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肺血管リモデリングを標的とする肺動脈性肺高血圧症薬「エアウィン皮下注用45mg/60mg」【最新!DI情報】第45回

肺血管リモデリングを標的とする肺動脈性肺高血圧症薬「エアウィン皮下注用45mg/60mg」今回は、アクチビンシグナル伝達阻害薬「ソタテルセプト(遺伝子組換え)」(商品名:エアウィン皮下注用45mg/60mg、製造販売元:MSD)を紹介します。本剤は、肺動脈性肺高血圧症の肺血管リモデリングを標的とした新規作用メカニズムを持つ治療薬であり、新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>肺動脈性肺高血圧症の適応で、2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。なお、本剤は肺血管拡張薬による治療を受けている患者に適用を考慮します。<用法・用量>通常、成人にはソタテルセプト(遺伝子組換え)として初回に0.3mg/kgを投与し、2回目以降は0.7mg/kgに増量し、3週間ごとに皮下投与します。<安全性>重大な副作用として、出血(頻度不明)、血小板減少症(4.3%)、血小板数減少(1.0%)、ヘモグロビン増加(9.1%)、赤血球増加症(1.4%)、ヘマトクリット増加(0.5%)があります。その他の副作用として、頭痛、鼻出血、下痢、毛細血管拡張症、注射部位疼痛(いずれも3%以上)、浮動性めまい、眼瞼紅斑、高血圧、紅斑、手掌紅斑、発疹、紅斑性皮疹、斑状皮疹、注射部位紅斑、注射部位発疹(いずれも3%未満)、肺内右左シャント(頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は肺高血圧症治療薬で、アクチビンシグナル伝達の阻害を治療標的とした注射薬です。肺の血管壁での異常な細胞増殖を抑える働きがあります。2.肺血管拡張薬による治療を受けている人に使用されます。3.妊娠する可能性がある女性は、この薬を使用している間および使用終了から4ヵ月間は適切な避妊を行ってください。4.授乳している人は、この薬を使用している間および使用終了から4ヵ月間は授乳を避けてください。<ここがポイント!>肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺動脈圧の上昇を特徴とする進行性の希少疾患であり、進行すると右心不全を引き起こし、死に至る可能性があります。薬物治療の基本は肺血管拡張薬であり、プロスタサイクリン(PGI2)作動薬、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエスラーゼ5(PDE5)阻害薬/可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬の3系統の薬剤が使用されています。これらの薬剤により患者の生存率は向上しましたが、依然として十分な改善を得られない症例も存在し、血管の恒常性を回復させる新規治療薬の開発が求められていました。ソタテルセプトは、2025年6月時点で、世界初かつ唯一のアクチビンシグナル伝達阻害薬(activin signaling inhibitor:ASI)です。アクチビンAおよびActRIIAに結合する他のリガンドを除去することでアクチビンシグナル伝達を阻害し、増殖促進性と増殖抑制性のシグナル伝達のバランスを改善します。これにより、肺血管平滑筋細胞の異常な増殖を抑制し、病態の進行を抑えることが期待されています。肺血管拡張薬によるバックグラウンド治療を受けているPAH患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較の海外第III相試験(003試験)において、主要評価項目である24週時の6分間歩行距離(6MWD)のベースラインからの変化量の平均値は、プラセボ群で-1.4m、本剤群で40.1mでした。両群間の中央値の差(Hodges-Lehmann法による位置パラメータのシフト)は40.8m(95%信頼区間[CI]:27.53~54.14)であり、プラセボ群と比較して本剤群で有意な改善が認められました(p<0.001、aligned rank stratified Wilcoxon test)。また、日本人PAH患者を対象とした国内第III相試験(非無作為化、非対照、非盲検化[020試験])において、24週時の肺血管抵抗(PVR)のベースラインからの変化量のHodges-Lehmann法による推定値は、-99.2dynes・sec/cm5(95%CI:-129.6~-68.4)であり、本剤によるベースラインからの改善が認められました。

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第280回 エストロゲンが腎臓を守る

エストロゲンが腎臓を守る急性腎障害(AKI)はよくある疾患なのに狙い撃ちの治療は乏しく、医療が取り組むべき大きな難題の1つです。ドイツ・ドレスデン工科大学のチームによる新たな研究で、女性ホルモンのエストロゲンが細胞死の一種のフェロトーシス(鉄依存的細胞死)を防ぐことでAKIを生じ難くすることが示されました1,2)。AKIや末期腎不全(ESRD)の印であるネフロン欠損は急な尿細管壊死を介して生じ、雄性の腎臓がよりAKIになりやすいことが数十年前から知られています3,4)。たとえば米国の公的保険受給者540万人を調べた試験で、女性のAKI発生率が有意に低いことが示されています5)。同様の結果が他の試験でも認められており、とくに閉経前の女性に比べて男性はAKIを生じやすく、AKIに関連する死により至りやすいようです。さかのぼること40年ほど前の1988年にそういう性差の仕組みの緒となりうるマウスの研究成果が発表されています。鉄剤(鉄ニトリロ三酢酸)を腹腔内に毎日投与したところ、雄マウス6匹は1週間ともたず6日以内にすべて死にましたが、雌マウスや去勢した雄マウスはすべてが3ヵ月間の投与期間を生き抜きました6)。そのような毒性の性差は脂質過酸化の程度とどうやら関連するようです。最近になって、その名が示すとおり鉄を必要とする脂質過酸化で生じる7)フェロトーシスが腎臓などの臓器を傷める仕組みや急な尿細管壊死に寄与することが示唆されています。今回の新たな研究では、雌マウスの尿細管ではフェロトーシス細胞死の連鎖がなく、エストロゲンの一種の17βエストラジオールが複数の仕組みによりフェロトーシスを防ぐことが明らかになりました。17βエストラジオールが水酸化されて生じる水酸化エストラジオールがそれら複数の仕組みの一端を担います。水酸化エストラジオールはラジカルを捕獲する抗酸化物として働いてフェロトーシスを直接的に阻止します。水酸化エストラジオールは腎尿細管に豊富で、雄マウスに投与したところAKIを防ぐことができました。エストラジオールはその受容体ESR1への作用により、遺伝子発現を調整することでもフェロトーシスを阻止します。ESR1を欠く雌マウスの腎尿細管は卵巣除去マウスに似てフェロトーシス抑制が低下していました。どうやらESR1は抗フェロトーシス作用が知られるヒドロパースルフィドの分解を防ぐことでフェロトーシスを阻止するようです。ESR1が抗フェロトーシスを担うのとは正反対に、雄マウスの尿細管はフェロトーシスを促進するエーテル脂質経路のタンパク質を発現しています。一方、閉経までという期間限定ではありますが、ESR1は雌マウスのエーテル脂質経路を抑制することでフェロトーシスを阻止する働きも担うことが示されました。男性や閉経女性のフェロトーシス狙いの腎疾患治療の開発に今回の成果が役立ちそうです。また、心臓発作や脳卒中などの女性に生じ難いその他の疾患の性差の研究、さらには女性の寿命がより長いことの仕組みの解明などでもフェロトーシスが今後注目されるでしょう8)。 参考 1) Tonnus W, et al. Nature. 2025 Aug 13. [Epub ahead of print] 2) Nature study: Estrogen protects the kidneys - research from Dresden and Heidelberg proves the relevance of gender-specific medicine for understanding disease and therapy / Eurekalert 3) Park KM, et al. J Biol Chem. 2004;279:52282-52292. 4) Silbiger SR, et al. Am J Kidney Dis. 1995;25:515-533. 5) Xue JL, et al. J Am Soc Nephrol. 2006;17:1135-1142. 6) Li JL, et al. Biochim Biophys Acta. 1988;963:82-87. 7) Dixon SJ, et al. Cell. 2012;149:1060-1072. 8) Estrogens protect against acute kidney injury / Research in Germany

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1型糖尿病への同種β細胞移植、拒絶反応なく生着/NEJM

