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統合失調症と双極性障害の違い、脳内の炎症/ストレスに派生

 統合失調症と双極性障害は、発症の前兆や生物学的側面にいくつかの共通した特徴を有している。また先行研究において、両疾患を有する患者の脳において、神経免疫とストレスのシグナル経路に異常が認められることが確認されている。しかし、これまで両者の関連性については明らかにされていなかった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のS G Fillman氏らは、脳内のストレス反応により生じた変質と神経免疫/炎症状態が疾患を特徴づけていると仮定し検証を行った。Translational Psychiatry誌2014年2月25日号の掲載報告。 本検討では、次の3点を評価することが目的であった。(1)ストレスと炎症性システム応答の鍵となるメディエーターの変化の発生が、統合失調症と双極性障害患者のサブセットでどの程度共通しているかを調べること、(2)統合失調症と双極性障害の診断患者別に、前頭皮質における炎症およびストレスシグナルシステムについて分子病理学的に共有していた割合を調べること、(3)同様のサブセットにおけるその他の分子的変化の特徴を調べること。これらについてStanley Array Cohortを対象に、遺伝子発現を調べ評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者35例、双極性障害患者34例、対照被験者35例について評価した。・8つの炎症に関連する転写遺伝子を用いて調べた結果、統合失調症患者において、そのうちの1つであるSERPINA3発現の有意な増大がみられた(F(2,88)=4.137、p<0.05)。・また、以前に調査したことのある12の糖質コルチコイドレセプター(ストレス)シグナル経路転写遺伝子を用いて、被験者を2つの炎症/ストレス集団(高値群と低値群)に分類した。・その結果、高炎症/ストレス群(32例)は統合失調症患者が有意に多く(15例)、双極性障害患者が多い(11例)傾向が、対照群(6例)と比べて認められた。・また、同サブグループ患者において、ingenuity解析法により、マイクロアレイ評価による転写変化が高炎症/ストレス群と関連している可能性を調べた。その結果、免疫系、成長因子、シグナル抑制を含む遺伝子発現変化のネットワーク拡大、および細胞死がこれらのグループを特徴づけることが明らかになった。・以上を踏まえて著者は、「統合失調症と双極性障害におけるいくつかの異なる点は、一部の炎症性/ストレスの相互作用によるものであると説明できること、この生物学的サブタイプは、診断カテゴリーのDSM全体にわたっていることが、今回の検討によって示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加 双極性障害の診断、DSM-IV-TRでは不十分

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震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善

 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の生存者は、仮設住宅への避難を余儀なくされた。活水女子大学の久木原 博子氏らは、避難住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の有病率や健康状態とレジリエンス(回復力)に関して、社会・人口統計学的要因を調査した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年1月21日号の報告。 対象は福島県広野町の避難住民241人(男性:女性=125:116)。コナー・デビッドソン・レジリエンス尺度、Zungの自己評価式抑うつ尺度(SDS)、出来事インパクト・スケール改訂版(IES-R)、人口統計アンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。・すべての対象者のうち、53.5%はPTSDの関連症状を呈し、33.2%は臨床的なPTSD症状を示した。・さらに、66.8%はうつ病の症状が認められた。うつ症状の程度は軽症33.2%、中等症19.1%、重症14.5%であった。・レジリエンス(回復力)は、うつ病やPTSD、全体的な健康状態に対する有意な緩衝要因であった。・また、雇用状態、食生活・運動習慣や飲酒習慣はレジリエンスの予測要因であった。 本結果より、著者らは「避難住民はうつ病やPTSDの症状を呈することが多かった。しかし、このような事態に耐えることができた方も存在し、レジリエンスが重要な緩衝要因であると考えられる。そのため、レジリエンスの改善を目指し、雇用機会の提供や健康的なライフスタイルを奨励することが重要である」と述べている。関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 1日1杯のワインがうつ病を予防 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会”

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統合失調症の陰性症状軽減へ新たな選択肢となりうるか

 最近発症の統合失調症または統合失調感情障害で、とくに気分安定薬を併用していないい患者において、神経ステロイドのプレグネノロンを追加投与することで陰性症状の重症度が軽減することが、イスラエル・Sha'ar Menashe Mental Health CenterのMichael S. Ritsner氏らによる二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、示された。最近発症の統合失調症または統合失調感情障害の治療は、抗精神病薬への反応が不十分なことが多いが、今回の結果について著者は、「さらなる検討の根拠となるものだ」と述べている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。 試験は、2008~2010年に2施設において行われた。DSM-IVの統合失調症または統合失調感情障害(SZ/SA)の診断基準を満たし、抗精神病薬に対する反応が低かった入院・外来患者60例を対象とし、無作為にプレグネノロン(50mg/日)またはプラセボの追加投与を受ける群に割り付けて8週間の治療を行い評価した。主要評価項目は、陽性・陰性症状尺度および陰性症状評価スコアであった。副次評価項目は、機能的評価や副作用などであった。線形混合モデルで分析した。 主な結果は以下のとおり。・参加は60例のうち52例(86.7%)が、試験を完了した。・プラセボ群と比較して、プレグネノロン追加群は、陽性・陰性症状尺度の陰性症状スコアが有意に低下した。エフェクトサイズは中程度であった(d=0.79)。・有意な改善は、気分安定薬の治療を受けなかった患者でプレグネノロン治療の6~8週においてみられた(arms×visit×気分安定薬、p=0.010)。・同様に陰性症状評価スコアも、とくに感情鈍麻、意欲消失、快感消失の領域スコアについて、プレグネノロン追加群はプラセボ群と比較して有意に低下した(d=0.57)。・その他の症状や、機能および副作用は、プレグネノロン追加投与による有意な影響はみられなかった。・抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系および性別とプレグネノロン追加との関連はみられなかった。・プレグネノロンの忍容性は良好であった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 統合失調症の陰性症状に、抗酸化物質N-アセチルシステインは有効か 統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加

