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小型NSCLC、複雑区域切除の治療成績は?(JCOG0802/WJOG4607L) /ASCO2026

 臨床病期IA期で最大腫瘍径2cm以下の肺野末梢小型非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、区域切除と肺葉切除を比較した無作為化非劣性検証試験「JCOG0802/WJOG4607L試験」のpost-hoc解析の結果、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較して全生存期間(OS)改善傾向を示し、呼吸機能の低下も小さかった。一方、局所領域再発リスクは肺葉切除より高かった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)において、上垣内 篤氏(広島大学病院 呼吸器外科)が結果を報告した。 JCOG0802/WJOG4607L試験は、臨床病期IA期の肺野末梢小型NSCLC患者(最大腫瘍径2cm以下かつC/T比0.5超)を対象に、OSについて区域切除の肺葉切除に対する非劣性を検証することを目的として実施された。本試験において、区域切除の肺葉切除に対するOSの非劣性が検証されただけでなく、区域切除の優越性も示されたことが報告されている1)。ただし、区域切除のなかでも技術的難度が高い複雑区域切除が、単純区域切除と同様に肺葉切除と比較して、十分な治療効果を示すかは明らかになっていなかった。そこで、区域切除群のうち、両側S6区域、左上区域(S1-3)、舌区域(S4+5)の切除を単純区域切除、その他の区域切除を複雑区域切除と定義して患者を分類し、それぞれの集団を肺葉切除群と比較した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、肺葉切除群554例、複雑区域切除群318例、単純区域切除群234例であった。・手術時間中央値は、肺葉切除群174分、複雑区域切除群216.5分、単純区域切除群182分であり、複雑区域切除群が最も長かった。出血量中央値はそれぞれ44.5mL、55mL、40mLであった。切除断端距離中央値は、それぞれ4.0cm、2.2cm、2.5cmであり、複雑・単純区域切除群で短かった。・全体集団における5年OS率/10年OS率は、肺葉切除群91.1%/79.8%、複雑区域切除群93.7%/83.5%、単純区域切除群95.3%/83.5%であった。肺葉切除群に対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)は、複雑区域切除群0.869(0.642~1.176)、単純区域切除群0.858(0.609~1.208)であった。・術後1年時点の1秒量(FEV1)変化率中央値は、肺葉切除群-12.0%、複雑区域切除群-7.9%、単純区域切除群-9.0%であった。肺葉切除群と比較して、複雑区域切除群、単純区域切除群のいずれもFEV1低下が有意に小さかった(それぞれp<0.0001、p=0.0006)。・術後1年時点の努力肺活量(FVC)変化率中央値は、肺葉切除群-10.7%、複雑区域切除群-7.3%、単純区域切除群-7.4%であった。FVCについても、複雑区域切除群、単純区域切除群のいずれも肺葉切除群より低下が有意に小さかった(それぞれp<0.0001、p=0.0001)。・無再発生存期間(RFS)について、5年RFS率/10年RFS率は、肺葉切除群87.9%/78.0%、複雑区域切除群87.4%/76.8%、単純区域切除群88.8%/76.7%であった。肺葉切除群に対するHR(95%CI)は、複雑区域切除群1.034(0.782~1.365)、単純区域切除群1.073(0.790~1.458)であった。・局所領域再発の5年累積発生率/10年累積発生率は、肺葉切除群4.7%/5.7%、複雑区域切除群8.2%/12.3%、単純区域切除群6.9%/10.1%であった。複雑区域切除群(HR:2.124、95%CI:1.327~3.399)、単純区域切除群(同:1.817、1.071~3.083)は肺葉切除群より局所領域再発リスクが高かった。 本解析について、上垣内氏は「肺野末梢小型NSCLCにおいて、複雑区域切除は単純区域切除と同様に、肺葉切除と比較してOSを改善する傾向が示された。複雑区域切除および単純区域切除は、いずれも肺葉切除と比較して呼吸機能の温存に寄与した。一方、局所領域再発リスクが高いことから、複雑区域切除を行う際には、十分な切除マージンを確保するよう細心の注意を払うべきである」とまとめた。

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atypical EGFR変異NSCLC、アミバンタマブ+ラゼルチニブのOS中央値41ヵ月(CHRYSALIS-2)/ASCO2026

 非小細胞肺がん(NSCLC)におけるEGFR遺伝子変異の多くは、exon19欠失またはL858R変異などであるが、G719X、S768I、L861Qなどのatypical変異も一定割合で認められる。atypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCでは、既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の効果が限定的であり、治療選択肢の拡充が求められている。そこで、atypical変異を有するNSCLC患者を対象に、アミバンタマブとラゼルチニブの併用療法を評価するCHRYSALIS-2試験コホートCにおいて、長期追跡が行われた。その結果、1次治療としてアミバンタマブ+ラゼルチニブによる治療を受けたatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者において、全生存期間(OS)中央値は41.0ヵ月であった。Joel W. Neal氏(米国・スタンフォードがん研究所)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で報告した。 CHRYSALIS-2試験コホートCの対象患者は、未治療または2ライン以下の治療歴(第3世代EGFR-TKIによる治療歴のある患者は除外)を有するatypical EGFR遺伝子変異(exon20挿入変異、exon19欠失変異、exon21 L858R変異は除外)陽性NSCLC患者であった。対象患者にアミバンタマブ(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の1サイクル目は週1回、2サイクル目以降は隔週)+ラゼルチニブ(240mg、1日1回)を投与し、有効性・安全性を検討した。主要評価項目は治験担当医師評価に基づく奏効率、副次評価項目は奏効期間、無増悪生存期間、OS、安全性などとした。今回は、未治療患者49例におけるOS、後治療、試験治療の継続状況、安全性の長期追跡結果が報告された。  主な結果は以下のとおり。・未治療の49例の年齢中央値は60歳、女性は45%、アジア人は57%であった。主なEGFR遺伝子変異はexon18 G719X(55%)、exon20 S768X(27%)、exon21 L861X(24%)であり、compound変異は35%に認められた。・データカットオフ時点(2025年10月31日)の追跡期間中央値は31.3ヵ月で、49例中10例(20%)が1次治療を継続していた。内訳は、アミバンタマブ+ラゼルチニブの両剤継続(7例)、アミバンタマブのみ継続(2例)、ラゼルチニブのみ継続(1例)であった。・OS中央値は41.0ヵ月で、36ヵ月OS率は55%であった。・1次治療の治療期間中央値は13.3ヵ月(範囲:0.1ヵ月未満~53.2ヵ月)であり、未治療患者の39%が2年を超えて治療を継続した。・病勢進行により1次治療を中止した患者のうち、71%(20/28例)が後治療を受けた。後治療で最も多かったのはプラチナ製剤を含む化学療法ベースのレジメンであった(55%)。TKIは30%、その他の治療は15%であった。・今回の結果の比較として、Flatiron Health/Foundation Medicine Clinico-Genomic Databaseを用いたリアルワールドのatypical EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者69例との記述的比較も提示された。リアルワールド集団のOS中央値は15.2ヵ月であり、アミバンタマブ+ラゼルチニブの41.0ヵ月と比較して短かった。・安全性について、有害事象の多くがEGFR阻害、MET阻害に関連するもの、注入に伴う反応(IRR)であり、Grade 1または2が多かった。なお、本試験は皮下投与製剤の承認前、皮膚障害やIRRの予防レジメンの開発前に行われたため、これらの予防は行われていなかった。 本結果についてNeal氏は「未治療のatypical EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者に対するアミバンタマブ+ラゼルチニブ併用療法は、OS中央値が約3.5年という臨床的に意義のある結果を示した。患者背景、ベースライン時の遺伝子変異、疾患特性にかかわらず持続的な奏効が認められた。長期の追跡においても、安全性プロファイルはアミバンタマブ静注+ラゼルチニブの既報と同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった」とまとめた。

