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治療抵抗性統合失調症へ進展する重要な要因とは:千葉県精神科医療C

 統合失調症における予後不良には、さまざまな要因が関連することが知られているが、それらの相互作用は不明である。ドパミン過感受性精神病(DSP)は、長期的な薬物療法に関連した臨床概念であり、治療抵抗性統合失調症(TRS)へ進展する重要な要因の1つといわれている。千葉県精神科医療センターの山中 浩嗣氏らは、TRS進行へのDSPの影響を検討した。Schizophrenia research誌オンライン版2016年1月13日号の報告。 レトロスペクティブ調査と直接インタビューにより、患者265例をTRS群と非TRS群のいずれかに分類した。DSPエピソードの有無を含む予後に関連する主要な要因を抽出し、それぞれの要因を両群間で比較した。 主な結果は以下のとおり。・未治療期間を除く全パラメータは、非TRS群と比較しTRS群で有意に悪化した。・とくに、TRS群は非TRS群よりもDSPエピソードの割合が有意に高かった。・回帰分析により、DSPはTRSの進展に重要な役割を果たすことが裏付けられた。・さらに、欠損症候群はTRSの診断サブカテゴリーであることが示唆された。 結果を踏まえ、著者らは「予後不良の重要な予測因子が確認され、これはTRSの進展に何らかの形で影響を及ぼすことが示唆された。薬物治療中のDSPエピソードの発生は、治療不応性を促進することが示唆された」としている。関連医療ニュース 難治例へのクロザピン vs 多剤併用 治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善 統合失調症治療、ドパミン調節の概念が変わる

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小児に対する抗精神病薬、心臓への影響は

 小児および青年に対する抗精神病薬の使用は、米国のみならず欧州においても大幅に増加している。しかし、小児に対する第2世代抗精神病薬(SGA)の心臓への安全性に関するエビデンスは限られている。スペイン・Sant Joan de Deu病院のJose A Alda氏らは、小児および青年に対するSGAの心臓への副作用を評価し、臨床、人口統計、治療因子による影響を検討した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年1月18日号の報告。 本研究は、抗精神病薬の治療を開始した未治療または準未治療の小児および青年216例を対象に、自然的縦断的多施設共同研究にて実施された。12ヵ月(ベースライン、3,6,12ヵ月)の補正QT(QTc)間隔や心拍数などの変数に対する抗精神病薬治療の影響を分析した。サンプルで使用された3種類の主要な処方薬(リスペリドン、クエチアピン、オランザピン)の違いを評価した。 主な結果は以下のとおり。・211例がクエチアピン、リスペリドン、オランザピンのいずれかで治療を行った。・フォローアップ期間中に有意なQTcの変動は認められなかった(p = 0.54)。・SGA間のQTc率の差は認められなかった(リスペリドン vs.オランザピン:p=0.43、リスペリドンvs.クエチアピン:p=0.42、オランザピンvs.クエチアピン:p=0.23)。・人口統計、臨床、併用治療の変数を考慮すると、ベースラインの太り過ぎのみがQTc延長と相関していた(p=0.003)。・全サンプルの心拍数は、フォローアップ期間中に減少傾向にあった(p=0.054)。・しかし、クエチアピン治療患者は、リスペリドン治療患者と比較し、心拍数の増加が認められた(p=0.04)。・本サンプルにおいて、SGAは小児や青年に対し安全な心臓への副作用プロファイルを有し、QTc間隔や心拍数の平均的な増加は認められなかった。関連医療ニュース 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索 未治療小児患者への抗精神病薬投与、その影響は 統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは

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肥満外科手術を受ける患者、うつ病19%、過食性障害17%/JAMA

 肥満外科手術を受ける患者は精神疾患を有する頻度が高く、なかでもうつ病は19%、過食性障害は17%と高いことが判明した。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のAaron J. Dawes氏らがメタ解析の結果、明らかにした。肥満外科手術を望む患者で精神疾患はよくみられるが、有病率や術後のアウトカムに与える影響については不明であった。JAMA誌2016年1月12日号掲載の報告。約30年の文献を基にメタ解析 Dawes氏らは1988~2015年にかけて、MEDLINE、PsycINFOなどの文献データベースを基に、肥満外科手術前後の精神状態に関する報告を含む試験を特定しメタ解析を行った。 試験の質についてバイアス・リスク評価ツールで、また試験結果のエビデンスの質については、GRADE(Grading of Recommendations Assessment、Development and Evaluation)で評価した。術前精神疾患と術後体重減の一貫した関連はなし 68件の発表論文を特定した。そのうち術前の精神状態の罹患率について報告したものは59件(被験者総数:6万5,363例)、術前の精神状態と術後アウトカムとの関連について報告したものは27件(同:5万182例)だった。 肥満外科手術を予定または実施した患者のうち、最も罹患率の高い精神疾患は、うつ病(19%、95%信頼区間:14~25)と過食性障害(17%、同:13~21)だった。 術前の精神疾患と、術後の体重減との関連については、一貫したエビデンスは得られなかった。また、うつ病も過食性障害も、術後体重減のアウトカムとの関連はなかった。 一方で肥満外科手術は、術後のうつ病罹患率低下(7試験、8~74%の減少)や、うつ症状の重症度(6試験、40~70%低減)と一貫した関連が認められた。著者は、「中等度のエビデンスだが、肥満外科手術と術後うつ病低下との関連が裏付けられた」とまとめている。

