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電話によるうつ病の認知行動療法、対面療法よりも中断率は低いが……

うつ病性障害に対する、電話による認知行動療法は、対面による同療法と比較して、治療アドヒアランスは改善されることが示された。一方で、両群18週治療後のフォローアップ6ヵ月時点の効果は同等であった。米国・ノースウエスタン大学のDavid C. Mohr氏らが、300人超について行った前向き無作為化比較試験の結果、報告したもので、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。電話による認知行動療法の効果について、対面の場合との効果を比較した研究はほとんど行われていなかったという。18週間の認知行動療法、両群で終了率を比較Mohr氏らは、2007年11月~2010年12月にかけて、シカゴ周辺に住む大うつ病性障害325人について、無作為化比較試験を開始した。被験者は18歳以上で、ハミルトンうつ病評価尺度(Ham-D)は16以上だった。被験者を無作為に2群に分け、一方には対面による認知行動療法(対面CBT)を、もう一方の群には電話による認知行動療法(T-CBT)を行った。主要アウトカムは、治療開始18週時点の、CBTセッション18回の終了または中断だった。副次アウトカムは、Ham-Dと、9つのうつ病質問票(PHQ-9)によるうつ状態の自己評価だった。中断率は電話によるCBTが低率、効果は対面と同等結果、治療を中断した人の割合は、対面CBT 群が32.7%(53人)に対し、T-CBT群が20.9%(34人)と、有意に低率だった(p=0.02)。両群ともに、うつ状態には有意な改善が認められた(p

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日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは

統合失調症患者に対する抗精神病薬の大量投与や多剤併用は認知機能に影響を与えると考えられる。産業医科大学の堀氏らは、日本人統合失調症患者において抗精神病薬が認知機能に与える影響を検討した。Int J Psychiatry Clin Pract誌2012年6月号掲載。日本人慢性期統合失調症患者136例を対象に、第二世代抗精神病薬(SGA)のみを服用している患者(SGA単剤群)と2種類以上の抗精神病薬を服用している患者(多剤併用群)の認知機能を比較し、検証した。認知機能は統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価した。主な結果は以下のとおり。 ・全症例において、BACS-J総合スコアと抗精神病薬のクロルプロマジン換算量との間に有意な負の相関が認められた(r= -0.43、p

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統合失調症の病態にメラトニンが関与?!

統合失調症におけるメラトニンの関与はこれまであまり議論されていない。Anderson氏らはメラトニンと統合失調症の罹患、神経免疫や酸化性病態生理、睡眠障害を含む特異的な症状、サーカディアンリズム、遅発性ジスキネジアやメタボリックシンドロームを含む抗精神病薬の副作用との関係をレビューした。Metab Brain Dis誌2012年6月号掲載(オンライン版2012年4月25日号)。電子データベース(PubMed、Scopus、Google Scholar)よりメラトニンと統合失調症、精神障害、遅発性ジスキネジア、抗精神病薬、メタボリックシンドローム、薬剤性副作用をキーワードとし、統合失調症の病因、経過、治療に関連した論文を抽出した。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者ではメラトニン濃度とメラトニン・サーカディアンリズムが有意に減少する。・統合失調症患者に対するメラトニン補助療法は、抗炎症作用および抗酸化作用により抗精神病薬の効力を増強する可能性がある。・メラトニンは統合失調症患者の睡眠障害や抗精神病薬による副作用(遅発性ジスキネジア、メタボリックシンドローム、高血圧など)を改善する可能性がある。・メラトニンはストレス反応とコルチゾール分泌を介して、トリプトファン代謝経路に影響を与え、認知に関連する皮質(扁桃体反応、線条体の処理機能)へ影響を与える。・統合失調症ではメラトニンの分泌が減少しており、それが病因(病態や治療)と関与している。・メラトニンは統合失調症患者の平均寿命に影響を与える抗精神病薬の代謝系副作用に関与すると考えられる。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査― ・精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は? ・統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替

