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第7回 医療法学シンポジウム開催のお知らせ

 医療と司法の相互理解を目指す、第7回医療法学シンポジウムが11月27日に開催される。今回のテーマは「柳原病院事件」を取り上げ、医療と司法両方のプロフェッションが参加し、医療現場の日常を刑事司法でどのように取り扱うべきか議論を行う予定である。 医療側からみれば、術後せん妄の患者の証言のみで医師が逮捕されたのでは医療現場が崩壊するが、刑事司法からみると、万が一そのような犯行が行われたとき、どのような証拠関係があれば有罪と認定すればいいのかという対立点がある。 シンポジウムでは、どうすれば妥当な解決が導けるのかまで議論しようと考えている。なお、稲門医師会・稲門法曹会合同シンポジウムも併催される。医療法学シンポジウム開催概要 日時 2016年11月27日(日)13:00~16:00(12:30開場) 場所 日経カンファレンスルーム 参加費 2,000円(懇親会費別途)プログラム [第一部]  「稲門医師会のご紹介」 中山久徳  (そしがや大蔵クリニック 院長)  「早稲田出身の医師の現状」 杉原正子  (国立病院機構 久里浜医療センター) [第二部 柳原病院事件を考える]  「本件事案の概要と論点整理」 大磯義一郎  (浜松医科大学医療法学教授)  「麻酔によるせん妄について」 鈴木宏昌  (国立病院機構 横浜医療センター)  「刑事司法について 痴漢冤罪事件から学ぶべきこと」 趙誠峰  (早稲田リーガルコモンズ法律事務所)  パネルディスカッション参加のお申し込みなどは、稲門医師会ホームページまで(「11/27シンポジウム参加申込」をクリックし、フォームからお申し込み) ※セキュリティの関係上、パソコンからのみアクセス可能お問い合わせ先:稲門医師会 tomon-ishikai@list.waseda.jp

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理想の年収額は2,000万円以上―医師1,000人へのアンケート

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の業務内容・仕事量に見合うと思う年収額について尋ねたところ、現在の年収帯と同じ年収帯を回答する医師が多かった。なお、全体で最も回答数が多かった年収帯は2,000~2,500万円(17%)であった。 年収別では、ほとんどの年収帯で現在と同じ年収帯を回答した医師が多かったが、800~1,000万円の年収帯では1,000~1,200万円(39%)、1,800~2,000万円の年収帯では2,000~2,500万円(40%)と、千万の位の数字が上がる年収額を回答した医師が最も多かった。2,000~2,500万円では38%が現在と同等という回答が最も多かった。3,000万円以上では90%が現在と同等の年収額を回答した。 年代別では、35歳以下では1,000~1,200万円(20%)という回答が最も多かったが、36歳以上では各年代とも2,000~2,500万円という回答が最多であった(36~45歳:19%、46~55歳:22%、56~65歳:23%、66歳以上:14%)。 上記のほか、男女別、病床数別、勤務先別、診療科別で集計したグラフについても、以下のページで発表している。医師の年収に関するアンケート2016【第4回】適正年収

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「平成28年度 医療安全管理者養成講習会」開催のお知らせ

 平成28年12月12日(月)~17日(土)に、一般社団法人 日本医療法人協会の主催による「医療安全管理者養成講習会」が開催される。 この研修会は、医療安全管理者としての役割と業務を明確に理解し、組織における安全推進のリーダーシップを発揮するため、医療安全活動の実践に必要な基本知識、ならびに技術・態度などを習得することを目的とする。本邦初のFRAMによる事例分析実習等、最先端の科学としての医療安全の知識を学習すると同時に、現場医療従事者を保護するための方策を習得することを目指している。研修は、厚生労働省「医療安全管理者の業務指針および養成のためのプログラム指針」(平成19年3月)で示されている内容にのっとり、「医療安全対策加算」の施設基準である「医療安全対策に係る適切な研修」にも対応している。開催概要 主 催  : 一般社団法人 日本医療法人協会 開催日時 : 平成28年12月12日(月)~17日(土) 6日間 会 場  : 東京都千代田区富士見2-6-12 AMビル4階 会議室 定 員  : 日本医療法人協会会員病院の医療安全対策関係職員など 定員20名 主な研修プログラム  ・医療安全管理の基礎知識と考え方  ・事故発生時の対応I(患者・家族対応)  ・事故発生時の対応II(医療従事者への対応)   ・事故発生時の対応III(法的視点)           ・再発防止       ・事例分析(FRAM)  ・医療安全の意義と院内の体制作り     ・事故報告制度       ・グループワーク 参加費用(全日程)  ・会員   97,200円(消費税込)  ・非会員 137,200円(消費税込)●詳しいお問い合わせについて 平成28年度 医療安全管理者養成講習会 運営事務局 E-mail:jimukyoku.anzen@hama-med.ac.jp

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問2

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問2 何人くらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?質問1■どのくらいの患者さんを対象にアンケート調査をすればよいですか?このくらいの患者さんにアンケート調査をすればよい、という正解はありません。調査する人数(サンプルサイズ)が少ないほど、信頼区間が広がり、誤差は大きくなります。その誤差をどの程度にとどめたいかによって、調査すべき人数が変わります。図1に示した「サンプルサイズ別信頼区間表」をご覧ください。図1 サンプルサイズ別信頼区間表誤差が13.9%と大きいときのnは50と少なく、誤差が1.0%と小さいときのnは10,000も必要です。決めなければならないのは、まず誤差をいくつにするかです。標本比率pバーの値が40%のときに、誤差を4.8%以内にしたければ、nは400人以上必要だということがわかります。標本比率pバーの値は、調査で最も重要と考える質問項目のpバーが、いくつになりそうかを想定し、その値を用います。わからない場合は50%としてください。このpバーと誤差を用いて計算されたサンプルサイズが、調査に必要なサンプルサイズとなります。サンプルサイズは、母比率と推定公式から求めることができます。標本比率を40%(pバー=0.4)と想定し、誤差を4.8%以内(0.048)にしたい場合、信頼区間が0.4±0.048となるnを、推定の公式から逆算します。図2にサンプルサイズ算出の公式を示します。この式は上記の計算を公式化したもので、無限母集団に適用されるものです。図2 サンプルサイズの算出公式■標本比率、誤差に対応したサンプルサイズ早見表任意の標本比率pバーと誤差に対するサンプルサイズを示した一覧表を図3に示します。表内に赤く表示した数値を基に見方を説明します。図3-1 サンプルサイズ早見表表の数値は、各標本比率に対する誤差であり、標本比率の0.1倍の誤差にしたいという場合です。たとえばpバー=40%のときの誤差を40%×0.1=4%にしたいとした場合です。表の数値は、標本比率と誤差に対応したサンプルサイズです。pバー=40%、誤差4%で必要なサンプルサイズは576人です。言い換えると、信頼区間40%±4%とするのに必要なnは576人です(赤色の囲み)。同じように、信頼区間90%±9%であればnは43人(緑色の囲み)、10%±1%のnは3,457人(水色の囲み)となります。図3-2 サンプルサイズ早見表一例として、ある医薬品が、どれくらい多くの患者さんに使用されているかを調べることにします。その医薬品の使用率は、どう考えても10%を超えることはないとします。誤差率を2%(黄色の囲み)とすると、864人(黄色の囲み)以上の調査をしなければならないことがわかります。使用率が低い医薬品ほど、サンプルサイズが大きくなければならないということです。今回のポイント1)どれくらいの患者さんにアンケート調査をすればよいか、という正解はない。2)サンプルサイズは、調査担当者がその誤差をどの程度にとどめたいかによって、調査するべき人数が変わる。3)ある医薬品が、どれくらい多くの患者さんに使用されているかを調べるような場合、使用率が低い医薬品ほどサンプルサイズは大きくなければならない。インデックスページへ戻る

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TCT 2016開催地、ワシントンD.C.のおすすめスポット

