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子どもの検査値の判断に迷ったら

そっと開けばポイントがわかる「小児科」64巻13号(2023年12月臨時増刊号)複数の既往歴や不定愁訴をもつことが多い成人患者と異なり、子どもは症状がはっきりしていることが多い分、検査結果が予想と異なっていたり、想定に反して検査上の異常がなかったりした場合、どう判断すべきか迷う…そんな場面に役立つ1冊を目指しました。日常診療でおなじみの検査から少々専門的な検査まで、検査結果の解釈に迷いが生じたときにそっと見直していただきたい情報をコンパクトにまとめました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    子どもの検査値の判断に迷ったら定価8,800円(税込)判型B5判頁数394頁発行2023年12月編集「小児科」編集委員会電子版でご購入の場合はこちら

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乳がん脳転移例、全脳照射前のBEEPで脳特異的PFS改善

 脳転移を有する乳がん患者において、ERBB2(HER2)サブタイプにかかわらず、ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン(BEEP)導入療法を行ってから放射線の全脳照射を行った場合、全脳照射のみの場合よりも脳特異的無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、国立台湾大学病院のTom Wei-Wu Chen氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2023年12月21日号掲載の報告。 近年、乳がんに対する薬物療法は目覚ましい進歩を遂げており、術後再発や遠隔転移のコントロールが良好になっている。しかし、脳転移に奏効する薬剤は乏しく、治療の評価は確立していない。そこで研究グループは、BEEP導入療法を追加することで、全脳照射後の脳特異的PFSが改善するかどうかを検討するため、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。 研究グループは、2014年9月9日~2018年12月24日まで台湾の脳転移を有する乳がん患者を評価し、2021年12月31日まで追跡調査を行った。対象は、年齢20~75歳、全脳照射未実施、局所治療に適さない脳転移で少なくとも1つの測定可能な病変を有する乳がん患者であった。BEEP導入療法を3サイクル行った後に全脳照射を行う実験群と、全脳照射のみを行う対照群に2:1の割合で無作為に割り付けた。 主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく脳特異的PFS、全脳照射後の脳転移病変に対する他治療の開始、死亡であった。その他の評価項目は、8週後の脳特異的奏効率(ORR)、8ヵ月後の脳特異的PFS率、PFS、全生存期間であった。 主な結果は以下のとおり。・合計118例が無作為化され、intention-to-treatコホートは112例(実験群74例、対照群38例)で構成された。年齢中央値は56歳(範囲:34~71)、61例(54.5%)がERBB2陽性であった。・脳特異的PFSの中央値は、実験群は8.1ヵ月(範囲:0.3~29.5)、対照群は6.5ヵ月(範囲:0.9~25.5)であった(ハザード比:0.71、95%信頼区間:0.44~1.13、p=0.15[事前に設定した有意水準を超えていたため有意])。・8週後の脳特異的ORRに有意差はなかった(実験群41.9%、対照群52.6%)。・8ヵ月後の脳特異的PFS率は、実験群は48.7%であった一方で対照群は26.3%であり、実験群において有意に高かった(p=0.03)。・有害事象は、予防的なG-CSF製剤投与で管理可能であった。 これらの結果より、研究グループは「この知見は、放射線の全脳照射の前にBEEP導入療法を行うことで、脳転移を有する乳がんのコントロールが改善する可能性があることを示しており、難治性脳転移および頭蓋外転移に対する全身療法のアンメットニーズに対応できる可能性がある」とまとめた。

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第193回 両親の老老介護で思い知る「地域包括ケアシステムって何?」

今回はやや私事で恐縮だが、医療・介護を考える上で見逃せないと思う事態を現在進行形で経験しているので、それについて触れてみたい。80代後半の私の両親は今も健在で、実家で暮らしている。周囲の同世代では両親ともにすでに他界しているケースも少なくない中では、無事生きていること自体がありがたい。しかし、年齢からもわかるように当然ながら完全な健康体ではない。とくに父親は軽度認知障害(MCI)持ちである。現状は物が覚えにくくなり、私や母親が言ったこともすぐ忘れるが、本人も十分自覚があり、「最近の仕事? 物忘れ。ガハハハ」と口にするほどだ。むしろ物忘れには周囲も本人もある程度慣れてきている。そして、かれこれ7~8年前くらいから歩行がかなり遅くなり、リハビリに通っている。一時は周囲が「もう歩けなくなるのでは?」と危惧するほどだったが、リハビリのおかげで持ち直した。とはいえ、やはり周囲と比べれば歩みがかなりゆっくりで、時にシルバーカーを使う。現在の歩行状況はシルバーカーなしでは約5分おき、シルバーカー利用でも約8~9分おきに休憩を取らねばならない。現在1人で出歩くのは、シルバーカーを使いながら自宅近所を散歩する時ぐらいである。ところが父親は元来賑やかな繁華街が好きな人だ。性格的に陰キャ(陰気なキャラクター)で自分から何かのアクションを起こすタイプではないのだが、何となく賑やかなところ、具体的にはガラス越しに繁華街の賑わいが見える飲食店などで食事をしたり、お茶をしたりするのが好きなのである。父親が私や姉を訪ねて東京にふらりと出てくることができた時代は、人通りの多い市中のオープンエアのカフェを利用したがるのが常だった。しかし、前述のような状況なので、現在は繁華街に出かける際には母親の付き添いが必要だ。母親も市街地でのイベントなどを検索し、土日になると父親を繁華街周辺に連れ出し、喜ぶ父親の写真をLINEで送ってくる。そんな母親が先日、珍しく「本心ではイライラして仕方がないが、我慢している」という趣旨の愚痴をこぼしてきた。何かというと、繁華街から戻る最中、父親が5分おきにベンチなどに腰を掛けて休憩を取ることに付き合うのが疲れて仕方がないということなのだ。まだ普通に歩くことができる母親にとっては、一般成人ならば徒歩15分くらいの距離の移動に1時間以上かかることはかなりのストレスだろう。ここは無視してはならぬと思い、仕事の手を止め、必死にLINEでやり取りを続けた。そうした中で母親から出てきたのが、「適当な軽量の車椅子はないものだろうかね?」という話だった。要は折り畳みで軽量の車椅子を父親と外出するときに持ち歩き、父親が休みたいと言い出した時にそれをさっと展開して父親を乗せて母親が介助し、また父親が歩きたいと言えば、その時はまた折りたたむというような使い方ができるものである。そうすれば父親の休みたいという願望と母親のストレス解消の一石二鳥になる。正直、母親が介護疲れで倒れるのは私も望まない。ということで、いつもは物ぐさで知られている自分も動き出した。偶然、身近に使わない車椅子を保有する人がいたので、まずはそれを譲ってもらったが、自走もできるかなりの重量のものだったので、今母親が求めているものとは異なった。なんせ80代半ば過ぎの老老介護で、細腕の母親が申し訳程度の折り畳みができるだけの10kg超の車椅子を扱えるわけがない。そこで年末年始に実家に戻ったついでに、地元の介護ショップを覗いてみることにした。ところがここでまず大きな壁にぶち当たった。東北地方の首都と呼ばれる街だが、インターネット検索で見つかるめぼしい介護用品ショップは10店舗程度。そのうちアクセスが良い百貨店内の店舗2ヵ所に行ってみたが、あるのはシルバーカーか自走式車椅子という左右両翼のような典型的商品のみ。うち1店舗にはかろうじて重量10kgちょうどの軽量折り畳み車椅子が展示してあった。私の感覚では十分軽いと思ったが、後日母親が1人で訪ねて触ってみたところ、本人にとってはまだ重いとのことだった。これよりも約2kg軽いタイプは、カタログ上では見せられたが、あくまで「購入前提の取り寄せになる」という。車椅子の場合、使用する人、介助者双方にとっての使いやすさのバランスが重要であり、実機に触れることなしに購入は考えられない。そこでやむなく私がその車椅子の発売元に連絡を取ったところ、私の地元の県にある2ヵ所の大手介護ショップを挙げ、そこからの依頼があればデモ機を貸し出せるとのこと。一瞬、光明が見えた感じだったが、教えられたショップはともに郊外型ショッピングセンターのように、鉄道駅から徒歩15分以上とアクセスが悪い。父親はもともと車の運転が好きな人だったが、今のような徴候が見え始めた5年ほど前に運転免許証を返納。母親と私は元来ペーパードライバーである。「ショップ最寄り駅からタクシーを使えば?」という声も聞こえてきそうだが、それは首都圏などの感覚。この2件のショップの最寄り駅は、駅前に客待ちタクシーがいない駅なのだ。かといって父親の歩みに合わせて、真冬に老夫婦が1時間以上かけてショップまで歩くのは明らかに無理がある。繁華街と違って休憩できるベンチも途中にはないだろう。結局、母親は車が出せそうな知人に連絡を取った。今回、改めて痛感させられたのが、首都圏とその他の地方都市の差。そして介護サービス・商品のグラデーションの少なさである。父親のような、健康と病気の合間のような状態の人に使いやすいサービス、老老介護を前提にしたサービスはまだまだ少ない。もちろん今は社会全体が超高齢化社会というマインドに移行していく過渡期なのだから、そうなのだろう。しかし、長らく「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム」というフレーズを耳にタコができるほど聞かされてきた身からすると、今回の経験で改めて「地域包括ケアシステムって何?」と思ってしまうのだ。