重症うつ病の治療において第2段階の治療戦略を比較した報告は少ない。第一選択薬として使用したSSRIで治療効果が不十分だった場合、増量するべきか、SNRIへの切り替えを行うべきか明らかになっておらず、それぞれの忍容性と有効性を評価する必要がある。Bose氏らはSSRIであるエスシタロプラム10㎎/日で効果不十分であった患者における次の治療選択として、エスシタロプラムの増量とSNRIであるデュロキセチンへ切り替えた場合について比較検討した。Clin Drug Investig誌2012年6月号掲載。本試験はエスシタロプラムまたはデュロキセチンによる8週間の無作為化実薬対照二重盲検比較試験として実施された。2週間のlead-in期間(単盲検 )でエスシタロプラム10㎎/日に対し治療効果不十分(MADRSの改善率50%未満)であった患者571例(外来患者、18~65歳、MADRS総スコア30以上)から抽出したうつ病患者474例が対象。エスシタロプラム増量群(20㎎/日)229例とデュロキセチン切り替え群(60㎎/日)245例に無作為に割り付け検討した。主要評価項目は理由に関わらず試験中止までの期間とした。主な結果は以下のとおり。 ・主要評価項目である試験中止までの期間は両群間で差がなかった(ハザード比 :0.95、95%信頼区間:0.64~1.41、p=0.727)。・エスシタロプラム増量群はデュロキセチン切り替え群と比較して8週後のMADRS総スコアの有意な改善が認められた(LSMD:-1.87、95%信頼区間:-3.60~-0.14、p=0.034、LOCF解析)。・8週間後の寛解率(MADRS総スコア10以下)はエスシタロプラム増量群で54%、デュロキセチン切り替え群で42%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.013)。・有害事象は両群間で同等であった。・本試験では、エスシタロプラム10㎎/日投与で治療効果が不十分だった場合、エスシタロプラムを20㎎/日に増量する方が、デュロキセチン60㎎/日へ切り替えるよりもより有用である可能性が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・うつ病の血液検査法を開発-若者の将来的な診断に有用 ・職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か? ・双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める

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日本おける抗精神病薬の用量はアジア各国と比較し、まだ多い―REAP調査―

アジア各国の協力のもと、東アジアにおける向精神薬処方調査(REAP)が1999年より実施されている。今回、Xiang氏らはアジア各国における高齢の統合失調症入院患者における抗精神病薬の低用量(クロルプロマジン換算300mg/日以下)処方と人口統計学的および臨床的相関について検討し、報告を行った。Int Psychogeriatr誌2012年6月号(オンライン版2012年2月3日号)掲載。対象は2001~2009年のREAPデータベースより抽出した55歳以上の統合失調症入院患者1,452例。社会人口統計学的および臨床的な特性と抗精神病薬の処方箋を標準化されたプロトコールとデータ収集手法により集積した。本調査は中国、香港、日本、韓国、シンガポール、台湾、インド、マレーシアの8ヵ国の参加により実施した。主な結果は以下のとおり。 ・抗精神病薬が低用量で処方されていた頻度 は40.9%であった 。・抗精神病薬が低用量処方されがちな患者は女性、高齢、罹病期間が短い、陽性症状が少ないことと相関があった (多重ロジステック回帰分析)。・2001~2009年のすべての調査に参加した6ヵ国のうち、日本では抗精神病薬の低用量処方がより少ない傾向があった。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か? ・抗精神病薬を処方された患者は本当に薬を服用しているのか? ・統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

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学習障害の有無によるメチルフェニデートの有用性を検証

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)児は学習障害(LD)を合併していることが少なくない。Williamson氏らは浸透圧を利用した薬剤放出制御システム(OROS)を用いたメチルフェニデート徐放製剤について、LDの有無からみたAD/HD治療反応性を検証した。J Atten Disord誌オンライン版2012年5月24日掲載の報告。2ヵ所の実験校において、メチルフェニデート徐放製剤による6週間プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験よりLDの有無に関わらず抽出された135例(9~12歳)を対象に認知および行動テストを行った。主な結果は以下のとおり。 ・メチルフェニデート徐放製剤群 ではLDの有無に関わらずAD/HD評価尺度スコアの改善が認められた。・認知スキル、学業、教室での行動においてメチルフェニデート徐放製剤はプラセボより有用であった。・メチルフェニデート徐放製剤はLDの有無に関わらずAD/HD児の行動やパフォーマンスを改善する。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ ・10代うつ病患者の治療はファンタジーゲームで? ・米国では自閉症は5歳まで診断されないケースが多い

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統合失調症の高感度スクリーニング検査 「眼球運動検査」

統合失調症は早期診断、早期治療を行うことで予後改善が期待できる。Benson氏らは統合失調症の高感度スクリーニング検査として眼球運動を測定することが有用であることを報告した。Biol Psychiatry 2012年5月22日オンライン版に掲載の報告。統合失調症患者88例とコントロール群88例の眼球運動の範囲を記録し、9ヵ月の再試験症例とコントロール群の34例、および新規統合失調症患者36例とコントロール群52例から得られた眼球運動データにより試験の予測的妥当性を評価した。眼球運動は円滑追跡などを測定し、単変量分析と多変量分析にて解析を行った。主な結果は以下のとおり。 ・統合失調症患者ではほとんどすべての眼球運動試験でコントロール群と異なった。中でも、free viewingの固定分散は最も独立した因子であった。・性別、薬物、喫煙の有無とは独立していた。・統合失調症患者とコントロール群は完全に識別された。再試験症例とコントロール群における予測的妥当性は87.8%であった。・全298データにおける識別率は98.3%とほぼ完全に近い精度で識別可能であった。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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「双極性障害に対する薬物療法レビュー」世界精神医学会(WPA)での報告

