救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

急性心筋梗塞による心原性ショック、MCSデバイス使用は有益か/Lancet

 急性心筋梗塞による心原性ショック(AMICS)の患者に対する積極的な経皮的機械的循環補助(MCS)デバイスの使用は、6ヵ月死亡を抑制せず、大出血および血管合併症を増加したことが、ドイツ・ライプチヒ大学ハートセンターのHolger Thiele氏らMCS Collaborator Scientific Groupが行った個別患者データのメタ解析の結果で示された。ただし、低酸素脳症のリスクがないST上昇型心筋梗塞(STEMI)による心原性ショックの患者では、MCS使用後に死亡率の低下が認められた。積極的な経皮的MCSは、死亡への影響に関して相反するエビデンスが示されているにもかかわらず、AMICS治療での使用が増加しているという。

血栓溶解療法にアルガトロバンやGPIIb/IIIa阻害薬の併用は有効か(解説:内山真一郎氏)

このMOST試験は、米国の57施設が参加した単盲検の無作為化比較試験である。発症後3時間以内に血栓溶解療法を施行した虚血性脳卒中患者に血栓溶解療法開始75分以内にアルガトロバン、eptifibatide(GPIIb/IIIa阻害薬)、プラセボのいずれかを投与したところ、1次評価項目であった90日後の効用加重修正Rankinスケール(mRS)はプラセボ群よりアルガトロバン群で有意に高く(高いほど転帰良好)、eptifibatide群もプラセボ群より若干高く、安全性の1次評価項目であった症候性頭蓋内出血は3群間で有意差がなかったが、アルガトロバンやeptifibatideの併用療法により脳卒中後遺症は減らず、死亡が増加したと結論しており、抄録では結果と結論が矛盾している。

急性期脳梗塞、抗凝固薬または抗血小板薬の補助療法は有益か/NEJM

 発症後3時間以内に静脈内血栓溶解療法を受けた急性期脳梗塞患者において、アルガトロバン(抗凝固薬)またはeptifibatide(抗血小板薬)の静脈内投与による補助療法は、脳梗塞後の障害を減少させず、死亡の増加と関連することが、米国・セントルイス・ワシントン大学のOpeolu Adeoye氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。静脈内血栓溶解療法は急性期脳梗塞の標準治療であるが、アルガトロバンまたはeptifibatideと併用した場合の有効性と安全性は不明であった。NEJM誌2024年9月5日号掲載の報告。

患者負担を軽減する世界初の肺胞蛋白症治療薬/ノーベルファーマ

 ノーベルファーマは、世界初の肺胞蛋白症治療薬サルグラモスチム(商品名:サルグマリン吸入用250μg)について本社でプレスセミナーを開催した。  肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis:PAP)は、酸素と二酸化炭素をガス交換する肺胞に蛋白様物質が貯留する希少疾患の総称。酸素と二酸化炭素の交換ができなくなり、うまく酸素が体に取り込めなくなるため、呼吸困難、咳や痰、発熱、体重減少などの症状がある。PAPのうち、免疫細胞の過剰産出に起因する自己免疫性PAPが90%を占め、国内に約730~770人の患者が推定されている。

高用量タンパク質投与、人工呼吸器装着患者には無益/Lancet

 人工呼吸器を要する重症患者への高用量タンパク質投与は標準量タンパク質投与と比較して、健康関連QOLを悪化させ、集中治療室(ICU)入室後180日間の機能的アウトカムを改善しなかった。オランダ・マーストリヒト大学のJulia L. M. Bels氏らPRECISe study teamが、同国とベルギーで実施した「PRECISe試験」の結果を報告した。先行研究で、重症患者へのタンパク質投与量の増加が、筋萎縮を緩和し長期的アウトカムを改善する可能性が示されていた。Lancet誌オンライン版2024年8月17日号掲載の報告。  PRECISe試験は、オランダの5病院とベルギーの5病院で行われた研究者主導の多施設共同並行群間二重盲検無作為化比較試験である。機械的人工呼吸器を装着した重症患者への経腸栄養によるタンパク質投与について、高用量(すわなち1日当たり2.0g/kg)が標準量(同1.3g/kg)と比較して、健康関連QOLと機能的アウトカムを改善するかどうかを評価した。試験組み入れ基準は、ICU入室後24時間以内に侵襲的人工呼吸器による管理を開始し、同装着期間が3日以上と予想されることとした。除外基準は、経腸栄養禁忌、瀕死状態、BMI値18未満、透析不要コードの腎不全、または肝性脳症であった。

