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労働安全衛生法改正法案は本当にメンタルヘルス対策の充実・強化になるのか

井上法律事務所 弁護士井上 清成 2012年6月4日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 1. メンタルヘルス対策の充実・強化 労働安全衛生法の一部を改正する法律案が政府より提出され、国会で審議中である。今は、受動喫煙対策の充実・強化の一環として打ち出された「職場の全面禁煙、空間分煙」の事業者への義務付けが議論の中心となっているらしい。しかし、その法律案の真の問題点は、むしろ「メンタルヘルス対策の充実・強化」というもう一つの柱の方にあるように思う。メンタルヘルス対策の充実・強化については、「労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、労働者の精神的健康の保持増進のための措置を充実する」必要があることが、その法律案の提出理由とされている。確かに、自殺者が毎年3万人を超えている現状においては、メンタルヘルス対策の充実・強化は喫緊の課題であろう。しかし、法律案を読む限り、本当にメンタルヘルス対策の充実・強化になっているのか、疑問が拭えない。2. 精神的健康の状況を把握するための検査法律案は、現行の労働安全衛生法で第66条から第66条の9までの10ヶ条に「健康診断」として規定されている条文の後ろに、「精神的健康の状況を把握するための検査等」という1ヶ条を、第66条の10として追加するものである。現行法に1ヶ条追加するのであるから、その程度はともかく、少なくとも充実・強化にはなるように、一見すると思えよう。新設の第66条の10の概要は、次のようなものである。「○医師又は保健師による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を行うことを事業者に義務付ける。○労働者は、事業者が行う当該検査を受けなければならないこととする。○検査の結果は、検査を行った医師又は保健師から、労働者に対し通知されるようにする。医師又は保健師は、労働者の同意を得ないで検査の結果を事業者に提供してはならないこととする。○検査の結果を通知された労働者が面接指導の申出をしたときは、医師による面接指導を実施することを事業者に義務付ける。○面接指導の申出をしたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこととする。○事業者は、面接指導の結果、医師の意見を聴き、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととする。」3. 健康診断からメンタルヘルス検査に縮減現行の労働安全衛生法は、その第66条第1項において、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」と規定していた。この「健康診断」には、問診その他の方法により心身の状況を把握することも含まれていると思われる。つまり、法的には、「精神的健康の状況を把握する」ことも包含されていたと言えよう。しかし、法律案は、メンタルヘルス検査などとして第66条の10を単に追加したのではない。併せて、第66条第1項にも修正を加えようとしている。「医師による健康診断」から「精神的健康の状況に係るものを除く。」とした。つまり、現行の労働安全衛生法上の「健康診断」から「精神的健康の状況を把握する」ことを除外し、「健康診断」の内容を縮減してしまおうとしているように思う。いわば「健康診断」から単なる「検査」への縮減である。そうだとすれば到底、メンタルヘルス対策の「充実・強化」とは評しえない。現に、日本産業衛生学会の産業医部会幹事会による2012年1月13日付け「“労働安全衛生法の一部を改正する法律案”のうち、『メンタルヘルス対策の充実・強化』の部分が、労働者のためにならないことが明らかなために、廃案または一旦保留として大幅な修正を求めます」との要望(ただし、現在は、改訂により廃止されたらしい。)では、「医師による健康診断で心の健康面は診ないことを求め」「心身の健康を分離して健康診断を行うことを強いる施策」として批判されていた。4. 医師の意見から労働者の自己申告に縮減健康診断からメンタルヘルス検査への縮減と共に、医師の意見から労働者の自己申告への縮減という問題点もある。それは、現行の健康診断が「医師による」となっていたのを、メンタルヘルス検査を「医師又は保健師による」としたことに伴う。典型的には、今までは事業所の産業医が健康診断の結果を知っていたので、事業者に意見を申し述べることができた。ところが、今後は産業医自らが担当するとは限らないので、メンタルヘルス検査の結果を事業所の産業医が知りえるとは限らない。検査の結果を通知された労働者が自発的に医師による面接指導を受けることを「希望する旨を申し出」ない限り、事業所の産業医は精神的健康の状況を知りえないかもしれないのである。いわば医師の主導的な意見による改善から、今後は労働者の自発的な自己申告による改善へと、システムが一気に変更してしまいかねない。少なくとも、医師の指導中心から労働者の自己責任中心へと、大なり小なり考え方がシフトしていくように思う。果たしてそれが本当にメンタルヘルス対策の充実・強化と言えるのかどうか、十分な議論が必要である。5. 技巧的な仕切りより全面的な助成を今回の労働安全衛生法改正法案は、健康診断と検査とに仕分け、保健指導と自己申告とを仕切り、それらをもってメンタルヘルス対策の「充実・強化」だと称しているにすぎないと思う。本当の「充実・強化」につなげるためには、むしろ、技巧的な仕分けや仕切りは要らない。プライバシー保護を十分に踏まえつつも、健康診断・保健指導・面接指導を充実させ、産業医と精神科医・心療内科医との連携を強化させるなど、諸施策を総合的に推進していくべきである。そして、そこにおいて政府の果たすべき役割は、技巧的な仕分けや仕切りなどでなく、諸施策推進のための全面的な支援や助成に徹し切ることであろう。

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高齢者介護施設での身体拘束、ガイドラインや行動理論による介入で減少

高齢者介護施設(nursing home)に対し、ガイドラインや行動理論による介入を行うことで、身体拘束を受ける入所者の割合が減少することが示された。ドイツLubeck大学のSascha Kopke氏らが、36ヵ所の高齢者介護施設について行った集団無作為化試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年5月23・30日合併号で発表した。ドイツでは、身体拘束は法的に規制されており、また身体拘束の有効性と安全性についてエビデンスがないにもかかわらず、多くの高齢者介護施設でいまなお行われている現状だという。また米国の高齢者介護施設では20%で身体拘束が行われているとの報告もあるという。入所者の2割以上が身体拘束を受ける、36施設について無作為化試験研究グループは、2009年2月~2010年4月にかけて、高齢者介護施設36ヵ所を無作為に2群に分け試験を行った。試験適格とされた施設では、入所者の2割以上が身体拘束を受けていた。対象施設の一方の群(18施設、入所者数2,283人)にはエビデンスに基づき作成されたガイドラインおよび計画的行動理論に基づく介入を行い、もう一方の群(18施設、同2,166人)は対照群として特別の介入は行わなかった。介入を行った施設に対しては、看護職員に対するグループセッション、一部の看護師に対する追加的訓練、看護師や入所者、親戚などに対する教育的資料の配布などを行った。対照群には、一般的な情報を提供した。身体拘束を受ける割合、介入群は対照群より6.5%ポイント低率主要アウトカムは、試験開始から6ヵ月時点の、ベッド両側柵、ベルト、固定テーブルの設置、その他自由な行動を規制する仕掛けを用いた身体拘束を受けている入所者の割合とした。評価は、覆面調査員による1日3回の直接的評価で行われた。調査を開始したすべての施設で調査は完遂し、被験者全員について追跡を完了することができた。調査開始時点で、身体拘束を受けていた入所者の割合は対照群が30.6%、介入群では31.5%と同等だった。6ヵ月時点の同割合は、対照群が29.1%に対し、介入群では22.6%と有意に低率で、絶対格差は6.5%だった(95%信頼区間:0.6~12.4、クラスター補正後オッズ比:0.71、同:0.52~0.97、p=0.03)。同割合は、3ヵ月時点から6ヵ月時点に安定的に推移していた。転倒や転倒による骨折、向精神薬の処方率について、両群で有意差は認められなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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CKD診療ガイド改訂 -慢性腎臓病(CKD)は原疾患、腎機能と尿所見でリスク評価を-

