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抗うつ薬の皮膚疾患に関連する抗炎症作用

 モノアミン作動性抗うつ薬の臨床的に関連する抗炎症作用についてのエビデンスが増加している。ノルウェー・オスロ大学のShirin Eskeland氏らは、慢性蕁麻疹、乾癬、アトピー性皮膚炎、他の湿疹、円形脱毛症の5つの一般的な炎症性皮膚疾患と関連した抗うつ薬の使用および有効性について、PubMedおよびOvidデータベースをシステマティックに検索した。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2017年5月17日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・1984年1月~2016年6月に報告された臨床試験または症例報告28件より、皮膚疾患患者1,252例が抽出された。・これらの患者において、抗うつ薬治療に関連した皮膚症状の明確な軽減が報告されていた。・新規抗うつ薬の研究は通常オープンラベルであった一方、第1世代抗うつ薬でのいくつかは無作為化比較試験であった。 著者らは「全体的にポジティブな結果は、抗うつ薬使用が、併存する精神疾患を治療するだけでなく、皮膚疾患に対する根拠を示している可能性がある。SSRIやミルタザピンおよびbupropionを含む新規抗うつ薬に関するさらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能抗炎症薬の抗うつ効果を検証皮膚がんとの関連研究で判明!アルツハイマー病に特異的な神経保護作用

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職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか

 「職場ストレイン」は、職場での高い仕事の要求度と低いコントロールの組み合わせで表される。その職場ストレインにより特徴付けられる、心理社会学的に好ましくない職場環境は、従業員の抑うつ症状リスクの上昇と関連しているが、臨床的にうつ病と診断されたエビデンスは少ない。デンマーク・National Research Centre for the Working EnvironmentのI. E. H. Madsen氏らは、職場ストレインと臨床的なうつ病のリスク因子との関連を検討した。Psychological medicine誌2017年6月号の報告。 PubMed、PsycNETよりシステマティックに文献を検索し、公表されているコホート研究を特定した。また、IPD-Work(Individual-Participant-Data Meta-analysis in Working Populations)コンソーシアムより、未公表の個々レベルのデータを用いた14のコホート研究を抽出した。関連のサマリ推定値は、ランダム効果モデルを用いて算出した。個々レベルのデータ分析は、事前に公表された研究プロトコルに基づいて行った。 主な結果は以下のとおり。・公表済みの6つのコホート研究より、合計2万7,461例の対象と臨床的なうつ病患者914例が抽出された。・未公表のデータセットより、12万221例の対象と病院で治療されたファーストエピソードの臨床的なうつ病患者982例が抽出された。・公表(RR:1.77、95%CI:1.47~2.13)および未公表(RR:1.27、95%CI:1.04~1.55)のデータセット両方において、職場ストレインが臨床的なうつ病のリスク上昇と関連していた。・個々の対象の分析では、社会人口学的サブグループおよびベースライン時の身体疾患を有する対象を除外した後、同様の関連が認められた。・ベースライン時に抑うつ症状を有していた場合には、この関連に変化は認められなかったが、連続的な抑うつ症状スコアで調整すると減弱した。 著者らは「職場ストレインは、従業員の臨床的なうつ病を引き起こす可能性がある。職場ストレインがうつ病の修正可能なリスク因子であるかについて、将来の介入研究で検証する必要がある」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大職業性ストレス対策、自身の気質認識がポイント:大阪市立大

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統合失調症に対するメマンチン補助療法に関するメタ解析

 NMDA受容体機能不全は、統合失調症の病態生理に関与する。中国・The Affiliated Brain Hospital of Guangzhou Medical UniversityのW. Zheng氏らは、統合失調症治療における非競合的NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンの有効性、安全性を調査するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 標準化平均差(SMD)、加重平均差(WMD)、リスク比(RR)、95%信頼区間(CI)を算出し、分析した。 主な結果は以下のとおり。・11.5±2.6週間の8つのRCT(452例)より、メマンチン群(20mg/日)229例、プラセボ群223例が抽出された。・メマンチン群は、プラセボ群と比較し、PANSSおよびBPRSの陰性症状尺度の測定において優れていたが(SMD:-0.63、95%CI:-1.10~-0.16、p=0.009、I2=77%)、総スコアおよび陽性症状尺度、総合精神病理尺度(SMD:-0.46~-0.08、95%CI:-0.93~0.22、p=0.06~0.60、I2=0~74%)またはCGI-S(WMD:0.04、95%CI:-0.24~0.32、p=0.78)では認められなかった。・陰性症状は、1つのかけ離れたRCTを除外したのちでも有意なままであった(SMD:-0.41、95%CI:-0.72~-0.11、p=0.008、I2=47%)。・メマンチン群は、プラセボ群と比較し、MMSEを用いた認知機能の有意な改善と関連していた(WMD:3.09、95%CI:1.77~4.42、p<0.00001、I2=22%)。・両群間の中止率(RR:1.34、95%CI:0.76~2.37、p=0.31、I2=0%)と有害事象に有意な差は認められなかった。 著者らは「メマンチン補助療法は、統合失調症の陰性症状および認知機能を改善させるために有効かつ安全な治療であると考えられる。これらの結果を確認するためにも、より大きなサンプルサイズによる質の高いRCTが必要である」としている。■関連記事統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大慢性期統合失調症、陰性症状に有効な補助療法統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