昏睡・植物状態の患者、25%はfMRIまたはEEGで脳活動あり/NEJM

 昏睡、植物状態または最小意識状態マイナスの患者において、約4例に1例は言葉による指示に対するfMRIまたは脳波(EEG)上の活動、すなわち認知と運動の解離(cognitive motor dissociation:CMD)が認められたという。米国・Spaulding Rehabilitation HospitalのYelena G. Bodien氏らが国際共同前向きコホート研究の結果を報告した。一方、意識障害を有するが言葉による指示に対して観察可能な反応があった患者において、CMDが認められたのは約3例に1例であった。脳損傷により指示に反応しない患者が認知課題を行い、fMRIやEEGで検出される場合がある。CMDとして知られるこの現象については、これまで意識障害患者の大規模コホートにおいて体系的な研究はなされていなかった。NEJM誌2024年8月15日号掲載の報告。

現金給付は、医療アクセスを改善するか/JAMA

 貧困は医療へのアクセスの大きな障壁となり、健康アウトカムの悪化と関連することが知られている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSumit D. Agarwal氏らは、現金給付が医療サービス利用と健康にベネフィットをもたらすかを無作為化試験で調べた。現金給付を受けた人では、とくに精神疾患や物質使用障害(substance use disorder:SUD)に関連した理由での救急外来の受診が有意に減少し、入院に至った救急外来の受診の減少や専門外来の受診の増加もみられた。著者は、「試験の結果は、所得支援の提供で貧困を軽減しようとする政策が、健康および医療アクセスに大きなメリットをもたらす可能性があることを示唆するものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年7月22日号掲載の報告。

重症敗血症へのアセトアミノフェン、生存日数を改善せず/JAMA

 重症敗血症患者において、アセトアミノフェン(パラセタモール)の静脈内投与は、安全性は高いものの、生存日数および臓器補助(腎代替療法、機械換気、昇圧薬)が不要な日数を改善しないことが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのLorraine B. Ware氏らが実施した「ASTER試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2024年8月6日号で報告された。  ASTER試験は、米国の40の病院の救急診療部または集中治療室(ICU)で実施した二重盲検無作為化第IIb相試験であり、2021年10月~2023年4月に参加者のスクリーニングを行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]の助成を受けた)。

国内での小児の新型コロナ感染後の死亡、経過や主な死因は?

 2024年8月2日時点での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行状況によると、とくに10歳未満の小児患者の占める割合が多い傾向にある。日本でCOVID-19発症後に死亡した0~19歳の小児・青年患者の特徴を明らかにするために、国立感染症研究所のShingo Mitsushima氏らの多施設共同研究チームは、医療記録および死亡診断書から詳細な情報を収集し、聞き取り調査を行った。その結果、53例の情報が得られ、ワクチン接種対象者の88%が未接種であったことや、発症から死亡までの期間は77%が7日未満であったことなどが判明した。CDCのEmerging Infectious Diseases誌2024年8月号に掲載。

臓器不全の重篤患者、ICU治療にSGLT2阻害薬追加は有益か?/JAMA

 急性臓器不全を呈した重篤患者に対し、標準的なICU治療にSGLT-2阻害薬ダパグリフロジンを追加しても臨床アウトカムは改善しなかった。一方で、信頼区間(CI)値の範囲が広く、ダパグリフロジンに関連する有益性または有害性を排除できなかったという。ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのCaio A. M. Tavares氏らDEFENDER Investigatorsが多施設共同無作為化非盲検試験「DEFENDER試験」の結果を報告した。SGLT-2阻害薬は、糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)を有する患者のアウトカムを改善するが、臓器不全を呈した重篤患者のアウトカムへの効果は不明であった。JAMA誌2024年8月6日号掲載の報告。