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難治性うつ病に対する効果的な治療は何か

 大うつ病性障害(MDD)成人患者は、大半が薬物療法では寛解に至らず、また半数近くが複数の薬物療法に対して抵抗性、非持続性を示す。カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、MDDでの難治性うつ病(TRD)について効果を有する治療法についてレビューを行った。本レビューは、TRDの効果的な治療を検証することで、その定義づけ、エビデンスおよびアルゴリズムアプローチを見直すことを目的としたもの。その結果、MDDの病因の多様性が、多様なTRD治療アプローチを要していることを明らかにした。Journal of Affective Disorders誌2014年3月号の掲載報告。 レビューは、1980~2013年4月を対象に、PubMed、Google Scholarを介して行われた。レビュー対象論文は、著者のコンセンサス、サンプルサイズの適切性、標準化された実験的手法、確立された評価手法、全体的な論文の質に基づき選択された。 主な内容は以下のとおり。・従来抗うつ薬に非定型抗精神病薬(アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピンなど)を併用する強化療法を支持するエビデンスは、TRDのすべての薬理学的アプローチに、広範囲かつ厳密に存在した。・新たなエビデンスとして、神経刺激薬(リスデキサンフェタミンなど)ならびに有酸素運動を用いることが示唆された。・病原性疾病モデルで提示された治療は、免疫-炎症性ベースの治療法および代謝的介入の有効性について予備的エビデンスを提供した。・個別の精神療法がなおオプション治療であり、認知行動療法が最も強いエビデンスを有していた。また、異なる神経刺激薬を用いる治療戦略も、薬物療法や心理社会的介入に対する治療反応が不十分であった患者に対して有用であった。・なお、今回のレビューは次の点で限界があった。すなわち、非TRDとの比較におけるTRDの研究が不十分であったこと、TRDに関する臨床研究の大半が薬物治療抵抗性に集中していたこと、当初は心理社会的介入や神経刺激薬への反応がみられなかった患者について「次の選択肢」の評価を行った研究が比較的少なかったこと、があった。・以上を踏まえて著者は、「MDD/TRDの病原学的な不均一性により、TRDには力学的に異なり、経験的に確認された治療アプローチが必要となることが判明した」とまとめている。関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」:産業医大

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統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか

 米国・テキサス大学南西医療センターのSara J. M. Arnold氏らによる検討の結果、海馬容積の減少は、統合失調症および統合失調感情障害を推定するバイオマーカーになりうることが示唆された。統合失調症および統合失調感情障害患者では、健常者と比較して海馬容積が小さいこと、双極Ⅰ型障害では、健常者と海馬容積に差がないことが判明したという。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年2月20日号の掲載報告。 研究グループは、双極性障害と統合失調症の中間表現型(B-SNIP)を呈する患者のサンプルを用い、海馬容積が精神疾患の推定バイオマーカーとなりうるかどうかを検討した。また、注目画像領域について手動計測(manual tracing)と半自動化計測(FreeSurfer)による比較を行った。海馬容量は、手動計測/3DSlicer3.6.3および半自動化分割/FreeSurfer5.1,64bitを用いた3TeslaのT1強調 MPRAGE 画像により測定した。これら2つの方法による海馬容積の測定結果を、混合効果回帰モデル(SAS9.3 Proc MIXED)を用いて、HC、発端者、近親者間で比較し、手動計測とFreeSurferの関連はピアソン相関法を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・研究サンプルは596例であった。内訳は、統合失調症家系の発端者(SZ)71例、統合失調感情障害(SAD)70例、双極Ⅰ型障害(BDP)86例、それぞれの第1度近親者(SZ-Rel:74例、SAD-Rel:62例、BDP-Rel例:88例)、健常対照(HC)145例であった。・SZ(p=0.0007~0.02)およびSAD(p=0.003~0.14)の海馬容積は、HCと比較して小さかった。一方、BDPでは両側性に正常であった(p=0.18~0.55)。・FreeSurferで測定した双極性障害発端者と近親者との比較結果(0=0.64~0.99)を除き、すべての近親者群で海馬容積は対照群と差がなく(p=0.12~0.97)、発端者よりも大きかった(p=0.003~0.09)。・手動測定とFreeSurferによるアウトカムの間には、中等度から強度の直接的な相関が認められた(r=0.51~0.73、p<0.05)。・大規模精神病サンプルによるこれらの知見は、海馬容積の減少が統合失調症および統合失調感情障害の推定バイオマーカーになることを支持するものであった。・一方、双極Ⅰ型障害の推定バイオマーカーを支持するものではなかった。・著者はこれらの結果を踏まえて、「海馬容積は、原疾患の分岐過程や生涯における薬物使用(両方またはどちらか)の累積効果を反映する可能性がある。また、手動測定と半自動化分割を用いたアプローチは、重篤な精神疾患の背景にある測定可能なバイオマーカーを明らかにするうえで、有用なアウトカムを提供する可能性がある」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学 統合失調症の診断・治療に期待!新たなバイオマーカー

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統合失調症の殺人再犯率は公表データよりも低い

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAndrei Golenkov氏らは、統合失調症を有する殺人者の殺人再犯率を推定することを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、公表されている報告が示唆するよりも統合失調症殺人者の殺人再犯性は低いことが示唆されたという。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年2月18日号の掲載報告。 本検討は、Medline、PsychINFO、Embaseをソースとして、1960~2013年11月に発表された殺人と統合失調症の関連研究についてシステマティックレビューとメタ解析を行った。分析では公表データに、論文執筆者から入手した未公表データを加え、ランダムエフェクトメタ解析にて、殺人再犯率のプール推定値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症を有する殺人者の早期殺人再犯率を報告していた研究は3件で、それぞれ4.3%、4.5%、10.7%であったと報告していた。・未公表のデータは11件の研究各著者から入手できた。11件は、1980~2013年に英語で発表された統合失調症を有する殺人者に関する研究であった。そのうち2件は再度の殺人を犯した1例をそれぞれ報告しており、9件では報告はなかった。・試験間の殺人再犯率のバラツキは大きかった(I-square=79)。・統合失調症を有する殺人者の早期殺人再犯率(いずれの試験でも図示はされていなかった)のプール推定値は、2.3%(95%信頼区間[CI]:0.07~7.2%)であった。・公表データからの殺人再犯率のプール推定値は8.6%(95%CI:5.7~12.9%)であったが、個別に提供されたデータからのプール推定値は0.06%(同:0.02~1.8%)で、前者の推定値との間に10倍以上の開きがあった。・以上から著者は、「司法権が及ぶ大半の区域において、統合失調症を有する人の殺人の再犯性は、公表されているほど一般的ではない」と結論している。また、研究間の殺人再犯率のバラツキの理由は不明であるが、「大半の区域で、釈放後の長期にわたるきちんとした治療と監督が殺人の再犯防止に効果を発揮していると思われた」と述べ、「前向きな大規模集団または複数地域での長期にわたる研究を行うことで、統合失調症の人による殺人の再犯リスクをより正確に推定できると思われる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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若年男性のうつ病予防、抗酸化物質が豊富な食事を取るべき

