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テロメアが長いとリスクが高い疾患は?

 テロメアの長さと、がんや非腫瘍性疾患の発症率の関連について、その因果関係と強さは不明である。今回、Telomeres Mendelian Randomization Collaborationによるメンデル無作為化研究から、テロメアが長いと数種のがんリスクを上げる一方で、心血管疾患など、いくつかの非腫瘍性疾患のリスクを下げる可能性があることがわかった。JAMA oncology誌オンライン版2017年2月23日号に掲載。 本研究では、生殖細胞系の遺伝子変異を操作変数として、疾患リスクとテロメア長の因果関係を評価した。データは、2015年1月15日までに発行されたGenomewide association study(GWAS)から、生殖細胞系の遺伝子変異を調べた非感染性疾患に関するデータを選択した。同定された163件の非感染性疾患に関するGWASのうち、103件でサマリーデータが入手可能であった。主要評価項目は、生殖細胞系の遺伝子変異によるテロメアの伸長の標準偏差(SD)当たりの各疾患のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)とした。 主な結果は以下のとおり。・サマリーデータは35のがんと48の非腫瘍性疾患について利用可能で、症例は42万81人(疾患当たりの人数の中央値: 2,526人)、対照は109万3,105人(同:6,789人)であった。・生殖細胞系列の遺伝子変異によるテロメア伸長は、部位特異的ながんのリスク増加とおおよそ関連していた。・神経膠腫では、遺伝子変異によるテロメア伸長の1-SD変化当たりのOR(95%CI)が5.27(3.15~8.81)と最も高かった。そのほか、ORが高い順に以下のとおりで、稀少ながんや幹細胞分裂率の低い組織部位で関連が強かった。  低悪性度漿液性卵巣がん:4.35(2.39~7.94)  肺腺がん:3.19(2.40~4.22)  神経芽細胞腫:2.98(1.92~4.62)  膀胱がん:2.19(1.32~3.66)  悪性黒色腫:1.87(1.55~2.26)  精巣がん:1.76(1.02~3.04)  腎臓がん:1.55(1.08~2.23)  子宮内膜がん:1.31(1.07~1.61)・非腫瘍性疾患については、冠動脈疾患(OR:0.78、95%CI:0.67~0.90)、腹部大動脈瘤(OR:0.63、95%CI:0.49~0.81)、セリアック病(OR:0.42、95%CI:0.28~0.61)、間質性肺疾患(OR:0.09、95%CI:0.05~0.15)を除き、遺伝子変異によるテロメアの伸長と精神疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、糖尿病、その他の非腫瘍性疾患のリスクとの関連を示すエビデンスはほとんどなかった。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問7(続き)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問7(続き) ノンパラメトリックの検定とは?(その2)質問7(その1)前回の質問7(その1)では、たくさんあるノンパラメトリックの検定手法の中から、「対応のある」場合の検定について解説しました。今回は「対応のない」場合のノンパラメトリックの検定手法について解説します。■ノンパラメトリックの検定の種類もう一度、表1でノンパラメトリックの検定の種類についてみてみましょう。(再掲) 表1 ノンパラメトリックの検定の種類■ウィルコクソンの順位和検定(U検定)ウィルコクソンの順位和検定は、2つの母集団の分布の中央値に差があるかどうか、つまり2つの分布にずれがあるかどうかを検定する手法です。標本のデータを順位に置き換え、統計量を算出することから「順位和検定」と名付けられています。この検定方法を「U検定」という人もいます。[n1、n2が共に8以上]無仮説の下に、統計量Tは標準正規分布に従う。両側 |T|>Z(α/2)なら対立仮説を採択右側 T>Z(α)  なら対立仮説を採択左側 T<-Z(α) なら対立仮説を採択[n1、n2が共に8未満]マン・ホイットニーのU検定によって行います。マン・ホイットニー表(片側)よりn1、n2、Uに対する確率pを求めます。有意水準をαとすると両側検定の場合 p<α/2 なら帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。片側検定の場合 p<α なら帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。■留意点・同順位がある場合の対応同順位(タイ:Tie)が生じたときは、データを次のように変換します。〔例〕n1、n2が8以上のときは、正規分布への近似をよくするために、さらに標準偏差を次のように修正します。「帰無仮説」「対立仮説」については、『

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糞便移植は潰瘍性大腸炎の新たな治療となるか/Lancet

 活動期潰瘍性大腸炎における強化注入法にて行うマルチドナー糞便移植は、臨床的寛解および内視鏡的寛解をもたらすことが、無作為化試験の結果、示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のSudarshan Paramsothy氏らによる検討で、「移植によって腸内細菌叢が多彩なものに変化し、そのことがアウトカムに関与していた。糞便移植は、潰瘍性大腸炎の新たな治療オプションとして有望であることが示された」とまとめている。これまで、潰瘍性大腸炎に対する糞便移植の効果は不明であった。Lancet誌オンライン版2017年2月14日号掲載の報告。糞便移植試験は3~7人の非血縁ドナーからの糞便を使用 研究グループは、強化マルチドナー糞便移植の潰瘍性大腸炎への有効性を調べるため、オーストラリアの3病院で、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。活動期潰瘍性大腸炎(メイヨースコア4~10)の患者を1対1の割合で無作為に(事前確定した無作為化リストを使用)、糞便移植またはプラセボ移植を受ける2群に割り付け、それぞれ内視鏡を用いた注入を、週に5日間、8週にわたって行った。割り付けについて、患者、治療医、その他試験スタッフ共に知らされなかった。 糞便移植には、3~7人の非血縁ドナーからの糞便が用いられた。 主要アウトカムは、8週時点で評価した内視鏡的寛解または有効性が認められたステロイドフリーの臨床的寛解(メイヨースコア2以下、全サブスコア1以下、内視鏡的サブスコアで軽減が1ポイント以上)とした。 解析は、修正intention-to-treat集団と、1回以上の移植注入を受けた全患者の包含集団について行われた。また、腸内細菌の変化との関連を評価するため、便の16S rRNA解析を行った。糞便移植群の寛解達成割合はプラセボ群の3.6倍 2013年11月~2015年5月の間に、85例が試験に登録され、42例が糞便移植群に、43例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。このうち糞便移植群の1例とプラセボ群の3例が試験治療を受けず、全解析から除外された。 主要アウトカムの達成患者割合は、糞便移植群が27%(11/41例)、プラセボ群が8%(3/40例)であった(リスク比:3.6、95%信頼区間[CI]:1.1~11.9、p=0.021)。 有害事象の報告は、糞便移植群78%(32/41例)、プラセボ群83%(33/40例)であった。最も頻度が高かったのは自然治癒の消化器症状(complaint)であったが、治療群間に有害事象の件数および種類に有意差は示されなかった。重篤な有害事象の報告は、糞便移植群で2例、プラセボ群1例であった。 糞便移植後、腸内細菌叢の多様性が増し、その状態の保持が認められた。また、臨床的アウトカムと関連する細菌分類群が明らかになり、なかでもフゾバクテリウム属種の出現は寛解を阻害することが判明した。 著者は、さらなる糞便移植群の研究を行い、治療オプションとしての重みづけと、細菌叢ベースで適合したドナー・レシピエントの治療への影響について正確に確認する必要があるとまとめている。

