為または自殺リスクは、研究の除外基準であった。・含まれているほとんどの研究において、自殺関連アウトカムの割合は低く、すべての比較で95%信頼区間は広くなっていた。・自殺関連アウトカムに対する効果については、プラセボと比較し、エビデンスの確実性は非常に低かった。 ●ミルタザピン(OR:0.50、95%CI:0.03~8.04) ●デュロキセチン(OR:1.15、95%CI:0.72~1.82) ●vilazodone(OR:1.01、95%CI:0.68~1.48)●desvenlafaxine(OR:0.94、95%CI:0.59~1.52)●citalopram(OR:1.72、95%CI:0.76~3.87)●ボルチオキセチン(OR:1.58、95%CI:0.29~8.60)・エスシタロプラム(OR:0.89、95%CI:0.43~1.84)は、プラセボと比較し、自殺関連アウトカムのORを「少なくともわずかに」低下させる可能性が示唆された(エビデンスの確実性:低)。・以下の薬剤は、プラセボと比較し、自殺関連アウトカムのORを「少なくともわずかに」増加させる可能性が示唆された。 ●fluoxetine(OR:1.27、95%CI:0.87~1.86) ●パロキセチン(OR:1.81、95%CI:0.85~3.86) ●セルトラリン(OR:3.03、95%CI:0.60~15.22) ●ベンラファキシン(OR:13.84、95%CI:1.79~106.90)・ベンラファキシンは、desvenlafaxine(OR:0.07、95%CI:0.01~0.56)およびエスシタロプラム(OR:0.06、95%CI:0.01~0.56)と比較し、自殺関連アウトカムのORを「少なくともわずかに」増加させる可能性が示唆された(エビデンスの確実性:中)。・抗うつ薬間のその他の比較においては、エビデンスの確実性は非常に低かった。・全体として、ランダム化比較試験の方法論的欠如により、新規抗うつ薬の有効性および安全性に関する調査結果を解釈することは困難であった。 著者らは「ほとんどの新規抗うつ薬は、プラセボと比較し、うつ症状を軽減する可能性が示唆された。また、抗うつ薬間でのわずかな違いも認められた。しかし、本結果は、抗うつ薬の平均的な効果を反映しているため、うつ病は不均一な状態であることを考慮すると、患者ごとに治療反応が大きく異なる可能性がある。したがって、ガイドラインやその他の推奨事項を作成する際、新規抗うつ薬の使用が、状況により一部の患者に正当化される可能性があるかを検討する必要がある」としている。 さらに「自殺リスクを有する可能性のある小児および青年は、試験から除外されるため、その効果については明らかにならなかった。小児および青年への抗うつ薬使用を検討する際には、患者およびその家族と相談する必要がある。そして、新規抗うつ薬間の効果や自殺関連アウトカムの違いを考えると、治療効果および自殺関連アウトカムを注意深くモニタリングすることが重要であろう。さらに、ガイドラインの推奨事項に従い、心理療法、とくに認知行動療法を考慮することが求められる」としている。

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2種のmRNAワクチン、ウイルス量や罹患期間への効果も/NEJM

 COVID-19に対して承認された2回接種のmRNAワクチン2種(BNT162b2[Pfizer-BioNTech]とmRNA-1273[Moderna])の、リアルワールドにおける生産年齢成人への接種の有効性を調べた結果が報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMark G. Thompson氏らが、医療現場の第一線従事者3,975例への接種について調べた前向きコホート試験の結果で、2回接種後14日以上経過した場合の有効率は91%、1回接種後14日以上経過した場合でも81%と、いずれも高い有効性が示されたという。承認されたmRNAワクチン2種のリアルワールドにおける有効性に関する情報は限定的であったが、試験の結果を踏まえて著者は、「リアルワールドの生産年齢成人において、承認済みワクチンは、SARS-CoV-2感染の予防において非常に有効で、またワクチンを接種したにもかかわらず感染症を呈した同成人の、ウイルスRNA負荷、発熱症状リスクおよび罹患期間を軽減した」と述べている。NEJM誌オンライン版6月30日号掲載の報告。 医療従事者、消防士、エッセンシャルワーカーなどを対象に試験 研究グループは2020年12月14日~2021年4月10日にかけて、医療従事者、消防士・警察官などのファーストレスポンダー、およびその他のエッセンシャルワーカーや第一線従事者3,975例を対象に試験を行った。被験者は、毎週、中鼻甲介スワブの採取により、定量的・定性的リアルタイムPCR検査を受けた。 ワクチン有効率は、100%×(1-ワクチン接種者の非接種者に対するSARS-CoV-2感染に関するハザード比)で算出。ワクチン接種の傾向や試験の実施場所、職業、地域のウイルス流行性などで補正を行った。感染者のウイルスRNA量もワクチン1回接種者で40%減 SARS-CoV-2が検出されたのは204例(全被験者の5%)で、そのうち完全ワクチン接種者(2回目接種から14日以上経過)は5例、不完全ワクチン接種者(1回目接種から14日以上経過、2回目接種から14日未満)が11例、非ワクチン接種者は156例だった。なお、1回目接種から14日未満だった32例については除外した。 補正後ワクチン有効率は、完全ワクチン接種者で91%(95%信頼区間[CI]:76~97)、不完全ワクチン接種者でも81%(64~90)だった。 SARS-CoV-2感染者において、平均ウイルスRNA量は、完全・不完全ワクチン接種者で非ワクチン接種者に比べ、40%少なかった(95%CI:16~57)。また、発熱症状リスクも58%低く(相対リスク:0.42、95%CI:0.18~0.98)、罹患期間も短く、病状が悪く寝ていた期間は平均2.3日(95%CI:0.8~3.7)短かった。

