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内科医と精神科医との連携が、通院患者の健康不安を改善/Lancet

 慢性疾患で通院中の患者の健康不安に対する認知行動療法は、不安症やうつ病への持続的な効果があることが多施設無作為化試験の結果、示された。コストへの有意な影響はなかったという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter Tyrer氏らが報告した。これまで、健康不安を訴え精神科部門に紹介受診する患者について、セラピストによる専門的な認知行動療法により、一部ではあるが特異的なベネフィットがあることが報告されていた。しかし通院治療中の患者に対する効果については、きちんと検討されたことはなかったという。Lancet誌オンライン版2013年10月18日号掲載の報告より。1年時点の健康不安改善状況と、2年間のコスト面について評価 本検討は、有効性が示されたパイロット試験を踏まえて行われた。試験は、2次機能を有する医療機関において循環器、内分泌・代謝、消化器、脳神経、呼吸器の部門に通院中の健康不安を有する16~75歳の患者を対象とした多施設無作為化試験であった。被験者は、病院周辺の地域住民で、慢性疾患で通院中の、病状が安定している患者を対象とした。 適格患者となった患者はコンピュータで無作為に、通院先の病院のセラピストによる認知行動療法(5~10回のセッション)を受ける群と通常の治療のみを受ける群に割り付けられ追跡を受けた。 主要アウトカムは、1年時点の健康不安症状の変化(Health Anxiety Inventory[HAI]で評価)であった。また主要副次仮説として、2年間の健康・社会的ケアコストの総額に差異がないこと(同等性マージン:150ポンド)についても評価した。健康不安の標準レベルへの改善達成、認知行動療法群が通常ケア群の約2倍 21ヵ月間(2008年10月~2020年7月)に2万8,991例の患者がスクリーニングを受け、444例が無作為化された(認知行動療法群219例、通常ケア群225例)。このうち主要評価には、認知行動療法群205例、通常ケア群212例が組み込まれた。 結果、1年時点の健康不安の改善は、認知行動療法群のほうが通常ケア群よりも2.98ポイント高かった(95%信頼区間[CI]:1.64~4.33、p<0.0001)。健康不安が標準レベルに改善した人の割合は、認知行動療法群のほうが通常ケア群より約2倍多かった(13.9%vs. 7.3%、オッズ比[OR]:2.15、95%CI:1.09~4.23、p=0.0273)。同様の差は、6ヵ月時点、また2年時点でもみられた。 また全般的不安(HADS-Aで評価)も改善がみられ、うつ病も健康不安でみられたほどの差はないが認知行動療法群での改善がみられた。 死亡は9例で、6例が通常ケア群であった。死亡は全例、既往の疾患によるものであった。 社会的機能や健康関連QOLについては、両群で有意な差はみられなかった。 2年間の総コストについて同等性は得られなかったが、有意差はなかった(補正後平均差156ポンド、p=0.848)。

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非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学

 抑うつ症状とメタボリックシンドローム(MetS)との関連については依然議論のあるところである。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座の竹内 武昭氏らは、日本人男性における抑うつ症状とMetSの関連について、非定型うつ病またはそれ以外の大うつ病性障害(MDD)に分けて検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号(オンライン版2013年10月23日号)の掲載報告。 本研究は、MetSと抑うつとの関連を明らかにし、非定型うつ病の特徴を考察することを目的とした。対象は、20~59歳の日本人男性1,011例。Metは、International Diabetes Federation (IDF)の基準に従い診断した。MDDは、DSM-IVに基づく面接で診断し、非定型とそれ以外に分類した。MDDなし群、非定型うつ病群、非定型以外のMDD群におけるMetSの頻度を傾向解析により比較検討した。多重ロジスティック回帰解析により、MetSと非定型うつ病との関連ならびにその特徴を検討した。 主な結果は以下のとおり。・141例(14.0%)がMetS、57例(5.6%)がMDD(非定型うつ病群14例、非定型以外のMDD群43例)と診断された。・MetSの頻度は非定型うつ病群で最も高く、次いで非定型以外のMDD群、MDDなし群の順であり、わずかに有意な傾向がみられた(p=0.07)。・MetSが抑うつに関連する補正後オッズ比は、非定型うつ病群では3.8(95%信頼区間[CI]:1.1~13.2)、非定型以外のMDD群では1.6(95%CI:0.7~3.6)であった。・非定型うつ病の5つの特徴の中で、MetSと関連が認められたのは過食のみであった(オッズ比:2.7、95%CI:1.8~4.1)。・以上より、MetSと非定型うつ病の間に正の関連が認められたが、非定型以外のMDDとの間には関連がみられなかった。過食は、MetSと非定型うつ病の関連に影響を及ぼす明らかに重要な因子だと思われた。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

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栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か