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フェニルケトン尿症、約30年ぶりの新薬

フェニルケトン尿症、約30年ぶりの新薬フェニルアラニン(Phe)は必須アミノ酸の1種であり、食事などから摂取したPheは主にPhe水酸化酵素(PAH)によりチロシンに変換される。しかし、フェニルケトン尿症(PKU)ではPheを分解するPAHの活性が先天的に低下することで、Pheの蓄積や血中Phe値の上昇が起こり、尿中にPheや代謝産物のフェニルピルビン酸が大量に排泄される。過剰なPheや代謝産物が正常の代謝を阻害することで、新生児や乳児期では脳構築障害による精神発達遅滞、成人においてもさまざまな精神症状や酸化ストレスの成因となるとされており、生涯を通じて治療が必要とされている。フェニルケトン尿症の治療における課題PKUの治療は基本的に生涯にわたる食事療法である。たんぱく質を制限することでPheの摂取を抑えるため、肉、魚、卵、豆類、乳製品などの高蛋白食品を食べることはほとんどできないとされている。野菜などの低蛋白食品に加えて、治療用ミルク(フェニルアラニン除去ミルク)で不足するその他のアミノ酸やカロリーを補うのだ。一生涯続く食事制限は食べる楽しみの低下や外食機会の喪失など、患者さんのQOL低下につながる可能性があるが、これまで解決策はなかった。パリンジックの登場で変わる患者さんの生き方このような状況の中、約30年ぶりにPKU治療薬としてペグバリアーゼ(製品名:パリンジック)が登場した。パリンジックはフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を免疫原性の低減と消失半減期の延長を目的としてポリエチレングリコール化した製剤であり、PAHの酵素活性を代替し、Pheをアンモニアとケイ皮酸に代謝することで、血中Phe濃度を低下させる。使用する際は2.5mgから開始し、導入期に4週間、漸増期に5週間以上かけて20mgまで増量する。20mgで効果不十分な場合は最大60mgまで増量が可能。日本人を対象とした臨床試験では、投与開始後経時的に血中Phe濃度が低下していた。さらに、この血中Phe濃度の推移を各症例で検討したところ、観察期間中のある日を境に、大幅に血中Phe濃度が低下する例が数例観察されており、このタイミングでパリンジックが効果を発揮したと推測される。ただし、効果発揮にかかる時間は個人差があるため、まずは治療を中断しないことが重要である。効果発現後はたんぱく質制限の必要はなくなるため、食事制限のない生活を送ることが可能だ。生涯を通じた食事制限は食事の楽しみだけではなく、食事の伴うイベントなどの機会もPKU患者から奪うものとなっていた。パリンジックの登場により、単なる食事だけではない、さまざまな制約が解決されることに期待がかかる。

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非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める

Common Diseaseの画像所見を整理し深く理解「臨床放射線」68巻12号(2023年12月臨時増刊号)日々の診療でよく目にする疾患、Common Diseaseであっても、非典型的な所見を知らないと正しい診断にたどり着けないことがあります。また、典型的所見であっても、画像診断を行ううえで類似の所見を示す他の疾患との鑑別は欠かせません。そこで本年の臨時増刊号は「非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める」と題し、放射線科の関係者が日々取り組むCommon Diseaseの画像診断に役立つ特集を企画しました。日常診療のレベルアップにご用立てください。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    非典型症例と類似疾患を知ってCommon Diseaseを極める定価9,350円(税込)判型B5判頁数270頁発行2023年12月編集「臨床放射線」編集委員会電子版でご購入の場合はこちら

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不眠症の診断治療に関する最新情報~欧州不眠症ガイドライン2023