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うつ病既往で感染症リスク増加

 予備的研究では、うつ病とその後の感染症リスク増加との関連が示唆されている。デンマーク・オーフス大学のNiklas W Andersson氏らは、うつ病とさまざまな感染症リスクとの関連を、時間的関係や用量反応関係も含み調査した。International journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号の報告。 97万6,398人のプロスペクティブな住民ベースの研究より、1995~2012年にうつ病を経験した14万2,169例を、デンマークレジストリと関連付けて調査した。性別や年齢を調整し、非うつ病者と比較した、うつ病患者における感染症の相対リスクを推定するために生存分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病は、広範囲の感染症リスク増加と関連していた(罹患率比 [IRR]:1.61、95%CI:1.49~1.74、p=0.000、任意の感染症において)。・特定の時間的影響のエビデンスはなかったが、うつ病発症後の感染症の全般的なリスク増加は、発症後の最初の1年間(IRR:1.67、95%CI:1.25~2.22、p=0.000)からその後11年以上(IRR:1.61、95%CI:1.39~1.85、p=0.000)、上昇したままであった。・用量反応分析は、単一うつ病エピソードで感染症リスクが59%増加し(IRR:1.59、95%CI:1.45~1.75、p=0.000)、4つ以上のうつ病エピソードではさらに増加した(IRR:1.97、95%CI:0.92~4.22、p=0.082)。・しかし、結果は完全な線形的な相関を示すものではなかった。 結果を踏まえ、著者らは「本調査結果より、うつ病の存在が感染症リスクの増加と関連しており、このことはうつ病発症後の特定の期間に限定されるわけではないことが示唆された。用量反応関係も存在すると考えられるが、うつ病と感染症リスクとの関連を確認するためのさらなる検討が必要である」とまとめている。関連医療ニュース うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は 女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か

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アリピプラゾールLAIのレビュー、メリット・デメリットは

 カナダ・アルバータ大学のPierre Chue氏らは、月1回アリピプラゾール持続性水懸筋注用の文献レビューを行った。Current medical research and opinion誌オンライン版2015年12月29日号の報告。 キーワードを用いて各種ウェブサイト(FDA、EMA、Otsuka、Lundbeck、NIH)のデータベースを検索し、関連論文のハンドサーチを行った。 主な結果は以下のとおり。・有効性に関しては、52週のプラセボ対照試験、38週の経口アリピプラゾールとの非劣性試験、および急性再発統合失調症成人入院患者において再発防止が認められている。・アリピプラゾール持効性注射剤(LAI)は、パリペリドンLAIとの直接比較試験より、健康関連QOLや機能の改善が認められており、他の第2世代抗精神病薬と比べ、費用対効果が高いと考えられる。・6ヵ月のミラーイメージスイッチ試験より、従来の抗精神病薬治療と比較して、入院や関連コストの削減が認められた。・安全性・忍容性に関しては、新たな報告はなく、経口アリピプラゾールと同様であった。 結果を踏まえ、著者らは「経口アリピプラゾールの治療経験やLAIの現在の有用性は、臨床にさまざまな潜在的メリットをもたらすため、統合失調症の治療選択肢として検討すべきことが示唆された」としている。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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女はビタミンB6、男はビタミンB12でうつリスク低下か

 カナダの聖フランシスコ・ザビエル大学のL Gougeon氏らは、地域在住の健康な高齢男女について、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12の摂取量と3年間のうつ病発症率との関連を調べた。その結果、食物からのビタミンB6摂取量が多い女性とビタミンB12摂取量が多い男性は、うつ病の発症リスクが低いことを報告した。European Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2015年12月9日号の掲載報告。 本検討は、Quebec Longitudinal Study on Nutrition and Aging(NuAge)に参加し、ベースラインでうつ病を認めなかった住民(30項目の高齢者用うつ尺度[GDS]のスコアが11未満)を対象とし、年1回、うつ病の発症(GDSスコア11以上)、または抗うつ薬治療の状況を調べた。ベースラインで実施した3回の「24時間思い出し法」による非連続的調査の平均値から摂取量(食物のみ・食物+サプリメント)の三分位値を求めた。性別で層別化した多変量ロジスティック回帰モデルは、年齢、身体活動度、身体機能、ストレスのかかる出来事、総エネルギー摂取量で調整を行い、うつ病との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は1,368人、74±4歳、女性50.5%であった。・3年間に170人がうつ病と診断された。・食物からのビタミンB6摂取量が最高三分位値の女性は、人口動態学的および健康要因を調整後、うつ病を発症する確率が43%低かった(多変量オッズ比[OR]:0.57、95%信頼区間[CI]:0.39~0.96)。ただし、エネルギー摂取量で調整後、影響は減弱した。・食物からのビタミンB12摂取量が最高三分位値の男性では、うつ病リスクが低かった(エネルギー量調整後の多変量OR:0.42、95%CI:0.20~0.90)。・このほかに、関連性を示すデータは得られなかった。・検討により、食物からのビタミンB6摂取量が多い女性においてうつ病リスクの低下を示すエビデンスが示されたが、総エネルギー摂取量に依存するものであった。・一方、食物からのビタミンB12摂取量が多い男性では、エネルギー摂取量にかかわらずうつ病リスクの低下がみられた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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アスピリンの抗うつ効果をラットで確認

