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第15回 「戦時と平時の医療体制」支えられる?国の危うい台所事情

政府の2020年度第2次補正予算では、新型コロナウイルス対策の医療提供体制の整備に1兆6,279億円が計上された。「大盤振る舞い」との声もあるが、新型コロナの感染第2波・第3波に備え、「コロナ対応の医療体制」と「通常の医療体制」の両方の整備が急務となっている中、第2次補正予算だけでは不十分であることが明らかになってきた。その根拠となるのが、健康保険加入者の6割をカバーする社会保険診療報酬支払基金が7月1日に公表した4月分の診療報酬請求件数だ。総計は7,432万件で、前年同月比22.9%減、金額は9,460億円で同10.2%減となった。金額で言うと、1,070億円のダウンだ。内訳は、いずれも前年同月比で、入院が6.3%・203億円、入院外が16.0%・645億円、歯科が12.7%・125億円それぞれ減少した。とりわけ入院外と歯科の落ち込みが大きく、医科・歯科診療所が大きく減収していることだろう。都道府県別に金額ベースで見ると、入院外では東京(23%)、福井(22%)、埼玉(21%)、神奈川(20%)などで落ち込み幅が大きく、歯科では東京(26%)、神奈川・福井(20%)、埼玉(19%)の落ち込みが目立った。しかし、第2次補正予算による医科・歯科診療所への支援は限定的だ。感染拡大防止対策への支援(2020年4月1日~21年3月31日の実費補填)の上限は、無床診療所(医科・歯科)が100万円、有床診療所(医科・歯科)が200万円にすぎない。医療従事者への慰労金は1人5万円だ。持続化給付金、家賃補助もあるが、減収5割超などと要件が厳しい。国民健康保険団体連合会はまだ発表していないが、同様の傾向が予想される。その場合、両団体を合わせると、4月だけで2,000億円ほどダウンしているのではないだろうか。4月7日~5月24日の緊急事態宣言の期間を踏まえると、7月までに1兆円近いダウンが予想される。これほどの赤字が累積し、経営が危機的な状況にある中、交付金が支払われるとはいえ、“戦時”と“平時”の医療体制を並行して整えるのは簡単な話ではない。問題は、医療機関の減収だけではない。全国保険医団体連合会(保団連)では、「受診抑制、乳幼児の予防接種・健康診断控えによって、慢性疾患の悪化、重大疾患の見落としなど、国民の健康への悪影響が危惧される」と警鐘を鳴らす。このような状況が続く先には事業縮小や廃業、倒産による医療崩壊が懸念される中、自民党の「新型コロナウイルス関連肺炎対策本部」(本部長=田村 憲久・政調会長代理)は7月6日、厚生労働省に対し、国民が従前の受診行動に戻るための方策と、それまでの間の医療機関の減収への対策を講じるように求めた。また、超党派の「コロナと闘う病院を支援する議員連盟」(幹事長=増子 輝彦・国民民主党参議院議員)が翌7日、設立総会を開いた。病院だけでなく、診療所や歯科、薬局など医療関係施設を対象に、長期的な支援体制の構築を目的としている。事の重大さに気付いていないのか、あるいは知らないふりをしているのか、政府の対応にはいまひとつ危機感が感じられない。コロナ禍は一向に収まる気配がなく、地域によっては激甚災害級の豪雨に見舞われダブルパンチの状態だ。政府には、「これまで経験がない」ことを盾にせず、前例や慣例にとらわれない医療機関に対する一層の支援を求めたい。

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全粒食品摂取量と2型DMリスクは逆相関/BMJ

 全粒穀物およびいくつかの全粒食品(全粒朝食用シリアル、オートミール、ライ麦パン、玄米、ふすま入り、小麦胚芽など)の摂取量が多いほど2型糖尿病のリスクは有意に低下することが示された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYang Hu氏らが、3つの前向きコホート試験(米国看護師健康調査[NHS]、看護師健康調査II[NHS II]、医療従事者追跡調査)のデータを分析し明らかにしたもので、BMJ誌2020年7月8日号で発表した。これまで、全粒穀物摂取と2型糖尿病のリスク低下との関連は一貫していることが認められていたが、個々の全粒食品摂取との関連はあまり検討されていなかった。男女合わせて約19万5,000人を調査 研究グループは、NHS(1984~2014年)、NHS II(1991~2017年)、医療従事者追跡調査(1986~2016年)の参加者を対象に、全粒穀物の摂取量と、2型糖尿病発症の関連を検証した。 対象被験者は、ベースラインで2型糖尿病や心血管疾患、がんの既往がない、女性15万8,259人と男性3万6,525人。主要評価項目は、追跡アンケート調査時および検証済みの補足アンケート調査で確認された自己申告の2型糖尿病発症とした。身体活動レベルや喫煙の有無にかかわらずリスクは低下 延べ追跡期間461万8,796人年の間に、1万8,629人が2型糖尿病を発症した。全粒穀物の1日総摂取量について、3つのコホートをそれぞれ5つのグループに等分し、2型糖尿病発症との関連を分析した。 糖尿病のリスク因子となるライフスタイルや食事内容で補正後、全粒穀物摂取量の最大五分位群は、最少五分位群に比べ、2型糖尿病リスクが29%(95%信頼区間[CI]:26~33)低かった。 全粒食品の種類別にみると、コールド全粒朝食用シリアルについて1日に1サービング以上摂取群は1ヵ月1サービング未満群に比べ2型糖尿病発症に関する統合ハザード比(HR)は、0.81(95%CI:0.77~0.86)だった。ライ麦パンの同HRは0.79(0.75~0.83)、一方でポップコーン摂取の同HRは1.08(1.00~1.17)だった。 摂取量が平均して少ないその他の全粒食品について、1週間に2サービング以上摂取群は1ヵ月に1サービング未満群に比べて同統合ハザード比は、オートミールが0.79(95%CI:0.75~0.83)、玄米は0.88(0.82~0.94)、ふすま入り食品は0.85(0.80~0.90)、小麦胚芽は0.88(0.78~0.98)だった。 スプライン回帰分析の結果、全粒穀物摂取量と2型糖尿病リスクには、非線形用量反応関係がみられ、同リスク減少の最大水準は1日2サービング超だった(曲率に関するp<0.001)。また、コールド全粒朝食用シリアルとライ麦パンでは、割合低下は1日約0.5サービングでプラトーに達した。ポップコーンの摂取についてはJカーブの関連性が認められ、その摂取量が1日1サービングを超えるまでは2型糖尿病率の有意な上昇はみられなかった。 全粒穀物摂取量の増加と2型糖尿病リスク減少の関連性は、痩せている人のほうが、過体重または肥満者に比べ強かった(相互作用に関するp=0.003)。同関連性は、身体活動レベルや糖尿病家族歴、喫煙の有無にかかわらず認められた。

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第15回 凋落の東京女子医大、吸収合併も現実味?