産後の抑うつ症状を予防するとされる代表的な栄養補助食品として、ω-3脂肪酸、鉄、葉酸、s-アデノシル -L-メチオニン、コバラミン、ピリドキシン、リボフラビン、ビタミンD、カルシウムなどが挙げられる。オーストラリア・Flinders Medical CentreのBrendan J Miller氏らは、産前・産後における抑うつ症状の予防に有益な栄養補助食品を探索するため、Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerから抽出した2件の無作為化対照試験のデータをレビューした。その結果、セレニウム、DHAあるいはEPAに関する産後抑うつ予防におけるベネフィットは示されず、現時点において、推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はないと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月24日号の掲載報告。 2013年4月30日時点のCochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを用い、妊娠中の女性または出産後6週以内の女性で、試験開始時に抑うつ症状なし、または抗うつ薬を服用していない者を対象とした無作為化対照試験を検索した。栄養補助食品の単独使用、またはその他の治療と併用して介入した場合の成績を、その他の予防治療、プラセボ、標準的なケアと比較した。主な結果は以下のとおり。・2件の無作為化対照試験が抽出された。【試験1の概要】・酵母由来セレニウム錠100µgとプラセボを、妊娠初期3ヵ月から出産まで経口投与した際の有用性を検討した比較試験。・179人が登録され、セレニウム群とプラセボ群にそれぞれ83人が無作為化された。アウトカムデータが得られたのは85人にとどまった。 ・セレニウム群では61人が試験を完了し、44人でエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)による評価が得られた。プラセボ群では64人が試験を完了し、41人でEPDSによる評価が得られた。・セレニウム群ではEPDSスコアに影響がみられたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。・産後8週間以内の自己報告EPDSにおける平均差(MD)は、-1.90(95%信頼区間[CI]:-3.92~0.12)であった。・脱落例が多かったこと、EPDSを完了しなかった者が多数であったため、大きなバイアスが確認された。・副次アウトカムに関する報告はなかった。 【試験2の概要】・EPA、DHA、プラセボの比較試験。・産後抑うつのリスクにさらされている126人を、EPA群42人、DHA群42人、プラセボ群42人の3群に無作為化した。・EPA群の3人、DHA群の4人、プラセボ群の1人は追跡不能であった。登録時に大うつ病性障害、双極性障害、薬物乱用または依存、自殺企図または統合失調症を有する女性は除外された。ただし、介入中止例(EPA群5人、DHA群4人、プラセボ群7人)は、追跡可能であったためintention-to-treat解析に含めた。・服用期間(栄養補助食品またはプラセボ)は、妊娠12~20週から最後の評価時である出産後6~8週までであった。主要アウトカムは、5回目(出産後6~8週)の受診時におけるベックうつ病評価尺度(BDI)スコアであった。・産後抑うつの予防について、EPA-リッチ魚油サプリメント(MD:0.70、95%CI:-1.78~3.18)、DHA-リッチ魚油サプリメント(同:0.90、-1.33~3.13)のベネフィットは認められなかった。・産後抑うつへの影響について、EPAとDHAの間で差はみられなかった(同:-0.20、-2.61~2.21)。・副次アウトカムは「出産後6~8週時における大うつ病障害の発症」、「抗うつ薬を開始した女性の人数」、「分娩時における母親の出血」、または「新生児特定集中治療室(NICU)への入室」としたが、いずれにおいてもベネフィットはみられず、有意な影響も認められなかった。【結論】・セレニウム、DHAあるいはEPAが産後抑うつを防ぐというエビデンスは不十分である。・現時点において、産後抑うつの予防に推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はない。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発

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統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

 統合失調症患者における陰性症状は慢性的な障害となることが多いが、現在の治療方法で著効することは必ずしも多くない。陰性症状に対し、抗うつ薬が用いられることもあるが、その有用性は明らかになっていない。ドイツ・ハンブルク大学のKim Hinkelmann氏らは、無作為化二重盲検試験にて統合失調症患者の陰性症状に対する抗うつ薬追加投与の効果を検討した。Journal of clinical psychopharmacology誌2013年10月号の報告。 対象は、DSM-IVで統合失調症と診断された患者のうち陰性症状が優位な58例。対象患者をシタロプラム、レボキセチン(いずれも国内未承認)、またはプラセボ群に無作為に割り付け、4週間投与を行った。PANSSとハミルトンうつ病評価尺度による反復測定共分散分析にて評価した。治療群との反応率を比較するためにカイ二乗検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・PANSS下位尺度は、反復測定共分散分析では治療群(処置x時間)との間に差が認められなかった。・軽度うつ病基準を満たす患者におけるサブグループ解析では、これまでの報告と同様にシタロプラム群がレボキセチン群と比較して高い反応率を示した。しかしながら有意水準には達しなかった。・本研究において、統合失調症患者の陰性症状に対する抗うつ薬補助療法の有用性は示されなかった。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学

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小児自閉症に対する薬物療法はQOLにどのような影響を与えるか

 米国・ワイルコーネル大学医学部のWendy N. Moyal氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する小児・若年者のQOLに及ぼす薬物療法の影響についてレビューを行った。その結果、アリピプラゾールとオキシトシン(本疾患には未承認)は、QOLにプラスとなる効果をもたらすことが明らかであること、その他の抗精神病薬については、リスクとベネフィットについての有用な情報はあるがQOLに関する特定データはなかったことを報告した。Pediatric Drugs誌オンライン版2013年10月24日号の掲載報告。 ASDを有する小児は88人に1人の割合でいると推定されている。同障害は、社会的なコミュニケーションや意思疎通の障害、興味対象が限定的であること、反復行動がみられることで診断される。ASDの小児の大半では適応スキル障害がみられ、多くが知的障害を有し、そのほか精神障害や精神症状が共通してみられる。このような複合的な障害によって、患者および家族はQOLに相当な影響を受けていると考えられる。精神医学的な問題による機能障害への対処のために、医師や家族によって薬物治療が考慮されており、実際、小児・若年者のASDの3分の1が1剤以上の抗精神病薬を服用している。また、その多くは補完・代替医療も利用している。そのような背景を踏まえて研究グループは、ASDの小児について抗精神病薬治療のQOLに関するベネフィットとリスクについて、どのようなことが明らかになっているかをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・自閉症患者における、QOLの評価を含む抗精神病薬治療の研究はまれであった。小児を対象としたアリピプラゾールの興奮症状に関する研究と、成人対象のオキシトシン研究1例であった。・アリピプラゾール研究では、オキシトシン研究と同様に、治療を受けた患者においてQOLにプラスとなる効果をもたらすことが示されていた。・その他の抗精神病薬は、小児のASD治療に用いられており、リスクとベネフィットに関する情報は得られたが、QOLへの影響に関する特異的なデータはなかった。・著者は、「アリピプラゾールとオキシトシン研究は、研究者にとってQOL評価の手法を組み込む際の例証となり、また臨床医に有用な情報を提供するものである」と述べ、「そのうえで、ASDの小児について、薬物療法およびQOLにおけるさらなる研究を行うことを推奨する」とまとめている。関連医療ニュース 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー 統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

