循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

コントロール不良高血圧、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatが有望/JAMA

 コントロール不良の高血圧患者の治療において、経口アルドステロン合成酵素阻害薬lorundrostatはプラセボと比較して、優れた降圧効果をもたらす可能性があることが、米国・クリーブランド・クリニック財団のLuke J. Laffin氏らが実施した「Target-HTN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年9月10日号で報告された。  Target-HTN試験は、米国の43施設で実施された無作為化プラセボ対照用量設定試験であり、2021年7月~2022年6月に参加者の無作為化を行った(Mineralys Therapeuticsの助成を受けた)。

久しぶりに『貧乏物語』を思い出しました!(解説:後藤信哉氏)

アスピリンの心血管イベント抑制効果は、ランダム化比較試験、メタ解析により確立している。重篤な出血合併症リスクも定量化されており、心血管病の2次予防におけるアスピリンの有効性、安全性は確立されている。アスピリンの歴史は長い。薬も安価である。米国ではOTC薬として普通に薬局で売っており、最近は高くなったかもしれないが、安い薬局を探せば400錠を10ドルで購入できた記憶がある。日本でも価格によりアスピリンの使用を躊躇した記憶はない。  本論文では、2013年から2020年まで、世界51ヵ国の心血管病の既往がある症例のアスピリン使用率を調査した。

閉塞性睡眠時無呼吸のCPAP治療で長引く咳や胸焼けも改善か

 持続陽圧呼吸療法(CPAP)は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)だけでなく、それに合併することの多い胸焼けや慢性的な咳にも効果がある可能性が、新たな研究で示された。この研究結果は、「ERJ Open Research」に8月31日掲載された。  研究論文の上席著者でアイスランド国立大学病院のThorarinn Gislason氏によると、OSAの患者では、OSAのない人と比べて胃食道逆流現象(GER)を発症するリスクが3倍高いという。しかしGislason氏は、GERがあるからといってOSAの検査を受けるべきだと考えているわけではない。「OSAは、日中の眠気や喘鳴などの呼吸器症状など、さまざまな症状や合併症を伴うことがある。これらの症状があるのなら、OSAの検査を受けることを考慮しても良いかもしれない」と同氏は言う。

機械的血栓回収療法後の脳卒中急性期の血圧管理目標レベル(解説:冨山博史氏)

現在、脳卒中急性期の治療法として血栓溶解療法に加え機械的血栓回収療法が施行されている。そして、日本脳卒中学会『脳卒中治療ガイドライン2021(2023改訂版)』では、脳卒中急性期の血圧治療に関して以下を記載している。“機械的血栓回収療法を施行する場合は、血栓回収前の降圧は必ずしも必要ないが、血栓回収後には速やかな降圧を行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。一方、血栓回収中および回収後の過度な血圧低下は、避けるように勧める(推奨度E エビデンスレベル低)”

心房細動患者のうつ・不安の改善、アブレーションvs.薬物療法/JAMA

 症候性心房細動(AF)を有する患者において、不安や抑うつなど精神症状の改善はカテーテルアブレーション施行患者では観察されたが、薬物療法のみの患者では認められなかったことを、オーストラリア・Royal Melbourne HospitalのAhmed M. AI-Kaisey氏らが、医師主導の無作為化評価者盲検比較試験「Randomized Evaluation of the Impact of Catheter Ablation on Psychological Distress in Atrial Fibrillation:REMEDIAL試験」の結果、報告した。AFカテーテルアブレーションがメンタルヘルスに及ぼす影響についてはよくわかっていなかった。JAMA誌2023年9月12日号掲載の報告。

