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人生の最終段階を見事に描いた作品が大賞受賞/医療マンガ大賞2020

 医療に関するコミュニケーションギャップの改善を目的に、患者や医療従事者それぞれによる“視点の違い”を描く「医療マンガ大賞」を、昨年度に続き横浜市が開催した。2回目となる今回は、新型コロナ対策に取り組む医療従事者の想いや視点の違いを描くテーマなど9つのエピソードを用意。結果、募集期間内に78本の作品応募(第1回は55本の応募)があり、その中から大賞1作品・入賞8作品が選出された。 第2回の大賞は、「人生の最終段階」をテーマに、患者視点の戸惑いや葛藤、家族への想いを優しいタッチで描いた、ちえむ氏の作品に決定した。11月20日(金)17時より、その他受賞作品を含め、医療マンガ大賞特設WEBサイト(https://iryo-manga.city.yokohama.lg.jp/)にて審査員からのコメントとともに全編ご覧いただける。なお、審査員からの要望により、事前に告知していた大賞・入賞に併せ、13作品を特別賞として同サイト内で紹介している。 ケアネットでは事前に、「心がふるえた 医療現場のエピソード」をテーマに、会員医師・薬剤師よりアンケートにて公募を行った。ケアネット部門のマンガ大賞は、原作のニュアンスを活かしつつ、絶妙なオリジナリティが加わり、テンポがスピーディ-でありながら、最後ほろりとする感じがステキな作品を描いたchiku氏が受賞した。 今後、採用エピソードと受賞漫画作品を掲載する予定。

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PALB2病的変異を有する遺伝性乳がん、日本での臨床的特徴は/日本癌治療学会

 PALB2はBRCA2と相互作用するDNA修復に関連する分子で、PALB2遺伝子変異は乳がん、卵巣がんのリスクを増加させ、すい臓がんとの関連も指摘される。PALB2生殖細胞系列病的遺伝子変異(pathogenic or likely-pathogenic germline variant: PGV)を有する女性の70歳までの乳がんリスクは約35~50%、生涯の乳がんリスクは約5~8倍とされるが1)、その臨床的特徴に関する知見は限られる。樋上 明音氏(京都大学乳腺外科)らは、日本人乳がん患者約2,000例を調査し、PALB2 PGV症例の頻度と臨床的特徴について、第58回日本癌治療学会学術集会(10月22~24日)で報告した。PALB2に病的変異を有する乳がんの頻度は他国より低い傾向 対象は、2011年4月~2016年10月に京都大学医学部附属病院および関連施設で同意取得した1,995例。末梢血DNAを用いて乳がん関連11遺伝子についてターゲットシークエンスを行った先行研究2)のデータを元にPALB2に病的変異を認めた症例について乳がんの状況、診断時年齢、他がんの既往・家族歴等の臨床情報を後方視的に調査した。  PALB2に病的変異を認めた症例について調査した主な結果は以下のとおり。・1,995例のうち9例にPALB2遺伝子に病的変異を認めた(0.45%)。・診断時の年齢中央値は49歳(42~73歳)。サブタイプはLuminal typeが5例(55.6%)、Luminal HER2 typeが1例(11.1%)、TNBCが2例(22.2%)、DCISが1例(11.1%)であった。・第3度以内の悪性腫瘍の家族歴を有する症例は4例(44.4%)。乳がん・卵巣がんの家族歴があったのは1例で、2人の姉が乳がん、もう1人の姉に境界悪性卵巣腫瘍、母に子宮がんを認めた。膵臓がんの家族歴は1例であり、その症例では大腸がんの家族歴も認めた。その他の症例では肝細胞がん、肺がん、胃がん、大腸がんの家族歴があった。・9例のうち4例、3バリアントはClinVarでは未報告のものであった。・非保有者との間で、サブタイプの割合に差はみられなかった。・BRCA1/2PGV症例と比較して、PALB2PGV症例では若年発症者が少なく、乳がん・卵巣がんの家族歴を有する割合が少ない傾向がみられた。・9例についてCanRisk(家族歴、生活習慣や遺伝子変異、マンモグラフィ密度などによる乳がんまたは卵巣がんの発症リスクの計算モデル)3)を用いたリスク評価を行ったところ、BRCA1/2 遺伝子変異を有する可能性が5%以上(NCCNガイドラインにおける遺伝学的検査の評価対象基準)となったのは2例のみ(22.2%)であった。 樋上氏は、日本の先行研究4)においてPALB2遺伝子病的変異を有する乳がん患者の頻度が0.40%と本結果と同程度であったことに触れ、他国における結果(ポーランド:0.93%5)、中国:0.67~0.92%6,7))と比較し低い傾向を指摘。未報告のバリアントがみられたことも踏まえ、バリアントの地域差がある可能性について言及した。 また、NCCNガイドラインにおける遺伝的検査の評価対象基準8)を今回の9症例で検討したところ、4例は該当しなかった。同氏は「BRCA1/2と比較して発症年齢が高く、乳がん・卵巣がんの家族歴が少ないため、散発性乳がんに近く、ハイリスク症例の拾い上げが難しい」とし、パネル検査の増加に伴う診断症例の増加や、PALB2 PGV症例に対するPARP阻害薬適応についての研究が進む中、拾い上げ基準やサーベイランスの最適化が重要と考察している。■参考文献・参考サイトはこちら1)Yang X,et al. J Clin Oncol. 2020 Mar 1;38:674-685.2)Inagaki-Kawata Y, et al. Commun Biol 3:578, 2020.3)CanRisk Web Tool4)Momozawa Y, et al. Nat Commun. 2018 Oct 4;9:4083.5)Cybulski C, et al. Lancet Oncol. 2015 Jun;16:638-44.6)Zhou J, et al. Cancer. 2020 Jul 15;126:3202-3208.7)Wu Y, et al. Breast Cancer Res Treat. 2020 Feb;179:605-614.8)NCCN Guidelines for Detection, Prevention, & Risk Reduction「Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian Version 1.2021」