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統合失調症の再発、どう定義とすべきか

 統合失調症の再発は、症状悪化、機能障害、認知機能やQOLの低下など破壊的な影響をもたらす。それらの漸進的な低下は、患者や家族に多大な負荷を与える。そのため、再発予防は治療において最も重要なポイントのひとつとされているが、広く定義された再発の基準はなく、再発予防を達成することは困難とされている。スペイン・ビゴ大学病院のJose M Olivares氏らは、統合失調症再発の定義と再発のリスク因子を特定することを目的に、システマティックレビューを行った。その結果、「入院」が、再発の報告として最も頻度が高く有用であることを報告した。また、再発リスクを増大する因子として、抗精神病薬服用のアドヒアランス不良やストレス/ 抑うつ症状、依存症などがあるとしている。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2013年10月23日号の掲載報告。 研究グループは、文献レビューによって、再発の報告が何をもってなされているかを調べ、また入院が再発を定義する因子として有効であるかを調べた。本検討における主要な目的は、観察的または自然主義的状態で、再発を特定する際に用いられていた手法の頻度と妥当性を評価することであった。第2の目的は、再発リスクの予測または影響を及ぼした因子が何かを明らかにすることであった。文献は、PubMedデータベースを用いて検索し、国および国際レベルのガイドラインもレビューの対象とした。 主な結果は以下のとおり。・検索にて選定された150本の公表論文およびガイドラインのうち、87本が再発定義について述べていた。またそのうち54本(62%)の論文が入院について検討していた。・54本の論文において56症例について再発の定義を検討しており、その半数以上(55%)において、入院を再発定義の指標として、あるいは再発定義の一要因として用いていた。・ただし、入院の期間・タイプはさまざまで、明確に定義することはできなかった。・再発を定義する尺度は、53症例において特定され、10種の異なる尺度が用いられていた。ただし同一の定義において、複数の尺度が用いられていることが多かった。・再発につながる因子についての言及は95件みつかった。そのうち21件が抗精神病薬服用のアドヒアランス不良を、11件はストレス/抑うつ症を、9件は依存症であった。・公表論文25本が、抗精神病薬治療の再発率低下について検討し、継続的な抗精神病薬治療が入院の頻度の低下および期間短縮と関連していたことを報告していた。・非薬物治療(精神療法、認知行動療法など)も概して、再発を減らす因子として報告されていた。・著者は「本レビューにおいて、再発を特定する多数の因子が特定された。自然主義的な状況では、再発の定義に用いられていたのは入院が最も頻度が高く、有用であると思われる。また、再発リスクを増大するいくつかの因子が報告されており、それらを観察することがリスクのある患者を特定するのに役立つ可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症“再発”の危険因子は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

 自己免疫疾患を有する者、およびわずかでも有意な自己免疫疾患の家族歴を有する者において、統合失調症のリスクが増加することが、これまでの研究で示されている。デンマーク・オーフス大学のMichael E. Benros氏らは、統合失調症と自己免疫疾患との関連、および感染症の影響について検討を行った。その結果、統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、罹患率が1.53倍であること、感染症は自己免疫疾患の発症に、より大きく関与していることが示唆されたことを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月16日号の掲載報告。 本研究では、まず、統合失調症とそれに続く自己免疫疾患との関連を検討し、さらに統合失調症と自己免疫疾患の両者におけるリスクファクターである感染症の影響について考察した。デンマーク全国レジスターに登録されている383万人のうち、統合失調症様精神病患者 3万9,364例、自己免疫疾患患者14万2,328例を特定し、年齢および性別で補正し生存解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、発生率は1.53倍(95%CI:1.46~1.62)であった。・感染症で病院を受診していない患者において、統合失調症罹患に及ぼす影響は小さかった。一方で、自己免疫疾患は発生率が1.32倍(95%CI:1.22~1.43)増大した。・統合失調症患者と感染症で受診した患者の、自己免疫疾患の統合リスクは2.70(95%CI:2.51~2.89)であった。・統合失調症の家族歴は、自己免疫疾患が続発するリスクをやや上昇させた(罹患率比:1.06、95%CI:1.02~1.09)。・統合失調症患者の3.6%が自己免疫疾患を発症し、自己免疫疾患患者の3.1%に統合失調症の家族歴があった。・以上より、統合失調症患者において自己免疫疾患が続発するリスクの増加は、未診断の自己免疫疾患からの神経精神徴候、統合失調症に関連する治療や生活習慣、感染症や遺伝要因などの病因メカニズムを含んでいる可能性が示唆された。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