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統合失調症患者のワーキングメモリ改善のために

 口頭による指示に従う能力は、日々の機能において重要であるが、統合失調症患者ではほとんど研究されていない。最近の研究によると、行動ベースのプロセスは、主にワーキングメモリに依存する指示に従う能力を促進する可能性が示唆されている。中国・Castle Peak HospitalのSimon S. Y. Lui氏らは、統合失調症患者が指示に従うことで行動ベースの利点を得るかを検証した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 臨床的に安定した統合失調症患者48例と背景およびIQの一致した対照群48例を対象に、さまざまなエンコードとリコール条件を伴う口頭による指示のスパン課題を実施した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は、口頭による指示に従う能力が全体的に損なわれていたが、これはワーキングメモリの障害に起因する可能性が示唆された。・さらに重要な点として、統合失調症患者は、エンコードと修正ステージの両方において、対照群と同程度の行動ベースの利点を示した。・具体的には、対照群と統合失調症患者の両方において、行動を追加的に行うことで記憶能力が改善され、エンコードステージで単に口頭による指示を聞いていたほうと比較し、行動を実行した対象者で観察された。・修正ステージでは、口頭による指示の繰り返しと比較して、身体的な演習で指示を思い出すと記憶が改善された。 著者らは「本研究は、統合失調症患者における指示に従う能力の障害に関する初めての経験的なエビデンスである。エンコードおよび修正ステージで行動ベースのプロセスを行うことは、指示の記憶を容易にし、ワーキングメモリに利点を示すことが、統合失調症患者においても証明された。これらの知見は、統合失調症患者のための臨床的介入および認知機能の改善に有用な情報である」としている。■関連記事統合失調症の認知機能に関連する独立因子:産業医大安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか統合失調症の社会参加に影響する症状は何か

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お酒はうつ病リスク増加にも関連

 うつ病の発症率に対するリスクファクターの変化による影響を調査した研究はほとんどない。カナダ・マギル大学のXiangfei Meng氏らは、大規模縦断的集団ベース研究におけるうつ病の心理社会的リスクファクターおよびうつ病発症に対するリスクファクター改善による影響を定量化するため検討を行った。BMJ open誌2017年6月10日号の報告。 Montreal Longitudinal Catchment Area studyからのデータを使用した(2,433例)。相対リスク(RR)の推定には、多変量ポアソン回帰を用いた。うつ病発症に対するリスクファクター改善による潜在的な影響を推定するため、人口寄与割合(Population attributable fraction)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・うつ病の累積発症率は、2年間のフォローアップで4.8%、4年間のフォローアップで6.6%であった。・うつ病発症リスクの上昇と関連していたのは、より若い年齢、女性、未亡人、別居または離婚、白人、貧困、時々の飲酒、精神保健問題の家族歴、教育の不足、失業率の高い地域および白人以外の率が高い地域での居住、より文化的なコミュニティセンターやコミュニティ組織であった。・2年間のフォローアップ時、時々の飲酒(対禁酒)に起因する可能性があったうつ病発症は5.1%のみであったが、4年間のフォローアップ時には倍増した。・集団における飲酒率を10%低下させると、半分は発症を予防できる可能性があることが示唆された。 著者らは「個人および社会の両方で改善可能なリスクファクターは、公的うつ病予防プログラムのターゲットとなる可能性がある。これらのプログラムは、男女異なるリスクファクターが特定されているため、性別固有のものでなければならない。個人レベルでの予防に関しては、うつ病の約5~10%が関連する時々の飲酒のより良い管理に焦点を当てることができる。近隣の特性もまた、公的予防プログラムの対象となる可能性があるが、非常に困難かもしれない。これらは、さまざまな予防努力のコスト効果分析により正当化されている」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大うつ病、男女間で異なる特徴とは

