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2861.

抗うつ薬の効果には差があるのか?

抗うつ薬の効果に差があるのか?この問いに関する科学的根拠はこれまで乏しかったが、1月29日号のLancet誌(オンライン版)に発表されたメタアナリシスによると、12の抗うつ薬の中でミルタザピン(承認申請中)、エスシタロプラム(開発中)、ベンラファキシン(日本未発売)、セルトラリン(日本での発売名:ジェイゾロフト)の順で有効率が高いという結果となることがわかった。日本で発売されている4成分ではセルトラリン、ミルナシプラン(日本での発売名:トレドミン)、パロキセチン(日本での発売名:パキシル)、フルボキサミン(日本での発売名:ルボックス/デプロメール)の順となる。以下、日本で発売されている4剤に関しては、発売名で示す。このメタアナリシスは1991年から2007年までに実施された抗うつ薬に関する117の無作為化比較試験(対象:単極性うつ病症例の急性期)を対象としたもの。有効性(反応率)の評価時期は平均8.1週間。12の抗うつ薬のうち、ミルタザピンの有効性が最も高く、日本で発売されている4剤ではジェイゾロフトが最も高い。ジェイゾロフトの有効性(オッズ比)はパキシルの1.22倍、ルボックス/デプロメールの1.27倍より有意に高かった。また、脱落率で評価した忍容性に関してもジェイゾロフトがパキシル、ルボックス/デプロメールに比べ有意に高かった。最も有効性が高かったミルタザピンは現在、承認申請中で、早ければ2009年中に処方が可能になる。弊社が2007年に医師522名に実施したアンケートによると、パキシルの使用率が最も高く、「抗うつ効果に優れる」ことを使用理由として挙げている医師の割合も他の3剤に比べて高かったが、今回の結果が日本人における有用性として再現できるかを検討する時期に来ているかもしれない。 (ケアネット 藤原健次)

2862.

非定型抗精神病薬にも心突然死のリスク

抗精神病薬は定型・非定型ともに、心突然死のリスクが同等にあることが、米国テネシー州のメディケイド加入者を対象とする大規模な後ろ向きコホート研究の結果として報告された。米国ヴァンダービルト医科大学薬剤疫学・予防医学部門のWayne A. Ray氏らが行った試験で、NEJM誌2009年1月15日号で発表されている。定型薬に関する心突然死の大規模データは存在したが、非定型薬についての同リスクはほとんど明らかにされていなかった。心突然死の発生率を算出Ray氏らは、定型・非定型抗精神病薬を現に使用している患者の心突然死の補正発生率を算出し、心臓に対する安全性を検証した。主要解析の対象は、定型薬1種類使用4万4,218例、非定型薬1種類使用4万6,089例、および抗精神病薬非使用者18万6,600例。2次解析は抗精神病薬使用の関連因子の評価を目的とし、統合失調症または統合失調症に関連した精神病と診断されていない抗精神病薬使用者と、傾向スコア(抗精神病薬使用者となる可能性)で一致させた抗精神病薬非使用者を含み行った。非定型薬使用者は定型薬使用者の1.14倍抗精神病薬の現使用者はいずれのタイプとも、非使用者に比べて心突然死の発生率が高く、定型薬使用者は1.99倍(95%信頼区間:1.68~2.34)、非定型薬使用者は2.26倍(1.88~2.72)だった。過去に抗精神病薬を使用していた患者の発生率比は、非使用者に比べて1.13倍(0.98~1.30)で、リスクは有意に高くはない。非定型薬使用者の発生率比は、定型薬使用者の1.14倍(0.93~1.39)だった。現使用者のリスクはいずれのタイプとも、用量の増加とともに有意に上昇しており、定型薬使用者の場合は、低用量服用者は1.31倍(0.97~1.77)、高用量服用者では2.42倍(1.91~3.06)に増加していた(P<0.001)。一方、非定型薬使用者の場合は、低用量服用者は1.59倍(1.03~2.46)、高用量服用者では2.86倍(2.25~3.65)に増加していた(P=0.01)。傾向スコアで一致させたコホート群での検討でも同等の結果であったと報告されている。Ray氏は、「臨床現場では非定型抗精神病薬が、従来の薬剤に取って代わって使用されるようになっている。しかし今回の結果は、非定型抗精神病薬がより古い薬物より安全ではないことを示唆するものだった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

2863.