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統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期有効性、安全性

 東京女子医科大学の稲田 健氏らは、統合失調症の日本人高齢者に対するブレクスピプラゾールの長期的な有効性、安全性、忍容性を評価するため、検討を行った。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2020年10月6日号の報告。 4週間の切り替え期間と52週間の非盲検期間の2つのフェーズで構成された56週間にわたるブレクスピプラゾール長期試験の事後分析を行った。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの平均変化量、治療反応率、治療中に発現した有害事象(TEAE)の数と発生率、その他の安全性パラメータの分析には、年齢層ベース(65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者)の記述統計学を用いた。 主な結果は以下のとおり。・208例中33例が高齢者であった。・高齢者の治療継続率は54.5%であり、56週目のブレクスピプラゾールの1日投与量および治療期間は、非高齢者と同様であった。・ベースラインから56週目までのPANSS合計スコアの平均変化量は、高齢者で-13.8であり、非盲検期間を通じて改善効果は維持された。・非高齢者のPANSS合計スコアの平均変化量は-9.0であり、高齢者と同等であった。・TEAEの発生率は、高齢者で97.0%、非高齢者で82.3%であった。・高齢者におけるTEAEの重症度は、ほとんどが軽度(75.8%)または中等度(18.2%)であり、治療中止に関連するTEAEの発生率は、非高齢者(13.1%)よりも高齢者(9.1%)のほうが低かった。・高齢者における主な有害事象は、鼻咽頭炎(30.3%)、統合失調症症状の悪化(27.3%)であった。・安全性プロファイルは、高齢者と非高齢者で類似していた。 著者らは「ブレクスピプラゾールは、日本人高齢者の統合失調症治療に対し安全かつ効果的であることが示唆された」としている。

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ドイツ女性の社会進出【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第21回

近年、日本でも徐々に女性の心臓外科医が増えてきています。現在、ドイツでは医学生の男女比でも女性の割合が多いらしく(これは聞いた話で、正確なデータを確認したわけではありません)、全体的に女医さんの割合が増えているそうです。そのため、大体どこの心臓外科にも女医さんがいます。当科には3人の女医さんが在籍していまして、皆さん男性心臓外科医と変わりなく活躍されています。産休明けのママさん心臓外科医です。笑い上戸のムードメーカーで、上級医がくだらない理由で怒っているのを見て、思わず吹き出しちゃったりする大物です。ドイツは育児に関して厚待遇の国女医さんにとって特有のイベントである出産に伴う産休・育休に関してですが、これにはしっかりとした対策がとられています。当科の女医さん3人のうち2人はママなのですが、たとえば専門医コースの最中であったとしても育休・産休がデメリットとなることはありません。長期休暇を取得してもチームの空気が悪くなることもなく、自然な感じで復帰してきます。ちなみにドイツでは男性も育休を取ることが容易です。母親も父親も育休を取得するので、育休は“Eltern Zeit”(両親の時間)」と呼ばれています。子供が生まれてから3年間は、好きな期間に好きなだけ申請することができ、給与に合わせた金銭的な補助も支給されます。保育園(競争率が高いのは日本と同じですが)も無料ですし、女医さんが現場に復帰しやすい環境が整っているという印象です。もちろん、子供の体調不良の際には、有給とは別に休みを取得することもできます。とは言っても、ドイツの勤務体系では、心臓外科と言えど体力的にまいるようなことはあまりないのですが…。基本的に残業は(さほど)ないですし、「子供を迎えに行かなくちゃいけない」と言う理由で早退していくことも珍しくありません。強力な法律に守られていることもあり、ドイツでは医師であっても、女性が比較的働きやすい環境が整っているように思えます。心臓外科ではないのですが、「出産もキャリアも両立させたいからドイツに来た」と言っている女医さんもいました。ドイツは女医さんにとっても働きやすい国だと言えます。

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がん患者、抗凝固薬の中止時期を見極めるには/日本癌治療学会