ケアネットでは、TCT2016に参加される先生方に、開催地ワシントンD.C.を楽しんでいただけるよう、米国メリーランド州に留学経験のある矢作和之氏(三井記念病院 循環器内科)にもご協力いただき、おすすめの観光名所やレストランなどの情報を集めましたのでご紹介します。ワシントンD.C.はアメリカ合衆国の首都であり、ホワイトハウスをはじめとし、多くの観光スポットがあります。また、世界中から多くの人が訪れるため、本格的な各国料理を楽しめるのも特徴です。TCT 2016注目の演題はこちら矢作氏おすすめ観光スポット5選矢作氏おすすめレストラン、その他会場周辺レストラン一覧ショッピング情報矢作氏おすすめ観光スポット5選ホワイトハウス(White House)米国大統領の官邸。表からみることもできますが、裏からみたほうがホワイトハウスを近くにみることができます。大統領がいるときは、星条旗が掲げられているそうです。[住所] 1600 Pennsylvania Avenue NW, Washington, D.C. 20500ワシントン記念塔(Washington Monument)初代大統領 ジョージ・ワシントンの偉業を称える記念塔。ワシントンD.C.の景色・夜景が一望できます。展望台に登るには、予約が必須。[住所] 2 15th St. NW, Washington, D.C. 200024リンカ―ン記念堂(Lincoln Memorial)/国会議事堂(U.S. Capitol) ナショナルモールの西側にあるのがリンカーン記念堂で、東側にあるのが国会議事堂です。その間は約4kmあり、広大な緑地帯になっています。休日には多くの人が散歩やランニングをしたり、また家族でのんびり過ごしたりしています。[住所] 2 Lincoln Memorial Circle, NW, Washington, D.C. 20002/East Capitol St NE & First St SE, Washington, D.C. 20004タイダルベイスン(Tidal Basin)ポトマック川沿いにある池。春は池の周囲に植えられた桜並木でとても綺麗なスポット。実はこの桜は日本から贈られたもの。この時期は桜をみることはできませんが、池では手漕ぎボートなどにも乗れ、学会の途中の気分転換に行くのもいいかもしれません。[住所] 1501 Maine Ave, SW, Washington, D.C. 20024スミソニアンエリア おすすめ博物館・美術館(Smithsonian Museum)ナショナルギャラリー(National Gallery of Art)石油や鉄鋼などで財を成したアンドリューメロン氏が13~19世紀の絵画や彫刻、美術品を買い求め、彼の死後、今までのコレクションを国に寄付することから始まった美術館。運営、維持費は国家予算から支出されているものの、美術品の購入に関して、国は一切お金を出していないそうです。コレクション総数は11万6,000点にも達します。[住所] 6th and Constitution Avenue NW, Washington, D.C. 20565国立自然史博物館(National Museum of Natural History)スミソニアンで最も古い博物館で100年の歴史があります。博物館のコレクションは約1億2,650万点で、世界最大の博物館といえます。入り口を入ってすぐの巨大なアフリカ像は迫力があり圧巻です。[住所] 10th St. & Constitution Ave. NW, Washington, D.C. 20560国立航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)世界各国の航空機が展示されています。最大の魅力は、展示物に燃料を補給すればすぐにでも稼働できる状態で陳列されていることです。また、この博物館にはあの有名な日本が生み出したゼロ戦(三菱零式艦上戦闘機52型A6M5)が展示されています。[住所] Independence Ave at 6th St, SW, Washington, D.C. 20560レストラン情報<ステーキ、ハンバーガー>(せっかくアメリカに来たのだから本場のステーキを!)BLT STEAK今はやりのTボーンステーキを味わえる人気店。[住所] 1625 I St. NW(bet. 16th & 17th Sts.), Washington, D.C. 20006[TEL] 202-689-8999Shake Shackニューヨークで大人気のハンバーガーショップ。日本でも表参道に開店するなど、とても有名。日本では行列必至ですが、ワシントンD.C.ならあまり行列がなく食べられるかもしれません。Five Guys Burgers and Fries日本未上陸のハンバーガー屋さん。とてもアメリカらしいハンバーガー。がっつりいきたいときは、パテはダブルで。<シーフード>Captain White's Seafood City (Fish market)生牡蠣など、とても新鮮なシーフードを味わえるお店。[住所] 1100 Maine Ave. SW, Washington, D.C. 20024[TEL] 202-484-2722<和食>(やっぱり、アメリカでも和食が食べたくなりますよね)寿司太郎オバマ大統領も来店したことのある、とても有名なお寿司屋さん。おいしいお寿司が味わえます。[住所] 1503 17th Street, NW, Washington, D.C. 20036[TEL] 202-462-8999寿司キャピトルキャピトルヒルにあるお寿司屋さん。周辺はとても賑わっています。[住所] 325 Pennsylvania Ave SE, Washington, D.C. 20003[TEL] 202-627-0325寿司幸中心部から北部に20分程度の所にありますが、おいしい和食が味わえます。雰囲気もいいです。[住所] 5455 Wisconsin Avenue, Chevy Chase, MD 20815[TEL] 301-961-1644居酒屋関日本の居酒屋をそのままアメリカで味わえる数少ないお店の中の1つ。[住所] 1117 V St. NW, D.C.[TEL] 202-588-5841(予約は5~8名の団体のみ可)Sakedokoro Makotoメニューはコース料理でこだわりの和食屋さん。ドレスコードあり。中心部からはタクシーで。[住所] 4822 MacArthur Blvd NW, Washington, D.C. 20007[TEL] 202-298-6866<ラーメン>DAIKAYA日本のラーメンが味わえます。とても混んでいるので、時間に余裕を持って行くといいと思います。[住所] 705 6th St NW, Washington, D.C. 20001[TEL] 202-589-1600<その他、会場周辺のレストラン一覧(編集部より)>画像を拡大する1.Morton’s The Steakhouse(ステーキ)2.McCormick & Schmick’s(シーフード) 3.The Oceanaire(シーフード)4.Kaz Sushi Bistro(寿司)5.The Capital Grille(ステーキ)6.Palm(ステーキ、シーフード)7.La Taberna del Alabardero(スペイン料理)8.Meiwah(中華)9.Bourbon Steak(ステーキ)10.Farmers Fishers Bakers(アメリカン)ショッピング情報<スーパーマーケット>Whole foodsオーガニック食材や調味料が置いてあり、アメリカで人気のスーパーマーケット。サラダバーや総菜のコーナーもあり、テイクアウトもできます。トレーダージョーズクオリティの高い商品を扱っているスーパーマーケット。オリジナルアイテムが人気で、値段もリーズナブル。お土産にも使えるアイテムが豊富。<ショッピング街>ジョージタウンエリア若者が集まる町。町全体もレンガづくりでできており、とても素敵な雰囲気を持っています。今人気のあるブランドショップが集結。<アウトレット>Tanger outlet中心部からすぐに行けるアウトレット。最大70%offの商品などもあり、日本で人気があるブランドも入っています。[住所] 6800 Oxon Hill Road, National Harbor, MD 20745

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ニボルマブ、既治療・再発頭頸部扁平上皮がんのOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法施行後に再発した頭頸部扁平上皮がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブは標準治療に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのRobert L Ferris氏らが行ったCheckMate 141試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。頭頸部扁平上皮がんの原発または再発病変に対し、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢が進行した症例の、OS期間中央値は6ヵ月に満たないが、これらの患者のOS期間を延長する治療選択肢はない。頭頸部扁平上皮がんの転移・再発病変は、T細胞抑制性の免疫チェックポイント受容体であるプログラム死1(PD-1)のリガンド(PD-L1、PD-L2)の発現によって部分的に誘導される免疫回避により、促進されることが知られている。標準的な単剤療法と比較する無作為化第III相試験 CheckMate 141は、プラチナ製剤不応の頭頸部扁平上皮がんにおいて、ニボルマブと標準治療を比較する非盲検無作為化第III相試験(Bristol-Myers Squibb社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、組織学的に口腔、咽頭、喉頭の扁平上皮がんが確証され、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢進行または再発した患者であった。 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)を投与する群または標準的な単剤療法(メトトレキサート、ドセタキセル、セツキシマブのいずれか1剤)を行う群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSであり、副次評価項目には無増悪生存(PFS)、客観的奏効率、安全性、患者報告QOLが含まれた。 2014年6月~2015年8月に、日本人を含む361例が登録され、ニボルマブ群に240例、標準治療群には121例が割り付けられた。OSが30%改善、1年OS率は2倍以上、有害事象、QOLも良好 全体の年齢中央値は60歳(範囲:28~83)、男性が83.1%を占め、腫瘍部位は口腔が48.5%、咽頭が35.5%、喉頭が13.6%、その他が2.5%であった。喫煙者(79.6 vs.70.2%、p=0.047)がニボルマブで有意に多かったが、これ以外の背景因子に有意な差はなかった。 全体の91.4%が放射線療法を受けていた。前治療レジメン数は、1が45.4%、2が34.6%、3以上が19.9%であった。約4分の1が、p16(ヒトパピローマウイルスの代替マーカー)陽性だった。 フォローアップ期間中央値5.1ヵ月におけるOS期間中央値は、ニボルマブ群が7.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.5~9.1)と、標準治療群の5.1ヵ月(95%CI:4.0~6.0)に比べ有意に長く、死亡リスクが30%低減した(ハザード比[HR]:0.70、97.73%CI:0.51~0.96、p=0.01)。推定1年OS率は、ニボルマブ群が標準治療群の2倍以上に達した(36.0 vs.16.6%)。 PFS期間中央値は、ニボルマブ群が2.0ヵ月、標準治療群は2.3ヵ月であり、両群に差を認めなかった(HR:0.89、95%CI:0.70~1.13、p=0.32)。一方、推定6ヵ月PFS率はニボルマブ群が高い傾向がみられた(19.7 vs.9.9%)。 腫瘍縮小効果はニボルマブ群が完全奏効(CR)6例、部分奏効(PR)26例で、客観的奏効率は13.3%であった。標準治療群はCR 1例、PR 6例で、客観的奏効率は5.8%だった。 Grade 3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群が13.1%、標準治療群は35.1%に発現した。ニボルマブ群で頻度の高い全Gradeの有害事象は、疲労(14.0%)、悪心(8.5%)、皮疹(7.6%)、食欲減退(7.2%)、そう痒(7.2%)の順であった。 皮膚関連(15.7 vs.12.6%、主に皮疹)および内分泌系(7.6 vs.0.9%、主に甲状腺機能低下症)の有害事象は、ニボルマブ群のほうが頻度が高かった。ニボルマブ群では、肺臓炎が2.1%に発現し、治療関連死は2例(肺臓炎、高カルシウム血症)認められた。 15週時のEORTC QLQ-C30の身体機能、役割機能、社会的機能、QLQ-H&N35の疼痛、感覚異常、社会的接触障害は、ニボルマブ群がいずれも安定していたのに対し、標準治療は増悪しており、すべての項目で有意な差が認められた。 著者は、「探索的バイオマーカー解析では、PD-L1の発現状況、p16陽性/陰性にかかわらず、OS期間中央値はニボルマブ群が明らかに長かった」としている。

