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第9回 医師を悩ますローカルルール ~地域が違うと査定が増える?【医師が知っておきたいレセプトの話】

「これまでに査定されなかった診療行為が、新しい転勤先でなぜか査定された…」先生方のこのような悩みを耳にします。実は、これは都道府県をまたいだ転勤の場合に起こりうることなのです。今回は、転勤・転職後に起こりうる「地域査定ギャップ」について、お話します。都道府県支部による審査まずは、第4回で説明した「レセプトの流れ」を簡単におさらいします。「審査支払機関」は、国民健康保険加入者のレセプトを取り扱う国民健康保険団体連合会(以下「国保連」と言います)と、その他のレセプトを取り扱う社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」と言います)の2つに分かれます。さらに「国保連」、「支払基金」がそれぞれに47都道府県に支部を持っており、皆さんの所属する医療機関は、所在する都道府県支部にレセプトを提出し、そのレセプトはそれぞれの支部で審査されます。レセプトの審査は、「各都道府県支部で行われている!」ということがポイントです。A県はB県の4倍査定されやすい?そのポイントを押さえながら、都道府県支部別に査定のデータを見てみると驚愕の事実が見えてきます。図1は、平成28年度の1年間に支払基金に提出のあったレセプトデータ件数です。画像を拡大するレセプト申請件数に対して、最も査定件数の割合が高かったのは2,567万件の申請件数に対して60万件の査定があった北海道で、査定割合は2.37%でした。逆に最も査定件数の割合が低かったのは秋田県で、569万件の請求件数に対して2万8,000件の査定があり、査定割合は0.50%でした。なんと両道県の査定割合の地域差は、4.7倍にもなっているのです。次に図2で、査定となった金額について支部間の比較データを見てみましょう。画像を拡大する申請金額に対して最も査定金額が高かったのは大阪府で、平均すると10万円の請求当たり490円の査定減額となっています。一方、最も査定金額が低かったのは秋田県で、10万円の請求当たり110円の査定減額でした。ここでもその差は4.5倍となっています。どうしてこのように、都道府県で査定割合に差が出てくるのでしょうか?都道府県で査定割合に差が出る理由先述の第4回で確認したとおり、コンピュータによるチェックが行われているので、本来であれば、それほど差は生じないと考えがちです。しかし現実にはそうではないようです。その理由は、コンピューターチェックのルールが、支部ごとに設定されているからです。コンピューターチェックを経て、疑義のあるレセプトが審査委員のチェックに回りますが、そのスクリーニング基準に甘辛が存在しているということになります。また、審査委員の審査の時にも処方回数や検査回数の上限など支部ごとに取り決め事項(ローカルルール)が存在していて、都道府県格差につながっていると言われています。ちなみにコンピューターチェックのルールに関しては、現在のところ残念ながら非公開となっています。異動して予期せぬ査定を防ぐために地域を越えても、基本的には今まで確認してきたとおり、診療記録をしっかりと残し、適切な病名を記載する、必要な場合は症状詳記を添付するなど、審査員が納得するレセプトを作成することが王道です。また、審査結果に納得がいかない場合は再審査請求を行うといった流れも変わりません。ただ、所在する医療機関の都道府県の傾向は、押さえておくことが望ましいです。その地域で長く勤務している先生方やレセプトを日々担当している事務職員の方々の中には、地域の査定傾向をよく知っている方も多くおられます。地域交流や多職種協働の機会を通じて彼らと情報交換し、その地域の査定傾向やその対策を共有してもらうと、思わぬ査定の割合を減らすことにつながっていくかもしれません。

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AF患者の経口抗凝固療法、教育的介入で増加/Lancet

 心房細動患者への経口抗凝固療法に関して、多角・多面的な教育介入により同療法を受ける患者の割合が有意に増加したことが、ルーマニア・キャロルダビラ医科大学のDragos Vinereanu氏らが5ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、ルーマニア)を対象に行った国際クラスター無作為化試験「IMPACT-AF試験」の結果、示された。心房細動患者は脳卒中を発症するリスクが高いが、経口抗凝固療法で予防は可能であり、現行ガイドラインでも推奨されている。しかし、適応患者への同療法が十分に行われていない状況が報告されており、とくに中所得国において過少で、任意抽出集団を対象に調べた投与患者の割合は、東ヨーロッパ・南米・インドでは40%未満、中国では11%にとどまるという。研究グループはこれらの国々における教育介入のインパクトを評価した。Lancet誌オンライン版2017年8月25日号掲載の報告。医療提供者と患者に啓発、Webやeメール、SNSを活用 IMPACT-AF試験では、心房細動を有し経口抗凝固療法が適応(CHA2DS2-VAScスコア2以上、またはリウマチ性心臓弁膜症)の18歳以上の患者を包含したクラスターを、質的改善の教育介入を受ける群(介入群)または通常治療群(対照群)に、無作為に1対1の割合で割り付けた。無作為化は、eClinicalOS電子データ収集システムを用いて中央コーディングセンターで行われた。 介入は、医療提供者および患者の両者に対して行われ、定期的なモニタリングとフィードバックを伴った。患者・家族に対しては小冊子やウェブベースのビデオ教材を用いた啓発を行い、医療提供者には定期的なeメール送付で系統的レビューや関連論文、ウェブカンファレンスやオンラインセミナー、コーディングセンターとの質疑応答ができる掲示板の案内などを行った。介入は経口抗凝固療法の導入と継続を奨励することに焦点が置かれていた。 主要アウトカムは、ベースラインから教育介入1年時点までの、経口抗凝固療法を受けた患者の割合の変化であった。1年間で介入群12%増に対し対照群3%増、オッズ比は3.28 2014年6月11日~2016年11月13日の間に、5ヵ国の48クラスター(ブラジル8、その他各国10クラスター)、患者計2,281例(アルゼンチン343例、ブラジル360例、中国586例、インド493例、ルーマニア499例)が登録された。追跡期間は中央値12.0ヵ月(IQR:11.8~12.2)。 介入群において、経口抗凝固療法を受けた患者の割合は、ベースライン時68%(804/1,184例)から1年時点80%(943/1,184例)へ増大した(変化:12%)。一方、対照群は64%(703/1,092例)から67%(732/1,092例)への増大であった(同3%)。両群の変化の絶対差は9.1%(95%信頼区間[CI]:3.8~14.4)であり、オッズ比(OR)は3.28(95%CI:1.67~6.44、補正後p=0.0002)であった。 抗凝固療法に関する主な副次アウトカムをみると、ベースラインと1年時点いずれにおいても同療法を受けていた患者の割合は介入群と対照群で有意差はなかったが(補正後OR:1.68、p=0.10)、介入群においてわずかだがビタミンK拮抗薬の使用率が低下した変化がみられた(87%から78%、対照群は78%で推移)。また、同療法をベースラインでは受けていなかったが1年時点では受けていた患者の割合は、介入群48%、対照群18%であった(補正後OR:4.60、95%CI:2.20~9.63、p<0.0001)。 副次臨床的アウトカムのうち、Kaplan-Meier法で推定した脳卒中の発生は、対照群と比べて介入群で減少したことが示された(HR:0.48、95%CI:0.23~0.99、log-rank検定p=0.0434)。同値は補正後Coxモデルの評価でも変わらなかったが、CI値の上下限値幅が大きかった(HR:0.49、95%CI:0.21~1.13、p=0.09)。なお、全死因死亡、複合アウトカム(脳卒中・全身性塞栓症・大出血)、大出血の発生は、両群で差はなかった。