 男子大学生を対象としたケースコントロール研究の結果、うつ病の学生は果物、マメ科植物、ナッツ・種子類、ビタミンC、βカロテン、ルテインなど抗酸化物質を含む食事の摂取が、健常人と比較して少ないことが明らかになったという。イラン・Jundishapur University of Medical SciencesのMohammad Prohan氏らが、うつ病患者にみられる酸化ストレスや炎症の亢進が食事に起因しているか否かを明らかにすることを目的に検討を行い報告した。Redox Report誌オンライン版2014年2月14日号の掲載報告。 うつ病症例における食事と血清中の抗酸化状態との関連を評価することを目的としたケースコントロール研究は、男子大学生60例(うつ病と診断された30例とマッチさせた健常対照30例)を対象に行われた。ベックうつ病自己評価尺度II(BDI-II)を用いて大うつ病性障害(MDD)の診断を行い、食事の状況については、半定量的食物摂取頻度調査票と2日間24時間の食事内容を思い出してもらうことで評価した。さらに、血清総抗酸化能(TAC)および高感度C反応性蛋白(hs-CRP)濃度を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD群は対照群に比べ、果物(p<0.05)、マメ科植物(p<0.001)、ナッツ・種子類(p=0.003)、ビタミンC(p=0.005)、βカロテン(p<0.001)、ルテインおよびゼアキサンチン(p=0.006)の摂取が少なかった。・うつ病群は対照群に比べ、血清TAC濃度が低かった(p<0.05)。・血清hs-CRP濃度および食事中TACレベルに、2群間で有意差は認められなかった。・うつ病の学生は抗酸化物質を含む食事の摂取が有意に少なかったが、食事中TACおよび血清hs-CRP濃度においては健常人と有意な差は認められなかった。抗酸化物質を豊富に含む食事の摂取が、男子学生に奨励される。■関連記事日本人のうつ病予防に期待、葉酸の摂取量を増やすべき1日1杯のワインがうつ病を予防少し歩くだけでもうつ病は予防できる

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統合失調症の認知機能改善に、神経ステロイド追加

 統合失調症治療に関して、認知機能障害をターゲットとしたさまざまな研究が行われている。イスラエル・Tirat Carmel Mental Health CenterのAnatoly Kreinin氏らは、最近発症した統合失調症(SZ)および統合失調感情障害(SA)における認知機能障害に対し、抗精神病薬に神経ステロイドであるプレグネノロン(PREG)を追加した場合の有用性を検討した。その結果、PREGの追加により視覚認知、注意集中欠如、実行機能などの改善が認められたことを報告した。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年2月4日号の掲載報告。 研究グループは、DSM-IV分類でSZまたはSAと診断された外来および入院患者60例を対象に、2施設共同8週間二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。被験者には、抗精神病薬に加えてPREG 50mg/日またはプラセボを投与し、ベースライン時、治療4週時、8週時にコンピュータ上でケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を測定した。経過中の群間および群内比較はANOVAおよび対応のあるt検定またはz検定により行った。 主な結果は以下のとおり。・PREG追加群はプラセボ群に比べ、Matching to Sample Visual Search taskにより評価した視覚的注意欠陥を有意に軽減した(p=0.002)。エフェクトサイズは中等度であった(d=0.42)。・さらに、PREG追加群ではベースラインから試験終了時までの間に、視覚認知(p=0.008)、注意集中欠如(Rapid Visual Information Processing、p=0.038)、実行機能(Stockings of Cambridge、p=0.049/ Spatial Working Memory、p<0.001)において有意な改善が観察された。プラセボ群では観察されなかった(全項目p>0.05)。・このようなPREGによる有益な影響は、抗精神病薬の種類、性別、年齢、教育、罹病期間にかかわらず認められた。・以上を踏まえて著者は、「最近発症のSZ/SA例において、プレグネノロンの追加は注意欠陥を有意に改善した。より大きな統計学的有意差を検出し、確信を持って臨床に一般化させるには長期大規模研究が必要である」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるのか

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双極性障害に抗うつ薬は使うべきでないのか

 双極性障害I型およびII型は、現在の標準治療が行われている場合でも、うつ病を認める患者の割合が著しく高い。双極性障害I型患者では、病気の経過中または発症時から治療を受けていてもフォローアップ期間の50%において有症状を認め、未解決の症状の75%はうつ病である。一方で、典型的な双極性うつ病の特徴として、抗うつ薬治療への反応が不良で治療抵抗性うつ病(TRD)を呈したり、抗うつ薬による躁病の発症リスクがきわめて高いこと、などが広く認識されている。しかし、このことは、利用可能な研究報告で一貫した支持を得ているわけではない。米国・マクリーン病院のLeonardo Tondo氏らは、双極性障害において高頻度に認められるTRDについて、関連研究を調べた。その結果、比較試験はわずか5件であったが、無比較試験10件も含めた利用な可能な研究から、双極性障害のTRDは必ずしもすべての治療に抵抗性ではなく、抗うつ薬は有効である可能性が示唆されたという。また、抗うつ薬により躁転リスクが高まるとの懸念に対しては、その程度はさほど大きくないとの見解を示した。Current Psychiatry Reports誌2014年2月号の掲載報告。 研究グループは、TRDは単極性の気分障害と比較して双極性障害でより高頻度に認められること、また、単極性うつ病の特徴と治療については比較的強い関心が向けられているが双極性障害のTRDに関する研究は少ないことから、同関連研究について調査した。 主な結果は以下のとおり。・わずかに5件の比較試験と、10件の無比較試験が存在しただけであった。・それら試験から計13薬剤の治療データが得られた。各薬剤とも1~2件の試験が実施されていた。87%が併用療法への追加効果をみたものであり、無比較試験であった。・2件の比較試験において、ケタミンのプラセボに対する優越性が示されたが、同薬は短時間作用性であり、経口投与の場合はうつ病に対する活性は示されなかった。・1件の比較試験で、プラミペキソールがプラセボと比較して若干優れていることが示された。・3つのその他製剤は、コントロールに比べて優れているという結果は得られなかった。・その他の薬物療法については適切な評価が行われておらず、非薬物療法に関しては双極性障害のTRDに対する実質的な検討は行われていなかった。・入手可能な研究から次のような見方が裏付けられた。1)双極性うつ病に対して抗うつ薬が有効である可能性がある2)抗うつ薬に伴う躁転リスクは特発性の躁病リスクと比べればさほど大きくない3)双極性障害のTRDは必ずしもすべての治療に抵抗性ではない などである。関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か

