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コロナ禍の生活変化の第1位は「毎日のストレス」/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染増加により、約3年にわたり私たちの生活には、さまざまな制約が発生した。これにより、私たちの日常生活に大きな変化は起こったのであろうか。 株式会社アイスタットは2月18日に全国アンケートを行った。アンケートは、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員30~69歳の300人が対象。調査概要形式:WEBアンケート方式期日:2022年2月18日対象:セルフ型アンケートツール“Freeasy”の登録者300人(30~69歳/全国)を対象アンケート結果の概要・コロナ第1波(2020年3月~5月頃)~第6波(2022年1月頃~)のうち、生活に影響があった時期は「第1波」の39%が最多・コロナ禍生活で失ったものがある(ダメージを受けたものがある)割合は8割を超える・コロナ禍前と比べ、生活が変化(悪化)したこと第1位:日常生活のストレスの増加(54.7%)第2位:収入の減少(31.7%)第3位:体重の増加(28.7%)第4位:雇用・働き方の悪化(28.0%)第5位:食費・食生活の悪化(20.7%)第6位:同居者・家族との関係、コミュニケーション(17.7%)日常生活のストレスはいまだに解消されていない 質問1で「生活に影響があった時期」(複数回答)を聞いたところ、「第1波」(2020年3月~5月頃)の39.0%が最も多く、「第5波」(2021年7月~9月頃)が29.3%、「影響した時期はない」が29.0%の順で多かった。また、「生活に影響があった人」を回答データから分類してみたところ、「影響あり」は71%、「影響なし」は29%で、約7割の人が生活に「影響あり」と回答していた。 質問2として「コロナ禍生活で失ったもの(ダメージを受けたもの)」(単回答)について聞いたところ、「ややある」が36.0%で最も多く、「しいて言えばある」が25.3%、「まったくない」が15.7%の順だった。大きく有無別に分類すると「ある」は84.3%、「ない」は15.7%で回答者の多くが犠牲を強いられている結果だった。また、属性別に「とてもある」と回答した人は「30代」、「無職・主婦・その他」、「生活に影響があった時期は第3波(2020年11月~2021年3月頃)」が最も多かった。いわゆる社会的弱者などへの影響が考えられた。 質問3として「コロナ禍前との比較での生活の変化」について、6つの質問(単回答)を聞いたところ以下の結果だった。1)日常生活のストレス「増えた」(54.7%)、「変わらない」(42.0%)、「減った」(3.3%)2)収入「変わらない」(64.7%)、「減った」(31.7%)、「増えた」(3.7%)3)体重「変わらない」(63.0%)、「増えた」(28.7%)、「減った」(8.3%)4)雇用・働き方(無職・主婦は生活様式)「変わらない」(67.7%)、「悪くなった」(28.0%)、「良くなった」(4.3%)5)食費・食生活「変わらない」(69.7%)、「悪くなった」(20.7%)、「良くなった」(9.7%)6)同居者・家族との関係、コミュニケーション(単身では知人・友人との関係)「変わらない」(73.7%)、「悪くなった」(17.7%)、「良くなった」(8.7%) 生活の変化についてマイナス志向(悪化)の回答に着目すると、悪化率が最も高かった内容は「日常生活のストレスの増加」(54.7%)、「収入の減少」(31.7%)、「体重の増加」(28.7%)だった。 アンケートの結果から今後COVID-19そのものの治療だけでなく、心の治療への転換も待たれるところである。

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第98回 ワクチン接種率35%の国への侵攻、世界のコロナ感染状況も暗転か

