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アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー

 英国・East Midlands Workforce DeaneryのPriya Khanna氏らは、統合失調症に対するアリピプラゾールの有効性および忍容性について、他の非定型抗精神病薬と比較した試験結果を評価するシステマティックレビューを行った。Cochrane Database of Systematic Reviewsオンライン版2013年2月28日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group Trials Registerによる文献検索(2011年11月時点)とともに、製薬会社や医薬品承認省庁、論文執筆者から追加の情報などを得て行われた。統合失調症または統合失調症様精神障害を有する患者を対象とした、アリピプラゾール(経口薬)とその他の抗精神病薬(経口・非経口含む:アミスルプリド、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、セルチンドール、ジプラシドン、ゾテピン)を比較したすべての無作為化試験(RCT)を適格試験とした。ランダムエフェクトモデルに基づきintention-to-treat分析法にてリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、可能な限り主要アウトカムの比較リスクを算出した。また平均差(MD)の算出や、バイアスリスクについての評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、12試験、被験者6,389例のデータが組み込まれた。・アリピプラゾールとの比較試験は、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドンについて行われており、すべての試験が利害関係のある製薬会社がスポンサーとなり行われていた。・全被験者のうち30~40%が試験を早期に中止しており、妥当性(群間差なし)は限定的なものであった。[対オランザピン試験]・全体的な状態(global state)には差がみられなかった(703例・1試験、短期RR:1.00、95%CI:0.81~1.22/317例・1試験、中期RR:1.08、95%CI:0.95~1.22)。・精神状態についてはオランザピンでやや良い傾向がみられた[1,360例・3試験、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)総合スコアのMD:4.68、95%CI:2.21~7.16]。・錐体外路症状には有意な差はみられなかったが(529例・2試験、RR:0.99、9%CI:0.62~1.59)、コレステロール値の上昇(223例・1試験、RR:0.32、95%CI:0.19~0.54)、全重量の7%以上の体重増加(1,095例・3試験、RR:0.39、95%CI:0.28~0.54)はアリピプラゾール群のほうが少なかった。[対リスペリドン試験]・全体的な状態(384例・2試験、重大改善なしに関するRR:1.14、95%CI:0.81~1.60)、精神状態(372例・2試験、PANSS総合スコアのMD:1.50、95%CI:-2.96~5.96)に関して、アリピプラゾールの優位性は示されなかった。[対ジプラシドン試験]・アリピプラゾールとの比較は1試験(247例)であり、全体的な状態[臨床全般印象・重症度尺度CGI-S)スコアのMDの平均変化:-0.03、95%CI:-0.28~0.22]、精神状態[PANSS総合スコアのMD:-3.00、95%CI:-7.29~1.29]の変化はともに同程度であった。・いずれか1つの非定型抗精神病薬と比較した際、アリピプラゾールは、活力(523例・1試験、RR:0.69、95%CI:0.56~0.84)、気分(523例・1試験、RR:0.77、95%CI:0.65~0.92)、陰性症状(523例・1試験、RR:0.82、95%CI:0.68~0.99)、傾眠(523例・1試験、RR:0.80、95%CI:0.69~0.93)、体重増加(523例・1試験、RR:0.84、95%CI:0.76~0.94)にて全体的な状態の改善を示した。・アリピプラゾール群の被験者では、嘔気(2,881例・3試験、RR:3.13、95%CI:2.12~4.61)の報告が有意に多かったが、体重増加(全重量の7%以上の増加)は有意に少なかった(330例・1試験、RR:0.35、95%CI:0.19~0.64)。・アリピプラゾールは、攻撃性への有望な作用がある見込みがあたが、データが限定的であった。これは別の機会のレビューの焦点となるであろう。・著者は「すべての比較に関する情報には限界があり、必ずしも臨床に適用するとは限らない」とした上で、「アリピプラゾールは明らかな副作用プロファイルのない抗精神病薬である」と結論した。また、長期データが十分でないことを考慮すべきであり、今後は中国で行われている複数の試験や、進行中の大規模な独立したプラグマティックな試験のデータなどを組み込み、レビューのアップデートを行うことで新たなデータが得られると述べている。関連医療ニュース ・10年後の予後を見据えた抗精神病薬選択のポイント ・バイポーラの躁症状に対するアリピプラゾールの位置付けは? ・統合失調症、双極性障害の急性期興奮状態に対する治療:   アリピプラゾール筋注に関するコンセンサス・ステートメント(英国)

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皮膚レーザー治療をめぐる訴訟、原告勝訴が約半数、賠償額は平均約38万ドル

 米国・UCLA デイヴィッド・ゲフィン医科大学院 のH. Ray Jalian氏らは、皮膚レーザー治療をめぐる訴訟について分析を行った。全米データベースでオンライン公開されている法定文書を精査したもので、レーザー治療に関する訴訟の詳細を特定した最大規模の研究だという。分析の結果、実際の処置をphysician extenderが行っていた場合でも医師の責任も問われていることが明らかになった。著者は、インフォームド・コンセントの重要性とともに、医師には最終的な監督責任があることを強調している。JAMA Dermatology誌2013年2月号の掲載報告。 研究グループは、皮膚レーザー治療に関してよくみられる訴訟や、医師の職業上の責任を問われた判例の詳細を調べることを目的とした。 全米のデータベースでオンライン公開されている法定文書から、年間の訴訟件数、医療提供側の開業地および許認可、被った傷害、法的措置の理由、評決、賠償額を主要評価項目とし調査した。 主な結果は以下のとおり。・1985~2012年の、皮膚レーザー治療に起因する傷害訴訟174件を同定した。内訳は形成外科手術に関するものが25.9%と最も多く、次いで皮膚科手術が21.3%であった。・皮膚レーザー治療に関する訴訟は、年々増加している傾向がみられた。ピークは2010年(22件)であった。・最も多い訴訟は、脱毛処置(63件)であった。若返り処置(rejuvenation、43件)が続いた。・医師が施術者と特定されていたケースは100件(57.5%)であったが、146件の訴訟において被告人として名前が明記されていた。・医師ではない施術者には、医療関係者[カイロプラクター、足病医(podiatrist)、ナースプラクティショナー(NP)、登録看護師(RN)など]、非医療関係者(エステティシャン、テクニシャンなど)が含まれ、訴訟ケースの37.9%で関与していた。・訴訟に至った最大の要因(かつ、予防可能であった要因)は、医師がインフォームド・コンセントを得ていなかったことであった(約3分の1)。・評決に持ち込まれた120件のうち、61件(50.8%)で原告勝訴の判決が下されていた。・被告側が支払った賠償額は平均38万719ドルであり、これまでに報告されている全医療専門職における平均額を上回っていた。

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第12回 添付文書 その1:「添付文書」の解釈、司法と臨床現場の大きな乖離!