看護師退職希望が400人超こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週も書きましたが、東京の新型コロナウイルス感染症患者の数が減っていきません。この状況下で、国は7月22日から国内観光需要喚起を目的とした「Go To Travelキャンペーン」をスタートさせようとしています。地方への感染拡大が気になるところですが、このキャンペーン、旅行者が事務局に還付を申請する仕組みもあるようで、何やら特別定額給付金のときのような混乱がまた起こるのではと、イヤな予感がします。さて、今回気になったのは、東京女子医科大学病院(東京)で看護師の退職希望者が400人を超えた、というニュースです。この事実が全国に広まったきっかけは、7月2日の参議院厚生労働委員会です。日本共産党の小池 晃書記局長が、新型コロナ対応で経営危機に直面している医療機関の支援措置を政府に要請しました。その際、東京女子医大の名を挙げ、同大が「夏季一時金を支給しない」と労組に回答したことに言及、さらに看護師の退職希望が法人全体の2割にあたる400人を超えている、と指摘したのです。7月3日付けのしんぶん赤旗によれば、小池氏は「大学側にも責任がある」としつつ、コロナ感染症対策の先頭に立つ医療機関が経営危機に直面している事実を指摘。コロナ患者を受け入れた医療機関だけでなく、受け入れていない医療機関も経営が悪化しているとして、「日医や病院団体が要求しているように、過去の診療実績による概算払いを認めるなど、当面の資金ショートやボーナスカットを回避する緊急措置が必要だ」と迫ったそうです。コロナで約30億の赤字コロナ患者への対応で疲弊した職員にボーナスを払わない、400人超の看護師が離職しようとしている、というニュースは医療メディア以外にもインパクトがあったようで、日刊ゲンダイのほか、多くの一般メディアもこのニュースを取り上げました。同大学の労働組合のホームページには、「組合だより」が公開されています。そこに書かれた大学側と組合の交渉経緯によれば、大学側は「コロナ感染の影響は想像以上に大きい。4月、5月の2カ月間で30億円近いマイナスとなっている。現状では上半期賞与を支給する要素は全くない」として、ボーナスゼロの回答を行ったようです。7月8日の日刊ゲンダイはこうした大学側の対応への職員の声として、「実際、同大の看護師が投稿したとみられる口コミサイトには、<コロナ騒動の際も毎日出勤していたが、ボーナスなしの仕打ち。大学側からは大学の運営のために我慢しろという回答><コロナ対応など必死に取り組みました。世間も医療関係を応援してくれています。なのにこの法人はコロナ赤字でボーナス0><コロナを受け入れて経営悪化。危険手当なし、夏季ボーナスなし>……など怨嗟の声で溢れている」と書いています。「最終的にベッド数に見合った看護師を補充すれば良い」6月29日発行の「組合だより」に書かれた団体交渉のやり取りを見ると、「看護師の退職希望者の予想数が400名を超えると聞いたが、そのことに対してどう考えているのか」という質問に対し、大学側の代理人である弁護士は「深刻だとは思うが、足りなければ補充するしかない。現在はベッド稼働率が落ちているので、仮に400名が辞めても何とか回るのでは。最終的にベッド数に見合った看護師を補充すれば良いこと。申し訳ないが、これは完全に経営の問題であり、組合に心配してもらうことではない」と答えたとのことです。ボーナスの交渉は、労使のあいだの問題なので外野がとやかく言うことではありませんが、この弁護士の言葉が東京女子医大の経営者の考えを本当に代弁しているとしたら、とても残念なことです。看護師を単なる診療報酬を得るためのコマとしか考えていないように見えるからです。また、コロナによる影響で収入が激減しボーナスが払えない、とのことですが、それはどこの医療機関でも同様な状況にあるわけで、東京女子医大だけが特別ではありません。7月13日のNHKニュースは「医療機関の3割で夏のボーナス引き下げ」として、日本医療労働組合連合会が加盟する医療機関を対象に今年の夏のボーナスについて調査した結果を報じています。それによると、6月30日の時点で回答した338の医療機関のうち、およそ3割にあたる115の医療機関でボーナスの額が去年より引き下げられていたということです。このコロナ禍の中、3割は引き下げるものの、7割の医療機関は昨年並にボーナスを払おうとしているわけです。特定機能病院、承認未だ取り消し中東京女子医大病院については、最近は悪い話しか聞こえてきません。同院は2014年に人工呼吸中の2歳10ヵ月の男児に、ICUの小児には「原則禁忌」(当時)とされていたプロポフォールを大量投与し、結果として患児が死亡するという医療事故を起こし、2015年に特定機能病院の承認を取り消されています。同院が特定機能病院の承認取り消しにあったのは2度目です。1度目は2002年で(2007年に再承認)、前年に起こった日本心臓血圧研究所(心研、現:心臓病センター)の医療事故がきっかけでした。当時12歳の患者が心房中隔欠損症と肺動脈狭窄症の治療目的で手術を受けたものの、脱血不良で脳障害を来し、死亡したという事故です。この事故については、その後起訴された医師の1人(人工心肺装置の操作を担当した助手)が裁判で無罪となっています。その背景には、東京女子医大が設置した院内事故調査委員会の報告書がありました。同委員会には心臓血管外科医や人工心肺のことがわかる人が1人もおらず、死亡した手術に携わった当事者の意見聴取すらされないままに報告書が作成されていたのです。このことが後に判明し、報告書の内容は否定されています。2015年に取り消された東京女子医大の特定機能病院の承認は、今も再承認に至っていません。取り消し直後は、患者数の激減や私学助成金の減額等で、経営状況の悪化や経営陣の内紛に関する報道もありました。2019年には理事長が交代し、新体制で特定機能病院の再承認を目指していた矢先の、今回の新型コロナ感染症の感染拡大です。病院も大学も経営の舵取りはますます難しくなっているとは思いますが、職員の働きをリスペクトするような経営を行ってもらいたいものです。疲弊と不満が現場に広がってしまっては医療安全上も心配です。どこか似ているフジテレビと女子医大東京女子医大は1970〜90年代には、日本の大学病院としては最先端の経営を行っていました。心研をはじめ、消化器病・脳神経・腎臓病の各センターなど、臓器別のセンター方式をどこよりも早く導入、それぞれにスター教授を配して、臨床だけではなく、研究でも最先端をいっていました。80~90年代にかけ、私はよく新宿区河田町にある東京女子医大病院に取材に通っていました。隣にはお台場に移転する前のフジテレビ本社がありました。フジテレビも「オレたちひょうきん族」のヒットなどで、視聴率で在京キー局のトップを走っていたと記憶しています。あれから30〜40年が経ち、どちらも昔日の面影はありません。フジテレビでは最近、女子プロレスラーを自殺に追い込んだ「テラスハウス」事件がありました。週刊誌などの報道では、出演者を「視聴率をとるためのただのコマ」としか考えない、テレビ局側の姿勢が問題視されています。どこでどう間違ってしまったのでしょうか…。東京女子医大は、このまま経営難が続けば、ことあるごとに噂になる早稲田大学による吸収合併も現実味を帯びてくるかもしれません。

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HIV感染症患者は新型コロナウイルスに罹りにくいのか?【新興再興感染症に気を付けろッ!】

ケアネットをご覧の皆さま、こんにちは。国立国際医療研究センター 国際感染症センターの忽那です。本連載「新興再興感染症に気を付けろッ!」、通称「気を付けろッ」は「新興再興感染症の気を付け方」についてまったりと、そして時にまったりと、つまり一貫してまったりと学んでいくコーナーです。1年半ぶりに復活! 今回も少数精鋭の読者に向けてと何事もなかったかのように普通に冒頭を書き出してみましたが(正確に言うと前回の文章をコピペした)、実に1年半ぶりの再開です。この1年半、いろいろなことがありました…。「ピエール瀧の逮捕」、「沢尻エリカの逮捕」、そして「新型コロナウイルスの流行」…。ピエール瀧と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を並べて書いたのは私が世界初ではないでしょうか。そんなわけで、「新興再興感染症」という誰も興味のなさそうなテーマの連載でしたが、よく考えたら「今しか注目されるときはないんちゃうか」というタイミングであり(むしろ若干タイミングを逃した感あり)、「医療界の冨樫」がついに重い腰を上げたわけです。というわけで、冨樫義博先生(漫画家)を見習って10回くらいの予定で(打ち切られなければ)、新型コロナウイルスに関する話題を皆様にご提供したいと考えております。ときどき「Yahooの記事とほぼ同じやないか!」と思われる回が登場するかもしれませんが(予言)、それはご愛嬌ということでよろしくお願いします。でもね、Yahooの記事って「いつも読んでます!」とかめっちゃ言われるんですが、この連載でそんなこと言われたことほとんどないんですよ、悲しいことに。たぶん5人くらいしか読んでないんじゃないでしょうか。まあどっちにしても原稿料はもらえるし、別に5人でも構いません。少人数制で頑張っていきましょう。HIV治療薬とCOVID-19の治療薬?の関係それでは5人の読者の皆様、お待たせいたしました、新型コロナシリーズ第1回は「HIVとコロナ」です。HIV感染症と言えば世界3大感染症の1つであり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することでCD4陽性リンパ球が減少し、細胞性免疫不全が起こる疾患です。日本でも約3万人の感染者がおり、今もなお年間1,000人以上が新規患者として診断されています。CD4数が低下すると「日和見感染症」と呼ばれるニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス網膜炎などの感染症に罹患しやすくなり、また、一般の感染症に罹患した際も重症化しやすいとされます。しかし、一般的にHIV感染症の患者さんも“ART(Antiretriviral Therapy)”と呼ばれる抗HIV薬を組み合わせた治療を行えば、CD4数は正常の範囲を保つことができることが多く、その場合は日和見感染症に罹るリスクはほとんどなくなります。では、HIV感染症の患者がCOVID-19に感染した場合、重症化するのでしょうか。「COVID-19の悪化にはサイトカインストームが関与しており、免疫反応が弱いHIV感染症患者では重症化しないのではないか」という仮説を唱えている人もいるようですが、この辺はまだ結論が出ていません。まだプレプリントですが、HIV感染症患者はHIV-negativeの人と比べて死亡リスクが高いという南アフリカの大規模コホート研究があります。その前に、そもそもHIV感染症の患者はCOVID-19に感染するのでしょうか? 答えはもちろんイエスであり、国内最初のHIV感染症患者のCOVID-19症例は我々が診断しています(てへん)1)。しかし、「HIV感染症の患者でART中の方はCOVID-19に罹患しにくいのではないか」という説がまことしやかに囁かれていました。正確には私自身が囁いていました。なぜならば、一部の抗HIV薬はin vitroでは新型コロナウイルスに活性があるためです。一時期、国内でもCOVID-19症例の治療にカレトラが使用されていましたが、これはリトナビルというプロテアーゼ阻害薬がSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスにin vitroで活性があるためでした2)。しかし、リトナビル/ロピナビルの合剤であるカレトラはRCTで有効性を示せず3)、現在カレトラはCOVID-19の治療では積極的に使用されなくなっています。しかし、今度は核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTIs)が新型コロナウイルスに動物実験系では有効性を示したという報告も出てきており4)、「何だやっぱりARTはCOVID-19に効くんじゃないか」という揺り戻しが起こっていました。最新の臨床研究からみてみたさて、そんな中、ついに「実際にARTを受けているHIV感染症患者はCOVID-19に罹っているのか」という命題に応える臨床研究が出ました5)。概要としては、スペインでARTを受けている77,590人のコホート研究で、このうち236人がCOVID-19と診断され、151人が入院し、15人がICUに入院し、20人が死亡した。COVID-19の診断および入院のリスクは、男性および70歳以上の高齢者で高かった。1万人あたりのCOVID-19の入院リスクはテノホビル アラフェナミド/エムトリシタビン(TAF/FTC)投与群で20.3(95%CI、15.2~26.7)、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩//エムトリシタビン(TDF/FTC)投与群で10.5(CI、5.6~17.9)、アバカビル/ラミブジン(ABC/3TC)投与群で23.4(CI、17.2~31.1)、その他のレジメン投与群で20.0(CI、14.2~27.3)であった。1万人あたりのCOVID-19罹患(診断)リスクは、それぞれTAF/FTC投与群で39.1(CI、31.8~47.6)、TDF/FTC投与群で16.9(CI、10.5~25.9)、ABC/3TC投与群で28.3(CI、21.5~36.7)、その他のレジメン投与群で29.7(CI、22.6~38.4)であった。TDF/FTCを受けた患者でICUに入院した患者や死亡した患者はいなかった。比較対象として、同期間のスペインの20~79歳の一般集団では、COVID-19の診断リスクは1万人あたり41.7人(医療従事者を除くと1万人あたり33.0人)であり、死亡リスクは1万人あたり2.1人であった。というものであり、このコホート研究からはやはり「ART中、特にTDF/FTCを飲んでいるHIV感染症患者ではリスクが多少低くなるかもしんまい!」ということが言えそうです。現在、TDF/FTCを内服していた患者は腎臓や骨への副作用が少ないTAF/FTCへの切り替えが行われていることが多いと思いますが、思いがけずTDF/FTCの方が優れた結果になっていますが、これはTDFの方がTAFよりも血漿中および細胞外濃度が高いためではないかと考えられます(もともとTAFはTDFよりも効率的にリンパ球などの標的細胞に取り込まれるというのがTAFのメリットだったわけですが)。ARTを受けていない患者では、非HIV感染者と比較してどうかはこの研究からはわかりません。結論はまだ出ていないこうなってくると、HIV感染症じゃない人もCOVID-19予防効果を期待してTDF/FTCを内服したいという人が出てきそうですが、これはあくまでコホート研究ですので、一時期のトランプ大統領のように結果的に「ヒドロキシクロロキン、やっぱ効果ありませんでした」みたいな結果にならないとも限りませんし、スペインの単施設の研究ではテノホビルを内服していた方がCOVID-19に罹患しやすかったという真逆の結果の報告も出ています6)ので、とりあえず今行われているRCTの結果を待ちましょう。ちょっと1年半ぶりで気合が入りすぎてしまったかもしれません。次回からはもう少し適当に書きたいと思います。それでは(たぶん)また2週間後にお会いしましょう!1)Nakamoto T, et al. J Med Virol. 2020;10.1002/jmv.26102. doi: 10.1002/jmv.26102.2)de WildeAH, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2014;58:4875-4884.3)Cao B, et al. N Engl J Med. 2020;382:1787-1799. 4)Park SJ, et al. mBio. 2020;11:e01114-20.5)Del Amo J, et al. Ann Intern Med. 2020. doi: 10.7326/M20-3689.6)Vizcarra P, et al. Lancet HIV. 2020;S2352-3018(20)30164-30168.