年明け以降、緊迫度を高めていたウクライナ情勢だったが、2月24日、ついにロシアはウクライナへの全面的な軍事侵略を開始した。一応、私自身は国際紛争も取材範囲としている。たぶんコロナ禍でなければ、少なくとも隣国ポーランドあたりまでは向かっていたと思う。現在、ロシアはウクライナの東西南北のうち、国境を接していない西部以外の3方向から侵攻している。首都キーウ(ウクライナ語表記。キエフはロシア語読み)に近い真北の国境はロシアではなくベラルーシと接している。しかし、ベラルーシはヨーロッパ最後の独裁者と評され、28年にわたって国家元首に君臨するアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が近年対ロ接近路線を強めている。今回のロシア侵攻直前もベラルーシ・ウクライナ国境周辺でロシアと合同軍事演習を行っており、そのロシア軍がそのまま南下した格好だ。ロシア側が最初に持ち掛け、2月28日にベラルーシのホメリで開催された第1回停戦交渉にウクライナ側が当初応じなかったのも、ロシア寄りのベラルーシ領内での交渉は中立的に行われないと考えたからに他ならない。それでも最終的にウクライナ側が応じたのは「停戦交渉を拒否している」という理屈でロシアが攻撃継続の正当性を主張する可能性を案じたためだろう。そんなウクライナ、ロシアに関して危惧すべきことがある。まさにいま世界中で流行している新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染拡大だ。まず、ウクライナは2月中旬にピークとなる3万8,000人超の感染者が発生。その後はピークアウトしているものの、今回のロシア軍の侵攻直前の2月21日でも1万3,000人超の感染者が報告されていた。ウクライナの総人口は4,370万人超なので、人口換算では日本で1日の新規感染者報告数が約4万人になっているのと同じことになる。現時点の日本の感染状況から見ればマシだが、ウクライナの国力や周辺環境から考えれば、実は深刻な数字だ。まず、現在のウクライナの新型コロナワクチン接種完了率は、Our World in Dataによるとわずか35.02%。全世界平均の55.69%からすれば惨憺たる数字だ。しかも、戦時下で新型コロナワクチンの接種を進めていられる環境ではなくなったと断言してよい。ただ、懸念すべきはそもそもウクライナでは過去に麻疹ワクチン接種者での接種後死亡などが報じられた影響で国民のワクチン不信が根強いと言われていることだ。実際、世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)の合同報告では2010年代半ばに麻疹をはじめとする各種ワクチンの接種率が50%を下回る事態となっている。そして実際、2018~2019年にかけては麻疹、2019年には風疹の大流行が起きている。しかも、医療インフラは極めてアンバランスな状況だ。やや古い数字になるが、2014年の世界銀行の公表データでは人口1,000人当たりの医師数は2.9人、病床数は7.46床。医師数でみると、日本よりは多いが経済開発協力機構(OECD)の加盟国などでの数字で見ると、どちらかというと数は少ないほうになる。にもかかわらず病床数は多い。ざっくりした見方をすれば、医師がてんてこ舞いで病床を回しているか、事実上の病床の相当数が実際に機能していないかのいずれかになる。国際通貨基金(IMF)が公表している1人当たりの国内総生産で、ウクライナが世界195カ国・地域中第126位の3,424.77ドルでヨーロッパ最貧国という窮状にあることを考えれば、後者の可能性のほうがやや高いと考えられる。そして現在の戦闘によりウクライナの非常事態省は、すでに「4,000人を超える民間人の死者発生」と発表している。戦傷者の実数は不明だが、おそらく相当数発生していると思われる。当然ながら現下の情勢では医療機関へのアクセスそのものが困難な地域も発生していることは想像に難くなく、アクセスが確保されている医療機関でも受け入れは戦傷者が優先されるはず。もはや新型コロナに気を払っている余裕はないだろうし、PCR検査なども十分に実施しているとは言い難いだろう。そして当然、病床も戦傷者から埋まっていくはずであり、地域や医療機関によっては新型コロナで重症化、あるいは重症化しそうな人が入院できない可能性もある。一方、国内では各所で国内避難民が発生し、地下などのシェルターで密になっているほか、安全に退避できる可能性がある南西部のポーランド、ルーマニア、スロバキア、ハンガリー、モルドバには大量の難民が流入している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、3月1日現在、これらの国に87万人超の難民が流入しているという。これに応じて各国は難民に関して新型コロナに関連した検疫措置を免除している。人道的な観点からやむを得ない措置だろう。これら難民が流入している各国の新型コロナの感染者発生状況は、いずれもピークアウトはしているものの、1日当たりの新規感染者報告数を日本の人口に換算すると、ポーランドが約3万人、ルーマニアが約2万7,000人、ハンガリーが約7万人、スロバキアが約19万人、モルドバが約12万人という規模になる。国によりかなりの差はあるが、スロバキア、モルドバは日本から考えれば尋常とは言えない感染状況である。各国ともそれでも覚悟の上で難民を受け入れているのだろう。そしてこれらの国でのワクチン接種完了率はポーランドが58.71%、ルーマニアが27.91%、ハンガリーが64.04%、スロバキアが50.39%、モルドバが13.14%とやはり心もとない。一方、ウクライナに軍事侵略しているロシアは日本より2,000万人ほど人口が多い中で、最新の新規感染者報告数は13万人超、ワクチン接種完了率は49.07%。どちらも褒められる数字ではない。また、報道を見ればわかるが、隣国に入国してきた難民の多くはマスクを着用していない。それどころか報じられているウクライナ国内の病院での戦傷者の治療場面では医療従事者ですらマスクを着用していない。もっともこの点はある種やむを得ないとも言える。紛争が起きる地域の多くはもともとが貧しいことがほとんどで、さらに戦闘の発生で物流も不安定になるため、十分な医療資器材がないなかで治療を行わなければならないことは日常的だ。実際、私は紛争地の医療機関での戦傷者治療場面に取材のため何度か立ち会ったことがあるが、医療従事者は手洗いする時間すらなく創傷対応に当たっていた。やむを得ないこととはいえ、今回のロシアのウクライナ軍事侵略は両国間での死傷者発生とともに、両国とその周辺国での感染拡大という極めて最悪の事態をもたらすかもしれない。近年まれにみる大義ない軍事侵略に対して、日本政府が各国と協調してロシアに強い制裁措置を行うのは、必要かつ当然のことである。また、岸田首相自ら記者会見で周辺各国への人道支援に1億ドルを提供することを明らかにした。その中にこの新型コロナ対策も念頭に置いて欲しいと思うのは欲張りだろうか? 念のために言っておくが、廃棄直前のアベノマスクをこれ幸いに支援物資に加えるようなお恥ずかしい真似はしないでもらいたい。

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医療マンガ大賞2021「膵臓がんの母」受賞者描き下ろし作品(フクラアカリガエル氏)

医療マンガ大賞2021「膵臓がんの母」受賞者描き下ろし作品(フクラアカリガエル氏)ケアネット部門受賞者・フクラアカリガエル氏からのコメント大切な家族の“命に関わる決断”とは、当事者にしかわからない葛藤や苦悩があることと思います。今回、SNS医療のカタチの先生方が選んだ、膵臓がんを患う母と息子との最期の時間が書かれた原作エピソードを読ませていただき、私自身が同じ状況に置かれたらきちんと向き合えるのか、と考えるきっかけになりました。しかし、漫画を描き終えた今も納得のいく答えは出ていません。この作品は、がん患者さんご本人だけでなく、支えているご家族の心も穏やかでありますようにという気持ちを込めて描きました。最後までご覧いただきありがとうございました。

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親密な男性パートナーによる暴力、15~49歳女性の27%が経験/Lancet

