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英語で「あなたの趣味は何ですか」は?【1分★医療英語】第54回

第54回 英語で「あなたの趣味は何ですか」は?What do you do for fun?(あなたの趣味は何ですか?)I like watching Anime.(アニメを見るのが好きです)《例文》医師What do you do like to do for fun?(何か好きなことはありますか?)患者I enjoy biking.(自転車に乗ることです)《解説》今回は、「社会生活歴」にフォーカスを当てます。「社会生活歴」は英語でもそのまま“Social History”です。“What do you do for fun / What do you like to do for fun?”という表現で、ざっくりと日本語でいう「好きなことはなんですか」という意味になります。「趣味は何ですか?」というと真っ先に浮かぶのは中学で習った“What is your hobby?”ではないでしょうか。これも直訳した意味は同じになりますが、「“passionate”(熱烈)に打ち込んでいるもの」(楽器やスポーツのような)に限定して聞いている印象があるので、あまり一般的に使われる表現ではありません。今回紹介した“What do you do for fun?”のほうが自然で、日常会話でも頻繁に使われます。答え方としては、“I like〜”または“I enjoy〜”で始めれば無難です。小児科領域でいえば、米国では「HEADSS assessment」という独特の診察項目があり、思春期(11-13歳)になると親を部屋の外に出して子どもと医師が1対1になってHome、Education、Activities、Drugs、Sex、Suicideについて一通り聞くことが推奨されています。そのActivitiesを聞く際に“What do you do for fun?”は必ず使われる表現の一つです。ちなみに、職業を聞く際に使われる一般表現は、“What do you do for living?”(お仕事は何をされていらっしゃるのですか?)です。こちらも学校で習ったであろう“What is your job/occupation?”はかなり直接的な表現で失礼に当たる可能性もあるので、実際に使われる場面はほとんどありません。日本の診察場面では、患者さんが質問に答えた後に医師が反応することはあまりないでしょうが、米国では患者さんが、“I am an accountant.”(会計士です)と答えたら、医師側も“That is amazing!” “Wow, what a nice job!”などと大胆にリアクションをとることも多く、こうした“Social History”のやりとりを通して患者さんとラポートを形成しています。講師紹介

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第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?【統計のそこが知りたい!】

第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?今回は、前回紹介した、「順序尺度の相関関係を把握する解析手法」であるスピアマン順位相関係数(Spearman's rank correlation coefficient)の計算方法について解説します。まず、「タイ(tie)の長さ」を求めます。 タイとは同じ順位ということです。「トップタイ」なら1位が2人いて、その次の人が3位になるのは、とくに説明がなくてもわかると思います。事例として、あるクリニックの患者満足度調査(5段階評価)を行ったところ表1の結果が得られたとしましょう。受付スタッフの対応の満足度について、「やや満足」の「タイの長さ」を求めてみます。表1 患者満足度調査の結果一覧「タイの長さ」は下記(1)、(2)の手順で求めます。(1)まず、受付スタッフの対応の満足度のデータを降順あるいは昇順で並べ替える(2)同順位の個数を数える同じ順位の個数を「タイの長さ」と言い、“t”で表します。たとえば、受付スタッフの対応の満足度「やや満足」にあたる「4」は3個あるので、tは3になります。表2のようにまとめます。表2 受付スタッフ対応満足度のまとめ■スピアマン順位相関係数の計算方法上の計算式を活用し、スピアマン順位相関係数を求めるため、前述の回答で示した(1)、(2)に続いて以下の手順で計算を進めます。(3)t3-tを求め、合計Σ(t3−t)(タイ合計と呼ぶ)を求めます。その結果、受付スタッフの対応の満足度の合計は90であることがわかります。つぎに、(4)順位を求めます。同順位がある場合は、その平均を順位とします。たとえば、やや満足の「4」は7~9位に位置するので、「7、8、9」の平均である8を順位とします。(5)表3の右端の順位1は、No1~10の受付スタッフの対応の満足度の順位です。表3 受付スタッフ対応満足度の一覧画像を拡大する(6)受付スタッフの対応の満足度の順位を「順位1」、クリニック総合満足度の順位を「順位2」とします。また、順位1と順位2の差分を「d」とします。(7)dの2乗を求め、Σd2を求めると表4の通り103となります。表4 2項目の満足度の一覧画像を拡大する(8)ここで、受付スタッフの対応の満足度のタイ合計をx、クリニック総合満足度のタイ合計をyとすると、x=90、y=90(9)計算式に数値を代入し、TxとTyを求めるとTx=(n3-n-x)÷12=(1000-10-90)÷12=75Ty=(n3-n-y)÷12=(1000-10-90)÷12=75※nはサンプルサイズこの事例は同順位があるため、よって、受付スタッフの対応の満足度とクリニック総合満足度のスピアマン順位相関係数は0.3133になることがわかります。単相関係数は2変量に直線的な相関関係があれば適用されますが、そうでない場合やデータの順位しかわかっていない場合もありますよね。そんなときに有効なのがスピアマン順位相関係数なのです!■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第52回 相関比とは?「わかる統計教室」第4回 ギモンを解決! 一問一答質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その1)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その2)質問10 2項目間の関連性を把握する際の統計学的手法の使い分けは?(その3)

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PEACEを受講しよう【非専門医のための緩和ケアTips】第39回

第39回 PEACEを受講しよう緩和ケアが広がるにつれて専門誌や書籍も増え、独学でも学びやすくなりました。一方で、緩和ケアは個別性が高かったりコミュニケーションの要素が多かったり、書籍だけでは学べない部分も多くあります。今回は、そうした部分が学べる研修会をご紹介します。今日の質問緩和ケアについて学ぶには、何をすればいいでしょうか? 緩和ケアの連携は地域の実情によって異なる部分も多く、そういった面を学ぶのは本だけでは難しく感じます。ご質問いただいた方の着眼点は素晴らしいですね。おっしゃるとおり、地域の医療機関同士の連携や、在宅療養への移行などの際には地域ごとに事情が異なります。こうした座学では学びにくい領域って、どのように学べばよいのでしょうか? そんな方にお薦めなのが、今回ご紹介する「PEACE」という研修会です。PEACEの正式名称は、「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会(Palliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)」と長いため、PEACEの略称や単に「緩和ケア研修会」と呼ばれています。この研修会は、厚生労働省の委託事業として日本緩和医療学会と日本サイコオンコロジー学会がコンテンツを作成しています。事前学習としてE-learningを受講し、グループワークを含む集合研修に1日参加する、というのがその内容。対象は「がん等の診療に携わるすべての医師・歯科医師、緩和ケアに従事するその他の医療従事者」です。E-learning緩和ケア概論/全人的苦痛と包括的アセスメント/がん疼痛/呼吸困難/消化器症状/気持ちのつらさ/せん妄/コミュニケーション/療養場所の選択と地域連携/ACP、看取りのケア、家族・遺族のケアが必修コンテンツです。集合研修コミュニケーションのロールプレイ/全人的苦痛や症状緩和に関するケーススタディ/療養場所の選択と地域連携に関するケーススタディ/患者を支える仕組みについてのレクチャーといった、一人では学びにくいテーマのグループワークが中心です。がん拠点病院では、年に1回以上PEACEを開催することが施設要件になっているため、どの地域でも受講可能です。開催スケジュールは各都道府県の担当部署のサイトに公開されており、「都道府県名+緩和ケア講習会」などで検索すれば出てきます。地域の基幹病院の緩和ケアに関わる医療者と一緒に学ぶことは、連携構築の上での大きな機会となるでしょう。新型コロナの影響で集合研修をオンラインで開催するケースもあり、遠方でも参加しやすくなっています。少し注意が必要なのが内容の「レベル感」です。あくまでも基本的な緩和ケアについて学ぶ研修会であり、受講者の多くが初期研修医を含めた若手です。ベテランの方からすると少し簡単に感じられるかもしれません。一人では学べないことを学び、顔の見える関係をつくるための貴重な機会として、ぜひPEACEを活用してみてください。今回のTips今回のTips地域のがん拠点病院で開催されているPEACEを受講してみましょう。PEACEプロジェクトホームページ/日本緩和医療学会

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EVARデバイス監視モデルがリスク評価に有望/BMJ

 腹部大動脈瘤の血管内修復術(EVAR)後の長期にわたるデバイス(グラフト)監視に、リンク登録した医療費支払請求データを活用したところ、個々のデバイスの再手術リスクを特定したことが示された。米国・ダートマス-ヒッチコック・メディカルセンターのPhilip Goodney氏らによる検討の結果で、著者は「デバイスメーカーおよび規制当局は、リンク登録データソースを活用すれば、心血管手術後の実臨床における長期アウトカムの積極的なモニタリングが可能である」と述べ、今回の検討結果が、将来的なデバイス監視モデルになりうることを示唆した。BMJ誌2022年10月25日号掲載の報告。EVAR治療使用の4種のデバイスを長期監視、再手術・破裂を評価 研究グループは、実臨床での大動脈エンドグラフトの長期アウトカム(腹部大動脈瘤の再手術およびlate破裂)の評価に、リンク登録医療費支払いデータを用いることを検討する観察サーベイランス試験を行った。米国メディケア医療費とリンクするVascular Quality Initiative Registryを設定(2003~18年、282施設が参加)し検討した。 被験者は2万489例で、EVAR治療では4種のデバイスが使用されており、8,310例(40.6%)がExcluder(Gore製)、6,606例(32.2%)がEndurant(Medtronic製)、3,281例(16.0%)がZenith(Cook Medical製)、2,292例(11.2%)がAFX(Endologix製)を使用した。このうち、AFXは2014年後期に改良が行われたため、同群は2群に分類し(初期AFX群942例、後期AFX群1,350例)、他のデバイス群と比較した。検討には傾向マッチングCoxモデルが用いられた。 主要評価項目は、EVAR後の腹部大動脈瘤の再手術および破裂の発生。全患者(100%)が、登録または医療費支払ベースもしくは両者を介したアウトカム評価を完遂した。当局の警告発出は2017年、対して開発モデルのリスク特定時期は2013年半ば 被験者の年齢中央値は76歳(四分位範囲[IQR]:70~82)、男性が80.0%(1万6,386/2万489例)、追跡期間中央値は2.3年(IQR:0.9~4.1)であった。 5年粗再手術率は、初期AFX群がその他デバイス群と比べて有意に高率であった。初期AFX群27.0%(95%信頼区間[CI]:23.7~30.6)に対し、Excluder群14.9%(13.7~16.2)、Endurant群19.5%(18.1~21.1)、Zenith群16.7%(15.0~18.6)であった。 初期AFXでEVARを受けた患者の再手術リスクは、傾向マッチングCoxモデルでのその他デバイスとの比較において有意に高率であり(ハザード比[HR]:1.61、95%CI:1.29~2.02)、外科医レベル変数(臨床でのAFXグラフト使用が33%超)を用いた解析でも同様であった(1.75、1.19~2.59)。 リンク登録された医療費支払請求データが、早期AFXデバイスの再手術リスク増大を特定したのは2013年半ばであり、2017年に米国で最初の規制当局の警告が発出されるよりかなり前であった。

