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高齢肥満者の肥満関連リスク減少、日本含む7ヵ国データを解析/Lancet

 肥満および高血圧、脂質異常症に対して有効な治療法が存在するようになり、先進国の肥満高齢者は降圧薬や脂質低下薬の使用率が高くなっている。その恩恵を受けて肥満関連リスクが低下していると考えられるが、若年の肥満成人の心血管代謝リスクは依然として高いままであった。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMajid Ezzati氏らNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)が行った、日本を含む7ヵ国・110の健康サーベイのデータ解析の結果で示された。著者は、「長期的な心血管疾患およびその他の合併症を予防するため、公衆衛生・医療システムプログラムでは、これら若年層を対象とした早期の生活習慣への介入、スクリーニング、および適切な場合は薬物療法による介入を実施すべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2026年7月1日号掲載の報告。日本を含む7ヵ国の1990~2024年の健康サーベイデータを解析 研究グループは、先進国における肥満者と標準体重(標準BMI値)者の代謝特性を明らかにし、肥満者の肥満関連リスクが低下しているかを評価するため、各国住民ベースの健康サーベイデータを用いた解析を行った。具体的には、1990~2024年に7ヵ国(日本、韓国、台湾、タイ、フィンランド、英国、米国)で行われた110の健康サーベイに参加した20~79歳・97万8,425人の参加者データを用いた。 主要アウトカムは、収縮期血圧(SBP)、非HDLコレステロール(non-HDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)の平均値、および降圧薬、脂質低下薬の使用者の割合であった。 これらアウトカムについて、(1)標準体重(BMI値20.0以上25.0未満)の参加者における経時的変化、(2)肥満者(クラスI肥満者[BMI値30.0以上35.0未満]、クラスIIまたはIII肥満者[BMI値35.0以上])と過体重者(25.0以上30.0未満)と標準体重者間の変化を評価するために、グラフによる提示と傾向分析を行った。肥満の中高年者における脂質低下薬や降圧薬の使用がリスク収束に 平均non-HDL-C値と平均SBP値は、とくに40歳以上の参加者で低下していた(タイの一部の性・年齢群を除く)。すべての国、年齢層および肥満者・過体重者のBMI区分を統合した場合、標準体重者との平均non-HDL-C値の差の10年当たりの変化量は、女性は-0.05mmol/L(95%信頼区間[CI]:-0.07~-0.03)、男性は-0.07mmol/L(95%CI:-0.09~-0.05)であった。同様に平均SBP値は、女性で-0.7mmHg(95%CI:-1.0~-0.4)、男性で-0.6mmHg(95%CI:-0.9~-0.4)であった。 これらの値の低下は、標準体重者と比べて肥満者(とくにクラスII/III肥満者)で大きく、40歳以上では肥満者と標準体重者の値の差が縮小していた。その結果として、英国、米国、タイ、韓国、日本では、肥満の高齢者の平均non-HDL-C値と平均SBP値は、標準体重の高齢者と同程度か、良好である場合もみられた。そして、こうした傾向は、標準体重の中高年者と比べて肥満の中高年者における脂質低下薬や降圧薬の使用が大きく増加したことに伴っていた。 すべての国、年齢層および肥満者・過体重者を対象に、標準体重者と比較した脂質低下薬使用率の差の増加に関する統合推定値は、10年当たり女性で1.5%ポイント(95%CI:1.0~2.1)、男性で1.6%ポイント(95%CI:1.0~2.2)であった。同様に降圧薬については、女性で0.7%ポイント(95%CI:0.3~1.0)、男性で2.0%ポイント(95%CI:1.3~2.8)であった。 HDL-C値については、肥満者よりも標準体重者で大きく上昇し、両者間の乖離が進んでいた。 40歳未満では、肥満または過体重者と標準体重者の間のギャップにほとんど変化がみられなかった。若年成人ではBMI値を問わず、脂質低下薬や降圧薬を使用する人が少なかった。

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PPI、P-CABなどに「低マグネシウム血症」の重大な副作用追加/厚労省

 2026年7月14日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、PPIやP-CABなどの消化性潰瘍治療薬の「重大な副作用」および「重要な基本的注意」の項に、「低マグネシウム血症」に関する注意が追加された。  各製剤における低マグネシウム血症関連事象を評価した結果、PPI含有製剤と低マグネシウム血症との因果関係が否定できない症例*1が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。ただし、PPI単剤で因果関係の否定できない症例が複数確認できるため、一部のパック剤および配合剤*2についての集積状況は未確認であるという。*1:医薬品医療機器総合機構(PMDA)副作用等報告データベースに登録され、MedDRA PT「低マグネシウム血症、血中マグネシウム減少、マグネシウム欠乏」で当局報告された症例のうち、CTCAE(ver.6.0)におけるGrade3以上の症例かつPPI中止後に複数点での血中マグネシウム値が測定されている症例を抽出したもの。*2:アスピリン・ランソプラゾール配合剤、アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩配合剤、ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン、ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール 改訂内容は以下のとおり。【重要な基本的注意】 プロトンポンプインヒビター等の長期投与により低マグネシウム血症があらわれることがあるので、本剤を長期投与する際は、定期的に血中マグネシウム濃度を測定すること。 【重大な副作用】 低マグネシウム血症:プロトンポンプインヒビターの長期投与により、QT延長、痙攣、しびれ等を伴う低マグネシウム血症があらわれることがある。また、低マグネシウム血症に起因した低カルシウム血症、低カリウム血症等の電解質異常を伴う場合がある。これらの電解質異常が疑われる症状があらわれた場合には、血中マグネシウム濃度の測定を行い、異常が認められた場合は、マグネシウムの補充等の適切な処置を行うこと。 <医療用医薬品> ・オメプラゾール(商品名:オメプラール錠ほか) ・オメプラゾールナトリウム(オメプラゾール注射用20mg「日医工」ほか) ・ラベプラゾールナトリウム(パリエット錠ほか) ・ランソプラゾール(経口/注射、タケプロンほか)・エソメプラゾールマグネシウム水和物(ネキシウムほか)・ボノプラザンフマル酸塩(タケキャブほか) ・アスピリン・ボノプラザンフマル酸塩(キャブピリン配合錠)・アスピリン・ランソプラゾール(タケルダ配合錠)・ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン(ボノサップパック) ・ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール(ボノピオンパック)OTCの胃腸薬にも「相談すること」として追加 また、一般用医薬品で要指導医薬品として販売されているオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム含有製剤についても「相談すること」の項に改訂がなされた。服用後に副作用として、「吐き気、嘔吐、食欲不振、体がだるい、顔や手足の筋肉がぴくつく、一時的にボーっとする、意識の低下、手足の筋肉が硬直しガクガクと震える、しびれ、めまい、動悸、気を失う等があらわれる」可能性が追記され、症状があらわれた場合は直ちに医師の診療を受けるよう注意が追加された。 その他の医薬品における重大な副作用等の追加  また、同日付で以下の薬剤等についても改訂が行われたほか、インスリン アスパルト(フィアスプ注)においては、「37℃を超える高温下でのゲル化によるインスリンポンプ内部の閉塞(重篤な高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスの発現リスク)」に関する記載が「重要な基本的注意」に追加となった。<重大な副作用などが追加された製剤>・免疫チェックポイント9成分*3:血管炎・グセルクマブ(トレムフィア):肝機能障害・ドキソルビシン塩酸塩(リポソーム製剤、ドキシル):腎臓限局型血栓性微小血管症・イキサゾミブクエン酸エステル(ニンラーロ):血栓性微小血管症・カルボプラチン(カルボプラチン点滴静注液50mg「NK」):抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)・組換えRSウイルスワクチン(アブリスボ):ギラン・バレー症候群・抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(サイモグロブリン):血栓性微小血管症*3:アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、セミプリマブ、チスレリズマブ、デュルバルマブ、トレメリムマブ、ニボルマブ*4、レチファンリマブ)*4:血栓性微小血管症も追加