 持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット5.2では、「人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力の排除」がうたわれている。世界保健機関(WHO)のLynnmarie Sardinha氏らは、今回、この目標の達成状況を評価するために、366件の研究のデータを解析し、2018年時点で、年齢15~49歳の女性の4人に1人以上(27%)が、生涯において親密な男性パートナーからの身体的または性的、あるいはその両方の暴力を経験し、7人に1人(13%)は調査の過去1年以内に暴力を受けたと推定されると明らかにした。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2022年2月16日号で報告された。2000~18年の161の国と地域の研究を解析 研究チームは、SDGsのターゲット5.2の達成に向けた各国政府の取り組みの進捗状況を監視する目的で、親密な男性パートナーによる女性への暴力の世界的な発生状況を調査した(英国・国際開発省[DFID、現在は外務・英連邦・開発省に統合]などの助成を受けた)。 解析には、「WHOの女性に対する暴力に関する国際的データベース(WHO Global Database on Prevalence of Violence Against Women)」のデータが用いられた。これらのデータは、主に、文献データベース(MEDLINE、Global Health、Embase、Social Policy、Web of Science)の検索で得られた論文の系統的レビューと、各国の統計データなどのウェブサイトを包括的に調査することで収集された。 対象には、2000~18年に実施され、国または地方政府のレベルを代表しており、年齢15歳以上の女性を対象とし、親密なパートナーによる身体的または性的、あるいはその両方の暴力に関して行為に基づく評価を行っている研究が含まれた。 161の国と地域の366件の研究が解析の対象となった。これは、世界の親密なパートナーを持つ年齢15歳以上の女性の90%を代表するものであった。生涯における親密なパートナーからの暴力を含む研究は307件、過去1年以内の親密なパートナーからの暴力を含む研究は332件であり、調査に回答した女性の数はそれぞれ176万7,802人および176万3,989人だった。過去1年以内の暴力も、若年女性で高頻度 2018年の時点で、現在または以前に親密な男性パートナーまたは夫がいる(いた)年齢15~49歳の女性の27%(不確定区間[UI]:23~31)が、生涯においてパートナーからの身体的または性的、あるいはその両方の暴力を受け、13%(10~16)は調査時から過去1年以内に暴力を経験していた。年齢15歳以上の全女性では、生涯の暴力を26%(22~30)、過去1年以内の暴力を10%(8~12)が経験していた。日本では、それぞれ20%(10~38)および4%(1~10)であり、いずれも世界平均を下回っていた。 このような暴力は女性が若いころから始まり、15歳以降に少なくとも1回の暴力を受けた経験のある女性は、15~19歳が24%、20~24歳は26%と、ほぼ4人に1人の割合であった。暴力を受けた経験のある女性の割合が最も高かったのは、30~34歳と35~39歳(いずれも28%)であり、その後は徐々に低下して65歳以上では23%であった。 過去1年以内に暴力を受けた女性の割合も若い年代で高く、15~19歳が16%、20~24歳も16%であった。この割合は、50歳以降は実質的に低下し、60~64歳で5%、65歳以上は4%だった。 また、親密なパートナーからの暴力の経験の頻度には地域差が認められた。2018年時点の年齢15~49歳の女性のうち、生涯においてパートナーからの身体的または性的、あるいはその両方の暴力を受けた女性の割合が最も高かった地域はオセアニア(49%)で、次いでサハラ以南のアフリカの中部地域(44%)、アンデス山脈系の南米諸国(38%)、サハラ以南のアフリカの東部地域(38%)の順であった。暴力を受けた女性の割合が最も低かった地域は、中央ヨーロッパ(16%)、中央アジア(18%)、西ヨーロッパ(20%)であったが、それでも高率だった。 年齢15~49歳の女性に対する過去1年以内の暴力の割合は、全般に高所得地域で低く、オーストララシアが3%、西ヨーロッパが4%、中央ヨーロッパが5%、南米の南部諸国が5%、北米は6%であった。高所得地域と中・低所得地域における暴力の頻度の差は、生涯に比べて過去1年以内の暴力のほうが大きく、中・低所得地域では過去1年以内の暴力の頻度が高かった。 過去1年以内に暴力の発生が最も少なかった(最高で4%まで)30ヵ国のうち、24ヵ国は高所得国であった。また、この30ヵ国中23ヵ国はヨーロッパの国であり、日本は残りの7ヵ国に含まれた。 著者は、「これらの知見は、女性に対する親密な男性パートナーによる暴力は世界的な公衆衛生上の懸念事項であり、世界中の数100万人の女性とその子供たちの人生に悪影響を及ぼすことを裏付けるものである」とし、「暴力低減の進展は遅く、各国はSDGsの目標を達成するための行程に乗れていない。これらの確固たるエビデンスは、親密なパートナーからの暴力は予防可能であり、多層的で複数の領域にわたる予防介入を実施し、親密なパートナーからの暴力に対する保健対策などを強化するには、目標を絞った投資が必要であることを示すものだ」と指摘している。

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抗ウイルス薬+ブースターで重症化を防ぐ経口COVID-19治療薬「パキロビッドパック」【下平博士のDIノート】第93回

抗ウイルス薬+ブースターで重症化を防ぐ経口COVID-19治療薬「パキロビッドパック」今回は、抗ウイルス薬「ニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、SARS-CoV-2陽性で重症化リスクを有する軽症~中等症Iの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、臨床的回復までの期間を短縮し、重症化や入院・死亡を予防することが期待されています。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2022年2月10日に特例承認されました。なお、重症度の高いSARS-CoV-2による感染症患者に対する有効性は確立していません。<用法・用量>通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mgおよびリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与します。中等度の腎機能障害患者(30mL/min≦eGFR<60mL/min)の場合には、ニルマトレルビルとして1回150mgおよびリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与します。重度の腎機能障害患者(eGFR<30mL/min)への投与は推奨されていません。なお、SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに本剤の投与を開始することが望ましく、臨床試験において症状発現から6日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていません。<安全性>国際共同第II/III相試験の中間解析時点で認められた副作用は672例中49例(7.3%)で、主なものは味覚不全25例(3.7%)、下痢13例(1.9%)、高血圧(頻度不明)などでした。なお、重大な副作用として中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、肝機能障害(いずれも頻度不明)が設定されています。 <患者さんへの指導例>1.この薬は、新型コロナウイルスの増殖に必要な酵素を阻害する抗ウイルス薬と、この抗ウイルス薬の分解を抑えて血中濃度を維持する薬の2種類がセットになっています。2.食事の有無にかかわらず、朝と夕の1日2回、12時間ごとに服用してください。症状が改善しても指示どおりに5日分を飲み切ってください。3.飲み合わせに注意が必要な薬剤が多数ありますので、服用している薬剤や健康食品、サプリメント、嗜好品をすべて報告してください。4.服薬開始後、疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振などの症状のほか、異常が現れた場合はすぐに相談してください。<Shimo's eyes>本剤は、COVID-19に対する抗ウイルス薬として特例承認されました。経口薬としては、2021年12月に特例承認されたモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル)に続く2剤目の薬剤となります。セットとなっている2剤のうち、ニルマトレルビルは新型コロナウイルスの増殖に関わるメインプロテアーゼの作用を阻害して抗ウイルス効果を発揮し、リトナビルは抗HIV薬としても用いられている強力なCYP3A阻害薬であり、ニルマトレルビルの濃度を上げるブースター薬として働きます。主な治療対象は、モルヌピラビルと同様に、重症化リスクの高い軽症~中等症Iの患者ですが、本剤は12歳以上(体重40kg以上の場合)から服用できます。ほかに軽症患者を対象とした薬剤としては、中和抗体製剤カシリビマブ/イムデビマブ(同:ロナプリーブ注射液セット)と、ソトロビマブ(同:ゼビュディ点滴静注液)の2剤が承認されています。また、適応外ではありますが、2022年1月よりレムデシビル(同:ベクルリー点滴静注用)も限定された条件下で使用可能です。わが国も参加している国際共同第II/III相EPIC-HR試験の結果において、症状発現から3日以内に本剤の投与を受けた患者では入院・死亡リスクが89%減少し、5日以内に投与を受けた患者では88%減少しました。なお、各変異株に対する臨床試験の有効性データは現時点では得られていませんが、in vitroにおいてはオミクロン株ほか懸念すべき変異株に対する抗ウイルス効果が認められています。用法は、1日2回5日間の経口投与です。シート1枚が1日分となっており、1回にニルマトレルビル錠を2錠およびリトナビル錠を1錠服用します。なお、重度の腎機能障害患者には禁忌となっており、中等度の腎機能障害患者はニルマトレルビル錠を1回1錠に減量して服用します。この場合は薬剤の交付前に朝および夕の服用分それぞれからニルマトレルビル錠1錠を取り除き、取り除いた箇所に専用のシールを貼り付けてから交付します。不要な錠剤を取り除いたことを必ず患者さんに伝えてください。リトナビルはCYP3Aを強く阻害し、またニルマトレルビルおよびリトナビルはCYP3Aの基質となっています。そのため、併用に注意すべき薬剤が多数あり、併用禁忌薬としてはフレカイニド、アミオダロン、ピモジド、ピロキシカム、アゼルニジピン、リバーロキサバン、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、トリアゾラム、ボリコナゾールなど38成分とセイヨウオトギリソウが挙げられています。ほかにも注意すべき薬剤はあると考えられていて、国立国際医療研究センター病院が国内外の資料を基に作成した「パキロビッドパックとの併用に慎重になるべき薬剤リスト」を公開しています。本剤を使用する医療機関は、ファイザーが開設する「パキロビッドパック登録センター」に登録して配分依頼を行います。処方に際しては患者の同意書が必要であり、院外処方に際しては、対応薬局に処方箋とともに記入済みの「投与前チェックシート」を提出する必要があります。処方箋を応需した薬局薬剤師は、とくに併用薬に注意すべきであり、服薬中のすべての薬剤を確認しなければなりません。また、腎機能に応じて適切な投与量になっているかどうかのチェックも行いましょう。参考1)PMDA 添付文書 パキロビッドパック2)ファイザー 新型コロナウイルス『治療薬』医療従事者専用サイト パキロビッドパック