リハビリ介入は認知症患者には効果が乏しい

要介護高齢者へのリハビリプログラムの効果について、認知機能正常な場合はわずかだが効果は認められるが、認知機能低下が認められる高齢者にはベネフィットがないことが、オークランド大学(ニュージーランド)のNgaire Kerse氏らによって報告された。BMJ誌2008年10月18日号(オンライン版2008年10月9日号)より。41ヵ所の施設入所者対象に集団無作為化試験Kerse氏らは、長期療養施設に入所する要介護高齢者へのリハビリプログラム実施が、機能・QOL・転倒改善に効果があるかを、集団無作為化試験にて1年間追跡調査し検討した。対象としたのはニュージーランドにある41ヵ所の軽度要介護入所施設。試験参加者は65歳以上682例で、このうち330例は、老人看護専門看護師によって改善目標の設定と、個別ADL活動プログラムが提供され、日々の介入がヘルスケア・アシスタントによって提供された。352例は、施設介護を受け続けた。主要評価項目は、機能・QOL・転倒指標の変化について。機能は、LLFDI(生命機能低下と能力障害指標)、EMS(高齢者可動スケール:スコア16以下の割合)、FICSIT-4(平衡機能検査指標:直立10秒以上の割合)、TUG(timed up and go検査:秒)の変化を、QOLはLSI(生活満足度指標:判定スコア最大20)、EuroQol(判定スコア最大12)の変化を、転倒は12ヵ月の転倒回数の変化を評価した。副次評価項目は、抑うつ症状と入院とした。認知機能が正常な入所者にはわずかだがベネフィットがある試験を完了した入所者は437例(70%)だった。全体的にプログラム介入の影響は認められなかったが、介入群の中で、認知機能障害のある入所者と比べて認知機能が正常な入所者は全体的に機能の維持(LLFDIによる総合的な機能評価、P=0.024)、下肢機能の維持(LLFDIによる下肢機能評価、P=0.015)が認められた。また介入群で認知機能障害のある入所者では、うつ病の可能性が増大することが認められた。その他の転帰については両群間で差異はなかった。Kerse氏は、「施設に入所する要介護高齢者に対する機能改善のリハビリテーションプログラムは、認知機能が正常であれば多少なりとも影響はあるが、認知機能が低下した入所者にとってベネフィットはない」と結論している。

2864.

ビタミンBはアルツハイマー病の認知低下抑制の効果なし

アルツハイマー病(AD)ではホモシステインの血中濃度が高まり、高ホモシステイン血症が血管や神経に毒性に作用し発病に至る可能性がある。しかしホモシステイン濃度は、葉酸とビタミンB6、B12の高用量サプリメント投与で低下させることができる。このため、アメリカ・アルツハイマー病協同研究グループ(Alzheimer Disease Cooperative Study Group)のPaul S. Aisen氏(カリフォルニア大学サン・ディエゴ校)らは、AD治療におけるビタミンB群サプリメントの有効性と安全性を検証していたが、「認知機能の低下を遅らせる効果はない」と報告した。JAMA誌2008年10月15日号より。中軽度AD 患者409例を18ヵ月間試験し効果を比較本研究は2003年2月20日~2006年12月15日にかけて、全米で行われた多施設共同無作為化二重盲検臨床試験で、AD患者601例をスクリーニングし、認知機能検査(MMSE)スコアが14~26の中程度から軽度の409例を、全体の60%は高用量サプリメント処方群(葉酸塩を5mg/d、ビタミンB6を25mg/d、ビタミンB12を1mg/d)、残る40%はプラセボ処方群に無作為に割り付けた。投与期間は18ヵ月。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-cog)の認知サブスケールの変化とした。ホモシステイン濃度は低下するが認知機能は改善せず試験を完了できたのは合計340例(高用量処方群202例とプラセボ群138例)だった。ビタミンB群のサプリメント投与はホモシステイン濃度の低下に効果的[平均値(SD)比較:高用量処方群-2.42(3.35) vs. プラセボ群-0.86(2.59)、P<0.001]だったにもかかわらず、主要な認知尺度である18ヵ月後のADAS-cogスコアの変化率には、何の有益効果も認められなかった。高用量処方群:0.401ポイント/月 vs. プラセボ群:0.372ポイント/月(P=0.52、比率差の95%信頼区間:-0.060~0.12、intention-to-treat解析の一般化方程式モデルに基づく)。副次的尺度にも、いかなる効果も認められなかった。うつ病を含む有害事象は、ビタミン・サプリメント処方群で、より多く観察された。これら結果からAisen氏は「高用量ビタミンB群サプリメントの処方計画は、中程度から軽度のアルツハイマー病の認知機能低下を遅らせる効果はない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

2865.

精神神経分野に新たな創薬コンソーシアム「ネディック」設立

大日本住友製薬株式会社は10月23日、11月に大阪大学大学院の医学系研究科、薬学研究科の計5講座とともに、精神神経創薬コンソーシアム「ネディック(NDDC:Neuropsychiatry Drug Discovery Consortium)」を設立すると発表した。統合失調症うつ病など、精神疾患の薬物治療においては、過去50年間にわたって“セレンディピティ(幸運な偶然による科学的発見)”に端を発して創製された薬剤が最も大きな役割を果たしてきていたが、近年の精神疾患基礎研究の急速な進展により、遺伝子/分子レベルでの疾患発症機序に立脚した創薬が行える環境が整いつつあり、従来の治療薬にはない特長を有する革新的治療薬が創製される可能性があると期待されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20081023.pdf

2866.

