外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

大手術後の炎症を阻害すると...(解説:後藤信哉氏)

コルヒチンは歴史の長い抗炎症薬である。LoDoCo(Low Dose Colchicine)試験にて冠動脈疾患の二次予防効果が証明されて、循環器内科領域に注目されることになった。多くの循環器疾患に炎症が関与する。各種のがん治療などの非心臓疾患の手術時の心房細動の発症予防効果の有無が本研究にて検証された。非心臓性手術後の心房細動と心筋梗塞の発症例では炎症マーカーの高値が報告されている。そこで、本研究では強力な抗炎症薬であるコルヒチンに、非心臓の大手術時の心房細動および心筋障害発症予防効果の有無がランダム化比較試験により検証された。

アピアランスケアとしての乳房再建

 「乳房再建」という言葉自体の一般的な認知度はまだまだ低く、また、米国や韓国と比較して日本における乳房再建率は低いといわれている。そこで、アッヴィ合同会社アラガン・エステティックスは2023年9月27日、乳房再建について、治療の一環のみならず、昨今注目度が高まっている「アピアランスケア」の選択肢の1つとしての側面をより広く周知するために、メディア向けセミナーを開催した。  セミナーでは、3名の演者が、乳がん罹患者を対象としたアピアランスケアに関する調査結果を紹介するとともに、各専門家による乳房再建の治療現場の動向や、乳がん経験者によるアピアランスケアの体験談等を解説した。

緊急虫垂切除の穿孔・合併症リスク、8h vs.24h/Lancet

 虫垂炎の標準治療は虫垂切除術とされ、院内での待機時間が長くなるほど穿孔や合併症のリスクが高まると考えられている。フィンランド・ヘルシンキ大学のKaroliina Jalava氏らは「PERFECT試験」において、急性単純性虫垂炎が疑われる患者では、8時間以内の虫垂切除術と比較して24時間以内の虫垂切除術は、虫垂穿孔のリスクが高くなく、術後の合併症の発生率も増加しないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年9月14日号に掲載された。  PERFECT試験は、フィンランドの2つの病院とノルウェーの1つの病院で実施された非盲検無作為化対照比較非劣性試験であり、2020年5月~2022年12月に参加者の適格性の評価を行った(Finnish Medical Foundationなどの助成を受けた)。

通院時間増で遺伝子異常にマッチした治験参加率が低下/国立がん研究センター

 病院までの移動時間によって、包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)検査後の遺伝子異常にマッチした治験参加率に差が出るという。国立がん研究センター中央病院 先端医療科の上原 悠治氏、小山 隆文氏らによる研究結果が、JAMA Network Open誌2023年9月15日号に掲載された。  研究者らは、病院(国立がん研究センター中央病院)までの移動時間または距離が、CGP検査後の遺伝子異常にマッチした治験参加率と相関するかを評価する、後ろ向きコホート研究を行った。

HR+乳がんで免疫チェックポイント阻害薬が期待できる可能性?/昭和大ほか

 HR+/HER2-の転移を有する乳がん患者を対象に、CDK4/6阻害薬アベマシクリブが免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブの効果を増強するメカニズムを調べた医師主導治験の結果、血清サイトカイン解析でTNF関連因子やIL-11の増加、末梢血単核細胞解析で制御性T細胞の低下、肝組織でCD8+リンパ球の浸潤が認められ、CDK4/6阻害薬が免疫チェックポイント阻害薬の免疫活性化と相乗的に働くことを、昭和大学の鶴谷 純司氏や吉村 清氏らの研究グループが明らかにした。Journal for ImmunoTherapy of Cancer誌2023年9月13日号掲載の報告。

対側乳がん発症後の死亡リスク上昇、サブタイプで違い

 対側乳がん発症後の生存に関する報告は一貫していない。今回、韓国・Dongguk University Ilsan HospitalのHakyoung Kim氏らが、Stage0~III期の原発性乳がん患者における対側乳がん発症と生存の関連を調査した。その結果、対側乳がん発症と全生存期間との関連はみられなかったが、乳がん診断後早期の発症、HR陽性HER2陰性乳がん患者での発症は生存期間との関連が示された。JAMA Network Open誌2023年9月5日号に掲載。

適切な運動でがん患者の死亡リスク25%減、がん種別にみると?/JCO

 がんと運動の関係について、さまざまな研究がなされているが、大規模な集団において、がん種横断的に長期間観察した研究結果は報告されていない。そこで、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのJessica A. Lavery氏らの研究グループは、がん種横断的に1万1,480例のがん患者を対象として、がんと診断された後の運動習慣と死亡リスクの関係を調べた。その結果、適切な運動を行っていた患者は非運動患者と比べて、全生存期間中央値が5年延長し、全死亡リスクが25%低下した。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月31日号に掲載された。

がん遺伝子パネル検査、もっと多く、もっと早く/イルミナ

 イルミナは2023年8月31日に、都内でプレスセミナー「がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査の現状と課題」を開催した。演者からは、がん遺伝子パネル検査(包括的がんゲノムプロファイリング[CGP]検査)のさらなる活用と、早期適用についての要望が発せられた。  同社メディカルアフェアーズ本部長である猪又 兵衛氏は、2023年5月に同社が一般成人1,000人を対象に行った「がんゲノム医療に対する意識調査」の結果を紹介した。

POTENT試験の探索的解析結果、monarchEの適格基準でも検討

 第III相POTENT試験では、エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性乳がんにおける術後ホルモン療法へのS-1の上乗せ効果が示された。今回、同試験のリスク分類別の探索的解析結果を京都大学の高田 正泰氏らがBreast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年9月7日号に報告した。  POTENT試験の対象は、StageI~IIIBのER陽性HER2陰性乳がん患者。S-1併用群(S-1[1日2回経口、3週ごと]+標準的ホルモン療法)と標準的ホルモン療法群に無作為に割り付けられた。

日本におけるSNS上のがん情報、4割超が誤情報

 SNSの普及により、患者はがん情報に容易にアクセスできるようになった。しかし、患者の意思決定に悪影響を与えかねない誤情報や有害情報も大量に発信されている。日本のSNSにおけるがん情報はどの程度信頼できるものなのか。これについて調べた名古屋市立大学病院 乳腺外科の呉山 菜梨氏らによる研究結果がJMIR formative research誌オンライン版2023年9月6日号に掲載された。  研究者らは、Twitter(現:X)上で2022年8~9月に投稿された、日本語の「がん」という言葉を含むツイートを抽出した。