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レジ袋有料化は薬局でも義務?薬袋代わりのポリ袋は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第50回

2020年7月1日より、プラスチック製買い物袋(いわゆるレジ袋)の有料化が義務付けられました。薬局では薬を交付する際に、領収証やその他の商品などもまとめてレジ袋に入れてお渡しすることが多いのではないかと思いますが、このレジ袋の有料化はスーパーやコンビニ同様に薬局でも義務なのでしょうか。まず、レジ袋が有料化の対象となる事業者ですが、経済産業省のサイトにある制度概要を確認してみると、「プラスチック製買物袋を扱う小売業を営むすべての事業者」とあり、その例として医薬品・化粧品小売業も明記されているため、薬局やドラッグストアも対象であることがわかります。「え、もしかして薬袋も有料!?」と思ったのは私だけではないはずです。どういった袋が対象になるのでしょうか。薬局によっては、紙の薬袋に薬を入れている薬局や、チャック付きのポリ袋に用法用量などを記載した紙を薬と一緒に入れている薬局など、さまざまな対応があります。紙の薬袋はそもそも対象外ですが、薬袋として使用しているチャック付きのポリ袋は、「薬剤師法・獣医師法に基づき、調剤された薬剤の被包(薬袋)」に該当することがガイドラインに明記されており、今回の有料化の対象からは除外されています。おおむね有料化は避けられないが例外ありその薬袋やその他の医療材料などを入れるレジ袋についての規制を見ていきましょう。今回の有料化の対象となるレジ袋は、「購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製買物袋」です。ただし、この規制は環境へ配慮することが目的であるため、以下3点のように環境性能が認められ、その旨の表示があるレジ袋は対象外となっています。(1)プラスチックのフィルムの厚さが50μm以上のもの(繰り返し使用が可能であるため)(2)海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの(海洋環境下で自然界へ循環するため)(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のもの(CO2総量を変えない素材の割合が多いため)薬局で使用するレジ袋は、おおむね有料化が義務付けられることになりそうですが、普段何げなくもらっているものなので、「薬局も!?」「薬をそのまま持って帰るの?」と思われる患者さんもいるかと思います。上記の有料化対象外の素材のレジ袋は、従来の素材のレジ袋よりも高価ですので薬局の負担は大きくなりますし、在庫の問題からもすぐに切り替えは難しいかもしれませんが、大きい・重い製剤の場合だけでも有料化対象外のレジ袋にしたり、紙袋に変更したりするという選択肢もアリかもしれません。また、薬局などへ向けて、2020年6月30日付で厚生労働省保険局医療課から疑義解釈が出されています。「療養の給付とは直接関係のないサービスなどについて患者から実費を徴収することは、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(いわゆる薬担)に抵触しないのか?」という疑問に対して、レジ袋代は、「療養の給付と直接関係ないサービスなどの費用に該当するため抵触しない」とされています。コロナ禍のどさくさに紛れてスタートした感が否めないレジ袋有料化ですが、現時点で薬局でのトラブルは耳にしておらず、ホッとしています。せっかくの機会ですので、目の前のことだけでなく、先のことを考えて患者さんに寄り添うサービスを少し広い視野で見直してみてはいかがでしょうか。参考1)プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン(経済産業省、環境省)2)事務連絡 疑義解釈資料の送付について(その20)(厚生労働省保険局医療課)

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セルメチニブが希少疾病用医薬品に指定/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社は、セルメチニブ硫酸塩(以下「セルメチニブ」という)が希少遺伝性疾患の神経線維腫症1型(以下「NF1」という)の治療薬として、わが国で希少疾病用医薬品指定*を取得したと発表した。*希少疾病用医薬品指定とは、患者数が5万人未満で、アンメットメディカルニーズが高い疾病の治療を目的とした医薬品に対して行われている指定。通常の保険適用とは異なる。幼児期から始まり、平均余命も削る希少疾病 NF1は3,000~4,000人に1人が罹患する遺伝性疾患。NF1遺伝子の自発的あるいは遺伝的変異により発症し、皮膚あるいは皮下の柔らかい塊(皮膚の神経線維腫)、皮膚色素沈着(カフェ・オ・レ斑)、および患者の30~50%にみられる叢状神経線維腫(以下「PN」という)を含む多くの症状を伴う。これらのPNは、外見の変化、運動機能障害、疼痛、気道機能不全、視覚障害、腸や膀胱の機能不全および変形などの病的状態を引き起こす可能性がある。PNは幼児期に始まり、重症度は多岐にわたる。また、この疾患により、平均余命が8~15年短縮する可能性もある。がんの活性化を抑えるセルメチニブの特徴 治療薬として期待されるセルメチニブは、同社とMSDが共同開発、商業化を進めている薬剤で、2020年4月に「症候性かつ手術不能なPNを有する2歳以上のNF1小児患者に対する治療薬」として米国では承認されている。また、PNを有するNF1を適応症とする承認申請が欧州医薬品庁によって受理・審査中であり、その他の地域でも承認申請を検討している。なお本剤はわが国では現在未承認。 同薬剤は分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MEK1/2阻害剤)である。MEK1/2タンパクは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)経路の上流調節因子で、MEKとERKはともに、RASによって調節されるRAF-MEK-ERK経路の重要な構成要素であり、さまざまな種類のがんで活性化されることが多い。単剤投与で66%の客観的奏効率 米国国立がん研究所の米国癌治療評価プログラムによるSPRINT試験(手術不能なPNを有するNF1小児患者を対象にセルメチニブ単剤療法を行い、客観的奏効率や患者報告アウトカムおよび機能転機への影響を評価するもの)の第I相および第II相のStratum1における客観的奏効率(ORR)は、セルメチニブ単剤を経口投与(1日2回)したPNを有するNF1の小児患者において66%(50例中33例、部分奏効を含む)を示した。ORRは、完全奏効または20%以上の腫瘍縮小を評価基準とする部分奏効が確認された患者数から算出している。 同社では、「NF1は、ほとんどの国でその治療選択肢は限られており、今回の指定は、NF1に対する初の治療薬を日本の小児患者に提供できる重要な一歩となる」と今後の発展に期待を寄せている。■関連記事コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

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ヨーロッパの空手【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第13回

東京でのオリンピック、パラリンピック、延期になっちゃいました…。今回は「空手」が初の競技種目に選ばれて、期待していただけに今後の動向が気がかりです。タイトルでガッツリアピールしていますが、私も学生時代から空手をやっています。大学6回生のときに、フランスの世界大会と台湾のアジア大会の代表に選出され、大学に休学届を出したことがあります。どうしても1年、「本気で空手で勝負してみたい」と突っ走った結果です。ですが、休学の意向を学生課に伝えた、まさにその日の午後に、当時アジアを中心に流行していた重症急性呼吸器症候群(SARS)のために、上記の大会が中止になったと連絡を受けました。慌てて学生課に休学の撤回を申し出たら、まだ書類は学生課で止まっていて、何とか差し止めることができました。まあ、結局は学外病院実習先などに多大な迷惑をかけることになりましたが。今思い出しても、申し訳なさと恥ずかしさで布団の中に潜り込みたくなるような思い出です。当時の私はいろんな意味でギリギリであり大学に戻り、(たくさんの人にコッテリ絞られましたが…)留年することなく無事医師になることができました。しかし、もう引き返せないところまで追い込まれた状態でオリンピックが延期になって、その開催すら危ぶまれている中、モチベーションを切らさずに準備をしている選手たちのことを思うと胸が苦しい気持ちになります。ヨーロッパのアスリートも魅了される空手空手は日本の沖縄が発祥とされています。ですが、今や空手は世界中に広がり、「空手母国日本」と言えど、世界で勝つことは簡単ではなくなっています。実はヨーロッパでも空手は盛んで、ここドイツでも至る所に空手道場があり、たくさんの愛好者が汗を流しています。その他もフランスやスペイン、イタリアなども強く、いつもメダル争いに絡んできます。現在の空手競技はヨーロッパが中心と言っても過言ではありません。下の画像はミュンヘンで通っていた道場です。現役ヨーロッパチャンピオンも在籍していました。そんなドイツの空手界で長く君臨し続けている一人の空手家が“Ilja Smorguner”です。マイナー競技の空手なので、知っている人は極めて少ないと思いますが…。もう10年以上、世界大会の上位常連として空手雑誌でもしょっちゅう写真で登場する選手です。下のツーショット、左が私で、右がIljaです。念のため。ず~っと世界のトップ選手でやってきた彼も今年で36歳。引退しないの? の質問に、「やっぱオリンピック出たいしね。無理してでも」とのことでした。一流アスリート達が人生を懸けて挑むオリンピック…ですが、今年はそれどころじゃないかな~。せめて来年、オリンピックが開催できるようになっていることを、心から願っています。