日本慢性腎臓病対策協議会(東京都文京区、理事長:槇野博史、J-CKDI)は、1日、CKD診療に関して、かかりつけ医の標準化と腎臓専門医の連携を目的とした「CKD診療ガイド2012」を発行した。「CKD診療ガイド」は、2009年以来3年ぶりの改訂となる。本ガイド改訂委員長の今井圓裕氏は、今回の最も大きな改訂点として、CKDの重症度分類が腎機能だけでなく、原疾患、尿所見を評価した分類に変更されたことを挙げ、その他、血圧管理、貧血管理が臨床上に影響を及ぼす点として掲げた。最大の改訂点となった重症度分類の変更は、わが国でなく、国際腎臓病ガイドライン(KDIGO)も同様の見直しを行なっていると今井氏は言う。従来は糸球体濾過量(G = GFR)を基にした腎機能のみで評価してきたが、尿蛋白・尿アルブミン値(A = Albumin)、原疾患(C = Cause)を加えたいわゆるCGA分類で評価する。これはアルブミン尿や蛋白尿が、腎機能とは独立して末期腎不全、心血管死の発症リスクであることを示すエビデンスが確立してきたため。病期は4つに区分され、リスクに応じて腎臓専門医への相談・紹介基準や、腎臓専門医への通院間隔が推奨されている。次に注目すべき改訂点は、血圧管理。CKDにおける血圧管理については国際的に基準が変わってきており、現在の降圧目標レベルが過剰であると捉えられつつあると今井氏は述べた。これまでの蛋白尿が1g/日以上を認めるCKD患者の降圧目標値は「125/75mmHg未満」が推奨されてきたが、今回の改訂により撤廃され、「130/80mmHg以下」に統一された。高齢者においては、「140/90mmHg未満を目標に降圧し、腎機能悪化や臓器の虚血症状がみられないことを確認し、130/80mmHg以下に降圧する、収縮期血圧110mmHg未満への降圧は避ける」とさらに慎重な構え。特に夏期、RA系阻害薬投与例において、過降圧を来たし、急性腎障害で搬送される例も少なくないことも例に挙げ、高齢者における過降圧に注意を喚起した。また、推奨する降圧薬については、糖尿病and/or蛋白尿が認められる場合は、従来どおりRAS阻害薬を第一選択薬とすることは変わりないが、糖尿病も蛋白尿もみられないCKD例においては、降圧薬の種類を問わないことが記述された。貧血管理の改訂も注目すべき改訂点と言える。前回の改訂があった2009年以降、貧血の改善が臨床転帰につながらなかった試験が発表された。遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤の投与については、「投与開始Hb値=10g/dL、治療目標Hb値=10~12g/dL、13g/dLを超えないよう配慮する」と基準を明記している。今回の改訂において、「重症度分類の変更」が意味するところは、蛋白尿、アルブミン尿が末期腎不全、心血管死の独立した危険因子であるものとして捉え、尿検査を定期的に実施していくことの重要性を促すものと捉えている。(ケアネット 藤原 健次)

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第3回 相当程度の可能性:治療と患者の死亡

■今回のテーマのポイント1.高度の蓋然性をもって因果関係の立証ができなかったとしても、「相当程度の可能性」の存在が証明できれば、不法行為による損害賠償責任を負う2.この法理は、結局は、因果関係の証明を緩和することと同じ効果をもつ3.「相当程度の可能性」さえ認められれば、過失の軽重を問わず損害賠償責任を負うこととなり得るのは問題である事件の概要56歳の男性(X)。午前4時半頃に突然の背部痛により目を覚まし、しばらくして背部痛は軽快したものの、妻の強い勧めもありY病院の救急外来を受診しました。医師Aは、心窩部に圧痛を認め、胸部聴診上心雑音、不整脈は認められなかったことから、第一に急性膵炎を、第二に狭心症を疑い、急性膵炎に対する点滴加療を開始しました。しかし、その5分後(診察開始から15分後)にXは、突如呼吸停止に至り、医師Aが蘇生処置を行うも2時間後に死亡しました。Xの死因は不安定狭心症からの急性心筋梗塞と考えられました。死亡後Xの妻と子らが、Y病院に対し診断、治療上の過失があるとして損害賠償請求を行いました。原審(高裁)では、適切な治療を行ったとしてもXが救命できたということはできないとして、Xの死亡との関係では、因果関係がないとしましたが、「患者が適切な医療を受ける機会を不当に奪われたことによって受けた精神的苦痛を慰藉すべき責任がある(期待権侵害)」として、200万円の損害賠償責任を認めました。これに対し、最高裁は、原審とは異なる判示をした上で、原審を維持しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過56歳の男性(X)。午前4時半頃に突然の背部痛により目を覚まし、しばらくして背部痛は軽快したものの、妻の強い勧めもありY病院の救急外来を受診しました。Xは、医師Aに対し、上背部痛及び心窩部痛があり、現在痛みは軽減していること、7、8年前にも同様の痛みがあり、その時は尿管結石であったことを伝えました。医師Aの診察では、心窩部に圧痛を認め、胸部聴診上心雑音、不整脈は認められなかったこと、尿検査では潜血を認めなかったことから、第一に急性膵炎を、第二に狭心症を疑い、診察室の向かいの部屋でペンタジンの筋注及びガベキサートメシル酸塩(商品名:FOY)の点滴静注を開始しました。Xは、点滴のため部屋を移った5分後(診察開始から15分後)に、突如「痛い、痛い」と言い、大きく痙攣した後、すぐに意識を消失しました。付き添いに来ていたXの子の知らせで医師Aが駆け付けたところ、ほどなく呼吸停止に至りました。医師Aらが蘇生処置を行うも奏効せず、診察開始から2時間後にXは死亡しました。Xの死因は、不安定狭心症からの急性心筋梗塞と考えられました。事件の判決本件のように、疾病のため死亡した患者の診療に当たった医師の医療行為が、その過失により、当時の医療水準にかなったものでなかった場合において、右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、医師は、患者に対し、不法行為による損害を賠償する責任を負うものと解するのが相当である。けだし、生命を維持することは人にとって最も基本的な利益であって、右の可能性は法によって保護されるべき利益であり、医師が過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者の法益が侵害されたものということができるからである(最判平成12年9月22日民集54巻7号2574頁)。ポイント解説本判決は、医療バッシングが苛烈を極めた時期に出された判決であり、大きな問題(鬼の子)として民事医療訴訟において、いまだに禍根を残していますし、法理論的にも様々な問題が指摘されています。この判決が、混乱を導く原因となっているのは、判示において「右医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども、医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるとき」というように因果関係の立証を緩和しているかのように受け取られたからです。しかし、前回(第2回 因果関係:不作為と患者の死亡)述べましたように、因果関係の証明は、「経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明すること」であり、それが認められない場合には、因果関係が「ない」こととなります。つまり、民事訴訟においては、あくまで因果関係は「ある」か「ない」かであり、「ありそう」というだけでは「ない」とみなされるのです。それでは、本判決が示した「相当程度の可能性」というのは一体民法709条※1におけるどの要件を示しているのでしょうか。本件判決では、上記判示の後、「生命を維持することは人にとって最も基本的な利益であって、右の可能性は法によって保護されるべき利益であり、医師が過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者の法益が侵害されたものということができるからである」と示しており、この「相当程度の可能性」は、民法709条における「法律上保護される利益」に該当すると述べています。したがって、本判決に従うと、(1)過失:医療水準に満たない診療(2)損害:「相当程度の可能性」(3)因果関係:(1)と(2)の間の因果関係ということとなります。しかし、理論上はそのように説明ができるとはいえ、(2)と(3)は結局、同じ立証となりますので、結論としては、(1)と「相当程度の可能性」(一般的に20%程度と考えられています)さえ立証できればよいということになり、ぐるっと回って因果関係の証明の程度が緩和されたことと同じになります※2。本判決のもう一つの問題点としては、「相当程度の可能性」自体が民法709条の要件である「法律上保護される利益」であるとしてしまったため、別の要件である過失の程度、すなわち医療水準からの解離の程度、悪質性を問わずに、独立して「相当程度の可能性」が認められることとなり得るということです。つまり、期待権の議論は、癌などの重篤な疾患において、病院側弁護士が、「確かに医療者に重大な過失はあったが、その過失とは関係なく癌により死亡していた」と主張してきた場合に、患者側が、因果関係を高度の蓋然性をもって証明することは困難であり、その結果、敗訴するという事案がしばしば認められたことから出てきたものであり、重大な過失がある場合にまで、まったく損害賠償責任を負わないとすることが「損害の衡平な分担」という不法行為法の基本理念からみて適切かという指摘は理解できます。しかし、本判決により、過失の重大性を問わず、たとえ軽微な過失であったとしても、「相当程度の可能性」が認められれば、損害賠償責任が認められるということとなると、救済の範囲が過剰となりすぎ、大きな問題となります(「二重の緩和」問題)。突然の家族の死亡で困窮している家族を救済すべきという感覚は理解できますし、そうあるべきと考えますが、それは社会保障制度や生命保険でカバーすべきものであり、医療機関や医師を違法とそしることでカバーすべきものではありません。また、因果関係の緩和には紛争促進効果があります。裁判による紛争解決の限界を理解し、すべての救済について過失認定を前提とした司法によるのではなく、社会保障制度の充実等によりカバーできる範囲は、司法の外にゆだねる必要があるといえます。※1民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とされており、不法行為の要件には、(1)過失(又は故意)、(2)損害、(3)((1)と(2)の間の)因果関係があります(第1回ポイント解説参照)※2ただし、因果関係を「相当程度の可能性」までしか立証できない場合には、損害が患者の死亡等から「相当程度の可能性」を侵害されたこととなるため、賠償額が大きく減額されます(10分の1以下)。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判平成12年9月22日民集54巻7号2574頁

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ログインについて

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在宅医療、ご関心ありますか?