Fountoulakis氏らは2012年3月10までに更新された双極性障害に対する薬物療法に関するランダム化比較試験のシステマティックレビューをおこなった。Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci誌オンライン版2012年5月24日掲載の報告より。主な結果は以下のとおり。 ・急性躁症状に対しリチウム、第1世代抗精神病薬、第2世代抗精神病薬、バルプロ酸、カルバマゼピンが有効であることが示唆された。・クエチアピンとオランザピン/フルオキセチンの併用は双極性障害のうつ症状に対し有効である。・抗躁薬の単剤投与を目指し、抗うつ薬は併用のみで使用した方が良い。・リチウム、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾールは維持治療期に有効である。・ラモトリギンはうつ症状の予防に有効である。また、躁症状への有効性は明らかになっていない。・薬物療法の補助療法として心理社会的介入が有効であるとも報告されている。・電気ショック療法は難治例でのオプションとなりうる。・リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンに対し部分奏効した急性躁病患者では抗精神病薬の併用が効果的である。・急性双極性うつ病に対しリチウム+ラモトリギンは最良の選択肢である。・単剤治療移行中の悪化時にみられる急性症状に対しオランザピン、バルプロ酸、抗うつ薬、ラモトリギンの併用は有効である。著者は最後に、「双極性障害に対する治療選択肢は増えてきたが、まだ十分ニーズを満たしているとはいえない。併用療法をおこなうことで転帰の改善が期待できるようになったが、一方で副作用も問題となっている。今後、段階的かつ合理的な治療をおこなうためにガイドラインやアルゴリズムが整備されることを願う」としている。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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10代うつ病患者の治療はファンタジーゲームで?

うつ病の認知行動療法のパソコン用ソフトとして開発された「SPARX(Smart, Positive, Active, Realistic, X-factor thoughts)」は、ファンタジーゲーム様式が特徴で、4~7週間にわたって提供される7つのモジュールを克服していくというものである。その治療効果について、ニュージーランド・オークランド大学のSally N Merry氏らによる12~19歳のティーンエイジャーを対象とした多施設無作為化非劣性試験の結果、プライマリ・ケアにおいて対面カウンセリングといった通常ケアの代替療法となり得るものであることが示された。Merry氏らは、「治療が必要にもかかわらず介入が行われていない患者を対象に適用していくことができるだろう」とまとめている。これまでパソコンソフトを活用した認知行動療法は成人についてはその効果が認められていたが、ティーンエイジャーにおける効果は明らかではなかった。BMJ誌2012年4月19日号より。12~19歳の187例をSPARX介入群と通常ケア群に無作為化試験は、ニュージーランドの24のプライマリなヘルスケア施設(小児科、一般診療所、学校のカウンセリング・サービス)で、うつ症状に対する支援を希望していて、自傷行為の重大リスクがなく、一般医が治療が必要と判断した12~19歳の187例を対象に、多施設無作為化非劣性試験を実施した。94例がSPARXを受ける群(平均年齢15.6歳、女性62.8%)に、93例は通常の治療を受ける群(平均年齢15.6歳、女性68.8%)に割り付けられた。通常ケア群には、訓練を受けたカウンセラーと臨床心理士が提供する対面カウンセリングが行われた。主要評価項目は、小児うつ病尺度改訂版(CDRS-R:children's depression rating scale-revised)スコアの変化とした。副次評価項目は、小児うつ病尺度改訂版、Reynoldのティーンエイジャーうつ病スケール第2版(Reynolds adolescent depression scale-second edition)、気分と感情質問票(mood and feelings questionnaire)、Spence小児不安スケール(SCAS:Spence children's anxiety scale)、小児用QOL・喜び・満足度質問票(paediatric quality of life enjoyment and satisfaction questionnaire)、小児用Kazdin絶望感測定尺度(Kazdin hopelessness scale for children)などの各スケールスコアの変化と、治療評価を含む全体的満足度を含めた。副次評価項目もすべてSPARX群の非劣性を支持170例(91%、SPARX群85例、通常ケア群85例)が介入後に評価を受け、168例(90%、83例、85例)が3ヵ月後のフォローアップ評価を受けた。パープロトコル解析(143例)の結果、SPARX群が通常ケア群に非劣性であることが示された。介入後、CDRS-R未処理スコアは、SPARX群で平均10.32の減少が認められた。通常ケア群では7.59の減少だった(群間差:2.73、95%信頼区間:-0.31~5.77、P=0.079)。寛解率は、SPARX群(31例、43.7%)が通常ケア群(19例、26.4%)より有意に高く(差17.3%、95%CI 1.6~31.8%)、P=0.030)、反応率はSPARX群(66.2%、47例)と通常ケア群(58.3%、42例)との間に有意差は認められなかった(格差:7.9%、95%信頼区間:-7.9~24%、P=0.332)。副次評価項目もすべて非劣性を支持するものであった。intention-to-treat解析はこれらの所見を確認し、得られた改善はフォローアップ後も維持された。介入に関連すると思われる有害事象の頻度も群間での差異は認められなかった(SPARX群11例、通常ケア群11例)。

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抗精神病薬を処方された患者は本当に薬を服用しているのか?