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世界の平均寿命、35年で約10年延長:GBD2015/Lancet

 1980年から35年間に、世界の年齢別死亡率は着実に改善し、この進展パターンは過去10年間持続しており、多くの国では当初の予測よりも迅速であったが、期待余命が短縮し、いくつかの死因の年齢標準化死亡率が上昇した国もあることが、米国・ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らが実施したGlobal Burden of Disease Study 2015(GBD 2015)で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年10月8日号に掲載された。生存期間を改善し、寿命を延長するには、その時々の地域の死亡率や傾向に関する頑健なエビデンスが求められる。GBD 2015は、195の国と領地における1980~2015年の全死因死亡および249項目の原因別死亡を包括的に評価する世界的な調査である。新たな解析法による検討、GATHERに準拠 研究グループは、GBD 2013およびGBD 2010のために開発された解析法の改良版を用いて、年齢、性、地理、年代別の全死因死亡率を推算した(ビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成による)。 GBD 2015では、エボラウイルス病を含む8つの死因が新たに加えられた。ほとんどの死因の予測値を生成するCause of Death Ensemble Model(CODEm)のほか、6つのモデリング法を用いて、原因別死亡率の評価を行った。 「保健推計報告の正確性、透明性のためのガイドライン(Guidelines for Accurate and Transparent Health Estimates Reporting; GATHER)」に準拠し、データ源とともに、解析過程の各段階を記述した。出生時期待余命が61.7歳から71.8歳へ、死亡数が増加し年齢標準化死亡率は低下 世界的な出生時の期待余命(寿命)は、1980年の61.7歳から、2015年には71.8歳に延長した。サハラ以南のアフリカ諸国では、2005年から2015年に期待余命が大幅に延長した国があり、HIV/AIDSによる大規模な生命の喪失の時代からの回復が認められた。 同時に、とくに戦争や対人暴力により死亡率が上昇した国など、期待余命が停滞または短縮した地域も多かった。シリアでは、2005年から2015年に期待余命が11.3年短縮し、62.6歳にまで低下した。 2005年から2015年に、全死亡数は4%増加したが、年齢標準化死亡率は17.0%低下しており、この間の人口増加と年齢構成の転換が示された。この結果は、全死亡数が14.1%増加したのに対し年齢標準化死亡率が13.1%低下した非感染性疾患(NCD)と類似していた。このパターンは、いくつかのがん種、虚血性心疾患、肝硬変、アルツハイマー病、その他の認知症にみられた。 これに対し、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害による全死亡数および年齢標準化死亡率は、いずれも2005年から2015年に有意に低下しており、その主な要因はHIV/AIDS(年齢標準化死亡率の低下率:42.1%)、マラリア(同:43.1%)、早産による新生児合併症(同:29.8%)、妊産婦の疾患(同:29.1%)による死亡率の低下であった。また、外傷による年齢標準化死亡率は、この間に有意に低下したが、例外として、とくに中東地域では対人暴力や戦争による外傷で多くの人命が失われた。 2015年における5歳以下の下痢による死亡の主な原因はロタウイルス性腸炎であり、下気道感染症による死亡の主原因は肺炎球菌性肺炎であったが、病原体別死亡率は地域によってばらつきがみられた。 全体として、人口増加、高齢化、年齢標準化死亡率の変化の影響は、死因ごとに実質的に異なっていた。SDIによるYLLの予測値と実測値 原因別死亡率と社会人口学的指標(SDI:学歴、出生率、1人当たりの所得に基づくサマリー指標)の関連の解析では、SDIの上昇にともなって、死因や年齢の構成が規則的に変化することが示された。 若年死亡率(損失生存年数[YLL]の指標)の国別のパターンには、SDIのみに基づくYLLの予測値との間にずれがあり、国や地域によって高度に不均一なパターンが明確に認められた。ほとんどの地域では、YLL増加の主要な原因は虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病であったが、多くの場合、地域内のSDIに基づくYLLの実測値と予測値の比には、顕著な不一致が認められた。 サハラ以南のアフリカのすべての国では、感染性疾患、妊産婦、新生児、栄養障害がほとんどのYLLの原因であり、依然としてマラリアやHIV/AIDSが早期死亡の主要原因の国では、YLLの実測値が予測値をはるかに超えていた。 著者は、「年齢標準化死亡率は改善したが、人口増加や高齢化が進んだため、多くの国でNCDによる死亡数が増加しており、これが保健システムへの需要の増加を招いている」とまとめ、「これらの知見は、SDIに基づく死亡のパターンを、より深く研究するための参考になるだろう」としている。