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ブタの心臓をヒトへ移植【空手家心臓外科医のドイツ見聞録】第11回

2022年1月10日、アメリカのメリーランド大学で、ブタの心臓を人間に移植する手術が行われました。一般のニュースでも取り上げられるほどでしたので、目にした方も多いかと思われます。【参考】遺伝子操作したブタの心臓を男性に移植、世界初 アメリカ(BBCニュース/JAPAN)また、昨年の10月にニューヨークではブタの腎臓移植が行われたところでした。その際に腎移植を受けた患者は脳死状態であったことを考慮すると、今回の心移植はいきなり5段くらい階段を飛ばした感があります。(ちなみにこの腎移植を執刀したロバート・モンゴメリー医師は心移植を受けておられるのだそうです)ドナー不足の解消になるか!?今回のブタの心移植は「世界初の〜」との文面が踊っておりましたが、実はこれまでもブタだけでなく、チンパンジーやヒツジなどの心臓を移植してきた歴史があります。1997年には「インドでブタの心臓を移植した医師が逮捕された」、なんてニュースもありました。何が「世界初」だったかと言うと、「遺伝子操作を行なったブタの心臓を用いた」ことです。通常のブタにはαGal抗原が発現しており、ヒトは抗αGal抗体を持っているために超急性拒絶反応が引き起こされることは1990年代よりわかっていました。そこで、このαGal抗原が発現しないノックアウトブタが作られるようになって、いよいよブタの臓器の使用がようやく現実的になってきたと言うことです。世界中でドナーが不足していることはどの臓器でも同じなのですが、特に心臓は1つしかない臓器ですので、ドナー不足問題が特に大きい臓器です。補助心臓を初めとした治療もどんどん発展してきていますが、依然心臓移植に匹敵するまでには届いていません。倫理的な問題や長期成績の評価など、まだまだ課題は山積みではある状態ですが、このブタの臓器移植、深刻なドナー不足の解決となるでしょうか?続報が待たれます。

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英語で「うまくいくよう祈りましょう」は?【1分★医療英語】第17回

第17回 英語で「うまくいくよう祈りましょう」は?I’m worried that something bad will happen to my husband.(夫に何か悪いことが起こるのではないかと心配です)He is a strong man. Let’s keep our fingers crossed.(彼は強い人です。うまくいくよう祈りましょう)《例文1》Let’s keep our fingers crossed and hope for a good outcome.(良いアウトカムが出るように祈りましょう)《例文2》I’m keeping my fingers crossed that the treatment will go well.(治療がうまくいくよう願っています)《解説》“Fingers crossed”は、直訳すれば「指を交差させる」という意味です。“Let’s keep our fingers crossed”も、直訳すれば「私たちの指を交差させ続けましょう」となりますが、これではよく意味がわかりませんね。「指(人差し指と中指)を交差させる」という仕草は、日本ではあまりなじみのないものですが、西洋文化では十字架を象徴するもので、「悪運から守る」という意味を持ちます。“Keep one’s fingers crossed”という表現は、それがそのままイディオムとして定着したもので、「うまくいくように祈る」という意味になります。医療現場では、手術前や大切な治療の前に、医師や家族から患者への声掛けとしてよく使われるフレーズです。また、日常生活やメールの中などでもよく用いられる表現で、大切な試験や大仕事を控えている相手に対して「うまくいきますように」という気持ちを込めて使われます。他の表現としては、“Wish one luck”や“hope for the best”などとも言い換えることができますので、併せて覚えておきましょう。講師紹介

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転職では「選ぶ側」だったのに…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第36回

第36回 転職では「選ぶ側」だったのに…漫画・イラスト:かたぎりもとこ人材紹介会社を通じて転職やアルバイト斡旋を受けた経験のある医師ならば、「完全なる売り手市場」という実態を理解しやすいでしょう。実際、医師が人材紹介会社に登録すれば即時に多くの求人紹介を受けることができます。これは全国10万超ある医療機関の多くで医師が不足しており、常時「求職中の医師」より「医師を採用したい医療機関」のほうが多いために発生する事象です。一方、医業承継の場合、状況は転職とはまったく異なります。医業承継の場合、診療所を売りたい「売り手」と、買いたい「買い手」の二者が存在しますが、その数は売り手が圧倒的に少ないのが実情です。弊社で毎月お問い合わせを頂く売り手と買い手を見ると、その比率は「売り手:1」に対して「買い手:10」。つまり、承継物件を探す買い手が売り手の10倍存在する、ということです。転職では圧倒的な売り手市場なので、医師側は希望条件をコンサルタントに伝えれば多くの求人があったり条件を希望に近づけてもらったりできますが、医業承継の買い手となった場合はそうはいきません。私たちはメールマガジンを通じて会員に承継物件を案内していますが、「自分の理想(希望条件)に当てはまらない」となかなか検討していただけないケースがあります。でも、時間をかけても希望に近い案件がない場合は、その希望が実態とかけ離れている可能性もあります。そうした場合は希望条件の中で妥協できるところを探し、現実と折り合いをつけることが承継成功の近道です。転職時には「選ぶ側」だった医師も、医業承継で「買い手」になれば今度は売り手に「選ばれる側」。そうした意識の転換が必要なのです。

