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日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

 わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。 新規抗精神病薬の開発臨床試験(有効性試験)では、多くの場合、対象患者が限定される傾向にある。さらに、有効性試験では、短期間の精神症状スコアの変化と副作用が独立して評価される。このような試験結果を日常診療で一般化することは難しい。だが、統合失調症の長期的治療目標は、患者の社会活動を含むQOLの改善である。こうした中、長期転帰に関する有効性の検証がますます重要になってきている。 欧米諸国では、オランザピンやリスペリドン、他のSGA、第一世代抗精神病薬(FGA)と比較した研究が蓄積されている。しかし、日本においては、まだ大規模な有効性試験は行われていない。また、近年発売されたアリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンによる長期転帰に関するデータは十分でない。そこで、著者らはこれら3剤の長期的な有効性を検討するため、JUMPs試験を実施することとした。 主な試験概要は以下のとおり。・本研究は、日本の医療環境下における、SGAの長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同無作為化比較試験。・対象は、3剤の経口薬(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)のうちいずれかで104週間治療を実施した20歳以上の統合失調症患者(他剤からの切り替え症例を含む)。・目標症例数300例。・一次エンドポイントは、任意の原因による治療中止率。二次エンドポイントは寛解率、社会活動の改善、緩和、精神症状の悪化や再発、安全性。関連医療ニュース 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

 セロトニン経路は、抗うつ薬が効果を発揮する際にきわめて重要な役割を担っており、セロトニン受容体およびトランスポーター遺伝子の多型が重要な因子として特定されてきた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJulia Staeker氏らは、うつ病患者の臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験のデータを用いて検討を行った。その結果、セロトニン経路の受容体およびトランスポーター多型が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の効果ならびに副作用と関連していることを報告した。Genetic Testing and Molecular Biomarkers誌オンライン版2013年11月5日号の掲載報告。 研究グループは、臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験において検討を行った。精神科入院患者273例の効果と副作用に関して、5-hydroxytryptamine transporter(5-HTT)の縦列反復変数(variable number of tandem repeats:VNTR)、5-HTTLPR/rs25531、5-HTR2A intron 2 SNPの影響を調べた。Clinical Global Impression(CGI)、Paranoid-Depression Scale (PD-S)、自己評価尺度およびDosage Record, and Treatment Emergent Symptoms(DOTES)Scaleなどの尺度を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。・SSRIによる治療を受けている患者100例において、5-HTTLPR/rs25531 S/LGアレルと効果および副作用との間に有意な関連が認められた(CGI-I≦2:0%vs. 19%、p=0.037/DOTES cluster c:0.76 vs. 0.19、p=0.0005)。・5-HTT VNTRおよび5-HTR2A intron 2 多型は、選択的および非選択的SRIの治療を受けている患者の副作用と有意に関連していた(5-HTT VNTR 12/12:170例、副作用発現率:51% vs. 19%、p=0.0001/rs7997012[A/A]:50例、副作用発現率:43% vs. 11%、p=0.020)。・ミルタザピン治療に関しては、遺伝子多型の影響はみられなかった。・セロトニン経路の受容体およびトランスポーターの遺伝子多型が、SSRIの効果と副作用に影響を及ぼすことが確認された。今回の結果は、さまざまな試験デザインで実施されたこれまでの試験の結果を支持するものであった。今回のような自然的研究でも明確な結果が臨床的に確認されたが、遺伝子多型の状況を治療前にスクリーニングすることの臨床的有用性に関しては、無作為化対照試験により明らかにする必要があると、著者は最後にまとめている。関連医療ニュース 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

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いま一度、抗精神病薬ピモジドを評価する

 ピモジドは1960年代に製剤化され、統合失調症あるいは妄想性障害のような統合失調症関連疾患に対する治療薬として市場に供された。ただし、心毒性や突然死との関連がみられるため、現在、本剤の使用前および使用中は心電図モニタリングが必要とされる。英国・シークロフト病院のMeghana Mothi氏らは、統合失調症に対するピモジド(商品名:オーラップ)の有効性を明らかにするため、Cochrane Schizophrenia Group's Registerを用いて代表的な無作為化臨床試験のレビューを行った。その結果、データに不備はあるものの、ピモジドはその他の一般的に用いられている抗精神病薬と同程度の有効性を示すことが確認されたことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年11月5日号の掲載報告。  本研究の主な目的は、統合失調症またはその関連疾患患者において、ピモジドの効果を、プラセボ、無治療、その他の抗精神病薬の効果と比較レビューすることであった。また、妄想性障害に対するピモジドの有効性についても検討した。Cochrane Schizophrenia Group's Register の2013年1月28日時点のデータをもとに、ピモジドとその他の治療について比較検討した代表的な無作為化臨床試験(RCT)すべてを検索した。入手した文献を精査し、臨床試験および抽出されたデータの質を評価した。均質な二分性のあるデータについては、相対リスク(RR)、95%信頼区間(CI)および平均差(MDs)を算出した。50%以上の期間を追跡できなかったデータは除外し、臨床試験のバイアスを評価してエビデンスの質をグレード分類した。 主な結果は以下のとおり。・合計32件の試験が抽出された。<ピモジドとプラセボの比較試験>・5件の試験が該当した。・再発の状況が示されていたのは1件のみで(1試験、20例、RR:0.22、95%CI:0.03~1.78、エビデンスの質きわめて低い)、中期において2群間で差はなかった。・改善を認めないという結果、あるいは精神状態の一級症状がみられた試験は1件もなかった。・短期(1試験、19例、RR:5.50、95%CI:0.30~101.28、きわめて低い)または中期(1試験、25例、RR:1.33、95%CI:0.14~12.82、きわめて低い)におけるパーキンソニズム(固縮)、中期(1試験、25例、RR:1、95%CI:0.2~4.95、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況について2群間で差はなかった。・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。<ピモジドと抗精神病薬との比較>・26件の試験が該当した。・7件で中期の再発状況が示されており、それらの結果において2群間で差はなかった(7試験、227例、RR:0.82、95%CI:0.57~1.17、中程度)。・1件の試験で、中期(1試験、23例、RR:1.09、95%CI:0.08~15.41、きわめて低い)の精神状態(改善なし)において、2群間で差はみられなかった。・その他の試験では、中期(1試験、44例、RR:0.53、95%CI:0.25~1.11、低い)の一級症状において2群間で差はみられなかった。・短期(6試験、186例、RR:1.21、95%CI:0.71~2.05、低い)、中期(5試験、219例、RR:1.12、95%CI:0.24~5.25、低い)のパーキンソニズム(固縮)、または中期(4試験、174例、RR:1.46、95%CI:0.68~3.11、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況に2群間で差はなかった。・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬単独との比較>・1件の試験が該当した。・ピモジドと抗精神病薬の併用療法は、中期の再発が有意に少なかった(1試験、69例、RR:0.28、95%CI:0.15~0.50、低い)。・精神状態のアウトカム、錐体外路症状に関する記載はなかった。・メタ解析にQOLが含まれていなかったが、それとは別にQOLスコアのデータが示されており、データに歪みがみられた。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬+プラセボの比較>・2件の試験が該当した。・中期のパーキンソニズムとSpecific Level of Functioning scale(SLOF)によるQOLを除き、興味を引くデータはなかった。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬2剤併用の比較>・1件の試験が該当した。・一般状態および精神状態に関する興味深いデータはなかった。・Extrapyramidal Symptom Rating Scale(ESRS)を用いてパーキソニズム(固縮と振戦)に関するデータが示されていたが、歪みがみられた。・以上を踏まえて著者は、「データに明らかな不備もあったが、異なるアウトカムやタイムケールにおいて全体的に十分な一貫性があり、統合失調症患者に対して一般的に使用されているクロルプロマジンなどと同様の有効性がピモジドにおいてもあることが確認された」と結論している。なお、妄想性障害に対するピモジドの使用を支持または否定するデータはなかったという。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証  担当者へのご意見箱はこちら

