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インデックスページへ戻る第4回 ギモンを解決!一問一答質問25 F検定とは?前回は、カイ2乗分布による検定、カイ2乗検定についてご説明してきました。今回は、相関比「F検定」についてご説明いたします。■相関比(F検定)質問10(その2)で相関比について学びました。F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法です。その方法を説明します。2つの母集団があり、両者の相関比は0(無相関)とします。この母集団にサンプルサイズnの標本調査を行い、次に示す検定統計量Tを求めます。上の数式のVA、VE の求め方は後ほどご説明します。現実的にはありえませんが、無相関である母集団について標本調査を無限回繰り返し行い、無限個のT値を得たとします。T値の度数分布を作成し、度数分布に近似曲線を当てはめます。近似曲線は、統計学が定めた理論的分布(F分布)になることが、理論的にも実験的にもわかっています。F分布は、カイ2乗分布同様に左に偏った形状の分布です。どちらも、サンプルサイズが大きくなるほど、左右対称の分布に近づきます。T値がF分布になることを実験によって確認できます。F分布を適用する検定を「F検定」といいます。では、一般的な事例で説明していきます。■検定統計量T検定統計量T値の求め方を説明します。医学的なデータだと難しくなりがちですので、なじみやすい一般的なデータでご説明していきます。表1は、「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均です。表1 「血液型とホームラン数」のデータとカテゴリー別平均血液型とホームラン数は関連性があるかを調べてみましょう。次の方法によって、表2に全体変動、群間変動、誤差変動、それぞれの偏差平方和を求めます。表2 全体変動の元データ画像を拡大する全体変動の偏差平方和:ST=1,167群間変動の偏差平方和:SA= 807誤差変動の偏差平方和:SE= 360自由度を求めます。全体変動の自由度:fT=n-1=12-1=11群間変動の自由度:fA=血液型カテゴリー数-1=4-1=3誤差変動の自由度:fE=n-血液型カテゴリー数=12-4=8留意点:必ず、ST=SA+SE、fT=fA+fE となります。不偏分散を求めます。全体変動の不偏分散:VT=ST/fT=1,167÷11=106.1群間変動の不偏分散:VA=SA/fA=807÷3=269.0誤差変動の不偏分散:VE=SE/fE=360÷8=45.0分散分析表計算された結果を表3のようにまとめた表を分散分析表といいます。分散比を求めます。分散比が検定統計量T値です。F分布の有意水準5%の棄却限界値を求めます。Excel関数 =FINV(有意水準,fA,fE)=FINV(0.05,3,8)→ Enterキー → 4.07F分布のT値=5.98となるp値を求めます。Excel関数 =FDIST(T値,fA,fE)=FDIST(5.98,3,8) → Enterキー → 0.019表3 分散分析表相関比は次によって求められます。●公式【相関比無相関の検定】F検定帰無仮説:母集団の相関比は0である対立仮説:母集団の相関比は0でない留意点 この解析は一元配置法とも呼ばれ、下記の仮説にも適用できる帰無仮説:母集団のカテゴリー平均はすべて等しい対立仮説:母集団のカテゴリー平均は異なる1)T値による検定T値=分散比>棄却限界値帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる2)p値による検定p値<有意水準帰無仮説を棄却でき、対立仮説を採択できる今回のポイント1)F検定は、母集団における相関比が無相関であるかないかを調べる検定方法!2)関連性判定1)T値による方法T値=分散比>棄却限界値のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!3)関連性判定2)p値による方法p値<有意水準のとき、帰無仮説を棄却して対立仮説を採択し、母集団の相関比は0ではないといえる!インデックスページへ戻る