 がん患者は合併症とどのように付き合い、そして医師はどこまで治療を行うべきか。治療上で起こりうる合併症治療とその中止タイミングは非常に難しく、とりわけ、がん関連血栓症の治療には多くの腫瘍専門医らは苦慮しているのではないだろうかー。 10月23日(金)~25日(日)にWeb開催された第58回日本癌治療学会学術集会において、会長企画シンポジウム「緩和医療のdecision making」が企画された。これには会長の弦間 昭彦氏の“decision makingは患者の治療選択時に使用される言葉であるが、医療者にとって治療などで困惑した際に立ち止まって考える機会”という思いが込められている。今回、医師のdecision makingに向けて発信した赤司 雅子氏(武蔵野赤十字病院緩和ケア内科)が「合併症治療『生きる』選択肢のdecision making-抗凝固薬と抗菌薬-」と題し、困惑しやすい治療の切り口について講演した。本稿では抗凝固療法との向き合い方にフォーカスを当てて紹介する。医師のバイアスがかからない意思決定を患者に与える がん治療を行いながら並行して緩和医療を考える昨今、その場に応じた1つ1つの細やかな意思決定の需要性が増している。臨床上のdecision makingは患者のリスクとベネフィットを考慮して合理的に形成されているものと考えられがちであるが、実際は「多数のバイアスが関係している」と赤司氏は指摘。たとえば、医師側の合理的バイアス1)として1)わかりやすい情報、2)経験上の利益より損失、3)ラストケース(最近経験した事柄)、4)インパクトの大きい事象、などに左右される傾向ある。これだけ多数のバイアスのかかった情報を患者に提供し、それを基にそれぞれが判断合意する意思決定は“果たして合理的なのかどうか”と疑問が残る。赤司氏は「患者にはがん治療に対する意思決定はもちろんのこと、合併症治療においても意思決定を重ねていく必要がある」と述べ、「とくに終末期医療において抗凝固薬や抗菌薬の選択は『生きる』という意味を含んだ選択肢である」と話した。意思決定が重要な治療―がん関連血栓症(CAT) 患者の生死に関わる血栓症治療だが、がん患者の血栓症リスクは非がん患者の5倍も高い。通常の血栓症の治療期間は血栓症の原因が可逆的であれば3ヵ月間と治療目安が明確である。一方、がん患者の場合は原因が解決するまでできるだけ長期に薬物治療するよう現時点では求められているが、血栓リスク・出血リスクの両方が高まるため薬剤コントロールに難渋する症例も多い。それでも近年ではワーファリンに代わり直接経口抗凝固薬(DOAC)が汎用されるようになったことで、相互作用を気にせずに食事を取ることができ、PT-INR確認のための来院が不要になるなど、患者側に良い影響を与えているように見える。 しかし、DOACのなかにはP糖タンパクやCYP3A4に影響する薬物もあることから、同氏は「終末期に服用機会が増える鎮痛剤や症状緩和の薬剤とDOACは薬物相互作用を起こす。たとえば、アビキサバンとデキサメタゾンの併用によるデキサメタゾンの血中濃度低下、フェンタニルやオキシコドン、メサペインとの相互作用が問題視されている。このほか、DOACの血中濃度が2~3倍上昇することによる腎機能障害や肝機能障害にも注意が必要」と実状を危惧した。DOACの調節・中止時の体重換算は今後の課題 また、検査値指標のないDOACは体重で用量を決定するわけだが、悪液質が見られる場合には筋肉量が低下しているにも関わらず、浮腫や胸水、腹水などの体液の貯留により体重が維持されているかのように見えるため、薬物投与に適した体重を見極めるのが難しい。これに対し、同氏は「自施設では終末期がん患者の抗凝固療法のデータをまとめているが、輸血を必要としない小出血については、悪液質を有する患者で頻度が高かった。投与開始時と同量の抗凝固薬を継続するのかどうか、検証するのが今後の課題」と話した。また、エドキサバンのある報告2)によると、エドキサバンの血中濃度が上昇しても大出血リスクが上昇するも脳梗塞/塞栓症のリスクは上昇しなかったことから、「DOACの少量投与で出血も塞栓症も回避することができるのでは」とコメント。「ただし、この報告は非がん患者のものなので、がん患者への落とし込みには今後の研究が待たれる」とも話した。 さらに、抗凝固薬の中止タイミングについて、緩和ケア医とその他の医師ではそのタイミングが異なる点3)、抗凝固薬を開始する医師と中止する医師が異なる点4)などを紹介した。 このような臨床上での問題を考慮し「半減期の短さ、体内での代謝などを加味すると、余命が短め週の単位の段階では、抗凝固療法をやめてもそれほど影響はなさそうだが、薬剤選択には個々の状況を反映する必要がある」と私見をまとめ、治療の目標は「『いつもの普段の自分でいられること』で、“decision making”は合理的な根拠を知りながら、その上で個別に考えていくことが必要」と締めくくった。

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COVID-19パンデミック前後、遠隔皮膚科診療は3倍増に

 本邦のコロナ禍における受診動向の変化については、2020年8月6日の「第10回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、「令和2年4月~6月の電話診療・オンライン診療の実績の検証について」が発表され耳目を集めた。電話またはオンライン診療の受診者は10歳未満が最も多く、ほかの年齢では発熱での受診が最多であったが、10歳未満の受診は湿疹が最多(22.7%)で、受診科目は内科、小児科に次いで皮膚科が3番目だったことなどが報告されている。 本論は、COVID-19感染者数が米国に次いで現在世界第2位の、インド・R.D. Gardi Medical CollegeのShashank Bhargava氏らが、ウェブベースでグローバルに皮膚科医に診療形態の変化について行ったサーベイ調査の結果である。COVID-19パンデミック前後で、teledermatology(遠隔皮膚科診療:TD)の活用が3倍増になったことなどが報告されている。International Journal of Women's Dermatology誌オンライン版2020年10月12日号掲載の報告。 研究グループは、COVID-19パンデミックによる皮膚科診療の変化の大きさについては、十分に研究がされていないとして、同パンデミックの皮膚科診療への即時的および長期的影響を評価する検討を行った。評価対象には、臨床活動、診療行為の頻度および種類、TDの使用などを含んだ。Googleフォームでサーベイツールを作成し、2020年4月1日~20日に、とくに皮膚科専門医のソーシャルメディアサイトの研究者に電子的に配布された。 主要アウトカムは、対面診療、病院サービス、TD、処置の提供に関する回答者の割合。また、パンデミック時および将来的なTDの利用について、オッズ比(OR)に与える可能性がある要因をロジスティック回帰モデルで調べた。 主な結果は以下のとおり。・サーベイに応じた皮膚科医は733例であった。アジア系が47.6%、北米18.7%、中南米17.9%、欧州13.9%、その他1.9%であった。診療歴は10年以下が45.0%を占め、都市部従事者が78.6%、開業医47.2%などであった。・対面診療の提供に関する割合は、パンデミック前100%に対し、パンデミック中は46.6%に減っていた。病院サービスは52.8% vs.27%、処置100% vs.25.6%といずれも減っていた(いずれもp<0.001)。・一方で、TDは、3倍増となっていた(26.1%vs. 75.2%)(p<0.001)。・TD利用率は、パンデミック中および将来利用予測ともに、診療地域と有意に関連しており、とくに北米の回答者で最も高かった(いずれもp<0.001)。・パンデミック中のTD利用は、従前からのTD利用、操作能力、およびとくに色素性病変が疑われる場合の生検と正の相関性がみられた(いずれもp<0.001)。・パンデミック前のTD利用は、パンデミック中のTD利用の最も強力な予測因子であった(OR:16.47、95%信頼区間[CI]:7.12~38.06)。・サーベイ参加者のうち3分の2以上(68.6%)が、将来的にTDを利用するだろうと回答した。・将来的なTD利用予測についてOR増大が最も大きかった要因は、国内のCOVID-19感染者数が1,000例を超えた場合だった(OR:3.80、95%CI:2.33~6.21)。