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関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。診断に有効な武器がない関節症性乾癬 はじめに皮膚科専門医の視点から奥山隆平氏(信州大学医学部皮膚科学教室 教授)が「関節症性乾癬とはどのような疾患か」と題し、早期診療の重要性と生物学的製剤の可能性について講演を行った。 乾癬は、全身に皮疹が散在する慢性的かつ難治性の皮膚疾患であり、わが国の乾癬患者は約56万人と推定されている。治療では、ファーストラインに外用療法が、セカンドラインでは紫外線療法が行われ、治療薬としてエトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサート(保険適用外)、生物学的製剤などが処方される。 なかでも今回のテーマである関節症性乾癬は、乾癬に関節炎が足された病型として知られ、乾癬患者の中でも年々患者数が増えている疾患である。その発症パターンの多くは発疹が先行し、10年近く経過した後に関節炎症状が表れる1)など、罹病期間も長いという。 問題となるのは、現在、本症には診断に有用なバイオマーカーがないため、早期診断が難しいことである。また、患者さんも関節痛の診療の際、皮膚科ではなく、整形外科やリウマチ科を受診するために、疾患の本態がわからないまま診療が続けられ、治療の開始が遅れることであるという。 本症では、指が好発部位であり、また、脊柱が侵害されることもあり、早期診療が重要だが、病態初期はX線では発見できない。骨シンチグラフィーなどが有用とされているが、検査できる医療機関が限られているためになかなか普及しないのが現状である。 治療では生物学的製剤が、2010年から使えるようになり効果を上げているが、副作用とのバランスを見極めながらの治療が必要であり、再発もしやすいという。 おわりに奥山氏は、「今後、さらにリウマチ科や整形外科の先生に本症を知ってもらうことで、速やかな診療ができる体制の構築と乾癬患者さんへは、あらかじめ本症の特徴や病態を伝えておくことで、すぐに専門医へ診療がつながるような仕組みづくりが大事」と課題を提起し、レクチャーを終えた。関節症性乾癬の診断は他診療科とのコラボが大事 続いて、岸本暢将氏(聖路加国際病院リウマチ膠原病センター 医長)が、「リウマチ医から見たPsA(関節症性乾癬)」をテーマに、他診療科間での連携の重要性と本症の治療を解説した。 関節症性乾癬は、特徴的な所見をリウマチ専門医だけでみつけ、鑑別することは容易ではない。だからこそ、皮膚科専門医とのコラボレーションが重要であり、乾癬患者さんが痛みを訴える場合、リウマチ専門医の診療を受診することは大事だと強調する。 大都市における本症の患者数調査では、乾癬患者全体(n=3,021)の約15%(n=431)に患者が報告され2)、男性に多く、本症の患者さんの多くは皮膚科に通院し、関節痛があっても医師に伝えていないケースも多いという。 本症と関節リウマチとの鑑別診断では、足のかかとや足の裏にケブネル現象がないか、爪に炎症所見がないかの観察とともにCASPAR分類基準3)による診断が行われる。また、関節リウマチでは骨破壊だけが観察されるが、本症では骨新生もある点が鑑別で役に立つという。その他、鑑別疾患として、変形性関節症、肥満者であれば関節破壊や痛風も考えられるほか、感染症ではクラジミア、梅毒などにも注意が必要になる。 治療では、GRAPPA治療推奨4)が使われているが、MDA(中疾患活動性)基準5)も併用されている。最近では、2015年にGRAPPA治療推奨の最新版が提唱された6)。 たとえば末梢関節炎であれば、NSAIDsおよびステロイド関節内注射と併行して第1フェーズでは免疫調整薬(メトトレキサート、スルファサラジンなど)、生物学的製剤TNF阻害薬、PDE-4阻害薬(未承認薬)が推奨され、第2フェーズで生物学的製剤TNF阻害薬、IL-17阻害薬、IL-12/23阻害薬またはPDE-4阻害薬が推奨され、第3フェーズでは別の生物学的製剤への変更が推奨されているなど、体軸関節炎、腱付着部炎など病変に応じて、異なった治療推奨がなされている。 また、本症の治療戦略としては治療薬の他に、減量・運動・禁煙などの生活指導、整形外科と連携した身体器具の装着、関節へのピンポイント注射治療のほか、高脂血症、脂肪肝、うつ、線維筋痛症など併発症の治療も重要となる。 最後に岸本氏は「他科連携による的確な診断とタイミングのよい治療が患者さんの機能障害を防ぐ」と述べ、レクチャーを終えた。もっと知って欲しい関節症性乾癬 続いて30年以上乾癬に悩む患者さんが、患者視点から本症の悩みや課題を述べた。当初、乾癬の確定診断がつかず、身体的、精神的につらい時期を送ったこと。その後、本症が発症し、ベストな治療が受けられなかったときに、生物学的製剤の治療のおかげで関節の痛みが軽減、皮膚症状も落ち着いたことなどを述べた。 最後に目前の課題として、「本症では介護保険が使えないことや指定難病への未登録があり、今後も患者会などを通じ、厚生労働省へ働きかけていきたい」と展望を語った。(ケアネット 稲川 進)参考文献 1) Gottlieb AB, et al. J Dermatolog Treat. 2006;17:343-352. 2) Ohara Y, et al. J Rheumatol. 2015;42:1439-1442. 3) Taylor W, et al. Arthritis Rheum. 2006;54:2665-2673. 4) Ritchlin CT, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1387-1394. 5) Coates LC, et al. Ann Rheum Dis. 2010;69:48-53. 6) Coates LC, et al. Arthritis Rheumatol. 2016;68:1060-1071.参考サイト 日本乾癬学会 日本乾癬学患者連合会

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高齢者症候性大動脈弁生体弁人工弁置換の遠隔期治療成績(解説:許 俊鋭 氏)-602

目的 症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)のある患者に対する外科的生体弁大動脈弁置換(SAVR)の生存、脳卒中、生体弁の構造劣化、心房細動の発生頻度、および手術後の入院期間を検討した。検討方法 論文の系統的レビューと観察研究のメタ分析とした。データソースは2002年から2016年6月までのMedline、EMBASE、PubMed(非Medlineのレコードのみ)、コクランデータベースの系統的レビュー、およびコクランCENTRALである。選択対象 SAVR術後少なくとも2年間の観察研究が可能な症例である。方法 レビュワーは独立かつ重複して、評価研究適格性、抽出したデータ、重要な患者の治療成績に関わるバイアスのリスクを評価した。絶対的な効果とエビデンスの質を定量化するためにGRADEシステムを使用した。公開生存曲線は生存率と生体弁の構造劣化回避率に関するデータを提供し、ランダム効果モデルは、プールされた脳卒中、心房細動の発生率および入院期間の推定のためのフレームワークを提供した。結果 SAVRの生存年数の中央値は65歳以下で16年(この年齢層の加重平均年齢である米国の59歳の一般人口の余命は平均22.2年)、65~75歳で12年(68歳の余命は平均15.6年)、75~85歳で7年(79歳の余命は平均8.7年)、85歳以上で6年(92歳の余命は平均3.5年)であった。脳卒中の発生率は0.25/100患者年、新たな心房細動発生率は2.90/100患者年であった。人工弁劣化回避率は10年で94%、15年で81.7%、20年で52%であった。症候性ASに対するSAVR症例の長期生存率は非AS症例(一般人口の寿命)に比較してわずかに低いだけであったが、年齢層によって明らかに異なり、高齢者層ほど生存率は低下した。脳卒中発生率や人工弁劣化率も10年まではきわめて低かった。しかし、人工弁劣化速度は10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は顕著であった。【コメント】 症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)に対する外科的人工弁置換(SAVR)は若い年齢層では罹患率および死亡率を低減し、STS-PROM(the Society of Thoracic Surgeons predicted risk of mortality)で8%以下の軽度~中等度リスクの症例にSAVRが推奨されている。現時点で高度ASに対する治療選択には機械弁を用いたSAVR、生体弁を用いたSAVR、あるいはTAVIがあり、治療選択の決定に重要な事項はSAVRの死亡率、人工弁劣化による心不全の再発、再手術の可能性などである。 最近の生体弁を用いたSAVRの観察研究の系統的な検証とメタ分析で生体弁SAVRは低い早期死亡率(5.03%/患者年)と遠隔期死亡率(1.68%/患者年)、そしてきわめて低い再手術率(0.75%/患者年)が報告されているが、年齢について階層化した死亡率の分析がなされていないこと、また、その他、再手術率や脳卒中・心房細動の発生率などの分析に問題がある。 著者らは下記のBMJの推奨1)2)に従った方法を用いて系統的レビューと観察研究のメタ分析を行い、生体弁を用いたSAVRの治療成績は高齢者層ほど遠隔期生存率が低下するが、一般人口の生命予後と大差がないことや、脳卒中発生率や人工弁劣化率も10年まではきわめて低いことを明らかにした。一方、人工弁劣化速度は10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は著しいことも明らかにした。 高齢者症候性の高度大動脈弁狭窄症(AS)に対する治療選択では、各年齢層において1)遠隔期生存率が低下するが、一般人口の生命予後と大差がないこと、2)人工弁劣化率も10年まではきわめて低いが10年目以降急速に上昇し15年目以降はとくにその傾向は著しいことを十分考慮する必要がある。参考文献はこちら 1) Vandvik PO, et al. BMJ. 2016:354:i5085. 2) Siemieniuk RA, et al. BMJ. 2016;354:i5191.

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Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス 演習用スケッチシート

CareNet DVD「Dr.長尾の胸部X線ルネッサンス」をお買い上げいただき誠にありがとうございます。第10回「実臨床で使うための読影演習」では、所見を描きこむためのスケッチシートをご用意しております。3種類のスケッチシートを症例に応じてご利用ください。※予告なくスケッチシートの配布を終了する場合があります。あらかじめご了承ください。ダウンロード【スケッチシート1】症例1、症例2、症例6、症例7こちらからダウンロード【スケッチシート2】症例3、症例8こちらからダウンロード【スケッチシート3】症例4、症例5こちらからダウンロード【スケッチシート(一括ダウンロード)】症例1~8こちらからダウンロード関連番組のご紹介(CareNeTV)プライマリ・ケアの疑問 Dr.前野のスペシャリストにQ!(呼吸器編)(全15回)シリーズ解説:プライマリ・ケア医が日頃の診察で感じる疑問に、その分野の専門医が一問一答で答えるQ&A番組。今回のテーマは呼吸器疾患です。前野哲博先生がプライマリ・ケア医視点で厳選した呼吸器疾患に関する疑問に、スペシャリスト長尾大志先生がズバリとお答えします。「疾患の鑑別方法は?」「薬剤をどう使い分ける?」などの“疑問”“悩み”を解決します。CareNeTVはこちら長尾大志氏の番組ページはこちら