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こんなときだから、自分のため&社会のためにぜいたくしよう!【医師のためのお金の話】第34回

新型コロナウイルス感染症のため、東京オリンピックは1年延期されました。さらに緊急事態宣言が発令されたため、多くの事業者が大打撃を被りました。その中でも、ホテル業界は、消費者の巣ごもりと東京オリンピックの延期によって不振を極めています。本来、東京オリンピックは2020年7月24日~8月9日の日程で開催される予定でしたが、1年延期されたために同時期の宿泊予約が軒並みキャンセルになりました。オリンピックの延期が決まってから一気に客室が供給されたため、本来ならハイシーズンのはずの8月前半からお盆にかけての都内ホテルの宿泊料金は、例年に比べて信じられないほど値下がりしています。この状況は、クラブフロアを擁するような高級ホテルも例外ではありません。どうせならば、「クラブフロア」に宿泊をクラブフロアとは、五つ星の高級ホテルの特別階に存在するエリアで、出入りできるのはクラブフロアの宿泊者のみ。外来者はもちろん、通常フロアの宿泊客も出入りできません。詳細は第23回 ホテルの「クラブフロア」を使ってみよう!を参照いただきたいのですが、クラブフロアの宿泊には下記のような特典が含まれることが多いです。クラブラウンジを利用できるジムやプールが無料になるクラブラウンジでチェックインやチェックアウトができる駐車場が無料になるクラブフロア内にあるクラブラウンジでは、各種おつまみや軽食、そして夕方以降にはアルコールを無料で楽しめます。本稿執筆時(2020年6月)では、新型コロナウイルス感染症の影響でおつまみや軽食の提供が中止され、クラブラウンジのサービスが縮小されているホテルもあります。しかし、流行が終息に向かえば、全面的に再開されていくことでしょう。お盆時期の都心ホテルは穴場!私がクラブフロアを頻回に利用したのは2008~2009年でした。この時期はリーマンショック後で景気が冷え切っており、格安でクラブフロアに宿泊することができました。都内をはじめ日本全国のいろいろなホテルのクラブフロアに宿泊したことは非常に良い思い出になりました。無料でプールやジムを利用できたり、1日5回のフードプレゼンテーションがあったり。ホスピタリティの高さも格別です。このような特典があるにもかかわらず、当時は1泊3万円台から宿泊できるホテルがたくさんありました。しかし、2013年からの好景気でクラブフロアの宿泊料金が高騰したためお得感がなくなり、しばらく足が遠のいていました。しかし、今回のコロナ禍のために、クラブフロアの宿泊料金は再び低下しています。普段から、都心ホテルのクラブフロアは、ゴールデンウイーク、お盆、年末年始などの時期でもリゾートホテルほどに宿泊料金が高くなりません。これに加えて今年は東京オリンピックの延期も重なり、クラブフロアが投げ売りされている状況なのです。お子さんのいる方は夏休み短縮に注意! 「お盆の時期に1泊3万円台で都内のクラブフロアに宿泊できる!」そう言うと、思わず旅行サイトで予約ボタンをクリックしそうになる方も多いことでしょう。しかし、ちょっと待ってください! 予約の際には家族の予定をきっちり確認する必要があります。「何言ってんの、お盆の時期だから大丈夫」と思うのは早計です。今年は、小学生から高校生まで、学校の夏休みが短縮されるケースが多いからです。周知のように5月も臨時休校となった地域が多いですが、臨時休校した学校では夏休みを返上して授業が行われる可能性が高いです。せっかくお盆の時期にクラブフロアを予約しても、子供の夏休みがなくなっては家族での利用は難しいですから…。不況時こそ、少しのぜいたくを楽しもう注意点はあるものの、お子さんがいない方などは、ぜひ夏季休暇にクラブフロアでの宿泊を検討してみてください。不況時にはみんなが縮こまってしまい、ますます世の中の雰囲気が悪くなります。この数ヵ月、職場でコロナの患者さんを受け入れ、大変な思いをされた方もいるでしょう。また、コロナ余波の患者減で収入面での打撃を受けた方も多いかと思います。それでも、医師には世間一般よりは余裕のある方が多いですし、大変だった自分をねぎらってまた頑張るためにも、少しのぜいたくとリフレッシュは大切です。世の中を助けるためにも、ちょっとしたぜいたくを格安で楽しみましょう。

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第24回 ドクターに頼まれて隣の薬局を買いました!【噂の狭研ラヂオ】

動画解説職員が全員辞めてしまう難局を乗り越え、在宅訪問事業を確立したファーマ・プラスの小黒佳代子先生。医師が訪問診療に向かう時間に合わせて情報提供メールを送るなど、患者さんにも医師にも喜ばれる工夫を続けてきました。その信頼度は医師に「君とは離れられない」と言われるほど。「君とは離れられないから…診療所の隣の薬局買ってよ」と医師。そのとき小黒先生は?

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米国・3人に1人が新型コロナ消毒方法を間違える/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以来、米国では洗剤や消毒薬曝露に関する毒物センターへの問い合わせが急激に増加している。そこで、米国疾病予防管理センター(CDC)COVID-19 Response TeamのRadhika Gharpure氏らが米国人の消毒薬の使用状況を調査した。その結果、洗剤や消毒薬の安全な準備・使用・保管に関する知識には個人差が見られ、回答者の約3分の1は「食品へ漂白剤を使用」「皮膚に家庭用洗浄剤や消毒薬を使用」「洗剤や消毒薬の吸入または摂取」など、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染を防ぐためには推奨できない方法をとっていたことが明らかになった。研究者らは、手指衛生や手で触れやすい場所の清掃や消毒など、家庭でのSARS-CoV-2感染予防のための根拠に基づく安全な清掃・消毒の実践法について、引き続き強調する必要があるとしている。2020年6月12日CDC・Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)掲載の報告。 研究者らは2020年5月4日、調査企業のPorter Novelli Public Services と ENGINE Insights を介してパネル型のインターネット調査を実施。対象者は18歳以上の米国成人で、502人が回答した。調査は、対象者を性別、年齢、地域、人種/民族、および教育などの組み合わせで分類し、クォータサンプリングが行われた。アンケートの質問内容は、家庭用洗剤や消毒薬の使用に関連する一般的な知識、考えなどについて。 主な結果は以下のとおり。・回答者の年齢中央値は46歳(範囲:18~86歳)で、52%が女性だった。・回答者の人種は、非ヒスパニック系白人(63%)、ヒスパニック系(すべての人種、16%)、非ヒスパニック系黒人(12%)、多民族またはその他の人種/民族(8%)だった。また、居住エリアは南部(38%)、西部(24%)、中西部(21%)、北東部(18%)だった。・回答者は、洗浄液と消毒薬を安全に準備する方法について限られた知識しか持っておらず、漂白剤の希釈調製に室温の水のみを使用すると回答したのは23%、漂白剤と酢を混合してはいけないと理解していたのは35%、漂白剤をアンモニアと混合してはいけないと理解していたのは58%だった。・一方、保護具の使用に関する知識を持つ回答者は多く、64%は洗剤や消毒薬使用時の眼の保護の必要性を理解し、71%は洗剤などを使用する際に手袋の着用が推奨されると回答した。このほか、洗剤や消毒薬の使用後に手洗いが必要(68%)、洗剤や消毒薬使用時には適切な換気が必要(73%)と回答した。保管に関して、回答者の79%は洗剤と消毒薬は子供の手の届かないところに保管する必要があると答えた。・回答者のうち60%は、SARS-CoV-2感染防止の目的で、家の掃除や消毒の頻度が前月に比べて高かった。・回答者の39%は食品(果物や野菜など)に漂白剤を使用し、18%は手や皮膚に家庭用洗剤や消毒薬を使用していた。さらに、回答者の6%は家庭用洗剤や消毒薬の蒸気を吸入し、希釈した漂白剤溶液、石けん水、およびその他の洗浄剤や消毒薬溶液を摂取、またはうがいした者がそれぞれ4%いた。・回答者の25%は前月に1つ以上の健康への影響を報告し、洗浄剤または消毒薬の使用が原因であると考えられた。その内訳は、鼻や副鼻腔への刺激(11%)、皮膚への刺激(8%)、目の炎症(8%)、めまい・立ちくらみ・頭痛(8%)、胃のむかつきまたは吐き気(6%)、呼吸障害(6%)だった。・SARS-CoV-2関連の清掃および消毒情報について、「最も信頼できる情報源を求める際に誰に尋ねたか」を質問したところ、上位3つの回答はCDC(65%)、州または地方の保健機関(49%)、医師・看護師などの医療従事者(48%)だった。