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第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、クリゾチニブによる1次治療で耐性獲得後、セリチニブ、アレクチニブ、brigatinibといった第2世代ALK-TKIが用いられる。この間、患者は臨床的恩恵を受けることができるが、ほとんどの場合、耐性を発症してしまう。lorlatinibは、脳への移行性を示す、次世代ALK-TKIであり、第1世代、第2世代TKIの耐性変異に対して活性がある。スペイン・マドリードにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)では、第2世代TKIの治療歴を有するALK陽性NSCLCおけるlorlatinibの抗腫瘍活性および安全性について、スペイン Vall d’Hebron Institute of OncologyのE. Felip Fon氏らが発表した。 この第II相試験は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われ、ALK陽性NSCLCはEXP1~5で評価された(EXP6はROS1陽性)。今回の発表は、EXP3B(クリゾチニブ以外のALK-TKI治療歴が1ライン)、EXP4(ALK-TKI治療歴が2ライン)、EXP4(ALK-TKI治療歴が3ライン)の3コホートの解析である。主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)であった。 データカットオフ時点で、138例が第2世代TKI(アレクチニブ、セリニチブ、brigatinibまたはその他)による治療を1回以上受けていた。これらのうち95例はベースライン時に中枢神経転移を有していた。 第2世代TKI治療を1回以上受けた患者のORRは37.7%、IC ORRは47.4%であった。第2世代薬剤別にみたORR、IC ORRは、アレクチニブ既治療患者ではそれぞれ、35.1%と44.4%、セリチニブ既治療患者では34.2%と45.0%、brigatinib既治療患者では46.2%と46.4%であった。 EXP3、EXP4およびEXP5コホートにおける一般的な治療関連有害事象(TRAE)は、高コレステロール血症(EXP3、EXP4、EXP5でそれぞれ83.3%、78.5%、80.4%)および高トリグリセライド血症(同48.3%、69.2%、65.2%)。その多くはGrade1~2で、標準的な治療で管理可能であった。治療関連死は認められていない。■関連記事第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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第2回 医師がクルマを選ぶ基準

緊急の呼び出し、外勤への移動など医師はクルマを使う機会が多いこともあり、クルマへの思い入れが強い方も少なくない。CareNet.comでは、会員医師にクルマ(四輪車)に関するアンケートを実施。回答者総数は307名であった。その結果を3回に分けて報告する。第2回は「医師がクルマを選ぶ基準」。結果概要クルマを選ぶ基準の第1位は使い勝手クルマを選ぶ基準、全体の第1位は、「使い勝手」(乗降性、サイズ、取り回しなど)で30%、第2位が「性能」の25%、次いで「価格」の14%。これらが上位3要素となっている。「リセールバリュー」と答えた医師はいなかった。■往診専用車を除き、クルマ(四輪車)を選ぶ基準について、下記の選択肢からもっとも当てはまるものを一つお選びください。(回答は1つ)1) 価格2) 性能3) 居住性4) 使い勝手(乗降性、サイズ取り回しなど)5) ボディタイプ6) デザイン7) ブランド8) リセールバリュー9) その他勤務医と開業医で異なる基準勤務医では「使い勝手」28%、「性能」25%、「価格」が16%。開業医(経営者)では「使い勝手」が36%、「性能」22%、次いで「ブランド」の11%が上位3項目。全体3位の「価格」は4%にとどまり、「デザイン」(9%)に続く、第5位に下がる。画像を拡大する画像を拡大する性別によって異なる基準男性に比べ、女性は「使い勝手」を選ぶ率が高く、「価格」を選ぶ率が低かった。画像を拡大する画像を拡大する年代によって異なる基準特徴のある2つの集団を示す。20代・30代では「使い勝手」34%、「性能」21%、「価格」19%が上位3項目。全体に比べ「使い勝手」、「価格」の要素が高い。一方、50代では、「性能」が30%で第1位、次いで「使い勝手」26%、「デザイン」の14%が上位3項目。全体3位の「価格」は10%にとどまり、11%の「ブランド」に続く第5位に下がる。50代の上位項目は、全体および他世代と異なる傾向にあった。画像を拡大する画像を拡大する

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がんリスクが低い血液型は?

 ABO式血液型は遺伝的な特性である。今回、ABO式血液型と、がん全体および各がんにおける発症リスクの関連について、米国・ピッツバーグ大学のJoyce Yongxu Huang氏らが上海コホート研究で調査し、PLOS ONE誌2017年9月7日号に報告した。 本研究は、1986年に登録された中国人男性1万8,244人の前向きコホート研究である。25年のフォローアップ期間中に3,973人ががんを発症した(肺がん964人、大腸がん624人、胃がん560人、肝臓がん353人、膀胱がん172人など)。Cox比例ハザードモデルを使用して、ABO式血液型によるがん全体および各がんのハザード比(HR)を計算した。 主な結果は以下のとおり。・B型はA型と比べてがん全体のリスクが有意に低かった(HR:0.91、95%CI:0.84~0.99)。・B型とAB型はそれぞれ、消化器がんと大腸がんのリスクが有意に低かった。・B型はまた、胃がんリスクと膀胱がんリスクも有意に低かった。・AB型は、肝臓がんリスクが有意に高かった。・組織型別にみると、B型とAB型は、扁平上皮がんと腺がんのリスクが低かったが、肉腫、リンパ腫、白血病またはその他の細胞型のがんリスクとは関連していなかった。

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リサーチ 医師の愛車シンドローム

緊急の呼び出し、外勤への移動など医師はクルマを使う機会が多いこともあり、クルマをこよなく愛する方も少なくない。CareNet.comでは、そんな愛車症候群(シンドローム)ドクターの実態を調査すべく、会員医師にクルマ(四輪車)に関するアンケートを実施した。その結果を3回に分けて配信する。

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第1回 クルマを多く持っているのはどんな医師?どこの医師?

緊急の呼び出し、外勤への移動など医師はクルマを使う機会が多いこともあり、クルマへの思い入れが強い方も少なくない。CareNet.comでは、会員医師にクルマ(四輪車)に関するアンケートを実施。回答者総数は307名であった。その結果を3回に分けて報告する。第1回は「医師のクルマ所有台数」。結果概要クルマを所有している医師の9割は家族で2台までクルマを所有している医師のうち、約半数は所有台数1台、2台所有も4割程度おり、双方で約90%を占める。一方、3~5台という多数所有者も1割程度みられる。■設問 家族で所有しているクルマ(四輪車)は何台ですか?往診専用車を除いた台数をお答えください。(回答は1つ)1)1台、2)2台、3)3~5台、4)6~9台、5)10台以上勤務形態でみると、勤務医の半数は1台、開業医の6割は複数台所有クルマ所有の勤務医では、9割が2台以内の所有台数である。一方、開業医(経営者)では1台4割で、残りの6割は複数台所有、2割は3台以上を所有する。画像を拡大する画像を拡大する20代~30代のクルマ所有医師では1台が過半数、50代以上は複数台所有が過半数年代別にみると、年齢が上がるにつれて所有台数が増加。20~30代では、クルマ所有者の半数以上が1台だが、50歳以上から複数台所有が半数以上となり、60歳以上では2台所有者の割合が1台所有者を上回る。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する南関東、関西は1台、それ以外の地域は2台以上地域別にみると、南関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)および関西(大阪、京都、兵庫、滋賀、和歌山)では1台所有が半数以上を占めるものの、他地域は6~8割は複数台所有と回答。とくに北関東・甲信越・北陸では複数台所有が8割という結果となった。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する