 2017年以降の不眠症分野の進歩に伴い、欧州不眠症ガイドラインの更新が必要となった。ドイツ・フライブルク大学のDieter Riemann氏らは、改訂された欧州不眠症ガイドラインのポイントについて、最新情報を報告した。Journal of Sleep Research誌2023年12月号の報告。欧州不眠症ガイドライン2023の主なポイント 改訂された欧州不眠症ガイドラインの主なポイントは以下のとおり。・不眠症とその併存疾患の診断手順に関する推奨事項は、臨床面接(睡眠状態、病歴)、睡眠アンケートおよび睡眠日誌(身体検査、必要に応じ追加検査)【推奨度A】。・アクチグラフ検査は、不眠症の日常的な評価には推奨されないが【推奨度C】、鑑別診断には役立つ可能性がある【推奨度A】。・睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害、睡眠関連呼吸障害など)が疑われる場合、治療抵抗性不眠症【推奨度A】およびその他の適応【推奨度B】を評価するために使用する必要がある。・不眠症に対する認知行動療法は、年齢を問わず成人(併存疾患を有する患者も含む)の慢性不眠症の第1選択治療として、対面またはデジタルにて実施されることが推奨される【推奨度A】。・不眠症に対する認知行動療法で十分な効果が得られない場合、薬理学的介入を検討する【推奨度A】。・不眠症の短期(4週間以内)治療には、ベンゾジアゼピン系睡眠薬【推奨度A】、ベンゾジアゼピン受容体作動薬【推奨度A】、daridorexant【推奨度A】、低用量の鎮静性抗うつ薬【推奨度B】が使用可能である。利点と欠点を考慮して、場合により、これら薬剤による長期治療を行うこともある【推奨度B】。・いくつかのケースでは、オレキシン受容体拮抗薬を3ヵ月以上使用することができる【推奨度A】。・徐放性メラトニン製剤は、55歳以上の患者に対し最大3ヵ月間使用可能である【推奨度B】。・抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、即放性メラトニン製剤、ラメルテオン、フィトセラピーは、不眠症治療に推奨されない【推奨度A】。・光線療法や運動介入は、不眠症に対する認知行動療法の補助療法として役立つ可能性がある【推奨度B】。

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2次観察分析としてこういった観点はいかがなものか?(解説:野間重孝氏)

 今回の研究は、著者らのグループが2018年にLancet誌に発表したHigh-STEACS試験の関連観察研究である。正直に言って論点がわかりにくく、論文を誤解して読んだ方が多かったのではないかと心配している。 著者らはHigh-STEACS試験において、急性冠症候群(ACS)を疑われた患者に対して、トロポニンIの高感度アナリシスを用いることにより、より多くの心筋障害患者を同定することができたのだが、標準法を用いた場合と1年後の予後に差がなかったことを示した。この論文はジャーナル四天王でも取り上げられたのでお読みになった方も多いと思うが、当時の論調では著者ら自身、そこまで言い切ってよいものか迷いが見られていたのだが、本論文でははっきり「心イベントが有意に減少することはなかった」という表現で断定している。分析法とカットオフ値が確定したことが要因だったのではないかと推察する。 本研究はHigh-STEACS試験の2次観察分析で、今回は非虚血性と診断された高感度アッセイによる再分類患者の5年後の予後を調査したものである。心筋梗塞と診断された患者の予後は高感度アッセイの結果とは関係がなかった一方、非虚血性心筋障害の患者では再分類され、適切な治療を受けた患者の予後が良かったとしたもので、高感度アッセイは非虚血性心筋障害を発見し、適切な治療を施すことに貢献できるのではないかとしている。やや乱暴な解釈の仕方をすると、「心筋梗塞を診断するためには標準法で十分であり、高感度アッセイはその他の心筋障害を見つけ出すことにこそ寄与する」と言っていると言えなくもない。 現在、心筋梗塞のバイオマーカーとしてはCK-MB、トロポニンT&I、H-FABP、ミオシン軽鎖が使用されており、一時はCK-MBが最も一般的な検査項目だったが、Universal Definition以来、現在ではもっぱらトロポニンが使用されている。なお、CK-MBは連続測定することにより梗塞のサイズの推定が行われていた時期もあったが、現在では行われていない。 ところが検査というのは皮肉なもので、感度が上がると本来検出されない濃度のものまでが検出されて問題にされるようになる。心筋トロポニンは確かに心筋に特異的なタンパク質であるが、敗血症、腎不全、肺塞栓症、心不全、外科的治療後、SARS-CoV-2感染症など、さまざまな非心疾患でも心筋の障害が惹起されることによりわずかな上昇を示すことが知られている。何回か測定し、測定値にはっきり高低がつけば虚血性、ほぼ同じ値を示せば非虚血性と判断できるが、できるだけ早い判断が求められる救急の現場にはそのようなやり方は通用しないだろう。 これは国情の違いということになるのだろうが、わが国(米国においても同じだが)においては、臨床症状、諸検査からACSが強く疑われた場合は、血液検査の結果がすべて出そろうのを待つことなく緊急カテーテル検査が行われるのが常識となっており、それに対応できない組織は第3次救急施設には認定されない。虚血性心疾患ではonset-to-balloon timeがすべてを決めると言っても過言ではないからである。その意味でACSが強く疑われる患者を2次救急施設に留め置くことは厳に控えるべきで、ただちに3次施設に搬送することが望ましい。 高感度アッセイを行うことにより諸疾患に伴う心筋障害を発見し、より適切な治療を行うという主旨にはまったく異論はないが、それをACSの診断・治療と絡めて論ずるのは適当とは言えないと考えるものである。さらに付け加えることをお許しいただけるならば、SARS-CoV-2による心筋炎は大変話題になったが、この診断にトロポニン測定がぜひ必要だったとは言えない。それぞれの疾患にはその主流となる診断・治療の流れがあり、トロポニン測定はその手助けにはなるであろうが、決して主流ではない。大きな臨床研究が行われた場合、その追跡調査や2次観察研究が行われるのは自然の流れではあるが、今回の研究についてはこのような一流誌に掲載される性格のものではなかったのではないかというのが、評者の偽らざる感想である。

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第194回 能登半島地震、被災地の医療現場でこれから起こること、求められることとは~東日本大震災の取材経験から~