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薬物治療抵抗性統合失調症に有効な治療は?~ネットワークメタ解析

 抗精神病薬は、統合失調症に対して必ずしも万能な効果を示すわけではないにもかかわらず、抗精神病薬治療抵抗性患者に対する最適な治療戦略は依然として明らかになっていない。ガイドラインでは、薬物療法、心理療法、非侵襲的脳刺激(NIBS)などいくつかの治療法が推奨されているが、どれが最も効果的かは不明であった。ドイツ・ミュンヘン工科大学の古川 由己氏らは、抗精神病薬治療抵抗性統合失調症患者に対する現在のエビデンスをシステマティックにレビューし、ネットワークメタ解析を実施した。EClinicalMedicine誌2026年5月22日号の報告。 Cochrane Schizophrenia Groupレジストリ(2025年1月13日まで)およびPubMed(2026年1月8日まで)を検索し、1回以上の適切な抗精神病薬4週間投与後も症状が持続する抗精神病薬治療抵抗性統合失調症患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を抽出した。評価者は、盲検化したうえで実施した。主要アウトカムは、標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を用いたランダム効果ネットワークメタ解析により分析した、全般症状の変化とした。 主な結果は以下のとおり。・59件のRCT(参加者:5,409例、平均年齢:39.8歳、男性:3,416例、女性:1,441例)が対象となり、そのうち5,013例を主要解析対象に含めた。・抗精神病薬併用療法(18件、575例、SMD:-0.25、95%CI:-0.46~-0.04、CINeMA:非常に低い)および電気けいれん療法(5件、97例、SMD:-0.51、95%CI:-0.96~-0.06、CINeMA:非常に低い)は、同じ抗精神病薬を継続するよりも効果的である可能性が示唆された。・精神疾患に対する認知行動療法(CBTp)は、同じ抗精神病薬を継続するよりも効果があるという弱いエビデンスが示された(5件、340例、SMD:-0.23、95%CI:-0.58~0.11、CINeMA:非常に低い)。・その他の戦略(キサノメリン・トロスピウム併用療法、用量漸増、経頭蓋磁気刺激療法、クロザピンまたは他の抗精神病薬への切り替え)については、結論が得られなかった。・併用療法では、有害事象の増加がみられた(オッズ比:1.93、95%CI:1.26~3.00)。・クロザピンおよび非クロザピンによる治療抵抗性患者の間で、サブグループ間の差は認められなかった。 著者らは「抗精神病薬治療抵抗性統合失調症患者に対する治療選択肢に関して、結果は非常に不確実であった。これらの疑問を明らかにするためには、さらなる直接比較試験が必要とされる。また、用量漸増やクロザピンへの切り替えを支持するエビデンスは認められなかった。抗精神病薬併用療法と電気けいれん療法の併用療法の有効性を示唆するエビデンスは非常に弱く、検討の余地はあるものの、十分な注意が必要である」と結論付けている。

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高齢者マルチモビディティ パーフェクトガイド

高齢者の多疾患併存(マルチモビディティ)をふまえたベストプラクティスを考える本邦初! マルチモビディティをテーマにした高齢者診療シリーズの登場です。高齢者を診る機会は増えているものの、マルチモビディティ(多疾患併存)の高齢者をいかに診るべきかについての明確な指針は必ずしも存在していません。高齢者医療のアウトカムを見据え、高齢者に寄り添う診療を実践するため、本シリーズでは枢要と考えられるテーマを15領域(=各論巻のタイトル)設定し、総論巻+各論巻15冊の全16冊からなる“高齢者マルチモビディティ パーフェクトガイドシリーズ”を刊行します。今回紹介する『総論 高齢者マルチモビディティを考える』は、シリーズ全体を貫く「大切な視点」を解説するとともに、その後に続く各論巻の責任編集者による各領域の総説を掲載しています。同時刊行した『各論1 高齢者のフレイル・サルコペニアにおけるマルチモビディティを考える』は、フレイル・サルコペニアを軸に、マルチモビディティ高齢者診療の最適解を探ることを目的として、主要な併存疾患や症候ごとに診療の要点を整理し、予防や介入の視点からの対応も具体的に解説しました。「多疾患を抱えた高齢者を全人的に診る」という理念に立脚した、高齢者に寄り添う診療の実践を支える羅針盤となるシリーズです。読者対象一般医(全診療科)、総合診療医、高齢者医療を担うメディカルスタッフ総論 高齢者マルチモビディティを考える画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する総論 高齢者マルチモビディティを考える定価6,600円(税込)判型B5判(並製)頁数312頁発行2026年6月総編集宮地 良樹(京都大学名誉教授、静岡社会健康医学大学院大学学長)、伊藤 裕(慶應義塾大学名誉教授、慶應義塾大学予防医療センター特任教授)、荒井 秀典(国立長寿医療研究センター理事長)ご購入はこちらご購入はこちら各論1 高齢者のフレイル・サルコペニアにおけるマルチモビディティを考える画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する各論1 高齢者のフレイル・サルコペニアにおけるマルチモビディティを考える定価4,950円(税込)判型B5判(並製)頁数272頁発行2026年6月責任編集荒井 秀典(国立長寿医療研究センター理事長)ご購入はこちらご購入はこちら

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調剤ポイントは1%が上限、施設への配薬カート提供はNGに【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第173回

