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抗うつ薬切替のベストタイミングは?

 うつ病における薬物治療では、第一選択薬の使用で奏功しない場合も多く、次の薬剤への切り替えはしばしば行われる。しかし、どのタイミングで切り替えを行えばよいかについては確立されていない。Romera氏らは大うつ病患者における抗うつ薬を切り替える最適なタイミングを明らかにするための検討を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 対象は、エスシタロプラム10㎎/日で4週間の初期治療を行った後、無効または効果不十分(ハミルトンうつ病評価尺度17項目版[HAMD-17]スコアのベースラインからの減少量<30%)であった大うつ病患者。早期切り替え群(デュロキセチン60~120㎎/日に切り替えて12週間投与)と従来の切り替え群(エスシタロプラム10~20㎎/日をさらに4週間投与し、無反応(HAMD-17の減少量<50%)であった場合には、デュロキセチン60~120㎎/日に切り替えて8週間投与。反応が認められた場合にはエスシタロプラムを継続投与)にランダムに割り付けた。両群の主要エンドポイントは治療反応率と寛解(HAMD-17 ≦7)までの時間とした。カプラン・マイヤー法、ロジスティック解析、反復測定にて分析を行った。主な結果は以下のとおり。・初期治療を行った840例のうち、無効または効果不十分であった566例(67%)は、早期切り替え群(282例)と従来の切り替え群(284例)にランダム化された。・主要エンドポイントである治療反応までの時間(25%カプランマイヤー推定値:3.9 週vs 4.0週、p=0.213)、寛解までの時間(6.0週vs 7.9週、p=0.075)は両群間で差が認められなかった。・治療反応率は同等であったが(64.9% vs 64.1%)、寛解率は早期切り替え群の方が高かった(43.3% vs 35.6%、p=0.048)。関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

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慢性期統合失調症患者に新たな一手!「高酸素吸入療法」

 神経障害に対する高酸素療法については、いくつかの研究で肯定的な結果が示されている。また、統合失調症患者では脳への酸素供給を増加させることにより、ミトコンドリア機能障害によるエネルギー代謝障害や前頭葉機能低下が改善される可能性がある。Bloch氏らは統合失調症の有用な治療法として高酸素吸入療法が選択肢となりうると考え、検討を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 対象はベースラインで精神医学的評価と認知機能評価を受けた慢性期統合失調症の外来患者およびホステルなど地域の精神科施設に入所している患者。4週間の高酸素吸入療法群(酸素濃度40%)または定期的な空気の吸入(酸素濃度21%)を行ったコントロール群に無作為に割り付けた。1夜につき少なくとも7時間、経鼻呼吸チューブより吸入を受けた。試験終了後はほかの治療方法にクロスオーバーされた。 主な結果は以下のとおり。・15例の患者は調査完了した(フェーズA完了は5例)。・高酸素吸入療法群ではコントロール群と比較し、PANSSスコアの有意な改善が認められた。・神経心理学的検査によると、高酸素吸入療法は記憶と注意に関して有効であった。・統計学的な有意性が示されたにも関わらず効果量は小さかった。その理由として、対象患者が慢性かつ重症例であったことが考えられる。関連医療ニュース ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ ・抗精神病薬の長期投与、その課題とは ・「グルタミン酸仮説」を検証

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高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」

 高齢になればなるほど、生活の質(QOL)が低下することがわかっている。とくに認知症患者では、顕著なQOL低下をきたす。Weiss氏らは各ステージのアルツハイマー型認知症(AD)患者、軽度認知障害(MCI)患者、健常高齢者のQOLを評価し、高齢者におけるQOLの予測因子についてうつ病など気分障害が関与していることを報告した。Neuropsychiatr誌オンライン版2012年7月27日号の報告。 対象は健常高齢者23名、MCIと診断された高齢者24名、軽度AD28名、中等度AD17名からなる高齢者92名。QOLはSF36(包括的QOL尺度)を用い評価した。主な結果は以下のとおり。・健常高齢者または中等度ADでは、MCI、軽度ADと比較し、良好なQOLを示した。SF36の尺度のうち、全体的健康感、活力、日常役割機能、心の健康の認知において有意な差が認められた。・うつ病とSF36のすべての尺度の間に、有意な負の相関が認められた。・気分は、認知機能低下の段階において、高齢者のQOLの強力な予測因子であると考えられる。関連医療ニュース ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか? ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり

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ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!