Stephenson氏らは経口第二世代抗精神病薬を服用している患者について、医師が認識しているアドヒアランスと患者による薬局への薬剤請求から判定した実際のアドヒアランスを比較し、「医師が思っているよりも患者のアドヒアランスは良好でないため、再発予防も見据え適切な介入を行うことが重要である 」と結論づけた。本報告はInt J Clin Pract誌6月号(オンライン版5月11日号)に掲載された。ヘルスコア統合研究データベースをもとに、1剤以上の第二世代抗精神病薬を処方された統合失調症または双極性障害患者の薬剤請求データから処方医師を抽出し、1~2名の担当患者の服薬アドヒアランスの評価と1年間の第二世代抗精神病薬のアドヒアランスとの関係をインターネット調査により収集した。医師により調査されたアドヒアランスは同期間の薬局から薬剤を請求と照らし合わせ比較をおこなった。主な結果は以下のとおり。 ・153名の医師が調査に協力し、214例(統合失調症:44例、双極性障害:162例、双極性障害および統合失調症:8例)の患者が抽出された。・60%の医師は正式なアドヒアランスに関するトレーニングを受けていなかった。・医師の2/3以上(68%)がアドヒアランスは重要であると考えており、担当患者の約76%はアドヒアランス良好であると回答した。・統合失調症患者において、アドヒアランス不良~中程度(アドヒアランス70%以下)であった17例中16例(97%)に対し、医師はアドヒアランス良好(アドヒアランス71%以上)であると回答した。・双極性障害患者において、アドヒアランス不良~中程度であった92例中62例(67%)に対し、医師はアドヒアランス良好であると回答した。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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インタビュー:ときわ病院 精神神経科・内科 宮澤 仁朗氏 ~剤形から考える抗精神病薬の服薬アドヒアランス~

統合失調症治療では、患者が積極的に治療に参加することで服薬アドヒアランスの向上を促し、再燃・再発の抑制が期待できるといわれている。治療参加の方法の1つとして、患者自身による薬剤や剤形の選択があげられる。現在、抗精神病薬は各製品ごとに様々な剤形が販売されているが、2012年5月、非定型抗精神病薬のアリピプラゾール(製品名:エビリファイ)の新たな剤形として口腔内崩壊錠(以下、OD錠)が発売された。薬物治療の選択肢がさらに増えた現状を踏まえ、患者の剤形選択の現状や、今後の剤形開発に対する期待などについて、ときわ病院 精神科 宮澤仁朗氏にお話を伺った。宮澤氏はこれまでに、数々の抗精神病薬の治験に携わり、新しい剤形の開発時のアドバイザーとして活躍するなど、積極的に新薬に関する考察を述べられている。■剤形選択に関する現状と課題――実際の臨床現場において患者さんは剤形選択に関してどのような認識をお持ちなのでしょうか。宮澤 2009年に統合失調症の患者さんを対象に実施された、剤形に関するアンケートの調査結果(n=135)1)によると、56%の方が服用している薬剤の剤形について医師から説明を受けていない、と考えていることが示されています。また、一方で、自分で服用する薬剤の剤形を選択したいと回答した患者さんは72%にも上ることもわかっています。理想と現実にギャップがありますね。医師は、実際には説明を行っていたとしても、患者さんがそれを認識していない可能性も考えられ、コミュニケーションにはさらに注意を払う必要があるでしょう。しかし、一方で、現状では、精神科医師の不足や診療報酬等の関係から、1人の患者さんにかけられる時間は限られており、我々医師の努力に加えて、制度面の整備も必要ではないかと思います。■各剤形をどのように使い分けるのか?