薬局の業務について、経済上の利益の提供による誘引の禁止に関する2つの事務連絡が2026年6月23日に発出されました。今回はこれを機に、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(いわゆる療担規則)」や昨今の状況について考えてみましょう。一部負担金へのポイント付与は原則禁止まずは、いわゆる調剤ポイントについてです。保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則において、「保険薬局は、患者に対して、商品の購入に係る対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、当該患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない」とあります。一部負担金にポイントを付けることで実質値引きになり、それによって患者が誘引されているということが明らかになってきたのでしょう。6月23日の事務連絡では、以下のようなことが述べられています。一部負担金にポイントを付与することは原則禁止であり、医療保険制度上、ふさわしくない。事務の効率化の観点からクレジットカードや電子マネーの取り扱いをやむを得ないとしてきたが、ポイント付与が一部負担金の1%を超えることが見込まれる場合に、さらに独自ポイント(企業独自のポイント制度)や共通ポイント(dポイントやVポイントなど)を付与することについては口頭指導の対象とする。ポイントを用いて一部負担金を減額できるようにすることや、ポイント付与について大々的に広告を行うことについても口頭指導の対象とする。薬剤の在庫不足の場合を除いて、薬を送付する送料を薬局が負担するという広告などについても経済上の利益の提供とみなし、口頭指導の対象とする。ポイントはとにかく1%までということです。キャッシュバックについても確認が必要です。私は、薬の送料を薬局が負担すると謳っている薬局があるとは知りませんでした。あの手この手で処方箋をゲットしたい気持ちはわからなくはないですが、やはりだめなものはだめです。配薬カートや調剤棚は「経済上の利益の提供」次に、高齢者施設などに対する利益供与についてです。今回の事務連絡では、高齢者施設などからの保険調剤の応需を見返りとして、薬局側が施設で使用する配薬カートを設置したり、金品や物品、サービスを提供したりすることは、患者紹介の対価としての経済上の利益の提供とみなすと明らかにしています。具体的に次に示す物品、サービス提供は経済上の利益の提供とみなします。配薬カートや調剤棚など、高齢者施設などに備え付ける什器高齢者施設などが利用するシステム(施設職員による配薬を支援するシステムや、入居者の見守りシステムなど)の導入または利用上記を明確にする一方で、患者ごとに用意する服薬カレンダーや服薬ボックスについては、薬剤師が服薬管理指導業務の一環として必要と判断した場合、薬局負担で手配しても経済上の利益の提供には該当しないとされています。こちらの高齢者施設への利益供与に関する事務連絡には、「当該取扱いについてはこれまで明確化していなかったことを踏まえ、2026年6月23日において現に保険薬局が継続的な費用負担により行っている行為については、2027年5月31日までの間に限り、『経済上の利益の提供』に該当しないものとみなします」とあります。もうすでに提供してしまっている物品や、物品やサービスの提供がルーティンになっていることについては、これから約1年以内に是正せよ、ということですね。これを機に、高齢者施設への対応の全体を見直してみてはいかがでしょうか。参考サイト保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第2条の3の2第1項に規定する経済上の利益の提供による誘引の禁止について保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則第2条の3の2第2項に規定する経済上の利益の提供による誘引の禁止について

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小児の脳発達、最も強く影響するのは社会経済的要因

 9〜10歳の小児約1万2,000人を対象にした新たな研究で、小児の脳の構造や働きに最も強く関係するのは世帯収入や居住地域の社会経済的環境などの社会経済的要因であることが示された。米ワシントン大学医学部Mallinckrodt Institute of RadiologyのNico Dosenbach氏らによるこの研究結果は、「Science」に6月11日掲載された。 脳全体の関連研究(BWAS)は、脳MRI画像を用いて、知能指数(IQ)や精神症状などの個人特性、あるいは社会経済的地位などの生活環境の個人差と、脳の機能や構造との関連を網羅的に評価する研究である。過去のBWASでは、主にIQや精神病理と脳との関連が評価され、環境や経験が脳の発達に及ぼす潜在的な影響は十分に考慮されていなかった。しかし近年の研究では、小児期の貧困や慢性ストレス、その他の逆境体験が、脳の発達や心身の健康に影響を及ぼすことが示されている。 そこでDosenbach氏らは、BWASを拡大することを目的に、脳MRI画像と12のカテゴリーに分類される649種類の要因との関連を評価した。12のカテゴリーは、社会経済的要因、スクリーンタイム、認知能力、文化・環境要因、社会人口統計学的特徴、身体的健康、精神的健康、社会的適応、物質使用・曝露、養育環境、パーソナリティ特性、医療歴であった。その上で、これらの要因が脳機能や脳構造にどのように反映されるのか、また、これまで報告されてきたIQスコアと脳との関連が真の関連なのか、それとも他の要因の影響を受けているのか、という2つの問いを検証した。評価には、9~10歳の小児1万1,878人のMRI画像が用いられた。 解析の結果、脳機能との関連が認められた上位40個の要因のうち37個、および脳構造との関連が認められた上位40個の要因のうち35個は社会経済的要因であった。それらの中で特に関連が強かったのは、世帯収入、持ち家の有無、地域の貧困率、交通機関へのアクセスであった。また社会経済的要因以外の要因では、睡眠、スクリーンタイム、ストレスの影響が強かった。 研究グループによると、特に影響を受けていたのは運動・感覚系の脳領域だった。これらの領域は、睡眠やストレスの日々の変動の影響を強く受ける。一方、認知機能や問題解決に関わる脳領域との関連は弱かった。このことから、社会経済的要因は思考に関わる脳領域を直接変化させるというよりも、身体感覚や運動に関わるシステムを介して子どもの脳に影響を及ぼしている可能性が考えられる。これらのことを踏まえて研究グループは、認知能力における脳の違いのように見えるものは、実際には知的能力の違いというよりも、疲労や慢性ストレスといった日常的な負担の違いを反映している可能性が高いとの見方を示している。 一方、過去の研究で示唆されていた脳とIQスコアとの関連については、社会経済的要因の影響を調整して解析すると、関連の約70%が統計学的に有意ではなくなった。さらに、社会経済的地位の高い家庭の小児のMRI画像を用いて解析すると、IQと脳の構造または機能との間に有意な関連は認められなかった。 論文の筆頭著者であるMallinckrodt Institute of RadiologyのScott Marek氏は、「小児の脳画像から、家庭の社会経済的地位や睡眠時間、スクリーンタイムは分かっても、IQについては、少なくとも社会経済的要因を調整すると推測することはできない」とし、IQは脳の生物学的特徴に直接根ざしたものではなく、環境要因の影響を強く受ける可能性があるとの見解を示している。その上で、「睡眠やストレスは改善可能な要因であり、それらを改善することで小児の脳の健康を向上できる可能性がある」と述べている。

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血栓回収療法成功後のtirofiban、機能的自立を改善/Lancet

 前方循環系の大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を発症し血栓除去術(EVT)による再灌流が成功した患者において、糖蛋白IIb/IIIa受容体拮抗薬であるtirofibanの投与は、プラセボと比較し機能的自立を改善し、症候性頭蓋内出血の発生割合に有意差はなかったことが示された。中国・Tongji Medical CollegeのHao Huang氏らATTRACTION Investigatorsが、同国82施設で実施した研究者主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ATTRACTION試験」の結果を報告した。急性虚血性脳卒中でEVTにより再灌流に成功しても、必ずしも機能的自立が得られるわけではない。tirofibanは、静脈内血栓溶解療法後の急性虚血性脳卒中における補助的な抗血小板療法として検討されているが、EVT後の投与を支持する研究結果が示されていた。Lancet誌オンライン版2026年6月24日号掲載の報告。EVTで再灌流に成功した虚血性脳卒中患者を対象、tirofiban群vs.プラセボ群 研究グループは、18歳以上、最終健常確認時から24時間以内で、前方循環系の大血管閉塞に起因する急性虚血性脳卒中を発症しEVTにより再灌流が成功した患者を、施設で層別化した固定ブロック法を用い、tirofiban群(5μg/kgを動脈内ボーラス投与後0.1μg/kg/分で持続静脈内投与を最長24時間継続)、またはプラセボ群(同様の用量および投与)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 試験薬投与終了後の抗血栓療法およびその他の脳卒中治療は、最新のガイドラインに従って行われた。 有効性の主要アウトカムは、90日時の機能的自立(mRSスコア:0~2点)の患者割合で、無作為化されたすべての患者(ITT集団)を解析対象集団とした。 安全性のアウトカムは、無作為化後48時間以内の症候性頭蓋内出血および画像診断による頭蓋内出血所見、ならびに90日全死亡率などで、試験治療を受け少なくとも1回の安全性評価が行われた患者を解析対象集団とした。90日時の機能的自立、tirofiban群49%vs.プラセボ群43% 2024年4月9日~2025年9月29日に、1,686例がスクリーニングを受け、このうち1,380例がtirofiban群(689例)またはプラセボ群(691例)に無作為に割り付けられた。 患者背景は、年齢中央値71歳(四分位範囲:62~77)、女性が591例(43%)、男性が789例(57%)、漢民族が1,367例(99%)であり、90日時の追跡不能例は認められなかった。 90日時の機能的自立は、tirofiban群で340/689例(49%)、プラセボ群で299/691例(43%)に認められた(絶対リスク群間差:6.1%ポイント[95%信頼区間[CI]:0.8~11.3、p=0.023]、補正後リスク比:1.15[95%CI:1.03~1.27、p=0.0092])。 48時間以内の症候性頭蓋内出血は、tirofiban群で12%(82/687例)、プラセボ群で9%(65/691例)、48時間以内のあらゆる頭蓋内出血はそれぞれ34%(235例)、32%(219例)に認められ、90日死亡率はそれぞれ18%(126例)、19%(131例)であり、いずれも両群間に差はなかった。