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統合失調症患者とのコミュニケーションは十分に行われているのか

 米国・カリフォルニア大学のSteven Potkin氏らは、受診時の患者との会話の内容を基に、長時間作用型注射製剤(LAI)抗精神病薬に関連する情報を分析した。その結果、多くの精神科医が患者に対してLAIを提示しておらず、大半の患者と介護者が抗精神病薬治療の決定に関わっていないことを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月16日号の掲載報告。 本研究は、LAIを用いた抗精神病薬療法に対する処方者、患者および介護者の認識を把握し、それらによるLAI使用への影響を検討することであった。クリニックにおいてこれらの認識を把握しておくことは、統合失調症患者の治療目標達成につながる可能性がある。2011年8月~2012年2月の受診記録にあった、処方者と患者の会話69件(地域のメンタルヘルスセンター[CMHC]での精神科医との会話60件、ナースプラクティショナーとの会話9件)の非ランダムサンプルから情報を収集し、その内容を書き起こして解析した。事前に既定した11のCMHCでのトピックに従ってディスカッションの内容を分類した。CMHC 4施設では、CMHC受診前に家庭訪問(患者15例)を行い、注射を受けている患者およびスタッフとの交流の状況を観察した。LAIに関するディスカッション、処方または使用についてさらに情報を収集するため、精神科医、患者および介護者に電話でさらに深く聞き取り調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・精神科医と患者の会話60件中40件(67%)で、患者または介護者への情報提供がないまま抗精神病薬治療の決定が行われていた。・患者または介護者は、経口抗精神病薬(60件中5件[8%])に比べてLAI治療(60件中15件[25%])のほうが、その治療決定により大きく関わっていた。・経口抗精神病薬服用中の患者22例中11例(50%)では、精神科医とLAIに関するディスカッションが行われていなかった。・LAIを提示された際、より多くのLAI未治療患者が、好ましい(19例中3例[16%])あるいは好ましくない(19例中7例[37%])というよりは、むしろ中立的な反応(19例中9例[47%])を示した。・LAIについてディスカッションする際に処方者は、患者の注射に対するよくあるネガティブな印象ゆえの抵抗感の一方で、潜在的な治療関係への影響と副作用を最も懸念していることが明らかになった。・精神科医は、初期の抵抗に対処することで、LAIに対する患者の反対を乗り越えることができる。・LAI未治療患者の半数以上(19例中11例[58%])が、来院後にLAI治療の開始に同意していた。・患者評価では、経口薬と比べたLAIのベネフィットとして、症状の速やかな改善と全体的な有効性を挙げていた。・本試験から、多くの精神科医がLAIを提示しておらず、大半の患者と介護者が抗精神病薬治療の決定に関わっていないことが明らかとなった。 ・統合失調症患者に対する、より個別化したアプローチとして、患者が積極的に関わる機会を増やすこと、抵抗感への対応、剤形選択のアドバイス、そしてLAIに関するより適切な情報提供があることが示された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は?

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うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学

 うつ病に対する行動療法とその他の心理療法の有効性は同程度(低~中の質のエビデンス)であることが明らかにされた。京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻健康増進・行動学分野の篠原 清美氏らが25件の試験をレビューし報告した。行動療法は現在うつ病治療に臨床活用されている心理療法の1カテゴリーである。しかし、他の心理療法と比較した行動療法の有効性および受容性は不明なままであった。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月号の掲載報告。 研究グループは本レビューにおいて、急性うつ病に対する、(1)全行動療法アプローチとその他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(2)行動療法アプローチ別(行動療法、行動活性化療法、生活技能訓練、リラクゼーショントレーニング)に、その他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(3)心理療法アプローチ別(認知行動療法[CBT]、third wave CBT、精神力動的療法、人間主義的療法、統合心理療法)に、全行動療法アプローチとの有効性を比較した。Cochrane Depression Anxiety and Neurosis Group Trials Specialised Register(2013年7月31日時点)を検索し、関連無作為化試験をCochrane Library(全発行年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)、PsycINFO(1967~)から組み込んだ。また、CINAHL(2010年5月)、PSYNDEX(2010年6月)、さらに参照文献リストの試験や関連する発表・未発表の試験のレビューも組み込み、成人の急性期うつ病において行動療法とその他心理介入法を比較した無作為化対照試験を検索した。 主な結果は以下のとおり。・レビューに組み込まれたのは25試験(行動療法とその他心理療法5つのうち1つ以上と比較)、被験者合計955例であった。・大部分の試験はサンプルサイズが小さく、バイアスリスクが不明もしくは高いにもかかかわらず評価が行われていた。・行動療法の寛解率は、その他の全心理療法と比較して有意差はなかった(18試験、690例、リスク比[RR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.86~1.09)。受容性も有意差はみられなかった(15試験、495例、全脱落のRR:1.02、95%CI:0.65~1.61)。・個別に心理療法と比較しても同様で、認知行動療法が行動療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低く(15試験、544例、RR:0.93、95%CI:0.83~1.05)、一方で行動療法が精神力動的療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低かった(2試験、110例、RR:1.24、95%CI:0.84~1.82)。・統合心理療法と人間主義的療法との比較は1試験のみで、解析では行動療法との間に有意差は示されていなかった。・以上のように、行動療法とその他心理療法の有効性は同程度であるという低~中のエビデンスがみつかった。行動療法の相対的な有益性と有害性を評価する現状のエビデンスベースは非常に弱いものであった。・本検討の治療に対する反応と中止に関連したキーアウトカムに関して、効果サイズと精度はいずれも信頼に限りがある。試験参加者が大規模で、試験デザインと治療に対する精度が改善されれば、本レビューにおけるエビデンスの質は改善されるだろう。関連医療ニュース 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常

