呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:59

正しいがんの原因への認識、ワクチン拒否・代替医療・陰謀論支持者で低調/BMJ

 がんの原因に対する認識傾向について、スペイン・Catalan Institute of OncologyのSonia Paytubi氏らが、約1,500人を対象に行ったオンライン横断調査の結果、ほぼ半数が「何もかもががんの原因になるように思える」と感じていることが明らかになった。著者は、「大量の情報が、事実に基づく原因と根拠のない原因を見分けることを困難にしていることが浮き彫りになった」と述べている。

非専門医向け喘息ガイドライン改訂-喘息死ゼロへ

 日本全体で約1,000万人の潜在患者がいるとされる喘息。その約70%が何らかの症状を有し、喘息をコントロールできていないという。吸入ステロイド薬(ICS)の普及により、喘息による死亡(喘息死)は年々減少しているものの、2020年においても年間1,158人報告されているのが現状である。そこで、2020年に日本喘息学会が設立され、2021年には非専門医向けの喘息診療実践ガイドラインが発刊、2022年に改訂された。喘息診療実践ガイドライン発刊の経緯やポイントについて、日本喘息学会理事長の東田 有智氏(近畿大学病院 病院長)に話を聞いた。

高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月28日に開催された。その中で「高齢者・障がい者施設における被害を最小限にするために」が、舘田 一博氏(東邦大学医学部教授)らのグループより発表された。  このレポートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると死亡などのリスクの高い、高齢者・障害者を念頭に大人数が集まるケア施設内などでのクラスター感染を防ぐための対応や具体的な取り組み法として、健康チェック、ワクチン、早期診断と対応、早期治療、予防投与が可能な薬剤、リスク時の対応、保健所や医療機関との連携などが示されている。

EGFR陽性肺がんオシメルチニブ1次治療の肺臓炎、リアルワールド解析の結果(OSI-FACT)/Chest

 オシメルチニブは、進行EGFR変異陽性肺がん患者(NSCLC) の1次治療として位置付けられている。一方、オシメルチニブの潜在的合併症である薬物関連肺臓炎(DRP)については、信頼できるリアルワールドデータが不足している。  リアルワールドにおけるオシメルチニブ1次治療のDRP発現頻度、特徴を評価する多施設後ろ向きコホート研究が行われた。その結果が、2022年11月のChest誌で発表されている。

職場での粉じんなどの吸入で関節リウマチのリスクが増大

 職場で吸入する空気により、関節リウマチ(RA)の発症リスクが高まることがあるようだ。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBowen Tang氏らが実施した研究で、職場で蒸気やガス、溶剤などから生じる粉じんやヒューム(物質の加熱や昇華により生じる粉じんや煙霧、揮発性粒子など)に曝されることで、RAの発症リスクが増大することが明らかにされた。そればかりか、そのような物質への曝露は、喫煙や遺伝的にRAになりやすい傾向の悪影響を増長する可能性のあることも示唆されたという。この研究の詳細は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に12月6日掲載された。

悪性新生物の死亡確率、男性3割・女性2割/厚生労働省

 厚生労働省は12月23日、「令和2年都道府県別生命表」を発表した1)。都道府県別生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、1965年から5年ごとに作成され、今回が12回目となる。本結果によると、2020年の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年で、2015年よりも男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。また、死因別死亡確率では、男女ともに最も多かった死因は、悪性新生物(腫瘍)であり、男性で28.13%、女性で20.05%を占めていた。  2020年の全国の平均寿命は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命を都道府県別にみると、男性では、滋賀が82.73年で最も長く、次いで長野の82.68年、奈良の82.40年の順となっている。女性では、岡山が88.29年で最も長く、次いで滋賀の88.26年、京都の88.25年の順となっている。また、男女ともに青森が最も短くなっており、男性が79.27年、女性が86.33年であった。平均寿命の最も長い都道府県と最も短い都道府県との差は、男性3.46年、女性1.96年となっている。

肺臓炎発症例、オシメルチニブのリチャレンジの実施可能性/Eur J Cancer

 軽症肺臓炎を発症したEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブのリチャレンジを検証したリアルワールド試験の結果が発表された。  オシメルチニブは、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療の標準だが、治療に影響を及ぼすオシメルチニブの有害事象として、薬剤性肺臓炎が挙げられる。オシメルチニブの適正使用ガイドでは、肺臓炎発症後は全例治療中止が推奨されている。一方、症例報告や後ろ向き試験では、肺臓炎発症後のオシメルチニブリチャレンジの実施可能性や有効性についての報告がある。ただし、リチャレンジの主要評価項目とした多症例の検証はなかった。

抗CTLA-4抗体トレメリムマブ+デュルバルマブ、非小細胞肺がん1次治療に承認/AZ

 アストラゼネカは、2022年12月23日、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)と、新たな抗CTLA-4抗体トレメリムマブ(同:イジュド)の併用療法が、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の適応症で承認されたと発表した。  今回の承認は、切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、1次治療として、デュルバルマブ+トレメリムマブ+化学療法、デュルバルマブ+化学療法と化学療法を比較した第III相無作為化非盲検多施設共同国際試験POSEIDONの結果に基づくもの。

終わらない結核、結核菌の新たな生き残り戦略

 結核は、世界で最も死亡率の高い感染症の1つである。毎年、約1,060万人が結核に罹患し、160万人が死亡する。その背景の1つとして、抗菌薬の普及により薬剤耐性を有する結核菌が増加し、治療が困難になっていることがあるといわれる。そこで、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのQingyun Liu氏らの研究グループは、結核患者から単離された結核菌のゲノム解析を行った。その結果、転写因子resR遺伝子に変異があると、抗菌薬への曝露終了後に急速に再増殖を開始することが明らかになった。本研究結果は、Science誌2022年12月9日号に掲載された。

オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。