■今回のテーマのポイント1.医薬品の使用において、添付文書の記載に反した場合には、特段の合理的理由がない限り、過失が推定される2.「特段の合理的理由」の該当性判断は、判例により幅があることから、一定のエビデンスを確保したうえで行うことが安全といえる3.その場合においては、インフォームド・コンセントの観点から、患者に対し適切な説明がなされるべきである事件の概要7歳男性(X)。昭和49年9月25日午前0時30分頃、腹痛と発熱を訴え、救急車にてA病院を受診し、経過観察及び加療目的にて入院となりました。その後、同日午後3時40分まで保存的治療を行っていたものの、化膿性ないし壊阻性の虫垂炎と診断されたため、虫垂切除手術を行うこととなりました。Y医師は、自身と看護師3名、看護補助者1名とで、Xに対する虫垂切除術を行うこととしました(麻酔科医不在)。Y医師は、同日午後4時32分頃、Xに対し腰椎麻酔として0.3%のジブカイン(商品名: ペルカミンS)1.2mLを投与しました。Y医師は、A看護師に対しては、Xの脈拍を常時とるとともに、5分ごとに血圧を測定して自身に報告するよう指示し、B看護師に対しては、Xの顔面等の監視にあたるよう指示し、午後4時40分より執刀を開始しました。午後4時45分頃、Xの虫垂の先端が後腹膜に癒着していたため、Y医師が、ペアン鉗子で虫垂根部を挟み、腹膜のあたりまで牽引したところ、Xが「気持ちが悪い」と訴えました。同時に、A看護師が「脈拍が遅く弱くなった」と報告しました。Y医師が、Xに対し、「どうしたぼく、ぼくどうした」と声をかけましたが、返答はなく、Xの顔面は蒼白で唇にはチアノーゼ様のものが認められ、呼吸はやや浅い状態で意識はありませんでした。A看護師から、血圧は触診で最高50mmHgであると報告されました。午後4時47分には、Xは心肺停止となり、Y医師および応援に駆け付けた医師らによる蘇生処置が行われた結果、午後4時55分には、Xの心拍は再開し、自発呼吸も徐々に回復しましたが、残念ながらXの意識が回復することはありませんでした。Xは、その後、長期療養を行いましたが、脳機能低下症のため意思疎通は取れず、寝たきりのため全介助が必要な状態となりました。これに対し、Xおよび両親は、A病院およびY医師らに、9,400万円の損害賠償の請求を行いました。第1審では、検査、腰麻の選択、手術方法、術中の管理、救急措置のいずれにおいても、過失を認めることはできないとして請求を棄却しました。第2審においては、Xの血圧低下は、Y医師が虫垂をペアン鉗子で挟んだことによる迷走神経反射が起因しているとして、その場合、仮にペルカミンS®の添付文書記載通り2分ごとに血圧を測定していたとしても、午後4時45分以前にはXの血圧に異状は認められないことから、添付文書の記載に従わなかったこととXの血圧低下との間には因果関係がないとして原告らの請求を棄却しました。この原審に対し、原告らが上告したところ、最高裁は、午後4時45分に脈拍が低下した時点で、Xの唇にチアノーゼ様のものが認められたことから、Xの血圧低下の原因は、迷走神経反射だけでなく、ペルカミンS®による腰麻ショックも存在していたとし、下記の通り判示し、原判決を破棄し、原審に差し戻しました。なぜそうなったのかは、事件の経過からご覧ください。事件の経過7歳男性(X)。昭和49年9月25日午前0時30分頃、腹痛と発熱を訴え、救急車にてA病院を受診し、経過観察および加療目的にて入院となりました。その後、同日午後3時40分まで保存的治療を行っていたものの、化膿性ないし壊阻性の虫垂炎と診断されたため、虫垂切除手術を行うこととなりました。Y医師は、自身と看護師3名、看護補助者1名とで、Xに対する虫垂切除術を行うこととしました(麻酔科医不在)。Y医師は、同日午後4時32分頃、Xに対し腰椎麻酔として0.3%ペルカミンS® 1.2mLを投与しました。 なお、麻酔実施前のXの血圧は112/68mmHg、脈拍は78/分であり、麻酔後3分(午後4時35分)の血圧は124/70mmHg、脈拍は84/分でした。Y医師は、A看護師に対しては、Xの脈拍を常時とるとともに、5分ごとに血圧を測定して自身に報告するよう指示し、B看護師に対しては、Xの顔面等の監視にあたるよう指示し、午後4時40分(40分時点での血圧122/72mmHg)より執刀を開始しました。午後4時45分頃、Xの虫垂の先端が後腹膜に癒着していたため、Y医師が、ペアン鉗子で虫垂根部を挟み、腹膜のあたりまで牽引したところ、Xが「気持ちが悪い」と訴えました。同時に、A看護師が「脈拍が遅く弱くなった」と報告しました。Y医師が、Xに対し、「どうしたぼく、ぼくどうした」と声をかけましたが、返答はなく、Xの顔面は蒼白で唇にはチアノーゼ様のものが認められ、呼吸はやや浅い状態で意識はありませんでした。この時点で、A看護師から、血圧は触診で最高50mmHgであると報告されました。午後4時47分には、Xは心肺停止となり、Y医師および応援に駆け付けた医師らによる蘇生処置が行われた結果、午後4時55分には、Xの心拍は再開し、自発呼吸も徐々に回復しましたが、残念ながらXの意識が回復することはありませんでした。Xは、その後、長期療養を行いましたが、脳機能低下症のため意思疎通は取れず、寝たきりのため全介助が必要な状態となりました。事件の判決「本件麻酔剤の能書には、「副作用とその対策」の項に血圧対策として、麻酔剤注入前に1回、注入後は10ないし15分まで2分間隔に血圧を測定すべきであると記載されているところ、原判決は、能書の右記載にもかかわらず、昭和49年ころは、血圧については少なくとも5分間隔で測るというのが一般開業医の常識であったとして、当時の医療水準を基準にする限り、被上告人に過失があったということはできない、という。しかしながら、医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである。そして、前示の事実に照らせば、本件麻酔剤を投与された患者は、ときにその副作用により急激な血圧低下を来し、心停止にまで至る腰麻ショックを起こすことがあり、このようなショックを防ぐために、麻酔剤注入後の頻回の血圧測定が必要となり、その趣旨で本件麻酔剤の能書には、昭和47年から前記の記載がされていたということができ(鑑定人によると、本件麻酔剤を投与し、体位変換後の午後4時35分の血庄が124/70、開腹時の同40分の血圧が122/72であったものが、同45分に最高血圧が50にまで低下することはあり得ることであり、ことに腰麻ショックというのはそのようにして起こることが多く、このような急激な血圧低下は、通常頻繁に、すなわち1ないし2分間隔で血圧を測定することにより発見し得るもので、このようなショックの発現は、「どの教科書にも頻回に血圧を測定し、心電図を観察し、脈拍数の変化に注意して発見すべしと書かれている」というのである)、他面、2分間隔での血圧測定の実施は、何ら高度の知識や技術が要求されるものではなく、血圧測定を行い得る通常の看護婦を配置してさえおけば足りるものであって、本件でもこれを行うことに格別の支障があったわけではないのであるから、Y医師が能書に記載された注意事項に従わなかったことにつき合理的な理由があったとはいえない。すなわち、昭和49年当時であっても、本件麻酔剤を使用する医師は、一般にその能書に記載された5分間隔での血圧測定を実施する注意義務があったというべきであり、仮に当時の一般開業医がこれに記載された注意事項を守らず、血圧の測定は五分間隔で行うのを常識とし、そのように実践していたとしても、それは平均的医師が現に行っていた当時の医療慣行であるというにすぎず、これに従った医療行為を行ったというだけでは、医療機関に要求される医療水準に基づいた注意義務を尽くしたものということはできない」(最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁)ポイント解説今回と次回は添付文書の法的意義について解説いたします。第1回のポイント解説で示したように、民事医療訴訟における過失とは、一般的には「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」に満たない診療のことをいいます。しかし、この文言をいくら眺めたところで、具体的な事例についての線引きの基準を導き出すことはできません。したがって、例えば、本件における腰椎麻酔下での虫垂切除術において血圧測定を何分間隔で行うことが「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」なのかは、個別具体的に判断せざるを得ません。しかし、裁判官は、医学知識を有しているわけではありませんし、当然、医療現場を経験したこともありません(ロースクール制度により、最近、医師として医療現場を経験した裁判官が生まれるようになりましたがわずか数名です)。したがって、民事医療訴訟において、そういった個別具体的な事例における医療水準を決定する際に用いられるのが、今回のテーマとなる添付文書や次々回のテーマであるガイドラインであったり、医学文献、教科書、意見書、鑑定等です。添付文書は、薬事法52条(医療機器については63条の2)によって下記のように定められています。 (添附文書等の記載事項)第52条  医薬品は、これに添附する文書又はその容器若しくは被包に、次の各号に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。一用法、用量その他使用及び取扱い上の必要な注意二日本薬局方に収められている医薬品にあつては、日本薬局方においてこれに添附する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項三第四十二条第一項の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、その基準においてこれに添附する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項四前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項 そして、添付文書の記載については、「医療用医薬品添付文書の記載要領について」(薬発第606号平成9年4月25日厚生省薬務局長通知、薬安第59号厚生省薬務安全課長通知)「医療機器の添付文書の記載要領について」(薬食発第0310003号平成17年3月10日厚生労働省医薬食品局長通知)があり、記載内容、方法について詳細に定められています。同通知別添に記載されている添付文書作成の目的は、「医療用医薬品の添付文書は、薬事法第52条第一号の規定に基づき医薬品の適用を受ける患者の安全を確保し適正使用を図るために、医師、歯科医師及び薬剤師に対して必要な情報を提供する目的で当該医薬品の製造業者又は輸入販売業者が作成するものであること」となっています。このようなことから、古くから裁判所は、医薬品の使用に関する医療水準の判断について、添付文書の記載を他の証拠と比べ重視していました。そのような背景の中で出された、本判決の特徴は、「医薬品の添付文書(能書)の記載事項は、当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有している製造業者又は輸入販売業者が、投与を受ける患者の安全を確保するために、これを使用する医師等に対して必要な情報を提供する目的で記載するものであるから、医師が医薬品を使用するに当たって右文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定されるものというべきである」と示されるとおり、医薬品の使用に関しては、特段の合理的理由がない限り、添付文書の記載がすなわち医療水準となるとしたことです。確かに、高度の専門性を有する医療訴訟の判断をすることは、裁判所にとって非常に困難でありストレスであることは理解できますし、医師がいつでも手に取って読むことができる添付文書の記載さえ遵守していれば、医薬品の使用に関しては違法と問われることがないという意味においては、適法行為の予見可能性を高めるものであり、医師にとって有利なのかもしれません。しかし、皆さんご存知の通り添付文書の記載には、臨床の実情を反映しているとはいえない記載がしばしば見受けられます。そのような場合、医師が、患者に最善の治療を提供しようと添付文書記載に反する治療を行うことに躊躇してしまう(萎縮効果)こととなり問題といえます。特にわが国では、ドラッグラグが問題となっており、世界標準の治療薬の半数程度しか保険適用されていない現状において、未承認薬や適用外処方が原則違法であるとすることは、医学的に不当な結論といえます。このような医療界からの指摘を受け、現在では、例外となる「特段の合理的理由」を広く解することにより適切な判断をするように対応している判例が複数認められます。「添付文書の内容に違反した場合に,医師に過失が推定されるのは,製造業者や輸入販売業者は,当該医薬品の危険性(副作用等)につき最も高度な情報を有しており,それが添付文書に反映されているという事情に基づくものであるところ,本件においては,ベサコリン散の添付文書に,パーキンソン病の患者に対して禁忌であると記載がされたことについては,販売元の株式会社○○に対する調査嘱託の結果,厚生労働省からの指導によるものであって,株式会社○○自身が裏付けとなる研究結果等に基づいて記載したものではないことが判明しており,禁忌とされた根拠は必ずしも明確ではない。その上,ベサコリン散の成分は血液脳関門を通過しないからパーキンソニズムを悪化させることはないものとの考えが一部の出版物にも掲載されており,また,ベサコリン散のインタビューフォームにも,ベサコリン散の成分は血液脳関門を通過しない旨の記載がある。以上によれば,本件におけるベサコリン散の投与については,添付文書の記載内容には違反しているものの,原告に対してベサコリン散を投与すべき必要性が認められる反面,添付文書上の禁忌の根拠が明確でなく,むしろY医師自身は禁忌の根拠はないものと考えてあえて投与を行っていたものといえる。したがって,添付文書に反していても,本件においてはそこに合理的理由があるものといえ,直ちにY医師に過失があるものということはできない。パーキンソニズムの患者に対し、添付文書においてパーキンソン病の患者には禁忌であると記載されているベサコリン散を投与したとしても、当該患者に対してベサコリン散を投与すべき必要性が認められる反面、添付文書上の禁忌の根拠が明確でなく、当該医師が禁忌の根拠はないものとあえて投与を行っていたときには、当該投与が添付文書に反していても、そこには合理的な理由があるものといえるから、直ちに当該医師に過失があるものということはできない」(横浜地判平成21年3月26日判タ1302号231頁)とした判決や、ステロイド抵抗性の喘息患者に対し、適用外となる免疫抑制剤の投与を行った事案において、「ガイドラインに『難治性喘息に対する治療法として,免疫抑制剤の併用を考慮する場合がある』とされていることや有効性を示す症例報告が複数存在することを理由にただちに違法とはならない」とした判決(京都地判平成19年10月23日)などがあります。とはいえ、本件最高裁判決はまだいきていますので、適用外処方を行う場合には、事前にガイドラインや複数の医学文献等エビデンスを確保したうえで行うことが望ましいといえます。また、適用外処方をする場合には、インフォームド・コンセントの観点から、患者に対し、「(1) 当該治療方法の具体的内容、(2) 当該治療方法がその時点でどの程度の有効性を有するとされているか、(3) 想定される副作用の内容・程度及びその可能性、(4) 当該治療方法を選択した場合と選択しなかった場合とにおける予後の見込み等について、説明を受ける者の理解力に応じ、具体的に説明し、その同意を得た上で実施」(前掲京都地判平成19年10月23日より引用)すべきといえます。裁判例のリンク次のサイトでさらに詳しい裁判の内容がご覧いただけます。(出現順)最判平成8年1月23日民集50号1巻1頁横浜地判平成21年3月26日判タ1302号231頁本事件の判決については、最高裁のサイトでまだ公開されておりません。 京都地判平成19年10月23日