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英語で「経口摂取ができている」は?【1分★医療英語】第53回

第53回 英語で「経口摂取ができている」は?The patient is tolerating oral intake very well.(患者さんは、経口摂取がしっかりできています)Okay, then let’s plan to discharge him next week.(良いですね。それでは、来週退院の予定としましょう)《例文1》I will advance his diet because he is tolerating puree diet.(ペースト食が摂取できているので、食上げします)《例文2》Let’s make her NPO(nothing per os)for now as she is not tolerating PO.(経口摂取ができていないので、いったん絶食にしておきましょう)《解説》「経口摂取ができている」を直訳しようとすると、“The patient can eat~”というようなフレーズが思い浮かぶかもしれません。確かにそれでも意味は通じるでしょうが、医療現場では今回紹介した“tolerate”という動詞をよく用います。この“tolerate”を使うことで、「これまで食事が摂れていなかった人」、あるいは「食事摂取が十分できるかどうかわからなかった人」が、「十分耐性がある」「十分にその力がある」ことを確認した、というニュアンスを出すことができます。“tolerate”という動詞は「耐える」という訳が充てられることが多く、知らないと咄嗟に使うのは難しいかもしれませんが、実はよく医療現場で用いられる言葉で、患者さんの回復過程に相性の良い動詞です。他にも、「可能な範囲で食上げをしてください」という場合に、“Please advance his diet as tolerated.”というフレーズを使うことがあります。“tolerate”を“as”と一緒に用いて“as tolerated”とすると「できる範囲で」「可能な範囲で」といった意味合いを持たせることができます。医師が看護師さんへの指示を出す場合などによく用いる表現ですので、これもあわせて覚えてしまいましょう。講師紹介

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ガイドライン改訂ーアナフィラキシーによる悲劇をなくそう

 アナフィラキシーガイドラインが8年ぶりに改訂され、主に「1.定義と診断基準」が変更になった。そこで、この改訂における背景やアナフィラキシー対応における院内での注意点についてAnaphylaxis対策委員会の委員長である海老澤 元宏氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター長)に話を聞いた。アナフィラキシーガイドライン2022で診断基準が改訂 改訂となったアナフィラキシーガイドライン2022の診断基準では、世界アレルギー機構(WAO)が提唱する項目として3つから2つへ集約された。アナフィラキシーの定義は『重篤な全身性の過敏反応であり、通常は急速に発現し、死に至ることもある。重症のアナフィラキシーは、致死的になり得る気道・呼吸・循環器症状により特徴づけられるが、典型的な皮膚症状や循環性ショックを伴わない場合もある』としている。海老澤氏は「基準はまず皮膚症状の有無で区分されており皮膚症状がなくても、アナフィラキシーを疑う場面では血圧低下または気管支攣縮または喉頭症状のいずれかを発症していれば診断可能」と説明した。◆診断基準[アナフィラキシーガイドライン2022 p.2]※詳細はガイドライン参照 以下の2つの基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーである可能性が非常に高い。1.皮膚、粘膜、またはその両方の症状(全身性の蕁麻疹、掻痒または紅潮、口唇・下・口蓋垂の腫脹など)が急速に(数分~数時間で)発症した場合。さらに、A~Cのうち少なくとも1つを伴う。  A. 気道/呼吸:呼吸不全(呼吸困難、呼気性喘鳴・気管支攣縮、吸気性喘鳴、PEF低下、低酸素血症など)  B. 循環器:血圧低下または臓器不全に伴う症状(筋緊張低下[虚脱]、失神、失禁など)  C. その他:重度の消化器症状(重度の痙攣性腹痛、反復性嘔吐など[特に食物以外のアレルゲンへの曝露後])2.典型的な皮膚症状を伴わなくても、当該患者にとって既知のアレルゲンまたはアレルゲンの可能性がきわめて高いものに曝露された後、血圧低下または気管支攣縮または喉頭症状が急速に(数分~数時間で)発症した場合。 また、アナフィラキシーガイドライン2022はさまざまな国内の研究結果やWAOアナフィラキシーガイダンス2020に基づいて作成されているが、これについて「国内でもアナフィラキシーに関する疫学的な調査が進み、ようやくアナフィラキシーガイドライン2022に反映させることができた」と、前回よりも国内でのアナフィラキシーの誘因に関する調査や症例解析が進んだことを強調した。アナフィラキシーガイドライン2022に盛り込まれた変更点 今回の取材にて、同氏は「アナフィラキシーに対し、アドレナリン筋注を第一選択にする」ことを強く訴えた。その理由の一つとして、「2015年10月1日~2017年9月30日の2年間に医療事故調査・支援センターに報告された院内調査結果報告書476件のうち、アナフィラキシーが死因となる事例が12件もあった。これらの誘因はすべて注射剤で、造影剤、抗生物質、筋弛緩剤などだった。アドレナリン筋注による治療を迅速に行っていれば死亡を防げた可能性が高いにもかかわらず、このような事例が未だに存在する」と、アドレナリン筋注が必要な事例へ適切に行われていないことに警鐘を鳴らした。 ではなぜ、アナフィラキシーに対しアドレナリン筋注が適切に行われないのか? これについて「アドレナリンと聞くと心肺蘇生に用いるイメージが固定化されている医師が一定数いる。また、アドレナリン筋注を経験したことがない医師の場合は最初に抗ヒスタミン薬やステロイドを用いて経過を見ようとする」と述べ、「アドレナリン筋注をプレホスピタルケアとして患者本人や学校の教員ですら投与していることを考えれば、診断が明確でさえあれば躊躇する必要はない」と話した。 アナフィラキシーを生じやすい造影剤や静脈注射、輸血の場合、症状出現までの時間はおよそ5~10分で時間的猶予はない。上記に述べたような症状が出現した場合には、原因を速やかに排除(投与の中止)しアドレナリン筋注を行った上で集中治療の専門家に委ねる必要がある。 また、アドレナリン筋注と並行して行う処置として併せて読んでおきたいのが“補液”の項目(p.24)である。「これまでは初期対応に力を入れて作成していたが、今回はアナフィラキシーの治療に関しても委員より盛り込むことの提案があった」と話した。 以下にはWAOガイダンスでも述べられ、アナフィラキシーガイドライン2022に盛り込まれた点を抜粋する。◆治療 2.薬物治療:第一選択薬(アドレナリン)[アナフィラキシーガイドライン2022 p.21]・心疾患、コントロール不良の高血圧、大動脈瘤などの既往を有する患者、合併症の多い高齢患者では、アドレナリン投与によるベネフィットと潜在的有害事象のリスクのバランスをとる必要があるものの、アナフィラキシー治療におけるアドレナリン使用の絶対禁忌疾患は存在しない1)・アドレナリンを使用しない場合でもアナフィラキシーの症状として急性冠症候群(狭心症、心筋梗塞、不整脈)をきたすことがある、アドレナリンの使用は、既知または疑いのある心血管疾患患者のアナフィラキシー治療においてもその使用は禁忌とされない1)・経静脈投与は心停止もしくは心停止に近い状態では必要であるが、それ以外では不整脈、高血圧などの有害作用を起こす可能性があるので、推奨されない2)◆治療 2.薬物治療:第二選択薬(アドレナリン以外)[アナフィラキシーガイドライン2022 p.23]・H1およびH2抗ヒスタミン薬は皮膚症状を緩和するが、その他の症状への効果は確認されていない3) このほか、同氏は「食物アレルギーの集積調査が進み、国内でも落花生やクルミなどのナッツ類や果物がソバや甲殻類よりも誘因として高い割合を示すことが明らかになった」と話した。さらに「病歴の聞き取りが不十分なことで起こるNSAIDs不耐症への鎮痛薬処方なども問題になっている」と指摘した。 なお、アナフィラキシーガイドライン2022は小児から成人までのアナフィラキシー患者に対する診断・治療・管理のレベル向上と、患者の生活の質の改善を目的にすべての医師向けに作成されている。日本アレルギー学会のWebからPDFが無料でダウンロードできるのでさまざまな場面でのアナフィラキシー対策に役立てて欲しい。

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ドイツでの医療活動カード【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第19回

ドイツで医師免許試験に受かった直後のことです。地区の医師会から電話がかかってきて、「大事な用事があるから医師会に直接きてください」と伝えられました。「やっぱりあの試験は無効だから、合格取り消し」と言われるんじゃないかと思い、一応ドイツ語で「弁護士を立てるから、続きは法廷で会おう」といったセリフを丸暗記して臨みました。緊張しながら医師会に到着すると奥の部屋に通され、事務のおばさまに早口でまくしたてられました。ドイツ語についていけない自分に気付いて、何度も繰り返し話をしてくれたのですが、とにかく「倒れている患者がいたら、絶対に無視するな」と言った内容でした。ドイツでは、医師は倒れている人を無視したら法律で罰せられます。たとえば飛行場に向かっている最中でも無視したらダメ。そのときは「飛行機は諦めてね」とのことでした。そして、「その際は、このカードをみせてから医療活動を行いなさい」とカードを渡されました。これがドイツでの「医療活動許可証」です。カードをよくみると、ドイツ語だけでなくEU内の各種言語で説明が書かれていました。カードを手にしたときは、なんかこう…「ああ、俺はEUの医者になったんだな」と感動しました。ドイツで医療活動を行うまでは本当に辛い道のりでした。次回からドイツ医師免許対策について、思い出しながら書いていきたいと思います。

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慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量・中止後の再発リスク因子~メタ解析