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新型コロナ感染、1年間の精神疾患リスクは?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、同時期のSARS-CoV-2非感染者および歴史的対照者と比較して、さまざまな精神疾患(不安障害、うつ病性障害、ストレスおよび適応障害、オピオイド使用障害、オピオイド以外の物質使用障害、神経認知機能低下、睡眠障害など)のリスクが高いことが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによるコホート研究で明らかとなった。著者は、「COVID-19生存者のメンタルヘルス障害に対する取り組みは優先課題である」とまとめている。BMJ誌2022年2月16日号掲載の報告。SARS-CoV-2感染者と、同時期の非感染者ならびにCOVID-19流行以前の対照者を比較 研究グループは、米国退役軍人省のデータを用い、2020年3月1日~2021年1月15日の間に少なくとも1回、SARS-CoV-2のPCR検査が陽性であった人(16万9,240例)を特定し、このうち陽性確認から30日後に生存していた人(COVID-19群15万3,848例)の転帰を調べ(追跡期間終了日:2021年11月30日)、精神疾患の発症リスクを2つの対照群と比較した。対照群は、COVID-19群と同時期にSARS-CoV-2の感染が確認されていない同時期対照群(563万7,840例)と、COVID-19流行以前の歴史的対照群(585万9,251例)である。 COVID-19と精神疾患発症との関連は、事前に定義した共変量およびアルゴリズムで選択された高次の共変量の両方に関して調整した逆確率重み付け法により、追跡期間中のハザード比(HR)と、各群における1年推定発生率の差に基づく1,000人当たりの1年間の補正後リスク差ならびにその95%信頼区間(CI)を算出した。同時期非感染者と比べ、何らかの精神疾患の診断・処方を受けるリスクが60%増加 COVID-19群では同時期対照群と比較して、不安障害(HR:1.35[95%CI:1.30~1.39]、群間リスク差11.06[95%CI:9.64~12.53])、うつ病性障害(1.39[1.34~1.43]、15.12[13.38~16.91])、ストレスおよび適応障害(1.38[1.34~1.43]、13.29[11.71~14.92])、抗うつ薬使用(1.55[1.50~1.60]、21.59[19.63~23.60])、ベンゾジアゼピン系薬剤使用(1.65[1.58~1.72]、10.46[9.37~11.61])の発生リスクが増加した。また、オピオイド処方(1.76[1.71~1.81]、35.90[33.61~38.25])、オピオイド使用障害(1.34[1.21~1.48]、0.96[0.59~1.37])、その他(オピオイド以外)の物質使用障害(1.20[1.15~1.26]、4.34[3.22~5.51])の発生リスクも増加した。 さらに、COVID-19群では同時期対照群と比較して、神経認知機能低下(HR:1.80[95%CI:1.72~1.89]、群間リスク差:10.75[95%CI:9.65~11.91])、睡眠障害(1.41[1.38~1.45]、23.80[21.65~26.00])の発症リスクも増加し、精神疾患の診断や薬の処方を受けるリスクも増加が認められた(1.60[1.55~1.66]、64.38[58.90~70.01])。 評価したアウトカムのリスクは、入院していない人でも増加していたが、COVID-19急性期に入院した人で最も高かった。 これらの結果は、歴史的対照群との比較においても一致しており、COVID-19で入院していない人vs.季節性インフルエンザで入院していない人、COVID-19で入院した人vs.季節性インフルエンザで入院した人、COVID-19で入院した人vs.その他の原因で入院した人、いずれの比較においても一貫してCOVID-19群で精神疾患の発症リスクが高かった。

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検査前確率+DダイマーでDVT診断向上/BMJ

 深部静脈血栓症(DVT)の診断において、検査前臨床的確率とDダイマーを組み合わせた戦略は、超音波検査の実施回数を減少させつつDVTのリスクが低い患者群を特定できることが、カナダ・マックマスター大学のClive Kearon氏らが実施した前向き試験「Designer D-Dimer Deep vein thrombosis(4D)試験」で示された。これまでのコホート研究で、検査前臨床的確率が低いまたはWellsスコアが低くDダイマー陰性の患者はDVTを除外できることの安全性が示唆されていた。BMJ誌2022年2月15日号掲載の報告。低確率+1,000ng/mL未満、中確率+500ng/mL未満はDVTを除外 研究グループは、カナダの大学病院10施設の救急診療部または外来を受診した、DVTの症状または兆候を有する患者を前向きに登録し、3ヵ月間追跡した。 登録時、Wellsスコアを用いてDVT検査前臨床的確率を低確率(スコア:-2~0)、中確率(1、2)、高確率(3以上)に分類するとともにDダイマーを測定し、低確率でDダイマー1,000ng/mL未満、または中確率でDダイマー500ng/mL未満の患者は追加検査なしでDVTを除外できると判断。その他のすべての患者には超音波検査を実施した。最初の超音波検査が陰性で、低~中確率かつDダイマー>3,000ng/mLまたは高確率かつDダイマー>1,500ng/mLの患者には、1週間後に再度超音波検査を行った。超音波検査でDVTが認められた患者には、抗凝固療法を実施した。 主要評価項目は、3ヵ月時の症候性静脈血栓塞栓症とした。4D診断アルゴリズムで、超音波検査の必要性がほぼ半減 2014年4月~2020年3月の期間に1,508例の登録と解析が行われた。1,508例中173例(11.5%)が今回の4D診断アルゴリズムによりDVTと診断された(168例は来院日の超音波検査で、5例は1週間後の再検査で確認)。DVTと診断されず抗凝固療法を受けなかった1,275例のうち、8例(0.6%、95%信頼区間[CI]:0.3~1.2)が、追跡期間中に静脈血栓塞栓症を発症した。 従来のDVT診断戦略と比較すると、今回のアルゴリズムでは超音波検査の平均回数が患者1例当たり1.36回から0.72回に減少し、差は-0.64回(95%CI:-0.68~-0.60)で、相対的な47%の減少に相当した。 なお著者は、入院患者、抗凝固療法中の患者、妊婦、肺塞栓症疑いの患者などが除外されていることなどを研究の限界として挙げている。

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オンライン?現地?学会参加状況と今年の開催希望/会員医師アンケート

 新型コロナウイルス感染流行の影響で、この2年あまり、学術集会はオンライン・ハイブリッド形式での開催が主流になっている。オンライン化によって医師の学術集会への参加状況は変わったのか。2020年の調査(急増するオンライン学会、参加経験と満足度は?/医師1,000人に聞きました)に引き続き、会員医師1,000人に昨年の参加状況や今年以降に希望する開催形態を聞いた。 「2021年に参加した学術集会の総数」を聞いた質問では、「2」との回答者が最多(22%)だったが、「0」との回答者が13%いる一方で「10以上」との回答者4%いるなどバラツキが見られた。 年代別に見ると、30代は平均2.8回(うちオンライン参加2.4回)、40代は3.3回(同2.7回)、50代は2.8回(同2.6回)と大きな差はなく、かつオンラインで参加した割合が高かったが、60代以上は4.1回(3.0回)と参加数が多く、ほかの世代に比べて現地参加した人の割合が高かった。 「オンライン開催になったことで初参加した学術集会はありますか?」(カッコ内は回答者の標榜科)との質問では、「日本内科学会」(循環器内科、腎臓内科等)、「日本内科学会地方会」(内科)、日本感染症学会(内科、産婦人科等)、「日本禁煙学会」(外科)等の多様な回答が集まった。専門領域の中心となる学会ではないが、サブ領域や従来から関心のあった分野の学会がオンライン化で参加しやすくなったので参加してみた、という流れのようだ。 「現地/オンライン/ハイブリッドのうち、今後数年間における学術集会の開催形式として、希望する形式はどれですか?」という質問には、「ハイブリッド」が60%で圧倒的な支持を集め、「オンライン」は27%、「現地」は13%だった。 各開催形態のメリット・デメリットを聞いた質問においても、ハイブリッド形式は「時間効率がよく、ギリギリまで仕事ができる」「コロナの流行状況によって判断できる」とメリットを挙げる声が多数だった。ハイブリッド形式のデメリットとしては「特にない」という声のほか、「開催費用がかさんで参加料が高くなりそう」「開催者の手間が多くなる」といった、参加者よりも開催者側からの問題点を挙げる声が目立った。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中『オンライン?現地?学会参加状況と今年の開催希望/会員医師アンケート』<アンケート概要>・タイトル:オンライン学会の参加状況について・内容:2021年の学会参加状況と、2022年に向けて希望する開催形式について。・対象:ケアネット会員医師1,000人(勤務先の病床数20床以上)・実施期間:2021年12月20日(月)・調査方法:インターネット