 同種細胞移植では、術後に免疫系の抑制を要するが、これにはさまざまな副作用が伴う。スウェーデン・ウプサラ大学のPer-Ola Carlsson氏らの研究チームは、拒絶反応を回避するよう遺伝子編集されたヒト低免疫化プラットフォーム(hypoimmune platform:HIP)膵島細胞製剤(UP421)を、罹病期間が長期に及ぶ1型糖尿病患者の前腕の筋肉に移植した。免疫抑制薬は投与しなかったが、12週の時点で拒絶反応は発現しなかった。本研究は、Leona M. and Harry B. Helmsley Charitable Trustの助成を受けて行われ、NEJM誌オンライン版2025年8月4日号で報告された。症例:罹病期間37年の42歳・男性 本研究は、UP421(遺伝子編集ヒトHIP膵島細胞製剤)の安全性と有効性の評価を目的とする研究者主導の非盲検first-in-human研究である。対象は1例のみで、症例の追加登録はしなかった。 患者は、1型糖尿病の罹病期間が37年に達する42歳の男性であった。ベースラインの糖化ヘモグロビン値は10.9%(96mmol/mol)、内因性インスリンの産生は検出限界未満(Cペプチドは測定不能)であり、疾患の自己免疫性の指標となるグルタミン酸脱炭酸酵素と膵島抗原2自己抗体は検出可能であった。被験者は、1日32単位のインスリンの連日投与を受けていた。B2M遺伝子とCIITA遺伝子を不活化、CD47相補的DNAを導入 糖化ヘモグロビン値6.0%(42mmol/mol)の60歳のドナーから血液型O型適合膵臓を得た。拒絶反応を回避するための遺伝子編集として、ヌクレアーゼCas12b(CRISPR-CRISPR関連タンパク質12b)とガイドRNAを用いてドナー膵島細胞のB2M遺伝子(HLAクラスIの構成要素をコード)とCIITA遺伝子(HLAクラスIIの転写のマスターレギュレータをコード)を不活化した後、CD47の相補的DNAを含むレンチウイルスベクターを導入した。 最終的な細胞製剤(UP421)には次の3種類の細胞が含まれた。(1)CD47が高発現しHLAが完全に除去されたHIP膵島細胞、(2)CD47が内因性CD47の水準を保持したHLAクラスIおよびIIダブルノックアウト細胞、(3)CD47レベルが変動しHLAの発現が保持された膵島細胞(野生型)。また、この研究で使用された膵島細胞の約66%はβ細胞だった。 全身麻酔下に、被験者の左腕橈骨筋の部分の皮膚を切開し、合計7,960万個のHIP膵島細胞を17回に分けて筋肉内に注入、移植した。被験者は合併症の観察のため一晩入院し、翌日退院した。グルココルチコイド、抗炎症薬、免疫抑制薬の投与は行わなかった。HIP膵島細胞への免疫反応や試験薬関連有害事象はない 野生型細胞とダブルノックアウト細胞に対する免疫反応が継続している間も、HIP膵島細胞は被験者の免疫細胞によって殺傷されず、抗体の誘導も認めなかった。また、被験者の末梢血単核細胞(PBMC)や血清(抗体、補体を含む)と混ざり合っても、HIP膵島細胞はあらゆる免疫コンポーネントから逃れ、生存した。したがって、研究期間中に、HIP膵島細胞を標的とした免疫反応は発現しなかった。 移植後12週の時点で、糖化ヘモグロビン値が約42%低下した。これは、おそらく外因性インスリンへの反応と考えられた。また、4週目および8週目のMRI検査で、膵島移植片の残存が確認された。 12週時にも遺伝子編集細胞に対する拒絶反応はみられず、Cペプチド測定では安定したグルコース反応性のインスリン分泌を認めた。被験者の容体は良好で、有害事象は4件発現したが、重篤なものはなく、試験薬との関連もなかった。 著者は、「早期の移植片機能は長期的な臨床アウトカムと関連するとの報告があり、これを考慮すると、今回の研究結果は有望と考えられる」「同種移植における免疫寛容の誘導は、長らく困難な探求の対象とされてきた。本研究は予備的なものではあるが、免疫回避は同種拒絶反応を避けるための新たな考え方となる可能性を示唆する」としている。

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終末期介護施設入居者の救急搬送や入院、多くは回避可能

 入院や救急外来(ED)受診は、介護施設入居者、特に重度の障害を抱えているか終末期にある人にとっては大きな負担となり費用もかさむ。しかし、介護施設入居者が病院へ搬送されることは少なくない。このほど新たな研究で、このような脆弱な状態にある介護施設入居者によるED受診の70〜80%、また入院の約3分の1は回避可能であった可能性のあることが示された。米フロリダ・アトランティック大学シュミット医科大学老年医学教授のJoseph Ouslander氏らによるこの研究結果は、「The Journal of the American Medical Directors Association(JAMDA)」7月7日号に掲載された。 Ouslander氏らは、終末期の介護施設入居者が入院に至った原因として多かったのは、肺炎、尿路感染症、敗血症であったが、介護施設での医療と管理の質がもっと良ければ、それらの入院は必要なかったはずだと主張している。同氏は、「これらの健康問題は、施設でのケアを改善するために実行可能な手段があることを明示している。既存のガイドライン、ケアパス、予防戦略を用いれば、これらの問題は適切に管理できる。適切なツールと人員を整えることでED受診や入院の多くは回避可能であり、入居者の苦痛と不必要な医療費の両方を減らすことができる」と述べている。 今回の研究は、264カ所の介護施設において12カ月間の質改善プログラムを実施することで潜在的に回避可能な入院(possibly avoidable hospitalization;PAH)やED受診を減らせるかを検討した研究データを二次解析したもの。対象は、重度の障害を持つ6,011人(重度障害群)と終末期状態にある5,810人(終末期群)の介護施設入居者であった。 解析の結果、重度障害群の34%はあらゆる原因による入院を1回以上経験しており、その3分の1はPAHの基準を満たすことが明らかになった。また、18%はEDを1回以上受診しており、そのうちの70%は潜在的に回避可能性だったと判断された。一方、終末期群の14%があらゆる原因による入院を1回以上経験しており、そのうちの31%はPAHの基準を満たしていた。また、8%はEDを1回以上受診しており、そのうちの80%は潜在的に回避可能だったと判断された。 PAHと関連した診断として多かったのは、肺炎やその他の感染症、息切れや呼吸不全、精神状態の変化であった。一方、潜在的に回避可能なED受診で多かった診断は、重度障害群では経管栄養チューブに関する問題、終末期群では転倒による外傷であった。 Ouslander氏らは、より明確な治療プロトコルとタイムリーな症状管理によって、こうした入院の多くは防ぐことができる可能性があると述べている。同氏らはまた、家族や入居者と医療に関する希望を伝えることも大きな違いを生む可能性があり、ケアに関する希望を文書化しておくことで危機的な状況下での意思決定を回避し、不必要な搬送を減らすのに役立つとしている。 Ouslander氏は、「PAHやED受診を減らすためには、介護施設スタッフの能力を強化し、熟練した医療責任者や臨床医の積極的な関与を確保しなければならない。これは、個人の努力だけで解決できるものではなく、介護施設、介護や医療の提供団体、そして政策立案者からの支援が欠かせない。実際的な国家レベルの人員配置基準、複雑なケアに対応できるより充実した施設のリソース、さらに最も脆弱な入居者に対する質の高い、患者中心のケアを支えるための報酬制度の構築など、大胆な改革が必要だ」と述べている。