~宮澤氏の場合~――自分で剤形を選択したいと考える患者さんが多いようですが、それぞれの剤形の特徴について教えてください。宮澤 急性期と維持期に分けて考える必要があります。急性期では、病識がなく、興奮が見られるなど激しい症状を呈する患者さんも多いため、いかに確実に薬剤が体内に取り込まれるか、という視点が重要となります。そのため、OD錠や液剤などに対する医療者、看護者のニーズがとても高いです。一方、維持期においては、薬剤の有効性、安全性を考慮しつつ、患者さんがきちんと服用できる薬剤が求められます。そのため、患者さんの好みやライフスタイルに合わせてできる限り患者さんご自身に選択していただくことが重要となってきます。――具体的には?宮澤 たとえば、通常の錠剤は、ある程度病識があり、水と一緒に服用することで「服薬している」という実感がほしいと訴える患者さんなどに処方することが多いです。液剤は錠剤・散剤などを飲みにくいと感じ、個別包装の簡便さを好む患者さんに適していると感じています。ところが、中には被毒妄想が生じる方もいるので、その点は注意が必要かもしれません。持続性の注射剤は、決して服薬アドヒアランスは悪くないけれどたまに服用し忘れるような方に対し勧め、患者さん自ら選択されることも少なくありません。しかし、もっとも患者さんのニーズが高いと感じるのは、OD錠です。OD錠には様々なタイプがありますが、1日1回の内服で水を必要とせず、口に含んだ瞬間、瞬時に溶けるタイプのものが好まれています。このタイプのOD錠は服用の簡便さからアドヒアランスの向上も期待できます。今後、主流となっていくと思います。■OD錠はどのような患者に有用か?――非定型抗精神病薬のOD錠には2種類ありますが。宮澤 ある程度、硬度が保たれているタイプと口に含むと瞬時に溶けるタイプがあります。前者は薬局等の自動分包機にもかけられ、多少の湿度で溶けることはありません。一方、後者は、手掌、手指に汗をよくかく方などには向かないかもしれません。しかし、スーパー救急(精神科救急)などの現場では、口に入れるとスッと溶けてしかも甘みがあるこのタイプの薬剤はとても重要です。5月に発売されたアリピプラゾールのOD錠(製品名:エビリファイOD錠)はこのタイプです。――OD錠は、実際、どのような患者さんに適しているのでしょうか。宮澤 先ほど説明しました救急・急性期病棟に入院となった患者さんのほかにも、外来通院されている患者さんにも適しています。水が必要ないことから外出先での服用が容易になります。嚥下が困難な高齢者や女性の患者さんにも勧められると思います。また、抗精神病薬単剤で治療している方も他の剤形からの変更のメリットが大きいのではないかと思います。たとえば、アリピプラゾールは、1日1回の服用で急性期、維持期いずれにおいても有効性が認められており、私が診ている統合失調症の維持期の患者さんでは、比較的、胃腸薬や便秘薬など他の薬剤を併用せずに単剤で治療している方も多いため、OD錠への変更により受ける恩恵が大きいと考えられます。逆に併用薬が多い患者さんではあまりメリットは感じられないかもしれません。――今後も、新しい剤形が追加されていくようですが、どのようなことを期待されますか。宮澤 今回のように、急性期、維持期いずれにおいても有用性が認められている薬剤のOD錠化は、患者さん、医療者双方の選択肢の幅が広がったことを意味し、大変意義深いと考えます。また、今後も、非定型抗精神病薬で新たな剤形が追加されることにより、患者さん、医療者の細かい二-ズに沿った薬剤選択が可能になっていくと思います。昨今の課題である服薬アドヒアランスの向上をめざして、我々医師は、患者さんの飲み心地に、より配慮した治療戦略が求められていくのではないでしょうか。(聞き手=ケアネット) 1)統合失調症患者さんを対象に実施したインターネット調査2009年 医療法人 ときわ病院ホームページhttp://www4.ocn.ne.jp/~tokiwahp/