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抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

 一般的に、抗うつ薬が効果を発現するまでには2週間程度を要するといわれている。そのようななか、選択的セロトニン2C(5-HT2C)拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリングを強化する作用により、速やかな抗うつ効果の発現を呈することが明らかにされた。米国・シカゴ大学のM D Opal氏らがマウス試験の結果、報告した。現在の抗うつ薬は、治療効果がみられるまでに数週間の投与を必要とする。Molecular Psychiatry誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、マウス試験により、5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現について、発現までの期間や作用機序について検討した。 主な知見は以下のとおり。・5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現までの期間は5日と、現在の抗うつ薬の14日よりも速やかであった。・5-HT2C拮抗薬による亜慢性治療(5日間)により、抗うつ行動をもたらす効果があることが、慢性強制水泳検査(cFST)、慢性軽度ストレス(CMS)パラダイム、嗅球摘出パラダイムにおいて認められた。・また同治療により、抗うつ活性の従来マーカーである、cAMP応答配列結合タンパク(CREB)の活性、内側前頭前皮質(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現にも変化がみられた。・これらの効果発現は、プロトタイプの選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)シタロプラム(国内未承認)の亜慢性治療ではみられなかった。・mPFCにおけるBDNFの誘発には、中脳腹側被蓋野への5-HT2C拮抗薬の局注で十分であった。一方でドーパミンD1受容体拮抗薬治療は、5-HT2C拮抗薬の抗うつ活性効果を阻害することが認められた。・また、5-HT2C拮抗薬は、哺乳類において標的となるmPFCにおけるラパマイシン(mTOR)と真核生物伸長因子2(eEF2)を惹起することにより、迅速な抗うつ活性に結びついていた。・さらに、5-HT2C拮抗薬は、CMSによって誘発されたmPFC錘体神経細胞の萎縮を改善した。・亜慢性SSRI治療(抗うつ行動の効果をもたらさない)も、mTORとeEF2を活性化し、CMSによって誘発された神経萎縮を改善したが、これらの効果は抗うつ効果の発現として認めるには不十分なものであった。・以上のように、5-HT2C拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリング強化という作用により、一般に考えられているように効果が速やかな抗うつ薬であることが明らかにされた。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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「選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬」薬物動態の研究

 新規の抗精神薬として開発された選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬であるJNJ-37822681。ベルギー・ヤンセン・ファーマスーティカ社のEef Hoeben氏らは、健常者および統合失調症患者におけるJNJ-37822681の薬物動態を明らかにするために、母集団薬物動態モデルを開発し、最適用量を特定することを目的とした。その結果、5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量であること、10mgの1日2回投与は有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうる用量であると思われたことを報告した。Clinical Pharmacokinetics誌2013年11月号の掲載報告。  3件の第I相試験と2件の第II相試験に登録された被験者378例よりデータを収集した。非線形混合効果モデルNONMEMを用い、母集団薬物動態パラメータおよびこれらパラメータに及ぼす共変量の影響を推定した。第IIb相試験における各被験者の定常状態での分布をシミュレーションした。第IIb相以降の試験における用量設定の助けとして、過去に実施された[(11)C]raclopride positron emission tomography(PET)試験で確立されたシグモイドmaximumエフェクトモデルから得られた薬力学パラメータと模擬曝露を合わせてD2受容体占拠状況をシミュレーションした。 主な結果は以下のとおり。・2-コンパートメントモデルにより、ベストフィットなデータが得られた。 ・有意な共変量は、性別、見かけのクリアランスに対するバイオアベイラビリティ、吸収速度定数に対する食事の影響であった。・女性は男性と比べ、クリアランスが11%高かった。・第IIb相試験で推定された薬物動態パラメータは、第IIa相試験で観察されたものと同様であった。・10mg、1日2回投与時のD2受容体占拠率は65~80%の範囲と推定された。また、20および30mg、1日2回投与時の占拠率は部分的または完全に80%に達した。・母集団薬物動態モデルによりJNJ-37822681の薬物動態が明らかとなり、第IIb相試験において信頼のおける用量を特定できた。・JNJ-37822681の5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量と思われた。10mg、1日2回投与は、有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうるようであった。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か