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抗線維化作用と免疫調整作用を併せ持つ肺線維症薬「ジャスケイド錠9mg/18mg」【最新!DI情報】第64回

抗線維化作用と免疫調整作用を併せ持つ肺線維症薬「ジャスケイド錠9mg/18mg」今回は、経口ホスホジエステラーゼ(PDE)4B阻害薬「ネランドミラスト(商品名:ジャスケイド錠9mg/18mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)」を紹介します。本剤は抗線維化作用と免疫調整作用を有し、PDE4Bに対して高い選択性を持つ阻害薬であり、希少難病である特発性肺線維症および進行性肺線維症患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>特発性肺線維症および進行性肺線維症の適応で、2026年5月18日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはネランドミラストとして1回18mgを1日2回経口投与します。なお、患者の忍容性に応じて、1回9mg 1日2回に減量することができます。<安全性>重大な副作用として、重度の下痢(1.3%)があります。その他の副作用として、下痢(30.8%)、食欲減退、悪心、体重減少(いずれも1%以上10%未満)、心房細動、背部痛(いずれも1%未満)があります。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、抗線維化薬および免疫調整薬と呼ばれる薬です。ホスホジエステラーゼ(PDE)4Bという酵素を阻害することによって、特発性肺線維症および進行性肺線維症の病態形成や進行に関与する反応を抑えます。 2.この薬は光に不安定なため、服用する直前にシートから取り出してください。 3.妊娠する可能性がある女性は、この薬を使用している間および使用終了後4日間は適切に避妊してください。 4.妊娠または妊娠している可能性がある女性は、医師または薬剤師に相談してください。 <ここがポイント!>特発性肺線維症(IPF)は、原因不明で肺が硬くなる特発性間質性肺炎の一種で、国の指定難病です。予後は不良で、未治療の場合の生存期間中央値は3~5年とされています。発症原因は完全には解明されていませんが、加齢、喫煙、生活環境、遺伝的素因などの関与が考えられています。一方、進行性肺線維症(PPF)は、IPF以外の間質性肺疾患のうち、IPFに類似した進行性の線維化を特徴とする疾患群の総称です。これらの肺線維化および炎症の病態形成には、肺に高発現するホスホジエステラーゼ(PDE)4Bが中心的な役割を担っていると考えられています。ネランドミラストは、PDE4Bに対して高い選択性を有する阻害薬です。本剤は、PDE4Bを阻害することで、細胞内セカンドメッセンジャーであるcAMPの濃度を上昇させます。その結果、IPFおよびPPFで過剰に産生される線維化促進性の増殖因子や炎症性サイトカインの発現を抑制し、抗線維化作用および免疫調整作用を発揮すると考えられています。IPF患者を対象とした国際共同第III相試験(FIBRONEER-IPF試験[1305-0014試験])において、主要評価項目である52週時の努力性肺活量(FVC)のベースラインからの絶対変化量は、プラセボ群-183.5mL(95%信頼区間[CI]:-210.9~-156.1)、本剤9mg群-138.6mL(95%CI:-165.6~-111.6)、本剤18mg群-114.7mL(95%CI:-141.8~-87.5)でした。プラセボ群との調整済み平均値の差は、本剤9mg群では44.9mL(95%CI:6.4~83.3、p=0.0222)、本剤18mg群では68.8mL(95%CI:30.3~107.4、p=0.0005)であり、いずれの用量においてもプラセボ群に対し統計学的に有意な差が認められました。

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標的試験エミュレーション、無作為化比較試験との一致度は中程度/BMJ

 現在の標的試験エミュレーションは、対応する無作為化比較試験の再現に関して、一致度は中程度であることが、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCanlong Wang氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析の結果で示された。標的試験エミュレーションが、対象とした無作為化比較試験で観察された効果を、どの程度再現できるかは依然として不明であった。著者は、「ベースラインの特性やアウトカムのエミュレーションの質を向上し、複数の情報源を連結したデータベースを活用するなど、エミュレーションデザインを改善することで、一致度は高めることができる」と述べている。BMJ誌2026年5月19日号掲載の報告。システマティックレビューとメタ解析で一致度を評価 研究グループは、Medline、EMBASE、Scopus、PsycINFOおよびWeb of Scienceを用い2010年1月1日~2025年10月1日に発表された観察研究を検索した。 適格基準は、薬剤、外科手術または医療機器の使用に関するベンチマークとなる無作為化比較試験(標的試験)の模倣を目的とすることが明示されている英語の論文とした。 2人の研究者がそれぞれ、各エミュレーション研究とそれに対応する無作為化比較試験について、研究領域、対象集団、介入、対照群、およびアウトカムに関するデータを抽出するとともに、エミュレーション研究はROBINS-Iツール、無作為化比較試験はコクランバイアスリスクツール(バージョン2)を用いてバイアスリスクを評価した。 21の事前に定義されたエミュレーションデザインの特徴について、エミュレーション研究と無作為化比較試験のペア間の一致度を、8つの指標(2値指標は標準化差、点推定値、統計学的有意性の完全一致、統計学的有意性の部分一致、連続指標はピアソン相関係数、クラス内相関係数、比率の相対偏差、比率の比)を用いて検討し、研究特性と一致度の関連について、サブグループ解析および回帰分析を実施した。ピアソン相関係数は0.59、標準化差の一致率は79%、比率の比は0.96など エミュレーション研究と無作為化比較試験のペア107組において、ピアソン相関係数は0.59(95%信頼区間[CI]:0.45~0.70)、標準化差の一致度は79%(85/107組)、比率の比は0.96(95%CI:0.92~1.01、I2=36%)であった。 試験デザインをより忠実にエミュレートしていた63組では、より高い一致性が観察され、ピアソン相関係数は0.83(95%CI:0.73~0.89)、標準化差の一致度は87%(55/63組)であった。 サブグループ解析では、無作為化比較試験のエミュレーションは、静脈血栓塞栓症および主要心血管イベントに関連する特定のアウトカムについて、無作為化比較試験の治療効果を系統的に過小評価する傾向がみられた。一方、呼吸器系のアウトカムについては過大評価する傾向があり、統合した比率の比はそれぞれ0.76(95%CI:0.58~1.00、I2=40%)、0.91(95%CI:0.86~0.96、I2=32%)、1.20(95%CI:1.03~1.40、I2=40%)であった。さらに、請求データに基づくエミュレーションは、治療効果を過小評価する傾向にあった(0.90、95%CI:0.82~0.99、I2=38%)。 単変量回帰分析では、エミュレーション研究と無作為化比較試験の一致度の低さは、ベースラインの対象集団の特性に不均衡があるエミュレーションデザイン、入院中に治療が開始されるデザイン、およびアウトカムエミュレーションの質が低いことと関連していた。

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複雑性尿路感染症と腎盂腎炎、nacubactam併用で有効かつ安全な治療法は/Lancet