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うつ病に対するtDCS療法 vs.薬物療法/NEJM

 うつ病治療として、経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct-current stimulation:tDCS)療法の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)エスシタロプラム(商品名:レクサプロ)に対する非劣性は示されず、有害事象はより多かったことが、ブラジル・サンパウロ大学のAndre R. Brunoni氏らによる単施設の二重盲検無作為化非劣性試験の結果、報告された。大うつ病障害治療としての電気刺激療法は、2009年に経頭蓋磁気刺激(TMS)が米国FDAに承認され、さまざまな試験で異なる結果が報告されている。TMSは、けいれんリスクは小さいがコスト高であり、より安価で安全な手法としてtDCSが開発されたが、これまでに同法と薬物療法を直接比較する試験は行われていなかった。NEJM誌2017年6月29日号掲載の報告。tDCS療法 vs.エスシタロプラム vs.プラセボで直接比較 研究グループは、サンパウロ大学関連施設にて2013年10月~2016年7月に、単極性うつ病の成人患者を集めて試験を行った。被験者を3群に3対3対2の割合で無作為に割り付けて、それぞれtDCS療法+プラセボ経口薬(tDCS群)、シャムtDCS療法+エスシタロプラム(エスシタロプラム群)、シャムtDCS療法+プラセボ経口薬(プラセボ群)を投与した。 tDCS療法は、前頭葉前部に2mAの直流電気刺激を1日30分(1セッション)、計22セッション行うというもので、最初の15セッションは週末を除く平日に連続実施し、その後7セッションは週に1回のペースで行った。エスシタロプラムは、10mg/日を3週間投与し、その後は20mg/日の用量で投与した。 主要評価項目は、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HDRS-17)スコア(範囲0~52:高スコアほどうつ病がより重度であることを示す)の変化とした。測定はベースライン、3週、6週、8週、10週時点で行った。 tDCSのエスシタロプラムに対する非劣性は、スコア低下の差に関する信頼区間(CI)の下限値で判定。同値が、プラセボ群とエスシタロプラム群の差の50%以上の値で示されることとした。tDCSのエスシタロプラムに対する非劣性は示されず 計245例が無作為に割り付けられた(tDCS群94例、エスシタロプラム群91例、プラセボ群60例)。 intention-to-treat解析において、ベースラインから低下したスコアの平均(±SD)点は、tDCS群9.0±7.1点、エスシタロプラム群11.3±6.5点、プラセボ群5.8±7.9点であった。 スコア低下のプラセボ群とエスシタロプラム群の差は-5.5点であった。tDCS群とエスシタロプラム群の差は-2.3点(95%CI:-4.3~-0.4、p=0.69)であり、CI下限値(-4.3)が事前規定の非劣性マージン(-5.5点の50%値:-2.75)よりも低く、tDCSのエスシタロプラムに対する非劣性は示されなかった。 なお、tDCS群とエスシタロプラム群の対プラセボ群の差は、それぞれ3.2点(95%CI:0.7~5.5、p=0.01)、5.5点(同:3.1~7.8、p<0.001)で、いずれもプラセボ群に対する優越性は示された。 有害事象は、皮膚の発赤、耳鳴り、神経過敏の発現率がtDCS群で他の2群よりも高かった。また、tDCS群でのみ躁病の新規発症が2例報告された。エスシタロプラム群では眠気と便秘が他の2群よりも多く認められた。