 精神疾患の再発予防に抗精神病薬による維持療法は有効だが、高用量での使用はリカバリーを妨げる可能性がある。そのため、慢性期統合失調症患者では、抗精神病薬の減量または中止が検討される。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、抗精神病薬の減量に伴う精神疾患再発のリスク因子を特定しようと試みた。その結果、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量では、精神疾患再発のリスク因子を考慮する必要があること、抗精神病薬の比較的急激な減量を行う場合でもハロペリドール換算3~5mgを最低用量とすることなどが報告された。また、著者らは、抗精神病薬の漸減は投与中止に伴う再発を回避し、必要最低用量を達成できる可能性があるとしている。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年10月6日号の報告。 1950年1月~2021年1月に公表された研究をMEDLINE、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索し、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量または中止後の再発率を検討したランダム化比較試験(RCT)のレビューを行った。再発の潜在的なリスク因子を特定するため、人年当たりの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、47件のRCT(患者コホート54件、1,746人年)を含めた。・維持療法と比較した場合、抗精神病薬の減量・中止の精神疾患再発RRは2.3人年(95%CI:1.9~2.8)であった。・RRを上昇させる因子は以下のとおりであった。 ●抗精神病薬の中止 ●ハロペリドール換算量3~5mg未満への減量 ●比較的急激な減量(10週未満)・RRは、抗精神病薬の経口剤を減量した場合よりも長時間作用型注射剤のほうが低かった。・精神疾患再発リスクの上昇に関連するその他の因子は、若年、フォローアップ期間の短さであった。

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家族性大腸腺腫症への新たな治療戦略を日本で開発(J-FAPP Study III)

 京都府立医科大学の石川 秀樹氏らが大腸がんの超高危険群である家族性大腸腺腫症(FAP)患者に対し、予防のための内視鏡的積極的摘除術を世界で初めて開発したことがEndoscopy誌2022年10月10日号オンライン版に掲載された。家族性大腸腺腫症におけるIDPは結腸直腸がんを予防する有用な手段 結腸全摘は、家族性大腸腺腫症の標準治療であるにもかかわらず、若年層の家族性大腸腺腫症患者が手術を延期したり、手術を拒否したりするケースもあるという。そこで、同氏らは家族性大腸腺腫症 にきわめて多発する大腸ポリープのダウンステージングを目的とする積極的な内視鏡的摘除(IDP)の有効性を評価することを目的に内視鏡的積極的摘除術の多施設共同介入試験(J-FAPP Study III)を実施した。本試験は22施設で実施した単群介入研究で、参加者は2012年11月24日~2014年9月25日の間に登録。結腸切除術を受けていない、または結腸切除術を受けたが大腸が10cm以上残っている16歳以上で、100個のポリープがあった家族性大腸腺腫症患者を対象とした。IDPでは、10mm以上の大腸ポリープが摘除され、続いて5mm以上のポリープが摘除された。主要評価項目は5年間の介入期間中の結腸切除術の有無、副次評価項目は内視鏡による穿孔/出血、結腸直腸がんの発生、内視鏡治療に適さない腫瘍の発生、結腸直腸がんおよびその他の原因による死亡だった。 家族性大腸腺腫症に対しての積極的な内視鏡的摘除の有効性を評価した主な結果は以下のとおり。・ 222例が本試験に適格だった。そのうち結腸切除を受けていない(非結腸切除群)のは166例、回腸直腸吻合を伴う結腸亜全摘術(IRA)を受けたのは46例、部分的な結腸切除術を受けていたのは10例だった。・介入期間中、5例(2.3%、95%信頼区間[CI]:0.74~5.18)が結腸切除術を受け、そのうち4例は非結腸切除群から、1例は結腸切除後群だった。・介入期間中、3例(1.4%)が死亡したが、死因から家族性大腸腺腫症との因果関係はないと推測された。・結腸切除なしの5年間の介入期間の完了は、結腸切除を受けていない者では150/166例(90.4%、95%CI:84.8~94.4)、以前に結腸切除を受けた者では47/56例(83.9%、95 %CI:71.7~92.4)だった。 本研究を踏まえ研究者らは、軽~中等度の家族性大腸腺腫症患者におけるIDPは、結腸切除術を実施せずに結腸直腸がんを予防する有用な手段となる可能性があることを示した。ただし、IDPの長期間の有効性はまだ不明であり多くの患者が結腸切除術を実施する必要がある可能性は残されたままである。

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従来の薬剤治療up dateと新規治療薬の位置付け【心不全診療Up to Date】第2回

第2回 従来の薬剤治療up dateと新規治療薬の位置付けKey Pointsエビデンスが確立している心不全薬物治療をしっかり理解しよう!1)生命予後改善薬を導入、増量する努力が十分にされているか?2)うっ血が十分に解除されているか?3)服薬アドヒアランスの良好な維持のための努力が十分にされているか?はじめに心不全はあらゆる疾患の中で最も再入院率が高く1)、入院回数が多いほど予後不良といわれている2)。また5年生存率はがんと同等との報告もあり3)、それらをできる限り抑制するためには、診療ガイドラインに準じた標準的心不全治療(guideline-directed medical therapy:GDMT)の実施が極めて重要となる4)。なぜこれから紹介する薬剤がGDMTの一員になることができたのか、その根拠までさかのぼり、現時点での慢性心不全の至適薬物療法についてまとめていきたい。なお、現在あるGDMTに対するエビデンスはすべて収縮能が低下した心不全Heart Failure with reduced Ejection Fraction(HFrEF:LVEF<40%)に対するものであり、本稿では基本的にはHFrEFについてのエビデンスをまとめる。 従来の薬剤治療のエビデンスを整理!第1回で記載したとおり、慢性心不全に対する投薬は大きく2つに分類される。1)生命予後改善のための治療レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAAS)阻害薬(ACE阻害薬/ARB、MR拮抗薬)、β遮断薬、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(ARNI)、SGLT2阻害薬、ベルイシグアト、イバブラジン2)症状改善のための治療利尿薬、利水剤(五苓散、木防已湯、牛車腎気丸など)その他、併存疾患(高血圧、冠動脈疾患、心房細動など)に対する治療やリスクファクター管理なども重要であるが、今回は上記の2つについて詳しく解説していく。1. RAAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB、MR拮抗薬)1)ACE阻害薬、ARB(ACE阻害薬≧ARB)【適応】ACE阻害薬のHFrEF患者に対する生命予後および心血管イベント改善効果は、1980年代後半に報告されたCONSENSUSをはじめ、SOLVDなどの大規模臨床試験の結果により、証明されている5,6)。無症候性のHFrEF患者に対しても心不全入院を抑制し、生命予後改善効果があることが証明されており7)、症状の有無に関わらず、すべてのHFrEF患者に投与されるべき薬剤である。ARBについては、ACE阻害薬に対する優位性はない8–11)。ブラジキニンを増加させないため、空咳がなく、ACE阻害薬に忍容性のない症例では、プラセボに対して予後改善効果があることが報告されており12)、そのような症例には適応となる。【目標用量】ATLAS試験で高用量のACE阻害薬の方が低用量より心不全再入院を有意に減らすということが報告され(死亡率は改善しない)13)、ARBについても、HEAAL試験で同様のことが示された14)。では、腎機能障害などの副作用で最大用量にしたくてもできない症例の予後は、最大用量にできた群と比較してどうなのか。高齢化が進み続けている実臨床ではそのような状況に遭遇することが多い。ACE阻害薬についてはそれに対する答えを示した論文があり、その2群間において、死亡率に有意差は認めず、心不全再入院等も有意差を認めなかった15)。つまり、最大”許容”用量を投与すれば、その用量に関係なく心血管イベントに差はないということである。【注意点】ACE阻害薬には腎排泄性のものが多く、慢性腎臓病患者では注意が必要である。ACE阻害薬/ARB投与開始後のクレアチニン値の上昇率が大きければ大きいほど、段階的に末期腎不全・心筋梗塞・心不全といった心腎イベントや死亡のリスクが増加する傾向が認められるという報告もあり、腎機能を意識してフォローすることが重要である16)。なお、ACE阻害薬とARBの併用については、心不全入院抑制効果を報告した研究もあるが9,17)、生存率を改善することなく、腎機能障害などを増加させることが報告されており11,18)、お勧めしない。2)MR拮抗薬(スピロノラクトン、エプレレノン)【適応】スピロノラクトンは、RALES試験にて重症心不全に対する予後改善効果(死亡・心不全入院減少)が示された19)。エプレレノンは、心筋梗塞後の重症心不全に対する予後改善効果が示され20)、またACE阻害薬/ARBとβ遮断薬が85%以上に投与されている比較的軽症の慢性心不全に対しても予後改善効果が認められた21)。以上より、ACE阻害薬/ARBとβ遮断薬を最大許容用量投与するも心不全症状が残るすべてのHFrEF患者に対して投与が推奨されている。【目標用量】上記の結果より、スピロノラクトンは50mg、エプレレノンも50mgが目標用量とされているが、用量依存的な効果があるかについては証明されていない。なお、EMPHASIS-HF試験のプロトコールに、具体的なエプレレノンの投与方法が記載されているので、参照されたい21)。【注意点】高カリウム血症には最大限の注意が必要であり、RALES試験の結果発表後、スピロノラクトンの処方率が急激に増加し、高カリウム血症による合併症および死亡も増加したという報告もあるくらいである22)。血清K値と腎機能は定期的に確認すべきである。ただ近年新たな高カリウム血症改善薬(ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物)が発売されたこともあり、過度に高カリウム血症を恐れる必要はなく、できる限り予後改善薬を継続する姿勢が重要と考えられる。またRALES試験でスピロノラクトンは女性化乳房あるいは乳房痛が10%の男性に認められ19)、実臨床でも経験されている先生は多いかと思う。その場合は、エプレレノンへ変更するとよい(鉱質コルチコイド受容体に選択性が高いのでそのような副作用はない)。2. β遮断薬(カルベジロール、ビソプロロール)【適応】β遮断薬はWaagsteinらが1975年に著効例7例を報告して以来(その時は誰も信用しなかった)、20年の時を経て、U.S. Carvedilol、MERIT−HF、CIBIS II、COPERNICUSなどの大規模臨床試験の結果が次々と報告され、30~40%の死亡リスク減少率を示し、重症度や症状の有無によらずすべての慢性心不全での有効性が確立された薬剤である23–26)。日本で処方できるエビデンスのある薬剤は、カルベジロールとビソプロロールだけである。カルベジロールとビソプロロールを比較した研究もあるが、死亡率に有意差は認めなかった27)。なお、慢性心不全治療時のACE阻害薬とβ遮断薬どちらの先行投与でも差はないとされている28)。【目標用量】用量依存的に予後改善効果があると考えられており、日本人ではカルベジロールであれば20mg29)、ビソプロロールであれば5mgが目標用量とされているが、海外ではカルベジロールであれば、1mg/kgまで増量することが推奨されている。【注意点】うっ血が十分に解除されていない状況で通常量を投与すると心不全の状態がかえって悪化することがあるため、少量から開始すべきである。そして、心不全の増悪や徐脈の出現等に注意しつつ、1~2週間ごとに漸増していく。心不全が悪化すれば、まずは利尿薬で対応する。反応乏しければβ遮断薬を減量し、状態を立て直す。また徐脈などの副作用を認めても、中止するのではなく、少量でも可能な限り投与を継続することが重要である。3. 利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、トルバプタン)、利水剤(五苓散など)【適応】心不全で最も多い症状は臓器うっ血によるものであり、浮腫・呼吸困難などのうっ血症状がある患者が利尿薬投与の適応である。ただ、ループ利尿薬は交感神経やRAS系の活性化を起こすことが分かっており、できる限りループ利尿薬を減らした状態でいかにうっ血コントロールをできるかが重要である。そのような状況で、新たなうっ血改善薬として開発されたのがトルバプタンであり、また近年利水剤と呼ばれる漢方薬(五苓散、木防已湯、牛車腎気丸など)もループ利尿薬を減らすための選択肢の1つとして着目されており、心不全への五苓散のうっ血管理に対する有効性を検証する大規模RCTであるGOREISAN-HF試験も現在進行中である。この利水剤については、また別の回で詳しく説明する。【注意点】あくまで予後改善薬を投与した上で使用することが原則。低カリウム血症、低マグネシウム血症、腎機能増悪、脱水には注意が必要である。新規治療薬の位置付け上記の従来治療薬に加えて、近年新たに保険適応となったHFrEF治療薬として、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(Angiotensin receptor-neprilysin inhibitor:ARNI)、SGLT2阻害薬(ダバグリフロジン、エンパグリフロジン)、ベルイシグアト、イバブラジンがある。上記で示した薬物療法をHFrEF基本治療薬とするが、効果が不十分な場合にはACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替える。さらに、心不全悪化および心血管死のリスク軽減を考慮してSGLT2阻害薬を投与する。第1回でも記載した通り、これら4剤を診断後できるだけ早期から忍容性が得られる範囲でしっかり投与する重要性が叫ばれている。服薬アドヒアランスへの介入は極めて重要!最後に、施設全体のガイドライン遵守率を改めて意識する重要性を強調しておきたい。実際、ガイドライン遵守率が患者の予後と関連していることが指摘されている28)。そして何より、処方しても患者がしっかり内服できていないと意味がない。つまり、内服アドヒアランスが良好に維持されるよう、医療従事者がしっかり説明し(この薬がなぜ必要かなど)、サポートをすることが極めて重要である。このような多職種が介入する心不全の疾病管理プログラムは欧米のガイドラインでもクラスIに位置づけられており、ぜひ皆様には、このGDMTに関する知識をまわりの看護師などに還元し、チーム医療という形でそれが患者へしっかりフィードバックされることを切に願う。1)Jencks SF, et al. N Engl J Med.2009;360:1418-1428.2)Setoguchi S, et al. Am Heart J.2007;154:260-266. 3)Stewart S, et al. Circ Cardiovasc Qual Outcomes.2010;3:573-580.4)McDonagh TA, et al.Eur Heart J. 2022;24:4-131.5)CONSENSUS Trial Study Group. N Engl J Med. 1987;316:1429-1435.6)SOLVD Investigators. N Engl J Med. 1991;325:293-302.7)SOLVD Investigators. N Engl J Med. 1992;327:685-691.8)Pitt B, et al.Lancet.2000;355:1582-1587.9)Cohn JN, et al.N Engl J Med.2001;345:1667-1675.10)Dickstein K, et al. Lancet.2002;360:752-760.11)Pfeffer MA, et al.N Engl J Med. 2003;349:1893-1906.12)Granger CB, et al. Lancet.2003;362:772-776.13)Packer M, et al.Circulation.1999;100:2312-2318.14)Konstam MA, et al. Lancet.2009;374:1840-1848.15)Lam PH, et al.Eur J Heart Fail.. 2018;20:359-369.16)Schmidt M, et al. BMJ.2017;356:j791.17)McMurray JJ, et al.Lancet.2003;362:767-771.18)ONTARGET Investigators. N Engl J Med.2008;358:1547-1559.19)Pitt B, et al. N Engl J Med.1999;341:709-717.20)Pitt B, et al. N Engl J Med.2003;348:1309-1321.21)Zannad F, et al. N Engl J Med.2011;364:11-21.22)Juurlink DN, et al. N Engl J Med.2004;351:543-551.23)Packer M, et al.N Engl J Med.1996;334:1349-1355.24)MERIT-HF Study Group. Lancet. 1999;353:2001-2007.25)Dargie HJ, et al. Lancet.1999;353:9-13.26)Packer M, et al.N Engl J Med.2001;344:1651-1658.27)Düngen HD, et al.Eur J Heart Fail.2011;13:670-680.28)Fonarow GC, et al.Circulation.2011;123:1601-10.29)日本循環器学会 / 日本心不全学会合同ガイドライン「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」