木造家屋の倒壊の多く死因は圧死や窒息死こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。元日に起きた、最大震度7を観測した能登半島地震から9日が経過しました。最も被害が大きかった石川県では、1月9日現在、死者202人、負傷者565人、安否不明者102人と発表されています。1月8日現在の避難者数は2万8,160人とのことです。テレビや新聞などの報道をみていると、木造家屋の倒壊の多いことがわかります。その結果、死因は圧死や窒息死が大半を占めているようです。道路の寸断などによって孤立している集落がまだ数多く、避難所の中にも停電や断水が続いているところもあります。さらには、避難所が満員で入所できない人も多いようです(NHKニュースではビニールハウスに避難している人の姿を伝えていました)。本格的な冬が訪れる前に、被災した方々が、まずは一刻でも早く、ライフラインや食料が整った避難所やみなし避難所(宿泊施設等)への避難できることを願っています。東日本大震災との大きな違い1995年に起きた阪神・淡路大震災では、約80%が建物倒壊による圧死や窒息死でした。このときの教訓をもとに組織されたのがDMATです。しかし、2011年に起きた東日本大震災では津波の被害が甚大で、死亡者の8〜9割が溺死でした。震災直後、私は被災地の医療提供体制を取材するため宮城県の気仙沼市や石巻市に入りましたが、阪神・淡路と同じような状況を想定して現地入りしたDMATの医師たちが、「数多くの溺死者の前でなすすべもなかった」と話していたのを覚えています。今回の地震は、津波の被害より建物倒壊の被害が圧倒的に多く、その意味で震災直後のDMATなどの医療支援チームのニーズは大きいと考えられます。ただ、道路の寸断などで、物資や医療の支援が行き届くまでに相当な時間が掛かりそうなのが気掛かりです。これから重要となってくるのは“急性期”後、“慢性期”の医療支援震災医療は、ともすれば被災直後のDMATなどによる“急性期”の医療支援に注目が集まりますが、むしろ重要となってくるのは、その後に続く、“慢性期”の医療支援だということは、今では日本における震災医療の常識となっています。外傷や低体温症といった直接被害に対する医療提供に加え、避難所等での感染症(呼吸器、消化器)や血栓塞栓症などにも気を付けていかなければなりません。その後、数週間、数ヵ月と経過するにつれて、ストレスによる不眠や交感神経の緊張等が高血圧や血栓傾向の亢進につながり、高血圧関連の循環器疾患(脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、心不全など)が増えてくるとされています。そのほか、消化性潰瘍や消化管穿孔、肺炎も震災直後に増えるとのデータもあります。DMAT後の医療支援は、東日本大震災の時のように、日本医師会(JMAT)、各病院団体や、日本プライマリ・ケア連合学会などの学会関連団体が組織する医療支援チームなどが担っていくことになると思われますが、過去の大震災時と同様、単発的ではなく、長く継続的な医療支援が必要となるでしょう。ちなみに厚生労働省調べでは、1月8日現在、石川県で活動する主な医療支援チームはDMAT195隊、JMAT8隊、AMAT(全日本病院医療支援班)9隊、DPAT(災害派遣精神医療チーム)14隊とのことです。避難所や自宅で暮らす高齢者に対する在宅医療のニーズが高まる医療・保健面では、高血圧や糖尿病、その他のさまざまな慢性疾患を抱えて避難所や地域で暮らす多くの高齢者の医療や健康管理を今後どう行っていくかが大きな課題となります。そして、避難所や自宅で暮らす住民に対する在宅医療の提供も必要になってきます。東日本大震災では、病院や介護施設への入院・入所を中心としてきたそれまでの医療提供体制の問題点が浮き彫りになりました。震災被害によって被災者が病院・診療所に通えなくなり、在宅医療のニーズが急拡大したのです。この時、気仙沼市では、JMATの医療支援チームとして入っていた医師を中心に気仙沼巡回療養支援隊が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応。その支援は約半年間続き、その時にできた在宅医療の体制が地域に普及・定着していきました。奥能登はそもそも医療機関のリソースが少なかった上に、道路が寸断されてしまったこと、地域の高齢化率が50%近いという状況から、地域住民の医療機関への「通院」は東日本大震災の時と同様、相当困難になるのではないでしょうか。東日本大震災が起こった時、気仙沼市の高齢化率は30%でした。今回、被害が大きかった奥能登の市町村の高齢化率は45%を超えています(珠洲市50%、輪島市46% 、いずれも2020年)。「気仙沼は日本の10年先の姿だ」と当時は思ったのですが、奥能登は20年、30年先の日本の姿と言えるかもしれません。テレビ報道を見ていても、本当に高齢者ばかりなのが気になります。東日本大震災では、被災直後からさまざまな活動に取り組み始めた若者たちがいたのが印象的でした。しかし、これまでの報道を見る限り、被災者たちは多くが高齢で“受け身”です。東日本大震災や熊本地震のときよりも、個々の被災者に対する支援の度合いは大きなものにならざるを得ないでしょう。プライマリ・ケア、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、多職種による医療・介護の連携これからの医療提供で求められるのは、プライマリ・ケアの診療技術であり、医療と介護をシームレスにつなぐ「かかりつけ医」機能、そしてさまざまな多職種による医療・介護の連携ということになるでしょう。東日本大震災、熊本地震、そして新型コロナウイルス感染症によるパンデミックで日本の医療関係者たちは多くのことを学んできたはずです。日本医師会をはじめとする医療関係団体の真の“力”が試される時だと言えます。ところで、被災した市町村の一つである七尾市には、私も幾度か取材したことがある、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(426床)があります。同病院は関連法人が運営する約30の施設と共に医療・介護・福祉の複合体、けいじゅヘルスケアシステムを構築し、シームレスなサービスを展開してきました。同病院も大きな被害を被ったとの報道がありますが、これまで構築してきたけいじゅヘルスケアシステムという社会インフラは、これからの被災地医療の“核”ともなり得るでしょう。頑張ってほしいと思います。耐震化率の低さは政治家や行政による不作為にも責任それにしても、なぜあれほど多くの木造住宅が倒壊してしまったのでしょうか。1月6日付の日本経済新聞は、その原因は奥能登地方の住宅の低い耐震化率にある、と書いています。全国では9割近くの住宅が耐震化しているのに対して、たとえば珠洲市では2018年末時点で基準をクリアしたのは51%に留まっていたそうです。ちなみに輪島市は2022年度末時点で46%でした。耐震化は都市部で進んでいる一方、過疎地では大きく遅れているのです。その耐震基準ですが、建築基準法改正で「震度5強程度で損壊しない」から「震度6強〜7でも倒壊しない」に引き上げられたのは1981年、実に40年以上も前のことです。きっかけは1978年の宮城県沖地震(当時の基準で震度は5、約7,500棟の建物が全半壊)でした。仙台で学生生活を送っていた私は、市内で地震に遭遇、ブロック塀があちこち倒れまくった住宅街の道路を自転車で下宿まで帰ってきた記憶があります。各地域(家の建て替えがないなど)や個人の事情はあるとは思いますが、法改正後40年経っても耐震化が進んでおらず、被害が大きくなってしまった理由として、政治家(石川県選出の国会議員)や行政による不作為もあるのではないでしょうか。もう引退しましたが、あの大物政治家は石川県にいったい何の貢献をしてきたのでしょうか。お金をかけてオリンピックを開催しても、過疎地の住民の命は守れません。いずれにせよ、全国各地の過疎地の住宅の耐震化をしっかり進めておかないと、また同じような震災被害が起こります。政府にはそのあたりの検証もしっかりと行ってもらいたいと思います。