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日本発!イストラデフィリンに抗うつ効果~学習性無力感ラットでの実験

 イストラデフィリンが、脳内モノアミン伝達とは無関係なアデノシンA2A受容体活性の調節を介して、抗うつ様効果を発揮することがラットによる実験で明らかとなった。協和発酵キリン研究本部の山田 浩司氏らの検討によるもので、パーキンソン病の運動症状に加え、うつに対する新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。Psychopharmacology誌オンライン版2月2日号掲載の報告。 アデノシンA2A受容体拮抗薬であるイストラデフィリンは、パーキンソン病動物モデルおよびパーキンソン病患者における運動機能障害を改善する。さらに、いくつかのA2A受容体拮抗薬は、強制水泳試験及び尾懸垂試験などでうつ病を誘発したげっ歯動物において、抗うつ様効果を発揮することがわかっている。 著者らは、学習性無力感モデルのラットを使って、うつ様行動に対するイストラデフィリンの効果を調査した。 主な結果は以下のとおり:・急性期・慢性期におけるイストラデフィリンの経口投与は、三環系抗うつ薬のデシプラミンと選択的セロトニン(5 -HT)再取り込み阻害薬であるフルオキセチンによる慢性治療に匹敵する有効性を示しながら、逃避不可能な電撃(IES)が引き起こす逃避のあきらめを有意に改善した。・A1受容体選択的拮抗薬のDPCPXではみられなかったが、A1/A2A受容体の非特異的拮抗薬であるテオフィリンと中等度の選択的拮抗薬であるCGS15943の両剤で、IESが引き起こす逃避のあきらめを改善した。・イストラデフィリンによる逃避反応の増強は、A2A特異的アゴニストであるCGS21680の局所注射(側坐核、尾状核被殻、視床下部の室傍核への局所注射)により効果が失われたが、A1特異的アゴニストであるR-PIAの側坐核への局所注射では、効果が失われなかった。・また、 5-HT2A/2C 受容体拮抗薬のメチセルジドやα2拮抗薬ヨヒンビン、またβ遮断薬のプロプラノロールのいずれも、イストラデフィリンによってもたらされた逃避反応の改善に影響を与えなかった。

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精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所

 理化学研究所 脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームの窪田 美恵氏らは、気分障害および統合失調症におけるグルタミン酸受容体のADAR2とRNA編集(RNA editing)の役割を明らかにした。両者の剖検脳から、気分障害および統合失調症ではADAR2発現の低下が認められ、同低下がAMPAグルタミン酸受容体でのRNA編集の減少と関連していることが示唆されたという。これらの所見を踏まえて著者は、「ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性がある」と述べている。Molecular Brain誌2014年1月号の掲載報告。 AMPA(2-amino-3-(3-hydroxy-5-methyl-isoxazol-4-yl)-propanoic acid)/カイニン酸グルタミン酸受容体の前mRNAは転写後に修正される。RNA編集として知られるこの修正はADAR2(adenosine deaminase acting on RNA type 2)を介して行われ、受容体のアミノ酸配列と機能が変化する。気分障害や統合失調症で、グルタミン酸シグナルが関与していることは示唆されていたが、AMPA/カイニン酸受容体のRNA編集が病態生理学的に意味を持つのかについては明らかにされていなかった。 研究グループは、剖検脳(双極性障害例32例、統合失調症例35例、対照群34例)、凍結脳組織片(同11例、13例、14例とうつ病例11例)、またAdar2ノックアウトマウス脳を用いて、ADAR2の発現とRNA編集について調べた。 得られた主な知見は以下のとおり。・剖検脳において気分障害や統合失調症患者は、ADAR2発現が低下する傾向があることが判明した。ADAR2発現の低下は、AMPA受容体のR/G部位の編集減少と関連していた。・へテロ接合型Adar2ノックアウトマウス( Adar2+/-マウス)においても、AMPA受容体R/G部位の編集は減少していた。・ Adar2+/-マウスは、オープンフィールド試験で活動性が増加する傾向を示した。また、強制水泳試験では静止に対して抵抗する傾向を示した。また、アンフェタミン誘導の活動亢進もみられた。・野生型マウスと Adar2+/-マウスにおいて、AMPA/カイニン酸受容体拮抗薬(2,3-dihydroxy-6-nitro-7-sulfamoyl-benzo[f]quinoxaline)投与後、アンフェタミン誘導の活動亢進に有意差はみられなかった。・著者は、「これらの所見は、全体的に、ADAR2発現低下によるAMPA受容体のRNA編集の効率が、精神疾患の病態生理に関与している可能性を示唆するものである」とまとめている。関連医療ニュース 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか グルタミン酸作動性システムは大うつ病の効果的な治療ターゲット グルタミン酸トランスポーター遺伝子と統合失調症・双極性障害の関係