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ケアネット白書~糖尿病編2017

インデックスページへ戻る1.調査概要本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。調査はインターネット上にてアンケート形式。2017年3月1~8日に、ケアネットの医師会員約13万人のうち、2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している医師500人を対象に実施した。2.結果(1)回答医師の背景回答医師500人の主診療科は、糖尿病・代謝・内分泌科が234人(46.8%)で最も多く、一般内科167人(33.4%)、循環器科42人(8.4%)などが続いた。医師の所属施設は、一般病院が190人(38.0%)で最も多く、以下、医院・診療所・クリニック134人(26.8%)、大学病院92人(18.4%)、国立病院機構・公立病院83人(16.6%)など。医師の年齢層は50代が159人(31.8%)で最も多く、次いで40代(135人、27.0%)、30代(128人、25.6%)が続いた。(2)薬剤の処方状況(1stライン)糖尿病治療薬をSU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)、ビグアナイド(BG)薬、チアゾリジン薬、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド)、DPP-4阻害薬、インスリン、GLP-1、SGLT2阻害薬、その他に分類し、食事・運動療法に加えて薬物療法を実施する際の1stラインの処方状況を聞いた(図1)。図1を拡大する処方が最も多かったのはDPP-4阻害薬で、回答した医師全体の38.4%が1stラインで使っている。しかしながらその割合は、昨年と比べて6.1ポイント減少し、過去5年間において最も少ない。次いで多かったのはBG薬(26.3%)で、昨年(26.6%)とほぼ横ばいであった。<糖尿病・代謝・内分泌科での1stライン>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合、1stラインでの処方割合が最も多かったのはDPP-4阻害薬(35.9%)だが、これに続くBG薬が33.4%であり、割合は拮抗している。一方、SU薬とα-GIは過去5年の推移をみても一貫して減少傾向にあるようだ(図2)。図2を拡大する<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での1stライン>回答医師の属性がその他の診療科の場合、1stラインの処方割合はDPP-4阻害薬が最も多いものの、前年より7%減少し、その分、その他(併用など)が増加した。BG薬(20.1%)とSU薬(6.9%)は、前年と比べほぼ横ばいであった(図3)。図3を拡大する(3)薬剤の処方状況(2ndライン)DPP-4阻害薬単剤処方例からの治療変更1stラインでDPP-4阻害薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合、2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.GU薬を追加、5.チアゾリジン薬を追加、6.GLP-1を追加、7.インスリンを追加、8.SGLT2阻害薬を追加、9.他剤への切り替え、10.その他―の分類から処方状況を聞いた(図4)。図4を拡大する最も多かったのはBG薬の追加で、回答した医師の40.3%に上った。過去5年の推移を見ると一貫して増加傾向にありSGLT2阻害薬の追加も9.9%に増加した。一方、SU薬の追加やα-GIの追加は減少傾向にある。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医ではBG薬の追加が全体平均よりも高い傾向にあり、逆にSGLT2阻害薬の追加を選ぶ医師は少ない傾向があった。専門医以外では、SGLT2阻害薬の追加やα-GIの追加を選択する割合が多い傾向があるようだ(図5)。図5を拡大するBG薬単剤処方例からの治療変更また、1stラインでBG薬を単剤投与しても血糖コントロールが不十分だった場合2ndラインではどのような治療変更を行うかについて、1.SU薬を追加、2.速効型インスリン分泌促進薬を追加、3.α-GIを追加、4.チアゾリジン薬を追加、5.DPP-4阻害薬を追加、6.GLP-1を追加、7.インスリンを追加、8.SGLT2阻害薬を追加、9.他剤への切り替え、10.その他―の分類から処方状況を聞いた(図6)。図6を拡大する最も多かったのは前年に引き続きDPP-4阻害薬の追加(55.6%)であった。SGLT2阻害薬の追加(8.0%)を選択する医師の割合は、前年比で2.2ポイント増となり、SU薬の追加(8.3%)と拮抗する結果となった。回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科とその他の診療科を比較すると、専門医で最も多かったのはDPP-4阻害薬の追加(56.4%)で、次いでSGLT2阻害薬の追加(9.3%)、SU薬の追加(8.3%)となっていた。その他の診療科と比べると、SGLT2阻害薬の追加が多かった(図7)。図7を拡大する(4)薬剤選択の際に重要視する項目本調査では、薬剤を選択する際に重要視する項目についても聞いている(複数回答)。最も多いのは昨年に続き「低血糖を来しにくい」で、75.2%の医師が挙げている。以下、「重篤な副作用がない」(68.48%)、「血糖降下作用が強い」(66.4%)などが続いた(図8)。図8を拡大する<糖尿病・代謝・内分泌科での重要視項目>回答医師の属性が糖尿病・代謝・内分泌科の場合も、薬剤選択で重要視する項目として最も多かったのは「低血糖を来しにくい」で、81.6%の医師が挙げている。次いで多かったのが、「体重増加を来しにくい」(73.5%)で、他科も含めた全体では56.4%だったのと比べると顕著に割合が高く、専門医に特徴的な傾向といえる。<その他の診療科(糖尿病・代謝・内分泌科以外)での重要視項目>回答医師の属性がその他の診療科の場合も、薬剤選択で重要視する項目として最も多かったのは「低血糖を来しにくい」であった(69.5%)。以下、「重篤な副作用がない」(65.4%)、「血糖降下作用が強い」(63.9%)などが続いた。インデックスページへ戻る

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わかる統計教室 第4回 ギモンを解決!一問一答 質問15

インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問15 重回帰式で求められた回帰係数の解釈は?前回は、重回帰分析の際の説明変数の選び方についてご説明しました。今回は、重回帰式で求められた回帰係数を、どのように解釈すればよいのかについてご説明いたします。回帰係数は、実績値と理論値をできるだけ近くする値であることを述べました。ところが、回帰係数の役割はそれだけではなく、それぞれの説明変数の目的変数に及ぼす貢献度も導いてくれます。■回帰係数を解釈するまず、回帰係数にはデータ単位があり、目的変数のデータ単位と同じになることを知っておいてください。「サプリメントXの売上事例」の重回帰式を再掲します。売上額=0.00786×広告費+0.539×店員数+1.1481.148を「定数項」といいます。回帰係数は売上額のデータ単位が1千万円なので、回帰係数は次のようになります。広告費の回帰係数 0.00786(千万円)→ 7.86万円店員数の回帰係数 0.539 (千万円)→ 539万円定数項      1.148 (千万円)→1,148万円広告費のデータ単位は「1万円」、店員数のデータ単位は「1人」でした。つまり、上記の回帰係数から、広告費を1万円使うと売上額が7.86万円、店員数を1人投入すると売上額が539万円増えることがわかります。このように、回帰係数から「説明変数の目的変数に対する貢献度」がわかります。※貢献度:説明変数のデータ単位当たりの売上額表1の定数項1,148万円は、広告費を0、店員数を0としたときの売上額です。表1 説明変数の目的変数に対する貢献度■標準回帰係数で重要度を把握する「サプリメントXの売上事例」の重回帰式を再掲します。売上額=0.00786×広告費+0.539×店員数+1.148ここで、回帰係数の値は店員数のほうが広告費より大きいので、売上額を高めるのに重要な要因は「店員数のほうである」といってよいでしょうか?結論は「いえない!」です。では、この理由を次で確かめてみましょう。表2は、「サプリメントXの売上事例」で、売上額と店員数のデータ単位はそのままで、広告費のデータ単位を「万円」から「百万円」にして重回帰分析を行った結果です。表2 広告費の単位を「百万円」に変更した重回帰式表3は、広告費の単位を「万円」に戻した「サプリメントXの売上事例」データと重回帰式です。表3 広告費の単位を「1万円」に戻した重回帰式上記の表2と表3のデータは同じものなのに、広告費のデータ表記の仕方を変えただけで、広告費の回帰係数は異なる値となりました。このことから、「説明変数間の回帰係数を比較し、値の大小で重要度を見ることはできない」といえます。回帰係数は、説明変数の売上貢献度を把握できますが、説明変数間の重要度の比較には適用できません。上記の2つのケースについて、広告費の売上貢献度を調べてみます。表2 広告費のデータ単位が百万円のときに見込める売上額は、0.786(千万円)より786万円です。表3 広告費のデータ単位が1万円のときに見込める売上額は、0.00786(千万円)より7.86万円です。「データ単位1万円→売上貢献度7.86万円」と「データ単位百万円→売上貢献度786万円」は同じ意味で、データ表記を変えても売上貢献度は同じとなります。■標準回帰係数説明変数のデータ単位の取り方によって回帰係数の値は変わるので、回帰係数の大小を比較しても、どの説明変数が重要なのかを明らかにすることはできません。データ単位が同じならば、係数を大きい順に並べて、大きい説明変数ほど重要であるといえます。したがって、各説明変数のデータ単位が異なっていれば、データ単位を同じにして重回帰分析を行い、回帰係数を求めればよいのです。基準値あるいは偏差値によってデータ単位をそろえることができます。表4で「サプリメントXの売上事例」データの基準値と偏差値を求めてみます。表4 サプリメントXの売上事例データの基準値と偏差値基準値のデータに重回帰分析を行います。売上額=0.687×広告費+0.449×店員数+0.000※定数項は0になります。※重回帰分析を偏差値で行っても、回帰係数は基準値で求めた値と同じです。データの単位をそろえたので、説明変数間の回帰係数は比較できます。売上額との関係(影響度)において、具体的には、売上をアップするための要因または売上を予測するための要因として、広告費のほうが店員数より重要であるといえます。基準化したデータに重回帰分析を行い、求められた回帰係数を「標準回帰係数」といいます。標準回帰係数は、データを基準値にして重回帰分析を行うという面倒なことをせずに求めることができます。※偏差平方和は質問9 その2を参照「サプリメントXの売上事例」の標準回帰係数は次のようになります。この結果から、売上をアップするための要因または売上を予測するための要因としては、広告費のほうが店員数より重要だといえます。次回は、重回帰分析が変数相互の影響を除去した真の関係を見いだすことができる、とても便利なツールであることをご説明いたします。今回のポイント1)重回帰式の回帰係数は、それぞれの説明変数の目的変数に及ぼす貢献度を導いてくれる!2)回帰係数にはデータ単位があり、目的変数のデータ単位と同じになる!3)回帰係数の値からどの説明変数が重要な要因であるとはいえない!4)基準化したデータに、重回帰分析を行い求められた回帰係数である標準回帰係数の値からであれば、どの説明変数が重要な要因であるといえる!インデックスページへ戻る

