循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:136

ベジタリアンは肉食より脳卒中リスク増/BMJ

 魚食や菜食主義(ベジタリアン)の人は、肉食の人と比較して虚血性心疾患の発生率は低かったが、ベジタリアンでは脳出血および全脳卒中の発生率が高いことが示された。英国・オックスフォード大学のTammy Y N Tong氏らが、ベジタリアンと虚血性心疾患および脳卒中との関連を調査した前向きコホート研究「EPIC-Oxford研究」の18年を超える追跡調査結果を報告した。これまでの研究では、ベジタリアンが非ベジタリアンより虚血性心疾患のリスクが低いことは報告されていたが、利用可能なデータが限られており、脳卒中に関するエビデンスは十分ではなかった。BMJ誌2019年9月4日号掲載の報告。

HFrEFへのsacubitril-バルサルタンは動脈スティフネスを改善?/JAMA

 左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者において、sacubitril/バルサルタンはエナラプリルと比較し中心動脈スティフネスを有意に改善しないことが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAkshay S. Desai氏らが、sacubitril/バルサルタンによるHFrEFの治療が中心動脈スティフネスおよび心臓リモデリングを改善するかについて検証した無作為化二重盲検臨床試験「EVALUATE-HF試験」の結果を報告した。sacubitril/バルサルタンは、エナラプリルと比較しHFrEF患者の心血管死および心不全による入院を減少させることが示されており、血行動態や心臓リモデリングの改善と関連する可能性があった。著者は「今回の結果は、HFrEFに対するsacubitril/バルサルタンの作用メカニズムを理解するうえで手掛かりとなるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。

高まる腫瘍循環器学への注目/日本腫瘍循環器学会

 がん治療において心血管系の合併症を避けることは容易ではない。ほとんどのがんの予後が改善される中、この合併症への対策はさらに重要になっている。2019年9月21日から第2回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催された。東京大学の小室 一成氏は、理事長講演のなかで以下のように述べた。  腫瘍循環器学は世界的に注目が高まっている。その傾向はわが国でも同様で、多くのがん関連学会、循環器関連学会で腫瘍循環器学が取り上げられている。

高齢者下肢手術、VTE予防の最適な目標INR値は/JAMA

 ワルファリン治療を受けている65歳以上高齢者の股関節・膝関節置換術後に、国際標準化比(INR)目標値を1.8としても、同目標値2.5に対して、静脈血栓症(VTE)または死亡の複合アウトカムのリスクについて、非劣性の基準を満たさなかったことが報告された。米国・ワシントン大学セントルイス校のBrian F. Gage氏らが、1,650例の患者を対象に行った無作為化比較試験「Genetic Informatics Trial(GIFT)of Warfarin to Prevent Deep Vein Thrombosis」の結果で、JAMA誌2019年9月3日号で発表した。ワルファリン治療中の関節手術を受ける患者について、VTE予防のための最適なINR値は明らかになっていなかった。

低LDL-C・SBP値に関連の遺伝子変異体、CVリスクを減少/JAMA

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値・収縮期血圧(SBP)値の低下に関連する遺伝子変異体を有する人は、心血管リスクが有意に低いことを、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、約44万人のバイオバンク登録者を追跡し明らかにした。これまで、LDL-C値とSBP値がより低いことと心血管疾患リスクとの関連は完全には定量化されていなかった。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、2006~10年に英国バイオバンクに登録した43万8,952例について、2018年まで追跡調査を行った。被験者を、遺伝的LDL-Cスコアと遺伝的SBPスコアにより、それぞれの中央値以下・超で4群に分け、両スコアともに中央値以下の群を基準群とした。

AIは洞調律の心電図から発作性心房細動を診断できるのか(解説:高月誠司氏)-1114

本研究は、発作性心房細動患者の洞調律の心電図と心房細動ではない患者の洞調律の心電図を人工知能(AI)に学習させ、洞調律の心電図からその患者が発作性心房細動か否か認識できるかを検証した。畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network)という画像や動画認識に多く用いられる方法を使った、AIによる10秒間の標準12誘導心電図解析の研究である。メイヨー・クリニックの45万4,789枚の心電図で自己学習させ、6万4,340枚の心電図で自己検証、そして13万802枚の心電図でテストが行われた。結果は感度82.3%(真陽性/[真陽性+偽陰性])、特異度83.4%(真陰性/[偽陽性+真陰性])、正確度83.3%([真陽性+真陰性]/全体)で、発作性心房細動を識別することに成功した。

PCI後の糖尿病合併安定CAD、チカグレロル追加が有望/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた糖尿病を伴う安定冠動脈疾患の治療では、チカグレロル+アスピリンはプラセボ+アスピリンに比べ、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合の発生を有意に抑制する一方で、大出血を増加させるものの、良好なネット臨床ベネフィット(net clinical benefit)をもたらすことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らが行ったTHEMIS-PCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月1日号に掲載された。PCIを受けた糖尿病合併安定冠動脈疾患患者は虚血性イベントのリスクが高く、とくにステント留置術を受けた患者のリスクは高いという。THEMIS-PCI試験は、THEMIS試験に参加した患者のうちPCIを受けた患者を対象とするサブスタディである。

STEMI合併多枝冠動脈疾患、完全血行再建術は有効か/NEJM

 ST上昇心筋梗塞(STEMI)を伴う多枝冠動脈疾患患者の治療では、非責任病変を含む完全血行再建術は、責任病変のみへの経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と比較して、心血管死と心筋梗塞の複合のリスクだけでなく、心血管死+心筋梗塞+虚血による再血行再建術の複合をも有意に抑制することが、カナダ・マクマスター大学のShamir R. Mehta氏らが行ったCOMPLETE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月1日号に掲載された。STEMI患者では、責任病変へのPCIは心血管死と心筋梗塞のリスクを低減するが、非責任病変へのPCIがこれらのイベントのリスクをさらに抑制するかは不明だという。

STEMIのプライマリPCI、新世代ステントが有望/Lancet

 直接的経皮的冠動脈インターベンション(プライマリPCI)を受ける急性期ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者では、1年後の標的病変不全の発生に関して、生分解性ポリマー・シロリムス溶出ステントは耐久性ポリマー・エベロリムス溶出ステントよりも有効であることが、スイス・ジュネーブ大学病院のJuan F. Iglesias氏らが行ったBIOSTEMI試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月2日号に掲載された。超薄型ストラット金属プラットホームと生分解性ポリマーを組み合わせた新世代の薬剤溶出ステントは、薄型ストラットを用いた第2世代の薬剤溶出ステントに比べて、プライマリPCIを受ける急性心筋梗塞患者の血管治癒を促進し、臨床アウトカムを改善する可能性が示唆されていた。

急性冠症候群へのプラスグレル、チカグレロルより高い有効性/NEJM

 ST上昇の有無を問わず急性冠症候群患者の治療では、プラスグレルはチカグレロルと比較して、1年後の死亡、心筋梗塞および脳卒中の複合の発生率が有意に低く、大出血の発生率は両群間に差はないことが、ドイツ心臓センターミュンヘンのStefanie Schupke氏らが行ったISAR-REACT 5試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月1日号に掲載された。抗血小板薬2剤併用療法(アデノシン二リン酸受容体拮抗薬とアスピリン)は、急性冠症候群の標準治療とされる。プラスグレルとチカグレロルは先行薬のクロピドグレルに比べ、血小板阻害作用が強く、効果の発現が迅速かつ安定しているとされる。一方、侵襲的評価が予定されている患者における、これらの薬剤による1年間の治療の相対的な優劣のデータはこれまでなかったという。