 ここ10年の間にオンラインゲームは急速に広まり、それに伴うさまざまな問題に注目が集まっている。しかしながら、過度なオンラインゲームの利用が精神症状に与える影響に関する報告は多くない。Wei氏らはインターネット調査によりオンラインゲーマーの特性を明らかにし、オンラインゲーム利用時間と社会不安障害、うつ病との関係を検証した。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年7月28日号の報告。 オンラインアンケートを作成し、人気のあるオンラインゲームのウェヴサイトに掲載した上で、調査に協力してくれるオンラインゲーマーを募った。アンケートでは、人口統計学的データ、インターネットとオンラインゲームの利用状況、うつ病・身体症状尺度(DSSS)、社会不安障害尺度(SPIN)、Chenインターネット依存スケール(CIAS)を調査した。主な結果は以下のとおり。・1ヵ月の調査でオンラインゲーマー722名(平均年齢:21.8±4.9歳)の調査が完了した。・調査協力者の内訳は、男性601名(83.2%)、女性121名(16.8%)であった。・オンラインゲーム利用時間の平均値は28.2±19.7時間/週であり、オンラインゲーム歴(r=0.245、p

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日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは「低年齢」「女性」

 世界各国で深刻な社会問題となっている薬物乱用。日本においても例外ではなく、とくに若年層を中心に薬物乱用が浸透しているのが現状である。また、自殺者が薬物乱用の問題を抱えていることも少なくないと言われている。国立精神・神経医療研究センター 松本氏らは、日本人薬物乱用者における自殺のリスクファクターと性別による違いを明らかにするため検討を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌2012年8月号の報告。 2009年12月に薬物乱用による治療のため7つの専門病院を受診した薬物乱用者1,420名を対象に、自己申告によるアンケート調査を実施した。アンケート項目には年齢、性別、薬物の種類、うつ症状、自殺念慮が含まれた。自殺念慮と関連した因子の未調整および調整済みのオッズ比は性別ごとに算出された。主な結果は以下のとおり。・全体での多変量解析では、薬物乱用者の重篤な自殺念慮の危険因子は低年齢、女性、うつ症状であった。・性別ごとの多変量解析では、男性では低年齢とうつ症状、女性ではうつ症状が重篤な自殺念慮と関連していた。うつ症状は欧米諸国ならびに日本において薬物乱用者の自殺念慮の危険因子であるが、日本人薬物乱用者の重篤な自殺念慮には「低年齢」「女性」がより密接に関連していた。また、若い男性では女性と同様の特徴があると考えられる。関連医療ニュース ・気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ

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がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…

 入院がん患者ではせん妄を発症することは少なくない。せん妄の治療においては、しばしば抗精神病薬が用いられる。日本医科大学武蔵小杉病院 岸氏らは、非定型抗精神病薬であるリスペリドンのがん患者のせん妄に対する有効性を検証するとともに、重症度による評価を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌オンライン版2012年8月号の報告。 対象はせん妄を発症し、精神科のコンサルテーションを受けたがん患者29例(平均年齢:68.9±12.5歳、男性69%)。リスペリドンは1日1回、経口投与(平均投与量:1.4±1.3㎎/日)を行った。標準化された定量的な尺度を用いて、試験開始前および終了後(7日目)の認知機能、せん妄、身体的な機能障害を評価した。主な結果は以下のとおり。・ルーチンの臨床処置におけるリスペリドン投与はせん妄治療に有効で、48%が反応、38%は寛解に至った。・せん妄の重症度は79%の患者で減少した。・せん妄の重症度の変化は、年齢、性別、一般的な認知機能障害、基礎疾患の重症度とは無関係であった。・リスペリドンは、興奮や知覚障害の変化に加え、ほかのせん妄症状にも効果的であった。 なお、国内におけるリスペリドンの効能・効果は「統合失調症」である(2012年7月末現在)。関連医療ニュース ・がん患者の悪夢に有効な治療法は? ・気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加 ・せん妄対策に「光療法」が有効!