 グラム陰性菌による複雑性尿路感染症(cUTI)または急性単純性腎盂腎炎(AP)患者において、イミペネム/シラスタチンとの比較により、セフェピム/nacubactamおよびアズトレオナム/nacubactam併用投与の有効性および安全性が確認された。札幌医科大学の高橋 聡氏らが、「Integral-1試験」の結果を報告した。nacubactam(OP0595)は、新たに開発されたジアザビシクロオクタン系β-ラクタマーゼ阻害薬で、セフェピムまたはアズトレオナムとの併用投与により、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌および第3世代セファロスポリン耐性腸内細菌目細菌(ESBL産生菌を含む)に対する強力な活性を示すことが確認されていた。Lancet誌2026年5月16日号掲載の報告。nacubactamとセフェピムまたはアズトレオナム併用投与の有効性と安全性をイミペネム/シラスタチンと比較 Integral-1試験は、ブルガリア、中国、チェコ共和国、エストニア、ジョージア、日本、ラトビア、リトアニア、スロバキアの79施設において実施された国際共同第III相無作為化二重盲検実薬対照試験。18歳以上、体重が140kg以下で、少なくとも5日間の注射用抗菌薬による治療が必要とされているcUTIまたはAP患者を対象とした。 研究グループは、対象患者をセフェピム(2g)/nacubactam(1g)群、アズトレオナム(2g)/nacubactam(1g)群、またはイミペネム(1g)/シラスタチン(1g)群に、診断(cUTI、AP)および地理的地域(日本、中国、その他)を層別因子として2対1対1の割合で無作為に割り付け、8時間(±1時間)ごとに60分間(±15分間)かけて、5~10日間、必要に応じて最長14日間、静脈内投与した。 主要エンドポイントは、微生物学的修正intention-to-treat(mITT)集団(無作為化され試験薬の投与を受け、かつベースラインで適格病原体がイミペネムおよびメロペネムに感受性のあるすべての患者)における、投与終了7日後の治癒判定時点での総合臨床効果とした。総合臨床効果は、臨床的成功(治験責任医師評価による臨床効果が治癒と判定)、および微生物学的成功(試験実施施設と中央検査室での検査結果に基づく細菌学的効果が消失と判定)の達成とした。また、試験薬を少なくとも1回投与されたすべての患者において安全性を評価した。 主要エンドポイントの非劣性マージンは、群間差の95%信頼区間(CI)の下限が-15%ポイント、優越性マージンは0%ポイントと事前に規定された。イミペネム/シラスタチンに対するセフェピム/nacubactam併用群の優越性を確認 2023年5月22日~2024年11月26日に、614例が無作為化され、うち微生物学的mITT集団は431例(セフェピム/nacubactam群214例、アズトレオナム/nacubactam群112例、イミペネム/シラスタチン群105例)であった(男性228例[53%]、女性203例[47%])。 主要エンドポイントを達成した患者の割合は、セフェピム/nacubactam群で82%(176/214例)、アズトレオナム/nacubactam群で72%(81/112例)、イミペネム/シラスタチン群で61%(64/105例)であった。イミペネム/シラスタチン群との差は、セフェピム/nacubactam群で21.3%ポイント(95%CI:10.9~32.0)(非劣性かつ優越性)、アズトレオナム/nacubactam群で11.4%ポイント(95%CI:-1.2~23.7)(非劣性)であった。 試験治療下で発現した有害事象は、セフェピム/nacubactam群で306例中100例(33%)、アズトレオナム/nacubactam群で152例中45例(30%)、イミペネム/シラスタチン群で150例中65例(43%)に報告された。治療に関連する死亡は認められなかった。

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1回の大腸内視鏡検査により大腸がんの死亡率は減少するか?(解説:上村直実氏)

世界と日本の大腸がん検診の動向について 世界で毎年200万件の新規症例が発生する大腸がんは3番目に多いがんであり、世界中で早期発見のための検診が盛んに行われている。日本における2024年の大腸がん死亡者数は、男性約2万8,800例、女性約2万5,600例、合計約5万4,400例で、全がん死亡者数の約14%を占めているが、重要なのは検診および大腸内視鏡検査(CS)による早期発見で予防可能な疾患という点である。 検診方法は、主に直接CSを行う米国に対して、日本・欧州・オーストラリアなどでは最初に免疫学的便潜血検査(FIT)を用いる検診が主流である。いずれの方法においても、大腸がん死亡率の減少には検診の受診率が最も重要であることが明らかとなっている。ちなみに、最近大腸がん死亡者数の低下を認めている米国の受診率は70%で、日本の40%を大きく上回っている。大腸内視鏡検査の有用性を示す報告について 大腸がん検診におけるCSの有用性を示した有名な臨床研究は、1993年NEJM誌に報告された米国発の「National Polyp Study」である。この研究は、内視鏡的に発見された腺腫を切除した後の長期追跡調査により大腸がんの発症率および死亡率が著明に低下し、大腸がん予防に対するCSの有用性を示したのみならず、大腸がんのadenoma-carcinoma sequence説を実際に証明したものとされている。日本で2006年から経過観察された日本版の「Japan Polyp Study」では、「腺腫切除による大腸がん予防」および「CSの適切な間隔は3年間が妥当」との結論が2020年のGUT誌と2024年のCGH誌に報告されており、大腸がん予防にCSによるポリープ切除が確立したものとなっている。その他、観察研究によりCSを用いる検診法の有効性が数多く報告されているものの、検診におけるCS勧奨の有用性を検証するための直接的な大規模無作為化比較試験(RCT)はなかった。 一般住民を対象としたCS勧奨群と通常診療群による世界初の大規模RCTは、ノルウェー、ポーランド、スウェーデンで行われたNordICC試験である。このNordICC試験の10年経過観察の結果は2022年にすでにNEJM誌に報告されている(CLEAR!ジャーナル四天王「大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響」筆者解説)。今回は、さらに3年後の追跡調査の結果が2026年5月のLancet誌に報告された。その結果は前回の報告と同様、「1回のCSは大腸がん発生率を減少させたが、死亡率に対する影響は有意なものではなくCSを受けなかった人とほぼ同じ」であり、研究グループには少し期待外れのものだった。大腸がん死亡率に有意な影響を与えない結果となった最大の要因は、「CS勧奨群のうち実際にCSを受けた者が42%と低率であった」と考察されており、ここでも受診率を上げる工夫が課題となっている。日本の実臨床における対処 日本の臨床現場においてCSは有症状者やFIT陽性者に対して施行されているが、筆者の個人的経験では、CSを行った患者が大腸がんで死亡したという話に遭遇したことはほとんどなく、大腸がん死亡の予防には何らかの機会に一度だけでもCSを受けることが最善の方法だと考えている。最善の検診法と思われるCSにはコストやマンパワーの課題があるため、現在考慮すべきはFIT検診の陽性者に対する精密検査であるCS受診率を100%とするための種々の努力であろう。ちなみに企業検診の受診率は70%と高率になっていることから、住民検診のほうも受診率を上げるための制度設計を考慮すべき時代になっていると思われる。一方、臨床現場においては、消化器領域のみではなく循環器や糖尿病などの診療医師にも、血便や貧血などの症状から可能であればFITの実施を習慣とすることも重要である。

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全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」【最新!DI情報】第63回