今回の「医師1,000人に聞きました」、テーマは “在宅医療”。厚生労働省の方針により、2012年度から在宅・介護への支援策が大幅に拡充されることとなりました。市町村ごとに連携拠点を設け、スタッフの人件費を補助するなど、将来的な死亡者数の増加に向けて対応を進めるとのこと。既に在宅専門で開業されている方、ご自身のクリニックや中核病院で部分的に携わっている方など様々かと思いますが、先生はいかがお考えでしょうか?ということで今回は、在宅医療に対する関心や不安要素についてお尋ね!厚労省や家族、その他関係者に期待することなど、多数寄せられたコメントも必見です。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細在宅医療に対する先生方のお考えについてお尋ねします。1月30日の日本経済新聞によると厚生労働省は2012年度から在宅での医療・介護への支援策を大幅に拡充する。医療と介護サービスを一体提供するための連携拠点を2000カ所設けるほか、深夜の往診などの報酬を上げ、医師らが積極的に取り組むように促す。(中略)厚労省は12年度、地域の在宅医療の核となる連携拠点を現在の10倍の約100に増やす。在宅医療に積極的な病院や診療所などを拠点に選定。ケアマネジャーの資格を持つ看護師など、医療と介護の両方に詳しいスタッフの人件費を補助する。日本の死亡者数は20年後に現在より約40万人多い160万人程度まで増える見込み。厚労省はそれまでに連携拠点を各市町村で1カ所以上、計2000程度まで増やす方針だ。当初は予算措置で後押しするが、徐々に地域の医療関係者が自律的に進めるよう診療報酬などで促す。日本は1950年ごろには8割超の人が自宅で最期を迎えていたが、現在は12.4%。欧米より低く、その分、平均入院日数が米国の5倍、ドイツの3倍と長い。在宅の医療・介護が充実すれば、高齢者らが退院して自宅へ戻りやすくなる。長期入院が減り、病床不足の解消にもつながる。がん患者の自宅療養に備え、抗がん剤の調剤に必要な無菌室を整備し、地域の薬局が共同利用できるようにする。(後略)』とのこと。そこで先生にお尋ねします。Q1. 在宅医療に対する関心度をお聞かせください。在宅専門医療を行なっている/今後行いたいご自身のクリニックにて、外来診療と並行で在宅医療を行なっている/今後行いたい地域の中核病院にて、在宅医療に携わっている/今後携わりたい自分自身の患者さんで必要に迫られた場合のみ行なっている/今後行いたい在宅医療に携わることは考えていない(.Q1で 「在宅医療に携わることは考えていない」を選択された先生以外)Q2. 在宅医療を行なう、あるいは今後始める上で、障害もしくは不安に感じることがありましたらお選び下さい。24時間365日での対応が可能かどうか提携先病院との関係構築総合的な診療を行うこと患者、患者家族とのコミュニケーション多職種間でのコミュニケーション経営・報酬ご自身の時間(余暇)が減る可能性その他(         )Q3. コメントをお願いします(診療報酬の次回改定へのご意見、厚労省・勤務施設・メディアほか関係各所に期待すること、不安に感じること、患者から要望されること、既に行なっている方はご自身のご経験など、在宅医療に関することであればどういったことでも結構です)アンケート結果Q1. 在宅医療に対する関心度をお聞かせください。(.Q1で 「在宅医療に携わることは考えていない」を選択された先生以外)Q2. 在宅医療を行なう、あるいは今後始める上で、障害もしくは不安に感じることがありましたらお選び下さい。2012年5月7日(月)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員結果概要『在宅医療に携わっている』『今後携わりたい』医師は全体の3割実施状況あるいは今後の意欲といった形で尋ねたところ、『在宅専門医療』で診療中あるいは実施したいとの回答は6.4%。在宅専門でなく外来診療と並行での形を希望する医師は、『自らのクリニック』10.4%、『地域の中核病院』14.0%となった。これらを合計した30.8%の医師が、現在在宅医療に携わっている、あるいは今後携わりたいと考えている結果となった。在宅医療を始める上での不安要素、最多は『24時間365日対応が可能かどうか』在宅医療に対し何らかの関心を持つ医師に、今後始める上で障害もしくは不安に感じることを尋ねたところ、74.5%の医師が『24時間365日対応』への不安を挙げた。次いで、患者急変時等に協力する『提携先病院との関係構築』47.0%、『自身の時間(余暇)が減る可能性』33.4%と続いた。24時間365日対応については、「複数の担当者で輪番できればかなりのことができる」といった意欲的な声も一部見られた。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「付け焼き刃的な診療報酬改定では…。 本質的な問題として、医師の偏在や能力の検定、患者/患者家族及び、マスコミを含めた教育についての幅広い論議が必要であろう。 その内容として、実務担当している我々とすると、在宅で療養することは、先進的治療を行うことではなく、ケア中心の治療になるし、その過程で在宅での(想定内の)急変や看取りを行うことになる。今のように、何かあったらすぐに警察沙汰になる、マスコミの報道対象になる、といった風潮に対して、社会としてもっと成熟すべきである、といったことなど。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),50代,神経内科)「“在宅の医療・介護が充実すれば、高齢者らが退院して自宅へ戻りやすくなる”というのを、“高齢者がどこに住むのか”という都市計画から政府が組み上げて行かないと、抜本的な改革にならないし長続きしないと思う。」(勤務医(専門医志向),50代,外科)「複数の担当者で輪番するしかない!グループ化できればかなりなことができる。」(勤務医(総合医志向),60代,脳神経外科)「そもそも一人事業所で24時間対応などできません。在宅医療の前提がそうであるなら、現在可能な範囲でしている在宅診療から撤退するしかありません。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),50代,内科)「国が医療費削減を目指しているなら、方向性は間違っている。在宅医療には病院以上に費用がいるはず」(勤務医(専門医志向),40代,精神・神経科)「現在勤務している病院が在宅医療も行っています。しかし、日中の仕事であればよいのですが、夜間対応は本来の仕事に影響ありますので、控えさせていただきたいと思っています。 従って、夜間対応専門の医師に対する診療報酬を期待します。」(勤務医(専門医志向),50代,外科)「訪問診療の点数を上げられても、その点数で請求するとレセプトの平均点数が上がってしまい、厚生局の個別指導の対象となってしまう。また訪問診療は監査の対象となるため、事務処理が面倒である。点数は低くても事務的に楽な往診で請求しなければならない。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),50代,内科)「在宅死に関する、意識改革が無ければ、結局、病院での死から施設での死に代わるだけで、医療費負担が介護費負担に代わるだけになるのではと懸念を感じる」(勤務医(総合医志向),50代,外科)「24時間体制に対する報酬はしっかり考えてもらえないと踏みこめません。」(勤務医(今後開業を検討),40代,消化器科)「在宅メインで開業したいと考えているが、まだまだ報酬などの面で不透明なので、一抹の不安はある。」(勤務医(専門医志向),30代,救急医療科)「24時間対応するためのスタッフを雇用するための、継続した財政的支援をお願いしたい。」(勤務医(総合医志向),50代,内科)「診療報酬の少なさとコメディカルへの給与が不安」(勤務医(専門医志向),40代,外科)「かかりつけ医などのクリニックで診療する場合や、難病や重度障害者に対して拠点病院とかかりつけ医が協働する場合、さらに多職種が関わりカンファレンスを繰り返す場合などに、きめ細かく報酬を設定してもらいたい。」(勤務医(専門医志向),50代,神経内科)「名ばかりの在宅医療施設も多いと聞く。誠実にやっている医療機関の評価にも影響するので実績等の把握が必要。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),40代,消化器科)「現実に請求できるような点数設定にしてほしい。高額すぎると、地方では請求できない。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),50代,循環器科)「今でも不当に安い診療報酬しか付いていないので、まともに引き合うだけの報酬をつける気があるのかどうか、在宅診療が常態化、一般化しありがたみが薄れれば現れるであろうモンスターペイシェントなどが気がかりだ。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),40代,眼科)「報酬の欲しい開業医が手を挙げるだろうが、夜間、休日など自分が遊びたい時間は全部総合病院に丸投げするのが目に見えている。」(勤務医(専門医志向),40代,外科)「介護に携わる人に対する報酬が低すぎて、定着しないため、そうした方々の報酬体系を考えて頂きたい」(勤務医(今後開業を検討),40代,整形外科)「田舎の場合、訪問先どうしの距離が離れすぎていて移動時間ばかりかかって、採算が取れません。」(勤務医(総合医志向),30代,外科)「御家族の介護力が低下する中、在宅医療をフォローする地域の体制の整備が不十分なままで診療報酬による誘導がなされることはあるべき姿ではないと思われる。」(勤務医(総合医志向),40代,内科)「“病院にいるようなサービスは期待できないことを患者および家族に覚悟させる”覚悟が行政側にあるのか約束させるべき。 美辞麗句を並べて在宅を推進すると矛盾をすべて現場がかぶることになる。」