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テレヘルス(遠隔医療)、慢性疾患患者のQOLや不安・うつ病への効果は?/BMJ

 英国・シティ大学ロンドンのMartin Cartwright氏らは、テレヘルス(遠隔医療)による慢性疾患患者への介入について、QOLおよび精神的アウトカムへの効果について評価を行った。テレヘルスは、患者の自己モニタリング評価を遠隔的にできる簡便性から、医療コストを削減し健康関連QOLを改善するとして推進されてきたが、その有用性についてのエビデンスは相反する報告がされている。また不安症やうつ病への効果についてはほとんど評価が行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載より。 英国内テレヘルス研究参加者のうち慢性疾患患者1,573例について解析 Cartwright氏らは、2008年5月~2009年12月に被験者を集めて行われたWhole Systems Demonstrator(WSD)テレヘルス研究(3,230例)で慢性疾患(COPD、糖尿病、心不全)を有していると質問票で回答していた1,573例について評価を行った。WSDテレヘルス研究は、英国内の異なる医療サービスシステムの4つのプライマリ・ケアトラストが管轄する3地域(コーンウォール、ケント、ニューハム)から被験者を募り、GP(一般開業医)単位で無作為化し、テレヘルスと通常治療の介入効果を比較した。評価は、ベースライン、4ヵ月時点(短期)、12ヵ月時点(長期)で行われた。 評価はまずintention to treat解析を行い、GP単位および共変量単位による多変量モデルにて、3回すべての評価を受けた759例(評価完遂コホート)と、ベースライン+どちらか1回(評価可能コホート)について解析した。次にper protocol解析による有効性の評価を、評価完遂コホート633例、評価可能コホート1,108例を対象として行った。 主要評価項目は、健康関連QOLの一般的尺度(SF-12、EQ-5Dで身体面・精神面を評価)、不安症(Brief State-Trait Anxiety Inventoryの6項目で評価)、うつ症状(Centre for Epidemiological Studies Depression Scale:CES-Dの10項目で評価)とした。 テレヘルス群と通常治療群の差は小さく、アウトカムについて有意差がない intention to treat解析の結果、テレヘルス群と通常治療群の差は小さく、すべてのアウトカムについて、評価完遂コホート(各アウトカムのp値範囲:0.480~0.904)、評価可能コホート(同:0.181~0.905)のいずれにおいても有意な差はみられなかった。また、事前に定義した、両群最小限の臨床的に意義のある差(MCID、標準差0.3とした)は、いずれのアウトカムも4ヵ月時点、12ヵ月時点ともに達成しなかった。 per protocol解析の結果でも、テレヘルス群と通常治療群は、あらゆるアウトカムについて有意差がないことが示された(評価完遂コホートの各アウトカムのp値範囲:0.273~0.761、評価可能コホートの同値:0.145~0.696)。 解析の結果を踏まえて著者は、「WSDテレヘルス研究参加者を対象とした評価において、テレヘルスは通常治療と比べて効果的ではなかった。テレヘルスの12ヵ月間の介入はCOPD、糖尿病、心不全患者のQOLや精神的アウトカムを改善しなかった」と結論。テレヘルスは、QOLや精神的アウトカム改善を目的とした導入はすべきではないだろうと警鐘を鳴らしている。