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」今回は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体「アニフロルマブ(遺伝子組換え)(商品名:サフネロー皮下注120mgオートインジェクター、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。これまでの点滴静注製剤に加えて皮下注製剤が登場したことで、全身性エリテマトーデス患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療が可能になると期待されています。<効能・効果>既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスの適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、1回120mgを1週間ごとに皮下注射します。なお、アニフロルマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤から本剤に切り替える場合、点滴静注の最終投与から約2週間後に本剤の投与を開始します。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシー(頻度不明)、重篤な感染症(2.3%)があります。その他の副作用として、注射部位反応(10%以上)、気管支炎(気管支炎、ウイルス性気管支炎、気管気管支炎)、上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)、帯状疱疹、過敏症(いずれも1~10%未満)、気道感染(気道感染、ウイルス性気道感染、細菌性気道感染)(いずれも1%未満)、関節痛(頻度不明)があります。なお、症状を悪化させる恐れがあるため、重篤な感染症の患者および活動性結核の患者には投与できません。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体製剤であり、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスに用いられる皮下注射薬です。 2.今までに、ステロイド、ヒドロキシクロロキン、免疫抑制薬などによる全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても効果不十分な場合に上乗せして使用されます。 3.医療機関において、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんや家族が自己注射できます。自己判断で中止や減量をしないでください。 4.妊娠または妊娠している可能性がある女性は、使用する前に医師または薬剤師に告げてください。 <ここがポイント!>全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、免疫系の異常により全身の多臓器に炎症を引き起こす慢性の自己免疫疾患で、厚生労働省の指定難病49に該当します。初期症状として全身倦怠感や発熱が多くみられ、その後、皮膚・粘膜症状、関節症状、腎病変、中枢神経症状などさまざまな症状が現れるため、患者ごとに症状の組み合わせや重症度が大きく異なります。治療の主軸は副腎皮質ステロイドによる免疫抑制および抗炎症であり、重症例ではステロイドパルス療法が選択されます。しかし、ステロイドは長期使用に伴う多くの副作用があり、ヒドロキシクロロキンや免疫抑制薬、生物学的製剤などを併用し、ステロイドの減量を目指す治療が行われます。SLE患者の多くは、I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達が持続的に亢進し、IFN誘導性遺伝子の過剰発現が認められます。アニフロルマブは、I型IFNα受容体サブユニット1に結合するヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)モノクローナル抗体であり、I型IFN受容体を介したシグナル伝達を遮断することで自己抗体産生を抑制し、SLEの症状緩和および進行抑制に寄与すると考えられています。同成分は2021年11月に点滴静注製剤が発売されていますが、4週間ごとに通院し、30分以上かけて点滴投与を行う必要があります。今回承認された皮下注製剤は、週1回の自己注射薬であり、従来の点滴静注製剤に加わる新たな選択肢として、患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療を可能にします。また、通院負担の軽減や治療継続率の向上も期待されます。なお、アニフロルマブ点滴静注製剤から皮下注製剤に切り替える場合、点滴静注製剤の最終投与から約2週間後に皮下注製剤の投与を開始する必要があります。標準治療を実施中の中等症~重症の疾患活動性を有する自己抗体陽性のSLE患者を対象とした第III相国際共同試験(TULIP SC試験)において、主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例(複合的な疾患活動性低下指標)の割合は、本剤120mg皮下投与群で59.4%、プラセボ皮下投与群で43.9%、割合の群間差は15.5%(96.46%信頼区間:1.4~29.6%)であり、プラセボ投与群に対する本剤投与群の優越性が検証されました(p=0.0211、層別Cochran Mantel Haenszel法)。

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複数ドナー由来の細胞製剤追加で臍帯血移植に有望な結果

 白血病などの血液悪性腫瘍の患者に対する臍帯血移植で、通常の単一臍帯血移植に加えて、複数ドナー由来の臍帯血を用いて製造された細胞製剤を追加投与する方法が有効である可能性が、臨床試験で示された。小規模な患者集団において、通常の臍帯血製剤の投与後にこのような幹細胞製剤を投与したところ、ほとんどの患者で重度の移植片対宿主病(GVHD)は認められず、28人中27人が少なくとも1年間生存したことが確認されたという。米フレッド・ハッチンソンがんセンターの臍帯血プログラム部門長のFilippo Milano氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of Clinical Oncology」に4月27日掲載された。Milano氏は、「移植患者が実質的に9人の異なるドナー由来の細胞の移植を受けたのは、これが初めてだ」とニュースリリースで述べている。 臍帯血移植は、幹細胞移植を必要とする血液がんやその他の血液疾患患者に対する治療選択肢の一つである。幹細胞移植とは、造血機能を再構築する治療法である。臍帯血に含まれる幹細胞は、白血球の型(HLA〔ヒト白血球抗原〕)が完全に一致していなくても比較的安全に実施できるため、適合するドナーが見つからない患者にとって有力な選択肢となる。ただ、単一の臍帯血ユニットでは含まれる細胞数が少ないため、造血機能の回復が遅いことが課題であるという。 研究グループは、今回の第2相臨床試験に白血病などの血液悪性腫瘍の患者28人を登録し、HLA適合単一ユニットの臍帯血移植後に、新たな幹細胞製剤であるdilanubicelを投与した。Deverra Therapeutics社が製造するdilanubicelは、6~8ユニットの異なるドナー由来の造血前駆細胞を組み合わせた製剤で、実験室内で培養・増殖させた後、患者に投与される。 その結果、全ての患者で、好中球は中央値18日、血小板は中央値31日で回復が確認された。臍帯血移植片由来のリンパ球の早期増殖は9日目までに認められ、11日目にピークに達した。グレード3~4の急性または慢性GVHDは認められなかった。追跡期間中央値1.4年の時点で、28人中27人が生存しており、再発・病勢進行は認められていなかった。1人の患者が死亡した。別の患者では、移植の約1年後に再発が認められたが、追加治療により寛解に至り、その状態が1年以上維持されているという。 Milano氏は、「プールされたドナー由来の幹細胞製剤に含まれる細胞が長期にわたって残存することはなかった。しかし、これらは全て、適合ドナー由来の臍帯血が患者に新しい健康な免疫システムを確立するのを支えた」と述べている。 研究グループは現在、より多くの患者を対象とした追加の臨床試験の実施に向けて、資金調達を進めている。「幹細胞移植が必要な人、特に高リスク疾患を抱える患者にとって、臍帯血が重要な選択肢であることに変わりはない」とMilano氏は話している。

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眼底写真を基にした「網膜年齢」が健康状態を知る手がかりに?

 目は心の窓であるだけでなく、その人の健康状態を映し出す窓でもある――そんな研究結果が発表された。この研究によると、網膜の早期老化は、糖尿病や心疾患といった重大な病気の兆候となる可能性があるという。東北大学大学院医学系研究科眼科学分野教授の中澤徹氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に4月8日掲載された。 網膜は、眼球の奥にある光を感知する細胞層である。研究グループによると、網膜は血管や神経の状態を非侵襲的に観察できる部位であることから、眼の画像データを解析して全身の健康状態や疾患リスクを読み解く「オキュロミクス」と呼ばれる新たな研究領域が注目を集めている。 今回の研究で中澤氏らは、健康診断で撮影された疾患のない2万7,214人の眼底写真5万595枚を用いて、「網膜年齢」を推定する人工知能(AI)モデルを開発した。モデルは年齢推定に加え、過去2〜3カ月間の平均的な血糖状態を反映するHbA1cを学習させるマルチタスク学習と、5つのAIモデルの予測結果を組み合わせて最終的な予測を行うアンサンブル学習を組み合わせる設計とした。その後、別の疾患のない成人から得られた7,288枚の眼底写真を用いて年齢予測能を検証した(内部検証)。モデルの性能は平均絶対誤差(実年齢と推定網膜年齢の平均誤差)を用いて評価された。 その結果、内部検証での平均絶対誤差は2.78歳であり、独立した135眼の眼底写真を用いた外部検証での平均誤差は3.39歳、海外の外部集団4,992眼の眼底写真を用いた検証での平均誤差は8.63歳であった。また、5つのモデルの予測のばらつきが中央値より小さい場合には、年齢予測の精度が高くなる傾向が認められた。さらに、全身性疾患を有する8,467人のコホートにおいて、網膜年齢ギャップ(推定網膜年齢と実年齢の差)は、糖尿病、心疾患、脳卒中の既往がある人では有意に大きく、これらの疾患のある人では、網膜が実年齢より「老けて見える」可能性が示唆された。 研究グループは、こうした画像のAI解析は、定期健診の中で病気の早期発見に役立つ可能性があるとしている。中澤氏は、「眼底画像は定期的な健康診断の一環として撮影される非侵襲的な検査であり、新たに何かをする必要はほとんどない。このAIモデルは、臨床現場の通常の診療フローにほぼそのまま組み込めるだろう」とニュースリリースで述べている。 中澤氏はさらに、「現在、1万人以上を対象に3年間追跡するコホート研究を計画しており、網膜年齢に関する指標が将来的な心血管疾患やその他の全身疾患の発症と関連するかを検証する予定である」と述べている。