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会員医師の金融総資産はどれくらい?

 ケアネットでは、会員医師の「金融資産について」のアンケート調査を実施した。今回、その結果がまとまったので、概要をお伝えする。 調査は、2017年8月3日にCareNet.comの医師会員を対象に、インターネット上で実施。回答者総数は324名。その内訳は、20~30代:22%、40代:28%、50代:33%、60代:15%、70代以上:2%、所属別では勤務医師:79%、開業医師:21%だった。金融資産は安全な預貯金が主流 設問1で「(負債を含まない)金融資産合計」を質問したところ、1,000万円未満(37%)が最も多く、次いで1,000~3,000万円(26%)、3,000~6,000万円(19%)、6,000万円~1億円(8%)、1~3億円(7%)、5億以上(2%)、3~5億円(1%)という結果となり、3,000万円以下という回答が全体の約6割を占めた。 設問2で「資産の内訳について、その資産の項目(複数回答)」を質問したところ、円建て預貯金(258回答)が最も多く、次いで生命保険・個人年金(110回答)、株券(76回答)、不動産(73回答)、投資信託(54回答)、外貨建て預貯金(47回答)、国債・債権(27回答)、金などの実物資産(24回答)、その他(8回答)という順になった。 比較的安全な金融商品を選択し、銀行などへの預貯金や生命保険などが過半数を占めるなど、会員の安全志向が見受けられた。70代では1億円以上の資産が必要!? 設問3で「資産形成で実践したいと思っている内容について(複数回答)」を質問したところ、とくに何もない(104回答)が最も多く、次いで円建て預貯金(101回答)、株式投資(87回答)、外貨建て預貯金、投資信託が同数(各50回答)、不動産経営(32回答)、FX[外国為替証拠金取引](31回答)、生命保険、金などの実物資産への投資が同数(各27回答)、国債・債権投資(24回答)、ビットコインなどの仮想通貨への投資(12回答)の順となった。 安全な預貯金のほか、株式投資への意欲もある一方で「とくに何もない」の回答が多く、資産形成には関心があまりないという傾向も読み取れた。 設問4で「各年代で必要だと考える金融資産額について」質問したところ、20~30代では1,000万円以内、40代では1,000~3,000万円、50代では3,000~6,000万円、60代では6,000万円~1億円、70代以上では1億円以上という回答が最も多かった。 年金制度への将来的な不安や老後の充実した生活への準備のため、高額化していく傾向が見受けられた。知りたい情報の1位は? 設問5で「手取り収入の何%を貯蓄しているか」の質問では、手取り収入の10%未満(27%)が一番多く、10%(21%)、20%(19%)、30%(12%)、50%(9%)、50%以上(7%)、40%(5%)という順になった。 回答者の約半数が、月収入の10%前後しか貯蓄に配分していないことが判明した。 設問6で「資産形成で一番知りたい情報について」質問したところ、資産形成の具体的方法[金融商品の種類、安全性など](40%)が一番多く、次いでライフスタイル別の必要な金融資産の額(19%)、資産管理の具体的方法[節税方法やFPなどの必要性など](17%)、医師に有利な社会制度について(13%)、医師と負債について[融資、金融機関との関係など](6%)、そのほか(5%)という順だった。 関心としては、資産形成の細かいノウハウについての情報を求めている反面、融資や借入には関心が薄いことがうかがわれた。 最後に「医師とお金に関して取り上げてもらいたいテーマ」について自由記載で質問したところ、「税に関する事項」が一番多く、次に「投資全般」、「相続・継承」についての回答が寄せられた。 今回の調査の詳細と、寄せられた具体的なコメントなどはCareNet.comに掲載中。

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医療機器の適応追加・設計変更に用いた臨床データは不十分なのか(解説:折笠 秀樹 氏)-729

 医療機器の場合、しばしば適応追加(対象拡大)や設計変更がなされる。承認済みの医療機器の変更申請に際して、米国FDAでは大別してTraditional PMAとPanel-track PMA supplementという方法がある(Guidance for Industry and FDA Staff: Modifications to Devices Subject to PMA)。後者のほうが厳しくない方法のようだが、それにも6つのパスウェイがある。そのうち、今回はPanel-track supplementパスウェイに焦点を当てた。これは、医療機器の設計・性能上の重大な変更、および新たな適応追加に適用されるパスウェイである。ここでは、必ず臨床研究データの提出が要求される。本調査では、要求された臨床研究データの特徴について調査した。対象となったのは、米国FDAで2006~15年の約10年間に承認された、ハイリスク医療機器78件である。 医療機器の変更理由としては、適応追加などの添付文書改訂が79%、設計・仕様などの変更が18%、その他3%であった。その根拠とした臨床研究数は1~4件(平均1.1件)、申請から承認までの期間は平均約1年、優越性試験26%・非劣性試験14%・同等性試験2%・単群試験58%、盲検試験30%、代替エンドポイント81%、患者数中央値185例であった。承認後に宿題の付いた例は37%であった。 本論文によると、Panel-track supplementパスウェイを利用した追加申請で、根拠とした臨床データの品質が低すぎるという結論であった。上に示したように、医薬品の治験と比べると確かに品質は低いと思われる。優越性試験、盲検試験、真のエンドポイントなどを採用した例が少ない。また、例数もそれほど大きくない。しかしながら、医療機器ではどうだろう。詳しくは知らないが、日本の医療機器ではこの水準にも達していないことはないだろうか。