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先発品と後発品の差額の一部が自己負担に?10月から【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第124回

厚生労働省は2023年12月の社会保障審議会医療保険部会などで、後発医薬品のある先発医薬品(いわゆる長期収載品)について、後発医薬品との差額の一部を自己負担化するという本格的な議論を始めました。これで自己負担額の増大が決定的になりそうです。ジェネリック(後発医薬品)がある特許切れの先発医薬品について、厚生労働省は来年10月から患者の負担額を増やす方向で最終調整に入った。後発薬との差額の25%を保険適用の対象外とし、自己負担化する。医療上の必要がある人を除き、先発薬からより安価な後発薬への移行を促進して医療費の抑制を図る。(中略)保険対象外となった部分は、入院時の差額ベッド代のように、自己負担を求められる「選定療養」扱いとなる。(2023年12月20日付 朝日新聞デジタル)これまでも、患者さんの希望で長期収載品を受け取る場合に、後発医薬品との差額の一部を保険外の「選定療養」とすることが議論されていました。「選定療養」とは、社会保険に加入している患者さんが、追加費用を自身で負担することで保険適用外の治療を、保険適用の治療と併せて受けることができる医療サービスのことです。選定療養扱いになると、1割や3割といった負担割合ではなく、その一部が保険外の扱いになって自己負担が増えます。詳細については年明けから中医協で議論がされるようです。現時点では、今回の制度の対象は、後発医薬品の上市後5年以上経過したもの、または後発医薬品の置換率が50%以上となったものが対象で、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の3までが保険給付の対象となるようです。ということは、価格差の4分の1については、1割負担の患者さんも3割負担の患者さんも同額の負担増になります。0割負担の患者さんでも同額の自己負担が発生します。いつも負担割合が少なく、先発医薬品を好んで使用する患者さんではなかなかの混乱が生じる可能性がありますね。今後の詳細な議論を見守っていく必要があります。後発医薬品の使用は約20年間も国の施策として後押しされてきたので、今回の長期収載品の選定療養扱いの開始は個人的には医療費抑制政策として正しい方向かなと思います。しかし、このコラムでも再三お伝えしているように、後発医薬品不足は深刻な状況です。今回の変更で、先発医薬品を好んで使用していた患者さんの一定数は後発医薬品に変更すると思われます。負担額の増額に医薬品自体の品薄で混乱は必至でしょう。なにもこのタイミングでなくてもよいのでは…と思ってしまいます。通常、制度の変更はおおむね4月からのスタートが多いですが、長期収載品の選定療養扱いは10月スタートを見越しています。今年は薬価改定が4月1日、診療報酬改定が6月1日に施行されますので、それに長期収載品の選定療養扱いが10月1日に施行されるとなると、なんとなく慌ただしい1年となることが予想されますね…。詳細が決まり次第、ふわっとした話でもいいのできちんと国民に向けて説明をしてほしいなと思います。

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臨床実習で指導医が求めていることとは【医学生お悩み相談ラヂオ】第24回

動画解説今回は医学部5年の女性から、ベテラン指導医に求められる「カンファレンスでの1回以上の質問」に対して、どのようなことを発言するべきか悩んでいるとのこと。この課題の真意、さらにはメリットを民谷先生に解説いただきます。

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サイアザイド系利尿薬による低ナトリウム血症、最初の数ヵ月間の発症リスクが高い

 デンマーク国立血清研究所のNiklas Worm Andersson氏らが、サイアザイド系利尿薬による低ナトリウム血症の累積発生率について、その他薬効クラスの降圧薬と比較・推定を行った。その結果、治療開始から最初の数ヵ月間において、サイアザイド系利尿薬では添付文書等で示されている1)よりも低ナトリウム血症のリスクが高かったことが明らかになった。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2023年12月19日号掲載の報告。1.頻度不明/まれ/非常にまれ(10,000分の1~100分の1未満と定義)と記載されている。サイアザイド系利尿薬による低ナトリウム血症の2年累積発生率、BFZで3.83% 本研究は2014年1月1日~2018年10月31日にデンマークで実施された人口登録ベースの観察研究を用いて、2つのtarget trial emulation2)を行った。主要評価項目は治療開始から2年以内の血中Na値130mmol/L未満の累積発生率。2.標的試験の模倣。観察研究データを用いて、仮想的なランダム化臨床試験を模倣すること。 対象者は直近で降圧薬が処方されておらず、低ナトリウム血症の既往歴のない40歳以上。1つ目のtarget trial emulationでは、bendroflumethiazide(BFZ、国内未承認)とカルシウム拮抗薬(CCB)の新規使用について比較し、2つ目のtarget trial emulationでは、ヒドロクロロチアジド・RA系阻害剤の配合剤とRA系阻害薬の新規使用について比較した。 サイアザイド系利尿薬による低ナトリウム血症の累積発生率について他の降圧薬と比較した主な結果は以下のとおり。・1つ目のtarget trial emulationではBFZ3万7,786例、CCB4万4,963例の新規処方患者を比較し、2つ目では配合剤1万1,943例とRA系阻害薬8万5,784例の新規処方患者を比較した。・2年間における低ナトリウム血症の累積発生率は、BFZで3.83%、配合剤で3.51%だった。リスク差は、BFZvs.CCBで1.35%(95%信頼区間:1.04~1.66)、配合剤vs.RA系阻害薬では1.38%(同:1.01~1.75)だった。・リスク差は、高齢、併存疾患の負荷が高いほど大きくなり、各ハザード比は、治療開始最初の30日間では3.56(同:2.76~4.60)および4.25(同:3.23~5.59)で、治療開始1年後のHRは1.26(同:1.09~1.46)および1.29(同:1.05~1.58)だった。 ただし、本研究の制限として、研究者らは「処方箋の記載と実際に使用された薬剤が同等という仮定に基づく交絡が残存する可能性が高い」としている。