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統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か

 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。 研究グループは、PubMedおよびMedlineにて、「陰性症状」および「Deficit Syndrome」、電気生理学的評価ツール(「脳波検査(EEG)」「Evoked Potentials(EPs)」「睡眠ポリグラフ(PSG)」のうち1つ)が、インデックスとして付けられているすべての研究報告を検索した。 主な知見は以下のとおり。・この研究はまだ揺籃期にあるが、2つの有意な傾向が明らかになった。・第1に、EEGのスペクトル研究により、覚醒中の徐派(slow wave)活性の増大と陰性症状の有病率が結び付くこと。・第2に、睡眠研究が、徐波睡眠(slow-wave sleep)の減少と陰性症状の有病率との関連を示していることである。・また、数例の研究で陰性症状とα派活性の低下との関連も示されていた。・感覚情報のゲーティングやP300 attenuationなどその他の異常については、ほとんど報告がなかった。・DSの電気生理学的特性を対象としていた研究は2件であった。いずれの研究も、DSは統合失調症とは異なる疾患であり、単なる重症型ではない可能性を示唆するエビデンスが示されていた。関連医療ニュース ・抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・統合失調症患者の再発を予測することは可能か?

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消化管神経内分泌腫瘍〔GI-NET : gastrointestinal neuroendocrine tumor〕

1 疾患概要■ 概念・定義消化管神経内分泌腫瘍は原腸系組織に存在する神経内分泌細胞由来の腫瘍群(neuroendocrine tumor: NET)である。消化管NETは、悪性度が低いものから高いものまで多彩であるにもかかわらず、これまで消化管カルチノイドの呼称でひとまとめに扱われてきたが、2010年以降、生物学的悪性度を指標としたWHO分類に従って扱われるようになってきている。本稿では、WHO分類に従ったデータは乏しいため、以下、消化管カルチノイド腫瘍として報告されてきた知見を示す。■ 疫学わが国における消化管カルチノイド腫瘍の発生頻度は、直腸(39%)、胃(27%)、十二指腸(15%)の順である。欧米では、小腸、虫垂での発生頻度が高い。■ 病因消化管粘膜の腺底部に存在する内分泌細胞が腫瘍化し、粘膜下層を主座としながら腫瘤を形成するため、粘膜下腫瘍様の形態を呈する。■ 症状(1)無症状で発見されることが多い。(2)腫瘍増大による腹痛、腸閉塞、下血で発見されることもある。(3)生理活性物質(セロトニン、ヒスタミンなど)を産生する腫瘍の肝転移例では、カルチノイド症候群と呼ばれる皮膚紅潮、喘息様発作、下痢、右弁膜傷害の症状がみられることがある。■ 分類1)WHO分類腫瘍細胞の核分裂像や細胞増殖マーカー(Ki-67)の発現指数に基づいて表1のようにNET grade 1、NET grade 2、Neuroendocrine carcinoma(NEC)に分類される。2)TNM分類腫瘍の深達度(T因子)、リンパ節転移の有無(N因子)、遠隔転移の有無(M因子)を評価し、腫瘍の進行度(病期)をI~IVの4段階に分類するもの。3)Rindi分類胃NETは他の消化管NETと比べ悪性度の低いものが多く、疾患背景や高ガストリン血症の有無でType I~IIIと低分化型内分泌細胞がんの4グループに分けるRindi分類が有用である(表2)。画像を拡大する画像を拡大する■ 予後1)胃NETType I、Type IIの胃NETは、高ガストリン血症を伴わないType III胃NETに比べ転移率が低く(I:4.9%、II:30%、III:62.5%)、5年生存率(I:正常生命期待値、II:87%、III:79%)は、明らかに良好である。Type IVの胃NETは、WHO分類のNECに相当し、予後が悪い。2)その他の消化管NET胃以外の消化管NETでは、予後予測因子が明らかでない。腫瘍径が1cmを超えた場合、転移率が20%以上とする報告が多い。米国の報告では、5年生存率が局所限局で79.7%、近傍進展で50.6%、遠隔転移を有する症例で21.8%である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)1)血液検査カルチノイド症候群を疑う場合は、血中セロトニン、尿中5-ヒドロキシインドール酢酸の測定を行う。機能性NETの場合は、疑うホルモンの血清値の測定を行う。2)画像診断内視鏡検査では、黄白色調の表面平滑な粘膜下腫瘍として観察されることが多い。確定診断は生検による組織診断で行う。転移の有無は、腹部超音波、CT、MRIなどの検査で行う。内視鏡的切除を行う場合には、超音波内視鏡検査による腫瘍の深達度が有用である。3)病理特徴的な細胞像(好酸性微細顆粒状の細胞質、円形~卵円形の均一な小型核、細胞分裂はまれ)と胞巣形態を呈する。銀染色やクロモグラニン免疫染色が有用である。NETのグレード分類には細胞増殖マーカーKi67の免疫染色が行われる。4)その他欧米では血中クロモグラニンA値を腫瘍マーカーとして用い、ソマトスタチン受容体シンチグラフィーを病変の検出に用いられているが、日本では未承認である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)1)外科的または内視鏡的切除(1)胃NET高ガストリン血症を伴うtype I、IIの腫瘍は2cm未満の場合、まず内視鏡治療を試み、病理組織学的に細胞異型が強い腫瘍の残存や脈管浸潤を認める場合には、外科的切除を追加する。腫瘍が2cm以上あるいは個数が6個以上、あるいは腫瘍が固有筋層に浸潤している場合は、リンパ節郭清を含む外科的切除を行う。Type III、IVの腫瘍は胃がんに準じた外科切除を行う。(2)その他の消化管NET筋層浸潤を伴わない1cm以下の腫瘍では、内視鏡的切除か筋層を含む局所切除を行う。筋層浸潤を伴わない1~2cmの腫瘍では、広範な局所切除または所属リンパ節郭清を含む腸管の部分切除を行う。筋層浸潤を伴う腫瘍または2cm以上の腫瘍では、広範なリンパ節転移を含む根治的切除術を行う。2)化学療法5-FU、ドキソルビシン、ストレプトゾトシン、インターフェロン、シクロホスファミドが投与されるが有効性は低い。肝転移巣に対して肝動脈塞栓術が有効な場合がある。NECは、小細胞がんに準じてシスプラチン+エトポシド、シスプラチン+イリノテカンが投与される(わが国ではすべて未承認)。3)カルチノイド症候群に対する治療ソマトスタチン誘導体であるオクトレオチド(商品名:サンドスタチン)は、NETからのセロトニンやヒスタミンの放出を抑制し、カルチノイド症候群でみられる症状(前述)を改善する。4 今後の展望消化管NETの解釈は、さまざまな分類によって取り扱われ混乱していたが、2010年に新しい WHO分類が提唱され、今後徐々にその分類に沿った治療成績や予後が明らかになり、データが整理されていくと思われる。治療の原則は、腫瘍の根治的切除と再発予防であるが、欧米で検討されているソマトスタチンアナログなど抗腫瘍効果が期待される新薬もNETの集約的治療に加わってくるかもしれない。5 主たる診療科消化器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療に関する情報サイトNET Links(一般向け、医療従事者むけのサイト)患者会情報しまうま倶楽部(患者・患者の家族の会)