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統合失調症患者の雇用獲得に必要なこと

 一般と比較すると、統合失調症患者の失業率は、全年齢層において高くなっている。これまでの研究では、統合失調症患者の失業や作業不良に対し、神経認知機能に焦点が当てられてきた。しかし、最近のいくつかの研究では、雇用困難を理解するうえで、認知機能障害と同等以上に臨床症状が重要であることが示唆されている。米国・David Geffen School of MedicineのKatiah Llerena氏らは、統合失調症患者の就職や仕事の成果を妨げる陰性症状への理解を深めることは、雇用を向上させる治療法の開発に不可欠であるとし、検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年6月7日号の報告。 対象は、雇用支援サービスを受けている統合失調症または統合失調感情障害患者112例。就労の有無に基づき、経験的および表現的な陰性症状が異なるかを判断した。さらに、労働者のサブセットにおいて、経験的「動機づけ」の陰性症状と労働成果との関連を調査した。神経認知機能は、MATRICS コンセンサス認知機能評価バッテリーを用いて評価し、臨床症状は、陰性症状評価尺度およびBPRSを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・表現的でない、経験的な陰性症状は、就職、就業時間、賃金と関連していた。・これらの結果は、年齢で調整した後に減弱し、有意な差は認められなかった。 著者らは「これらの結果は、雇用支援サービスを受けている統合失調症患者の雇用結果をより理解するうえで、経験的な陰性症状が重要であることを示唆している。他者との関わり、環境的、プログラム的要因との重要性を解くためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大

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双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析

 カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのAyal Schaffer氏らは、双極性障害(BD)患者の服薬自殺の特性を他の自殺者と比較し、評価を行った。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。 1998~2012年までのカナダ・トロントにおける、全自殺死亡者3,319例から検死データを抽出した。人口統計、既往歴、直近のストレス要因、自殺の詳細部分について、5つのサブグループで分析した。自殺のサブグループは、BDの服薬自殺、BDの他の方法による自殺、非BDの服薬自殺、非BDの他の方法による自殺、単極性うつ病の服薬自殺とした。BDと非BDの服薬自殺の間ならびにBDと単極性うつ病の服薬自殺の間において、致死的および当時の物質使用に対する毒物学的結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・BD自殺死亡者における服薬自殺は、性別(女性)、過去の自殺企図、薬物乱用の併存と、有意に関連していた。・BDおよび非BDの服薬自殺両群において、オピオイドが最も共通した致死的薬物であった。・BDおよび非BDの服薬自殺両群において、ベンゾジアゼピンおよび抗うつ薬が死亡時に最も共通していた薬剤であり、BD群の23%では、気分安定薬または抗精神病薬なしで抗うつ薬が用いられていた。・BD群において、気分安定薬を用いていた患者は31%のみであり、カルバマゼピンが最も用いられていた。・抗うつ薬、気分安定薬、抗精神病薬を用いていなかった患者は、BD群の15.5%であった。・BDの服薬自殺群は、単極性うつ病の服薬自殺群と比較し、前の週に精神科またはERを受診していた割合が高かった。■関連記事双極性障害の診断遅延は避けられないのか双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か

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双極性障害の入院、5~7月はとくに注意

 イタリア・トリノ大学のAndrea Aguglia氏らは、双極性障害患者における光周期の影響について検討を行った。Revista brasileira de psiquiatria誌オンライン版2017年6月12日号の報告。 イタリアの入院患者に焦点を当て、双極性障害患者を24ヵ月間にわたり追跡調査した。2013年9月~2015年8月までにイタリア・トリノ(オルバッサーノ)のSan Luigi Gonzaga Hospitalの精神科に入院したすべての患者より抽出した。患者背景および臨床データを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は730例であった。・双極性障害患者の入院率に季節的なパターンは認められなかったが、最大日光曝露であった5、6、7月は有意に高かった。・躁病エピソードを有する患者は、うつ病エピソードを有する患者と比較し、春および光周期(の昼の長さ)が長い時に入院が多かった。 著者らは「光周期は、双極性障害の重要な要素であり、環境因子としてだけでなく治療中に考慮すべき臨床パラメータである」としている。■関連記事双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか双極性障害の診断遅延は避けられないのか出生地が双極性障害発症時期に影響

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リスペリドンと低力価抗精神病薬の併用、相互作用を検証

 ドイツ・アーヘン工科大学のMichael Paulzen氏らは、リスペリドン(RIS)の代謝に対する低力価抗精神病薬の影響をin vivoで調査した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年6月2日号の報告。 1,584例を対象に、RISおよび代謝産物9-OH-RISの血中濃度を含む、治療薬モニタリングデータベースを分析した。RIS群(842例)およびchlorprothixene併用群(67例)、レボメプロマジン併用群(32例)、melperone併用群(46例)、ピパンペロン併用群(63例)、prothipendyl併用群(24例)を比較した。RIS、9-OH-RIS、活性物(RIS+9-OH-RIS:AM)の血中濃度、用量調節血中濃度(C/D)ならびに代謝比(9-OH-RIS/RIS:MR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・AMとRISにおいて、血中濃度の差異が認められた。・ペアワイズ比較では、RISの血中濃度は単独療法群よりも併用療法群で有意に高かった。・chlorprothixene併用群およびprothipendyl併用群では、ほかと差がないことが確認された。・レボメプロマジン併用群およびmelperone併用群では、AMとRISの血中濃度およびC/Dは高かったが、MRは低かった。・ピパンペロン併用群では、RISのC/D値が高く、MRが低かった。 著者らは「RISの代謝変化は、レボメプロマジンおよびmelperoneの薬物相互作用を示唆している。ピパンペロン併用群では、MRが低く、RISの血中濃度およびC/Dレベルが高いほど潜在的な相互作用が示唆される」としている。■関連記事抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