 抗精神薬に関連する代謝系の長期副作用に関するデータは不足している。英国・King's College LondonのRocio Perez-Iglesias氏らは、初回エピソード精神病患者を対象に、抗精神病薬投与後の体重増加および代謝異常の出現状況について検討した。その結果、最初の1年間に著しい体重増加が認められ、代謝に関しては総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリドなどの脂質異常を認めたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬投与後、最初の1年間は体重増加と代謝パラメータの変動に注意を要することが示唆された」と述べ、また「体重増加の経過を明らかにすることは、抗精神病薬に関連する代謝系有害事象の防止または軽減を目的とした研究における有用な情報となるであろう」とまとめている。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 研究グループは、治療歴のない初回エピソード精神病患者を対象とした前向き長期試験は、抗精神病薬投与前の状況を把握でき、かつ交絡因子の影響が少ないという点で貴重な情報といえる、として本検討を行った。試験は、抗精神病薬投与開始後3年間における体重増加の経過および代謝異常の出現頻度を評価することを目的とした。初回エピソード精神病患者170例のコホートを、ハロペリドール群(32%)、オランザピン群(32%)、リスペリドン群(36%)に無作為化し、可変用量を投与した。初期治療は、臨床効果と忍容性を考慮し、必要に応じて変更された。 主な結果は以下のとおり。・3年時点における平均体重増加は12.1kg(SD:10.7)であった。・最初の1年間における体重増加が著しく(平均総体重増加量の85%)、その後は次第に安定した。・総コレステロール、LDL-コレステロールおよびトリグリセリド値は同様の推移を示し、最初の1年間においてのみ有意な増加がみられた。・血糖パラメータの有意な変化は認められなかった。・糖尿病の家族歴を有する2例で、2型糖尿病の発症がみられた。・短期評価において、体重増加と関連する因子は「BMI低値」「男性」「オランザピン投与」であった。・長期評価において、「機能的状態」と「臨床効果」が主要な予測因子であることが示された。関連医療ニュース 抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

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統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

 統合失調症の病態に脳の炎症は関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のIris E. Sommer氏らは、抗炎症薬による統合失調症の症状軽減効果を評価するため、臨床試験26件について解析を行った。その結果、アスピリン、N-アセチルシステイン、エストロゲン製剤において、症状の重症度に対し有意な改善効果が認められることを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 統合失調症の炎症説は新しいものではないが、最近、統合失調症の病因における免疫系の役割を示唆するデータが多く発表されており、再び注目を集めている。脳における炎症の増強が統合失調症の症状に関与しているとするならば、炎症の抑制は臨床経過を改善しうると考えられる。実際、最近、数件の試験において、抗炎症薬が統合失調症の症状を改善しうるか否かが検討されていた。本研究では、これまでに実施された臨床試験を基に、統合失調症の症状に及ぼす抗炎症薬の有効性に関する最新情報を調査した。PubMed、Embase、the National Institutes of Health のウェブサイト(http://www.clinicaltrials.gov)、Cochrane Schizophrenia Group entries in PsiTriおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用いてデータベース検索を行った。検索対象は、臨床アウトカムを検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験に限定した。主な結果は以下のとおり。・適格試験は26件が抽出された。・アスピリン、セレコキシブ、ダブネチド(国内未承認)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸、エストロゲン製剤、ミノサイクリンおよびN-アセチルシステイン(NAC)について、症状の重症度に及ぼす影響を調査した。・そのうち、アスピリン(重み付け平均効果サイズ[ES]:0.3、270例、95%CI:0.06~0.537、I2=0)、エストロゲン製剤(ES:0.51、262例、95%CI:0.043~0.972、I2=69%)およびNAC (ES:0.45、140例、95%CI:0.112~0.779)において、有意な効果が認められた。・セレコキシブ、ミノサイクリン、ダブネチドおよび脂肪酸では、有意な効果が認められなかった。・以上より、抗精神病薬へのアスピリン、NAC、エストロゲン製剤の追加は有望だと思われた。・これら3製剤は、いずれも非常に幅広い活性を有している。症状の重症度に対する有益な効果が、真にその抗炎症作用を介したものであるか否かを検討する必要がある。関連医療ニュース 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与

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抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは