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TSLPを標的とした重症喘息の新たな治療選択肢

 2022年10月24日、アストラゼネカは、都内にて「テゼスパイアによる重症喘息治療への貢献」をテーマにメディアセミナーを開催した。TSLPは喘息の重症化や呼吸機能低下に関与 現在の重症喘息治療における課題は複雑な炎症経路である。ウイルスやアレルゲン、ハウスダストなど環境因子の刺激により、気道上皮から上皮サイトカインが産生され、その結果、アレルギー性炎症や好酸球性炎症、気道のリモデリングなど、複数の経路から喘息が増悪すると考えられている。 上皮サイトカインのなかでも、炎症カスケードの起点となっているのが胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)である。TSLPは、喘息の重症化や呼吸機能低下だけでなく、気道のリモデリングやステロイド反応性の低下、ウイルス感染に対する過剰な2型炎症にも関与していると考えられている。TSLPを標的とした生物学的製剤がテゼスパイア テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(一般名:テゼペルマブ[遺伝子組換え]、以下「テゼスパイア」)はTSLPを標的とした生物学的製剤である。セミナーでは第III相国際共同試験(検証的試験)、NAVIGATOR試験について、昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 相良 博典氏が詳しく説明した。 対象は、コントロール不良な重症喘息(国際的な喘息診療指針Global Initiative for Asthma:GINAに基づく)を有する成人および12歳以上の小児患者1,061例。対象患者を地域および年齢によって層別化した後、テゼスパイア群およびプラセボ群に1:1で無作為に割り付け、52週間投与した。 主要評価項目である年間喘息増悪率はテゼスパイア群で0.93、プラセボ群で2.10であり、テゼスパイアの有効性が示された(プラセボ群に対する比:0.44、95%信頼区間[CI]:0.37~0.53、p<0.001)。また、その他の副次評価項目である血中好酸球数、FeNO、血清総IgE値のベースラインからの変化量について、テゼスパイア投与後、早期から低下する傾向が見られた。 安全性に関して、有害事象の発現率はテゼスパイア群で77.1%(407/528例)、プラセボ群で79.5%(422/531例)であった。主な有害事象(発現率>10%)は、テゼスパイア群(528例)で上咽頭炎が112例(21.2%)、上気道感染が58例(11.0%)、プラセボ群(531例)で上咽頭炎が113例(21.3%)、上気道感染が84例(15.8%)、喘息が56例(10.5%)に認められた。TSLPを阻害することでテゼスパイアは複雑な炎症経路を同時に抑制 テゼスパイアは、これまでの喘息治療薬とは異なる作用機序を有するため、新たな治療選択肢となる。「2型喘息患者では、いまだに増悪を来す患者が多く存在する。TSLPはさまざまな病態と関連しており、増悪・呼吸機能低下だけでなく、ステロイド抵抗性の獲得や粘液産生、気道リモデリング、神経炎症と、多岐にわたって影響を及ぼす。テゼスパイアは炎症の起点となるTSLPを阻害することで、複雑な炎症経路を同時に抑制し、優れた臨床的改善効果をもたらすことが期待される」と相良氏はまとめ、セミナーを終了した。

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futibatinib、既治療の切除不能肝内胆管がんに対しFDAの承認取得/大鵬

 大鵬薬品工業は、2022年10月3日、米国子会社の大鵬オンコロジーが、FGFR阻害薬futibatinib(開発コード:TAS-120)について、「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がん」の適応で米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したと発表。今回の承認は、FOENIX-CCA2試験での全奏効率(ORR)と奏効期間結果に基づくものである。 FOENIX-CCA2試験は、FGFR2遺伝子融合またはその他の再構成を有する切除不能な肝内胆管がん患者103例を対象とした第II相試験である。全身療法治療歴のある患者を対象に、病勢進行または許容できない毒性が認められるまでfutibatinib20mg/日を経口投与した。本試験の主要評価項目は全奏効率である。

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第121回 大都市、大学病院離れ鮮明に、医師臨床研マッチング結果/医師臨床研修マッチング協議会

