精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:432

検証!「痛み」と「うつ」関係は?:山口大学

 末梢神経障害による気分障害を伴う神経障害性疼痛はQOLに影響を及ぼす重大な問題である。最近の研究では、大脳辺縁系の脳由来神経栄養因子(BDNF)の欠乏がpain-emotion(痛みの感情)を生じさせることが示唆されている。BDNFは4-メチルカテコール(4-MC)により培養神経細胞で誘発されるが、pain-emotionにおけるBDNFの役割は十分にわかっていない。山口大学 福原氏らは、BDNFが末梢神経障害後の慢性疼痛時に脳やうつ病様症状に対しどのように関与しているかを評価し、脳室内の4-MCが慢性疼痛を防ぎ、抗うつ効果を発揮するかどうかを検討した。その結果、BDNFの強化はうつ病を伴う慢性疼痛の新たな治療戦略となる可能性があることをCell Mol Neurobiol誌2012年8月号にて報告した。

うつ病はCOPD増悪・入院の独立した危険因子:久留米大学

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者はうつ病や睡眠障害を合併することが多いと言われている。そして、合併することで健康関連QOL(HRQOL)に悪影響を及ぼす。久留米大学 伊藤氏らはCOPD患者におけるうつ病および睡眠障害の影響を検討した。Respirology誌2012年8月号の報告。  40歳以上のCOPD患者85名とコントロール群46名のうつ病および睡眠障害に関して12ヵ月間調査を行った。COPDの診断にはスパイロメトリー、動脈血ガス分析を実施。HRQOLの評価尺度であるSGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)、うつ病自己評価尺度(CES-D: Center for Epidemiologic Studies Depression)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI:Pittsburgh Sleep Quality Index)により評価した。

抗うつ薬切替のベストタイミングは?

 うつ病における薬物治療では、第一選択薬の使用で奏功しない場合も多く、次の薬剤への切り替えはしばしば行われる。しかし、どのタイミングで切り替えを行えばよいかについては確立されていない。Romera氏らは大うつ病患者における抗うつ薬を切り替える最適なタイミングを明らかにするための検討を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。

慢性期統合失調症患者に新たな一手!「高酸素吸入療法」

 神経障害に対する高酸素療法については、いくつかの研究で肯定的な結果が示されている。また、統合失調症患者では脳への酸素供給を増加させることにより、ミトコンドリア機能障害によるエネルギー代謝障害や前頭葉機能低下が改善される可能性がある。Bloch氏らは統合失調症の有用な治療法として高酸素吸入療法が選択肢となりうると考え、検討を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年8月号の報告。

心不全患者への有酸素運動指導、うつ症状を軽減

慢性心不全患者に対し、有酸素運動指導を行うことで、うつ症状が有意に軽減することが示された。また長期の総死亡・入院リスクについても、わずかな低下が認められた。米国・デューク大学メディカルセンターのJames A. Blumenthal氏らが、約2,300人について行った無作為化比較試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年8月1日号で発表した。心不全患者でうつ症状が認められるのはその4割にも上り、またうつ症状がアウトカムの増悪につながることが、これまでの研究でわかっているという。

高齢者のQOL低下に深く関わる「うつ」

 高齢になればなるほど、生活の質(QOL)が低下することがわかっている。とくに認知症患者では、顕著なQOL低下をきたす。Weiss氏らは各ステージのアルツハイマー型認知症(AD)患者、軽度認知障害(MCI)患者、健常高齢者のQOLを評価し、高齢者におけるQOLの予測因子についてうつ病など気分障害が関与していることを報告した。Neuropsychiatr誌オンライン版2012年7月27日号の報告。

ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!

 ここ10年の間にオンラインゲームは急速に広まり、それに伴うさまざまな問題に注目が集まっている。しかしながら、過度なオンラインゲームの利用が精神症状に与える影響に関する報告は多くない。Wei氏らはインターネット調査によりオンラインゲーマーの特性を明らかにし、オンラインゲーム利用時間と社会不安障害、うつ病との関係を検証した。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年7月28日号の報告。

日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは「低年齢」「女性」

世界各国で深刻な社会問題となっている薬物乱用。日本においても例外ではなく、とくに若年層を中心に薬物乱用が浸透しているのが現状である。また、自殺者が薬物乱用の問題を抱えていることも少なくないと言われている。国立精神・神経医療研究センター 松本氏らは、日本人薬物乱用者における自殺のリスクファクターと性別による違いを明らかにするため検討を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌2012年8月号の報告。

がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…

 入院がん患者ではせん妄を発症することは少なくない。せん妄の治療においては、しばしば抗精神病薬が用いられる。日本医科大学武蔵小杉病院 岸氏らは、非定型抗精神病薬であるリスペリドンのがん患者のせん妄に対する有効性を検証するとともに、重症度による評価を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌オンライン版2012年8月号の報告。