 第二世代抗精神病薬(SGA)により誘発される、インスリン分泌異常の主要機序について、オーストラリア・ウーロンゴン大学のKatrina Weston-Green氏らがレビューの結果を報告した。部分的な中枢および末梢神経でのムスカリンM3受容体(M3R)の阻害によると考えられ、M3Rが初期にインスリン分泌とグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中に次第にインスリン抵抗性や糖尿病に結びつく可能性があるという。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月10日号の掲載報告。第二世代抗精神病薬のM3Rに対する結合親和性が糖尿病リスクの予測因子 第二世代抗精神病薬は、さまざまな疾患に広く処方されているが、中心となるのが統合失調症と双極性障害である。第二世代抗精神病薬は、グルコース代謝異常を来し、インスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすという副作用があるが、その機序についてはほとんどわかっていない。研究グループは、その主要機序および治療ターゲットとして、アセチルコリン(Ach)受容体のうちM3Rの可能性についてレビューした。 第二世代抗精神病薬がインスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすとい主要機序についてレビューした結果は以下のとおり。・M3Rに対する第二世代抗精神病薬の結合親和性が、糖尿病リスクの予測因子であることが特定された。・オランザピン、クロザピンは、副作用として糖尿病の臨床発生率が最も高いが、強力なM3Rアンタゴニストであった。・膵臓のM3Rは、グルコース刺激インスリン分泌のコリン作動性経路を調整する。すなわち、β細胞の活性化がインスリン分泌を促進する一方で、M3R阻害がインスリン分泌を減少する。・マウス試験において、遺伝子組み換えM3Rは、インスリン濃度と耐糖能に強い変化をもたらした。・オランザピンは、視床下部や尾方脳幹の各核レベル、膵臓の迷走神経系支配を介してグルコースホメオスタシスおよびインスリン分泌を調整する部位の、M3R濃度を変化させる。・さらに、M3Rは、グルコースホメオスタシスに影響する主要なポジションに位置しており、膵β細胞への直接的な作用や、視床下部や脳幹におけるシグナル伝達を変えることが可能である。・SGAによって誘発されたインスリン分泌障害は、一部で中枢および末梢神経のM3R阻害による可能性がある。M3R阻害がインスリン分泌やグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中にインスリン抵抗性や糖尿病へと次第に結びついていく可能性がある。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学/a> 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

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初回エピソード統合失調症患者はプロラクチン値が高い

 プロラクチンは精神医学分野において大きな注目を集めているホルモンである。ドパミン阻害の抗精神病薬に対して血清プロラクチン値上昇がしばしばみられる一方で、血清プロラクチン値の減少は抗精神病薬の効果を反映するとみなされている。しかし、未治療の初回エピソード統合失調症(FES)患者のベースライン時のプロラクチン値を調べた調査は、これまで限られていた。トルコ・Namik Kemal大学のYakup Albayrak氏らは、初の実証研究として検討を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月7日号の掲載報告。 本検討は、未治療のFES患者におけるベースライン時のプロラクチン値を調べること、また、FES患者と非治療(drug-free)統合失調症(DFS)患者、および健常対照者(HC)とのプロラクチン値の格差を調べることを目的とし、トルコのGolbasi Hasvak and Kirklareli州立病院で行われた。被験者に対しては臨床検査と個別面談を行った。そして全薬物治療を開始する前に、8時~10時の間に静脈血5mLを採血し血清プロラクチン値を測定(ラジオイムノアッセイ[RIA])した。 主な結果は以下のとおり。・被験者はいずれも男性で、FES群30例、DFS群41例、HC群32例であった。平均年齢はDFS群が、より高かった。・簡易精神症状評価尺度(BPRS)の平均スコアは、FES群でより高値であった。また、陰性症状評価尺度の平均スコアは、DFS群でより高値であった。・プロラクチンの平均値は、FES群(34.1±19.9ng/dL)が、DFS群(17.9±6.5ng/dL)およびHC群(9.7±2.3ng/dL)と比べて有意に高かった(F=35.5、p<0.001)。また、平均血清プロラクチン値は、DFS群がHC群よりも有意に高かった(p<0.001)。・上記の結果を踏まえて、著者は「統合失調症患者は初回エピソードの間、プロラクチンが保護因子として作用している可能性がある。統合失調症におけるプロラクチンの役割について、さらなる研究が必要である」と結論している。関連医療ニュース 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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青年期の外傷性脳損傷後3年時点で24.3%が持続痛

 青年期における外傷性脳損傷(TBI)後の持続痛の実態について調べた結果、受傷後3年の時点で24.3%が持続痛を有しており、長期の健康関連のQOL低下と関連していることなどが明らかにされた。米国・ワシントン大学のSee Wan Tham氏らによる報告で、同様の検討はこれまで行われていなかったという。Journal of Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年8月2日号)の掲載報告。 TBIは小児の身体障害の主要な原因である。持続痛は重大な損傷後合併症と認識されているにもかかわらず、青年期の損傷後疼痛に関するデータは不足していた。そこで研究グループは、青年期におけるTBI後の持続痛の有病率を調べ、疼痛リスク因子を特定し、青年期疼痛の健康関連QOLへの影響について評価する初の調査を行った。 軽度~重度のTBIを経験した若者144例について、受傷後36ヵ月超追跡し、3、12、24、36ヵ月時の疼痛強度、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、健康関連QOLについて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本検討は、若者のTBI後持続痛の有病率について長期にわたって追跡調査し、またその健康関連QOLへの影響について調べた初の調査である。・TBI後のすべての評価時点(3、12、24、36ヵ月)で持続痛(通常疼痛強度≧3/10と定義)を報告した若者は、24.3%であった。・36ヵ月時点で持続痛を有する予測因子は、女性(オッズ比:2.73、95%信頼区間:1.12~6.63)、受傷後3ヵ月時点での抑うつ症状が高値(同:1.26、1.12~1.43)であった。・混合線形モデルによる評価の結果、TBI後3ヵ月という早期の時点で痛みを有していることが、長期の不良な健康関連QOLと有意に関連していることが示された。・以上の結果から、TBIを有した若者について、タイムリーな評価、および疼痛の発現および影響を最小限とするための介入がベネフィットにつながることが示唆された。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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自殺リスクが低い食事パターン~日本人での研究