(勤務医(総合医志向),50代,代謝・内分泌科)「在宅で看取るとおっしゃられていたご家族が急変時に混乱され方針を決定することの重要性を痛感した」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),50代,内科)「必要性は十分に認識しているが、設備の整った場所での診療にこだわりたいので、今は関心がありません。」(勤務医(総合医志向),50代,消化器科)「国の医療政策に関する説明を現場に丸投げせずに、患者及び国民に直接積極的な啓蒙をしてほしい。 ・実際に行った医療政策の検証結果およびその責任を明確に国民に示すべき。」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),40代,内科)「在宅診療をするには、その家まで行く時間が必要。それをどう効率化するか。また夜間専門の開業医・クリニックが合ってもいいかなと思います。」(勤務医(総合医志向),50代,精神・神経科)「急速な高齢化で、どんなに制度を充実させても、在宅で看ることができる家族がいる場合の方が少ないように感じます。現実には在宅医療ができる家族は少ないと思います。」(勤務医(専門医志向),50代,外科)「今後、団塊世代の高齢化を控え、病院だけで支えることは困難。在宅による医療の必要性を感じています。」(勤務医(今後開業を検討),30代,その他)「都市部と地方で同じシステムの構築は難しいと思うのですが…。」(勤務医(総合医志向),40代,内科)「在宅ケアは理想的ですが、痴呆・寝たきり状態の様な患者は、家族の犠牲が大きすぎる。高齢者の対する検査・治療の制限も必要」(勤務医(専門医志向),50代,泌尿器科)「在宅医療が輪番制など医師の個人負担の軽減が肝要」(勤務医(総合医志向),50代,呼吸器科)「個人経営の医院で24時間365日対応は不可能であり、結果、地域の病院に対応をお願いする事になってしまうと考えます。」(勤務医(専門医志向),40代,消化器科)「老人ホームが多くありますが、ナースがいても些細な事でも全て主治医に電話で指示を仰ぐような指導がなされているところも多いです。往診そのものよりも、書類の多さや電話対応などを減らすことができれば中身の濃い往診を多数こなせるのではと思います。」(勤務医(総合医志向),30代,内科)「自分は向いていないと思うが、在宅に携わってくださる先生が多い地域は中核病院としても非常に助かり、かつトラブルも少ない。ぜひ押し進めていただきたい。」(勤務医(専門医志向),40代,消化器科)「懸念事項 ・患者さんを自宅で看取るというご家族の覚悟が あるのか、 ・在宅医療への過度な期待はないか、 ・在宅医療に何を求めるのかをきちんと患者さん 側が見据えているか」(勤務医(今後開業を検討),50代,精神・神経科)「在宅は、家族、しかも、主に女性を介護という終わりの見えない苦行に向かわせるだけのものにすぎない。自宅で過ごせる幸いな高齢者がどれだけいるというのだろう。それを推進する意図が何であるのか、まったく理解できない。」(勤務医(専門医志向),30代,救急医療科)「中核病院が遠方の、田舎の診療所では、いやでも在宅医療を行わなくてはならない。」(開業医(訪問診療の実施を掲げている),60代,内科)「家族の意欲が最も重要で、自宅の物理的な状況、家族を支援する力が大事だと思います。 また、在宅での主役は本人のはずですが、実際には家族が気持ちよく介護できるかどうか、が最重要課題だと思いますので、家族が主役だろうと考えています。 その家族を引き立てるために、医師は縁の下で支える程度で良いのだろうと思います。」(勤務医(総合医志向),40代,リウマチ科)「可能な限り対応したいとは思っているが、現在でもほぼ自由な時間がないほど多忙なため、現実的に行えない。在宅対応の医師を雇わないと難しい」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),50代,泌尿器科)「結局連携体制とって協力しない方、施設も多く自分が他の 連携医の深夜帯の仕事をせざるを得ず、燃え尽きた経験があるので自分の出来る範囲でしている。」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),40代,内科)「何時呼ばれるかわからない状態での在宅診療を一人で行う事が不安です。夜もおちおち眠れません。日中は外来があります。」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),50代,外科)「1人の医師に責任が重いシステムなため、出来れば携わりたくない。」(勤務医(専門医志向),40代,精神・神経科)「環境整備がないと(交代制など)ないと疲弊するのでは?」(勤務医(専門医志向),40代,外科)「一人で365日は不可能。と言ってなかなか仲間は見つけられない。」(勤務医(専門医志向),60代,腎臓内科)「希望の無い仕事はしない」(勤務医(専門医志向),50代,皮膚科)「亡くなる人は増えるが、拠点の定員は満たされず、かえって医師不足が加速すると考える。」(勤務医(専門医志向),40代,精神・神経科)「在宅医療は時流だと思います。自宅で看取られたいのは、心情として理解できます。」(勤務医(総合医志向),40代,内科)「クリニックで行うときには、グループで夜間や休日の対応をシェアすることが不可欠と思う。また病院の場合、医師や看護師等は、複数で対応できるような人員確保が必要。」(勤務医(総合医志向),50代,小児科)「高齢者が多い中、家族の協力が得られないケースが多いように見受けられます。人任せ、といったところでしょうか?まず、家族が受け入れることのできる体制、あるいは、家族が受け入れてやっていくんだという体制を時間がかかってでも行わなければ、今のままでは医療体制は崩壊すると感じています。厚生省が動きだすのが遅すぎです!」(勤務医(総合医志向),30代,外科)「バス運転手には休みを取らせる義務があるのに、医者には休みを取らせないのか、国民も政府も矛盾を感じないのか。」(勤務医(総合医志向),50代,脳神経外科)「診療サイドには加算がついたけれども、在宅介護をする家族には解決しなければいけない多数の問題が残存している。この解決に乗りださなければ、根本的推進にはならない」(勤務医(総合医志向),50代,内科)「在宅での看取りを完遂することには、多くのハードルがあり、結局最後は病院に搬送されてくるケースが多い。往診医による見取りをぜひ進めていただきたい。また、これとは別に家族の受け入れが悪くなっている時代の流れがあり、なかなか在宅療養が進まないのが現実である。」(勤務医(今後開業を検討),50代,内科)「何かというと医療訴訟になってしまう昨今において、在宅でお看取りした後に、些細なことで訴えられてしまう可能性があるのではないか。」(勤務医(専門医志向),40代,代謝・内分泌科)「最新医療をやっていきたい」(勤務医(専門医志向),40代,循環器科)「金をかけずに(開業医等の善意に期待して)入院患者を減らそうという目論見で到底納得できない。満足の得られる医療を提供しようと思うのであれば、それ相当に金をかけるべき。」(勤務医(専門医志向),40代,小児科)「個人に負担がかからないか心配です。チーム医療の中で考えないと難しいと思います。」(勤務医(今後開業を検討),50代,呼吸器科)「受け入れ先の病院の確保が一番問題。受け入れ拒否することもあるので。」(開業医(外来のみ/外来に加えて必要に迫られた場合のみ往診),40代,内科)「今後、在宅医療は必要となることは必須であり、関わりたいとは考えますが、本院でも、医師不足が深刻であり、日常の診療にも支障が生じており、在宅医療を考えることすら、困難な状況です。」(勤務医(専門医志向),40代,消化器科)「自宅で臨終を迎えるようにするという方針は間違っていないと思うが、総合内科的な技量を持った医師を育てないと、患者家族への押し付けに終わってしまいそう。」(勤務医(総合医志向),40代,小児科)「24時間拘束のようになりはしないか、不安がある。」(勤務医(今後開業を検討),50代,内科)「重症心身障害児(者)医療を行っている。在宅重症心身障害児(者)のケアをやらねばと考えてはいるが、医師数・ナース数からして無理であり、悩んでいる。」(勤務医(専門医志向),60代,小児科)「在宅の件数を増やせば毎日夜の対応に追われて身体が持たない。在宅もインターネットの情報が氾濫して無理な要求をしてくる家族も多く不安である。」(勤務医(総合医志向),50代,循環器科)「介護を必要とする人をまとめたほうが経済的。無理して在宅にする必要はない。」(勤務医(専門医志向),60代,外科)「入院が必要な患者が在宅医療になってしまうことを危惧しています。」(勤務医(総合医志向),50代,小児科)「個人的には在宅医療は必要であるとは考えますが、自分が携わるつもりは今の所ありません。 在宅もいいのですが、大規模で比較的安い値段の施設は作れないものでしょうか? 在宅で介護している方をもっと社会に出したほうが経済的にいいような気がするのですが… 家族が過度な期待をしないように(やがてはモンスター化するでしょうから)説明をしないといけないでしょうね。」(勤務医(専門医志向),30代,脳神経外科)「無理な患者まで退院させて在宅にならなければいいが。」(勤務医(総合医志向),50代,基礎医学系)「小児における在宅医療には問題が山積みなため、今後は高齢者のみならず小児における検討を望む(NICU退院者や脳症、髄膜炎後遺症の寝たきり患者などニーズは多いので)」(勤務医(専門医志向),40代,小児科)「患者家族に在宅を勧めることが大変に感じます。」(勤務医(総合医志向),40代,小児科)「血液内科医として専門性を高めた医療を行いたいと考えているため。血液内科と在宅医療はなかなかリンクが難しい。 ただし、輸血などが在宅で行えることが望ましいと考えているため、一部血液内科でQOLを維持するために輸血を行える在宅医がいるとよいと思う。」(勤務医(専門医志向),20代,血液内科)