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調剤料がなくなった!組み替えられる薬剤師の仕事【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第84回

2022年2月9日に中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、2022年度調剤報酬改定の個別項目と点数を厚生労働大臣に答申し、改定内容がほぼ決定しました。前回の改定と同様に、かなりスムーズな展開でした。とはいえ、今回は静かながらにかなり大きな変更が見られます。前回は対人業務や調剤後のフォローなど、「こっちの方向に行きますよ!」という方向性を打ち出したという印象でしたが、今回はそれらの内容を具体的に詰めたという印象があります。現状の薬局・薬剤師の業務を精査したうえで、どこを評価するのか、どこは評価しないのかということがはっきりと区別されました。調剤料と薬剤服用歴管理指導料を3つの点数に組み替え今回の改定の目玉は何といっても調剤料です。結論から言うと、これまでの調剤料はなくなります。メスが入るだろうなとは思っていましたが、調剤料自体がなくなるとは思っていなかったので驚きました。しかし、「調剤」という大きな枠組みを分解して、それぞれを評価し直すことが、今後の薬局・薬剤師業務には必要なのだとヒシヒシと感じています。具体的には、従来の調剤料と薬剤服用歴管理指導料が、主に対物業務に関する「薬剤調製料」(一律24点)、主に対人業務や薬歴管理に関する「調剤管理料」(日数に応じて4~60点/剤の4段階)、服薬後のフォローである「服薬管理指導料」(45~59点の4区分)に分かれます。14日処方の場合、改定前だと調剤料は55点ですが、改定後では薬剤調製料24点+調剤管理料28点で52点となり、3点の減算になります。28日処方の場合は、改定前だと調剤料は77点ですが、改定後だと薬剤調製料24点+調剤管理料50点で74点となり、こちらも3点の減算になります。従来の薬剤服用歴管理指導料の服薬指導に当たる服薬管理指導料をきちんと算定することが重要になってくるでしょう。その服薬管理指導料の算定要件は、薬剤服用歴管理指導料とほぼ変わりませんが、「処方された薬剤について薬剤師が必要と認める場合は、患者の薬剤の使用の状況などを継続的かつ的確に把握するとともに、必要な指導などを実施すること」というフォローアップに関する要件が加わっています。調剤後薬剤管理指導加算についても30点から60点に引き上げられましたので、これが薬剤師に期待されている役割なのでしょう。今後のことも見据えて、フォローアップは薬局内の仕組みとしてどんどんやっていきたいですね。地域支援体制加算は調剤基本料に応じて4区分に4年前に新設され、前回の改定で点数が上がった「地域支援体制加算」は従来の一律38点から4つの区分に分かれ、調剤基本料を算定している薬局が対象の地域支援体制加算1(39点)と2(47点)、それ以外の基本料を算定している薬局が対象の3(17点)と4(39点)となります。施設基準の要件については、在宅患者対応の実績件数が12件から24件に増えるなどの変化はありますが、地域支援体制加算4は施設基準の要件9つのうち8つを満たさなければ算定できないというなかなか厳しい要件ですので、圧倒的に調剤基本料1の場合に算定できる地域支援体制加算1と2が優遇されています。門前薬局を多く抱える大規模薬局チェーンでは、調剤基本料3に要件が追加されて引き下げになり、この地域支援体制加算でも引き下げになるというダブルパンチを食らう可能性があり、かなり苦しくなるのではないかと思います。今回は、全体的な印象やインパクトの大きかった改定点をピックアップしました。診療報酬全体で見ると、オンライン診療による初診の恒久化やリフィル処方などいろいろな動きがありますので、折を見て薬局への影響を紹介していきたいと思います。

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英語で「ズキズキする痛み」は?【1分★医療英語】第16回

第16回 英語で「ズキズキする痛み」は?Could you describe your pain?(どのような痛みか教えてもらえますか?)I have a cramping pain in my lower belly.(下腹部にズキズキするような痛みがあります)《例文1》My left leg is cramping right now.(今ちょうど、左足がつっています)《例文2》Do you have menstrual cramps?(月経痛はありますか?)《解説》筋肉が激しく収縮することによって生じるズキズキとした痛みを“cramp”といいます。“menstrual cramp”は月経痛、“muscle cramp”は筋痙攣(筋肉がつること)を意味します。“cramp”は名詞としても動詞としても使える単語で、“cramping pain”は筋肉がつるような痛み、ズキズキするような痛みを意味します。また、“throbbing pain”という表現もあり、これも同様に「ズキズキする痛み」を意味します。その他の痛みを描写する表現としては“sharp”(鋭い)、“dull”(鈍い)、“shooting”(電撃が走るような)、“pounding”(拍動するような)、“burning”(焼けるような)、“pressure-like”(圧迫されるような)といった表現があり、覚えておくと問診に役立ちます。なお、腹部は医学用語では“abdomen”ですが、一般用語としては“belly”や“stomach”を使います。「おなかに痛みはありますか?」は、“Do you have any pain in your belly?”と言うと患者に理解されやすいでしょう。講師紹介

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医師が目指すべきは“サイドFIRE”【医師のためのお金の話】第53回