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閉経前の子宮摘出、卵巣温存で全死亡抑制/BMJ

 閉経前女性の子宮摘出術時に卵巣を温存すると、2つの卵巣を切除した場合に比べ、全死因死亡が抑制され、虚血性心疾患やがんによる死亡も低減するとの研究結果が、BMJ誌2017年2月6日号に掲載された。研究を行った英国・バーミンガム大学病院NHSファウンデーション・トラストのJemma Mytton氏らは、「閉経前女性には、卵巣を2つとも切除すれば卵巣がんを予防できるが、卵巣がんより発症率の高いがんを含め、これらのリスクが増加することを伝えるべきである」と指摘している。約3分の1で両側卵巣切除 本研究は、子宮摘出術時の両側卵巣切除と1つ以上の卵巣の温存では、アウトカムに違いがあるかを検討するレトロスペクティブな全国調査である(責任著者は英国国立衛生研究所[NIHR]の研究助成を受けた)。 英国のHospital Episode Statisticsのデータベースを用い、2004年4月~2014年3月に良性疾患で子宮摘出術を受けた35~45歳の女性11万3,679例のデータを解析した。 卵巣温存群は7万6,581例(67.4%)、両側卵巣切除群は3万7,098例(32.6%)で、年齢中央値はそれぞれ41歳(IQR:39~43)、42歳(同:40~44)であった。平均フォローアップ期間は6.2(SD 2.84)年だった。 人口統計学的特性は両群間に大きな違いがみられた。たとえば、ウエストミッドランド地方では、温存術施行率は10.7%、両側切除術施行率は16.3%であった(p<0.001)。ロンドン市では温存術のほうが高率だった(9.7% vs.5.1%)。全死因死亡は、温存群が有意に優れる 卵巣温存群は、子宮摘出術後の虚血性心疾患による入院率が、両側卵巣切除群に比べ有意に低かった(1.60 vs.2.02%、絶対差:0.42%、補正ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.77~0.93、p<0.001)。 がんに関連する術後の入院率も、卵巣温存群が有意に低かった(2.80 vs.3.49%、絶対差:0.69%、補正HR:0.83、95%CI:0.78~0.89、p<0.001)。 乳がんは、両側卵巣切除群のほうが良好で(1.02 vs.0.97%、p<0.001)、他の生殖関連がんには差がなかった(0.09 vs.0.12%、p=0.14)が、肺がん(0.12 vs.0.19%、p=0.01)、結腸がん(0.11 vs.0.24%、p<0.001)、膀胱がん(0.06 vs.0.12%、p=0.01)、その他のがん(1.93 vs.2.44%、p<0.001)は、卵巣温存群のほうが、有意に術後入院率が低かった。 卵巣がんの発症率は、当初、両側卵巣切除群のほうが増加したが、経時的に差が縮まり、長期的には卵巣温存群よりも低くなると予測された。 全死因死亡は、卵巣温存群が両側卵巣切除群に比し有意に優れた(0.60 vs.1.01%、絶対差:0.41%、補正HR:0.64、95%CI:0.55~0.73、p<0.001)。心疾患関連死(0.03 vs.0.06%、補正HR:0.50、0.28~0.90、p=0.02)およびがん関連死(0.31 vs.0.63%、0.54、0.45~0.65、p<0.001)も、卵巣温存群が有意に低率であった。また、自殺(未遂、完遂)には両群間に差を認めなかった。 さらに、傾向スコアマッチングを行い、主要なアウトカムについてCox回帰を用いた解析を行ったところ、実質的にこれらと同様の結果が得られた。 以上の知見は、米国の看護師健康調査(Nurses’ Health Study)で示された両側卵巣摘出術と虚血性心疾患、がん死、全死因死亡との関連と一致するものだという。

