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長期認知症リスクを予測するためのLIBRAスコア

 現在のところ認知症の根治的治療は解明されておらず、認知症研究の焦点は予防戦略にシフトしつつある。オランダ・マーストリヒト大学のKay Deckers氏らは、修正可能なリスク(冠動脈疾患、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧、うつ病、肥満、喫煙、運動不足、腎疾患)および保護因子(低~中程度のアルコール摂取、認知活動、健康的な食事)の12種をスコア化したLIfestyle for BRAin Health(LIBRA)スコアを用いて、アポリポ蛋白E(APOE)の対立遺伝子ε4を基にした遺伝リスクが高いまたは低い人における、中年期および後期の認知症および軽度認知障害(MCI)の予測精度について調査を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年11月17日号の報告。 フィンランドのCardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia(CAIDE)集団ベース研究の参加者を対象に、中年期(1,024例)および後期(604例)2回のLIBRAスコア測定を30年後まで実施した。確立された基準に従い、認知症およびMCIの診断を行った。性別および教育を調整したモデルにおけるLIBRAスコアと認知症およびMCIリスクの関連を評価するため、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・中年期の高LIBRAスコアは、30年後までの認知症(ハザード比[HR]:1.27、95%信頼区間[CI]:1.13~1.43)およびMCI(未調整HR:1.12、95%CI:1.03~1.22)の高リスクと関連が認められた。・後期の高LIBRAスコアは、MCI(HR:1.11、95%CI:1.00~1.25)の高リスクと関連が認められたが、認知症(HR:1.02、95%CI:0.84~1.24)では認められなかった。・後期の高LIBRAスコアは、APOEε4ノンキャリアにおいて、認知症の高リスクと関連が認められた。 著者らは「認知症予防において、修正可能なリスクおよび保護因子の重要性が確認された」としている。

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統合失調症における抗精神病薬減量の成功要因~メタ解析

 慶應義塾大学のHideaki Tani氏らは、統合失調症における抗精神病薬減量の成功を予測する因子を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年11月26日号の報告。 統合失調症における抗精神病薬減量について調査したプロスペクティブ臨床試験およびランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・対象研究は、37件であった。・第2世代抗精神病薬(SGA)に焦点を当てた研究は8件、長時間作用型持効性注射剤SGAについて調査した研究はなかった。・再発または症状変化を評価した研究24件中20件(83.3%)は、減量成功基準を満たしていた。・減量成功に関連する因子は、以下のとおりであった。 ●研究期間1年未満 ●40歳超 ●罹病期間10年超 ●減量後のクロルプロマジン(CP)換算量200mg/日超・臨床症状の悪化が認められた場合、用量をベースラインレベルまで増量することで、多くは再び安定化した(8例中7例[87.5%])。・18件のRCTをメタ解析したところ、再発率は、維持群よりも減量群で有意に高かったが(リスク比[RR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.23~3.12)、減量群では認知機能の有意な改善が認められた(標準化平均差[SMD]:0.69、95%CI:0.25~1.12)。・サブグループ解析では、減量後のCP換算量が200mg/日以下の場合のみ、再発リスクの増加が認められた(RR:2.79、95%CI:1.29~6.03)。 著者らは「抗精神病薬の減量を行う際に、罹病期間の短い若年患者では長期的な再発リスクを考慮し、最終的な抗精神病薬の用量をCP換算量で200mg/日超に保つ必要がある。統合失調症における抗精神病薬の減量を成功させるための最適な戦略を考えるうえで、さらなる研究が必要であり、とくにSGAを含む研究が必要とされる」としている。

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うつ病統合失調症リスクに対する喫煙の影響

 統合失調症うつ病の患者では、一般集団と比較し喫煙率が高い。英国・ブリストル大学のRobyn E. Wootton氏らは、ゲノムワイド関連研究(GWAS)で特定された遺伝子変異を使用して、この因果関係を調べることのできるメンデルランダム化(MR)法を用いて検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。 統合失調症およびうつ病に対する喫煙の双方向の影響を調査するため、2つのサンプルにおけるMRを実施した。喫煙行動についてはGSCAN(GWAS and Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)コンソーシアムから喫煙開始のGWASを使用し、UK Biobankの46万2,690サンプルより生涯の喫煙行動に関する独自のGWASを実施した。肺がんなどのポジティブコントロールアウトカムを用いて検証した。統合失調症うつ病には、PGC(Psychiatric Genomics Consortium)のGWASを使用した。 主な結果は以下のとおり。・喫煙は、統合失調症(オッズ比[OR]:2.27、95%信頼区間[CI]:1.67~3.08、p<0.001)とうつ病OR:1.99、95%CI:1.71~2.32、p<0.001)の両方のリスク因子であることが示唆された。・この結果は、生涯の喫煙と喫煙開始の両方で、一貫して認められた。・うつ病に対する遺伝傾向が喫煙を増加させる可能性が示唆されたが(β=0.091、95%CI:0.027~0.155、p=0.005)、統合失調症では明らかではなく(β=0.022、95%CI:0.005~0.038、p=0.009)、喫煙開始に対する影響は非常に弱かった。 著者らは「喫煙と統合失調症うつ病の関連性は、少なくとも部分的に、喫煙の因果効果であることが示唆された。このことは、メンタルヘルスに対する喫煙の有害な結果をさらに示すものである」としている。