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日本人の睡眠満足度は低い「より積極的な問診が必要」-日米仏3ヵ国睡眠調査より-

現代では24時間型の生活習慣による生活の乱れや、高齢化、ストレスに満ちた社会環境などにより、国民の約5人に1人は睡眠に悩んでいるといわれ、不眠症は誰にでも起こりうる現代病のひとつといえる。不眠は、集中力や気力、充実感といった日中パフォーマンスの低下を招くだけでなく、糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病やうつ病のリスクともなる。現代社会における睡眠、不眠に対する意識や行動の実態を把握するため、睡眠専門医である林田 健一氏の監修のもと、アステラス製薬株式会社ならびにサノフィ・アベンティス株式会社は、日本・アメリカ・フランスの3ヵ国で約7,000人を対象に睡眠に関する意識と行動についてのインターネット調査を実施した。本調査結果は、2012年5月22日、アステラス製薬株式会社とサノフィ・アベンティス株式会社によるプレスセミナーにて発表された。日本人の睡眠時間は米仏と比べ、約0.5時間短い平日の平均睡眠時間は、日本は6.50時間で米国の7.01時間、仏国の7.07時間より約0.5時間短く、平均睡眠時間が6時間未満の割合は、日本が最も多く19.8%、米国12.5%、仏国10.2%であった。また、日本人は睡眠時間に対する満足度も最も低かった。日本人は睡眠の質に対する満足度も低く、日中パフォーマンスも低下睡眠の質への満足度調査では、「満足」と回答した割合は米国59.4%、仏国61.1%に対し、日本は44.7%であった。一方、「不満」と回答した日本人は36.0%と約3人に1人が睡眠の質に不満であることが明らかとなった。日中パフォーマンスとして評価した「集中力、気力・充実感の低下」および「眠気」を感じる人の割合は、日本はいずれの項目でも米仏より高い結果であった。とくに、「集中力がない」と回答した割合は、米仏(各4.5%、9.7%)に対して日本人は17.4%、「日中に眠気を感じる」が米仏(各56.0%、30.3%)に対して日本人70.9%、と米仏との間に大きな開きがあった。また、日本人では睡眠の質に対する満足度が低いほど日中パフォーマンスの低下が顕著にみられた。不眠の対処法-日本人は「寝酒」、米仏では「かかりつけ医に相談」-不眠症状のある人(アテネ不眠尺度6点以上)を対象に、不眠への対処を調査したところ、日本では「お酒を飲む」19.5%、「医師から処方された睡眠薬を飲む」13.7%、「何もしない」13.1%の順であった。米仏では「医師から処方された薬を飲む」(各19.2%、16.9%)、「医師の診察を受ける」(各18.6%、19.9%)の割合が多く、日本とは対照的な結果であった。次いで、不眠症状がある人が医療機関を受診した割合では、米国27.3%、仏国25.6%に対し、日本は15.7%と低い結果であった。また、不眠症状があるが受診経験のない人を対象に「不眠の改善に良いと思う診療科」を尋ねたところ、米仏では「かかりつけ医(内科)」(各49.8%、66.7%)の割合が多いが、日本では25.9% と低く、さらに31.4%が「わからない」と回答した。加えて、「かかりつけ医から睡眠について聞かれた経験がある」と回答した割合は、米仏(各29.8%、47.2%)と比べ、日本人では20.8%と低かった。求められる、かかりつけ医の役割「積極的な睡眠の問診と治療を」今回の調査結果から、日本人は睡眠時間や睡眠の質に関する悩みを抱えているものの、米仏と比べ医師に相談することも少なく、寝酒で不眠対処をする傾向 があることがわかった。林田氏は「不眠の予防、早期発見、治療は日本人の健康と安全を守るうえで重要であり、かかりつけ医には睡眠についてより積極的な問診を実施し治療を行うことが求められる」と語った。 【調査概要】 調査目的:睡眠、不眠に対する意識や行動の実態を把握する調査対象:日米仏の成人、計6,973人(30歳以上)     日本 3,282人(男性:49.8%、女性:50.2%)     米国 1,725人(男性:49.8%、女性:50.2%)     仏国 1,966人(男性:49.6%、女性:50.4%)調査手法:インターネット調査(2011年8月18日~24日) (ケアネット 鷹野 敦夫) 【関連コンテンツ】 転倒リスクを見据えた睡眠薬の選択http://mrp.carenet.com/project/269/c/120525 睡眠薬の分類と特徴からみたマイスリーの特性http://mrp.carenet.com/project/253/c/120525

2733.

境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ

境界性人格障害では自殺行為を繰り返すことが大きな問題となる。多くの患者は寛解まで時間を要するため、約10%が自殺により死亡するといわれている。Soloff氏らは境界性人格障害患者の長期予後改善のために、自殺の予測因子を検証した。そのうえで「自殺リスクを減少させ、長期の転帰を改善するには、社会的かつ職業的リハビリテーションによる心理社会的介入が重要である」と結論づけている。Am J Psychiatry誌2012年5月号掲載の報告。境界性人格障害患者90例に対し6年以上の追跡調査を実施、縦断的研究をおこなった。分析にはCox比例ハザードモデルを用いた。主な結果は以下のとおり。 ・25例(27.8%)において、少なくとも1回以上の自殺企図がみられた。・自殺企図者の大部分は、発症後2年目以内であった。・自殺企図リスクの増加要因は、社会経済的地位の低さ、心理社会的適応の低さ、自殺の家族歴、精神科入院歴、自殺前の外来診療の不足であった。・総合評価尺度(GAS)が高いほど自殺リスクは低かった。・自殺の危険因子は時間とともに変化し、短期(12ヵ月)では大うつ病性障害などの急性ストレス、長期的には心理社会的機能の低さとの関係が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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統合失調症治療薬ルラシドンの長期投与試験

統合失調症治療薬ルラシドンの12ヵ月にわたる長期投与試験の結果が発表された。Citrome氏らはルラシドンの長期安全性および忍容性を評価する目的でリスペリドンとの二重盲検比較試験を実施し、「ルラシドンは長期投与により良好な忍容性が示された」と報告した。安定した統合失調症外来患者427例をルラシドン群(40-120mg/日)とリスペリドン群(2-6mg/日)に2:1の比率で割り付け比較検討した。主な結果は以下のとおり。 1)ルラシドン群(vs リスペリドン群)で最も多くみられた有害事象は、嘔気(16.7% vs 10.9%)、不眠症(15.8% vs 13.4%)、鎮静(14.6% vs 13.9%)であった。2)リスペリドン群(vs ルラシドン群)で最も多くみられた有害事象は、体重増加(19.8% vs 9.3%)、傾眠(17.8% vs 13.6%)、頭痛(14.9% vs 10.0%)であった。3)少なくとも7%の体重増加がみられた患者はリスペリドン群 vs ルラシドン群=14% vs 7%であった。4)プロラクチン値の変化量はリスペリドン群で有意に高かった(p