 慢性または再発性大うつ病性障害(MDD)患者は、治療選択肢の不足に直面している。韓国・カトリック大学のChi-Un Pae氏らは、慢性または再発性MDD患者におけるアリピプラゾールによる増強療法の有効性と忍容性を評価する、12週間の前向き多施設オープンラベル試験を実施した。その結果、服用中の抗うつ薬へのアリピプラゾールの追加は有効で忍容性も良好であることを報告した。International Clinical Psychopharmacology誌2013年11月号の掲載報告。 本研究では、慢性または再発性MDD患者において、現在服用中の抗うつ薬の効果増強をねらい、用量調節可能なアリピプラゾールを追加した際の有効性と忍容性を評価することを目的に行われた。有効性の主要評価項目は、ベースライン時と最終評価時(12週時)のモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)総スコアの差とした。試験期間中に発現した有害事象(AEs)についても記録した。 主な結果は以下のとおり。・MADRS総スコアは、ベースライン時に比べ最終評価時は、有意に低下していた(差:-11.6、p<0.0001)。・最終評価時の奏効率は55.2%、寛解率は41.3%であった。・1週目から最終評価時まで、アリピプラゾールの追加は、寛解と有意な治療反応性に関連していた。・アリピプラゾールを服用した患者の半数以上(55.8%)が試験を完了した。・有害事象のために試験を中止した患者は比較的少なかった。・反応性が不良のために試験を中止した患者はなかった。・主な有害事象は、頭痛、アカシジア、不眠、便秘であった。・最終評価時のアリピプラゾールの平均用量は6.6mg/日であった。・以上を踏まえて著者は「慢性または再発性MDD患者に対し、アリピプラゾールの追加は有効かつ忍容性が良好であると思われる」と結論した。そのうえで「本結果を確認するため、検出力を有する比較試験の実施が求められる」とまとめている。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」:産業医大

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統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学

 富山大学の高橋 努氏らは、精神病発症危険状態(at-risk mental state:ARMS)の人においても、統合失調症患者でみられるような下垂体体積の増大が認められることを、MRIを用いた調査の結果、明らかにした。統合失調症で報告されている下垂体体積の増大は、視床下部-下垂体-副腎機能の亢進を示すものとされている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号の掲載報告。 研究グループは、ARMSの22例(男性11例、女性11例)と初回エピソード統合失調症患者64例(FE統合失調症群:男性37例、女性27例)、健常対照86例について、MRIを用いて下垂体の体積を調べた。対照群の被験者は、年齢および性を適合させて、ARMS群(男性11例、女性11例)とFE統合失調症群(男性37例、女性27例)に分けられた。  主な結果は以下のとおり。・ARMS群とFE統合失調症群は、適合対照群と比較して、下垂体体積がより大きかった。・下垂体体積について、ARMS群とFE統合失調症群の間に差は認められなかった。・ARMS群とFE統合失調症群いずれにおいても、下垂体体積と臨床変数(スキャニング時の症状、抗精神病薬の1日投薬量または期間)との間に関連性はなかった。・下垂体体積は、その後に統合失調症を発症したARMS被験者(5例)と、発症しなかったARMS被験者(17例)の間に有意な差はなかった。・下垂体体積は、全被験者(ARMS群とFE統合失調症群)において、男性よりも女性のほうがより大きかった。・以上の結果から、ARMSとFE統合失調症の両者において認められる下垂体体積の増大は、精神疾患早期のストレスに対する一般的な脆弱性の指標となる可能性が示唆された。・大集団ARMSを対象としたさらなる検討を行い、下垂体体積と精神疾患発症との関連について調べる必要がある。関連医療ニュース 統合失調症、双極性障害の家族特性を検証! 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定

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内科医と精神科医との連携が、通院患者の健康不安を改善/Lancet

 慢性疾患で通院中の患者の健康不安に対する認知行動療法は、不安症やうつ病への持続的な効果があることが多施設無作為化試験の結果、示された。コストへの有意な影響はなかったという。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのPeter Tyrer氏らが報告した。これまで、健康不安を訴え精神科部門に紹介受診する患者について、セラピストによる専門的な認知行動療法により、一部ではあるが特異的なベネフィットがあることが報告されていた。しかし通院治療中の患者に対する効果については、きちんと検討されたことはなかったという。Lancet誌オンライン版2013年10月18日号掲載の報告より。1年時点の健康不安改善状況と、2年間のコスト面について評価 本検討は、有効性が示されたパイロット試験を踏まえて行われた。試験は、2次機能を有する医療機関において循環器、内分泌・代謝、消化器、脳神経、呼吸器の部門に通院中の健康不安を有する16~75歳の患者を対象とした多施設無作為化試験であった。被験者は、病院周辺の地域住民で、慢性疾患で通院中の、病状が安定している患者を対象とした。 適格患者となった患者はコンピュータで無作為に、通院先の病院のセラピストによる認知行動療法(5~10回のセッション)を受ける群と通常の治療のみを受ける群に割り付けられ追跡を受けた。 主要アウトカムは、1年時点の健康不安症状の変化(Health Anxiety Inventory[HAI]で評価)であった。また主要副次仮説として、2年間の健康・社会的ケアコストの総額に差異がないこと(同等性マージン:150ポンド)についても評価した。健康不安の標準レベルへの改善達成、認知行動療法群が通常ケア群の約2倍 21ヵ月間(2008年10月~2020年7月)に2万8,991例の患者がスクリーニングを受け、444例が無作為化された(認知行動療法群219例、通常ケア群225例)。このうち主要評価には、認知行動療法群205例、通常ケア群212例が組み込まれた。 結果、1年時点の健康不安の改善は、認知行動療法群のほうが通常ケア群よりも2.98ポイント高かった(95%信頼区間[CI]:1.64~4.33、p<0.0001)。健康不安が標準レベルに改善した人の割合は、認知行動療法群のほうが通常ケア群より約2倍多かった(13.9%vs. 7.3%、オッズ比[OR]:2.15、95%CI:1.09~4.23、p=0.0273)。同様の差は、6ヵ月時点、また2年時点でもみられた。 また全般的不安(HADS-Aで評価)も改善がみられ、うつ病も健康不安でみられたほどの差はないが認知行動療法群での改善がみられた。 死亡は9例で、6例が通常ケア群であった。死亡は全例、既往の疾患によるものであった。 社会的機能や健康関連QOLについては、両群で有意な差はみられなかった。 2年間の総コストについて同等性は得られなかったが、有意差はなかった(補正後平均差156ポンド、p=0.848)。