 ヒトのみならず実験モデルにおいても、炎症性メディエーターがうつ病の一因となることが数多くの研究で示唆されている。しかし、抗炎症薬による治療がうつ病を予防できるかどうかは議論の余地があることから、インド・L. J. Institute of Pharmacy(LJIP)のShailendra Bhatt氏らは、慢性軽度ストレス(CMS)モデルラットを用いた実験を行った。その結果、アスピリンの単独または抗うつ薬との併用投与はいずれも、うつ病治療に役立つ可能性が示唆されたという。著者らは、「ストレス負荷または他の生理・生化学的機序において、炎症性メディエーターの阻害は抗うつ効果に関与している可能性がある」とまとめている。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2015年12月8日号の掲載報告。 研究グループは、雄性SDラットを用い、アスピリン(10mg/kg、経口投与)群、デキサメタゾン(1mg/kg、経口投与)群、アミトリプチリン(10mg/kg、経口投与)群、アスピリン+アミトリプチリン群、デキサメタゾン+アミトリプチリン群、疾患対照(無治療)群および正常対照群に分け、正常対照群を除いた全群のラットに28日間CMSを負荷するとともに、疾患対照群以外は各薬剤を投与した。試験終了時、スクロース嗜好性試験、行動テスト(強制水泳、高架式十字迷路、明暗箱、自発運動)、および生化学的評価(血清コルチゾール、脳神経伝達物質)を行った。 主な結果は以下のとおり。・疾患対照群では、有意な抑うつ行動が認められた。・アスピリン群およびアスピリン+アミトリプチリン群では、疾患対照群と比較しスクロース嗜好性の増加、強制水泳テストでの無動時間の減少、抗うつ性効果を意味する血清コルチゾール低下および脳内セロトニン濃度増加が示された。・デキサメタゾン群では、抑うつ行動が悪化した。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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SSRIなどで効果不十分なうつ病患者、新規抗うつ薬切り替えを検証

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の効果が不十分な大うつ病性障害(MDD)患者に対し、vortioxetineは他の抗うつ薬に比べて高い寛解率を示し、忍容性も良好であることを、フランス・Lundbeck SASのMelanie Brignonea氏らが検討の結果、報告した。結果を踏まえて著者らは、「vortioxetineが代替薬として妥当であることが示唆された」とまとめている。Current Medical Research and Opinion誌2016年2月号掲載の報告。 検討は、SSRIあるいはSNRIに対する効果不十分のMDD患者において、種々の抗うつ薬単剤と比較したvortioxetineの相対的有効性および忍容性の評価を目的とした。 初回治療の効果が不十分であったMDD患者を対象とした単剤治療の研究を系統的に検索。SSRI、SNRIおよびその他の抗うつ薬を治療薬とした研究を包含した。3段階のスクリーニング/データ抽出過程を経て、批判的吟味が行われた研究を特定した。システマティック文献レビューで示された結果の間接的な治療比較(ITC)をBucher's methodを用いて調整し、寛解率および有害事象(AE)による脱落率を比較した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究は27件であった。National Institute of Health および Care Excellence のチェックリストで「質が高い」とされた研究も数件含まれていた。・3件の研究が、vortioxetineとagomelatine、セルトラリン、ベンラファキシンXR、bupropion SRを定量的評価により比較しており、エビデンスの構築に寄与していた。・vortioxetineは、agomelatineに比べて統計学的に有意な高い寛解率を示した(リスク差[RD]:-11.0%、95%CI:-19.4~-2.6)。また、vortioxetineはセルトラリン(同:-14.4%、-29.9~1.1)、ベンラファキシン(-7.20%、-24.3~9.9)、bupropion(-10.70%、-27.8~6.4)に比べ、寛解率が数値として高かった。・vortioxetineにおけるAEによる脱落率は、セルトラリン(RD:12.1%、95%CI:3.1~21.1)、ベンラファキシンXR(同:12.3%、0.8~23.8)、bupropion SR(18.3%、6.4~30.1)に比べて統計学的有意に低かった。・SSRI/SNRIの効果が不十分なMDD患者における単剤治療を評価した、質の高い切り替え試験が数件あった。間接的な比較により、vortioxetineへの切り替えが、他の抗うつ薬に比べて寛解率が高いことがわかった。vortioxetineの忍容性は良好で、他の抗うつ薬に比べてAEによる脱落率が低い。vortioxetineは、前治療のSSRIあるいはSNRIの効果不十分例に対する妥当な代替治療薬といえる。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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双極性障害I型とII型、その違いを分析

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のChristoph Abe氏らは、双極性障害I型(BD I)およびII型(BD II)患者について、皮質容積・皮質厚・皮質表面積を同時に分析するコホート研究を行い、診断に関連した神経生物学的な違いを明らかにした。著者らは、「今回の結果から、BD IとBD IIの症状の違いを説明することができ、診断のバイオマーカーとなりうる可能性を示している」と結論している。ただし、本検討結果で示された違いについては、「疾患の進行性の変化によって、また発症前の状態によっても説明でき、社会・環境・遺伝的な未知の要因に影響された可能性もある」と研究の限界にも言及している。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年12月7日号の掲載報告。 BDは、主に躁病、軽躁病、うつ病の発症によって特徴付けられる一般的な慢性精神障害で、認知機能障害あるいは脳構造の異常(健常者に比し前頭部の皮質容積が小さいなど)と関連している。I型とII型では症状や重症度が異なるが、これまでの研究はBD Iに焦点が当てられていた。研究グループは、BD I患者81例、BD II患者59例および健康な対照群85例を対象に、皮質容積、皮質厚、皮質表面積をMRIで測定し、重要な交絡因子に関して調整し解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・BD患者の前頭部、側頭部および内側後頭部で、皮質容積・皮質厚・皮質表面積の異常が認められた。・内側後頭部の異常にはリチウムと抗てんかん薬の使用が影響を及ぼしていた。・BD I患者およびBD II患者では共に一般的な皮質異常(健常者と比較し前頭部における皮質容積・皮質厚・皮質表面積が低下)が認められた。・側頭部および内側後頭部の異常はBD I患者でのみ認められ、皮質容積および皮質厚が異常に低かった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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統合失調症患者の攻撃性に有用な薬物療法は