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悪性黒色腫〔malignant melanoma〕

1 疾患概要■ 概念・定義悪性黒色腫(メラノーマ:malignant melanoma)は、メラノサイト(メラニン色素産生細胞)ががん化して生じる悪性腫瘍である。表皮基底層部のメラノサイトが、がん化して皮膚に生じることが多いが、粘膜(口腔、鼻腔、肛門部など)や眼内(脈絡膜など)に生じることもある。■ 疫学人種によって発生頻度が大きく異なる。日本人では1~2/10万人年と見積もられている。白人では15~30/10万人年、黒人では0.5/10万人年程度の発生率である。■ 分類表皮に沿った悪性黒色腫細胞の組織学的増殖様式の特徴によって、以下の4型に分けるClark分類が用いられている(図1)1)。(1)表在拡大型: 白人の悪性黒色腫の70~80%を占める病型で、男性の背部や女性の下肢などに好発する(図1a)。日本人では全悪性黒色腫の20%程度を占め、近年増加している。(2)末端黒子型: 掌蹠や爪部を侵す病型であって(図1b)、日本人の悪性黒色腫の最多病型で50%程度を占める。(3)悪性黒子型: 高齢者の顔面に好発する病型で(図1c)、日本人、白人のいずれでも10%程度を占める。(4)結節型: 病変周囲に色素斑を伴わない病型で(図1d)、全身各所に生じうる。日本人の悪性黒色腫の15~20%を占める。なお最近、Bastianらによる新たな分類法が提案され、遺伝子変異を反映する分類として注目されている2)。■ 病因日光からの紫外線が主要発がん因子であり、表在拡大型は強い紫外線への間欠的曝露が、悪性黒子型は長年月にわたる慢性的な紫外線曝露が発生に関与するとされている。ただし、末端黒子型の発生には紫外線は関与せず、機械的刺激の関与が推定されている。■ 症状腫瘍細胞によるメラニン色素産生のために黒褐色調の病変としてみられることが多い1)。臨床的には濃淡不整な不規則形状の黒褐色斑として生じてくる。その後、一部に隆起性結節が生じ、さらに進行すれば潰瘍化を来す。■ 予後Tumor thickness(表皮顆粒層から最深部の悪性黒色腫細胞までの垂直距離をmm単位で表すもの)が最も重要な予後因子であり、T分類もこれによって規定される。AJCC(American Joint Committee on Cancer)の病期別の5年生存率は(同一病期でも亜病期によってかなり大きな差があるが)、病期Iが90%以上、病期IIが50~80%、病期IIIが25~60%程度、病期IVが10%程度である3)。後掲の表に各病期の概要を示した。なお、AJCCの予後予測ツールがネット上に公開されているので参考にされたい(http://www.melanomaprognosis.net/)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床診断悪性黒色腫の原発巣は、臨床的には大型で不整形状の黒褐色病変としてみられ、多くは色調に無秩序な濃淡差が認められる(図2a)。黒褐色調を呈する皮膚病変は悪性黒色腫以外にも多数存在するので、慎重に鑑別しなければならない1)。主要な鑑別診断と鑑別のポイントは、以下のとおりである。(1)色素細胞母斑: 径7mm程度までの小型の病変で、形状・色調に不規則、不整は目立たない(図2b)。ただし、先天性母斑は大きなことがある。(2)脂漏性角化症: 境界きわめて明瞭な隆起性結節としてみられ、表面が角化性で規則的な顆粒状凹凸を示すことが多い(図2c)。(3)基底細胞がん: 高齢者の頭頸部に好発し、青黒色調の局面、結節としてみられ、潰瘍化することも多い。周囲に色素斑を伴わないこと、病変表面が平滑で、透明感を呈することが特徴である(図2d)。■ ダーモスコピー診断近年、皮膚科診療に導入された診断法であり、乱反射を防止したうえで病変部に白色光を照射しながら10~20倍の拡大像を観察する。肉眼的に認識できないさまざまな所見を明瞭に観察することができ、とくに色素性皮膚病変の診断に有用である。その詳細は成書に譲るが4)、一点だけ日本人に多い掌蹠の悪性黒色腫の診断への有用性を記載する。掌蹠の悪性黒色腫は、ダーモスコピーにて早期段階から皮野(指紋)の隆起部(皮丘)に一致する色素沈着(parallel ridge pattern)を呈するのに対し、良性の母斑は皮野の溝(皮溝)に一致する色素沈着(parallel furrow pattern)を呈する(図3)。この所見の差異は両者の鑑別にきわめて有用であり、掌蹠の悪性黒色腫の早期検出と診断確定に役立つ4、5)。■ 病理組織診断臨床所見やダーモスコピー所見にて診断が確定できない場合は、生検して病理組織学的に診断を確定する。生検は可能ならば全摘生検が望ましい。生検することにより、もっとも重要な予後因子であるtumor thicknessを計測することもできる。悪性黒色腫は病理組織診断も難しいことが知られている。悪性黒色腫早期病変と良性のClark母斑の鑑別、結節型などの悪性黒色腫とSpitz母斑(良性の母斑の一種で、増殖するメラノサイトが顕著な核異型を示す)との鑑別がしばしば問題になる。疑わしい症例は、この方面のエキスパートにコンサルテーションすることが望ましい。■ 画像検査と病期の確定悪性黒色腫と診断されたら、AJCCの病期を決定する。原発巣のtumor thicknessを評価するとともに、理学的に所属リンパ節やその他の部位・臓器への転移がないかを検討する。必要に応じてCTやMRIなどの画像検査も施行する。PETも悪性黒色腫の転移の検出に、きわめて有用である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)AJCCの病期に対応して表のような治療を施行することが推奨されている。病期I、IIの段階ならば、原発巣の外科的切除を施行する。切除マージンはtumor thicknessによって規定されるが、早期病変は0.5~1cmのマージン、進行病変は2~3cmのマージンが推奨されている。症例によってはセンチネルリンパ節生検の実施を考慮する。病期IIIには原発巣の切除に加えて、所属リンパ節の郭清術を施行する。メラノーマは化学療法に抵抗性で、標準薬とされてきたダカルバジン(商品名:同)でも奏効率は15%程度に過ぎない。近年、分子標的薬が病期IVあるいは外科的根治術不能な病期IIICのメラノーマ患者に有効なことが明らかにされ、治療方針が激変した。病期IVにはMAPK経路の阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬が選択される6)。現在、わが国で保険適用となっているのは、MAPK阻害薬では変異BRAF阻害薬のベムラフェニブ(同:ゼルボラフ)、ダブラフェニブ(同:タフィンラー)とMEK阻害薬のトラメチニブ(同:メキニスト)である。免疫チェックポイント阻害薬ではニボルマブ(抗PD-1抗体、同:オプジーボ)、ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体、同:キイトルーダ)とイピリムマブ(抗CTLA-4抗体、同:ヤーボイ)である。いずれの薬剤も特有の強い有害反応を有するので、施設内で治療チームを設けて対応することが望ましい。薬剤の選択順位は、確定的な推奨ではないが、増殖スピードの速いメラノーマにはまずベムラフェニブ単独またはベムラフェニブとトラメチニブの併用療法を考える。増殖スピードの遅いメラノーマには当初から抗PD-1抗体(ニボルマブまたはペムブロリズマブ)あるいはイピリムマブを用いる。抗PD-1抗体はイピリムマブよりも奏効率、有害反応の点から臨床的意義が高い可能性がある。ただし、腫瘍細胞がPD-L1陰性の場合はイピリムマブを選択する。これらの治療に抵抗性となった高度進行例には、適切な緩和療法を施行する。4 今後の展望ニボルマブとイピリムマブの併用療法の治験が進んでいる。また、上記以外の分子標的薬も続々と開発され、わが国においても臨床治験が進められている。術後補助療法としてニボルマブとイピリムマブの有用性の比較やペムブロリズマブの有用性も治験が実施されている。5 主たる診療科皮膚科が主たる診療科であり、診断から治療まで一貫した対応ができる。病理組織診断には病理科が、切除後の外科的再建などには形成外科が対応することもある。分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の使用にあたっては施設内に多職種診療チームを発足させることが望ましい。※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本皮膚悪性腫瘍学会が作成した日本皮膚科学会皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン(ほぼ同じものがMindsと日本がん治療学会のホームページにも掲載されている)(医療従事者向けのまとまった情報)米国NCCNの診療ガイドライン(リスト中“Melanoma”の項を参照)(医療従事者向けの英文のまとまった情報)国立がん研究センターがん情報サービス:「悪性黒色腫」患者用解説冊子(一般利用者向けのまとまった情報)1)斎田俊明ほか編. 1冊でわかる皮膚がん. 文光堂;2011.p.220-237.2)Curtin JA, et al. N Engl J Med. 2005;353:2135-2147.3)Balch CM, et al. J Clin Oncol. 2009;27:6199-6206.4)斎田俊明編. ダーモスコピーのすべて 皮膚科の新しい診断法.南江堂;2012.5)Saida T, et al. J Dermatol. 2011;38:25-34.6)宇原 久. 癌と化学療法. 2016;43:404-407.公開履歴初回2014年02月27日更新2017年02月21日

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うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