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エキスパートに聞く!「睡眠障害」Q&A Part2

睡眠薬の増量・減量のタイミング、治療効果判定で注意すべきポイントは?不眠症が慢性化すると、患者さんは不眠による日中の生活の質の低下を強く自覚するようになる。こうしたつらさから抜け出したいと望むあまり、不眠症にかかる以前に増して長く深く眠りたいと望むようになる。このため、寝床で眠れないでいた時間を補おうとだんだんと早く就床したり、遅くまで起床しないで過ごしたりするようになる。これにより、寝床で過ごす時間が長くなってくる。実質的に一晩に眠ることのできる生理的睡眠時間は成人で7時間、高齢になると6時間程度であるが、不眠症の患者さんは、だんだん早寝遅起きとなり寝床で8時間以上過ごしている場合が多い。こうなると、いくら薬剤を投与しても生理的睡眠時間を超えて眠らせることはきわめて困難になる。通常の問診で、何時間眠れているかについては尋ねるが、就床時刻や起床時刻について明確に尋ねない場合が多く、寝床で長く過ごしていることについては見過ごされがちである。寝床で過ごす時間が生理的な睡眠時間を超えていると、いくら薬剤を投与しても不眠は改善しない。徐々に薬剤が増えていき、多剤大量投与に結びつきやすい。このため、寝床で過ごす時間を、7時間以内に適切化しながら薬物療法を行う。このような治療を行っても、寝付けない、夜中に目が覚めるといった場合に、初めて睡眠薬の増量を考える。ただし、薬剤を増やす前に、睡眠習慣を守っているかを再度確認したい。生活習慣を適正化しながら薬物療法を行い、服薬していれば毎晩安定して眠ることができるようになることが第一の目標である。こうした安心感ができ、睡眠に対するこだわりがとれてきたら、徐々に減量していく。その際に、これまでの睡眠薬による睡眠時間分は差し引いて就床時刻と起床時刻を設定することがポイントである。たとえば、65歳以上の患者さんが睡眠薬を使用して7時間眠っていたとする。この年代の生理的夜間睡眠量はおよそ6時間であるため、1時間分は睡眠薬で眠らされていると考える。減量の前に、30分早起きすることで、寝床で過ごす時間を30分短くし、一方で薬剤投与量を半分にする。減量により患者さんが不安になることもあるため、徐々に減量することにより、この不安を軽減する。こうして、寝床で過ごす時間を適正化しながら、減量していくことが重要である。子供(思春期)の睡眠障害や、薬物療法の工夫について教えてください。子供(思春期)の不眠では成人とは異なり、遅い時刻まで寝つけず、いったん眠るとなかなか起床できないというパターンになりやすい。背景には、体内時計の遅れがあり、睡眠相後退型の概日リズム睡眠障害と呼ばれる。何とか眠らせることができれば起床もできるようになるのではと考えやすいが、睡眠薬で早くから眠らせても、起床困難は改善しないことが多い。こうした場合には、朝起きる時刻を少しずつ早くしていくことで、次第に夜に寝つく時刻が早くなっていくというように考えて治療に当たると良い。朝少しでも早く起こして、日光を浴びるように指導を行う。その際、起床時刻を早くするには時間がかかることを考慮し、1週間に30分から1時間を目標に起床時刻を早めていくとよい。体内時計がずれていることが原因なので、薬物療法を行う際は、鎮静系の薬剤で無理に眠らせるべきではない。メラトニン受容体作動薬のような薬剤を少量、少し早めの時刻に投与する。眠らせるというよりは、時差ボケを治すイメージで体内時計のずれを解消する。緊張して眠れないというケースでは、通常の睡眠薬の投与も考慮することがある。ただし、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系ともに、服用後になかなか眠れないでいるときに感情が不安定になることもあるので、用量設定と投与時刻に注意する必要がある。近年の検討で、非ベンゾジアゼピン系の薬剤が有効であるという報告もある。なお、不眠の背景には、思春期の精神疾患が隠れている場合もあるので、注意しながら観察し、可能性が疑われる場合は専門医に相談していただきたい。自己判断で薬を勝手にやめてしまう患者さんへの対応を教えてください。こういった患者さんは、連続的に服用すると “癖になる”と思い、少し眠ることができると次の晩は服薬をしない等のようになることが多い。服薬しているときは眠ることができるが、自己判断で薬を中断すると、薬を飲んでいない不安から緊張が高まりかえって眠れない。このようなことが繰り返されると、“やはり薬がやめられなくなるのではないか”と思い込むようになる。まず、このようなケースの治療の第一ステップとしては、“睡眠薬が1錠あれば安心して生活できる”と実感してもらうことである。先に述べたように、安心できるようになれば、次は半錠にし、最後は薬がなくても眠れるようにする、といった手順を根気よく患者さんに説明・指導していくことが望ましい。近年の報告では、適切な量を適切な生活習慣の中で服薬していれば、依存が起こる可能性は低いと報告されている。睡眠薬を次々に希望する患者さんへの対応を教えてください。こういった患者さんは、薬物に対する依存ではなく、誤った睡眠習慣が原因となっている場合が多い。不眠で苦しんでいるうちに、とにかく長時間眠らなくてはと考え、“早寝遅起き”になる人が多い。しかし、極端に長く床に入っているとかえって睡眠は浅くなり熟眠感が低下する。このような状態では、どんな睡眠薬を用いても熟眠感は得られない。かといって、患者が満足するよう、希望する睡眠時間を担保できる用量の睡眠薬を用いると、翌日の持ち越し効果により、日中のQOLが低下する。したがって、このようなケースでは生活指導をしながら、薬の減量や、現在の薬で満足できるよう指導する。それが難しい場合は精神科の医師への紹介を考慮する。なお、薬が効かないという患者さんの中には、本当に睡眠薬が効かない睡眠障害も隠れているということを念頭に置く必要がある。頻度として高いのは、レストレスレッグス症候群である。患者さんが下肢の異常感覚を自覚していないことや、眠れないために異常感覚が生じていると誤解していることもあるので、医師から積極的に症状を確認することが必要である。レストレスレッグス症候群の治療には、睡眠薬ではなくドパミン作動薬やGABA誘導体)などを用いる。また、周期性四肢運動障害による脚のぴくつきが原因で、睡眠が浅くなったり夜中に起きたりする場合もある。さらに、睡眠時無呼吸症候群やうつ病の可能性もある。これらは、早めに専門的な治療を行えば改善するので、疑わしいケースは専門医へ紹介していただきたい。《 内山 真氏 著書 》『睡眠のはなし(中公新書2014)』 『不眠症診療&マネジメントマニュアル(メディカ出版2013)』 『睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版(じほう2012)』 『別冊NHK きょうの健康 睡眠の病気(NHK出版2012)』 ※エキスパートに聞く!「睡眠障害」Q&A Part1はこちら