適切な終末期の説明が患者と介護者のQOLを改善

患者と、死について話すのは難しいことだが、終末期に関して適切な説明を行えば、死の直前までの積極的治療を減らし、より早期のホスピス照会につながること。ホスピス滞在期間が長いほど、患者および介護者のQOLは良好であったとする、米国ボストンのダナ・ファーバー癌研究所のAlexi A. Wright氏らによる報告が、JAMA誌2008年10月8日号に掲載された。進行癌患者と介護者332組を死後も追跡調査本研究は2002年9月~2008年2月に行われた、前向き多施設共同・縦断コホート研究。対象は私的な介護者がいる進行癌患者(332組)で、患者は登録から死亡まで、中央値4.4ヵ月間にわたり追跡。残された介護者の精神症状とQOLは患者の死後、中央値6.5ヵ月間にわたり評価した。主要評価項目は、存命の最後の週における、積極的治療(人工呼吸器装着や蘇生措置など)とホスピスケアとした。副次的転帰には、患者のメンタルヘルスと介護者の死別適応を含めた。人工呼吸器装着・蘇生措置は減少し早期にホスピス登録患者332例のうち123例(37.0%)は、ベースライン以前に終末期について説明を受けたと報告した。その説明によって、大うつ病発症率は高まることなく(8.3%対5.8%、補正オッズ比:1.33、95%信頼区間:0.54~3.32)、不安増大とも関連しなかった(平均マギル・スコア:6.5対7.0、P=0.19)。傾向スコアを加重補正した結果、終末期の説明を受けることによって、人工呼吸器の装着率低下(1.6%対11.0%、補正オッズ比:0.26、95%信頼区間:0.08~0.83)、蘇生措置の実施率低下(0.8%対6.7%、0.16、0.03~0.80)、ICU入所率低下(4.1%対12.4%、0.35、0.14~0.90)、より早期のホスピス登録(65.6%対44.5%、1.65、0.04~2.63)につながった。補正解析の結果、積極的治療の種類が多いほど、患者自身のQOL低下(6.4対4.6、F=3.61、P=0.01)、残された介護者の大うつ病発症リスク増大(補正オッズ比:3.37、95%信頼区間:1.12~10.13)と関係していたが、ホスピス滞在期間が長いほど、患者自身のQOLは上昇した(平均スコア:5.6対6.9、F=3.70、P=0.01)。追跡調査の結果、患者自身のQOLが良好なほど、介護者のQOLも良好だった(β=0.20、P=0.001)。Wright氏は「終末期についての適切な説明は、死を間近にした積極的治療を少なくし、早期のホスピス照会につながる。積極的治療は、患者自身のQOL低下と介護者の死別適応を悪化させる」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

2867.

高脂血症治療薬が体内時計を調整する?

独立行政法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)生物機能工学研究部門 生物時計研究グループ 石田 直理雄(のりお)研究グループ長 兼 上席研究員、大石 勝隆 主任研究員らは、徳島大学医学部 勢井 宏義(せい ひろよし)教授との共同研究で、高脂血症治療薬であるフィブレートが動物の冬眠などの体内季節時計に影響を及ぼすことを発見したと発表した。この研究では、フィブレートを餌に混ぜてマウスの飼育を行い、冬眠状態の生理と似た状態がマウスに現れることが発見された。フィブレートは肝臓細胞の核内受容体PPARαに結合することが知られており、フィブレートが日周体内時計を前進させ、それによる睡眠障害の治療効果があるという。今回、核内受容体PPARαが日周体内時計だけでなく、体内季節時計をも動かすことが発見された。この結果は、人間のような冬眠しなくなった哺乳類においても、冬眠時代の分子メカニズムが残されている可能性を示唆しており、このメカニズムを解明することによって、冬期うつ病のような治療の難しい病気に対する治療法開発につながると期待されるとのこと。研究成果の一部は、米国内分泌学会誌Endocrinology10月号に掲載される。また、2008年10月20日~21日に産総研つくばセンターで開催される「産総研オープンラボ」でも公開される予定(「体内時計分子からの創薬」として研究室公開予定)。 詳細はプレスリリースへhttp://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2008/pr20081009/pr20081009.html

2868.

周産期うつ病に認知行動療法に基づく介入は有効か:パキスタンの場合

地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として有効なことが、パキスタンで実施された無作為化試験で明らかとなった。周産期うつ病の発症率は高く、障害を引き起こしたり幼児の発達障害の原因となりうるため、その治療は公衆衛生学上の優先課題だという。イギリスLiverpool大学地域コミュニティ行動科学科のAtif Rahman氏が、Lancet誌2008年9月13日号で報告した。うつ病妊婦に対する認知行動療法に基づく介入のクラスター無作為化試験研究グループは、パキスタン非都市部において地域住民ベースのプライマリヘルスワーカーのルーチン業務に認知行動療法に基づく介入を統合し、この介入法が妊婦うつ病および新生児の予後に及ぼす効果を評価するためのクラスター無作為化対照比較試験を実施した。ラワルピンディ市非都市部の40のUnion Council(パキスタンの最小行政単位で約1万5,000~2万人の住民から構成される)をクラスターとして、介入群あるいは対照群に1対1の割合で無作為に割り付けた。対象は、妊娠第3期に周産期うつ病と診断された既婚女性(16~45歳)とした。介入群のプライマリヘルスワーカーはうつ病の母親に心理学的介入を行うための訓練を受けた。対照群のヘルスワーカーは訓練を受けずにうつ病の母親に対して介入群と同じ回数の訪問指導を行った。主要評価項目は出産後6ヵ月および12ヵ月の時点での新生児の体重および身長とし、副次評価項目は母親のうつ病とした。インタビュアーには母親がいずれの群に属するかは知らされなかった。介入群の母親はうつ病の発症率が有意に少ない各群に20ずつのクラスターが割り付けられ、介入群の母親は463例、対照群は440例であった。出産後6ヵ月の時点で大うつ病の判定規準を満たした母親の割合は、対照群の53%(211/400例)に対し介入群は23%(97/418例)と有意な改善効果が認められた(補正オッズ比:0.22、95%信頼区間:0.14~0.36、p<0.0001)。この効果は12ヵ月後も維持されていた[27%(111/412例) vs. 59%(226/386例)、補正オッズ比:0.23、95%信頼区間:0.15~0.36、p<0.0001]。両群の幼児の体重および身長のzスコアは、6ヵ月(それぞれ、p=0.7、p=0.3)および12ヵ月(p=0.3、p=0.07)の時点でいずれも有意な差は認めなかった。その一方で、介入群の幼児は下痢が少なく、予防接種率が高かった。また、介入群では母親の避妊薬の使用率が高く(乳幼児死亡率の低減には出産の間隔を十分に開けることが重要)、両親が子どもと遊ぶ時間が長いなどのベネフィットが確認された。著者は、「地域のプライマリヘルスワーカーによる認知行動療法に基づく心理学的介入は、周産期うつ病の治療として医療資源に乏しい地域の医療システムに統合しうる」と結論したうえで、この結果は「メンタルヘルスが公衆衛生プログラムの重要なコンポーネントとなりうることを示唆する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2869.

