循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:239

質の高い食事は本当に死亡リスクを低下させる/NEJM

 12年にわたる食事の質の改善は、死亡リスクの低下と確実に関連している。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMercedes Sotos-Prieto氏らが、看護師健康調査(Nurses' Health Study:NHS)および医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study:HPFS)を基に解析し、明らかにした。これまでの研究で、食事の質を改善することにより、全死亡あるいは心血管疾患による死亡のリスクが低下することは示唆されていたが、長期的な食事の質の変化と死亡リスクとの関連を評価した研究はほとんどなかった。NEJM誌2017年7月13日号掲載の報告。

PAP療法は、睡眠時無呼吸症の心血管リスクを改善したのか/JAMA

 睡眠時無呼吸に対する陽圧呼吸(PAP)療法は、無治療あるいは偽治療(sham)と比較し、心血管イベントや死亡のリスクを低減しないことを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のJie Yu氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果として報告した。睡眠時無呼吸(閉塞性および中枢性)は、有害な心血管リスク因子と関連しており、心血管疾患のリスクを増加させることが観察研究で示されている。PAP療法は、持続陽圧呼吸(CPAP)と適応補助換気(ASV)のどちらでも睡眠時無呼吸の症状を緩和するが、心血管転帰および死亡との関連性はこれまで不明であった。JAMA誌2017年7月11日号掲載の報告。

薬剤溶出ステント留置後のDAPT、6ヵ月 vs. 24ヵ月

 2015年に発表されたITALIC(Is There a Life for DES After Discontinuation of Clopidogrel)試験では、第2世代薬剤溶出ステントを用いた冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)で、6ヵ月のDAPTを24ヵ月のDAPTと比較し、1年目の時点で出血と血栓症の発生率が同等であることが示された。ITALIC試験の最終結果となる今回は、6ヵ月DAPTの24ヵ月に対する非劣性を検証することを目的に、24ヵ月DAPTのフォローアップ結果がフランス・ブレスト大学のGilard氏らより報告された。Journal of the American College of Cardiology誌2017年6月26日号に掲載。

心不全の突然死、科学的根拠に基づく薬物療法で減少/NEJM

 収縮能が低下した心不全の外来患者では、突然死の発生率が経時的に大きく低下していることが、英国心臓財団グラスゴー心血管研究センターのLi Shen氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年7月6日号に掲載された。ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬などの登場以降、科学的根拠に基づく薬物療法の使用が増えるに従って、収縮能が低下した症候性心不全患者の突然死のリスクは、経時的に低下している可能性が指摘されているが、その詳細の調査は十分ではないという。

ACC/AHAガイドラインの費用対効果を他ガイドラインと比較

 2013年改訂の米国心臓病学会/米国心臓協会(ACC/AHA)の脂質異常症管理ガイドラインでは、アテローム性心血管疾患の1次予防のためのスタチン使用の推奨が拡大されたが、その費用対効果について他のガイドラインとの比較はなされていない。今回、米国・マウントサイナイ医科大学のDavid J. Heller氏らが費用対効果を比較したところ、ACC/AHAガイドラインは、集団レベルでは男女共により多くの人々を治療し、より多くの命を救い、費用はATP IIIガイドラインより削減されると推計された。個人レベルではスタチンの長期使用から恩恵を受けるかどうかは、心血管リスクの程度よりも錠剤数の負担(pill burden)による負の効用(disutility)に大きく左右されるという。Circulation誌オンライン版2017年7月7日号に掲載。

高力価スタチンで糖尿病発症リスク2.6倍

 脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。BMJ open誌2017年6月30日号に掲載。

屈曲病変の通過性を向上させた新型DES発売/日本メドトロニック

 日本メドトロニック株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:トニー セメド)は2017年7月3日、薬剤溶出性ステントResolute Onyx(リゾリュートオニキス)コロナリーステントシステム(医療機器承認番号:22900BZX00186000)が7月1日付で本邦の保険適用となった旨を発表。製品販売開始は、7月10日を予定。Resolute Onyxは既存製品のResolute Integrityと比較して優れた通過性向上が期待できるという。

カナグリフロジンによる心血管・腎イベントの抑制と下肢切断、骨折の増加(解説:吉岡 成人 氏)-694

SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者において心血管死、総死亡、さらに腎イベント(顕性腎症の発症、血清クレアチニン値の倍増、腎代替療法の導入、腎疾患による死亡)を抑制するとEMPA-REG OUTCOME試験およびそのサブ解析で示されて以降、カナダ糖尿病学会、米国糖尿病学会の提唱するガイドラインでは、心血管リスクの高い患者におけるSGLT2阻害薬の使用を推奨している。

高血圧家族歴を心血管病予防にどう生かすか?(解説:有馬 久富 氏)-695

高血圧は遺伝することがよく知られている。しかし、過去に行われた研究では、問診による家族歴(両親の高血圧の有無)を用いて高血圧の遺伝性が検討されてきた。問診による家族歴は、記憶に基づいているために不正確であることが少なくない。とくに、健診や降圧療法が今ほど普及していなかった時代には、高血圧の診断自体が不正確であったと推測される。したがって、高血圧の遺伝性に関する信頼性の高いエビデンスは非常に限られていた。

ステント血栓症リスク、BVS vs.EES

 最近の研究から、生体吸収性スキャフォールド(BVS)による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、エベロリムス溶出性金属製ステント(EES)と比べ、血栓症の合併症が多いことが示唆されている。米国マウントサイナイ・アイカーン医科大学のSorrentino氏らは、FDAが承認したBVSと金属製EESの効果を、長期フォローアップで比較した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月12日号に掲載。