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家庭血圧測定値の遠隔モニタリングで心血管イベントリスクが低下

 動脈硬化性疾患(ASCVD)と診断された50歳以上の成人において、帯状疱疹(HZ)ワクチンの接種は、主要心血管イベント(MACE)およびその他の心血管アウトカムのリスク低下と関連するという研究結果が、米国心臓病学会年次総会(ACC.26、3月28~30日、米ニューオーリンズ)で発表予定である。 米カリフォルニア大学リバーサイド校のRobert Nguyen氏とAditya Desai氏は、米国のTriNetXデータベースを用い、2018年1月1日~2024年1月1日にASCVDと診断された50歳以上の成人を対象とした後ろ向きコホート研究を実施し、この集団において帯状疱疹ワクチン接種が心血管リスクを低減するかどうかを検討した。傾向スコアマッチング後、HZワクチン接種群27万5,304人と非接種群27万5,304人が解析対象となった。 解析の結果、HZワクチン接種は、MACE、全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスク低下と有意に関連していた(ハザード比はそれぞれ、0.54、0.39、0.73、0.73)。さらに、HZワクチン接種は、静脈血栓塞栓症、心不全、心房細動または心房粗動のリスク低下とも関連していた(同0.63、0.67、0.70)。 Nguyen氏は、「このワクチンは、心筋梗塞、脳卒中、死亡のリスク低減に対する心血管保護作用を繰り返し示している。既に心血管疾患を有する高リスク集団では、その効果は一般集団よりもさらに大きい可能性がある」と述べている。 自宅で血圧を測定するよう患者に促すことで、心血管イベントの発生リスクを低減できる可能性を示した新たな研究が報告された。家庭血圧を測定し、その結果を医師と共有した人では、急性冠症候群(ACS)、脳卒中、心不全による入院や死亡のリスクが約34%低かったという。英エディンバラ大学プライマリケアeヘルス分野名誉教授のBrian McKinstry氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal-Digital Health」に5月26日掲載された。 McKinstry氏は、「本研究は、家庭血圧測定値の遠隔モニタリングが血圧を低下させるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞の発生も減少させることを示した、これまでで最も強力なエビデンスである」とニュースリリースで述べている。 今回の研究では、2019年3月1日から2021年2月28日の間に第一選択の降圧薬を処方された高血圧患者45万4,180人を対象に、2022年3月1日まで追跡し、家庭血圧測定値の遠隔モニタリングと心血管アウトカムとの関連を評価した。心血管アウトカムは、ACS、脳卒中、コントロール不良の心不全による入院または死亡を対象とした。 対象者のうち9,465人が「Connect Me BP」と呼ばれる遠隔モニタリングサービスを利用していた。このモニタリングサービスでは、患者に家庭血圧の測定を促すショートメッセージが送信され、その測定値が収集される。その後、毎週・毎月・3カ月ごとの測定値の報告書が主治医に送られ、必要に応じて医師が患者に連絡を取る仕組みとなっている。 その結果、遠隔モニタリング群では開始から3カ月以内に血圧の低下が認められ、その効果は1年以上にわたって維持された。この遠隔モニタリングサービスを1年以上にわたり利用した患者と一度も利用しなかった患者(通常ケア群)を対象に、3年間の心血管イベントの発生率を比較したところ、ACSは遠隔モニタリング群で2.7%、通常ケア群で4.0%、心不全はそれぞれ1.1%と3.6%、脳卒中は1.4%と2.2%であった。年齢や性別、降圧薬数などの因子を一致させた遠隔モニタリング群5,297人、対照群18万7,232人を対象に解析した結果、遠隔モニタリング群でACS、脳卒中、心不全による入院または死亡のリスクが33.5%低く(調整オッズ比0.665、95%信頼区間0.501~0.884)、全死因死亡リスクも約40%低かった(同0.602、0.392~0.925)。 論文の筆頭著者であるエディンバラ・ネピア大学のJanet Hanley氏は、「脳卒中、心筋梗塞、心不全は死亡や障害の主要な原因であり、そのリスクを低減できるのであれば大きな意義がある。血圧の遠隔モニタリングは、血圧コントロールの改善を支援することで、このリスク低減に役立つ。その上、このシステムには、簡便で使いやすいという利点もある」とニュースリリースで述べている。 研究グループは今後、心血管リスクがより高い患者において、遠隔モニタリングによりさらに大きな利益が得られるのかを検証する必要があるとしている。 英国心臓財団(BHF)の研究部門ディレクターであるJames Leiper氏は、「高血圧は心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める。高血圧と診断された患者は、治療が適切に行われていることを確認するため、綿密なモニタリングを受ける必要がある」と述べている。同氏はまた、「本研究は、自宅で定期的に血圧を測定し、その結果を医師に送信するとともに、測定を促す定期的なリマインダーを受けることが、血圧コントロールの改善に役立つ効率的なアプローチであることを示す新たなエビデンスである」と評価した。さらに同氏は、「今回の研究で示された、重篤な心血管イベントによる入院や死亡リスクの低下は心強い結果である。このような革新的なアプローチは、人々がより長く健康に生活することに貢献する可能性がある」と結論付けている。

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幼少期の逆境体験が多いほど肥満リスク上昇、支える大人が保護因子の可能性