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第316回 医療業界の贈収賄事件に変化の予兆(後編) 製薬企業は医師への飲食の提供ルールの厳格化、食事は3,000円以下、会議等の飲食は2万円以下に

医療機器メーカーや製薬企業の業界団体に厳格な自主規制の動きこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。前回書いた連休の山登りで受傷した左膝ですが、MRI検査の結果、内側側副靭帯の単独損傷(Grade 2)との診断でした。半月板まではやられておらず、全治2〜3ヵ月とのこと。夏山は今年こそ北アルプスの伊藤新道へ行こうと意気込んでいたのですが……。計画を断念するかどうか悩ましいところですが、とりあえずはリハビリに励むことにしました。さて、今回も引き続き医療業界の贈収賄事件について書いてみたいと思います。前回は、2023年に表沙汰となった国立がん研究センター東病院における贈収賄事件について、収賄側の元医長の無罪に次いで贈賄側のゼオンメディカル(東京都千代田区)の元社長についても無罪が確定した件について書きました。贈賄側に自社製品を有利に使ってもらうためという「賄賂の趣旨」が明確にあったにもかかわらず、双方無罪となった最大のポイントは、収賄側の元医長に「賄賂を受け取る認識」がなく、「調査協力の報酬」だと理解していたためでした。贈収賄の罪が成立するには、受け取る側と贈る側の両方が賄賂であると認識していた必要があります。そのため、裁判所は賄賂の趣旨があったとしても被告の贈賄罪は成立しないと判断したわけです。贈収賄事件で、収賄側、贈賄側双方が無罪となるのは非常に珍しいことです。ただ、これを機に贈収賄の摘発が甘くなるとは思えません。医療業界で摘発される多くの贈収賄事件(最近では、整形外科や眼科領域の機器絡みのケースが多いようです)では、その大半に有罪判決が出ています。今後、当局はより厳密にその犯罪性を判断し、摘発に向かうと考えられます。そんな中、製薬企業や医療機器メーカーの業界団体は医師や医療機関との関係を適正化するため、これまで以上に厳格な自主規制を行う動きが出ています。製薬企業、施設外での飲酒を伴う飲食は禁止、5,000円以下の酒席は原則不可2ヵ月前、3月13日付の日本経済新聞朝刊に「医療業界、贈収賄防止へ自主対策 医師との飲食ルール厳格化」と題する記事が掲載されました。同記事は、東京大学医学部附属病院で起きた贈収賄疑惑など、頻発する金銭や接待がらみの事件を背景に、製薬企業や医療機器メーカーの業界団体が医師や医療機関との関係を適正化するための動きを活発化させている、と報じています。製薬企業については、自主規制団体である医療用医薬品製造販売業公正取引協議会の医師への飲食の提供ルールの厳格化について取り上げています。製薬企業は過去にMRによる過剰接待や金銭を伴う不祥事が刑事事件になったことを受けて2012年に自主規制ルールを厳格化し、飲食や娯楽のみを目的とした接待を禁止していましたが、2026年4月からそのルールが一層厳しくなりました。新しい自主規制ルールでは、原則として施設外での飲酒を伴う飲食は禁止となります。従来認められていた「5,000円以下の酒席」が原則不可となり、食事は3,000円以下、会議等の飲食は2万円以下に整理されました。具体的には、自社医薬品の講演会や調査・研究委託に関する懇親行事では、飲酒を伴う「飲食」の上限が1人当たり2万円、飲酒を伴わない「食事」は上限3,000円となりました。医療機関等の施設外で行う医薬情報提供活動では、飲酒を伴う提供が「不可」となり、3,000円以内の食事に限定されます。社内研修会の講師への慰労目的の飲食提供や、懇親行事での着席形式の飲食提供も認められません。ほんの15年ほど前まで、製薬企業は、やれ新薬発表会だ、講演会だ、社内勉強会だとさまざまなイベントを繰り出し、その都度MRが医師を接待漬けにするのが常道でしたが、そうしたことはほぼなくなったわけです。贈収賄事件などが起きにくくなり、製薬企業と医師との関係が適正化されるという意味では好ましいことと言えますが、この物価高の折、「3,000円以内の食事」ではサンドイッチとコーヒーぐらいしか出せません(欧米ならコーヒーだけかも?)。また、社内研修で医師に講演で話してもらっても、講演後の慰労もできません。製薬企業にとっては大きな経費削減につながるとは思いますが、「人と人のつながり」の醸成という面では、少々厳し過ぎるようにも感じます。医療機器メーカーの業界団体は講習会や研修を実施日本経済新聞のこの記事は、医療機器メーカーの業界団体の動きについても次のように報じています。「日本医療機器産業連合会(医機連、東京・新宿)は2026年春以降、最近発生した不祥事に関連するテーマを取り上げた講習会を実施する。医療機関や医師との適切な関係性を改めて学び、具体的なケーススタディーも紹介する。弁護士など外部の専門家を招いた研修も検討する。初めて医療機器業界を経験する社員を対象にした企業倫理に関するセミナーも開く」。医療用医薬品製造販売業公正取引協議会に比べ、いささか物足りない内容です。新しく厳格なルールを設けるというのではなく、単に講習会や研修を実施するだけというのでは、贈収賄が起こる業界風土や慣習まで変えることは難しいのではないでしょうか。と思っていた矢先、5月13日付の朝日新聞朝刊がまたまたあの医療機器メーカーの違法行為を報じていました。「手術室、無資格で医療補助 機器メーカーの営業担当 医師法に抵触か 関西医科大医療センター」と題するその記事によれば、脊椎手術の際に背骨を固定するインプラントを製造販売するニューベイシブジャパン(東京都中央区)の社員が2024年、関西医科大学総合医療センター(大阪府守口市)の手術室で患者の足を持ち上げるなど医師を補助する行為をした疑いがあるというのです。メーカーから医師への金銭や労務の提供は、景品表示法に基づく規約で禁じられてはいるがニューベイシブジャパンについては昨年、本連載の「第263回 大学病院などで医療機器メーカー社員が無資格でX線検査、医療機器絡みのリベートや労務提供がなくならない理由とは」で社員の無資格X線検査を取り上げました。今回も過去の事例とは言え、別件で再び医師法違反の疑いが発覚したわけです。それにしても朝日新聞の記者はなかなかしつこいですね。無資格でのX線検査や医療補助は、明らかな金銭提供ではなく贈賄とはなりませんが、労務の提供自体は医療機関や医師に対する利益供与に他なりません。第263回でも書いたことですが、メーカーから医師への金銭や労務の提供は、景品表示法に基づく規約(医療機器業公正競争規約)で禁じられています。医療機器業界の自主規制機関である公取協はこの規約を運用し、メーカーを調査・指導しており、違反すると再発防止策を取るよう警告され、社名公表などの処分もありますが、それはあくまでも業界内の処分でしかありません。そうした“甘さ”が、似たような事件が度々起こる最大の原因と言えます。医療機関が購入する医療機器の代金はそもそも公的財源も入った診療報酬で賄われています。その代金にあらかじめリベートや不当な現金供与分、労務提供分なども上乗せされているとしたら、それは大きな問題と言えるでしょう。医療機器絡みのリベートや不当な現金供与、そして労務提供などは、そろそろ「自主規制ルール」ではなく、法律で厳格に罰するようにすべきでしょう。米国並みのルール整備の必要性前出の日本経済新聞の記事も、「各業界を厳格な自主規制に駆り立てたもう一つの理由が海外との法規制の違いだ」として、日米のルールの違いについて指摘しています。同記事は、「米国は10ドル(約1,550円)以上であればランチ代でもすべてデータベースに登録。日本は性風俗店などで計約180万円の接待を受けても公開の義務なし――。医師と企業との金銭的なやりとりを巡る日米のルールだ。製薬や医療機器で世界最大の市場を抱える米国には厳しい規制が存在し、情報公開は法律で義務付けられている。講演料や食事代などの使途も明示する必要があり、誰でも政府の公開データベースで検索できる。日本にそうした制度はない」として、米国並みのルール整備の必要性を訴えています。製薬企業の自主ルールが厳しくなり過ぎ、その反動で医療機器メーカーや、東大病院の皮膚科元教授のケースのようにその他の業界企業に医師が“たかる”図式が生まれている、と指摘する声もあります。薬であろうが、機器であろうが、化粧品やサプリであろうが、医師と企業との金銭や労務等のやりとり全般にきちんとした法的規制(自主ルールではなく)の導入を検討すべき時がきているようです。