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うつ病患者へのベンゾジアゼピン併用、リスクとベネフィットは

 ベンゾジアゼピン(BZD)は、うつ病患者に対し、より早期に抑うつ症状を改善したい場合や不安症状を軽減したい場合に短期間用いられ、抗うつ薬治療の継続を改善する。しかし、ベンゾジアゼピンは、数週間の使用でも依存性を含むリスクと関連している。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のGreta A. Bushnell氏らは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査するため、抗うつ薬を服用しているうつ病成人を対象に、併用期間の評価、長期ベンゾジアゼピン使用の推定および、その決定要因の検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2017年6月7日号の報告。うつ病患者のベンゾジアゼピン併用処方には慎重な検討が必要 このコホート研究には、US commercial claims databaseを用いた。2001年1月~2014年12月に抗うつ薬療法を開始した成人うつ病患者(18~64歳)のうち、診断の前年に抗うつ薬またはベンゾジアゼピンを使用していなかった患者を対象とした。併用処方の定義は、新規抗うつ薬処方と同日に新規ベンゾジアゼピンの処方を行った場合とした。主要アウトカムは、抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用処方率および併用期間の6ヵ月継続率とした。 うつ病患者の抗うつ薬とベンゾジアゼピンの併用の傾向を調査した主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬治療を開始した成人うつ病患者76万5,130例(年齢中央値:39歳、四分位範囲:29~49歳、女性:50万7,451例[66.3%])のうち、ベンゾジアゼピンの併用処方を行った患者は、8万1,020例(10.6%)であった。・2001~14年までの併用処方開始率の平均年増加率は、0.49%であった(95%CI:0.47~0.51%)。2001年の6.1%(95%CI:5.5~6.6%)から、2012年には12.5%(95%CI:12.3~12.7%)と増加したが、2014年は11.3%(95%CI:11.1~11.5%)と落ち着いていた。・同様の所見は、年齢層および医師のタイプによって明らかであった。・抗うつ薬治療期間は、併用処方患者と非併用処方患者で同様であった。・併用処方患者のうち、12.3%(95%CI:12.0~12.5%)は長期間ベンゾジアゼピンを使用していた(64.0%は初期に中止)。・長期ベンゾジアゼピン使用の決定要因は、ベンゾジアゼピン初期投与の長さ、長時間作用型ベンゾジアゼピンを初回に処方、最近のオピオイド処方であった。 著者らは「抗うつ薬治療を開始したうつ病患者では、10人に1人の割合でベンゾジアゼピン併用処方を行っていた。6ヵ月後の抗うつ薬治療に、有意な差は認められなかった。ベンゾジアゼピンに関連するリスクを考えると、抗うつ薬治療開始時のベンゾジアゼピン併用処方には、慎重な検討が必要である」としている。■関連記事ベンゾジアゼピンと認知症リスク~メタ解析うつ病患者のベンゾジアゼピン使用、ミルタザピン使用で減少:千葉大ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

