糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:146

DPP-4阻害薬がよく効く患者の特徴

 2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬による治療12ヵ月後に高い有効性を示すのは、肥満でない患者、冠動脈疾患を持っていない患者であることが、徳島大学の八木 秀介氏らの研究により明らかになった。また、DPP-4阻害薬の長期の有効性は、治療3ヵ月後のHbA1cの低下によって予測することができるという。Diabetes and metabolism journal誌2015年8月号(オンライン版2015年7月21日号)の報告。

肥満を引き起こす遺伝子のメカニズムが判明/NEJM

 ゲノムワイド研究の進展により、疾患関連の遺伝子座の特定が可能となっている。FTO遺伝子座は、肥満症との遺伝的関連が最も強いことが知られているが、その関連メカニズムは明らかになっていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのMelina Claussnitzer氏らは、ヒトおよびマウスを用いた検討から、脂肪細胞の熱産生抑制と関連するFTOアレル遺伝子の存在、およびその基本メカニズムを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。

リラグルチド、肥満糖尿病患者の減量に有効/JAMA

 過体重/肥満(BMI 27.0以上)の2型糖尿病患者へのリラグルチド皮下注3.0mg(商品名:ビクトーザ)1日1回投与は、プラセボと比較して56週の間、有意な体重減少が認められ、5%以上または10%超の減量達成者の割合も有意に多かったことが示された。英国・レスター大学のMelanie J. Davies 氏らが、二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、報告した。体重の5~10%減少は、2型糖尿病および糖尿病関連の合併症を改善することが示唆されているが、現時点では、安全性、有効性が認められた体重コントロール薬はない。著者は今回の結果を踏まえて、さらなる検討を行い、より長期的に有効性、安全性を評価する必要があるとまとめている。JAMA誌2015年8月18日号掲載の報告。

働く糖尿病患者の65%が薬をきちんと服薬せず

 日本イーライリリー株式会社は、フルタイム勤務で、複数の経口薬のみで治療中の40~50代の2型糖尿病患者、390名を対象に意識調査を実施、その結果を発表した。  調査の結果、働き盛りの糖尿病患者では、多忙や不規則な生活で必ずしも医師の指示通り服薬ができていないことが明らかになった。また、ライフスタイルに合わせた治療を望んでおり、外出先での服薬をなくしたり、服薬回数の多さを考慮することが、治療継続のポイントと考えていることがわかった。

トランス脂肪酸だけが健康に悪いのか/BMJ

 飽和脂肪酸の摂取と、全死因死亡、心血管疾患(CVD)、冠動脈疾患(CHD)、虚血性脳卒中、2型糖尿病との関連は認められなかったが、そのエビデンスは限定的であることが示された。一方、トランス脂肪酸の摂取は、全死因死亡、総CHD発生、CHD死と関連していたが、それは工業型トランス脂肪酸の摂取が反すう動物由来トランス脂肪酸の摂取よりも多いためであることが示唆された。カナダ・マックマスター大学のRussell J de Souza氏らが、観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2015年8月11日号掲載の報告より。

トロポニンT値、2型糖尿病患者の心血管リスク予測に有用/NEJM

 心筋トロポニンT値は、2型糖尿病と安定虚血性心疾患の合併患者において、心血管系が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中の独立した予測因子であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のBrendan M. Everett氏らによる検討の結果、明らかにされた。また、迅速血行再建術でメリットが得られる患者はトロポニンT値14ng/L未満であることも示された。心筋トロポニン値は、急性冠症候群患者において、緊急血行再建が有効の可能性がある患者を同定するために用いられている。研究グループは、安定虚血性心疾患患者においても、心筋トロポニン値を用いて心血管イベントリスクの高い患者を同定し、迅速な冠血行再建によるベネフィットを得られることが可能であるとの仮説を立て、その検証試験を行った。NEJM誌2015年8月13日号掲載の報告より。

ピオグリタゾンとがん(解説:吉岡 成人 氏)-397

日本における糖尿病患者の死因の第1位は「がん」であり、糖尿病患者の高齢化と相まって、糖尿病患者の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで死亡する時代となっている。日本人の2型糖尿病患者におけるがん罹患のハザード比は1.20前後であり、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが増加することが、疫学調査によって確認されている。糖尿病によってがんの罹患リスクが上昇するメカニズムとしては、インスリン抵抗性、高インスリン血症の影響が大きいと考えられている。インスリンはインスリン受容体のみならず、インスリン様成長因子(IGF-1)の受容体とも結合することで細胞増殖を促し、がんの発生、増殖にも関連する。