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非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学

 抑うつ症状とメタボリックシンドローム(MetS)との関連については依然議論のあるところである。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座の竹内 武昭氏らは、日本人男性における抑うつ症状とMetSの関連について、非定型うつ病またはそれ以外の大うつ病性障害(MDD)に分けて検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号(オンライン版2013年10月23日号)の掲載報告。 本研究は、MetSと抑うつとの関連を明らかにし、非定型うつ病の特徴を考察することを目的とした。対象は、20~59歳の日本人男性1,011例。Metは、International Diabetes Federation (IDF)の基準に従い診断した。MDDは、DSM-IVに基づく面接で診断し、非定型とそれ以外に分類した。MDDなし群、非定型うつ病群、非定型以外のMDD群におけるMetSの頻度を傾向解析により比較検討した。多重ロジスティック回帰解析により、MetSと非定型うつ病との関連ならびにその特徴を検討した。 主な結果は以下のとおり。・141例(14.0%)がMetS、57例(5.6%)がMDD(非定型うつ病群14例、非定型以外のMDD群43例)と診断された。・MetSの頻度は非定型うつ病群で最も高く、次いで非定型以外のMDD群、MDDなし群の順であり、わずかに有意な傾向がみられた(p=0.07)。・MetSが抑うつに関連する補正後オッズ比は、非定型うつ病群では3.8(95%信頼区間[CI]:1.1~13.2)、非定型以外のMDD群では1.6(95%CI:0.7~3.6)であった。・非定型うつ病の5つの特徴の中で、MetSと関連が認められたのは過食のみであった(オッズ比:2.7、95%CI:1.8~4.1)。・以上より、MetSと非定型うつ病の間に正の関連が認められたが、非定型以外のMDDとの間には関連がみられなかった。過食は、MetSと非定型うつ病の関連に影響を及ぼす明らかに重要な因子だと思われた。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学

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栄養補助食品は産後のうつ病予防に有用か

産後の抑うつ症状を予防するとされる代表的な栄養補助食品として、ω-3脂肪酸、鉄、葉酸、s-アデノシル -L-メチオニン、コバラミン、ピリドキシン、リボフラビン、ビタミンD、カルシウムなどが挙げられる。オーストラリア・Flinders Medical CentreのBrendan J Miller氏らは、産前・産後における抑うつ症状の予防に有益な栄養補助食品を探索するため、Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerから抽出した2件の無作為化対照試験のデータをレビューした。その結果、セレニウム、DHAあるいはEPAに関する産後抑うつ予防におけるベネフィットは示されず、現時点において、推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はないと報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月24日号の掲載報告。 2013年4月30日時点のCochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを用い、妊娠中の女性または出産後6週以内の女性で、試験開始時に抑うつ症状なし、または抗うつ薬を服用していない者を対象とした無作為化対照試験を検索した。栄養補助食品の単独使用、またはその他の治療と併用して介入した場合の成績を、その他の予防治療、プラセボ、標準的なケアと比較した。主な結果は以下のとおり。・2件の無作為化対照試験が抽出された。【試験1の概要】・酵母由来セレニウム錠100µgとプラセボを、妊娠初期3ヵ月から出産まで経口投与した際の有用性を検討した比較試験。・179人が登録され、セレニウム群とプラセボ群にそれぞれ83人が無作為化された。アウトカムデータが得られたのは85人にとどまった。 ・セレニウム群では61人が試験を完了し、44人でエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)による評価が得られた。プラセボ群では64人が試験を完了し、41人でEPDSによる評価が得られた。・セレニウム群ではEPDSスコアに影響がみられたが、統計学的に有意ではなかった(p=0.07)。・産後8週間以内の自己報告EPDSにおける平均差(MD)は、-1.90(95%信頼区間[CI]:-3.92~0.12)であった。・脱落例が多かったこと、EPDSを完了しなかった者が多数であったため、大きなバイアスが確認された。・副次アウトカムに関する報告はなかった。 【試験2の概要】・EPA、DHA、プラセボの比較試験。・産後抑うつのリスクにさらされている126人を、EPA群42人、DHA群42人、プラセボ群42人の3群に無作為化した。・EPA群の3人、DHA群の4人、プラセボ群の1人は追跡不能であった。登録時に大うつ病性障害、双極性障害、薬物乱用または依存、自殺企図または統合失調症を有する女性は除外された。ただし、介入中止例(EPA群5人、DHA群4人、プラセボ群7人)は、追跡可能であったためintention-to-treat解析に含めた。・服用期間(栄養補助食品またはプラセボ)は、妊娠12~20週から最後の評価時である出産後6~8週までであった。主要アウトカムは、5回目(出産後6~8週)の受診時におけるベックうつ病評価尺度(BDI)スコアであった。・産後抑うつの予防について、EPA-リッチ魚油サプリメント(MD:0.70、95%CI:-1.78~3.18)、DHA-リッチ魚油サプリメント(同:0.90、-1.33~3.13)のベネフィットは認められなかった。・産後抑うつへの影響について、EPAとDHAの間で差はみられなかった(同:-0.20、-2.61~2.21)。・副次アウトカムは「出産後6~8週時における大うつ病障害の発症」、「抗うつ薬を開始した女性の人数」、「分娩時における母親の出血」、または「新生児特定集中治療室(NICU)への入室」としたが、いずれにおいてもベネフィットはみられず、有意な影響も認められなかった。【結論】・セレニウム、DHAあるいはEPAが産後抑うつを防ぐというエビデンスは不十分である。・現時点において、産後抑うつの予防に推奨されるエビデンスのある栄養補助食品はない。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき 日本語版・産後うつ病予測尺度「PDPI-R-J」を開発