「FIRE」というキーワードを目にする機会が増えました。ここでいうFIREとは“火”ではなく、“Financial Independence and Retire Early(=経済的自立と早期リタイア)”という考え方です。私がFIREを知ったきっかけは、2018年11月に掲載されたTHE WALL STREET JOURNALの記事でした。それまでも「早期リタイア」という考え方はありましたが、FIREとは少し趣が異なります。早期リタイアは「高収入のエリートサラリーマン」が「若いうちからハードワークして蓄財することで達成するもの」というイメージでした。一方で今話題のFIREは、「ハードワーク」ではなく「節約と資産運用」が両輪となっています。つまり従来の早期リタイアが「攻め」主体だったのに対し、FIREは「守り」を固めて経済的自立を達成しようとしているのです。FIREという概念がこれだけ一般的になった理由は、誰もが実践できる可能性があることでしょう。従来型の早期リタイアができるのは高収入を稼ぎ出す能力を持つ人に限られるため、ほとんどの人にとって現実的な話ではありませんでした。一方、FIREは節約と資産運用による経済的自立なので、ほとんどの人が目指すことができます。このため社会現象になるほどの広がりを見せたのですが、医師にとってもFIREは目指すべきものなのでしょうか?10年以上前に経済的自立を達成した私の視点FIRE達成の定義は、資産運用による経済的自立です。保有資産の運用益だけで生活できる状況になれば、理論上はリタイアが可能になります。ふむふむ、そう聞くとなんだか良さそうな感じがしますね。何を隠そう、私は2009年頃に経済的自立を達成しています。当時は金融資産が1億円の大台に乗ったばかりでしたが、不動産投資も行っていたために賃料収入だけで月間100万円以上が手元に残りました。このためいつでもリタイアできる状態だったのです。2013年には金融資産が融資残債を上回る、実質的無借金の状態となって現在に至っています。そんな状態なのに、なぜ今でも早期リタイアせずに働いているのでしょうか? 周囲の非医療者の知人からはよく不思議がられます。でも、医師であるあなたには、その理由がわかることでしょう。何といっても医師の仕事はとてもやりがいがあって楽しいですから。そして経済的自立を達成した状態で医師を続けることには、信じ難いほど大きな恩恵があります。しんどくなればいつでも辞めることができる…。これほど最強の立場はないと断言できます。医師として働いているとそれなりに嫌なことやストレスもあるものですが、2009年以降の私はこうしたものとはほぼ無縁になりました。もちろん手術等のプレッシャーは今でもありますが、職場環境や人間関係での理不尽さによるストレスは皆無です。ストレスフリーなので業務もサクサクはかどります。するとさらに働きやすくなる、という相乗効果で正のループが発動するのです。医師が目指すべきは「サイドFIRE」多くの人がFIREを目指せるとはいっても、実際に達成することは困難です。このため、資産運用だけでは足りない収入を副業やアルバイト収入で補う「サイドFIRE」が注目されています。これならハードルがさらに下がりそうですね。一方、医師にとってもサイドFIREは現実的だと思います。医師は若いときから比較的高収入なので、やり方次第ではFIRE達成が可能です。それにもかかわらずサイドFIREがお勧めなのはなぜでしょう。それは仕事のやりがいと社会とのつながり維持のためです。医師の資産形成をテーマとしたオンラインサロンのメンバーで、実際に早期リタイアした医師の話を聞く機会がありました。すると、経験者にしかわからないデメリットがありました。仕事をしていないと社会とのつながりが希薄になって、精神的におかしくなることまであるそうです。FIREも良いことずくめではないのです。FIREの概念が生まれた米国では、FIRE実現のためには利回り4%で資産運用をして生活費をまかなう必要がある、といわれています。しかし現在の日本で4%の資産運用は現実的ではありません。仮に2%で運用するとすれば、平均的な年収に当たる600万円を生み出すためには3億円の資産が必要です。オリジナルのFIRE実現には3億円程度の資産が必要、ということです。3億円という資産を築くハードルの高さに、医師の仕事のやりがいを捨てる難しさを加味すると、医師にとってサイドFIREが現実的な目標となることが、さらに理解していただけるでしょう。そしてサイドFIREを実現することで、医師として素晴らしい人生を謳歌できる可能性が高まります。あなたもサイドFIREを目標にして資産形成に取り組み、自由と仕事のやりがいの両取りを目指してください。

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スタッフの本音を引き出すコツ【今日から始める「医師の働き方改革」】第8回

第8回 スタッフの本音を引き出すコツ医師の働き方改革を進めるうえでは、スタッフ同士の信頼感の醸成が重要です。とくに役職者は部下の本音を聞き出すことが求められます。長崎大学病院・高度救命救急センターで働き方改革に取り組んで成果を上げつつある田崎 修氏に、部下との円滑なコミュニケーションのコツを聞きました。―働き方改革のための意見集約はどのように行ったのでしょうか?年次や役職にかかわらず、広く意見を聞きました。年長者が必ずしも「正解」を知っているだけではないので若い先生からも積極的に意見を聞いています。年長者として、若い先生に何ができるのかを常に考えています。具体的には、全員と1対1で話す時間をつくり、聞ける範囲でプライベートなことも聞いています。子供が受験で塾の送り迎えが必要、といった事情を知っていれば、カンファレンスを欠席した場合などもフォローがしやすくなります。新型コロナウイルス感染症の影響で、学会や会議がほとんどオンラインになり、浮いた移動時間を若手医師や学生への教育に充てられるのはありがたいですね。 ◆本音を引き出すためには働き方改革という正解のない取り組みの中では、スタッフからさまざまな意見を集め、その中で最適に近いものを探していく、というプロセスが必要です。長崎大学病院・高度救命救急センターでは以下のようなツールでスタッフの意見を集めました。【会議時に付箋を使う】テーマごとに意見を付箋に書いて貼り出します。話したことと違って書いたものは残るため忖度によって意見が消えることがなく、若手の方や新人が意見を出しやすいのです。また、付箋に書き出すことで、「書かれた意見」と「書いた人」を分離し、意見のみについて議論できる効果もあります。【聞く態度】1対1で話を聞く際には、聞く態度が重要になります。面談で話すときはもちろん、日常業務で話し掛けられたときも、一度手を止めて、相手の目を見て話し、メモを取るなど相手の話に集中します。腕組み、足組み、背もたれに寄り掛かった姿勢は相手に威圧感を与えるため、避けます。ワーク・ライフバランス社資料よりオンラインの場合、とくに表情が伝わりにくいので、上記に加えて大きめにうなずくなどのオーバーリアクションを心掛けましょう。オンライン会議が増える中では、ぜひこうしたコツも意識してみてください。

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中年期女性の血管運動神経症状に関連する不眠症に対するスボレキサントの効果