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小児および青年期のうつ病の評価と治療

 米国では、小児や青年におけるうつ病の有病率が増加している。米国・オレゴン健康科学大学のShelley S. Selph氏らは、小児および青年期のうつ病の評価や治療に関するレビューを行った。American Family Physician誌2019年11月15日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・2016年には、12歳の約5%、17歳の約17%が過去12ヵ月間でうつ病エピソードを経験していることが報告されている。・12歳以上の青年に対するうつ病のスクリーニングは、10代向けPHQ-9などの検証済みの評価尺度を用いて、毎年実施する必要がある。・診断確定後は、中等度および重度のうつ病では、継続的な治療を開始する必要がある。・軽度のうつ病では、積極的なサポートやモニタリングで十分な可能性がある。・重度のうつ病では、心理療法(認知行動療法など)と抗うつ薬治療を併用することで、いずれかの単独療法よりも治療反応が良好であることを示すエビデンスが報告されている。・小児および青年のうつ病治療に対し米国FDAに承認されている抗うつ薬は、fluoxetineとエスシタロプラムのみである。・fluoxetineは8歳以上、エスシタロプラムは12歳以上での使用が推奨されている。・薬物療法中の小児および青年期うつ病患者では自殺念慮のモニタリングが必要であり、その頻度は、各患者のリスクに基づき決定する必要がある。・治療法の変更(治療薬の併用、増量、変更または心理療法の併用)は、治療開始の約4~8週間後に行う必要がある。・治療にもかかわらず症状が悪化または改善しない場合や、自己または他者に対するリスクとなる場合には、メンタルヘルスのサブスペシャリストへの相談または紹介が必要である。

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不安症状の有無による双極性障害の臨床的特徴と薬理学的治療

 双極性障害(BD)患者の半数以上において、不安症状の併存が報告されている。一部では、不安症状は気分エピソード前の最も初期に発現する精神症状だといわれている。イタリア・ミラノ大学のCesare Galimberti氏らは、BD外来患者における最初の精神症状としての不安症状の有病率、未治療期間との関連、治療について検討を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2019年11月15日号の報告。 対象は、ミラノのうつ病治療センターに紹介され、DSM-IVで双極性I型障害(BD-I)、双極性II型障害(BD-II)、特定不能な双極性障害(BD-NOS)、気分循環性障害と診断された患者。レトロスペクティブチャートレビュー、直接的な患者インタビューにより、いくつかの臨床的特徴を評価した。BD発症時の不安症状の有無に基づき層別化を行い、両群間およびBDサブタイプ間で臨床的特徴の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は260例(BD-I:77例、BD-II:122例、BD-NOS:45例、気分循環性障害:16例)であった。・最初の精神症状として不安症状が認められた患者は、69例(26.5%)であった。・BD-IIおよびBD-NOSでは、BD発症時に不安症状がより頻繁に認められた。最も一般的な不安症状はパニック症であった。・不安症状が認められた患者は、BD発症年齢が若く、未治療期間がより長かった。また、BD発症時に、気分安定薬、抗精神病薬の使用頻度が少なかった。 著者らは「BDの縦断的な経過を考慮すると、BD発症時に不安症状を有する患者の4分の1以上は、適切な治療を受けるのが遅く、BD発症時に気分エピソードを有する患者と比較し、その後の長期にわたる未治療期間が長く、予後が不良であった」としている。

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日本人うつ病患者に対するボルチオキセチンの有効性、安全性

 日本において、うつ病は大きな影響を及ぼす疾患である。東京医科大学の井上 猛氏らは、日本人うつ病患者に対する抗うつ薬ボルチオキセチンの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年11月14日号の報告。 本研究は、再発性うつ病およびMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)スコア26以上の日本人うつ病患者(20~75歳)を対象とした、8週間の二重盲検プラセボ対照ランダム化第III相試験である。対象患者は、ボルチオキセチン10、20mg群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、ベースラインからのMADRS合計スコアの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応と寛解率、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床全般重症度(CGI-S)、臨床全般印象度(CGI-I)、シーハン障害尺度(SDS)の変化とした。認知機能は、Digit Symbol Substitution Test(DSST)スコア、Perceived Deficits Questionnaire-5 item(PDQ-5)スコアを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MADRS合計スコアは、プラセボ群(161例)と比較し、ボルチオキセチン10mg群(165例)で2.66、ボルチオキセチン20mg群(163例)で3.07の減少が認められた(各々p<0.01)。・MADRSの治療反応と寛解率は、プラセボ群と比較し、ボルチオキセチン10、20mg群で有意な改善が認められた(各々p<0.05)。・ボルチオキセチン10、20mg群では、8週間後のHAM-D17スコア、CGI-Iスコア、SDS合計スコアの有意な改善が認められた。・ボルチオキセチン群では、PDQ-5スコアの有意な改善が認められたが、DSSTスコアでは有意な差は認められなかった。・ボルチオキセチン群の忍容性は、良好であった。 著者らは「日本人うつ病患者に対し、ボルチオキセチン10mg/日および20mg/日による治療は、抗うつ効果が期待でき、8週間にわたる忍容性も良好であった」としている。

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慢性疼痛の“記憶された痛み”をうまく取り除くには?