 うつ病治療に用いられる薬剤に関連する相対的な罹患率および死亡率を測定し、重大なアウトカムに関連する特定の臨床的影響について、米国・カリフォルニア大学のJ Craig Nelson氏らが検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2017年1月31日号の報告。 米国、プエルトリコ、ワシントンD.C.に拠点を置く中毒センターから報告を受けた全米中毒情報データシステム(National Poison Data System)より、2000~14年の12歳以上に対する1回の薬剤曝露情報を照会した。薬剤は、抗うつ薬、非定型抗精神病薬、抗痙攣薬、リチウム、およびうつ病治療に用いられるその他の薬剤であった。主要アウトカムは、罹患率(1,000曝露当たりの重大なアウトカム数)、死亡率(1万曝露当たりの死亡アウトカム数)とした。 主な結果は以下のとおり。・15年間で、調査した48薬剤の単一薬剤曝露は、96万2,222件であった。・重大なアウトカムは15年間で2.26倍に線形に増加した。・三環系抗うつ薬やMAO阻害薬による薬物療法は、高い罹患率および死亡率と関連していたが、他の新規薬剤のいくつかは、危険な可能性があった。・リチウム、クエチアピン、オランザピン、bupropion、カルバマゼピンは、高い罹患率指標と関連していた。・リチウム、ベンラファキシン、bupropion、クエチアピン、オランザピン、ziprasidone、バルプロ酸、カルバマゼピン、citalopramは、より高い死亡率指数と関連していた。 著者らは「うつ病治療に用いられる薬剤に対する過量服薬や意図しない曝露による重大なアウトカムは、過去15年間で劇的に上昇した。現在のデータでは、罹患および死亡リスクが、薬剤間で異なることを示唆している。この違いは、うつ病患者、とくに自殺リスクの高い患者における治療法を選択する際に重要となる」としている。関連医療ニュース うつ病の治療抵抗性と寛解を予測する因子とは うつ病への薬物療法 vs.精神療法 vs.併用療法 ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

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第2回 患者の理解を妨げている要因【患者コミュニケーション塾】

なぜあなたの話は患者に伝わらないのか?情報化の時代を迎えた1990年代半ば、いわゆる「がん告知」が当たり前になり、今では余命も含めてすべての情報を患者に伝える時代へと変化しました。患者は病状や治療法について詳しい説明を受け、その内容を理解する努力をしたうえで、どのような治療を受けるかを選ばなければなりません。しかし、「患者」と一言にいっても全員を一括りにできるわけではなく、元々持っている情報や知識、理解力などは人によってさまざまです。「誰でも一律に理解、選択ができるわけではない」ということを踏まえて、医師をはじめとする医療者の皆さんには、患者が理解するためのサポートをしていただきたいと思っています。では、医療現場でよくみられる、患者の理解を妨げている要因とは何なのでしょうか。以前からよく挙げられる患者の苦情として、「最近の先生はパソコンばかり見て、患者の目を見ない」というものがあります。電話相談でも「私は担当医の真正面の顔を見たことがないので、横顔しか知りません」という声が届いたこともあるくらいです。私はこの苦情を医師の態度に対する不満だとずっと考えていました。ところがある高齢の方から「高齢になると耳から入ってきた言葉が頭の中で繫がるのに時間がかかる。それなのに、あらぬ方向(パソコン)を見て説明されると、自分の問題だという認識すらできず、理解のスタートラインにすら立てない」という話を聞いたのです。きちんと目を見て話してくれないというのは、単に態度への不満というだけではなく、理解を妨げている要因の1つなのだと教えられました。長時間かけて説明すればよいのかまた、最近は病状の説明や治療方針を決定する際に、1時間以上の長時間をかけて説明してくれる医師も増えています。しかし、患者はシビアな病状であることを聞いたり、ショックを受けたりすると、途中で頭の中が真っ白になってしまい、いくら医師が一生懸命説明しても、内容がまったく頭に入って来なくなってしまうのです。即結論を出さなくてもよい状況であれば、たとえば話を2回に分けて、最初は概要を10分ほどで伝え、患者が精神的に落ち着いたところで、後日残りの50分かけてじっくりと細かい説明をする、といった工夫をすることで、より理解が深まることもあると思います。医師と患者には情報の非対称性があるばかりでなく、一般的な日本語に対してもイメージの乖離が起こりがちです。それだけに、できるだけ早い段階で情報の共有を図っていないと理解には至りません。この点については次回で詳しくお伝えしようと思います。また、説明の際、わかりやすくたとえ話をして下さる医師がいます。本当にわかりやすいたとえ話は助けになりますが、マニアックと思えるようなたとえ話をしてしまうと逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。“うなずき”は理解の証拠とは限らない一方、患者の側の問題として、理解できていないのにうなずいてしまう方が結構多くいます。「高齢だから理解できないと思われたくない」「何だかよくわからないけれど、うなずいていないと前へ進まない」という思いからうなずいている患者が少なからずいます。それだけに、うなずいただけで「理解しているんだ」と受け止めるのは危険だと私は思っています。患者が本当に理解したかどうか確認するために、どのように理解したのか、患者自身に言語化してもらうなどといった理解度の確認は不可欠なのではないでしょうか。

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第1回

第1回 手術スタッフは全員女性にしてください!第1回は、日本で最も外国人患者さんの受け入れが多い病院の1つである国立国際医療研究センター国際感染症センター国際診療部の堀 成美氏に、最近増えているムスリム(イスラム教徒)の患者さんへの対応についてお話を伺いました。<Case1>先日、ある病院に手術が必要なムスリムの女性患者さんがやってきました。イスラム教といえば、食事や慣習などにさまざまな規律があります。手術に際し、患者さんがまず希望したことは「手術を担当する医師や看護師をすべて女性にしてほしい!」ということでした。さて、同病院ではどのように対応したのでしょうか…。澤田:さて、今回はムスリム患者さんの対応についてですが、堀さんの病院でもムスリム患者さんの受け入れはされていますよね。堀:はい、受け入れを行っています。澤田:受け入れに際しどのような配慮をされていますか?堀:わかりやすいところでは、入院食としてムスリムの方々が食べられるように、豚肉やアルコールを排除した特別食を用意しています。それらの食材が調理中に混入することがないよう注意し、さらに間違って配膳されないよう、栄養士が考案したメニューを患者さんに提供しています。また、礼拝を行うことができる祈祷室も設置しています。画像を拡大する澤田:すごいですね。患者さんの文化を理解し、尊敬し、寄り添うためには、さまざまな体制整備が必要になるのですね。堀:はい、もちろんできること、できないことがありますので、優先順位をつけ、対応していくことが必要だと思います。当院では、外国人患者さんの入院を受け入れるという方針の中で、食事の提供や栄養管理について栄養士が熱意を持って取り組んでくれる素地があったこと、また、祈祷室については、ちょうどランドリースペースがほかに移転したことなど、現実的に検討できた事情がありました。澤田:なるほど。今回の事例についてはどのように考えますか?堀:この事例では、人員の関係上、男性医療者も入らざるを得ない旨伝えたところ、「それならば被っているスカーフを絶対に外したくない」との強い要望があったそうです。前例がなく難しいと思われたものの、オペ担当医師に事情を説明し、スカーフを被ったままオペができないか相談したところ、清潔なスカーフを用いて、毛髪を露出しないようにする形で、この要望は受け入れられたそうです。澤田:患者さんの希望に最大限に応えようとされている病院の努力が伺えますね。堀:そうですね。「習慣やルーチンだから無理」と決めてかからず、「できることもあるかも」と考え、患者さんや関係者と相談することが大事だということを学んだ事例です。当院でも、妊婦健診やお産の際に「全員女性スタッフで対応してくれないと困る」という要望がある場合は、対応が可能な近隣の医療機関を紹介することができるように、情報収集をして備えています。1つの医療機関では対応できないこともあるので、患者さんとよく話あい、スタッフの負担が増えないようにすることも重要だと思います。澤田:持続的な受入れを行う為にも忘れてはならない 視点ですね。多くの外国人患者さんを受け入れてきた経験から、取り組みのポイントを教えていただけますか?堀:優先すべきポイントは文化、言語、支払いだと思います。文化は今回取り上げたような食事や習慣への対応、言語は医療通訳にアクセスできる体制の整備、支払いは未収をなくすための仕組みや対策作りということになるかと思います。澤田:勉強になります! 堀さんにはまたお話を伺うことになると思いますので、引き続きよろしくお願いします。<本事例からの学び>「ルーチンだから無理」と決めてかからず「文化」、「言語」、「支払い」から体制整備を!