 幼少期の逆境体験が多いほど、小児期の肥満リスクが高いという関連が報告された。米ロサンゼルス小児病院のVictoria Goldman氏、米ジョージア大学のShana Adise氏らの研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に12月4日掲載され、2月17日にジョージア大学からリリースが発行された。 この研究では、幼少期に経験した虐待や両親の離婚、貧困、ネグレクト、いじめなどの逆境的小児期体験(adverse childhood experiences;ACEs)が多いほど、BMIが有意に高いという関連性が示された。ただし、子どもの周囲に支えとなる大人が存在していれば、この関連性が薄れる可能性があるという。論文の筆頭著者であるGoldman氏は、「支えとなる存在は必ずしも家族である必要はない。教師やコーチ、あるいはほかの誰であれ、少なくとも1人の支えとなる大人がそばにいるだけで、子どもの成長に非常に大きな影響を与える可能性がある」と、大学発のリリースの中で語っている。 Goldman氏らは、米国で行われている小児の成長・発達に関する研究(Adolescent Brain and Cognitive Development〔ABCD〕Study:ABCD研究)のデータを用いて、ACEとBMIの関連を横断的に解析した。解析対象者数は5,435人で、女子が48.5%、平均月齢143.1±7.6月(約12歳)であり、過体重または肥満(BMIが85パーセンタイル以上)が34.4%だった。4人に3人(74.6%)が少なくとも1つのACEを経験しており、体験したACEの種類の数を意味するACEスコアは、平均1.8±1.7だった。なお、先行研究では、ラテン系やヒスパニック系の子どもではACEの多いことが報告されているが、本研究でも同様の傾向が認められた。ラテン系やヒスパニック系の子ども(全体の21.0%)のACEスコアは2.1±1.7であり、その他の子ども(79.0%)のスコア(1.7±1.7)より有意に高かった(P<0.01)。 BMIに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、保護者の教育歴など)を調整後、体験したACEが2種類増えるごとにBMIが約0.5高くなるという関連が認められた。より詳しくは、ACEスコアが1標準偏差に当たる1.7ポイント高くなるごとに、BMIが0.43(95%信頼区間0.30~0.57)増加した(P<0.001)。ただし、ラテン系やヒスパニック系の子どもの中で、「日常生活において、思いやりのある大人がそばに1人はいる」と答えた子どもたちは、たとえACEスコアが高くても、BMIが比較的低い傾向が観察された。この傾向は、解析対象全体では認められなかった。 研究者らは一連の結果を、「子どもたちのACEをスクリーニングして、必要なケアとサポートを提供する必要性が示された」と総括している。また論文の上席著者であるAdise氏も、「幼少期に体験したことに関連する健康課題を抱えたまま、子どもが成長していくことを、われわれは望んでいない。臨床でのスクリーニングは、それを防ぐための貴重な機会である」と強調。さらに、「子どもの支えとなる大人がそばにいるか否かという違いが、逆境体験のある子どもの健康に大きな影響を及ぼし得る」と付け加えている。

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子どものうそ、大半は将来の問題行動につながらず

 「犬が宿題を食べてしまった」「妹が先に始めた」「携帯電話の充電が切れていた」−−。子どもがつくこんなうそに、大人はいら立ちを覚えがちだ。しかし、子どもが時々うそをつくのはよくあることであり、大半は成人後の深刻な問題につながらないことが新たな研究で示された。一方で、うそをつく行動が持続したり、年齢とともに頻度が増加したりする子どもは、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い傾向が見られ、若年成人期に反社会性パーソナリティ症の診断や犯罪歴との関連が認められたという。マギル大学(カナダ)教育・カウンセリング心理学教授のVictoria Talwar氏らによるこの研究結果は、「Development and Psychopathology」に5月27日掲載された。 Talwar氏は、「子どもが皆、同じような発達パターンでうそをつくわけではない。今回の研究では、大半の子どもが、経時的に見るとうそをつく頻度が低いままで推移するか、あるいは減少していた。ほとんどの子どもにとって、うそは問題行動ではない」とニュースリリースで述べている。 この研究では、長期追跡研究(Quebec Longitudinal Study of Kindergarten Children;QLSKC)の参加者であり、1986~1987年と1987~1988年にカナダ・ケベック州で幼稚園に通っていた3,017人の子どもが対象とされた。QLSKCでは、保護者と教師が、子どものうそをつく行動やその他の行動について、6歳から19歳まで継続的に報告していた。研究グループはそのデータを用いて、年齢が上がるにつれうそをつく頻度がどのように推移したか(うその軌跡)に基づき潜在的な軌跡クラスを抽出し、それぞれの軌跡と、攻撃性などの特性との関連を解析した。さらに、22歳時点で反社会性パーソナリティ症の診断の有無を評価するとともに、25歳までの犯罪歴を調査し、これらと軌跡クラスとの関連を検討した。 保護者と教師の評価を別々に分析した結果、いずれも3つの潜在的な軌跡クラスが認められた。教師による評価に基づく潜在的な軌跡クラスは、初期からうそをつく頻度が低いまま推移する「低頻度群」(73%)、初期の頻度が低頻度群より高く、その後も増加する「増加群」(22%)、初期には頻度が最も高いが、その後減少する「減少群」(5%)であった。これらの軌跡クラスと関連する要因について検討した結果、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い子どもは、増加群または減少群に属しやすいことが示された。また、低頻度群は他の2群と比べて19歳時の攻撃性が有意に低く、25歳までの犯罪歴も少なかった。一方、増加群は低頻度群に比べて反社会性パーソナリティ症のリスクが高かったが、増加群と減少群との間に有意差は認められなかった。 保護者の評価では、全期間を通じて時々うそをつくレベルで推移する「時々うそをつく群」(58%)、6歳時からうそをつく頻度が低く、19歳までにはほとんどうそをつかなくなる「低頻度群」(30%)、6歳時には中程度の頻度でうそをつき、その後頻度が高くなるが急激に低下し、19歳までにほぼうそをつかなくなる「増加後に減少する群」(12%)の3つの軌跡クラスが認められた。これらの軌跡クラスと関連する要因について検討した結果、6歳時の攻撃性や12歳時の衝動性が高い子どもは低頻度群以外の群に属しやすく、特に時々うそをつく群では、19歳時の攻撃性や25歳までの犯罪歴、反社会性パーソナリティ症の基準該当数も他の2群より有意に多かった。 Talwar氏は、「この研究は、正常な発達過程と、早期の支援が有益となり得るパターンを区別して理解する第一歩となる。また、うそに対するスティグマ(偏見)を軽減するとともに、将来的な悪影響を防ぐための予防策の改善にも役立つ」と説明している。その上で、「長期間にわたってうそをつき続けたり、うその頻度が増加したりする場合、とりわけ攻撃性や衝動性を伴う場合には、単に罰を与えるのではなく、早期の支援や介入が必要であることを示すサインかもしれない」と付け加えている。

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加工食品の保存料は心疾患リスクを高める?