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統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか

 統合失調症患者における陰性症状は慢性的な障害となることが多いが、現在の治療方法で著効することは必ずしも多くない。陰性症状に対し、抗うつ薬が用いられることもあるが、その有用性は明らかになっていない。ドイツ・ハンブルク大学のKim Hinkelmann氏らは、無作為化二重盲検試験にて統合失調症患者の陰性症状に対する抗うつ薬追加投与の効果を検討した。Journal of clinical psychopharmacology誌2013年10月号の報告。 対象は、DSM-IVで統合失調症と診断された患者のうち陰性症状が優位な58例。対象患者をシタロプラム、レボキセチン(いずれも国内未承認)、またはプラセボ群に無作為に割り付け、4週間投与を行った。PANSSとハミルトンうつ病評価尺度による反復測定共分散分析にて評価した。治療群との反応率を比較するためにカイ二乗検定を用いた。 主な結果は以下のとおり。・PANSS下位尺度は、反復測定共分散分析では治療群(処置x時間)との間に差が認められなかった。・軽度うつ病基準を満たす患者におけるサブグループ解析では、これまでの報告と同様にシタロプラム群がレボキセチン群と比較して高い反応率を示した。しかしながら有意水準には達しなかった。・本研究において、統合失調症患者の陰性症状に対する抗うつ薬補助療法の有用性は示されなかった。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学

2372.

小児自閉症に対する薬物療法はQOLにどのような影響を与えるか

 米国・ワイルコーネル大学医学部のWendy N. Moyal氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を有する小児・若年者のQOLに及ぼす薬物療法の影響についてレビューを行った。その結果、アリピプラゾールとオキシトシン(本疾患には未承認)は、QOLにプラスとなる効果をもたらすことが明らかであること、その他の抗精神病薬については、リスクとベネフィットについての有用な情報はあるがQOLに関する特定データはなかったことを報告した。Pediatric Drugs誌オンライン版2013年10月24日号の掲載報告。 ASDを有する小児は88人に1人の割合でいると推定されている。同障害は、社会的なコミュニケーションや意思疎通の障害、興味対象が限定的であること、反復行動がみられることで診断される。ASDの小児の大半では適応スキル障害がみられ、多くが知的障害を有し、そのほか精神障害や精神症状が共通してみられる。このような複合的な障害によって、患者および家族はQOLに相当な影響を受けていると考えられる。精神医学的な問題による機能障害への対処のために、医師や家族によって薬物治療が考慮されており、実際、小児・若年者のASDの3分の1が1剤以上の抗精神病薬を服用している。また、その多くは補完・代替医療も利用している。そのような背景を踏まえて研究グループは、ASDの小児について抗精神病薬治療のQOLに関するベネフィットとリスクについて、どのようなことが明らかになっているかをレビューした。 主な結果は以下のとおり。・自閉症患者における、QOLの評価を含む抗精神病薬治療の研究はまれであった。小児を対象としたアリピプラゾールの興奮症状に関する研究と、成人対象のオキシトシン研究1例であった。・アリピプラゾール研究では、オキシトシン研究と同様に、治療を受けた患者においてQOLにプラスとなる効果をもたらすことが示されていた。・その他の抗精神病薬は、小児のASD治療に用いられており、リスクとベネフィットに関する情報は得られたが、QOLへの影響に関する特異的なデータはなかった。・著者は、「アリピプラゾールとオキシトシン研究は、研究者にとってQOL評価の手法を組み込む際の例証となり、また臨床医に有用な情報を提供するものである」と述べ、「そのうえで、ASDの小児について、薬物療法およびQOLにおけるさらなる研究を行うことを推奨する」とまとめている。関連医療ニュース 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー 統合失調症患者の社会的認知機能改善に期待「オキシトシン」

2373.

