救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:44

COVID-19に対する薬物治療の考え方 第8版、中和抗体薬を追加/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、8月6日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第8版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、前回7版からの知見の追加のほか、先日承認された中和抗体薬の項目が追加された。また、デルタ株の猛威に対し「一般市民の皆様へ ~かからないために、かかった時のために~」を日本環境感染学会と連名で公開した。

地域によっては宿泊療養強化が効率的、中等症も医師判断で入院を/日医

 8月2日、政府から感染急増地域における入院の対象を重症者や重症化リスクの高い者に重点化し、それ以外は自宅療養を基本とする方針が示されたことについて、日本医師会の中川 俊男会長は8月4日の定例会見で、入院の判断は医師によって適切に行われるべきであり、宿泊療養を強化するほうが効率的な地域もあるとの見解を示した。  中等症II(呼吸不全あり:SpO2≦93%)はもちろん、中等症I(呼吸不全なし:93%<SpO2<96%)についても、現場の医師が重症化リスクが高いと判断した場合は、入院の対象とすべきとの考えを強調。8月3日に行われた政府との意見交換会においてこの見解を伝え、菅首相および田村厚生労働大臣からは、「重症化する患者さんに必要な医療が提供できることが大変重要であり、医師の判断の元に対応いただきたい」との明確な回答を得ているとした。

中和抗体薬などについて追加、COVID-19診療の手引き/厚生労働省

 7月30日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第5.2版」を公開した。  今回の改訂では、以下の4点が追記・修正された。 ・「1 病原体・疫学」の「海外発生状況」の更新 ・「2 臨床像」の「合併症」に、心筋炎・心膜炎、真菌感染症について追記 ・「4 重症度分類とマネジメント」で「中和抗体薬カシリビマブ/イムデビマブ」を追記 ・「5 薬物療法」で「各種薬剤の項目」を一部追記  また、さかのぼること7月26日に同省は、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(3.3版)」を改訂し、公開した。

8月に都内1万人超も、爆発的拡大への緊急声明/日医

 29日、国内の新型コロナ新規感染者数は初めて1万人を超え、病床逼迫が現実に発生しつつある。日本医師会は、これを踏まえ、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、東京都医師会の各団体と共に、「新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大への緊急声明」を取りまとめた。  東京都の新規陽性者数は、7月25日1,763人、26日1,429人、27日2,848人、28日3,177人、29日3,865人と、1週間比1.5以上で推移しており、厚労省アドバイザリーボードが28日に出した感染予測では、このまま1週間比1.4以上が続けば、8月中にも新規陽性者数は東京都だけで1万人を超えるとされている。

カナキヌマブ、重症COVID-19入院患者の生存を改善せず/JAMA

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者の治療において、抗インターロイキン(IL)-1β抗体カナキヌマブはプラセボと比較して、29日の時点での侵襲的機械換気(IMV)を要さない生存の可能性を向上させず、COVID-19関連死を抑制しないことが、米国・テンプル大学のRoberto Caricchio氏らが実施した「CAN-COVID試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年7月20日号で報告された。  本研究は、重症COVID-19入院患者の治療におけるカナキヌマブの有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年4月30日~8月17日の期間に、欧州と米国の39施設で参加者の登録が行われた(スイス・Novartis Pharma AGの助成による)。

COVID-19入院患者、60歳未満も男性では約半数で合併症/Lancet

 COVID-19入院患者は、若年者や既往歴がない患者も含めて院内合併症の発生率が高く、神経学的合併症は退院時のセルフケア能力の低下と関連していた。英国・エディンバラ大学のThomas M. Drake氏らが、COVID-19の合併症の程度や影響を明らかにする目的で、英国の医療機関302施設にて実施した多施設共同前向きコホート研究の結果を報告した。COVID-19は多臓器疾患で、生存患者は院内合併症を発症する可能性があるとされる。著者は、「COVID-19の合併症は、今後数年間、医療および社会的サポートにおいて大きな負担となる可能性がある。今回のデータは、COVID-19による入院患者の退院後のケアを目的としたサービスの設計や提供に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌2021年7月17日号掲載の報告。

新型コロナ外来患者へのbamlanivimab+etesevimab、第III相試験結果/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクが高い外来患者において、bamlanivimab+etesevimab併用療法はプラセボと比較して、COVID-19関連入院および全死因死亡の発生率を低下し、SARS-CoV-2ウイルス量の減少を促進することが示された。米国・ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院のMichael Dougan氏らが、同併用療法の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「BLAZE-1試験」の結果を報告した。基礎疾患を有するCOVID-19患者は重症化リスクが高い。ワクチン由来では時間をかけて免疫がつくのに対し、中和モノクローナル抗体は即時に受動免疫をもたらし、疾患の進行や合併症を抑制できる可能性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2021年7月14日号掲載の報告。

モデルナ製ワクチン後の急性期副反応に備えた、予診票の確認ポイント/自衛隊中央病院

 自衛隊東京大規模接種センターにおける「COVID-19 ワクチンモデルナ筋注」接種者約20万人のデータについて、急性期副反応の詳細を速報としてまとめたデータを自衛隊中央病院がホームページ上で公開した。本解析では急性期副反応を「同センター内で接種後経過観察中(最大30分間)に、何らかの身体的異常を自覚し、同センター内救護所を受診したもの」と定義し、得られた経験・知見を可能な限り医療従事者と共有することで、今後のCOVID-19ワクチン接種の対応向上に資することが目的としている。 <解析の対象と方法> ・2021年5月24日~6月15日に行われたワクチン接種者20万8,154人を対象(すべて1回目接種)。 ・ワクチン接種者の基礎的臨床情報は、厚生労働省より配布される「新型コロナワクチン 予診票」を用いて収集・解析。 ・急性期副反応発症者については全件調査を行い、非発症者についてはランダムサンプリングによる調査を行った。非発症者の母集団平均値の95%信頼区間の許容誤差が2%以下になるよう、サンプルサイズを設定した(n=3,000)。 ・急性期副反応に関する詳細は、当センター救護所で使用した医療記録を用いて収集・解析を行った。アナフィラキシーの診断は、ブライトン分類に基づき2名の医師(内科医および救急医)により判定した。

軽度~中等度コロナ治療薬「ロナプリーブ」を特例承認/厚労省

 厚生労働省は7月19日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、「ロナプリーブ点滴静注セット300」「同1332」(一般名:カシリビマブ[遺伝子組換え]/イムデビマブ[遺伝子組換え])の国内における製造販売を承認した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、国内開発権および独占的販売権を取得した中外製薬が特例承認の適用を求め、申請していた。国内における新型コロナ治療薬としては、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブに続き、4例目となり、軽度~中等度のCOVID-19治療薬では初となる。