小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:55

超低出生体重児輸血戦略、非制限vs.制限/JAMA

 1,000g未満の超低出生体重児において、非制限輸血は制限輸血と比較して、補正年齢24ヵ月時点の死亡または障害発生の確率を抑制しなかった。ドイツ・テュービンゲン大学病院小児科部門のAxel R. Franz氏らが、欧州36施設・1,013例の新生児を対象とした無作為化試験「ETTNO試験」の結果を報告した。超低出生体重児には赤血球輸血治療が行われるが、エビデンスに基づいた輸血閾値は確定されていない。先行研究では、制限輸血を受けた新生児で認知障害の発生率が高いことが示されていた。JAMA誌2020年8月11日号掲載の報告。

高加入度数コンタクトレンズ、小児の近視進行を抑制/JAMA

 近視の小児では、高加入度数の多焦点コンタクトレンズを用いた3年間の治療により、中加入度数の多焦点コンタクトレンズや単焦点コンタクトレンズと比較して、近視の進行が緩徐化され、眼軸長伸展が抑制されることが、米国・オハイオ州立大学のJeffrey J. Walline氏らが行ったBLINK試験で示された。研究の成果はJAMA誌2020年8月11日号に掲載された。2016年の報告では、世界の近視の有病率は、2000年からの50年間に23%から54%に、高度な近視の有病率は3%から10%にまで増加すると推定されている。また、近視は、視力を脅かす合併症(白内障、網膜剥離、緑内障、脈絡膜萎縮症など)と関連するが、その進行を緩徐化することで、これらの合併症のリスクが低減する可能性があるという。

合併症のない小児虫垂炎、抗菌薬療法vs.手術/JAMA

 合併症のない小児虫垂炎において、抗菌薬療法のみの非外科的治療戦略の初回治療成功率は67.1%であり、外科的治療戦略と比較して、1年後の障害日数は統計学的に有意に少なかったことが、米国・オハイオ州立大学医学校のPeter C. Minneci氏らによる検討の結果、示された。ただし、フォローアップの完遂率が75%と低く、許容可能な非外科的手術成功率は、事前規定の閾値との比較では統計学的に有意ではなく、仮定した障害日数の群間差には未到達であったという。現在、小児および青少年の虫垂炎の大半は外科的治療で行われているが、研究グループは、抗菌薬療法のみの非外科的治療は、患児および家族への悪影響を少なく治療できる可能性があり、患児と家族に好まれるのではないかとして本検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年7月27日号掲載の報告。

COVID-19、小児は軽症でもウイルス量が成人の10~100倍

 子供がCOVID-19に罹患した場合、一般的には成人に比べて比較的軽度の症状を示す。米国・イリノイ州シカゴAnn & Robert H. Lurie Children's HospitalのTaylor Heald-Sargent氏らが、軽~中等症のCOVID-19患者におけるウイルス量を年齢との相関で調べたところ、5歳未満の小児では症状が軽くてもウイルス保有量が多く、とくに上気道から検出されたSARS-CoV-2は成人の10~100倍にも相当することがわかった。JAMA Pediatrics誌オンライン版2020年7月30日号のリサーチレターに掲載。  本研究では、2020年3月23日~4月27日の期間、シカゴの3次医療機関においてCOVID-19の症状発症から1週間以内の入院および外来、救急部門、ドライブスルーで収集された145例の鼻咽頭スワブから検体を採取し、PCR検査を実施。cycle threshold(Ct)値を記録し、SARS-CoV-2 RNAウイルス量を評価した。

米国学校閉鎖でCOVID-19罹患率・死亡率が約6割減/JAMA

 米国で2020年3月9日~5月7日にわたった州レベルの学校閉鎖が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患率と死亡率を一時的に減少したことが明らかにされた。閉鎖が早かった州では、累積罹患率が低い時点で学校閉鎖を行った場合ほど、相対的減少率が大きかったという。米国・シンシナティ小児病院のKatherine A. Auger氏らが、全米50州について行った観察試験の結果で、JAMA誌オンライン版2020年7月29日号で発表した。なお、結果について著者は、「減少には、同時期の他の非薬物的介入が関連している可能性は捨てきれない」と述べている。