 国が主導となって研究チームを発足するくらい、日本人は慢性的な痛みに日々悩まされている。おまけに、なかなか症状改善しない患者がドクターショッピングに陥ることで、国の医療費はますます圧迫されてしまう。そんな負の連鎖を断ち切り、臨床現場での正確な病態把握を求めるべく、昨年、厚生労働省「慢性の痛み対策」研究班と痛み関連の7学会が連携して『慢性疼痛治療ガイドライン』を発刊した。 このガイドライン作成にも携わり、上記研究班で中心的な役割を担っている牛田 享宏氏(愛知医科大学医学部学際的痛みセンター 教授)と伊達 久氏(仙台ペインクリニック院長)が、2019年10月31日に開催されたボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社主催のメディアセミナー「『難治性慢性疼痛』による経済的・社会的影響と日本の『難治性慢性疼痛』治療の最新動向~病診連携モデルと臨床データの構築~」に登壇し、慢性疼痛対策の現状を語った。運動器慢性疼痛における日本の現状 日本での慢性疼痛疫学調査1,2)によると、痛みの訴え部位は腰痛が大半(58.6%)を占め、次いで肩:38.7%、下肢部:37.9%と続き、筋骨格系=運動器に引き起こされることが多い。驚いたことに、その年齢分布を見ると高齢者よりも30~50代の訴えが多い。自己負担の治療費は年間4,000億円以上、患者の15%以上が仕事への影響を抱えていた。牛田氏は「調査結果を見ると、患者の治療満足度は非常に低く、慢性疼痛を訴えた患者の1/3しか満足していない。結果、患者の半数が治療機関を変更している」と、実態を説明した。 また、このような慢性疼痛に悩む患者を精神科医が見た場合、線維筋痛症の有無を問わず約半数に身体表現性障害があり、患者の約95%には何かしらの精神疾患名(気分変調障害、大うつ病など)が付くことが明らかになった3)。慢性疼痛では“痛みは記憶される”ことを理解する このように慢性疼痛患者が精神疾患を抱える理由について、同氏は「痛みは頭で経験しているため」とコメントした。頭では痛み自体を感じる感覚体験と、辛さや苦しさを感じる情動体験が同時に生じているため、国際疼痛学会では痛みを“不快な情動体験”と定義している。これを踏まえて同氏は「なかなか治らない痛みの原因は情動の要素が大きい」と、話した。 治りにくい痛みの代表例として神経性障害疼痛がある。これは体性感覚神経系の損傷や疾患により引き起こされる痛みであり、罹患者数は日本人人口の1~3%に上る。脳梗塞患者の痛みもこれに該当し、患者にはうつや睡眠障害の併発、医療機関受診件数が3件以上になるケースが多くなるなどの特徴がある4)。 このほかにも、通常では痛みを伴わないような微小刺激が疼痛として認識される感覚異常をきたすアロデニアという病態の研究報告5)から、同氏は痛みが記憶されていることを説明。痛みが感覚だけではなく情動によっても悪化することに対し理解を求めた。さらに、「慢性疼痛患者は整形外科と精神科のどちらに行くべきか、診療における境界線によって悩まされている」とし、患者をチームで診るために厚生労働省による集学的痛みセンターが構築されたことを説明した。 集学的痛みセンターとは、医科だけではなく歯科も含めたシステム構築、地域医・在宅医療の連携モデル構築、を目指した厚生労働省政策研究班による事業である。系統的に改善しない患者を分析することで、治療方針やゴールの方向性を検討し、自宅でのコントロールを目的としているが、「慢性疼痛の診断法の確立のために主観的な痛みを客観的に見える化して評価する方法の構築が必要」と、同氏は今後の課題を語った。慢性疼痛患者が患者が痛みを強く感じているのは30分だけ 続いてペインクリニックの視点から、伊達氏が慢性疼痛治療ガイドラインでの推奨内容について解説した。本ガイドラインでは、推奨度を「1:する(しない)ことを強く推奨する」「2:する(しない)ことを弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示し、エビデンスレベルを「A(強):効果の推定値に強く確信がある」「B(中):効果の推定値に中程度の確信がある」「C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である」「D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない」と規定している。 たとえば、運動療法の有効性はエビデンスレベル・推奨度が慢性腰痛:1A、変形性膝関節炎:1A、慢性頸部痛:1Bであり、身体を直接動かすことは慢性疼痛に効果的と示されている。同氏はこれらの根拠となる海外文献6,7)を紹介し、「運動療法は筋トレではなく血流改善を促すストレッチが中心なので、痛みがある時こそ有用。ストレッチはドパミン遊離にも影響を及ぼすため、痛みの蔓延化につながる心理社会的要因(不安、抑うつ、破局化思考)も解消される。また、慢性疼痛患者の突発痛は30分すると軽減することが多いため、痛い時にストレッチを行えば薬の依存から脱却できるかもしれない」とコメント。「心理社会的要因からくる痛みには認知行動療法が有効とされ、マインドフルネスなどの導入もガイドラインでは推奨(1A)している。しかし、現時点で保険適用外のため、診療報酬に対する要望を複数の学会が行っている」と、補足した。 最後に、痛みを直接除去する視点からインターベンショナル治療について説明。ガイドラインではパルス高周波神経根ブロック、末梢神経パルス高周波などが推奨度1A、脊髄刺激療法や肩甲上神経パルス高周波などが推奨度1Bに設定されている。なかでも脊髄刺激療法システムはほかの治療法と比較して、中枢感作、痛みのいずれにおいても効果が得られたことから、同氏は「運動療法や認知行動療法に加え、脊髄刺激療法も慢性疼痛治療の1つになり得る」と締めくくった。■参考1)服部政治.ペインクリニック. 2004;25:1541-1551.2)Nakamura M, et al. J Orthop Sci. 2011;16:424-32.3)Miki K, et al. Neuropsychopharmacol Rep. 2018;38:167-174.4)Inoue S, et al. Eur J Pain. 2017;21:727-737.5)Ushida T, et al. Brain Topogr. 2005;18:27-35.6)Goh SL et al, Ann Phys Rehabil Med. 2019 May 21.[Epub ahead of print]7)Gavi MB et al, PLoS One. 2014 mar 20. [Epub ahead of print]