<先週の動き>1.大都市、大学病院離れ鮮明に、医師臨床研マッチング結果/医師臨床研修マッチング協議会2.75歳以上の医療保険、所得に応じた負担増へ/厚労省3.マイナンバーと健康保険証の一体化に向け、検討会を立ち上げ/政府4.すべての医師にHPKIカード(医師資格証)の所有を促進/日本医師会5.総合診療医の育成コース、年収2,500万円で支援/新潟県津南町6.医療事故多発の赤穂市民病院に専門医の施設認定の停止/日本脳神経外科学会1.大都市、大学病院離れ鮮明に、医師臨床研マッチング結果/医師臨床研修マッチング協議会医師臨床研修マッチング協議会は10月27日に、令和4年度の研修医マッチングの結果を発表した。これによると、大都市部の6都府県(東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県)を除く道県での内定は59.6%、大学病院以外の臨床研修病院での内定は63.5%と、地方での研修や大学病院以外での研修が増えている傾向だった。マッチング開始直後の2004年度にはそれぞれ、大都市以外は50.6%、大学病院以外は47.3%だった。また、同日に厚生労働省は「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」を開催し、医師偏在指標の算出結果(速報値)を公表し、医師多数区域においては医師偏在指標が減少する区域が多くなっていることが明らかにされた。新たな医師偏在指標では、全体的に医師偏在指標そのものは増加しており、これらを元に、令和4年度末に、国が、次期医師確保計画策定ガイドラインとあわせて都道府県に提供する医師偏在指標(暫定値)より、上位および下位1/3の閾値を決定する。また、令和元年度に9,420人に達した医学部の定員については、令和6年度も、令和元年度の定員数を上限とし、令和5年度の枠組みを暫定的に維持することになった。(参考)令和4年度 研修医マッチングの結果(医師臨床研修マッチング協議会)地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(厚労省)第9回地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(同)2016年から2020年にかけて「医師の地域偏在」が進んでしまった!強力な偏在対策推進を!?地域医療構想・医師確保計画WG(1)(Gem Med)2023年4月からの医師臨床研修、都市部6都府県「以外」での研修が59.6%、大学病院「以外」での研修が63.5%に増加-厚労省(同)新医師偏在指標、平均値など多くの項目で増加 地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(日経メディカル)2.75歳以上の医療保険、所得に応じた負担増へ/厚労省厚生労働省は、10月28日に社会保障審議会医療保険部会を開催し、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度について、年金収入が年間153万円を超える所得の高い人の年間保険料の上限引き上げなどを含む案を提案した。同時に国民健康保険の保険料の上限を2万円引き上げて104万円にする方針も示された。2025年までに団塊の世代が全て後期高齢者となるため、現在の後期高齢者医療費の約17兆円が急増することが見込まれており、その前に、高所得の高齢者に負担を求め、現役世代の負担を抑制する方針。(参考)第156回社会保障審議会医療保険部会(厚労省)75歳以上の医療保険、負担増を諮問…年金153万円超が対象の可能性(読売新聞)中高所得層の負担増 75歳医療保険料引き上げへ(産経新聞)医療、所得に応じ負担増 高齢者・現役の両方で 厚労省審議会、保険制度見直し着手(日経新聞)3.マイナンバーと健康保険証の一体化に向け、検討会を立ち上げ/政府岸田文雄総理は、10月28日の記者会見で、2024年の秋に予定しているマイナンバーカードと健康保険証の一体化に向け、関連省庁で検討会を設置することを表明した。これは保険証の廃止につながるとして医師会などから懸念の声が上がっているため。また、紛失などで手元にカードがなくても保険診療を受けられる制度を用意することも明らかにした。(参考)カード一体化の検討会 マイナと保険証、首相表明(日経新聞)「マイナ保険証」紛失でも保険診療 岸田首相(時事通信)4.すべての医師にHPKIカード(医師資格証)の所有を促進/日本医師会日本医師会は10月26日に定例記者会見を開催し、来年1月から、オンライン資格確認を活用した電子処方箋の運用開始を前に、全医師に対する公開鍵認証基盤(HPKI)に基づく医師資格証の発行を日本医師会が促進していく方針を示した。今年9月末の時点で、医師資格証の発行枚数は2万5,000枚を超え、現在3,000件以上の申請に対応しており、今後、すべての医師に取得してもらえるよう取り組むことを示した。なお、医師資格証の発行・更新費は医師会員であればすべて無料であり、非会員であっても実費のみで取得可能であること、新規の医師免許取得者も無料での取得が可能である。(参考)医師資格証、全医師への発行を「強力に加速」 日医・長島常任理事(MEDIFAX)医師資格証の全医師への発行について(日本医師会)医師資格証について(日本医師会 電子認証センター)5.総合診療医の育成コース、年収2,500万円で支援/新潟県津南町新潟県津南町は、深刻な医師不足に直面しており、若手総合診療専門医を育成するため、町立津南病院ならびに県立十日町病院で研修する場合、通常の給与に加えて年間1,000万円を最大4年間支給する研修プログラムを来年度から開始することを発表した。研修終了後も津南病院で2年働くことなどが条件。また、海外留学にも最大1,550万円の奨学金で支援する。専門医取得後は、病院の幹部として登用する。11月10日にオンライン説明会を実施する。(参考)地域で育成する日本初の総合診療医育成プログラムを開始します(津南町)「総合診療医」好待遇で志願者募集、新潟・津南病院が全国初の研修制度 幹部候補、海外留学を支援、年収2倍(新潟日報)「年収2,500万円で病院長候補を…」医師不足“全国最下位”の新潟県で始まる日本初の育成プログラム(新潟放送)6.医療事故多発の赤穂市民病院に専門医の施設認定の停止/日本脳神経外科学会兵庫県の赤穂市民病院は、2019年9月以降に同院の脳神経外科で多発した医療事故のため、日本脳神経学会は専門医指定訓練施設の認定を停止したことを明らかにした。これは以前、脳神経外科で勤務していた男性医師(依願退職済み)による医療事故が相次いだことを受け、学会側として対応したものとみられる。学会側は再認定には、医療安全管理体制の整備や医療事故の発生当時の問題点を総括することを求めている。(参考)医療事故相次ぎ8件→学会は11件指摘 赤穂市民病院脳神経外科の認定を停止 専門医の研修できなくなる(神戸新聞)市民病院医療事故多発 学会が訓練施設認定を停止(赤穂民報)

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医療者ほか最前線労働者、デルタ・オミクロン株へのワクチン効果は/JAMA

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のデルタおよびオミクロン変異株に感染した米国の必須(essential)/最前線(frontline)労働者では、感染前149日以内のmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の2回または3回接種は未接種と比較して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は軽度で、ウイルスRNA量は少なかったことが、米疾病対策センター(CDC)のMark G. Thompson氏らHEROES-RECOVERネットワークの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年10月18日号に掲載された。米国6州の前向きコホート研究 本研究は、COVID-19に対するmRNAワクチンの2回または3回接種と、その症状およびSARS-CoV-2のウイルスRNA量との関連の評価を目的とする前向きコホート研究であり、2020年12月14日~2022年4月19日の期間に、米国の6州(アリゾナ、フロリダ、ミネソタ、オレゴン、テキサス、ユタ)でSARS-CoV-2に感染した患者が登録されたHEROES-RECOVERネットワークのデータが使用された(米国国立予防接種・呼吸器疾患センターなどの助成を受けた)。 HEROES-RECOVERネットワークには、医療従事者や早期対応業務従事者、その他の必須/最前線労働者から成る大規模なコホートが含まれる。このコホートは、教育、農業、食品加工、輸送、固形廃棄物収集、公共事業、政府サービス、保育、環境サービス、接客業などの分野の労働者が含まれ、他者と3フィート(約91cm)以内の距離で定期的に接触する職業であり、この環境で週に20時間以上働く人々と定義された。 主要アウトカムには、症状の発現、特異的な症状(発熱、悪寒など)、症状発現期間、医療探索行動(受診)などの臨床アウトカムと、ウイルス量(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応[RT-qPCR]法で評価)などのウイルス学的転帰が含まれた。オミクロン変異株では、3回接種者で症候性感染症のリスクが高い COVID-19感染患者1,199例(年齢中央値41歳、女性59.5%)が解析に含まれた。14.0%が始原ウイルス株、24.0%がデルタ変異株、62.0%がオミクロン変異株に感染していた。 デルタ変異株では、感染症出現の14~149日前に2回目のワクチン接種を受けた患者は未接種患者に比べ、症状発現の確率が有意に低かった(77.8%[21/27例]vs.96.1%[74/77例]、オッズ比[OR]:0.13[95%信頼区間[CI]:0.0~0.6])。症状が発現した場合は、感染前7~149日に3回目の接種を受けた患者は未接種患者に比べ、発熱または悪寒の報告が有意に少なく(38.5%[5/13例]vs.84.9%[62/73例]、OR:0.07[95%CI:0.0~0.3])、症状発現の平均日数が短かった(10.2日vs.16.4日、群間差:-6.1日[95%CI:-11.8~-0.4])。 一方、オミクロン変異株では、症候性感染症のリスクは2回接種患者と未接種患者で差はなかったが、3回接種患者は未接種患者よりもリスクが有意に高かった(88.4%[327/370例]vs.79.4%[85/107例]、OR:2.0[95%CI:1.1~3.5])。 また、症候性オミクロン変異株感染患者では、感染前7~149日に3回目の接種を受けた患者は、未接種患者と比較して発熱または悪寒の訴えが有意に少なく(51.5%[160/311例]vs.79.0%[64/81例]、OR:0.25[95%CI:0.1~0.5])、医療を求めて受診した患者も有意に少数だった(14.6%[45/308例]vs.24.7%[20/81例]、OR:0.45[95%CI:0.2~0.9])。 感染前14~149日に2回目の接種を受けたデルタおよびオミクロン変異株感染患者は未接種患者に比べて、平均ウイルス量が有意に低値を示した(デルタ変異株:3 vs.4.1 log 10コピー/μL、群間差:-1.0 log 10コピー/μL[95%CI:-1.7~-0.2]、オミクロン変異株:2.8 vs.3.5、-1.0[-1.7~-0.3])。 著者は、「オミクロン変異株によるCOVID-19の症状は、デルタ変異株に比べ軽度で、症状発現期間も短いようであり、これはウイルスRNAの排出量が少ないことと関連した」としている。