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妊娠初期の中絶、ミソプロストール投与で術後合併症を有意に低下

妊娠初期の人工妊娠中絶について、プロスタグランジンアナログ製剤のミソプロストール(商品名:サイトテック、本邦では抗NSAID潰瘍剤としてのみ承認、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与禁忌)400μgの経膣投与により、吸引法単独と比べて合併症を低下することが明らかにされた。これまで、ミソプロストールを用いた人工妊娠中絶の合併症発生率については有用な情報がほとんどなかったが、世界保健機関(WHO)のOlav Meirik氏らが国際多施設共同無作為化試験を行い報告した。Lancet誌2012年5月12日号(オンライン版2012年3月8日号)掲載報告より。施術3時間前にミソプロストール400μgまたはプラセボを投与Meirik氏らは、2002年10月22日~2005年9月24日にかけて9ヵ国14施設で無作為化並行群間比較試験を行った。妊娠初期(first trimester)で中絶を望む健常な女性を対象に、吸引法による人工中絶手術の3時間前にミソプロストール200μg錠2錠またはプラセボ2錠のいずれかを経膣投与するよう無作為に割り付けた。治療管理にあたるスタッフ以外は、治験参加者も医療スタッフも、割り付け情報を知らされなかった。追跡調査は最長で2週間とした。主要評価項目は、吸引法による1つ以上の合併症(子宮頸部裂傷、子宮穿孔、不全流産、子宮再掻爬、骨盤炎症性疾患、その他の重篤な有害事象)とした。即時性合併症の解析では、薬物投与と吸引法を受ける女性を含めたが、遅延性合併症の解析には、追跡可能な症例のみを含めた。ミソプロストール400μg投与群で合併症発生率が有意に低下被験者は、ミソプロストール投与群2,485例、プラセボ投与群2,487例だった。両群で56例が追跡ができなかった。吸引法に伴い1つ以上の合併症がみられたのは、ミソプロストール群2,427例中50例(2%)、プラセボ群2,431例中74例(3%)だった[相対リスク(RR):0.68、95%信頼区間(CI):0.47~0.96]。ミソプロストール群では、子宮頸部裂傷は認められず、子宮穿孔は3例に認められた。プラセボ群では頸部裂傷が2例、子宮穿孔は1例だった。不全流産については、ミソプロストール群19例(<1%)、プラセボ群55例(2%)でみられた(RR:0.35、95%CI:0.21~0.58)。子宮再掻爬を必要としたのは、14例(

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2型糖尿病肥満、薬物療法+外科的肥満手術で血糖コントロール有意に改善

2型糖尿病非コントロールの肥満患者について、薬物療法に加えて胃バイパス術など外科的肥満手術を行うことが、薬物療法単独よりも有意に血糖コントロールを達成するとの報告が発表された。米国・Bariatric and Metabolic InstituteのPhilip R. Schauer氏らが、無作為化非盲検単独施設試験の結果、報告したもので、これまでは観察研究においては、胃バイパス術などを受けた2型糖尿病患者における病状の改善が認められていた。NEJM誌2012年4月26日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。150例を対象に薬物療法単独と外科的手術群の血糖コントロール改善を比較Schauer氏らによるSurgical Treatment and Medications Potentially Eradicate Diabetes Efficiently(STAMPEDE)試験は、2007年3月から2011年1月にクリーブランドクリニック単施設で行われた無作為化試験で、2型糖尿病を有するBMI 30~35以上の肥満患者を対象に、血糖コントロール達成について、薬物療法単独と外科的手術(Roux-en-Y胃バイパス術と胃切除術)を併用する群とを比較して行われた。被験者は150例、平均年齢は49±8歳、66%が女性であり、血糖値平均は9.2±1.5%であった。追跡期間は12ヵ月、主要エンドポイントは、治療12ヵ月後に血糖値6%以下に到達した患者の割合とした。被験者150例のうち93%が、12ヵ月の追跡期間を完了した。治療後の血糖値平均、薬物療法単独群7.5%に対し、胃バイパス術群6.4%、胃切除群6.6%結果、主要エンドポイントを達成した患者の割合は、薬物療法単独群12%(5/41例)に対し、胃バイパス術群42%(21/50例、P=0.002)、胃切除群37%(18/49例、P=0.008)だった。血糖コントロールは3群すべて改善したが、薬物療法単独群の改善された血糖値平均7.5±1.8%に比べて、胃バイパス術群は6.4±0.9%(P<0.001)、胃切除群は6.6±1.0%(P=0.003)だった。手術群はいずれも、術後は血糖降下薬、脂質低下薬、降圧薬の使用量が減少した。一方で、薬物療法群は増量していた。また、手術群はインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)も有意に改善していた。その他には、患者4例が再手術を受けていたが、死亡や命に関わるような合併症の発生例はなかった。研究グループは今回の結果を受け、さらなる無作為化試験での検証の必要性を提言している。

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【British Journal of Dermatologyより】成人のアトピー性皮膚炎と肥満に関連性はあるのか?