出生前母体ステロイド治療はルーチンで行うのではなく、症例ごとに合わせた早産リスクの判断を(解説:前田裕斗氏)-1268

周産期診療における副腎皮質ステロイドの出生前投与は、前期破水や切迫早産の胎胞脱出症例など1週間以内に分娩が強く予想される症例に対して、胎児の臓器成熟を促す目的で行われる。この治療法自体は古くから行われておりデータの蓄積も多く、2017年のメタアナリシスでは妊娠34~35週未満の症例への投与により新生児呼吸窮迫症候群を有意に低減(相対リスク:0.66)するほか、脳室内出血(相対リスク:0.55)、壊死性腸炎(相対リスク:0.50)、さらには新生児死亡率(相対リスク:0.69)をも低減すると報告された。 ステロイドの出生前投与は元々妊娠34週(肺が完成するといわれる週数)未満での使用が推奨されていたが、近年は34週以降37週未満の症例への投与でも新生児における各種呼吸器合併症の発症低減などが報告されており、投与を推奨する国が出てきている。 ステロイド投与の合併症については母体でさほど目立ったものはなく、新生児の短期予後については出生後すぐの低血糖の報告がある(低中所得国での新生児死亡率上昇の報告もあるが、この原因は判然としていない)。一方長期予後については不明瞭な部分が多く、今回の論文はその1つとして神経学的予後への影響を確かめた大規模観察研究になる。

インフルとCOVID-19同時流行の対策提唱/日本感染症学会

 2020年8月3日、日本感染症学会は『今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて』の提言を学会ホームページ内に公開した。  新型コロナウイルスの流行を推測した研究によると、この冬、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が予測されており、とくにインフルエンザの流行期と重なることで、重大な事態になることが危惧されている。また、インフルエンザとの混合感染は、COVID-19入院患者の4.3~49.5%に認められている。  そのため、本提言は、石田 直氏(インフルエンザ委員会委員長/倉敷中央病院)をワーキンググループ委員長に迎え、インフルエンザおよびCOVID-19の専門家、医師会の角田 徹氏(東京都医師会副会長/角田外科消化器科医院 院長)や釜萢 敏氏(日本医師会常任理事/小泉小児科医院 院長)が参加して作成された。

新型コロナ抗原検査の同一検体でインフルの同定も可能に/富士レビオ

 2020年7月27日、富士レビオ株式会社(代表取締役社長:藤田 健、本社:東京都新宿区)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原の迅速診断キット「エスプライン(R) SARS-CoV-2」で用いる検体処理液が、インフルエンザウイルス抗原の迅速診断キット「エスプライン インフルエンザ A&B-N」においても使用できることを確認したと発表した。  これまで、インフルエンザ流行時の新型コロナウイルスとの鑑別対応が不安視されているが、本キットにより、新型コロナウイルス抗原およびインフルエンザウイルス抗原の2 検査を同一の鼻咽頭拭い液検体で行うことが可能となった。また、検体採取が1回で済むことから、検体採取時の患者への負担軽減および医療者の感染リスク低減にも寄与できる見込み。

幼児期の睡眠問題とその後の精神疾患との関係

 小児期の悪夢は、思春期の精神疾患および境界性パーソナリティ障害(BPD)とプロスペクティブに関連している。しかし、この関連が睡眠行動問題にも当てはまるかは不明であり、潜在的なメカニズムもよくわかっていない。英国・バーミンガム大学のIsabel Morales-Munoz氏らは、親から報告された幼児期の睡眠関連問題と11~13歳時の精神疾患およびBPD症状、10歳時のうつ症状に関連する潜在的な影響について調査を行った。JAMA Psychiatry誌オンライン版2020年7月1日号の報告。  13年以上フォローアップを行ったAvon Longitudinal Study of Parents and Children birth cohortに参加した1万3,488人を対象に評価を行った。1991年4月1日~1992年12月31日に出産予定日であった英国・エイボン州出身の女性に対し、研究への参加を依頼した。データ分析は、2019年5月1日~12月31日に実施した。12~13歳の精神疾患症状は、Psychosis-Like Symptom Interviewを用いて評価し、11~12歳のBPD症状は、UK Childhood Interview for DSM-IV Borderline Personality Disorderを用いて評価した。親から報告された、子供の月齢および年齢が6、18、30ヵ月、3.5歳、4.8歳、5.8歳時における、夜間の睡眠時間、中途覚醒頻度、就寝時間、睡眠習慣の規則性を評価した。

医師の2020年夏季ボーナス支給、新型コロナの影響は?

 6~7月と言えば、業務に追われるもボーナス支給日を心待ちに日々励んでいる人が多い時期。ところが今年は新型コロナウイルスの影響で状況は一変。外来患者減などが医療施設の経営に大打撃を与え、医療者の給与や将来設計もが脅かされる事態に発展している。  この状況を受け、ケアネットでは7月9日(木)~15日(水)、会員医師1,014名に「夏季ボーナスの支給状況などに関するアンケート」を実施。その結果、全回答者のうち14.6%は本来支給されるはずの夏季ボーナスが不支給または未定であり、支給された方でも25%は例年より減額されていたことが明らかになった。