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先端巨大症〔acromegaly〕

1 疾患概要■ 概念・定義手足の末端や顔貌の変化など特有な容姿から名付けられた疾患名であるが、成長ホルモン(GH)の過剰分泌により生じる。骨端線閉鎖以前では巨人症(gigantism)を、骨端線閉鎖以降では骨の末端の肥大を示す先端巨大症(acromegaly)を呈する。また、GH過剰状態が長期に持続すると、QOLは低下し、心・脳血管障害、悪性腫瘍、呼吸器疾患などを合併し、生命予後は不良となる。■ 疫学欧米の最近の報告によると、発生頻度(罹患率)は、年間3.5~6.5人/100万人、有病率は125~137人と報告されている。わが国の報告では、片上氏らの宮崎県での調査の結果、罹患率は5.3人/100万人、有病率85人と報告されている。本症に性差はみられず、40~60歳を好発年齢とし各年齢層に広く分布している。■ 病因先端巨大症の99%以上は、下垂体のGH産生腫瘍が原因であるが、ごくまれに気管支や膵、十二指腸などに発生する内分泌腫瘍から、異所性にGH放出ホルモンが過剰に産生される異所性GHRH産生腫瘍や、膵臓がんや悪性リンパ腫での異所性GH産生などが原因となる先端巨大症の報告例がある。■ 病態生理GH産生腫瘍もほかの下垂体腫瘍同様、モノクローナルな腫瘍で、体細胞レベルでの突然変異(somatic mutation)が腫瘍化の原因と考えられてきた。約半数の症例ではGHRH受容体と共役しているGタンパク質のαsubunitであるGsαの活性化変異(gsp変異)が認められる。その結果アデニル酸シクラーゼの活性化が持続し、細胞内のcAMPの増加が維持され、細胞増殖が促進する。一方、家族性にGH産生腺腫を合併する疾患にCarney complex、家族性GH腺腫(isolated familial somatotropinoma:IFS)、多発性内分泌腺腫症(MEN1および4)があるが、弧発性GH腺腫でもこれらの遺伝性疾患の原因遺伝子が検討されたが、不活化を伴う体細胞変異は認められていない。■ 臨床症状症状はGH過剰分泌に基づく症候が主体で、時に下垂体腫瘍が大きな場合には下垂体機能低下、視機能障害、頭痛など占拠性症候が同時に認められる。GHの過剰分泌により、肝臓でインスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor 1: IGF-1)が過剰に産生され、これらGH、IGF-1の過剰分泌が長期に続くと、骨、軟部組織、内臓の肥大や変形が生じる。臨床症状としては顔貌の変化、手足の肥大はほぼ全例で認められ、耐糖能の低下、巨大舌、発汗過多も70%以上でみられる。また、先端巨大症では約25%(自験例で13%)の症例でプロラクチン(PRL)の同時産生を認めるため、月経異常(無月経、乳汁漏出)が主訴となることがある(図1、図2、表)。画像を拡大するA:先端巨大症の主な症状B:先端巨大症男性例の顔貌。骨の変形に伴う眉弓部・頬骨部の隆起、下顎の突出がみられ、鼻、口唇の肥大も認める特徴的な先端巨大症顔貌C:左は手指の腫大、皮膚の肥厚、多毛など典型的な先端巨大症の手(右は成人男性健常者)画像を拡大する画像を拡大する1)顔貌の変化眉弓部や頬骨部の隆起、下顎の突出、咬合不全、歯間の開大などが認められ、軟骨、軟部組織、皮膚も影響され、鼻、口唇も肥大し、いわゆる先端巨大症様顔貌を呈する(図1B)。2)骨、関節、結合組織手足の骨は伸び、手足の末端は肥大し、指は厚ぼったく太く丸みをおび、時に手指で小さな物をつまみ上げることが困難となる(図1C)。多角的にはX線検査における手指末節骨先端の花キャベツ様変化また結合組織も肥大によるheel pad(踵骨と足底の間の軟部組織)の肥厚が認められる。時に骨、結合組織の肥厚に伴い、手根管症候群や座骨神経痛、股関節、顎関節、膝関節の変形に伴う痛みも認められる。体型も椎骨の肥大変形により、胸部は後彎、腰部は前彎という独特な体型を呈する。これら骨に生じた変形は通常進行性で不可逆的である。3)皮膚肥厚し、色素沈着や発汗過多により、手掌、足底は常にべたつき、しばしば異臭を伴う。4)臓器肥大肝臓、腎臓、甲状腺などが肥大する。舌の肥大は巨大舌と呼ばれ、声帯の肥大などとともに特徴的な低い声となる(deepening of the voice)。5)循環器高率に高血圧を合併する。これは進行する動脈硬化と細胞外液量の増加が関与すると考えられている。心肥大も多く、最終的には拡張性の心不全を生じ、生命予後を左右する大きな一因となっている。6)呼吸器胸郭、肺の弾性が低下し、換気低下が進行すると慢性気管支炎、肺気腫など器質性変化が生じ、時に呼吸不全となる。また、近年本症は閉塞性の睡眠時無呼吸症候群の一因としても注目されている。7)代謝GHのインスリン拮抗作用が原因で耐糖能の低下、糖尿病が高頻度にみられる。8)占拠性症候下垂体腫瘍の70%以上は、腫瘍径1cm以上のmacroadenomaであるが、視野異常など視機能低下を合併する頻度はそれほど多くはない(自験例で5%)。同様に腫瘍の圧迫による続発性下垂体機能低下症もまれである。■ 予後放置した場合の生命予後は、一般人口と比較すると不良で、標準化死亡率は1.72倍高いと報告される一方、治療によりGH、IGF-1値が正常化すると、その後の生命予後は一般人と変わらなくなると報告されている。また、合併する高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症のコントロールも生命予後の改善に寄与する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 臨床所見とGH、IGF-1基礎値診断の基本はまず臨床的所見から先端巨大症を疑うことが重要である。しかし、通常患者が直接専門医を受診することは少なく、早期発見のためにも、合併疾患の治療科である整形外科、呼吸器科、一般内科医などへの本疾患の啓発が重要である。近年、新聞・雑誌や下垂体患者会などからの啓発活動の結果、患者自らがこの疾患を疑い、専門機関を受診するケースも増加している。本疾患が疑われる患者では、まずGH、IGF-1値を含めた下垂体ホルモン基礎値を測定し、GH過剰分泌の有無、他のホルモンの過剰あるいは低下の有無を検討する。重要なことは、GH基礎値は変動が大きく、単回の血中GH基礎値のみでのGH過剰状態の判定は不可能で、同時に必ずGHの総分泌量を反映するIGF-1値を測定することが重要である。臨床所見を認め、IGF-1値が年齢、性別の基準値より明らかに高値を示す場合には、通常先端巨大症と考えてよい(図2)。■ 経口ブドウ糖負荷試験など先端巨大症患者では、GHの抑制がないか、逆説的な増加を示し、0.4ng/mL未満には抑制されない。感度の高い検査で、本疾患が疑われる場合には必須の検査である。この検査は、先端巨大症の診断のみならず耐糖能の評価、治療後の耐糖能低下改善の予測などにも重要な検査である。以上で診断が確実となれば、他の前葉ホルモンの機能評価を兼ねたTRH、CRH、GnRH 3者負荷試験、薬物の効果を予測するドパミン作動薬(ブロモクリプチン)やオクトレオチド負荷試験を施行する。■ 画像検査次に重要なことは腫瘍の状況の把握で、このためには下垂体の精検MRIが最も重要である。通常1cm以下の微小腺腫が2~3割程度を占める。また、下垂体腫瘍が認められない場合には、異所性GHRH産生腫瘍なども考慮する必要がある(図2)。■ その他の検査合併症の評価のため、心機能、呼吸機能、動脈硬化の程度の評価、大腸がんの有無の評価なども重要な検査である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)先端巨大症を呈する下垂体腫瘍の治療の目的は、過剰に産生されているGHの早期の正常化と、腫瘍が大きく圧迫症候を伴っているときには、それらの改善にある。本疾患の治療の原則は、外科的切除が第1選択であるが、手術不能例や患者の同意が得られない特殊な場合、手術で治癒が不可能と考えられる一部の症例、外科的治療でも治癒が得られない場合には薬物療法、放射線療法などの補助療法を追加する。同時に合併症のコントロールも予後の改善からも重要である。先端巨大症の治療の流れを示すフローチャートを図3に示した。画像を拡大する■ 手術療法手術は通常経鼻的アプローチで行われ、これを「経蝶形骨洞手術」と呼び、手術用顕微鏡や内視鏡下に施行されるが、大きな腫瘍や浸潤性腫瘍では、患者の全身状態の改善による周術期のリスクの減少と腫瘍の縮小を目的として、術前短期(1~3回程度)のオクトレオチドLAR(商品名: サンドスタチンLAR)、ランレオチド(同:ソマチュリン)を使用する場合がある。現在のところ下垂体外科を専門とする施設での治癒率は、60~70%と報告されている(図4)。手術での治療成績不良な因子としては、腫瘍の大きさ、海綿静脈洞浸潤の有無などが挙げられる。画像を拡大する■ 薬物療法腫瘍からのGH分泌を抑制し、抗腫瘍効果のあるドパミン作動薬(ブロモクリプチン[商品名: パーロデル]やカベルゴリン[同:カバサール])、ソマトスタチンアナログ製剤が主に使用されている。それでも効果が不十分な場合には、GHの作用をブロックするペグビソマント(同:ソマバート)が使用される。ただし、ソマトスタチンアナログ製剤やペグビソマントは、有効率は高いものの、きわめて高価であること、ペグビソマントは毎日自己注射が必要なこと、カベルゴリンは保険適用ではないことが欠点である。また、これらの薬剤の効果をより高めるために、多剤薬物療法(combined therapy)も適時試みられている。■ 放射線照射海綿静脈洞内など外科切除困難な部位に腫瘍が残存し、薬物効果が不十分な場合などが適応となる。現在ではγナイフやサイバーナイフなどの定位放射線療法が主体で、従来の放射線療法に比較し、いずれも短時間でより選択的な照射が腫瘍へ可能であり、かつ治療効果発現までの時間も短く(通常1~2年)、正常下垂体、神経組織への障害も少ない。■ フォローアップ通常治療後、治癒基準を満たす症例が再発を呈することはきわめてまれであるが、半年~1年に1度GH、IGF-1検査のフォローが必要である。また、術前の症状の有無により、適時に大腸内視鏡、心エコーなどの定期的フォローも必要となるし、薬物療法施行例では、それぞれの副作用のチェック、さらに放射線療法が行われた症例ではGH、IGF-1はもちろん、下垂体機能低下症の長期にわたるフォローも重要となる。4 今後の展望本疾患の早期発見、早期治療のためには、関連診療科医師へのさらなる啓発活動が重要である。薬物治療法については、オクトレオチドLAR、ランレオチドなどの標準的なソマトスタチンアナログ製剤と比較して、より優れたGHおよびIGF-1の治療目標値への達成が期待されるSOM230(一般名: パシレオチド)が、2016年末にわが国で発売される予定である。また、ソマトスタチンアナログ製剤は、現在1ヵ月に1度の割合で病院での注射が必要となるが、アドヒアランスのより高い経口薬(oral octreotide)がすでに開発されており、近い将来広く臨床応用されることが期待される。5 主たる診療科下垂体疾患・腫瘍を取り扱う内分泌内科、脳神経外科、小児科6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 先端巨大症、下垂体性巨人症(下垂体性成長ホルモン分泌亢進症)平成27年施行の指定難病。先端巨大症は、下垂体性成長ホルモン分泌亢進症(告示番号77)に分類されている。本サイトは「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究 先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き」にリンクされている。アクロメガリー広報センター(ノバルティスファーマ株式会社)先端巨大症ねっと(帝人ファーマ株式会社)いずれも製薬メーカーが運営するサイトであるが、患者向け、医療者向けの両サイトがあり、先端巨大症についての知識や治療法がわかりやすく解説されている。患者会情報下垂体患者の会(下垂会)2005年に下垂体疾患の患者有志が集まり、自分達の病気の難病指定を目標に結成され、現在全国規模で医療講演会や患者会を定期的に開催・活動している。1)Katznelson L, et al. J Clin Endocrinol Metab.2014;99:3933-3951.2)特集 先端巨大症の診療最前線. ホルモンと臨床.2009.3)平田結喜緒 編. 下垂体疾患診療マニュアル 改訂第2版.診断と治療社;2016.4)千原和夫 監修. 改訂版 Acromegaly Handbook.メディカルレビュー社;2013.公開履歴初回2016年10月18日