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5月スタートの「指定濫用防止医薬品」、法的義務化と現場の対応は?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第170回

市販薬の不適正使用による健康被害が後を絶ちません。これを踏まえ、2026年5月1日より、従来の「濫用等のおそれのある医薬品」は「指定濫用防止医薬品」へ名称が変更されました。販売方法などの規制が強化されていますので、改正前・後のルールや運用の変更について確認しましょう。対象となる成分改正前(濫用等のおそれのある医薬品)は、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、プソイドエフェドリン、ブロモバレリル尿素、メチルエフェドリンの6成分が対象でしたが、改正後はデキストロメトルファンとジフェンヒドラミンの2成分が追加になりました。市販の咳止め・睡眠改善薬が新たに広く対象になったということになります。なお、規制の目的から、本成分の外用薬は対象外です。年齢・容量10代などの若年層では、違法薬物よりも市販薬を用いた乱用薬物の割合が拡大しています。セルフメディケーション推進と医療費削減を目的としたOTC医薬品のネット販売が解禁されたのが2014年ですから、それと健康被害の拡大が時期的に重なっており、入手容易性の上昇が一因とも考えられています。今回の改正では若年者への歯止めが明確に法定化されました。適正使用でないと判断した場合は販売を拒否しなければなりません。18歳未満:小容量1包装のみの販売に制限され、複数個や大容量サイズは販売禁止となります。販売形態も、対面もしくはビデオ通話でのリアルタイムの確認が必須となり、通常のインターネット販売はできません。18歳以上:小容量1包装であればインターネット販売できますが、複数・大容量の場合は不可です(対面/ビデオ通話なら可)。また、複数・大容量購入を希望した場合は購入理由を確認することが義務付けられました。情報提供の方法改正前は、声掛けや注意喚起をするなど、わりと販売者の努力や良心に委ねられているという印象がありました。改正後は、書面(電子可)+口頭説明が必須となり、濫用時の健康被害を明示し、最終的に購入希望者が「理解したか」「質問はあるか」の確認までを義務としました。陳列方法自由に手に取れる棚陳列は原則不可となり、購入者の手の届かない場所や薬剤師などの目の届く範囲への配置が必要です。また、頻回購入対策を盛り込んだ手順書を整備することが推奨から義務になりました。今回の変更は、2025年の薬機法改正による変更の1つに当たります。以前は、省令や通知において「濫用等のおそれのある医薬品」として区分され、規制されており、販売時確認や注意喚起は努力義務的運用とされていました。2026年5月1日からは薬機法第36条の11に明記され、販売ルールは法的義務となります。よって、違反した場合は薬機法違反となり、行政指導・業務停止等の対象となりますので注意が必要です。

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第97回 クローンバックα係数とは?【統計のそこが知りたい!】

第97回 クローンバックα係数とは?クローンバックα係数(Cronbach's alpha)は、心理学や教育学、医療分野などで広く用いられる信頼性係数の1つで、とくにアンケートや試験のような「複数の項目から構成される尺度の内的一貫性を評価するため」に使用されます。内的一貫性とは、「同じ概念や特性を測定する複数の項目がどの程度一貫しているか」、すなわち「互いに関連しているかを示す指標」です。今回は、クローンバックα係数について解説します。■クローンバックα係数の意味クローンバックα係数は、0~1の範囲をとり、値が高いほど尺度の内的一貫性が高いことを示します。具体的には、以下のように解釈されます:0.9以上:非常に高い信頼性0.8以上0.9未満:高い信頼性0.7以上0.8未満:適切な信頼性0.6以上0.7未満:疑わしい信頼性0.6未満:低い信頼性ただし、α係数が高すぎる場合、項目間の冗長性(余分なもの、余剰がある)や重複がある可能性も考慮する必要があります。その一方で、α係数が低い場合、尺度が測定しようとしている概念を適切に捉えていない、または、項目数が少なすぎる可能性があるので注意が必要です。■クローンバックのα係数の計算方法クローンバックα係数は、以下の式で計算されます。ここで、m尺度を構成する項目数(質問の項目数など)σi2各項目の分散(各質問項目などの分散)σx2尺度全体の分散(各質問項目などを合計した尺度得点の分散)この式からわかるように、項目数が多いほど、また各項目の分散が小さいほど、α係数は高くなります。したがって、項目数の増加や項目の質の向上は、内的一貫性の向上に寄与するわけです。■クローンバックα係数の限界クローンバックα係数は内的一貫性の指標として有用ですが、以下のような限界もあります。(1)一元的構造の仮定α係数は、尺度が単一の概念を測定していることを前提としています。複数の異なる概念を含む尺度に対しては、適切な指標ではない可能性があります。(2)項目の数と質項目数が多いとα係数は高くなりやすく、項目の質が低い場合、信頼性が高いとは言えません。項目の内容妥当性も考慮する必要があります。(3)等質性の仮定α係数は、各項目が等質であることを仮定しています。項目間の相関が均一でない場合、α係数の解釈には注意が必要です。■医療分野におけるクローンバックのα係数の活用医療分野では、患者の症状評価や生活の質(QOL)の測定など、多くの場面でアンケートや尺度が使用されます。これらの尺度の信頼性を評価する際、クローンバックα係数は重要な指標となります。たとえば、新たに開発された症状評価尺度の内的一貫性を確認することで、その尺度が一貫して特定の症状を評価できるかを判断することができます。クローンバックα係数は、尺度の内的一貫性を評価するための重要な指標であり、医療分野におけるアンケートや評価尺度の信頼性を判断する際に広く用いられています。しかし、その解釈や適用には限界も存在するため、他の信頼性指標や妥当性の評価と併せて総合的に判断することが求められます。■さらに学習を進めたい人にお薦めのコンテンツ統計のそこが知りたい!第46回 単相関係数とは?第47回 単相関係数の算出方法は?第54回 スピアマン順位相関係数とは?第55回 スピアマン順位相関係数の計算方法は?

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認知症の人の葛藤に学ぶ

認知症を解決すべき問題としてではなく、「生きる営み」としてとらえ直す(「はじめに」より)長年、認知症の研究に従事してきた著者が、難しいといわれる「認知症の精神療法」について、その意義、留意点、実践方法を語る。精神療法を用いた、著者と認知症の人・家族の対話は22例を収載。それぞれの認知症の人・家族が抱く想い・葛藤と、その人たちを支え、本人らしくあってほしいと願う著者の想いが満ちており、心を揺さぶられる。認知症の人にかかわる全ての人にお勧めの1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する認知症の人の葛藤に学ぶ定価3,520円(税込)判型四六判(上製)頁数304頁発行2026年4月著繁田 雅弘ご購入はこちらご購入はこちら

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若年性認知症、そのリスク因子は?