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第88回 ガンマ分布とは?【統計のそこが知りたい!】

第88回 ガンマ分布とは?「ガンマ分布」は、医療研究に広く使用されている強力な統計ツールです。とくに生存時間などの時間までのイベントデータのモデリングに適しています。今回は、ガンマ分布の概念と応用について解説します。■ガンマ分布とは?ガンマ分布は、イベントが即座に発生することが期待されない場合に使用されることが多い連続確率分布です。形状パラメータ(α)と尺度パラメータ(β)の2つのパラメータによって特徴付けられ、これらは分布の形と広がりに影響を与えます。たとえばある電子部品は10年に1度の割合で故障するとします。この電子部品について以下の3つを考えてみましょう。(1)1年以内に故障する確率(2)5年以内に故障する確率(3)1回故障するまでの年数(期待値)まず10年に1度の割合で故障するということは、形状パラメータ=10、尺度パラメータ=1、ということになり、これをグラフに描くと図のようになります。事例のガンマ分布グラフ■ガンマ分布の主な特徴1)柔軟性ガンマ分布はそのパラメータに基づいてさまざまな形状に適応できるため、いろいろなタイプのデータに対して汎用性があります。この柔軟性により、平均と中央値が大きく異なる歪んだデータのモデリングに効果的です。2)非負性非負性とは統計モデリングで非常に重要な概念で、特定のデータがゼロまたは正の値しか取らない特性を指します。たとえば、時間、長さ、距離など、自然に負の値を持たない量を表す場合にこの特性が用いられます。非負性はゼロ以上の値に対してのみ定義されているため、治療に対する患者の反応時間や患者の再発までの時間など、時間をモデル化するのに理想的です。3)無記憶性(指数分布の特別な場合)無記憶性とは、特定の確率分布が持つ特性で、過去の情報が未来の確率に影響を与えない性質を指します。この特性を持つ確率分布は、過去に何が起こったかに関わらず、未来の予測には過去の経過時間が影響しないという特徴があります。形状パラメータαが1の場合、ガンマ分布は指数分布に単純化され、無記憶の特性を持ちます。これは、次の瞬間にイベントが発生する確率が、すでに経過した時間に依存しないことを意味します。■臨床研究での応用臨床試験において、ガンマ分布は疾患の進行や死亡までの時間など、イベントまでの時間をモデル化するのにとくに有用です。これは、新しい治療法や介入の効果を時間とともに理解するのに大切です。■ガンマ分布を用いた結果の解釈臨床試験の結果がガンマ分布を用いて時間までのイベントデータを分析したものである場合、医療専門家は分布のパラメータを注意深く理解する必要があります。形状パラメータ(α)大きなαは分布の長い尾を示唆しており、多くの対象者が比較的早くイベントを経験する一方で、いくつかの対象者には長い遅延があるかもしれません。尺度パラメータ(β)大きなβはデータの広がりが広いことを示し、患者間のイベント時間のばらつきが大きいことを意味します。■実用的な意味新しいがん治療薬の効果を調査する臨床試験を想定してみましょう。患者の生存時間がガンマ分布に従う場合、パラメータの分析によって、「新しい治療を受けた後の患者がどれくらい生存できるか」を予測するのに役立ちます。これにより、治療計画や患者へ説明に役立てることができます。ガンマ分布は、とくに時間のイベントデータを含む研究において、医療データの分析に不可欠なツールです。そのパラメータによって提供される豊富な情報より、臨床試験における複雑な現象を理解するのに欠かせません。臨床研究の論文を読み解く際には、ガンマ分布のような概念をしっかりと理解することが大切になります。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第70回 カイ二乗分布とは第71回 F分布とは第75回 確率分布とは?第76回 二項分布とは?第77回 ポアソン分布とは?

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ペスト治療、経口治療は注射+経口治療に非劣性/NEJM

 ペストの症例数は過去100年にわたり着実に減少し、2018年にWHOに報告された症例数は248件である(うち98%はマダガスカルとコンゴ)。しかし、ペストは広範囲に分布するげっ歯類を媒介としてエピデミックとなる可能性やバイオテロに利用される可能性があり、頻度は低いが重大な被害を引き起こす感染症である。マダガスカル・パスツール研究所のRindra Vatosoa Randremanana氏らIMASOY Study Groupは、現行の治療ガイドラインでは複数の治療レジメンが推奨されているが、裏付けとなるエビデンスは弱く、成功裏に完了した重要な(pivotal)無作為化対照試験はないことから、2つの治療選択肢を比較する無作為化対照試験を実施した。NEJM誌2025年8月7日号掲載の報告。シプロフロキサシン単独vs.アミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン マダガスカルにおける2018年の腺ペスト成人治療ガイドラインでは、アミノグリコシド系注射薬(第1選択薬ストレプトマイシン、第2選択薬ゲンタマイシン)の3日間投与に次いで経口シプロフロキサシンの7日間投与が推奨され、第3選択薬として経口シプロフロキサシンの10日間投与が推奨されている。これら治療レジメンを支持する質の高いエビデンスの不足と、アミノグリコシド系薬の短所(注射投与であること、許容できない副作用、細胞膜透過性不良など)から、研究グループはこれらを比較する無作為化対照試験を行った。 2020年2月~2024年3月にマダガスカルで腺ペストと臨床的に疑われた人(妊婦は除外)を登録した。非盲検非劣性デザインを用いて、経口シプロフロキサシンの10日間投与(シプロフロキサシン単独)とアミノグリコシド系注射薬3日間投与+経口シプロフロキサシン7日間投与(アミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン)の2つのガイドライン推奨治療を比較した。 主要エンドポイントは11日時点の治療失敗とし、死亡、発熱、2次性肺ペストまたはペスト治療の変更または長期化の複合エンドポイントとして定義した。 感染を検査で確認またはほぼ確実とされた患者におけるシプロフロキサシン単独治療の非劣性マージンは、リスク群間差の95%信頼区間(CI)の上限が15%ポイント未満とした。ITT感染集団における治療失敗、シプロフロキサシン単独群の非劣性を確認 933例がスクリーニングを受け、腺ペストが疑われた450例が登録・無作為化された。220例(各群110例)で感染が確認され、2例(各群1例)で感染がほぼ確実とされた。これら222例のITT感染者集団において、男性は53.2%、年齢中央値は14歳(範囲:2~72)であった。 ITT感染集団における治療失敗は、シプロフロキサシン単独群9.0%(10/111例)、アミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン群8.1%(9/111例)であり、シプロフロキサシン単独群のアミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン群に対する非劣性が示された(群間差:0.9%ポイント、95%CI:-6.0~7.8)。 非劣性は、その他の事前規定の解析集団(per-protocol感染集団[ITT感染集団のうち重要なプロトコール逸脱基準に該当したシプロフロキサシン単独群1例を除く]、ITT集団[ペスト感染状態を問わない全被験者]、per-protocol集団[ペスト感染状態を問わず、重要なプロトコール逸脱基準を満たした患者を除く全被験者]など)でも一致していた。 死亡は、シプロフロキサシン単独群5例、アミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン群4例で報告され、2次性肺ペストは両群とも3例で発症が報告された。 ITT感染集団における有害事象の発現頻度は両群で同程度であり、全有害事象の発現率はシプロフロキサシン単独群18.0%、アミノグリコシド系薬+シプロフロキサシン群18.9%であり、重篤な有害事象の発現率はそれぞれ7.2%と5.4%であった。

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目標なき模擬試験は罪【研修医ケンスケのM6カレンダー】第5回