急性期脳梗塞で血管内治療後の急性期血圧管理、厳格vs.標準(OPTIMAL-BP)/JAMA

 主幹動脈閉塞による急性期虚血性脳卒中患者で血管内血栓除去術(EVT)により再灌流に成功した後、血圧上昇がみられる患者において、24時間の集中的な血圧管理(収縮期血圧の目標140mmHg未満)は従来の血圧管理(同140~180mmHg)と比較し、3ヵ月時点の機能的自立の達成割合が低いことを、韓国・延世大学のHyo Suk Nam氏らが多施設共同無作為化非盲検評価者盲検比較試験「Outcome in Patients Treated With Intra-Arterial Thrombectomy-Optimal Blood Pressure Control:OPTIMAL-BP試験」の結果、報告した。急性虚血性脳卒中患者におけるEVTによる再灌流成功後の最適な血圧管理は、不明であった。著者は、「EVTを受けた急性期虚血性脳卒中患者において、再灌流成功後24時間の強化降圧療法は避けるべきである」と述べている。JAMA誌2023年9月5日号掲載の報告。

機械学習モデルで心筋梗塞の診断能が向上

 心筋トロポニン値と臨床的特徴を組み込んだ機械学習モデルによって、心筋梗塞の診断能が改善されたという研究結果が、「Nature Medicine」に5月11日掲載された論文で明らかにされた。  心筋梗塞の診断の目安として心筋トロポニンの閾値を設定するようにガイドラインで推奨しているが、心筋トロポニン値は、年齢、性別、併存疾患、発症時からの経過時間などの影響を受けやすい。そこで、英エジンバラ大学のDimitrios Doudesis氏らは、心筋梗塞の診断能の改善を目的として、初診時または定期的な検査時の心筋トロポニンI値と臨床的特徴を統合し、心筋梗塞発症の確率を予測するCoDE-ACSスコア(Collaboration for the Diagnosis and Evaluation of Acute Coronary Syndrome score、0~100点)を算出する機械学習モデルとしてCoDE-ACSモデルを開発した。

生殖年齢女性はNSAIDでVTEリスク増、ホルモン避妊薬併用でさらに増/BMJ

 生殖年齢15~49歳の女性において、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用は静脈血栓塞栓症(VTE)と正の関連性があることが示された。また、NSAID非使用時と比較した使用時のイベント数は、低リスク/リスクなしのホルモン避妊薬併用時と比べて、高/中リスクのホルモン避妊薬の併用時に有意に増加したことも示された。デンマーク・コペンハーゲン大学のAmani Meaidi氏らが、同国在住の女性約203万人を対象に行った全国コホート試験の結果で、著者は「NSAIDとホルモン避妊薬の両者の使用が必要な女性には、適切なアドバイスが必要である」と述べている。BMJ誌2023年9月6日号掲載の報告。

急性脳梗塞、血管内治療後の積極降圧は有益か?(BEST-II)/JAMA

 急性虚血性脳卒中の患者において、血管内治療成功後の収縮期血圧(SBP)目標値について、140mmHg未満や160mmHg未満の設定は、180mmHg以下の設定と比較して、事前規定の無益性は示されなかった。一方で、将来的に大規模試験で比較した場合に、低SBP目標値が高SBP目標値より優越性を示す確率は低い可能性も示唆されたという。米国・シンシナティ大学のEva A. Mistry氏らが、無作為化試験「BEST-II試験」の結果を報告した。急性虚血性脳卒中への血管内治療成功後の中程度のSBP降圧の影響は、明らかになっていなかった。JAMA誌2023年9月5日号掲載の報告。

バイスタンダーによるAEDの使用で心肺停止後の生存率が向上

 心肺が突然停止した人に対して、バイスタンダー(その場に居合わせた人)が心肺蘇生(CPR)の実施に加えて自動体外式除細動器(AED)を使用すると、たとえ救急車が現場に到着するまでに2分しかかからなかった場合でも、その人の30日生存率が向上することが、新たな研究で示された。Nordsjaelland病院(デンマーク)のMathias Hindborg氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会(ESC Congress 2023、8月25〜28日、オランダ・アムステルダム)で発表された。  心肺停止の主な原因の一つに心室細動がある。これは、心臓から全身に血液を送り出す心室が不規則にけいれんすることで心臓のポンプ機能が異常を来し、脳も含めた全身への血液供給が停止してしまう状態を指す。心室細動が生じた人は意識を消失し、血流を速やかに回復させなければ10〜20分で死に至る。