 フランス・Fondation FondaMentalのG. Fond氏らは、統合失調症患者の攻撃性に関する薬物治療の有用性を検討した。その結果、第2世代抗精神病薬(SGA)は第1世代抗精神病薬(FGA)に比べて攻撃性を有意に低下すること、また気分安定薬および抗うつ薬は攻撃性に大きな変化をもたらさず、ベンゾジアゼピン系薬ではむしろ攻撃性が高まることが示された。著者らは、「結果は、攻撃性を示す統合失調症患者におけるSGAの選択を支持するものであるが、より長期間で詳細な研究が必要である」と述べ、また「ベンゾジアゼピン系薬の有害事象(とくに依存および認知障害)の可能性や今回の結果を踏まえると、ベンゾジアゼピン系薬の長期処方は統合失調症患者や攻撃行動を有する患者には推奨されない」と結論している。Psychopharmacology誌オンライン版2015年12月3日号の掲載報告。 研究グループは統合失調症において、SGAがFGAと比較して攻撃性スコアを低下するか否か(主目的)、抗うつ薬、気分安定薬、ベンゾジアゼピン系薬がこれら薬剤を投与されていない患者と比べ攻撃性スコアの低下に関連するか否か(副次目的)を検討した。FondaMental統合失調症専門センターのネットワーク内で被験者を系統的に包含し、DSM-IV第1軸の障害について構造化臨床インタビューで評価を行い、精神病症状、病識、コンプライアンスに関する尺度で確認評価を行った。攻撃性はBuss-Perry Aggression Questionnaire(BPAQ)スコアにより測定。また投与中の向精神薬治療を記録し評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者255例、統合失調感情障害76例の計331例(平均年齢 32.5歳、男性75.5%)であった。・SGA服用患者は非服用患者に比べ、BPAQスコアが低かった(p=0.01)。具体的には、これらの患者において肉体的、言語的攻撃性スコアが低かった。・ベンゾジアゼピン系薬服用患者は非服用患者に比べ、BPAQスコアが高かった(p=0.04)。・気分安定薬(バルプロ酸塩を含む)および抗うつ薬服用者と非服用者の間で、BPAQ スコアに有意差は認められなかった。・これらの結果は、社会人口統計学的特性、精神病症状、病識、治療コンプライアンス、抗精神病薬の1日投与量、抗精神病薬の投与経路(経口薬 vs.持効型製剤)、現在のアルコール障害、日常的な大麻の摂取と独立して認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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うつ病に対するケタミン、効果的な投与量は

 低用量ケタミンは、速やかな抗うつ効果を発揮することが最近の研究で示されている。しかし、用量反応性、患者群間の一貫性、自殺傾向への影響、クロスオーバー試験に起因するバイアスの可能性などは明らかになっていない。オーストラリア・シドニー大学のYing Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、低用量ケタミンは超低用量ケタミンより有効であることを示した。ただし、5分の1の患者は1週間で寛解したが、その他の大半の患者では効果が長続きせず、臨床的効果にはかなりばらつきがみられたという。著者らは、「有効性を向上させるため、また安全性についてさらに評価するため、より大規模で長期的な比較試験が必要である」とまとめている。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年11月17日号の掲載報告。 研究グループは、Medline、Embase、PsycINFOのデータベースを用いて、2014年8月時点で関連する無作為化試験を検索した。主要評価項目は、1日目・3日目・7日目時点までのうつ病スコア(HAM-DまたはMADRS)の変化、寛解率、反応率、自殺傾向、安全性および忍容性とした。データ抽出は2人の研究者が独立して行い、可能な限りクロスオーバー比較試験の第1期における治療効果の未発表データを入手した。 主な結果は以下のとおり。・9試験を解析に組み込んだ(計201例、女性52%、平均年齢46歳)。・低用量ケタミン(静脈注射0.5mg/kg)の試験が6件、超低用量ケタミンの試験が3件(経鼻スプレー50mg:1件、静脈注射0.1~0.4mg/kg:1件、静脈注射・筋肉注射・皮下注射0.1~0.5mg/kg:1件)であった。・3日目において、超低用量ケタミンの試験(均質性のp<0.05)および双極性障害患者群で、うつ病スコアの減少が少なかった。・クロスオーバー試験の第2期を除く分析では、7日目においてケタミン群で反応率(相対リスク[RR]:3.4、95%信頼区間[CI]:1.6~7.1、p=0.001)、および寛解率(RR:2.6、95%CI:1.2~5.7、p=0.02)が増加し、寛解率は24%対6%と有意に大きな絶対有益性が示された(p=0.02)。・7試験から自殺傾向に関する未発表データが提供された。自殺傾向は、7日目ではなく1日目および3日目で有意に減少した(どちらも p<0.01)。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