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6割が現在の年収額に満足―医師1,000人へのアンケート

 ケアネットでは、9月9日(金)~12日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に「医師の年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25.1%が「そう思う」、36.4%が「ややそう思う」と回答し、6割以上の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。 年収帯別にみると、600万円未満のうち50%、600~800万円の51%、800~1,000万円の48%と、いずれも半数程度が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。その割合は1,000~1,200万円の年収帯では59%と、800~1,000万円の48%から10ポイント程度増加し、年収額が1,000万円台に届いたところで納得感が出てくる医師が増えるのではと推察される。1,200~1,400万円では51%と減少したが、年収額が上がるごとに満足度は上がっていた。 年代別では、どの年代でも半数以上が「そう思う」「ややそう思う」のいずれかを回答しており、年代が上がるごとに上昇していた(35歳未満:53%、36~45歳:60%、46~55歳:63%、56~65歳:65%、66歳以上:69%)。 上記のほか、男女別、病床数別、勤務先別、診療科別の集計についても、以下のページで発表している。医師の年収に関するアンケート2016【第3回】年収の妥当性

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第33回 医療事故調査制度スタートから1年が経過して

制度開始から1年間を振り返って■医療事故報告件数は妥当か医療事故調査制度が動き出してから、早1年が経ちました。本制度が成立するまでにさまざまな混乱がありましたが、現在のところ、穏やかな動き出しとなっています。まず、医療事故報告件数ですが、医療事故調査・支援センターである日本医療安全調査機構の発表資料によると、11ヵ月で計357件、1ヵ月平均32.5件となっています(資料1)。制度設計時に試算された年間発生件数が1,300~2,000件/年であったことからか、一部のメディアでは、医療事故報告件数が少ないと騒ぎ立て、あたかも病院が報告を差し控えているかのように報道されていますが、それは誤りです。この件に関しては、塩崎恭久厚生労働大臣が平成28年4月12日の会見で下記のとおり適切な回答をしています。「今、当初の予想よりも案件数が少ないという御指摘がございましたが、当初の予想は医療事故情報等収集事業を前提としたときの数字でございまして、今回の制度の対象範囲が決定される前に、大学病院とか、国立病院機構の病院、つまり、ハイリスクの高度医療をやっていらっしゃる所の事故について報告を受ける、前の報告制度の死亡事故数を基に試算したものでございました。それが1,300~2,000件という予想であったわけで、医療事故調査制度が対象とする、管理者が予期しなかった死亡以外も含まれていたわけです。かつては、医療に起因する事故ということと、予期しなかったということのどちらかに引っかかったら、カウントしました。しかし、今度の制度は、両方を満たす場合のケースということになりますので、オアとアンドで、かなり狭くなっているということが言えるということが一つと、今申し上げたように、全ての病院ではなくて、ハイリスクな病院を対象としていたということがございました(※下線は筆者による)。(http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000121129.html)」画像を拡大するすなわち、「本制度の対象となる医療事故」は医療起因性があり、かつ、予期しなかったもののみが対象となっていて、「試算が対象とした医療事故」とは異なります(資料2)。したがって、そもそも異なったものですので、比較自体に意味がないのです。画像を拡大する■院内事故調査件数→相当数の取り下げが次に、院内調査結果報告件数ですが、現在まで計157件となっています。直近6ヵ月では、17.8件/月となっており、同期間の医療事故報告件数の36.2件/月(全期間の平均は先に挙げたように32.5件/月)の半分弱(49.2%)となっています。医療事故報告から院内事故調査委員会開催、センター報告までの期間は、大学病院では平均約2.5ヵ月という報告もあります。人員の乏しい中小病院ではさらに時間がかかると予測されることから正確にはいえませんが、事故報告はしたものの、院内事故調査の結果、やはり「本制度の対象となる医療事故」ではなかったとして、取り下げた事案が相当数あったものと思われます。■相談件数→弁護士による指示の影響か?本制度は、制定までにさまざまな利害関係者が、自身の業界利益を求めて制度設計の議論に介入してきた結果、混乱を極めました。その結果、医療事故の定義に代表されるように、複雑な制度となっています。そのような背景からか、センターへの相談件数は月平均145.5件となっています(資料3)。全国の医療機関が悩みながら本制度の運用をしているというのは事実ですが、実はセンターに相談をしているのは医療機関だけではありません。本年8月のセンターへの相談件数は、154件ありましたが、このうち医療機関からの相談は81件(52.6%)、遺族などからの相談が57件(37.0%)、その他・不明が16件(10.4%)でした。つまり、約半数(47.4%)が医療機関外からの相談となっているのです。画像を拡大するそして、遺族などからの相談の63.2%は医療事故該当性判断についてである(医療機関からの相談は22.2%)ことを考えると、モデル事業や産科補償制度と同様に、弁護士からの指示を受けて鑑定意見書作成目的でセンターに相談している遺族が相当数いることが予想されます。実際に、本制度開始に伴い、医療訴訟を生業とする弁護士らのグループが、医療事故調査制度に関する無料電話相談窓口を設置するなど、業界利益獲得のため必死になっています。本制度がスタートして1年が経過しました。医療機関は悩みながら制度に向き合っているという状況かと思われますが、一方で、制度設計時から課題となっていた医療安全以外の目的、すなわち紛争解決目的で本制度を利用しようとしている者もいることから、医療機関としては、注意深い運用が求められるといえます。本制度を適切に運営していくために■科学としての医療安全の推進本制度は、「医療安全」が目的の制度です。そして、医療安全という結果を得るためには科学的手法を用いることが求められます。わが国では、これまでマスコミに大々的に報道された個別事件に対し、現場で最終行為を行った若い医療従事者を「犯人」として誹謗中傷を浴びせ、犯罪者扱いをしておしまいとしていました。その結果、医療現場はまったく安全にならず、同種の事故が繰り返されるという負のループをうんでいます。これらの魔女狩り的活動に対する反省から、近年、ようやく各施設で医療安全に対する前向きな取り組みが行われるようになり、同時に、個々の事例に振り回されるのではなく、事例を集積し、データベース化したうえで検討する必要性が認識されるようになりました(資料4)。そのような背景を踏まえ、科学として医療安全に取り組むために医療事故調査制度がスタートすることとなったのです。大切なことは、たくさん報告書を書くことではなく、アウトカムとしての医療安全を得ることなのです。画像を拡大する■医療安全のための調査の基本は「秘匿性」と「非懲罰性」医療安全のための調査を行う場合において最も重要なことは、秘匿性と非懲罰性です。『WHOドラフトガイドライン2005』を持ち出すまでもなく、医療安全を目的として行われた調査記録や調査結果が調査対象者自身の処分や訴追資料として利用されるとなれば、誰も正直に話せなくなりますし、そもそも調査側がその旨を説明すらせず調査することは、調査対象者を騙す行為であり、非倫理的でおよそ許されることではありません(たとえば臨床試験に置き換えれば許されないことは明白です)。そこで、省令や通知において、適切な医療事故調査を行うにあたって守るべきこと、具体的には、非識別化(たとえば単にA医師とするのではなく、他の情報との照合によっても識別できないようにする)や再発防止策の記載に対する注意(非懲罰性)、それに加え、手続保障についての規定も盛り込まれています。弁護士をはじめ、紛争目的で本制度を利用しようとしている者たちから、現場医療従事者を保護し、医療安全を推進していくためには、まず科学としての医療安全とその手法を学習することが重要です。■お知らせ-医療安全とその手法を学習する本年から筆者が事務局となり、医療安全管理者養成講習会を開催することとなりました。最先端の科学としての医療安全の知識を学習すると同時に、現場医療従事者を保護するための方策を習得することを目指しております。日程の合う方はぜひ受講してください。日時 平成28年12月12日(月)~17日(土)会場 日本医療法人協会(東京都千代田区富士見2-6-12 AMビル4階)詳しくは、http://ajhc.or.jp/info/seminer/201612.pdf関連リンク日本医療安全調査機構塩崎恭久厚生労働大臣会見概要(平成28年4月12日)医療安全管理者養成講習会