目標なき模擬試験は罪さて、お待たせしました「研修医ケンスケのM6カレンダー」。この連載は、普段は初期臨床研修医として走り回っている私、杉田研介が月に1回配信しています。私が医学部6年生当時の1年間をどう過ごしていたのか、月ごとに振り返りながら、皆さんと医師国家試験までの1年をともに駆け抜ける、をテーマにお送りして参ります。この原稿を書いているただいまは2025年8月。お盆休みの方も多い…学生の皆さんはとうに夏休みに入っていたでしょうか(笑)決して皮肉ではなく、先刻に自分で「お盆休み」と書いたことで「ああ、世間は休みなのだ」と気づいたのでした。夏休みといえども、東西医体や休み明けの試験対策など医学生はそれでも多忙な休暇をお過ごしのことでしょう。みなさまいかがお過ごしでしょうか。先月はマッチングに特化した記事を執筆させていただきました。嬉しいことに直接感想をいただく機会に恵まれました。「厳しい現実を突きつけられた気分になりました笑」「ネクタイをキュッとしようと思いました」「ニーズにも応える、視点が目から鱗でした」などなど、読者の皆さまいつもありがとうございます。今もなおマッチングシーズンの最中と思いますが、ご健闘を心よりお祈り申し上げます。改めて、この連載では当時を懐かしみながら、あの時の自分へ何を話しかけるのか、みなさんの6年生としての1年間が少しでも良い思い出になる、そんなお力添えができるように頑張って参りますので、ぜひ引き続き応援のほどよろしくお願い申し上げます。(マッチング後の息抜きに卒業旅行計画はオススメです!)8月にやること:模擬試験を軸に、学習計画を立て、修正するマッチングが終わると、9月以降はいよいよ卒業試験、模擬試験、そして本番の医師国家試験と続きます。今月皆さんにお伝えしたいのは、医師国家試験対策において模擬試験は非常に重要である、ということです。模擬試験を軸に、自分の試験対策計画を都度修正する力を持ってほしいと思います。多くの医学部医学科6年生のこれからの課題は2つ、卒業試験と医師国家試験です。皆さんは2月の医師国家試験で必修8割、一般臨床でおおよそ7割5分以上を正答しなければなりません。そのための試験対策を日頃取り組まれていることと思いますが、本番までの短期・中期的な目標となるのが外部模擬試験です。卒業試験は医師国家試験対策と試験範囲が重複するため、国家試験対策にもなり得ますが、点数や出来栄えとして適切な指標とするにはオススメしません。各大学ごとにスケジュールや出題形式、出題範囲が異なるので、標準化しにくいのが主な理由です。話を戻して、外部模擬試験をおそらく2〜3個受験すると思いますが、いずれも目標を持って受験してほしいです。目標に対してどれほどの手応えだったのかを振り返り、2月に合格ラインを突破するための学習計画を都度練り直す、そんな手段として模擬試験を活用してほしい。これが今月のメッセージです。なぜ模擬試験が重要なのか?医師国家試験は実に試験範囲の広い試験です。しかし、大学受験のような競争試験、というよりやはり資格試験要素が強いのものです。試験対策としては1つを極める、というよりも満遍なく減点を減らしていく方がまずは得策だと思います。2月を最終ゴールとした時に、どの分野が今どれほどの完成度なのか、を定点把握すべきでしょう。自分の進捗を確認するには(1)問題演習や講義視聴がどれほど進んでいるか(2)模擬試験でどれほど得点できているのかが主な手段かと思います。(1)についてはわかりやすいですね。やっていないものはやっていない、ただそれだけのことです。皆さんに大切にしてほしいのは(2)です。6年生はこれまでの学習の中である程度の基礎知識は身につけています。新しく会得すべき知識が圧倒的に足りないというよりも、これまで学んだことが正しく身に付いているのか、が今現在の得点を表している、という方が自然でしょう。理想としては、模擬試験の結果を見て、自分に今何が足りていないかを把握する→ 足りないところを確実に問題演習や講義視聴で補う→ 次回の模擬試験で知識が身についたかを確認するというサイクルで、学習を進めてほしいです。問題演習や講義視聴は不可欠ですが、盲目的に全てをこなすことはしなくて良いと思います。私自身は過去問全てを解いたわけでもなく、対策講義を全て視聴したわけでもありませんが、合格ラインは危なげなく突破しました。問題演習はアウトプット要素が含まれているのでまだ良いですが、とくに講義視聴を軸にしている学生は要注意です。講義視聴はインプットのための手段です。(1)を盲目的に進めることの最大のデメリットは「やった気になってしまう」ことです。繰り返しになりますが、CBTを突破している皆さんはある程度の基礎知識が身についています。その知識が正しく使えるか、が国家試験対策では(卒業試験でも)重要です。実力をつけられる模試は2回(計画を立てた旅行だからこそ、想定外の予定が楽しめます)2月に皆さんは医師国家試験を合格しなければなりません。 それまでに2〜3回の模擬試験を受験する方がほとんどです。最初の1回はすでに6〜8月時点で受けた方もいるかもしれませんが、9〜10月に1回、12〜1月に2回受けるスケジュールを多く目にします。1月は直前期の調整の意味合いが強く、実力を錬成する試験は9〜10月の1回と12月の1回の合計2回と言えます。この2回を皆さんはどのように感じますか?「勉強が模試に間に合わなくて、適当に受験。だから復習する気なんて出ない」というのが模試の最低な受け方なのですが、実はこれが一度起きてしまうと癖になってしまうものです(身に覚えがあるかもしれません)。模試についてはその結果ではなく、それに向けて何をやるのか、そして実際に何をやったかどうかこそが大切です。大学によっては9月以降も卒業試験解説などの講義や実習が予定されていることも珍しくなく、国家試験対策は個人に任されるところも多いです。受け身の勉強、言われたことしかやらない勉強法が染み付いている学生は、本番までに範囲を終えられるはずがありません。改めて、数少ない模擬試験を、皆さんはどんな価値ある機会だと捉えますか。折角受験するからには意義のある時間にしましょう。結果が全てでないことは前提ですが、メジャー分野については8割死守する産婦人科領域の産科領域については9割取るといった各分野ごとの完成度を見据えた具体的な目標を持って臨んでください。そうすれば何ができたのか、やったつもりだったのになぜ到達できなかったのか、トータルで見たときにあとどれくらい足りなくて、どれから手をつけて良いのか、など次の一手が明確になります。模擬試験に向けての取り組みが具体的であったからこそ、成功も失敗も自分の糧となります。その実感こそ収穫です。メジャー科の立て直しは危機感を持て模擬試験の重要性と、必ず具体的な目標を立ててから受験することの意義についてお話しました。この後は具体的に直近の到達目標や学習計画の進捗の観点で、話を進めていきます。これまでの回でメジャー科は夏までに、と繰り返してきました。皆さん、進捗はいかがですか?(笑)公衆衛生とメジャー科が医師国家試験の試験範囲のほぼ5割を占めます。いずれも失点は最小限に留めたいものですが、メジャー科は単純暗記だけでは通用せず、病態を理解するといった時間を要する分野が多いことが公衆衛生領域と異なるところです。メジャー科において、正答率9割超の問題を落としていたなら危機感を感じましょう。7〜8割の問題を落としたなら早めに見直して、なぜ誤答へ結びついたのか、類似問題も徹底的に演習しましょう。得点差がつくテーマについては各予備校がしのぎを削って作成した素晴らしいコンテンツがリリースされた際に、注意深く見てみるのはよいと思いますが、敢えて、通常の講義視聴はする必要はありません。公衆衛生は最もコスパが良い(ルーブル美術館にて。皆さん、野菜摂っていますか?笑)さて、公衆衛生は2月本番も含めて満点を目指しましょう。公衆衛生は単体分野としては最も出題範囲が広いテーマです。 必修・一般臨床ともに満遍なく出題されます。そして近年出題数が増えてきているのが実情です。そして公衆衛生は「やっておけば取れる」領域です。公衆衛生は当時の学生時代を振り返っても考えることが多く、奥が深いなと感じました。ただ医師国家試験においてはメジャー科のように判断力に悩む問題は少なく、知っているか否かが得点できるかを左右する問題が多いのも事実です。すべての分野に言えることですが、「やっておけば取れる」=努力テストの部分で水をあけられては勝機が遠のきます。本題から逸れますが、公衆衛生は医師国家試験合格後に臨床医として現場に立つ上でも非常に役に立ちます。医療現場で仕事をするようになると、医学的なことを知っているだけでは通用しません。社会的な要素も含めて包括的な視点を持たねば、医療として成り立たないからです。そもそも皆さんが臨床現場で働くことができるのも、公衆衛生あってこそのことです。医師国家試験における公衆衛生は現状単純暗記をひたすら制した者が勝つ、そんな構成かと思います(試験なのでそうなるのも当然のことかな)。ただ出題範囲が膨大なので早目に手をつけましょう。単純暗記の無味乾燥な学習は嫌、と感じる方も多いと思うので、学習のコツについて2つ紹介して終わりにします。1つ目は法律から学ぶことです。色んな制度が登場しますが、すべて定める法律があります。法律を学ぶことは制度の概要を把握することです。個人的にはQ-Assist公衆衛生の1コマ目がテンポもよくわかりやすいと思います。2つ目は勉強会内でクイズを出し合うことです。単純暗記こそ、団体戦です。1人でのインプットに飽きたならみんなで出し合いっこしましょう。出題側も回答側も記憶に残りやすいです。今月のまとめいかがだったでしょうか。模擬試験の目標は具体的であればあるほど良いです。それこそ勉強会でシェアして、一緒に計画するのも大いにアリです。マッチングを終えてひと息つくことも重要ですが、次はもう始まっています。進捗状況はさまざまだと思いますが、諦めるのは早すぎます。同様に安心するにも早すぎます。毎日勝つ必然性を高めましょう。

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妊娠中のST合剤予防投与、出生アウトカムを改善せず/NEJM

 ジンバブエ・Zvitambo Institute for Maternal and Child Health ResearchのBernard Chasekwa氏らが、同国で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Cotrimoxazole for Mothers to Improve Birthweight in Infants(COMBI)試験」において、妊娠中のトリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)の予防投与は、児の出生時体重を有意に増加させなかったことを報告した。有害な出生アウトカムの根底には、母体感染がある。妊娠中の抗菌薬投与は出生アウトカムを改善する可能性があるが、エビデンスにはばらつきがあり、また、試験の多くは高所得国で行われ、投与は特定の妊娠期間の短期間に限定され、検討されている薬剤も限られている。ST合剤は、サハラ以南のアフリカ諸国、とくにHIV感染者に使用され、薬剤耐性が広がっているものの有効性を維持している。しかし、妊娠中の予防投与が出生アウトカムを改善するかどうかは不明であったことから、研究グループは本検討を行った。NEJM誌2025年6月5日号掲載の報告。HIV感染の有無にかかわらず妊婦をST合剤群とプラセボ群に無作為化 試験は、マラリアが流行していないジンバブエ中央部に位置するシュルグウィ地区の産婦人科クリニック3施設において実施された。尿妊娠検査が陽性で、HIV感染状況が判明しており、ST合剤を現在投与されていないまたは適応のない妊婦を募集し、適格者をST合剤(960mg/日)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、妊娠14週以降出産または流産まで1日2回投与した。 主要アウトカムは出生時体重で、ITT解析を実施した。副次アウトカムは、低出生体重児(<2,500g)の割合、妊娠期間、早産(在胎37週未満)の割合、在胎不当過小児の割合、胎児死亡(流産または死産)、母親の入院または死亡、新生児の入院または死亡、および出生後6週時の年齢別体重・身長・頭囲のzスコアであった。出生時体重、その他の副次アウトカムに差はなし 2021年12月17日~2023年4月23日に計1,860例がスクリーニングを受け、適格者1,428例(76.8%)のうち1,000例が登録・無作為化された。ITT集団は、超音波検査で非妊娠子宮であることが確認された7例を除く993例(ST合剤群495例、プラセボ群498例)であった。 参加者のベースライン特性は、年齢中央値24.5歳、登録時妊娠週数中央値は20.4週、HIV感染者は131例(13.2%)で、ST合剤群495例中458例、プラセボ群498例中458例が試験薬の投与を受け、初回投与時の妊娠週数中央値は21.7週(四分位範囲:17.3~26.4)であった。 ITT集団において、出生時体重(平均値±SD)はST合剤群3,040±460g、プラセボ群3,019±526gであった(平均群間差:20g、95%信頼区間:-43~83、p=0.53)。副次アウトカムも、ほとんどが両群で同等であった。 有害事象の発現は両群で同程度であった。重篤な有害事象は、母親においてST合剤群31件(死亡例なし)、プラセボ群33件(死亡2例)、乳児においてそれぞれ22件(死亡14例)、20件(死亡12例)が報告された。