統合失調症の再発、どう定義とすべきか

 統合失調症の再発は、症状悪化、機能障害、認知機能やQOLの低下など破壊的な影響をもたらす。それらの漸進的な低下は、患者や家族に多大な負荷を与える。そのため、再発予防は治療において最も重要なポイントのひとつとされているが、広く定義された再発の基準はなく、再発予防を達成することは困難とされている。スペイン・ビゴ大学病院のJose M Olivares氏らは、統合失調症再発の定義と再発のリスク因子を特定することを目的に、システマティックレビューを行った。その結果、「入院」が、再発の報告として最も頻度が高く有用であることを報告した。また、再発リスクを増大する因子として、抗精神病薬服用のアドヒアランス不良やストレス/ 抑うつ症状、依存症などがあるとしている。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2013年10月23日号の掲載報告。 研究グループは、文献レビューによって、再発の報告が何をもってなされているかを調べ、また入院が再発を定義する因子として有効であるかを調べた。本検討における主要な目的は、観察的または自然主義的状態で、再発を特定する際に用いられていた手法の頻度と妥当性を評価することであった。第2の目的は、再発リスクの予測または影響を及ぼした因子が何かを明らかにすることであった。文献は、PubMedデータベースを用いて検索し、国および国際レベルのガイドラインもレビューの対象とした。 主な結果は以下のとおり。・検索にて選定された150本の公表論文およびガイドラインのうち、87本が再発定義について述べていた。またそのうち54本(62%)の論文が入院について検討していた。・54本の論文において56症例について再発の定義を検討しており、その半数以上(55%)において、入院を再発定義の指標として、あるいは再発定義の一要因として用いていた。・ただし、入院の期間・タイプはさまざまで、明確に定義することはできなかった。・再発を定義する尺度は、53症例において特定され、10種の異なる尺度が用いられていた。ただし同一の定義において、複数の尺度が用いられていることが多かった。・再発につながる因子についての言及は95件みつかった。そのうち21件が抗精神病薬服用のアドヒアランス不良を、11件はストレス/抑うつ症を、9件は依存症であった。・公表論文25本が、抗精神病薬治療の再発率低下について検討し、継続的な抗精神病薬治療が入院の頻度の低下および期間短縮と関連していたことを報告していた。・非薬物治療(精神療法、認知行動療法など)も概して、再発を減らす因子として報告されていた。・著者は「本レビューにおいて、再発を特定する多数の因子が特定された。自然主義的な状況では、再発の定義に用いられていたのは入院が最も頻度が高く、有用であると思われる。また、再発リスクを増大するいくつかの因子が報告されており、それらを観察することがリスクのある患者を特定するのに役立つ可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症“再発”の危険因子は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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統合失調症では自己免疫疾患リスクが1.53倍

 自己免疫疾患を有する者、およびわずかでも有意な自己免疫疾患の家族歴を有する者において、統合失調症のリスクが増加することが、これまでの研究で示されている。デンマーク・オーフス大学のMichael E. Benros氏らは、統合失調症と自己免疫疾患との関連、および感染症の影響について検討を行った。その結果、統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、罹患率が1.53倍であること、感染症は自己免疫疾患の発症に、より大きく関与していることが示唆されたことを報告した。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月16日号の掲載報告。 本研究では、まず、統合失調症とそれに続く自己免疫疾患との関連を検討し、さらに統合失調症と自己免疫疾患の両者におけるリスクファクターである感染症の影響について考察した。デンマーク全国レジスターに登録されている383万人のうち、統合失調症様精神病患者 3万9,364例、自己免疫疾患患者14万2,328例を特定し、年齢および性別で補正し生存解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者では自己免疫疾患を続発するリスクが高く、発生率は1.53倍(95%CI:1.46~1.62)であった。・感染症で病院を受診していない患者において、統合失調症罹患に及ぼす影響は小さかった。一方で、自己免疫疾患は発生率が1.32倍(95%CI:1.22~1.43)増大した。・統合失調症患者と感染症で受診した患者の、自己免疫疾患の統合リスクは2.70(95%CI:2.51~2.89)であった。・統合失調症の家族歴は、自己免疫疾患が続発するリスクをやや上昇させた(罹患率比:1.06、95%CI:1.02~1.09)。・統合失調症患者の3.6%が自己免疫疾患を発症し、自己免疫疾患患者の3.1%に統合失調症の家族歴があった。・以上より、統合失調症患者において自己免疫疾患が続発するリスクの増加は、未診断の自己免疫疾患からの神経精神徴候、統合失調症に関連する治療や生活習慣、感染症や遺伝要因などの病因メカニズムを含んでいる可能性が示唆された。関連医療ニュース 日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

2375.

統合失調症患者とのコミュニケーションは十分に行われているのか

 米国・カリフォルニア大学のSteven Potkin氏らは、受診時の患者との会話の内容を基に、長時間作用型注射製剤(LAI)抗精神病薬に関連する情報を分析した。その結果、多くの精神科医が患者に対してLAIを提示しておらず、大半の患者と介護者が抗精神病薬治療の決定に関わっていないことを報告した。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月16日号の掲載報告。 本研究は、LAIを用いた抗精神病薬療法に対する処方者、患者および介護者の認識を把握し、それらによるLAI使用への影響を検討することであった。クリニックにおいてこれらの認識を把握しておくことは、統合失調症患者の治療目標達成につながる可能性がある。2011年8月~2012年2月の受診記録にあった、処方者と患者の会話69件(地域のメンタルヘルスセンター[CMHC]での精神科医との会話60件、ナースプラクティショナーとの会話9件)の非ランダムサンプルから情報を収集し、その内容を書き起こして解析した。事前に既定した11のCMHCでのトピックに従ってディスカッションの内容を分類した。CMHC 4施設では、CMHC受診前に家庭訪問(患者15例)を行い、注射を受けている患者およびスタッフとの交流の状況を観察した。LAIに関するディスカッション、処方または使用についてさらに情報を収集するため、精神科医、患者および介護者に電話でさらに深く聞き取り調査を行った。 主な結果は以下のとおり。・精神科医と患者の会話60件中40件(67%)で、患者または介護者への情報提供がないまま抗精神病薬治療の決定が行われていた。・患者または介護者は、経口抗精神病薬(60件中5件[8%])に比べてLAI治療(60件中15件[25%])のほうが、その治療決定により大きく関わっていた。・経口抗精神病薬服用中の患者22例中11例(50%)では、精神科医とLAIに関するディスカッションが行われていなかった。・LAIを提示された際、より多くのLAI未治療患者が、好ましい(19例中3例[16%])あるいは好ましくない(19例中7例[37%])というよりは、むしろ中立的な反応(19例中9例[47%])を示した。・LAIについてディスカッションする際に処方者は、患者の注射に対するよくあるネガティブな印象ゆえの抵抗感の一方で、潜在的な治療関係への影響と副作用を最も懸念していることが明らかになった。・精神科医は、初期の抵抗に対処することで、LAIに対する患者の反対を乗り越えることができる。・LAI未治療患者の半数以上(19例中11例[58%])が、来院後にLAI治療の開始に同意していた。・患者評価では、経口薬と比べたLAIのベネフィットとして、症状の速やかな改善と全体的な有効性を挙げていた。・本試験から、多くの精神科医がLAIを提示しておらず、大半の患者と介護者が抗精神病薬治療の決定に関わっていないことが明らかとなった。 ・統合失調症患者に対する、より個別化したアプローチとして、患者が積極的に関わる機会を増やすこと、抵抗感への対応、剤形選択のアドバイス、そしてLAIに関するより適切な情報提供があることが示された。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は?