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「1日に70人の患者が来る診療所」を引き継いだはずなのに【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第4回

第4回 「1日に70人の患者が来る診療所」を引き継いだはずなのに…漫画・イラスト:かたぎりもとこ「私が引き継いだら、患者さん、どれくらい減りますかね…?」医業承継の現場で買い手の医師の方からよく聞かれる質問です。私たちの答えは「一般的に、引き継ぎ直後は2割程度の患者さんが離反しますが、その後、半年程度かけて旧院長が運営していた時代の外来数を上回るケースが多いですよ」というものです。想像できることですが、旧診療所に通う患者さんの一定数は旧院長の“ファン”であり、院長交代によって通院先を他院(より自宅に近い診療所など)へ変えてしまいます。ですが、その後、新院長がホームページを作成する、広告を打つなどの新規の患者さんがより集まるような対策や、電子カルテを導入する、スタッフの配置転換をするなど、患者さん1人当たりをより効率的に診療できる取り組みを推進していくため、患者さんが徐々に増えていくケースが多いのです。結果として、高齢で集患対策などをあまり行っていなかった旧院長時代の患者数を超えられる、というわけです(参考までに、医業承継において売り手の先生が紙カルテを運用しているケースは7割を超えています)。一方、引き継ぎ後の「平均2割」という数字を大きく超える患者離反が発生している場合は注意が必要です。外的要因、つまり「同時期に新しく競合の診療所ができた」というのも想定できますが、どちらかというと内的要因(自院の問題)によるケースが多いのです。よくあるのが、「旧院長と比較して、患者さんとのコミュニケーション方法が大きく異なる(要は怖い、厳しい、横柄などと思われてしまう)」というものです。こうした事象を防ぐために、承継前の面談時に旧院長の人柄やコミュニケーションスタイルを確認しておくこと、引き継ぎをしっかりと行って現在来院している患者さんの特性をきちんと認識しておくことが重要です。できれば、引き継ぎ期間を長く設けて自分がアルバイトする、もしくは引き継ぎ後に旧院長に週1、2回程度の非常勤勤務をしてもらう、などの緩やかな移行期間を設け、患者さんの離反数を最小化することが大切です。

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第58回 治療継続が大切!緑内障で一度欠けた視野は戻りません【使える!服薬指導箋】

第58回 治療継続が大切!緑内障で一度欠けた視野は戻りません1)Collaborative Normal-Tension Glaucoma Study Group. Am J Ophthalmol. 1998;126:487-497.2)同. GroupAm J Ophthalmol. 1998;126:498-505.3)The AGIS Investigators. Am J Ophthalmol.. 2000;130:429-440.

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筋電図バイオフィードバックは女性尿失禁に対する骨盤底筋訓練に有効なのか?:多施設共同研究(解説:宮嶋哲氏)-1313

オリジナルニュース尿失禁への骨盤底筋トレーニング、筋電図バイオフィードバック併用は?/BMJ 無意識に行われている体内状態を適切な計測器によって測定し、その情報を画像や音の形で自身が意識できるよう呈示することにより、従来制御することが不可能であると考えられてきた体内の諸機能を意識的に制御することが可能であることがわかってきた。人体における意識にのぼらない情報を工学的な手段によって視聴覚等で感知させ意識上にフィードバックすることにより、体内状態を意識的に希望する方向へ調節する技術や訓練をバイオフィードバックと呼び、現在、さまざまな疾患において用いられている。 本研究はスコットランドとイングランドの23医療施設において、腹圧性尿失禁を呈した18歳以上の600例の女性を対象としたRCTである。監督下の骨盤底筋訓練(PFMT)のみの群と筋電図によるバイオフィードバックを組み込んだ監督下PFMTの2群に割り付けられ、主要評価項目は24ヵ月時における尿失禁の自己申告による重症度(ICIQ- UI SF)であり、副次評価項目は、治癒または改善、他のPFM症状、QOL、PFM機能、他の治療の導入、プロトコールの実効性、費用、質調整生存年としている。結果は、ICIQ-UI SF平均値はバイオフィードバック群8.2ならびにコントロール群8.5と近似しており、費用ならびに質調整生存年においても有意な差を認めなかった。48症例(バイオフィードバック群34例、コントロール群14例)で副作用を認めた。以上から、筋電図バイオフィードバックをPFMTの補助にする治療の有効性は証明しえなかった。 女性尿失禁に対しては骨盤底筋訓練(PFMT)が尿失禁の改善につながり、わが国の『女性下部尿路症状診療ガイドライン(第2版)』CQ9においてPFMTは推奨グレードAである。PFMTの方法に関してはさまざまな行動療法統合プログラムを行うことの優越性が報告されているものの、バイオフィードバックを組み合わせることでの優位性に関しては議論の余地がある段階とされていた。本研究のように大規模かつ多施設共同RCTから筋電図バイオフィードバックの有効性が見いだせなかったことから、監督下PFMTは尿失禁の管理に効果的であるものの、その効果をより最大化するその他の方法に関してさらなる検討が必要と思われる。