 食事パターンはうつ病と関連するが、自殺リスクとの関連を調べた研究はまだない。JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)グループの南里 明子氏らは、食事パターンと自殺による死亡との関連を前向きに調査し、British Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月10日号に報告した。本研究では、野菜、果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海藻、魚介類の摂取量が多い食事が、自殺による死亡リスクの低下と関連している可能性が示唆された。 参加者は、JPHC研究の2次サーベイ(1995~1998年)に参加した男性4万752人および女性4万8,285人。食物摂取頻度調査票によって134種類の食品と飲料の消費量を確認し、主成分分析により食事パターンを調査した。追跡期間の4年目から2005年12月まで自殺のハザード比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男女とも、野菜、果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海藻、魚介類の摂取量が高い“prudent”な食事パターンが、自殺リスクの低下と関連していた。・食事パターンスコアの4分位最高区分の最低区分に対する自殺の多変量補正ハザード比は0.46(95%CI:0.28~0.75、傾向のp=0.005)であった。・ほかの食事パターン(西洋化された食事と伝統的な日本食)は自殺リスクと関連していなかった。

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脳卒中介護者へのプログラムを入院中から導入してみると…/Lancet

 先行研究において、脳卒中後“退院”患者の身体的改善や、家族介護者の身体的負担の軽減ならびに不安やうつ病の減少効果が報告された、介護者への訓練プログラム(London Stroke Carers Training Course:LSCTC)について、同プログラムを入院中から行うこと(構造化訓練プログラム:TRACS)の費用対効果を検討した結果、通常ケアと変わらなかったことが明らかにされた。英国・ブラッドフォード教育病院NHS財団トラスト&リード大学のAnne Forster氏らが、クラスター無作為化比較試験および費用対効果分析の結果、報告したもので、「脳卒中直後は、構造化介護者訓練を提供する好機ではない可能性が示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。入院中からの構造化訓練プログラムの効果を検討 脳卒中既往患者の大半は、日常生活に関して主として家族であるインフォーマルな介護者に依存している。TRACS試験は、介護者への訓練プログラムLSCTCについて、脳卒中後機能障害を有する患者と介護者の身体的および精神的アウトカムを、費用対効果を含めて調べることが目的であった。試験は、脳卒中ユニットに介入を行うプラグマティックな多施設クラスター無作為対照試験で費用対効果の検討も併せて行われた。 試験適格とした脳卒中ユニットは、ユニット規定基準5つのうち4つを満たしており、ユニット患者の大半が脳卒中と診断されていること、スタッフがLSCTCを提供でき、患者の大半は退院後自宅に戻ることを要件とした。 主要アウトカムは、患者については、6ヵ月時点の日常生活動作について、Nottingham Extended Activities of Daily Living(NEADL)スケールで測定した自己申告評価とし、介護者については、介護者負担スケール(CBS)で測定した自己申告の負担であった。介入群と対照群で費用対効果も含めて有意な差はみられず 49の脳卒中ユニットについて試験適格性を評価し、36のユニットを介入群と対照群に無作為に割り付けた。 2008年2月27日~2010年2月9日の間に、928組の患者と介護者のペアが登録された。介入群は450組、対照群は478組だった。 日常生活動作の拡大を自己申告した患者は、6ヵ月時点において両群で差はなかった。補正後平均NEADLスコアは、介入群27.4、対照群27.6で、差は-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.0~2.5、p=0.866)であった。 介護者負担スケールも有意差はみられなかった。補正後平均CBSは、介入群45.5、対照群45.0で、差は0.5ポイント(95%CI:-1.7~2.7、p=0.660)であった。 患者と介護者のコストは、両群において同程度であった。初期脳卒中入院期間と関連コストは、介入群1万3,127ポンド、対照群1万2,471ポンドで、補正後平均差は1,243ポンド(95%CI:-1,533~4,019、p=0.380)。QALYに基づく費用対効果の可能性は低かった。

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統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

 統合失調症では認知機能障害が一般的にみられる。しかし、初回エピソード患者におけるこれら障害の長期転帰の予測因子は不明であった。スウェーデン・ウプサラ大学のRobert Boden氏らは、初回エピソード統合失調症患者の5年後アウトカムの予測因子としての思考力の低下および認知機能障害について調べた。その結果、思考速度が社会性や症状寛解に関する長期転帰と関連していることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード統合失調症と診断され、臨床的症状が安定した患者46例について、総合的認知機能(Synonyms, Reasoning, and Block Design:SRB)、思考速度(Trail Making Test:TMT、およびフィンガータッピング)、言語学習(Claeson-Dahl Verbal Learning Test)について評価した。また、5年後の転帰は、自立生活、職業的機能、社会性、症状寛解に関して評価した。 主な結果は以下のとおり。・思考速度の低下が、5年後の社会性の低下と関連していた。抗精神病薬使用で補正後のオッズ比(OR)は3.37(95%信頼区間[CI]:1.08~10.51)であった。・利き手ではない手のフィンガータッピングの成績が良好であることは、5年後の症状の非寛解リスク増大と関連していた(補正後OR:0.42、95%CI:0.19~0.96)。・職業的機能と自立生活は、評価したいずれのテストとも関連がみられなかった。関連医療ニュース 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か? 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