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ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか?

 ドネペジルは可逆的アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、アルツハイマー病(AD)患者に使用される。最近の研究では、ドネペジル治療により末梢血単核球(PBMC)で炎症性サイトカインの産生を抑制することが報告されている。また、筋組織に由来する炎症性サイトカインが、下肢虚血モデルにおいて血管新生に重要な役割を果たすとの報告もある。九州大学 宮崎氏らは片側大腿動脈結紮にて作成した下肢虚血モデルマウスを用い、ドネペジルの虚血下肢での血管新生に及ぼす影響を検証した。Clin Sci (Lond)誌2012年8月号の報告。主な結果は以下のとおり。・2週間後の血流量回復とCD31陽性細胞の毛細血管密度は、コントロール群と比較してドネペジル群では有意に減少した。フィゾスチグミンでも同様に有意な減少がみられた。・ドネペジル群では、インターロイキン-1β(IL-1β)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現が減少した。・IL-1β筋肉内注射により、ドネペジルによって誘発されたVEGFダウンレギュレーションと抗血管新生作用が逆転した。・C2C12筋芽細胞における低酸素で誘導されるIL-1βの発現は、アセチルコリン、LY294002、PI3Kのプレインキュベーションよって阻害された。・ドネペジルは虚血下肢でAkt(プロテインキナーゼB:PI3K下流キナーゼ)のリン酸エステル化を阻害した。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬によるコリン作動性刺激がPI3Kにより媒介されるIL-1β誘導抑制を通じて、VEGF発現の減少、血管新生を抑制することが示唆された。関連医療ニュース ・新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

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「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は…

 一般的に、抗精神病薬による代謝系の副作用は、第一世代抗精神病薬と比較し、第二世代抗精神病薬でより顕著に認められる。Schreiner氏らは代表的な第二世代抗精神病薬であるパリペリドンとオランザピンが、統合失調症患者の代謝系へ及ぼす影響と臨床効果を長期的に比較検討した。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。 統合失調症患者を対象とした6ヵ月間のオープンラベル多施設共同ランダム化並行群間比較試験。パリペリドン群(パリペリドンER錠を6-9㎎/日投与)239例、オランザピン群(オランザピン経口剤を10-15㎎/日投与)220例。主要評価項目は、インスリン抵抗性の指標であるTG/HDL比のベースラインからの平均変化量とした。その他の評価指標は、PANSSスコア、脂質とグルコース代謝の測定、体重とした。主な結果は以下のとおり。・両群ともに統合失調症症状の有意な改善が認められた(p

