糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:152

津波後の移住が心代謝リスク因子に関連

 2011年に起きた東日本大震災の津波被災者を対象に、移住に代表される震災関連の精神的および社会経済的問題とアテローム性動脈硬化症リスク因子の変化との関連を調査した縦断研究が報告された。この研究から、津波後の移住が被災者の体重の増加とHDLコレステロール(HDL-C)値の減少に関連しており、この変化は災害後の長期間にわたる精神的苦痛と社会経済的問題と関連することが示唆された。岩手医科大学の高橋 宗康氏らによるBMJ Open誌オンライン版2016年5月12日号掲載の報告。

SU薬とDPP-4阻害薬の併用、低血糖リスクを50%増加/BMJ

 スルホニル尿素(SU)薬で治療を受けている2型糖尿病患者に対し、DPP-4阻害薬を追加投与すると、低血糖リスクが50%増加し、最初の6ヵ月間で低血糖症例が患者17人に1人増えることになる。フランス・ボルドー大学のFrancess Salvo氏らが、無作為化プラセボ対照比較試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。DPP-4阻害薬とSU薬との併用により低血糖リスクが増加することは知られていたが、そのリスクの定量化はなされていなかった。著者は、「DPP-4阻害薬の投与を開始する場合にはSU薬の減量が推奨されていることを尊重し、低血糖リスクを最小限にするこの治療法の有効性を評価する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月3日号掲載の報告。

飽和脂肪酸をω6-リノール酸で置換する食事療法はコレステロールを低下させるが冠動脈疾患イベントや死亡を改善せず、むしろ悪化させる可能性がある!(解説:島田 俊夫 氏)-532

Anitschkowがウサギにコレステロールと飽和脂肪酸を食べさせることで大動脈に脂肪蓄積を誘導して以来、アテローム硬化発生への食事の役割は1世紀余りにわたり研究されてきた。血清コレステロールの増加と冠動脈疾患の関係について詳細に研究されたが、冠動脈疾患予防・治療に関する伝統的食事―心臓仮説(The traditional diet-heart hypothesis)の真偽に関してはいまだ結論に至らず、議論の多いところでもある。

eGFRが30未満は禁忌-メトホルミンの適正使用に関する Recommendation

 日本糖尿病学会「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」は、5月12日に「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」の改訂版を公表した。  わが国では、諸外国と比較し、頻度は高くないもののメトホルミン使用時に乳酸アシドーシスが報告されていることから2012年2月にRecommendationを発表、2014年3月に改訂を行っている。とくに今回は、米国FDAから“Drug Safety Communication”が出されたことを受け、従来のクレアチニンによる腎機能評価から推定糸球体濾過量eGFRによる評価へ変更することを主にし、内容をアップデートしたものである。

リノール酸はヘルシーとは言えない?/BMJ

 リノール酸を多く含む食事により冠動脈疾患または全死亡のリスクが低下する、という伝統的な仮説に否定的な見解が示された。リノール酸を多く含む食事は飽和脂肪酸を多く含む食事と比較して、血清コレステロール値を低下させるが、その低下が大きすぎるとむしろ死亡リスクは高まり、これまで飽和脂肪酸を植物性脂肪に置き換える効果が過大評価されてきた可能性があるという。米国立衛生研究所(NIH)のChristopher E Ramsden氏らが、Minnesota Coronary Experiment(MCE)研究の未発表文書を発見し、生データを再解析するとともに、類似の無作為化比較試験も含めてシステマティックレビューならびにメタ解析を行った結果、報告した。BMJ誌オンライン版2016年4月12日号掲載の報告。