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日本人における便秘と心血管疾患死のリスク

 大阪大学の久保田 康彦氏らは、排便頻度および下剤使用と心血管疾患(CVD)との関連について、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、便秘はCVD危険因子への曝露を示すマーカーとなる可能性があり、下剤使用は冠動脈疾患と虚血性脳卒中による死亡の危険因子となりうることが示唆された。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年12月26日号に掲載。 本研究では、1988~90年にCVDやがんの既往のない7万2,014人(40~79歳、男性2万9,668人、女性4万2,346人)について、排便頻度(毎日・2~3日に1回・4日以上に1回)と下剤使用(はい・いいえ)に関する情報を含むライフスタイルのアンケートを開始時に実施し、2009年まで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・116万5,569人年のフォローアップの間に死亡した参加者は、冠動脈疾患が977人(男性561人、女性416人)、脳卒中全体が2,024人(男性1,028人、女性996人)、虚血性脳卒中が1,127人(男性606人、女性521人)、出血性脳卒中が828人(男性388人、女性440人)であった。・CVDの危険因子(糖尿病、ストレス、うつ病、運動不足など)の保有率は、下剤使用者と排便頻度の低い人で高かった。・多変量解析による下剤使用者のハザード比(95%CI)は以下のとおり。 冠動脈疾患:1.56(1.21~2.03) 脳卒中全体:1.27(1.08~1.49) 男性における虚血性脳卒中:1.37(1.07~1.76) 女性における虚血性脳卒中:1.45(1.17~1.79)・追跡期間初期の死亡を除外しても同様の結果が認められた。・排便頻度とCVDによる死亡の間に有意な関連は認められなかった。

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ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善

 精神病症状は、統合失調症の中核症状だが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のBjorn H. Ebdrup氏らは、陽性症状は前頭皮質に投影している白質路の不規則性に起因するという最近の仮説を検証する目的で、拡散テンソル画像を用いた解析を行った。その結果、未治療の統合失調症患者では、白質の微細な障害が認められることを明らかにした。とくに陽性症状は前頭の神経線維束の整合性と関連しており、選択的ドパミンD2/3受容体拮抗薬が白質を修復する可能性が示唆されたという。結果を踏まえて、著者らは「ドパミンD2/3受容体拮抗薬の再ミエリン化作用をさらに検討する必要がある」とまとめている。Journal of Psychiatry Neuroscience誌オンライン版2015年11月24日号の掲載報告。 検討は2008年12月~11年7月に、未治療の初回エピソード統合失調症患者(患者群)38例と、年齢、性別などをマッチさせた健常者(対照群)38例を対象に行われた。被験者はベースラインで、3-T MRI拡散テンソル画像(DTI)の撮像と臨床評価を受けた。研究グループは、全脳的DTIデータを単位画素(ボクセル)ごとに解析するTBSS(tract-based spatial statistics)法と、解剖的関心領域について解析するROI(region of interest)法を用いて、異方性比率(fractional anisotropy:FA)値の群間差を評価した。その後、患者群はアミスルピドによる抗精神病薬単独療法を行い、投与6週後に再度検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・試験を完了し解析対象となったのは、各群28例であった。・ベースラインでのTBSS解析において、患者群では右前視床放線、右帯状束、右下縦束および右皮質脊髄路(CT)のFA値が低下しており、右前視床放線のFA値が陽性症状と相関していた(z=2.64、p=0.008)。・ROI解析では、前頭の神経線維束、とくに右弓状束(z=2.83、p=0.005)および右上縦束(z=-3.31、p=0.001)のFA値と陽性症状の有意な関連が認められた。・投与6週間後において、陽性症状と前頭の神経線維束とのすべての相関は消失しており、前視床放線のFA値は対照群と比較して患者群で増加した(z=-4.92、p<0.001)。・アミスルピリドの投与量が、右皮質脊髄路におけるFA値の変化と正の相関を示した(t=2.52、p=0.019)。・なお、喫煙および物質乱用の既往歴は潜在的な交絡因子であった。また、白質に対するアミスルピリドの長期的な作用は評価されなかった。

1934.