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(59)〕 ラテンアメリカ7地域におけるピロリ除菌成功後の高率な“再感染”

今回の米国からの報告は、除菌治療後、尿素呼気試験(UBT)による判定でピロリ菌が陰性化した例を対象として、1年後の再陽性化率とそのリスクを検討したものである。2009年から2011年に6ヵ国(7地域)で行われた除菌治療試験(RCT)に参加し、除菌に成功(UBT陰性化)した1,463例を対象としたコホート研究であるが、UBTを指標とした再感染率は11.5%と高率であった。さらに、コロンビアやチリにおいて施行された試験、対象を初回治療に限定した試験、子供と同居している人を対象とした試験で有意に高い再感染率を示した。 わが国でも「ピロリ菌感染胃炎」に対する除菌治療が承認され、除菌治療の保険適用患者が大幅に増加することとなったが、除菌治療に伴う問題点のひとつに除菌成功後の再陽性化がある。種々の判定方法により除菌成功と判定された後に再陽性化する原因は“再燃”と“再感染”に分類される。“再燃”とは除菌治療により一時的に菌量が当該検査の感度以下に減少した後に再度増加して陽性となる現象であるのに対して、“再感染”とは除菌治療によりピロリ菌が完全に消失した後、異なるピロリ菌に新たに感染したものである。 再感染に関するわが国の報告では、数種の診断方法を用いて厳密な除菌判定した1,609例を平均4.7年経過観察した結果、再陽性化率は26例(1.62%:年率0.34%)であり、このうち1年目に陽性化したのは13例(0.81%)であった。経過観察前後の菌株の遺伝子を検討した結果、10例のうち6例が“再燃”で、4例が“再感染”であった。さらに、わが国における再感染に関するその他の報告でも年率1%内外とされている。 今回報告された高率の“再感染”は、除菌判定時における“UBTの偽陰性による除菌成功”が多く含まれた結果と推測される。臨床現場では偽陰性を防ぐための工夫、すなわち除菌判定に2種類以上の検査を併用するなどの工夫が必要となっている。

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摂食てんかんが食事中に起こる種々のメカニズムが明らかに

 摂食てんかん(Eating Epilepsy)は、食事摂取によりてんかん発作が誘発される反射性てんかんの一つであるが、その病態はまだ十分に認識されていない。今回、この摂食てんかんについて、大半が最初の誘発刺激から長い期間を経て発症し、治療抵抗性の経過をたどるという特徴があることが、トルコ・イスタンブール大学のUlgen Kokes氏らにより明らかにされた。Clinical EEG and Neuroscience誌オンライン版2013年2月6日号の掲載報告。摂食てんかんは食事中に種々のメカニズムを介して起こる 本研究では、摂食てんかんの特徴を明らかとするため、てんかん患者8,996例のカルテファイルをレトロスペクティブに調べた。その結果、摂食てんかん患者は6例のみ(0.067%)で認められた。男性が4例、女性が2例であり、年齢は20~63歳であった。 摂食てんかん患者6例に認められた所見は以下のとおり。・6例には焦点発作がみられ、大半が食事により誘発された認知不全または経験的前兆があり、自発性の発作であった。・全例で、初期にてんかん発作の誘発刺激(頭部/分娩時外傷または脳炎)があった。・4例は食事の途中または食事直後にてんかん発作が起こり、2例は食事開始時にてんかん発作が起きた。このことから、2つの異なる摂食てんかんメカニズムの存在が示唆された。・MRI所見は2例で正常であったが、その他の症例では異常がみられた。・脳波所見において、5例で左側頭領域の広い範囲で頻繁なスパイク(棘波)が認められ、1例は右側頭領域で同所見がみられた。また、左側頭に由来する発作が3例で記録された。・2例において、脳波所見とPET検査所見が一致していた。・1例を除き、治療抵抗性の経過をたどった。 ・以上より著者は、摂食てんかんの特徴を以下のようにまとめた。  ・頻度が少なく、きわめてまれである。  ・初期の誘発刺激から長い期間を経た後に起こる。  ・大半が認知不全または経験的前兆を伴い、通常、発作は左側頭領域に由来する。  ・多くが治療抵抗性の経過をたどる  ・食事中に種々のメカニズムを介して起こる。関連医療ニュース ・妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全? ・検証!抗てんかん薬の免疫グロブリン濃度に及ぼす影響 ・うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

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アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の長期曝露、ミツバチの生態行動に影響

 過去20年間に多くの国でミツバチやその他の受粉行動をする昆虫が急激に減少した。背景には、寄生ダニ駆除を目的とした、コリン作動性シグナル伝達に作用する有機リン酸系の農薬(殺虫剤)の影響が言われている。英国・ニューキャッスル大学のSally M. Williamson氏らは、それら殺虫剤の長期曝露がミツバチの行動にどのような影響を及ぼすのか、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬を用いた検証試験を行った。その結果、AChE阻害薬の長期曝露により毛づくろい行動(働かなくなる)や排便回数が増えるなど、ミツバチの生理機能や行動に変化がもたらされたことが確認されたという。Frontiers in Physiology誌オンライン版2013年2月5日号の掲載報告。 コリン作動性シグナル伝達は、大半の臓器の神経筋機能において必須である。そのコリン作動性シグナル伝達をターゲットとする神経毒性の殺虫剤が致死量に達しないまま曝露されると巧みなメカニズムで昆虫の行動に変化をもたらす可能性がある。研究グループは、採餌において高度な行動連鎖がみられるミツバチについて、殺虫剤の曝露により採餌が障害され、コロニー(群れ)の状態が不良となる可能性があるのではないかと仮定し、AChE阻害薬を用いてミツバチの行動への影響を調べた。成虫の働きバチに致死量未満のAChE阻害薬のショ糖合成液を24時間摂取させ、歩行、動きの停止、毛づくろい、混乱行動を15分間観察した。 主な結果は以下のとおり。・いずれのAChE阻害薬も10nM濃度において、ミツバチの行動に同様の影響を及ぼした。毛づくろいの行動が著しく増え、頭部の毛づくろい行動の頻度にも変化がみられた。・農薬のクマホスは用量依存的に行動に影響を及ぼし、1μM濃度で腹部の毛づくろいや排便といった倦怠症状を引き起こした。・生化学アッセイにより、4種類の化合物(クマホス、アルジカルブ、クロルピリホス、ドネペジル)またはそれらの代謝物が、ミツバチにおいてAChE阻害薬として作用することを確認した。・さらに、AChE阻害薬の曝露に反応して、2種類のAChE阻害薬の転写発現レベルが、脳および消化管組織において選択的にアップレギュレートされていることもわかった。・以上の結果から、コリン作動性シグナル伝達に作用する殺虫剤は、微妙であるが重大な生理学的影響を及ぼし、生存の減少に結びついている可能性が示された。■関連記事認知症に対する非定型抗精神病薬処方、そのリスクは?ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?アルツハイマー病にビタミンD不足が関連コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析

