救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

コロナ入院患者のヘパリンによる治療効果、重症度・BMIで差/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、治療量ヘパリン投与の効果にばらつきがあることが、カナダ・トロント総合病院のEwan C. Goligher氏らにより示された。治療効果の異質性(HTE)を3つの手法で評価した結果、入院時の重症度が低い人やBMI値が低い人では有益である可能性があるが、重症度が高い人やBMI値が高い人では有害となる可能性が高かったという。これまでに行われたCOVID-19入院患者を対象とした治療量ヘパリンに関する無作為化臨床試験(RCT)では相反する結果が示されており、個人間のHTEが原因ではないかとみなされていた。結果を踏まえて著者は、「RCTのデザインおよび解析では、HTEを考慮することが重要であることが示された」とまとめている。JAMA誌2023年4月4日号掲載の報告。

医師の働き方改革、いまだ2割強が基準超の時間外勤務/医師1,000人アンケート

 2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則960時間となる、いわゆる「医師の働き方改革」がスタートするのを踏まえ、会員の勤務医1,000人を対象に働き方改革の制度の理解度、期待と不安、勤務先の対応策などについて聞くアンケートを実施した(2023年3月9日実施)。  直近1年間の勤務時間について、1日8時間・週40時間(=5日)勤務を基準とした場合の「当直を含む時間外労働時間の合計」を聞いたところ、「月45時間未満・年360時間以下(≒週7時間)」が42%、「月100時間未満・年960時間以下(≒週20時間)」が36%、「月100時間未満・年1,860時間以下(≒週40時間)」が13%、「週40時間を超える」が9%という結果となった。

コロナ感染率と死亡率、米国各州で異なる要因は?/Lancet

 米国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックへの対応に苦労したが、州別にみると一律ではなく、将来的なパンデミックの対策に活かせる点が見いだせたことを、米国・外交問題評議会(CFR)のThomas J. Bollyky氏らが、同国の公的データベースを用いた観察的分析の結果で報告した。著者は、「今回の調査結果は、将来の危機において、より良い健康アウトカムを促進するための臨床的および政治的介入の設計と目標に寄与するものとなるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

CTAで側副血行を確認の急性脳梗塞、6~24h後でも血管内治療は有効か/Lancet

 発症または最終健常確認から6~24時間(late window)の前方循環系主幹動脈閉塞による脳梗塞で、CT血管造影(CTA)により側副血行が確認された患者において、血管内治療は有効かつ安全であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのSusanne G. H. Olthuis氏らが実施した第III相試験「MR CLEAN-LATE試験」の結果、示された。前方循環系脳梗塞に対する血管内治療は、発症後6時間以内での有効性および安全性が確認されていた。著者は、「今回の結果は、主に側副血行路の有無に基づいてlate windowにおける血管内治療の対象患者を選択できることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年3月29日号掲載の報告。

高齢男性の転倒時の頭蓋骨骨折リスクは女性より高い傾向

 高齢者の転倒リスクは男性より女性の方が高いものの、転倒時に頭蓋骨骨折が発生するリスクは男性の方が高い傾向のあることを示すデータが報告された。この傾向は人種/民族にかかわらず認められ、白人では性別によるリスク差が有意だという。米フロリダ・アトランティック大学のScott Alter氏らの研究によるもので、詳細は「The American Journal of Emergency Medicine」3月号に掲載された。  米国では、転倒により救急医療を受ける高齢者が毎年300万人以上に上る。論文の筆頭著者であるAlter氏は、「人口の高齢化とともに、活動的なライフスタイルを続けている高齢者が増えており、それに伴い高齢者の転倒による頭部外傷や頭蓋骨骨折も増加していることが懸念される」と語っている。

重症市中肺炎、ヒドロコルチゾンが死亡を抑制/NEJM

 集中治療室(ICU)で治療を受けている重症の市中肺炎患者では、ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、全死因死亡のリスクを有意に低下させ、気管挿管の割合も低いことが、フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らCRICS-TriGGERSepネットワークが実施した「CAPE COD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年3月21日号で報告された。  CAPE COD試験は、フランスの31施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2015年10月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(フランス保健省の助成を受けた)。

水素吸入で院外心停止患者の救命・予後改善か/慶大ほか

 心停止の際に医療従事者が近くにいないなど、即座に適切な処置が行われなかった場合、1ヵ月の生存率は8%とされる。また、生存できた場合でも、救急蘇生により臓器に血液と酸素が急に供給されることで、非常に強いダメージが加わり(心停止後症候群と呼ぶ)、半数は高度な障害を抱えてしまう。このような心停止後症候群を和らげる治療として、体温管理療法があるが、その効果はいまだ定まっていない。そこで、東京歯科大学の鈴木 昌氏(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授)らの研究グループは、病院外で心停止となった後に循環は回復したものの意識が回復しない患者を対象に、体温管理療法と水素吸入療法を併用し、効果を検討した。その結果、死亡率の低下と後遺症の発現率の低下が認められた。本研究結果は、eClinicalMedicine誌2023年3月17日号に掲載された。

パキロビッドパック600/300が薬価収載/ファイザー

 ファイザー(日本)は3月15日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬の「パキロビッドパック600」および「パキロビッドパック300」(一般名:ニルマトレルビル/リトナビル)が薬価基準に収載されたことを発表した。薬価はそれぞれ、パキロビッドパック600(1シート)が19,805.50円、パキロビッドパック300(1シート)が12,538.60円となる。両パッケージともに、2023年3月22日から一般流通が開始される予定。

garadacimab、遺伝性血管性浮腫の発作数を低減/Lancet

 遺伝性血管性浮腫の予防において、活性化第XII因子(FXIIa)の完全ヒト型モノクローナル抗体garadacimabはプラセボと比較して、1ヵ月当たりの発作数を著明に減少させるとともに、出血や血栓塞栓イベントのリスクは増加しないことが、米国・ペンシルベニア州立大学のTimothy J. Craig氏らが実施した「VANGUARD試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年2月28日号で報告された。  VANGUARD試験は、日本を含む7ヵ国28施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年1月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(CSL Behringの助成を受けた)。

レムデシビル、コロナ入院患者の死亡リスクを低減/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズ(日本)は3月6日付のプレスリリースにて、入院後2日以内の抗ウイルス薬レムデシビル(商品名:ベクルリー)投与により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者において、重症度にかかわらず死亡率および再入院率が低下したことを示すデータが、50万人超のリアルワールド試験から得られたことを発表した。死亡率の低下は、免疫不全者の集団においても認められた。米国本社が2月21日に英語で発表したものの邦訳版。本結果は2月19~22日に米国・シアトルで開催された第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)にて発表された。