幼少期における肥満は、アトピー性皮膚炎(AD)のリスクや重症度と関連があるとの報告があるが、成人期の場合も同様のことがいえそうだ。筆頭著者であるSilverberg氏は「体重の減少が成人のADの予防または症状の軽減につながるか否かについては、今後さらなる検討が必要である」と結んでいる。1994年1月から2003年12月に米国において実施された、2,090名を対象としたケースコントロール試験によると、成人における肥満はADの増加と関連性があり(補正オッズ比1.43、p=0.01)、非アトピー性の皮膚炎とは関連性がなかった(補正オッズ比0.59、p=0.32)。その他の結果は以下の通りである。 ・肥満はアトピー型喘息の増加とも関連性がある(補正オッズ比1.98、p<0.0001)。 一方で、非アトピー型喘息とは関連性がない(p=0.20)。・肥満はアトピー性、非アトピー性にかかわらず鼻炎とは関連性がない(それぞれp=0.08、0.31)。・アトピー性、非アトピー性にかかわらず食物アレルギーとも関連性はみられない(それぞれp=0.67、0.35)。・過敏症(atopy)とも関連性はない(p=0.40)。・肥満とADの関連性は、以下の場合でも有意であった。 -喘息、鼻炎、食物アレルギーの既往歴で補正をかけた場合(補正オッズ比1.40、p=0.02) -ADのみ罹患した患者のサブセット解析を行った場合(補正オッズ比1.96、p=0.04) -ADと喘息、鼻炎、およびまたは食物アレルギーを合併した患者のサブセット解析を行った場合(補正オッズ比1.40、p=0.03) ========================================【関連コンテンツ】いかに寛解を維持するか?アトピー性皮膚炎再発抑制のコツを伝授! (ケアネット 藤井 美佳)

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第2回 因果関係:不作為と患者の死亡

■今回のテーマのポイント1.因果関係とは、「経験則に照らして総合的に検討した結果、8、9割以上の確率で特定の事実が特定の結果発生を招来したといえること」である2.このことは、過失の態様が作為であれ、不作為であれ同じである3.不作為の過失における因果関係の有無は、当該過失がなければ「その時点」で死亡していないといえれば足る事件の概要アルコール性肝硬変と診断され、肝臓病を専門とする医師Yが開設するA消化器科医院を紹介されたXに対し、医師Yは、3年弱に渡り、肝庇護剤を投与していました。しかし、その間一度も腫瘍マーカーの測定や腹部超音波検査を行わなかったところ、Xが多発性肝細胞癌、肝細胞癌破裂により死亡したという事案です。死亡後Xの妻と子らが、Yに対し、適切な検査を行わなかった結果、Xが肝細胞癌の治療を受けられず死亡したとして損害賠償を請求して争われました。原審(高裁)では、Y側(医師)の注意義務違反を認めたものの、どの程度延命できたか不明であるとして、死亡との因果関係を認めませんでした。これに対し、最高裁は、原審を破棄し、死亡との因果関係を認めた上で、高裁に差し戻しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過原告の父(X)は、昭和58年10月にB病院にてアルコール性肝硬変と診断され、肝臓病を専門とする医師Yが開設するA消化器科医院を紹介されました。Yは、Xに対し週3回程度肝庇護剤の投与を行い、1カ月から2カ月に一度触診等診察を行っていましたが、紹介受診した昭和58年11月から昭和61年7月までの間に一度も腫瘍マーカーの測定や腹部超音波検査を行っていませんでした。Yが、昭和61年7月5日にAFP(腫瘍マーカー)の検査をしたところ、110ng/ml(正常値20ng/ml以下)と高値を示しましたが、Xに対し「肝細胞癌の検査は陰性であった」と伝えました。同年7月17日夜、Xは、腹部膨隆、右季肋部痛等が出現したため、翌18日朝にA消化器科医院を受診しました。Yより筋肉痛と診断され鎮痛剤の注射を受けましたが、翌19日には全身状態が悪化。C病院を受診したところ、多発性肝細胞癌、肝細胞癌破裂と診断されました。なお、肝細胞癌は大きいものが3つ(7×7cm、5cm大、2.6×2.5cm)ある他、転移巣と考えられる小病変が複数あり、門脈腫瘍塞栓も認められました。その後、Xは、同年同月27日に肝細胞癌及び肝不全により死亡しました。事件の判決訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)。右は、医師が注意義務に従って行うべき診療行為を行わなかった不作為と患者の死亡との間の因果関係の存否の判断においても異なるところはなく、経験則に照らして統計資料その他の医学的知見に関するものを含む全証拠を総合的に検討し、医師の右不作為が患者の当該時点における死亡を招来したこと、換言すると、医師が注意義務を尽くして診療行為を行っていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していたであろうことを是認し得る高度の蓋然性が証明されれば、医師の右不作為と患者の死亡との間の因果関係は肯定されるものと解すべきである。患者が右時点の後いかほどの期間生存し得たかは、主に得べかりし利益その他の損害の額の算定に当たって考慮されるべき事由であり、前記因果関係の存否に関する判断を直ちに左右するものではない(最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁)。ポイント解説民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定しています。すなわち、不法行為が成立するためには、生じた損害が故意又は過失行為によって生じたこと(因果関係)が必要なのです。どんなに悪意をもった行為を行ったとしても、それによって何も損害が発生していなければ、因果関係がないため賠償する義務はないのです。当たり前の事だと思われるでしょうが、これを医療過誤に当てはめると途端に問題が複雑になります。なぜならば、患者は疾病を抱えているからこそ病院に来ているのであり、結果として死亡した場合であっても、当該死亡の原因が、医療過誤によるものなのか、疾病そのものによるものなのか判断がつかない場合が、しばしば生じるからです。特に、本件のように不作為(適切な医療行為をしなかった)を問題としている場合には、現実として、疾病(本件では肝細胞癌)により死亡しているのであり、さらに癌のような重篤な疾患の場合、たとえ適切な治療を行っていたとしても転帰に変わりがない可能性が高いことから、因果関係の立証は一層難しくなります。医療過誤事件における因果関係の立証についての判例は、「東大ルンバール事件※」(最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁)が先例であり、本判決でも引用している通り、「訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである」とされています。具体的には、「十中八、九」が目安といわれ、経験則に照らして8、9割以上の確率で結果が生じたと立証できれば足りるとされています。この判例の意義は、「確かに医療過誤があったかもしれないが、診療経過とはまったく脈絡もなく心室細動が発症した可能性がある」とか「くも膜下出血が生じた可能性がある」等の主張が病院側弁護士よりなされた場合において、原告側が心室細動やくも膜下出血が起きた可能性がないことなどあらゆる可能性を排斥しない限り、因果関係が認められないということではないということにあります。それを踏まえたうえで、本判例が示した重要な点は次の2点ということとなります。(1)作為の場合であっても、因果関係の立証の程度は変わらないということ(2)因果関係の有無を考えるにあたっては、不作為による過失がなければ「その時点」で死亡することがなかったことが立証されれば足りるのであり、癌により早晩死亡したであろうということは、因果関係(すなわち不法行為が成立するか否か)において検討することではなく、(不法行為が成立した上で)生じた損害の額を検討するにあたって考慮すべきことである※東大ルンバール事件概要:泣き叫ぶ3歳の化膿性髄膜炎の患児に腰椎穿刺を施行した約15分後に、嘔吐・けいれん発作等が出現し、結果として右半身麻痺等の後遺症が残った症例において、これらの症状が、化膿性髄膜炎によるものか、腰椎穿刺の結果脳出血となったものかが争われた事案裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判昭和50年10月24日民集29巻9号1417頁最判平成11年2月25日民集53巻2号235頁

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【速報】「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」はここが変わる!