 スペイン・オビエド大学のMaria P. Garcia-Portilla氏らは、統合失調症および双極性障害患者を対象とし、重度精神障害患者の機能評価ツールとしてUniversity of California Performance Skills Assessment(UPSA)スペイン版の信頼性、妥当性の評価を行った。その結果、UPSAスペイン版はその他の機能評価ツールと良好な相関を示し、信頼性の高い検証ツールであり、「機能アウトカムのモニタリング手段として臨床試験および日常診療での活用が望ましい」と報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 重度精神障害患者における、UPSAスペイン版の検証を目的とし、自然的、6ヵ月間フォローアップ、多施設共同、バリデーション試験を行った。対象は、統合失調症患者139例、双極性障害患者57例、対照31例とし、スペイン版UPSA(Sp-UPSA)、Clinical Global Impression, Severity(CGI-S)、Global Assessment of Functioning(GAF)および Personal and Social Performance(PSP)などのスケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。<信頼性>・統合失調症における内部整合性(クロンバックのα係数)は0.81、双極性障害では0.58であった。Test-retestは、それぞれ0.74、0.65(p<0.0001)であった。<構成のValidity>・Sp-UPSAとPSP総スコア間のピアソン相関係数は、統合失調症が0.42(p<0.0001)、双極性障害が0.44(p=0.001)であった。・Sp-UPSAとGAFスコアの相関係数は、それぞれ0.43、0.52(p<0.0001)であった。<弁別的Validity>・ Sp-UPSAにより、患者と対照が識別された。・統合失調症患者において、CGI-Sスコアによる疾患重症度の相違が識別された。・統合失調症における対照/患者の曲線下面積は0.89、カットオフ値85における感度は82.7%、特異度は77.4%であった。・双極性障害における対照/患者の曲線下面積は0.85、カットオフ値90における感度は82.5%、特異度は64.5%であった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は

 喫煙者の多くにうつ病がみられる。米国のRobert M. Anthenelli氏らは、うつ病を有する喫煙者に対し禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)を使用した際の、禁煙率および気分・不安レベルの変化について検討を行った。Annals of internal medicine誌2013年9月13日号の掲載報告。 本試験は、第4相多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験。対象は、8ヵ国38医療機関の、大うつ病に対する治療中または治療歴があり、現在、心血管イベントを認めない成人喫煙者525例であった。抗うつ薬の使用とベースライン時のうつ病重症度で層別化した被検者を、1ブロック4例にランダム化し、バレニクリン1mgを1日2回またはプラセボを12週間投与し、40週間無治療としてフォローアップした。主要アウトカムは、9~12週の一酸化炭素確認による持続的な禁煙率(CAR)とした。また、無治療フォローアップ期間中のCAR、気分、不安、自殺企図または自殺行為の状況についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・バレニクリン群の68.4%、プラセボ群の66.5%が試験を完了した。・バレニクリン群はプラセボ群と比較して、9~12週のCAR(35.9%vs. 15.6%、オッズ比[OR]:3.35、95%CI:2.16~5.21、p<0.001)、9~24週のCAR(25.0%vs. 12.3%、OR:2.53、95%CI:1.56~4.10、p<0.001)、および9~52週のCAR(20.3%vs. 10.4%、OR:2.36、95%CI:1.40~3.98、p=0.001)が高かった。・自殺企図または自殺行為の状況に2群間で差はなく、各群ともうつまたは不安の悪化はみられなかった。・最も高頻度に発現した有害事象は悪心であった(バレニクリン群27.0%、プラセボ群10.4%)。・無治療期間に、バレニクリン群の2例が死亡した。・本試験では、いくつかのデータが欠落しており、件数が低いイベントに関しては群間差の検出力が低かった。また、うつ病に対し未治療の喫煙者、精神疾患発症例、または気分安定薬および抗精神病薬の投与例を除外していた点でも試験に限界があった。・以上を踏まえて、著者は「うつ病を有する喫煙者に対し、バレニクリンはうつ病や不安を悪化させることなく禁煙率の向上に寄与することが示された」と結論した。関連医療ニュース うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?! 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

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日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学

 欧米では、健常者と比較して、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者における肥満やメタボリック症候群の有病率が高い。しかし日本では、そもそも一般集団の過体重および肥満の有病率が、欧米と比較してかなり低い。新潟大学の鈴木雄太郎氏らは、日本の統合失調症入院患者について調査を行い、低体重の患者の割合が一般集団と比較して高いことを明らかにした。結果を受けて著者は「入院患者の身体的健康について、診療でより考慮する必要がある」と報告している。Psychiatry and Clinical Neurosciences(PCN)誌オンライン版2013年9月2日号の掲載報告。 研究グループは、日本の統合失調症入院患者における、低体重および過体重/肥満の有病率について調査した。被験者は統合失調症入院患者と、年齢・性で適合した健常ボランティア対照であった。BMI 値25以上を過体重/肥満、18.5~25未満を標準体重、18.5未満を低体重と定義した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者333例、健常対照191例について調べた。・両群間において、3つの体重定義の有病率に有意差が認められた(p<0.001)。・低体重の有病率は、統合失調症患者群が対照群と比べて有意に高率であった(p<0.001)。・また、統合失調症患者群のほうが対照群よりも、低タンパク血症(p<0.001)、低コレステロール血症(p<0.001)の有病率が有意に高率であった。・さらに統合失調症患者群において、低体重群における低トリグリセリド血症の有病率が、標準体重群および過体重/肥満群よりも有意に高率であった(各々 p=0.003、p<0.001)。・以上の結果を踏まえて著者は、「日本の統合失調症入院患者における低体重の有病率は、一般集団より高率の可能性がある。したがって、臨床診療において入院患者の身体的健康について、より慎重に考慮する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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