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南相馬市の優しい人々のこと

雲雀ヶ丘病院堀 有伸2012年8月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。筆者は、今年の4月から志願して福島県南相馬市にある精神科単科の雲雀ヶ丘病院の常勤医になりました。震災前のこちらの病院では4病棟が稼働し、定床は250人強でした。現在は60床の閉鎖病棟が一つのみ再開されていて、ここが福島県の相双地区で唯一の入院できる精神科病棟となっています。常勤医は3人のみで、各方面からさまざまなご支援をいただいておりますが、厳しい勤務体制が続いています。こちらでの生活がもうすぐ4カ月となります。皆様は原発事故による放射能の影響を最初に連想されるかもしれません。もちろんそのことの不安がない訳ではありませんが、差し迫って感じるのは交通の不便さと住宅事情の悪さです。唯一の鉄道であった常磐線や、南へ向かう道路は原発事故のために断ち切られています。福島市に向かうには自動車を利用しなければなりません。カーブの多い山道を超えて1時間半から2時間かかります。公共交通機関は、2つの会社が運行するそれぞれ1日4本のバスだけになります。余暇などを楽しむ場合には、仙台を目指す方もたくさんおられます。住宅難も深刻です。私も勤務して最初の20日ほどは住まいが見つからず、ビジネスホテル住まいで、そこも毎日ホテル内で部屋を移動する状況でした。病院の昔からの職員の中にも仮設住宅や借り上げ住宅に暮らしている人が少なくないので、不満が言えるような状況ではありません。何とか病院がアパートを借りてくれましたが、そこは市内でも放射線量の高い地域でした。慣れない土地の単身生活で心細かったのですが、身に沁みたのはこちらの人々の気持ちの暖かさです。南相馬市の人々は本当に優しく、世話好きの方が多いのです。みんな気さくにいろいろと話しかけてくれます。しかし、そんな所で耳にする震災に関連した物語にも、驚くような話が少なくありませんでした。例えば、病棟でみんなが「あ~釣りに行きたい」と話しています。その中の誰かが、「あの家は津波で釣りの道具ごと流されたから諦めがつくだろうけど、うちは道具が残っているんだよね」と言っています。別の誰かは、「この前、はじめてお金を出してヒラメを買っちゃったよ」とつぶやいていました。その数日後に別の所で、「ヒラメをさばいたら、人の髪や爪が出てきたんだよ。そうしたら、もうヒラメを見るのも怖くなっちゃった」という話を聞きました。※注 現在、この地域で地元の方が自分で魚を釣ってそれを食べるということは、基本的に行われておりません。哀しさにあふれても仕方のない土地なのに、人々は明るく我慢強いのです。ボランティアなどでこの土地に来ている方々からも、逆に自分たちが土地の人々に癒されたという話を聞くことが少なくありません。海山の恵みに感謝し、きちんと土地と向かい合いながら皆さんが暮らしてきた様子が感じられました。こちらでの勤務が始まってしばらくした段階で、病院の中で他の職員に守られながら居心地良く過ごしている自分に気がついて驚いたことがありました。そして同時に、精神科医泣かせの土地かもしれないとも感じました。皆さん、精神科への通院や服薬を潔とされません。市内には潜在的な精神症状の保持者がたくさんいると予想されるのにも関わらず、なかなか外来を訪れる方が増えないもどかしい思いも持っております。今年の5月28日、警戒区域内の自宅を一時帰宅した男性が自殺を遂げ、現地の人々に強い衝撃を与えました。伝えられている所によると、遺書はなかったものの、今までの商売を継続できなくなったことを日頃から家族に嘆いていたそうです。普段、いろいろな悲しみを呑み込んで何とか暮らしていた方が、一時帰宅という形で失われてしまったものの現実に触れた時に、何かが起こってしまったのかもしれません。地元の保健センターの仲介で、私たちには仮設住宅や借り上げ住宅を訪問する機会が与えられています。ある仮設住宅の集会場でうつ病について説明させていただいたのですが、その時にこんなお話をうかがいました。ある女性がとても精神的につらくなり、市内の心療内科で睡眠薬を処方してもらい、そのおかげで夜に眠れるようになったそうです。しかし仮設住宅の防音は不十分です。その方は睡眠薬で深く眠った結果として、隣人からいびきについて責められてしまいました。それでも相手に不満を述べることもなく、かえって気持ちの余裕をなくしている相手のことを心配されていました。「うつ病」について語る私に対して、決して責めるのではなかったのですが、「先生、申し訳ないのですけど、先生のお話を聞いても私たちのつらいのは解決しないんです」と声をかけてくれた方もおられました。私は悟りました。今までのように病院や診療所の中に座って待っている精神科医療では、この土地の問題には対応できないことを。土地に根づいた生活をしていた方々が、その培ってきた人間関係から引き剥がされました。孤立や混乱、時には対立がある中で、将来の見通しが立たないまま、不自由な生活が長期化しています。どこかで人々の気持ちが折れてしまうのではないかと、多くの人が心配をしています。それでも南相馬市には、自分のことを二の次にして周囲の世話を焼いてくれる人が少なくありません。例えば、より原発に近い地域にもともとお住まいで、現在避難中の方々の一部を受け入れているのも、南相馬市です。福島第一原発の廃炉のための作業が行われていますが、こちらにも当然多くの貢献を行っています。ある意味では、この土地の人々の努力と犠牲の恩恵に、日本全体が浴しているわけです。そして、私たち外部からの「支援者」の世話を焼いてくれているのも、南相馬市の方々です。この南相馬市の人々が我慢強く優しいのに甘えて、周囲が負担を押し付けるばかりで、その苦難が適切に省みられないのだとしたら、それは正当なこととは思えないのです。まだまだ分からないことばかりですが、こちらでの診療活動を続けて行くつもりです。若輩者ですから、皆様からのご指導ご鞭撻をいただけますことを、お願い申し上げる次第です。