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抗うつ薬はアルツハイマー病リスクを高めるのか

 アルツハイマー病(AD)は神経変性疾患であり、高齢者の記憶、思考、行動に対し、臨床的に明白で観察可能な障害を示す。アポリポ蛋白E(ApoE)ε4のような感受性遺伝子は、長期間AD診断のリスク増加と関連している。また、うつ病とAD発症リスク増加との関連を示唆する研究も報告されている。さらに、これまでの調査の知見より、高齢者に対する向精神薬使用において、混合効果も示唆されている。米国・フロリダ国際大学のShanna L. Burke氏らは、抗うつ薬の使用がうつ病や最終的なAD発症の危険性に与える影響について検討を行った。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2017年5月31日号の報告。 国立アルツハイマー病センターのデータを活用して、認知障害のない1万1,443例を評価、検討した。うつ病、ApoE、AD診断、抗うつ薬使用の関連性を調査するため、生存分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・認知機能が正常な8,732例を対象に、調査を行った。・抗うつ薬使用者の間で、ほとんどの場合、危険性は統計学的に有意ではなかった。・1つのジェネリック医薬品は、保護的効果を示した(p<0.001)。・最近のうつ病(2,083例、p<0.001)、生涯うつ病(2,068例、p<0.05)、ApoEε4キャリア(2,470例、p<0.001)は、AD発症との間に統計学的に有意な関係が認められた。 著者らは「この知見は、抗うつ薬使用に関連するメカニズムが、最終的なADの危険性を減少させる可能性があることを示唆している。さらに、うつ病、ApoEε4、AD診断との関連を補強している。本研究は、うつ病などの潜在的に修正可能な心理社会的リスク因子を標的とすることにより、ADリスクを低下させる目的で介入を検討する、新たな文献に寄与するであろう」としている。■関連記事認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているかたった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能1日1時間のウオーキングで認知症リスク低下:東北大

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抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大

 抗精神病薬の有害事象は服薬アドヒアランスに著しい影響を及ぼすことがある。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、患者から報告されることの少ない抗精神病薬の有害事象およびそのような症状が残存している理由について調査した。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2017年5月31日号の報告。 主観的アンケートを用いて患者にインタビューを行い、データを収集した。報告されていない症状および背景因子との関連を調査した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症または統合失調感情障害患者306例を調査した。・主な症状は、昼間の眠気(50.0%)、体重増加(42.2%)、性機能障害(38.9%)であった。・性機能障害は、抗精神病薬多剤療法治療患者(オッズ比[OR]:2.14、95%信頼区間[CI]:1.07~4.30)および外来患者(OR:1.78、95%CI:1.02~3.13)で有意に多かった。・医師に症状を報告していた患者は約30%のみであった。 著者らは「抗精神病薬で治療中の統合失調症患者は、いくつかの有害事象に苦しんでおり、医師に報告できないと感じている。このことの最も一般的な理由は、患者と医師の関係が不十分であることによる。性機能障害はデリケートな問題であるため、とくに識別が困難であり、主観的アンケートがこのような問題を検出するのに役立つ可能性がある」としている。■関連記事抗精神病薬の性機能障害、プロラクチンへの影響を比較統合失調症患者の副作用認識状況は:さわ病院統合失調症の性機能障害改善のための補助療法:名古屋大学

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妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は

 これまで研究において、妊娠中の母親の抗うつ薬使用が、子供の自閉スペクトラム症(ASD:autism spectrum disorder)のリスクを高めるかを調査したが、その結果は矛盾していた。米国・マウントサイナイ医科大学のA. Viktorin氏らは、妊娠中の抗うつ薬治療による子供のASDリスクについて検討を行った。Psychological medicine誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 2006、07年に誕生した子供179例の集団ベースコホートを対象に、子供たちが7、8歳となる2014年までフォローを行った。Cox回帰を用いて、妊娠中に抗うつ薬に曝露された子供におけるASDの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定し、また特定の9種の抗うつ薬についての分析も行った。解析では、潜在的な交絡因子の調整を行い、全サンプルとうつ病または不安症の診断を有する母親の臨床的に適切なサブサンプルにおいて実施した。 主な結果は以下のとおり。・妊娠中に抗うつ薬を使用した母親の子供におけるASDの調整RRは1.23(95%CI:0.96~1.57)、うつ病または不安症の診断歴のある女性で1.07(95%CI:0.80~1.43)であった。・特定の抗うつ薬の分析では、citalopramおよびエスシタロプラム(RR:1.47、95%CI:0.92~2.35)と、クロミプラミン(RR:2.86、95%CI:1.04~7.82)においては、子供のASDのRRが増加した。 著者らは「妊娠中の抗うつ薬使用は、子供のASDリスク増加と関連があるとは考えられない。代わりにこの結果は、精神障害への感受性に関連する要因によって説明されることを示唆している。これらの知見に基づき、子供のASDリスクのために一般的に使用されている妊婦に対する抗うつ薬治療を控える必要はない」としている。■関連記事妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は妊娠中のコーヒー摂取、子供のADHDへの影響は妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