 出来合いの食品や冷凍食品は購入後も比較的長く保存できるという利便性がある一方、心血管疾患リスクを高める可能性もあることが示された。ソルボンヌ・パリ・ノール大学(フランス)およびパリ・シテ大学(フランス)のAnais HasenbÖhler氏らによるこの研究の詳細は、「European Heart Journal」に5月20日掲載された。 工場で製造される加工食品には、さまざまな保存料が添加されている。HasenbÖhler氏は、「実験的な研究では、一部の保存料が心血管の健康に有害な影響を与える可能性が示唆されている。しかし、こうした成分が人間に与える影響について、これまで十分なエビデンスはなかった。われわれの知る限りでは、これほど幅広い種類の保存料と心血管の健康との関連について調べた研究は、今回が初めてだ」と述べている。 この研究では、フランスの11万2,395人の成人(平均年齢42.8歳、女性78.7%)を対象に、24時間食事記録法を用い、摂取した食事内容を中央値7.9年にわたり追跡調査した。記録された食品に含まれている保存料の種類や量をデータベースや実験分析で評価し、保存料の累積摂取量の経時的変化と健康アウトカムとの関連を解析した。 その結果、いくつかの一般的な保存料が、高血圧や心血管疾患の発症率上昇に関連することが示された。具体的には、カビや細菌の繁殖を防ぐために使用される、抗酸化作用を持たない保存料の摂取量が最も多かった群では、最も少なかった群に比べて高血圧の発症リスクが29%、心血管疾患の発症リスクが16%高かった。また、食品の変色防止などに用いられる抗酸化性保存料の摂取量が多かった群は、高血圧の発症リスクが22%高かった。さらに、高血圧に関連する8種類の保存料も特定された。その中には亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、クエン酸などが含まれていた。一方、アスコルビン酸については、心血管疾患の発症リスク上昇との関連が認められた。 この研究結果について、研究論文の上席著者であるソルボンヌ・パリ・ノール大学のMathilde Touvier氏は、米食品医薬品局(FDA)や欧州食品安全機関(EFSA)などの機関が保存料のリスクとベネフィットの再評価を行う必要性を示していると指摘している。同氏は、「再評価の結果が出るまでは、加工されていない食品および加工度の低い食品を優先的に摂取し、不必要な保存料を含む超加工食品はなるべく避けるべきとする現行の推奨を支持する研究結果だといえる。医師やその他の医療専門職は、こうした推奨について一般の人に説明する上で、重要な役割を担っている」とニュースリリースの中で述べている

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精神疾患が障害による健康損失の最大の原因に

 2023年時点で精神疾患を抱えていた人は世界で約12億人に上り、1990年と比べてほぼ2倍に増加したことが、新たな大規模研究で明らかになった。また、精神疾患は現在、世界の障害による健康損失(障害生存年数〔YLD〕)の最大の原因となっていることも示された。Queensland Centre for Mental Health Research(オーストラリア)のDamian Santomauro氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet」5月23日号に掲載された。Santomauro氏は、「こうした増加傾向は、パンデミックに関連したストレスの長期的な影響に加え、貧困、不安定な生活環境、虐待、暴力、社会的つながりの希薄化といった、より長期的な構造的要因を反映している可能性がある」と述べている。 この研究では、2023年版世界疾病負担(GBD)研究のデータを用いて、204カ国・地域における12種類の精神疾患の有病率を推定した。また、各疾患の有病率に障害の重み付けを適用してYLDを算出し、さらに神経性やせ症については損失生存年数(YLL)も評価した。これらを基に、疾病負担の指標である障害調整生存年数(DALY)を評価した。12種類の精神疾患は、不安症、うつ病、気分変調症、双極症、統合失調症、自閉スペクトラム症(ASD)、素行症、注意欠如・多動症(ADHD)、神経性やせ症、神経性過食症、特発性知的発達症、その他の精神疾患であった。 その結果、2023年時点で12種類の精神疾患の有病者数は11億7000万人に上り、年齢標準化有病率は人口10万人当たり1万4,210.7人であった。これは、1990年と比較して、有病者数は95.5%増加、年齢標準化有病率は24.2%増加に相当した。2023年の精神疾患による世界全体のDALYは1億7100万で、全原因によるDALYの6.1%を占めた。また、精神疾患はDALYの原因として1990年の第12位から2023年には第5位へと上昇した。さらにYLDについては、2023年には精神疾患が全YLDの17.3%を占め、最大の要因となっていた。このほか、DALYに占める割合が大きかった精神疾患は不安症(304疾患中11位)、うつ病(15位)、統合失調症(41位)であることや、精神疾患の負担は男性よりも女性で大きく、年齢別では15〜19歳でピークに達することも示された。 論文の上席著者であるQueensland Centre for Mental Health ResearchのAlize Ferrari氏は、「今回の研究から、精神疾患による負担は15~19歳でピークに達することが示された。この時期は教育、就業、人間関係など、その後の人生の軌道を左右する重要な発達段階である」と述べている。 著者らは、この拡大する危機に対処するためには、メンタルヘルスケアへの投資拡大、治療へのアクセス向上、リスクの高い集団への支援強化が必要であるとしている。

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基礎インスリン治療中の2型DM、CagriSemaがHbA1cと体重を改善/Lancet

 2型糖尿病の基礎インスリン療法は、血糖コントロールが不十分になることが多く、これが体重増加や低血糖リスクの増大と関連するとされる。CagriSemaは、cagrilintide(長時間作用型アミリン受容体作動薬)とセマグルチド(GLP-1受容体作動薬)の固定用量配合薬で、相互補完的な異なる機序を介して血糖コントロールに有益な効果をもたらす可能性が示唆され、両薬とも低血糖のリスクを増大させずに体重減少効果を示し、セマグルチドは心腎への有益な効果も確認されている。米国・テキサス大学サウスウェスタン医療センターのJulio Rosenstock氏らは「REIMAGINE 3試験」において、基礎インスリン療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者において、プラセボと比較してcagrilintide/セマグルチド配合薬の追加が、臨床的に意義のある糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の低下とともに、顕著な体重減少をもたらし、低血糖リスクは増加しないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年6月7日号で報告された。2種の用量を評価する無作為化第III相試験 REIMAGINE 3試験は、日本を含む6ヵ国46施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験(Novo Nordiskの助成を受けた)。2024年3~11月に、年齢18歳以上、スクリーニングの180日以上前に2型糖尿病と診断され、メトホルミンの有無を問わず、安定した1日1回の基礎インスリン療法を受けており、HbA1c値が7.0~10.5%、BMI値25以上の参加者を登録した。 被験者(274例、平均年齢59.0[SD 10.2]歳、女性115例[42%]、アジア人125例[46%])を、cagrilintide/セマグルチド(各2.4mg)配合薬(90例、各2.4mg配合薬群)、cagrilintide/セマグルチド(各1.0mg)配合薬(93例、各1.0mg配合薬群)、各用量の適合プラセボ(91例)の皮下投与を週1回受ける3つの群に無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、ベースラインから40週までのHbA1c値の変化量とした。2つの用量とも平均HbA1c値<7.0%を達成 ベースラインの全体の2型糖尿病の平均罹患期間は14.9(SD 7.6)年、平均体重は88.2(SD 17.9)kg、平均BMI値は31.6(SD 5.9)、平均HbA1c値は8.8(SD 1.0)%であった。234例(85%)がメトホルミンの投与を受けていた。 40週時のHbA1c値の平均変化量は、プラセボ群が-0.66%(SE 0.11)であったのに対し、cagrilintide/セマグルチドの各2.4mg配合薬群は-2.33%(SE 0.08)、各1.0mg配合薬群は-2.10%(SE 0.08)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-1.68%ポイント(95%信頼区間[CI]:-1.95~-1.41、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-1.44%ポイント(95%CI:-1.71~-1.17、p<0.0001)と、いずれも低下幅が有意に大きかった。40週時の平均HbA1c値は、各2.4mg配合薬群が6.45%、各1.0mg配合薬群が6.68%といずれも7.0%未満を達成した(プラセボ群は8.13%)。 また、プラセボ群に比べ2つの用量のcagrilintide/セマグルチド群はいずれも、40週時の平均HbA1c値<7.0%の達成率(各2.4mg配合薬群59.2%[95%CI:51.8~66.6]、p<0.0001、各1.0mg配合薬群53.7%[95%CI:46.0~61.4]、p<0.0001)、同平均HbA1c値<6.5%の達成率(54.2%[95%CI:47.4~61.0]、p<0.0001、42.2%[95%CI:35.1~49.3]、p<0.0001)、40週時の空腹時血糖値の変化量(-1.6mmol/L[95%CI:-2.2~-1.0]、p<0.0001、-1.2mmol/L[95%CI:-1.9~-0.5]、p=0.0013)、同基礎インスリンの1日用量の変化量(-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001、-20U[95%CI:-24~-16]、p<0.0001)が有意に良好であった。体重が10~12%減少、重度低血糖の報告はない ベースラインから40週までの体重の変化量は、プラセボ群が+1.1%(SE 0.4)であったのに対し、各2.4mg配合薬群は-12.0%(SE 0.7)、各1.0mg配合薬群は-10.4%(SE 0.7)であり、プラセボ群との推定群間差は各2.4mg配合薬群が-13.1%(95%CI:-14.7~-11.5、p<0.0001)、各1.0mg配合薬群は-11.6%(95%CI:-13.2~-9.9、p<0.0001)と、いずれも大きな差を認めた。 安全性プロファイルは、GLP-1受容体作動薬の薬剤クラスおよびcagrilintideのこれまでの安全性データと一致していた。有害事象は、各2.4mg配合薬群の80%(72/90例)、各1.0mg配合薬群の71%(66/93例)、プラセボ群の71%(65/91例)で報告された。そのほとんどが軽度または中等度の胃腸障害であった。 また、重度の低血糖の報告はなかった。各1.0mg配合薬群で、治療とは関連のない死亡を1例(悪性腫瘍)認めた。 著者は、これらの知見は、「1日1回の基礎インスリン療法への追加療法としてcagrilintide/セマグルチド配合薬を使用すると、血糖コントロールを有意に改善できることを裏付けるもの」「基礎インスリンに加えてさらなる治療強化を行う場合に、体重増加や低血糖のリスク、治療の複雑化による制限を受けやすい患者集団において、とくに臨床的に意義深いものである」としている。