併用HRTは、閉経後女性の健康QOLを改善する:WISDOM

エストロゲンとプロゲストゲンの併用ホルモン補充療法(併用HRT)は、「血管運動症状(ほてり)や性機能、睡眠障害を改善する効果がある」とのWISDOM研究グループによる報告が、BMJ誌2008年8月21日号に掲載された。WISDOM(women’s international study of long duration oestrogen after the menopause)は、HRT療法の長期にわたる効果とリスクを評価する無作為化試験で、心血管疾患、骨折、乳癌を主要臨床転帰とし健康QOLについても評価が行われた研究。1999年に始まったが2002年に、当時発表された「women’s health initiative trial in 2002」の結果(心血管疾患への長期的効果はない)の影響もあり試験は中断され、健康QOLについても疑問符がつけられていた。3ヵ国の閉経後女性3,721例を対象に二重盲検無作為化試験二重盲検無作為化試験で行われたWISDOMは、英国(384)、オーストラリア(94)、ニュージーランド(24)の一般クリニックで、経年処理50~69歳の閉経後女性3,721例(子宮を有する)が参加して行われた。参加者は、エストロゲンとプロゲストゲンの併用HRT群(n=1,862)と、プラセボ群(n=1,859)に無作為に割り付け。併用HRT群には、抱合型ウマエストロゲン0.625mg+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5/5.0 mgが、1日1回1年間経口投与された。健康QOLデータ(1年時点)が得られたのは、併用HRT群1,043例、プラセボ群1,087例だった。主要転帰は、健康QOLおよびうつなど精神・心理的な健康具合。健康QOLは自己申告方式の健康アンケート(WHQ:women’s health questionnaire)で、精神面や身体面に現れる更年期障害は症状アンケート(symptoms questionnaire)、うつ病スケールCES-Dで評価。EuroQolと視覚アナログスケールで総健康QOL、総合QOLの評価が行われた。血管運動症状、性機能、睡眠問題で有意な改善1年時点で、プラセボ群と比較して併用HRT群に、小さくはあったが有意な改善が、WHQの9つの構成要素のうち3つ、血管運動症状(P

2870.

概ね必要適格なケアを受けている:イギリス50歳以上成人

健康問題を有する人へのヘルスケア介入は効果的に行われているのか。イギリスの50歳以上成人を対象とする調査が、イーストアングリア大学医学部健康政策実践部門のNicholas Steel氏らにより行われた。BMJ誌2008年8月13日号より。32の臨床指標と7つの質問を用いて評価調査は、面談方式による全国統一のサーベイアンケートで、公的・私的を問わず提供されたケアの質の評価をカバーできる指標を有する。参加者は、全イングランドの世帯を対象とする経時的研究(English longitudinal study of ageing)の8,688人で、そのうち4,417人は13の健康問題(虚血性心疾患、うつ、糖尿病など)のうち1つ以上を有していた。主要転帰は、32の臨床指標と7つの質問を用いて、患者である参加者が受けていると回答した介入の適格性の割合と集計スコア。障害や虚弱問題の領域では不十分調査の結果、患者は1万9,082種類の必要適格なケアを受けていた。必要適格なケアを受けているかは、参加者の健康状況によって異なった。最も適格にケアを受けていたのは「虚血性心疾患」の問題を有する患者で83%、「難聴」79%、「疼痛マネジメント」78%、「糖尿病」74%、「禁煙」74%、「高血圧」72%、「脳卒中」65%、「うつ病」64%、「要介護」58%、「視覚障害」58%、「骨粗鬆症」53%、「尿失禁」51%、「転倒マネジメント」44%、「変形性関節症」29%と続き、「全体的に」62%だった。ケアの適格性は、老化に伴う問題(55%)よりも医学的問題(74%)に関するもののほうが高い。また、一般開業医の報酬対象となっている健康問題のほうが(75%)、対象外となっている健康問題(58%)よりも高かった。Steel氏は「推奨されているケアは、障害や虚弱問題の領域では十分に提供されていなかった。よりよい健康アウトカムを成し遂げるためのケア改善の努力は広範囲にわたり必要だが、特に高齢者のQOLに影響を及ぼす慢性疾患の問題で必要である」と結論している。

2871.