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クルクミン、うつ病治療への可能性

 強力な抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用を有する植物ポリフェノールのクルクミンに、新規抗うつ薬としての関心が高まっている。臨床試験においては、うつ病への有効性に関する結論は矛盾している。シンガポール国立大学のQin Xiang Ng氏らは、うつ病におけるクルクミンの臨床的使用に関するメタ解析を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌2017年6月1日号の報告。 1960年1月1日~2016年8月1日の間に英語で発表された論文を、PubMed、Ovid、Cochrane Collaboration Depressionなどより、クルクミンの異表記も含めた複数のキーワードで検索した。 主な結果は以下のとおり。・クルクミンとプラセボを比較した臨床試験6件より、合計377例がレビューされた。・うつ病患者では、HAM-Dスコアのベースラインからプールされた標準化平均差は、うつ症状の改善に対するクルクミンの有意な臨床効果を支持した(プールされた標準化平均差:-0.344、95%CI:-0.558~-0.129、p=0.002)。・有意な抗不安効果も、3件の臨床試験で報告された。・とくに、いずれの試験においても有害事象は報告されていなかった。・クルクミンのオープン試験および単盲検試験を除くほとんどの試験において、バイアスリスクは低かった。・利用可能な試験が少ないため、漏斗プロットまたは感度解析はできなかった。また、その試験期間も4~8週であるため、クルクミンの長期有効性および安全性に関するエビデンスも限られていた。 著者らは「うつ病患者に対するクルクミンの使用は、安全性、忍容性、有効性が高いと考えられる。大きなサンプルサイズと長期にわたるフォローアップ研究により、その妥当性を確認するためにも、しっかりした無作為化比較試験を計画するべきである」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか

 データ集約を含む調査では研究間で再発の定義が異なるため、臨床評価尺度の総スコアはより一般的なアウトカムを提示する。カナダ・トロント大学の竹内 啓善氏らは、統合失調症の1年以上の維持治療における、抗精神病薬とプラセボの総合的な症状の軌跡を比較した。The British journal of psychiatry誌オンライン版2017年5月18日号の報告。 PANSSおよびBPRS総スコアが報告されている安定期統合失調症患者を対象とし、抗精神病薬とプラセボを用いたランダム化比較試験を抽出した。メタ回帰分析は、混合モデルを用いて行った。主な結果は以下のとおり。・2,826例を含む11研究が抽出された。・メタ回帰分析では、グループと時間との間に有意な相互関係が認められた。抗精神病薬治療を継続している患者では、標準化された総スコアとパーセントスコアはほとんど変わらず、プラセボ治療に移行した患者では、経時的に症状悪化が認められた。 著者らは「統合失調症に対する長期抗精神病薬治療を考える場合には、臨床医は症候的および機能的アウトカムのバランスを取る必要がある」としている。■関連記事 維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か 統合失調症治療、安定期の治療継続は妥当か 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

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うつ病評価尺度HAM-D6の有効性は

 世界でうつ病の重症度に関する情報を含む項目を特定するための調査では、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAM-D17)に由来した、HAM-D6が使用されるようになり、幅広い研究に用いられてきた。デンマーク・コペンハーゲン大学のN. Timmerby氏らは、HAM-D17およびモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)と比較した、HAM-D6の臨床的特性のシステマティックレビューを行った。Psychotherapy and psychosomatics誌86号の報告。 PubMed、PsycInfo、EMBASEのデータベースより、システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目のガイドラインに従ってシステマティックに検索を行った。非精神病性の単極性または双極性うつ病におけるHAM-D6およびHAM-D17またはMADRSの臨床的妥当性に関するデータを報告した研究を抽出した。主な結果は以下のとおり。・検索により681件が特定され、そのうち51件が包含基準を満たした。・文献によると、HAM-D6がHAM-D17およびMADRSよりも優れていた点は以下であった。 ●scalability(各項目は症候群の重症度に関する固有の情報を含む) ●transferability(scalabilityは、時間経過とともに、性別、年齢、抑うつ症状のサブタイプに関係なく一定) ●responsiveness(治療中の重症度の変化に対する感受性) 著者らは「HAM-D6の臨床的特性は、HAM-D17およびMADRSよりも優れていた。HAM-D6の有効性は研究と臨床の両面で実証されているため、スケールをより一貫して使用することにより、ある設定から他の設定への結果の置き換えが容易になる」としている。■関連記事 たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大 うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上