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ジャガイモ、調理法によって糖尿病リスクに違い/BMJ

 ジャガイモの摂取と2型糖尿病のリスクとの関連について、フライドポテトの摂取量の多さは2型糖尿病のリスク増加と関連していたが、ベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトを組み合わせた場合は関連していなかった。また、ジャガイモを全粒穀物に置き換えるとリスクが低下する一方、白米に置き換えるとリスクが増加したという。米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのSeyed Mohammad Mousavi氏らが、同国の看護師および医療従事者を対象とした大規模前向きコホート研究等のデータを用いて行った解析の結果を報告した。BMJ誌2025年8月6日号掲載の報告。米国NHS、NHS II、HPFSのデータを解析 研究グループは、米国で行われている3つの前向きコホート研究、Nurses' Health Study(NHS)の1984~2020年、Nurses' Health Study II(NHS II)の1991~2021年、Health Professionals Follow-Up Study(HPFS)の1986~2018年のデータを用い、ベースラインで糖尿病、心血管疾患またはがんの既往がない男女合計20万5,107例を対象として、ジャガイモの摂取と2型糖尿病発症との関連について解析した。 ジャガイモの摂取は2~4年ごとの食物摂取頻度調査票(FFQ)、2型糖尿病の発症は2年ごとの質問票から得た自己報告による疾患の診断、リスク因子、薬剤の使用および生活習慣については情報を収集する質問票を用いて評価した。 ジャガイモの摂取と2型糖尿病発症との関連は、ジャガイモの総摂取量ならびに摂取形態(ベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトの組み合わせ、フライドポテト、ポテト/コーンチップ)別に、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。フライドポテトを全粒穀物に置き換えるとリスクは低下 追跡期間517万5,501人年において、2型糖尿病の新規診断が2万2,299例確認された。最新のBMI値およびその他の糖尿病関連リスク因子で調整後、ジャガイモ総摂取量ならびにフライドポテト摂取量の多さは2型糖尿病のリスク増加と関連することが示された。総摂取量が3サービング/週増加するごとに2型糖尿病発症リスクは5%(ハザード比[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:1.02~1.08)、フライドポテトが3サービング/週増加するごとに20%(1.20、1.12~1.28)それぞれ増加した。一方、ベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトの組み合わせ(統合HR:1.01、95%CI:0.98~1.05)およびポテト/コーンチップ(1.02、0.98~1.06)の摂取量3サービング/週増加は、2型糖尿病との有意な関連は認められなかった。 置換解析の結果、ジャガイモ3サービング/週を全粒穀物に置き換えると、2型糖尿病発症率がジャガイモ全体で8%(95%CI:5~11)、ベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトの組み合わせでは4%(1~8)、フライドポテトでは19%(14~25)低下すると推定された。一方、白米に置き換えると、ジャガイモ全体、またはベイクドポテト・ボイルドポテト・マッシュポテトの組み合わせで2型糖尿病の発症リスク増加がみられた。 なお、本研究の3コホートと、PubMed/Medline、ISI Web of ScienceおよびEmbaseを用いて特定したジャガイモの摂取量と2型糖尿病との関連に関するコホート研究の合計13コホート(合計58万7,081例、2型糖尿病診断4万3,471例)を対象としたメタ解析の結果、3サービング/週増加ごとの2型糖尿病発症リスクの統合HRは、ジャガイモ全体で1.03(95%CI:1.02~1.05)、フライドポテトで1.16(1.09~1.23)であり、置換メタ解析では、ジャガイモ全体、非フライドポテト、フライドポテトの3サービング/週を全粒穀物に置き換えると、2型糖尿病のリスクがそれぞれ7%(95%CI:5~9)、5%(3~7)、17%(12~22)低下すると推定された。

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2025年12月期第2四半期 決算説明

2025年12月期第2四半期業績について:代表取締役社長 藤井勝博※IRページは こちら からお戻りいただけます※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。※タイトルを選ぶとお好きなチャプターからご覧いただけます。※IRページは こちら からお戻りいただけます.banAdGroup{display:none;}.bottomNotice{display:none;}

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第276回 レカネマブ15%薬価下げ報道で改めて考える 「認知症を薬で治す」は正しいの?(後編)