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第31回 聖マリアンナ医大はなぜ、文科大臣を怒らせ続けるのか?

ワールドシリーズでコロナ騒動こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。米メジャーリーグのワールドシリーズは、ロサンゼルス・ドジャースの32年ぶりの優勝で終わりました。優勝を決めた10月27日の第6戦では、野球ファン以外もあっと驚く出来事がありました。ドジャースの内野手、ジャスティン・ターナー選手が新型コロナウイルス陽性であること試合途中で判明し、8回の守備から退きました。ターナー選手は第3戦と第4戦の初回に本塁打を放つなど、攻守で大活躍していました。コロナによる途中退場だけでもちょっとしたニュースですが、なんとターナー選手、別室に隔離されたにもかかわらず、試合後、優勝セレモニーが始まると米メジャーリーグ機構(MLB)の要請に従わずに参加、グラウンド上で他の選手とハグをし合ったり、記念撮影をしたりしたのです。しかも、マスクをずらして口元を出したままで…。ドジャース関係者はターナー選手を擁護したのですが、 MLBは28日に声明を出し「隔離状態を解き、フィールドに出た行為は誤りで、接触者を危険にさらした」と強く避難、調査を進める考えを明らかにしています。USA TODAY紙(電子版)は29日付でドジャースとレイズの選手、関係者らが自宅に戻り、自主隔離に入ったと報じています。同紙はロサンゼルス郡公衆衛生局が、「(ターナー選手のように)症状が出ていない場合でも、他人と接触するには10日間隔離した上で、症状と熱がない状態を24時間以上キープする必要がある。また、陽性反応を示した人と24時間以内に15分以上接触のあった者は14日間の隔離が必要である」というガイドラインのもと、ドジャースナインらに14日間の隔離を要求したことも報じています。とんだ優勝になったものです。しかし、前回書いたように、今回のワールドシリーズ、試合以外は選手全員がホテルに缶詰めとなって全試合を戦うバブル方式(まとまった泡の中で開催する、という意味)で行われたはずなのに、ターナー選手はどこから新型コロナに感染したのでしょうか?缶詰になったホテルの従業員からの感染説などがあるようですが、現時点では謎のままです。「合理的な説明をきちんと世の中にもするべきだ」と非難さて、今回は萩生田 光一文部科学大臣に“叱られた”聖マリアンナ医科大学(川崎市)の話題です。こちらも謎だらけです。各紙報道によると、萩生田文科大臣は10月30日の閣議後会見で、医学部入試で性別や浪人回数などによる差別があった問題で、不正を頑なに否定し続けている聖マリアンナ医大について、「合理的な説明をきちんと世の中にもするべきだ」と非難したとのことです。「毎年、毎年、偶然、偶然、偶然、偶然、偶然、合格者がそういう比率だったっていうのは、ちょっと理解できない」とも語っています。きっかけは東京医科大の不正入試聖マリアンナ医大の入試については、2018年から約2年間、さまざまな報道がされてきました。きっかけは、2018年7月に発覚した東京医科大の不正入試でした。文科省は同様の不正事例を調べるため、医学部医学科がある全国81大学の2013年度から2018年度までの6年間の入学者選抜を緊急調査しました。2018年12月に発表された調査結果では、聖マリアンナ医大を含む私立9校、国立1校の名を挙げ、男性に一律に加点する女性差別や浪人生差別などの問題があったと指摘しました。このとき、同大だけが差別の存在を否定しました。当時の柴山 昌彦文科大臣の強い要請もあり、同大は第三者委員会を組織。その調査結果(2020年1月公表)等を踏まえ、文科省は今年10月1日、同大幹部を同省に呼んで、「不適切な入試があったと見なさざるを得ない」と口頭で通告しました。私学助成金50%減額へこれを受け、日本私立学校振興・共済事業団は10月28日までに、2015~2018年度の医学部入試で女子や浪人生の差別的扱いが第三者委員会に認定された聖マリアンナ医科大について、2020年度の私学助成金を50%減額すると決定しています。冒頭の萩生田文科大臣の発言は、この決定後のものです。医学部入試が不適切だったとされた私立大は他に8校(東京医科大、岩手医科大学、昭和大学、順天堂大学、北里大学、金沢医科大学、福岡大学、日本大学)あり、いずれも不正を認め、助成金が不交付もしくは減額となっています。