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喫煙妊婦、金銭的報奨で禁煙率が2倍以上に/BMJ

 英国の妊娠中の喫煙者では、現行の禁煙サービスに加え、妊婦の禁煙のための最大400ポンドの金銭的報奨を提供すると、禁煙率が2倍以上に向上し、重篤な有害事象は増加しなかったことが、英国・グラスゴー大学のDavid Tappin氏らが実施した無作為化試験「CPIT III試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年10月19日号で報告された。英国の無作為化第III相試験 CPIT III試験は、妊婦向けの禁煙支援としての金銭的な報奨の有効性の評価を目的とする実践的な単盲検無作為化第III相試験であり、2018年1月9日~2020年4月4日の期間に、スコットランド、北アイルランド、イングランドの7つの産科病院で参加者の登録が行われた(Cancer Research UKなどの助成を受けた)。 対象は、年齢16歳以上、自己申告による喫煙者(過去7日間にタバコ1本以上の喫煙)で、初回受診時に在胎期間24週未満の妊婦であった。被験者は、標準的な禁煙サービスに加え、最大で400ポンド(440ドル、455ユーロ)に相当する引換券(多くの小売店で使用できるLoveToShop買い物券)による報奨を受け取る群、または標準的な禁煙サービスのみを受ける群(対照群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、妊娠後期(在胎期間34~38週)における自己申告による禁煙で、唾液中のコニチン(ニコチン代替製品を使用している場合はアナバシン)の検出によって確定された。出産後に、多くは再喫煙 941人の妊婦が登録され、介入群に471人、対照群に470人が割り付けられた。ベースラインの全体の平均年齢は27.9(SD 5.8)歳、平均在胎期間は11.3(SD 3.3)週であった。 生化学的に確定された禁煙者の割合は、介入群が26.8%(126/471人)と、対照群の12.3%(58/470人)に比べ有意に高かった(補正後オッズ比[OR]:2.78、95%信頼区間[CI]:1.94~3.97、p<0.001)。 重篤な有害事象は58人(介入群39人、対照群19人)で61件発現した。このうち流産が17人(12人、5人)、死産が4人(2人、2人)、人工中絶が5人(4人[2人は先天性疾患]、1人)、新生児死亡が3人(2人、1人)で認められた。これらの重篤な有害事象は、いずれも介入とは関連がなかった。 その他の入院を要するイベントが24人で発現し、このうち胎動減少が17人(介入群11人、対照群6人)、妊娠悪阻が1人(介入群)、深部静脈血栓症が1人(介入群)、歯の膿瘍が1人(対照群)、腹痛が1人(介入群)などであった。 両群とも、禁煙を達成した妊婦の多くが、出産後に再び喫煙するようになった。 著者は、「妊婦に対する現行の禁煙支援に、金銭的な報奨を加えることで、長期的に国民保健サービス(NHS)の費用負担の削減が可能と考えられる」としている。

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超加工食品の利便性と有害性はもろ刃の剣であり、摂取過剰は男性の遠位大腸がん発生の危険性を高めるため超加工食品の摂取には注意!―(解説:島田俊夫氏)

 大腸がんの発生は国により多少の差はあるが世界中で日増しに大きな問題となっており、その原因として超加工食品を大きく取り上げている。 超加工食品の分類には、ブラジル・サンパウロ大学の公衆衛生メンバーが提唱したNOVA分類(1~4)が通常用いられている。食品加工に伴う加熱処理、保存性の向上のための塩、砂糖やその他食品添加物、加工処理に伴う有害生成物、自然食品に含まれる抗酸化物質等の喪失等が発がん機序に深く関与していると推測されているが、十分に解明されているとはいえない。 それでも、加工食品の普及につれてその利便性とは逆に有害性の側面がクローズアップされている。2018年にフランス国立衛生医学研究所(INSERM)の研究者が、加工食品の摂取過剰が閉経後女性の乳がん発生増加につながったと報告した1)。その後、超加工食品による発がんへの関心が急速に高まっている。 大腸がんの発生に密接に関係する超加工食品に対する前向き大規模コホート研究が、タイムリーに米国の医療従事者を対象とした3つのコホート研究の成果として、2022年8月31日号のBMJ誌にタフト大学のWang氏らによって報告された。 男女別の3つの医療従事者コホート(男性コホート:Health Professionals Follow-up Study、女性コホート:Nurses’ Health Study I and II)を対象とした5年間にわたる前向きコホート追跡研究から、食事摂取量の記録があり、ベースライン時点でがんフリーの参加者を対象として、超加工食品摂取と大腸がんリスクとの関連を調査した研究成果を発表した。参加者数も多く、観察期間も長く、信頼性の高いデータに基づく論文として紹介する。 男性では超加工食品の摂取量と大腸がんリスクの間に正相関を見いだしたが、この関連は遠位大腸がんに限られていた。サブグループの男性では超加工食品(レトルト肉、家禽、海産物/砂糖添加飲料)と正の関連が観察された。一方で、女性では明らかな関連はなかったが、ヨーグルト、乳製品ベースのデザートが遠位大腸がんを抑制することが観察された。 本研究は、男性で超加工食品摂取と遠位大腸がんリスクの間に正の関連を初めて見いだした研究であった。確立された大腸がんの危険因子である肥満が、超加工食品と遠位大腸がんのがん化に関連性がなかったことから、超加工食品の追加属性が遠位大腸がんのがん化に深く関与する可能性を示すと理解された。 大腸がんの発生が性差で異なる理由は目下不明であるが、事実をまず受け止め、超加工食品の利便性と有害性を理解することで、現代社会を健康的かつ安全に生き抜くために食の在り方を見直す必要がある。本論文は、超加工食品の利便性優先に警鐘を鳴らす意味からも大きな意義がある。 超加工食品の利便性の魅力に惑わされることなく、超加工食品の問題点を正しく認識のうえで賢く利用することを考えるべきではないか。

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事実上義務化のマイナ保険証、患者・医療者のメリットは? 【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第99回

政府は、現在の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると発表しました。さまざまなデジタル化が薬局業務にも押し寄せつつありますが、オンライン資格確認システムの導入や情報の管理・活用など大きな変化になりそうです。河野太郎デジタル相は13日午前に記者会見を開き、2024年秋に現在の健康保険証の廃止をめざすと発表した。すでに保険証利用が始まっているマイナンバーカードに一本化する。ただ、カードの交付率は9月末時点で49%にとどまり、普及には課題が残っている。(中略)また、現在は25年3月末までに予定している運転免許証との一体化も「前倒しできないか検討を進める」ことを明らかにした。(2022年10月13日付 朝日新聞デジタル)マイナンバーカードは2015年に通知カードの交付が開始され、2016年に運用が開始となりました。普及率は10月18日までに50%に達しましたが、普及促進のためマイナポイントをばらまいていたのにようやく50%とはちょっとびっくりです。私の周りでは、自身や子供のマイナンバーカードを取得し、きっちりマイナポイントをもらったという話をよく耳にしますので、高齢者の普及率が著しく低いのでは?と思いましたが、意外や意外、60~74歳でも50.1%が交付済みでした。マイナポイントも一定の成果を上げているのかもしれません。健康保険証とマイナンバーカードが一本化されると、保険医療を受けるためにはマイナンバーカードを作るしかなく、普及率が上がることは明確です。ただ、マイナ保険証の普及に賛成したくなるようなデータヘルス改革の具体的な姿が見えないため、ただ手間が増えるだけのような印象を持っている医療関係者は私だけではないはずです。患者の同意があれば診療・投薬情報が共有可能マイナ保険証の患者さん側のメリットとしては、従来の保険証は会社員が転職をしたり自営業者が引っ越しをしたりすると改めて発行してもらう必要がありましたが、マイナ保険証になるとその手間はなくなります。また、マイナポータルというポータルサイトで診療・薬剤・医療費・検診情報が確認でき、医療費控除の手続きでマイナポータルを通じて医療費通知情報の自動入力ができます。個人的には、そろそろ病名を教えてもらえないかと思っていますが、それは明らかになっていません。医療機関・薬局側のメリットとしては、これまで手入力していた保険情報が自動で入力され、患者さんの同意があれば他の医療機関での診療情報や薬剤情報がリアルタイムで確認できるようになります。より広い患者情報を入手して医療に生かし、重複投薬も防ぐことができるようになります。また、2022年度の報酬改定により、オンライン資格確認システムを通じて患者さんの情報を取得した場合に、月1回に限り3点が加算できるようになりました。なお、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーは無償提供され、それ以外の費用には補助が出る場合もあります。2023年4月以降は全国の保険医療機関や薬局にオンライン資格確認システムへの対応を原則として義務付ける方針ですが、現在導入している医療機関はまだ30%程度にとどまっています。現在の健康保険証が廃止になる2024年秋まであと2年。廃止の期限が延期になるんじゃないかなぁと思ってしまう自分がいますが、今後問題になりそうな高齢者支援についてのフォローも期待したいと思います。

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サル痘ワクチン【今、知っておきたいワクチンの話】各論 第14回