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第35回

第35回:急性単関節炎の診断アプローチ監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 以前、多関節炎の鑑別(第29回)についての記事を掲載しましたが、今回は単関節炎の診断アプローチについて取り上げます。 単関節炎のcommonな原因としては変形性関節症・痛風・外傷が挙げられますが、プライマリ・ケア領域では全身性疾患の早期症状として単関節炎を診る可能性もあります。そのため、関節炎の評価に加えて「もう一歩踏み込んだ診察・病歴聴取」を行うことが診断の鍵となります。 以下、American Family Physician 2016年11月15日号 より1) 急性単関節炎の背景に潜む病態の手掛かりをつかむために、包括的な病歴と身体所見が必要となる。病歴聴取では次の項目がとくに大切である。年齢、随伴症状、併存疾患、内服歴、関節に関する既往症、外傷歴、ダニ刺傷の既往、静脈注射の使用歴、痛風の家族歴、性交歴、渡航歴、普段の食事内容、飲酒歴、職業歴など。また労作時に関節炎の症状が悪化するものの、安静時には改善する場合は物理的な原因が考えられる。一方、安静時でも症状が増悪する場合は炎症性疾患の可能性があり、その場合は朝のこわばりを認めることもある。以下、代表的な疾患やアプローチの仕方について述べる。1)頻度の多い疾患である変形性関節症は労作で症状増悪するのが典型的である。朝のこわばりを認めることがあるものの、30分以内に改善する。また安静時にこわばりの再発を認めることがある(Gelling現象)。しかし、関節リウマチと比較して変形性関節症における朝のこわばりの持続時間は短く、関節リウマチでは症状が45分以上も続く。2)典型的な痛風発作は夜間に始まり、24時間以内に症状はピークへ達する。また疼痛や発赤、腫脹を引き起こす。肥満、高カロリー食の摂取、アルコール摂取歴、そしてループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬の内服歴は、痛風発作を疑う手掛かりとなる。外傷を契機に痛風発作が起きる可能性もあり、化膿性関節炎と非常によく似た臨床症状を呈することがある。3)先行する関節痛症状が感染を示唆することがある。そのため本当に単関節の症状なのかどうか判断することは大切である。なお、淋菌性関節炎は遊走性の関節炎と腱鞘炎症状が先行する。4)末梢関節の炎症を伴う軸骨格の炎症性関節炎(例:仙腸関節炎)は、脊椎関節炎を示唆する。脊椎関節炎は、しばしば単関節炎として症状が現れ、遊走性または波及的に関節から関節へ進展する。その他の症状(筋腱付着部の痛みやソーセージ様に腫脹する指趾炎)がないかを患者へ尋ねることは重要である。またぶどう膜炎を認める患者や、尿道炎を認める患者(Reiter症候群)もいる。5)皮膚症状の病歴と乾癬の家族歴から、単関節炎を呈する乾癬性関節炎を病状早期に疑うこともある。以上のように、それぞれの疾患の特徴を押さえることで、診断につながる重要な手掛かりを得ることができる。※本内容にはプライマリ・ケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Becker JA, et al. Am Fam Physician. 2016;94:810-816.

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「病院を撃つな!」キャンペーン署名活動のお知らせ―国境なき医師団日本

 中東各国の紛争地で病院が標的となる爆撃が相次ぎ、患者や現地で支援活動に当たっている医療関係者が命を落としている事態を受け、特定非営利活動法人 国境なき医師団(MSF)は、より一層の安全確保に努めるよう日本政府に働きかけを行うための署名を募っている。 MSFによると、2015年10月、当団体が運営するアフガニスタン・クンドゥーズの病院(MSF外傷センター)が米軍による空爆を受け(右上の写真)、患者・スタッフ42人が命を落としたほか、その後もシリア、イエメンなどの紛争地で病院が攻撃の対象となる状況が相次いでいる。MSFの支援する病院への攻撃は、2016年だけでも21ヵ所50回にも及んだという(2016年11月22日現在)。 2016年5月の国連安全保障理事会では、紛争下での病院、医療・人道援助活動従事者、傷病者への攻撃を強く非難し、こうした事態に対し迅速かつ公正な調査を求める決議が全会一致で採択された。この決議作成には、日本も提案5ヵ国の1つとして加わっている。 国境なき医師団日本は、「紛争地においては、医療・人道支援活動者は不安なく活動でき、患者は常に安全でなくてはならない。先の決議が単なる文書に留まらず、医療者および患者の中立・安全・保護を維持し、攻撃の責任者に説明責任を果たさせる具体的な行動へと結びつくよう、あらゆる影響力の行使を日本政府に求めていきたい」とコメントしている。 署名は下記キャンペーンサイトにて受け付け中。受付期間は2017年3月31日まで。国境なき医師団日本「病院を撃つな!」キャンペーン署名サイトはこちら国境なき医師団日本のホームページはこちら

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問7(その1)