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話せばわかる?通報する?“モンスターペイシェント”

“困った患者さん”を通り越して“モンスターペイシェント”なんて言葉さえ見られる昨今。法外な要求、目を剥くような行動、ついには暴力の果てに負傷、うつ状態に追い込まれる医師・スタッフも…。皆さんどうやって対処していますか?モンスター化させないコツは?医師1,000人から聞いた“モンスターペイシェント事情“、必見です!コメントはこちら今すぐできる対策はこちら結果概要7割近くの医師が“モンスターペイシェント”の対応経験あり、うち1割は『月に1度以上』全体で7割近くの医師がそうした患者・家族に対応した経験があり、勤務施設別では診療所の57.4%に比較して一般病院では70.7%という結果となった。頻度を尋ねたところ、うち7割強が『半年に1度』以下であったが、一方で『月に1度』以上との回答が1割、中には『週に2~3度以上』という医師も。治療費不払い、脅迫、暴力…「犯罪では?」「病院内では不当に軽く扱われることがある」内容として『スタッフの対応へのクレーム』が60.5%、『自分を優先した診察ほか待ち時間に関する要求・暴言』が47.1%、次いで『不要/過剰な投薬の要求』が37.6%と続く。『治療費の不払い』も3割に上り、「無銭飲食と同様に罪に問うべきだ」といったコメントも寄せられた。暴力を受けた経験があるとの回答は16.2%、脅迫に関しては27.6%に上った。また「個室での診察中に監禁された」といった声も。全体の16.2%が『警察OBを雇用』、担当者を定めない施設では医師個人に負担がそうした患者への最終的な対応として、3人に1人が『以後の診察を拒否した』と回答。次いで『転院させた』『担当医を交代した』と続く。警察への連絡に関しては『出動を要請した』16.4%、『相談した』11.5%となった。一方『特に対応をとったことがない』との回答は22.5%。「キャリアの浅い頃は、怖さのあまりに従ってしまったことがあった」といった声も。その他、施設内で通常取られている対策としては『担当者を決めている』が最も多く約3割に上った。次いで『対応マニュアル』『事例の共有』と続く。『警察OBを雇用している』の回答は16.2%であり、その存在は非常に有効との声が多かった。担当者を定めず医師・スタッフ個人の対応に任せている施設においては「対応に疲れ果てうつ病になった」「退職した」といった経験談が寄せられ、個人ではなく施設としての対応が必要だとのコメントも複数見られた。設問詳細医療従事者や医療機関に対して、自己中心的で理不尽な要求、果ては暴言・暴力を繰り返す患者や、その保護者・家族等を指し、「モンスターペイシェント」といった言葉が使われることがあります。そこで先生にお尋ねします。Q1.患者・家族から暴言・暴力、その他“通常の域を超えている、診察に著しく影響を及ぼすレベル”の行動・要求・クレームを受けたことがありますか。あるない(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q2.その内容について当てはまるものを全てお答え下さい。(複数回答可)診察をしないで投薬のみ要求する不要な投薬・過剰な投薬を要求する自分を優先した診察ほか、待ち時間に関する要求・暴言を吐く「空いている」などの理由で、時間外・夜間診療を繰り返すスタッフの対応が気に食わない、とクレームをつける治療法・薬剤を指定するなど、自分の見立てを強硬に主張する事実と異なることを吹聴して回る検査・診察・食事・内服等を拒否する治療費・入院費を払わない入院を強要する退院を拒否する土下座ほか度を越した謝罪を要求する「訴える」「刺す」「暴力団関係者を連れてくる」「マスコミに流す」などと脅迫するご自身・スタッフに暴力を振るうその他(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q3.上記のような患者・家族への対応に関しご経験があるものをお答え下さい。(複数回答可)他の医師と担当を交代した転院させた以後の診察を拒否した弁護士・司法書士等に相談した警察に相談した警察に通報した、出動を要請した患者の対応に参って体調を崩した退職したその他特に対応をとったことがない(Q1で「ある」と回答した方のみ)Q4.上記のような患者・家族に遭遇する頻度について最も近いものをお答え下さい。週に2~3度以上週に1度半月に1度月に1度2~3ヶ月に1度半年に1度1年に1度それ以下Q5.院内で設けられている対応策について当てはまるものをお答え下さい。(複数回答可)対応マニュアルがある対策システムがある防犯・対策セミナーを実施している院内で事例を共有している対応担当者を決めている担当部署を設置している警察OBを雇用している弁護士・司法書士に相談する体制をとっている「警察官立寄所」のステッカー・看板を掲げているICレコーダー・カメラ等を設置しているその他    (               )特に対応策をとっていないQ6.コメントをお願いします(具体的なエピソードや解決方法、対策ノウハウ、院内の体制などなんでも結構です)2013年2月12日(火)~13日(水)実施有効回答数1,000件調査対象CareNet.com会員コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「混雑時に自分だけ早く診ろ、と要求して来るケースが多い。」(40代,呼吸器科,一般病院)「女性医師というだけで高飛車な態度をとる患者さんがおられます。自分で対応しようとしても困難な場合もあり、その時は患者さんが興奮して手がつかなくなる前に他の職員に助けを求めます。」(40代,その他,大学病院)「一般なら暴行罪や脅迫罪なのに、病院内だと不当に軽く扱われることがある。」(40代,内科,一般病院)「警察OB,弁護士の関与は有効だと思います。患者の度を超えたクレームは警察OBの立ち合いで、殆ど問題化しません(患者の言いがかりの場合)。」(50代,外科,大学病院)「モンスターペイシェントの対応に心身ともに疲れはて、うつ病になってしまい半年間入院しました。」(40代,内科,一般病院)「今後医師は、モンスターペイシェントに対する対応を必須講座として受講すべきだと思う。」(70代以上,内科,一般病院)「セクハラの要素もあるが、循環器内科であるにもかかわらず局所を出して『腫れているので触ってくれ』となんども強要する。毎週土曜日に遠方からやってくる。事務長に泌尿器科に行くよう指示してもらったが、今度は看護師に座薬、浣腸を強要するので、こわもての男性薬局長にきてもらい浣腸してもらったら、二度と来なくなった。」(40代,循環器科,診療所・クリニック)「厄介なのは身内が次々と来て同じ説明を求める家族です。 最後は長男を代表者と決めて1回だけにしました。」(50代,循環器科,診療所・クリニック)「医療安全対策室で対応してもらうようになっています。」(70代以上,外科,一般病院)「本当にモンスターだらけで、善意が消えていくのが分かります」(30代,内科,一般病院)「特に自分が被害をこうむったことはないが、対象事例が起こった場合は全館放送で起こったことを知らせ、対処することとなっている。」(40代,整形外科,一般病院)「まず十分に言いたい事を相手がもう疲れたというまで黙って傾聴する。時々『そうですか…』と言いつつメモしたりし、『今までのことは一応録音してますが一緒に聞き直して間違いないか確認していきましょうか』と伝えると大体お帰りになられる。」(40代,内科,診療所・クリニック)「とにかくすぐ医師会の顧問弁護士に相談して、初期対応のアドバイスをもらう。」(50代,内科,診療所・クリニック)「モンスターペイシェントに対してほとんどの病院は弱腰である。もっと毅然とした対応をすべきである。治療費不払いなどは無銭飲食と変わらないので即警察に通報すべきだ。」(40代,整形外科,一般病院)「30年医師をしているが、自分にはモンスターペイシェントの経験はない。丁寧に対応すれば問題となるような事態は起きないと思う。」(50代,内科,診療所・クリニック)「モンスターなどという曖昧な表現ではなく、 暴行、脅迫、業務妨害、食い逃げならぬ不払い、 詐欺等々、積極的に警察と連携し、刑事及び民事で罪に問うべきであり、 医療機関間で情報共有し、診療不可として出入り禁止にすべき」(40代,内科,一般病院)「精神科の病院とクリニックなので,モンスターなのか精神障害かの区別は難しい」(60代,精神・神経科,一般病院)「危険が予測される場合には、眼鏡やポケットの中身などを外すようにしています。」(30代,精神・神経科,一般病院)「小児科なのでモンスターペアレントが多いです」(40代,小児科,一般病院)「俺の言うとおりの薬だけを出せと強要する。血圧を測ろうとすると断固拒否する。」(60代,内科,診療所・クリニック)「公立病院に勤務しておりますが、モンスターペイシェントを警察に届けた例を見たことがありません。どの程度で届出をしたほうがいいのか。その際の罪の重さはどの程度なのか。」(50代,内科,一般病院)「変な権利意識が強くなってきて、増えているような印象 病院をホテルとかのサービス業と勘違いしている人も増えている」(40代,循環器科,一般病院)「逃げ場のない個室で診察しているときに、監禁されたことあり。 