うつ病やPTSDが深刻なネパールの元少年兵

戦争や武力紛争で、戦闘への参加を強いられた少年兵経験者には、特別の精神保健的な介入が必要とされるが、徴兵されなかった一般の少年との精神保健面の違いに関する研究は十分ではない。エモリー大学(米国・ジョージア州アトランタ市)のBrandon A. Kohrt氏らはネパールにおける調査の結果、「元少年兵の精神保健面の問題は、徴兵されなかった少年に比べて、より重症である」と報告した。JAMA誌2008年8月13日号より。少年兵と徴兵未経験者を141例ずつ選定し比較ネパールで2007年3月から4月にかけて、元少年兵と徴兵されなかった少年をそれぞれ141例選定し、年齢、性別、教育水準、民族性を合わせた横断的コホート研究を行い、精神保健面を比較した。主要評価項目は、うつ病症状は「Depression Self Rating Scale」、不安障害は「Screen for Child Anxiety Related Emotional Disorders」、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状は「Child PTSD Symptom Scale」、一般的な心理的障害は「Strength and Difficulties Questionnaire」、日常的動作は「Function Impairment tool」、心的外傷要因への曝露は、情動障害と統合失調症に関する「PTSD Traumatic Event Checklist of the Kiddie Schedule」で評価した。PTSDは男子よりも女子で深刻研究参加時の平均年齢は15.75歳、少年兵徴用時の年齢は5歳~16歳だった。すべての参加者に、少なくとも1種類の心的外傷があった。元少年兵の症状別では、うつ病が75例(53.2%)、不安障害が65例(46.1%)、PTSDが78例(55.3%)、心理的障害が55例(39.0%)、機能障害が88例(62.4%)だった。心的外傷要因への曝露および他の要素で補正すると、うつ病(オッズ比:2.41、95%信頼区間:1.31~4.44)、PTSD(女子)(6.80、2.16~21.58)、PTSD(男子)(3.81、1.06~13.73)に有意な関連が認められた。一般的な心理的障害(2.08、0.86~5.02)、不安(1.63、0.77~3.45)、機能障害(1.34、0.84~2.14)との関連は有意ではなかった。Kohrt氏は「ネパールの元少年兵は、徴兵されなかった少年と比べて精神衛生的な問題はより重症で、うつ病とPTSD(特に女子)の形で心に焼きついている」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

2872.

うつ病治療に伴う女性の性機能障害にもバイアグラが有効

抗うつ薬の選択的・非選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)治療に関連する一般的な副作用として性機能障害があり、しばしば抗うつ薬による治療を早期に中断せざるを得ない要因ともなっている。これまでSRIによる性機能障害に、シルデナフィル(商品名:バイアグラ)が有効なことは知られていたが、米国ニューメキシコ大学医学部のH. George Nurnberg氏らは、女性にも同様に効果があると報告した。JAMA誌2008年7月23日号より。閉経前の女性98例に対して性行為前に服用させ比較2003年9月1日から2007年1月1日の間、米国内の7つの研究施設において、大うつ病がSRI治療で沈静化したものの、性機能障害も経験した閉経前の女性98人(平均年齢37.1歳)を対象に、8週間の前向き・2群並行・無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。患者は49例ずつ無作為に、性行為の前にシルデナフィルまたはプラセボを50~100mgまで増減して服用するよう割り付けられた。主要評価項目は、研究終了時点で、Clinical Global Impression性機能スケールによるベースラインからの変化の平均差とした。副次的評価項目は、Female Sexual Function Questionnaire、アリゾナSexual Experience scale(女性版)、ニューメキシコ大学Sexual Function Inventory(女性版)および性行為記録、ハミルトンうつ病評価スケールとした。内分泌レベルも評価が行われた。性機能スコアは改善、深刻な副作用は見られずClinical Global Impression性機能スコアは、シルデナフィル群が平均1.9(95%信頼区間:1.6~2.3)だったのに対して、プラセボ群は同1.1(0.8~1.5)で、終了時点の平均差は0.8(0.6~1.0、P=0.001)だった。ベースライン登録患者の22%は、早期に中断する結果になったが、シルデナフィル群の平均エンドポイントは性機能スコア1.5(1.1~1.9)であり、プラセボ群は同0.9(0.6~1.3)、終了時点の平均差は0.6(0.3~0.8、P=0.03)と有意な差があった。ベースラインにおける内分泌レベルは正常範囲内で、群間差はなかった。うつ病のハミルトン・スコアは平均値4.0(SD 3.6)で、両群の寛解度は同程度だった(P=0.90)。治療期間中に頭痛、潮紅、消化不良はしばしば報告されたが、深刻な副作用で脱落した患者はいなかった。このためNurnberg氏は、「SRI服用で性機能障害になった女性に対するシルデナフィル治療は、有害な性的効果を減少させる」と結論した。(朝田哲明:医療ライター)

2873.