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抗精神病薬治療が統合失調症患者のQOLに及ぼす影響

 統合失調症およびその他の精神病性スペクトラム障害の患者に対し、薬理学的な抗精神病薬による介入は基盤となる治療である。また、「最善」とされる治療法の選択は、いくつかの臨床領域に基づき行われるべきである。しかし、利用可能な治療法があるにもかかわらず、抗精神病薬を服用中の統合失調症患者から報告されるQOLは依然として非常に低く、抗精神病薬治療の有効性を評価した試験でこの結果が考慮されることはほとんどない。イタリア・カンパニア大学のGaia Sampogna氏らは、抗精神病薬治療が患者のQOLに及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューを実施した。その結果、統合失調症患者にとって適切な治療法を選択するうえで、QOLが中心的な要素であることが確認された。Brain Sciences誌2023年11月10日号の報告。 抗精神病薬治療を行っている統合失調症患者のQOL改善の違いを特定するため、次の3点を評価した。(1)抗精神病薬製剤(経口剤、持効性剤、持効性注射剤)、(2)抗精神病薬カテゴリ(第1世代、第2世代、第3世代)、(3)患者の臨床的特徴。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、111件の論文を含めた。・抗精神病薬の有効性を評価した試験において、生活の質はたいていの場合、副次的アウトカムとして評価されていた。・第2世代抗精神病薬はQOLに、より良い影響を与えていた。・長時間作用型注射剤抗精神病薬は、QOLのより安定した改善、良好な安全性および忍容性プロファイルと関連していた。 著者は、「より優れた忍容性プロファイル、患者の認知機能および社会的機能に対する有効性が証明されており、より安定した血中濃度を維持できるといった新規治療法が利用可能であれば、統合失調症患者のQOLを改善するための適切な治療戦略となる可能性がある」としている。

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米国の包括的プライマリケア+、手挙げ診療所は増収/JAMA

 包括的プライマリケアプラス(Comprehensive Primary Care Plus:CPC+)は、サービス利用率の低下および急性期入院医療費の減少と関連していたが、5年間の総支出額の減少とは関連していなかったことが、米国・MathematicaのPragya Singh氏らによる検討で示された。CPC+は米国の18地域で導入された最大の検証済みプライマリケア提供モデル。その健康アウトカムとの関連を明らかにすることは、将来の転換モデルを設計するうえで重要とされていた。JAMA誌オンライン版2023年12月15日号掲載の報告。CPC+介入5年間のアウトカムの変化をCPC+診療所と対照診療所で比較 研究グループは、差分の差分回帰モデルを用い、CPC+診療所(介入群)および対照診療所(対照群)の出来高払いメディケア受給者に関して、ベースライン(CPC+導入前年の2016年)とCPC+導入後各年(2017~21年の5年間)のアウトカムの変化を比較した。 介入群には、2017年にCPC+開始を申請し、最低限の医療提供およびその他の適格要件を満たした、track 1の1,373ヵ所(受給者154万9,585人)およびtrack 2の1,515ヵ所(受給者534万7,499人)の診療所が組み込まれた。2つのtrackには、他の支払機関よりも高額な報酬(さらにtrack 2のほうが高額)、出来高報酬の選択肢(track 2のみ)、医療提供要件(5つのCPC+機能[アクセスと継続性、ケアマネジメント、包括性と調整、患者・介護者とのエンゲージメント、計画的ケアと地域住民の健康])の設定(track 2は、さらに複雑なニーズを持つ患者を適切にサポートできるようtrack 1の基準に加えて高度な医療提供アプローチ提供の要件あり)、データのフィードバック、学習の機会提供、医療情報技術サポートといった介入が行われた。 対照群は、介入群と類似の出来高払いメディケア受給者、診療所およびサービスニーズの特性を持つよう傾向スコアのマッチングと再重み付けが行われ、CPC+導入地域の近接地域から、track 1に5,243ヵ所(受給者534万7,499人)、track 2に3,783ヵ所(受給者450万7,499人)の診療所が組み込まれた。 事前に規定された主要アウトカムは、年換算したメディケアパートAおよびBの受給者1人当たりの月額医療費(per beneficiary per month:PBPM)で、副次アウトカムは主な支出(入院、外来、医師など7項目)、利用指標(急性期入院、救急外来受診など8項目)、請求ベースでみた医療の質の指標(糖尿病に関する推奨サービス、乳がん検診、予定外の再入院など27項目)などであった。CPC+は、総支出額の変化や、医療の質の変化と関連せず CPC+の患者背景は、白人87%、黒人5%、ヒスパニック3%、その他の人種5%(アジア/その他の太平洋諸島およびアメリカ先住民を含む)であった。CPC+患者の85%は65歳以上で、58%が女性であった。 CPC+は、総支出額(PBPM)の目に見える変化とは関連していなかったが(track 1:1.1ドル[90%信頼区間[CI]:-4.3~6.6]、p=0.74/track 2:1.3ドル[-5~7.7]、p=0.73)、高額な報酬など支出の増加と関連していた(track 1:13ドル[7~18]、p<0.001/track 2:24ドル[18~31]、p<0.001)。 副次アウトカムでは、CPC+は導入1年目で救急外来受診の減少と関連し、2年目以降では急性期入院および急性期入院費の減少と関連していた。その関連性は、メディケア共同節減プログラム(Medicare Shared Savings Program)にも参加している診療所およびCPC+システムに依存はしていない診療所で、より好ましい関連性が認められた。また、CPC+は、請求に基づく医療の質の指標の有意な変化とは関連していなかった。 著者は、「CPC+と共同節減プログラムとの相乗効果は、コスト削減のインセンティブが専門分野全体で調整されていれば、転換モデルがより成功する可能性があることを示すものである」と述べ、「さらなるプライマリケアの転換モデルの適合および検証を行うとともに、モデルがよりよく機能するよう大きな視点で検討していく必要がある」とまとめている。

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市販薬の濫用が小学生に拡大、規制強化を検討【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第123回