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経口JAK1阻害薬、中等症~重症ADに有用

 中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)に対する、1日1回服用の経口JAK1阻害薬abrocitinibの、第III相プラセボ対照無作為化試験の結果が発表された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らによる報告で、12歳以上の同患者における有効性および忍容性が確認された。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年6月3日号掲載の報告。 試験は青年および成人について、同一試験デザインを用いて、二重盲検・並行群間比較にて行われた。被験者は12歳以上で、少なくとも1年以上の中等症~重症ADと臨床診断され、直近6ヵ月以内に4週間以上の外用薬治療を受けたが十分な奏効が得られなかった患者とした。オーストラリア、ブルガリア、カナダ、中国、チェコ、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、ラトビア、ポーランド、英国、米国の計115施設で2018年6月29日~2019年8月13日に被験者の登録が、2019年9月13日~10月25日にデータ解析が行われた。 適格患者は、2対2対1の割合で(1)経口abrocitinib(1日1回)200mg群、(2)同100mg群、(3)プラセボ群に無作為に割り付けられ、12週間投与を受けた。 主要評価項目は2つで、12週時点でInvestigator Global Assessment(IGA)反応(0:クリア、1:ほぼクリアのうち2グレード以上の改善を伴う)を達成した患者の割合、同じくEczema Area and Severity Indexスコア75%以上改善(EASI-75)を達成した患者の割合であった。 主な副次評価項目は、12週時点のPeak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS)反応(4ポイント以上の改善)を達成した患者の割合。その他の副次評価項目は、EASIスコア90%以上改善(EASI-90)を達成した患者の割合であった。安全性は、有害事象および検査室モニタリングにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・計391例(男性229例[58.6%]、平均年齢35.1[SD 15.1]歳)が、解析に含まれた(abrocitinib 200mg群155例、同100mg群158例、プラセボ群78例)。・12週時点でデータが入手できた被験者において、200mgおよび100mg群は、プラセボ群と比べて、2つの主要評価項目がいずれも有意に高かった。 IGA達成の割合:59/155例(38.1%)・44/155例(28.4%)vs.7/77例(9.1%)、p<0.001 EASI-75達成の割合:94/154例(61.0%)・69/155例(44.5%)vs.8/77例(10.4%)、p<0.001・PP-NRS達成の推定割合も有意に高かった(55.3%[95%CI:47.2~63.5]・45.2%[37.1~53.3]vs.11.5%[4.1~19.0]、p<0.001)。・EASI-90達成の割合も高かった(58/154例[37.7%]・37/155例[23.9%]vs.3/77例[3.9%])。・有害事象は200mg群102例(65.8%)、100mg群99例(62.7%)、プラセボ群42例(53.8%)で報告され、重篤な有害事象は2例(1.3%)、5例(3.2%)、1例(1.3%)で報告された。・200mg群で、血小板数の減少(2例[1.3%])、検査室で確認された血小板減少症(5例[3.2%])が報告された。

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カリウムイオンを補足する非ポリマー型高K血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」【下平博士のDIノート】第53回

カリウムを便中に出す非ポリマーの高カリウム血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」今回は、高カリウム血症改善薬「ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(商品名:ロケルマ懸濁用散分包5g/10g、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、体内に吸収されない非ポリマーの無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させることにより、血清カリウム値を低下させます。<効能・効果>本剤は高カリウム血症の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年5月20日より発売されています。なお、本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用できません。<用法・用量>通常、成人には開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間(血清カリウム値や患者の状態に応じて最長3日間まで)経口投与します。以後の維持量は1日1回5gですが、血清カリウム値や患者の状態に応じて1日1回15gを超えない範囲で適宜増減できます。なお、増量を行う場合は5gずつとし、1週間以上の間隔を空けます。血液透析施行中の場合は、初回から1回5gを水で懸濁して、非透析日に1日1回経口投与します。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて、1日1回15gを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>本剤承認の根拠となった主要な第III相試験(非透析患者を対象としたHARMONIZE Global試験、J-LTS試験および慢性血液透析患者を対象としたDIALIZE試験)において確認された主な副作用は、浮腫、体液貯留、全身性浮腫、末梢性浮腫、末梢腫脹、便秘(いずれも10%未満)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、低カリウム血症(11.5%)、うっ血性心不全(0.5%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.このお薬は、消化管内で吸収される前のカリウムを吸着し、便とともに排泄することで、血液中のカリウム値を低下させます。2.分包された薬剤を容器にすべて出してから、約45mL(大さじ3杯)の水と合わせて服用します。この薬は水に溶けないため、よくかき混ぜて、沈殿する前に飲んでください。飲んだ後に容器に薬が残っていたら、水を追加して再度かき混ぜてすべて服用してください。3.飲み忘れた場合は、1回飛ばして、次に飲む時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲まないでください。4.いつもと違う手足のだるさ、力が抜ける感じ、筋肉のこわばり、呼吸のしにくさ、めまい、動悸などがある場合は、薬が効き過ぎている可能性があるため、すぐにご連絡ください。<Shimo's eyes>通常、カリウムは腎臓から排泄されて血中のカリウム値は一定の範囲に保たれますが、慢性腎臓病患者や透析患者では、腎機能の低下によりカリウム排泄が低下するため、高カリウム血症を発症しやすくなります。高カリウム血症に用いる既存のカリウム吸着薬としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム製剤(商品名:ケイキサレート)およびポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤(同:カリメート、アーガメイトゼリーなど)があり、いずれもポリマーで構成された陽イオン交換樹脂製剤です。既存薬には独特の味と舌触りがあり、投与量が多いことも相まって、患者さんが継続服用するのが困難な場合があります。飲みにくさを改善するために、ゼリー製剤やフレーバーが開発されているだけでなく、複数の医療機関から飲みやすさの工夫に関する研究結果も報告されています。また、ポリマー性吸着薬は水分によって膨張するため、便秘や腹痛、腹部膨満感などの懸念があります。本剤は国内初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させます。無味無臭の白色粉末で、開始時は10gを1日3回経口投与であるものの、3日目からは通常5gを1日1回となり、服用量・回数共に比較的少ないため、アドヒアランスの向上が期待できます。本剤の相互作用については、胃内pHの上昇によって、アゾール系抗真菌薬、チロシンキナーゼ阻害薬などの溶解性低下が起きることがあるので、注意が必要です。生活指導としては、腎臓への負担を少しでも減らすために、カリウムを多く含む食品の過剰摂取に注意することや、茹でたり水にさらしたりするなどの調理方法の工夫を伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 ロケルマ懸濁用散分包5g/ロケルマ懸濁用散分包10g

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腎性貧血患者に新たな治療選択肢を提供/グラクソ・スミスクライン

 6月29日、グラクソ・スミスクライン株式会社は、腎性貧血の経口低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ダプロデュスタット(商品名:ダーブロック)の製造販売承認を世界に先駆け、日本で最初に取得したと発表した。腎障害で苦しむ患者は約1,100万人 腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進するが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生できなくなることから、腎性貧血がよく起こる。また、腎機能の低下に伴い、腎性貧血の有病率も高くなる。現在は、主に赤血球造血刺激因子(ESA)注射剤による治療が行われている。 現在わが国では慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5の患者は1,090万人推定され、このうち約32%に貧血が見られるという。世界中では10人に1人がCKDに罹患しているとされており、2017年には本症が原因で100万人を超える人々が亡くなっている。経口投与で患者のアドヒアランスを向上させ得る 今回製造販売承認されたダプロデュスタット(以下「本剤」という)は、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素の阻害薬で、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を効能・効果とした治療薬。酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで、低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、赤血球産生や鉄代謝に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられている。本剤は、ESA注射剤と異なり、経口投与が可能で、低温保管の必要性がない新しい治療選択肢として開発された。 今回の承認は、主にわが国で実施された第III相試験における有効性および安全性の結果に基づいており、国内で実施された3つの第III相試験の概要は以下の通り。•ESA注射剤で治療中の血液透析患者271例を対象とした52週間のダプロデュスタットとダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)の比較試験•CKDステージ3~5の保存期患者(ESA注射剤による治療の有無は問わない)299例を対象とした52週間のダプロデュスタットとエポエチンベータペゴル(遺伝子組換え)の比較試験。この試験には、腹膜透析患者56例も含まれる(全例がダプロデュスタットを投与)•ESA注射剤で治療されていない血液透析患者28例を対象とした24週間の試験(全例がダプロデュスタットを投与) これらのほか、現在、心血管イベントを評価項目とする2つのアウトカム試験ASCEND-DとASCEND-NDを含むグローバル第III相プログラムが進行中であり、これらの試験結果は世界各国における承認申請に使用される予定。ダーブロックの概要製品名:「ダーブロック錠」(1mg・2mg・4mg・6mg)一般名:ダプロデュスタット効能または効果:腎性貧血用法及び用量:[保存期慢性腎臓病患者]・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgまたは4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。・赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。[透析患者] 通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。承認取得日:2020年6月29日製造販売:グラクソ・スミスクライン株式会社販売:協和キリン株式会社なお、薬価・発売日は未定。

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第52回 転倒しそうなときは横向き・おへそを見るよう意識して頭を守る!【使える!服薬指導箋】

第52回 転倒しそうなときは横向き・おへそを見るよう意識して頭を守る!1)John Stephen Batchelor, et al. Br J Neurosurg. 2012 Aug;26:525-530.2)John Stephen Batchelor, et al. Br J Neurosurg. 2013 Feb;27:12-18.3)Ramesh Grandhi, et al. J Trauma Acute Care Surg. 2015 Mar;78:614-621.4)根來 信也, 他. 身体教育医学研究. 2005;6:39-47.