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CYP2D6阻害SSRI、タモキシフェンの有効性を低下せず/BMJ

 タモキシフェンと選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の併用において、CYP2D6を強力に阻害するSSRIのパロキセチンまたはfluoxetineは、他のSSRIと比較し死亡リスクを増加させないことが確認された。米国ハーバード・メディカル・スクールのMacarius M Donneyong氏らが、5つの国内医療保険データベースを用いたコホート研究の結果、明らかにした。乳がん女性の半数近くはうつ病や不安症を抱えており、タモキシフェンを使用している女性の約4分の1はSSRI薬を服用しているという。タモキシフェンはCYP2D6によって代謝され活性型となるため、CYP2D6の強力な阻害作用を持つSSRI薬との併用は、理論上、活性代謝物が減少し有効性が低下する可能性が示唆されていた。BMJ誌2016年9月30日号掲載の報告。CYP2D6阻害作用を有するSSRI vs.その他SSRIの死亡率を比較 研究グループは、米国の個人または公的な健康保険プログラム5つのデータベースを用い、1995~2013年のデータを解析した。 対象は、タモキシフェン服用中にSSRI内服を開始した女性(コホート1)、およびタモキシフェン開始時すでにSSRIを内服していた女性(コホート2)。各コホートの全死因死亡率を、CYP2D6阻害作用を有するSSRI(パロキセチン、fluoxetine)使用者と、他のSSRI薬(シタロプラム、エスシタロプラム、フルボキサミン、セルトラリン)使用者とで比較した。CYP2D6阻害SSRI内服例と他のSSRI内服例で死亡率に差はなし タモキシフェン新規使用者は、コホート1が6,067例、コホート2が8,465例で、全体の平均年齢は55歳であった。 コホート1では、追跡期間中央値2.2年(四分位範囲0.9~4.5)で死亡991例(死亡率64.3/1,000人年)、コホート2では同2.0年(0.8~3.9)で死亡1,014例(死亡率53.3/1,000人年)であった。 コホート1と2を合わせた全死亡率は、CYP2D6阻害SSRI内服例で58.6/1,000人年、他のSSRI内服例で57.9/1,000人年であり、他のSSRI併用に対するCYP2D6阻害SSRI併用全例の死亡ハザード比は0.96であった(95%信頼区間:0.88~1.06)。感度解析においても結果は一貫していた。 なお、著者は研究の限界として、死因に関する情報不足、喫煙や肥満といった潜在的な交絡因子を除外できないこと、平均追跡期間が短いこと、処方箋どおりに内服されていたかは不明であることなどを挙げている。

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アジスロマイシン追加で緊急帝王切開の母体感染リスク低減/NEJM

 緊急帝王切開時の標準的な予防的抗菌薬投与に、抗菌スペクトルを拡大するためにアジスロマイシンを追加すると、術後の母体の感染リスクが低減することが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のAlan T N Tita氏らが行ったC/SOAP試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年9月29日号に掲載された。米国では、妊娠関連感染症は母親の死因の第4位を占めており、母体感染は入院期間を延長し、医療費を増加させる。帝王切開は最もよく行われる手術手技であり、子宮内膜炎や創感染を含む手術部位感染率は経膣分娩の5~10倍に達するという。2,000例以上の妊婦のプラセボ対照無作為化試験 C/SOAPは、緊急帝王切開を受ける女性において、標準的な予防的抗菌薬投与に、抗菌スペクトラムを拡大するためにアジスロマイシンを併用するアプローチの有用性を評価するプラグマティックな二重盲検プラセボ対照無作為化試験(Eunice Kennedy Shriver米国国立小児保健発達研究所の助成による)。 対象は、妊娠24週以降の単胎妊娠で、分娩時または破水後に緊急帝王切開が施行された女性であった。 被験者は、アジスロマイシン500mgを静脈内投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。すべての妊婦が、各施設のプロトコルに従って、切開の前または切開後可及的速やかに、標準的な予防的抗菌薬投与(セファゾリン)を受けた。 主要アウトカムは、術後6週以内に発生した子宮内膜炎、創感染、その他の感染症(腹腔または骨盤内膿瘍、敗血症、血栓性静脈炎、腎盂腎炎、肺炎、髄膜炎)であった。 2011年4月~2014年11月に、米国の14施設に2,013例の妊婦が登録され、アジスロマイシン群に1,019例、プラセボ群には994例が割り付けられた。主要アウトカムがほぼ半減、新生児の有害なアウトカムは増加せず 平均年齢は、アジスロマイシン群が28.2±6.1歳、プラセボ群は28.4±6.5歳であった。妊娠中の喫煙者がアジスロマイシン群でわずかに少なかった(9.5 vs.12.3%)が、これ以外の背景因子は両群で類似していた。帝王切開の手技関連の因子にも両群に差はなかった。 主要アウトカムの発生率は、アジスロマイシン群が6.1%(62/1,019例)と、プラセボ群の12.0%(119/994例)に比べ有意に良好であった(相対リスク[RR]:0.51、95%信頼区間[CI]:0.38~0.68、p<0.001)。 子宮内膜炎(3.8 vs.6.1%、RR:0.62、95%CI:0.42~0.92、p=0.02)および創感染(2.4 vs.6.6%、0.35、0.22~0.56、p<0.001)では有意な差が認められ、その他の感染症(0.3 vs.0.6%、0.49、0.12~1.94、p=0.34)には差はみられなかった。 副次複合アウトカムである新生児の死亡および合併症の発生率は、アジスロマイシン群が14.3%(146/1,019例)、プラセボ群は13.6%(135/994例)であり、差を認めなかった(RR:1.05、95%CI:0.85~1.31、p=0.63)。 母体の重篤な有害事象の発現率は、アジスロマイシン群が有意に低く(1.5 vs.2.9%、RR:0.50、95%CI:0.27~0.94、p=0.03)、新生児の重篤な有害事象には差がなかった(0.7 vs.0.5%、1.37、0.43~4.29、p=0.77)。 著者は、「抗菌スペクトラムの拡大を目的とするアジスロマイシンの追加により、新生児の有害なアウトカムを増加させることなく、母体の感染症が低減し、医療リソースの使用が抑制された」としている。