2023年はコロナ禍が明け、通常の生活が戻った年でした。私個人としては、飲みに行ったり旅行に行ったりできるようになったことはとてもうれしく、働くことや生活することの楽しさが戻ってきたと感じました。しかし、人も物も環境もコロナ禍の前とまったく同じ状況に戻ったわけではなく、新しい対応に苦慮した薬剤師も少なくなかったのではないかと思います。若年者が多幸感を得る目的などで市販薬をオーバードーズ(過剰摂取)する問題はこのコラムでも何回も紹介していますが、状況は悪化して世間をさらに騒がせていて、新たな規制も検討されています。東京都目黒区の小学校で12月13日、児童2人が校内に持ち込んだ薬を過剰に摂取して体調不良を訴え、病院に救急搬送されていたことがわかった。警視庁幹部によると、いずれも搬送時に意識はあり、命に別条はないという。警視庁が薬を持ち込んだ経緯を調べている。(読売新聞オンライン 2023年12月15日付)過剰摂取したのが小学生!? しかも小学校で!? とびっくりしました。昨今は、スマホやタブレット、動画配信コンテンツなどが身近にあり、すぐにさまざまな情報が入手できる状況にあります。おそらく、小学生でも簡単に市販薬の過剰摂取の情報を入手できたのでしょう。しかし、万が一そのような情報に触れたとしても、実際に服用する医薬品が簡単に入手できてしまったということは大きな問題です。今回のニュースは小学生という点が衝撃的ではありますが、ずいぶん前から問題になっていて規制が強化されました。現在、濫用の恐れのある医薬品の具体的な成分としては、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、ブロムワレリル尿素があります。2023年4月1日よりコデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンは鎮咳去痰薬に限らず総合感冒薬なども指定されました。薬機法施行通知では、購入者が高校生や中学生を含む子供である場合は、その氏名や年齢を確認するとともに使用状況を確認する旨の記載があり、これらが確認できない場合は販売を行わないとされています。しかし、これらの成分は一般用医薬品のうち第1類医薬品と第2類医薬品に分類されているため、インターネット販売も可能です。インターネット販売時の年齢や症状・購入目的の確認は簡単かつ性善説で設定されている場合が多く、結果として誰でも購入できてしまいます。これに関して、2024年に厚生労働省が若者の濫用防止に向け、市販薬を販売する際の規制強化を検討しているようです。子供が何らかの寂しい気持ちを抱えていたり、興味本位でよからぬ行動を起こしたりしそうなとき、薬剤師や登録販売者が医薬品の門番としてどう機能するのか、ここは腕の見せ所だと思います。ビシッと厳しい対応を示し、その対応をどこかで集積して学会などで発表してほしいなと思います。うまくいった例はぜひ広めてください。2024年はどんな1年になるのでしょうか。このコラムが少しでも皆さんの薬局の力になれるよう、頑張りたいと思います。

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模試が悪くてへこんでいます。えど先生助けてぇ~【医学生お悩み相談ラヂオ】第23回

動画解説今回は医学部6年の男性からのお悩みですが、心の叫びをそのまま文字にしたようでインパクト強めです。助けてぇ~と言われたえど先生の救出方法は?今年最後のえど先生節をたっぷりと味わってください。

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PDE5阻害薬、子供を増やす可能性/BMJ

 勃起不全の薬物治療の標的として確立しているホスホジエステラーゼ5(PDE5)の阻害は、遺伝学的に服用した男性の子供の数を増加させる可能性があることが、英国・ブリストル大学のBenjamin Woolf氏らの検討で示された。PDE5阻害薬は勃起不全の治療としてよく用いられているが、男性患者の生殖能力、性行動、主観的なウェルビーイングに及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2023年12月12日クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。メンデル無作為化研究によりPDE5阻害の遺伝学的な影響を評価 研究グループは、PDE5阻害(代替バイオマーカーとして拡張期血圧の低下を使用)と、男性の生殖能力、性的行動、自己報告によるウェルビーイングとの関連を評価する目的で、シス-メンデル無作為化研究を行った。 解析には、International Consortium for Blood PressureおよびUK Biobankから得られた遺伝的関連についての要約データを用いた。 International Consortium for Blood PressureとUK Biobankに参加した77のコホート、欧州系の合計75万7,601例について、拡張期血圧のゲノムワイド関連メタ解析を行い、PDE5阻害の指標となる遺伝子の一塩基多型を同定した。次いで、UK Biobankから得られた男性21万1,840例のデータを使用し、遺伝学的に推定されるPDE5阻害と、男性の子供の数、性的パートナーの数、性交渉の経験がない確率、および自己報告によるウェルビーイングとの関連を評価した。PDE5阻害は、男性がより多くの子をもうけることと関連 PDE5を代用阻害する5つの遺伝子変異が同定された。 シルデナフィル100mgの拡張期血圧低下作用(5.5mmHg)に換算すると、PDE5の遺伝子代用阻害は、男性参加者の子供の数が平均0.28人(95%信頼区間:0.16~0.39、偽発見率補正p<0.001)多いことと関連していた。この関連は女性参加者では確認されなかった。 PDE5の遺伝子代用阻害と、男性におけるその他の評価項目(性的パートナーの数、性交渉の経験がない確率、自己報告によるウェルビーイング)との関連は、いずれも確認されなかった。 著者は結果を踏まえて、「PDE5の遺伝子代用阻害と子供の数の増加との関連が女性参加者ではみられなかったことは、潜在的に根底にあるメカニズムとして、持続的で強力な勃起傾向が増すことを裏付けている。だからといって、有害な副作用を引き起こす可能性もあるPDE5阻害薬のむやみな使用を促進するべきではなく、さらなる研究が必要である」とまとめている。

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乳がん検診を科学する

あなたの乳がん検診は正しいですか?死亡率減少を目指した乳がん検診を行うために必要な知識を網羅した1冊。まず、がん検診そのものを学び、乳がん検診の統計データ・国際的な研究を紐解く。そして、さまざまなバイアス、利益、不利益について考え、日本における導入の歴史を知ることで理解を深める。高濃度乳房、ブレスト・アウェアネス、リスク層別化、HBOC等の話題のキーワードも詳細し、最後に医療者がよく聞かれる質問と模範回答をQ&A形式で示した。あなたは正しく回答できますか?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。    乳がん検診を科学する定価3,850円(税込)判型A5判頁数200頁(図数:4枚・カラー図数:61枚)発行2023年11月著者角田 博子、島田 友幸、高橋 宏和、竹井 淳子電子版でご購入の場合はこちら

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食物アレルギーの小児患者へ安全・有効な経口免疫療法/国立成育医療研究センター