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うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学

 うつ病に対する行動療法とその他の心理療法の有効性は同程度(低~中の質のエビデンス)であることが明らかにされた。京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻健康増進・行動学分野の篠原 清美氏らが25件の試験をレビューし報告した。行動療法は現在うつ病治療に臨床活用されている心理療法の1カテゴリーである。しかし、他の心理療法と比較した行動療法の有効性および受容性は不明なままであった。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月号の掲載報告。 研究グループは本レビューにおいて、急性うつ病に対する、(1)全行動療法アプローチとその他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(2)行動療法アプローチ別(行動療法、行動活性化療法、生活技能訓練、リラクゼーショントレーニング)に、その他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(3)心理療法アプローチ別(認知行動療法[CBT]、third wave CBT、精神力動的療法、人間主義的療法、統合心理療法)に、全行動療法アプローチとの有効性を比較した。Cochrane Depression Anxiety and Neurosis Group Trials Specialised Register(2013年7月31日時点)を検索し、関連無作為化試験をCochrane Library(全発行年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)、PsycINFO(1967~)から組み込んだ。また、CINAHL(2010年5月)、PSYNDEX(2010年6月)、さらに参照文献リストの試験や関連する発表・未発表の試験のレビューも組み込み、成人の急性期うつ病において行動療法とその他心理介入法を比較した無作為化対照試験を検索した。 主な結果は以下のとおり。・レビューに組み込まれたのは25試験(行動療法とその他心理療法5つのうち1つ以上と比較)、被験者合計955例であった。・大部分の試験はサンプルサイズが小さく、バイアスリスクが不明もしくは高いにもかかかわらず評価が行われていた。・行動療法の寛解率は、その他の全心理療法と比較して有意差はなかった(18試験、690例、リスク比[RR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.86~1.09)。受容性も有意差はみられなかった(15試験、495例、全脱落のRR:1.02、95%CI:0.65~1.61)。・個別に心理療法と比較しても同様で、認知行動療法が行動療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低く(15試験、544例、RR:0.93、95%CI:0.83~1.05)、一方で行動療法が精神力動的療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低かった(2試験、110例、RR:1.24、95%CI:0.84~1.82)。・統合心理療法と人間主義的療法との比較は1試験のみで、解析では行動療法との間に有意差は示されていなかった。・以上のように、行動療法とその他心理療法の有効性は同程度であるという低~中のエビデンスがみつかった。行動療法の相対的な有益性と有害性を評価する現状のエビデンスベースは非常に弱いものであった。・本検討の治療に対する反応と中止に関連したキーアウトカムに関して、効果サイズと精度はいずれも信頼に限りがある。試験参加者が大規模で、試験デザインと治療に対する精度が改善されれば、本レビューにおけるエビデンスの質は改善されるだろう。関連医療ニュース 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常

 抗精神薬に関連する代謝系の長期副作用に関するデータは不足している。英国・King's College LondonのRocio Perez-Iglesias氏らは、初回エピソード精神病患者を対象に、抗精神病薬投与後の体重増加および代謝異常の出現状況について検討した。その結果、最初の1年間に著しい体重増加が認められ、代謝に関しては総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリドなどの脂質異常を認めたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬投与後、最初の1年間は体重増加と代謝パラメータの変動に注意を要することが示唆された」と述べ、また「体重増加の経過を明らかにすることは、抗精神病薬に関連する代謝系有害事象の防止または軽減を目的とした研究における有用な情報となるであろう」とまとめている。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 研究グループは、治療歴のない初回エピソード精神病患者を対象とした前向き長期試験は、抗精神病薬投与前の状況を把握でき、かつ交絡因子の影響が少ないという点で貴重な情報といえる、として本検討を行った。試験は、抗精神病薬投与開始後3年間における体重増加の経過および代謝異常の出現頻度を評価することを目的とした。初回エピソード精神病患者170例のコホートを、ハロペリドール群(32%)、オランザピン群(32%)、リスペリドン群(36%)に無作為化し、可変用量を投与した。初期治療は、臨床効果と忍容性を考慮し、必要に応じて変更された。 主な結果は以下のとおり。・3年時点における平均体重増加は12.1kg(SD:10.7)であった。・最初の1年間における体重増加が著しく(平均総体重増加量の85%)、その後は次第に安定した。・総コレステロール、LDL-コレステロールおよびトリグリセリド値は同様の推移を示し、最初の1年間においてのみ有意な増加がみられた。・血糖パラメータの有意な変化は認められなかった。・糖尿病の家族歴を有する2例で、2型糖尿病の発症がみられた。・短期評価において、体重増加と関連する因子は「BMI低値」「男性」「オランザピン投与」であった。・長期評価において、「機能的状態」と「臨床効果」が主要な予測因子であることが示された。関連医療ニュース 抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

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統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

