精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:90

実臨床における片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の有用性~メタ解析

 片頭痛は、中等度~高度な頭痛エピソードを特徴とする神経疾患である。カルシトニン遺伝子に特異的なモノクローナル抗体由来の新規薬剤の開発により、従来治療で効果不十分であった片頭痛患者にとって、新たな治療選択肢がもたらされた。ブラジル・パラナ連邦大学のVinicius L. Ferreira氏らは、片頭痛予防に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(抗CGRP抗体)の実臨床での効果を評価するため、観察コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、片頭痛予防に対する抗CGRP抗体の使用に関する実臨床を反映した観察研究のメタ解析の結果は、これまでのランダム化比較試験で報告された結果と同様であり、抗CGRP抗体の有効性が確認された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2023年9月4日号の報告。

医療従事者、職種ごとの自殺リスク/JAMA

 米国の非医療従事者と比較した医療従事者の自殺のリスクについて、正看護師、医療技術者、ヘルスケア支援従事者の同リスクが高いことを、米国・コロンビア大学のMark Olfson氏らがコホート研究の結果で報告した。歴史的に医師の自殺リスクは高かったが、この数十年で減少した可能性が指摘されていた。一方で、他の医療従事者の自殺リスクに関する情報は、依然として不足していた。今回の結果を踏まえて著者は、「米国の医療従事者のメンタルヘルスを守るため、新たな計画への取り組みが必要である」とまとめている。JAMA誌2023年9月26日号掲載の報告。

30年間のADHD実態調査~世界疾病負担研究の再分析

 注意欠如多動症(ADHD)の罹患率、有病率、負担に関するデータは、臨床医、患者およびステークホルダーにとって非常に重要である。英国・サウサンプトン大学のSamuele Cortese氏らは、1990~2019年の世界および各国のADHD罹患率、有病率、負担を調査した世界疾病負担研究(GBD)のデータについて、再分析を実施した。その結果、GBDはADHDの罹患率、有病率、負担に関する時間的傾向、地理的傾向、性差の最も詳細なエビデンスを示しているが、ADHDの有病率および負担については過少評価している可能性が示唆された。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年9月8日号の報告。

COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病リスクと関連するか

 COVID-19パンデミックによる面会制限は産後うつ病のリスク因子であるかどうかを明らかにするため、舞鶴共済病院の工藤 渉氏らは調査を行った。その結果、著者らは「COVID-19パンデミック中に出産した女性は、入院期間中の家族面会制限が行われていたものの、産後1ヵ月のエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)スクリーニングスコアの悪化が認められず、一部の女性では、精神状態の安定が認められた」としている。BMC Pregnancy and Childbirth誌2023年9月9日号の報告。  COVID-19パンデミック中に出産した女性(面会制限群)とパンデミック前に出産した女性(対照群)を比較したケースコントロール研究を実施した。産後うつ病の評価には、EPDSを用いた。出産後2週間、1ヵ月時点でのEPDSを評価した。

認知症治療支援保険、東京海上日動とエーザイが共同開発

 東京海上日動火災保険とエーザイは認知症の早期発見や早期治療について経済的に支援するための「認知症治療支援保険」を共同で開発したことを、9月28日のプレスリリースにて発表した。アルツハイマー病による軽度認知障害またはアルツハイマー型認知症に特化した補償は業界初となる。  9月25日に、エーザイとバイオジェンが共同開発したヒト化抗ヒト可溶性アミロイドβ凝集体モノクローナル抗体レカネマブが、日本において「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」の効能・効果において厚生労働省より承認を取得した。

実臨床における日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療

 片頭痛治療に対する抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体フレマネズマブの有効性は、ランダム化比較試験で実証されているものの、実臨床での研究結果は、いまだ限られている。獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、リアルワールドにおける日本人片頭痛患者に対するフレマネズマブ治療の有効性および忍容性を明らかにするため、単一施設観察研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2023年7月6日号の報告。  対象は、6ヵ月間、毎月または四半期ごとにフレマネズマブ投与を行った反復性片頭痛(EM)および慢性片頭痛(CM)患者。主要アウトカムは、フレマネズマブ治療後の1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)および治療反応率の変化とした。副次的アウトカムは、治療6ヵ月時点での治療反応患者の予測因子を特定とした。また、他の抗CGRP抗体から切り替えを行った患者におけるフレマネズマブ治療の有効性を評価し、毎月投与群と四半期投与群におけるフレマネズマブの有効性を比較した。MMDは、頭痛日誌を用いて評価した。

統合失調症とうつ病の治療ガイドライン普及に対するEGUIDEプロジェクトの効果

 国立精神・神経医療研究センターの長谷川 尚美氏らは、「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」を活用することによる、精神疾患の診療ガイドラインに関する教育のリアルワールドにおける効果を検証するため、本研究を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2023年9月8日号の報告。  EGUIDEプロジェクトは、「統合失調症薬物治療ガイドライン」と「うつ病治療ガイドライン」を日本国内で実践するための全国的なプロスペクティブ研究である。2016~19年、精神科病棟を有する176施設に所属する精神科医782人がプロジェクトに参加し、診療ガイドラインに関する講義を受講した。プロジェクト参加病院の統合失調症患者7,405例およびうつ病患者3,794例を対象に、ガイドラインが推奨する治療の実施割合を、プロジェクト参加者と非参加者から治療を受けている患者間で比較した。プロジェクト参加病院より毎年4~9月に退院する患者の臨床データおよび処方データも分析した。

豆乳の摂取と認知症リスク低下との関連が認められた

 これまでの研究において、ミルク(milk)の摂取は認知機能低下を予防可能であるかが調査されてきた。しかし、その結果は一貫していない。その理由として、これまで研究の多くは、ミルクそれぞれの役割を無視していることが重要なポイントであると考えられる。そこで、中国・中山大学のZhenhong Deng氏らは、各種ミルクの摂取と認知症リスクとの関連を調査した。その結果、豆乳(soy milk)の摂取と認知症(とくに非血管性認知症)リスク低下との関連が認められた。Clinical Nutrition誌オンライン版2023年8月31日号の報告。

労働者の不眠症に対し認知行動療法は有効か?~メタ解析

 不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)は、第1選択の治療として推奨されているが、労働者の不眠症に対する有効性は、よくわかっていない。東京医科大学の高野 裕太氏らは、労働者の不眠症状のマネジメントにおけるCBT-Iの有効性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Sleep Medicine Reviews誌オンライン版2023年8月22日号の報告。  3つの電子データベース(PubMed、PsycINFO、Embase)より文献検索を行った。  主な結果は以下のとおり。 ・21件の研究をメタ解析に含めた。 ・全体としてCBT-Iは、対照群と比較し、不眠症状の有意な改善が認められた。

動かないと認知症になる?―人類史の視点から(解説:岡村毅氏)

いわゆる「座位行動」の研究である。座位行動とは、座ることに代表されるエネルギー消費量が1.5メッツ以下の行動を指すもので、実際には座っているとは限らない。デスクに座ってコンピュータで作業をする、ソファでだらだらテレビを見る、床に寝転がって本を読む、などはすべて該当する。厚生労働省によると、健康によいとされる3メッツ以上の中高強度身体活動は、1日の起きている時間のうち、わずか3~8%程度だという。一方で座位行動は起きている時間のうちの6割近くを占めるという(引用)。