「そのような事実はなかったものと判断」聖マリアンナ医大が“すごい”のは、一貫して「差別的扱いの事実はない」との立場を貫き続けていることです。同大のホームページの「ニュース」コーナーには、「平成27年度~平成30年度の本学一般入学試験第2次試験についての本学の見解」として、文科省に今年9月28日に提出した文書が掲示されています。この文書は、9月3日に文科省が同大に送った「聖マリアンナ医科大学第2次受験者点数分布の性差の統計的有意性」と題する文書への回答です。それによると、第三者委員会の「大学の組織的関与によるものではないが一律の差別的取扱いが認められる」との結論に対しては「男女間に点数差が存するとの客観的事実については、これを否定するものではない」としています。また、文科省からの「別々の与えられた得点に男女が作為的に割り付けられたと判断せざるを得ない」といった指摘に対しても、「当該数値ないしデータを分析する際に用いた統計学的な分析手法自体の信頼性及び妥当性についても、 異論を述べるものではない」と反論していません。しかし、肝心の「見解」の部分では、「これまでも本学の見解としてお伝えしてきたとおり、 当該年度において実施された本学入学試験第2次試験において、 男女の別といった、 受験者の属性に応じた『一律の差別的取扱い』が行なわれたとの事実は確認できておらず、 本学としては、そのような事実はなかっ たものと判断しております。(中略)『別々の与えられた得点に男女が作為的に割り付けられた』といった事実についても同様になかったものと判断しております」と差別の存在を改めて完全否定しています。もっとも、「意図的ではないが、属性による評価の差異が生じ、一部受験者の入試結果に影響を及ぼした可能性がある」として、2次試験の不合格者に入学検定料を返還しています。文科大臣が2代続けて不快感聖マリアンナ医科大は、この2年間、文科大臣から叱られ続けてきました。文科省が2018年12月に不正入試の調査結果を発表した際も、柴山文科大臣は記者会見で、差別の存在を否定する同大の対応について「率直に言って何をしているのだろうと思う」と不快感を示し、第三者委員会を設けて事実関係を調査するよう強く求めています。今年1月に第三者委員会が「差別的取扱いが認められる」旨の報告書を公表した際には、萩生田文科大臣は、「大学の見解について丁寧な説明が必要」と注文を付けています。そして今回、再び萩生田文科大臣が“説明をきちんとしろ!“と怒ったわけです。認めると学内外でマズいことが起こる?ここまで、文科大臣の発言に正対せず、“説明しない”態度を貫く、というのはよほどの理由があるに違いありません。私学助成金ばかりでなく、文科省の各種補助金ですらもらえなくなる可能性があるのに、そのリスクを承知で歯向かうわけですから。ここからはまったくの想像ですが、考えられる理由は、1)本当に不正(差別)を行っていない、2)不正はあったがそれを正式に認めると学内外でマズいことが起こる、のいずれかででしょう。マズいことの有無や存在にについて、マスコミはとくに報道していません。1971年に神奈川県川崎市宮前区に開学した聖マリアンナ医大は、今では神奈川県にはなくてはならない存在となっています。現在、本院の聖マリアンナ医科大学病院のほかに、横浜市西部病院(横浜市旭区)、東横病院(川崎市中原区)、川崎市立多摩病院(川崎市多摩区、指定管理者として聖マリアンナ医大が管理)を経営しています。総病床数は計約2200床、神奈川県における急性期医療の重要拠点と言えるでしょう。これだけ急性期機能中心の附属病院が多くなると、医師確保の面でも相当な苦労があることは想像できます。それが医学部入試にも微妙に影響していたのかもしれませんが、それもあくまでも私の想像です。さて、ここまで文科省と仲が悪いと、自民党や厚労省とも仲が悪いと考えがちですが、どうやらそうでもないようです。聖マリアンナ医大の大学のホームページのトピック面、「Life at Marianna」には、今年10月1日(文科省が同大幹部を呼んだ日です)、三原 じゅん子・厚生労働副大臣が、同大産婦人科学の鈴木 直教授と小児がん・AYA世代がん患者の生殖医療の実情と課題について対談を行った、とのニュースが掲載されています。2010年代の新設医学部の議論の時も感じましたが、医学部教育と政治の関係は、相変わらず微妙かつ繊細だと感じる今日この頃です。