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治療抵抗性統合失調症患者の特徴や薬物療法

 統合失調症患者では、抗精神病薬治療に対する反応が弱いまたは無反応で、陽性症状が持続するケースが見受けられる。米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、米国における治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の人口統計、症状、治療歴、治療選択肢に影響を及ぼす要因について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年11月14日号の報告。 精神科医204人を対象にオンライン調査を行った。医師は、TRS患者2例および非TRS患者1例を自己選択し、患者情報を記入した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者のうち、TRSの割合は29.5%と回答された。・TRS患者408例は、非TRS患者204例と比較し、以下の特徴が認められた。 ●失業率が高い(74.5% vs.45.1%、p<0.001) ●1回以上の入院歴(93.4% vs.74.0%、p<0.001) ●肥満を含む身体的併存疾患を有する(40.2% vs.23.5%、p<0.001) ●うつ病併存(38.7% vs.25.0%、p=0.001)・TRS患者は精神症状がより頻繁かつ重度であり、社会的および機能的な影響が認められた。・長期予後を改善させるために最も重要な要因は、陽性症状のうち幻覚、妄想を改善させることであった。・TRSに対するクロザピン単独療法は15.9%であったが、これはTRSを治療する10種類の選択肢のうち、5番目であった。・通常、クロザピン開始または抗精神病薬切り替え前に、現治療薬の増量または他の抗精神病薬の併用が行われていた。・抗精神病薬の切り替え理由は、現治療薬の有効性不十分(71.4% vs.54.3%、p<0.001)および忍容性不十分(34.4% vs.38.4%、p=0.22)であった。・TRSの治療切り替えにつながる症状は、幻覚行動の持続であった(63.9% vs.37.1%、p<0.001)。 著者らは「TRS患者は、一般的に抗精神病薬の増量や併用により対処されることが多く、唯一の承認薬であるクロザピン使用の優先順位は、5番目であった。抗精神病薬に治療反応が認められないTRS患者に対する新たな治療法が求められる」としている。

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統合失調症患者のインスリン抵抗性有病率とその特徴

 いくつかの研究において、統合失調症患者は、インスリン抵抗性リスクが高いことが示唆されている。中国・北京大学のChen Lin氏らは、中国人統合失調症入院患者におけるインスリン抵抗性の有病率および臨床的相関について調査を行った。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2019年11月7日号の報告。 対象は、統合失調症患者193例(男性:113例、女性:80例)。血漿グルコースおよび脂質レベルに関するデータを含む人口統計および臨床データを収集した。認知機能の評価には、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。インスリン抵抗性を評価するHOMA-IRのカットオフ値は、1.7に設定した。 主な結果は以下のとおり。・インスリン抵抗性の有病率は、37.82%(73例)であった。・インスリン抵抗性患者は、そうでない患者と比較し、ウエスト/ヒップ比、BMI、空腹時血糖、トリグリセリド(TG)、LDLレベルが有意に高かった(各々p<0.05)。・バイナリロジスティック回帰分析では、喫煙、BMI、TG、LDLレベルが、インスリン抵抗性の有意な予測因子であった。・相関分析では、ウエスト/ヒップ比、BMI、LDLレベルが、インスリン抵抗性と有意に相関していることが示唆された(Bonferroni補正:p<0.05)。・多変量線形回帰分析では、BMIと空腹時血糖が、インスリン抵抗性と関連していることが示唆された。・異なる抗精神病薬を使用している患者間で、インスリン抵抗性に有意な差は認められなかった。 著者らは「中国人統合失調症患者では、インスリン抵抗性およびそのリスク因子を有する割合が高かった。統合失調症患者のインスリン抵抗性発生を防ぐためにも、BMIやウエスト周囲を減らし、タバコの本数を減らすための積極的な体重管理が不可欠である」としている。

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うつ症状に対するポリフェノールの影響~システマティックレビュー