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統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大

 統合失調症患者における認知機能障害を改善する手段に関する研究には、強い関心が寄せられている。奈良県立医科大学の松田 康裕氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療と認知機能リハビリテーションとの相乗効果について調べた。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2014年2月10日号の掲載報告。 研究グループは、認知機能リハビリテーションの有効性について検討した無作為化試験や、裏付けのための準無作為化実験的試験の参加者で、統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者を対象とし、認知機能リハビリテーションへのアリピプラゾールとリスペリドンとの影響について検討した。被験者(43例)を、(1)対照-リスペリドン(CR群、13例)、(2)リハビリテーション-リスペリドン(RR群、9例)、(3)対照-アリピプラゾール(CA群、10例)、(4)リハビリテーション-アリピプラゾール(RA群、11例)に分類し、リハビリテーション群の被験者は、コンピュータベースの認知エクササイズ(24セッション)をブリッジング(12セッション)とともに12週間受けた。ベースライン時と12週時点で、精神症状、認知機能および社会的機能の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知機能リハビリテーションと抗精神病薬投与を2要因とした分散分析の結果、運動速度について有意な相互作用の効果があることが判明した。・作業記憶と運動速度は、CA群と比較してRA群において有意に向上した。・CR群とRR群の間には、有意な改善がみられなかった。・アリピプラゾール治療患者における認知機能リハビリテーションとの相乗効果は、運動速度の改善として観察された。・アリピプラゾール治療患者において、認知機能リハビリテーションは、作業記憶と運動速度を改善すると思われた。・今回の結果を確認するために、抗精神病薬投与と認知機能リハビリテーションの相乗効果について、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症患者は処理速度が著しく低下、日本人でも明らかに:大阪大学 統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大

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遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学

 慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症患者にみられる抗精神病薬使用後の遅発性ジスキネジア(TD)と、ドパミンD2受容体占有状況との関連について検討を行った。その結果、不随意運動を認めた例では、認めなかった例に比べて、ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値が有意に高く、強力なドパミンD2受容体阻害がTDのリスクを増大させる可能性が示唆されたという。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年2月1日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症患者において抗精神病薬により誘発されるTDと、ドパミンD2受容体占有状況との関連を評価するため、Clinical Antipsychotic Trials in Intervention Effectiveness(CATIE)のデータベースを用いて検討を行った。CATIEのデータセットから、同研究の第I相試験でベースライン時の異常不随意運動評価尺度(Abnormal Involuntary Movement Scale:AIMS)スコアが0、かつその状態が6ヵ月以上維持されていた被験者218例を登録した。母集団薬物動態解析ならびに著者らが開発したD2予測モデルを用いて、血漿中抗精神病薬濃度に基づくAIMS評価日におけるドパミンD2占有レベルのピーク値およびトラフ値を推定した。また、AIMSスコア2以上の患者とスコア0の患者の推定ドパミンD2受容体占有レベルを、Mann-Whitney U検定を用いて比較した。 主な結果は以下のとおり。・被験者218例の投与状況は、リスペリドン投与症例78例、オランザピン投与症例100例、ジプラシドン(国内未承認)投与症例40例であった。・不随意運動を認めた被験者(23例)は、不随意運動を認めなかった被検者(195例)と比較して、推定ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値が有意に高かった(71.7±14.4% vs. 64.3±19.3%、p<0.05)。・一方、推定ドパミンD2受容体占有レベルのピーク値に関しては、両者の間で有意差は認められなかった(75.4±8.7% vs. 72.1±9.9%、p=0.07)。・3種類の薬剤別に解析を行ったところ、ドパミンD2受容体占有レベルのトラフ値およびピーク値に薬剤間での有意な差はみられなかったが、不随意運動を呈した被験者では一貫してその値が高値であった。・以上のように、抗精神病薬によるドパミンD2受容体の強力な阻害は、遅発性の不随意運動のリスクを高める可能性が示唆された。大規模試験にて確認することが求められる。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 抗精神病薬で気をつけるべき横紋筋融解症 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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睡眠検査の最新技術 睡眠の質を手軽に可視化