NHKニュース「熱中症疑いで死亡 エアコン使用せずが3分の2以上」と報道こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この連休は、お施餓鬼のため愛知県の実家に帰省しました。93歳で1人暮らしの父親は、世の中の多くの老人の例に漏れず、外気温は40度近くなのにエアコンの設定温度を大して下げず、家の中でじっとしていました。エアコンが効き過ぎると足が冷え、暑さよりそちらのほうが耐えられないのだそうです(閉塞性動脈硬化症かもしれません)。ちなみに、8月4日のNHKニュースは、「東京23区56人熱中症疑いで死亡 エアコン使用せずが3分の2以上」と報道していました。同ニュースによれば、「東京都監察医務院がことし6月16日から先月末にかけて東京23区で亡くなった原因を調べた人のうち、熱中症の疑いがあるのは、速報値で56人でした。年代別では70代が26人と最も多く、次いで80代が16人、(中略)場所別では、全体のおよそ96%にあたる54人が屋内で亡くなっていて、このうちエアコンがあったものの使っていなかったケースが38人で、全体の3分の2以上に上りました」とのことです。父親には「冷え性を取るか、熱中症で死ぬかの2択」と脅してから帰京したのですが、運転免許の返納に加え、エアコンの積極使用も高齢者の生活習慣変容における難題の1つだなと実感した次第です。さて前回は、7月9日に開催された中央社会保険医療協議会・総会でレカネマブの費用対効果に関する評価結果が提出され、薬価が引き下げられる見込みになったことについて書きました。市場規模が大きいか著しく単価が高い医薬品・医用機器などを対象に、費用対効果評価専門組織が分析し薬価等が調整される費用対効果評価制度が適用された結果で、専門組織である国立保健医療科学院の保健医療経済評価研究センター(C2H)が、現在の3分の1程度の薬価が妥当とする評価結果を公表、今後、中医協のさらなる議論を経て、薬価が下げられることになったのです。そして、中医協・総会は8月6日、レカネマブ(商品名:レケンビ点滴静注)の薬価を現在の200mg・4万5,777円から3万8,910円へ、500mg・11万4,443円から9万7,277円へと、それぞれ15%引き下げることを了承しました。新薬価の適用は11月1日となります。「日本承認後に待ち受ける2つの高いハードル」のうち1つは低くなるが……レカネマブの薬価引き下げは、日本の医療現場にどんな影響を及ぼすのでしょうか。単純に考えれば、年間約300万円と高額だった薬剤費が最大15%引き下げられれば、自己負担がネックだった患者の治療継続に向けてのハードルが下がるでしょう。また、薬剤費の高さから投与をためらっていた医療機関にも、より多くの患者に使用しようという機運が生まれることになります。しかし、そうは簡単に市場が拡大していくとは思えません。レカネマブについては米国正式承認直後の2023年7月、本連載の「第169回 深刻なドラッグ・ラグ問題が起こるかも?アルツハイマー病治療薬・レカネマブ、米国正式承認のインパクト」で、「日本承認後に待ち受ける2つの高いハードル」について次のように指摘しました。「一つは検査体制です。使用にはAβ病理所見の確認が必要で、そのためのPET検査または脳脊髄液検査を行わなければなりません。ARIAなどの副作用のチェックにも定期的なMRI検査が必要なため、処方できる医療機関は当面は相当限られそうです。もう一つは薬価です。米国で年間約370万円の薬価が付いたということは、日本の薬価も年間300万円前後になると予想されます。国内の認知症患者数は2025年には約730万人になると推定されており、アルツハイマー病の早期患者とMCI患者に限っても、レカネマブの対象になる患者は相当な数になると考えられます。根本治療薬ではなく、単に進行を遅らせるだけの薬剤に年間300万円も使う必要があるのか……。医療財政の面からも使用に関して何らかの制約が出てくる可能性もあります」。アルツハイマー病の患者全体の中でレカネマブを処方されているのは1%程度?少なくとも薬価については今回15%下げとなる見通しで、このハードルは少しは下がりますが、一つめの「検査体制」という高いハードルはそのままです。2023年9月に日本で正式承認されたレカネマブは、同年12月20日から保険適用で処方が開始されました。2025年現在、国内でレカネマブを投与できる医療機関は600ヵ所以上に拡大しています。しかし、2024年度末時点で処方されたのは約7,000人、2025年5月末時点で約9,000人と推計されています。エーザイの当初の販売予測によれば、日本国内でのピークは年間投与患者数3万2,000人程度とされており、これは想定される適応患者(アルツハイマー病による軽度認知障害~軽度認知症)の約2~3%にあたります。現状、1万人以下ということは、アルツハイマー病の患者全体の中でレカネマブを処方されているのは1%程度(もしくは以下)ということになります。これまで2つのハードルが存在していたにもかかわらず、「レカネマブを使わせろ!」という患者や家族からの強い要望が聞こえてこなかったのは、「進行を遅らせる」という効果が患者や家族にとって見えづらく、「すごく効く」という評判も広がりにくかったからかもしれません。そして、「使ってほしい」という患者や家族からの強い要望がなければ、医療機関側も煩雑で人手も時間もかかる検査をしてまでレカネマブを使おう、とはなりません。認知症の高齢者を雇用する愛知県岡崎市の沖縄そば店というわけで、「進行を遅らせる」というレカネマブをはじめとする抗アミロイドβ抗体薬は、これからも市場拡大に関して苦戦するかもしれません。そんなことを考えていたら、中央社会保険医療協議会・総会の翌週、7月15日放送のNHKの「クローズアップ現代」で、面白い話題を取り上げていました。「認知症新時代 広がる“自分らしく”働く場」と題されたこの回の「クローズアップ現代」は、認知症の高齢者を雇用する愛知県岡崎市の沖縄そば店、認知症の高齢者に介護サービスの一環で”働く場”を提供する千葉県船橋市のコーヒーチェーン店などが紹介されていました。政府は、認知症になっても希望を持って生きられる社会を実現するという「新しい認知症観」に立った取り組みを推進するための基本計画を2024年12月に閣議決定しています。その最新の取り組みが同番組では紹介されていました。とくに興味深かったのは、介護事業所を経営する介護福祉士が開いた沖縄そば店です。働いているのは3人の認知症の高齢女性で、ランチタイムの3時間、接客や配膳、洗い物などを担当し、時給は1,080円です。接客のマニュアルはなく、店は従業員が認知症であることを隠していませんでした。注文を忘れたり、箸やコップの数を間違えたりすることは多々ありますが、開店して6年余り、大きなトラブルは起きていないそうです。「『やりたいようにやってもらう』というのがいちばんのポイント」と店長この店の店長は、長年認知症の介護に携わってきた経験から、当事者がどうすれば生き生きと暮らせるのかを模索、「認知症になったら何もできなくなる」というイメージを払拭するためにこの店を開いたとのことです。認知症の人を雇う秘訣として、「先回りをして何か援助をしちゃうよりは、とりあえず自分のできることをやってもらって、『やりたいようにやってもらう』というのがいちばんのポイント」と店長が話していたのが印象的でした。認知症の人に安心できる適切な環境を提供し、やりがい、働きがいを感じてもらうことでBPSD(認知症における精神症状や行動上の問題)も軽減され、家族の負担も軽減される、とはよく知られたことですが、番組はまさにその実践の場のレポートとなっていました。番組ではその他に、認知症のある人にも暮らしやすい町を目指す福岡市のさまざまな取り組みも紹介されました。スタジオには認知症の当事者、認知症の人の社会参加に詳しい専門家(堀田 聰子・慶應義塾大学大学院教授)が呼ばれており、医師はいませんでした。認知症の予防には多因子介入プログラム番組で堀田氏は「認知症はそもそも機能が低下したらではなくて、暮らしにくさが出てきた状態なので、脳の機能が低下しても困らない町、社会環境を作っていけばいいわけなんです」と語っていました。認知症を病気とは捉えず、あくまでも老化、エイジングと考えて、そうした人たちが生活しやすいよう環境を整えていくほうが、1人の患者に何百万円もかかる薬を飲ませるだけよりも、よほど効果と意味があることではないでしょうか。また、認知症の予防にしても、MCI(軽度認知障害)の人に薬を飲ませるだけよりも、フィンランドのFINGER研究や日本のJ-MINT研究などで証明されている、生活習慣病の管理、運動指導、栄養指導、認知トレーニングなどを含む多因子介入プログラムを積極的に展開していくほうがより効果的かつ経済的で、認知症予備軍の人の生活の充実にもつながるでしょう。「アミロイドカスケード仮説」に基づいて認知症の薬剤は続々開発中アルツハイマー病に対する抗Aβ抗体薬の承認はその後も続き、2024年7月には米イーライリリー・アンド・カンパニーのドナネマブが米国で正式承認を取得、9月には日本でも正式承認されています。最近ではアルツハイマー病の発症には、Aβ蓄積に続いて起こるタウの異常リン酸化こそが神経細胞障害や神経変性の大きな要因とも考えられるようになっており、抗タウ抗体の薬剤開発も進められています。世界はまだ「アミロイドカスケード仮説」に基づいて認知症の薬剤を続々開発しているわけですが、「クローズアップ現代」が映し出した笑顔で接客するおばあさんたちを観て、「認知症を薬で治す」は本当に正しいのだろうか、と改めて考えてしまった次第です。

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「たった一人」のNPが現場を変える!日本の循環器病院における成果【論文から学ぶ看護の新常識】第26回

「たった一人」のNPが現場を変える!日本の循環器病院における成果国内の循環器病院で行われた調査で、たった一人のナースプラクティショナー(NP:診療看護師)の介入が、入院期間の短縮や医療費の削減といった、具体的な成果に繋がったことが報告された。鈴木 美穂氏らの研究で、Journal of the American Association of Nurse Practitioners誌2024年11月1日号に掲載された。日本の循環器病院におけるナースプラクティショナー雇用前後の医療アウトカムの比較:後ろ向きカルテ調査研究チームは、日本の循環器病院において、NPを雇用する前(2019年)と後(2021年)の医療アウトカムを比較することを目的に、後ろ向きカルテ調査を実施した。A病院(心臓手術部門にNP1名)で心臓手術を受けた患者114例と、B病院(ペースメーカーデバイス部門にNP1名)でペースメーカー植込み/交換術を受けた患者381例を分析した。NPは外科的手術の補助および術後管理を提供した。主な結果は以下の通り。A病院NP雇用後は、雇用前と比較して、以下の項目で中央値が有意に短縮した。入院期間:16.0日(95%信頼区間[CI]:13.0~22.5)vs. 19.0日(95%CI:17.0~25.0)、p=0.02気管挿管期間:1.0日(95%CI:0.0~1.0)vs. 1.0日(95%CI:1.0~1.0)、p=0.01B病院NP雇用後は雇用前と比較して、診療報酬が有意に低く、処置時間の中央値も有意に短縮した。診療報酬:138万8,711.5円vs. 162万5,532.0円、p論文はこちらSuzuki M, et al. J Am Assoc Nurse Pract. 2024;36(11):629-636

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耳鼻咽喉科ニューフロンティア -近未来医療を手にする

最新のエビデンスとサイエンスに基づく耳鼻咽喉科の臨床基準書「プラクティス耳鼻咽喉科の臨床」第7巻耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域で現在臨床現場に普及しつつある検査・診断・治療の最前線を中心に、さらに実験段階を終え臨床研究に入り将来が期待できる医療、ポストコロナ診療、医療DX、AI診療などにおいて第一線で活躍する執筆陣80名が解説。「感覚器医療・コミュニケーション医療」「QOL、生命維持」「診療支援」「医療DX」の機能的なカテゴリーに分けて構成。いま始まりつつある近未来の耳鼻咽喉科診療が1冊に。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する耳鼻咽喉科ニューフロンティア -近未来医療を手にする定価13,200円(税込)判型B5判(並製)頁数336頁発行2025年5月総編集・専門編集大森 孝一(京都大学)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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膵癌診療ガイドライン 2025年版 第7版