うつ病のプラセボ効果、そのメカニズムとは

 米国・ミシガン大学のMarta Pecina氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者におけるプラセボ効果のメカニズムを明らかにするため、プラセボを用いた導入期、主に選択的セロトニン再取り込み阻害薬を用いたオープンラベル期の2期で構成した臨床試験を実施した。その結果、プラセボによりμ-オピオイドシステムの活性化がもたらされ、これがプラセボによる抗うつ効果に関連し、さらに抗うつ薬の効果にも関連している可能性を報告した。JAMA Psychiatry誌2015年11月号の掲載報告。 MDD患者におけるプラセボ効果の背景にある神経化学的機序を検討するため、2種類のプラセボ導入期、続いて抗うつ薬を投与するオープン期で構成される検討を行った。2種類の同一の経口プラセボ(速効性抗うつ薬様効果を有する活性プラセボあるいは効果を有さない不活性プラセボ)を用い、2週間の単盲検クロスオーバーランダム化臨床試験を実施した。続いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、あるいはケースによっては臨床的に指示された他の薬剤を用い、10週間のオープンラベル試験を行った。 ボランティア(大学の医療システムで薬物治療を受けていないMDD患者35例)に対し、1週間の不活性経口プラセボおよび活性経口プラセボをそれぞれ投与した後、PET検査およびμ-オピオイド受容体選択的放射性トレーサーである[11C]カルフェンタニルを用いた検査を行った。さらに、化合物が気分向上に関わる脳システムの活性化に関連する可能性があるという指摘に基づき、活性プラセボを投与した後のみ、4分ごと20分以上かけたPETスキャン中、ボランティア患者の目前で1mLの等張生理食塩水を静脈内投与した。このチャレンジ刺激テストは、抗うつ薬の影響によると思われる、個人の内因性オピオイド神経伝達の急性活性化能力を検査するために行われた。主要アウトカムは、活性プラセボおよび抗うつ薬の効果としてうつ症状の変化、ベースライン時および活性化時のμ-オピオイド受容体結合状況とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインでの側坐核領域でのμ-オピオイド受容体の高い結合は、抗うつ薬治療の良好な反応と関連していた(r=0.48、p=0.02)。・活性プラセボによる治療1週間後の不活性プラセボと比較したうつ症状の軽減は、感情、ストレス制御、MDDの病態生理に関わる領域(前帯状皮質膝下野、側坐核、視床正中部、扁桃体)のネットワークにおけるプラセボ誘発μ-オピオイド神経伝達の増大と関連していた(側坐核:r=0.6、p<0.001)。・これらの領域に認められるプラセボ誘発内因性オピオイド放出は、抗うつ薬治療の良好な反応と関連し、抗うつ薬を用いた試験期間終了時の症状改善で43%の差が予測された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

1935.

閉経後の女性統合失調症、陰性症状改善にSERM併用が有用

 閉経後の統合失調症女性に対し、通常療法にラロキシフェンを併用することで、陰性症状や総合精神病理、会話能力の低下などの改善が認めたことが示された。スペイン・カタロニア女性メンタルヘルス研究グループのJudith Usall氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。統合失調症において、エストロゲンの治療的有用性に関する認識が高まっている。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるラロキシフェンは、ドパミン・セロトニン脳システムに対しエストロゲン様作用を示すと考えられ、著者らは先行研究において、ラロキシフェンがエストロゲンに起因する有害事象を示すことなく、陰性症状、陽性症状、総合精神病理の改善に有用であることを明らかにしていた。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2015年11月20日号の掲載報告。 本検討では、陰性症状が優勢な閉経後の統合失調症女性患者を対象に、陰性症状およびその他の症状に対するラロキシフェンの有用性を評価することを目的に、24週間のランダム化並行群間二重盲検プラセボ対照試験を実施した。被験者は、Parc Sanitari Sant Joan de Deu、Hospital Universitari Institut Pere Mata、Corporacio Sanitaria Parc Tauliの入院患者および外来患者症例から登録。閉経後の統合失調症(DSM-IV)女性を、通常の抗精神病薬治療にラロキシフェン(60mg/日)を併用する群(38例)、またはプラセボ群(32例)に無作為に割り付けた。ベースライン、4、12、24週時に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および陰性症状評価尺度(SANS)を用いて精神病理を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ラロキシフェン併用群は試験期間の24週間にわたり、PANSSによる陰性スコア(p=0.027)、全般スコア(p=0.003)、総スコア(p=0.005)が、プラセボ群に比べ有意に低下した。・ラロキシフェン併用群は、SANSS下位尺度である会話能力の低下に関してもプラセボ群に比べて改善を認めた(p=0.048)。・本試験で示されたデータは、先行試験で報告した結果を、より大規模サンプルと長期フォローアップで再現したものであった。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

1936.

ビタミンDによるうつ症状軽減の可能性は

 大うつ病性障害(MDD)患者に対する8週間のビタミンD投与は、プラセボと比較してうつ症状を改善し、インスリン抵抗性や酸化ストレスに対しても好影響を及ぼすことが、イラン・カシュハン医科大学のZahra Sepehrmanesh氏らによる無作為化二重盲検試験の結果、報告された。ビタミンDについては、神経伝達物質、代謝プロファイル、炎症性バイオマーカーおよび酸化ストレスに有益な影響を及ぼし、うつ症状を軽減させる可能性が示唆されていた。The Journal of nutrition誌オンライン版2015年11月25日号掲載の報告。 研究グループは、MDD患者へのビタミンD投与が、うつ症状、代謝プロファイル、血清中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)、酸化ストレスのバイオマーカーを減少させうるか否かを評価する、無作為化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。被験者は、DSM診断基準でMDDと診断された18~65歳の患者40例。ビタミンD 1カプセル(50kIU)/週群(20例)またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、8週間投与した。 ベースラインと介入後に、空腹時血液サンプルを採取し、関連項目を測定した。主要アウトカムは、ベックうつ病評価尺度(BDI)で評価したうつ症状とした。副次的アウトカムは、グルコースホメオスタシス変数、脂質プロファイル、hs-CRP、酸化ストレスのバイオマーカーなどであった。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインにおいて、2群間の平均血清25-ヒドロキシビタミンD濃度は、有意な差が認められた(それぞれ9.2±6.0、13.6±7.9μg/L、p=0.02)。・介入8週後における血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の変化は、ビタミンD群(+20.4μg/L)のほうが、プラセボ群(-0.9μg/L)と比べて有意に大きかった(p<0.001)。・ビタミンD群はプラセボ群に比べ、BDIのより大幅な減少傾向が認められた(それぞれ-8.0、-3.3、p=0.06)。・ビタミンD群とプラセボ群の間で、血清インスリン変化(-3.6 vs.+2.9μIU/mL、p=0.02)、ホメオスタシスモデルで推定したインスリン抵抗性(-1.0 vs.+0.6、p=0.01)、同推定のβ細胞機能(-13.9 vs.+10.3、p=0.03)、血漿中総抗酸化能(+63.1 vs.-23.4mmol/L、p=0.04)、グルタチオン(+170 vs.-213μmol/L、p=0.04)について有意差が認められた。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news

1937.