 うつ病は、世界中で3億5,000万人が罹患している気分障害である。最近の研究では、うつ病に対して食事が保護的な役割を果たすことが示唆されている。いくつかのシステマティックレビューでは、うつ症状の軽減に地中海スタイルの食事パターンが有望であることが報告されている。これは、食事の中に一般的に含まれるポリフェノールの含有量が多いことが要因であると推測されている。オーストラリア・シドニー工科大学のJessica Bayes氏らは、うつ症状に対する地中海スタイルの食事に含まれるポリフェノールの影響について評価を行った。Advances in Nutrition誌オンライン版2019年11月5日号の報告。 うつ症状に対するポリフェノールの役割を評価するため、システマティックレビューを実施した。2019年2月18日までの研究を、PROQUEST、SCOPUS(Elsevier)、MEDLINE(EBSCO)、CINAHL、Embaseより検索した。包括基準は、18~80歳の成人に対するポリフェノール摂取とうつ病スコアを評価した観察研究および実験研究とした。 主な結果は以下のとおり。・1万2,084件中37件(観察研究:20件、実験研究:17件)が包括基準を満たした。・茶、コーヒー、柑橘類、ナッツ、大豆、ブドウ、マメ科植物、スパイスを含むいくつかの異なるポリフェノールについて評価を行った。・29件で、うつ病に対するポリフェノールの統計学的に有意な効果が認められた。 著者らは「ポリフェノール摂取とうつ病リスクとの関連および、うつ症状に対するポリフェノールの効果が認められた。本レビューでは、若年成人および男性の抑うつ症状に対するポリフェノールの役割に関する文献においてギャップが認められた」としている。

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青年期うつ病の治療中および治療後の軌跡

 英国・ケンブリッジ大学のSian Emma Davies氏らは、UK IMPACT試験に参加した青年期うつ病患者を症状変化の軌跡によって分類し、その予測因子および治療反応の定義との比較を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2019年10月24日号の報告。 本研究は、成長混合モデリング(GMM)を用いた2次データ分析である。欠損データは補完された。対象患者465例について、86週間の6つの時点におけるスコアを用いて、自己報告された抑うつ症状の軌跡を作図した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、最初は類似した症状軌跡をたどり、その後2種類の軌跡を示した。・この2種類のグループでは、最初の18週目までに抑うつ症状の有意な改善が認められた。・両グループの内訳は、研究期間中に症状改善が認められる「継続改善」が391例(84.1%)、ベースライン時の抑うつ症状スコアが高く、初期は早期改善が認められるものの、18週以降に改善が認められない「改善停止」が74例(15.9%)であった。・ベースライン時で併存疾患を有していた患者では、「改善停止」の増加が認められた(OR:1.40、CI:1.00~1.96)。・研究終了時までの誤分類は、臨床的寛解カットオフスコア(27以下)で15%、治療反応を示す症状改善スコア(50%以上)で31%に認められた。 著者らは「治療初期の抑うつ症状改善は、必ずしも良好な予後を示すものではない。治療開始18週以降に、改善の停止が認められる。治療反応に対する差異は、縦断的モデリングにより精度が向上する可能性がある。これまで考えられていたよりも、抑うつ症状の改善は、年単位でかかる場合がある」としている。

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プライマリケアにおけるセルトラリンの臨床的有効性~PANDA研究

 うつ病のケアは、プライマリケアで行われることが多い。しかし、ほとんどの抗うつ薬の試験では、うつ症状の診断と重症度に基づいた適格基準を有する2次医療圏の精神保健サービスの患者を対象としている。抗うつ薬は、これまでの臨床試験の対象患者よりもはるかに幅広い患者に用いられている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGemma Lewis氏らは、軽度~重度のうつ症状を伴うプライマリケア患者を対象に、セルトラリンの臨床効果を調査し、治療反応に対する重症度と期間との関連について検討を行った。The Lancet. Psychiatry誌2019年11月号の報告。 本研究(PANDA研究)は、英国4都市(ブリストル、リバプール、ロンドン、ヨーク)のプライマリケア医179人の患者を対象に、実臨床多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化試験として実施された。過去2年間に抗うつ薬のベネフィットについて臨床的不確実性が認められた18~74歳の抑うつ症状患者を対象とし、セルトラリン群(最初の1週間は1日1カプセル[セルトラリン50mg]、その後2カプセルとし最大11週間投与)またはプラセボ群にランダムに割り付け、重症度、期間などで層別化した。主要アウトカムは、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコアにより測定された6週間後の抑うつ症状とした。副次アウトカムは、2、6、12週目の抑うつ症状および寛解(PHQ-9、Beck Depression Inventory-II[BDI-II])、全般性不安症状(Generalised Anxiety Disorder Assessment 7-item version[GAD-7])、心の健康および身体的健康(12-item Short-Form Health Survey[SF-12])、自己報告による改善度とした。すべての分析は、intention-to-treat分析で行った。 主な結果は以下のとおり。・2015年1月~2017年8月までに655例を、セルトラリン群326例、プラセボ群329例に割り付けた。・セルトラリン群の2例は、ベースライン評価が完了しなかったため除外した。・主要アウトカムの分析対象患者数は、550例(セルトラリン群:266例、プラセボ群:284例)であった。85%のフォローアップ率で、両群間に差は認められなかった。・6週間後、セルトラリン群において、臨床的に意味のある抑うつ症状の軽減は認められなかった。・6週間後の平均PHQ-9スコアは、セルトラリン群で7.98±5.63、プラセボ群で8.76±5.86であった(調整比例差:0.95、95%CI:0.85~1.07、p=0.41)。・副次アウトカムでは、セルトラリン群において、不安症状、メンタルヘルス関連QOL(身体的QOLは除く)、メンタルヘルスに関する自己報告の改善が認められた。・12週間後、セルトラリン群において、抑うつ症状の軽減が認められた(弱エビデンス)。・有害事象は、セルトラリン群で4件、プラセボ群で3件が認められたが、両群間に差は認められなかった。・重篤な有害事象は、セルトラリン群で2件(うち1件は薬物療法に関連と分類)、プラセボ群で1件と分類された。 著者らは「セルトラリンは、プライマリケアにおいて、6週間以内に抑うつ症状を改善させる可能性は低いものの、臨床的に重要であると考えられる不安、QOL、メンタルヘルスに関する自己評価の改善が認められた。本調査結果は、うつ病または全般性不安症の診断基準を満たさない軽度~中等度の症状を有する患者を含む、これまで考えられていたよりも幅広い患者に対するSSRI抗うつ薬の使用を裏付けている」としている。