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知りたい情報は資産の作り方

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に金融資産に関するアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので、3回に分けて報告しています。2017年8月3日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は324名でした。最終回は、資産形成について知りたい情報についての結果です。結果概要知りたい情報の1位は?設問6で「資産形成で一番知りたい情報について」質問したところ、資産形成の具体的方法[金融商品の種類、安全性など](40%)が最も多く、次いでライフスタイル別の必要な金融資産の額[住宅資金、教育資金など](19%)、資産管理の具体的方法[節税方法やFPなどの必要性など](17%)、医師に有利な社会制度について[法人化など](13%)、医師と負債について[融資、金融機関との関係など](6%)、そのほか(5%)という順でした。知りたい情報としては、資産形成や資産管理の細かいノウハウ、ライフスタイル別での必要資産についてなどが求められ、融資や借入への関心は薄いことがうかがわれました。■設問6 先生が、資産形成に関して一番知りたいと思う内容をご教示ください。1) 資産形成の具体的方法(金融商品の種類、安全性など)2) 資産管理の具体的方法(節税方法やFPなどの必要性)3) ライフスタイル別の必要な金融資産の額(子弟の教育にいくら必要か)4) 医師に有利な社会制度について5) 医師と負債について(融資、金融機関との関係など)6) そのほか最後に設問7として「医師とお金に関して取り上げてもらいたいテーマ」について自由記入で質問したところ、「税に関する事項」が一番多く、次に「投資全般」、「相続・継承」についての回答が多く寄せられました。コメント抜粋(一部割愛、簡略化しておりますことをご了承ください)税についてサラリーマンのための節税一般勤務医のための節税方法確定申告や節税のためのテクニック住民税の対策について節税のために法人化は必要か優遇税制について資産全般についてリスクの少ない資産運営法クリニック開業後の資産運用勤務医のための資産運営について資産運営知識ゼロの医師のために、初歩からのアドバイスが欲しい低金利時代の資産減損の最適な方法について投資信託の選び方。とくに確定拠出年金での運用方法について相続について相続の方法、生前贈与の具体的方法相続税対策について贈与と相続ではどちらが得か年金について安全な個人年金の情報不動産について家の購入相場について不動産の管理・経営について貯金、貯蓄について安心して老後を迎えられる最低目標額家族構成や生活のスタイル別による貯蓄プランニングについて老後に向けた有効な貯め方株式について株の仕組みを教えて欲しい株式投資の具体的なステップアップ法金融商品についてビットコインの安全性ふるさと納税のやり方仮想通貨は危険かどうか日本国債の長期的価値、格付けそのほかクリニック開業に必要な資金公務員の勤続年数の損益分岐点収入を上げるための転職について地方と都市での年収差

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第8回 泣き寝入りしない査定減点の対処法 ~査定に物申したいときは~【医師が知っておきたいレセプトの話】

前回は、返戻時の対応について確認しました。今回は、レセプトが査定された場合の対応について、一緒に確認していきましょう。再審査請求第5回で確認したとおり、審査の結果、査定となったレセプトは「増減点連絡票」が送付されることで医療機関に通知されます。「増減点連絡票」により減点(査定)の連絡があったものについて、内容に不服がある場合は医療機関側から「再審査請求」を行うことができます。「再審査請求」は、「再審査等請求書」(図)に必要事項を記載し、多くの場合は「症状詳記」を添付して、「審査支払機関」に郵送するといった流れになります。また、請求を行うことができる期間にも定めがあり、「減点に関する通知が手元に届いてから6ヵ月以内」となっています。画像を拡大するこの申し立てを基に「審査支払機関」が再度審査を行い、診療の妥当性が認められれば減額された分の診療報酬が医療機関に支払われます。これを「復活」といいます。先生方が行うこと多くの医療機関では、担当の事務職員が査定内容をまとめ、メールや書面などで先生方にお伝えしていると思います。連絡が来た場合、先生方が行うことは次の2つのステップです。はじめに、担当の事務職員から伝えられた査定内容を、ご自身でしっかりと確認することです。 次に、査定事由と照らし合わせ、査定内容に納得ができない場合は再審査請求することを決め、症状詳記を作成します。もし、自分が担当した患者さんの査定内容がすぐに判明しない場合は、どのように査定内容がフィードバックされているかを担当の事務職員に確認しましょう。再審査請求の3つのポイント次に、再審査請求を行う際の「症状詳記作成の3つのポイント」をご紹介します。1)査定された内容にポイントを絞る「なぜ査定の対象となった診療が必要であったか」についてのみ、ポイントを絞って記載します。冗長にではなく、「端的に、論理的に」が基本姿勢です。2)客観的なデータを示す患者さんの状態を説明する際に、検査値などの客観的事実を明示し、記載しましょう。3)文献を添付する提供した診療の有効性が示されている文献などを引用することもお勧めです。そのまま記載、または添付しましょう。日々の診療業務で忙しい中、査定内容の確認や症状詳記の作成など、事務作業は面倒と思われる方も多いかもしれません。しかし、先生方が行った診療の妥当性をしっかりと主張する機会であり、主張が認められれば医療機関の経営にも先生方の評価にも良い影響を及ぼします。また、仮に請求が認められず「復活」しなかったとしても、審査員にしっかりと客観的事実をもってアピールする姿勢が、診療に真摯な医師という好印象を与え、今後の審査にプラスに働く可能性も否定できません。日本の医療制度の中では、ご自身の診療が患者さんだけでなく、審査機関でも評価されることで、正当な診療報酬を受け取ることができます。患者さんからも感謝され、審査機関からもきっちり評価される医師は、素敵な先生だと思います。

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会員医師が考える70歳までに貯めておくべき金融資産の額

CareNet.comでは、過日、会員医師の方々に金融資産に関するアンケートへのご協力をお願いしました。今回、その結果がまとまりましたので、3回に分けて報告しています。2017年8月3日にCareNet.comの会員医師を対象にインターネット上でアンケートを実施、回答者総数は324名でした。第2回は、必要と考える金融資産額と収入のうち貯蓄している割合についての結果です。結果概要70代では1億円以上の資産が必要!?設問4で「各年代で必要だと考える金融資産額について」質問したところ、20~30代では1,000万円以内、40代では1,000~3,000万円、50代では3,000~6,000万円、60代では6,000万円~1億円、70代以上では1億円以上という回答が最も多くありました。各年代のライフステージで必要な支出を反映した額が表される形となりましたが、年代後半では年金制度への将来的な不安や老後の充実した生活への準備のため、さらに高額化していく傾向が見受けられました。■設問4 先生が、必要だと考える年代ごとの金融資産額についてご教示ください。・20~30代、40代、50代、60代、70代以上(共通)1) 1,000万円未満2) 1,000万円~3,000万円3) 3,000万円~6,000万円4) 6,000万円~1億円5) 1億円以上月々の貯蓄は10%前後が半数設問5「手取り収入の何%を貯蓄していますか」の質問では、10%未満(27%)が一番多く、10%(21%)、20%(19%)、30%(12%)、50%(9%)、50%以上(7%)、40%(5%)という順に回答がありました。アンケートから回答者の約半数が、月収入の10%前後しか貯蓄に配分していないことが判明しました。■設問5 収入(手取り)のうち、おおよそ何%を貯蓄していますか?1) 10%未満2) 10%3) 20%4) 30%5) 40%6) 50%7) 50%以上

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(後編)