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アドヒアランス不良でアセトアミノフェン分3から変更提案した薬剤は?【うまくいく!処方提案プラクティス】第23回

 今回は、アセトアミノフェンの複数回投与が開始になったものの、アドヒアランス不良のため疼痛コントロールが困難であった症例です。良好な疼痛コントロールとアドヒアランスを得るために提案した代替薬とその根拠を紹介します。患者情報93歳、男性(在宅)基礎疾患:うっ血性心不全、右被殻出血(左麻痺あり)、前立腺肥大症、高尿酸血症訪問診療の間隔:2週間に1回服薬管理:お薬カレンダーで管理し、ヘルパーによる毎日の訪問介護時に服薬処方内容1.タムスロシン塩酸塩錠0.2mg 1錠 分1 夕食後2.ボノプラザン錠10mg 1錠 分1 夕食後3.トリクロルメチアジド錠1mg 1錠 分1 夕食後4.フェブキソスタット錠10mg 1錠 分1 夕食後5.センノシド錠12mg 2錠 分1 夕食後6.クエン酸第一鉄ナトリウム錠50mg 2錠 分1 夕食後7.アセトアミノフェン錠200mg 6錠 分3 朝昼夕食後8.ピコスルファート内用液0.75% 便秘時 就寝前7〜8滴本症例のポイントこの患者さんは、脳出血後の左麻痺によって手先の不自由さがあり、ほぼベッド上で生活していました。そのため、服薬回数をすべて1日1回で統一して一包化し、毎日夕方の訪問介護の時間に服薬していました。ところが先日、トイレへ移動する際に転倒して受傷し、睡眠時や排泄時の疼痛のため、アセトアミノフェン錠200mg 6錠 分3 毎食後が開始となりました。朝・昼のアセトアミノフェンは、ヘルパーさんが夕方の訪問介護時にベッド近くに置いておいて、患者さんご自身で服薬することになりました。しかし、2回分を重複して服用したり服薬を忘れてしまったりと服薬アドヒアランスが維持できず、疼痛が管理できないという問題がありました。同じタイミングでケアマネジャーから、薬をなんとか1回にまとめられないものかと相談があり、アセトアミノフェンの変更提案を検討することにしました。1日1回の服用に適したNSAIDsを検討1日複数回服用することで重複投薬のリスクがあり、飲み忘れによって疼痛コントロールも不十分であるため、ほかの定期薬に合わせて服用できる鎮痛薬を検討しました。ここで候補に挙がったのは長時間作用型NSAIDsのメロキシカムです。長時間作用型という性質上、1日1回で疼痛コントロールできることに加え、服薬回数の負担も軽減できることから当該患者さんの処方薬として妥当だと考えました。半減期が長いため、高齢者や腎・肝機能が低下している場合は注意が必要ですが、この患者さんは心不全の状態が安定していて、直近の検査結果からも腎機能は年齢相応(Scr:0.78mg/dL、eGFR:57.8mL/min/1.73m2)で大きな悪化もないことから薬物有害事象の懸念は少ないと考えました。処方提案と経過医師に上記内容をトレーシングレポートで相談したところ、疼痛コントロールもしっかり行う必要があるが、誤薬のリスクを下げるためにも変更しようと了承いただきました。提案当日に変更対応となり、アセトアミノフェン錠の回収とメロキシカム錠10mgを夕食後投与としてカレンダーにセットしました。そして、患者さんとヘルパーさんへ鎮痛薬の変更があることを説明し、今後は朝・昼の薬はなくなることをお伝えしました。患者さんも複数回の服薬や飲み忘れ、重複投薬のことを気にしていたので、今回の変更を受けて安心していました。その後、患者さんは疼痛コントロールも良好で、疼痛による苦痛も有害事象もなく生活を続けています。

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日医会長に中川俊男氏が初当選、新執行部体制へ

 任期満了に伴う日本医師会の会長選挙が6月27日行われ、副会長の中川 俊男氏(69歳)が、現職で5期目を目指す横倉 義武氏(75歳)を接戦の末おさえ、初めての当選を果たした。中川氏は、これまで日本医師会の常任理事2期、副会長を5期に渡って務めたほか、社保審や中医協の委員などを歴任。会長選には、初めての立候補だったが、14大都市医師会をはじめ多くの都道府県医師会会長の推薦を手堅く集め、17票の僅差ながら現職候補を破る結果となった。 日本医師会会長選挙は371人の代議員による投票で行われた。開票結果は以下の通り。・中川 俊男氏:191票(当選)・横倉 義武氏:174票その他、無効票:2票、白票:4票 副会長および常任理事は、以下の通り(立候補者数と定数が同一のため、いずれも信任投票)。【副会長】猪口 雄二氏、松原 謙二氏、今村 聡氏【常任理事】江澤 和彦氏、長島 公之氏、松本 吉郎氏、羽鳥 裕氏、城守 国斗氏、釜萢 敏氏、渡辺 弘司氏、神村 裕子氏、宮川 政昭氏、橋本 省氏 中川氏は、今回の選挙時において、新型コロナウイルス感染症対策として、専門組織の強化や日本版CDC創設への働きかけを行うことを提言。地域医療を支える医業経営基盤の安定化策としては、診療報酬の構造的問題の見直しおよびあるべき診療報酬体系の提言、日医内に医療機関経営支援のための組織創設、控除対象外消費税を巡る医療機関ごとの補填のバラツキ解消などを掲げていた。

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COVID-19の肺がん患者、死亡率高く:国際的コホート研究/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期における、肺がん等胸部がん患者の転帰について、初となる国際的コホート研究の結果が公表された。COVID-19に罹患した胸部がん患者は死亡率が高く、集中治療室(ICU)に入室できた患者が少なかったことが明らかになったという。イタリア・Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのMarina Chiara Garassino氏らが、胸部がん患者における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の影響を調査する目的で行ったコホート研究「Thoracic Cancers International COVID-19 Collaboration(TERAVOLT)レジストリ」から、200例の予備解析結果を報告した。これまでの報告で、COVID-19が確認されたがん患者は死亡率が高いことが示唆されている。胸部がん患者は、がん治療に加え、高齢、喫煙習慣および心臓や肺の併存疾患を考慮すると、COVID-19への感受性が高いと考えられていた。結果を踏まえて著者は、「ICUでの治療が死亡率を低下させることができるかはわからないが、がん治療の選択肢を改善し集中治療を行うことについて、がん特異的死亡および患者の選好に基づく集学的状況において議論する必要がある」と述べている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年6月12日号掲載の報告。 TERAVOLTレジストリは、横断的および縦断的な多施設共同観察研究で、COVID-19と診断されたあらゆる胸部がん(非小細胞肺がん[NSCLC]、小細胞肺がん、中皮腫、胸腺上皮性腫瘍、およびその他の肺神経内分泌腫瘍)の患者(年齢、性別、組織型、ステージは問わず)が登録された。試験適格条件は、RT-PCR検査で確認された患者、COVID-19の臨床症状を有しかつCOVID-19が確認された人と接触した可能性のある患者、または、臨床症状があり肺画像がCOVID-19肺炎と一致する患者と定義された。 2020年1月1日以降の連続症例について臨床データを医療記録から収集し、人口統計学的または臨床所見と転帰との関連性について、単変量および多変量ロジスティック回帰分析(性別、年齢、喫煙状況、高血圧症、慢性閉塞性肺疾患)を用いて、オッズ比(OR)およびその95%信頼区間(CI)を算出して評価した。なお、データ収集は今後WHOによるパンデミック終息宣言まで継続される予定となっている。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、2020年3月26日~4月12日に、8ヵ国から登録された最初の200例であった。・200例の年齢中央値は68.0歳(範囲:61.8~75.0)、ECOG PS 0~1が72%(142/196例)、現在または過去に喫煙81%(159/196例)、NSCLC 76%(151/200例)であった。・COVID-19診断時に、がん治療中であった患者は74%(147/199例)で、1次治療中は57%(112/197例)であった。・200例中、入院は152例(76%)、死亡(院内または在宅)は66例(33%)であった。・ICU入室の基準を満たした134例中、入室できたのは13例(10%)で、残りの121例は入院したがICUに入室できなかった。 ・単変量解析の結果、65歳以上(OR:1.88、95%CI:1.00~3.62)、喫煙歴(OR:4.24、95%CI:1.70~12.95)、化学療法単独(OR:2.54、95%CI:1.09~6.11)、併存疾患の存在(OR:2.65、95%CI:1.09~7.46)が死亡リスクの増加と関連していた。・しかし、多変量解析で死亡リスクの増加との関連が認められたのは、喫煙歴(OR:3.18、95%CI:1.11~9.06)のみであった。

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ASCO2020レポート 消化器がん(胆膵がん)