新型コロナに次いで緊急事態が宣言されたサル痘周知の通り、サル痘感染が世界的に拡大している。アフリカ熱帯地方に限局した風土病であったサル痘が、ナイジェリアからの輸入例として英国から世界保健機関(以下、WHO)に報告されたのは2022年5月7日であった(発端症例はナイジェリア滞在中の同年4月29日に発症、5月4日に英国に到着)1)。以後、非常在国への輸入例およびそれらを発端とした国内感染例が続々と発見・報告されてきた。急激な世界的拡大を踏まえ、WHO事務局長は2022年7月23日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC[フェイク]と発音)」を宣言した2)。PHEICとは、「緊急かつ世界的な健康問題に対して、WHO加盟各国が集中的に資源投下して早期の封じ込めまたは安定化を目指すよう」にとWHO事務局長が発する宣言である。2020年の新型コロナウイルスパンデミックへの宣言に続いて、史上7件目のPHEICとなった。PHEIC宣言後も加盟各国での発見が相次ぎ、2022年9月21現在では105ヵ国から累計6万1,753例の確定患者と23例の死亡がWHOに報告されている3)。わが国でも同9月21日までに、計5例の確定患者が厚生労働省に報告されている4)。うち3例は直近の海外渡航歴があったが、残る2例に渡航歴はない。渡航歴のない2例とも発症直前に海外渡航者との接触があり、輸入例を発端とした国内感染と推定される。ただし、諸外国のように輸入発端例を追跡できないような国内感染拡大には現時点で至っていない。サル痘とはサル痘は人獣共通感染症である。1958年にデンマークの研究所が実験用にアジアから輸入したサルが発疹性疾患を発症し、病変からサル痘ウイルスが分離発見された。これがサル痘 monkeypox の命名由来であるが、後の研究により本来の自然宿主はアフリカ熱帯地域のリス、その他の齧歯類と推定された。実験的感染も含めると、サル痘ウイルスはヒトをはじめとする40種以上の動物種に感染することがわかっている5)。アフリカ熱帯地域の野生動物間で循環しているサル痘ウイルスが、感染動物と接触したヒトにも感染する例が、1970年以降コンゴ盆地(アフリカ中央部)および西アフリカの諸国で散発的に報告されてきた。ヒト発端例から数100例に拡大したアウトブレイクも同地域で何度か発生している。サル痘ウイルスは天然痘(痘瘡)ウイルスと同じオルソポックスウイルス属に属し、クレードI(旧称:コンゴ盆地型)とクレードII(旧称:西アフリカ型)の2系統に分類される6)。クレードIによる致死率は10%前後だが、クレードIIのそれは1~数%と比較的軽症である。現在世界で拡大しているサル痘ウイルスは主としてクレードIIとされており7)、確定症例中の死亡数が少ないのはそのためと考えられる。サル痘ウイルスは主として接触感染する。ごく近距離かつ長時間の対面による飛沫感染もありうるが、大半は皮膚と皮膚、またはウイルスの付着した衣類などと皮膚の濃厚接触による感染とされる。性的接触後の感染も多く報告されているが、性的接触に伴う皮膚同士の濃厚接触が感染経路と考えられ、一般的な性行為感染とは異なる。現時点では圧倒的に男性の報告が多く、女性や小児の報告は一部である。サル痘の症状は、根絶された天然痘(痘瘡)のそれにかなり似通っている。ウイルス感染後1~2週間(最大21日間)の潜伏期を経て、発熱、リンパ節腫脹等の非特異的な前駆症状で発症する。前駆症状の1~3日後に全身に発疹が出現するが、天然痘と同じくすべての発疹が同期して丘疹→水疱→膿胞→痂皮へと進行する。類似の水疱性疾患である水痘の発疹が互いに同期せずバラバラに進行するのとは異なるが、多数のサル痘報告の中には発疹が同期しないケースも散見されるため、鑑別に注意を要する。発疹は痂皮が脱落するまでの2~4週間は感染性を保ち、その間の濃厚接触によって感染が拡がる。ほとんどが自然治癒するが、まれに発疹部への細菌2次感染、肺炎、脳炎、角膜炎などの合併症を生ずる。妊婦や小児が特に合併症を生じやすいとされる。診断は発疹病変検体からのウイルス遺伝子検出(PCR法)が有用であり、厚生労働省による届出基準でも採用されている8)。特異的治療薬として、欧州では tecovirimat が承認されている。わが国には承認済みの特異的治療薬はないが、「tecovirimat のサル痘への効果と安全性を検証する特定臨床研究」が国立国際医療研究センターにて進行中である。サル痘のより詳しい臨床情報については、他の総説記事などをご参照いただきたい。 日本の法令上の扱いサル痘はわが国では感染症法で4類感染症に指定されており、全数届出疾患である。1・2類感染症とは異なりまん延防止のための公費入院制度がないため、入院および治療の費用は患者負担となる(前述の tecovirimat の特定臨床研究の対象となれば研究費が適用される)。検疫法にはサル痘の指定がないため、海外から到着した疑い症例を検疫所が発見しても検疫法に基づく行政検査ができない。近隣自治体に知らせて感染症法に基づく検査につなげる(自治体が指定する医療機関へ移送を検討する)必要があり、患者自身のためにもまん延防止のためにも検疫所と自治体との連携が重要である。オルソポックスウイルス属と天然痘ワクチン(種痘)本稿の本題はサル痘に対するワクチンであるが、サル痘ワクチンを知るにはまず天然痘とそのワクチンを知らねばならない。1)天然痘ワクチンサル痘ウイルスは天然痘ウイルスと同じオルソポックスウイルス属に属する。天然痘は数千年にわたり人類を脅かしてきたウイルス性発疹性疾患である。WHO主導の世界的な天然痘ワクチン接種(種痘)キャンペーンにより、1980年についに世界からの根絶が宣言された。有効なワクチンがあった以外に、動物宿主がなくヒトにしか感染しない、持続感染例がないなどの好条件が重なり、人類初の根絶病原体となった。サル痘の臨床症状は天然痘と似通っている。天然痘という病名は英語で smallpox だが、病原体である天然痘ウイルスは variola virus と呼ばれる。天然痘ウイルスには variola major および variola minor の2種があった。Variola major は19世紀末まで猛威を奮い、致死率は30%前後に及んだ。Variola minor は19世紀末に登場し、majorに取って代わって世界に拡大した。Variola minor の致死率は1%前後とmajorよりは軽症であったが、それでも1%の致死率は重大であり根絶の努力がなされた。死亡は感染の1~2週後に生じたが、死に至る詳細な病態生理はわかっていない。重度のウイルス血症やそれに伴うサイトカインストームが主因だったのではと推測されている9)。2)天然痘ワクチンの歴史とワクシニア vaccinia ウイルスオルソポックスウイルス属には牛痘ウイルスも含まれる。牛痘ウイルスはその名の通り牛に感染して水疱性疾患を生ずる病原体だが、牛を扱う農夫など濃厚接触するヒトにも感染することが古くから知られていた。ヒトに限局される天然痘とは異なり、牛痘は人獣共通感染症である。そして、牛痘感染歴のある者は天然痘に感染しないことも経験的に知られており、西暦1000年ごろにはすでにインドや中国で天然痘予防目的にヒトに牛痘を感染させる手法が行われていたとされる。これを世界で初めて科学的に確立し19世紀初頭に論文として世に報告したのが、英国のエドワード・ジェンナーであった10)。ラテン語で牛を意味する vacca を語源として、接種に用いる牛痘製剤を vaccine、牛痘接種(種痘)を vaccination とジェンナーが名付けたことは広く知られている。後に種痘に限らず、病原体予防薬全般について vaccine/vaccination の語が使われるようになった。そして、ジェンナーによる論文出版後の19世紀に種痘は世界へ急速に拡大した。種痘製剤を量産するために、牛の皮膚に人為的に牛痘ウイルスを植え付けて感染させ、病変から次の原料を採取するという手法が広く行われた。驚くことに、牛以外にも羊、水牛、兎、馬なども利用され、時には牛痘ではなく馬痘ウイルスすら使われた。20世紀に近代的なワクチン製法が確立される過程で、種痘製剤に含まれるウイルスはワクシニア vaccinia と名付けられた。その時点でワクシニアウイルスは、自然界の牛痘ウイルスからは遺伝的に大きく異なっていた。ジェンナー当時の牛痘ウイルスが100年以上にわたり生体動物を用いて継代培養される過程で、変異を繰り返した上に、他のオルソポックスウイルス属との交雑も起きたと推測されている。したがって現代の種痘製剤(天然痘ワクチン)の原料は、自然界の牛痘ウイルスではなく、実験室にのみ存在するワクシニアウイルスである。3)天然痘ワクチンの世代と種類これまで実用化されてきた天然痘ワクチンは表1のように3世代に分類される。表1 天然痘ワクチンの世代と特徴画像を拡大する天然痘の根絶に向けて接種キャンペーンが実施されていた当時の天然痘ワクチンを第1世代と呼ぶ。19世紀のままの生体動物による製法で生産され、無菌処理を施して凍結乾燥されていた。この間に免疫原性が高い優良株がいくつか確立された。しかし、キャンペーン進行による自然罹患者の減少と引き換えに、ワクチンの重篤な副反応が目立つようになった。種痘性湿疹 eczema vaccinatum、進行性ワクシニア progressive vaccinia、全身性ワクシニア generalized vaccinia といった致死性の極めて高い重篤皮膚病変や、高い致死率と神経学的後遺症に至る種痘後脳炎・脳症などが報告された。いずれも数10万接種~100万接種に1件程度と低頻度ではあったが、わが国を含む各国で問題視された11)。やがて1980年に根絶が宣言されると種痘は中止され、生産済みの第1世代ワクチンは凍結保存された。その後の1987年旧ソ連崩壊に伴う天然痘ウイルス拡散懸念や、2001年の米国同時多発テロ後の炭疽菌テロなどがきっかけで、天然痘ウイルスを利用した生物テロを想定してワクチンを常備する気運が米国を中心に高まった。この時期に生産された製剤を第2世代と呼ぶ。第2世代は、第1世代で確立されたワクチン株を生体動物ではなく細胞培養やニワトリ胚培養など現代的製法で生産したものである。天然痘はすでに根絶されていたため、ワクチンの効果は被験者の免疫応答(すなわち代理エンドポイント)を第1世代ワクチン当時と比較する形で測定された。しかし、第1世代と同じウイルス株を使っていたため、安全性の懸念は払拭されなかった。米国軍人などに第2世代製剤を接種した際の複数の2000年代の研究で、接種後心筋炎が背景リスクよりも有意に高いことが示されている12-15)。第1世代で問題視された安全性問題をクリアするために、免疫原性を保ったまま副反応を減らすよう、弱毒化ワクシニアウイルス株も順次開発された(第2世代までは非弱毒株)。弱毒化ワクシニアウイルス株由来の製剤を、第3世代と呼んでいる。遡ること1950~60年代にはアンカラ株(modified vaccinia Ankara:MVA)と呼ばれる弱毒株が開発されている。トルコのアンカラで数100世代継代培養されて遺伝子の15%が変異したこの株は、既存製剤よりも免疫原性は劣るが副反応も避けられるため、根絶前のキャンペーンでは既存製剤接種に先立つ接種に用いられた。また、1970年代には、わが国の橋爪 壮氏がヒト体内での増殖能を不活性化した LC16m8株を開発している16)。現在わが国でテロ対策に備蓄されている天然痘ワクチン(痘そうワクチン LC16「KMB」)は LC16m8株由来であり、自衛隊での小規模な研究であるが免疫原性と安全性は確認されている17)。一方、欧米ではMVA由来の新たな製剤が2010年代に開発されて同じく備蓄されている(Bavarian Nordic社による開発で通称 MVA-BN、商品名は国・地域ごとに異なる)18)。ワクシニアウイルスによるワクチンとオルソポックスウイルス属の交叉抗原性上記の歴史からわかる通り、天然痘ワクチンは天然痘ウイルス自体が原料ではなく、同じオルソポックスウイルス属である牛痘ウイルス(誕生当時)またはワクシニアウイルス(現代)が原料である。同じウイルス属とはいえ異なる種のウイルスを用いたにもかかわらず、このワクチンは天然痘ウイルスを根絶するほどの効果を示した。他のワクチン予防可能疾患において、異なる種の病原体を原料としたワクチンが充分な効果を示した例はない。すなわち、オルソポックスウイルス属は種同士の交叉抗原性が非常に強いと言える。属内での交叉抗原性の強さから、天然痘ワクチンを同じくオルソポックスウイルス属であるサル痘ウイルスの予防にも応用する発想につながる。サル痘予防としての天然痘ワクチン今回の世界的流行以前にも、サル痘はアフリカでアウトブレイクを繰り返し、時に非常在国での小規模アウトブレイクも起こしてきた19)。繰り返すが、サル痘ウイルスは天然痘ウイルスや牛痘ウイルス/ワクシニアウイルスと同じオルソポックスウイルス属である。属内の交叉抗原性が強いことの証左として、アフリカでのサル痘アウトブレイクで天然痘ワクチン(種痘)が結果的に奏効した実績がある。1980年代の古い観察研究ではあるが、当時のザイール(現コンゴ民主共和国)でのサル痘アウトブレイク時に、濃厚接触者の種痘歴の有無と発症の関連を調査したものがある。これによると、種痘歴がある場合の濃厚接触後発症は、種痘歴なしでの濃厚接触後発症に比べて、相対リスク減少が85.9~87.1%であった(※データから著者算出)20)。すなわち、種痘歴があることでサル痘発症リスクが80%以上低減された可能性がある。こうした知見からサル痘コントロール目的に天然痘ワクチンの接種が検討され、各国でのアウトブレイク時には適応外使用として接触者に曝露後接種されることもあった19)。しかし、天然痘ワクチンによるサル痘ヒト感染の予防効果を直接検証した質の高い介入研究はいまだ発表されてない。また、天然痘根絶後の天然痘ワクチンに関する研究のほとんどは、接種後(種痘後)の中和抗体上昇などの免疫学的指標および安全性評価に留まる。根絶前のかなり限定的な観察から、中和抗体価と天然痘の感染阻止にはある程度の相関があることが示唆されてはいるが21)、絶対的な感染阻止指標と証明されたわけではない。ましてや、種痘後の中和抗体価がサル痘の感染阻止とどの程度関連するかも不明である。天然痘ワクチンのサル痘予防効果は、真のエンドポイントでの評価がなされていない点に留意が必要である。こうした状況ではあるが、急激な世界的拡大を踏まえてWHOをはじめ世界の各機関は複数の間接的研究結果を根拠に天然痘ワクチンをサル痘予防に用いるよう承認し、推奨接種対象者を公表している。WHOは2022年8月発表の暫定ガイダンスにおいて、第2世代および第3世代ワクチン双方を表2の対象者に、十分な意思決定の共有(shared decision-making)の下に接種するよう推奨している22)。安全性の観点では第3世代が有利といえるが、第3世代はいまだ生産量および備蓄量が少ないため、世界全体のバランスを重視するWHOの立場としては第2世代も同程度に推奨していると考えられる。表2  WHOによる天然痘ワクチンのサル痘予防使用の推奨対象者画像を拡大する米国は天然痘予防に承認済みの第2世代 ACAM2000 および第3世代 MVA-BN(商品名:JYNNEOS)の計2種をサル痘予防に緊急承認し、欧州も同じく第3世代 MVA-BN(同:IMVANEX)をサル痘予防に承認し、それぞれにWHOと類似の対象者向けに接種を推奨している23)。なお米国では第2世代 ACAM2000 は第3世代 MVA-BN(JYNNEOS)の代替品substituteの位置付けである。わが国でも2022年8月に、天然痘に承認済みの第3世代 LC16m8株「痘そうワクチンLC16『KMB』」の適応にサル痘予防が追加された24)。接種対象者の選定について同9月現在で厚生労働省からは公式な発表はないが、厚生科学審議会で議論が行われている。また、治療薬 tecovirimat の特定臨床研究と並んで、国立国際医療研究センターにおいて同ワクチンの曝露前接種および曝露後接種が共に特定臨床研究として実施されている(同ワクチンの適応追加前に計画されたため、通常の臨床研究ではなく特定臨床研究が選択された)。わが国もサル痘侵入に対して迅速に対応していると言えよう。おわりに2022年9月時点ではわが国へのサル痘侵入例は数えるほどであり、諸外国のような国内感染拡大には至っていない。一般医療機関でサル痘患者に対応したり、天然痘ワクチンを接種する状況からは、現時点では程遠い。よって現状ではワクチンの接種手技や副反応などに通暁する必要は乏しく、本稿では天然痘ワクチンの歴史とサル痘流行における現状を整理するに留めた。しかし、新型コロナウイルス同様、国内感染例がある閾値を超えれば急速に拡大する可能性が常にある。読者には最新情報を収集していただくと共に、天然痘ワクチン接種が広範囲の医療機関で実施される状況が訪れるならば筆者も情報更新に努めたい。参考となるサイト厚生労働省 サル痘について1)WHO Disease Outbreak News. Monkeypox-United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland.; 2022.(2022年8月8日閲覧)2)WHO. Second Meeting of the International Health Regulations (2005) (IHR) Emergency Committee Regarding the Multi-Country Outbreak of Monkeypox.; 2022.(2022年8月8日閲覧)3)WHO. Multi-Country Outbreak of Monkeypox --- External Situation Report 6, Published 21 September 2022.2022.(2022年9月22日閲覧)4)厚生労働省. サル痘について. Published 2022.(2022年9月21日閲覧)5)Parker S, et al. Future Virol. 2013;8:129-157.6)WHO. Monkeypox: Experts Give Virus Variants New Names.2022.(2022年8月21日閲覧)7)Benites-Zapata VA, et l. Ann Clin Microbiol Antimicrob. 2022;21:36.8)厚生労働省. サル痘 感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について.(2022年9月9日閲覧)9)Martin DB. Mil Med. 2002;167:546-551.10)Jenner E. An Inquiry into the Causes and Effects of the Variolae Vaccinae.; 1802.(2022年9月9日閲覧)11)平山宗宏. 小児感染免疫. 2008;20:65-71.12)Arness MK, et al. Am J Epidemiol. 2004;160:642-651.13)Eckart RE, et al. J Am Coll Cardiol. 2004;44:201-205. 14)Lin AH, et al. 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コロナ治療薬モルヌピラビル、早期投与で回復までの期間短縮に期待/MSD