新たな要素が加わり、ブラッシュアップされた改訂版、出来!本版では「患者会や膵がん教室への参加」「老年医学的評価」に関する2つのCQが、医療者と患者市民団体で構成されるグループで検討された臨床疑問として、初めて掲載された。また「Future Research Question」を新設し、バイオマーカーやがん遺伝子パネルを用いた診断、メタリックステント留置後の偶発症への対応など、膵癌診療における最新の動向についても解説した。診断から治療まで最新のエビデンスを網羅し、患者・市民の視点も取り入れた、膵癌診療に携わるすべての医療者にとって必携の1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する膵癌診療ガイドライン 2025年版 第7版定価4,180円(税込)判型B5判頁数352頁発行2025年7月編集日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会ご購入はこちらご購入はこちら

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小児白血病の最新診療

小児科領域新シリーズ誕生!裏付けされたKnowledge&Skillで日常の小児科診療に自信を持つ「小児診療 Knowledge & Skill」第1巻特色は小児科診療に不可欠な8テーマから構成。各分野のエキスパートが培った臨床眼により小児科診療の本質を展開。エビデンスとエクスペリエンスを融合させた「知(knowledge)」と「技(skill)」により、最適な方針を提供。箇条書きでテーマの要点をまとめ、脚注やコラムで専門用語の解説、二次元コードにより関連サイトへリンク、キーポイントの詳細情報、逸話などを収載。冒頭のQuick Indexで、特異的な切り口でテーマの概略を紹介。となっている。第1巻で取り上げた小児白血病はコモンな疾患ではない。白血病を疑ったときは速やかに専門医に紹介しなければならない。それでも知れば身近な疾患になる。重篤な疾患に特定の遺伝子が胎生期から関わっていることは、ポストゲノム時代を迎えたいま、揺るぎない事実として眼前にあり、小児科学ほど分子生物学に親和性が高い領域はない。小児白血病を通して拓かれたmolecular pathobiologyの扉が小児診療の本質を提供してくれる。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児白血病の最新診療定価9,350円(税込)判型B5判(並製)頁数216頁発行2025年7月総編集加藤 元博(東京大学)専門編集富澤 大輔(国立成育医療研究センター)ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら

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禁煙にはニコチンガムよりニコチン入り電子タバコ

 禁煙に際して、ニコチンを含んだガムや飴を用いるよりも、ニコチンを含む電子タバコの方が、効果が優れていることを示唆する研究結果が発表された。6カ月間での禁煙成功率に、約3倍の差があったという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)および国立薬物・アルコール研究センターのRyan Courtney氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月15日掲載された。なお、研究者らは、長期的な禁煙継続率への影響は未確認であることを指摘している。 この研究は、公的年金等を受給している社会的弱者に該当する成人のうち、禁煙の意思がありながら毎日喫煙している1,045人を対象として、2021年3月~2022年12月に実施された。ランダムに1対1の割合で2群に分け、1群にはニコチン入りのガムや飴、他の1群にはメンソールやフルーツ風味のフレーバー付きニコチン入り電子タバコを、それぞれ8週間分支給。また、全員に対して5週間にわたり、禁煙サポートのためのテキストメッセージの自動配信を行った。 7カ月後の追跡調査を受けたのは866人(82.9%)だった。割り付けを知らされていない研究者が盲検下で、一酸化炭素呼気試験により禁煙/非成功を判定。ニコチン入りのガムや飴を受け取っていた群では9.6%(523人中50人)が、6カ月間禁煙が継続していたと判定された。一方、電子タバコを受け取っていた群のその割合は28.4%(522人中148人)と高かった(リスク差の推定値18.7%〔95%信頼区間14.1~23.3%〕、電子タバコが優れている事後確率が99%超)。また、自己申告による有害事象の発生率は、電子タバコ群の方が有意に低かった(発生率比0.75〔同0.65~0.88〕、P<0.001)。 以上を基に著者らは、「社会的に不利な立場にある人々を対象とした今回の研究では、フレーバーを選べるニコチン入り電子タバコを、わずかなテキストメッセージによる行動支援と組み合わせて提供した場合、ニコチン代替療法としてのガムや飴と比較して、より高い効果を期待できることが示された」と結論付けている。ただし、「ニコチン入り電子タバコによる禁煙が成功した後に、その状態が長期間維持されるという確実な証拠を得るため、さらなる研究が必要だ」としている。 また、その他の留意事項として、「現時点のエビデンスは、紙巻タバコから電子タバコへと完全に切り替えた場合に、健康リスクが低下する可能性を示唆している。しかし、電子タバコの健康への長期的な影響はほとんど分かっていない。電子タバコが心臓血管系の健康に悪影響を与える可能性があることを示すデータも出てきている」と付け加えている。 なお、日本ではニコチンを含む電子タバコは承認されていない。

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家族の関与に負担を感じる?ICU看護師の意識調査【論文から学ぶ看護の新常識】第25回

家族の関与に負担を感じる?ICU看護師の意識調査オランダのICU看護師は、家族が患者ケアに関与することに対して、肯定的ではない意識を抱えていることがIsha Verkaik氏らの研究で示された。Intensive and Critical Care Nursing誌2025年8月号に掲載の報告。集中治療中の成人患者への家族関与の重要性に関する、集中治療室看護師の意識:多施設横断研究研究チームは、看護ケアへの家族の関与に関するICU看護師の意識を明らかにし、人口統計学的および職業的特徴とこれらの意識との関連を調査することを目的に、多施設横断研究を行った。オランダ全土の10病院で実施し、ICU看護師は、家族看護態度調査票(FINC-NA、スコア範囲22〜110点)を含むオンライン質問票に回答した。データは記述統計と重回帰分析を用いて分析した。主な結果は以下の通り。583名のICU看護師がFINC-NAに回答した(回答:42%)。ICU看護師の意識の平均スコアは73.3(標準偏差:8.78)であった。全体として、ICU看護師はケア提供において家族を重要であると認識していた。しかし、「家族の関与を促進する」と「負担としての家族」というサブスケールにおいて、ICU看護師の意識はあまり肯定的ではなかった。家族の関与に対する肯定的な意識が低いことは、週あたりの臨床勤務時間が長いこと、および教育病院ではなく大学病院に勤務していることと、有意に関連していた。ICU看護師は、他の臨床現場の看護師と比較して、家族をケアに関与させることに対する意識があまり肯定的でないことが示された。本研究では、ICU看護師は家族をケア提供において重要だと認識している一方、「家族の関与を促進する」および「家族を負担に感じる」という点では、肯定的ではないことが明らかになりました。とくに、週あたりの臨床勤務時間が長い看護師や、大学病院に勤務する看護師でその傾向がみられることも示されました。この結果は、集中治療という困難な臨床環境に直面する患者の家族に対する看護師の態度を浮き彫りにしています。看護師の役割は、患者だけでなくその家族をもサポートすることに本質があり、家族が役割を果たせることや家族自身の力が発揮できるように支援することは、非常に重要だと考えます。しかし現実は、家族の存在が仕事の負担感の増加やストレス、仕事の妨げとなると感じているICU看護師が多いという結果でした。これは、多忙なICU現場での家族看護実践における課題を示しています。しかし、この結果は、看護師が主導となって家族の関与を推進していくための示唆に富んだ内容でもあります。とくに、ガイドラインの不足が家族の関与を妨げている可能性が指摘されており、現場で活用できる「家族関与のガイドライン」を整備することが、家族のケア参加を推進し、この課題を解決する一歩となると考えます。論文はこちらVerkaik I, et al. Intensive Crit Care Nurs. 2025;89:104065.