レポーター紹介2020年のASCOは、2020年5月29日からWebで開催された。これは、COVID-19の影響で、Virtual meetingとなったためである。Virtual meetingとは、Oral presentation、Poster discussion、Poster presentationもすべてASCOのWeb site上にスライドがUploadされ、発表者が発表内容を録音しているものを聞くだけで、相互のDiscussionがあるわけではない。Oral presentationとPoster discussionにはDiscussantが付いていて、それぞれの演題にコメントをしているが、質疑応答があるわけでもなく、ちょっと物寂しい感じが否めなかった。私も気合を入れて、現地時間の朝8時(日本時間の5月30日の夜中12時)からの開催に胸を弾ませスタンバっていたが、その前からスライドは閲覧可能であり、先んじて見ることができた。むしろ夜中12時からはアクセスが集中し過ぎて、ASCOのサイトに入れない状況であり、なんだか肩透かしを食らった感じであった。今年のASCOのテーマは「Unite & Conquer: Accelerating progress together」で、「皆で団結して、がんを征服しよう:共に進歩を加速させよう」ということで、がん研究を一緒に分かち合い、国際的な共同研究を行い、がんの克服を目指して、協力していこうという、会長の意思がよくわかる学会である。そして、本学会の会長はHoward A. Burris III先生であり、膵がんを担当している先生なら知らない人はいないはず。そうです、1997年にゲムシタビンと5FUの比較試験の報告をした先生であり、とうとう会長にまで登り詰めたんだと、非常に感慨深いものがあった。さて、今年の胆膵領域では、Oral presentationで膵がんが2演題、Poster discussionで膵がんが2演題、胆道がんが1演題、胆膵がんその他が1演題、取り上げられていた。Poster発表では、膵がんが28演題、胆道がんは14演題、神経内分泌腫瘍は8演題などであった。やはり膵がんは全世界的にも患者は増加傾向であり、治療成績も十分ではないため、喫緊の課題である。このことを反映してか演題数も多かった。とくに、Trial in progressの発表は膵がんが14演題と圧倒的に多く、次いで胆道がんが5演題、神経内分泌腫瘍が1演題であった。やはり、今後の開発は膵がんが圧倒的に注目されていることを表す結果だと思われた。膵がんmFOLFIRINOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法による周術期化学療法の比較試験(SWOG S1505) 1)膵がんの周術期の治療は、日本ではPrep02/JSAP05試験により、ゲムシタビン(Gem)+S-1併用療法による術前補助化学療法と、S-1による術後補助化学療法が標準治療となったが、世界的には術前化学療法は標準治療としては確立していない。しかし、術前補助化学療法は、早期から遠隔転移を抑制することができ、化学療法を効率よく行うことができ、切除を行ってもすぐに再発するような予後不良な患者を除外することができ、真に切除が必要な患者を選択できるため、臨床試験としてさまざまな取り組みが世界中で試みられている。本試験は、術前術後の補助化学療法として、modified FOLFIRINOX(mFFX)とGem+ナブパクリタキセル(Gem+nab-PTX)を比較したランダム化第II相試験(SWOG S1505)であった。主な適格規準は、膵がんに対する治療歴がない切除可能膵がん患者である。mFFX(フルオロウラシル 2,400mg/m2、オキサリプラチン 85mg/m2、イリノテカン 180mg/m2、2週ごと)とGem+nab-PTX(Gem 1,000mg/m2、ナブパクリタキセル 125mg/m2、3投1休)に1対1の割合で割り付けられた。術前化学療法を12週行った後に画像評価し、切除可能と判断された場合は切除を行い、さらに術後に術前と同じレジメンの化学療法を12週間行った。主要評価項目は2年生存割合として、閾値を40%とし、検出力88%、片側αを0.05として、期待値58%を超えた治療を有望な治療と判断することとした。2015年10月から登録を開始し、2018年4月に147例の集積が完了し、最終的に102例の適格症例が登録された。mFFX群に55例、Gem+nab-PTX群に47例が割り付けられた。2年生存割合はmFFX群が43.1%、Gem+nab-PTX群が46.9%であり、両群とも閾値の40%を統計学的有意に超えることができなかった。全生存期間(中央値)は22.4ヵ月および23.6ヵ月であった。外科切除を行った患者のうち、R0切除割合は両群ともに85%であり、N0で切除できた症例はそれぞれ40%および45%であった。病理学的奏効割合はmFFX群が25%に対して、Gem+nab-PTX群が42%と若干良好であり、その分、術後の無病生存期間もmFFX群10.9ヵ月に対して、Gem+nab-PTX群14.2ヵ月と良好であった。有害事象は両群ともに同様であり、忍容可能と考えられた。コメント本試験の結果、両群ともに期待値に到達せず、“no winner(勝者はなし)”という結果になった。病理学的奏効割合はGem+nab-PTX群が40%と、mFFXの25%よりも良好であった。術後補助療法では有意な結果を示せなかったGem+nab-PTXであるが、術前補助療法としての有用性はまだ期待できる可能性が示された。本試験では、術前化学療法の有効性を示すことはできなかったが、現在、mFFXの術後治療6ヵ月と術前4ヵ月+術後2ヵ月を比較したAlliance 021806試験が進行中であり、その結果が待たれるところである。切除境界可能膵がんに対するImmediate surgeryとゲムシタビン+カペシタビン、mFFX、化学放射線療法の術前治療のランダム化第II相試験 2)切除境界可能膵がん(BR膵がん)に対するImmediate surgery(術前治療を行わない群)とゲムシタビン+カペシタビン(Gem+Cape)、mFFX、化学放射線療法の4群を比較し、どの術前治療が有効かを明らかにするランダム化第II相試験であった。主要評価項目は、R1+R0切除割合と症例集積割合で、副次評価項目は、R0切除割合、有害事象と全生存期間であった。主要評価項目のR1+R0切除割合は、Immediate surgery群で62%、術前治療群(Gem+Cape、mFFX、化学放射線療法をあわせた群)で55%であり、有意差は認めなかった(p=0.668)。また、R0切除割合もImmediate surgery群で15%、術前治療群で23%であり、有意差は認めなかった(p=0.721)。症例集積割合は、1年当たり20.74例であり、症例集積にはかなりの時間を要することが示された。12ヵ月生存割合は、Immediate surgery群で42%、術前治療群で77%であり、有意に良好であった(ハザード比:0.28、95%信頼区間[CI]:0.14~0.57、p<0.001)。また、術前治療別の12ヵ月生存割合は、Gem+Capeが79%、mFFXが84%、化学放射線療法が64%であり、mFFXが最も良好であった。Immediate surgery群と術前治療群で、切除率に差は認めなかったが、12ヵ月生存割合は術前治療で有意に良好であり、なかでもmFFXが最も良好な治療成績であった。BR膵がんに対しては、術前治療を行うことを考慮すべきであり、レジメンとしてはmFFXが良好な可能性が示された。コメント著者らは術前治療推しの結語にしているが、実際には主要評価項目は達成しておらず、副次評価項目である生存期間が良好であったのが、術前治療であったため、BR膵がんに対しては術前治療を行うことを考慮すべきと結論付けている。少しずるい感じは否めないが、BR膵がんに対するUpfront surgeryと術前化学放射線療法を比較したランダム化比較試験の結果も術前治療群で有意に良好な結果が報告されているため、その結果に引っ張られる形での結語になっている。世の中の流れ的にも、BR膵がんは術前治療ありきだし、レジメンとしても最強なレジメンであるmFFXを考慮することは十分考えられうることであり、この結語に対する皆の受け入れは良いと思われる。ESPAC-4:術後補助化学療法Gem+Cape vs.Gemの第III相試験の5年後の経過観察 3)術後補助化学療法の第III相試験(ESPAC-4)において、Gem+Cape群は、Gem群と比べて有意に良好な生存期間が示され、標準的な術後補助化学療法として確立している。今回は、ESPAC-4試験の5年の長期経過観察後の結果の発表であった。Gem群366例、Gem+Cape群364例が解析対象であり、生存期間(中央値)はGem群26.0ヵ月、Gem+Cape群27.7ヵ月であり、有意差が得られたままであった(ハザード比:0.84、95%CI:0.70~0.99、p=0.049)。多変量解析においても、切除断端陽性、術後CA19-9高値、術前CRP高値、低分化型、リンパ節転移陽性、最大腫瘍径と共に、有意な予後因子として、術後補助化学療法が選択された。術後補助化学療法のGem+CapeはGemと比べて有意に生存期間の延長に寄与することが、長期経過観察の結果からも示された。コメント大規模な術後補助化学療法の5年の長期経過観察後の発表であるが、とくに驚くことのない試験結果であり、この演題がPoster discussionであることのほうがむしろ驚きである。今年はあまり採択すべき演題がなかったのかなと思ってしまった。膵がん切除後補助化学療法Gem+nab-PTX vs.Gem aloneの第III相試験(APACT)の生存期間のUpdateと地域ごとの治療成績 4)ちょうど1年前のASCOで発表された、膵がん切除後の補助化学療法としてのGem+nab-PTXとGem aloneを比較した第III相試験(APACT)の結果は、主要評価項目である中央判定による無病生存期間の延長は認めなかったため、標準的な術後補助化学療法としては位置付けられていない。しかし、副次評価項目である全生存期間の延長を認めており、担当医判断の無病生存期間においても有意な差が認められていたため、中央判定が良くなかったのではないかとまで言われている試験であった。この試験は、全世界179施設、21ヵ国で行われたGlobal試験であり、今回、このAPACT試験の生存期間のUpdateと地域ごとの治療成績の違いについて発表された。膵がん(T1-3、N0-1、M0)に対してR0またはR1切除を行い、術後に再発を認めず、CA19-9が100 U/mL未満に低下した患者をGem+nab-PTX群432例とGem alone群434例にランダムに割り付けた。Updateされた全生存期間(中央値)は、Gem+nab-PTX群41.8ヵ月とGem alone群37.7ヵ月であり、ハザード比0.82(95%CI:0.687~0.973、p=0.232)と、主解析時点と同様の結果が得られた。欧州、北米、アジア、オーストラリアの4地域における患者背景、生存期間、有害事象の違いも報告された。患者背景では、オーストラリアの患者でPerformance statusが0の患者とR0切除割合がGem+nab-PTX群で低率であったこと以外は両群で有意差は認めなかった。また、地域ごとの違いでは、アジアの患者で、R0切除、N0の患者が最も多く認められ、投与状況では累積投与量がアジアの患者でやや多かった。生存期間は、どの地域でもGem+nab-PTX群で良好な傾向が認められており、地域によらず一定の効果が認められた。Gem+nab-PTXの生存期間(中央値)は、欧州41.8ヵ月、北米38.5ヵ月、アジア46.8ヵ月、オーストラリア31.5ヵ月と患者背景を反映してか、アジアで良好であった。有害事象に関しては、これまでの報告と同様にGem+nab-PTX群でGrade3以上の治療関連有害事象発現割合が高く、その内訳は好中球減少、貧血、白血球減少、末梢神経障害、疲労など、既知のものだった。また、地域ごとの違いはほぼ認められなかった。このように、4年の追跡調査結果は主解析と同様の結果であり、地域別の解析でも、全体での解析結果と同様の結果だった。コメント膵がん切除後の補助化学療法として、Gem+nab-PTXとGemを比較した第III相試験(APACT)の生存期間のUpdateの結果と地域による治療成績の違いを検討した結果が報告された。くしくも、このAPACT試験の生存期間のハザード比は0.82であり、ESPAC-4試験でPositiveな結果となったGem+Capeのハザード比0.84と同等からやや良好な結果が示されており、生存期間(中央値)もGem+nab-PTXは41.8ヵ月、Gem+Capeは27.7ヵ月であり、患者背景が違うため、単純に比較はできないが、APACT試験の結果が良好であった。あえてこのように並べて発表したのかはわからないが、Gem+nab-PTXの術後補助化学療法の有効性を示唆する結果であった。また、地域による治療成績の違いの検討は、肝細胞がんでは地域による違いが問題になることもあるが、膵がん切除後の補助化学療法においては、地域による患者背景や治療成績に違いはほぼないことがわかり、今後、Global試験を行ううえで、非常に重要な結果が示されたと考えている。胆道がん進行胆道がんの初回治療例に対するGem+Cisplatin+Durvalumab+Tremelimumab vs.Gem+Cisplatin+Durvalumabの第II相試験 5)切除不能または再発胆道がんの初回治療例に対して、Gem+Cisplatin(GC)+Durvalumab(D)+Tremelimumab(T)のバイオマーカーコホート30例とGC+Dコホート45例、GC+D+Tコホート46例の第II相試験の結果が韓国から報告された。奏効割合は、バイオマーカーコホート50.0%、GC+Dコホート73.4%、GC+D+Tコホート73.3%と非常に良好であり、奏効までの期間(中央値)も2.3ヵ月と良好であった。無増悪生存期間(中央値)と生存期間(中央値)はそれぞれ、バイオマーカーコホート13.0ヵ月と15.0ヵ月、GC+Dコホート11.0ヵ月と18.1ヵ月、GC+D+Tコホート11.9ヵ月と20.7ヵ月と、まだ打ち切り例が多いが、非常に良好な結果が報告された。バイオマーカーコホートで、1サイクル後のPD-L1の発現によって無増悪生存期間に違いが出る可能性が示唆された。全Gradeの有害事象は、悪心59.5%、好中球減少54.5%、掻痒55.4%に認めたが、忍容性は良好であったと解釈された。現在、GC+D vs.GCの第III相試験(TOPAZ-1: NCT03875235)が進行中であることが報告された。コメント胆道がんにおける免疫チェックポイント阻害剤は期待されており、GC+免疫チェックポイント阻害剤の併用療法の第III相試験がいくつか進行中である。今回、GCにDまたはD+Tを併用することで非常に良好な治療成績が報告されているが、現在、進行中の第III相試験は、GC+D vs.GC+プラセボの第III相試験(TOPAZ-1)であり、Tの併用はない。今後、GC+T+Dのレジメンの開発がどうなるのかは、まったくわからない状況であった。胆道がんに対するその他の治療開発は、1次治療としてGC+ペムブロリズマブvs.Gem+プラセボの第III相試験(KEYNOTE-966)、GC+Bintrafusp alfa(M7824)vs.GC+プラセボの第II/III相試験(Trap0055)が進行中であり、2次治療以降では、ゲムシタビン、シスプラチンおよびS-1の前治療歴がある胆道がん患者を対象としたニボルマブの治験、職業関連胆道がん患者を対象としたニボルマブ単剤による医師主導治験などが進行中であり、やはり注目度は高い。胆膵がんその他ctDNAと組織でのクリニカルシーケンスの比較:SCRUM-Japan GI-Screen vs. GOZILA 6)SCRUM-Japanで行われてきた組織でのクリニカルシーケンス(GI-Screen)と血液でのctDNA(GOZILA)を比較した検討結果が、JCOG肝胆膵グループの若手のホープである国立がん研究センター中央病院の大場先生から報告された。SCRUM-Japanでは、消化器がんを中心にがん遺伝子のクリニカルシーケンスの研究として行ってきた。今回、組織でのクリニカルシーケンスであるGI-Screen研究に参加された2,952例と、リキッドバイオプシーであるctDNAによるがん遺伝子検査のGOZILA研究に参加された632例の患者背景、検査結果が判明するまでの時間、同定されたActionable遺伝子異常、臨床試験への参加割合と参加までの期間、臨床試験での奏効割合と無増悪生存期間を比較検討した。患者背景では、GOZILA研究に膵がんの患者が多く登録されており、膵がんは組織が採取しにくく、リキッドバイオプシーが好まれる傾向にあることが示された。検査結果が判明するまでの時間(中央値)は、GI-Screenでは37日、GOZILAでは12日と、GOZILAで有意に短かった(p1)Davendra Sohal, Mai T. Duong, Syed A. Ahmad, et al. SWOG S1505: Results of perioperative chemotherapy (peri-op CTx) with mfolfirinox versus gemcitabine/nab-paclitaxel (Gem/nabP) for resectable pancreatic ductal adenocarcinoma (PDA). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4504)2)Paula Ghaneh, Daniel H. Palmer, Silvia Cicconi, et al. ESPAC-5F: Four-arm, prospective, multicenter, international randomized phase II trial of immediate surgery compared with neoadjuvant gemcitabine plus capecitabine (GEMCAP) or FOLFIRINOX or chemoradiotherapy (CRT) in patients with borderline resectable pancreatic cancer. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4505)3)John P. Neoptolemos, Daniel H. Palmer, Paula Ghaneh, et al. ESPAC-4: A multicenter, international, open-label randomized controlled phase III trial of adjuvant combination chemotherapy of gemcitabine (GEM) and capecitabine (CAP) versus monotherapy gemcitabine in patients with resected pancreatic ductal adenocarcinoma: Five year follow-up. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4516)4)Michele Reni, Hanno Riess, Eileen Mary O'Reilly, et al. Phase III APACT trial of adjuvant nab-paclitaxel plus gemcitabine (nab-P + Gem) versus gemcitabine (Gem) alone for patients with resected pancreatic cancer (PC): Outcomes by geographic region. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4515)5)Do-Youn Oh, Kyung-Hun Lee, Dae-Won Lee, et al. Phase II study assessing tolerability, efficacy, and biomarkers for durvalumab (D) ± tremelimumab (T) and gemcitabine/cisplatin (GemCis) in chemo-naive advanced biliary tract cancer (aBTC). J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 4520)6)Akihiro Ohba, Yoshiaki Nakamura, Hiroya Taniguchi, Masafumi Ikeda, et al. Utility of circulating tumor DNA (ctDNA) versus tumor tissue clinical sequencing for enrolling patients (pts) with advanced non-colorectal (non-CRC) gastrointestinal (GI) cancer to matched clinical trials: SCRUM-Japan GI-SCREEN and GOZILA combined analysis. J Clin Oncol 38: 2020 (suppl; abstr 3516)