 65歳未満で発症する若年性認知症は、重要な健康上の問題である。しかし、認知症のリスク因子に関する知見の多くは、65歳以降で発症した晩年期認知症の研究から推測されたものである。米国・ミネソタ大学のKatherine Giorgio氏らは、若年性認知症とさまざまな人口統計学的因子、臨床的因子および生活習慣因子との関連性を調査し、それらの推定値を晩年期認知症の場合と比較した。The Lancet Healthy Longevity誌2026年3月号の報告。 英国および米国における5つの地域ベースの縦断的コホート研究(UKバイオバンク、ARIC[Atherosclerosis Risk in Communities Study]研究、フラミンガム心臓研究、多民族アテローム性動脈硬化症研究[Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis]、ホワイトホールII研究)のデータを統合し、標準化した。認知症は、各コホートのプロトコールに従い、入院記録および死亡記録に基づき、臨床評価の有無にかかわらず確認した。リスク因子には、性別、自己申告による人種または民族(ヒスパニック、白人、黒人、アジア人、その他)、学歴、高血圧、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、うつ病、過度の飲酒、喫煙、運動不足を含めた。年齢を時間軸とし、時間変動係数を用いたCox回帰モデルを用いて、若年性認知症と晩年期認知症のハザード比(HR)を推定し、発症年齢によってHRが異なるかを検証した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中(中央値13.7年[四分位範囲:12.9~14.4])に、参加者54万4,442例において、若年性認知症を発症したのは807例、晩年期認知症は1万4,253例の発症が確認された。・女性は、男性と比較し、若年性認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%信頼区間[CI]:0.61~0.80)。・若年性認知症リスクの上昇と独立して関連していた因子は、黒人と白人の人種(HR:1.61、95%CI:1.23~2.11)、小学校卒業以下の学歴(HR:1.99、95%CI:1.67~2.38)、糖尿病(HR:2.45、95%CI:1.99~3.03)、うつ病(HR:2.73、95%CI:2.34~3.20)、喫煙(HR:1.86、95%CI:1.56~2.22)、肥満(HR:1.24、95%CI:1.04~1.48)、運動不足(HR:1.33、95%CI:1.11~1.59)、過度の飲酒(HR:1.22、95%CI:1.01~1.47)であった。・高血圧ステージ1(HR:1.19、95%CI:0.97~1.47)、高血圧ステージ2(HR:1.16、95%CI:0.94~1.43)、高コレステロール血症(HR:1.11、95%CI:0.92~1.34)は、正の効果推定値を示したが、統計的に有意ではなかった。・人種、運動不足、過度の飲酒を除くすべてのリスク因子は、晩年期認知症よりも若年性認知症との関連性が強かった。 著者らは「若年性認知症の発症における修正可能なリスク因子の重要性が示された。若年性認知症の1次予防における優先度の高いターゲットを特定するためにも、本結果は今後の研究の指針となりうる」としている。

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脳と体を動かす新習慣!長寿研式 やさしいパズル&かんたんコグニサイズ

脳と体の協働を高める、高齢者向け認知機能トレーニング!認知機能を幅広く刺激する19種類・難易度3段階の「パズル」を収録、解答日・正解数・時間を記録でき、継続意欲を後押し。さらに、国立長寿医療研究センター開発の認知症予防プログラム「コグニサイズ」を豊富なイラストでわかりやすく紹介。実際の動きを動画で確認できる二次元コード付き。脳を動かす“頭”と“体”の体操で、楽しみながら認知機能を維持・向上できる!自分に合ったペースで無理なく1人で、デイサービスなどで楽しく間違えながら複数人でなど、様々な活用が可能。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳と体を動かす新習慣!長寿研式 やさしいパズル&かんたんコグニサイズ定価1,320円(税込)判型B5判(並製)頁数144頁発行2026年4月監修島田 裕之(国立長寿医療研究センター研究所 老年学・社会科学研究センター長)ご購入はこちらご購入はこちら

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ネランドミラスト、日本人IPF/PPFでもFVC低下を抑制/日本呼吸器学会

 厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は2026年4月27日に、ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬ネランドミラスト(商品名:ジャスケイド)について、特発性肺線維症(IPF)および進行性肺線維症(PPF)を効能・効果として承認することを了承した。これは、主に国際共同第III相試験「FIBRONEER-IPF試験」1)および「FIBRONEER-ILD試験」2)の結果に基づくものである。第66回日本呼吸器学会学術講演会では、両試験の日本人集団の結果が報告された。西岡 安彦氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部 呼吸器・膠原病内科学分野)が両試験の日本人集団を対象とした併合解析結果を報告し、近藤 康博氏(愛知医科大学 呼吸器・アレルギー内科)がFIBRONEER-ILD試験の日本人PPF患者サブグループ解析結果を報告した。 FIBRONEER-IPF試験は、%FVC(努力肺活量の予測値に対する実測値の割合)が45%以上で、%DLCO(一酸化炭素肺拡散能の予測値に対する実測値の割合)が25%以上のIPF患者を対象とした。FIBRONEER-ILD試験は、IPF以外の間質性肺疾患(ILD)と診断され、HRCTで10%超の線維化を認め、%FVCが45%以上、%DLCOが25%以上のPPF患者を対象とした。両試験とも、対象患者をネランドミラスト9mgを1日2回投与する群(9mg群)、ネランドミラスト18mgを1日2回投与する群(18mg群)、プラセボ群に1:1:1の割合で割り付けた。両試験の日本人集団は281例(IPF 135例、PPF 146例)で、主要評価項目は52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量、主要な副次評価項目は治験期間中におけるIPF/ILDの初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院、死亡のいずれかの発生までの期間とした。【2試験の併合解析】 2試験の併合解析の主な結果は以下のとおり。・日本人集団281例の男性の割合は68.3%、平均年齢68.6歳、平均体重63.5kgで、喫煙歴ありの割合は71.2%であった。ベースライン時にニンテダニブによる治療を受けていた患者は45.2%、ピルフェニドンによる治療を受けていた患者は4.6%であった。全体集団と比較して、体重が低く、喫煙歴ありが多く、ピルフェニドン使用者が少ない傾向にあった。・日本人集団における52週時のFVCのベースラインからの変化量(調整平均値)は、プラセボ群-158.3mL、9mg群-105.9mL、18mg群-70.5mLであった。プラセボ群との差は、9mg群52.4mL(95%信頼区間[CI]:-19.1~123.9)、18mg群87.8mL(同:18.0~157.7)であり、18mg群でFVC低下抑制効果がより大きい傾向となった。・日本人集団における主要な副次評価項目のイベント発生割合は、プラセボ群37.3%(31/83例)に対し、9mg群24.7%(23/93例)、18mg群17.1%(18/105例)であり、プラセボ群に対するハザード比(HR)は、それぞれ0.71(95%CI:0.41~1.23)、0.45(95%CI:0.25~0.81)であった。・主要な副次評価項目を構成する各イベントのプラセボ群に対するHRおよび95%CIは、以下のとおりであった。<初回急性増悪または死亡>9mg群:0.62(0.29~1.31)18mg群:0.30(0.12~0.73)<呼吸器疾患による初回入院または死亡>9mg群:0.72(0.41~1.24)18mg群:0.43(0.23~0.77)<死亡>9mg群:0.66(0.25~1.78)18mg群:0.45(0.15~1.35)・主な有害事象(いずれかの群で20%以上に発現)は、下痢(プラセボ群19.3%、9mg群36.6%、18mg群38.1%)、上咽頭炎(それぞれ15.7%、23.7%、23.8%)、COVID-19(それぞれ16.9%、36.6%、38.1%)であった。投与中止に至った下痢はそれぞれ0%、1.1%、3.8%にみられた。【FIBRONEER-ILD試験】 FIBRONEER-ILD試験の日本人集団における主な結果は以下のとおり。・日本人集団146例の男性の割合は56.2%、平均年齢67.6歳、平均体重60.3kgで、喫煙歴ありの割合は50.9%であった。UIP(通常型間質性肺炎)パターン/UIP-likeパターンを有する割合は83.6%であり、ベースライン時にニンテダニブによる治療を受けていた患者は42.5%であった。全体集団と比較して、体重が低く、喫煙歴ありが多く、UIP/UIP-likeパターンが多い傾向にあった。・PPFの分類は、分類不能型特発性間質性肺炎(uIIP)32.2%、自己免疫性ILD 30.1%、特発性非特異性間質性肺炎が12.3%、線維性過敏性肺炎が11.6%、その他が13.7%であり、全体集団と比較して、uIIPが多く線維性過敏性肺炎が少ない傾向にあった。・日本人集団における52週時のFVCのベースラインからの変化量(調整平均値)は、プラセボ群-179.2mL、9mg群-68.9mL、18mg群-122.3mLであった。プラセボ群との差は、9mg群110.3mL(95%CI:9.6~211.0)、18mg群56.9mL(同:-43.5~157.2)となった。・日本人集団における主要な副次評価項目のイベント発生割合は、最終データベースロック時において、プラセボ群47.8%(22/46例)に対し、9mg群28.6%(14/49例)、18mg群27.5%(14/51例)であり、プラセボ群に対するHRは、それぞれ0.71(95%CI:0.37~1.36)、0.54(同:0.27~1.07)であった。・最終データベースロック時において、主要な副次評価項目を構成する各イベントのプラセボ群に対するHRおよび95%は、以下のとおりであった。<初回急性増悪または死亡>9mg群:0.49(0.21~1.16)18mg群:0.33(0.13~0.86)<呼吸器疾患による初回入院または死亡>9mg群:0.71(0.37~1.36)18mg群:0.54(0.27~1.07)<死亡>9mg群:0.51(0.18~1.49)18mg群:0.48(0.16~1.41) これらの結果について、西岡氏は探索的な解析であり日本人の患者数が少ないという限界を指摘しつつ「FIBRONEER-IPF試験およびFIBRONEER-ILD試験の日本人集団の併合解析において、ネランドミラスト18mg 1日2回投与は、52週時のFVC低下を抑制し、主要な副次評価項目およびその構成要素の発生リスクを抑制する傾向を示した。また、今回示したすべての評価項目で、ネランドミラスト18mg 1日2回投与がより良好な有効性を示した。日本人患者におけるネランドミラストの有効性および安全性は全体集団と一貫していた」とまとめた。また、近藤氏は「ネランドミラストはFIBRONEER-ILD試験の日本人患者において、プラセボと比較して52週時のFVC低下を抑制し、試験期間中の臨床アウトカムのリスクを数値的に抑制した。これらの結果は、FIBRONEER-ILD試験の全体集団の結果と一貫していた」とまとめた。<FIBRONEER-IPF試験の概要>・試験デザイン:国際共同第III相無作為化プラセボ対照試験・対象:%FVCが45%以上で、%DLCOが25%以上の40歳以上のIPF(12ヵ月以内のHRCTに基づく診断を受け、UIPまたはUIP-likeパターンを有する)患者1,177例試験群1(9mg群):ネランドミラスト9mg、1日2回  392例試験群2(18mg群):ネランドミラスト18mg、1日2回  392例対照群(プラセボ群):プラセボ 393例・評価項目[主要評価項目]52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量[主要な副次評価項目]初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院、死亡のいずれかの発生<FIBRONEER-ILD試験の概要>・試験デザイン:国際共同第III相無作為化プラセボ対照試験・対象:%FVCが45%以上で、%DLCOが25%以上の18歳以上のPPF(12ヵ月以内のHRCTに基づき10%以上の線維化が認められたIPF以外のILD)患者1,176例試験群1(9mg群):ネランドミラスト9mg、1日2回  393例試験群2(18mg群):ネランドミラスト18mg、1日2回  391例対照群(プラセボ群):プラセボ 392例・評価項目[主要評価項目]52週時におけるFVCのベースラインからの絶対変化量[主要な副次評価項目]初回急性増悪、呼吸器疾患による初回入院、死亡のいずれかの発生

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卵巣機能抑制、閉経前早期乳がんの再発と生存に及ぼす影響は?/Lancet

 閉経前のエストロゲン受容体(ER)陽性早期乳がんの治療において、卵巣機能抑制(OFS)は、化学療法やタモキシフェンが投与された場合でも、15年再発リスクおよび死亡リスクを有意に低下させることが明らかとなった。英国・Bradford Royal InfirmaryのMuneera B. Masood氏らEarly Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)が、無作為化比較試験に参加した個々の患者データを用いたメタ解析の結果を報告した。閉経前のER陽性早期乳がん女性において、卵巣摘出または薬剤によるOFSの追加的な保護効果は、化学療法後の閉経状態やタモキシフェンの使用状況によって異なる可能性があった。Lancet誌2026年5月2日号掲載の報告。23件の無作為化比較試験に参加した約1万5,000例の患者レベルのメタ解析 研究グループは、無作為化時点で閉経前かつ55歳未満のER陽性またはER不明早期乳がん女性において、OFSの有無別に比較した無作為化試験(2010年より前に開始され、再発または死亡を主要評価項目とした試験)の個々の患者データを用いたメタ解析を実施した。 試験は、化学療法(実施された場合)後の閉経前状態が確認されたか否か、およびタモキシフェン投与の有無によって分類された。 主要評価項目は、浸潤性乳がんの再発、乳がん死、その他の死因による死亡、および全死因死亡とした。ER重み付けlog-rank法を用いて、ER陽性疾患のイベント発生率比(RR)を推定した。 適格基準を満たし、個々の患者データセットが提供された23試験における、無作為化時に閉経前でER陽性またはER不明の腫瘍を有する女性1万5,075例について解析した。OFS追加で、乳がんの再発率が有意に低下 非OFS群と比較して、OFS群で再発率が有意に低下した(RR:0.82、95%信頼区間[CI]:0.77~0.87、p<0.00001)。その効果は、化学療法後に閉経前であることが確認された(または化学療法を受けなかった)女性において、化学療法後に閉経前であることが確認されなかった女性より、大きかった(異質性のp=0.0004)。 化学療法後に閉経前であることが確認された(または化学療法を受けなかった)女性では、タモキシフェンを用いた(タモキシフェン単独投与とOFS+タモキシフェン併用療法を比較した)最近の試験(RR:0.79、95%CI:0.70~0.91、p=0.0008)より、タモキシフェンを用いない以前の試験(RR:0.61、95%CI:0.52~0.71、p<0.0001)のほうが、再発リスクの低下が大きかった。 また、これら最近の試験では、OFSによる再発リスク低下は、45歳未満女性群が45~54歳女性群よりも大きい傾向がみられた(RR:0.73[95%CI:0.63~0.86]vs.RR:0.95[95%CI:0.75~1.21]、p=0.072)。45歳未満女性群では、乳がん死亡率も同様に改善した(RR:0.74、95%CI:0.58~0.94、p=0.012)。 再発を伴わない死亡の増加は認められなかった。また、OFSの方法や、その他の患者特性、腫瘍特性により、結果が有意に異なることはなかった。

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