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2つの心保護作用で心不全の悪化を防ぐ「エンレスト錠50mg/100mg/200mg」【下平博士のDIノート】第61回

2つの心保護作用で心不全の悪化を防ぐ「エンレスト錠50mg/100mg/200mg」今回は、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)「サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(商品名:エンレスト錠50mg/100mg/200mg、製造販売元:ノバルティスファーマ)」を紹介します。本剤は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA系)の抑制作用と、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)系の増強作用を併せ持つことで、心不全の進行を抑えます。<効能・効果>本剤は、慢性心不全(慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)の適応で、2020年6月29日に承認され、2020年8月26日より発売されています。※また、2021年9月、100mg・200mg錠に「高血圧症」の適応が追加されました。<用法・用量>《慢性心不全》通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回50mgを開始用量として、1日2回経口投与します。忍容性が認められる場合は、2~4週間の間隔で段階的に1回200mgまで増量します。忍容性に応じて適宜減量しますが、1回投与量は50mg、100mg、200mgとし、いずれにおいても1日2回投与です。なお、本剤は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)から切り替えて投与します。※《高血圧症》通常、成人にはサクビトリルバルサルタンとして1回200mgを1日1回経口投与します。年齢、症状により適宜増減しますが、最大投与量は1日1回400mgです。なお、本剤の投与により過度な血圧低下の恐れなどがあり、原則、高血圧治療の第一選択薬としては使えません。<安全性>慢性心不全患者を対象とした国内および海外の第III相臨床試験において、調査症例4,314例中966例(22.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められました。主な副作用は、低血圧448例(10.4%)、高カリウム血症201例(4.7%)、腎機能障害124例(2.9%)、咳嗽67例(1.6%)、浮動性めまい63例(1.5%)、腎不全34例(0.8%)、心不全31例(0.7%)、起立性低血圧31例(0.7%)でした(承認時)。なお、重大な副作用として、血管浮腫(0.2%)、腎機能障害(2.9%)、腎不全(0.8%)、低血圧(10.4%)、高カリウム血症(4.7%)、ショック(0.1%未満)、失神(0.2%)、意識消失(0.1%未満)、間質性肺炎(0.1%未満)、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、低血糖、横紋筋融解症、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群、多形紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、肝炎(いずれも頻度不明)が設定されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、心臓の負担を減らし血圧を下げる作用によって、心不全の悪化を抑えます。2.血圧が下がることで、めまいやふらつきが現れることがあるので、高所での作業、自動車の運転などの危険を伴う機械を操作する場合には注意してください。3.唇・まぶた・舌・口の中・顔・首が急に腫れる、喉がつまる感じ、息苦しい、声が出にくいなどの症状が現れた場合は、すぐに連絡してください。4.体のしびれ、脱力感、吐き気、嘔吐などの症状が現れた場合、体内のカリウム値が高くなっている可能性があるので、すぐにご相談ください。<Shimo's eyes>心不全が進行すると、心臓のポンプ機能が低下して循環血液量が減少し、これを補うためにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系と心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)系の働きが亢進します。そして、その状態が続くと心臓に負担がかかり、心不全がさらに悪化するという悪循環に陥ります。本剤の有効成分はサクビトリルおよびバルサルタンですが、いわゆる配合薬ではなく、サクビトリルとバルサルタンを1対1のモル比で含む医薬品であり、経口投与後に速やかにサクビトリルとバルサルタンに解離します。サクビトリルは、ANPを不活化するネプリライシン(NEP)を阻害してANP系を増強し、心室肥大の抑制や抗線維化などの心保護作用をもたらします。しかし、NEPはアンジオテンシンII(AII)の不活化作用も有するため、阻害されるとRAA系の働きを強めてしまいます。そこで、本剤はサクビトリルとバルサルタン(ARB)を組み合わせることでRAA系を抑え、心保護作用と降圧作用を得ることができる薬剤となり、すでに欧米を含む世界100ヵ国以上で承認されています。初回投与時は、ACE阻害薬またはARBから切り替えて使用します。ただし、ACE阻害薬との併用は血管浮腫が現れる恐れがあるため禁忌であり、ACE阻害薬から切り替える、もしくは本剤からACE阻害薬に切り替える場合は、少なくとも36時間空ける必要があります。初期投与量は50mgから開始して、忍容性を確認しながら維持量まで増量します。増量時の注意点として、50mg錠は100mg錠・200mg錠との生物学的同等性が確認されていないため、100mg以上の投与量の場合では50mg錠を使用することはできません。また、1回50mgから100mgへ増量時の基準として、(1)症候性低血圧がなく、収縮期血圧が95mmHg以上、(2)血清カリウム値5.4mEq/L以下、(3)eGFR 30mL/min/1.73m2以上かつeGFR低下率35%以下が示されています。注意すべき副作用として、本剤のブラジキニン分解阻害作用による血管浮腫、脱水(ナトリウム利尿)などがあります。臨床試験での発現頻度は低いものの、重症化すると生命を脅かす可能性がありますので、十分に注意して経過を観察しましょう。※2021年9月、添付文書改訂に伴い一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 エンレスト錠50mg/エンレスト錠100mg/エンレスト錠200mg

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第29回 厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響