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第23回 点数表は面白い!正直すぎる女性薬剤師【噂の狭研ラヂオ】

動画解説今回は群馬県高崎市 株式会社ファーマ・プラスの専務取締役 小黒佳代子先生と対談。高速で正確なピッキングの習得しか面白みを見いだせなかった大学病院、かといって興味もなかった薬局。しかし就いてしまえば、その場その場でやりがいを見つけ、熱心に活動できるのが小黒先生のスゴイところ。「私、点数表を見るのが好きなんですよ!」と笑う彼女の薬剤師人生はバイタリティに溢れていた!

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処方箋枚数が減って長期処方が増加中 でも分割調剤は進まず【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第49回

新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関の受診患者数が減っていると一般メディアでも報じられていますが、皆さんの薬局では来局動向や処方箋枚数に変化はありましたか? 私の実感では3月後半から患者さんの来局が減っていて、当時はうちの薬局だけかと心配になりましたが、どうやらそうでもないようです。日本保険薬局協会(NPhA)が会員薬局に行ったアンケートでは、患者さんの行動の変化が浮き彫りになっています。日本保険薬局協会は6月11日の定例会見で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う緊急調査結果を公表した。それによると、月間処方箋枚数は「10~20%未満の減少」が全体の約3割を占め、調剤報酬は「10%未満の減少」が約3割を占めた。「枚数が減って長期処方が増えている」と分析している。調査は5月に実施し4581薬局から回答を得た。(2020年6月12日付 RISFAX)長期処方が増えているということは、これから先も処方箋枚数は減る傾向にあるのかもしれません。状態が安定している患者さんが長期処方になるのはよいのですが、受診・来局控えによって必要な治療が中断したり、治療の開始が遅れたりするケースが見受けられます。実際、「指をぶつけて骨を折ったかもしれないけど、整形外科の待合室に人がたくさんいて、長い時間待たされるから受診していない」と指をパンパンに腫らして市販薬の湿布を購入しようとしていた方がいました。医療機関は不特定多数の人が集まる場所ですので、避けたい気持ちはわからなくはありませんが、まずは整形外科に電話して、受診が必要かどうか、必要なら空いている時間帯を聞いてみるようお話ししました。痛みがある外傷ですら受診を躊躇するくらいですから、ちょっとした不調なら治療が必要であったとしても、自己判断で様子をみて発見が遅れる懸念があります。薬局薬剤師としては、受診控えで患者さんが変調を来していないかをいつもより注意深くヒアリングすべきだと思います。複数の医療機関を受診している患者さんには受診状況を確認するなど、治療が必要な人にはきちんと受診してもらうように声掛けしてみるのもよいでしょう。OTC薬を購入しに来た方にも必要に応じて受診勧奨し、その際に近隣の医療機関のオンライン診療の実施有無を調べて情報提供してもいいかもしれません。また、冒頭の日本保険薬局協会のアンケートでは、「処方箋が長期化傾向にあるにもかかわらず、分割調剤は進んでいない」という結果もありました。長期処方が増えるのであれば、分割調剤によって薬剤師が患者さんの経過確認をする意義も増えます。患者さんのサポートができることを積極的に医師に伝え、分割調剤を提案してはいかがでしょうか。

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