癌患者の大うつ病管理に有効な介入法が開発された

“Depression Care for People with Cancer”と呼ばれる複合的な介入法は、専門的な医療サービスを受けている癌患者における大うつ病管理のモデルとなることが、スコットランドで実施された無作為化試験(SMaRT oncology 1)で示された。大うつ病は癌などの疾患に罹患した患者のQOLを著しく損なうが、その管理の指針となるエビデンスは少ないという。イギリスEdinburgh大学癌研究センターのVanessa Strong氏がLancet誌2008年7月5日号で報告した。通常ケアと通常ケア+看護師による介入を比較研究グループは、大うつ病の体系的なスクリーニング法と複合的な介入法を併用し、うつ病の管理とがん治療を統合した治療システムを開発した。SMaRT(Symptom Management Research Trials)oncology 1は、癌患者の大うつ病の治療法としてデザインされた介入法である“Depression Care for People with Cancer”の効果を評価する無作為化試験。2003年10月~2005年12月に、スコットランドの地域癌センターに6ヵ月以上の生存が見込まれ、大うつ病に罹患した200例の外来癌患者が登録された。平均年齢は56.6歳、141例(71%)が女性であった。99例が通常ケア群に、101例が通常ケア+介入群に無作為に割り付けられた。介入は平均7つのセッションからなり、癌センターで癌専門看護師によって施行された。主要評価項目は、無作為化後3ヵ月の時点における自己報告によるSymptom Checklist-20(SCL-20)のうつ病スケール(0~4)の平均スコアの差とした。介入群でSCL-20うつ病スコアが有意に低下データが欠失した4例を除く196例について解析を行った。3ヵ月後における補正後のSCL-20うつ病スコアは、介入を行った群で0.34低下し有意差が認められた(95%信頼区間:0.13~0.55、p=0.002)。治療効果は、6および12ヵ月の時点でも持続していた。介入により不安および疲労感の改善が見られたが、疼痛や身体機能の改善効果は認めなかった。質調整生存年(QALY)の1年の延長ごとに、新たに£5,278(US$1万556)のコストが発生した。Strong氏は、「“Depression Care for People with Cancer”は、専門的な医療サービスに参加している癌をはじめとする疾患の患者における大うつ病管理のモデルとなることが示された」と結論し、「今後、SMaRT oncology 2、3において本介入法の費用対効果や、予後不良例にもベネフィットをもたらすか否かを評価する予定である」としている。(菅野守:医学ライター)

2874.

2型糖尿病治療でかえってうつ発症率が高まる

抑うつ症状と2型糖尿病は関連が指摘されているが、2型糖尿病が抑うつ症状のリスク因子かどうかは不明である。抑うつ症状と2型糖尿病の相関関係を調べていたジョンズ・ホプキンス大学(アメリカ)のSherita Hill Golden氏らは、全体としての相関関係はないとしながらも、糖尿病治療中のほうが抑うつ症状発症率は高まることを示した。JAMA誌2008年6月18日号より。米国人男女約5,000人の追跡調査から関係推定本研究は、45~84歳の米国男女を2000~2002年に登録し、2004~2005年まで追跡した縦断的・多民族コホート研究「Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis」に基づいて行われた。主要評価項目は、疫学研究センター・うつ病スケール(CES-D)で16ポイント以上と定義される抑うつ症状か、抗うつ薬投与またはその両方とし、参加者を、空腹時血糖値が正常(100mg/dL)、境界型=IFG(100~125mg/dL)、2型糖尿病(126mg/dL以上または治療中)に分類。「分析1」では、ベースラインで2型糖尿病でない参加者5,201例を対象に、抑うつ症状の有無について、3.2年間にわたり2型糖尿病との相対ハザードを推定。「分析2」では、ベースラインで抑うつ症状のない参加者4,847例を対象に、2型糖尿病の有無について、3.1年間にわたり抑うつ症状発症との相対オッズを算出した。糖尿病とうつは関連するものの有意差なし「分析1」では、2型糖尿病発症率は、抑うつ症状群で1,000人/年につき22.0人、抑うつ症状のない群で同16.6だった。2型糖尿病のリスクは、人口動態的因子とBMIを補正後、CES-Dスコアが5単位増すごとに1.10倍高くなった(95%信頼区間:1.02~1.19)。この傾向は、代謝や炎症、社会経済、生活様式因子で補正しても同じだが、補正後は統計学的な有意差はなかった(相対ハザード比:1.08、95%信頼区間:0.99~1.19)。「分析2」では、抑うつ症発症率は、正常血糖群では1,000人/年につき36.8。IFG群では同27.9、未治療群は同31.2、治療群は61.9だった。正常血糖群で抑うつ症を発症する人口動態的補正オッズ比は0.79、IFG群は0.75、未治療と治療群では1.54だった。抑うつ症状と2型糖尿病の関連性は、BMIや社会経済、生活様式因子、共存症による補正後も同じだが、実質的に相関関係は存在しない。ベースラインにおける抑うつ症と2型糖尿病のおおまかな関連は、生活様式因子によって部分的に説明できた。IFG群と未治療群は、抑うつ症発症率と逆相関し、治療群は正相関を示した。 これらは人種民族集団全体で類似していた。(朝田哲明:医療ライター)

2875.