 小児の食物アレルギーの2大原因である卵と牛乳。この2つの食物が摂取できるようにさまざまな治療が行われている。国立成育医療研究センター アレルギーセンターの宮地 裕美子氏らの研究グループは、鶏卵もしくは牛乳の食物アレルギーがある子供(4~18歳)に対し、食物経口負荷試験の閾値をもとに5つの方法(A~E群)で経口免疫療法を行い、それぞれの方法の安全性と有効性について電子カルテデータを用いて分析した。 その結果、閾値の1/100量から開始、1/10量で維持する方法が従来の方法よりも2回目の食物経口負荷試験の閾値上昇人数の割合が高く、重篤なアレルギー症状であるアナフィラキシー症状が出現することなく、症状が出現しても軽微なものに限られているということがわかった。Clinical & Experimental Allergy誌2023年12月号からの報告。微量開始維持群ではアナフィラキシーがなかった 宮地氏らは、鶏卵もしくは牛乳の食物アレルギーがある小児患者(4~18歳未満)217例を対象に、同センターの外来を受診し、1回目の食物経口負荷試験を受けた後、食物経口負荷試験の閾値をもとに5つの方法(A群:超極微量開始維持法[開始量は閾値の1/10,000]、B群:極微量開始維持法[開始量は閾値の1/100]、C群:微量開始維持法[開始量は閾値の1/10]、D群:従来法[開始量は閾値に近い量]、E群:完全除去)で経口免疫療法を行い、経口免疫療法中のそれぞれの方法の安全性と有効性について電子カルテデータを用いて分析した。  主な結果は以下のとおり。・A~C群の微量開始維持群は、D群の従来法よりも有害事象を経験した人数の割合が有意に少なかった(A群24.2%、B群13.7%、C群29.4% vs.D群70.5%)。・微量開始維持群のほとんどの有害事象が口やのどのかゆみなど軽微な症状であり、アナフィラキシーは認められなかった。・D群の従来法では、アナフィラキシーを含むアレルギー症状が認められた。・B群の極微量開始維持法はD群の従来法よりも2回目の食物経口負荷試験の閾値上昇人数の割合が高かった(B群88.2% vs.D群56.8%)。・食物特異的IgE値が上昇した人数の割合は、B群の極微量開始維持法(93.8%)がE群の完全除去(61.1%)より多かった。 また、宮地氏は、本治療法の実施について「本研究の微量開始維持群でも軽微とはいえ経口免疫療法中に症状が出現している。この研究で行われた治療法をそのまま実臨床で行うのではなく、患者の症状や重症度、その他の合併症の症状などに合わせ、アレルギー診療を熟知した専門医が症状出現時の救急対応に万全を期したうえで、慎重に行われることが求められる」と注意喚起も述べている。

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腎機能を考慮して帯状疱疹治療のリスク最小化を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第56回

 帯状疱疹治療はアメナメビルの登場により大きく変わりました。しかし、すべての患者さんがアメナメビル1択でよいわけではありません。既存の治療薬であっても腎機能を適切に評価することで安全に治療を行うことができます。ただし、過剰投与によるアシクロビル脳症や急性腎障害は重篤な副作用であることから、薬剤師のチェックが非常に重要です。患者情報75歳、女性(施設入居)体重40kg基礎疾患高血圧症、大動脈弁狭窄症、慢性心不全帯状疱疹ワクチン接種歴なし主訴腰部の疼痛と掻痒感直近の採血結果血清クレアチニン 0.75mg/dL処方内容1.バラシクロビル錠500mg 6錠 分3 毎食後 7日分2.ロキソプロフェン錠60mg 疼痛時 1回1錠 5回分3.アゾセミド錠30mg 1錠 分1 朝食後4.スピロノラクトン錠25mg 1錠 分1 朝食後5.カルベジロール錠10mg 1錠 分1 朝食後6.ダパグリフロジン錠10mg 1錠 分1 朝食後本症例のポイントこの患者さんは慢性心不全を基礎疾患として、循環器系疾患の併用薬が複数あります。今回、帯状疱疹と診断され、バラシクロビルとロキソプロフェンが追加となりました。しかし、この患者さんは低体重であり、かつ腎機能が低下(CG式よりCcrを算出したところ推算CCr40.9mL/min)していることから、腎排泄型薬剤の投与量の補正が必要と考えました。表1 バラシクロビル添付文書画像を拡大する現在のバラシクロビルの処方量では、代謝産物の9-carboxymethoxymethylguanine(CMMG)の蓄積による精神神経系(アシクロビル脳症)の副作用の発症リスクが高くなる可能性があります1)。利尿薬を併用していることから、腎機能増悪の懸念もありました。さらに、疼痛コントロールで処方されているロキソプロフェンも腎機能の増悪につながるので、できる限り腎機能への負担を軽減した治療薬へ変更する必要があると考え、処方提案することにしました。処方提案と経過医師に電話で疑義照会を行いました。腎機能に合わせたバラシクロビルの推奨投与量は1,000mg/回を12時間ごとの投与であり、現在の処方量(1,000mg/回を毎食後)では排泄遅延によるアシクロビル脳症や腎機能障害が懸念されることを説明しました。また、ロキソプロフェンは腎機能に影響が少ないアセトアミノフェンへの変更についても提案しました。医師より、肝代謝のアメナメビル200mg 2錠 夕食後に変更するのはどうかと聞かれました。治療薬価(表2)に差があるため、今度は費用対効果の問題が生じることを伝えたところ、バラシクロビル1,000mg/回を12時間ごとに変更するという指示がありました。また、ロキソプロフェンはアセトアミノフェン300mgを疼痛時に2錠服用するように変更すると返答がありました。その後、発症4日目に電話でフォローアップしたところ、腰部の疼痛および掻痒感は改善していて、その後も意識障害や精神症状の出現はなく経過しています。表2 治療薬価(著者作成、2023年12月時点)画像を拡大する1)筒井美緒ほか. 2006. 富山大学医学会誌;17:33-36.

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潰瘍性大腸炎リスクがコーヒーや炭酸飲料の摂取で減少/日本人での研究

 食事は潰瘍性大腸炎リスクに影響する可能性があるが、日本人でのエビデンスは乏しい。今回、日本潰瘍性大腸炎研究グループが、コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を症例対照研究で検討した。その結果、欧米よりコーヒーの摂取量が少ない日本においても、コーヒーやカフェインの摂取が潰瘍性大腸炎リスクの低下と関連することが示された。愛媛大学の田中 景子氏らがJournal of Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2023年12月10日号で報告。潰瘍性大腸炎リスクはカフェインの総摂取量と逆相関 本研究では、潰瘍性大腸炎の症例群として384人、対照群として665人が参加した。コーヒー、カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、炭酸飲料、チョコレート菓子の摂取量について半定量的食物摂取頻度調査票を用いて調査し、性別、年齢、喫煙、飲酒量、虫垂炎既往、潰瘍性大腸炎の家族歴、学歴、BMI、ビタミンC、レチノール、総エネルギー摂取量で調整した。なお、本研究は厚生労働科学研究費補助金の「潰瘍性大腸炎の発症関連及び予防要因解明を目的とした症例対照研究」班として実施された。 コーヒーやその他のカフェインを含む飲料・食品の摂取、カフェインの総摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連を検討した主な結果は以下のとおり。・コーヒーと炭酸飲料の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが減少し、有意な用量反応関係が認められた。一方、チョコレート菓子の摂取量が多いほど潰瘍性大腸炎リスクが有意に高かった。・カフェインレスコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶の摂取量と潰瘍性大腸炎リスクとの関連は認められなかった。・カフェインの総摂取量は潰瘍性大腸炎リスクと逆相関し、両極の四分位間の調整オッズ比は0.44(95%信頼区間:0.29~0.67)であった。

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