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統合失調症の残存症状による再発予測~PROACTIVE研究の再解析

 経口または長時間作用型持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測するうえで、残存症状の影響はこれまであまり注目されていなかった。慶應義塾大学の齋藤 雄太氏らは、PROACTIVE(Preventing Relapse: Oral Antipsychotics Compared To Injectables: Evaluating Efficacy)研究のデータを用いて、統合失調症の残存症状による再発の予測について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年10月28日号の報告。 統合失調症外来患者305例を対象に、隔週のリスペリドンLAI(LAI-R)群または毎日の経口第2世代抗精神病薬(SGA)群のいずれかにランダムに割り付け、最大30ヵ月間の評価を行った。その後の再発を予測できるベースライン時の症状を特定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、研究中に再発を経験した73例について、線形混合モデルを用いて、再発の2~8週前における隔週評価とベースライン評価との症状の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の誇大妄想のスコアの高さは、その後の再発と有意な関連が認められた(調整ハザード比[aHR]:1.24、p=0.006)。・両群をそれぞれ分析したところ、経口SGA群では、ベースライン時の重度の誇大妄想(aHR:1.43、p=0.003)および軽度の幻覚行動(aHR:0.70、p=0.013)が、再発と有意に関連していたが、LAI-R群では認められなかった。・感情的引きこもりは、ベースライン時と比較し、再発の8週前(p=0.032)および2週前(p=0.043)に有意な悪化が認められた。 著者らは「重度の誇大妄想および軽度の幻覚は、経口抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測する可能性がある。また、再発前に悪化が認められる感情的引きこもりは、再発を回避するための有用なマーカーとなりうる可能性がある」としている。

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サッカー選手は認知症になりやすい?(解説:岡村毅氏)-1142

 サッカー選手はアルツハイマー型認知症になりやすいという論文だ。ああクリスマスか、と思ったがちょっと待て、まだ11月である。BMJのクリスマス号(英国ジョークのひねりの効いた論文が掲載される特別号)ではなく、真面目な論文であった。 元プロサッカー選手と一般人口を比較すると、元サッカー選手は当然ながら健康なので死亡は少ないし、虚血性心疾患も少ない。しかし神経変性疾患は多く、アルツハイマー型認知症についてはおよそ5倍である。 またこの論文ではフィールド・プレーヤーとゴールキーパーを比較している。両者は認知症リスクは変わらなかったが抗認知症薬の処方はゴールキーパーでは少なかったらしい。 どういうことであろうか? 実はコンタクトスポーツでは遅発性の脳損傷が多いことはよく知られている。最も危険とされるのはアメリカンフットボールであり、認知症やうつ病がきわめて多いことは周知の事実であろう。選手を脳損傷から守ることは世界的なトレンドであり、ラグビーワールドカップでもHIA(Head Injury Assessment)が行われていたのをご覧になった方も多いだろう。 なぜかこの論文でははっきり書いていないようだが…サッカーで脳損傷が起きる原因は、はっきり言おう、ヘディングである。 ゴールキーパーとしつこく比較しているのも、ヘディングの有無を見たいからに違いない。 英国サッカーといえば、今でこそやれゲーゲンプレスやらティキ・タカやらおしゃれな戦術サッカーが隆盛であるが、かつてはサイドからのセンタリングを押し込むだけであった。考えただけでも脳損傷を起こしそうだが。 野球の球数制限はようやく実現したが、ヘディングが禁止される日もいつか来るのかもしれない。いろいろ思うところはあるが、時代の流れであることは確かだ。

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うつ病患者の睡眠障害と自殺との関係~メタ解析

 これまで、睡眠障害と自殺との潜在的な関連は、いくつかのレビューにより検証されてきた。中国・中南大学のXiaofen Wang氏らは、うつ病患者における睡眠障害と自殺との全体的な関連性を推定し、より具体的な関連因子を特定するため、メタ解析を実施した。BMC Psychiatry誌2019年10月17日号の報告。 PubMed、EMBASE、Cochrane Libraryより、2019年1月1日までに公表された、うつ病患者の睡眠障害と自殺との関連を報告した研究をシステマティックに検索した。オッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を用いて、アウトカムを測定した。異質性は、コクランのQ検定、I2を用いて評価した。各研究の方法論的品質の評価には、Newcastle-Ottawa Scale(NOS)を、エビデンスの品質評価には、Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE)を用いた。睡眠障害と自殺との全体的な関連性を評価し、不眠症、悪夢、過眠症、自殺念慮、自殺企図、自殺完遂など、より具体的なカテゴリーを推定した。 主な結果は以下のとおり。・18研究が抽出された。・全体として、睡眠障害は、うつ病患者の自殺と密接な関連が認められた(OR:2.45、95%CI:1.33~4.52)。・自殺念慮、自殺企図、自殺完遂に対する睡眠障害の増加リスクは、1.24(95%CI:1.00~1.53)~2.41(95%CI:1.45~4.02)の範囲であった。・自殺との高い相関が認められた因子は、悪夢(OR:4.47、95%CI:2.00~9.97)および不眠症の持続(OR:2.29、95%CI:1.69~3.10)であった。・エビデンスの質は、全体的なアウトカムおよびうつ病サブグループで非常に低く、うつ病サブグループで低いと評価された。 著者らは「抽出された研究が観察研究であったことを考慮するとエビデンスの質は低いものの、睡眠障害、とくに悪夢や不眠症は、うつ病患者の自殺リスクを高める可能性があることが示唆された。このメカニズムを明らかにするためには、より適切に設計された研究が必要である」としている。