非浸潤性乳管がん、術後ホルモン療法の5年QOL評価/Lancet

 閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)の術後の再発予防において、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)とアナストロゾール(同:アリミデックスほか)のQOL(身体機能、心の健康)に差はないが、薬剤関連症状には違いがみられることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のPatricia A Ganz氏らが実施したNSABP B-35試験で示された。2002年に本試験が立案された時点のDCISの標準治療はタモキシフェンの5年投与であったが、同年、ATAC試験により、浸潤性乳がんの術後補助療法ではアナストロゾールがタモキシフェンに比べ無病生存期間を延長し、毒性も良好であることが明らかにされた。NSABP B-35試験では、最近、60歳未満の患者においてアナストロゾール5年投与による無乳がん期間の、わずかだが有意な改善効果が確認されている(非浸潤性乳管がん、アナストロゾールの再発予防効果を確認/Lancet)。Lancet誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。約1,200例で5年投与期間中のQOLを評価 NSABP B-35試験は、閉経後DCISの再発予防(局所、領域、遠隔部位、対側乳房)におけるタモキシフェンとアナストロゾールの効果を比較する二重盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、乳房温存術+全乳房照射療法を受けたエストロゲンもしくはプロゲステロン受容体陽性の閉経後DCIS女性であった。 被験者は、タモキシフェン(20mg/日)またはアナストロゾール(1mg/日)を5年間投与する群に無作為に割り付けられた。また、ベースラインおよびその後は6ヵ月ごとに5年間、QOLに関する質問票に回答した。 主要評価項目は、SF-12の身体機能と心の健康のスコアおよび血管運動症状(Breast Cancer Prevention Trial[BCPT]の症状スケール)とした。副次評価項目は、膣症状および性交機能であった。 2003年1月6日~2006年6月15日に北米の333施設に3,104例が登録され、このうち1,193例(タモキシフェン群:601例、アナストロゾール群:592例)でQOL評価が行われた。5年時まで質問票への回答を完遂したのは、それぞれ393例、380例だった。60歳以上が54%、52%含まれた。タモキシフェンで相対的に血管運動症状が不良、膣症状は良好 身体機能の平均重症度スコアは、タモキシフェン群が46.72点、アナストロゾール群は45.85点であり、有意な差は認めなかった(p=0.20)。心の健康はそれぞれ52.38点、51.48点であり、やはり有意差はみられなかった(p=0.38)。 SF-36の活力スケールのエネルギー/疲労(58.34 vs.57.54点、p=0.86)および疫学研究用うつ病尺度(CES-D)によるうつ状態(6.19 vs.6.39点、p=0.46)にも有意な差はなかった。 血管運動症状(1.33 vs.1.17点、p=0.011)、排尿制御困難(0.96 vs.0.80点、p=0.0002)、婦人科症状(0.29 vs.0.18点、p=0.0001)は、タモキシフェン群で有意に重症度が高かった。 一方、筋骨格系の疼痛(1.50 vs.1.72点、p=0.0006)および膣症状(0.76 vs.0.86点、p=0.035)は、アナストロゾール群で有意に重症度が高かった。 認知機能(0.89 vs.0.92点、p=0.72)、体重問題(1.15 vs.1.17点、p=0.48)、性交機能(43.65 vs.45.29点、p=0.56)は、両群間に有意な差はなかった。 60歳未満の患者は60歳以上に比べ、血管運動症状の重症度スコア(1.45 vs.0.65点、p=0.0006)、膣症状(0.98 vs.0.65点、p<0.0001)、体重問題(1.32 vs.1.02点、p<0.0001)、婦人科症状(0.26 vs. 0.22点、p=0.014)が不良であった。 著者は、「60歳以上の女性では両薬剤の効果は同等であり、薬剤の選択は重篤な有害事象(血栓塞栓症、子宮がん、骨量減少)や薬剤関連症状のリスクのほか、患者の好みを考慮して決めるべきである。一方、60歳未満では、効果がより良好なアナストロゾールを選ぶべきと考えられるが、血管運動症状や膣症状、婦人科症状などの副作用が耐容不能な場合はタモキシフェンに変更するのがよいだろう」と指摘している。

1938.