逃げられるドアのある部屋で診察するようにしている」(40代,内科,診療所・クリニック)「脅迫を受けましたが謝ることはしませんでした」(50代,内科,診療所・クリニック)「マニュアルは最低必要.300床以上では専門部署の設置が望ましい」(60代,外科,大学病院)「対策ガイドラインが策定されると、判断基準が定まり、対応がしやすくなる。 厚生労働省など公式な機関からの公示を期待したい。」(30代,内科,診療所・クリニック)「ターゲットにされている医師・看護師などをできるだけ担当から外し、事務系のもので対処するようにしている。場合により、警察OBの方に前面に出ていただくようにしている。記録を取らしていただくように宣告する・・・などです。」(60代,外科,一般病院)「クレームを言わせないような暖かな雰囲気のクリニックにしています。幸い今のところありません。」(50代,代謝・内分泌科,診療所・クリニック)「いくら患者さん御本人と良好にコミュニケーションを取れていても、事態を把握していない第三者のクレームが入ることもあり、閉口しました。」(50代,内科,一般病院)「患者の自分本位な要求に応じなかったら、激昂して殴られたことがある。精神科の診療であるし(情動障害を主とする適応障害)軽いかすり傷を負った程度なので不問にした。度量が大きいと映ったのか、以後関係改善し特別扱いを求めなくなったが、後日他科の医師にも暴力を振るってしまい診療科間の問題にまで発展した。初回から暴行事件として刑事告訴すべきだったと反省している。」(40代,精神・神経科,診療所・クリニック)「正直、モンスターペイシェントに対する院内での明確な対応マニュアルはない。他院では警察OBを雇用するなど、毅然とした対応を行っているところも多いと聞くが、当院ではひたすら事務の人が謝るなど、こちらが下手に出て患者と対話をしている。個人的には、明らかなモンスターに対しては謝る必要はなく病院を出て行ってもらうなど、強い態度を示してほしいと考えている。」(30代,代謝・内分泌科,一般病院)「受付の対応時の言葉の前後を組み合わせて、勝手に自分の中で解釈し、こちらが言ってもいないようなことを言ったとのクレーム。夜間に自宅側のインターホンを執拗に鳴らし、出ないとなるとポストに苦情の手紙を投函。何日までに自宅まで謝罪に来いとの期限付きで一方的に求めてきた。」(40代,内科,診療所・クリニック)「中絶手術に付き添ってきた男性が『なんでこんなに高い料金なんだ』と怒鳴りつけてきて火災報知器を鳴らし、消防署への対応、火災報知器の修繕は自前で対応した。男性は右翼関係者だったらしく、破門されていて荒れていた状態だと分かり、まもなく自殺した連絡が入り、それで事案が終了した。」(50代,産婦人科,診療所・クリニック)「義務を果たさず、権利ばかりを主張する世の中になってしまった為と、諦めています。個人の対応には限度がありますので、とにかく、病院全体で対応することに尽きます。 」(60代,内科,一般病院)「『診療でなく話だけだ」と言って保険証提示を拒否し、順番も無視して割り込んで、症状を言って、診断名の可能性だけ聞くと無料で帰っていくことを繰り返す人がいました。保険証の提示をしつこく求めると『俺は話だけで来たので診察を受けにきたのではない!』と言い張りました。『それも診察です!』と強く言ってからは来院していません。」(40代,内科,診療所・クリニック)「これまではラッキーなことにモンスターと言うほどの患者には当たっていませんが、それでも対応に苦慮する様な方はいらっしゃいますね。」(50代,外科,一般病院)「医師になって25年間で初めてのものすごいモンスター患者さんに遭遇したが、土下座して謝れなどの脅しに屈しなかったら、矛先が保健所など違う相手に向いた。有名なクレーマー患者だったと後で知ったが、前医への悪口が尋常ではなかったので、前医に問い合わせをしてから診療に応じればよかったかなと思う。」(50代,内科,診療所・クリニック)「理不尽な要求をする患者の診察は、ICレコーダーで録音している」(30代,内科,診療所・クリニック)「患者や家族の理不尽な要求に腹立たしい思いを何度もしているが、よりよい病院にしていくための改善や対策のヒントが隠れている場合もある。大変ではあるが、理不尽な要求をするようになったその背景を探ることで勉強になることもあった。」(60代,精神・神経科,一般病院)「生活保護の患者が、『薬が足りない』『無くした』と再三取りにくる。自費でというと『殺す気か』と怒鳴り散らす。 」(30代,内科,一般病院)「会計踏み倒しなど、日常にある。」(40代,内科,診療所・クリニック)「地域医師会と所轄署とで定期的に講習会を開いている」(50代,泌尿器科,診療所・クリニック)「自己負担分の踏み倒しが多々ある。更に市町村の福祉医療制度を悪用し、病院に掛かって自己負担分を稼ごうとする輩もいる。自己負担分を払わないので福祉医療の請求書を出さなかったら、後日『自己負担金の還付が無い』と文句の電話が来て唖然とした。 大学生の踏み倒しも増えている。この場合は実家に連絡すると大体片付く。どうしても払わず、実家の祖母に振り込ませたこともある。」(50代,内科,診療所・クリニック)「特に医療関係者の家族が、クレームをつけて『保健所や医師会に訴える』などと脅してくる。」(40代,整形外科,一般病院)「けいれん重積を治療後、てんかんの診断名が気に入らない。点滴を入れたせいで、指の動きに問題が出たとクレーム。頭痛を治せと暴れる。ソセゴンを打てと脅す。ぜんそく発作が夜出た場合、点滴後、(タクシーではなく)バスで帰れるように、真夜中すぎまで待って救急車を呼ぶ。順番が遅い、とスタッフを怒鳴る。MRIで異常がないとわかった後、支払いをせず逃走。救急で入院した患者の具合を早く良くしろと家族に詰め寄られるなどなど、書ききれないほどのエピソードがあり、疲れて退職しました。もう、二度と救急対応はやりたくありません。」(50代,神経内科,診療所・クリニック)「酔っ払いが最悪です。処置をしようとすると『痛い』だのと騒ぎ暴れたり物を投げる。帰りのタクシー代がないから救急車を呼べと騒ぐ。『今は金がない』と帰って医療費を払わない。酔っ払いを診ない病院が増えてこっちに回ってくることが多くなったが、断れるものなら断りたい。」(40代,脳神経外科,一般病院)「ブラックリストがあり、時間外受診の問い合わせがあった際には、必ずそれに目を通すようにしています。」(30代,精神・神経科,一般病院)「投薬強要には毅然と拒否するように心がけていますが、キャリアの浅いときは、怖くて従ってしまったこともありました。薬物中毒疑いの暴力団風の患者が夜間の救急外来に現れ殴られそうになったことがありますが、警察に連絡したら逃げていき事なきを得ました。診察費、入院費を払わない患者家族にも何回か遭遇しましたが、事務方と相談し対処、退院させたり、大変な思いをしたこともあります。」(50代,内科,一般病院)「クレームが発生する主な原因は、医療機関側にもあると思われます。 当院では自己防衛のため、定期的に接遇の院内勉強会を実施しています。これだけでクレームは防げる訳ではありませんが、最小限に止める事は出来ると思います。事実、当院は開業7年目ですが、殆ど大きなトラブルは経験しておりません。 上記のことから、患者応対のスキルアップが一番のクレーム対策になると考えます。」(40代,内科,診療所・クリニック)「窓口金を一切払わない。順番待ちが長い、自分の方が先に来ていたなど大声で騒ぐ。 受診後、看護師の態度が悪いと電話でクレームをうける。」(50代,循環器科,診療所・クリニック)「見つければすぐにつまみだし、暴れれば警察を呼び、顧問弁護士を通して法的に厳正に対処する。また院内の男性スタッフに柔道や極真空手の有段者がいるので、暴れる者への対応を躊躇しないことにしています。」(40代,皮膚科,診療所・クリニック)「最近暴力マニュアルを作成し、院内にて異常が起った場合コードブルーにて院内スタッフを直ちに招集するシステムを構築した。」(40代,循環器科,一般病院)「受付デスクにセコムの非常ボタンを設置している。」(50代,外科,診療所・クリニック)「問題のある患者が発生した場合には、担当部署(医療安全室)に連絡し、警察OBの方にお越し頂いて対応しています。その他問題発生時には医療安全室に相談する体制となっています。」(50代,内科,大学病院)「精神科専門で30年も臨床をやっていれば、この手のエピソードに遭遇しない訳がありません。重篤な精神疾患に罹患している患者自身よりも、むしろ家族がモンスターであることの方が対応に苦慮します。」(50代,精神・神経科,一般病院)「警察OB雇用の話はありますが、大病院以外は費用が高すぎるとの理由で、非採用。」(60代,整形外科,一般病院)「入院費を踏み倒した患者家族には、何度も説明を求められ職員の疲弊とトータルの時間喪失は非常に大きかった。この患者はブラックリストに載せておいたので夜間救急要請時は受けることなく更なるトラブルを回避できた。」(50代,外科,一般病院)「年に一度程度なので、運が悪かったとあきらめが半分。違法なことに関しては毅然とした対応を心がけている。」(40代,眼科,診療所・クリニック)今すぐできる対策をCheck!一般医療機関における暴言・暴力の予防と対策医療従事者に向けられる理不尽な暴言・暴力。その場しのぎの場当たり的な対応、していませんか?一貫した取り組みをしていかないと、スタッフの心身を損ねてしまうだけでなく一般の患者さんも逃げてしまいます。土下座など過度な謝罪を要求する母親、暴言がエスカレートする男性患者…暴言・暴力の実例を通して、予防・対策のあり方や進め方についてわかりやすく解説。