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問7 ノンパラメトリックの検定とは?(その1)■ノンパラメトリックの検定とは?統計的検定は、母集団の分布が正規分布に従っていなければ、適用できないという制限があります。ただし、正規分布でなくてもサンプルサイズが大きい場合、結論の正しさがあまり損なわれなければ、t検定が適用できます(これを「頑健」であるといいます)。しかし、母集団の分布が不明でサンプルサイズが小さい場合(n数が30ぐらいまで)では、これから解説するノンパラメトリックの検定を用います。ノンパラメトリックの検定には、数多くの手法がありますが、大半の手法は次の例で示す考え方で検定を行います。■ノンパラメトリックの検定の種類ノンパラメトリックの検定手法を下の表1に整理してみました。表1 ノンパラメトリックの検定の種類では、今回は「対応のある」場合の検定について、医学論文などでよく目にするウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定)を解説していきます。■ウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定)ウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定)は、対応している標本に対して2つの母集団の分布に差があるかを検定する手法です。【公式】データ例(対応している標本)帰無仮説H0:2つのグループの中央値に差はない対立仮説H1:2つのグループの中央値に差がある(両側検定)H1:グループ1の中央値はグループ2の中央値より右にずれている(右側検定)H1:グループ1の中央値はグループ2の中央値より左にずれている(左側検定)順位付け2グループ間の差を di=x1i-x2i とおきます。絶対値diの小さい順に順位をつけます。同順位(タイ:Tie)があればウィルコクソンの順位和検定と同じように順位をつけます。ウィルコクソンの順位和検定は、2つの母集団の分布の中央値に差があるかどうか、つまり2つの分布にずれがあるかどうかを検定する手法です。標本のデータを順位に置き換え、統計量を算出することから「順位和検定」と名付けられています。なお、ウィルコクソンの順位和検定については、次回、詳しく解説いたします。ウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定)の解説に戻りますね。diが負のもの、正のものの順位を加算し、小さいほうの値をJとおきます。[nが25以上]次の統計量Tは標準正規分布に従います。両側検定H1:|T|>Z(α/2) 対立仮説を採択片側検定H1:T>Z(α)   対立仮説を採択H1:T<-Z(α)   対立仮説を採択[nが25未満]サインランク検定を用い検定します。表2 ウィルコクソンのサインランク表詳細は、ウィルコクソンのサインランク表を参照。有意水準α、nに対応する値 J(α)を求めます。〔例〕α=0.05、n=20のとき、J(0.05)=60この値は下側%点を示しています。リンク先の付表の( )内の数値は、帰無仮説のもとで、統計量TがJ(0.05)=60以下になる確率が0.0487であることを示しています。両側検定H1:J<J(α/2)片側検定H1:J<J(α)今回は、たくさんあるノンパラメトリックの検定の手法の中から、「対応のある」場合の検定について解説しました。次回は、「対応のない」場合のノンパラメトリックの検定の手法について解説します。t検定の種類と選び方については、『わかる統計教室 第3回 セクション12 t検定の種類と選び方』をご参照ください。今回のポイント1)母集団の分布が不明でサンプルサイズが小さい場合はノンパラメトリックの検定を用いる!2)ノンパラメトリックの検定もデータの「対応のある」「対応のない」で、検定の種類と選び方が異なる!3)ウィルコクソンの符号順位和検定(サインランク検定)は、対応している標本に対して2つの母集団の分布に差があるかどうかを検定する手法!インデックスページへ戻る

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妊娠中の甲状腺ホルモン治療、流産・死産への影響は?/BMJ

 潜在性甲状腺機能低下症の妊婦では、甲状腺ホルモン薬の投与により妊娠喪失のリスクが低減するが、早産などのリスクは増加することが、米国・アーカンソー大学のSpyridoula Maraka氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月25日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症は妊婦に有害な転帰をもたらすことが、観察研究で示唆されている。甲状腺ホルモン薬のベネフィットを支持するエビデンスは十分でないにもかかわらず、米国の現行ガイドラインではレボチロキシンが推奨されているという。甲状腺ホルモン薬は5年間で約16%に投与 研究グループは、潜在性甲状腺機能低下症の妊婦における甲状腺ホルモン薬(レボチロキシン、リオチロニン、甲状腺抽出物製剤)の有効性と安全性を評価するレトロスペクティブなコホート試験を実施した(Mayo Clinic Robert D. and Patricia E. Kern Center for the Science of Health Care Deliveryの助成による)。 米国の全国的なデータベース(Optum-Labs Data Warehouse)を検索し、2010年1月1日~2014年12月31日に登録された潜在性甲状腺機能低下症(甲状腺刺激ホルモン[TSH]:2.5~10mIU/L)の妊婦のデータを抽出した。 主要評価項目は妊娠喪失(流産、死産)とし、副次評価項目には早産、早期破水、胎盤早期剥離、妊娠糖尿病、妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症、胎児の発育不全などが含まれた。 解析の対象となった5,405例の妊婦のうち、843例(15.6%)が甲状腺ホルモン薬の投与を受け、4,562(84.4%)例は受けていなかった。832例(98.7%)がレボチロキシン、7例(0.8%)が甲状腺抽出物製剤、4例(0.5%)はレボチロキシン+リオチロニンを投与されていた。ベネフィットは治療前TSH 4.1~10.0mIU/Lに限定 甲状腺ホルモン薬の投与を受けた妊婦の割合は経時的に増加し(2010年:12%~2014年:19%)、地域差(北東部/西部>中西部/南部、p<0.01)がみられた。TSH検査から投与開始までの期間中央値は11日(IQR:4~15)、出産までの期間中央値は30.3週(IQR:25.4~32.7)だった。 ベースラインの平均年齢は、治療群が31.7(SD 4.7)歳、非治療群は31.3(SD 5.2)歳と差はなかったが、18~24歳が非治療群で多かった(5.8% vs.9.5%)。平均TSHは治療群が4.8(SD 1.7)mIU/Lと、非治療群の3.3(SD 0.9)mIU/Lに比べ高値であった(p<0.01)。また、治療群は妊娠喪失の既往(2.7% vs.1.1%、p<0.01)、甲状腺疾患の既往(6.2% vs.3.4%、p<0.01)のある妊婦が多かった。 解析の結果、妊娠喪失の発生率は治療群が10.6%と、非治療群の13.5%に比べ有意に低かった(補正オッズ比:0.62、95%信頼区間[CI]:0.48~0.82、p<0.01)。 一方、治療群では、早産(7.1% vs.5.2%、補正オッズ比:1.60、95%CI:1.14~2.24、p=0.01)、妊娠糖尿病(12.0% vs.8.8%、1.37、1.05~1.79、p=0.02)、妊娠高血圧腎症(5.5% vs.3.9%、1.61、1.10~2.37、p=0.01)の頻度が非治療群に比し高かった。その他の妊娠関連の有害な転帰の頻度は両群でほぼ同等であった。 さらに、妊娠喪失は、ベースラインのTSHが4.1~10.0mIU/Lの妊婦では、治療群が非治療群よりも有意に抑制された(補正オッズ比:0.45、95%CI:0.30~0.65)のに対し、2.5~4.0mIU/Lの妊婦では治療の有無で差はなく(0.91、0.65~1.23)、これらのサブグループの間に有意な差が認められた(p<0.01)。 逆に、妊娠高血圧は、TSH 4.1~10.0mIU/Lの妊婦では治療群と非治療群に有意な差はなかった(補正オッズ比:0.86、0.51~1.45)が、2.5~4.0mIU/Lの妊婦では治療群のほうが有意に多くみられ(1.76、1.13~2.74)、サブグループ間に有意差を認めた(p=0.04)。 著者は、「甲状腺ホルモン薬による妊娠喪失の抑制効果は、治療前のTSHが4.1~10.0mIU/Lの妊婦に限られ、早産、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症はむしろ増加した」とまとめ、「甲状腺ホルモン薬の安全性を評価するために、さらなる検討を要する」と指摘している。