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双極性障害の診断遅延は避けられないのか

 双極性障害(BD)の診断は、初期の診断でうつ病とされることが多く、BDの正確な診断や治療の遅れにつながっている。これまでの調査では、うつ病からBDへの診断変更の予測因子に焦点が当てられてきたが、この診断遅延の調査は多くはない。オーストラリア・シドニー大学のKristina Fritz氏らは、この診断遅延を説明できそうな患者の特徴や心理的要因をさらに理解するため、うつ病の初期診断後にBDと診断されるまでにかかった時間を検討した。Bipolar disorders誌オンライン版2017年5月22日号の報告。 精神科医による臨床評価を受け、一連のアンケートを完了した382例を対象とした。 主な結果は以下のとおり。・初期にうつ病と診断され、その後BDと診断された患者は90例で、診断変更までの平均遅延期間は8.74年であった。・後にBDと診断された患者は、平均して、より若い年齢でうつ病と診断、より多い躁症状の経験、よりオープンな性格、より良い対処能力を有していた。・Cox回帰では、うつ病の診断からBDとされた患者は、より早期にうつ病と診断されており、診断変更までの期間の長さと、機能不全の可能性がより高まることへの関連が示された。 著者らは「本検討から、うつ病の早期診断がBDへの診断変更の遅れと関連することが示唆された」としている。■関連記事 うつ病から双極性障害へ移行しやすい患者の特徴 うつ病と双極性障害を見分けるポイントは たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能

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認知症者への向精神薬投与は死亡率を高めているか

 認知症高齢者によく用いられる向精神薬は、死亡率の上昇と関連しているといわれている。これまでの研究では、このリスクに関する性差は調査されていない。スウェーデン・ウメオ大学のJon Brannstrom氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬、抗うつ薬、ベンゾジアゼピンの使用と2年間の死亡率との関連を分析し、性差に関する調査を行った。BMC pharmacology & toxicology誌2017年5月25日号の報告。 4つのコホート研究より抽出された、合計1,037例の認知症高齢者を2年間追跡調査した(女性:74%、平均年齢:89歳)。往診および診療記録よりデータを収集した。ベースライン薬剤使用の継続と死亡との関連を分析するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。複数の交絡因子を評価し、調整した。主な結果は以下のとおり。・すべての集団からのデータを含む完全に調整されたモデルでは、ベースラインの向精神薬使用と2年間の死亡率の増加は関連していなかった。・有意な性差は、抗うつ薬使用に関連する死亡率で認められ、男性では保護的であったが(ハザード比[HR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.40~0.92)、女性ではそうではなかった(HR:1.09、95%CI:0.87~1.38)。・性別による作用は、ベンゾジアゼピン使用の分析において有意であり、女性よりも男性で死亡リスクが高かった。 著者らは「認知症高齢者におけるベースライン時の向精神薬の継続的使用は、複数の交絡因子で調整した分析において、死亡率の増加と関連が認められなかった。抗うつ薬およびベンゾジアゼピンの使用に関連する死亡リスクに性差が認められ、性別の影響についてさらに調査する必要がある」としている。■関連記事 せん妄ケアの重要性、死亡率への影響を検証 アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

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実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット

 統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。 LAI抗精神病薬の開発以降に発表された臨床データをレビューし、統合失調症におけるLAI(とくにアリピプラゾールに焦点を当てた)と経口抗精神病薬の有効性の比較を調査した。エビデンスは、説明的な試験デザインと同様な、自然主義的/実用的な研究より抽出され、著者らの臨床経験により裏付けられた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬は経口剤よりも利点があり、第1選択薬としての使用や若年患者への使用において良好なエビデンスが存在する。・主な第III相試験によると、アリピプラゾール月1回400mg(AOM400)は、効果的かつ忍容性が良好で、服薬アドヒアランスが高く再発率は低いとされている。・日常的な臨床実践をより代表する「自然主義的」試験デザインである最近の無作為化試験では、AOM400は良好な忍容性を示し、全体および35歳以下の若年患者でパリペリドンLAIよりも有効性が有意に高かった。 著者らは、「伝統的な臨床試験における有効性の“全スペクトラム”に及ぶ結果と、より自然主義的で実在の臨床実践における有効性の概念を包含する結果は、統合失調症全般における有用な長期治療選択肢としてAOM400の使用を支持していた。AOM400は、服薬アドヒアランスが不良または経口抗精神病薬治療が不十分な場合だけでなく、治療コースの初期段階においても有用である」としている。■関連記事維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い

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