小さなデバイスが、睡眠へのアプローチに大きな変化をもたらす小型睡眠脳波測定器「スリープスコープ」医療機器として認証された、手の平に納まる小型睡眠脳波測定器があることを、ご存知だろうか。日常生活の中で手軽に測定できるというだけでなく、様々な可能性がそこにあった。この小型睡眠脳波測定器「スリープスコープ」を開発したスリープウェル株式会社代表 吉田政樹氏に聞いた。睡眠の質の客観的評価へのニーズが増加近年、睡眠は医療・健康分野において、その重要性が大いに注目されている。従来、睡眠の質を客観的に捉えるには終夜睡眠ポリグラフ(以下 PSG)を行う必要あった。しかし、この検査が実施可能なのは少数の専門機関に限られ、またその実施には多くの制約があった。そのため、ニーズはあるもののエビデンスが取得しにくく、なかなか研究が進まない状況であった。このようななか、小型で高性能のスリープスコープが開発され、睡眠の質を容易に可視化できるようなった。睡眠の質の客観的評価へのニーズが増加スリープウェル株式会社の出発点は、大阪市などが母体となる公益財団法人大阪バイオサイエンス研究所(以下OBI)。同研究所の研究者たちが小型脳波計の製品化を目的に設立した睡眠基礎研究発のベンチャー企業である。つまり、スリープスコープは睡眠研究の専門家が開発した機器である。ヒトでは30カ所以上の電極を付けPSGを行う。OBIではマウス、ラットの睡眠実験をしていたが、マウスの脳は小さく2つの電極で睡眠を評価していた。睡眠の実態を考えると、大脳の活動レベルは全体に低下する。大脳全体の活動さえ拾い上げられれば、2つの電極で、睡眠情報は正確にわかるという考えのもと、スリープスコープは開発された。スリープスコープの特徴と精度スリープスコープは小型脳波計では初めて、高度管理医療機器(クラスⅡ)に認証された。10x6cmの小さなボディで、睡眠時の脳波を計測し、その脳波の状況から、睡眠に関する客観的、定量的アウトプットを提供する。具体的には、就床時間、睡眠潜時、熟眠度、中途覚醒、睡眠効率、睡眠リズム、デルタ波*量の推移も測定可能である。精度も高く、スリープスコープとPSGを同時計測して性能検証を行った結果、PSGで取得したものと同様の脳波形を各睡眠ステージで示し、PSGとのステージ判定一致率は86.89%であった。さらに、装着も簡単で、特殊なトレーニングも必要ない。自宅で被験者本人が計測できる。*デルタ波:周波数の低い脳波で、深い睡眠時に出現、成長ホルモンとも相関する。スリープスコープとPSGの睡眠グラフ比較スリープスコープの現在の用途は、研究開発と実臨床スリープスコープの現在の用途は、研究開発と実臨床である。研究開発では、医薬品・医療機器企業、食品企業の活用が多い。たとえば、睡眠薬、快眠食品、快眠グッズなどの効果検証などに用いられる。また、医学研究では、睡眠を悪化させる原疾患や症状(GERD、睡眠時無呼吸症候群、痒み、痛みetc)と睡眠の相関についての研究に活用されている。実臨床においても人間ドッグや、一般臨床科で徐々に使われるようになってきている。とくに、人間ドックでは、検査項目のオプションとして、スリープスコープを活用した睡眠検査を行い、睡眠検査報告書で睡眠の質をわかりやすく説明するサービスを導入している施設もある。睡眠検査報告書では、スリープウェルが有する2万例の健康成人の睡眠データを利用した熟眠年齢(睡眠時に出現するデルタ波量年齢平均値から算出)という指標を提供している。スリープスコープでわかる「睡眠脳波検査結果」スリープスコープの持つ可能性スリープスコープはPSGと異なり、日常の睡眠状態を長期間連続して計測できる。その特性が簡便さ以外のさまざまな可能性をもたらす。その一つが、睡眠脳波と精神疾患の関係解明である。睡眠時の脳波は夜間の無自覚・無意識下の神経活動である。実際、スリープスコープを用いて精神疾患患者の脳波を測定したところ、うつ病をはじめとする精神疾患患者には徐波睡眠がほとんどみられず、入眠潜時、中途覚醒、睡眠効率に関しても大きな差異がみられることがわかった。また、精神疾患患者では、健康成人と異なる特徴的な脳波を示すことも判明した。そこで、スリープスコープ社では、うつ病や双極性障害の診断についての脳波形データ解析の特許を、2013年5月に取得した。さらに、滋賀医大と共同で臨床試験を行い、精神疾患の診断マーカーとしての臨床での実用化を目指している。精神疾患の診断は医師の問診による判断に委ねられており、客観的データとしてはやや乏しい。脳波分析による客観的データが早期診断に貢献できれば画期的だといえよう。また、古川飛行士、星出飛行士の二人が国際宇宙ステーション滞在中にスリープスコープを使用し実験データをとるなど宇宙医療研究にも応用されている。スリープスコープの登場により、今まで特定の施設でしかとれなかった睡眠脳波が多くの医療機関で測定可能となった。今後、睡眠脳波を用いた研究は加速化し、多くのデータが臨床に応用される日も遠くはないであろう。スリープスコープについての問い合わせはスリープウェル株式会社へhttp://sleepwell.co.jp/スリープスコープの取り扱い方法http://sleepwell.co.jp/411/テレビ東京ワールドビジネスサテライト「拡大する快眠ビジネス」http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_52627

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双極性障害、男女間で肥満割合に違いあり

 カナダ・クイーンズ大学のAnusha Baskaran氏らは、双極性障害(BD)における肥満の性差とその背景因子について、論文レビューを行った。その結果、BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して、腹部肥満の割合が高いことを報告した。性別に基づく多彩な要因が、BD女性の肥満を促進していたことも判明した。Bipolar Disorders誌2014年2月号の掲載報告。 双極性障害(BD)の女性は、BDの男性および一般集団の男女に比較して心血管疾患(CVD)による標準化死亡比(SMR)が高い。本研究では、このような差異に寄与する要因について検討を行った。1990年9月~2012年6月までに英語で発表された論文について、「双極性障害」「メタボリックシンドローム(性別、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症を参考)」をキーワードとしてPubMedにて検索を行った。リファレンスリスト中の代表的な論文については、手動でレビューを行って補足した。論文の選択は、著者のコンセンサス、標準化された経験的手法の使用、確証されている評価項目の設定および論文全体の質に基づいた。 主な結果は以下のとおり。・成人BDは一般集団と比較して、メタボリックシンドロームの割合が高かった。・BD女性は、BD男性および一般集団の男女と比較して腹部肥満の割合が高かった。・BDの臨床経過と所見に性差が認められ、女性では、うつ優位な病状の頻度が高く、より晩期のBD発症、気分障害の季節性がみられ、再発しやすいことが判明した。・現象的な要因は、BD患者における合併症の性差にまで拡大する可能性があった。・BD女性の腹部肥満のリスクに寄与し得るその他の因子として、生殖に関する出来事、性的・身体的虐待などの経験、ライフスタイル、医原性などが考えられた。・上記を踏まえて著者は、「BD女性の肥満は、性別に基づく多彩な要因により促進されていることが判明した。一方で、BD女性の腹部肥満の増加が、CVDによるSMRの増加に関与するか否かは、引き続き検討すべき課題である」と結論したうえで、「本レビューから得られた臨床的推奨は、BD女性の肥満増加に関わる因子の現病歴や既往歴に主眼を置くということである」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満 うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

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たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる

 心理社会的要因はしばしば慢性腰痛発症のリスク因子となり、また治療の予測因子ともなることから、その要因を明らかにする目的で質問票が用いられることがあるが、日常診療ではより簡単な質問票が使いやすい。ノルウェー・Uni Research のSilje Endresen Reme氏らは、うつや不安の評価について、単一質問によるスクリーニングと、一般によく用いられているHospital Anxiety and Depression scale(HADS)やHopkins Symptom Checklist(HSCL)とを比較した。その結果、うつ病性障害に対しては、単一質問によるスクリーニングのほうが、感度が高かったことを報告した。Spine誌オンライン版2014年1月29日号の掲載報告。 研究グループは、慢性腰痛患者におけるうつ病性障害と不安障害の評価における質問票の感度について検討した。 対象は過去2~10ヵ月のうち半分以上を非特異的腰痛で病欠した腰痛患者であった。 検討はまず精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を行い、次いで主観的健康不満尺度(Subjective Health Complaint Inventory)の中のうつおよび不安に関する単一質問、ならびに2つのより長い質問票(HADS、HSCL)の結果とMINIの結果を比較し、ROC曲線より感度と特異度を求めた。 主な結果は以下のとおり。・対象被験者は564例であった。・MINIにおいて、うつ病性障害の有病率は4%、不安障害の有病率は12%であった。・単一質問によるスクリーニングの感度および特異度は、うつ病性障害がそれぞれ95%および56%、不安障害が68%および85%であった。・HADSの感度および特異度は、うつ病性障害が91%および85%、不安障害が58%および83%であった。・HSCLの感度および特異度は、うつ病性障害が86%および74%、不安障害が67%および87%であった。・不安障害のうち3つ(パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)、うつ病性障害のうち2つ(大うつ病性障害、気分変調性障害)に関しては、単一質問によるスクリーニングの感度は100%であった。

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抗精神病薬非服用の統合失調症、認知療法で症状が軽減/Lancet

 抗精神病薬を服用していない統合失調症スペクトラム障害の患者に対し、標準治療に加えて認知療法を行うことで、短期~長期の症状軽減効果が認められることが示された。英国マンチェスター大学のAnthony P Morrison氏らが行った試験で明らかにした。薬物療法が統合失調症の第一選択療法であるものの、治療薬を服用しない選択をしたり、服用を中止してしまう患者が少なくないのが現状である。著者らは、抗精神病薬を服用しないことを選択した患者で認知療法が症状を軽減できるかについて明らかにするため、今回の検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。認知療法を標準治療に併用し、陽性・陰性症状評価尺度を比較 Morrison氏らは、2010年2月15日~2013年5月30日にかけて、16~65歳の抗精神病薬を服用していない統合失調症スペクトラム障害の患者74例について、単盲検無作為化比較試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方には認知療法と標準治療を(37例)、もう一方には標準治療のみを行い(37例)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を比較した。PANSSは、ベースライン時、3、6、9、12、15、18ヵ月後に評価した。 共分散分析で、試験を実施した施設、年齢、性別、ベースライン時の症状について補正を行った。認知療法併用群でPANSSスコアが一貫して低値 その結果、認知療法併用群は標準治療単独群に比べ、PANSSスコアが一貫して有意に低く、症状軽減に効果があることが示された(効果量の群間格差:-6.52、95%信頼区間:-10.79~-2.25、p=0.003)。 試験期間中、重度有害事象が8例に認められたが、内訳は、認知療法併用群2例、標準治療単独群6例だった。認知療法併用群の2例の内訳は、1例はオーバードーズ、1例はその他リスクの発現だった。標準治療単独群は、2例が死亡(試験やメンタルヘルスとは無関係と考えられた)、3例はメンタルヘルスの問題による強制入院、残る1例はオーバードーズだった。 研究グループは、認知療法は症状軽減効果が有意で、安全で忍容性がある代替療法のようだとまとめ、「抗精神病薬を服用しないことを選択した統合失調症の人々のために、エビデンスベースの治療は活用されなければならない。抗精神病薬を服用しない統合失調症スペクトラム障害に対する認知療法併用の効果について、さらなる大規模試験が必要だ」とまとめている。

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治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ

 韓国・高麗大学校のChangsu Han氏らは、初回抗うつ薬治療に部分的反応もしくは反応しなかった大うつ病性障害(MDD)患者について、患者の選択により、(1)アリピプラゾール増強(AT群)、(2)他の抗うつ薬を追加(AC群)、(3)異なる抗うつ薬に切り替える(SW群)の3つの中から選択をしてもらい、有効性、忍容性を検証した。その結果、ATを選択した患者が最も多く、臨床的有益性も同群が最も大きかったことを報告した。このような検討は、これまで行われていなかったという。Journal of Psychiatric Research誌2014年2月号の掲載報告。 本検討は多施設共同にて行われた。初回抗うつ薬治療に部分的反応もしくは反応しなかったMDD患者について、患者の選択により、AT、AC、SWを選択してもらい評価を行った。主要有効性評価項目は、8週後に、Clinical Global Impression-Clinical Benefit(CGI-CB)スコアの改善を示した患者の割合とした。副次有効性評価項目は、CGI-CBの変化、CGI重症度(CGI-S)の変化、および主観的な満足度スコアの変化などであった。また、寛解および治療反応の分析も行われた。 主な結果は以下のとおり。・合計295例の患者が登録された。・患者が最も好んだ治療戦略は、ATであった(156例、52.9%)。続いてAC(93例、31,5%)、SW(46例、15.6%)であった。・スコア改善者は、AT群が74.1%と、AC群の48.1%と比べて有意に高く(p<0.001)、SW群(73.5%)とは同程度であった(p=0.948)。一方、AC群とSW群の間に有意差はみられなかった。・同様の結果は、副次エンドポイントの大半においてもみられ、ATのACに対する優位性、およびATとSWの間に差はないことが示された。・忍容性プロファイルは、3群全体で類似していた。しかしながら、平均体重増加量はSW群(-0.1kg)が、AC群(1.3kg)よりも有意に少なかった(p<0.05)。・以上のように、大うつ病性障害患者は抗うつ薬治療の効果が得られなかったとき、ACまたはSWよりもATを選択した。これら3つの治療戦略において、全体的にATは、ACまたはSWよりも臨床的な有益性が大きかった。・今回の知見について著者は、「方法論的に限界があった。強固な確証を得るには、検出力が適切であり管理が良好な臨床試験が望まれる」とまとめている。■関連記事難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用かうつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善SSRI+非定型抗精神病薬の併用、抗うつ作用増強の可能性が示唆治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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