【第1回】~【第6回】は こちら【第7回 消化器(消化管)】 全5問消化管領域で最も出題される可能性が高いのは、(1)相次ぐ新薬の上市、(2)胃がんガイドライン改訂に向けた動き、(3)消化器がんの化学療法、である。治療の進歩が著しい炎症性腸疾患、2016年にRome IV基準が発表された過敏性腸症候群と機能性胃腸症については、必ず押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)上部消化管疾患に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)食道粘膜傷害の内視鏡的重症度と自覚症状の間には相関を認める(b)食道アカラシアは高い非同期性収縮を認めることが多い(c)食道静脈瘤出血時にバソプレシン、テルリプレシン、オクトレオチドは有効であるが、ソマトスタチンは無効である(d)好酸球性胃腸炎の診断基準の1つに、「腹水が存在し腹水中に多数の好酸球が存在している」がある(e)ボノプラザンは、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌治療には保険適用となっていない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第8回 消化器(肝胆膵)】 全5問肝臓の領域では、B型肝炎をはじめ、体質性黄疸、肝膿瘍、自己免疫性肝炎などのマイナー疾患からの出題も予想される。膵臓では嚢胞腫瘍、自己免疫性膵炎、膵がんの化学療法などがポイントとなる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)HBV感染に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)B型慢性肝炎の治療対象は、HBe抗原の陽性・陰性にかかわらずALT 31U/L以上かつHBV DNA 2,000IU/mL以上である(b)本邦におけるB型肝硬変は、代償性/非代償性肝硬変にかかわらずIFN治療が第1選択となる(c)HBV持続感染者に対する抗ウイルス療法の長期目標は、ALT持続正常化・HBe抗原陰性かつHBe抗体陽性・HBV DNA増加抑制の3項目である(d)テノホビルの長期投与では、腎機能障害・高リン血症・骨密度低下に注意する必要があり、定期的に腎機能と血清リンの測定を行うことが推奨される(e)テノホビルアラフェミナド(TAF)はテノホビル(TFV)の新規プロドラッグであり、テノホビルジソプロキシル(TDF)に比べ少ない用量で同等の高い抗ウイルス効果を示すが、TDFと比較して腎機能障害および骨密度低下を来しやすいと報告されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第9回 血液】 全7問血液領域は、認定内科医試験では出題比率が低いものの、総合内科専門医試験では高い傾向がある。本試験の対策としては、個々の薬剤名とその適応をしっかり覚えることがポイントとなる。頻出テーマは、鉄過剰症、悪性リンパ腫の治療前感染症スクリーニング、特発性血小板減少性紫斑病など。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)貧血に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鉄欠乏性貧血では、生体内鉄制御を担う血中ヘプシジン増加を認めることが報告されている(b)鉄欠乏性貧血の原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が関与している可能性が指摘されている(c)鉄欠乏性貧血の診断基準は(1)ヘモグロビン12g/dL未満(2)血清鉄30µg/dL未満(3)血清フェリチン12ng/mL未満である(d)温式自己免疫性溶血性貧血(温式AIHA)は、全例直接クームス試験陽性である(e)特発性温式AIHAの治療は、副腎皮質ステロイドを第1選択とするが、ステロイド無効の場合にはリツキシマブ(ヒト化抗CD20モノクローナル抗体)が保険適用となっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第10回 神経】 全5問神経領域では、総合内科専門医試験特有のテーマとして、抗NMDA受容体抗体脳炎、多発性硬化症と神経脊髄炎との違い、筋強直性ジストロフィーがある。この3つのテーマは、毎年複数題出題されているので、確実に押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)末梢神経障害に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)膝蓋腱反射とアキレス腱反射の反射中枢は同じである(b)起床時に手首に力が入らず、垂れてしまう。これは睡眠中の尺骨神経麻痺が原因である(c)フローマンサイン陽性は、橈骨神経麻痺の診断に有用である(d)手根管症候群の診断に有用な所見として、ファレンテスト陽性・ティネル様サイン陽性がある(e)足を組んで寝ていたら、翌朝足首(足関節)と足の指(趾)が背屈できなくなり受診。診察所見で下垂足(drop foot)を認める。脛骨神経麻痺が原因である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第11回 循環器】 全7問循環器領域では、心筋梗塞、心不全治療に加えて、心アミロイドーシス、心サルコイドーシス、大動脈炎症候群が、本試験における特徴的なテーマといえる。また、新しいデバイスが登場すると出題される傾向がある。今年要注意なのは、リードレスペースメーカー、最近適応拡大されたループレコーダーなど。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)心不全について正しいものはどれか?1つ選べ(a)NYHA分類I度は「軽度の身体活動の制限があるが、安静時には無症状」の状態である(b)NYHA分類II度はAHA/ACC心不全ステージBに相当する(c)クリニカルシナリオ(CS)は急性心不全患者の入院早期管理に用いられる指標で、CS4は右心不全、CS5は急性冠症候群に分類されている(d)NT-proBNP(N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド)は心筋細胞内のproBNPがBNPに分解される際に産生され、心不全診断の基準値はBNPと同じ値である(e)日本循環器学会/日本心不全学会のステートメント(心不全症例におけるASV適正使用に関するステートメント第2報)に、中枢型有意の睡眠時無呼吸を伴い、安定状態にある左室収縮機能低下に基づく心不全患者に対しては、ASVの導入・継続は禁忌ではないが、慎重を期する必要があると記載されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第12回 総合内科/救急】 全3問総合内科/救急の領域で確実に出題されるのは「意識レベル」。JCSとGCSについては、どちらも確実に解答できるようにしておきたい。また、JMECCに関する問題と脳死判定基準も出題のヤマとなると思われる。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)救急・脳死に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)覚醒しているが、見当識障害を認めればJapan Coma Scale(JCS)は3とする(b)「痛み刺激で開眼・不適当な発語・指示には従えないが痛み刺激から逃避する」でGlasgow Coma Scale(GCS)は8点となる(c)病歴聴取で使用されるSAMPLE historyの「M」は「Meal(最終食事時間)」である(d)脳死判定基準の除外基準では、深昏睡および自発呼吸の消失が「低体温によるもの」「代謝/内分泌障害によるもの」とともに「急性薬物中毒によるもの」が含まれている(e)脳死判定基準の1つに「前庭反射の消失」があり、聴性脳幹誘発反応にて確認することとなっている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第7回~第12回の解答】第7回:(d)、第8回:(a)、第9回:(b)、第10回:(d)、第11回:(e)、第12回:(d)【第1回】~【第6回】は こちら

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突然やってくる!? 外国人患者さん対応エピソード集 第6回