 MSDは10月19日、一般流通を9月16日に開始した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について、承認後の最新情報として特定使用成績調査の中間報告などをメディアセミナーにて発表した。調査の結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかったことや、外来患者に使用した際の転帰として死亡はなく、人工呼吸器の使用も低く抑えることができたとして、本剤の有効性が提示された。 同社代表取締役社長のKyle Tattle氏によると、本剤は国内にて2021年12月24日に特例承認を取得し、これまでに60万人以上に使用されたという。本剤は、承認当初は供給量が限られていたため、厚生労働省が所有したうえで、重症化リスクのある患者に、決められた流通網を通して医療機関や薬局に配分が行われていたが、供給量が増加したことで、2022年8月18日に薬価基準収載となり、9月16日には一般流通を開始した。 白沢 博満氏(同社代表取締役上級副社長兼グローバル研究開発本部長)は、リアルワールドデータを中心に、承認後の最新情報について解説した。2021年12月24日~2022年6月23日に、同剤の販売開始から6ヵ月間行った市販直後調査では、約20万1,710例に本剤が使用され、症例から安全性情報を収集した結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかった。また、調査予定症例数を3,000例として、より詳細な安全性と有効性を評価する特定使用成績調査(2021年12月27日~2024年12月末日予定)において、2022年6月15日までの中間解析結果も公開された。 主な結果は以下のとおり。・安全性解析対象となった1,061例は、年齢中央値68歳、投与開始時点で外来患者696例(65.60%)、入院患者317例(29.88%)、その他(介護保健施設など)4.52%。本剤投与開始前のCOVID-19重症度では、軽症が931例(87.75%)、中等症Iは104例(9.80%)、中等症IIは23例(2.17%)であった。・主な重症化リスク因子は、65歳以上の高齢者が603例(56.83%)で最も多く、次いで高血圧が459例(43.26%)、喫煙が262例(24.69%)であった。・新型コロナワクチンの接種歴がある人は883例(83.22%)で、2回接種は668例(62.96%)であった。・安全性集計の結果、副作用が発現したのは72例(6.79%)であり、4例以上発現した副作用として、下痢(26例)、発疹(6例)、浮動性めまい(5例)、軟便(4例)が報告された。重篤な副作用の発現は4例で、発疹、肝機能異常、COVID-19増悪、間質性肺炎増悪であった。・有効性解析対象となった1,021例は、外来患者658例(うち最終アウトカム不明29例)、入院患者315例、その他(介護保健施設など)48例。・外来患者における本剤投与開始日から29日までの入院(隔離入院・検査入院などの投与前から予定していた入院を除く)は17例(2.70%)、死亡は0例であった。・入院患者における本剤投与開始日から29日までの死亡は2/254例(0.79%)、酸素投与開始あり13/247例(5.26%)、酸素投与または機械的人工換気(ECMO含む)開始あり13/247例(5.26%)であった。複合エンドポイントでは発現率は5.49%であった。 本結果に加え、白沢氏はモルヌピラビルについて海外で実施された臨床試験についても言及した。査読前論文ではあるが、英国・オックスフォード大学で実施されたPANORMIC試験の結果によると、約2万6,000例(平均年齢56.6歳、ワクチン接種済約99%)において、最初の完全回復までの期間(中央値)が、モヌルピラビル群は9日間、非モヌルピラビル群が15日となり、本剤投与によって6日間短縮されたことが認められた。 続いて登壇した相良 博典氏(昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科学部門 主任教授)は、COVID-19の治療の現状と経口治療薬への期待について講演した。昭和大学病院における新型コロナ治療薬の使用状況について、モルヌピラビルは、軽症患者75例に対して重症化予防のために使用された結果、人工呼吸器の使用症例が0%となり、本剤は効果のある薬剤として位置付けていると述べた。また、新型コロナ感染による後遺症についても、今後はより早期に治療介入することで後遺症の症状も抑えられる可能性があるという。本剤の一般流通開始への期待として、発症早期(5日以内など)に使用できるようになるため重症化防止を促進することや、入院リスクの高い高齢者へ早期に使用することで、負担する医療費や、入院による合併症、ADLの低下といった入院に伴うリスクを低減できることを挙げた。若年者でもサイトカインストームで重症肺炎の死亡率が高くなるため、抗インフルエンザウイルス薬のように軽症者から早期に使える薬剤としても期待できると述べた。

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