<先週の動き>1.厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響2.オンライン診療、初診は「かかりつけ医」限定に3.医療計画の中間見直し、病院の入院機能だけでなく外来機能も再編へ4.特定行為看護師、外国人患者のサポート体制も広告可能に5.今年5月以降、介護事業所の経営状況は依然として悪いまま1.厚労白書、今後20年間の見通しにつきまとう新型コロナの影響10月23日の閣議において、田村厚労大臣は、令和2年度の厚生労働白書を報告した。第1部のテーマは「令和時代の社会保障と働き方を考える」と題され、平成の30年間を振り返りつつ、高齢化がピークを迎える2040年頃を見据えて、「人生100年時代」「担い手不足・人口減少」「新たなつながり・支え合い」「生活を支える社会保障制度の維持・発展」という4つの方向性に沿った対応の必要性を提示した内容となっている。2019年現在の人口1億2,617万人は、今後2040年には1億1,092万人へと減少し、働き手や支え手が不足する中、85才以上の高齢者が592万人から1,024万人に急増する見通しのため、社会保障費の増大は避けられない。今後の対応について、医療介護分野ではイノベーションの推進や、国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現などが求められる。(参考)令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-〔概要〕(厚労省)令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-〔本文〕(同)2.オンライン診療、初診は「かかりつけ医」限定に政府が進めているオンライン診療の恒久化について、10月30日の閣議後記者会見で、かかりつけ医については、初診のオンライン診療を認める方針が明らかになった。これまで、菅内閣発足直後から田村厚労相、河野太郎規制改革担当相、平井卓也デジタル改革担当相で協議を重ね、オンライン診療の初診解禁について合意がなされていた一方で、日本医師会はこれまで診療履歴のない新規の患者の診察についてはオンライン診療を認めないよう求めていた。今後、かかりつけ医の具体的な要件や対象疾患などを有識者会議で議論し、年内には一定の方向性を示すとしている。(参考)オンライン初診「かかりつけ医」限定 田村厚労相、恒久化へ向け方針(毎日新聞)田村厚生労働大臣記者会見概要 令和2年10月30日(厚労省)3.医療計画の中間見直し、病院の入院機能だけでなく外来機能も再編へ厚労省は、10月30日に「第22回医療計画の見直し等に関する検討会」をオンライン開催し、外来機能の明確化・連携、かかりつけ医機能の強化等について討議を行った。地域医療計画は従来5年ごとに策定だったが、2014年の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により6年おきに策定となり、2018年の診療報酬・介護報酬のダブル改定に合わせて、第7次医療計画がスタートした。2020年は中間見直しの年であり、現在のコロナウイルス感染拡大により局所的な病床不足の発生や感染症対応も含めた医療機関の役割分担・連携体制の構築が必要になるなど、地域医療計画の見直しを求める声が上がっている。各地で人口減少や高齢化等により「担い手の減少」と「需要の変化」が進み、外来医療の高度化等も進んでいく中で、入院医療だけでなく、外来医療についても再編の議論が必要となっている。今後、「医療資源を重点的に活用する外来」の定義をした上で、「外来機能報告」(仮称)の対象となる医療機関の範囲についてさらに議論を進め、年内には医療部会に取りまとめた検討結果を報告する見込み。地域によってはコロナウイルス感染により医療機関への受診抑制もあり、医療機関の再編が来年度以降大きく動き出す可能性がある。(参考)第22回 医療計画の見直し等に関する検討会(オンライン会議)(厚労省)4.特定行為看護師、外国人患者のサポート体制も広告可能に厚労省は「第16回 医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」を10月29日に開催し、医療機関が広告可能な事項として、特定行為研修を修了した看護師に医師の業務を移管していることも広告可能とする方針が了承された。また、2021年のオリンピック開催に合わせて、外国人患者についても対応できる外国語の種類や翻訳器など、サポート体制も医療機能情報提供制度を通して告示可能となる。(参考)第16回医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会資料(厚労省)5.今年5月以降、介護事業所の経営状況は依然として悪いまま10月30日に厚労省が公開した「経営実態調査」で、コロナウイルス感染拡大により、介護事業者の経営状態が依然として悪いことが明らかとなった。新型コロナウイルス感染症の流行前と比較して「悪くなった」と回答した事業所の割合は5月で47.5%、感染が落ち着いた10月で32.7%となり改善したものの、通所リハビリテーションなど通所系のサービス事業者がとくに影響を受けていた。元々、介護事業者にとって人材確保が課題であり、人件費が増加(平成30年度から+0.4%)したが、コロナの影響で保健衛生費(マスク、手袋などの購入費)が増えるなど、経費が増加しており、さらにサービス利用者の減少なども影響していると見られる。(参考)介護事業所 経営悪化5割に 通所系で顕著 厚労省調査(日本農業新聞)第190回 社会保障審議会介護給付費分科会資料(厚労省)第31回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(同)

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事例013 腰部または胸部固定帯固定の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説「C109 在宅寝たきり患者処置指導料」(以下「同指導料」)を算定している寝たきり患者の肋骨骨折疑いに対して、胸部固定帯を使用して保存的な治療が行われました。非観血整復術ではないため、「J119-2 腰部または胸部固定帯固定」(以下「同固定」)にて算定したところ、D事由(告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの)として査定となりました。査定理由を調べてみました。同指導料を算定している同月に、同固定の算定があるため、D事由にて査定となったものでした。同指導料の留意事項には、算定している患者には同固定は算定できないとあります。同一日との記載はありません。「算定している」との解釈は、同じ月内を示します。同固定帯の2回目の算定は同月内のため、算定要件に合致していないことがわかります。原因は、同指導料を算定した同一日における同固定は算定不可と医事会計画面に表示されたため入力されなかったものの、翌週2回目の訪問診療算定時には、同日でなければ同固定を算定できると強制入力されていたのでした。さらにレセプトチェックシステムのエラーを見落として、そのまま提出してしまったようです。防止策として、請求ルールの共有とエラーを見落さないように勉強会開催を提言しました。なお、事例では、使用した固定帯の費用は、「J200腰部、胸部または頸部固定帯加算」として算定できます。体内留置を原則とする医療材料ではないとの理由からの加算設定です。同固定の算定ができる期間内に、破損や機能が合わないなどの医学的理由により固定帯を給付する都度に算定できます。ただし、短期間に複数回の給付が行われる場合には、レセプトにその医学的理由の記載がないと査定の対象となります。

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043)外来コールの静かな戦い【Dr.デルぽんの診察室観察日記】

第43回 外来コールの静かな戦いゆるい皮膚科勤務医デルぽんです☆今回は、外来での診察コールのお話。私の勤務先では、手元のマイクを使って、次の患者さんを診察室へ呼び入れるシステムになっています。ボタンを押すとまず、「ポーン♪」と予報音が鳴り、それから名前を呼びます。おそらく似た仕組みの病院が多いと思いますが、この外来コール、たびたび近隣の診察室とかぶりませんか!? ほかの部屋の「ポーン♪」が鳴ったら、私はとっさに譲ってしまうのですが、いろんな考え方の先生がいらっしゃるらしく…。偶然よくかぶってしまう先生がいて、かぶるたびに(ひそかに)苦笑いをしています。逆に、阿吽の呼吸で譲り合える先生もいて、静かな連携プレー(?)にひとりにんまりすることもあります(笑)。こんなささいなことを気に掛けているのは、私だけかもしれませんが…。外来コールは早い者勝ちですね。今回は、忙しい外来診療の合間に行われる、静かなコール合戦のお話でした。それでは、また~!

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