第6回 予約日に来院しない心不全患者が抱えていた深刻な事情<Case6>甲状腺機能亢進症に心房細動を合併し、かなりの心不全状態の30代外国人女性が診療所に来院。保険証もなければ在留資格も失っており、入院する経済的余裕はとてもないと言います。頻回に観察させて頂くことを条件に外来で治療を継続することにしましたが、患者さんは受診予定の日に来院せず…。対談相手港町診療所所長/シェア=国際保健協力市民の会副代表 沢田 貴志 氏澤田 真弓:今回は、20年以上にわたり在住外国人の診療に当たっている、沢田 貴志 先生にお話を伺います。先生、その後、この患者さんはどうなったのでしょうか。沢田 貴志 氏:予定日に来院がないたび、「支払いは後でもいいから、とにかく来て」と患者さんを呼び出す、といったことを何度も繰り返しました。よくよく事情を聞いてみると、私たちの所に来る前にも、地元の基幹病院を救急受診しては、その後の通院を中断していたことがわかりました。澤田 真弓:その患者さんは、なぜそのような行動をとってしまったのでしょうか。沢田 貴志 氏:在留資格を失って仕事を続けることができなくなり、本当に生活が困窮していたのです。面談をした結果、この患者さんは、日本人との間に子どもがありながらDVを受けて逃げていたために、在留資格が切れていたこともわかりました。こうしたやむを得ない事情で健康保険を喪失した事例を、少なからず経験してきました。澤田 真弓:そのようなときは、どう対応してきたのでしょうか。沢田 貴志 氏:在留資格がない場合でもこの方のようなケースでは、子どもの日本国籍取得など、それぞれの事情に合致した法的手続きを取ることで、在留資格が回復する場合があるのです。この患者さんもソーシャルワーカーの支援の下、法的な立場を回復させて仕事に戻り、健康と安定した生活を手にすることができました。神奈川県の基幹病院では、ソーシャルワーカーが医療通訳の手配も担当しているので、外国人患者さんの抱える社会的な問題が早期に見つかり、病状悪化を防ぐことにも貢献していると思います。医療通訳体制の整備により、患者利益の向上だけでなく、未収医療費も大幅削減澤田 真弓:この患者さんは、前の病院でソーシャルワーカーとの連携がうまくできていなかったのでしょうか。沢田 貴志 氏:時間外救急ばかりの受診だったことや日本語が不自由だったことが災いし、ソーシャルワーカーへの引き継ぎが実現しなかったのかもしれません。こういったケースに対応するためにも、医療機関における多言語体制が重要なのです。神奈川県で1993年から実施されている外国人患者さんの未収医療費を補てんする事業では、2002年に医療通訳体制を整備してからの10年間で、必要になった補てん額が数十分の1に減少したことが確認されています。澤田 真弓:患者さんの課題の早期解決がなされれば、患者さん自身のコストだけでなく、社会の総コストも下がるという、わかりやすい例ですね。沢田 貴志 氏:はい。もちろん日本の制度では解決できず、出身国側の医療につなぐ例もあります。地域医療の現場では、さまざまな立場の外国人の患者さんに遭遇します。これまで診察してきた在住外国人の患者さんには、今回のケースのように、在留資格や健康保険の加入がなく、医療費の支払いが困難であった方も少なくありません。医療機関側が言葉の体制だけ整備をすればすべて解決、とはいかない現状があるのです。また、医師法19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。「医療費の支払いが困難である」とか、「身分証明書を持っていない」といったことは診療を拒む正当な事由とは言えない、というのが法解釈の通例でしょう。支払い能力を理由とした診療拒否を認めてしまえば多くの病院が追従し、結局患者さんは重症化、最終的には瀕死の状態の患者さんが運び込まれた病院が大きな損失を受けることになります。これでは地域医療は崩壊します。今回のように、人道的であることを最優先に考えることで、結果的に効率の良い医療につながるという事例をしばしば経験してきました。澤田 真弓:そのような人道的な支援を実現するためには、医療コーディネーターなどを配置して積極的に外国人患者さんの受け入れをしていこうとされている医療機関も、さらに一歩踏み込んだ体制の整備が必要な状況に思えます。沢田 貴志 氏:はい。医療コーディネーターの方だけで解決するのは負担が大きいと思います。今回の事例からもわかるように、ここでコーディネーターの方が連携すべきは、ソーシャルワーカーです。ソーシャルワーカーは、患者さんの医療分野に限らない経済的・心理的・社会的な不安や問題を解決するために各所との調整を図り、さまざまな面からサポートするのが仕事です。すでに、ほとんどの基幹病院には配属されているでしょう。自治体を中心にソーシャルワーカーの活用や医療通訳の育成をし、基幹病院や診療所を含めて地域連携が進めば、在住外国人患者さんの円滑な受入れが実現できると思います。澤田 真弓:非常に現実的な仕組みだと思います。大変勉強になりました。<本事例からの学び>人道的であり続けることは、患者を救うだけでなく、医療の効率化にもつながる

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2017年度 総合内科専門医試験、直前対策ダイジェスト(前編)

【第7回】~【第12回】は こちら【第1回 呼吸器】 全7問呼吸器領域は、ここ数年で新薬の上市が続いており、それに伴う治療方針のアップデートが頻繁になっている。新薬の一般名や承認状況、作用機序、適応はしっかり確認しておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肺結核について正しいものはどれか?1つ選べ(a)IGRA(QFT-3G・T-SPOT)は、冷蔵保存して提出する(b)医療者の接触者健康診断において、IGRAによるベースライン値を持たない者には、初発患者の感染性期間における接触期間が2週間以内であれば、初発患者の診断直後のIGRAをベースラインとすることが可能である(c)デラマニドはリファンピシン(RFP)もしくはイソニアジド(INH)のどちらかに耐性のある結核菌感染に使用可能である(d)レボフロキサシンは、INHまたはRFPが利用できない患者の治療において、カナマイシンの次に選択すべき抗結核薬である(e)結核患者の薬剤感受性検査判明時の薬剤選択としてINHおよびRFPのいずれも使用できない場合で、感受性のある薬剤を3剤以上併用することができる場合の治療期間は、菌陰性化後24ヵ月間とされている(f)潜在性結核感染症(LTBI)の標準治療は、INH+ RFPの6ヵ月間または9ヵ月間である例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第2回 感染症】 全5問感染症領域では、耐性菌対策とグローバルスタンダード化された部分が出題される傾向がある。また、認定内科医試験に比べて、渡航感染症に関する問題が多いのも特徴である。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)感染症法に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)鳥インフルエンザはすべての遺伝子型が2類感染症に指定されている(b)レジオネラ症は4類感染症に指定されており、届出基準にLAMP法による遺伝子検出検査は含まれていない(c)重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は4類感染症に指定されており、マダニを媒介とし、ヒト‐ヒト感染の報告はない(d)鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除くインフルエンザ感染症はすべて5類定点把握疾患である(e)カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症は5類全数把握疾患に指定されているが、保菌者については届出の必要はない例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第3回 膠原病/アレルギー】 全6問膠原病領域では、ほぼ毎年出題される疾患が決まっている。リウマチと全身性エリテマトーデス(SLE)のほか、IgG4関連疾患、多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)についてもここ数年複数の出題が続いている。アレルギーでは、クインケ浮腫、舌下免疫療法、アスピリン喘息が要注意。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)全身性エリテマトーデス(SLE)について正しいものはどれか?1つ選べ(a)疾患活動性評価には抗核抗体を用いる(b)神経精神SLE(NPSLE)は、血清抗リボゾームP抗体が診断に有用である(c)ヒドロキシクロロキンは、ヒドロキシクロロキン網膜症の報告があり、本邦ではSLEの治療として承認されていない(d)ベリムマブは本邦で承認されており、感染症リスクの少なさより、ステロイド併用時のステロイド減量効果が期待できる(e)ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が、2016年5月にループス腎炎に対して承認になり、MMF単独投与によるループス腎炎治療が可能となった例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第4回 腎臓】 全5問腎臓領域では、ネフローゼ症候群はもちろん、急性腎障害、IgA腎症、多発性嚢胞腎についても、症状、診断基準、治療法をしっかり押さえておきたい。また、アルポート症候群と菲薄基底膜病も、出題される可能性が高い。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)次の記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)血清または血漿シスタチンCを用いたGFR推算式は年齢・性差・筋肉量に影響を受けにくい(b)随時尿で蛋白定量500mg/dL、クレアチニン250mg/dL、最近数回での1日尿中クレアチニン排泄量1.5gの場合、この患者の実際の1日尿蛋白排泄量(g)は2g程度と考えられる(c)70歳、検尿で尿蛋白1+、血尿-、GFR 42mL/分/1.73m2(ただしGFRの急速な低下はなし)の慢性腎臓病(CKD)患者を認めた場合、腎臓専門医への紹介を積極的に考える(d)食塩摂取と尿路結石リスクの間に相関はないとされている(e)日本透析医学会による「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」2015年版によると、血液透析(HD)・腹膜透析(PD)・保存期CKD患者のいずれにおいても、複数回の検査でHb値10g/dL未満となった時点で腎性貧血治療を開始することが推奨されている例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第5回 内分泌】 全5問内分泌領域は、甲状腺疾患、クッシング症候群は必ず出題される。さらに認定内科医試験ではあまり出題されない先端巨大症、尿崩症もカバーしておく必要があり、診断のための検査と診断基準についてしっかりと押さえておきたい。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)先端巨大症について正しいものはどれか?1つ選べ(a)重症度にかかわらず、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」による医療費助成を受けることが可能である(b)診断基準に「血中GH値がブドウ糖75g経口投与で正常域まで抑制されない」という項目が含まれている(c)診断基準に「軟線撮影により9mm以上のアキレス腱肥厚を認める」という項目が含まれている(d)骨代謝合併症として、変形性関節症・手根管症候群・尿路結石・骨軟化症が挙げられる(e)パシレオチドパモ酸塩徐放性製剤は高血糖のリスクがあり、投与開始前と投与開始後3ヵ月までは1ヵ月に1回、血糖値を測定する必要がある  例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第6回 代謝】 全5問代謝領域では、糖尿病、肥満症、抗尿酸血症は必ず出題される。加えて骨粗鬆症とミトコンドリア病を含む、耐糖能障害を来す疾患が複数題出題される。とくに骨粗鬆症は、内科医にはなじみが薄いがよく出題される傾向があるので、しっかりとカバーしておこう。例題(解答は本ページの最後に掲載しています)肥満に関する記述のうち正しいものはどれか?1つ選べ(a)本邦における高度肥満は、BMI30以上の肥満者のことをいう(b)肥満関連腎臓病の腎組織病理像は膜性腎症像を示す(c)「肥満症診療ガイドライン2016」 において、減量目標として肥満症では現体重からの5~10%以上の減少、高度肥満症では10~20%以上の減少が掲げられている(d)PCSK9阻害薬であるエボロクマブの効能・効果に、「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る」と記載があり、処方にあたってはHMG-CoA還元酵素阻害薬との併用が必要である(e)低分子ミクロソームトリグリセリド転送たん白(MTP)阻害薬であるロミタピドメシルは、ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症に適応がある例題の解説とその他の予想問題はこちらへ【第1回~第6回の解答】第1回:(b)、第2回:(e)、第3回:(b)、第4回:(a)、第5回:(b)、第6回:(d)【第7回】~【第12回】は こちら