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「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第21回

第21回 「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?漫画・イラスト:かたぎりもとこ診療所承継の相談を受けていると「まあ、売れなければ閉じますよ」とおっしゃる方がいます。ですが、実際のところ閉院というのは、そんなに簡単にできるものではありません。私たちも「閉院しようと思ったが、費用や労力がかかるので承継に切り替えたい」という逆の立場の方から相談を受けることがあります。閉院作業の何が大変なのでしょうか。まずは、今の患者さんを他院へ引き継ぐことです。通い慣れた患者さんを、それぞれの状況に見合った医療機関に紹介するのは手間暇のかかる仕事です。患者のレセプトは5年間保管する必要があり、その管理方法も決めなければなりません。テナントで開業していた場合、不動産の契約次第ですが、多くの場合は退去時に内装を原状復帰する必要があります。医療機器を廃棄するにも費用がかかりますし、とくにテナントをスケルトンに戻すのには300~600万円程度といった多額の費用を要するため、注意が必要です。医業承継と閉院で、かかる費用を比較してみましょう。<医業承継の場合>(1)譲渡金:2,000万円(仮)(2)医業承継の仲介手数料:▲520万円(3)テナントのスケルトン費用:▲0円(そのまま買い手が利用)(4)その他諸経費:▲50万円 ※テナント仲介契約費など 計:1,430万円<閉院する場合>(1)テナントのスケルトン費用:▲300万円(2)その他諸経費:▲100万円 ※医療機器廃棄費など 計:▲400万円上記のとおり、金銭的なメリットは医業承継が勝ることがわかります。閉院を検討する際にも医業承継などその他の方法と、労力、費用、得られる対価などを比較し、そのうえで判断することをお勧めします。

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第39回 四分位範囲と四分位偏差とは?【統計のそこが知りたい!】

第39回 四分位範囲と四分位偏差とは?今回は、四分位範囲と四分位偏差について解説します。データを小さいほうから並べたとき、最小値から4分の1にある点を第1四分位点、中央にある点を中央値、最大値から4分の1にある点を第3四分位点と言います。第3四分位点と第1四分位点との差を四分位範囲と言い、四分位範囲の半分の値を四分位偏差と言います。標準偏差と同じく集団のバラツキをみる指標です。四分位範囲や四分位偏差が大きければ、「データのバラツキが大きい」といえます。極端に大きな値または小さな値(外れ値)があるとき、標準偏差はその影響を受けますが、四分位範囲や四分位偏差はデータの中央50%で決まるので影響を受けにくいのです。■四分位偏差(Quartile deviation)の求め方下表のデータを利用して、データA、Bそれぞれの四分位偏差を求めてみましょう。四分位偏差を求めるには、まず四分位範囲(Interquartile range)を求めなければなりません。結果、データAの四分位偏差は1.00、データBの四分位偏差も1.00となり、データAにある極端に大きな値(外れ値)の“100”というデータの影響を受けていないことがわかります。■四分位範囲・四分位偏差に関する留意点上記の例をみると、標準偏差に大きな差がありますが、四分位偏差は同じになりました。これは四分位範囲・四分位偏差という指標が標準偏差よりも大きな値または小さな値(外れ値)の影響を受けにくいからです。繰り返しになりますが、四分位範囲・四分位偏差が大きければ、データのバラツキが大きいといえます。ただし、四分位範囲・四分位偏差によるデータのバラツキは中央値周りのものを表す値であり、分散・標準偏差によるデータのバラツキは平均値周りのバラツキを表す値です。単純にデータのバラツキといっても、両者では意味合いが違うということを覚えておきましょう。【豆知識】第1四分位点のことを「下ヒンジ」、第3四分位点のことを「上ヒンジ」ともいいます。なぜ「ヒンジ」かというと、ヒンジはそもそも蝶番のことで、箱ひげ図が蝶番のようにみえるからとも言われています。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ「わかる統計教室」第3回 理解しておきたい検定セクション2 量的データは平均値と中央値を計算せよセクション3 データのバラツキを調べる標準偏差セクション5 標準誤差(SE)とは

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