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難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」

 うつ病患者のうち、抗うつ薬が奏効するのはわずか2/3程度であり、治療に難渋することも少なくない。近年、抗うつ薬に非定型抗精神病薬を併用するうつ病の薬物治療は、効果的かつ高い忍容性が認められるといわれている。産業医科大学 吉村氏らは難治性うつ病患者におけるSSRIとアリピプラゾールとの併用による有効性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 対象は、少なくとも2種類以上の抗うつ薬による治療が奏功しなかった大うつ病患者24例(DSM-Ⅳ基準を満たす、男:女=9:13、年齢28~66歳[平均±SD=39±12])。対象患者に対しパロキセチン(11例)またはセルトラリン(13例)を4週間投与し、その後HAMD17スコア減少率が50%以下であった患者に対し、アリピプラゾール併用を4週間行った。主な結果は以下のとおり。・SSRI単独療法と比較し、アリピプラゾール併用療法はHAMD17スコアを低下させた。・パロキセチン+アリピプラゾール群とセルトラリン+アリピプラゾール群におけるHAMD17スコアの変化量には、有意な差は認められなかった。・難治性うつ病に対する薬物治療として、パロキセチンまたはセルトラリンにアリピプラゾールを併用することは効果的かつ良好な忍容性が認められる。 なお、国内におけるアリピプラゾールの効能・効果は「統合失調症」「双極性障害における躁症状の改善」である(2012年7月末現在)。関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・PETでみるアリピプラゾール「なぜ、EPSが少ないのか」

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持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった

 画像研究や死後脳研究などから, 統合失調症患者では前頭葉皮質内のミエリン形成の異常が多く認められる。ミエリンは、軸索伸長の阻害や神経可塑性に関わることで適切な神経ネットワークの構築に関与すると考えられている。 これまでのMRI研究では、統合失調症に対する抗精神病薬による治療において、初期段階で前頭皮質内のミエリンが増加し、その後、慢性期になるとすぐに減少することが示唆されている。慢性期統合失調症患者のミエリン減少は服薬アドヒアランス低下や薬物動態が関与しており、持効性注射製剤により改善する可能性もある。Bartzokis氏らは持効性注射製剤のミエリン形成に及ぼす影響を検討した。Schizophr Res誌オンライン版2012年7月16日号の報告。 初発統合失調症患者をリスペリドン持効性注射剤投与群(RLAI群)9名、リスペリドン経口剤投与群(RisO群)13名に無作為に割り付け、6ヵ月後の健常者(12名)との比較にて評価を行った。主要評価項目は、前頭葉皮質内のミエリンの変化量とした。ミエリン量はMRI画像による回転回復法(IR)、プロトン密度(PD)で評価した。また、服薬アドヒアランスを追跡調査した。主な結果は以下のとおり。・健常者と比較し、RLAI群ではミエリン量は有意に増加したが(p=0.005)、RisO群では有意な変化は認められなかった(p=0.39)。・両群における治療効果の差は、有意傾向であった(p=0.093)。・RLAI群は服薬アドヒアランスが良好であり、より多いミエリン量の増加が認められた(カイ二乗検定:p

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「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり

 食生活は生活習慣病の発症に関与するだけでなく、認知症の発症にも影響を及ぼすといわれている。では、どのような食生活が認知症リスクを高めるのか。Roberts氏らはカロリー摂取と認知症との関係を検討した。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 高齢者(年齢中央値:79.5歳)を対象とした集団ベースの前向きコホート研究により、毎日の総カロリーにおける主要な栄養素の割合と軽度認知障害(MCI)または認知症の発症との関係を調査した。追跡期間の中央値は3.7年(四分位数間範囲:2.5-3.9)。認知機能はベースラインおよび15ヵ月ごとの臨床認知機能評価法(CDR)スケール、神経学的評価、神経心理学テストにより評価した。カロリー摂取については、試験開始前に128項目に及ぶ食物に関するアンケートを実施し、1日の総カロリーや主栄養素摂取量を既成のデータベースを用い算出した。主栄養素摂取量は1日総カロリー当たりのタンパク質、炭水化物、総脂質の割合として計算された。主な結果は以下のとおり。・試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、200名はMCIまたは認知症であると診断された。・MCIまたは認知症のリスクは、炭水化物の摂取割合が高い方で上昇し(上位四分位ハザード比:1.89、95%信頼区間:[1.17~3.06]、p=0.004)、脂質の摂取割合が高い方(0.56 [0.34~0.91]、p=0.03)やタンパク質の摂取割合が高い方(0.79 [0.52~1.20]、p=0.03)では減少した。・炭水化物からのカロリー摂取率が高く、脂質およびタンパク質からの摂取率が低い高齢者では、MCIまたは認知症の発症リスクが増加する可能性が示唆された。関連医療ニュース ・認知症を予防するには「体を動かすべき」 ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか? ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

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認知症を予防するには「体を動かすべき」

 超高齢社会に突入したわが国において、認知症の予防は重要な課題である。認知症予防に有効だと考えられている1つの方法に「運動」がある。Bowen氏は運動を行うことで認知症リスクに影響を与えるか否かを検証し、Am J Health Promot誌2012年7月号で報告した。 本研究は、HRSの身体活動に関するデータとADAMSの認知アウトカムデータを使用したプロスペクティブ研究(HRS:Health and Retirement Study、ADAMS:Aging, Demographics, and Memory Study)。対象は、3~7年間の身体活動に関する情報を有する認知症を発症していない71歳以上の高齢者808名である。身体活動はエアロビクス、スポーツ、サイクリング、重労働の家事などの活発な身体活動を週3回以上実施しているかどうかで評価した。認知症の診断は、専門医(神経心理学者、神経科医、老年科医、老年精神医学科医など)による神経心理学的テストにより評価した。分析には、人口統計学的特性などの因子を調整するためロジスティック回帰分析モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・認知症リスクと活発な身体活動には顕著な関係が認められた。・最終的には、活発な身体活動を行っていた高齢者では認知症と診断されるリスクが21%低くなると考えられる(p≦0.05)。・活発な身体活動は、認知症リスク低下の独立した危険因子の可能性がある。関連医療ニュース ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

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検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム

 統合失調症の病態メカニズムとして、近年注目されているグルタミン酸仮説。グルタミン酸仮説では、統合失調症における神経伝達機能の障害にはN-メチル‐D-アスパラギン酸(NMDA)受容体を介するグルタミン酸作動性シグナル伝達の異常が関与しており、このシグナル伝達の阻害が行動や認知機能に影響を及ぼすとしている。 統合失調症におけるグルタミン酸作動性機能の異常は、GluN2Bを含むNMDA受容体の発現が減少することが一因であると考えられている。Carty氏らは、統合失調症におけるGluN2Bのチロシン脱リン酸化酵素であるSTEP61の発現を動物実験により検証した。Transl Psychiatry誌オンライン版2012年7月10日号の報告。 精神異常発現薬MK-801とフェンサイクリジン(PCP)を投与したマウスを用い、死後脳の前帯状皮質と前頭前皮質背外側部のSTEP61レベルを測定した。主な結果は以下のとおり。・死後脳の前帯状皮質と前頭前皮質背外側部のSTEP61レベルは有意に高かった。・STEP61の蓄積は、ユビキチンプロテアソームシステム(通常、STEP61を低下させる)の異常によるものである。・PCPの急性および慢性的な投与を受けたSTEPノックアウトマウスでは、行動や認知機能への影響が低かったことから、統合失調症ではSTEP61レベル増加が関与していることが示唆された。・定型および非定型抗精神病薬の慢性的な投与を受けたマウスでは、プロテインキナーゼAリン酸化とSTEP61の不活化がみられ、その結果GluN1/GluN2B受容体の発現が増加した。・統合失調症の病態にはSTEP61の蓄積が関与している可能性が示唆された。関連医療ニュース ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者「社会復帰」へ ・PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

2775.