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非喘息性急性下気道感染症に経口ステロイドは無効/JAMA

 非喘息性急性下気道感染症の成人患者において、経口ステロイド薬は症状の持続期間や重症度を改善せず、使用すべきではないと、英国・ブリストル大学のAlastair D. Hay氏らが、プラセボ対照無作為化比較試験Oral Steroids for Acute Cough(OSAC)試験の結果、報告した。急性下気道感染症は最も一般的な疾患の1つだが、プライマリケアではしばしば抗菌薬による不適切な治療が行われている。その中で、経口ステロイド薬の使用も増加しているが、非喘息性急性下気道感染症に対する有効性については十分なエビデンスがない。JAMA誌2017年8月22・29日号掲載の報告。約400例をプレドニゾロン群とプラセボ群に無作為化 OSAC試験は、2013年7月~2014年10月、英国のプライマリケア54施設において実施された、多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験である。対象は、下気道感染症の症状(喀痰、胸痛、喘鳴、息切れ)のうち1つ以上および急性咳嗽を有し、即時的な抗菌薬治療を必要とせず、慢性肺疾患の既往歴なし、または過去5年間に喘息治療薬の投与歴がない18歳以上の患者401例であった。プレドニゾロン(20mg×2錠)群(199例)またはプラセボ群(202例)に無作為に割り付け、それぞれ1日1回5日間投与した。 主要評価項目は、中等度以上の咳嗽の持続期間(観察期間28日間、臨床的に重要な差の最低値は3.79日と設定)、および2~4日目の症状(咳嗽、喀痰、息切れ、睡眠障害、全体的な体調不良、活動障害)の重症度(0点[影響なし]~6点[最も悪い]、臨床的に重要な差の最低値は1.66点と設定)。副次評価項目は、急性下気道感染症の症状の持続期間と重症度、ピークフロー異常値の持続期間、抗菌薬の使用および有害事象であった。咳嗽持続期間や症状重症度に両群で差はなし 401例中2例は無作為化後すぐに離脱、1例は重複していたため除外となり、解析対象は398例であった(平均年齢47[SD 16.0]歳、女性63%、喫煙者17%、痰77%、息切れ70%、喘鳴47%、胸痛46%、ピークフロー値異常42%)。このうち334例(84%)で咳嗽持続期間が、369例(93%)で症状の重症度に関するデータが得られた。 平均咳嗽持続期間は、プレドニゾロン群で5日(四分位範囲[IQR]:3~8)、プラセボ群で5日(IQR:3~10)であった(補正ハザード比:1.11、95%信頼区間[CI]:0.89~1.39、α=0.05でp=0.36)。また、平均症状重症度は、プレドニゾロン群1.99点、プラセボ群2.16点であった(補正群間差:-0.20、95%CI:-0.40~0.00、α=0.001でp=0.05)。 その他の下気道感染症の持続期間や重症度、ピークフロー異常値の持続期間、抗菌薬の使用、重篤ではない有害事象に関しても、両群で差はなかった。重篤な有害事象は認められなかった。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第39回

第39回:眠れない≠睡眠導入剤監修:表題翻訳プロジェクト監訳チーム 眠れないという患者の訴えに対し、睡眠導入剤を処方する医師が多いと思いますが、本当にそれだけでよいのでしょうか?睡眠導入剤内服を開始して、どんどん薬が効かなくなっていって、どんどんお薬の強さや量が増えていって……というケースをよく見ます。 今回取り上げるarticleは、慢性の不眠症に対する薬物療法以外のマネジメントについてです。睡眠導入剤以外の治療について非常に勉強になったため、ご紹介いたします。また本邦でも厚生労働科学研究班 日本睡眠学会のワーキンググループによる「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が閲覧できるので、ご一読をお勧めします。 以下、American family physician 2015年12月15日号1) より不眠症は、人口の10~30%に影響を与え、年間925~1,075億ドルの医療費が掛かっている。睡眠障害国際分類第3版では、不眠症の診断の基準として、(1)入眠障害、(2)睡眠の維持の障害、(3)早朝覚醒、(4)日中の機能障害―の4項目について、週に3回以上、1ヵ月以上続くこととしている。また、日中の機能障害としては、(1)疲労や倦怠感、(2)注意力や集中力の低下、(3)社会的または職業的・教育的障害、(4)気分障害や過敏症、(5)日中の眠気、(6)モチベーションやエネルギーの低下、(7)エラーや事故の増加、(8)多動性・衝動性または攻撃性などの行動上の問題、(9)睡眠に関する継続的な心配―があり、いずれか1つを満たせばよい。不眠症に寄与する要因として、精神疾患、医学的な問題、薬物の使用、薬物の乱用は除外されるべきである。また、不眠症の非薬理学的療法には、睡眠衛生、認知行動療法、リラクゼーションセラピーなどがある。アメリカ睡眠医療学会によると、慢性の不眠症に対しては、初期治療として睡眠導入剤の使用は避けることが推奨されており、認知行動療法等の非薬物療法の提供を推奨している。またアメリカ老年医学会は、不眠症、せん妄等に対しての初期治療として、ベンゾジアゼピンやその他の鎮静作用のある睡眠薬の使用をしないよう推奨している。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Am Fam Physician. 2015 Dec 15;92:1058-1064. 2) International Classification of Sleep Disorders, 3rd ed. Darien, Ill.: American Academy of Sleep Medicine; 2014. 3) 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドライン―出口を見据えた不眠医療マニュアル―

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