脳卒中後うつ病予防の効果はescitalopram投与>問題解決療法

脳卒中経験者の半数以上がうつ病となり、それが日常生活動作の回復を妨げ、死亡率増加にも関与していることは、これまで多くの研究で示されている。米国アイオワ大学医学部のRobert G. Robinson氏らは、そうしたうつ病予防に対するSSRIの抗うつ薬escitalopramの効果を、問題解決療法(PST:problem-solving therapy)との比較で無作為化試験。どちらも効果があるが、escitalopram投与のほうが優位と報告した。JAMA誌2008年5月28日号掲載より。脳卒中発症後3ヵ月以内の患者176例を1年間追跡2003年7月9日から2007年10月1日にかけて複数施設から登録された、急性脳卒中後3ヵ月以内のうつ病ではない患者176例を対象に行われた。対象者は、二重盲検によるescitalopram投与群(n=59)およびプラセボ投与群(n=58)、非盲検によるPST群(n=59)の3群に無作為に割り付けられ、12ヵ月間にわたり介入が行われた。主要評価項目は、脳卒中後の大うつ病もしくは小うつ病の発症を、精神疾患構造化面接(SCID-IV)、DSM-IVの診断基準に基づき判定した調査結果。うつ病発症率がescitalopram投与群で有意に低下うつ病発症率は、プラセボ投与群がescitalopram投与群、PST群いずれよりも有意にたかった。プラセボ投与群の発症率は22.4%(大うつ病11例、小うつ病2例)で、escitalopram投与群は8.5%(同3例、2例)、両群間の補正後ハザード比(HR)は4.5(95%信頼区間:2.4~8.2、P<0.001)。またPST群は11.9%(同5例、2例)で、HRは2.2(1.4~3.5、P<0.001)。気分障害の既往歴で調整し、年齢、性、治療施設、モデル欠陥などを考慮しても、なお有意差があった。無作為化をせずに患者27例全員がうつ病を呈したと仮定して、ITT解析(Intention-to-Treat)を用い気分障害の既往歴を加味しても、escitalopramの優位性(対プラセボ)は変わらない(発症率23.1%対34.5%、HR:2.2、95%信頼区間:1.2~3.9、P=0.007)。しかし対PSTでは対プラセボほど有意に良好であると言える結果ではなかった(同30.5%対34.5%、HR:1.1、95%信頼区間:0.8~1.5、P=0.51)。有害事象については、各群間に有意差はなかった。以上の結果Robinson氏は、「脳卒中患者へのescitalopram投与とPSTによる治療は、いずれもうつ病予防に有効だが、効果はPSTのほうがやや小さい」と結論している。(朝田哲明:医療ライター)

2876.

自己血糖測定は無益であるばかりか患者のうつ病悪化をもたらす

自己血糖測定は、血糖コントロールに有益な影響を及ぼさないばかりか、うつ病を増幅する――。新規の非インスリン治療の2型糖尿病患者を対象に、セルフモニタリングが、血糖コントロール、および患者の治療に対する姿勢、満足度に及ぼす効果を検討していたMaurice J O’Kane氏らESMON studyグループは、このような調査結果を報告した。BMJ誌2008年5月24日号(オンライン版2008年4月17日号)掲載より。セルフモニタリング群と対照群を1年間追跡ESMON studyは、自己血糖測定を行うよう介入を行った群(セルフモニタリング群)と非介入群(対照群)とを比較するプロスペクティブな無作為化試験である。70歳未満で新規に2型糖尿病と診断された184例(うち男性は111例)が参加。二次性糖尿病患者、インスリン治療対象者、自己血糖測定の経験がある者は除外された。セルフモニタリング群(96例、うち男性55例)と対照群(88例、うち男性56例)に無作為化された参加者は、3ヵ月に1回の間隔で1年間追跡調査が行われた。両群とも、同一内容の教育プログラムを受講した後、セルフモニタリング群にのみ付加的な教育が課せられた。主要評価項目は、HbA1c、心理的指標、経口血糖降下剤服用の有無、BMI、および報告された低血糖の頻度。両群間の基線値はほとんど差がなく、平均年齢はセルフモニタリング群57.7歳(SD:11.0)vs. 対照群60.9歳(11.5)。HbA1cは8.8%(2.1)vs. 8.6%(2.3)。ただしBMIについては、34(7)vs. 32(6.2)でセルフモニタリング群のほうが高かった。追跡期間中いずれに時点でも有意差認められず結果は、追跡調査期間中のいずれの時点でも、両群間に有意差は認められなかった。HbA1c(SD)は6.9%(0.8)vs. 6.9%(1.2)(P=0.69、差異に対する95%信頼区間:0.25%~0.38%)。BMIは33.1(6.4)vs. 31.8(6.0)(基線BMIに対する調整P=0.32)。経口血糖降下薬の使用や低血糖の頻度の報告数にも有意差は認められなかった。ただし、うつ病に関するスコア(well-beingアンケートに基づくサブスケールで測定)がセルフモニタリング群で6%高まっていた(P=0.01)。これらの結果から、「自己血糖測定が、血糖コントロールに有益な影響を及ぼすことはない。かえってうつ病悪化に結びつく」と結論している。

2877.

約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性

ファイザー株式会社が行った12歳以上の一般生活者4,000人を対象とするインターネット調査によると、約8人に1人がうつ病・うつ状態の可能性があることがわかった。また、うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当した486人に対し、「医療機関を受診したことがありますか」と質問したところ、「受診したことがある」と答えたのは24%にとどまった。さらに、うつ質問票でうつ病・うつ状態に該当し、かつ「過去にうつ病・うつ状態と感じたことがある」と答えた384人に限定して同様の質問をしてみると、「受診したことがある」と答えたのは30%だった。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_11.html

2878.

受診経験のあるうつ病患者の約4人に1人が治療を中断した経験がある

ファイザー株式会社が行った12歳以上の一般生活者のうち、うつ病うつ病関連疾患で受診経験がある1,000名を対象にインターネット調査によると、受診経験のあるうつ病患者の約4人に1人が治療を中断したことがあることがわかった。その内「症状は治まっていなかった」にも関わらず、治療を中断したのは41%で、その理由としては「通院が面倒」「通院するほどの病気、症状ではないと思った」「症状が良くならなかった」が多くあげられた。また、初診時の診断で「うつ病・うつ状態」と診断された割合は、専門医で52%に対して、非専門医では17%。非専門医受診者では、うつ病・うつ状態と診断されず、自律神経失調症などの診断がされるケースが専門医に比べ多く存在することがわかった。詳細はプレスリリースへhttp://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_04_11_02.html

2879.