統合失調症の遺伝的脆弱性を示す新たなマーカー

 統合失調症では構造的脳内ネットワークを構成する白質統合が不十分な状況が認められ、脳領域での情報伝達能を減弱させると考えられている。しかし、これらの異常が、統合失調症発症の遺伝的リスクに影響する程度については不明であった。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのMarc M. Bohlken氏らは、統合失調症発症の遺伝的リスクと脳内ネットワークを構成する白質統合性との関連について検討した結果、白質統合指標のMRI画像上のfractional anisotropy(FA)が、統合失調症発症リスクと関連する可能性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年11月25日号の掲載報告。 検討は、統合失調症に関する状況が一致しない双生児70組、適合させた健常な双子(対照群)130組を対象とし、脳統合および疾患リスクに対する遺伝的、環境的要因の独立した寄与状況を構造方程式モデルを用いて定量化した。2008年10月1日~13年9月30日にデータを収集し、2013年11月1日~15年3月30日に解析を実施した。主要アウトカムは、拡散強調画像におけるfractional anisotropy(FA)とstreamlineにより評価した構造的結合性およびネットワーク機能とした。 主な結果は以下のとおり。・症例構成は、30組の一卵性双生児と72組の適合対照双生児、40組の二卵性双生児と58組の適合対照双生児であった。・FA値の低下は、統合失調症のリスク増大と有意に関連し(表現型相関:-0.25、95%信頼区間[CI]:-0.38~-0.10、p=0.001)、83.4%で共通の遺伝子が認められた。・全体として、FAにおける遺伝的変異の8.1%は、統合失調症リスクにおける遺伝的分散と共通であった。・ネットワーク統合における、前頭、線条体、視床領域の局所低下(FA-強調による局所への影響)は、遺伝的な影響を受ける部位の85.7%を占めていた。・多変量遺伝解析モデルにより、FAは白質量、皮質厚など他の遺伝的マーカーとは独立して統合失調症リスクに関与していることが示された。・以上のように、統合失調症患者における白質統合の異常は、主として疾患発症の遺伝的リスクであることを示すものであった。・ネットワーク解析で統合失調症の遺伝的リスクは、主として前頭部および皮質下部の結合性減少、すなわち同領域における白質神経線維の異常と関連することが示された。(鷹野 敦夫)精神科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/psychiatry/archive/news 

1939.

抗うつ薬と認知行動療法は大した差がない、が意味するもの(解説:岡村 毅 氏)-464

 大うつ病の外来患者の初期治療における、第2世代抗うつ薬と認知行動療法を比較した。メタアナリシスを行い、両者に有意差がないと報告している。臨床的にも妥当な結果と思われる。 当サイトをご覧の皆さまにおかれてはありえないと思うが、すわ薬物療法よりも認知行動療法が素晴らしい、など早とちりする向きも多いので一応解説したい。 著者らも書いているが、この結果は米国等のガイドライン(初期治療ではこれらは両方とも推奨される)をなぞるものであり、なんら斬新ではない。臨床家なら誰もが知っている当たり前のことを当たり前に示したという点で、優れた論文である。 過去の認知行動療法の優位性を示す論文は、「本物の」(とその論文の著者が認める)認知行動療法のみが組み込まれるなど、公平とは言い難かったが、本論文は淡々と比較した。 では、今日外来受診した患者さん(Aさん)に、どう治療しようが結果は変わらないのだろうか? そんなことはあるまい。外来で薬物療法、環境調整、精神療法をどの順番で組み合わせて治療するかは臨床知である。制止が強い場合は薬物がよく効くだろうし、ケースワークだけで必要かつ十分なケースもあろう、あるいは本人の認知が歪んでいることもあろう。また、言うまでもないが、入院が必要な重症・切迫したケースでは薬物治療が重要である。 著者らは、患者さんがさまざまな治療選択肢を持つことが治療成績を伸ばすし、また精神疾患に対する偏見も減らし、より早く援助希求ができるだろうと最後に書いている。まさに大人の論文であった…。

1940.

第2世代抗うつ薬と認知行動療法、アウトカムは同等/BMJ

 大うつ病性障害の初期治療において、第2世代抗うつ薬投与および認知行動療法(CBT)の治療効果や有害作用は同等であることを、米国・ノースカロライナ大学のHalle R. Amick氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。すでに第2世代抗うつ薬およびCBTの、大うつ病性障害における効果および有害性は実証されている。しかし、プライマリケア医からは、最適な治療オプションを選択できるよう質の高い治療比較のエビデンスを求める声が寄せられていた。BMJ誌オンライン版2015年12月8日号掲載の報告。1990~2015年の試験結果を再調査 研究グループは、Medline、Embase、Cochrane Libraryなどを基に、1990年1月~2015年1月に発表された、大うつ病に対する第2世代抗うつ薬やCBTに関する試験結果について、システマティックレビューを行った。質的評価およびランダム効果モデルや固定効果モデルを用いたメタ解析で両治療について検討した。 検索により、第2世代抗うつ薬とCBTに関する無作為化比較試験11件(報告論文14本)、被験者総数1,511例のデータを得た。そのうち、抗うつ薬単独治療とCBTを比較した試験が10件、抗うつ薬単独療法と抗うつ薬+CBTの併用療法を比較した試験が3件あった。治療反応率、寛解率、試験中止率にいずれも有意差なし メタ解析の結果、第2世代抗うつ薬とCBTでは、治療反応率(リスク比[RR]:0.91、95%信頼区間[CI]:0.77~1.07)や寛解率(同:0.98、0.73~1.32)について、いずれも有意差は認められなかった。また、17項目うつ病用ハミルトン評価尺度による評価でも、両群間の有意差はみられなかった(加重平均較差:-0.38、95%CI:-2.87~2.10)。 同様に、試験中止率(RR:0.90、95%CI:0.49~1.65)や、治療効果が上がらないことによる治療中止率(同:0.40、0.05~2.91)も、両群間の有意差は示されなかった。 有害作用による治療中止率は、第2世代抗うつ病薬でCBTより高率だったものの、有意差は認められなかった(RR:3.29、95%CI:0.42~25.72)。 なお、その他のアウトカムについてはエビデンス不足で検討できなかったという。また示された結果についても著者は、エビデンスが低く解釈は慎重にすべきだとしている。

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