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統合失調症、双極性障害、うつ病患者における抗精神病薬切り替え治療の影響

 米国・Analysis GroupのRajeev Ayyagari氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病患者における、抗精神病薬の切り替えと再発および医療資源利用との関連について評価を行った。Journal of Medical Economics誌オンライン版2019年10月30日号の報告。 6年にわたる米国6州のメディケイド請求データより、抗精神病薬の切り替えと非切り替えの比較について、レトロスペクティブに分析を行った。ベースライン時に統合失調症、双極性障害、うつ病と診断されたすべての患者および1つ以上の錐体外路症状(EPS)が認められた患者について、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、すべての原因による救急受診、すべての原因による入院、EPS診断までの期間を分析した。 主な結果は以下のとおり。・切り替え群(1万548例)は、非切り替え群(3万1,644例)よりも、現疾患の再発、他の精神疾患の再発、入院、救急受診、EPS診断までの期間が短かった(各々、log-rank p<0.001)。・切り替え群では、入院までの期間中央値は21.50ヵ月、救急受診までの期間中央値は9.07ヵ月(非切り替え群13.35ヵ月)であった。・現疾患の再発、他の精神疾患の再発、EPS診断については、2年間の研究期間中に、50%未満の患者で認められた。・1つ以上のEPSが認められた患者のサブグループ解析では、同様の関連性が認められた。・本研究の限界として、因果関係ではなく関連性のみが推測されている可能性があり、未評価のパラメータが群間で異なる可能性がある。 著者らは「抗精神病薬の切り替えは、再発リスクと関連している可能性が示唆された。これは、重度の患者では軽度の患者よりも治療反応が不良であり、多くの切り替えエピソードを必要とするためであると考えられる」としている。

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若い女性の座っている時間とうつ病との関連

 身体活動(PA)の不足や長時間の座りっ放し(sitting time:ST)は、死亡率やうつ病などの慢性疾患リスクの増加と関連している。2つのリスクは独立しているともいわれているが、それらの連合効果や層別効果はよくわかっていない。オーストラリア・クイーンズランド工科大学のT. G. Pavey氏らは、若年女性におけるうつ症状のリスクと12年間に及ぶPAやSTの複合効果について調査を行った。Journal of Science and Medicine in Sport誌2019年10月号の報告。 対象は、2000~12年にオーストラリアの女性の健康に関する縦断的コホート研究に参加した22~27歳の女性。うつ症状に対するPAとSTの連合効果は、一般化推定方程式モデルを用いて算出した。対照群は、STが4時間/日未満およびPA四分位の第一位とした。うつ症状とPAおよびSTとの関連は、ST、PAそれぞれの層別化後に調査した。 主な結果は以下のとおり。・調整された連合効果モデルでは、対照群(低ST、高PA)と比較し、うつ症状のオッズ比は、STが4時間/日超、6時間/日超、8時間/日超およびPAなしの女性で有意に高かった。・すべてのPAカテゴリにおいて、STが10時間/日以上の女性のうつ症状リスクが最も高かった(PA四分位第四位:1.72[95%CI:1.38~2.14]、PA四分位第一位:1.49[95%CI:1.16~1.91])。・STによる層別解析では、STが10時間/日超の女性を除き、PAを報告した女性において、PAなしと比較し、うつ症状の割合が低下していた。・PAによる層別解析では、STが8~10時間/日によるリスク増加は、PAにより軽減していたが、STが10時間/日以上では、PAレベルが上昇しても、抑うつ症状リスクの低下は認められなかった。 著者らは「若年女性の抑うつ症状リスクに対し、低PAと高STの連合効果および層別効果があることが示唆された。高レベルのPAは、高STの保護効果があるものの、STが10時間/日以上の女性では、その効果が期待できない」としている。■「うつ病軽減」関連記事うつ病患者、入浴がうつ症状を軽減

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治療抵抗性うつ病におけるMetS有病率~FACE-DR研究