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糖尿病の心血管疾患1次予防のアスピリン【日常診療アップグレード】第59回

糖尿病の心血管疾患1次予防のアスピリン問題66歳女性。6ヵ月前に2型糖尿病と診断され、メトホルミンとセマグルチドを使用中である。自覚症状はない。他に高血圧と脂質異常症がある。父親は55歳で心筋梗塞を発症している。その他の服用薬はアトルバスタチンとリシノプリルである。バイタルサインは、血圧122/74mmHg、脈拍数78回/分である。BMIは28である。その他の所見に異常はない。LDLコレステロール67mg/dL、HbA1c 6.5%。アスピリンを処方するか迷ったが、このまま経過を観察することとした。

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食直前投与が困難な血糖スパイクの患者、薬物動態から最適なα-GIを選択【うまくいく!処方提案プラクティス】第73回

 今回は、施設在住の高齢糖尿病患者の血糖スパイクに介入した事例を紹介します。担当医からα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)追加の方針が示されたものの、施設では食直前投与が困難という制約があり、薬物動態の観点から最適な薬剤を提案しました。施設や在宅の現場では、薬効だけでなく、その患者の生活環境で本当に飲み続けられるかを考えることが処方提案の出発点になります。患者情報90歳、男性(施設入居中)基礎疾患2型糖尿病(2021年~)、高血圧症、便秘症、心房中隔瘤、前立腺肥大症(2023年~)既往歴尿路感染症による入院ADLほぼ自立認知機能問題なし服薬管理施設職員が管理(キーパーソンは妹)介入時の検査値HbA1c 7.1%薬学的管理開始時の処方内容1.リナグリプチン錠5mg 1錠 分1 朝食後2.テルミサルタン・アムロジピン配合錠AP 1錠 分1 朝食後3.シロスタゾールOD錠50mg 2錠 分2 朝・夕食後4.ルビプロストンカプセル24μg 2カプセル 分2 朝・夕食後5.イメグリミン錠500mg 2錠 分2 朝・夕食後6.デュタステリドカプセル0.5mg 1カプセル 分1 朝食後7.ミラベグロン錠25mg 2錠 分1 朝食後本症例のポイント本患者は尿路感染症で入院し、その際に糖尿病の管理方針が変更となりました。それまで服用していたSGLT2阻害薬が休薬となり、DPP-4阻害薬(リナグリプチン)単剤に切り替えられた状態で施設に入居しました。退院時の血糖コントロールは空腹時90~130mg/dL、食後180mg/dL前後とおおむね良好でしたが、施設入居後のモニタリングで食後血糖が313mg/dLに達する血糖スパイクが確認されました。心房中隔瘤を有し、心血管リスクも考慮が必要な患者であることから、食後高血糖の是正は重要な課題となりました。施設では食直前投与が困難担当医よりα-GI追加の意向が示され、候補としてボグリボースが挙がりました。しかし、ここで問題となったのが施設の服薬管理の制約です。施設では食事直前に薬を渡すことが難しく、食直前投与の薬剤の追加には現実的な壁がありました。ボグリボースやアカルボースは、食物とともに腸内に存在して初めて二糖類の消化・吸収を阻害するため、食直前投与が必須とされています1)。食後に投与した場合は消化・吸収が先行してしまい、治療効果が著しく減弱します。つまり、もし食後投与になってしまうと、処方は出たが効かないという状況になりかねません。この問題を解決するために、私はα-GIの中でも薬物動態が異なるミグリトールに着目しました。ミグリトールは他のα-GIとは異なり、小腸上皮に直接吸収されてα-グルコシダーゼを阻害する機序をもちます2)。この特性により、食後投与でもAUCは食前投与と同等であることが報告されており3)、施設の制約下でも十分な効果が期待できると判断しました。他の合併症との相性さらにもう1つのポイントとして、患者の合併症との相性がありました。患者はルビプロストンを服用している便秘症の患者です。ミグリトールは他のα-GIと比較して便秘よりも下痢を来しやすい特性があります2)。便秘傾向のある患者においては、この副作用プロファイルがむしろ適していると考えられました。医師への提案と経過担当医に対して、以下の内容をメディカルケアステーション(ICT)にて情報提供しました。【現状報告】施設の服薬管理上、食直前投与が困難な環境である。ボグリボースやアカルボースは食直前投与が必須であり、食後投与では効果が減弱する。【懸念事項】食直前投与が守られない場合、α-GI本来の食後血糖抑制効果が得られず、血糖スパイクの改善につながらない可能性がある。【提案内容】食後投与でも効果が保持されるミグリトール錠50mg 2錠 分2 朝夕食後への変更(超高齢、腎機能低下を考慮して2錠朝夕食後に減じる設計としました)。消化器副作用プロファイルが便秘症の患者に適している。担当医より提案が採用され、ミグリトール錠50mg 2錠 分2 朝夕食後に変更となりました。施設スタッフには食後投与のタイミングと、腹部膨満感や排便状況の悪化(下痢)の観察ポイントについて情報共有を行いました。ミグリトール開始1ヵ月後より食後血糖は200mg/dL前後へと改善傾向を示しました。2ヵ月の管理期間を通じて低血糖・消化器症状の著明な増悪は認められず、HbA1cは6.8と改善傾向で推移しました。施設での服薬管理上の問題も生じず、アドヒアランスは良好に維持されました。考察:この事例から学んだこと処方提案においては、何を提案するかと同じくらいその患者の環境で本当に実行できるかどうかが重要となります。薬効・薬物動態・患者背景・生活環境を掛け合わせて考える視点が、施設や在宅の現場ではとくに求められます。今回の症例は、薬剤師ならではの視点が患者のアドヒアランスと治療効果の両立につながった一例です。 1) 日本糖尿病学会編. 糖尿病治療ガイド2024. 文光堂;2024. 2) ミグリトール錠50mg「BMD」インタビューフォーム 3) Ito H, et al. J Diabetes Investig. 2014;5:165-170.