 4月26日(木)、日内会館(東京・本郷)にて「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」の発行に関するプレスセミナーが行われ、本ガイドラインの主な改訂点が発表された。主な改訂点は以下の通り。●絶対リスクの評価による層別化 これまでのガイドラインでは、健常者に対する相対的リスクで評価がなされてきたが、個々を絶対リスクで評価できないことは課題とされてきた。しかしながら、NIPPON DATA80をもとにリスク評価チャートが発表され、個々のリスクを絶対評価で表現することが可能となった。これにより、個人が有する危険因子を総合的に評価でき、性差や加齢の影響も解消できると期待されている。●動脈硬化性疾患の包括的管理 多くの患者は生活習慣病を併せもっており、常に包括的な判断が求められてきた。今回初めて、それぞれのガイドラインのエッセンスを織り込み、動脈硬化性疾患予防のための各種疾患(脂質異常症、高血圧、糖尿病、その他)の包括的なリスク管理チャートが加わった。●診断基準境界域の設定 これまで脂質異常症における治療エビデンスはリスクの高い患者を対象とした試験が多かった。このため、あくまで絶対リスクが高い場合に限り、治療を勧めるものであり、診断基準がそのまま治療対象となるわけではないことを認識する必要がある。このことから、診断基準では「スクリーニングのための」という記載が加えられている。 その一方で、糖尿病や脳梗塞のような危険度の高い一次予防については、早期の治療介入が予後を改善させるという多くのエビデンスがある。このため、リスクの高さに応じて判断できる境界域が設定され、治療介入が可能な領域についても提案されている。●高リスク病態 近年、CKDに伴う脂質異常とCVDリスクの関係などの報告から、新たに慢性腎臓病(CKD)が高リスク病態として扱われることとなった。 また、強力なスタチンの登場により、家族性高コレステロール血症(FH)は認識されずに治療されていることも多く、かつ、そのリスクは高いことから「原発性高脂血症」とは別項目として取り扱われている。これまで検討されてきたLDL-C100mg/dL未満よりもさらに厳しい目標値(very high riskグループ)設定の是非については、日本人でのエビデンスがないことから継続的な検討課題とされた。●non HDL-Cの導入 non HDL-CとCVDの関係を示すエビデンスの報告から、non HDL-Cがリスク区分別脂質管理目標値に加えられた。高TG血症、低HDL-C血症ではLDL-C値に加えて、non HDL-C値を加えることにより、リスク予測力が高まるとされている。 また、TCとHDL-Cから簡便に計算でき、食後採血でも使用できる点やFriedewald式が適用できない高TG血症にも使用できる点などは利点といえる。 本ガイドラインは2012年5月末の発行を予定しており、その詳細内容については2012年の7月に福岡で行われる「第44回日本動脈硬化学会総会」にて紹介される予定となっている。

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ミサワホームグループと北海道薬科大学、薬剤師業務で連携へ

ミサワホームは26日、同社グループ会社のマザアスと北海道薬科大学が在宅医療を中心とした薬剤師業務に関わる教育・研究・研修および調剤業務における連携協定を締結したと発表した。今回の協定では、マザアスが運営するサービス付き高齢者向け住宅「マザアス札幌」で北海道薬科大学の学生のインターンシップを受け入れるほか、「マザアス札幌」の入居者向けに北海道薬科大学附属薬局が訪問薬剤管理指導を行うことにより、薬剤師の育成や地域医療の充実を推進するとのこと。その他、マザアス社員向けの服薬基礎知識研修を実施しサービス向上も目指すという。詳細はプレスリリースへhttp://www.misawa.co.jp/misawa/news_release/misawa/pop-up/release-pages/2012_04_26/index.html

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日本の経済不況期、男性管理職、専門・技術職の死亡率、自殺率が急上昇

1990年代後半以降、日本の男性管理職や専門・技術職の死亡率、自殺率が急激に上昇し、その他の職種を上回るという西欧諸国の定説とは異なるパターンが出現したことが、北里大学医学部公衆衛生学の和田耕治氏らの調査で明らかとなった。日本の保健医療は現在、1990年代以降の長引く景気低迷により、特に労働年齢男性で危機的状況にあり、これは男性における高い自殺率で特徴づけられる。一方、この間の職種別の死亡率の傾向はほとんど知られていないという。BMJ誌2012年4月7日号(オンライン版2012年3月6日号)掲載の報告。経済不況期の職種別の死亡状況を後ろ向きに評価研究グループは、1980~2005年の日本における職種別の全死因死亡および死因別死亡の経時的な傾向の評価を目的に、レトロスペクティブなコホート試験を実施した。厚生労働省の人口動態統計や5年毎の国勢調査のデータを用い、30~59歳の男性の死亡前の最終の職種別に縦断的な解析を行った。職種を管理職、専門・技術職、その他(事務、販売、接客、警備、農林水産、運輸・通信、製造・労務、無職)に分け、全死因、4大死因(がん、脳血管疾患、虚血性心疾患、不慮の事故)、自殺による年齢調整死亡率について検討した。職務上の要求の増加や職場環境のストレス増大が影響か?全死因および4大死因による年齢調整死亡率は、その他の職種では徐々に低下したが、管理職および専門・技術職では1990年代後半に上昇に転じた(p<0.001)。調査期間中に死亡率が最も低下したのは製造・労務、事務、販売であったが、年齢調整死亡率は全体として職種間で大きなばらつきがみられた。自殺率は1995年以降、職種を問わず上昇したが、特に顕著な増加を示した管理職および専門・技術職がその他の職種を上回った。2005年の時点で、専門・技術職の自殺率はその他の職種より低くなったが、管理職における著明な上昇傾向は収まっていない。著者は、「日本では、経済的な低迷期に死因別死亡の職種別パターンが激変し、結果として西欧諸国とは異なるパターンが出現した」と結論。「景気低迷による健康への影響が、事務職員や肉体労働者よりも管理職や専門・技術者で不良であった原因は、職務上の要求の増加や職場環境のストレス増大のためと考えられ、以前にみられた職種別の健康上の不均衡が消失したか、あるいは逆転した可能性さえある」と考察し、「2008年の世界金融危機以降、他国でも同様の現象が進行している可能性がある」と警鐘を鳴らしている。(菅野守:医学ライター)

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MediLegal 医療従事者のためのワンポイント・リーガルレッスン

医療従事者のための法律コンテンツ「MediLegal」では、毎回異なるテーマを選択、実際にあった裁判例を通じて医療と法律の関わり合いを学んでいきます。「知らなかった」、「聞いたことない」ではもはや済まされない現代。これから医療を行っていく上で、本プログラムにより考えられるリスクをうまく避けて、自分が加害者にならないように学習ください。講師は、医師資格をもつ新進気鋭の弁護士、大磯義一郎氏(浜松医科大学医学部 教授)。医師だからこそ語ることができる事件の内容と医療者としての注意すべき点を是非ご覧ください。