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日本睡眠学会第37回定期学術集会のご案内 会長の井上氏より

2012年6月28~30日にパシフィコ横浜にて日本睡眠学会第37回定期学術集会が開催されます。会長の井上雄一氏より寄稿文をいただきました。是非ご覧ください。来る平成24年6月28日から30日の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて、日本睡眠学会第37回定期学術集会を会長として主催いたします。本学術集会は毎年1回、睡眠ならびに生体リズムのメカニズムと病態、社会的意義を解明し、実生活に活かすことを目的に開催され、全国の基礎医学、社会医学、臨床医学、薬学、検査医学、臨床ならびに実験心理学、看護学等の研究者や臨床家が参加し、過去最多となる45のシンポジウムが予定されています。本年度は「睡眠研究 新世代への架け橋」をテーマに掲げ、快適な睡眠がストレス社会の現代で人間性を回復させるために重要であり、睡眠健康の増進が高血圧や糖尿病という生活習慣病の予防・治療や、うつ病に代表される精神疾患、ひいては自殺の抑制にも有益であることを訴求、提案していく予定です。今回は、睡眠学の学際的な進歩を広く若手研究者に普及・拡大させるのみならず、睡眠を専門としない医療関係者の皆様にも広く門戸を開くため、開催期間中は常時、学会員以外の医療関係者が聴講できるシンポジウムを開催いたします。本学会は、事前の参加申込み不要、当日会場にて参加登録頂けます。多くの医師、医療関係者の皆様のご参加をお待ちしております。 日本睡眠学会第37回定期学術集会会長 井上 雄一東京医科大学睡眠学講座 教授 医療法人社団絹和会 理事長公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター センター長 日本睡眠学会第37回定期学術集会テーマ:「睡眠研究 新世代への架け橋」会 期:2012年6月28日(木)/29日(金)/30日(土)会 場:パシフィコ横浜 http://www.pacifico.co.jp/(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1) 主なシンポジウム: ■6月28日(木)シンポジウムS2「睡眠呼吸障害と上気道~睡眠中の上気道と呼吸調節における進歩」シンポジウムS4「頭痛と睡眠障害」シンポジウムS7「不眠症治療薬開発の現状と未来」シンポジウムSS2「睡眠と生活習慣病がからむ血管内皮機能障害」 ■6月29日(金)シンポジウムS15「循環器領域における睡眠呼吸障害のガイドラインを検証する」シンポジウムS21「OSAS治療の長期化について考える」シンポジウムS22「産業保健と睡眠・睡眠障害」シンポジウムS26「高齢社会における睡眠障害の意義と対応」 ■6月30日(土)シンポジウムS30「我が国における不眠症に対する認知行動療法の現状(CBT-I up to date in Japan)」シンポジウムS34「睡眠関連運動障害」  *シンポジウムの最新情報はウェブサイトにて随時更新しています。 日本睡眠学会第37回定期学術集会ウェブサイト:http://www.c-linkage.co.jp/jssr37/本学会はFacebook、Twitterも開設しています。Facebook: http://www.facebook.com/jssr37Twitter: http://twitter.com/37jssr

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統合失調症の再発予防のポイントとは?

統合失調症の治療において、再発を予防することは極めて重要な課題である。Leucht氏らは抗精神病薬の再発予防への影響を分析した。統合失調症患者の維持治療期おける65件のプラセボ対照無作為化試験から得られた116件の報告より6,493名の患者データを抽出した。主要評価項目は7~12ヵ月後の再発率とし、忍容性や機能的な影響に関しても調査した。主な結果は以下のとおり。 1)抗精神病薬投与群ではプラセボ群と比較して1年後の再発率を有意に低下させた(27% vs 64%、リスク比=0.40(95%信頼区間=0.33-0.49)、number needed to treat to benefit(NNTB)=3(95%信頼区間=2-3))。2)抗精神病薬投与群では再入院率は低かった(10% vs 26%、リスク比=0.38(95%信頼区間=0.27-0.55)、NNTB=5(95%信頼区間=4-9))。3)抗精神病薬投与群で良好なQOL(両群間の変化差=-0.62(95%信頼区間=-1.15 to -0.09))、攻撃性の低下(2% vs 12%、リスク比=0.27(95%信頼区間=0.15-0.52)、NNTB=11(95%信頼区間=6-100))が認められた。4)抗精神病薬投与群では体重増加(10% vs 6%、リスク比=2.07(95%信頼区間=2.31-3.25))、運動障害(16% vs 9%、リスク比=1.55(95%信頼区間=1.25-1.93))、過鎮静(13% vs 9%、リスク比=1.50(95%信頼区間=1.22-1.84))が多く認められた。5)サブグループ解析の結果、エピソード数、寛解率の有無、治療中止方法、症状安定期間、第1世代または第2世代抗精神病薬使用状況、無作為割り当て方法に関しては有意な影響を及ぼさなかった。6)デポ剤投与患者では経口剤投与患者と比較して再発率が低かった(リスク比=0.31(95%信頼区間=0.21-0.41))。7)抗精神病薬の効果は非盲検下の2試験においてより大きかった。8)メタ回帰分析では、抗精神病薬投与群とプラセボ群の差は試験期間により減少した。

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維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か?