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GLP-1受容体作動薬が乳がんの治療成績を改善する可能性

 血糖コントロールや肥満症の治療のために用いられているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が、一部の乳がん患者の予後改善につながる可能性を示唆するデータが報告された。肥満または糖尿病のある乳がん患者では、同薬の使用の有無によって全死亡や再発のリスクに有意差が見られるという。米VCUマッセイ総合がんセンターのBernard Fuemmeler氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に5月11日掲載された。 これまでの研究から、肥満や2型糖尿病を有する乳がん患者は、生存率が低い傾向にあることが示されている。また、エビデンスは十分ではないものの、肥満と乳がんが併存する場合には、減量が乳がんの予後を改善させる可能性が示唆されている。他方で近年では、2型糖尿病や肥満症に対してGLP-1RAが処方される機会が増えている。ただし、GLP-1RAの使用と乳がん患者の予後との関連は明らかにされていない。以上を背景としてFuemmeler氏らは、米国内の医療機関68施設の電子医療記録が統合されたリアルワールドデータベース(TriNetX US Collaborative Network)を用いた検討を行った。 2006年4月1日~2023年4月1日に乳がんと診断された18歳以上の女性84万1,831人(平均年齢69.1±12.2歳)を対象に、傾向スコアマッチングにより、年齢、人種・民族、肥満有病率などの背景因子が調整されたコホートが3つ作成された。1つ目はBMI30以上の肥満患者を対象にGLP-1RA処方の有無で比較するコホート(各群1,610人)、2つ目は2型糖尿病のある患者を対象にGLP-1RA処方群とインスリンまたはメトホルミン処方群を比較するコホート(各群2,323人)、3つ目は2型糖尿病のある患者を対象にGLP-1RA処方群とSGLT2阻害薬(SGLT2i)処方群を比較するコホート(各群4,052人)。追跡期間を10年とし、主要評価項目は全死因死亡、副次評価項目は無再発生存期間(RFS)とした。 解析の結果、1つ目のコホートにおいてGLP-1RAの処方は、全死因死亡(ハザード比〔HR〕 0.35〔95%信頼区間0.21~0.58〕)、およびRFSのリスク低下(HR 0.44〔同0.30~0.64〕)と関連していた。また、2つ目のコホートにおいてGLP-1RAの処方は、全死因死亡(HR 0.09〔0.06~0.15〕)、およびRFSのリスク低下(HR 0.33〔0.21~0.50〕)と関連していた。3つ目のコホートでのSGLT2iとの比較では有意差が認められなかった(全死因死亡はHR 0.97〔0.82~1.14〕、RFSはHR 0.91〔0.71~1.18〕)。 この結果をFuemmeler氏は、「われわれの研究はGLP-1RAが一部の乳がん患者に対して、生存率の改善および再発リスク低下と関連する可能性を示している」と総括。ただし、「この影響が、GLP-1RAが有する減量効果や心肺機能改善効果、あるいはその他の生物学的な要因と関連したものかどうかを判断するには、さらなる研究が必要だ」と同氏は付け加えている。なお、研究者らは今後、ランダム化比較試験の実施を予定している。

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ガソリンスタンドの近くに住む子どもはがんリスク上昇の可能性

 ガソリンスタンドの近くに住む子どもは、白血病やその他の小児がんを発症するリスクが高い可能性のあることが報告された。モントリオール大学(カナダ)のStephane Buteau氏らの研究の結果であり、詳細は「Environmental Pollution」に4月1日掲載された。 この研究から、自宅からガソリンスタンドまでの距離が近いほど、子どものがんリスクが高い傾向が示された。統計学的には明確な有意差は認められなかったものの、100m以内ではリスクの上昇が認められた。また、研究者らによると、蒸気回収システム(給油時などに気化したガソリンが大気中に放出される量を減らす装置)の設置を義務付ける条例がある地域では、リスク上昇は小さい傾向がみられたという。 Buteau氏は、「蒸気回収システムのような対策は、設置が容易でコストもあまりかからず、地域住民の有害成分への曝露量を減らして、健康面に大きなメリットをもたらす」と述べている。なお、本論文中の研究背景には、「ガソリンには白血病との関連が指摘されている既知の発がん性物質であるベンゼンが含まれている」と記されている。ベンゼンは、車両への給油時や、タンクローリーから地下タンクへガソリンを移す際に、蒸発して環境中に放出される。 Buteau氏らの研究では、カナダのケベック州の新生児82万4,414人の健康状態を追跡し、自宅の近隣のガソリンスタンドまでの距離と発がんリスクとの関連を検討した。対象は自宅から半径500m以内の全てのガソリンスタンドまでの距離の逆数を合計し、その四分位数で4群に分類された。自宅から500m以内にガソリンスタンドがない家庭の子どもを基準として、交絡因子(出生時の性別、母親の年齢と併存疾患、妊娠中の大気汚染や高圧送電線への曝露、都市化レベル、近隣の社会経済的地位など)を調整した上で、がんリスクを検討した。 その結果、第4四分位群(自宅から半径500m以内にあるガソリンスタンドの数が上位25%〔最も多い層〕)の子どもは白血病リスクが34%高く(ハザード比〔HR〕 1.34〔95%信頼区間1.01~1.77〕)、全てのがんのリスクも18%高い傾向がみられた(HR 1.18〔同1.00~1.38〕)。 また、自宅から100m以内にガソリンスタンドが存在する家庭の子どもは、500m以内にガソリンスタンドが存在しない家庭の子どもよりも、発がんリスクが高い傾向が認められた(白血病はHR 1.35〔0.74~2.47〕、全てのがんではHR 1.14〔0.80~1.63〕)。この傾向は、ガソリンスタンドに蒸気回収システムの設置が義務化されているモントリオール市を除外した場合により顕著だった(白血病はHR 1.55〔0.72~3.30〕、全てのがんではHR 1.42〔0.93~2.18〕)。 この結果を基にButeau氏は、「蒸気回収システムの設置義務がどの程度順守されているのかは、正確には分からない。しかし、この施策が実際に大気中への有害成分の排出量を減らすという仮説を裏付ける、説得力のある知見が得られた」と話している。 研究者らは、「本研究結果は、ガソリンからの排出物を小児がんの潜在的なリスク因子として考慮すべきであることを示唆している」と結論付けている。なお、Buteau氏は、「これまでの研究で、小児がんのうち遺伝的要因のみに起因するものはわずか5~10%であり、残りは他の要因、特に環境要因によるものだ」との解説を加えている。

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jmedmook104 プライマリ・ケアのギモンに応える 感染症Q&A

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