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精神的苦痛は発がんリスクを増大/BMJ

 精神的苦痛(うつ、不安の症状)が重くなるほど、大腸がんや前立腺がんのリスクが高まり、精神的苦痛は発がんの予測因子となる可能性があることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのG David Batty氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2017年1月25日号に掲載された。精神的苦痛とがんとの関連については、(1)精神的苦痛に繰り返し曝されるとナチュラルキラー細胞の機能が喪失して腫瘍細胞の増殖を招く、(2)うつ症状は視床下部-下垂体-副腎系の異常をもたらし、とくにホルモン関連がんの防御過程に不良な影響を及ぼす、(3)苦痛の症状は、喫煙、運動不足、食事の乱れ、肥満などの生活様式関連のリスク因子への好ましくない影響を介して、間接的に発がんの可能性を高めるなどの機序が提唱されている。英国の16研究の参加者16万人以上を解析 研究グループは、部位別のがん死の予測因子としての、精神的苦痛(うつ、不安の症状)の可能性を検証するために、1994~2008年に開始された16件の前向きコホート研究に参加した患者の個々のデータの統合解析を行った(特定の研究助成は受けていない)。 イングランドの13件およびスコットランドの3件の健康調査から、英国の典型的なサンプルを収集した。試験登録時に16歳以上で、がんの診断歴がなく、参加者自身の報告による精神的苦痛スコア(精神健康調査票[GHQ-12])の記録がある16万3,363例が解析の対象となった。 精神的苦痛はGHQ-12スコアにより、無症状(0点)、潜在性症状(1~3点)、有症状(4~6点)、重度症状(7~12点)に分類した。16種のがん、その他のがん、喫煙関連がん、喫煙非関連がんに分け、精神的苦痛との関連を解析した。苦痛が重度の群はがんのリスクが32%増加 ベースラインの平均年齢は46.3(SD 18.3)歳、女性が54.9%を占めた。精神的苦痛スコアの平均値は1.5(SD 2.6)点、平均BMIは26.6(SD 4.8)、義務教育修了年齢以降の学歴ありは67.9%、喫煙者は26.3%、週1回以上の飲酒は62.0%だった。 16件の研究の死亡調査の平均期間は9.5年で、この間に1万6,267例が死亡し、このうち4,353例ががんで死亡した。 年齢、性別、教育、社会経済的状況、BMI、喫煙、アルコール摂取で補正し、逆因果関係を左側打ち切り(left censoring)で、欠損データを代入法で調整した解析を行ったところ、精神的苦痛が軽度の群(GHQ-12スコア:0~6点)に比べ、苦痛が重度の群(同スコア:7~12点)は、すべての部位のがんを合わせた死亡率が有意に高かった(多変量補正ハザード比[HR]:1.32、95%信頼区間[CI]:1.18~1.48)。 また、精神的苦痛が重度の群は、喫煙非関連がん(HR:1.45、95%CI:1.23~1.71)、大腸がん(1.84、1.21~2.78)、前立腺がん(2.42、1.29~4.54)、膵がん(2.76、1.47~5.19)、食道がん(2.59、1.34~5.00)、白血病(3.86、1.42~10.5)のリスクが有意に高かった。大腸がんと前立腺がんのリスクは、精神的苦痛スコアが上がるにしたがって有意に増加した(いずれも、傾向検定のp<0.001)。 著者は、「精神的苦痛が、特定のがん発症の予測能を有する可能性を示唆するエビデンスが得られた」とまとめ、「個々の精神的苦痛とがんの因果関係がどの程度に及ぶかを解明するために、さらなる検討が求められる」と指摘している。

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心電図のはじめかた

心電図学習の挫折経験者に救済と無限の愛を付与する最適の1冊!医学書のコーナーにいくと、多種多様な心電図を学ぶ本が所狭しと置かれています。しかし、それでもなお、挫折する医療者が後を絶ちません。本書は、心電図が大のニガテから、今では数多くの心電図講義を行い、心電図本のベストセラーまで出版するようになった著者が、本当に基礎中の基礎のところで壁にぶつかっている人たちに向けて書き記したものです。これ以上ないほど丁寧かつ楽しい解説で、無味乾燥に見えていた「波」が、饒舌に語りかけてくるように感じることでしょう。心電図を苦手とするすべての医療者に贈る1冊です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    心電図のはじめかた定価2,600円 + 税判型A5判頁数200頁発行2017年1月著者杉山裕章Amazonでご購入の場合はこちら

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ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.3

患者さんのより良いコントロールと合併症予防を目指して新知見を注入糖尿病領域で好評をいただいている書の全面改訂版の登場です。前書Ver.2の刊行から約2年。この間にも、新たなエビデンスの集積、ADA(アメリカ糖尿病協会)の新ガイドラインやわが国学会の高齢者糖尿病の血糖コントロール目標2016の公表など、糖尿病診療を取り巻く環境は、日々進歩を続けています。Ver.3ではこれらの知見を織込み、また、ライゾデグ、トルリシティ、ジャディアンスやウィークリー製剤などの新しい薬剤に関する情報も追加いたしました。糖尿病診療に携わるすべてのかかりつけ医、一般内科医に必携の書です。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。    ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.3定価3,600円 + 税判型A5判頁数368頁発行2017年1月編著岩岡秀明 / 栗林伸一Amazonでご購入の場合はこちら

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統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン

 統合失調症に対するアリピプラゾールとリスペリドンの短期治療効果および副作用プロファイルについて、インド・カヌール・メディカル大学のP B Sajeev Kumar氏らが、比較検討を行った。Current neuropharmacology誌オンライン版2017年1月12日号の報告。 本研究は、統合失調症に対するアリピプラゾールとリスペリドンによる8~12週間の治療を比較した非無作為化自然主義的盲検化プロスペクティブ研究。対象は、すでにアリピプラゾール(10~30mg/日)またはリスペリドン(3~8mg/日)で治療中の患者。MINI(Mini International Neuropsychiatric Interview:精神疾患簡易構造化面接法)Plus、PANSS、AIMS(Abnormal Involuntary Movement Scale:異常不随意運動評価尺度)、SAS(Simpson Angus Scale)、UKU(Udvalg for Klinske Undersogelser)スケール、CGI-Sを、試験開始時に収集した。1日目およびフォローアップ時に、身体測定(身長、体重、BMIなど)、血圧、脈拍数を調べた。8~12週間後に、MINI Plusを除く検査を再度実施した。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾール群およびリスペリドン群の両方で、陽性症状、陰性症状の有意な改善が示された。しかし、両群間に統計学的有意差はなかった。・患者によるCGI改善スケールスコアの平均改善度は、アリピプラゾール群で有意な傾向が示された。・UKUスケールにより評価される一般的な(患者の5%以上で認められる)有害事象は、アリピプラゾール群よりもリスペリドン群で高頻度に認められた。・薬物誘発性錐体外路症状は、リスペリドン群でより多かった。・アリピプラゾール群は、体重増加に対する治療がより少なかった。 著者らは「アリピプラゾールは、統合失調症に対する8週間の短期治療において、リスペリドンと同等の有効性を示し、より良好な忍容性が認められた。また、患者満足度および副作用プロファイルも良好であった」としている。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン 2つの抗精神病薬持効性注射剤、その違いを分析 アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー

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血管止血デバイスの安全性評価に有用な監視システム/NEJM

 DELTA(Data Extraction and Longitudinal Trend Analysis)と呼ばれる前向き臨床登録データサーベイランスシステムを用いた検証により、血管止血デバイスの1つであるMynxデバイスが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の有害事象増加と関連しており、最初の1年以内で他の血管止血デバイスと有意差がみられることが明らかとなった。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのFrederic S. Resnic氏らが、PCI後の有害事象増加が懸念されているデバイスの安全性モニタリングについて、DELTAシステムを用いた戦略が実現可能かを評価したCathPCI DELTA試験の結果、報告した。これまで、医療機器の市販後の安全性を保証する過程は、有害事象の自主報告に依存しており、安全性の評価と確認が不完全であった。NEJM誌オンライン版2017年1月25日号掲載の報告。Mynxデバイスの安全性に関する傾向スコア解析を実施 DELTAは、オープンソースのデータベース管理および統計解析ツールを結合する統合ソフトウェア・コンポーネントで、臨床登録と他の詳細な臨床データから安全性シグナルを前向きにモニターするサーベイランスシステムである。 研究グループは、DELTAシステムを使用し、CathPCI Registryに登録された患者を対象に、Mynxデバイスの安全性を他の承認済み血管止血デバイスと比較する傾向スコア解析を実施した(Mynxは、シースを抜く際に大腿動脈の穿刺部を、生体に吸収されるポリエチレングリコールで止血するデバイス)。 主要評価項目は、全血管合併症(穿刺部出血、穿刺部血腫、後腹膜出血、その他の処置を要する血管合併症)、副次評価項目は治療を要する穿刺部出血および施術後輸血であった。他の血管止血デバイスと比較し、Mynxデバイスで血管合併症リスクが有意に増加 2011年1月1日~2013年9月30日の間に、大腿部アプローチによるPCI後にMynxデバイスを使用した患者7万3,124例のデータが解析された。 Mynxデバイスは、他の血管止血デバイスと比較して、全血管合併症のリスクが有意に増加した(絶対リスク1.2% vs.0.8%、相対リスク:1.59、95%信頼区間[CI]:1.42~1.78、p<0.001)。同様に、穿刺部出血(同:0.4% vs.0.3%、1.34、1.10~1.62、p=0.001)、および輸血(1.8% vs.1.5%、1.23、1.13~1.34、p<0.001)も有意なリスク増加が確認された。 Mynxデバイスによる血管合併症に関する警告(増加が有意であることが最初に認められたこと)は、モニタリング開始後12ヵ月以内に発生した。相対リスクは、事前に定義した3つのサブグループ(糖尿病、70歳以上、女性)でより高かった。 FDAの指示により追加された2014年4月1日~2015年9月30日の間の別の4万8,992例を対象とした解析でも、すべての評価項目に関して最初の12ヵ月以内に警告が確認された。

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レンバチニブ 切除不能肝細胞がんでソラフェニブに非劣性示す

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社創製の抗がん剤レンバチニブ(商品名: レンビマ)が、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照とした臨床第III相試験(304試験)において、主要評価項目を達成したと発表。 304試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者を対象に、レンバチニブについて、標準治療薬ソラフェニブとの有効性および安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバル臨床第III相試験。当試験では、954例の患者を各群に1:1の割合で無作為に割り付け、レンバチニブ投与群(n=478)には体重によって12mgまたは8mg/日、ソラフェニブ投与群(n=476)には400mg×2/日を投与した。投与は病勢進行あるいは忍容できない有害事象の発現まで継続された。主要評価項目は全生存期間(OS)とし、非劣性の検証を目的に実施した。副次評価項目として、無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)、奏効率(ORR)などを評価した。 結果、レンバチニブ投与群は、ソラフェニブ投与群に比較して、OSにおける非劣性が統計学的に証明され、PFS、TTP、ORRにおいて、統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善を示した。本試験のレンバチニブ投与群で確認された有害事象(上位5つ)は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労であり、これまでにレンバチニブの投与で認められた安全性プロファイルと同様であった。その他の副次評価項目(QOL、血漿中薬物動態)や安全性の解析は継続中である。 エーザイは、本試験結果に基づき、日本、米国、欧州、中国を含むアジアの各当局と申請に向けた協議を行う予定。また、本試験結果の詳細について、今後の学会等で発表する予定である。エーザイ株式会社のニュースリースはこちら

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安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。非心不全・冠動脈疾患患者100例以上、追跡期間1年以上の試験を対象にメタ解析 研究グループは、PubMed、EMBASE、コクラン・ライブラリCENTRALを基に、2016年5月1日までに発表された、心不全のない(左室駆出分画率40以上または臨床的心不全なし)安定冠動脈疾患を対象に、RAS阻害薬とプラセボまたは実薬を比較した24の無作為化試験についてメタ解析を行い、RAS阻害薬の有効性を検証した。 対象とした試験は100例以上の該当患者を含み、また追跡期間は1年以上だった。アウトカムは死亡、心血管死、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、心不全、血行再建術、糖尿病発症、有害事象による服薬中止だった。RAS阻害薬は死亡率14.10/1,000人年超の集団で有効 分析対象とした試験の総追跡期間は、19万8,275人年だった。 RAS阻害薬群はプラセボ群に比べ、全死因死亡(率比:0.84、95%信頼区間[CI]:0.72~0.98)、心血管死(0.74、0.59~0.94)、心筋梗塞(0.82、0.76~0.88)、脳卒中(0.79、0.70~0.89)、また、狭心症(0.94、0.89~0.99)、心不全(0.78、0.71~0.86)、血行再建術(0.93、0.89~0.98)のリスクをいずれも低減した。一方で実薬との比較では、いずれのアウトカム発生リスクの低減は認められなかった。率比は全死因死亡1.05(95%CI:0.94~1.17、交互作用のp=0.006)、心血管死1.08(0.93~1.25、p<0.001)、心筋梗塞0.99(0.87~1.12、p=0.01)、脳卒中1.10(0.93~1.31、p=0.002)などだった。 ベイズ・メタ回帰分析の結果、RAS阻害薬による死亡・心血管死リスクの低減が認められたのは、対照群のイベント発生率が高値の集団(全死因死亡14.10/1,000人年超、心血管死7.65/1,000人年超)だった試験のみで、低値の集団だった試験では同低減効果は認められなかった。 著者は、「心不全のない安定冠動脈疾患患者において、RAS阻害薬の心血管イベントおよび死亡の抑制は、プラセボ対照群の試験でのみみられ、実薬対照群の試験ではみられなかった。またプラセボ対照群においても、RAS阻害薬の有益性は、主に対照群のイベント発生率が高かった試験では認められたものの、低い場合は認められなかった」と述べている。そのうえで、「その他の実薬対照を含めてRAS阻害薬が優れていることを支持するエビデンスはない」とまとめている。

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