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葉酸の長期摂取、がん発症を増大も減少もせず/Lancet

 葉酸を長期にわたって摂取しても、がん発症リスクは増大も減少もしないことが、約5万人を対象にしたメタ解析の結果、示された。ノルウェー・Bergen大学のStein Emil Vollset氏らが、葉酸の心血管疾患予防効果などを調べた13の無作為化プラセボ対照試験のデータからメタ解析を行い報告したもので、Lancet誌オンライン版2013年1月25日号で発表した。葉酸の摂取は、妊婦においては生まれてくる子どもの神経管欠損症を予防することが、これまでの疫学試験で示されているが、一方でがん発症リスクとの関連が懸念されていた。葉酸摂取期間1年以上、心血管疾患予防に関する試験のデータで解析 研究グループは、2011年までに終了した葉酸に関する無作為化プラセボ対照試験で、がん罹患率に関する記録のある13試験(被験者総数4万9,621人)について、メタ解析を行った。対象となった試験は、葉酸摂取期間が1年以上、被験者数はそれぞれ500人以上だった。 対象試験のうち10件が、葉酸と心血管疾患予防に関して検討したもの(被験者合計4万6,969人)で、3件が大腸腺腫患者を対象にしたもの(同2,652人)だった。いずれの試験も、被験者は同等に割り付けされていた。 主要アウトカムは、予定治療期間中の非メラノーマ性皮膚がんを除くがん罹患率とした。血中葉酸値は葉酸摂取群で4倍でも、がん発症率は部位別にみてもプラセボ群と変わらず 解析に組み込んだ試験の治療期間の加重平均値は5.2年だった。被験者の血中葉酸濃度平均値は、葉酸群が57.3nmol/Lと、プラセボ群の13.5nmol/Lの4倍近くに上った。しかし、がんを発症したのは、葉酸群1,904人、プラセボ群1,809人であり、両群で有意差はみられなかった(相対リスク:1.06、95%信頼区間:0.99~1.13、p=0.10)。 治療の長期化とがん発症リスクとの間には関連はなかった。また、大腸がん、前立腺がん、肺がん、乳がん、その他部位別にみても、がん発症リスクと葉酸摂取には有意な関連は認められなかった。 葉酸とがん罹患率との関連について、13試験の個別差や、心血管疾患予防に関する試験と腺腫に関する試験での有意差は認められなかった(それぞれ、p=0.23、p=0.13)。

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どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与

 統合失調症患者に対し、長時間作用型リスペリドンのような薬学的介入は、とくに直近に診断を受けた患者において意義があることが明らかにされた。ベルギー・Cliniques Universitaires St LucのVincent Dubois氏らが、2つの観察試験(e-STAR、TIMORES)データの解析を行い報告した。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2013年1月24日号の掲載報告。 本研究は統合失調症を、最近診断された患者と診断から長期間経っている患者について、長時間作用型リスペリドンによる治療開始前後の、精神医学的臨床アウトカムおよび入院率の格差について検討することを目的とした。2つの観察研究「electronic Schizophrenia Treatment Adherence Registry(e-STAR)」「Trial for the Initiation and Maintenance Of REmission in Schizophrenia with risperidone(TIMORES)」のデータについて、診断時期について階層化し、事後解析にて比較した。評価項目は、臨床全般印象・重症度スコア(Clinical Global Impression of illness Severity :CGI-S)、機能の全般的評価スコア(Global Assessment of Functioning:GAF)、および臨床症状の増悪(入院など)で、ベースライン、12ヵ月時点(TIMORESとe-STAR)、24ヵ月時点(e-STAR)で解析した。その他、投与中止の割合、就業状況、寛解達成などのアウトカムも評価した。 主な結果は以下のとおり。・追跡12ヵ月および24ヵ月時点で、最近診断群と診断後長期群では、統計的有意差が、CGI-Sスコア(p<0.01、p≦0.001)、GAFスコア(p<0.05)について認められた。・また1年時点での、臨床症状の増悪、就業状況、完全な症候性の寛解達成についても両群間の格差が認められた。・入院指標については最近診断群と診断後長期群で一貫した差はみられなかったが、e-STAR試験の'Early'群と'Late'群で入院期間の統計的な有意差が、12、24ヵ月の両エンドポイントでみられた。ベースラインからの変化の平均値は、12ヵ月時点では'Early'群が有意に大きかった。しかし24ヵ月時点では'Late'群が有意に大きかった。関連医療ニュース 長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 統合失調症患者における持効性注射剤:80文献レビュー 第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

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