 フランス・ソルボンヌ大学のOphelia Godin氏らは、フランス人の治療抵抗性うつ病(TRD)患者のコホートにおけるメタボリックシンドローム(MetS)有病率を推定し、社会人口統計学的、臨床的および治療に関連する因子との相関について検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2019年10月15日号の報告。 対象は、2012~18年に中等度~重度(MADRSスコア20以上)のうつ病エピソード(DSM-IV基準)を有し、ステージII以上の治療抵抗性(Thase and Rush基準)が認められたTRD患者205例。社会人口統計学的および臨床的特徴、ライフスタイルの情報、治療および併存疾患に関する情報を収集し、血液サンプルも採取した。MetSは、国際糖尿病連合(IDF)基準に従って定義した。 主な結果は以下のとおり。・MetS基準を満たしていたTRD患者は、全体の38%であった。・MetSの頻度は、40歳以上の患者において女性(35.2%)よりも男性(46.3%)で高かった(p=0.0427)。・糖尿病のマネジメントは良好であったが、高血圧または脂質異常症の治療を受けていた患者は3分の1未満であった。・多変量解析では、血清CRPレベルの異常は、他の潜在的な交絡因子とは独立して、MetSリスクを3倍増加させることが示唆された(95%CI:1.5~5.2)。 著者らは「TRD患者では、他の精神疾患患者よりもMetS有病率が高く、十分な治療が行われていない可能性がある。TRD患者の心血管疾患を予防するために、MetSの診断および治療をシステマティックに行う必要がある。本調査結果は、精神科医とプライマリケア医との連携を強化し、統合ケアの必要性を示唆している」としている。

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統合失調症に対する抗炎症薬の有用性~メタ解析

 統合失調症では、脳の炎症誘発性状態の傾向が重要な役割を担っているとのエビデンスが蓄積されつつある。この傾向を代償するうえで、抗炎症薬は有用である可能性がある。オランダ・Academic Medical CenterのN. Cakici氏らは、統合失調症に対するいくつかの抗炎症作用を有する薬剤の有効性に関するランダム化比較試験(RCT)の最新情報について、メタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2019年10月号の報告。 PubMed、Embase、the National Institutes of Health website、the Cochrane Database of Systematic Reviewsより、臨床結果を調査したRCTをシステマティックに検索した。 主な結果は以下のとおり。・症状の重症度に関連する、次の薬剤の有効性を検討した研究は56件であった(アスピリン、ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、エストロゲン、脂肪酸、メラトニン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン、ピオグリタゾン、ピラセタム、プレグネノロン、スタチン、バレニクリン、withania somnifera extract)。・2つ以上の研究によるメタ解析で有意であった薬剤は以下のとおりであった。 ●アスピリン(平均加重エフェクトサイズ[ES]:0.30、270例、95%信頼区間[CI]:0.06~0.54) ●エストロゲン(ES:0.78、723例、95%CI:0.36~1.19) ●ミノサイクリン(ES:0.40、946例、95%CI:0.11~0.68) ●N-アセチルシステイン(ES:1.00、442例、95%CI:0.60~1.41)・サブグループ解析では、初回エピソード精神病および早期統合失調症の研究において、より肯定的な結果が得られた。・ベキサロテン、セレコキシブ、davunetide、デキストロメトルファン、脂肪酸、プレグネノロン、スタチン、バレニクリンでは有意な効果は認められなかった。 著者らは「すべてではないが、抗炎症作用を有するいくつかの薬剤(アスピリン、エストロゲン、ミノサイクリン、N-アセチルシステイン)において有効性が示唆された。初回エピソード精神病や早期統合失調症患者の症状重症度に関して、より有益な効果が観察された」としている。

1140.

統合失調症患者に対するアリピプラゾール単独療法への切り替え~多施設コホート研究

 慢性期統合失調症患者に対する抗精神病薬の変更に際しては、いくつかのリスクを伴う。岡山大学の大林 芳明氏らは、慢性期統合失調症患者におけるアリピプラゾールへのより良い切り替え方法について検討を行い、これに関連する要因について調査を行った。Psychopharmacology誌オンライン版2019年10月18日号の報告。 本研究は、多施設共同歴史的コホート研究として実施した。慢性期統合失調症患者178例を対象に、アリピプラゾール単独療法への切り替えを行い、6ヵ月間継続投与を行った。各群の内訳は、非一括切り替え群107例(追加投与後切り替え群45例、交差切り替え群62例)、一括切り替え群71例であった。Cox比例ハザードモデルを用いて、潜在的な交絡因子を調整した。 主な結果は以下のとおり。・178例中、アリピプラゾール単独療法へ切り替えられた患者は101例(56.7%)、臨床全般重症度(CGI-S)スコアにおける症状改善が認められた患者は98例(55.0%)であった。・カプランマイヤー生存曲線では、非一括切り替え群は、一括切り替え群よりも優れていた(log-rank test p=0.012)。・Cox比例ハザードモデルを用いていくつかの変数を調整した後、追加投与後切り替え群では、一括切り替え群よりも、6ヵ月後のハザード比[HR]が有意に低かった(HR:0.42、95%CI:0.21~0.82、p=0.01)。・精神症状のためにアリピプラゾールへ切り替えた場合、非一括切り替え群は、一括切り替え群よりもHRが低かったが(HR:0.41、95%CI:0.21~0.81、p=0.01)、副作用については有意な差は認められなかった。・オランザピンからの切り替えの場合、追加投与後切り替え群は、最小HRを示した(HR:0.29、95%CI:0.07~1.11、p=0.07)。 著者らは「柔軟なアリピプラゾール切り替え戦略は、慢性期統合失調症患者にとってより良い結果をもたらす可能性がある」としている。

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