気温31℃超で気分症状が再発!入院も増加

 双極性障害は一般的に躁症状とうつ症状を繰り返し発症する疾患である。これらの症状の発症には、季節性の要因が関与していることも少なくない。Sung氏らは気温と双極性障害との関係を明らかにするため、台湾における精神科入院患者を対象としたコホート研究を行った。Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol誌オンライン版2012年7月5日号の報告。 双極性障害患者の入院増加に関して平均日中気温の相対リスクを評価した。台湾の中央気象局(CWB)から得られた気象データより、352地域の平均日中気温を算出した。1996年から2007年のPIMC(Psychiatric Inpatient Medical Claim)データより、国民医療保険制度に加入する精神科入院患者を選別した。ポアソン分布による一般化線形モデルにて解析を行った(内部相関と人口統計学的共変量により調整)。主な結果は以下のとおり。・双極性障害患者における入院の相対リスクの増加は、とくに成人と女性において24.0℃以上(50th‰)の温度で相関が認められた。・最大のリスクは、最高日中気温30.7℃以上(99th ‰)であった。・双極性障害における各症状エピソードの再発を予防するにあたって、極度の暑さと双極性障害の入院増加との関係を理解することが重要であると考えられる。関連医療ニュース ・双極性障害の再発予防に有効か?「Lam+Div療法」 ・「双極性障害に対する薬物療法レビュー」WPA報告 ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ

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なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

アルツハイマー病(AD)にはアミロイドβ(Aβ)に対する自己抗体レベルの減少が関与していると考えられている。また、生涯にわたるうつ病の罹患はADリスクを2倍に上昇させるともいわれていることから、うつ病患者においてAβに対する自己抗体の減少がみられている可能性がある。Maetzler W氏らはうつ病患者におけるADリスクと自己抗体の関係についての検証を試みた。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月5日の報告。うつ病患者214名を対象に、Aβ1-42、S100b(AD病態を増悪させるアストロサイト特異的蛋白)、αシヌクレイン(パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変異疾患の原因物質)に対する血清IgG自己抗体の測定値について、対照群214名と比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・Aβ1-42に対する測定値は、生涯うつ病患者で対照群と比較し低かった(5544.6±389.3 :7208.7±482.4、p=0.048)。・S100b、αシヌクレインに対する測定値は、コホート間で同等であった。・本研究より、うつ病患者における体液性免疫応答によるAD様の機能障害が示唆された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病を合併した糖尿病患者では認知症のリスク上昇 ・アルツハイマーの予防にスタチン!?

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うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

うつ病リスクの増悪にn-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取量や血中レベルの低下が影響していると考えられているが、まだ明らかになってはいない。Park Y氏らは赤血球中のn-3系PUFAや魚類の摂取量がうつ病リスクと負の相関を示すのではないかと考え、この仮説を明らかにするためケースコントロール研究を行った。Ann Nutr Metab誌オンライン版2012年7月6日号の報告。対象はうつ病自己評価尺度(CES-D)韓国版によりスコアが25以上で精神科医による診断を受けた韓国人うつ病患者80例(対照群:慢性疾患を合併していない88名)。赤血球中のn-3系PUFA、魚類の摂取量との関係を明らかにするため、多変量回帰分析を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ病リスクは、赤血球中の20:5 n-3(EPA)、22:6 n-3(DHA)、16:0(パルミチン酸)、18:0(ステアリン酸)と有意な負の相関を示し、18:2t、16:1(パルミトレイン酸)とは正の相関を示した(交絡因子調整後)。・うつ病リスクは、炭水化物、魚類、穀物の摂取と負の相関を示し、脂肪や肉の摂取とは正の相関を示した(交絡因子調整後)。・うつ病リスクを減少させるには、赤血球中のn-3系PUFAレベルや魚類(飽和脂肪酸)の摂取量を増加させることが必要であるが、韓国人では赤血球中のトランス型不飽和脂肪酸が減少していた。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・増加する青年期うつ病 、早期発見へ ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