 統合失調症の病態に脳の炎症は関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のIris E. Sommer氏らは、抗炎症薬による統合失調症の症状軽減効果を評価するため、臨床試験26件について解析を行った。その結果、アスピリン、N-アセチルシステイン、エストロゲン製剤において、症状の重症度に対し有意な改善効果が認められることを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 統合失調症の炎症説は新しいものではないが、最近、統合失調症の病因における免疫系の役割を示唆するデータが多く発表されており、再び注目を集めている。脳における炎症の増強が統合失調症の症状に関与しているとするならば、炎症の抑制は臨床経過を改善しうると考えられる。実際、最近、数件の試験において、抗炎症薬が統合失調症の症状を改善しうるか否かが検討されていた。本研究では、これまでに実施された臨床試験を基に、統合失調症の症状に及ぼす抗炎症薬の有効性に関する最新情報を調査した。PubMed、Embase、the National Institutes of Health のウェブサイト(http://www.clinicaltrials.gov)、Cochrane Schizophrenia Group entries in PsiTriおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用いてデータベース検索を行った。検索対象は、臨床アウトカムを検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験に限定した。主な結果は以下のとおり。・適格試験は26件が抽出された。・アスピリン、セレコキシブ、ダブネチド(国内未承認)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸、エストロゲン製剤、ミノサイクリンおよびN-アセチルシステイン(NAC)について、症状の重症度に及ぼす影響を調査した。・そのうち、アスピリン(重み付け平均効果サイズ[ES]:0.3、270例、95%CI:0.06~0.537、I2=0)、エストロゲン製剤(ES:0.51、262例、95%CI:0.043~0.972、I2=69%)およびNAC (ES:0.45、140例、95%CI:0.112~0.779)において、有意な効果が認められた。・セレコキシブ、ミノサイクリン、ダブネチドおよび脂肪酸では、有意な効果が認められなかった。・以上より、抗精神病薬へのアスピリン、NAC、エストロゲン製剤の追加は有望だと思われた。・これら3製剤は、いずれも非常に幅広い活性を有している。症状の重症度に対する有益な効果が、真にその抗炎症作用を介したものであるか否かを検討する必要がある。関連医療ニュース 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与

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抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは

 第二世代抗精神病薬(SGA)により誘発される、インスリン分泌異常の主要機序について、オーストラリア・ウーロンゴン大学のKatrina Weston-Green氏らがレビューの結果を報告した。部分的な中枢および末梢神経でのムスカリンM3受容体(M3R)の阻害によると考えられ、M3Rが初期にインスリン分泌とグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中に次第にインスリン抵抗性や糖尿病に結びつく可能性があるという。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月10日号の掲載報告。第二世代抗精神病薬のM3Rに対する結合親和性が糖尿病リスクの予測因子 第二世代抗精神病薬は、さまざまな疾患に広く処方されているが、中心となるのが統合失調症と双極性障害である。第二世代抗精神病薬は、グルコース代謝異常を来し、インスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすという副作用があるが、その機序についてはほとんどわかっていない。研究グループは、その主要機序および治療ターゲットとして、アセチルコリン(Ach)受容体のうちM3Rの可能性についてレビューした。 第二世代抗精神病薬がインスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすとい主要機序についてレビューした結果は以下のとおり。・M3Rに対する第二世代抗精神病薬の結合親和性が、糖尿病リスクの予測因子であることが特定された。・オランザピン、クロザピンは、副作用として糖尿病の臨床発生率が最も高いが、強力なM3Rアンタゴニストであった。・膵臓のM3Rは、グルコース刺激インスリン分泌のコリン作動性経路を調整する。すなわち、β細胞の活性化がインスリン分泌を促進する一方で、M3R阻害がインスリン分泌を減少する。・マウス試験において、遺伝子組み換えM3Rは、インスリン濃度と耐糖能に強い変化をもたらした。・オランザピンは、視床下部や尾方脳幹の各核レベル、膵臓の迷走神経系支配を介してグルコースホメオスタシスおよびインスリン分泌を調整する部位の、M3R濃度を変化させる。・さらに、M3Rは、グルコースホメオスタシスに影響する主要なポジションに位置しており、膵β細胞への直接的な作用や、視床下部や脳幹におけるシグナル伝達を変えることが可能である。・SGAによって誘発されたインスリン分泌障害は、一部で中枢および末梢神経のM3R阻害による可能性がある。M3R阻害がインスリン分泌やグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中にインスリン抵抗性や糖尿病へと次第に結びついていく可能性がある。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学/a> 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

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初回エピソード統合失調症患者はプロラクチン値が高い

 プロラクチンは精神医学分野において大きな注目を集めているホルモンである。ドパミン阻害の抗精神病薬に対して血清プロラクチン値上昇がしばしばみられる一方で、血清プロラクチン値の減少は抗精神病薬の効果を反映するとみなされている。しかし、未治療の初回エピソード統合失調症(FES)患者のベースライン時のプロラクチン値を調べた調査は、これまで限られていた。トルコ・Namik Kemal大学のYakup Albayrak氏らは、初の実証研究として検討を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月7日号の掲載報告。 本検討は、未治療のFES患者におけるベースライン時のプロラクチン値を調べること、また、FES患者と非治療(drug-free)統合失調症(DFS)患者、および健常対照者(HC)とのプロラクチン値の格差を調べることを目的とし、トルコのGolbasi Hasvak and Kirklareli州立病院で行われた。被験者に対しては臨床検査と個別面談を行った。そして全薬物治療を開始する前に、8時~10時の間に静脈血5mLを採血し血清プロラクチン値を測定(ラジオイムノアッセイ[RIA])した。 主な結果は以下のとおり。・被験者はいずれも男性で、FES群30例、DFS群41例、HC群32例であった。平均年齢はDFS群が、より高かった。・簡易精神症状評価尺度(BPRS)の平均スコアは、FES群でより高値であった。また、陰性症状評価尺度の平均スコアは、DFS群でより高値であった。・プロラクチンの平均値は、FES群(34.1±19.9ng/dL)が、DFS群(17.9±6.5ng/dL)およびHC群(9.7±2.3ng/dL)と比べて有意に高かった(F=35.5、p<0.001)。また、平均血清プロラクチン値は、DFS群がHC群よりも有意に高かった(p<0.001)。・上記の結果を踏まえて、著者は「統合失調症患者は初回エピソードの間、プロラクチンが保護因子として作用している可能性がある。統合失調症におけるプロラクチンの役割について、さらなる研究が必要である」と結論している。関連医療ニュース 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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