第2世代抗精神病薬が第1世代より優れるとはいえない

統合失調症の初期症状に対する抗精神病薬治療は少なくとも1年間は有効であるが、第2世代の薬剤が第1世代よりも優れるとはいえないことが、EUFEST(European First-Episode Schizophrenia Trial)試験の結果から明らかとなった。第2世代抗精神病薬が上市されて10年以上が経過した。当初から、第1世代より有効で運動系の副作用も少ないとされるが、反対意見も多かった。オランダUtrecht医科大学Rudolf Magnus神経科学研究所のRene S Kahn氏が、Lancet誌2008年3月29日号で報告した。5つの薬剤を評価する非盲検の無作為化試験EUFESTの研究グループは、第1世代抗精神病薬ハロペリドールを対照として、4つの第2世代抗精神病薬amisulpride、オランザピン(国内商品名:ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、ziprasidone)の有用性を評価する無作為化対照比較試験を行った。対象は、18~40歳の統合失調症統合失調症様障害、統合失調性感情障害の診断規準を満たす症例とした。2002年12月~2006年1月の間に、ウェブサイト経由のオンラインシステムを用いて14ヵ国50施設から498例が登録され、ハロペリドール(1~4mg/日)群に103例、amisulpride(200~800mg/日)群に104例、オランザピン(5~20mg/日)群に105例、クエチアピン(200~750mg/日)群に104例、ziprasidone(40~160mg/日)群に82例が無作為に割り付けられた。精神病理(PANSS)、重症度(CGI)、心理社会的機能(GAF)、うつ状態(CDSS)、QOL(MANSA)、錐体外路症状(SHRS)、性機能不全(UKU)などの評価を行った。フォローアップ期間は1年。主要評価項目は全原因による治療中止とし、割り付け時は患者も治療医も非盲検とした。治療中止率は優れるが、症状改善効果は同等Kaplan-Meier法で推計した1年間に治療中止となった症例の割合は、ハロペリドール群よりも第2世代の薬剤群で実質的に低かった[ハロペリドール群72%(63例)、amisulpride群40%(32例)、オランザピン群33%(30例)、クエチアピン群53%(51例)、ziprasidone群45%(31例)]。ハロペリドールとの比較における全原因治療中止のリスク低下のハザード比は、amisulpride群0.37(95%信頼区間:0.24~0.57)、オランザピン群0.28(0.18~0.43)、クエチアピン群0.52(0.35~0.76)、ziprasidone群0.51(0.32~0.81)であり、第2世代の薬剤が有意に優れていた。PANSSで評価した症状の改善効果および入院率は治療群間で差を認めなかった。CGI、GAFによる評価はamisulprideが優れており、クエチアピンおよびハロペリドールが最も低かった。うつ、QOL、服薬遵守率にも治療群間で差は見られなかった。Kahn氏は、「統合失調の初期症状に対する抗精神病薬治療は1年間は臨床的に有効なことが示唆された。第2世代抗精神病薬は治療中止率が優れていたが、症状の改善効果は必ずしも優れなかったことから、ハロペリドールよりも有効とはいえない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

2880.

若年者のSSRI使用を制限しても自殺行動に影響しない

英国では、2003年に18歳未満への選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の投与を禁忌としたが、この規制措置によって若年者の自殺行動に変化は見られないことが、Bristol 大学社会医学のBenedict W Wheeler氏らの調査で明らかとなった。規制当局は規制の理由をSSRIが自殺行動のリスクを増大させる可能性があるためとしているが、抗うつ薬の処方数の低下でうつ病が治療されず自殺死亡率が増加しているとする他国の試験もある。BMJ誌2008年3月8日号(オンライン版2008年2月14日号)掲載の報告。SSRI規制措置が自殺および自傷行為に及ぼす影響を調査研究グループは、2003年に制定された18歳未満のSSRI使用を制限する規制措置が、自殺および非致死的自傷行為に及ぼす影響の調査を目的とした地域相関研究を行った。SSRIの処方傾向は英国全土の12~19歳のデータを用い、自殺死亡率はイングランド/ウェールズの12~17歳を、自傷行為による入院率はイングランドの12~17歳のデータを使用した。自殺が低下、自傷行為が増加したが、規制との関連はない抗うつ薬の処方数は1999年から2003年にかけて倍増したが、2004~2005年の1年で1999年のレベルに低下した。これらの処方数の大きな変化は、自殺あるいは自傷行為の時間的傾向とは関連しなかった。1993~2005年の間に、12~17歳の年間自殺率は毎年、男性で3.9%、女性3.0%ずつ低下していたが、期間中のこの低下率は実質的な変化ではなかった。同様に、1999~2005年の自傷行為による入院率は毎年、男性で1.1%、女性で5.7%ずつ増加したが、規制措置施行後の変化に統計学的なエビデンスは認めなかった。Wheeler氏は、「18歳未満のSSRIの使用を制限した2003年の規制措置により抗うつ薬の処方数が著減したが、これは若年者の自殺行為の変化とは関連しなかった。特にイングランドのデータは、抗うつ薬使用の減少が自殺行為の増加をもたらさないこと示している」と結論し、「これらの知見は、若年者のSSRIへのアクセス低下は、英国の公衆衛生に有害な影響を及ぼしていないことを示唆する」指摘している。(菅野守:医学ライター)

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