 神経ペプチドオレキシンは、覚醒促進、温度調節、閉経後に増加、女性に対しエストロゲン療法により正常化することから、血管運動神経症状(VMS)関連の不眠症治療においてオレキシン拮抗作用が重要な役割を果たしていることが示唆されている。米国・ハーバード大学のShadab A. Rahman氏らは、夜間のVMSに関連する慢性不眠症に対するデュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの有効性について評価を行った。Sleep誌オンライン版2022年1月11日号の報告。 夜間のVMS、不眠症重症度尺度(ISI)スコア15以上、日誌による入眠後覚醒30分超を有する慢性不眠症の女性患者56例を対象に二重盲検プラセボ対照ランダム化試験を実施した。対象患者は、スボレキサント群(10~20mg)27例またはプラセボ群29例にランダムに割り付けられ、4週間就寝前経口投与を行った。個人内のISIスコアの変化についての分析では、ベースライン時のISIと人種を考慮し、調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の平均ISIスコアは、スボレキサント群で18.1(95%信頼区間[CI]:16.8~19.4)、プラセボ群で18.3(95%CI:17.2~19.5)であった(p=0.81)。・スボレキサント群のベースラインから4週間後における個人内の平均ISIスコアの変化(-8.1、95%CI:-10.2~-6.0)は、プラセボ群(-5.6、95%CI:-7.4~-3.9)と比較し、減少が認められた(p=0.04)。・スボレキサント群の夜間VMSの頻度(日誌で評価)は、プラセボ群と比較し、有意な減少が認められた(p<0.01)。・入眠後覚醒と総睡眠時間については、スボレキサント群で改善傾向が認められたが、多重比較の調整後、有意な差は認められなかった。・日中VMSおよびその他の睡眠関連アウトカムについては、両群間で差が認められなかった。・スボレキサント群の忍容性は良好であった。 著者らは「スボレキサントは、VMS関連の不眠症に対し、忍容性が高く、効果的な治療薬であり、夜間VMSを低下させる可能性が示唆された。オレキシン受容体の拮抗作用は、VMS関連の慢性不眠症を有する女性に対する新規治療オプションとなりうる可能性がある」としている。

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ペイシェントハラスメントが5年で20%も増!?どんな対策してる?

 身勝手な患者による極悪非道な事件が昨年12月から2件も立て続けに発生したことを受け、CareNet.comでは各施設での患者からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント1))対応策についてアンケート調査を実施した。本サイトでは2017年にも同様のアンケートを実施しており、両者の結果を照らし合わせると、なんとこの5年間でペイシェントハラスメントを受けた医師が20%も増加していることがわかった。また、2017年時点でペイシェントハラスメント対応マニュアルやガイドラインを設けている施設は30%超だったが、現在はどうなのだろうか。ペイシェントハラスメントを7割が経験、患者本人やその家族から Q1『ペイシェントハラスメントを受けたことがありますか?』との問いには、勤務医、開業医ともに7割もの人が「はい」と回答。年代別に見ると、40代の中堅医師が最も多く(81%)、次いで30代が72%も経験していた。一方、50代以降になると63~68%とペイシェントハラスメント経験はやや低下傾向だった。 続いて、Q2『誰にハラスメントされましたか?』については、患者本人からが3割、本人以外(家族、知人・友人、会社同僚など)からも3割が受けていた。患者本人からのハラスメントを受けたのは20代(59%)が突出して多かった。 さらにアンケートによると、2件の事件によって4割超の医師が影響を受け、その多くがペイシェントハラスメントの対策やマニュアルの再確認を行ったと回答している。 主なペイシェントハラスメント対応策は以下のとおり。<<ペイシェントハラスメント対応策>>・診察室には患者の目の前に警察の電話番号を掲示してしておく(60代、皮膚科)・ボイスレコーダー(60代、小児科)・紹介状に”大変神経質な方です”と書く(40代、皮膚科)・患者さんとは違う逃げ道[避難通路]を作る(60代、精神科/心療内科)・法人関連にて、各医療機関の診察券を共通化し、非常識な患者さんを当法人は何処でも受診拒否出来るようにしている(50代、内科)・タクティカルペン[護身具としての機能を持つペン]を常備(60代、その他)ペイシェントハラスメントから医療者を守るマニュアル ペイシェントハラスメントをする患者を、モンスターペイシェント(MP)と呼ぶこともある。これについて、医療従事者のためのモンスターペイシェント対策ハンドブック(執筆:滝川 稚也医師、編者:JA徳島厚生連 阿南共栄病院 教育委員会)2)では『病院の一般的なルールに沿って診療行為ができない患者』と定義付けている。なお、本書ではMPを3グループに分類している。1)職業的なMP 交渉を有利に進めるための手段のひとつとして、暴力を一つのリソースとして確信犯的に日常的に使うヒト ※暴力的行為による利益獲得が目的2)メンタルヘルス的な問題を抱えた患者 疾患のため社会的な適応能力が低下し、表現方法のひとつとして、暴力的な行動をとってしまうヒト ※障害・疾患や薬物・飲酒に起因3)ごく普通の患者 ごく普通の患者が、些細な意思疎通の手違いのため、本来はそういうヒトではないのに暴力という手段を使ってしまうヒト さらにこの書籍によると、このような患者対応を「個人の力量に任せるのではなく、組織全体で解決することが重要」ということにも触れていた。ところが、実際のアンケート結果を見ると、Q5『ハラスメントを受けた際、どのように対応しましたか?』(勤務医のみ、Q1で「はい」と回答した350人)では、53%は「上長らに相談」しているが、35%は「独断で対応した」と回答していた。年齢別にみると、50代が最も多く、責任者や部長という立場が影響しているのかもしれない。また、上記回答者の半数以上が外来診察室でペイシェントハラスメントを受けているという結果からも、上級医であったとしても、問題を抱え込まずに周囲のスタッフと連携して対応する必要があるかもしれない。 一方で、開業医の“モンスターペイシェント”対策状況を見ると、患者からのハラスメントを受けている医師が7割もいたにもかかわらず、ペイシェントハラスメント対策のためのマニュアルを用意していたのは、なんと1割強に留まった。また、開業医の4割はペイシェントハラスメントに遭遇した際にすぐに相談できる相手がいないことも明らかになった。 なお、今回の事件を受け、日本在宅医療連合学会では、今年7月に開催される大会において大会長の谷水 正人氏(四国がんセンター院長)の提案により、シンポジウム「在宅医療・ケア関係者の安全確保、訪問員を守る対策」が開催される予定だ。 現時点では、医療者をペイシェントハラスメントから守るマニュアルは各施設で制作するしか手立てがなく、開業医にとってはややお手上げ状態だが、今後、各学会で医療者を守るための方策が進められるかもしれない。患者に寄り添いひたむきな姿勢が評判だった2名の医師への哀悼の意を表するとともに、同様の事件を繰り返さないためにも本アンケートが少しでも現場の医師・医療者のお役に立てることを願って止まない。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中『患者の迷惑行為、勤務医/開業医の対応法は?』<アンケート概要>●タイトル:“モンスターペイシェント”からの迷惑行為、どんな対策してますか?●内容:医療者が巻き込まれる事件が相次いでいることを受け、病院・クリニックが取り組んでいる患者の迷惑行為対策、診療に対する心境の変化などを調査●実施期間:2022年2月1日(火)~2日(水)●調査方法:インターネット●対象:会員医師 1,000人(開業医:500人、勤務医:500人)

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