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決! 一問一答 質問1

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決! 一問一答質問1 p値は小さければ小さいほど差がある(よく効いた)といえるのか?はじめに「p値」について簡単に復習してみましょう。詳しくは『わかる統計教室 第3回 セクション10 p値による仮説検定』をご参照ください。■仮説検定とは薬剤の効果を調べる場合、その薬を必要とするすべての人に薬剤を投与してみれば効果はわかりますが、それは不可能です。そのため臨床研究では、一部の人に薬を投与して、そこで得られたデータが、世の中の多くの人たちにも通じるかどうかを検証するわけです。具体的には、「解熱剤である新薬は母集団において解熱効果がある」という仮説を立て、統計的手法を用いてこの仮説が正しいかどうかを確認します。確認する方法を「仮説検定(hypothesis test)」といいます。仮説検定は、「母集団仮説検定」「統計的検定」ともいわれています。■帰無仮説、対立仮説とは(母平均の差の検定)具体例として、解熱剤である新薬Yの投与前体温平均値と投与後体温平均値についてみてみましょう。帰無仮説(統計学観点から立てる仮説)母集団における、新薬Yの投与前後の体温平均値は等しい。対立仮説(結論とする仮説)母集団における、新薬Yの投与前後の体温平均値は異なる。あるいは母集団における、新薬Yの投与前後の体温平均値は投与後のほうが投与前より低い。■p値、有意水準とは調査データに公式を当てはめ、帰無仮説が成り立つとしたときに出現する確率を求める。具体例では、新薬Y投与前後の体温平均値は同じという帰無仮説の下で、実際に起こる確率はX%である。この確率X%をp値という。仮説検定は統計が定めた値とp値を比較して結論を導く。統計学が定めた値を有意水準という。有意水準は5%、1%が用いられる(通常は5%)。このように仮説検定の公式によって求められた「p値」と統計学が決めた基準の値「有意点」を比較します。有意点は通常は0.05が用いられます。体をそらしてバーをくぐるリンボーダンスを例にすると、体の高さがp値、バーの高さが有意点。バーをくぐればセーフ、くぐれなければアウトです(図1)。検定では、p値が有意点0.05を下回れば、2群の平均値に違いがあると判断します。図1 有意点とp値のイメージ■信頼度とはp値が、有意点5%よりも小さいときは、「母集団における、新薬Yは投与前と投与後の体温平均値が異なる」を採択し、投与前後で体温平均値に違いがあったと判断します。この判断はもしかしたら間違っているかもしれませんが、この判断が間違いである確率は5%以内ということになります。信頼度(statistics confidence)は有意点の逆で、この判断が当たる確率(通常95%)のことです(図2)。図2 信頼度と有意点のイメージ■p値は、小さければ小さいほど差がある(よく効いた)といえるのか?p値が、小さければ小さいほど差があるとはいえません。つまり、p値が小さいことを理由にして、大きな効果があったと結論付けることはできません。p値の比較として、表の解熱効果を比較し、データでみてみましょう。表 各薬剤の解熱効果の比較新薬Yは、既存薬Xや新薬Zと比較し、体温低下の平均値は2.2と最も大きく熱を下げています。そして、新薬Zも既存薬Xに比べて有意に熱を下げています。既存薬Xと新薬Yの検定から得られるp値は0.041、既存薬Xと新薬Zのp値は0.009でした。仮にp値の大きさが小さいからという理由で薬剤を選択したら、新薬Zのほうが効果が大きい(良い結果)ことになってしまいます。つまりp値の大きさによって薬剤を選ぶと、効果の低い薬剤を選んでしまうという間違った判断をしてしまいます。p値は信頼度の強さの指標であって、効果の大きさの指標ではありません。単一のp値もしくは統計的有意性は、その結果である効果や重要性の大きさを測るものではないのです。実際に新薬Yも被験者数をもっと多くの人数で実施していたとしたら、p値は0.041よりも、もっと小さな値になるかもしれません。値が非常に小さければ、それだけで何かが証明されるわけではなく、p値は5%程度でもいいから、きちんと計画された追試がいくつか行われて、一貫して同じ結果が得られるほうが重要だというわけです。p値は目安ですので統計的には,次のようにおおまかな範囲を * 印の数で示すことがあります。*0.01<p≦0.05**0.001<p≦0.01***p≦0.001また、p>0.05 を有意でないという意味で n.s.(not significant)と書くことがあります。■よくある誤った解釈p<0.05であった場合、「有意差がある」といいます(図3)。図3 有意差があるとは?では、p>0.05の場合はどうでしょうか。「有意差がなかった」というのは正しい表現ですが、A群とB群は「有意差がなかったので同じである」とはいえません。「有意差がなかった」というのは、「A群とB群で違いがみられなかった」あるいは、「A群とB群で違いがあるかどうかが、わからなかった」というのが正しい表現です。●Topics2016年3月7日に「p値や有意性にこだわり過ぎるな、p<0.05かどうかがすべてを決める時代はもう終わらせよう」という米国統計学会の声明が発表されています。 ご興味のある方は下記をご参照ください。AMERICAN STATISTICAL ASSOCIATION RELEASES STATEMENT ON STATISTICAL SIGNIFICANCE AND P-VALUESProvides Principles to Improve the Conduct and Interpretation of Quantitative ScienceThe ASA's statement on p-values: context, process, and purpose今回のポイント1)p値は、信頼度の強さの指標であって、効果の大きさの指標ではない。2)単一のp値もしくは統計的有意性は、その結果の効果や重要性の大きさを測るものではない。3)p値が非常に小さいだけで何かが証明されるわけではなく、p値は5%程度でもよいから、きちんと計画された追試がいくつか行われて、一貫して同じ結果が得られるほうが重要である。インデックスページへ戻る

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日本糖尿病学会:「製薬会社でキャリアを積んだ私」(第50回糖尿病学の進歩)の動画・スライドを公開

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」ホームページでは、「第50回糖尿病学の進歩」(2016年2月19日~20日)で開催された特別企画「製薬会社でキャリアを積んだ私」の講演内容を、動画およびスライドで公開した。「製薬会社でキャリアを積んだ私」概要 (第50回糖尿病学の進歩:特別企画4)【座長】田嶼 尚子氏(東京慈恵会医科大学)成瀬 桂子氏(愛知学院大学 歯学部 内科学講座)●製薬会社でキャリアを積んだ私―ワークとライフの調和のために 杉浦 めぐみ氏 (日本イーライリリー株式会社 臨床開発本部プロジェクトマネジメント本部)●「働き方の構造改革」ライフサイクルを全うするために 多田 智美氏 (ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 マーケティング本部)●Working as professional in Pharma Company 月田 あづさ氏 (サノフィ株式会社 研究開発部門医薬開発本部) また、同ホームページ「女性医師応援ライブラリ」コーナーでは、その他にも開催された関連イベントについて講演動画・スライドを掲載している。関連リンク特別企画4「製薬会社でキャリアを積んだ私」(第50回糖尿病学の進歩)(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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がん登録データ活用し、がん患者の人口動態変化を予測~神奈川県

 団塊の世代の高齢化に伴い、がん患者の人口動態も大きく変わることが予想されており、それに対応できる専門医の配置などを含めた医療体制を整えていくことが求められている。とくに、首都圏近郊にはおよそ200万人の団塊の世代が居住しているといわれており、がん患者の地域分布は大きく変化していく可能性があると考えられている中で、乳がん患者データから将来のがん患者の人口動態変化を予測した、神奈川県立がんセンターの片山 佳代子氏らによる研究結果がPLOS ONE誌2016年8月17日号に発表された。 著者らは、神奈川県の地域がん登録データを活用し、2010年の乳がん罹患率と年齢群ごとの予測女性人口を基に、各地域における将来の乳がん患者数を推算した。その結果、全年齢の乳がん罹患率は、都市部においては2040年にかけて増加傾向になると予測されているが、その他の地域では減少傾向になるとみられている。しかし、65歳以上のみでみると、乳がんの罹患率はすべての地域で増加することが予測され、とくに都市部においては、2035年には2010年と比較して82.6%、2040年には102.2%増加するとみられている。 また、2010年の乳がん専門医1人当たりに対する乳がん患者数は64.3人であった。これは、都市部のみでみると、59.3人から2040年には77.7人に増加し、他の地域では減少することが予測されている。これらの結果から著者らは、とくに都市部において、乳がん患者の急速な増加とそれに伴う、治療の需要が増加することが示唆される、と記している。

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