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出産後のうつ病リスクは「10~15%」新スクリーニングツール期待

 先進諸国で最も頻度の高い妊娠合併症である「産後うつ病」。産後うつ病(PPD)は新たに母親になる女性の10~15%で発症する。PPDの発症が高い要因として、PPD自体に対する関心の低さや出産後の不安への対応を含むメンタルヘルスの不足が考えられる。その対策として、出産後だけでなく出産前からのメンタルヘルスが重要である。しかし、現在用いられる出産前スクリーニングツールは感度や特異性が低かった。そこで、McDonald氏らは新たなスクリーニングツールの開発を行った。Paediatr Perinat Epidemiol誌2012年7月号(オンライン版2012年5月9日号)報告。 本研究の目的は、出産前にPPDリスクを有する女性をスクリーニングできるツールを開発し、運用化することである。カルガリーで実施された妊婦対象の前向きコホート研究より得られた1,578名のデータを用い、PPDの有病率に対するスコアベースの予測尺度を開発した。PPDの定義は、出産後4ヵ月のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)10点以上とした。 主な結果は以下のとおり。・最良なモデルとして、既知のPDDリスクファクター(妊娠後期のうつとストレス、虐待歴、夫との関係性の不足 )を含んだ。・本スクリーニングツールの感度は、妊娠後期のEPDSと比較して、有意に良好であった。・出産後の不安症状発現リスクを予測するために有用であることが示された。関連医療ニュース増加する青年期うつ病 、早期発見へうつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。主な結果は以下のとおり。 ・16報告中15件(15/16:93.8%)において、統合失調症患者は対照群と比較して、低BMDまたは骨粗鬆症の高い罹患率のうち、少なくともいずれかと相関していた。ただし、全体の一貫性はなかった。・高い骨折リスクは、統合失調症と関係し(2/2)、抗精神病薬投与とも関係していた(3/4)。・これらの要因として、運動不足、栄養不足、喫煙、アルコール摂取、ビタミンD不足が示唆された。・抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症とBMD低下との関係を調べた報告(9/15:60.0%)では、高プロラクチン血症の影響が少なからず認められた。・本結果は、サンプルが少なく効果の小さなものが含まれており、またプロスペクティブ研究は2報だけであった。・高プロラクチン血症や不健康な生活による影響はまだ明らかになっていないが、統合失調症患者ではBMD低下や骨折リスクとの関係が示唆されることから、予防や早期発見、早期介入が必要であると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・肥満や糖尿病だけじゃない!脂質異常症になりやすい統合失調症患者 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ

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PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

第二世代抗精神病薬は第一世代抗精神病薬と比較して、錐体外路症状(EPS)を軽減し、抗精神作用を示す。この要因として、放射線医学総合研究所の高畑氏らは優先的な線条体外のドパミンD2受容体占有(辺縁系選択的)が影響しているのではないかと考え、本仮説を検証するため、第二世代抗精神病薬であるアリピプラゾールの薬理学的プロファイルについてPET検査を用い検証した。Psychopharmacology誌2012年7月号(オンライン版2012年1月12日号)の報告。健康成人男性11人を対象に、アリピプラゾール6mg経口投与後の線条体および線条体外のドパミンD2受容体占有率を調べるため、高比放射能合成技術によって得られた2つの超高比放射能のドパミンD2受容体リガンド である[11C]ラクロプライドと[11C]FLB457を用い、PET検査を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・線条体でのドパミンD2受容体占有率は70.1%~74.1%([11C]ラクロプライドにより測定)、線条体外のドパミンD2受容体占有率は46.6%~58.4%であった([11C]FLB457により測定)。・本研究では、アリピプラゾールの優先的な線条体外のドパミンD2受容体占有は認められなかった。・アリピプラゾールが有するパーシャルアゴニスト作用が、EPSリスクを低下させる要因である可能性が高いと考えられる。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・“ヨガ”で精神症状とQOLが改善

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