統合失調症の薬物療法において、ドーパミンD2受容体の占有率を最適化することが求められる。従来から、統合失調症の適切な治療域(therapeutic window)としてD2受容体占有率を65-80%に保つべきとされてきた。慶応大学の水野氏らは、統合失調症の維持治療期においても同様なD2受容体占有率が必要か否かを検討した。水野氏らは「安定期の統合失調症患者においては65%以上のD2受容体占有率が必ずしも必要でない可能性がある」と報告した。2010年9~12月にリスペリドンまたはオランザピンを投与中の安定した統合失調症患者35例(48.8±13.8歳)を対象に、D2受容体占有レベルのトラフ値とピーク値を毎日測定した。主な結果は以下のとおり。 1)各薬剤の投与量はリスペリドン群(n=20):3.2±2.3mg/日、オランザピン群(n=15):9.2±4.9mg/日であった。2)17/35例(48.6%)の患者においてD2受容体占有率65%以上が維持されていなかった。3)さらに、4/35例(11.4%)の患者においてD2受容体占有率は65%未満に維持されていた。

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うつ病を合併した糖尿病患者では認知症のリスク上昇

うつ病は認知症の危険因子であるといわれているが、糖尿病患者での報告は少ない。Katonらはうつ病を合併した2型糖尿病患者における認知症発症リスクを調査したところ、糖尿病単独患者と比較してリスクの増加が認められた。北カリフォルニアの大規模な医療管理データから30~75歳の糖尿病患者19,239例を対象にうつ病または抗うつ薬投与と認知症の発症との関係を検討した。主な結果は以下の通り。 1) 3~5年の観察期間での認知症発症率はうつ病を合併した糖尿病患者3766例中80例で2.1%(1,000人当たり5.5人)、糖尿病単独患者15,473例中158例で1.0%(1,000人当たり2.6人)であった。2) うつ病を合併した糖尿病患者の3~5年の認知症発症リスクは2.02(95%信頼区間:1.73-2.35)であった。

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職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か?

 年々増加している職場におけるうつ病は、生産性の低下など大きな社会的損失をきたす。そのため、様々な治療法が検討されている。古川氏らは職場における小うつ病(閾値下うつ病)および労働効率が低下している状態(presenteeism)に対する電話認知行動療法(tCBT)の有効性を検討した。古川氏らは「tCBTは職場におけるうつ病患者への簡便な治療法のひとつとなりうるが、さらに長期間の検討が必要である」と結論づけている。 日本の大規模な製造会社に勤務する閾値下うつ病患者を標準的な従業員支援プログラム(EAP)単独群とEAP+tCBT群に無作為に割り付け、4ヵ月時点での抑うつ重症度(Beckのうつ病自己評価表:BDI-IIにより測定)と労働生産性(WHO健康と仕事の生産性アンケート:HPQにより測定)を比較検討した。 主な結果は以下の通り。1)118例をEAP単独群60例、EPA+tCBT群58例に無作為割り付け。2)EAP+tCBT群はEAP単独群よりも抑うつ重症度改善率が有意に高かった(p<0.001、エフェクトサイズ=0.69、95%信頼区間:0.32-1.05)。3)EAP+tCBT群におけるBDI-IIのベースラインからの変化量は-17.3。4)労働生産性への有意な影響は認められなかった。

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精神疾患患者におけるメタボリックシンドローム発症要因は?

精神疾患患者における心血管イベント発症要因の一つとして葉酸が関与しているといわれている。特にメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)やカテコール-o-メチルトランスフェラーゼ(COMT)の異常がリスクを増大させると考えられる。Ellingrod氏らはこれら遺伝子異型が抗精神病薬とメタボリックシンドロームとの関係にどのような影響を及ぼすのかを分析した。抗精神病薬による治療を少なくとも6ヵ月以上受けている統合失調症および双極性障害患者237例をメタボリックシンドロームの有無、MTHFR677C/T、MTHFR1298A/C、COMTVal158Metの各遺伝子型でスクリーニングを行った。主な結果は以下の通り。 1)平均年齢44.7歳(標準偏差:11.7)、男:女=51:49、平均BMI32.6kg/m(標準偏差:8.2)、非定型抗精神病薬投与患者は61%で各遺伝子型間に違いはなかった。2)メタボリックシンドロームの基準を満たした患者98例(41%)。3)メタボリックシンドロームの発症は年齢、喫煙、MTHFR677C/T、COMTVal158allelesとの関連が認められた(χ=34.4、p

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