小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

9割の成人ADHD、小児期の病歴とは無関係

 米国・デューク大学のTerrie E. Moffitt氏らは、成人期注意欠如・多動症(ADHD)と小児期発症神経発達症との関連を明らかにするため、ニュージーランドで1972~1973年に生まれた1,037例について解析を行った。その結果、成人期ADHDの90%が小児期ADHD歴を有していないことを報告した。成人期ADHDは小児期発症神経発達症であるとの仮説が広く知られているが、これまで成人期ADHD患者の小児期に言及した長期前向き試験はなかったという。American Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年5月22日号の掲載報告。

出生地が双極性障害発症時期に影響

 出生直後の環境条件は、概日システムの刷り込みや、その後の環境応答に影響するかもしれない。ドイツ・カールグスタフ・カールス大学病院のMichael Bauer氏らは以前、とくに気分障害の家族歴を持つ人において、春の日射量の増加が双極性障害の発症年齢と関連することを報告していた。本研究では、出生地の日照時間がこの関連に影響を与えているかどうかを検討した。Journal of psychiatric research誌2015年5月号(オンライン版2015年3月27日号)の報告。

HPVワクチン、男児にも接種するメリット/BMJ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を女児だけでなく男児へも接種をすることのメリットについて、オランダ・VU大学メディカルセンターのJohannes A Bogaards氏らが、ベイズ法によるエビデンス統合解析を行い報告した。女児への接種で男性は間接的な利益を得られるが、現状の接種率60%ではHPV関連がん、とくに肛門がんのリスクは残ったままで、女児への接種率が90%に高まり、男児への接種も行うことで肛門がんの予防がもたらされ、男性同性愛者へのHPV予防に寄与することが示唆されたという。BMJ誌オンライン版2015年5月12日号掲載の報告より。

小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は

 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。

エアロゾル麻疹ワクチンの有効性(解説:小金丸 博 氏)-360

 麻疹はワクチンで防ぐことができる疾患群(vaccine-preventable diseases)の1つである。皮下注射で行う麻疹ワクチンは安全で効果的であり、世界中で広く使用されている。米国、オーストラリア、韓国などの先進国は、WHOから「麻疹排除国」として認定されており、日本もやっと2015年3月に認定された。一方で、とくに医療資源の乏しい発展途上国ではワクチンの接種率が低く、いまだに麻疹の流行が起こっている。WHOはこの状況を改善する手段の1つとして、注射手技の不要な吸入タイプのワクチンの可能性を追求している。

レーバー先天性黒内障、遺伝子治療の有効性報告/NEJM

 小児の進行性網膜変性疾患であるレーバー先天性黒内障について、ヒトを対象とした遺伝子治療の長期有効性の試験結果が報告された。わずかで一過性ではあるが、網膜感度の改善が示されたという。レーバー先天性黒内障は、RPE65遺伝子変異によって生じる。検討では、rAAV2/2 RPE65ベクターを用いた遺伝子治療が行われた。これまでの遺伝子治療の検討では、夜間視力のわずかな改善が示唆されていたがヒトにおける効果については報告が限定的であった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJ.W.B. Bainbridge氏らが報告した。NEJM誌2015年5月14日号(オンライン版2015年5月4日号)掲載の報告より。

若者の新型うつ病へのアプローチとなりうるか

 日本では、とくに若者の間で「新型うつ病」や「ひきこもり(6ヵ月以上持続している重度の社会的なひきこもり)」と表現される新たな精神医学的事象が報告されてきている。信頼ゲームと呼ばれる経済ゲームが現実社会における対人関係の評価に利用できることから、早稲田大学高等研究所の渡部 幹氏らは、大学生を対象に予備的研究を行った。その結果、信頼行動が精神医学的評価スケールと関連していることを報告した。著者は、「新型うつ病やひきこもり等の人々における経済ゲームの妥当性が研究されるべきである」とまとめている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。