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第1回 医療水準:未熟児網膜症事件

■今回のテーマのポイント1.過失とは、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」に満たない診療を行ったことである2.新規治療法が全国に普及していく過程においては、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して医療水準を判断する3.このことは、すでに普及している治療法についても同様に判断される事件の概要原告出生時においては、未熟児網膜症について、各種研究報告がなされており、その存在は認識されてきているものの、いまだ(旧)厚生省において、診断と治療に対する研究班が組織されている最中であり、報告書等もまだ出ておらず、また、未熟児網膜症の診断と治療につき、研修を受けられる施設もほとんどありませんでした。このような時期において、原告に対する未熟児網膜症の発見が遅れたため、両眼ともに視力が0.06となった事案について、被告の眼底検査義務、診断治療義務、転医義務違反が争われました。事件の経過原告は、昭和49年12月11日に妊娠31週、体重1508gで出生しました。原告は、被告病院において、保育器にて酸素投与等を受け、翌年1月23日に保育器より出て、2月21日に退院しました。その間、原告に対し、眼底検査は12月27日に1回行われ、「格別の変化がなく、次回検診の必要なし」とされていました。その後、3月28日に眼底検査を行った際も、「異常なし」と診断されたものの、4月9日の眼底検査上、異常が認められ、同月16日に他院を紹介受診したところ、両眼とも未熟児網膜症瘢痕期3度であると診断されました。最終的に原告の視力は両眼とも0.06となりました。原告出生時においては、未熟児網膜症について、各種研究報告がなされており、被告病院でも、その存在は認識され眼科医と協力し、未熟児網膜症を発見した場合には転医する体制をとっていました。しかし、いまだ未熟児網膜症に対する光凝固療法は有効な治療法として確立されているとは言えず、(旧)厚生省においても診断と治療に対する研究班が組織されている最中であり、報告書が公表されたのは昭和50年8月以降でした。また、未熟児網膜症の診断と治療につき、医師が研修を受けられる施設はほとんどなく、実際に被告病院眼科医も研修を受けていませんでした。事件の判決当該疾病の専門的研究者の間でその有効性と安全性が是認された新規の治療法が普及するには一定の時間を要し、医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性、医師の専門分野等によってその普及に要する時間に差異があり、その知見の普及に要する時間と実施のための技術・設備等の普及に要する時間との間にも差異があるのが通例であり、また、当事者もこのような事情を前提にして診療契約の締結に至るのである。したがって、ある新規の治療法の存在を前提にして検査・診断・治療等に当たることが診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準であるかどうかを決するについては、当該医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべきであり、右の事情を捨象して、すべての医療機関について診療契約に基づき要求される医療水準を一律に解するのは相当でない。そして、新規の治療法に関する知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及しており、当該医療機関において右知見を有することを期待することが相当と認められる場合には、特段の事情が存しない限り、右知見は右医療機関にとっての医療水準であるというべきである(最判平成7年6月9日第民集49巻6号1499頁)ポイント解説民事医療訴訟において、損害賠償責任が認められるためには、不法行為(民法709条※)の要件である(1)過失(故意は稀有)、(2)損害、(3)(過失等と損害の間に)因果関係が認められなければなりません。そして、医療訴訟における過失とは、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」に満たない診療を行ったことと考えられています(最判昭和57年3月30日民集135号563頁)。一方で、わが国の医療提供体制は、大きく1次医療機関から3次医療機関まで定められており、それぞれの医療機関が有する診断機器等物理的設備に大きな差があることから、必然的に診断・治療能力に差が生じます。もちろん、診察の上、高次の医療機関による診療を行うべきと判断された場合には、転医を行うこととなりますが、致命的な希少疾患であっても、症状・所見に乏しい場合も多々あること、基礎となる診断機器等物理的設備に制限もあることから限界があるといえましょう。そこで、法的に求められる「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」が、医療機関の性格、所在地域等を問わず一律の水準が求められるのかが問題となります。本判決では、「新規治療法においては、ある一つの時点を境に、全国すべての医療機関に対して、一律に医療水準とするというのではなく、現実的に各医療機関に順次伝達していくという事情を踏まえ、医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮すべき」と判示しました。しかし、本判決はガイドラインが作成されている等、すでに一定程度普及していると考えられる診断・治療については、医療機関の性質を問わず、一律の水準が求められ、ただ転医義務の問題が生ずるにすぎないと考えるのか、そうではなく現実に基づき、各医療機関の性質によって求められる水準が異なると考えるのかについては、言及していませんでした。ただ、その後の判決において、本判決を引用して、「人の生命及び健康を管理すべき業務(医業)に従事する者は、その業務の性質に照らし、危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務を要求されるのであるが(最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁)、具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である(最判昭和57年3月30日民集135号563頁)。そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものであるが(最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁)、医療水準は、医師の注意義務の基準(規範)となるものであるから、平均的医師が現に行っている医療慣行とは必ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従った医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない」(最判平成8年1月23日民集50巻1号1頁)と判示しており、これが現時点における医療水準についての判例となっていることから、現実に基づき「各医療機関の性質によって求められる水準が異なると考えられている」といえます。※参照条文(不法行為による損害賠償)第709条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます(出現順)。最判平成7年6月9日民集49巻6号1499頁最判昭和57年3月30日民集135号563頁最判昭和36年2月16日民集15巻2号244頁最判平成8年1月23日民集50巻1号1頁

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更年期症状に悩む女性に適切なアドバイス可能な研究成果が報告

女性が経験する自然閉経前後の症状を特徴づけ、症状のプロファイルや変遷別に階層化すること、また各症状プロファイルと社会統計学的因子や健康への取り組みとを関連づけることを目的とする前向きコホート研究が英国で行われた。同国University College and Royal Free Medical SchoolのGita D Mishra氏らによるもので、「医療従事者が自然閉経を迎えさまざまな症状を経験する女性に対し、個々に見合った適切なアドバイスを提供するのに役立つ結果が得られた」と報告している。BMJ誌2012年3月3日号(オンライン版2012年2月8日号)掲載報告より。47~54歳女性695例について閉経前後の不快症状を収集・分析Mishra氏らは、イングランド、スコットランド、ウェールズに住む女性の代表を対象とした全英代表コホート研究を行った。被験者は、1946年生まれの女性695例で、47~54歳で自然閉経を迎えるまでの間について追跡された。その間に収集された20の一般的な健康関連症状(睡眠障害、頭痛・関節痛、乳房痛、ほてりなど)について分析を行った。主要評価項目は、報告された長期にわたる不快症状プロファイルとした。その結果、20の症状のうち18の症状は、4つの症候群(精神的、身体的、血管運動性、性的不快感)に分類できた。潜在クラス分析の結果、身体的症候群を除くその他3群の症状については、閉経期における明白な関連性がかなりの女性で認められた。精神的、血管運動性、性的不快感の各症状について閉経期との関連性が明快に例えば、重度の精神的症状プロファイルが閉経時またはその後にピークが認められたが、その割合は小さかった(10%、n=63)。血管運動性症状は、閉経後早期にピークがあり、その後は顕著に減少していた早期重症プロファイルを示した女性が14%(n=83)いた一方で、閉経期に急増し、閉経後4年間以上やっかいな症状が続いた遅延性重症プロファイルを示した女性が11%(n=67)だった。また、重度の血管運動性症状は、非単純労働者階級(オッズ比:0.79、95%信頼区間:0.57~1.01)や、有資格・免許者(同:0.37、0.18~0.77)の場合は低かった。性的不快感に関しては、閉経までに症状が増大し閉経後も同程度持続していた遅延性重症プロファイルを示した女性が14%(n=85)だった。既婚女性は、遅延性の重度あるいは中程度のプロファイルを示す傾向が、その他の婚姻状態の女性と比べて認められた(同:2.40、1.30~4.41)。身体的症状は、軽度、中程度、重度、重篤の4つに特徴づけられたが、暦年齢や閉経時年齢分けはできなかった。

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がん化学療法中の患者へのsemuloparin、血栓塞栓症イベントを低下

がん化学療法を受けている患者に対するsemuloparinの投与は、重大出血の顕著な増加なく、血栓塞栓症イベント発生率を低下することが明らかにされた。イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが、47ヵ国395施設から3,212例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検試験の結果による。がん化学療法を受けている患者は、静脈血栓塞栓症のリスクが高いことが知られる。これまで、抗血栓薬の予防処置の臨床上の有益性が支持された試験データは限定的なものだった。NEJM誌2012年2月16日号掲載報告より。静脈血栓塞栓症予防と出血を判定研究グループは、がん化学療法を受けている患者の静脈血栓塞栓症予防について、超低分子量ヘパリンsemuloparinの有効性と安全性を評価することを目的に試験を行った。転移性または局所進行性の固形腫瘍に対する化学療法を受ける患者を、semuloparinを1日1回20mg皮下投与群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け、化学療法のレジメン変更となるまで投与が行われた。主要有効性アウトカムは、あらゆる症候性深部静脈血栓症、あらゆる非致死性肺塞栓症、静脈血栓塞栓症に関連した死亡の複合とした。主要安全性アウトカムは、臨床的意義のある出血(重大および重大でない)とした。血栓塞栓症イベントの発生率を抑え得る治療期間の中央値は3.5ヵ月だった。静脈血栓塞栓症は、プラセボ投与群1,604例のうち55例(3.4%)で発生(リスク比:0.36、95%信頼区間:0.21~0.60、P<0.001)したのと比較して、semuloparin投与群では1,608例のうち20例(1.2%)だった。がんの原発部位、ステージ、ベースラインの静脈血栓塞栓症リスクで定義されたサブグループにおいても、一貫した有効性が認められた。臨床的意義のある出血の発生率は、semuloparin群2.8%、プラセボ群2.0%だった(リスク比:1.40、95%信頼区間:0.89~2.21)。大出血は、semuloparin投与群1,589例中19例(1.2%)、プラセボ投与群は1,583例中18例(1.1%)だった(同:1.05、0.55~1.99)。その他の有害事象の発生率はすべて両群で同程度だった。(朝田哲明:医療ライター)

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