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大気汚染物質への曝露は髄膜腫リスクを高める

 大気汚染物質を吸い込む量が多い人は、髄膜腫と呼ばれる脳腫瘍のリスクが高いことが、新たな研究で示された。髄膜腫は、脳や脊髄を覆う組織の層にできる脳腫瘍の中でも発生頻度が高い腫瘍だが、ほとんどは良性である。この研究では、粒子状物質や二酸化窒素など複数の種類の大気汚染物質が髄膜腫のリスクを高める可能性のあることが示された。デンマークがん研究所のUlla Hvidtfeldt氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に7月9日掲載された。Hvidtfeldt氏は、「さまざまなタイプの大気汚染物質が健康に悪影響を与えることが示されてきた。このうち超微小粒子は極めて小さく、血液脳関門を通過できるため、脳組織に直接的な影響を与える可能性がある」と話している。 米クリーブランド・クリニックによると、米国では毎年17万人以上が髄膜腫と診断されている。髄膜腫の症状は、頭痛、めまい、吐き気、視力の変化、難聴、けいれん、記憶障害、筋力低下または麻痺、行動や性格の変化などで、主な治療法は手術や放射線療法、化学療法である。  Hvidtfeldt氏らは今回の研究で、デンマークの成人395万9,619人(平均年齢35歳、女性49.6%)を対象に、21年間にわたって追跡し、大気汚染物質への曝露と中枢神経腫瘍(脳や脊髄の腫瘍)との関連を検討した。追跡期間中に1万6,596人が中枢神経腫瘍を発症しており、そのうち4,645人は髄膜腫だった。大気汚染物質は、直径0.1μm未満の超微小粒子、直径2.5μm以下の微粒子物質(PM2.5)、二酸化窒素、元素状炭素を対象とし、10年間の平均曝露量を住所から推定した。 その結果、髄膜腫の発症率は、大気汚染物質への曝露量が最も少なかった人で0.06%であったのに対し、最も多かった人では0.2%と約3倍に達していたことが明らかになった。対象とした各大気汚染物質への曝露量が四分位範囲当たり増加するごとの髄膜腫発症のハザード比は、二酸化窒素が(8.3μg/m3増加)で1.12、直径0.1μm未満の超微小粒子(5,747個/cm3増加)で1.10、PM2.5(0.4μg/m3増加)で1.21、元素状炭素(4μg/m3増加)で1.03であった。ただし、これらの大気汚染物質とより悪性度の高いタイプの脳腫瘍の間には明確な関連は認められなかった。 Hvidtfeldt氏は、「われわれの研究は、交通やその他の原因による大気汚染物質への長期的な曝露が髄膜腫の発症に関与している可能性があることを示唆している。またこの研究は、大気汚染が心臓や肺だけでなく脳にも影響を及ぼすというエビデンスの蓄積にも寄与するものだ」と付け加えた。 さらにHvidtfeldt氏らは、この研究デザインでは大気汚染物質と髄膜腫に直接的な因果関係があることは証明できず、今回はこれらの間の関連性を示したに過ぎないことも付け加えている。Hvidtfeldt氏は、「この結果を確認するためにさらなる研究が必要だが、もし、大気の清浄化によって脳腫瘍のリスクが下がるのであれば、公衆衛生に大きな変化をもたらす可能性がある」と話している。

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固定用量の潰瘍性大腸炎治療薬「ベルスピティ錠2mg」【最新!DI情報】第44回

固定用量の潰瘍性大腸炎治療薬「ベルスピティ錠2mg」今回は、スフィンゴシン 1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬「エトラシモドL-アルギニン(商品名:ベルスピティ錠2mg、製造販売元:ファイザー)」を紹介します。本剤は、1日1回の固定用量での経口投与が可能な中等症~重症の潰瘍性大腸炎の治療薬であり、患者QOLの向上が期待されています。<効能・効果>中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)の適応で、2025年6月24日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはエトラシモドとして2mgを1日1回経口投与します。<安全性>重大な副作用として、黄斑浮腫(0.1%)、感染症(0.9%)、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)、リンパ球数減少(5.8%、28.0%)注)、リンパ球減少症(7.8%、10.8%)注)、肝機能障害(0.7%)、徐脈性不整脈(徐脈:1.5%、房室ブロック:0.6%)、可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)があります。その他の副作用として、浮動性めまい、頭痛、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加(いずれも1%以上)、高コレステロール血症、傾眠、悪心、潰瘍性大腸炎、腹部膨満、嘔吐、ALT増加、肝酵素上昇、AST増加(いずれも0.3~1%)、尿路感染、好中球減少症、高カリウム血症、食欲減退、頭部不快感、片頭痛、視力障害、耳鳴、高血圧、口内炎、寝汗、発熱、疲労、非心臓性胸痛、無力症、血中アルカリホスファターゼ増加、体重減少(いずれも0.3%未満)があります。注)発現頻度は以下の順:本剤2mgを投与された日本人を含む1,037例(6試験、最長投与期間163.0週、投与期間の中央値49.57週)、本剤2mgを投与された日本人93例(4試験、最長投与期間203.0週、投与期間の中央値78.14週)<患者さんへの指導例>1.この薬は、中等症~重症の潰瘍性大腸炎に用いられる薬です。炎症部位に到達するリンパ球数が減少することで、潰瘍性大腸炎の症状を改善すると考えられています。2.これまで、他の薬物療法で適切な治療を行っても潰瘍性大腸炎の症状が残っている場合に使用されます。3.失神、浮動性めまい、息切れなどの症状が現れた場合は、ただちに医師に相談してください。とくにこの薬の使用を開始してから早い時期に注意が必要です。4.視覚異常(視野の中に見えない部分がある、物がゆがんで見える、視野の中心が暗くなる、色が見分けにくい)が現れた場合は、ただちに医師に相談してください。5.この薬の投与開始12週後までに効果が得られない場合は、他の治療に切り替えることがあります。6.妊婦または妊娠している可能性のある女性は服用できません。<ここがポイント!>潰瘍性大腸炎(UC)は、再燃と寛解を繰り返す慢性炎症性腸疾患です。病因は完全には解明されていませんが、腸管局所における異常な免疫応答、それに続くリンパ節から消化管内の炎症部位へのリンパ球の遊走が病態形成に深く関与していると考えられています。薬物治療には、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤やステロイドが用いられます。ステロイドに抵抗性を示す場合は、タクロリムス、生物学的製剤、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体調節薬などが寛解導入のために用いられます。エトラシモドL-アルギニンは、S1P受容体のサブタイプ1、4、5(S1P1,4,5)に選択的に作用し、炎症部位へのリンパ球の遊走を減少させることで、腸の炎症を抑制します。S1P受容体調節薬としては、オザニモドが2024年12月に承認されましたが、中等度以上の肝障害に対する使用制限や初回投与時から用量を漸増する必要があるなどの注意点があります。これに対して、エトラシモドは肝機能による使用制限がなく、1日1回の固定用量で経口投与できるため、肝機能に異常がある患者や初期の用量調節が困難な患者にとって、より使用しやすい選択肢となる可能性があります。中等症~重症の活動期にあるUC患者に対する寛解導入試験のAPD334-302/ELEVATE UC12試験(国際共同第III相試験)において、12週時(導入期)の臨床的寛解率は、プラセボ群の15.2%に対し、本剤2mg/日群は24.8%であり、本剤2mg/日群のプラセボ群に対する優越性が検証されました(p=0.026、Mantel-Haenszel法による層別因子)。

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日本の認知症動向、その傾向と地域差

 アルツハイマー病やその他の認知症は、深刻な公衆衛生上の懸念事項であり、日本においてはさらに重要な課題となっている。ベトナム・RMIT University VietnamのDeepak Kumar Behera氏らは、アルツハイマー病やその他の認知症負担の経時的傾向を調査し、関連するリスク因子を特定し、時系列モデリングを用いて将来予測を行った。Alzheimer's & Dementia誌2025年7月号の報告。 世界疾病負担(GBD)研究2021のデータを用いて、日本におけるアルツハイマー病やその他の認知症の傾向を分析し、罹患率、死亡率、障害調整生存年(DALY)を評価した。リスク因子の特定には回帰分析を、2021〜30年までの疾病負担の予測には自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・日本におけるアルツハイマー病やその他の認知症は、着実に増加しており、2030年まで引き続き増加すると予測された。・高齢化および平均寿命の延長が主な因子として特定された。・関東や関西の都市部では、東北や九州よりも有病率が高かった。・高空腹時血糖値、肥満、喫煙は、重要な修正可能なリスク因子であった。・ARIMAモデルでは、継続的な増加傾向が予測され、公衆衛生上の課題の深刻さを浮き彫りにする結果であった。 著者らは「日本におけるアルツハイマー病やその他の認知症の負担を軽減するためには、対象を絞った介入、早期介入、公平な医療アクセスが不可欠である」と議論し、「高齢化に伴い、アルツハイマー病やその他の認知症が増加している。高空腹時血糖値、肥満、喫煙などが、主なリスク因子であることも明らかとなった。とくに関東や関西の都市部では、他の地域よりも有病率が高く、2030年まで継続的に増加すると予測される。これらの負担を軽減するためにも、的を絞った医療政策と予防策が求められる」とまとめている。

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